JP2023084383A - ポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法、射出成形品の製造方法及び射出成形品 - Google Patents

ポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法、射出成形品の製造方法及び射出成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】バイオマス由来の材料を用いて、成形性に優れ、透明性の高い成形品が得られるポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法を提供する。【解決手段】石油由来のポリプロピレンは、プロピレンの単重合体、及び、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体の少なくとも一方であり、植物由来のポリプロピレンは、プロピレンの単重合体、及び、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体の少なくとも一方であり、石油由来のポリプロピレンと植物由来のポリプロピレンとの合計に対する、植物由来のポリプロピレンの含有量は、10重量%以上、90重量%以下であり、温度230℃、荷重2.16Kgで測定した、石油由来及び植物由来のポリプロピレンのMFRは、ともに10g/10分以上であり、石油由来のポリプロピレンのMFRと、植物由来のポリプロピレンのMFRとの差は、50g/10分以下であるポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法、射出成形品の製造方法及び射出成形品に関する。
近年、バイオマス由来の材料を用い、地球環境に配慮した樹脂材料が検討されている。例えば、特許文献1には、原料の少なくとも一部がバイオマス由来の共重合体である不飽和オレフィン系熱可塑性樹脂Aと、該不飽和オレフィン系熱可塑性樹脂A100質量部に対して、10~150質量部の飽和オレフィン系熱可塑性樹脂Bを含有し、A硬度が20~95である熱可塑性エラストマー組成物であって、前記不飽和オレフィン系熱可塑性樹脂Aが、該組成物中において、有機過酸化物により動的架橋されたものである、熱可塑性エラストマー組成物が記載されている。上記熱可塑性エラストマー組成物によれば、バイオマス由来の原料を用いて柔らかい熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
特開2017-186443号公報
本発明者らは、バイオマス由来の材料を用い、かつ透明性の高い成形品が得られる樹脂材料について検討を行った。本発明者らは、石油由来の樹脂よりも酸化劣化が起こり難い重金属を含まないバイオマス由来の樹脂を使用して透明性の高い成形品を得ることを検討した。バイオマス由来の樹脂には、成形品が白濁しやすいポリエチレンではなく、透明性が得られ易いポリプロピレンを選択した。しかしながら、本発明者らの検討によると、ポリプロピレンを用いた場合であっても、単一のポリプロピレンでは、良好な成形性が得られないことが分かった。また、ポリプロピレンの重合体の種類やメルトフローレートの値によっては、良好な成形性が得られなかったり、成形品の透明性が低くなったりすることがあった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、バイオマス由来の材料を用いて、成形性に優れ、透明性の高い成形品が得られるポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法、上記ポリプロピレン系射出成形用材料を用いた射出成形品の製造方法、及び、上記射出成形品の製造方法により製造された透明性の高い射出成形品を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態は、石油由来のポリプロピレンと植物由来のポリプロピレンとを混合する混合工程を含み、上記石油由来のポリプロピレンは、下記化学式(1)で表される構造を含むプロピレンの単重合体、及び、下記化学式(1)で表される構造と下記化学式(2)で表される構造を含むプロピレンとエチレンとのランダム共重合体の少なくとも一方であり、上記植物由来のポリプロピレンは、下記化学式(1)で表される構造を含むプロピレンの単重合体、及び、下記化学式(1)で表される構造と下記化学式(2)で表される構造を含むプロピレンとエチレンとのランダム共重合体の少なくとも一方であり、上記石油由来のポリプロピレンと上記植物由来のポリプロピレンとの合計に対する、上記植物由来のポリプロピレンの含有量は、10重量%以上、90重量%以下であり、温度230℃、荷重2.16Kgで測定した、上記石油由来のポリプロピレンのメルトフローレート及び上記植物由来のポリプロピレンのメルトフローレートは、ともに10g/10分以上であり、上記石油由来のポリプロピレンのメルトフローレートと、上記植物由来のポリプロピレンのメルトフローレートとの差は、50g/10分以下であるポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法である。
