JP2023082570A - 化合物及びこれを用いた光電変換素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】暗電流をより低減させることができる半導体材料化合物及びこれを用いた光電変換素子を提供する。【解決手段】下記式(I)で表される化合物。A1―P―A2(I)(式(I)中、A1及びA2は、それぞれ独立して、電子求引性の1価の基であり、Pは、下記式(1)で表される2価の基である。)TIFF2023082570000089.tif31157(式(1)中、X、Z1、Z2、Z3、Z4、R、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、n及びmは、明細書にて定義のとおりである。)【選択図】図1

Description

本発明は、化合物及び当該化合物を半導体材料として用いた光電変換素子に関する。
光電変換素子は、例えば、省エネルギー、二酸化炭素の排出量の低減の観点から極めて有用なデバイスであり、注目されている。
光電変換素子とは、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に設けられる活性層とを少なくとも備える素子である。光電変換素子においては、上記一対の電極のうちの少なくとも一方の電極を透明又は半透明の材料から構成し、透明又は半透明とした電極側から活性層に光を入射させる。活性層に入射した光のエネルギー(hν)によって、活性層において電荷(正孔及び電子)が生成し、生成した正孔は陽極に向かって移動し、電子は陰極に向かって移動する。そして、陽極及び陰極に到達した電荷は、素子の外部に取り出される。
近年、光電変換素子においてはさらなる特性の向上が求められている。そのために、さらなる種々の半導体材料が開発され、報告されている(非特許文献1参照。)。
Organic Electronics 83(2020) 105739
しかしながら、上記非特許文献1が報告しているn型半導体材料として機能しうる化合物によっては、特に光検出素子である光電変換素子において要求される暗電流の低減させることが困難であった。
よって、暗電流をより低減させることができるさらなる半導体材料が求められている。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、後述する所定の構造を有する化合物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
よって、本発明は、下記〔1〕~〔14〕を提供する。
〔1〕 下記式(I)で表される化合物。

―P―A (I)

(式(I)中、
及びAは、それぞれ独立して、電子求引性の1価の基であり、
Pは、下記式(1)で表される2価の基である。)
Figure 2023082570000002
(式(1)中、
Xは、-S-で表される基、-O-で表される基、-Se-で表される基、又は-N(R)-で表される基を表し、
、Z、Z及びZは、それぞれ独立して、-C(R)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、-C(=O)-で表される基であって、Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基である場合には、他方が-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、又は-C(=O)-で表される基であり、Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基である場合には、他方が-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、又は-C(=O)-で表される基であり、
Rは、
水素原子、
ハロゲン原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、
置換基を有していてもよいアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいアリールチオ基、
置換基を有していてもよい1価の複素環基、
置換基を有していてもよい置換アミノ基、
置換基を有していてもよいアシル基、
置換基を有していてもよいイミン残基、
置換基を有していてもよいアミド基、
置換基を有していてもよい酸イミド基、
置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、
置換基を有していてもよいアルケニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
置換基を有していてもよいアルキニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキニル基、
シアノ基、
ニトロ基、
-C(=O)-Rで表される基、又は
-SO-Rで表される基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、
水素原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は
置換基を有していてもよい1価の複素環基を表し、複数あるRは、同一であっても異なっていてもよく、
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい3価の芳香族炭素環基又は置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい3価の芳香族複素環基であり、
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族炭素環基、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい-CH=CH-で表される基及び-C≡C-で表される基からなる群から選択され、Ar及びArがそれぞれ複数ある場合には、複数あるAr及び複数あるArは、同一であっても異なっていてもよく、
n及びmは、それぞれ独立して、0、1、2又は3である。)
〔2〕 Pが、下記式(1-4)又は式(2)で表される2価の基である、〔1〕に記載の化合物。
Figure 2023082570000003
(式(1-4)及び式(2)中、
X、Z、Z、Z、Z、Ar、Ar、n及びmは、前記定義のとおりであり、
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく複数の環構造がさらに縮環していてもよい芳香族炭素環又は置換基を有していてもよく複数の環構造がさらに縮環していてもよい芳香族複素環である。)
〔3〕 Pが、前記式(1-4)で表される2価の基である、〔2〕に記載の化合物。
〔4〕 Ar及びArが、それぞれ独立して、チオフェン環を含み、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族複素環基である、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の化合物。
〔5〕 Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基であり、他方が-O-で表される基であり、
及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基であり、他方が-O-で表される基である、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の化合物。
〔6〕 Z及びZが-C(R)-で表される基であり、Z及びZが-O-で表される基である、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の化合物。
〔7〕 Xが-S-で表される基、又は-O-で表される基である、〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の化合物。
〔8〕 Xが-S-で表される基である、〔7〕に記載の化合物。
〔9〕 A及びAが、それぞれ独立して、シアノ基、カルボニル基及びチオカルボニル基からなる群から選択される1種以上を含む電子求引性の基である、〔1〕~〔8〕のいずれか1つに記載の化合物。
〔10〕 p型半導体材料と、n型半導体材料とを含み、該n型半導体材料として、〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の化合物を含む、組成物。
〔11〕 〔10〕に記載の組成物と、溶媒とを含むインク。
〔12〕 陽極と、陰極と、該陽極と該陰極との間に設けられており、p型半導体材料及びn型半導体材料を含む活性層とを含み、該活性層が、n型半導体材料として、〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の化合物を含む、光電変換素子。
〔13〕 光検出素子である、〔12〕に記載の光電変換素子。
〔14〕 〔13〕に記載の光電変換素子を含む、イメージセンサー。
本発明によれば、光電変換素子において暗電流をより低減させることができる新規な化合物及び当該化合物を用いることにより暗電流がより低減された光電変換素子を提供することができる。
図1は、光電変換素子の構成例を模式的に示す図である。 図2は、イメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。 図3は、指紋検出部の構成例を模式的に示す図である。 図4は、X線撮像装置用のイメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。 図5は、静脈認証装置用の静脈検出部の構成例を模式的に示す図である。 図6は、間接方式のTOF型測距装置用イメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態にかかる化合物について説明し、さらには本実施形態にかかる化合物が用いられる光電変換素子について、図面を参照して説明する。なお、図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本発明の実施形態にかかる構成は、必ずしも図面に示された配置で、製造されたり、使用されたりするとは限らない。
以下の説明において共通して用いられる用語についてまず説明する。
「非フラーレン化合物」とは、フラーレン及びフラーレン誘導体のいずれでもない化合物をいう。
「π共役系」とは、π電子が複数の結合に非局在化している系を意味している。
「高分子化合物」とは、分子量分布を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が、1×10以上1×10以下である重合体を意味する。なお、高分子化合物に含まれる構成単位は、合計100モル%である。
「構成単位」とは、本実施形態の化合物、及び高分子化合物中に1個以上存在している、原料化合物(モノマー)に由来する残基を意味する。
「水素原子」は、軽水素原子であっても、重水素原子であってもよい。
「ハロゲン原子」の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
「置換基を有していてもよい」態様には、化合物又は基を構成するすべての水素原子が無置換の場合、及び1個以上の水素原子の一部又は全部が置換基によって置換されている場合の両方の態様が含まれる。
「置換基」の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、シクロアルキニル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、1価の複素環基、置換アミノ基、アシル基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、置換オキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、及びニトロ基が挙げられる。なお、本明細書において炭素原子数という場合には、通常、当該炭素原子数には置換基の炭素原子数は含まれない。
本明細書において、特に特定しない限り、「アルキル基」は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~50であり、好ましくは1~30であり、より好ましくは1~20である。分岐状又は環状であるアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~50であり、好ましくは3~30であり、より好ましくは4~20である。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソアミル基、2-エチルブチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-n-プロピルヘプチル基、アダマンチル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、2-エチルオクチル基、2-n-ヘキシル-デシル基、n-ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル墓、オクタデシル基、エイコシル基が挙げられる。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基を有するアルキル基は、例えば、上記例示のアルキル基における水素原子が、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子等の置換基で置換された基である。
置換基を有するアルキルの具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、3-フェニルプロピル基、3-(4-メチルフェニル)プロピル基、3-(3,5-ジヘキシルフェニル)プロピル基、6-エチルオキシヘキシル基が挙げられる。
「シクロアルキル基」は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは12~19である。
シクロアルキル基の例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、アダマンチル基などの置換基を有しないアルキル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
置換基を有するシクロアルキル基の具体例としては、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基が挙げられる。
「p価の芳香族炭素環基」(pは、1以上の整数を表す。)とは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子p個を除いた残りの原子団を意味する。p価の芳香族炭素環基は、置換基をさらに有していてもよい。なお、「芳香族炭素環」には、2以上の炭素環(芳香環)同士を、例えばヘテロ原子を含む基(置換基)により渡環した構造が含まれる。
「アリール基」は、1価の芳香族炭素環基であって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1つを除いた残りの原子団を意味する。
アリール基は、置換基を有していてもよい。アリール基の具体例としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、1-ピレニル基、2-ピレニル基、4-ピレニル基、2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、4-フルオレニル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、4-フェニルフェニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「アルキルオキシ基」は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキルオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは1~10である。分岐状又は環状のアルキルオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
アルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。アルキルオキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、3,7-ジメチルオクチルオキシ基、3-ヘプチルドデシルオキシ基、ラウリルオキシ基、及びこれらの基における水素原子が、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子で置換された基が挙げられる。
「シクロアルキルオキシ基」が有するシクロアルキル基は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキルオキシ基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは12~19である。
シクロアルキルオキシ基の例としては、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基などの、置換基を有しないシクロアルキルオキシ基、及びこれらの基における水素原子が、フッ素原子、アルキル基で置換された基が挙げられる。
「アリールオキシ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリールオキシ基は、置換基を有していてもよい。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、1-アントラセニルオキシ基、9-アントラセニルオキシ基、1-ピレニルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、フッ素原子などの置換基で置換された基が挙げられる。
「アルキルチオ基」は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルキルチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~40であり、好ましくは1~10である。分岐状及び環状のアルキルチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~40であり、好ましくは4~10である。
アルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2-エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7-ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、及びトリフルオロメチルチオ基が挙げられる。
「シクロアルキルチオ基」が有するシクロアルキル基は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキルチオ基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキルチオ基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常3~30であり、好ましくは12~19である。
置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基の例としては、シクロヘキシルチオ基が挙げられる。
「アリールチオ基」の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常6~60であり、好ましくは6~48である。
アリールチオ基は、置換基を有していてもよい。アリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、C1~C12アルキルオキシフェニルチオ基(C1~C12は、その直後に記載された基の炭素原子数が1~12であることを示す。以下も同様である。)、C1~C12アルキルフェニルチオ基、1-ナフチルチオ基、2-ナフチルチオ基、及びペンタフルオロフェニルチオ基が挙げられる。
「p価の複素環基」とは、置換基を有していてもよい複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。
p価の複素環基は、置換基をさらに有していてもよい。p価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常2~30であり、好ましくは2~6である。
複素環式化合物が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、1価の複素環基、置換アミノ基、アシル基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、置換オキシカルボニル基、アルケニル基、アルキニル基、シアノ基、及びニトロ基が挙げられる。p価の複素環基には、「p価の芳香族複素環基」が含まれる。
「p価の芳香族複素環基」は、置換基を有していてもよい芳香族複素環式化合物から、環を構成する炭素原子又はヘテロ原子に直接結合している水素原子のうちp個の水素原子を除いた残りの原子団を意味する。p価の芳香族複素環基は、置換基をさらに有していてもよい。
芳香族複素環式化合物には、複素環自体が芳香族性を示す化合物に加えて、複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮環している化合物が包含される。
芳香族複素環式化合物のうち、複素環自体が芳香族性を示す化合物の具体例としては、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、及びジベンゾホスホールが挙げられる。
芳香族複素環式化合物のうち、芳香族複素環自体が芳香族性を示さず、複素環に芳香環が縮環している化合物の具体例としては、フェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、及びベンゾピランが挙げられる。
1価の複素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~60であり、好ましくは4~20である。
1価の複素環基は、置換基を有していてもよく、1価の複素環基の具体例としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基等で置換された基が挙げられる。
「置換アミノ基」は、置換基を有するアミノ基を意味する。アミノ基が有する置換基の例としては、アルキル基、アリール基、及び1価の複素環基が挙げられ、アルキル基、アリール基、又は1価の複素環基が好ましい。置換アミノ基の炭素原子数は、通常2~30である。
置換アミノ基の例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ビス(4-メチルフェニル)アミノ基、ビス(4-tert-ブチルフェニル)アミノ基、ビス(3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)アミノ基等のジアリールアミノ基が挙げられる。
「アシル基」は、置換基を有していてもよい。アシル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~20であり、好ましくは2~18である。アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、及びペンタフルオロベンゾイル基が挙げられる。
「イミン残基」とは、イミン化合物から、炭素原子-窒素原子二重結合を構成する炭素原子又は窒素原子に直接結合する水素原子1つを除いた残りの原子団を意味する。「イミン化合物」とは、分子内に、炭素原子-窒素原子二重結合を有する有機化合物を意味する。イミン化合物の例として、アルジミン、ケチミン、及びアルジミン中の炭素原子-窒素原子二重結合を構成する窒素原子に結合している水素原子が、アルキル基等で置換された化合物が挙げられる。
イミン残基は、通常、炭素原子数が2~20であり、好ましくは炭素原子数が2~18である。イミン残基の例としては、下記の構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2023082570000004
「アミド基」は、アミドから窒素原子に結合した水素原子を1個除いた残りの原子団を意味する。アミド基の炭素原子数は、通常1~20であり、好ましくは1~18である。アミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、及びジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
「酸イミド基」とは、酸イミドから窒素原子に結合した水素原子を1個除いた残りの原子団を意味する。酸イミド基の炭素原子数は、通常4~20である。酸イミド基の具体例としては、下記の構造式で表される基が挙げられる。
Figure 2023082570000005
「置換オキシカルボニル基」とは、R’-O-(C=O)-で表される基を意味する。ここで、R’は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、又は1価の複素環基を表す。
置換オキシカルボニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~60であり、好ましくは2~48である。
置換オキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、3,7-ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、及びピリジルオキシカルボニル基が挙げられる。
「アルケニル基」は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~30であり、好ましくは3~20である。分岐状又は環状のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含まないで、通常3~30であり、好ましくは4~20である。
アルケニル基は、置換基を有していてもよい。アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、7-オクテニル基、及び、これらの基における水素原子がアルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子で置換された基が挙げられる。
「シクロアルケニル基」は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルケニル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常3~30であり、好ましくは12~19である。
シクロアルケニル基の例としては、シクロヘキセニル基などの、置換基を有しないシクロアルケニル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子で置換された基が挙げられる。
置換基を有するシクロアルケニル基の例としては、メチルシクロヘキセニル基、及びエチルシクロヘキセニル基が挙げられる。
「アルキニル基」は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。直鎖状のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常2~20であり、好ましくは3~20である。分岐状又は環状のアルケニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常4~30であり、好ましくは4~20である。
アルキニル基は置換基を有していてもよい。アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、3-ペンチニル基、4-ペンチニル基、1-ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、及び、これらの基における水素原子がアルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子で置換された基が挙げられる。
「シクロアルキニル基」は、単環の基であってもよく、多環の基であってもよい。シクロアルキニル基は、置換基を有していてもよい。シクロアルキニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常4~30であり、好ましくは12~19である。
シクロアルキニル基の例としては、シクロヘキシニル基などの置換基を有しないシクロアルキニル基、及びこれらの基における水素原子が、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、フッ素原子で置換された基が挙げられる。
置換基を有するシクロアルキニル基の例としては、メチルシクロヘキシニル基、及びエチルシクロヘキシニル基が挙げられる。
「アルキルスルホニル基」は、直鎖状でもあってもよく、分岐状であってもよい。アルキルスルホニル基は、置換基を有していてもよい。アルキルスルホニル基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで、通常1~30である。アルキルスルホニル基の具体例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、及びドデシルスルホニル基が挙げられる。
化学式に付されうる符合「*」は、結合手を表す。
「インク」は、塗布法に用いられる液状体を意味しており、着色した液に限定されない。また、「塗布法」は、液状物質を用いて膜(層)を形成する方法を包含し、例えば、スロットダイコート法、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコート法、ディスペンサー印刷法、ノズルコート法、及びキャピラリーコート法が挙げられる。
インクは、溶液であってよく、分散液、エマルション(乳濁液)、サスペンション(懸濁液)などの分散液であってもよい。
「吸収ピーク波長」とは、所定の波長範囲で測定された吸収スペクトルの吸収ピークに基づいて特定されるパラメータであり、吸収スペクトルの吸収ピークのうちの吸光度が最も大きい吸収ピークの波長をいう。
「外部量子効率」とは、EQE(External Quantum Efficiency)とも称され、光電変換素子に照射された光子の数に対して発生した電子のうち光電変換素子の外部に取り出すことができた電子の数を比率(%)で示した値をいう。
1.化合物
まず、本実施形態の化合物について説明する。本実施形態の化合物は、光電変換素子の特に活性層の半導体材料として好適に用いることができる。なお、活性層において、本実施形態の化合物が、p型半導体材料及びn型半導体材料のうちのいずれとして機能するかは、選択された化合物のHOMOのエネルギーレベルの値又はLUMOのエネルギーレベルの値から相対的に決定することができる。本実施形態の化合物は、光電変換素子の活性層において、特にn型半導体材料として好適に用いることができる。
活性層に含まれるp型半導体材料のHOMO及びLUMOのエネルギーレベルの値と、n型半導体材料のHOMO及びLUMOのエネルギーレベルの値との関係は、光電変換素子(光検出素子)を機能させることができる範囲に適宜設定することができる。
本実施形態の化合物は、下記式(I)で表される化合物である。

―P―A (I)
式(I)中、
及びAは、それぞれ独立して、電子求引性の1価の基であり、
Pは、下記式(1)で表される2価の基である。
Figure 2023082570000006
式(1)中、
Xは、-S-で表される基、-O-で表される基、-Se-で表される基、又は-N(R)-で表される基を表し、
、Z、Z及びZは、それぞれ独立して、-C(R)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、-C(=O)-で表される基であって、Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基である場合には、他方が-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、又は-C(=O)-で表される基であり、Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基である場合には、他方が-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、又は-C(=O)-で表される基であり、
Rは、
水素原子、
ハロゲン原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、
置換基を有していてもよいアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基、
置換基を有していてもよいアリールチオ基、
置換基を有していてもよい1価の複素環基、
置換基を有していてもよい置換アミノ基、
置換基を有していてもよいアシル基、
置換基を有していてもよいイミン残基、
置換基を有していてもよいアミド基、
置換基を有していてもよい酸イミド基、
置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、
置換基を有していてもよいアルケニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
置換基を有していてもよいアルキニル基、
置換基を有していてもよいシクロアルキニル基、
シアノ基、
ニトロ基、
-C(=O)-Rで表される基、又は
-SO-Rで表される基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、
水素原子、
置換基を有していてもよいアルキル基、
置換基を有していてもよいアリール基、
置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は
置換基を有していてもよい1価の複素環基を表し、複数あるRは、同一であっても異なっていてもよく、
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく縮環していてもよい3価の芳香族炭素環基又は置換基を有していてもよく縮環していてもよい3価の芳香族複素環基であり、
Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族炭素環基、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい-CH=CH-で表される基及び-C≡C-で表される基からなる群から選択され、Ar及びArがそれぞれ複数ある場合には、複数あるAr及び複数あるArは、同一であっても異なっていてもよく、
n及びmは、それぞれ独立して、0、1、2又は3である。
本実施形態の化合物は、上記式(I)で表される非フラーレン化合物であって、電子求引性の1価の基であるA及びAが、式(1)で表される2価の基であるPの両末端に結合した化合物である。
以下、本実施形態の化合物を構成しうるA、A及びPについて具体的に説明する。
(1)A及びAについて
本実施形態の化合物において、A及びAは、電子求引性の1価の基である。AとAとは同一の基であってもよく、当該化合物の合成をより容易にする観点から、A及びAは同一の基であることが好ましい。
及びAの例としては、-CH=C(-CN)で表される基、及び下記式(a-1)~式(a-9)で表される基が挙げられる。
Figure 2023082570000007
式(a-1)~式(a-7)中、
Tは、置換基を有していてもよい炭素環、又は置換基を有していてもよい複素環を表す。炭素環及び複素環は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。これらの環が置換基を複数有する場合、複数ある置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Tで表される置換基を有していてもよい炭素環の例としては、芳香族炭素環が挙げられ、好ましくは芳香族炭素環である。Tで表される置換基を有していてもよい炭素環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、及びフェナントレン環が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、及びフェナントレン環であり、より好ましくはベンゼン環及びナフタレン環であり、さらに好ましくはベンゼン環である。これらの環は、置換基を有していてもよい。
