JP2023084401A - 列車制御装置および列車制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】地上からの車上子の高さが変化しても地上子情報を用いて高精度な停車制御を実行する。【解決手段】実施形態の列車制御装置は、走行路を走行する列車の速度を算出する速度演算部と、前記走行路に設置された地上子から送信された前記地上子の位置情報を含む地上子情報を、車上子を介して検出する地上子検出処理部と、前記地上子情報を検出した時間の長さ、および、前記列車の速度に基づいて、前記地上子を検出した距離である地上子検出距離を算出する地上子検出距離演算部と、前記地上子検出距離の中間地点を前記地上子の中心位置と認識し、前記中心位置を基準に前記地上子の位置補正を行って地上子位置補正値を算出する地上子位置補正値演算部と、を備える。【選択図】図4
Description
本実施形態は、列車制御装置および列車制御方法に関する。
従来から、列車を定位置に停車させるために、例えば、線路上の停車目標位置よりも手前の地点に、停車位置情報等を列車に送る地上子を設置する。そして、列車に搭載された列車制御装置は、地上子から送信された情報(地上子情報)を列車に取り付けられた車上子経由で取得し、地上子情報を用いて算出した減速パターンに基づいて、列車を定位置で停車させるための停車制御を行う。
従来技術では、地上子情報を採用するタイミングを、地上子情報の検出を終了したタイミングとしている。しかしながら、この従来技術では、地上子情報を検出する車上子の高さの変化を考慮できていない。つまり、車上子は車両の床下に設置されており、列車の運用により車輪がすり減ることで地上からの車上子の高さが低くなる。車上子が地上(地上子)と近くなることによって地上子情報を検出する時間が長くなるため、車輪がすり減る前よりも地上子情報の検出終了のタイミングが遅くなる。これにより、地上子情報を用いた停車制御の精度が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、地上からの車上子の高さが変化しても地上子情報を用いて高精度な停車制御を実行することができる列車制御装置および列車制御方法を提供することを課題とする。
実施形態の列車制御装置は、走行路を走行する列車の速度を算出する速度演算部と、前記走行路に設置された地上子から送信された前記地上子の位置情報を含む地上子情報を、車上子を介して検出する地上子検出処理部と、前記地上子情報を検出した時間の長さ、および、前記列車の速度に基づいて、前記地上子を検出した距離である地上子検出距離を算出する地上子検出距離演算部と、前記地上子検出距離の中間地点を前記地上子の中心位置と認識し、前記中心位置を基準に前記地上子の位置補正を行って地上子位置補正値を算出する地上子位置補正値演算部と、を備える。
以下、本発明の実施形態の列車制御装置1について、図面を参照しながら説明する。理解を容易にするために、まず、従来技術についてあらためて説明する。
列車制御装置の一種として、例えば、TASC(Train Automatic Stop-position Controller)がある。TASCは、定位置に列車を停車させるために、停車位置までの減速パターン(制御パターン)を演算し、その減速パターンに従って自動ブレーキを実行することで定位置停車を行う。そして、走行地点ごとの停車位置の情報を認識するために、停車位置情報や地上子位置補正値等を含む地上子情報を列車に送る地上子を線路上に設置し、列車に取り付けた車上子で地上子情報を受信する。
TASCは、受信した地上子情報をもとに算出した減速パターンに従って適切なブレーキ力で減速することで、停車位置に合わせた停車を行う。なお、TASC用の地上子は停車位置から所定距離手前に設置する規定となっているが、所定距離手前に設置できない場合に地上子設置位置の規定設置位置からのずれを補正する補正値を地上子の補正値として用いる。TASCは、停車位置までの補正値を地上子情報として受信することで、認識した地上子位置を補正する。なお、位置情報の補正のために、位置補正用の地上子を別途設置する鉄道事業者も見受けられる。
従来、地上子情報を採用するタイミングは地上子検出を終了したタイミングとしてきたが、その手法では地上子を検出する車上子の高さを考慮できていない。車上子は先頭車両(両端)の床下に設置されており、列車の運用により車輪がすり減ることで地上からの高さが低くなる。車上子が地上(地上子)と近くなることによって地上子を検出する時間が長くなるため、車輪がすり減る前よりも地上子検出終了のタイミングが遅くなる。地上子の検出遅れにより、地上子位置補正値の採用が遅れることで補正開始のタイミングに遅延が生じてしまうため、停車位置は徐々に奥側にずれていく。この検出遅れに対しては、停車精度の悪い走行データを確認し、地上子検出時間の遅れに関するパラメータを逐一調整、更新することで対応してきた。なお、車上子の高さの調整は鉄道事業者により定期的に実施されている。