Figure 2023084383000001
(上記化学式(1)中、n1は自然数である。)
Figure 2023084383000002
(上記化学式(2)中、n2は自然数である。)
上記植物由来のポリプロピレンは、植物由来の上記化学式(1)で表される構造を含むことが好ましい。
上記混合工程は、ドライブレンドにより行われることが好ましい。
本発明の他の実施形態は、上記ポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法により得られたポリプロピレン系射出成形用材料を射出成形する工程を含む射出成形品の製造方法である。
本発明の更に他の実施形態は、上記射出成形品の製造方法により製造され、全光線透過率が65%以上である射出成形品である。
本発明のポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法によると、バイオマス由来の材料を用いて、成形性に優れ、透明性の高い成形品が得られるポリプロピレン系射出成形用材料が得られる。上記ポリプロピレン系射出成形用材料を用いた本発明の射出成形品の製造方法によると、透明性が高い射出成形品を製造することができる。上記射出成形品の製造方法により製造された本発明の射出成形品は、バイオマス由来の材料を含み、透明性が高い。
本発明の一実施形態は、石油由来のポリプロピレンと植物由来のポリプロピレンとを混合する混合工程を含み、上記石油由来のポリプロピレンは、下記化学式(1)で表される構造を含むプロピレンの単重合体、及び、下記化学式(1)で表される構造と下記化学式(2)で表される構造を含むプロピレンとエチレンとのランダム共重合体の少なくとも一方であり、上記植物由来のポリプロピレンは、下記化学式(1)で表される構造を含むプロピレンの単重合体、及び、下記化学式(1)で表される構造と下記化学式(2)で表される構造を含むプロピレンとエチレンとのランダム共重合体の少なくとも一方であり、上記石油由来のポリプロピレンと上記植物由来のポリプロピレンとの合計に対する、上記植物由来のポリプロピレンの含有量は、10重量%以上、90重量%以下であり、温度230℃、荷重2.16Kgで測定した、上記石油由来のポリプロピレンのメルトフローレート及び上記植物由来のポリプロピレンのメルトフローレートは、ともに10g/10分以上であり、上記石油由来のポリプロピレンのメルトフローレートと、上記植物由来のポリプロピレンのメルトフローレートとの差は、50g/10分以下であるポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法である。
Figure 2023084383000003
(上記化学式(1)中、n1は自然数である。)
Figure 2023084383000004
(上記化学式(2)中、n2は自然数である。)
上記製造方法は、石油由来のポリプロピレンと植物由来のポリプロピレンとを混合する混合工程を含むポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法である。石油由来のポリプロピレン(以下、石油由来PPともいう)と植物由来のポリプロピレン(以下、植物由来PPともいう)とを併用することで、成形品の表面にヒケ(成形品の表面に発生する窪み)が発生することを抑制することができる。上記ヒケは、射出成形において発生する外観不良の一つである。一般的な射出成形によって成形される成形品では、成形品内部では表面付近に対して冷却が遅くなり結晶化度が高まるが、成形品表面では冷却が速く、結晶化度が低くなる。このようにして生じる成形品内部と表面との結晶化度の差に起因して、ヒケが発生すると考えられる。つまりは、成形品内部と表面で結晶化度が同等であれば、ヒケが発生し難いと考えられる。石油由来PPのみ、又は植物由来PPのみを用いて射出成形した場合と比較して、石油由来PPと植物由来PPとを混合することで結晶化が阻害され成形品内部と表面の結晶化度の差が小さくなったため、ヒケの発生が抑制されたものと考えられる。
