JP2023084479A - 複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の評価及び/又は選択方法 - Google Patents

複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の評価及び/又は選択方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを選択的に抑制することができる物質の探索。【解決手段】試験物質添加後のOR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することを含む、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の評価及び/又は選択方法。【選択図】なし

Description

本発明は複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを抑制する香料素材を探索する方法に関する。
我々の生活環境には、極性や分子量が異なる多数の悪臭分子が存在し、複素環式芳香族化合物もその1種である。複素環式芳香族化合物には、インドール、スカトール等の糞便臭や口臭の原因物質として知られる化合物が含まれる(例えば、特許文献1、2)。複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを抑制できる技術はこれら悪臭課題の解決につながる。
複素環式芳香族化合物を原因とするにおいに対する対策として、原因のにおい物質を吸着・分解してその存在量を減少させる消臭技術が提案されているが、におい物質減少までに時間を要するために即効性に欠ける。また、複素環式芳香族化合物よりも強いにおいの香料によりマスキングする技術が提案されているが、このような技術は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを消臭するものではなく、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを根本的になくすことはできない。また、芳香剤のにおいによる不快感が生じることもある。
ヒト等の哺乳動物においては、匂いは、鼻腔上部の嗅上皮に存在する嗅神経細胞上の嗅覚受容体に匂い分子が結合し、それに対する受容体の応答が中枢神経系へと伝達されることにより認識されている。ヒトの場合、嗅覚受容体は約400種存在することが報告されており、これらをコードする遺伝子はヒトの全遺伝子の約2%にあたる。一般的に、嗅覚受容体と匂い分子は複数対複数の組み合わせで対応付けられている。すなわち、個々の嗅覚受容体は構造の類似した複数の匂い分子を異なる親和性で受容し、一方で、個々の匂い分子は複数種の嗅覚受容体によって受容される。さらに、ある嗅覚受容体を活性化する匂い分子が、別の嗅覚受容体の活性化を阻害するアンタゴニストとして働くことも報告されている。これら複数種の嗅覚受容体の応答の組み合わせが、個々の匂いの認識をもたらしている。
従来、香料物質の開発においては、候補物質の匂いの評価は専門家による官能試験によって行われてきた。しかし、官能試験には、匂いを評価できる専門家の育成が必要なことや、スループット性が低いなどの問題があった。そこで近年では、候補物質に対する嗅覚受容体の応答を指標にした香料物質の探索方法が開発されている(特許文献3)。嗅覚受容体の応答は匂い物質に選択的であるため、最初に標的とする匂いに選択性を有する嗅覚受容体を見つけ出すことが肝要である。そうした嗅覚受容体を特定すれば、例えば悪臭の消臭を目的とする場合、アンタゴニストによる嗅覚受容体抑制又はアゴニストによる交差順応に基づくアプローチが可能となる。すなわち、悪臭である複素環式芳香族化合物を原因とするにおいをより効果的に抑制することが可能となる。実際これまでに、複素環式芳香族化合物に応答する嗅覚受容体が複数特定されている。例えば、インドール又はスカトールに応答する嗅覚受容体としてOR5P3、OR2W1、OR5K1及びOR8H1(特許文献1)が、インドールに応答する嗅覚受容体としてOR4S2及びOR1A1(特許文献2)が、インドール又はスカトールに応答する嗅覚受容体としてOR52N2、OR11G2、OR5AC2、OR4C15、OR8S1、OR11H6及びOR11H4(特許文献4)が特定されている。しかし、既存の受容体解析方法では、全ヒト受容体の12%程度しか機能解析に成功していない(非特許文献1)。このように、嗅覚システムは未だに解明されておらず、よって、分子生物学的アプローチにより特定の匂いに感受性がある嗅覚受容体を全て見出すことも容易でないという問題があった。
殆どの嗅覚受容体が解析に成功していない原因は、目的の嗅覚受容体ポリペプチドを培養細胞に作らせても、細胞の表面に移行(膜発現)せず、小胞体内に留まってしまうことにある。そのため、細胞外から投与するにおい物質に対する結合性を評価することができない。嗅覚受容体が膜発現しない原因については永らく未知であったが、近年、培養細胞で膜発現するマウス嗅覚受容体と膜発現しないマウス嗅覚受容体が比較解析された(非特許文献2)。その結果、膜発現しない嗅覚受容体は立体構造の安定性が低い可能性が見出された。そして重要なことに、膜発現可能な嗅覚受容体と不可能な嗅覚受容体との間にはタンパク質の一次アミノ酸配列において統計学上有意にGrantham distanceが異なるアミノ酸箇所が存在し、そのアミノ酸箇所とは、約一千種の全マウス嗅覚受容体において共通性の高いアミノ酸であることが示された。すなわち、膜発現しない嗅覚受容体とは、本来共通するアミノ酸が使われるべきポリペプチドの位置に、異なるアミノ酸への変異が起きたために、立体構造の安定性を欠き、培養細胞内で、細胞膜に移行させない判断が下されている可能性が示唆された。このことを踏まえると、嗅覚受容体間で共通性の高いアミノ酸を導入する「コンセンサス化法」によって、目的の嗅覚受容体を安定的なタンパク質として獲得することや、効率よく細胞膜上に発現させることが可能になると考えられる。
こうした考えのもと、非特許文献1では特定の嗅覚受容体を解析可能とするためにコンセンサス化法が用いられた。具体的には、ヒト嗅覚受容体OR6Y1、OR6B2、OR56A4の3種類について、それぞれ10種類の哺乳類(ゴリラ、ボノボ、チンパンジー、スマトラオランウータン、アカゲザル、ドリル、コモンマーモセット、ハイイロネズミキツネザル、ラット、マウス)の相同遺伝子間での共通性の高いアミノ酸を、それぞれのヒト嗅覚受容体に導入したコンセンサス嗅覚受容体OR6Y1、OR6B2、OR56A4を作製した。その結果、3種の嗅覚受容体のうちOR6Y1は培養細胞を用いて匂い物質に対する応答測定を行うことが可能になったことが開示されている。したがって、コンセンサス化により応答解析が可能になる受容体は存在するものの、その割合は1/3程度であることが示唆されている。
コンセンサス化法は産業上有用な酵素を安定的なものにデザインするために古くから実施されてきた。しかし、本法に関する総説である非特許文献3によれば、ある一箇所のアミノ酸配列にコンセンサス化を導入して改善効果が得られる確率は50%程度であり、残る40%は逆にタンパク質を改悪してしまうリスクがあることが、コンセンサス化法の利用を難しくしていると指摘する。また、嗅覚受容体の本来の機能を推定することを目的とした研究においては、コンセンサス化方法の適用は適切ではないとする考え方がある。すなわち、アミノ酸置換を導入するアプローチには、オリジナル嗅覚受容体のリガンド結合部位を変化させ、その結果、本来のにおい応答性を観察させなくなる懸念がある。以上より、コンセンサス化には成功率の低さと、目的の嗅覚受容体本来の機能を変容させてしまうリスクの二つが予測されることから、幅広い嗅覚受容体に対する有効性が検証された例はない。
特許第5593271号公報 特開2021-69330号公報 特開2018-74944号公報 特表2016-523546号公報
Trimmer C et al. PNAS 116:9475-9480 (2019) Ikegami K et al. PNAS 117:2957-2967 (2020) Porebski TB et al. Protein Engineering, Design & Selection 29:245-251 (2016)
本発明は、嗅覚受容体の応答を指標として複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤を効率よく評価及び/又は選択する方法を提供する。
本発明者は、前記非特許文献1よりも多くの生物種の嗅覚受容体のアミノ酸配列に基づいて目的の嗅覚受容体のコンセンサス化を行うなど、これまで検討されていなかった様々なパターンでのコンセンサス化法を検討し、その結果として、嗅覚受容体について細胞膜発現量と応答測定効率を向上できる方法を見出し、先に特許出願した(特願2021-103675)。
本発明者は、斯かるコンセンサス化法を用いることで、複素環式芳香族化合物に選択的に応答する嗅覚受容体を新たに同定することに成功した。また本発明者は、該嗅覚受容体又はそれと同様の機能を有するポリペプチドの応答を指標とすることにより、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを抑制する物質を効率よく探索することが可能であることを見出した。
したがって、本発明は、試験物質添加後のOR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することを含む、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の評価及び/又は選択方法を提供する。
本発明によれば、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを選択的に抑制することができる物質を効率よく評価又は選択することができる。
ヒト嗅覚受容体及び該嗅覚受容体についてデザインしたコンセンサス嗅覚受容体の細胞膜発現量とにおい応答性。左から2つのヒストグラムと1つのバーグラフは、Flow cytometry法により求められたHEK293細胞膜上の受容体タンパク質量を表す。Flow cytometry法では、嗅覚受容体のN末端に付加したFLAGタグを認識する抗FLAGマウスIgG抗体を一次抗体として、phycoerythrin(PE)-conjugated anti-mouse IgG抗体を二次抗体として用い、PEシグナルを測定した。対照として受容体を発現させない細胞(Mock)と効率よく膜発現する受容体であるM2アセチルコリン受容体(M2AcR)を発現させた細胞を解析した。MockのPEシグナルを0%、M2AcRのPEシグナルを100%として基準化を行い、各嗅覚受容体のPEシグナルを算出した。右には受容体のリガンド応答性をルシフェラーゼアッセイにより測定した結果を表す。エラーバーはSEMを表す(n=3)。 ヒト嗅覚受容体及び該嗅覚受容体についてデザインしたコンセンサス嗅覚受容体の2種類のリガンドに対するリガンド選択性。ルシフェラーゼアッセイの結果を示す。エラーバーはSEMを表す(n=3)。 ヒト嗅覚受容体及び該嗅覚受容体についてデザインしたコンセンサス嗅覚受容体のリガンド選択性。ルシフェラーゼアッセイの結果を示す。エラーバーはSEMを表す(n=3)。下段に示す番号は、それぞれ図4に示すにおい物質の番号に対応する。 図3で用いたにおい物質。 嗅覚受容体のルシフェラーゼアッセイ。3種類のヒト嗅覚受容体及び該嗅覚受容体についてデザインしたコンセンサス嗅覚受容体について、におい物質を濃度を変えて投与し、応答を測定した。エラーバーはSEMを表す(n=3)。 嗅覚受容体のルシフェラーゼアッセイ。4種類のコンセンサス嗅覚受容体それぞれについて、におい応答性に個人差が報告されるアミノ酸置換を導入したものをHEK293細胞に発現させ、におい物質を濃度を変えて投与し応答を測定した。エラーバーはSEMを表す(n=3)。 嗅覚受容体のルシフェラーゼアッセイ。各コンセンサス嗅覚受容体についてスカトールもしくはインドールを濃度を変えて投与した際の応答強度をバーグラフで示す。図中にはデータをシグモイドにカーブフィットした際に得られたEC50を示す。エラーバーはSEMを表す(1回の実験における3つの複製から)。
本明細書中で引用された全ての特許文献、非特許文献、及びその他の刊行物は、その全体が本明細書中において参考として援用される。
本明細書において「アゴニスト」とは、受容体に結合し、活性化させる物質をいう。一方、本明細書において「アンタゴニスト」とは、受容体に結合するが、受容体を活性化しないか、又はアゴニストに対する受容体の応答を抑制する物質をいう。
本明細書において、「嗅覚受容体アゴニズム」とは、受容体に結合して、その受容体を活性化することをいう。
本明細書において、標的においに関する「においの交差順応(又は嗅覚の交差順応)」とは、該標的においの原因物質とは別の物質のにおいを予め受容し、そのにおいに慣れることによって、該標的においの原因物質に対する嗅覚感受性が低下又は変化する現象を指す。本発明者らは、以前、「においの交差順応」が、嗅覚受容体アゴニズムに基づく現象であることを明らかにした(国際公開公報第2016/194788号)。すなわち、「においの交差順応」においては、標的においの原因物質に対する嗅覚受容体が、該標的においの原因物質への応答に先だって異なるにおいの原因物質に応答し、次いで脱感作することにより、後から該標的においの原因物質に曝されても低い応答しかできず、その結果、個体に認識される標的においの強度の低下又は変質が生じる。こうした嗅覚受容体の挙動により引き起こされるにおいの交差順応の仕組みを、本明細書において「嗅覚受容体アゴニズムによるにおいの交差順応」とも呼ぶ。
本明細書において、標的においの「嗅覚受容体アンタゴニズムによる抑制」とは、標的においを有する物質に対する嗅覚受容体の応答を、アンタゴニストにより抑制し、結果的に個体に認識される標的においを抑制することをいう。
本明細書において、「嗅覚受容体ポリペプチド」とは、嗅覚受容体又はそれと同等の機能を有するポリペプチドをいい、「嗅覚受容体と同等の機能を有するポリペプチド」とは、嗅覚受容体と同様に、細胞膜上に発現することができ、におい分子の結合によって活性化し、かつ活性化されると、細胞内のGαsと共役してアデニル酸シクラーゼを活性化することで細胞内cAMP量を増加させる機能を有するポリペプチドをいう(Nat.Neurosci.,2004,5:263-278)。
本明細書において、ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の同一性は、リップマン-パーソン法(Lipman-Pearson法;Science,1985,227:1435-41)によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(Ver.5.1.1;ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出される。
本明細書において、ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列に関する「少なくとも80%の同一性」とは、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらにより好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の同一性をいう。また、ヌクレオチド配列及びアミノ酸配列に関する「少なくとも90%の同一性」とは、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上の同一性をいう。
本明細書において、「アミノ酸残基」とは、タンパク質を構成する20種のアミノ酸残基、アラニン(Ala又はA)、アルギニン(Arg又はR)、アスパラギン(Asn又はN)、アスパラギン酸(Asp又はD)、システイン(Cys又はC)、グルタミン(Gln又はQ)、グルタミン酸(Glu又はE)、グリシン(Gly又はG)、ヒスチジン(His又はH)、イソロイシン(Ile又はI)、ロイシン(Leu又はL)、リシン(Lys又はK)、メチオニン(Met又はM)、フェニルアラニン(Phe又はF)、プロリン(Pro又はP)、セリン(Ser又はS)、スレオニン(Thr又はT)、トリプトファン(Trp又はW)、チロシン(Tyr又はY)及びバリン(Val又はV)を意味する。
本明細書において、アミノ酸の改変は、公認されているIUPACの1文字のアミノ酸略記により、[元のアミノ酸、位置、改変されたアミノ酸]で表記されることがある。
