JP2023080882A - 不飽和カルボン酸化合物の製造方法 - Google Patents

不飽和カルボン酸化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二酸化炭素を原料に用いて、ハロゲン原子の脱離を伴うことなくα,β-不飽和カルボン酸化合物を製造する技術の提供。【解決手段】式(1)で表される化合物と二酸化炭素とを触媒存在下で反応させることを含む、式(2)で表される不飽和カルボン酸化合物の製造方法。[化1]TIFF2023080882000010.tif53170【選択図】なし

Description

本発明は、不飽和カルボン酸化合物の製造方法に関する。
近年、環境保護の目標を達成するために、二酸化炭素の排出量を削減することが必要となっており、解決手段の一つとして、二酸化炭素を化学原料として利用する研究が行われている。
非特許文献1には、二酸化炭素を化学原料に用いて、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸を合成する方法として、塩化イソプロペニルと二酸化炭素を反応させることによりメタクリル酸を製造する技術が開示されている。
非特許文献2には、アリルエステルと二酸化炭素を反応させることによりα,γ-不飽和カルボン酸(塩)を製造する技術が開示されている。
Wang,Yanwei、外2名、"Cobalt-catalyzed carboxylation of aryl and vinyl chlorides with CO2"、Chemical Communications、2020年、第56巻、p.14416-14419 Moragas,Toni、外2名、"Ligand-Controlled Regiodivergent Ni-Catalyzed Reductive Carboxylation of Allyl Esters with CO2"、Journal of The American Chemical Society、2014年、第136巻、p.17702-17705
非特許文献1に開示されている技術では、イソプロペニル位にハロゲンを含有する化合物と二酸化炭素からα,β-不飽和カルボン酸(塩)を合成する反応は、ハロゲン原子の脱離を伴うため、製造装置の材質によっては、脱離したハロゲンにより製造装置の一部が腐食されるおそれがある。
非特許文献2に開示されている技術では、アリル位に結合したアセトキシ基の部位に二酸化炭素を導入することにより、アリルカルボン酸(塩)を合成するため、メタクリル酸等のα,β-不飽和カルボン酸を得ることができない。
本発明は、二酸化炭素を原料に用いて、ハロゲン原子の脱離を伴うことなくα,β-不飽和カルボン酸化合物を製造する技術を提供することを課題とする。
本明細書中には、本発明の各実施形態により解決され得る課題が明示的に又は黙示的に開示されている場合がある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のカルボン酸変性ビニルアルコールエステルを用いることにより、ハロゲン原子の脱離を伴うことなく、メタクリル酸等のα,β-不飽和カルボン酸を製造できることを知得した。
本発明の好ましい実施形態には以下が含まれるが、限定するものではない。
[1] 式(1)で表される化合物と二酸化炭素とを触媒の存在下で反応させることを含む、式(2)で表される不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
Figure 2023080882000001
[式(1)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。RとRとは互いに結合して環状構造を形成してもよい。]
Figure 2023080882000002
[式(2)中、R、R及びRは、それぞれ、式(1)中のR、R及びRと同義であり、Xは、水素原子、又は長周期型周期表第3~4周期に含まれる金属原子を表し、nは1又は2を表す。]
[2] 式(1)において、R、R、R及びRからなる群から選択される少なくとも1つの基が前記置換基として、アリール基、又は長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子を含む、[1]に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
[3] 前記長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子が、C、N、O、F、P、S及びClからなる群から選択される少なくとも1種を有する、[2]に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
[4] 前記触媒が、長周期型周期表第8~10族遷移金属化合物及び有機配位子化合物を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
[5] 前記長周期型周期表第8~10族遷移金属化合物が、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含む、[4]に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
[6] 式(2)のXにおいて、長周期型周期表第3~4周期に含まれる金属原子が、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びGaからなる群から選択されるいずれか1種である、[1]~[5]のいずれかに記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
[7] 還元剤の存在下で反応させる、[1]~[6]のいずれかに記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
[8] 非プロトン性極性溶媒の存在下で反応させる、[1]~[7]のいずれかに記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
[9] 前記式(1)で表される化合物が酢酸イソプロペニルである、[1]~[8]のいずれかに記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
本発明によれば、二酸化炭素を原料に用いて、ハロゲン原子の脱離を伴うことなくα,β-不飽和カルボン酸化合物を製造する技術を提供できる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
なお、特に断らない限り、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A~B」は、A以上B以下であることを意味する。
また、本発明において、「不飽和カルボン酸化合物」は、不飽和カルボン酸の遊離酸及び不飽和カルボン酸の塩を包含する意味で用いられる。例えば、遊離のメタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、及びジメタクリル酸マグネシウム(別名:ビス(2-メチルプロペン酸)マグネシウム)は、いずれも不飽和カルボン酸化合物に含まれる。
本実施形態の不飽和カルボン酸化合物の製造方法は、式(1)で表される化合物(以下「化合物(A)とも記す。)と二酸化炭素とを触媒の存在下で反応させることを含む、式(2)で表される不飽和カルボン酸化合物の製造方法である。
Figure 2023080882000003
式(1)中の各記号の意味は次のとおりである。
:置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
、R及びR:それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
ここで、Rが炭素数1~20の炭化水素基である場合、RとRとは互いに結合して環状構造を形成してもよい。