上記石油由来のポリプロピレンは、石油由来材料から合成されるポリプロピレンであり、後述するバイオマス度が20%未満であることが好ましく、10%未満であることがより好ましく、5%未満であることが更に好ましく、0%であることが特に好ましい。
上記植物由来のポリプロピレンは、植物由来材料から合成されるポリプロピレンであり、後述するバイオマス度が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であること更に好ましい。植物由来のポリプロピレンには、石油由来の重金属(カドミウム、鉛、クロム、水銀等)が実質的に含まれず、例えば、植物由来のポリプロピレン全体に対して0.01重量%以下であるため、重金属による触媒反応が起こり難い。そのため、植物由来のポリプロピレンを用いることで、成形品の酸化劣化を低減できる。なお、石油由来のポリプロピレンに含まれる重金属は、石油由来のポリプロピレン全体に対して0.25~0.30重量%程度である。上記植物由来のポリプロピレンは、例えば、植物を原料としてエタノール、イソプロパノール等を製造し、得られたエタノール、イソプロパノール等からポリプロピレンを合成することで得られる。
バイオマス度は、樹脂中の下記式(3)で表される放射性炭素同位体14Cの存在比を測定し、14Cの存在比が1.0×10-12の場合をバイオマス度100%とする。下記式(3)中、14C,13C,12Cは、放射性炭素同位体14C,13C,12Cの濃度を表す。14Cの存在比は、加速器質量分析(AMS)法により測定できる。測定装置としては、6MV AMSシステム・MC-SNICS 40・Gas MC-SNICS 40(National Electrostatics Corporation(NEC)社製、USA)を用いることができる。
放射性炭素同位体14Cの存在比=14C/(14C+13C+12C) (3)
本明細書中、ポリプロピレン系射出成形用材料とは、主成分としてポリプロピレンを含む射出成形用材料をいい、例えば、射出成形用材料全体に対するポリプロピレンの含有量は、90重量%以上である。ポリプロピレンは、耐熱性、剛性に優れた樹脂であり、ポリエチレンと比較して高い透明性を得ることができる。
上記石油由来のポリプロピレンは、上記化学式(1)で表される構造を含むプロピレンの単重合体、及び、上記化学式(1)で表される構造と上記化学式(2)で表される構造を含むプロピレンとエチレンとのランダム共重合体の少なくとも一方である。また、上記植物由来のポリプロピレンは、上記化学式(1)で表される構造を含むプロピレンの単重合体、及び、上記化学式(1)で表される構造と上記化学式(2)で表される構造を含むプロピレンとエチレンとのランダム共重合体の少なくとも一方である。以下、「化学式(1)で表される構造を含むプロピレンの単重合体」を、「プロピレンの単重合体」ともいい、「化学式(1)で表される構造と化学式(2)で表される構造とを含むプロピレンとエチレンとのランダム共重合体」を、「プロピレンとエチレンとのランダム共重合体」ともいう。石油由来PP及び植物由来PPがともに、プロピレンの単重合体、又は、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体であることで、透明性の高い成形品を得ることができる。
上記プロピレンの単重合体は、プロピレンのみから合成されることが好ましい。すなわち、上記化学式(1)で表される構造のみを含むことが好ましい。
上記プロピレンとエチレンとのランダム共重合体は、プロピレンとエチレンから合成されることが好ましい。すなわち、上記化学式(1)で表される構造と上記化学式(2)で表される構造のみを含むことが好ましい。
上記ランダム共重合体全体に対する、上記化学式(2)で表される構造の含有量(エチレン含有量)は、0.1重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。
上記エチレン含有量は、P.E.Wei:Anal.Chem.,33,215(1961)に記載された方法を基に、フーリエ変換赤外分光分析法(FT-IR)により測定することができる。FT-IRにより吸収ピークの高さを測定し、メチル基に由来する吸収1150cm-1とメチレン基に由来する720cm-1との比を求め、エチレン含有量が既知のサンプルを用いて予め作成した検量線から、エチレン含有量を推定することができる。