Tで表される置換基を有していてもよい複素環の例としては、芳香族複素環が挙げられ、好ましくは芳香族炭素環である。Tで表される置換基を有していてもよい複素環の具体例としては、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、及びチエノチオフェン環が挙げられ、好ましくはチオフェン環、及びピリジン環、ピラジン環、チアゾール環、及びチエノチオフェン環であり、より好ましくはチオフェン環である。これらの環は、置換基を有していてもよい。
Tで表される炭素環又は複素環が有しうる置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アリール基、及び1価の複素環基が挙げられ、好ましくはフッ素原子、塩素原子、炭素原子数1~6のアルキルオキシ基及び/又は炭素原子数1~6のアルキル基である。
、X、及びXは、それぞれ独立して、酸素原子、硫黄原子、アルキリデン基、又は=C(-CN)で表される基を表し、好ましくは、酸素原子、硫黄原子、又は=C(-CN)で表される基である。
は、水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリール基又は1価の複素環基を表す。Xは、好ましくはシアノ基である。
a1、Ra2、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリール基又は1価の複素環基を表し、好ましくは、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基である。
Figure 2023082570000008
式(a-8)及び式(a-9)中、
a6及びRa7は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭素環基、又は置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基を表し、複数あるRa6及びRa7は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
及びAで表される電子求引性の1価の基の具体例としては、下記式(a-1-1)~式(a-1-4)、並びに式(a-5-1)、式(a-6-1)及び式(a-7-1)で表される基が挙げられる。
Figure 2023082570000009
式(a-1-1)~式(a-1-4)、並びに式(a-5-1)、式(a-6-1)及び式(a-7-1)中、
複数あるRa10は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基を表し、
a1、Ra2、Ra3、Ra4、及びRa5は、それぞれ独立して、前記と同義である。
a10は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキルオキシ基、シアノ基又はアルキル基である。Ra1、Ra2、Ra3、Ra4、及びRa5は、好ましくは置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいアリール基である。
及びAは、それぞれ独立して、シアノ基、カルボニル基及びチオカルボニル基からなる群から選択される1種以上を含む電子求引性の基であることが好ましい。
及びAで表される電子求引性の1価の基の好ましい例としては、下記式で表される基が挙げられる。
Figure 2023082570000010
Figure 2023082570000011
(2)Pについて
前記式(I)で表される化合物におけるPは、下記式(1)で表される2価の基である。Pは、互いにπ結合している一対以上の原子を含んでおり、π電子雲がPの全体にわたって広がっている2価の基である。
よって、前記式(I)で表される化合物は、A、A及びPの全体にわたってπ電子雲が広がっている化合物であることが好ましい。
Figure 2023082570000012
式(1)中、Xは、-S-で表される基、-O-で表される基、-Se-で表される基、又は-N(R)-で表される基を表す。
Xは、光電変換素子(光検出素子)における暗電流をより効果的に低減させる観点から、-S-で表される基、又は-O-で表される基であることが好ましく、-S-で表される基であることがより好ましい。
式(1)中、Z、Z、Z及びZは、それぞれ独立して、-C(R)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、-C(=O)-で表される基であって、Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基である場合には、他方が-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、又は-C(=O)-で表される基であり、Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基である場合には、他方が-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、又は-C(=O)-で表される基である。
、Z、Z及びZは、暗電流をより効果的に低減させる観点から、Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基であり、他方が-O-で表される基であり、Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基であり、他方が-O-で表される基であることが好ましく、Z及びZが-C(R)-で表される基であり、Z及びZが-O-で表される基であることが好ましい。
ここで、Rは、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換基を有していてもよい置換アミノ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいイミン残基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい酸イミド基、置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいシクロアルキニル基、シアノ基、ニトロ基、-C(=O)-Rで表される基、又は-SO-Rで表される基を表し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表し、複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基置換基を有していてもよい1価の複素環基であることが好ましく、置換基を有していてもよいアルキル基であることがより好ましい。
式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく縮環していてもよい3価の芳香族炭素環基又は置換基を有していてもよく縮環していてもよい3価の芳香族複素環基である。
ここで、Ar及びArは、それぞれ独立して、チオフェン環のみからなる3価の芳香族複素環基又はチオフェン環を含み、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい3価の芳香族複素環基であることが好ましい。
Ar及びArである3価の芳香族炭素環基とは、具体的には、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から、水素原子3個除いた残りの原子団を意味している。ここで、芳香族炭化水素には、複数の環構造が縮環している縮合環を有する化合物が含まれる。
Ar及びArで表される3価の芳香族炭素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで通常6~60であり、好ましくは6~20である。置換基を含めた芳香族炭素環基の炭素原子数は、通常6~100である。
Ar及びArで表される3価の芳香族炭素環基の例としては、下記式(001)から式(010)で表される3価の芳香族炭素環基が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000013
上記式(001)から式(010)で表されるAr及びArで表される3価の芳香族炭素環基の好ましい具体例としては、下記式で表される3価の芳香族炭素環基が挙げられる。
Figure 2023082570000014
Ar及びArで表される3価の芳香族複素環基の炭素原子数は、通常2~60であり、好ましくは4~60であり、より好ましくは4~20である。
Ar及びArで表される3価の芳香族複素環基が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換基を有していてもよい置換アミノ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいイミン残基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい酸イミド基、置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、シアノ基、及びニトロ基が挙げられる。
Ar及びArで表される3価の芳香族複素環基の具体例としては、下記式(101)~式(125)で表される基が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000015
Ar及びArで表される3価の芳香族複素環基としては、下記式で表される3価の芳香族複素環基が好ましい。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000016
上記式で表されるAr及びArで表される3価の芳香族複素環基のより具体的な好ましい例としては、下記式で表される3価の基が挙げられる。
Figure 2023082570000017
Figure 2023082570000018
前記式(1)で表される2価の基は、下記式(1-1)から式(1-4)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2023082570000019
前記式(1-1)で表される2価の基の具体例としては、下記式(1-1a)で表される2価の基が挙げられる。この2価の基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000020
前記式(1-2)で表される2価の基の具体例としては、下記式(1-2a)で表される2価の基が挙げられる。この2価の基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000021
前記式(1-3)で表される2価の基の具体例としては、下記式(1-3a)で表される2価の基が挙げられる。この2価の基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000022
本実施形態において、前記式(1)で表される2価の基であるPは、前記式(1-4)で表される2価の基であることが好ましい。
前記式(1-4)で表される2価の基の具体例としては、下記式(1-4a)~(1-4d)で表される2価の基が挙げられる。これらの2価の基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000023
前記式(1)で表される2価の基は、より具体的には下記式で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2023082570000024
さらに、前記式(1)で表される2価の基は、下記式(2)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2023082570000025
式(2)中、X、Z、Z、Z、Z、Ar、Ar、n及びmは、前記定義のとおりであり、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく複数の環構造がさらに縮環していてもよい芳香族炭素環又は置換基を有していてもよく複数の環構造がさらに縮環していてもよい芳香族複素環である。
ここで、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよいチオフェン環を含む環構造であることが好ましく、置換基を有していてもよいチオフェン環のみから構成されていてもよい。
Ar及びArは、下記式で表される環構造であることが好ましい。
Figure 2023082570000026
前記式中、Yは、-S-で表される基、-CR-で表される基、-SiR-で表される基、-NR-で表される基、-C(=O)-で表される基、-C(=O)-NR-で表される基、-NR-C(=O)-で表される基、-CR-O-で表される基、-O-CR-で表される基、-C(=O)-CR-で表される基、又は-CR-C(=O)-で表される基を表す。前記式(2)中、Yが複数ある場合、複数あるYは同一であっても異なっていてもよい。
前記式中、Rは前記定義のとおりであり、R及びRはRと同義である。
Ar及びArの好ましい具体例としては、下記式で表される環構造が挙げられる。
Figure 2023082570000027
Figure 2023082570000028
前記式(2)で表される2価の基の例としては、下記式(2-1)~式(2-11)で表される2価の基が挙げられる。
Figure 2023082570000029
上記のとおり、式(1)におけるAr及びArを含む2価の基は、チオフェン環を含み、Ar及びArを含む2価の基(チオフェン環と縮環しているAr及びチオフェン環と縮環しているArを含む2価の基)であることが好ましい。
すなわち、Ar及びArを含む2価の基は、具体的には下記式(2-1a)~(2-11a)で表される2価の基であることが好ましい。
Figure 2023082570000030
前記式(2-1a)~(2-11a)で表される2価の基の好ましい具体例としては、下記式で表される2価の基が挙げられる。
Figure 2023082570000031
Figure 2023082570000032
式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族炭素環基、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい-CH=CH-で表される基及び-C≡C-で表される基からなる群から選択される基である。Ar及びArがそれぞれ複数ある場合には、複数あるAr及び複数あるArは、同一であっても異なっていてもよい。
Ar及びArは、チオフェン環を含み、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族複素環基であることが好ましい。
式(1)中、Ar及びArである2価の芳香族炭素環基(アリーレン基)とは、具体的には、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から、水素原子を2個除いた残りの原子団を意味している。ここで、芳香族炭化水素には、複数の環構造が縮環している縮合環を有する化合物も含まれる。
Ar及びArで表される2価の芳香族炭素環基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで通常6~60であり、好ましくは6~20である。置換基を含めた芳香族炭素環基の炭素原子数は、通常6~100である。
Ar及びArで表される2価の芳香族炭素環基基の例としては、下記式(201)から式(210)で表される2価の芳香族炭素環基が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000033
Ar及びArで表される2価の芳香族炭化水素基は、下記式で表される2価の芳香族炭素環基であることが好ましい。
Figure 2023082570000034
Ar及びArで表される2価の芳香族複素環基の炭素原子数は、通常2~60であり、好ましくは4~60であり、より好ましくは4~20である。
Ar及びArで表される2価の芳香族複素環基が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換基を有していてもよい置換アミノ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいイミン残基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい酸イミド基、置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、シアノ基、及びニトロ基が挙げられる。
Ar及びArで表される2価の芳香族複素環基の具体例としては、下記式(301)から式(343)で表される2価の芳香族複素環基が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000035
Figure 2023082570000036
Figure 2023082570000037
Ar及びArで表される2価の芳香族複素環基としては、下記式で表される2価の芳香族複素環基が好ましい。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000038
上記式で表されるAr及びArで表される2価の芳香族複素環基の好ましい具体例としては、下記式で表される2価の基が挙げられる。
Figure 2023082570000039
前記式(1)中、n及びmは、それぞれ独立して、0、1、2又は3であり、合成をより容易にする観点からは、n及びmは、それぞれ独立して、0又は1であることが好ましい。よって、本実施形態の化合物は、Ar及びArのうちのいずれか一方又は双方を含んでいなくともよい。
本実施形態の式(I)で表される化合物の好適な具体例としては、下記式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023082570000040
Figure 2023082570000041
Figure 2023082570000042
Figure 2023082570000043
Figure 2023082570000044
Figure 2023082570000045
本実施形態の化合物は、光電変換素子(詳細については後述する。)の活性層の材料、特にn型半導体材料である非フラーレン化合物として好適に用いることができる。
本実施形態の化合物を、特にn型半導体材料として光電変換素子の活性層に用いれば、光電変換素子(光検出素子)における暗電流をより効果的に低減させることができる。
n型半導体材料として用いられる本実施形態の化合物は、2種以上が活性層の材料として含まれていてもよい。
