JP2023085718A - 圧電駆動装置、およびロボット - Google Patents

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Abstract

【課題】不要振動を低減し、エネルギー変換効率に優れた圧電駆動装置を提供すること。【解決手段】圧電駆動装置は、圧電素子を含む振動体の一端に設けられた突起部により、被駆動体を駆動する圧電駆動装置であって、前記圧電駆動装置を固定する固定部と、前記振動体を保持する保持部と、前記固定部に連結し、前記振動体を含む前記保持部を前記突起部の方向に付勢する付勢部と、前記保持部における前記突起部とは反対側に設けられる錘部と、前記保持部と前記錘部との間に配置される弾性部と、を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、圧電駆動装置、および当該圧電駆動装置を備えたロボットに関する。
例えば、特許文献1には、振動体に発生する楕円振動により被駆動体を駆動する超音波モーターが開示されている。当該文献によれば、超音波モーターは、一方の面に圧電素子が積層され、他方の面に一対の突起部を備えた板状の振動体と、当該振動体を支持する保持部と、保持部を背面から加圧する加圧手段とを備え、一対の突起部による楕円振動により被駆動体を駆動するとしている。つまり、特許文献1の超音波モーターは、板状の振動体と重なる方向の振動により、振動体の垂直方向に位置する被駆動体を駆動する。換言すれば、振動体を含む面の外側に振動する面外振動モードの圧電駆動装置とも言える。
また、振動体を含む面の方向に振動する面内振動モードの圧電駆動装置も知られている。当該圧電駆動装置は、長方形状の一方の短辺に突起部を有する振動体と、振動体の他方の短辺と2つの長辺を囲い、2つの長辺の中央付近の連結部で振動体を保持する保持部と、板バネを介して保持部を支持する固定部などから構成される。この圧電駆動装置では、振動体の突起部に生じる振動体の面方向に沿った楕円振動により、被駆動体を駆動する。
特開2013-158151号公報
しかしながら、これらの圧電駆動装置では、不要振動が生じてしまい、エネルギー変換効率が良くないという課題があった。特許文献1の超音波モーターでは、振動体の振動に伴い、振動体を保持する保持部も振動してしまう。同様に、面内振動モードの圧電駆動装置においても、振動体の振動に伴い、振動体を保持する保持部も振動してしまう。保持部におけるこれらの不要振動により、駆動出力が損なわれるばかりでなく、異音の発生や、突起部の摩耗が早くなるといった問題も生じていた。
つまり、不要振動を低減し、エネルギー変換効率に優れた圧電駆動装置が求められていた。
本願に係る一態様の圧電駆動装置は、圧電素子を含む振動体の一端に設けられた突起部により、被駆動体を駆動する圧電駆動装置であって、前記圧電駆動装置を固定する固定部と、前記振動体を保持する保持部と、前記固定部に連結し、前記振動体を含む前記保持部を前記突起部の方向に付勢する付勢部と、前記保持部における前記突起部とは反対側に設けられる錘部と、前記保持部と前記錘部との間に配置される弾性部と、を備える。
本願に係る一態様のロボットは、上記の圧電駆動装置と、複数のアーム部と、前記アーム部を駆動する駆動部と、を備え、前記圧電駆動装置は、前記駆動部に設けられる。
実施形態1に係る比較例の圧電モーターの平面図。 圧電モーターの斜視図。 圧電アクチュエーターの平面図。 振動体における振動態様を示す模式図。 実施形態1の圧電モーターの平面図。 圧電アクチュエーターの平面図。 弾性部および錘部の有無による摩擦係数の変化を示すグラフ図。 実施形態2に係る比較例の圧電モーターの断面図。 振動体における振動態様を示す模式図。 実施形態2の圧電モーターの断面図。 実施形態3に係る圧電駆動装置の平面図。 異なる態様の圧電駆動装置の平面図。 実施形態4に係るロボットの概要図。
実施形態1
***圧電モーターの概要***
図1は、比較例における圧電モーターの概要を示す平面図である。図2は、圧電モーターの斜視図である。まず、図1、図2を用いて、基本的な圧電モーター90の概略構成について説明する。
図1は、比較例として基本的な構成の圧電モーター90の平面図を示している。