本明細書において、アミノ酸配列上の「相当する位置」は、目的配列と基準配列(本発明においては配列番号1、4、7、10、13、16、19、22、25、28、31又は34で示されるアミノ酸配列)とを、最大の相同性を与えるように整列(アラインメント)させることにより決定することができる。アミノ酸配列のアラインメントは、公知のアルゴリズムを用いて実行することができ、その手順は当業者に公知である。例えば、アラインメントは、Clustal Wマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D.et al,1994,Nucleic Acids Res.22:4673-4680)をデフォルト設定で用いることにより、行うことができる。あるいは、Clustal Wの改訂版であるClustal W2やClustal omegaを使用することもできる。Clustal W、Clustal W2及びClustal omegaは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI[www.ebi.ac.uk/index.html])や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ[www.ddbj.nig.ac.jp/searches-j.html])のウェブサイト上で利用することができる。上述のアラインメントにより基準配列の任意の位置にアラインされた目的配列の位置は、当該任意の位置に「相当する位置」とみなされる。
本明細書において、「複素環式芳香族化合物」とは、環構造に少なくとも1種類のヘテロ原子を含む芳香族化合物をいう。好ましくは、複素環式芳香族化合物は、環構造に窒素原子を含む含窒素芳香族化合物である。より好ましい複素環式芳香族化合物の例としては、インドール又はスカトールが挙げられる。
本発明により抑制される「複素環式芳香族化合物を原因とするにおい」とは、上述した複素環式芳香族化合物により生じるにおいであり、好ましくは、含窒素芳香族化合物により生じるにおいであり、より好ましくは、インドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種により生じるにおいである。インドール及びスカトールは、ともに糞便臭、口臭等の原因物質として知られている。したがって、代表的には、本発明により抑制される「複素環式芳香族化合物を原因とするにおい」とは、糞便臭、口臭であり得る。
本発明者は、これまでに、目的の嗅覚受容体のアミノ酸配列を、該目的の嗅覚受容体のアミノ酸配列と該目的の嗅覚受容体の特定のオルソログ又は特定のオルソログ及びパラログにコードされる嗅覚受容体のアミノ酸配列のアラインメントから導き出されるコンセンサスアミノ酸配列に基づいて改変することにより、嗅覚受容体の培養細胞での膜発現を向上できること、嗅覚受容体のにおい応答性を向上できること、また、改変された嗅覚受容体が改変前の嗅覚受容体のリガンド選択性をよく維持できること、改変された嗅覚受容体によりもたらされる解析結果はヒトの嗅覚をよく反映するものであることを見出し、先に特許出願した(特願2021-103675)。本明細書において、改変前の嗅覚受容体を「オリジナルの嗅覚受容体」と称し、嗅覚受容体のアミノ酸配列をコンセンサスアミノ酸配列に基づいて改変することを「コンセンサス化する」と称し、コンセンサス化された嗅覚受容体を「コンセンサス嗅覚受容体」と称することがある。
ここで、「コンセンサスアミノ酸配列」とは、目的の嗅覚受容体のアミノ酸配列及び該目的の嗅覚受容体の特定のオルソログ又は特定のオルソログ及びパラログにコードされる嗅覚受容体(例えば、哺乳類における該目的の嗅覚受容体のオルソログにコードされる嗅覚受容体からなる群より選択される少なくとも11種の嗅覚受容体)のアミノ酸配列のアラインメントから以下の(i)~(iii)の基準に従い同定したコンセンサス残基からなるアミノ酸配列である。
(i)該アラインメントの各アミノ酸位置において、
(i-i)該目的の嗅覚受容体のアミノ酸残基と異なり且つ出現頻度50%以上のアミノ酸残基が1種存在する場合、該アミノ酸残基をコンセンサス残基と同定する、
(i-ii)出現頻度50%のアミノ酸残基が2種存在する場合、該目的の嗅覚受容体のアミノ酸残基をコンセンサス残基と同定する、
(i-iii)該目的の嗅覚受容体にアミノ酸残基が存在し且つ出現頻度40%以上でアミノ酸残基が存在しない場合、コンセンサス残基なしと同定する、
(i-iv)該目的の嗅覚受容体にアミノ酸残基が存在せず且つ出現頻度60%以上でアミノ酸残基が存在する場合、最も出現頻度が高いアミノ酸残基をコンセンサス残基と同定し、最も出現頻度が高いアミノ酸残基が2種以上存在する場合は、該アミノ酸残基のうち最も分子量が小さいアミノ酸残基をコンセンサス残基と同定する、
(i-v)上記(i-i)~(i-iv)のいずれにも該当しない場合、該目的の嗅覚受容体のアミノ酸残基をコンセンサス残基と同定する、
(ii)上記(i)の基準に従いコンセンサス残基を同定したときに、最もN末端側のコンセンサス残基が該目的の嗅覚受容体のN末端又はそれよりもC末端側に相当する位置のコンセンサス残基であり且つメチオニン残基でない場合、最もN末端に近い位置のメチオニン残基からなるコンセンサス残基よりN末端側のコンセンサス残基をコンセンサス残基なしに変更する、
(iii)上記(i)の基準に従いコンセンサス残基を同定したときに、最もN末端側のコンセンサス残基が該目的の嗅覚受容体のN末端よりもN末端側に相当する位置のコンセンサス残基であり且つメチオニン残基でない場合、該アラインメントの該コンセンサス残基の位置よりN末端側にアミノ酸位置を1つずつ遡り、メチオニン残基が出現するまで、最も出現頻度が高いアミノ酸残基をコンセンサス残基と同定し、最も出現頻度が高いアミノ酸残基が2種以上存在する場合は、該アミノ酸残基のうち最も分子量が小さいアミノ酸残基をコンセンサス残基と同定する。
またここで、「嗅覚受容体のアミノ酸配列をコンセンサスアミノ酸配列に基づいて改変する」、すなわち「コンセンサス化する」とは、目的の嗅覚受容体のアミノ酸配列においてコンセンサスアミノ酸配列と異なるアミノ酸残基の少なくとも1個をこれに相当する位置の該コンセンサスアミノ酸配列のアミノ酸残基に改変することをいう。
上記の嗅覚受容体のコンセンサス化は、嗅覚受容体にアミノ酸変異を導入することから、一見、オリジナルの嗅覚受容体が有する本来の機能と人の嗅覚感覚を正しく反映しない測定結果を与える可能性を懸念させる。しかしながら、後述するように、コンセンサス嗅覚受容体は、オリジナルの嗅覚受容体のリガンド応答選択性を高度に維持しており、なおかつ、人の嗅覚感覚を最もよく説明する測定結果を与えるものである。
先の特許出願に示すように、リガンドが既知のヒト嗅覚受容体について、該嗅覚受容体のアミノ酸配列を、例えば、該嗅覚受容体のアミノ酸配列と哺乳類における該嗅覚受容体のオルソログにコードされる嗅覚受容体からなる群より選択される少なくとも11種の嗅覚受容体のアミノ酸配列のアラインメントから導き出されるコンセンサスアミノ酸配列に基づいて改変することでコンセンサス嗅覚受容体を作製し、オリジナルの嗅覚受容体とコンセンサス嗅覚受容体を培養細胞に発現させ、膜発現量とリガンドに対する応答性を測定したところ、コンセンサス化により膜発現量が増加し、応答性が向上した(図1)。
また、先の特許出願に示すように、リガンドが既知のヒト嗅覚受容体及び該嗅覚受容体について上記同様に作製したコンセンサス嗅覚受容体を用い、リガンドに対する応答選択性を検討したところ、応答選択性にコンセンサス化による顕著な変化は認められなかった(図2)。さらに、先の特許出願に示すように、リガンドが既知のヒト嗅覚受容体及び該嗅覚受容体について上記同様に作製したコンセンサス嗅覚受容体を用い、リガンド及びその構造類似物質(図4)に対する応答選択性を検討したところ、応答選択性にコンセンサス化による顕著な変化は認められなかった(図3)。尚、コンセンサス化による全体的な測定感度の上昇により、応答が検出可能になる物質が認められたが、オリジナルの嗅覚受容体で明確に応答を示す物質のうちコンセンサス嗅覚受容体で応答が認められなくなる物質はなかった。斯様に、コンセンサス嗅覚受容体は、オリジナルの嗅覚受容体のリガンド応答選択性を高度に維持している。
非特許文献1において、個々のにおいの感じ方の異なる集団について、比較ゲノム解析を実施することにより、当該においの感受性を担う嗅覚受容体の候補が報告されている。例えば、イソブチルアルデヒドの感受性と関連する嗅覚受容体としてOR6B2が、シトラールの感受性と関連する嗅覚受容体としてOR5C1が、イソオイゲノールの感受性と関連する嗅覚受容体としてOR10D3が報告されている。しかしながら、これらのオリジナルの嗅覚受容体を培養細胞に発現させ、対応するにおい物質に対する応答性を実証することには成功していなかった。そこで、先の特許出願に示すように、これらの嗅覚受容体に上記同様のコンセンサス化を適用し、応答解析を実施したところ、対応するにおい物質に対する応答が測定可能となった(図5)。
また、パクチーを由来とするにおいに対する感じ方の個人差を説明する遺伝子座が報告されている(Eriksson N et al. Flavour 1:22 (2012))。該遺伝子座には8つの嗅覚受容体が存在するが、実際にどの受容体がパクチーを由来とするにおい物質の受容体なのか機能解析に成功していなかった。そこで、先の特許出願に示すように、該8受容体に上記同様のコンセンサス化を適用し、パクチーの主要香気成分((E)-2-decenal、(E)-2-dodecenal)に対する応答解析を実施したところ、OR10A2及びOR10A4がそれらにおい物質を認識できることが明らかとなった。
さらに、先の特許出願に示すように、上記OR10A2、OR10A4、OR6B2及びOR5C1のそれぞれについて、上記同様のコンセンサス化を適用した上で、個人差が報告されるアミノ酸配列を導入し、官能評価でのにおいの感じ方の個人差に符号する応答性が得られるかを検証した。例えば、OR10A2については、NP_001004460.1で登録されるアミノ酸配列の出現頻度が集団の68%であるのに対して、H43R、H207R、K258Tの3変異を有するアミノ酸配列の出現頻度が32%であることが報告されている(出現頻度は1000 genomes project phase 3 allele frequenciesより)。なお、3箇所の変異のうち、H207Rはコンセンサス残基でもある。集団に認められるこれら二種類のアミノ酸配列型は、それぞれパクチーの主要香気成分((E)-2-decenal、(E)-2-dodecenal)に対する応答性に変化をもたらし、その結果としてヒトがパクチーの香りを不快な石鹸様として感じるか否かの違いをもたらしていると予想された。そこで、OR10A2にコンセンサス化を適用した上で、該二種類のアミノ酸配列型を導入したところ、予想通り、H43R、H207R、K258Tの変異型では、上記香気成分に対する応答性が顕著に低いことが判明した(図6の10A2)。上記香気成分に対する応答性が10A2よりも低かった嗅覚受容体10A4にも集団の31%に出現するR262Q変異型が報告されているが、この変異型は上記香気成分に応答性の変化をもたらさなかった(図6の10A4)。したがって、嗅覚受容体のコンセンサス化により初めて、パクチーの香りの感じ方の個人差を説明する受容体としてOR10A2を特定することが可能になった。
OR6B2に関しては、R122C、C179Rの変異型が集団(非特許文献1での試験参加者)の1%に認められ、この集団は非特許文献1によれば、低濃度のイソブチルアルデヒドのにおいを強く感じることができない。先の特許出願に示すように、この官能評価での個人差に符合して、コンセンサスOR6B2にR122C及びC179Rの変異を導入すると、イソブチルアルデヒドへの応答性が顕著に低下することが確認された(図6の6B2)。
OR5C1に関しては、N5Kの変異型が集団の1%に認められ(出現頻度は1000 genomes project phase 3 allele frequenciesより)、この集団は非特許文献1によれば、低濃度のシトラールのにおいを強く感じることができない。先の出願に示すように、この官能評価での個人差に符合して、コンセンサスOR5C1にN5Kの変異を導入すると、シトラールへの応答性が顕著に低下することが確認された(図6の5C1)。
斯様に、コンセンサス嗅覚受容体を用いた応答解析は、官能評価によって測定された嗅覚現象、すなわち人の嗅覚感覚を最もよく説明する測定結果を与える。
したがって、コンセンサス嗅覚受容体は、膜発現向上のためアミノ酸配列が改変されているものの、その応答性はオリジナルの嗅覚受容体の嗅細胞における応答性を反映しており、嗅覚受容体としての機能はオリジナルの嗅覚受容体と同等である。
本発明者は、上記同様のコンセンサス化を適用した嗅覚受容体の中から、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2、コンセンサスOR2B11、コンセンサスOR2L2、コンセンサスOR1Q1、コンセンサスOR10P1、コンセンサスOR4L1及びコンセンサスOR11G2が複素環式芳香族化合物に対して応答することを見出した。上述したように、コンセンサス嗅覚受容体は、オリジナルの嗅覚受容体のリガンド選択性を高度に維持している。すなわち、コンセンサス嗅覚受容体のあるにおい物質に対する応答は、オリジナルの嗅覚受容体の嗅細胞における該におい物質に対する応答を反映している。したがって、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びOR11G2を複素環式芳香族化合物に対して応答する嗅覚受容体として同定することができる。
OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1及びOR4L1が複素環式芳香族化合物に応答すること又はその可能性があることはこれまで認識されていなかった。
図7に示すとおり、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2、コンセンサスOR2B11、コンセンサスOR2L2、コンセンサスOR1Q1、コンセンサスOR10P1、コンセンサスOR4L1及びコンセンサスOR11G2は、インドールに応答し、なかでも、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12及びコンセンサスOR11G2は、インドールに対して濃度依存的に応答する。また、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2、コンセンサスOR2B11、コンセンサスOR2L2、コンセンサスOR1Q1、コンセンサスOR10P1、コンセンサスOR4L1及びコンセンサスOR11G2は、スカトールに応答し、なかでも、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2及びコンセンサスOR11G2は、スカトールに対して濃度依存的に応答する。したがって、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1及びOR4L1は、新たに見出された複素環式芳香族化合物受容体である。OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1、OR11G2又はこれらと同等の機能を有するポリペプチドの応答を抑制する物質は、嗅覚受容体アンタゴニズムによるにおい抑制に基づいて、中枢における複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの認識に変化を生じさせ、結果として、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを選択的に抑制することができる。一方、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1、OR11G2又はこれらと同様の機能を有するポリペプチドの応答を増強する物質は、嗅覚受容体アゴニズムによるにおいの交差順応に基づいて、中枢における複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの認識に変化を生じさせ、結果として、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを選択的に抑制することができる。したがって、これらのポリペプチドの応答を抑制又は増強する物質によれば、従来の消臭剤又は芳香剤を用いる消臭方法において生じていた芳香剤の強いにおいに基づく不快感等や、他のにおいをも抑えてしまうという問題を生じることがなく、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを消臭することができる。