本実施形態の化合物は、例えば、既に説明したA、A、P、さらにはAr及びArを構成することができる2以上の原料化合物を用いて、従来公知の任意好適な方法により製造(合成)することができる。
本実施形態において、光電変換素子の活性層は、特にn型半導体材料として本実施形態の化合物のみを含んでいてもよく、実施形態の化合物以外の化合物を、さらなるn型半導体材料として含んでいてもよい。さらなるn型半導体材料として含まれうる本実施形態の化合物以外の化合物は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
低分子化合物である「本実施形態の化合物」以外のn型半導体材料(電子受容性化合物)の例としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、並びに、バソクプロイン等のフェナントレン誘導体が挙げられる。
高分子化合物である「本実施形態の化合物」以外のn型半導体材料の例としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、並びに、ポリフルオレン及びその誘導体が挙げられる。
「本実施形態の化合物」以外の化合物には、フラーレン誘導体が含まれうる。
ここで、フラーレン誘導体とは、フラーレン(C60フラーレン、C70フラーレン、C76フラーレン、C78フラーレン、及びC84フラーレン)のうちの少なくとも一部が修飾された化合物をいう。換言すると、フラーレン骨格に付加された1つ以上の基を有する化合物をいう。以下、特にC60フラーレンのフラーレン誘導体を「C60フラーレン誘導体」といい、C70フラーレンのフラーレン誘導体を「C70フラーレン誘導体」という場合がある。
「本実施形態の化合物」以外のn型半導体材料として用いられうるフラーレン誘導体は、本発明の目的を損なわない限り特に限定されない。
「本実施形態の化合物」以外のn型半導体材料として用いられうるC60フラーレン誘導体の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 2023082570000046
式中、Rは前記定義のとおりである。Rが複数ある場合、複数あるRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
70フラーレン誘導体の例としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 2023082570000047
2.光電変換素子
本実施形態にかかる光電変換素子は、陽極と、陰極と、該陽極と該陰極との間に設けられており、p型半導体材料及びn型半導体材料を含む活性層とを含み、該n型半導体材料として、既に説明した本実施形態の化合物を含む、光電変換素子である。
本実施形態の光電変換素子によれば、上記の構成を有することにより、光電変換素子の製造工程又は光電変換素子が適用されるデバイスへの組み込み工程などにおける加熱処理に対する外部量子効率の低下を抑制し、耐熱性を効果的に向上させることができる。
ここで、本実施形態の光電変換素子が取りうる構成例について説明する。図1は、本実施形態の光電変換素子の構成を模式的に示す図である。
図1に示されるように、光電変換素子10は、支持基板11に設けられている。光電変換素子10は、支持基板11に接するように設けられている陽極12と、陽極12に接するように設けられている正孔輸送層13と、正孔輸送層13に接するように設けられている活性層14と、活性層14に接するように設けられている電子輸送層15と、電子輸送層15に接するように設けられている陰極16とを備えている。この構成例では、陰極16に接するように封止部材17がさらに設けられている。
以下、本実施形態の光電変換素子に含まれうる構成要素について具体的に説明する。
(基板)
光電変換素子は、通常、基板(支持基板)上に形成される。また、さらに基板(封止基板)により封止される場合もある。基板には、通常、陽極及び陰極からなる一対の電極のうちの一方が形成される。基板の材料は、特に有機化合物を含む層を形成する際に化学的に変化しない材料であれば特に限定されない。
基板の材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコンが挙げられる。不透明な基板が用いられる場合には、不透明な基板側に設けられる電極とは反対側の電極(換言すると、不透明な基板から遠い側の電極)が透明又は半透明の電極とされることが好ましい。
(電極)
光電変換素子は、一対の電極である陽極及び陰極を含んでいる。陽極及び陰極のうち、少なくとも一方の電極は、光を入射させるために、透明又は半透明の電極とすることが好ましい。
透明又は半透明の電極の材料の例としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、NESA等の導電性材料、金、白金、銀、銅が挙げられる。透明又は半透明である電極の材料としては、ITO、IZO、酸化スズが好ましい。また、電極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体などの有機化合物が材料として用いられる透明導電膜を用いてもよい。透明又は半透明の電極は、陽極であっても陰極であってもよい。
一対の電極のうちの一方の電極が透明又は半透明であれば、他方の電極は光透過性の低い電極であってもよい。光透過性の低い電極の材料の例としては、金属、及び導電性高分子が挙げられる。光透過性の低い電極の材料の具体例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びこれらのうちの2種以上の合金、又は、これらのうちの1種以上の金属と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン及び錫からなる群から選ばれる1種以上の金属との合金、グラファイト、グラファイト層間化合物、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。合金としては、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、マグネシウム-アルミニウム合金、インジウム-銀合金、リチウム-アルミニウム合金、リチウム-マグネシウム合金、リチウム-インジウム合金、及びカルシウム-アルミニウム合金が挙げられる。
(活性層)
本実施形態の光電変換素子が備える活性層は、バルクヘテロジャンクション型の構造を有することが想定されており、p型半導体材料と、n型半導体材料とを含み、該活性層が、n型半導体材料として、本実施形態の化合物を含む(詳細については後述する。)。
本実施形態において、活性層の厚さは、特に限定されない。活性層の厚さは、暗電流の抑制と生じた光電流の取り出しとのバランスを考慮して、任意好適な厚さとすることができる。活性層の厚さは、特に暗電流をより低減する観点から、好ましくは100nm以上であり、より好ましくは150nm以上であり、さらに好ましくは200nm以上である。また、活性層の厚さは、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。
本実施形態において活性層は、200℃以上の加熱温度で加熱される処理を含む工程により形成される(詳細は後述する。)。
ここで、本実施形態にかかる活性層の材料として、既に説明した本実施形態の化合物であるn型半導体材料と組み合わせて好適に用いることができるp型半導体材料について説明する。
p型半導体材料は、所定のポリスチレン換算の重量平均分子量を有する高分子化合物であることが好ましい。
ここで、ポリスチレン換算の重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、ポリスチレンの標準試料を用いて算出した重量平均分子量を意味する。
p型半導体材料のポリスチレン換算の重量平均分子量は、特に溶媒に対する溶解性を向上させる観点から、3000以上500000以下であることが好ましい。
本実施形態において、p型半導体材料は、ドナー構成単位(D構成単位ともいう。)とアクセプター構成単位(A構成単位ともいう。)とを含むπ共役高分子化合物(D-A型共役高分子化合物ともいう。)であることが好ましい。なお、いずれがドナー構成単位又はアクセプター構成単位であるかは、HOMO又はLUMOのエネルギーレベルから相対的に決定しうる。
ここで、ドナー構成単位はπ電子が過剰である構成単位であり、アクセプター構成単位はπ電子が欠乏している構成単位である。
本実施形態において、p型半導体材料を構成しうる構成単位には、ドナー構成単位とアクセプター構成単位とが直接的に結合した構成単位、さらにはドナー構成単位とアクセプター構成単位とが、任意好適なスペーサー(基又は構成単位)を介して結合した構成単位も含まれる。
高分子化合物であるp型半導体材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン構造を含むポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体が挙げられる。
本実施形態のp型半導体材料は、下記式(II)で表される構成単位を含む高分子化合物であることが好ましい。下記式(II)で表される構成単位は、本実施形態においては、通常、ドナー構成単位である。
Figure 2023082570000048
式(II)中、Ar及びArは、置換基を有していてもよい3価の芳香族複素環基を表し、Zは下記式(Z-1)~式(Z-7)で表される基を表す。
Figure 2023082570000049
式(Z-1)~(Z-7)中、
Rは、前記定義のとおりである。
式(Z-1)~式(Z-7)のそれぞれにおいて、Rが2つある場合、2つのRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
Ar及びArを構成しうる芳香族複素環には、複素環自体が芳香族性を示す単環及び縮合環に加えて、環を構成する複素環自体は芳香族性を示さなくとも、複素環に芳香環が縮合している環が包含される。
Ar及びArを構成しうる芳香族複素環は、それぞれ単環であってもよく、縮合環であってもよい。芳香族複素環が縮合環である場合、縮合環を構成する環の全部が芳香族性を有する縮合環であってもよく、一部のみが芳香族性を有する縮合環であってもよい。これらの環が複数の置換基を有する場合、これらの置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Ar及びArを構成しうる芳香族炭素環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、及びフェナントレン環が挙げられ、好ましくはベンゼン環及びナフタレン環であり、より好ましくはベンゼン環及びナフタレン環であり、さらに好ましくはベンゼン環である。これらの環は、置換基を有していてもよい。
芳香族複素環の具体例としては、芳香族複素環式化合物として既に説明した化合物が有する環構造が挙げられ、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、チオフェン環、ピロール環、ホスホール環、フラン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、及びジベンゾホスホール環、並びに、フェノキサジン環、フェノチアジン環、ジベンゾボロール環、ジベンゾシロール環、及びベンゾピラン環が挙げられる。これらの環は、置換基を有していてもよい。
式(II)で表される構成単位は、下記式(II-1)、(II-2)又は(II-3)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2023082570000050
式(II-1)、(II-2)及び(II-3)中、Ar、Ar及びRは、前記定義のとおりである。
式(II)で表される好適な構成単位の具体例としては、下記式で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2023082570000051
前記式中、Rは前記定義のとおりである。
Rが2つある場合、2つあるRは同一であっても異なっていてもよい。
式(II)で表されるより具体的な好ましい構成単位の例としては、下記式で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2023082570000052
本実施形態においてp型半導体材料である高分子化合物は、下記式(III)で表される構成単位を含むことが好ましい。下記式(III)で表される構成単位は、本実施形態においては、通常、アクセプター構成単位である。
Figure 2023082570000053
式(III)中、Arは2価の芳香族複素環基を表す。
Arで表される2価の芳香族複素環基の炭素原子数は、通常2~60であり、好ましくは4~60であり、より好ましくは4~20である。
Arで表される2価の芳香族複素環基は置換基を有していてもよい。Arで表される2価の芳香族複素環基が有していてもよい置換基の例としては、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換基を有していてもよい置換アミノ基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいイミン残基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい酸イミド基、置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、シアノ基、及びニトロ基が挙げられる。
式(III)で表される構成単位としては、下記式(III-1)~式(III-10)で表される構成単位が好ましい。
Figure 2023082570000054
式(III-1)~式(III-10)中、
、X、Z、Z及びRは前記定義のとおりである。
Rが2つある場合、2つあるRは、同一であっても異なっていてもよい。
式(III-1)~式(III-10)中のX及びXは、原料化合物の入手性の観点から、いずれも硫黄原子であることが好ましい。
なお、式(III-1)~式(III-10)で表される構成単位は、上記のとおり、通常、アクセプター構成単位として機能しうる。しかしながらこれに限定されず、特に式(III-4)、式(III-5)及び式(III-7)で表される構成単位は、ドナー構成単位としても機能しうる。
本実施形態において、p型半導体材料は、チオフェン骨格を含む構成単位を含み、π共役系を含むπ共役高分子化合物であることが好ましい。
Arで表される2価の芳香族複素環基の具体例としては、下記式(101)~式(191)で表される基が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。
Figure 2023082570000055
Figure 2023082570000056
Figure 2023082570000057
Figure 2023082570000058
本実施形態のp型半導体材料である高分子化合物は、ドナー構成単位として式(II)で表される構成単位を含み、かつアクセプター構成単位として式(III)で表される構成単位を含むπ共役高分子化合物であることが好ましい。
本実施形態のp型半導体材料である高分子化合物において、p型半導体材料である高分子化合物は、既に説明した式(II)で表される構成単位と下記式(III)で現れる構成単位とが連結した構造を構成単位として含んでいてもよい。
本実施形態p型半導体材料である高分子化合物は、2種以上の式(II)で表される構成単位を含んでいてもよく、2種以上の式(III)で表される構成単位を含んでいてもよい。
例えば、溶媒に対する溶解性を向上させる観点から、本実施形態のp型半導体材料である高分子化合物は、下記式(IV)で表される構成単位を含んでいてもよい。
Figure 2023082570000059
式(IV)中、Arはアリーレン基を表す。
Ar10で表されるアリーレン基とは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素から、水素原子を2個除いた残りの原子団を意味する。芳香族炭化水素には、縮合環を有する化合物、独立したベンゼン環及び縮合環からなる群から選ばれる2個以上が、直接的に又はビニレン基などの2価の基を介して結合した化合物も含まれる。
芳香族炭化水素が有していてもよい置換基の例としては、複素環式化合物が有していてもよい置換基として例示された置換基と同様の置換基が挙げられる。
Ar10で表されるアリーレン基の炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めないで通常6~60であり、好ましくは6~20である。置換基を含めたアリーレン基の炭素原子数は、通常6~100である。
Ar10で表されるアリーレン基の例としては、フェニレン基(例えば、下記式1~式3)、ナフタレン-ジイル基(例えば、下記式4~式13)、アントラセン-ジイル基(例えば、下記式14~式19)、ビフェニル-ジイル基(例えば、下記式20~式25)、ターフェニル-ジイル基(例えば、下記式26~式28)、縮合環化合物基(例えば、下記式29~式35)、フルオレン-ジイル基(例えば、下記式36~式38)、及びベンゾフルオレン-ジイル基(例えば、下記式39~式46)が挙げられる。
Figure 2023082570000060
Figure 2023082570000061
Figure 2023082570000062
Figure 2023082570000063
Figure 2023082570000064
Figure 2023082570000065
Figure 2023082570000066
Figure 2023082570000067
式中、Rは前記定義のとおりである。複数あるRは、同一であっても異なっていてもよい。
式(IV)で表される構成単位は、下記式(IV-1)及び式(IV-2)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2023082570000068
式(IV-1)及び(IV-2)中、Rは、前記定義のとおりである。2つあるRは、同一であっても異なっていてもよい。
p型半導体材料である高分子化合物を構成する構成単位は、上記の構成単位から選択される2種以上の構成単位が2つ以上組み合わされて連結された構成単位であってもよい。
p型半導体材料としての高分子化合物が、式(II)で表される構成単位及び/又は式(III)で表される構成単位を含む場合、式(II)で表される構成単位及び式(III)で表される構成単位の合計量は、高分子化合物が含むすべての構成単位の量を100モル%とすると、通常20モル%~100モル%であり、p型半導体材料としての電荷輸送性を向上させる観点から、好ましくは40モル%~100モル%であり、より好ましくは50モル%~100モル%である。