上記石油由来PP及び上記植物由来PPは、プロピレンと、エチレン等の他の樹脂とのブロック共重合体を含まないことが好ましい。石油由来PP又は植物由来PPとして、プロピレンとエチレンとのブロック共重合体を用いた場合は、得られる成形品の透明性が低下することがある。ブロック共重合体は上記化学式(2)で表されるエチレン由来の構造が連続して存在する部分を有するため、ブロック共重合体を用いると、ポリエチレンを用いた場合のように成形品が白濁してしまい、高い透明性が得られないことがある。また、ブロック共重合体を用いるとヒケが発生し易くなる。上記化学式(2)で表されるエチレン由来の構造が連続して存在する部分は結晶化が比較的速く、上記化学式(1)で表されるプロピレン由来の構造が連続して存在する部分は結晶化が比較的遅い。そのため、ブロック共重合体を用いると結晶状態が不均一となり、成形品の内部と表面とで結晶化度に差が生じやすくなり、ヒケが発生すると考えられる。
高い透明性が得られるという観点からは、石油由来PPと植物由来PPの少なくとも一方がランダム共重合体であることが好ましく、両方がランダム共重合体であることがより好ましい。ランダム共重合体は、プロピレン鎖中にエチレン由来の構造が不連続かつランダムに存在するため、プロピレンの結晶化を抑制し、より高い透明性が得られるものと考えられる。更に、植物由来PPのランダム共重合体の含有量を石油由来PPのランダム共重合体の含有量よりも多くすることで、透明性をより高くすることができる。成形品の耐寒衝撃性を高める観点からも、石油由来PPと植物由来PPの少なくとも一方がランダム共重合体であってもよい。成形品をリサイクルしやすいという観点からは、石油由来PPと植物由来PPが共にプロピレンの単重合体であってもよい。
上記植物由来のポリプロピレンは、植物由来の上記化学式(1)で表される構造を含むことが好ましい。上記植物由来のポリプロピレンは、植物由来の上記化学式(1)で表される構造のみを含む植物由来のプロピレンの単重合体であってもよい。上記植物由来のポリプロピレンは、上記化学式(2)で表されるエチレン由来の構造と、植物由来の上記化学式(1)で表されるプロピレン由来の構造とを含むランダム共重合体であってもよい。上記化学式(2)で表される構造は、植物由来であってもよいし、石油由来であってもよい。
上記石油由来のポリプロピレンと上記植物由来のポリプロピレンとの合計に対する、上記植物由来のポリプロピレンの含有量は、10重量%以上、90重量%以下である。上記植物由来PPの含有量を上記範囲とすることで、成形品の表面にヒケが発生することを抑制することができる。上記植物由来PPの含有量が10重量%未満であると、石油由来PPの含有量が多くなり過ぎ、上記植物由来PPの含有量が90重量%を超えると、植物由来PPの含有量が多くなり過ぎる。いずれの場合も成形品の内部と表面付近との結晶化度の差が大きくなるため、ヒケが発生する。
上記石油由来PPと上記植物由来PPとの合計に対する、上記植物由来PPの含有量の好ましい下限は20重量%、好ましい上限は70重量%であり、より好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は60重量%である。
温度230℃、荷重2.16Kgで測定した上記石油由来のポリプロピレンのメルトフローレート、及び、温度230℃、荷重2.16Kgで測定した上記植物由来のポリプロピレンのメルトフローレートは、ともに10g/10分以上である。上記石油由来PP及び/又は上記植物由来PPの上記MFRが10g/10分未満であると、ポリプロピレン系射出成形用材料の流動性が低下する。ポリプロピレン系射出成形用材料の流動性が低下すると、石油由来PPと植物由来PPとを充分に混合できず、成形品の透明性が低下することがある。また、射出成形時に高いせん断力がかかるため、酸化劣化が促進し、黄変することもある。上記石油由来PP及び上記植物由来PPのMFRの上限は、成形品のバリを抑制できる観点からは100g/10分以下であることが好ましい。本明細書中、メルトフローレート(以下、MFRともいう)は、JISK7210-1に準拠し、温度230℃、荷重2.16Kg(230℃/2.16Kg)で測定した数値である。
上記石油由来PP及び上記植物由来PPの少なくとも一方のMFR(230℃/2.16Kg)の好ましい下限は15g/10分、より好ましい下限は20g/10分であり、より好ましい上限は50g/10分である。上記石油由来PP及び上記植物由来PPの両方のMFR(230℃/2.16Kg)が15g/10分以上であることが好ましく、20g/10分以上であることがより好ましい。