したがって、本発明は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の評価及び/又は選択方法を提供する。当該方法は、試験物質添加後のOR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することを含む。当該方法は、試験物質添加後のOR11G2及びこれと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することをさらに含んでいてもよい。測定された応答に基づいて、該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を増強又は抑制する試験物質が検出される。検出された試験物質は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択される。すなわち、該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を増強する試験物質は、嗅覚受容体アゴニズムによるにおいの交差順応に基づく複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択され、該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する試験物質は、嗅覚受容体アンタゴニズムに基づく複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択される。
上記本発明の方法は、in vitro又はex vivoで行われ得る。
本発明の方法に使用される試験物質は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として使用することを所望する物質であれば、特に制限されない。該試験物質は、天然に存在する物質であっても、化学的若しくは生物学的方法等で人工的に合成した物質であってもよく、又は化合物であっても、組成物若しくは混合物であってもよい。
本発明の方法に使用される嗅覚受容体ポリペプチドは、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1、OR11G2及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドである。OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びOR11G2は、ヒト嗅細胞で発現している嗅覚受容体である。各嗅覚受容体のNCBIデータベースにおけるAccession No.及びアミノ酸配列を表1に示す。
Figure 2023084479000001
OR12D3と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR12D3と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号1で示されるアミノ酸配列の下記表2の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。尚、配列番号1で示されるアミノ酸配列において、下記表2の(1)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(2)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR12D3である。換言すれば、下記表2は、OR12D3とコンセンサスOR12D3の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR12D3と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号3で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR12D3又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR12D3は、配列番号1で示されるOR12D3のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR12D3のオルソログにコードされる嗅覚受容体135種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号3で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR12D3と相同性の高い遺伝子であって、OR12D3と同じ名称を含む遺伝子である。コンセンサスOR12D3とOR12D3のアミノ酸配列同一性は93%である。
OR12D2と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR12D2と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号4で示されるアミノ酸配列の下記表2の(3)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(4)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。ここで、下記表2の(3)の307位に相当するアミノ酸位置に(4)のLLを有するとは、あるアミノ酸配列において、配列番号4で示されるアミノ酸配列の307位のLに相当する位置のアミノ酸残基の直後にLが付加されていることを意味する。尚、配列番号4で示されるアミノ酸配列において、下記表2の(3)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(4)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR12D2である。換言すれば、下記表2は、OR12D2とコンセンサスOR12D2の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR12D2と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR12D2又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR12D2は、配列番号4で示されるOR12D2のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR12D2のオルソログにコードされる嗅覚受容体231種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号6で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR12D2と相同性の高い遺伝子であって、OR12D2と同じ名称を含む遺伝子である。コンセンサスOR12D2とOR12D2のアミノ酸配列同一性は91%である。
OR11H7と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR11H7と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号7で示されるアミノ酸配列の下記表2の(5)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(6)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。尚、配列番号7で示されるアミノ酸配列において、下記表2の(5)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(6)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号9で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR11H7である。換言すれば、下記表2は、OR11H7とコンセンサスOR11H7の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR11H7と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号9で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR11H7又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR11H7は、配列番号7で示されるOR11H7のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR11H7のオルソログにコードされる嗅覚受容体129種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号9で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR11H7と相同性の高い遺伝子であって、OR11H7と同じ名称を含む遺伝子である。尚、異なる嗅覚受容体名称体系が用いられているMus musculus(ハツカネズミ)の嗅覚受容体遺伝子及びRattus norvegicus(ドブネズミ)の嗅覚受容体遺伝子に関しては、最も相同性の高い1種をオルソログとして選択している。コンセンサスOR11H7とOR11H7のアミノ酸配列同一性は93%である。
OR11L1と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR11L1と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号10で示されるアミノ酸配列の下記表2の(7)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(8)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。尚、配列番号10で示されるアミノ酸配列において、下記表2の(7)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(8)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号12で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR11L1である。換言すれば、下記表2は、OR11L1とコンセンサスOR11L1の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR11L1と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号12で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR11L1又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR11L1は、配列番号10で示されるOR11L1のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR11L1のオルソログにコードされる嗅覚受容体209種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号12で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR11L1と相同性の高い遺伝子であって、OR11L1と同じ名称を含む遺伝子である。尚、Mus musculusの嗅覚受容体遺伝子及びRattus norvegicusの嗅覚受容体遺伝子に関しては、最も相同性の高い1種をオルソログとして選択している。コンセンサスOR11L1とOR11L1のアミノ酸配列同一性は87%である。
OR11H12と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号13で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR11H12と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号13で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号13で示されるアミノ酸配列の下記表2の(9)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(10)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。尚、配列番号13で示されるアミノ酸配列において、下記表2の(9)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(10)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号15で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR11H12である。換言すれば、下記表2は、OR11H12とコンセンサスOR11H12の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR11H12と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号15で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR11H12又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR11H12は、配列番号13で示されるOR11H12のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR11H12のオルソログにコードされる嗅覚受容体96種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号15で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR11H12と相同性の高い遺伝子であって、OR11H12と同じ名称を含む遺伝子である。コンセンサスOR11H12とOR11H12のアミノ酸配列同一性は87%である。
OR11H2と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号16で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR11H2と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号16で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号16で示されるアミノ酸配列の下記表3の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。尚、配列番号16で示されるアミノ酸配列において、下記表3の(1)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(2)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号18で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR11H2である。換言すれば、下記表3は、OR11H2とコンセンサスOR11H2の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR11H2と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号18で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR11H2又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR11H2は、配列番号16で示されるOR11H2のアミノ酸配列、哺乳類におけるOR11H2のオルソログにコードされる嗅覚受容体1種のアミノ酸配列、OR11H2と相同性が高いパラログである配列番号13で示されるOR11H12のアミノ酸配列、及び哺乳類におけるOR11H12のオルソログにコードされる嗅覚受容体95種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号18で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該OR11H2のオルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR11H2と相同性の高い遺伝子であって、OR11H2と同じ名称を含む遺伝子である。また、該OR11H12のオルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR11H2と相同性の高い遺伝子であって、OR11H12と同じ名称を含む遺伝子である。コンセンサスOR11H2とOR11H2のアミノ酸配列同一性は90%である。