本実施形態のp型半導体材料である高分子化合物の具体例としては、下記式(P-1)~(P-18)で表される高分子化合物が挙げられる。
Figure 2023082570000069
Figure 2023082570000070
Figure 2023082570000071
Figure 2023082570000072
Figure 2023082570000073
Figure 2023082570000074
Figure 2023082570000075
前記式中、Rは、前記定義のとおりである。複数あるRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
p型半導体材料として、上記例示の高分子化合物を用いれば、光電変換素子の製造工程又は光電変換素子が適用されるデバイスへの組み込み工程などにおける加熱処理に対EQEの低下を抑制するか又はEQEをより向上させることができ、光電変換素子の耐熱性を向上させることができる。
(中間層)
図1に示されるとおり、本実施形態の光電変換素子は、光電変換効率などの特性を向上させるための構成要素として、例えば、電荷輸送層(電子輸送層、正孔輸送層、電子注入層、正孔注入層)などの中間層(バッファー層)を備えていることが好ましい。
また、中間層に用いられる材料の例としては、カルシウムなどの金属、酸化モリブデン、酸化亜鉛などの無機酸化物半導体、及びPEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))とPSS(ポリ(4-スチレンスルホネート))との混合物(PEDOT:PSS)が挙げられる。
図1に示されるように、光電変換素子は、陽極と活性層との間に、正孔輸送層を備えることが好ましい。正孔輸送層は、活性層から電極へと正孔を輸送する機能を有する。
陽極に接して設けられる正孔輸送層を、特に正孔注入層という場合がある。陽極に接して設けられる正孔輸送層(正孔注入層)は、陽極への正孔の注入を促進する機能を有する。正孔輸送層(正孔注入層)は、活性層に接していてもよい。
正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む。正孔輸送性材料の例としては、ポリチオフェン及びその誘導体、芳香族アミン化合物、芳香族アミン残基を有する構成単位を含む高分子化合物、CuSCN、CuI、NiO、酸化タングステン(WO)及び酸化モリブデン(MoO)が挙げられる。
中間層は、従来公知の任意好適な形成方法により形成することができる。中間層は、真空蒸着法や活性層の形成方法と同様の塗布法により形成することができる。
本実施形態にかかる光電変換素子は、中間層が電子輸送層であって、基板(支持基板)、陽極、正孔輸送層、活性層、電子輸送層、陰極がこの順に互いに接するように積層された構成を有することが好ましい。
図1に示されるように、本実施形態の光電変換素子は、陰極と活性層との間に、中間層として電子輸送層を備えていることが好ましい。電子輸送層は、活性層から陰極へと電子を輸送する機能を有する。電子輸送層は、陰極に接していてもよい。電子輸送層は活性層に接していてもよい。
陰極に接して設けられる電子輸送層を、特に電子注入層という場合がある。陰極に接して設けられる電子輸送層(電子注入層)は、活性層で発生した電子の陰極への注入を促進する機能を有する。
電子輸送層は、電子輸送性材料を含む。電子輸送性材料の例としては、ポリアルキレンイミン及びその誘導体、フルオレン構造を含む高分子化合物、カルシウムなどの金属、金属酸化物が挙げられる。
ポリアルキレンイミン及びその誘導体の例としては、エチレンイミン、プロピレンイミン、ブチレンイミン、ジメチルエチレンイミン、ペンチレンイミン、ヘキシレンイミン、ヘプチレンイミン、オクチレンイミンといった炭素原子数2~8のアルキレンイミン、特に炭素原子数2~4のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られるポリマー、ならびにそれらを種々の化合物と反応させて化学的に変性させたポリマーが挙げられる。ポリアルキレンイミン及びその誘導体としては、ポリエチレンイミン(PEI)及びエトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)が好ましい。
フルオレン構造を含む高分子化合物の例としては、ポリ[(9,9-ビス(3’-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル)-2,7-フルオレン)-オルト-2,7-(9,9’-ジオクチルフルオレン)](PFN)及びPFN-P2が挙げられる。
金属酸化物の例としては、酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化ニオブが挙げられる。金属酸化物としては、亜鉛を含む金属酸化物が好ましく、中でも酸化亜鉛が好ましい。
その他の電子輸送性材料の例としては、ポリ(4-ビニルフェノール)、ペリレンジイミドが挙げられる。
(封止部材)
本実施形態の光電変換素子は、封止部材をさらに含み、かかる封止部材により封止された封止体とすることが好ましい。
封止部材は任意好適な従来公知の部材を用いることができる。封止部材の例としては、基板(封止基板)であるガラス基板とUV硬化性樹脂などの封止材(接着剤)との組合せが挙げられる。
封止部材は、1層以上の層構造である封止層であってもよい。封止層を構成する層の例としては、ガスバリア層、ガスバリア性フィルムが挙げられる。
封止層は、水分を遮断する性質(水蒸気バリア性)又は酸素を遮断する性質(酸素バリア性)を有する材料により形成することが好ましい。封止層の材料として好適な材料の例としては、三フッ化ポリエチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、脂環式ポリオレフィン、エチレン-ビニルアルコール共重合体などの有機材料、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボンなどの無機材料などが挙げられる。
封止部材は、通常、光電変換素子が適用される、例えば下記適用例のデバイスに組み込まれる際において実施される加熱処理に耐え得る材料により構成される。
(光電変換素子の用途)
本実施形態の光電変換素子の用途としては、光検出素子、太陽電池が挙げられる。
より具体的には、本実施形態の光電変換素子は、電極間に電圧(逆バイアス電圧)を印加した状態で、透明又は半透明の電極側から光を照射することにより、光電流を流すことができ、光検出素子(光センサー)として動作させることができる。また、光検出素子を複数集積することによりイメージセンサーとして用いることもできる。このように本実施形態の光電変換素子は、特に光検出素子として好適に用いることができる。
また、本実施形態の光電変換素子は、光が照射されることにより、電極間に光起電力を発生させることができ、太陽電池として動作させることができる。光電変換素子を複数集積することにより太陽電池モジュールとすることもできる。
(光電変換素子の適用例)
本実施形態にかかる光電変換素子は、光検出素子として、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、入退室管理システム、デジタルカメラ、及び医療機器などの種々の電子装置が備える検出部に好適に適用することができる。
本実施形態の光電変換素子は、上記例示の電子装置が備える、例えば、X線撮像装置及びCMOSイメージセンサーなどの固体撮像装置用のイメージ検出部(例えば、X線センサーなどのイメージセンサー)、指紋検出部、顔検出部、静脈検出部及び虹彩検出部などの生体の一部分の所定の特徴を検出する生体情報認証装置の検出部(例えば、近赤外線センサー)、パルスオキシメータなどの光学バイオセンサーの検出部などに好適に適用することができる。
本実施形態の光電変換素子は、固体撮像装置用のイメージ検出部として、さらにはTime-of-flight(TOF)型距離測定装置(TOF型測距装置)に好適に適用することもできる。
TOF型測距装置では、光源からの放射光が測定対象物において反射された反射光を光電変換素子で受光させることにより距離を測定する。具体的には、光源から放射された照射光が測定対象物で反射して反射光として戻るまでの飛行時間を検出して測定対象物までの距離を求める。TOF型には、直接TOF方式と間接TOF方式とが存在する。直接TOF方式では光源から光を照射した時刻と反射光を光電変換素子で受光した時刻との差を直接計測し、間接TOF方式では飛行時間に依存した電荷蓄積量の変化を時間変化に換算することで距離を計測する。間接TOF方式で用いられる電荷蓄積により飛行時間を得る測距原理には、光源からの放射光と測定対象で反射される反射光との位相から飛行時間を求める連続波(特に正弦波)変調方式とパルス変調方式とがある。
以下、本実施形態にかかる光電変換素子が好適に適用され得る検出部のうち、固体撮像装置用のイメージ検出部及びX線撮像装置用のイメージ検出部、生体認証装置(例えば指紋認証装置や静脈認証装置など)のための指紋検出部及び静脈検出部、並びにTOF型測距装置(間接TOF方式)のイメージ検出部の構成例について、図面を参照して説明する。
(固体撮像装置用のイメージ検出部)
図2は、固体撮像装置用のイメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。
イメージ検出部1は、CMOSトランジスタ基板20と、CMOSトランジスタ基板20を覆うように設けられている層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に設けられている、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10と、層間絶縁膜30を貫通するように設けられており、CMOSトランジスタ基板20と光電変換素子10とを電気的に接続する層間配線部32と、光電変換素子10を覆うように設けられている封止層40と、封止層40上に設けられているカラーフィルター50とを備えている。
CMOSトランジスタ基板20は、従来公知の任意好適な構成を設計に応じた態様で備えている。
CMOSトランジスタ基板20は、基板の厚さ内に形成されたトランジスタ、コンデンサなどを含み、種々の機能を実現するためのCMOSトランジスタ回路(MOSトランジスタ回路)などの機能素子を備えている。
機能素子としては、例えば、フローティングディフュージョン、リセットトランジスタ、出力トランジスタ、選択トランジスタが挙げられる。
このような機能素子、配線などにより、CMOSトランジスタ基板20には、信号読み出し回路などが作り込まれている。
層間絶縁膜30は、例えば酸化シリコン、絶縁性樹脂などの従来公知の任意好適な絶縁性材料により構成することができる。層間配線部32は、例えば、銅、タングステンなどの従来公知の任意好適な導電性材料(配線材料)により構成することができる。層間配線部32は、例えば、配線層の形成と同時に形成されるホール内配線であっても、配線層とは別途形成される埋込みプラグであってもよい。
封止層40は、光電変換素子10を機能的に劣化させてしまうおそれのある酸素、水などの有害物質の浸透を防止又は抑制できることを条件として、従来公知の任意好適な材料により構成することができる。封止層40は、既に説明した封止部材17と同様の構成とすることができる。
カラーフィルター50としては、従来公知の任意好適な材料により構成され、かつイメージ検出部1の設計に対応した例えば原色カラーフィルターを用いることができる。また、カラーフィルター50としては、原色カラーフィルターと比較して、厚さを薄くすることができる補色カラーフィルターを用いることもできる。補色カラーフィルターとしては、例えば(イエロー、シアン、マゼンタ)の3種類、(イエロー、シアン、透明)の3種類、(イエロー、透明、マゼンタ)の3種類、及び(透明、シアン、マゼンタ)の3種類が組み合わされたカラーフィルターを用いることができる。これらは、カラー画像データを生成できることを条件として、光電変換素子10及びCMOSトランジスタ基板20の設計に対応した任意好適な配置とすることができる。
カラーフィルター50を介して光電変換素子10が受光した光は、光電変換素子10によって、受光量に応じた電気信号に変換され、電極を介して、光電変換素子10外に受光信号、すなわち撮像対象に対応する電気信号として出力される。
次いで、光電変換素子10から出力された受光信号は、層間配線部32を介して、CMOSトランジスタ基板20に入力され、CMOSトランジスタ基板20に作り込まれた信号読み出し回路により読み出され、図示しないさらなる任意好適な従来公知の機能部によって信号処理されることにより、撮像対象に基づく画像情報が生成される。
(指紋検出部)
図3は、表示装置に一体的に構成される指紋検出部の構成例を模式的に示す図である。
携帯情報端末の表示装置2は、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10を主たる構成要素として含む指紋検出部100と、当該指紋検出部100上に設けられ、所定の画像を表示する表示パネル部200とを備えている。
この構成例では、表示パネル部200の表示領域200aと一致する領域に指紋検出部100が設けられている。換言すると、指紋検出部100の上方に、表示パネル部200が一体的に積層されている。
表示領域200aのうちの一部の領域においてのみ指紋検出を行う場合には、当該一部の領域のみに対応させて指紋検出部100を設ければよい。
指紋検出部100は、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10を本質的な機能を奏する機能部として含む。指紋検出部100は、図示されていない保護フィルム(protection film)、支持基板、封止基板、封止部材、バリアフィルム、バンドパスフィルター、赤外線カットフィルムなどの任意好適な従来公知の部材を所望の特性が得られるような設計に対応した態様で備え得る。指紋検出部100には、既に説明したイメージ検出部の構成を採用することもできる。
光電変換素子10は、表示領域200a内において、任意の態様で含まれ得る。例えば、複数の光電変換素子10が、マトリクス状に配置されていてもよい。
光電変換素子10は、既に説明したとおり、支持基板11に設けられており、支持基板11には、例えばマトリクス状に電極(陽極又は陰極)が設けられている。
光電変換素子10が受光した光は、光電変換素子10によって、受光量に応じた電気信号に変換され、電極を介して、光電変換素子10外に受光信号、すなわち撮像された指紋に対応する電気信号として出力される。
表示パネル部200は、この構成例では、タッチセンサーパネルを含む有機エレクトロルミネッセンス表示パネル(有機EL表示パネル)として構成されている。表示パネル部200は、例えば有機EL表示パネルの代わりに、バックライトなどの光源を含む液晶表示パネルなどの任意好適な従来公知の構成を有する表示パネルにより構成されていてもよい。
表示パネル部200は、既に説明した指紋検出部100上に設けられている。表示パネル部200は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)220を本質的な機能を奏する機能部として含む。表示パネル部200は、さらに任意好適な従来公知のガラス基板といった基板(支持基板210又は封止基板240)、封止部材、バリアフィルム、円偏光板などの偏光板、タッチセンサーパネル230などの任意好適な従来公知の部材を所望の特性に対応した態様で備え得る。
以上説明した構成例において、有機EL素子220は、表示領域200aにおける画素の光源として用いられるとともに、指紋検出部100における指紋の撮像のための光源としても用いられる。
ここで、指紋検出部100の動作について簡単に説明する。
指紋認証の実行時には、表示パネル部200の有機EL素子220から放射される光を用いて指紋検出部100が指紋を検出する。具体的には、有機EL素子220から放射された光は、有機EL素子220と指紋検出部100の光電変換素子10との間に存在する構成要素を透過して、表示領域200a内である表示パネル部200の表面に接するように載置された手指の指先の皮膚(指表面)によって反射される。指表面によって反射された光のうちの少なくとも一部は、間に存在する構成要素を透過して光電変換素子10によって受光され、光電変換素子10の受光量に応じた電気信号に変換される。そして、変換された電気信号から、指表面の指紋についての画像情報が構成される。
表示装置2を備える携帯情報端末は、従来公知の任意好適なステップにより、得られた画像情報と、予め記録されていた指紋認証用の指紋データとを比較して、指紋認証を行う。
(X線撮像装置用のイメージ検出部)
図4は、X線撮像装置用のイメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。
X線撮像装置用のイメージ検出部1は、CMOSトランジスタ基板20と、CMOSトランジスタ基板20を覆うように設けられている層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に設けられている、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10と、層間絶縁膜30を貫通するように設けられており、CMOSトランジスタ基板20と光電変換素子10とを電気的に接続する層間配線部32と、光電変換素子10を覆うように設けられている封止層40と、封止層40上に設けられているシンチレータ42とシンチレータ42を覆うように設けられている反射層44と、反射層44を覆うように設けられている保護層46とを備えている。
CMOSトランジスタ基板20は、従来公知の任意好適な構成を設計に応じた態様で備えている。
CMOSトランジスタ基板20は、基板の厚さ内に形成されたトランジスタ、コンデンサなどを含み、種々の機能を実現するためのCMOSトランジスタ回路(MOSトランジスタ回路)などの機能素子を備えている。
機能素子としては、例えば、フローティングディフュージョン、リセットトランジスタ、出力トランジスタ、選択トランジスタが挙げられる。
このような機能素子、配線などにより、CMOSトランジスタ基板20には、信号読み出し回路などが作り込まれている。
層間絶縁膜30は、例えば酸化シリコン、絶縁性樹脂などの従来公知の任意好適な絶縁性材料により構成することができる。層間配線部32は、例えば、銅、タングステンなどの従来公知の任意好適な導電性材料(配線材料)により構成することができる。層間配線部32は、例えば、配線層の形成と同時に形成されるホール内配線であっても、配線層とは別途形成される埋込みプラグであってもよい。