図1は、従来技術における地上子情報を採用するタイミングの説明図である。図1(a)において、縦軸は列車の速度で、横軸は時間である。図1(b)は、図1(a)に対応した地上子の位置を示す。図1(c)に示すように、時間tstt(列車速度Vstt)に地上子の検出を開始し、時間tend(列車速度Vend)に地上子の検出を終了する。この時間tendは、車上子と地上子の距離に応じて変化する。
図2は、地上子の高さと応動範囲の関係の説明図である。車上子が符号C1の高さのときと、車上子が符号C2の高さのときとで、車上子の地上子応動範囲(地上子と通信可能な範囲)は、時間差T1と時間差T2で示すように、異なる。これにより、地上子情報を用いた停車制御の精度が低下するという問題がある。
そこで、以下では、地上からの車上子の高さが変化しても地上子情報を用いて高精度な停車制御を実行することができる技術について説明する。
(実施形態)
まず、図3、図4を参照して、本実施形態の概要について説明する。図3は、実施形態における地上子の設置位置等の説明図である。図4は、実施形態における地上子位置補正の説明図である。
図3を用いて、本実施形態の前提について説明する。図3において、縦軸は列車の速度で、横軸は時間である。TASC用の地上子は、停車目標位置からX(m)手前に設置する規定となっている。しかし、停車位置からX(m)手前に設置できない場合に、地上子の規定設置位置からのずれを補正する補正値y(m)を地上子の補正値として用いる。TASCは、補正値y(m)を含めた地上子情報を受信することで、認識した地上子位置を補正する。
また、図4(a)において、縦軸は列車の速度で、横軸は時間である。図4(b)は、図4(a)に対応した地上子の位置を示す。図4(c)に示すように、時間tstt(列車速度Vstt)に地上子の検出を開始し、時間tend(列車速度Vend)に地上子の検出を終了する。
TASC(図5の列車制御装置1)は、検出開始時間tsttと検出終了時間tendから算出した地上子検出時間と、列車速度Vstt、Vendの中間値を用いて、地上子検出時間の中心から検出終了時間tendまでの時間Tmidと、時間Tmidの間の走行距離a(m)を算出する。そして、TASCは、走行距離a(m)と地上子設置位置規定値X(m)と地上子設置位置補正値y(m)とを用いて、地上子中心位置を算出し、地上子中心位置を考慮した演算用の補正値を採用することで、精度の高い制御パターンを算出し、停車位置の精度を安定させることができる。以下、図5、図6を用いて詳細に説明する。
図5は、実施形態の列車100の概要構成ブロック図である。レール300には地上子200が設置されている。列車100は、列車制御装置1と、車輪2と、速度発電機3と、車上子4と、車輪21と、モータ22と、ブレーキ23と、を備える。なお、矢印は主な情報の流れを示しており、矢印のない部分を情報が流れてもよい。また、列車制御装置1以外の構成については、説明を適宜簡略化する。
速度発電機3は、車輪2の回転速度に応じたパルス信号を出力する。
車上子4は、走行路に設置された地上子200から送信された地上子情報(地上子200の位置情報を含む。)を受信する。
モータ22は、列車制御装置1からの制御信号に応じて回転する。
ブレーキ23は、列車制御装置1からの制御信号に応じて制動動作する。
列車制御装置1は、処理部と記憶部を備えるコンピュータ装置であり、符号5~17で示す各構成を備える。
パルス処理部5は、速度発電機3から入力したパルス信号を処理する。
車輪径入力部6は、外部から入力した車輪径情報を速度演算部7や実車輪径演算部17に出力する。
速度演算部7は、パルス処理部5で処理した情報と車輪径入力部6から入力した車輪径情報に基づいて、列車100の速度(列車速度)を算出する。
地上子検出処理部8は、地上子200から送信された地上子情報を、車上子4を介して検出して処理する。
残距離演算部9は、地上子検出処理部8で処理された情報と、速度演算部7によって算出された列車速度に基づいて、停車位置までの残距離を算出する。
地上子検出距離演算部10は、地上子情報を検出した時間の長さ、および、列車速度に基づいて、地上子200を検出した時間である地上子検出時間と、地上子200を検出した距離である地上子検出距離と、を算出する。