OR2B11と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号19で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR2B11と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号19で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号19で示されるアミノ酸配列の下記表3の(3)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(4)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。ここで、下記表3の(3)の317位に相当するアミノ酸位置に(4)のRRを有するとは、あるアミノ酸配列において、配列番号19で示されるアミノ酸配列の317位のGに相当する位置のアミノ酸残基がRに置換され、その直後にRが付加されていることを意味する。尚、配列番号19で示されるアミノ酸配列において、下記表3の(3)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(4)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号21で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR2B11である。換言すれば、下記表3は、OR2B11とコンセンサスOR2B11の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR2B11と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号21で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR2B11又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR2B11は、配列番号19で示されるOR2B11のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR2B11のオルソログにコードされる嗅覚受容体200種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号21で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR2B11と相同性の高い遺伝子であって、OR2B11と同じ名称を含む遺伝子である。コンセンサスOR2B11とOR2B11のアミノ酸配列同一性は93%である。
OR2L2と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号22で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR2L2と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号22で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号22で示されるアミノ酸配列の下記表3の(5)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(6)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。尚、配列番号22で示されるアミノ酸配列において、下記表3の(5)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(6)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号24で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR2L2である。換言すれば、下記表3は、OR2L2とコンセンサスOR2L2の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR2L2と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号24で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR2L2又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR2L2は、配列番号22で示されるOR2L2のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR2L2のオルソログにコードされる嗅覚受容体44種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号24で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR2L2と相同性の高い遺伝子であって、OR2L2と同じ名称を含む遺伝子である。コンセンサスOR2L2とOR2L2のアミノ酸配列同一性は93%である。
OR1Q1と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号25で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR1Q1と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号25で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号25で示されるアミノ酸配列の下記表3の(7)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(8)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。尚、配列番号25で示されるアミノ酸配列において、下記表3の(7)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(8)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号27で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR1Q1である。換言すれば、下記表3は、OR1Q1とコンセンサスOR1Q1の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR1Q1と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号27で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR1Q1又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR1Q1は、配列番号25で示されるOR1Q1のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR1Q1のオルソログにコードされる嗅覚受容体123種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号27で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR1Q1と相同性の高い遺伝子であって、OR1Q1と同じ名称を含む遺伝子である。コンセンサスOR1Q1とOR1Q1のアミノ酸配列同一性は89%である。
OR10P1と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号28で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR10P1と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号28で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号28で示されるアミノ酸配列の下記表3の(9)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(10)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。尚、配列番号28で示されるアミノ酸配列において、下記表3の(9)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(10)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号30で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR10P1である。換言すれば、下記表3は、OR10P1とコンセンサスOR10P1の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR10P1と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号30で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR10P1又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR10P1は、配列番号28で示されるOR10P1のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR10P1のオルソログにコードされる嗅覚受容体123種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号30で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR10P1と相同性の高い遺伝子であって、OR10P1と同じ名称を含む遺伝子である。コンセンサスOR10P1とOR10P1のアミノ酸配列同一性は92%である。
OR4L1と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号31で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR4L1と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号31で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号31で示されるアミノ酸配列の下記表4の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。尚、配列番号31で示されるアミノ酸配列において、下記表4の(1)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(2)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号33で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR4L1である。換言すれば、下記表4は、OR4L1とコンセンサスOR4L1の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR4L1と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号33で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR4L1又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR4L1は、配列番号31で示されるOR4L1のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR4L1のオルソログにコードされる嗅覚受容体225種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号33で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR4L1と相同性の高い遺伝子であって、OR4L1と同じ名称を含む遺伝子である。尚、Mus musculusの嗅覚受容体遺伝子及びRattus norvegicusの嗅覚受容体遺伝子に関しては、最も相同性の高い1種をオルソログとして選択している。コンセンサスOR4L1とOR4L1のアミノ酸配列同一性は91%である。
OR11G2と同等の機能を有するポリペプチドの例としては、配列番号34で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
OR11G2と同等の機能を有するポリペプチドの別の例としては、配列番号34で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号34で示されるアミノ酸配列の下記表5の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所、好ましくは少なくとも3箇所、より好ましくは少なくとも5箇所、さらに好ましくは少なくとも10箇所、さらにより好ましくは全ての箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。尚、配列番号34で示されるアミノ酸配列において、下記表5の(1)の各アミノ酸位置の全ての箇所に(2)のアミノ酸残基を有するポリペプチドは、配列番号36で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR11G2である。換言すれば、下記表5は、OR11G2とコンセンサスOR11G2の間で異なるアミノ酸残基を示している。
OR11G2と同等の機能を有するポリペプチドのさらに別の例としては、配列番号36で示されるアミノ酸配列からなるコンセンサスOR11G2又はこれと少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドが挙げられる。
コンセンサスOR11G2は、配列番号34で示されるOR11G2のアミノ酸配列と哺乳類におけるOR11G2のオルソログにコードされる嗅覚受容体248種のアミノ酸配列のアラインメントから上記の手法により導き出される配列番号36で示されるコンセンサスアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールに対する応答性を有する。該オルソログは、哺乳類に属する生物種が有する嗅覚受容体遺伝子のうち、OR11G2と相同性の高い遺伝子であって、OR11G2と同じ名称を含む遺伝子である。尚、Mus musculusの嗅覚受容体遺伝子に関しては、最も相同性の高い1種をオルソログとして選択している。コンセンサスOR11G2とOR11G2のアミノ酸配列同一性は89%である。
Figure 2023084479000002
Figure 2023084479000003
Figure 2023084479000004
Figure 2023084479000005