封止層40は、光電変換素子10を機能的に劣化させてしまうおそれのある酸素、水などの有害物質の浸透を防止又は抑制できることを条件として、従来公知の任意好適な材料により構成することができる。封止層40は、既に説明した封止部材17と同様の構成とすることができる。
シンチレータ42は、X線撮像装置用のイメージ検出部1の設計に対応した従来公知の任意好適な材料により構成することができる。シンチレータ42の好適な材料の例としては、CsI(ヨウ化セシウム)やNaI(ヨウ化ナトリウム)、ZnS(硫化亜鉛)、GOS(酸硫化ガドリニウム)、GSO(ケイ酸ガドリニウム)といった無機材料の無機結晶や、アントラセン、ナフタレン、スチルベンといった有機材料の有機結晶や、トルエン、キシレン、ジオキサンといった有機溶媒にジフェニルオキサゾール(PPO)やテルフェニル(TP)などの有機材料を溶解させた有機液体、キセノンやヘリウムといった気体、プラスチックなどを用いることができる。
上記の構成要素は、シンチレータ42が入射したX線を可視領域を中心とした波長を有する光に変換して画像データを生成できることを条件として、光電変換素子10及びCMOSトランジスタ基板20の設計に対応した任意好適な配置とすることができる。
反射層44は、シンチレータ42で変換された光を反射する。反射層44は、変換された光の損失を低減し、検出感度を増大させることができる。また、反射層44は、外部から直接的に入射する光を遮断することもできる。
保護層46は、シンチレータ42を機能的に劣化させてしまうおそれのある酸素、水などの有害物質の浸透を防止又は抑制できることを条件として、従来公知の任意好適な材料により構成することができる。
ここで、上記の構成を有するX線撮像装置用のイメージ検出部1の動作について簡単に説明する。
X線やγ線といった放射線エネルギーがシンチレータ42に入射すると、シンチレータ42は放射線エネルギーを吸収し、可視領域を中心とした紫外から赤外領域の波長の光(蛍光)に変換する。そして、シンチレータ42によって変換された光は、光電変換素子10によって受光される。
このように、シンチレータ42を介して光電変換素子10が受光した光は、光電変換素子10によって、受光量に応じた電気信号に変換され、電極を介して、光電変換素子10外に受光信号、すなわち撮像対象に対応する電気信号として出力される。検出対象である放射線エネルギー(X線)は、シンチレータ42側、光電変換素子10側のいずれから入射させてもよい。
次いで、光電変換素子10から出力された受光信号は、層間配線部32を介して、CMOSトランジスタ基板20に入力され、CMOSトランジスタ基板20に作り込まれた信号読み出し回路により読み出され、図示しないさらなる任意好適な従来公知の機能部によって信号処理されることにより、撮像対象に基づく画像情報が生成される。
(静脈検出部)
図5は、静脈認証装置用の静脈検出部の構成例を模式的に示す図である。
静脈認証装置用の静脈検出部300は、測定時において測定対象である手指(例、1以上の手指の指先、手指及び掌)が挿入される挿入部310を画成するカバー部306と、カバー部306に設けられており、測定対象に光を照射する光源部304と、光源部304から照射された光を測定対象を介して受光する光電変換素子10と、光電変換素子10を支持する支持基板11と、支持基板11と光電変換素子10を挟んで対向するように配置されており、所定の距離でカバー部306から離間して、カバー部306とともに挿入部310を画成するガラス基板302から構成されている。
この構成例では、光源部304は、光電変換素子10とは、使用時において測定対象を挟んで離間するように、カバー部306と一体的に構成されている透過型撮影方式を示しているが、光源部304は必ずしもカバー部306側に位置させる必要はない。
光源部304からの光を、測定対象に効率的に照射できることを条件として、例えば、光電変換素子10側から測定対象を照射する反射型撮影方式としてもよい。
静脈検出部300は、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10を本質的な機能を奏する機能部として含む。静脈検出部300は、図示されていない保護フィルム(protection film)、封止部材、バリアフィルム、バンドパスフィルター、近赤外線透過フィルター、可視光カットフィルム、指置きガイドなどの任意好適な従来公知の部材を所望の特性が得られるような設計に対応した態様で備え得る。静脈検出部300には、既に説明したイメージ検出部1の構成を採用することもできる。
光電変換素子10は、任意の態様で含まれ得る。例えば、複数の光電変換素子10が、マトリクス状に配置されていてもよい。
光電変換素子10は、既に説明したとおり、支持基板11に設けられており、支持基板11には、例えばマトリクス状に電極(陽極又は陰極)が設けられている。
光電変換素子10が受光した光は、光電変換素子10によって、受光量に応じた電気信号に変換され、電極を介して、光電変換素子10外に受光信号、すなわち撮像された静脈に対応する電気信号として出力される。
静脈検出時(使用時)において、測定対象は、光電変換素子10側のガラス基板302に接触していても、接触していなくてもよい。
ここで、静脈検出部300の動作について簡単に説明する。
静脈検出時には、光源部304から放射される光を用いて静脈検出部300が測定対象の静脈パターンを検出する。具体的には、光源部304から放射された光は、測定対象を透過して光電変換素子10の受光量に応じた電気信号に変換される。そして、変換された電気信号から、測定対象の静脈パターンの画像情報が構成される。
静脈認証装置では、従来公知の任意好適なステップにより、得られた画像情報と、予め記録されていた静脈認証用の静脈データとを比較して、静脈認証が行われる。
(TOF型測距装置用イメージ検出部)
図6は、間接方式のTOF型測距装置用イメージ検出部の構成例を模式的に示す図である。
TOF型測距装置用イメージ検出部400は、CMOSトランジスタ基板20と、CMOSトランジスタ基板20を覆うように設けられている層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に設けられている、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10と、光電変換素子10を挟むように離間して配置されている2つの浮遊拡散層402と、光電変換素子10と浮遊拡散層402を覆うように設けられている絶縁層401と、絶縁層401上に設けられており、互いに離間して配置されている2つのフォトゲート404とを備えている。離間した2つのフォトゲート404の間隙からは絶縁層401の一部分が露出しており、残余の領域は遮光部406により遮光されている。CMOSトランジスタ基板20と浮遊拡散層402とは層間絶縁膜30を貫通するように設けられている層間配線部32によって電気的に接続されている。
絶縁層401は、この構成例では、酸化シリコンにより構成されるフィールド酸化膜などの従来公知の任意好適な構成とすることができる。
フォトゲート404は、例えばポリシリコンなどの従来公知の任意好適な材料により構成することができる。
TOF型測距装置用イメージ検出部400は、本発明の実施形態にかかる光電変換素子10を本質的な機能を奏する機能部として含む。TOF型測距装置用イメージ検出部400は、図示されていない保護フィルム(protection film)、支持基板、封止基板、封止部材、バリアフィルム、バンドパスフィルター、赤外線カットフィルムなどの任意好適な従来公知の部材を所望の特性が得られるような設計に対応した態様で備え得る。
ここで、TOF型測距装置用イメージ検出部400の動作について簡単に説明する。
光源から光が照射され、光源からの光が測定対象より反射され、反射光を光電変換素子10で受光する。光電変換素子10と浮遊拡散層402との間には2つのフォトゲート404が設けられており、交互にパルスを加えることによって、光電変換素子10によって発生した信号電荷を2つの浮遊拡散層402のいずれかに転送し、浮遊拡散層402に電荷が蓄積される。2つのフォトゲート404を開くタイミングに対して、光パルスが等分にまたがるように到来すると、2つの浮遊拡散層402に蓄積される電荷量は等量になる。一方のフォトゲート404に光パルスが到達するタイミングに対して、他方のフォトゲート404に光パルスが遅れて到来すると、2つの浮遊拡散層402に蓄積される電荷量に差が生じる。
浮遊拡散層402に蓄積された電荷量の差は、光パルスの遅延時間に依存する。測定対象までの距離Lは、光の往復時間tdと光の速度cを用いてL=(1/2)ctdの関係にあるので、遅延時間が2つの浮遊拡散層402の電荷量の差から推定できれば、測定対象までの距離を求めることができる。
光電変換素子10が受光した光の受光量は、2つの浮遊拡散層402に蓄積される電荷量の差として電気信号に変換され、光電変換素子10外に受光信号、すなわち測定対象に対応する電気信号として出力される。
次いで、浮遊拡散層402から出力された受光信号は、層間配線部32を介して、CMOSトランジスタ基板20に入力され、CMOSトランジスタ基板20に作り込まれた信号読み出し回路により読み出され、図示しないさらなる任意好適な従来公知の機能部によって信号処理されることにより、測定対象に基づく距離情報が生成される。
本実施形態の光電変換素子が適用される上記適用例にかかるデバイスに組み込まれる工程においては、例えば、配線基板などに搭載するためのリフロー工程などの加熱処理が行われる場合がある。例えば、イメージセンサーを製造するにあたり、200℃以上の加熱温度にて50分間程度、光電変換素子が加熱される処理を含む工程が実施される場合がある。
本実施形態の光電変換素子によれば、活性層の材料として、既に説明した本実施形態の化合物(n型半導体材料である非フラーレン化合物)と、既に説明したp型半導体材料が用いられる。これにより、活性層の形成工程において(詳細については後述する。)、活性層の形成後における光電変換素子の製造工程において、又は製造された光電変換素子をイメージセンサーや生体認証装置に組み込む工程などにおいて、200℃以上の加熱温度にて加熱される処理が行われたとしても、EQEの低下を抑制するか又はEQEをより向上させることができ、耐熱性を効果的に向上させることができる。
具体的には、EQEについては、光電変換素子の製造方法の活性層の形成工程におけるプリベーク工程の加熱温度を100℃とした光電変換素子におけるEQEの値を基準として、ポストベーク工程の加熱温度をより高温に変更した光電変換素子におけるEQEの値で除算することにより規格化して得た値(以下、「EQEheat/EQE100℃」という。)が0.80以上が好ましく、0.85以上がより好ましく、1.0以上であることがさらに好ましい。
3.光電変換素子の製造方法
本実施形態の光電変換素子の製造方法は、特に限定されない。本実施形態の光電変換素子は、構成要素を形成するにあたり選択された材料に好適な形成方法を組み合わせることにより製造することができる。
本実施形態の光電変換素子の製造方法には、200℃以上の加熱温度で加熱される処理を含む工程が含まれうる。より具体的には、活性層が、200℃以上の加熱温度で加熱される処理を含む工程により形成され、及び/又は活性層が形成される工程よりも後に、200℃以上の加熱温度で加熱される処理を含む工程が含まれうる。
以下、本発明の実施形態として、基板(支持基板)、陽極、正孔輸送層、活性層、電子輸送層、陰極がこの順に互いに接する構成を有する光電変換素子の製造方法について説明する。
(基板を用意する工程)
本工程では、例えば陽極が設けられた支持基板を用意する。また、既に説明した電極の材料により形成された導電性の薄膜が設けられた基板を市場より入手し、必要に応じて、導電性の薄膜をパターニングして陽極を形成することにより、陽極が設けられた支持基板を用意することができる。
本実施形態にかかる光電変換素子の製造方法において、支持基板上に陽極を形成する場合の陽極の形成方法は特に限定されない。陽極は、既に説明した材料を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、めっき法、塗布法などの従来公知の任意好適な方法によって、陽極を形成すべき構成(例、支持基板、活性層、正孔輸送層)上に形成することができる。
(正孔輸送層の形成工程)
光電変換素子の製造方法は、活性層と陽極との間に設けられる正孔輸送層(正孔注入層)を形成する工程を含んでいてもよい。
正孔輸送層の形成方法は特に限定されない。正孔輸送層の形成工程をより簡便にする観点からは、従来公知の任意好適な塗布法によって正孔輸送層を形成することが好ましい。正孔輸送層は、例えば、既に説明した正孔輸送層の材料と溶媒とを含む塗布液を用いる塗布法や真空蒸着法により形成することができる。
(活性層の形成工程)
本実施形態の光電変換素子の製造方法においては、正孔輸送層上に活性層が形成される。主要な構成要素である活性層は、任意好適な従来公知の形成工程により形成することができる。本実施形態において、活性層は、インク(塗布液)を用いる塗布法により製造することが好ましい。
以下、本発明の光電変換素子の主たる構成要素である活性層の形成工程が含む工程(i)及び工程(ii)について説明する。
工程(i)
インクを塗布対象に塗布する方法としては、任意好適な塗布法を用いることができる。塗布法としては、スリットコート法、ナイフコート法、スピンコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、インクジェット印刷法、ノズルコート法、又はキャピラリーコート法が好ましく、スリットコート法、スピンコート法、キャピラリーコート法、又はバーコート法がより好ましく、スリットコート法、又はスピンコート法がさらに好ましい。
本実施形態の光電変換素子の製造方法に用いられるインクは、p型半導体材料と、n型半導体材料とを含み、該n型半導体材料として、既に説明した本実施形態の化合物を含む、組成物と、溶媒とを含む。
よって、本実施形態のインクは光電変換素子の活性層形成用のインクであることが好ましい。以下、本実施形態の活性層形成用のインクについて説明する。なお、本実施形態の活性層形成用のインクはバルクヘテロジャンクション型活性層の形成用のインクである。よって、活性層形成用のインクは、既に説明したp型半導体材料とn型半導体材料として、既に説明した本実施形態の化合物を含む組成物を含む。本実施形態の活性層形成用のインクは、当該組成物と、1種又は2種以上の溶媒とを含む。
本実施形態の活性層形成用のインクによれば、p型半導体材料と、「本実施形態の化合物」とを含むことにより、光電変換素子の製造工程又は光電変換素子が適用されるデバイスへの組み込み工程などにおける加熱処理に対するEQEの低下を抑制するか又はEQEをより向上させることができ、耐熱性を向上させることができる。
本実施形態にかかる活性層形成用のインクは、活性層が形成できることを条件として、特に限定されない。溶媒としては、例えば、後述する第1溶媒と第2溶媒と組み合わせた混合溶媒を用いることができる。具体的には、活性層形成用のインクが2種以上の溶媒を含む場合、主たる成分である主溶媒(第1溶媒)と、溶解性の向上などのために添加されるその他の添加溶媒(第2溶媒)とを含むことが好ましい。しかしながら、第1溶媒のみを用いてもよい。
以下、本実施形態の活性層形成用のインクに好適に用いることができる第1溶媒及び第2溶媒とこれらの組合せについて説明する。
(1)第1溶媒
第1溶媒としては、p型半導体材料が溶解可能である溶媒が好ましい。本実施形態の第1溶媒は、芳香族炭化水素である。
第1溶媒である芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン(例、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン)、o-ジクロロベンゼン、トリメチルベンゼン(例、メシチレン、1,2,4-トリメチルベンゼン(プソイドクメン))、ブチルベンゼン(例、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン)、メチルナフタレン(例、1-メチルナフタレン)、テトラリン及びインダンが挙げられる。
第1溶媒は、1種の芳香族炭化水素から構成されていても、2種以上の芳香族炭化水素から構成されていてもよい。第1溶媒は、好ましくは1種の芳香族炭化水素から構成される。
第1溶媒は、好ましくはトルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、o-ジクロロベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メチルナフタレン、テトラリン及びインダンからなる群から選択される1種以上であり、より好ましくはトルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、o-ジクロロベンゼン、メシチレン、1,2,4-トリメチルベンゼン、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、メチルナフタレン、テトラリン、又はインダンである。
(2)第2溶媒
第2溶媒は、製造工程の実施をより容易にし、光電変換素子の特性をより向上させる観点から選択される溶媒である。第2溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、プロピオフェノンなどのケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、安息香酸ブチル及び安息香酸ベンジルなどのエステル溶媒が挙げられる。
第2溶媒は、例えば、暗電流をより低減する観点から、アセトフェノン、プロピオフェノン又は安息香酸ブチルを用いることが好ましい。
(3)第1溶媒及び第2溶媒の組合せ
第1溶媒及び第2溶媒の好適な組合せの例としては、テトラリンと安息香酸エチル、テトラリンと安息香酸プロピル及びテトラリンと安息香酸ブチルとの組合せ、より好ましくはテトラリンと安息香酸ブチルとの組合せが挙げられる。
(4)第1溶媒及び第2溶媒の重量比
主溶媒である第1溶媒の添加溶媒である第2溶媒に対する重量比(第1溶媒:第2溶媒)は、p型半導体材料及びn型半導体材料の溶解性をより向上させる観点から、85:15~99:1の範囲とすることが好ましい。
(5)任意の他の溶媒