温度230℃、荷重2.16Kgで測定した上記石油由来のポリプロピレンのメルトフローレートと、温度230℃、荷重2.16Kgで測定した上記植物由来のポリプロピレンのメルトフローレートとの差は、50g/10分以下である。上記MFRの差を50g/10分以下とすることで、石油由来PPと石油由来PPとの混合性が良好となり、透明性の高い成形品を得ることができる。上記MFRの差が50g/10分を超えると、成形品の透明性が低下する。なお、上記MFRの差とは、石油由来PPのMFRと、石油由来PPのMFRとの差の絶対値をいう。
上記石油由来PPのMFR(230℃/2.16Kg)と上記植物由来PPのMFR(230℃/2.16Kg)との差の好ましい上限は40g/10分であり、より好ましい上限は20g/10分であり、更に好ましい上限は10g/10分である。
上記ポリプロピレン系射出成形用材料は、結晶核剤、帯電防止剤等の添加剤を含んでもよい。上記添加剤の含有量は、上記石油由来PP及び上記植物由来PPの合計量に対して、5重量%未満であることが好ましい。
上記結晶核剤としては、例えば、ポリプロピレンを含む結晶核剤マスターバッチとして、大日精化株式会社製のクリアマスター(登録商標)PP-RM-SKZ H8020等が挙げられる。上記帯電防止剤としては、例えば、ポリプロピレンを含む帯電防止剤マスターバッチとして、大日精化株式会社製のエレコン(登録商標)PP220S等が挙げられる。
上記混合工程は、ドライブレンドにより行われることが好ましい。ドライブレンドは、乾式混合ともいい、加熱による溶融を行わない混合方法である。上記ドライブレンドは、例えば、常温(20℃±15℃)で行われてもよい。上記ドライブレンドは、水、有機溶剤等の溶媒を添加せずに行われることが好ましい。また、上記ドライブレンドでは、全ての材料がペレット状であることが好ましい。射出成形では、樹脂材料が加熱シリンダ内のスクリュによって溶融かつ混合され、金型へと射出される。スクリュによる溶融では、樹脂材料に対して圧縮力が加えられることで、混合状態がよりよくなる。ドライブレンドされた材料は、圧縮力が加わりやすいことから、射出成形の材料として好適である。
上記ドライブレンドの方法としては、例えば、ペレット状の石油由来PP及び植物由来PPを準備し、両ペレットを混合する方法が挙げられる。二軸混合機等により、石油由来PPと植物由来PPとを溶融混合する場合と比較して、熱とせん断力が加わらないため、ポリプロピレン系射出成形用材料の熱劣化を抑制することができる。そのため、成形品の黄変を抑制し、透明性の高い成形品を得ることができる。なお、上記混合工程は、後述する射出成形機に投入する前の工程であり、射出成形機内における溶融混合を意味するものではない。
ドライブレンドする混合機としては、例えば、スーパーミキサー(SMV-20Ba、株式会社カワタ製)等を用いることができる。上記二軸混合機としては、例えば、二軸混合機(TEX30α、株式会社日本製鋼所製)等が挙げられる。
本発明の他の実施形態は、上記ポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法により得られたポリプロピレン系射出成形用材料を射出成形する工程を含む射出成形品の製造方法である。
上記ポリプロピレン系射出成形用材料を射出成形する工程(射出工程)は、例えば、ポリプロピレン系射出成形用材料を射出成形機に投入して溶融混合した後、溶融したポリプロピレン系樹脂組成物を金型に射出する工程であってもよい。上記溶融混合は、例えば、160~260℃で行われてもよい。
上記射出成形機としては、例えば、射出成形用材料を投入するホッパ、射出成形用材料を溶融混合する加熱シリンダ、上記加熱シリンダ内に配置され溶融樹脂を混合しつつ押し出すスクリュ、溶融樹脂を金型に射出するノズルを備えた射出成形機が挙げられる。上記射出成形機としては、日精樹脂工業株式会社製のNEX180III等を用いることができる。
本発明の更に他の実施形態は、上記射出成形品の製造方法により製造され、全光線透過率が65%以上である射出成形品であってもよい。上記全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠した方法で測定される。上記全光線透過率の測定装置としては、例えば、日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いることができる。上記全光線透過率は70%以上であることがより好ましく、73%以上であることが更に好ましく、76%以上であることが特に好ましい。
上記射出成形品の厚さは、例えば0.3~5.0mmであってもよい。