圧電駆動装置としての圧電モーター90は、円板状の被駆動体としてのローター160を、振動体20の突起部95によって押圧することにより、回転方向R1、または、回転方向R2に回動させる圧電駆動型のモーターである。なお、図1は基本構成の説明図であるため、1つの圧電モーター90による駆動態様を図示しているが、実際に用いる際には、ローター160の外周縁に沿って、複数の圧電モーターを連ねて駆動力を高める多連構成とすることが多い。
圧電モーター90は、圧電アクチュエーター28、付勢部45、固定部50などから構成される。
圧電アクチュエーター28は、振動源となる圧電素子を有する振動体20や、振動体20を保持する保持部10などから構成される。振動体20は、長方形状をなしており、その長辺方向をX軸、短辺方向をY軸としている。また、振動体20の厚さ方向をZ軸としている。なお、圧電アクチュエーター28の詳細は後述する。
付勢部45は、圧電アクチュエーター28の上下に配置された、一対の平行バネ44a,44bから構成される。
図1に示すように、平行バネ44aの一端は、固定部50と一体となっており、平行バネ44aの他端は、圧電アクチュエーター28の保持部10と接続している。
平行バネ44aには、Y軸プラス方向に延在する板バネ41,42が設けられており、ローター160に対して突起部95を押し付ける方向に圧電アクチュエーター28を付勢する。板バネ41は、振動体20の後端側に設けられた複数本の板バネであり、板バネ42は、振動体20の先端側に設けられた複数本の板バネである。圧電アクチュエーター28の背面に設けられる平行バネ44bも同じ構成である。
図2に示すように、平行バネ44a,44bは、圧電アクチュエーター28を上下から挟み込むように設けられており、圧電アクチュエーター28をXマイナス方向に付勢する構成となっている。換言すれば、付勢部45は、振動体20を含む保持部10を、突起部95の方向に付勢した状態で固定部50に連結する。
固定部50は、基材48、および、平行バネ44a,44bなどから構成される。固定部50は、ベースとなる基材48の上下に、平行バネ44aと、平行バネ44bとを重ね合わせて一体化されている。そして、2ヶ所のネジ穴38で、被装着部(図示省略)にネジ止め固定される。また、圧電アクチュエーター28における固定部50とは反対側の端部は、保持部10の上下に、平行バネ44aと、平行バネ44bとが重ね合わせて一体化されている。
図1に戻る。
このような構成の圧電モーター90は、複数本の板バネ41,42の復元力により、突起部95がローター160を押圧した状態で、振動体20の屈曲運動による回転力を印加する。
また、ローター160にはエンコーダー(図示省略)が設けられており、エンコーダーによって、ローター160の挙動、特に、回転量および角速度が検出可能となっている。
***圧電アクチュエーターの概要***
図3は、圧電アクチュエーターの平面図である。
図3に示すように、保持部10は矩形をなしており、好適例として、シリコン基板を用いている。なお、好適例では、付勢部45、固定部50もシリコン基板を用いるが、これに限定するものではなく、同等の物性を有する材質であれば良く、例えば、金属を用いても良い。
振動体20は、保持部10内において長方形状に区画された部位であり、表面側には、駆動用の圧電素子1~5が配置されている。詳しくは、振動体20は、略矩形をなした保持部10に設けられた3つの切欠き部24~26により、略長方形に区画されている。そして、長方形の長辺の略中央に残された一対の支持腕21a,21bにより、保持部10と接続している。また、支持腕21a,21bを通り、Yプラス方向に延在する線分を中心線27とする。
振動体20の一方の長辺に沿って、長方形の圧電素子1,2が配置されている。圧電素子1と圧電素子2とは、中心線27に対して線対称の配置となっている。
同様に、振動体20の他方の長辺に沿って、長方形の圧電素子3,4が配置されている。圧電素子3と圧電素子4とは、中心線27に対して線対称の配置となっている。
そして、振動体20の中央には、圧電素子1と圧電素子2とを繋げた長さの長方形の圧電素子5が設けられている。