溶媒は、第1溶媒及び第2溶媒以外の任意の他の溶媒を含んでいてもよい。インクに含まれる全溶媒の合計重量を100重量%としたときに、任意の他の溶媒の含有率は、好ましくは5重量%以下であり、より好ましくは3重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以下である。任意の他の溶媒としては、第2溶媒より沸点が高い溶媒が好ましい。
(6)任意の成分
インクには、第1溶媒、第2溶媒、p型半導体材料及びn型半導体材料の他に、本発明の目的及び効果を損なわない限度において、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、吸収した光により電荷を発生させる機能を増感するための増感剤、紫外線からの安定性を増すための光安定剤といった任意の成分が含まれていてもよい。
(7)p型半導体材料及びn型半導体材料の濃度
インク(組成物)におけるp型半導体材料及びn型半導体材料の濃度は、溶媒に対する溶解度なども考慮して、本発明の目的を損なわない範囲で任意好適な濃度とすることができる。
インク(組成物)における「p型半導体材料」の「n型半導体材料」に対する重量比(重合体/非フラーレン化合物)は、通常1/0.1から1/10の範囲であり、好ましくは1/0.5から1/2の範囲であり、より好ましくは1/1.5である。
インクにおける「p型半導体材料」及び「n型半導体材料」の合計の濃度は、通常0.01重量%以上であり、0.02重量%以上がより好ましく、0.25重量%以上がさらに好ましい。また、インクにおける「p型半導体材料」及び「n型半導体材料」の合計の濃度は、通常20重量%以下であり、10重量%以下であることが好ましく、7.50重量%以下であることがより好ましい。
インクにおける「p型半導体材料」の濃度は、通常0.01重量%以上であり、0.02重量%以上がより好ましく、0.10重量%以上がさらに好ましい。また、インクにおける「p型半導体材料」の濃度は、通常10重量%以下であり、5.00重量%以下がより好ましく、3.00重量%以下がさらに好ましい。
インクにおける「n型半導体材料」の濃度は、通常0.01重量%以上であり、0.02重量%以上がより好ましく、0.15重量%以上がさらに好ましい。また、インクにおける「n型半導体材料」の濃度は、通常10重量%以下であり、5重量%以下がより好ましく、4.50重量%以下がさらに好ましい。
(8)インクの調製
インクは、公知の方法により調製することができる。例えば、第1溶媒、又は第1溶媒及び第2溶媒を混合して混合溶媒を調製し、得られた混合溶媒にp型半導体材料及びn型半導体材料を添加する方法、第1溶媒にp型半導体材料を添加し、第2溶媒にn型半導体材料を添加してから、各材料が添加された第1溶媒及び第2溶媒を混合する方法などにより、調製することができる。
第1溶媒及び第2溶媒とp型半導体材料及びn型半導体材料とを、溶媒の沸点以下の温度まで加温して混合してもよい。
第1溶媒及び第2溶媒とp型半導体材料及びn型半導体材料とを混合した後、得られた混合物をフィルターを用いてろ過し、得られたろ液をとして用いてもよい。フィルターとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂で形成されたフィルターを用いることができる。
活性層形成用のインクは、光電変換素子及びその製造方法に応じて選択された塗布対象に塗布される。活性層形成用のインクは、光電変換素子の製造工程において、光電変換素子が有する機能層であって、活性層が存在し得る機能層に塗布されうる。よって、活性層形成用のインクの塗布対象は、製造される光電変換素子の層構成及び層形成の順序によって異なる。例えば、光電変換素子が、基板、陽極、正孔輸送層、活性層、電子輸送層、陰極が積層された層構成を有しており、より左側に記載された層が先に形成される場合、活性層形成用のインクの塗布対象は、正孔輸送層となる。また、例えば、光電変換素子が、基板、陰極、電子輸送層、活性層、正孔輸送層、陽極が積層された層構成を有しており、より左側に記載された層が先に形成される場合、活性層形成用のインクの塗布対象は、電子輸送層となる。
工程(ii)
インクの塗膜から、溶媒を除去する方法、すなわち塗膜から溶媒を除去して固化する方法としては、任意好適な方法を用いることができる。溶媒を除去する方法の例としては、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でホットプレートを用いて直接的に加熱する方法、熱風乾燥法、赤外線加熱乾燥法、フラッシュランプアニール乾燥法、減圧乾燥法などの乾燥法が挙げられる。
本実施形態の光電変換素子の製造方法においては、工程(ii)は、溶媒を揮発させて除去するための工程であって、プリベーク工程(第1の加熱処理工程)とも称される。
プリベーク工程及びポストベーク工程の実施条件、すなわち加熱温度、加熱処理時間などの条件については、用いられるインクの組成、溶媒の沸点などを考慮して、任意好適な条件とすることができる。
本実施形態の光電変換素子の製造方法においては、具体的には、例えば、窒素ガス雰囲気下でホットプレートを用いて、プリベーク工程及びポストベーク工程を実施することができる。
プリベーク工程における加熱温度は、通常100℃程度である。しかしながら、本実施形態の光電変換素子の製造方法においては、活性層の材料として、既に説明したp型半導体材料と既に説明した本実施形態の化合物をn型半導体材料として含む結果として、プリベーク工程及び/又はポストベーク工程における加熱温度をより高めることができる。具体的には、プリベーク工程及び/又はポストベーク工程における加熱温度を、好ましくは200℃以上、さらには220℃以上とすることができる。加熱温度の上限は、好ましくは280℃以下であり、より好ましくは250℃以下である。
プリベーク工程及びポストベーク工程における合計の加熱処理時間は、例えば1時間とすることができる。
プリベーク工程における加熱温度とポストベーク工程における加熱温度とは同一であっても異なっていてもよい。
加熱処理時間は例えば10分間以上とすることができる。加熱処理時間の上限値は特に限定されないが、タクトタイム等を考慮し、例えば4時間とすることができる。
活性層の厚さは、塗布液中の固形分濃度、上記工程(i)及び/又は工程(ii)の条件を適宜調整することにより、任意好適な所望の厚さとすることができる。
活性層を形成する工程は、前記工程(i)及び工程(ii)以外に、本発明の目的及び効果を損なわないことを条件としてその他の工程を含んでいてもよい。
本実施形態の光電変換素子の製造方法は、複数の活性層を含む光電変換素子を製造する方法であってもよく、工程(i)及び工程(ii)が複数回繰り返される方法であってもよい。
(電子輸送層の形成工程)
本実施形態の光電変換素子の製造方法は、活性層上に設けられた電子輸送層(電子注入層)を形成する工程を含んでいる。
電子輸送層の形成方法は特に限定されない。電子輸送層の形成工程をより簡便にする観点からは、従来公知の任意好適な真空蒸着法によって電子輸送層を形成することが好ましい。
(陰極の形成工程)
陰極の形成方法は特に限定されない。陰極は、例えば、上記例示の電極の材料を、塗布法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、めっき法など従来公知の任意好適な方法によって、電子輸送層上に形成することができる。以上の工程により、本実施形態の光電変換素子が製造される。
(封止体の形成工程)
封止体の形成にあたり、本実施形態では、従来公知の任意好適な封止材(接着剤)及び基板(封止基板)を用いる。具体的には、製造された光電変換素子の周辺を囲むように、支持基板上に、例えばUV硬化性樹脂などの封止材を塗布した後、封止材により隙間なく貼り合わせた後、UV光の照射などの選択された封止材に好適な方法を用いて支持基板と封止基板との間隙に光電変換素子を封止することにより、光電変換素子の封止体を得ることができる。
4.イメージセンサー、生体認証装置の製造方法
本実施形態の光電変換素子である特に光検出素子は、上記のとおり、イメージセンサー、生体認証装置(指紋認証装置、静脈認証装置)に組み込まれて機能しうる。
このようなイメージセンサー、生体認証装置は、200℃以上の加熱温度で光電変換素子(光電変換素子の封止体)が加熱される処理を含む工程を含む製造方法により製造され得る。
具体的には、光電変換素子をイメージセンサーや生体認証装置に組み込む工程を行うにあたって、例えば、配線基板に搭載する際に行われるリフロー工程などが行われることにより、200℃以上、さらには220℃以上の加熱温度で加熱される処理が行われ得る。しかしながら、本実施形態の光電変換素子によれば、活性層の材料として、既に説明したn型半導体材料が用いられるため、組み込まれた光電変換素子のEQEの低下を抑制するか又はEQEをより向上させ、さらには暗電流の増加を抑制するか又は暗電流をより低下させることができ、耐熱性を効果的に向上させることができるため、製造されるイメージセンサー、生体認証装置における検出精度などの特性を向上することができる。
加熱処理時間は、例えば10分間以上とすることができる。加熱処理時間の上限値は特に限定されないが、タクトタイム等を考慮し、例えば4時間とすることができる。
[実施例]
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示す。本発明は以下に説明する実施例に限定されるものではない。
本実施例においては、下記表1に示される高分子化合物をp型半導体材料(電子供与性化合物)として使用し、下記表2に示される化合物をn型半導体材料(電子受容性化合物)として使用した。
Figure 2023082570000076
Figure 2023082570000077
p型半導体材料である高分子化合物P-1は、国際公開第2011/052709号の段落[0399]に記載の方法を参考にして合成して使用した。
n型半導体材料である化合物N-1~及び化合物N-2は、後述する合成例のとおり合成して使用した。
n型半導体材料である化合物C-1は、Y6(商品名、1-Material社製)を市場より入手して使用した。
<合成例1>(化合物2の合成)
下記式で表される化合物1を用いて下記式で表される化合物2を合成した。
Figure 2023082570000078
窒素ガスで内部の雰囲気を置換した300mL四つ口フラスコ内に、文献「Dyes and Pigments, 2015,112,145.」に記載の方法により合成した化合物1を4.00g(7.77mmol)、テトラヒドロフランを78mL入れ、-30℃まで冷却した。
次に、四つ口フラスコに、N-ブロモスクシンイミドを1.31g(7.38mmol)さらに加え、-30℃で6時間攪拌した。
次いで、得られた溶液を常温まで昇温し、常温でさらに3時間攪拌して反応させた後、さらに3%亜硫酸ナトリウム水溶液を加えることで反応を停止させた。
得られた反応液をヘキサンで抽出したのち、水及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄することにより有機層を得た。
次に、得られた有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥して、ろ過を行い、さらに減圧下で溶媒を留去して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムにて精製することにより、化合物2を薄黄色のオイルとして4.16g(7.01mmol、収率94.9%)得た。
得られた化合物2について、NMRスペクトルを解析した。結果は下記のとおりである。
H NMR (CDCl)]
δ 7.16 (d, JHH=8.4Hz, 4H),7.10 (d, JHH=8.4Hz, 4H), 6.98 (d, JHH=4.8Hz, 1H),6.75 (d, JHH=4.8Hz, 1H), 6.42 (s, 1H), 2.58 (t, 4H), 1.63―1.57(m, 4H), 1.36―1.27 (br, 12H), 0.87 (t, 6H).
<合成例2>(化合物3の合成)
下記式で表される化合物2を用いて下記式で表される化合物3を合成した。
Figure 2023082570000079
窒素ガスで内部の雰囲気を置換した100mL三つ口フラスコに、化合物2を4.13g(6.96mmol)、脱水テトラヒドロフランを70mL加えて得られた溶液を、-70℃まで冷却した後、n-ブチルリチウム溶液(1.64mol/L、ヘキサン溶液)を4.13mL加えて1時間攪拌を行った。
次に、反応液を-70℃で保持したまま、トリメトキシボランを1.01g(9.74mmol)を加え、2時間攪拌を行った。
次いで、得られた反応液に10質量%酢酸水溶液(30mL)を入れ、酢酸エチルを用いて分液操作を行い、有機層を抽出した。得られた有機層に対し、トルエン(20mL)、2-ヒドロキシメチレン-2-メチル-1,3-プロパンジオール1.25g(10.4mmol)を加え、ディーンスターク管を用いた脱水操作を30分間行った。さらに溶媒をロータリーエバポレーターで除き、化合物3の粗体4.47gを緑色のオイルとして取得した。
<合成例3>(化合物5の合成)
下記式で表される化合物4及び化合物3を用いて下記式で表される化合物5を合成した。
Figure 2023082570000080
窒素ガスで内部の雰囲気を置換した100mL四つ口フラスコに、国際公開第2012/169605号に記載の方法により合成した化合物4を0.373g(0.330mmol)、及び化合物3を0.530g(0.825mmol)、テトラヒドロフランを14mL入れ、30分間アルゴンガスでバブリングを行うことで脱気した。
次いで、四つ口フラスコに、Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)を0.015g(0.017mmol、5mol%)、Tri-tert-butylphosphonium Tetrafluoroborateを0.020g(0.066mmol、20mol%)、テトラヒドロフランを3mL入れ、5分間攪拌した。
次に、4つ口フラスコに、3.0Mリン酸カリウム水溶液を1.1mL加え、反応液を設定温度70℃のオイルバスで3時間、加熱しつつ攪拌した。
得られた反応液を冷却後、4つ口フラスコに、水を10mL、ヘキサンを20mL加え、有機層について水で3回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回、分液洗浄を行った。
得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥後、ろ過し、減圧下で溶媒を留去して粗生成物を得た。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムで精製することにより、化合物5を赤色のオイルとして0.587g(0.294mmol、収率88%)得た。
得られた化合物5について、NMRスペクトルを解析した。結果は下記のとおりである。
H NMR (CDCl)]
δ 7.23 (d, JHH=8.4Hz, 8H), 7.13 (d, JHH=8.4Hz, 8H), 6.99 (d, JHH=4.8Hz, 2H), 6.80 (s, 2H), 6.78 (d, JHH=4.8Hz, 2H), 6.68 (s, 2H), 2.60 (t, 8H), 6.80 (s, 2H),1.89―1.89(m, 8H), 1.58―1.65(m, 8H), 1.21―1.44(br, 104H), 0.83―0.90(m, 24H).
<合成例4>(化合物6の合成)
下記式で表される化合物5を用いて下記式で表される化合物6を合成した。
Figure 2023082570000081
窒素ガスで内部の雰囲気を置換した100mL三つ口フラスコに、化合物5を0.580g(0.290mmol)、クロロホルムを15mL入れ、常温で10分間攪拌して化合物5を溶解させた。
次に、三つ口フラスコに、(Chloromethylene)dimethyliminium Chlorideを0.111g(0.870mmol)さらに入れ、設定温度50℃のオイルバスで2時間、加熱しつつ攪拌した。
次いで、得られた反応液を冷却後、水を20mL加え、有機層について飽和塩化ナトリウム水溶液で2回分液洗浄を行った。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥して、ろ過を行い、減圧下で溶媒を留去して粗生成物を得た。
得られた粗生成物を、シリカゲルカラムにて精製することにより、化合物6を濃赤色のオイルとして0.514g(0.250mmol、収率86.2%)得た。
得られた化合物6について、NMRスペクトルを解析した。結果は下記のとおりである。
H NMR (CDCl)]
δ 9.75 (s, 2H), 7.37 (s, 2H), 7.20 (d, JHH=8.4Hz, 8H), 7.14 (d, JHH=8.4Hz, 8H), 6.67 (s, 2H), 6.70 (s, 2H), 2.61 (t, 8H), 6.80 (s, 2H),1.88―2.05(m, 8H), 1.58―1.66(m, 8H), 1.21―1.48(br, 104H), 0.83―0.89(m, 24H).
<実施例1>(化合物N-1の合成)
下記式で表される化合物6及び化合物7を用いて下記式で表される化合物N―1を合成した。
Figure 2023082570000082
窒素ガスで内部の雰囲気を置換した100mL四つ口フラスコに、化合物6を0.514g(0.250mmol)、文献「Adv. Mater. 2017, 29, 1703080.」に記載の方法により合成した化合物7を0.197g(0.750mmol)、クロロホルムを13mL、ピリジンを0.198g(2.50mmol)入れ、65℃のオイルバスで2時間、加熱しつつ攪拌した。
得られた溶液を常温まで冷却し、水を加えることで反応を停止させた。得られた溶液をクロロホルムで抽出したのち、有機層を水で2回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄した。
次に、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過を行い、さらに減圧下で溶媒を留去した。
得られた粗生成物を、シリカゲルカラムにて精製することにより、化合物N-1を濃青緑色の固体として0.559g(0.220mmol、収率88%)得た。
得られた化合物N-1について、NMRスペクトルを解析した。結果は下記のとおりである。
H NMR (CDCl)]
δ 8.62 (br, 4H), 7.84 (br, 2H), 7.19 (br, 18H), 6.79 (br, 4H), 2.61 (br, 8H), 2.00 (br, 8H), 1.62 (br, 8H), 1.27 (br, 104H), 0.83―0.89(m, 24H).