本実施形態に係る射出成形品は、全光線透過率が65%以上という高い透明性を有し、更にポリプロピレンからなるため、優れた耐熱性及び剛性を有する。本実施形態に係る射出成形品の用途は、特に限定されないが、透明プラスチックやガラスに代えて用いることができ、例えば、食品用/常備薬用/工具用/化粧品用等の容器;非常用スイッチ/照明器具等の保護カバー等に用いることができる。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(配合原料)
実施例及び比較例の射出成形用材料を調製するために使用した配合原料を下記表1に示した。下記表1のランダム共重合はプロピレンとエチレンとのランダム共重合であり、ブロック共重合体はプロピレンとエチレンとのブロック共重合体である。また、植物由来PPのランダム共重合体及び植物由来PPのブロック共重合体は、プロピレンとして植物由来のプロピレンを含む。下記表1に示したランダム共重合体は、いずれもエチレン含有量が10重量%以下のものを用いた。下記表1に示した石油由来PP、植物由来PPはいずれもペレット状に加工された製品である。表1中のバイオマス度は、上記式(3)放射性炭素同位体14Cの存在比から算出された値である。
Figure 2023084383000005
<ポリプロピレン系射出成形用材料の製造>
(実施例1)
石油由来PPと植物由来PPとを表2に示した種類及び割合で配合し、更に、結晶核剤マスターバッチ(大日精化株式会社製、クリアマスター PP-RM-SKZ H8020)を3重量%、帯電防止剤マスターバッチ(大日精化株式会社製 エレコン PP220S)を3重量%加え、ドライブレンドを行い実施例1に係るポリプロピレン系射出成形用材料を作製した。上記ドライブレンドは、スーパーミキサー(SMV-20Ba、株式会社カワタ製)を用いて、常温(20℃±15℃)で、回転速度500rpmで30秒混合した。上記結晶核剤マスターバッチ及び帯電防止剤マスターバッチの含有量は、それぞれ、石油由来PPと植物由来PPの合計に対する含有量である。
(実施例2~9、比較例1、2、6~10)
石油由来PPと植物由来PPとを表2に示した種類及び割合に変更した点以外は、実施例1と同様にして、実施例2~9、比較例1、2、6~10に係るポリプロピレン系射出成形用材料を作製した。
(比較例3)
植物由来PPを用いず、石油由来PPのみを用いた点以外は、実施例1と同様にして、比較例3に係るポリプロピレン系射出成形用材料を作製した。
(比較例4)
石油由来PPを用いず、植物由来PPのみを用いた点以外は、実施例1と同様にして、比較例4に係るポリプロピレン系射出成形用材料を作製した。
(比較例5)
石油由来PPと植物由来PPとを表2に示した種類及び割合で配合し、更に、実施例1と同様に結晶核剤マスターバッチを3重量%、帯電防止剤マスターバッチを3重量%加えた後、二軸混合機(TEX30α、株式会社日本製鋼所)を用いて溶融混合し、比較例5に係るポリプロピレン系射出成形用材料を作製した。二軸混合の製造条件は、同方向2軸回転で、回転速度280rpm、シリンダ温度230℃とし、ストランド水冷方式、吐出量23kg/時とした。
<射出成形品の作製>
実施例及び比較例で得られたポリプロピレン系射出成形用材料を射出成形装置(NEX180III、日精樹脂工業株式会社製)に投入して、シリンダ温度220℃でポリプロピレン系射出成形用材料を溶融させた。溶融したポリプロピレン系樹脂組成物を金型(温度30℃)に射出し、厚さ3mmの板状の射出成形品を作製した。
<評価>
実施例及び比較例に係るポリプロピレン系射出成形用材料の流動性を評価した。また、得られた射出成形品について、ヒケ及び黄変の発生を確認し、更に全光線透過率を測定した。結果を下記表2に示した。下記表2中、MFRは、JISK7210-1に準拠し、温度230℃、荷重2.16Kgで測定した数値である。
(流動性)
実施例及び比較例に係るポリプロピレン系射出成形用材料について、それぞれ300回射出成形を行い、以下の基準で流動性を評価した。
◎:金型への未充填なし
〇:金型への未充填が1回
△:金型への未充填が2又は3回
×:金型への未充填が4回以上
(ヒケの発生)
実施例及び比較例に係るポリプロピレン系射出成形用材料について、それぞれ50回射出成形を行い、得られた各50個の射出成形品の表面を目視にて確認し、以下の基準でヒケの評価を行った。なお、光学的なひずみとは、成形品表面の凹部(ヒケ)により周囲よりも光の屈折率が変化している部分をいう。
◎:光学的なひずみが確認された成形品なし
〇:光学的なひずみが確認された成形品の数が1~3個