本発明の方法では、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドから選択される少なくとも1種を使用すればよいが、いずれか2種以上を組み合わせて使用してもよい。好ましくは、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2、コンセンサスOR2B11、コンセンサスOR2L2、コンセンサスOR1Q1、コンセンサスOR10P1及びコンセンサスOR4L1からなる群より選択される少なくとも1種が使用され、より好ましくは、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2、コンセンサスOR2B11、コンセンサスOR2L2、コンセンサスOR1Q1、コンセンサスOR10P1及びコンセンサスOR4L1からなる群より選択される少なくとも1種が使用される。さらに、OR11G2及びこれと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種、好ましくはOR11G2及びコンセンサスOR11G2からなる群より選択される少なくとも1種、より好ましくはコンセンサスOR11G2を組み合わせて使用してもよい。
一例において、複素環式芳香族化合物がインドールである場合、嗅覚受容体ポリペプチドとしては、好ましくは、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種が使用され、より好ましくは、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種が使用され、さらに好ましくは、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1及びコンセンサスOR11H12からなる群より選択される少なくとも1種が使用され、さらにより好ましくは、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1及びコンセンサスOR11H12からなる群より選択される少なくとも1種が使用される。さらに、OR11G2及びこれと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種、好ましくはOR11G2及びコンセンサスOR11G2からなる群より選択される少なくとも1種、より好ましくはコンセンサスOR11G2を組み合わせて使用してもよい。
別の一例において、複素環式芳香族化合物がスカトールである場合、嗅覚受容体ポリペプチドとしては、好ましくは、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種が使用され、より好ましくは、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種が使用され、さらに好ましくは、OR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12及びンセンサスOR11H2からなる群より選択される少なくとも1種が使用され、さらにより好ましくは、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12及びコンセンサスOR11H2からなる群より選択される少なくとも1種が使用される。さらに、OR11G2及びこれと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種、好ましくはOR11G2及びコンセンサスOR11G2からなる群より選択される少なくとも1種、より好ましくはコンセンサスOR11G2を組み合わせて使用してもよい。
本発明の方法において、該嗅覚受容体ポリペプチドは、複素環式芳香族化合物に対する応答性を失わない限り、任意の形態で使用され得る。例えば、該嗅覚受容体ポリペプチドは、生体から単離された嗅覚受容器若しくは嗅細胞等の、該嗅覚受容体ポリペプチドを天然に発現する組織や細胞、又はそれらの培養物;該嗅覚受容体ポリペプチドを担持した嗅細胞の膜;該嗅覚受容体ポリペプチドを発現するように遺伝的に操作された組換え細胞又はその培養物;該嗅覚受容体ポリペプチドを有する該組換え細胞の膜;該嗅覚受容体ポリペプチドを有する人工脂質二重膜、などの形態で使用され得る。これらの形態は全て、本発明で使用される嗅覚受容体ポリペプチドの範囲に含まれる。
好ましい態様においては、嗅覚受容体ポリペプチドとしては、嗅細胞等の該嗅覚受容体ポリペプチドを天然に発現する細胞、又は該嗅覚受容体ポリペプチドを発現するように遺伝的に操作された組換え細胞、あるいはそれらの培養物が使用される。該組換え細胞は、該嗅覚受容体ポリペプチドをコードする遺伝子を組み込んだベクターを用いて細胞を形質転換することで作製することができる。
好適には、該嗅覚受容体ポリペプチドの細胞膜発現を促進するために、該嗅覚受容体ポリペプチドをコードする遺伝子とともに、RTP(receptor-transporting protein)をコードする遺伝子を細胞に導入する。好ましくは、RTP1Sをコードする遺伝子を、該嗅覚受容体ポリペプチドをコードする遺伝子とともに細胞に導入する。RTP1Sの例としては、ヒトRTP1Sが挙げられる。ヒトRTP1Sは、GenBankにGI:50234917として登録されており、配列番号37のヌクレオチド配列を有する遺伝子にコードされる、配列番号38のアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
該嗅覚受容体ポリペプチドに試験物質を添加する方法としては、該嗅覚受容体ポリペプチドを発現する細胞を培養する培地に試験物質を添加する方法、該嗅覚受容体ポリペプチド又はそれを含む細胞や組織に試験物質を直接滴下、散布もしくは噴霧する方法などが挙げられるが、特に限定されない。
本発明の方法においては、該嗅覚受容体ポリペプチドへの試験物質の添加に続いて、該嗅覚受容体ポリペプチドの応答が測定される。測定は、嗅覚受容体の応答を測定する方法として当該分野で知られている任意の方法、例えば、細胞内cAMP量測定等によって行えばよい。例えば、嗅覚受容体は、におい分子によって活性化されると、細胞内のGαsファミリーに分類されるGタンパク質αサブユニットと共役してアデニル酸シクラーゼを活性化することで、細胞内cAMP量を増加させることが知られている(Nat.Neurosci.,2004,5:263-278)。一方で、嗅覚受容体はにおい分子により活性化されると、細胞内でGα15などGqファミリーに属するタンパク質とも共役し、細胞内でカルシウムイオン量を増加させることもできる。したがって、におい分子添加後の細胞内cAMP量もしくはカルシムイオン量、もしくはそれらを介して活性化する下流分子の挙動を指標にすることで、嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することができる。cAMP量を測定する方法としては、ELISA法やレポータージーンアッセイ等が挙げられる。嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定する他の方法としてカルシウムイオン濃度を測定する方法は、カルシウムイメージング法やTGFα shedding assayが挙げられる。また、cAMP量を介して活性化する下流分子の挙動を指標とした方法の例として、アフリカツメガエル卵母細胞において、cAMPシグナルにより活性化する嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子CFTRを介した細胞膜内外の電位変化を測定する二電極膜電位固定法も有効である。
本発明の第一の実施形態において、本発明による複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の評価及び/又は選択方法は、上述した嗅覚受容体ポリペプチドに試験物質を添加すること;及び、該試験物質に対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること、を含む。次いで、測定した応答に基づいて、該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を増強する試験物質を検出する。検出された試験物質は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択される。
該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を増強する試験物質は、先に嗅覚受容体の応答を増強させておくことで、後で複素環式芳香族化合物に曝露されたときの該嗅覚受容体の応答を弱めることができる。結果、におい交差順応に基づいて、個体による複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの認識を抑制することができる。したがって、該第一の実施形態では、嗅覚受容体アゴニズムによるにおいの交差順応に基づく複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤が選択される。
該嗅覚受容体ポリペプチドに対する試験物質の作用は、例えば、試験物質を添加した該嗅覚受容体ポリペプチド(試験群)の応答を、対照群における応答と比較することによって評価することができる。対照群の例としては、試験物質を添加していない該嗅覚受容体ポリペプチド、対照物質を添加した該嗅覚受容体ポリペプチド、より低濃度の試験物質を添加した該嗅覚受容体ポリペプチド、試験物質を添加する前の該嗅覚受容体ポリペプチド、該嗅覚受容体ポリペプチドが発現していない細胞、などを挙げることができる。好ましくは、該第一の実施形態における本発明の方法は、試験物質の存在下及び非存在下での該嗅覚受容体ポリペプチドの活性を測定することを含む。また好ましくは、該第一の実施形態における本発明の方法は、試験物質の存在下で、該嗅覚受容体ポリペプチドが発現した細胞及び未発現の細胞の該アゴニストに対する応答を測定することを含む。
例えば、該第一の実施形態においては、試験群における応答が対照群と比べて増強されていた場合、該試験物質を、複素環式芳香族化合物に対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する物質として選択することができる。例えば、試験群における該嗅覚受容体ポリペプチドの応答が、対照群と比較して、好ましくは120%以上、より好ましくは150%以上、さらに好ましくは200%に増強されていれば、該試験物質を、複素環式芳香族化合物に対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する物質として選択することができる。あるいは、試験群における該嗅覚受容体ポリペプチドの応答が、対照群と比較して統計学的に有意に増強されていれば、該試験物質を、複素環式芳香族化合物に対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する物質として選択することができる。
該第一の実施形態に従って選択された複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤によって抑制される複素環式芳香族化合物を原因とするにおいとしては、例えば、糞便臭、口臭、インドール臭、スカトール臭等が挙げられる。好ましくは、糞便臭又は口臭である。
該第一の実施形態に従って選択された複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の使用についての一実施形態は、以下のとおりである:まず、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制を所望する対象者に、該対象者が該臭気に曝露される前に、該抑制剤のにおいを嗅がせておく。あるいは、該対象者に対し、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいよりも強いにおいとなるように該抑制剤を適用する。その結果、該対象者は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいに曝露されても、該臭気に対する嗅覚感受性が低下しているため、該臭気を弱いと感じるか、又は感じなくなる。
本発明の第二の実施形態において、本発明による複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の評価及び/又は選択方法は、上述した嗅覚受容体ポリペプチドに、試験物質及び該嗅覚受容体ポリペプチドのアゴニストを添加すること;及び、該アゴニストに対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること、を含む。該アゴニストとしては、限定されないが、好ましくは複素環式芳香族化合物、より好ましくは含窒素複素環式芳香族化合物、さらに好ましくはインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種が使用される。次いで、測定した応答に基づいて、該アゴニストに対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する試験物質を検出する。検出された試験物質は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択される。
該第二の実施形態においては、該嗅覚受容体ポリペプチドのアゴニストに対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する試験物質は、嗅覚受容体アンタゴニズムに基づく複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択される。該嗅覚受容体ポリペプチドの該アゴニストへの応答に対して該試験物質が及ぼす作用は、例えば、試験物質を添加した該嗅覚受容体ポリペプチド(試験群)の該アゴニストに対する応答を、対照群における該アゴニストに対する応答と比較することによって行うことができる。対照群の例としては、上述したものが挙げられる。好ましくは、該第二の実施形態における本発明の方法は、試験物質の存在下及び非存在下で、該アゴニストに対する該嗅覚受容体ポリペプチドの活性を測定することを含む。
例えば、試験群における応答が、対照群よりも抑制されていた場合、該試験物質を、複素環式芳香族化合物に対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する物質として選択することができる。例えば、試験群における該嗅覚受容体ポリペプチドの応答が、対照群と比較して好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは25%以下に抑制されていれば、該試験物質を、複素環式芳香族化合物に対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する物質として選択することができる。あるいは、試験群における該嗅覚受容体ポリペプチドの応答が、対照群と比較して統計学的に有意に抑制されていれば、該試験物質を、複素環式芳香族化合物に対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する物質として選択することができる。
該第二の実施形態に従って選択された複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤によって抑制される複素環式芳香族化合物を原因とするにおいとしては、例えば、糞便臭、口臭、インドール臭、スカトール臭等が挙げられる。好ましくは、糞便臭又は口臭である。
該第二の実施形態に従って選択された複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の使用についての一実施形態は、以下のとおりである:まず、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制を所望する対象者に、該対象者が該臭気に曝露される前から又は同時に、該抑制剤のにおいを嗅がせておく。その結果、該対象者は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいに曝露されても、該臭気に対する嗅覚感受性が低下しているため、該臭気を弱いと感じるか、又は感じなくなる。