地上子位置補正値演算部11は、地上子検出距離の中間地点を地上子200の中心位置と認識し、その中心位置を基準に地上子200の位置補正を行って地上子位置補正値を算出する。なお、中間地点とは、厳密な中間地点だけを意味するものではなく、中間地点から所定割合だけずれた地点であってもよい。
地上子位置補正値DB12は、DB用数値演算部16による演算結果を保存する。
地上子位置補正値判定部13は、地上子位置補正値演算部11によって算出された地上子位置補正値(第1の地上子位置補正値)と、地上子200の検出終了タイミング等に地上子位置補正値DB12における学習結果に基づいて取得した第2の地上子位置補正値と、を比較し、列車100の進行方向を基準に手前側の値を採用する。なお、例えば、第1の地上子位置補正値の算出が終わるまでの時間は第2の地上子位置補正値をパターン演算処理部14で使用するようにしてもよい。
パターン演算処理部14は、速度演算部7により算出された現在の列車速度と、残距離演算部9により算出された停車位置までの残距離と、地上子位置補正値判定部13によって採用(使用判定)された値(第1の地上子位置補正値、第2の地上子位置補正値のいずれか)に基づいて、停車位置までの適切な制御パターン(減速パターン)を算出する。
停車位置判定部15は、残距離演算部9によって算出された残距離等に基づいて、実際の停車位置が規定の停車位置(停車目標位置)に比べて、手前(SHORT)/一致(JUST)/奥(OVER)のいずれであるかを判定する。
DB用数値演算部16は、地上子位置補正値演算部11が複数回演算した結果や残距離情報等に基づいて、地上子200の検出開始から検出終了までの時間の長さの平均値と、地上子位置補正値を用いて制動制御された列車100の停車位置と、の関係を学習して学習結果を地上子位置補正値DB12に保存する。
実車輪径演算部17は、列車100の車輪(車輪2、21)について、地上子位置補正値判定部13によって採用された値(第1の地上子位置補正値、第2の地上子位置補正値のいずれか)に基づいて実際の車輪径を算出(推定)する。実車輪径演算部17は、例えば、算出した車輪径に基づいて列車100の制動制御に用いるパラメータを算出する。
また、実車輪径演算部17は、例えば、算出した車輪径が所定閾値以下の場合に、メンテナンスが必要である旨を通知(外部出力、音声出力、表示等)する。
図6は、実施形態の列車制御装置1による処理を示すフローチャートである。ここでは、主な処理の流れについて説明する。
まず、ステップS1において、速度演算部7は、パルス処理部5で処理した情報と車輪径入力部6から入力した車輪径情報に基づいて、列車100の速度を算出する。
次に、ステップS2において、残距離演算部9は、地上子検出処理部8で処理された情報と、速度演算部7によって算出された列車速度に基づいて、停車位置までの残距離を算出する。
次に、ステップS3において、地上子位置補正値演算部11は、地上子検出距離の中間地点を地上子200の中心位置と認識し、その中心位置を基準に地上子200の位置補正を行って地上子位置補正値を算出する。なお、このステップS3では、地上子位置補正値判定部13が、第1の地上子位置補正値と第2の地上子位置補正値のうちの手前側の値を採用するようにしてもよい。
次に、ステップS4において、パターン演算処理部14は、現在の列車速度と、停車位置までの残距離と、地上子位置補正値判定部13によって採用された値(第1の地上子位置補正値、第2の地上子位置補正値のいずれか)に基づいて、停車位置までの適切な制御パターン(減速パターン)を算出する。
次に、ステップS5において、パターン演算処理部14は、算出した制御パターンに基づいて列車100を停車制御(減速制御)する。
次に、ステップS6において、停車位置判定部15は、残距離等に基づいて、実際の停車位置が規定の停車位置(停車目標位置)に比べて手前/一致/奥のいずれであるかを判定する。
このように、本実施形態の列車制御装置1によれば、図4を用いて説明した計算法を用いることで、地上からの車上子4の高さが変化しても地上子情報を用いて高精度な停車制御を実行することができる。
また、地上子位置補正値DB12に保存した学習結果に基づいて取得した第2の地上子位置補正値を用いることで、さらに高精度な停車制御を実行することができる。
また、第1の地上子位置補正値と第2の地上子位置補正値のうち手前側の値を採用することにより、列車100が停車位置をオーバーする可能性を低減できる。
また、算出した実際の車輪径に基づいて列車100の制動制御に用いるパラメータを算出することにより、パラメータの精度が向上する。