△:光学的なひずみが確認された成形品の数が4又は5個
×:光学的なひずみが確認された成形品の数が6個以上
(黄変)
実施例及び比較例に係るポリプロピレン系射出成形用材料について、それぞれ50回射出成形を行い、得られた各50個の射出成形品の表面を目視にて確認し、以下の基準で黄変の評価を行った。
◎:黄変が確認された成形品なし
○:黄変が確認された成形品の数が1又は2個
△:黄変が確認された成形品の数が3又は4個
×:黄変が確認された成形品の数が5個以上
(全光線透過率)
得られた射出成形品の全光線透過率は、日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用い、JIS K 7361-1に準拠した方法で測定した。
Figure 2023084383000006
実施例1~9はいずれも流動性が良好であり、ヒケ及び黄変の発生が抑制されていた。また、いずれも65%以上の全光線透過率が得られた。石油由来PPと植物由来PPの少なくとも一方をランダム共重合体とした実施例2~5、8、9ではより高い全光線透過率が得られ、特に石油由来PPと植物由来PPの両方をランダム共重合体とした実施例2、5、9では更に高い全光線透過率が得られた。加えて、実施例9は、石油由来PPと植物由来PPのMFR差が小さいことからも、透明性が高くなったと考えられる。
一方で、石油由来PPと植物由来PPの合計に対する植物由来PPの含有量が10重量%未満である比較例1、3及び5と、上記植物由来PPの含有量が90重量%を超える比較例2及び4は、ヒケが発生した。更に二軸混合を行った比較例5は目視にて黄変が確認され、また比較例5は全光線透過率が低かった。石油由来PPのMFRが10g/10分未満である比較例6は、流動性が不充分であった。石油由来PPと植物由来PPのMFRの差が50g/10分を超える比較例10も、流動性が不充分であった。流動性が不充分であった比較例6及び10は、樹脂の混合が不充分となり透明性が低下したと考えられる。また、石油由来PPと植物由来PPのいずれか一方でブロック共重合体を用いた比較例7~10は、透明性が低くなった。

Claims (5)

  1. 石油由来のポリプロピレンと植物由来のポリプロピレンとを混合する混合工程を含み、
    前記石油由来のポリプロピレンは、下記化学式(1)で表される構造を含むプロピレンの単重合体、及び、下記化学式(1)で表される構造と下記化学式(2)で表される構造を含むプロピレンとエチレンとのランダム共重合体の少なくとも一方であり、
    前記植物由来のポリプロピレンは、下記化学式(1)で表される構造を含むプロピレンの単重合体、及び、下記化学式(1)で表される構造と下記化学式(2)で表される構造を含むプロピレンとエチレンとのランダム共重合体の少なくとも一方であり、
    前記石油由来のポリプロピレンと前記植物由来のポリプロピレンとの合計に対する、前記植物由来のポリプロピレンの含有量は、10重量%以上、90重量%以下であり、
    温度230℃、荷重2.16Kgで測定した、前記石油由来のポリプロピレンのメルトフローレート及び前記植物由来のポリプロピレンのメルトフローレートは、ともに10g/10分以上であり、前記石油由来のポリプロピレンのメルトフローレートと、前記植物由来のポリプロピレンのメルトフローレートとの差は、50g/10分以下であることを特徴とするポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法。
    Figure 2023084383000007
    (上記化学式(1)中、n1は自然数である。)
    Figure 2023084383000008
    (上記化学式(2)中、n2は自然数である。)
  2. 前記植物由来のポリプロピレンは、植物由来の上記化学式(1)で表される構造を含むことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法。
  3. 前記混合工程は、ドライブレンドにより行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のポリプロピレン系射出成形用材料の製造方法により得られたポリプロピレン系射出成形用材料を射出成形する工程を含むことを特徴とする射出成形品の製造方法。
  5. 上記請求項4に記載の射出成形品の製造方法により製造され、全光線透過率が65%以上であることを特徴する射出成形品。
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