図3では、図示を省略しているが、圧電素子1~5の上面には、圧電素子に駆動信号を供給するための電極、及び、配線が設けられている。振動体20において対角に位置する、圧電素子1と圧電素子4には、電気的に同じ配線が接続される。同様に、圧電素子2と圧電素子3にも、電気的に同じ配線が接続される。圧電素子5には、上記配線とは異なる配線が接続される。なお、圧電素子1~5の下層側には、共通の共通配線が設けられている。共通配線は、好適例において、グランド電位に接続している。
図4は、振動体の駆動時における動作態様を示す図であり、図3に対応している。
まず、圧電素子1,4に供給される交流の駆動信号を第1駆動信号とする。圧電素子2,3には、第1駆動信号と180度位相を異ならせた第2駆動信号が供給される。そして、圧電素子5には、第1駆動信号、第2駆動信号のいずれとも位相を異ならせた第3駆動信号が供給される。例えば、第3駆動信号として、第1駆動信号から90度位相を異ならせた信号が供給される。
圧電素子1~5に対して、それぞれ上記駆動信号を供給することにより、図4に示すように、振動体20が長辺方向に伸縮振動しつつ、短辺方向に屈曲振動する。換言すれば、圧電素子1~5は、基板の面において面内振動する。そして、これらの振動が合成されると、例えば、突起部95の先端が矢印で示すように反時計回りに楕円軌道を描く楕円運動をする。このような突起部95の楕円運動によってローター160が送り出され、ローター160が回転方向R1で示す方向に、時計回りに回転する。
このような基本的な構成の圧電モーター90を駆動した場合、振動体20の振動に伴い、振動体20を保持する保持部10も振動してしまうという課題がある。詳しくは、図3において、振動体20がX軸、およびY軸を含む面内において振動駆動する際に、支持腕21a,21bを介して、保持部10も同じ面内において振動してしまう。当該振動は、駆動力に寄与しない不要振動であり、駆動出力が損なわれていた。また、不要振動により、異音が生じたり、突起部95の摩耗が早まるなど付随する問題も生じていた。
***圧電モーターの構成***
図5は、実施形態1の圧電モーターの平面図であり、図1に対応している。図6は、圧電アクチュエーターの平面図であり、図3に対応している。
図5は、本実施形態の圧電モーター100の平面図であり、前述の不要振動を低減するための構成を備えている。詳しくは、圧電アクチュエーター28の後端に、弾性部31と、錘部32とを備えている。これにより、付勢部45は、平面視において、突起部95と錘部32の間に位置するようになる。これらの点以外は、前述の圧電モーター90と同じである。
図6に示すように、弾性部31、錘部32の幅は、保持部10の幅と略同じであり、保持部10のXプラス側の端面に接合されている。また、弾性部31、錘部32の厚さは、保持部10の厚さと略同じである。好適例では、弾性部31は保持部10に接着剤で接合され、錘部32は弾性部31に接着剤で接合されている。なお、これに限定するものではなく、保持部10の端部に弾性部31と、錘部32とを接合可能な方法であれば良い。換言すれば、錘部32は、保持部10における突起部95とは反対側に設けられており、弾性部31は、保持部10と錘部32との間に配置される。
弾性部31の材質は、好適例では、低反発のウレタンゴムを用いる。なお、これに限定するものではなく、弾性部材であれば良く、例えば、エラストマーや、ゴム、これらの発泡部材を用いても良い。
錘部32の材質は、好適例では、真鍮を用いる。なお、これに限定するものではなく、比重の大きな材料であれば良く、例えば、金、タングステン、鉛、銅、鉄などの金属や、これらの合金などを用いても良い。
弾性部31、錘部32の材質は、これらが動吸振器として機能可能な物性を備えた材質であれば良く、例えば、錘部32のヤング率は、弾性部31のヤング率よりも大きいことが好ましい。
***不要振動の低減検証結果***
図7は、弾性部および錘部の有無による摩擦係数の変化を示すグラフ図である。横軸はおもりの質量(g)を示し、縦軸は摩擦係数を取っている。
まず、図1を用いて弾性部31、および錘部32の有無による振動態様の検証方法について説明する。
検証方法は、圧電モーター90,100を検査用のローター160に、加圧荷重Pで当接した状態でローター160を回転摺動させて、この時のローター160と突起部95との間の摩擦力を検出する。そして、検出した摩擦力から演算により摩擦係数を導出する。この際、圧電モーター90,100には駆動信号は印加せず、ローター160の回転に伴い受容振動する状態としておく。