<合成例5>(化合物9の合成)
下記式で表される化合物4及び化合物8を用いて下記式で表される化合物9を合成した。
Figure 2023082570000083
窒素ガスで内部の雰囲気を置換した100mL四つ口フラスコに、化合物4を1.00g(0.88mmol)、東京化成工業株式会社より購入した化合物8を0.57g(1.94mmol)、テトラヒドロフランを10mL入れ、30分間アルゴンガスでバブリングを行うことで脱気した。
次いで、四つ口フラスコに、Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)を0.065g(0.07mmol、8mol%)、Tri-tert-butylphosphonium Tetrafluoroborateを0.043g(0.14mmol、16mol%)、テトラヒドロフランを5mLさらに入れ、5分間攪拌した。
次に、四つ口フラスコに、3.0Mリン酸カリウム水溶液を10mL加え、反応液を設定温度65℃のオイルバスで3時間、加熱しつつ攪拌した。
反応液を冷却後、四つ口フラスコに、水を10mL、ヘキサンを10mL加え、有機層を水で3回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回、分液洗浄を行った。
得られた有機層を、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥後、ろ過し、減圧下で溶媒を留去して粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムで精製することにより、化合物9を赤色のオイルとして1.06g(0.81mmol、収率92%)得た。
得られた化合物9について、NMRスペクトルを解析した。結果は下記のとおりである。
H NMR (CDCl)]
δ 7.20 (d, 2H), 7.96 (d, JHH=4.8Hz, 2H),6.82 (s, 2H),2.83 (t, 4H),2.08-1.91 (m, 8H),1.72―1.64 (m, 4H), 1.54-1.21 (m, 88H), 0.91-0.34 (m, 18H).
<合成例6>(化合物10の合成)
下記式で表される化合物9を用いて下記式で表される化合物10を合成した。
Figure 2023082570000084
窒素ガスで内部の雰囲気を置換した100mL三つ口フラスコに、化合物9を1.06g(0.81mmol)、ジクロロメタンを10mL入れ、常温で10分間攪拌して化合物9を溶解させた。
次に、三つ口フラスコに、(Chloromethylene)dimethyliminium Chlorideを0.34g(2.64mmol)さらに入れ、設定温度40℃のオイルバスで2時間、加熱しつつ攪拌した。
次いで、反応液を冷却後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を10mL加え、20分間撹拌した後に、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で2回分液洗浄を行った。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥して、ろ過を行い、減圧下で溶媒を留去した。
得られた粗生成物を、シリカゲルカラムにて精製することにより、化合物10を濃赤色のオイルとして1.06g(0.78mmol、収率95.8%)得た。
得られた化合物10について、NMRスペクトルを解析した。結果は下記のとおりである。
H NMR (CDCl)]
δ 9.85 (s, 2H), 7.62 (s, 1H), 7.01 (s, 1H), 2.90 (t, 4H), 2.09―1.92(m, 8H), 1.78―1.70 (m, 4H), 1.51―1.21 (m, 88H), 0.91 (t, 6H), 0.85 (t, 12H).
<合成例7>(化合物N-2の合成)
下記式で表される化合物10及び化合物7を用いて下記式で表される化合物N-2を合成した。
Figure 2023082570000085
窒素ガスで内部の雰囲気を置換した100mL四つ口フラスコに、化合物10を0.57g(0.41mmol)、化合物7を0.33g(1.24mmol)、クロロホルムを10mL、ピリジンを0.016g(0.21mmol)入れ、65℃のオイルバスで2時間、加熱しつつ攪拌した。
得られた溶液を常温まで冷却し、水を加えることで反応を停止させた。得られた溶液をクロロホルムで抽出したのち、有機層を水で2回、飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄した。
次に、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過を行い、さらに減圧下で溶媒を留去して粗生成物を得た。
得られた粗生成物を、シリカゲルカラムにて精製することにより、化合物N-2を濃青緑色の固体として0.59g(0.32mmol、収率87.8%)得た。
得られた化合物N-2について、NMRスペクトルを解析した。結果は下記のとおりである。
H NMR (CDCl)]
δ 8.75 (s, 2H), 8.72 (s, 2H), 7.92 (s, 2H), 7.65 (s, 2H), 7.28 (s, 2H), 2.91 (t, 4H), 2.16―2.01(m, 8H), 1.81―1.73 (m, 4H), 1.51―1.22 (m, 88H), 0.94 (t, 6H), 0.84 (m, 12H).
<調製例1>(インクI-1の調製)
溶媒であるo-キシレン(oXY)と安息香酸メチル(MBZ)(95/5=体積%)の混合溶液に、p型半導体材料として高分子化合物P-1をインクの全質量に対し1.2質量%の濃度となるように、また、n型半導体材料として化合物N-1をインクの全質量に対して1.2質量%の濃度となるように(p型半導体材料/n型半導体材料=1/1)混合し、60℃で8時間撹拌を行って得られた混合液をフィルターを用いてろ過することにより、インク(I-1)を得た。
<調製例2>(インクI-2の調製)
溶媒であるo-キシレン(oXY)と安息香酸メチル(MBZ)(95/5=体積%)の混合溶液に、p型半導体材料として高分子化合物P-1をインクの全質量に対し1.2質量%の濃度となるように、また、n型半導体材料として化合物N-2をインクの全質量に対して1.2質量%の濃度となるように(p型半導体材料/n型半導体材料=1/1)混合し、60℃で8時間撹拌を行って得られた混合液をフィルターを用いてろ過することにより、インク(I-2)を得た。
<比較調製例1>(インクI-Cの調製)
溶媒であるo-キシレン(oXY)と安息香酸メチル(MBZ)(95/5=体積%)の混合溶液に、p型半導体材料として高分子化合物P-1をインクの全質量に対し1.2質量%の濃度となるように、また、n型半導体材料として化合物C-1をインクの全質量に対して1.2質量%の濃度となるように(p型半導体材料/n型半導体材料=1/1)混合し、60℃で8時間撹拌を行って得られた混合液をフィルターを用いてろ過することにより、インク(I-C)を得た。
<実施例1>(光電変換素子の製造及び評価)
(1)光電変換素子及びその封止体の製造
スパッタ法により50nmの厚さでITOの薄膜(陽極)が形成されたガラス基板を用意し、このガラス基板に対し、表面処理としてオゾンUV処理を行った。
次に、インク(I-1)を、ITOの薄膜上にスピンコート法により塗布して塗膜を形成した後、窒素ガス雰囲気下で100℃に加熱したホットプレートを用いて10分間加熱処理して乾燥させ、活性層を形成した(プリベーク工程)。形成された活性層の厚さは約300nmであった。
次に、形成された活性層上にスピンコート法によりZnO(テイカ社製、製品名:HTD-711Z)を塗布して約50nmの厚さの電子輸送層を形成した。
次いで、形成された電子輸送層上に、真空蒸着法により銀(Ag)層を約60nmの厚さで形成し、陰極とした。
以上の工程により光電変換素子が、ガラス基板上に製造された。
次に、製造された光電変換素子の周辺を囲むように、支持基板であるガラス基板上に封止材であるUV硬化性封止剤を塗布し、封止基板であるガラス基板を貼り合わせた後、UV光を照射することで、光電変換素子を支持基板と封止基板との間隙に封止することにより光電変換素子の封止体を得た。支持基板と封止基板との間隙に封止された光電変換素子の厚さ方向から見たときの平面的な形状は2mm×2mmの正方形であった。得られた封止体をサンプル1とした。
(2)光電変換素子の評価(外部量子効率)
製造されたサンプル1に対し、光が照射されない暗状態において、公知の手法を用いて測定された-3Vの逆バイアス電圧印加時の電流値を暗電流の値として得た。結果を下記表3に示す。
<実施例2>(光電変換素子の製造及び評価)
インク(I-1)の代わりに、インク(I-2)を用いた以外は、既に説明した実施例1と同様にして、光電変換素子の封止体(サンプル2)を製造し、評価した。結果を下記表3に示す。
<比較例1>(光電変換素子の製造及び評価)
インク(I-1)の代わりに、インク(I-C)を用いた以外は、既に説明した実施例1と同様にして、光電変換素子の封止体(サンプルC)を製造し、評価した。結果を下記表3に示す。
Figure 2023082570000086
表3に示されるとおり、本発明の化合物をn型半導体材料として用いた光電変換素子によれば、従来のn型半導体材料を用いた光電変換素子と比較して、暗電流(値)を1/50~1/15程度にまで低減することができることがわかった。
1 イメージ検出部
2 表示装置
10 光電変換素子
11、210 支持基板
12 陽極
13 正孔輸送層
14 活性層
15 電子輸送層
16 陰極
17 封止部材
20 CMOSトランジスタ基板
30 層間絶縁膜
32 層間配線部
40 封止層
42 シンチレータ
44 反射層
46 保護層
50 カラーフィルター
100 指紋検出部
200 表示パネル部
200a 表示領域
220 有機EL素子
230 タッチセンサーパネル
240 封止基板
300 静脈検出部
302 ガラス基板
304 光源部
306 カバー部
310 挿入部
400 TOF型測距装置用イメージ検出部
401 絶縁層
402 浮遊拡散層
404 フォトゲート
406 遮光部

Claims (14)

  1. 下記式(I)で表される化合物。

    ―P―A (I)

    (式(I)中、
    及びAは、それぞれ独立して、電子求引性の1価の基であり、
    Pは、下記式(1)で表される2価の基である。)
    Figure 2023082570000087
    (式(1)中、
    Xは、-S-で表される基、-O-で表される基、-Se-で表される基、又は-N(R)-で表される基を表し、
    、Z、Z及びZは、それぞれ独立して、-C(R)-で表される基、-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、-C(=O)-で表される基であって、Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基である場合には、他方が-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、又は-C(=O)-で表される基であり、Z及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基である場合には、他方が-O-で表される基、-S-で表される基、-N(R)-で表される基、又は-C(=O)-で表される基であり、
    Rは、
    水素原子、
    ハロゲン原子、
    置換基を有していてもよいアルキル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
    置換基を有していてもよいアリール基、
    置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいアリールオキシ基、
    置換基を有していてもよいアルキルチオ基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキルチオ基、
    置換基を有していてもよいアリールチオ基、
    置換基を有していてもよい1価の複素環基、
    置換基を有していてもよい置換アミノ基、
    置換基を有していてもよいアシル基、
    置換基を有していてもよいイミン残基、
    置換基を有していてもよいアミド基、
    置換基を有していてもよい酸イミド基、
    置換基を有していてもよい置換オキシカルボニル基、
    置換基を有していてもよいアルケニル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
    置換基を有していてもよいアルキニル基、
    置換基を有していてもよいシクロアルキニル基、
    シアノ基、
    ニトロ基、
    -C(=O)-Rで表される基、又は
    -SO-Rで表される基を表し、
    及びRは、それぞれ独立して、
    水素原子、
    置換基を有していてもよいアルキル基、
    置換基を有していてもよいアリール基、
    置換基を有していてもよいアルキルオキシ基、
    置換基を有していてもよいアリールオキシ基、又は
    置換基を有していてもよい1価の複素環基を表し、複数あるRは、同一であっても異なっていてもよく、
    Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい3価の芳香族炭素環基又は置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい3価の芳香族複素環基であり、
    Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族炭素環基、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族複素環基、置換基を有していてもよい-CH=CH-で表される基及び-C≡C-で表される基からなる群から選択され、Ar及びArがそれぞれ複数ある場合には、複数あるAr及び複数あるArは、同一であっても異なっていてもよく、
    n及びmは、それぞれ独立して、0、1、2又は3である。)
  2. Pが、下記式(1-4)又は式(2)で表される2価の基である、請求項1に記載の化合物。
    Figure 2023082570000088
    (式(1-4)及び式(2)中、
    X、Z、Z、Z、Z、Ar、Ar、n及びmは、前記定義のとおりであり、
    Ar及びArは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよく複数の環構造がさらに縮環していてもよい芳香族炭素環又は置換基を有していてもよく複数の環構造がさらに縮環していてもよい芳香族複素環である。)
  3. Pが、前記式(1-4)で表される2価の基である、請求項2に記載の化合物。
  4. Ar及びArが、それぞれ独立して、チオフェン環を含み、置換基を有していてもよく複数の環構造が縮環していてもよい2価の芳香族複素環基である、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. 及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基であり、他方が-O-で表される基であり、
    及びZのうちのいずれか一方が-C(R)-で表される基であり、他方が-O-で表される基である、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. 及びZが-C(R)-で表される基であり、Z及びZが-O-で表される基である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. Xが-S-で表される基、又は-O-で表される基である、請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. Xが-S-で表される基である、請求項7に記載の化合物。
  9. 及びAが、それぞれ独立して、シアノ基、カルボニル基及びチオカルボニル基からなる群から選択される1種以上を含む電子求引性の基である、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
  10. p型半導体材料と、n型半導体材料とを含み、該n型半導体材料として、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物を含む、組成物。
  11. 請求項10に記載の組成物と、溶媒とを含むインク。
  12. 陽極と、陰極と、該陽極と該陰極との間に設けられており、p型半導体材料及びn型半導体材料を含む活性層とを含み、該活性層が、n型半導体材料として、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物を含む、光電変換素子。
  13. 光検出素子である、請求項12に記載の光電変換素子。
  14. 請求項13に記載の光電変換素子を含む、イメージセンサー。
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