また、算出した実際の車輪径が所定閾値以下の場合にメンテナンスが必要である旨を通知することにより、係員は車輪がメンテナンスの必要な状態であることを知ることができ、必要な対策を講じることができる。また、車上子4の高さの調整周期の長期化やメンテナンスの省力化が可能となる。
また、位置補正用地上子を設置している鉄道事業者については、位置補正用地上子が不要となり、省コスト化につながる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
また、本実施形態の列車制御装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータ装置で読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができる。また、当該プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
1…列車制御装置、2…車輪、3…速度発電機、4…車上子、5…パルス処理部、6…車輪径入力部、7…速度演算部、8…地上子検出処理部、9…残距離演算部、10…地上子検出距離演算部、11…地上子位置補正値演算部、12…地上子位置補正値DB、13…地上子位置補正値判定部、14…パターン演算処理部、15…停車位置判定部、16…DB用数値演算部、17…実車輪径演算部、100…列車、200…地上子、300…レール
Claims (6)
- 走行路を走行する列車の速度を算出する速度演算部と、
前記走行路に設置された地上子から送信された前記地上子の位置情報を含む地上子情報を、車上子を介して検出する地上子検出処理部と、
前記地上子情報を検出した時間の長さ、および、前記列車の速度に基づいて、前記地上子を検出した距離である地上子検出距離を算出する地上子検出距離演算部と、
前記地上子検出距離の中間地点を前記地上子の中心位置と認識し、前記中心位置を基準に前記地上子の位置補正を行って地上子位置補正値を算出する地上子位置補正値演算部と、を備える列車制御装置。 - 前記地上子位置補正値演算部が複数回演算した結果に基づいて、前記地上子の検出開始から検出終了までの時間の長さの平均値と前記地上子位置補正値を用いて制動制御された前記列車の停車位置との関係を学習して学習結果を地上子位置補正値データベースに保存するデータベース用数値演算部をさらに備える、請求項1に記載の列車制御装置。
- 前記地上子位置補正値演算部によって算出された前記地上子位置補正値と、前記地上子位置補正値データベースにおける前記学習結果に基づいて取得した第2の地上子位置補正値と、を比較し、前記列車の進行方向を基準に手前側の値を採用する地上子位置補正値判定部を、さらに備える請求項2に記載の列車制御装置。
- 前記列車の車輪について、前記地上子位置補正値判定部が採用した値に基づいて実際の車輪径を算出し、前記車輪径に基づいて前記列車の制動制御に用いるパラメータを算出する実車輪径演算部を、さらに備える請求項3に記載の列車制御装置。
- 前記列車の車輪について、前記地上子位置補正値判定部が採用した値に基づいて実際の車輪径を算出し、前記車輪径が所定閾値以下の場合に、メンテナンスが必要である旨を通知する実車輪径演算部を、さらに備える請求項3に記載の列車制御装置。
- 走行路を走行する列車の速度を算出する速度演算ステップと、
前記走行路に設置された地上子から送信された前記地上子の位置情報を含む地上子情報を、車上子を介して検出する地上子検出処理ステップと、
前記地上子情報を検出した時間の長さ、および、前記列車の速度に基づいて、前記地上子を検出した距離である地上子検出距離を算出する地上子検出距離演算ステップと、
前記地上子検出距離の中間地点を前記地上子の中心位置と認識し、前記中心位置を基準に前記地上子の位置補正を行って地上子位置補正値を算出する地上子位置補正値演算ステップと、を含む列車制御方法。
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JP2021198562A JP2023084401A (ja) | 2021-12-07 | 2021-12-07 | 列車制御装置および列車制御方法 |
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JP2021198562A Pending JP2023084401A (ja) | 2021-12-07 | 2021-12-07 | 列車制御装置および列車制御方法 |
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