図7に示すグラフ79は、弾性部31、錘部32を備えた圧電モーター100における摩擦係数の変化を示している。図7のおもりの質量は、弾性部31の質量と、錘部32の質量とを合計した質量である。加圧荷重Pは、4.8Nとした。また、比較基準となる、おもりの無い状態の圧電モーター90の質量は、0.274gである。なお、試験に用いた圧電モーター100は、外形が約1mm四方の小型の圧電モーターを用いた。
グラフ78は比較グラフであり、弾性部31、錘部32が無い、基本構成の圧電モーター90の摩擦係数を示している。グラフ78は、摩擦係数0.16で一定である。
これに対して、グラフ79では、おもりの質量が0.016gで摩擦係数0.26、おもりの質量が0.032gで摩擦係数0.36となり、質量に比例して摩擦係数が大きくなっている。そして、おもりの質量が0.08gで摩擦係数0.41に達し、以降は、質量が増えても摩擦係数は横這いとなっている。つまり、おもりの質量0.032g/圧電モーター90の質量0.274g=11.7%となり、圧電モーターの質量に対する重りの割合が、約12%以上になると摩擦係数が約0.4で略一定になることが解る。摩擦係数0.4は、おもりがないときの摩擦係数0.16の2.5倍である。
摩擦力は、数式(1)で求められる。
摩擦力=摩擦係数×加圧荷重P …式(1)
数式(1)から、おもりの質量0gのときの摩擦力は、0.16×4.8N=0.768Nとなる。これに対して、おもりの質量0.032gのときの摩擦力は、0.36×4.8N=1.728Nとなる。
つまり、圧電モーターの質量に対する重りの割合が約12%以上になると、約1.7N以上の摩擦力が生じていることが解る。
ここで、摩擦力と不要振動の関係について説明する。
まず、おもり質量0gの圧電モーター90では、前述した通り、不要振動が生じるため、楕円運動を行う突起部95が、当該不要振動によりローター160から離れる頻度が多くなる。つまり、不要振動により突起部95が空転してしまうことに起因して、駆動力が損なわれていることを示していると考えられる。
これに対して、弾性部31、錘部32を備えた圧電モーター100では、重りの割合が約12%以上になると、摩擦力が増えていることから、突起部95が確実にローター160に当接して、駆動力に変換されていると考えられる。つまり、不要振動が低減されたことにより、空転が減り、本来の駆動力を発揮することができる状態となっていると考えられる。
以上、述べた通り、本実施形態の圧電モーター100によれば、以下の効果を得ることができる。
圧電駆動装置は、振動体20の一端に設けられた突起部95により、被駆動体を駆動する圧電モーター100であって、圧電モーター100を固定する固定部50と、振動体20を保持する保持部10と、固定部50に連結し、振動体20を含む保持部10を突起部95の方向に付勢する付勢部45と、保持部10における突起部95とは反対側に設けられる錘部32と、保持部10と錘部32との間に配置される弾性部31と、を備える。
これによれば、圧電アクチュエーター28の保持部10の後端に設けられた弾性部31、および錘部32が動吸振器として機能することにより、不要振動を低減することができる。さらに、不要振動に伴う異音や、突起部の摩耗も抑制される。
従って、不要振動を低減し、エネルギー変換効率に優れた圧電駆動装置としての圧電モーター100を提供することができる。
また、錘部32のヤング率は、弾性部31のヤング率よりも大きいことが好ましい。
これによれば、弾性部31、錘部32について動吸振器として機能可能な材質を選定できる。
また、錘部32は、金属を含むことが好ましい。
これによれば、比重の大きい材料で錘部32を形成できるため、動吸振器の質量体としての機能を担うことができる。
また、弾性部31は、エラストマーであることが好ましい。
これによれば、弾性体のエラストマーで弾性部31を形成できるため、動吸振器のバネとしての機能を担うことができる。
また、振動体20は、シリコン基板を備え、圧電素子1~5は、基板の面において面内振動することが好ましい。
これによれば、不要振動が少なく、高効率な面内振動型の圧電モーター100を提供することができる。