以上の手順で、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいに応答性を有する嗅覚受容体ポリペプチドの応答活性に基づいて、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤を取得することができる。必要に応じて、上記で選択された試験物質の複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制能を、官能試験によりさらに評価してもよい。すなわち、本発明の方法の一実施形態においては、上記手順で選択された試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の候補物質として取得する。次いで、該候補物質の複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制作用を官能試験により評価する。官能試験でより良い評価が得られた候補物質は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択される。
該候補物質の官能試験は、当該分野で通常行われる消臭剤の評価手順に準じて行われ得る。該候補物質がにおいの交差順応の誘導物質である場合は、評価者に対する該候補物質と標的のにおいの原因物質の適用順序が調整され得る。例えば、上述した第一の実施形態で選択された試験物質を候補物質として官能試験する場合、評価者は、最初に該候補物質のにおいを嗅ぎ、そのにおいに順応しておく。次いで該評価者は、標的のにおい(好ましくは複素環式芳香族化合物を原因とするにおい)を嗅ぎ、その強度を評価する。得られた評価結果は、該候補物質に順応させなかった場合の標的のにおいの強度と比較される。また例えば、上述した第二の実施形態で選択された試験物質を候補物質として官能試験する場合、評価者は、該候補物質のにおいと同時に標的のにおい(好ましくは複素環式芳香族化合物を原因とするにおい)を嗅ぎ、該標的のにおいの強度を評価する。得られた評価結果は、標的のにおい単独でのにおいの強度と比較される。官能試験の結果、標的のにおいの強度を低下させたと評価された候補物質は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択される。
本発明で得られた複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制のための有効成分として使用され得る。例えば、該抑制剤は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを抑制するための組成物又は物品に、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを抑制するための有効成分として含有され得る。あるいは、該抑制剤は、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを抑制するための組成物又は物品の製造のために使用することができる。本発明で得られた複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の適用例としては、該剤を含んだ生理用品、紙おむつ等の衛生用品;該剤を含んだ肌着、下着、リネン類等の服飾類、布製品、又は織物;該剤を含んだ洗濯用洗剤又は柔軟剤;該剤を含んだ香粧品、洗浄剤、デオドラント等の外用剤、医薬品、食品、等;トイレの前又は中への該剤の載置や噴霧;病棟又は介護施設などへの該剤の載置や噴霧;病棟又は介護施設などで排泄の処置に関わる者に、該剤を携行させたり、該処置の前に該剤に曝露したりする方法;複素環式芳香族化合物を原因とするにおいを発生する環境への適用、などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の例示的実施形態として、さらに以下の物質、製造方法、用途、方法等を本明細書に開示する。ただし、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
〔1〕試験物質添加後のOR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することを含む、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の評価及び/又は選択方法。
〔2〕試験物質添加後のOR11G2及びこれと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することをさらに含む、〔1〕記載の方法。
〔3〕好ましくは、前記複素環式芳香族化合物を原因とするにおいが糞便臭又は口臭である、〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕好ましくは、前記複素環式芳香族化合物が含窒素複素環式芳香族化合物であり、より好ましくは、インドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種である、〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の方法。
〔5〕好ましくは、下記の嗅覚受容体ポリペプチドが下記の配列番号で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、〔1〕~〔4〕のいずれか1項記載の方法。
OR12D3;配列番号1
OR12D2;配列番号4
OR11H7;配列番号7
OR11L1;配列番号10
OR11H12;配列番号13
OR11H2;配列番号16
OR2B11;配列番号19
OR2L2;配列番号22
OR1Q1;配列番号25
OR10P1;配列番号28
OR4L1;配列番号31
〔6〕好ましくは、前記OR11G2が配列番号34で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、〔2〕~〔5〕のいずれか1項記載の方法。
〔7〕好ましくは、下記の嗅覚受容体ポリペプチドと同等の機能を有するポリペプチドが、下記の配列番号で示されるアミノ酸配列と、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上、なおより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドである、〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載の方法。
OR12D3;配列番号1
OR12D2;配列番号4
OR11H7;配列番号7
OR11L1;配列番号10
OR11H12;配列番号13
OR11H2;配列番号16
OR2B11;配列番号19
OR2L2;配列番号22
OR1Q1;配列番号25
OR10P1;配列番号28
OR4L1;配列番号31
〔8〕好ましくは、前記OR11G2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号34で示されるアミノ酸配列と、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上、なおより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドである、〔2〕~〔7〕のいずれか1項記載の方法。
〔9〕好ましくは、前記OR12D3と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号1で示されるアミノ酸配列の上記表2の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
前記OR12D2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号4で示されるアミノ酸配列の上記表2の(3)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(4)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
前記OR11H7と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号7で示されるアミノ酸配列の上記表2の(5)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(6)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
前記OR11L1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号10で示されるアミノ酸配列の上記表2の(7)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(8)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
前記OR11H12と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号13で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号13で示されるアミノ酸配列の上記表2の(9)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(10)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
前記OR11H2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号16で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号16で示されるアミノ酸配列の上記表3の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
前記OR2B11と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号19で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号19で示されるアミノ酸配列の上記表3の(3)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(4)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
前記OR2L2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号22で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号22で示されるアミノ酸配列の上記表3の(5)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(6)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
前記OR1Q1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号25で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号25で示されるアミノ酸配列の上記表3の(7)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(8)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
前記OR10P1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号28で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号28で示されるアミノ酸配列の上記表3の(9)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(10)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
前記OR4L1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号31で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号31で示されるアミノ酸配列の上記表4の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
少なくとも80%以上の同一性とは、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上、なおより好ましくは99%以上の同一性であり、少なくとも1箇所とは、好ましくは少なくとも1箇所、より好ましくは少なくとも3箇所、さらに好ましくは少なくとも5箇所、さらにより好ましくは少なくとも10箇所、なお好ましくは全ての箇所である、
〔1〕~〔8〕のいずれか1項記載の方法。
〔10〕好ましくは、前記OR11G2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号34で示されるアミノ酸配列と、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上、なお好ましくは98%以上、なおより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号34で示されるアミノ酸配列の上記表5の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の好ましくは少なくとも1箇所、より好ましくは少なくとも3箇所、さらに好ましくは少なくとも5箇所、さらにより好ましくは少なくとも10箇所、なお好ましくは全ての箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドである、〔2〕~〔9〕のいずれか1項記載の方法。
〔11〕好ましくは、下記の嗅覚受容体ポリペプチドと同等の機能を有するポリペプチドが、下記の配列番号で示されるアミノ酸配列と、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、さらにより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドである、〔1〕~〔6〕のいずれか1項記載の方法。
OR12D3;配列番号3
OR12D2;配列番号6
OR11H7;配列番号9
OR11L1;配列番号12
OR11H12;配列番号15
OR11H2;配列番号18
OR2B11;配列番号21
OR2L2;配列番号24
OR1Q1;配列番号27
OR10P1;配列番号30
OR4L1;配列番号33
〔12〕好ましくは、前記OR11G2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号36で示されるアミノ酸配列と、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、さらにより好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドである、〔2〕~〔6〕のいずれか1項記載の方法。
〔13〕好ましくは、以下:
前記嗅覚受容体ポリペプチドに試験物質を添加すること、及び
該試験物質に対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること、
を含む、〔1〕~〔12〕のいずれか1項記載の方法。
〔14〕好ましくは、前記試験物質に対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を増強する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択することをさらに含む、〔13〕記載の方法。
〔15〕好ましくは、対照群における前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することをさらに含む、〔13〕記載の方法。
〔16〕好ましくは、前記試験物質に対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を前記対照群と比べて増強する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択することをさらに含み、
より好ましくは、前記試験物質に対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を前記対照群と比較して120%以上に増強する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択するか、又は、前記試験物質に対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を前記対照群と比較して統計学的に有意に増強する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択することをさらに含む、