また、平面視において、付勢部45は、突起部95と錘部32の間に設けられる。
これによれば、板バネ41,42を含む付勢部45が、振動体20と重なる構成となるため、小型の圧電モーター100を提供することができる。
実施形態2
***面外振動モードの圧電モーターへの適用***
図8Aは、比較例における圧電モーターの断面図である。図8Bは、振動部における振動態様を示す模式図である。
上記実施形態では、弾性部31、錘部32を面内モードの圧電モーター100に適用した事例を説明したが、同様の構成を面外振動モードの圧電モーターに適用しても良い。
図8Aに示す、面外振動モードの基本的な圧電モーター190は、振動体70に設けられた2つの突起部62a,62bによる楕円振動により被駆動体260を、例えば、Xプラス方向に駆動する。
圧電モーター190は、振動体70、保持部71、固定部75などから構成される。
振動体70は、基板60、圧電素子61、突起部62a,62bなどから構成されている。基板60は振動板であり、一方の面には圧電素子61が積層されており、他方の面には突起部62a,62bが設けられている。
保持部71は、振動体70を保持する部材である。保持部71は、一対のローラー72を介して、固定部75に支持されている。
固定部75は、保持部71を支持するとともに、被駆動体260に対して圧電モーター190を付勢した状態で、Zマイナス側の不図示の基台に固定されている。換言すれば、固定部75は、一対のローラー72を介して、振動体70と保持部71とを付勢方向であるZ方向に変位可能に保持する台座部である。
図8Bに示すように、振動体70は、駆動時において、上図の屈曲状態と、下図の屈曲状態を繰り返す屈曲振動を行う。詳しくは、振動体70の長手方向(X軸方向)において、振動体70は、突起部62aを通る振動節162aと、突起部62bを通る振動節162bとの2つの振動節162a,162bを支点とした屈曲振動を行う。矢印Qで示す、この往復運動を送り振動ともいう。また、図示は省略するが、振動体70短手方向(Y軸方向)においては、突起部62a,62bをZ軸方向の上下に動かす振動が行われている。この往復運動を突き上げ振動ともいう。
図8Aに示すように、圧電モーター190によれば、振動体70が送り振動と突き上げ振動とを組み合わせた屈曲振動を行うことにより、突起部62a,62bに楕円振動が発生する。この楕円振動により、被駆動体26に対して突起部62a,62bが交互に摩擦力を伝えることで、被駆動体260が駆動される。
この際、面外振動モードの圧電モーター190においても、振動体70の振動に伴い、振動体70を保持する保持部71も振動してしまうという課題がある。詳しくは、図8Aにおいて、振動体70がZプラス/マイナス方向に振動駆動する際に、保持部71も振動してしまう。当該振動は、駆動力に寄与しない不要振動であり、駆動出力が損なわれていた。また、不要振動により、異音が生じたり、突起部62a,62bの摩耗が早まるなど付随する問題も生じていた。
***圧電モーターの構成***
図9は、実施形態2の圧電モーターの断面図であり、図8Aに対応している。
図9に示す、本実施形態の圧電モーター200は、不要振動を低減するための構成を備えている。詳しくは、保持部71の上部に、弾性部81と、錘部82とを備えている。これらの点以外は、前述の圧電モーター190と同じである。
図9に示すように、弾性部81、錘部82は、保持部71の上に重ねられており、好適例では、接着剤で固定されている。換言すれば、錘部82は、振動体70を含む保持部71における突起部62a,62bとは反対側に設けられており、弾性部81は、保持部71と錘部82との間に配置される。
また、弾性部81は、実施形態1の弾性部31と同様の材質で構成される。錘部82も、実施形態1の錘部32と同様の材質で構成される。
このように、弾性部81、錘部82を保持部71のZマイナス方向に積層するのは、保持部71のZプラス/マイナス方向への不要振動を抑制するためである。
以上、述べた通り、本実施形態の圧電モーター200によれば、上記実施形態での効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
圧電モーター200は、保持部71の上に、動吸振器として機能する弾性部81、錘部82を備えている。よって、振動体70の駆動に伴い発生する保持部71における不要振動を低減することができる。さらに、不要振動に伴う異音や、突起部の摩耗も抑制される。
従って、不要振動を低減し、エネルギー変換効率に優れた圧電駆動装置としての面外振動モードの圧電モーター200を提供することができる。
実施形態3
***リニアアクチュエーター、多連駆動***
図10、図11は、圧電駆動装置の異なる態様を示す図である。
実施形態1では、圧電モーター100を用いて円板状のローター160(図1)を回転駆動する態様について説明したが、この構成に限定するものではなく、例えば、リニアアクチュエーターに適用しても良い。
図10に示すように、本実施形態の圧電駆動装置110は、棒状のロッド170の側面に並んで配置されている3つの圧電モーター100から構成される。詳しくは、圧電駆動装置110は、ロッド170の同じ側面に一定間隔で配置された3つの圧電モーター100から構成される。圧電駆動装置110によれば、3つの圧電モーター100による摩擦力が合計された大きな駆動力で、ロッド170をその延在方向に移動することができる。なお、多連の数は、3つに限定するものではなく、必要なトルクに応じて、圧電モーターの数を調整すれば良い。また、圧電モーター100をロッド170の同じ側面に揃えることや、一定間隔とすることに、限定しなくても良い。
図11に示すように、本実施形態の圧電駆動装置120は、ローター160の周囲に一定間隔で配置された10個の圧電モーター100から構成される。
圧電駆動装置120によれば、10個の圧電モーター100による摩擦力が合計された大きな駆動力で、ローター160を回転することができる。なお、多連の数は、10個に限定するものではなく、必要なトルクに応じて、圧電モーターの数を調整すれば良い。これらの構成であっても、上記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、圧電モーター100を一定間隔に配置することに、限定しなくても良い。
実施形態4
***ロボット***
図12は、アームを備えたロボットの概要図である。
本実施形態のロボット300は、複数のアームを備えた水平多関節ロボット(スカラロボット)である。
ロボット300は、基台140、第1アーム141、第2アーム142、作業ヘッド150などから構成される。
基台140は、ロボット300の台座であり、例えば、床面にボルト等によって固定される。なお、基台140の設置箇所は、床に限定されず、例えば、壁、天井、移動可能な台車上などであっても良い。
第1アーム141は、関節部を介して、基台140に対して回動可能に接続される。
第2アーム142は、関節部を介して、第1アーム141に対して回動可能に接続される。作業ヘッド150は、第2アーム142の先端側に設けられる。
基台140の内部には、第1アーム141を基台140に対して軸J1まわりに回動させる駆動部191が設置されている。駆動部191は、第1アーム141を駆動する駆動源として駆動モーターを備えている。また、不図示の関節部には、歯車や、回転軸などの関節機構が組込まれている。
第2アーム142の内部には、第2アーム142を第1アーム141に対して軸J2まわりに回動させる駆動部192が設置されている。駆動部192、および付随する関節部の構成は、駆動部191の構成と同様である。なお、駆動部191,192,194,195の駆動制御は、一つ、または複数のプロセッサーを含むロボット制御部(図示省略)によって制御される。
作業ヘッド150は、第2アーム142の先端部に設けられており、スプラインナット151、ボールネジナット152、スプラインシャフト153などから構成される。
スプラインナット151、ボールネジナット152は、棒状のスプラインシャフト153を軸として挿通されている。
スプラインシャフト153は、その軸まわりに回転可能であり、かつ、上下方向に昇降可能となっている。詳しくは、第2アーム142の内部に設けられた駆動部194と、駆動部195とにより、回転、および昇降駆動が行われる。駆動部194により、スプラインナット151が回転駆動されると、当該回転に伴いスプラインシャフト153が軸J3まわりに回転する。駆動部195により、ボールネジナット152が回転駆動されると、当該回転に伴いスプラインシャフト153が上下に移動する。