〔15〕記載の方法。
〔17〕好ましくは、以下:
前記嗅覚受容体ポリペプチドに試験物質及び該嗅覚受容体ポリペプチドのアゴニストを添加すること、及び
該アゴニストに対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること、
を含む、〔1〕~〔12〕のいずれか1項記載の方法。
〔18〕好ましくは、前記アゴニストに対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択することをさらに含む、〔17〕記載の方法。
〔19〕好ましくは、対照群における前記アゴニストに対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することをさらに含む、〔17〕記載の方法。
〔20〕好ましくは、前記アゴニストに対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を前記対照群と比べて抑制する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択することをさらに含み、
より好ましくは、前記アゴニストに対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を前記対照群と比較して60%以下に抑制する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択するか、又は、前記アゴニストに対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を前記対照群と比較して統計学的に有意に抑制する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択することをさらに含む、
〔19〕記載の方法。
〔21〕好ましくは、前記アゴニストが複素環式芳香族化合物であり、より好ましくは、含窒素複素環式芳香族化合物であり、さらに好ましくは、インドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種である、〔17〕~〔20〕のいずれか1項記載の方法。
〔22〕好ましくは、前記嗅覚受容体ポリペプチドが、該嗅覚受容体ポリペプチドを発現するように遺伝的に操作された組換え細胞上に発現されている、〔1〕~〔21〕のいずれか1項記載の方法。
〔23〕好ましくは、前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答が、ELISAもしくはレポータージーンアッセイによる細胞内cAMP量測定、カルシウムイメージングもしくはTGFα shedding assayによるカルシウムイオン量測定、又はアフリカツメガエル卵母細胞を用いた二電極膜電位固定法による細胞膜内外の電位変化測定により測定される、〔1〕~〔22〕のいずれか1項記載の方法。
〔24〕好ましくは、前記試験物質を官能試験により評価することをさらに含む、〔1〕~〔23〕のいずれか1項記載の方法。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1 複素環式芳香族化合物に応答する嗅覚受容体の同定
1)嗅覚受容体発現細胞の作製
コンセンサス嗅覚受容体を、特願2021-103675の実施例に記載の方法と同様にしてデザインした。コンセンサス嗅覚受容体をデザインするにあたり、目的の嗅覚受容体遺伝子の相同遺伝子候補の検索はNCBI BLASTを用いて行った。得られた遺伝子群についてオルソログ群を特定した。
具体的には、BLASTにより検索された相同性上位の遺伝子から、目的の嗅覚受容体と同じ名称をもつ遺伝子を哺乳類オルソログとして選択した。例えばヒトOR12D3の場合、ヒトOR12D3(NP_112221.1)のアミノ酸配列をquery配列とし、検索対象生物名を哺乳類としたBLASTにより検索された相同性上位の250遺伝子の中から、名称にOR12D3を含む135遺伝子を選択した。これら135遺伝子を哺乳類オルソログとして特定した。これら135遺伝子にヒトOR12D3を加えた計136遺伝子のアミノ酸配列について以下に述べるようにアラインメント解析及びコンセンサスアミノ酸の特定を行った。他のヒト嗅覚受容体、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びOR11G2についても同様にコンセンサスアミノ酸の特定を行った。尚、異なる嗅覚受容体名称体系が用いられているMus musculus及びRattus norvegicusの遺伝子に関しては、検索結果上位250遺伝子にこれら遺伝子が含まれていた場合、最も相同性が高い遺伝子を1つずつ選択した。
また、ヒトOR11H2の場合、ヒト11H2(NP_001184216.2)のアミノ酸配列をquery配列とした以外は上記の場合と同様にして哺乳類オルソログ群の特定を試みたが、哺乳類オルソログとして1遺伝子しか選択されなかった。そこでヒトOR11H2のアミノ酸配列をquery配列として検索された相同性上位の250遺伝子の中から、ヒトOR11H2と相同性が高いパラログであるヒトOR11H12(NP_001013372.1)に着目し、哺乳類オルソログ群を特定し、95遺伝子を哺乳類オルソログとして選択した。これら95遺伝子にヒトOR11H2、ヒトOR11H2の哺乳類オルソログ及びヒトOR11H12を加えた計98遺伝子のアミノ酸配列について以下に述べるようにアラインメント解析及びコンセンサスアミノ酸の特定を行った。
特定した遺伝子群についてのアラインメント解析はClustalWを用いて行い、嗅覚受容体間で高度に保存されたアミノ酸もしくはアミノ酸モチーフを基準に、最適化するようにさらに調整した。アラインメント結果に基づき、Jalviewを用いてコンセンサス嗅覚受容体の設計を行った。該アラインメントにおいて、基準となるオリジナルのヒト嗅覚受容体アミノ酸配列の各アミノ酸位置に相当する位置に該基準アミノ酸配列のアミノ酸残基と異なり且つ出現頻度が50%以上のアミノ酸残基が1種存在する場合に該基準アミノ酸配列のアミノ酸残基を該アミノ酸残基に改変した。尚、基準となるオリジナルのヒト嗅覚受容体アミノ酸配列の各アミノ酸位置に相当する位置に該基準アミノ酸配列のアミノ酸残基と異なり且つ出現頻度が50%のアミノ酸残基が1種存在する場合であっても、該基準アミノ酸配列のアミノ酸残基の出現頻度も50%の場合には該基準アミノ酸配列のアミノ酸残基を改変しなかった。該アラインメントにおいて、基準となるオリジナルのヒト嗅覚受容体アミノ酸配列の各アミノ酸位置に相当する位置に出現頻度が40%以上で欠失が存在する場合に該基準アミノ酸配列のアミノ酸残基を欠失に改変した。一方で、基準となるオリジナルのヒト嗅覚受容体アミノ酸配列の欠失位置に相当する位置に出現頻度が60%以上でアミノ酸が存在する場合に該基準アミノ酸配列の欠失位置に最も保存性の高いアミノ酸を挿入するよう改変した。最も保存性の高いアミノ酸が2種以上ある場合は、最も分子量が小さいアミノ酸を挿入するように改変した。
設計における嗅覚受容体のトポロジーの確認は、TMHMM(Transmembrane Hidden Markov Model)を使用した。デザインした各種嗅覚受容体ポリペプチドをコードするDNA配列は、そのアミノ酸配列に対応する塩基配列コドンをヒト培養細胞での発現用に最適化した上でDNA合成により獲得した。コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2、コンセンサスOR2B11、コンセンサスOR2L2、コンセンサスOR1Q1、コンセンサスOR10P1、コンセンサスOR4L1、コンセンサスOR11G2をコードするコドンを最適化した塩基配列を、それぞれ、配列番号2、5、8、11、14、17、20、23、26、29、32、35に示す。この塩基配列の両末端にはEcoRI、XhoIサイトを付加しており、pME18Sベクター上のFlag-Rhoタグ配列の下流に作製したEcoRI、XhoIサイトへと組換えた。また、培養細胞内で作られた嗅覚受容体タンパク質を細胞膜上へ移行するヒトRTP1Sをコードする遺伝子を、別のpME18SベクターのEcoRI、XhoIサイトへ組込み、pME18S-RTP1Sベクターを作製した。
表6に示す組成の反応液を調製し、クリーンベンチ内で20分静置した後、96ウェルプレート(BD)の各ウェルに添加した。尚、嗅覚受容体OR11H2、OR11H12、OR2L2、OR2L3については、表7に示す組成を用いた。次いで、DMEM(Nacalai)で懸濁させたHEK293細胞を100μLずつ各ウェルに2×105細胞/cm2で播種し、37℃、5%CO2を保持したインキュベータ内で24時間培養した。対照として、嗅覚受容体を発現させない細胞(Mock)を用意した。
Figure 2023084479000006
Figure 2023084479000007
2)ルシフェラーゼアッセイ
HEK293細胞に発現させた嗅覚受容体は、細胞内在性のGαSと共役しアデニル酸シクラーゼを活性化することで、細胞内cAMP量を増加させる。におい応答測定には、細胞内cAMP量の増加をホタルルシフェラーゼ遺伝子(fluc2P-CRE-hygro)由来の発光値としてモニターするルシフェラーゼレポータージーンアッセイを用いた。また、CMVプロモータ下流にウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を融合させたもの(hRluc2P-CMV-hygro)を同時に遺伝子導入し、遺伝子導入効率や細胞数の誤差を補正する内部標準として用いた。
上記1)で作製した培養物から、培地を取り除き、新しい培地で調製した試験物質溶液(インドール(CAS:120-72-9、東京化成工業)又はスカトール(CAS:83-34-1、関東化学)、濃度範囲0μM、1μM、3μM、10μM、30μM、100μM、300μM)を75μL添加した。細胞をCO2インキュベータ内で4時間培養し、ルシフェラーゼ遺伝子を細胞内で十分に発現させた。ルシフェラーゼ活性は、Dual-GloTMluciferase assay system(Promega)を用いて、製品の操作マニュアルに従って測定した。96ウェルプレートの各ウェルにおいて、試験物質刺激により誘導されたホタルルシフェラーゼ由来の発光値をウミシイタケルシフェラーゼ由来の発光値で除した値(fluc/hRluc)をシグナルとして算出し解析に用いた。各トランスフェクション条件でのシグナルに対して、におい物質による刺激を行わない条件のシグナル値(fluc/hRluc)を0%、10μMホルスコリンで刺激した時のシグナル値(fluc/hRluc)を100%として基準化を行い、Response(%)として解析に用いた。
3)結果
試験したコンセンサス嗅覚受容体のうち、インドール又はスカトールに応答した嗅覚受容体を図7に示す。図7には個々の嗅覚受容体について各濃度のインドール又はスカトールに対する応答値を示す。試験した最高濃度300μMに対する各嗅覚受容体の応答値(Response(%))と、受容体を発現させないMock条件の細胞の応答値(Response(%))との間には統計学上有意な差が認められた(Student’s t-test、P<0.05)。なお、各嗅覚受容体において、におい物質による刺激を行わない条件のシグナル値(fluc/hRluc)と、最高濃度300μMで刺激した条件のシグナル値(fluc/hRluc)を比較しても同じ統計学手法における有意差が認められた。表8及び9中の数値は、Response(%)値をシグモイド曲線に回帰することにより算出されたEC50(μM)である。図7に挙げられているが、表8及び9でEC50(μM)の記載がない嗅覚受容体は、インドール又はスカトールに応答できる受容体であるものの、今回試験した濃度範囲ではシグモイド曲線に回帰するために十分なデータが得られず、EC50が算出されなかったことを意味する。したがって、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2、コンセンサスOR2B11、コンセンサスOR2L2、コンセンサスOR1Q1、コンセンサスOR10P1、コンセンサスOR4L1及びコンセンサスOR11G2は、インドールに応答した。なかでも、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12及びコンセンサスOR11G2については、インドールに対する用量依存的な応答も確認した。また、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2、コンセンサスOR2B11、コンセンサスOR2L2、コンセンサスOR1Q1、コンセンサスOR10P1、コンセンサスOR4L1及びコンセンサスOR11G2は、スカトールに応答した。なかでも、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2及びコンセンサスOR11G2については、スカトールに対する用量依存的な応答も確認した。OR11G2がインドールやスカトールに応答することは知られており(特許文献4)、コンセンサスOR11G2がインドールやスカトールに応答するとの結果は斯かる知見と整合するものである。よって、コンセンサスOR12D3、コンセンサスOR12D2、コンセンサスOR11H7、コンセンサスOR11L1、コンセンサスOR11H12、コンセンサスOR11H2、コンセンサスOR2B11、コンセンサスOR2L2、コンセンサスOR1Q1、コンセンサスOR10P1、コンセンサスOR4L1及びコンセンサスOR11G2がインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種の複素環式芳香族化合物に応答することが判明した。
Figure 2023084479000008
Figure 2023084479000009
コンセンサス嗅覚受容体のにおい物質に対する応答は、オリジナルの嗅覚受容体の嗅細胞での応答を反映している。よって、上記の結果から、オリジナルのOR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びOR11G2が複素環式芳香族化合物の受容体として同定された。

Claims (21)

  1. 試験物質添加後のOR12D3、OR12D2、OR11H7、OR11L1、OR11H12、OR11H2、OR2B11、OR2L2、OR1Q1、OR10P1、OR4L1及びこれらと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することを含む、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤の評価及び/又は選択方法。
  2. 試験物質添加後のOR11G2及びこれと同等の機能を有するポリペプチドからなる群より選択される少なくとも1種の嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することをさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記複素環式芳香族化合物を原因とするにおいが糞便臭又は口臭である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記複素環式芳香族化合物がインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記OR12D3が配列番号1で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記OR12D2が配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記OR11H7が配列番号7で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記OR11L1が配列番号10で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記OR11H12が配列番号13で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記OR11H2が配列番号16で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記OR2B11が配列番号19で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記OR2L2が配列番号22で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記OR1Q1が配列番号25で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記OR10P1が配列番号28で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記OR4L1が配列番号31で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項1~4のいずれか1項記載の方法。
  6. 前記OR11G2が配列番号34で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項2~5のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記OR12D3と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR12D2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11H7と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11L1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11H12と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号13で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11H2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号16で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR2B11と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号19で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR2L2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号22で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR1Q1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号25で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR10P1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号28で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR4L1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号31で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドである、
    請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
  8. 前記OR11G2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号34で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドである、請求項2~7のいずれか1項記載の方法。
  9. 前記OR12D3と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号1で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号1で示されるアミノ酸配列の下記表1の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR12D2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号4で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号4で示されるアミノ酸配列の下記表1の(3)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(4)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11H7と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号7で示されるアミノ酸配列の下記表1の(5)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(6)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11L1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号10で示されるアミノ酸配列の下記表1の(7)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(8)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11H12と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号13で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号13で示されるアミノ酸配列の下記表1の(9)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(10)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11H2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号16で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号16で示されるアミノ酸配列の下記表2の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR2B11と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号19で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号19で示されるアミノ酸配列の下記表2の(3)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(4)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR2L2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号22で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号22で示されるアミノ酸配列の下記表2の(5)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(6)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR1Q1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号25で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号25で示されるアミノ酸配列の下記表2の(7)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(8)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR10P1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号28で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号28で示されるアミノ酸配列の下記表2の(9)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(10)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR4L1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号31で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号31で示されるアミノ酸配列の下記表3の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドである、
    請求項1~8のいずれか1項記載の方法。
    Figure 2023084479000010
    Figure 2023084479000011
    Figure 2023084479000012
  10. 前記OR11G2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号34で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、配列番号34で示されるアミノ酸配列の下記表4の(1)の各アミノ酸位置に相当する位置の少なくとも1箇所に(2)のアミノ酸残基を有し、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドである、請求項2~9のいずれか1項記載の方法。
    Figure 2023084479000013
  11. 前記OR12D3と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号3で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR12D2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号6で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11H7と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号9で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11L1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号12で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11H12と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号15で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR11H2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号18で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR2B11と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号21で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR2L2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号24で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR1Q1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号27で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR10P1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号30で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドであり、
    前記OR4L1と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号33で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつスカトールに応答性を有するポリペプチドである、
    請求項1~6のいずれか1項記載の方法。
  12. 前記OR11G2と同等の機能を有するポリペプチドが、配列番号36で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつインドール及びスカトールからなる群より選択される少なくとも1種に応答性を有するポリペプチドである、請求項2~6のいずれか1項記載の方法。
  13. 前記嗅覚受容体ポリペプチドに試験物質を添加すること、及び
    該試験物質に対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること、
    を含む、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
  14. 前記試験物質に対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を増強する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択することをさらに含む、請求項13記載の方法。
  15. 対照群における前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することをさらに含む、請求項13記載の方法。
  16. 前記試験物質に対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を前記対照群と比べて増強する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択することをさらに含む、請求項15記載の方法。
  17. 前記嗅覚受容体ポリペプチドに試験物質及び該嗅覚受容体ポリペプチドのアゴニストを添加すること、及び
    該アゴニストに対する該嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定すること、
    を含む、請求項1~12のいずれか1項記載の方法。
  18. 前記アゴニストに対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を抑制する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択することをさらに含む、請求項17記載の方法。
  19. 対照群における前記アゴニストに対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を測定することをさらに含む、請求項17記載の方法。
  20. 前記アゴニストに対する前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答を前記対照群と比べて抑制する試験物質を、複素環式芳香族化合物を原因とするにおいの抑制剤として選択することをさらに含む、請求項19記載の方法
  21. 前記嗅覚受容体ポリペプチドの応答が、ELISAもしくはレポータージーンアッセイによる細胞内cAMP量測定、カルシウムイメージングもしくはTGFα shedding assayによるカルシウムイオン量測定、又はアフリカツメガエル卵母細胞を用いた二電極膜電位固定法による細胞膜内外の電位変化測定により測定される、請求項1~20のいずれか1項記載の方法。
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