そして、このようなスプラインシャフト153の先端部(下端部)にエンドエフェクターとしてのハンド180が取り付けられている。
ここで、第1アーム141の駆動部191には、駆動源として上記実施形態の圧電モーター100を多連使いした圧電駆動装置120が用いられている。同様に、駆動部192,194,195にも、駆動モーターとして圧電駆動装置120が用いられている。なお、圧電モーター200を多連使いした圧電駆動装置を用いても良い。換言すれば、ロボット300は、複数のアーム部としての第1アーム141、第2アーム142と、複数のアーム部を駆動する駆動部191,192とを備え、圧電駆動装置120は、駆動部191,192に設けられる。
これによれば、不要振動を低減し、エネルギー変換効率に優れた圧電駆動装置120を駆動源として用いているため、低消費電力で、高効率な作業が可能なロボット300を提供することができる。
また、ハンド180が作業用の指などを備えている場合、当該指の駆動源として上記実施形態の圧電モーター100,200、または、圧電駆動装置110,120を用いても良い。
また、ここでは水平多関節ロボットを用いて説明したが、これに限定するものではなく、アームを有するロボットであれば良く、例えば、6軸の垂直多関節ロボットなどの垂直多関節ロボットであっても良い。これらの構成であっても、上記各実施形態における作用効果と同様の効果を得ることができる。
1~5…圧電素子、10…保持部、20…振動体、21a,21b…支持腕、28…圧電アクチュエーター、31…弾性部、32…錘部、41,42…板バネ、44a,44b…平行バネ、45…付勢部、48…基材、50…固定部、60…基板、61…圧電素子、62a,62b…突起部、70…振動体、71…保持部、72…ローラー、75…固定部、81…弾性部、82…錘部、90…比較例の圧電モーター、95…突起部、100,200…圧電モーター、110,120…圧電駆動装置、140…基台、141…第1アーム、142…第2アーム、150…作業ヘッド、151…スプラインナット、152…ボールネジナット、153…スプラインシャフト、160…ローター、170…ロッド、180…ハンド、190…比較例の圧電モーター、191,192,194,195…駆動部、200…圧電モーター、260…被駆動体、300…ロボット。

Claims (7)

  1. 圧電素子を含む振動体の一端に設けられた突起部により、被駆動体を駆動する圧電駆動装置であって、
    前記圧電駆動装置を固定する固定部と、
    前記振動体を保持する保持部と、
    前記固定部に連結し、前記振動体を含む前記保持部を前記突起部の方向に付勢する付勢部と、
    前記保持部における前記突起部とは反対側に設けられる錘部と、
    前記保持部と前記錘部との間に配置される弾性部と、を備える、
    圧電駆動装置。
  2. 前記錘部のヤング率は、前記弾性部のヤング率よりも大きい、
    請求項1に記載の圧電駆動装置。
  3. 前記錘部は、金属を含む、
    請求項1または2に記載の圧電駆動装置。
  4. 前記弾性部は、エラストマーである、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の圧電駆動装置。
  5. 前記振動体は、基板を備え、
    前記圧電素子は、前記基板の面において面内振動する、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の圧電駆動装置。
  6. 前記基板の面の垂線方向からの平面視において、
    前記付勢部は、前記突起部と前記錘部の間に設けられる、
    請求項5に記載の圧電駆動装置。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の圧電駆動装置と、
    アーム部と、
    前記アーム部を駆動する駆動部と、を備え、
    前記圧電駆動装置は、前記駆動部に設けられる、
    ロボット。
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