Figure 2023080882000004
<化合物(A)及び不飽和カルボン酸化合物>
式(2)中の各記号の意味は次のとおりである。
、R及びR:それぞれ、式(1)中のR、R及びRと同義である。
X:水素原子、又は長周期型周期表第3~4周期に含まれる金属原子を表す。前記長周期型周期表第3~4周期に含まれる金属原子は、具体的には、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びGaからなる群から選択されるいずれか1種の金属原子が挙げられる。
n:1又は2を表す。
式(1)及び式(2)において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基であり、置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基がより好ましく、プロピル基、エチル基又はメチル基がさらに好ましく、メチル基がより特に好ましい。
前記置換基は、特に限定されないが、アリール基、又は長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子が好ましい。前記長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子は、具体的には、C、N、O、F、P、S及びClからなる群から選択される少なくとも1種の非金属原子が挙げられる。前記アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~14のアリール基が好ましく、フェニル基、トリル機、o-キシリル基、m-キシリル貴、p-キシリル基、又はナフチル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。置換基の数は1個に限定されず、2個以上であってもよい。
式(1)及び式(2)において、R及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基又は水素原子であり、置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基又は水素原子が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基又は水素原子がより好ましく、プロピル基、エチル基、メチル基又は水素原子がさらに好ましく、メチル基又は水素原子が特に好ましい。
前記置換基は、特に限定されないが、アリール基、又は長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子が好ましい。前記長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子は、具体的には、C、N、O、F、P、S及びClからなる群から選択される少なくとも1種の非金属原子が挙げられる。前記アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~14のアリール基が好ましく、フェニル基、トリル機、o-キシリル基、m-キシリル貴、p-キシリル基、又はナフチル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。置換基の数は1個に限定されず、2個以上であってもよい。
式(1)及び式(2)において、Rが炭化水素基である場合、RとRとは互いに結合して環状構造を形成してもよい。RとRとが互いに結合して環状構造を形成する場合、例えば、-R-R-は、1個以上のメチレン基からなる構造(-(CH-,iは1~40の整数)であり得る。
式(2)において、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基又は水素原子であり、置換基を有していてもよい炭素数1~10の炭化水素基又は水素原子が好ましく、置換基を有していてもよい炭素数1~5の炭化水素基又は水素原子がより好ましく、プロピル基、エチル基、メチル基又は水素原子がさらに好ましく、メチル基又は水素原子が特に好ましい。
前記置換基は、特に限定されないが、アリール基、又は長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子が好ましい。前記長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子は、具体的には、C、N、O、F、P、S及びClからなる群から選択される少なくとも1種の非金属原子が挙げられる。前記アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~14のアリール基が好ましく、フェニル基、トリル機、o-キシリル基、m-キシリル貴、p-キシリル基、又はナフチル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。置換基の数は1個に限定されず、2個以上であってもよい。
式(2)において、Xは、水素原子、又は、長周期型周期表第3~4周期に含まれる金属原子であり、nは、1又は2である。
Xが水素原子である場合、式(2)で表される不飽和カルボン酸化合物は、不飽和カルボン酸の遊離酸となる。
Xが長周期型周期表第3~4周期に含まれる金属原子である場合、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタニウム(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)及びガリウム(Ga)からなる群から選択されるいずれか1種の金属原子(以下、単に「金属原子」とも記す。)である場合、式(2)で表される不飽和カルボン酸化合物は、不飽和カルボン酸の塩となる。Xが前記金属原子である場合のXの価数は、1価又は2価である。
式(2)で表される不飽和カルボン酸化合物は、最終的にはXが水素原子であり、n=1である状態、すなわち、遊離酸として回収されることが好ましい。
化合物(A)としては、具体的には、例えば、酢酸イソプロペニルが挙げられる。
本実施形態の不飽和カルボン酸化合物の製造方法において、化合物(A)と二酸化炭素とを反応させることにより、メタクリル酸の塩が合成され、これを遊離酸であるメタクリル酸として回収することができる。
<触媒>
本実施形態の不飽和カルボン酸化合物の製造方法において、化合物(A)と二酸化炭素との反応は、触媒の存在下で行われる。
前記触媒は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)及びプラチナ(Pt)からなる群から選択される少なくとも1種の長周期型周期表第8~10族遷移金属の化合物(以下「遷移金属化合物」とも記す。)と、有機配位子化合物とを含む。換言すれば、前記触媒として、遷移金属化合物と有機配位子化合物とを併用する。
前記長周期型周期表第8~10族遷移金属化合物としては、具体的には、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含む遷移金属化合物が挙げられる。
前記遷移金属化合物としては、ニッケル化合物又はパラジウム化合物が好ましい。
前記ニッケル化合物としては、例えば、[Ni(COD)]、NiF、NiCl、NiBr、NiI、[Ni(OAc)]、[Ni(アセチルアセトネート)]、[Ni(PhP)(Cl)]、[Ni((PPhFc)(Cl)]、[Ni(メタリル)(Cl)]、[Ni(アリル)(Cl)]、[Ni(CO)]、[Ni(PPh(CO)]、[Ni(NO]、[Ni(OH)]、[Ni(PPh]、[Ni(CFCOO)]、[Ni(SO)]、[Ni(2-エチルヘキサノエート)]、[Ni(P(OPh)]、[Ni(C15COO)]、[Ni(Cp)]、[Ni(PCy(Cl)]、[Ni(PMe(Cl)]、[Ni(PBu(Br)2]、及び[Ni(dppe)(Cl)]が挙げられる。
前記パラジウム化合物としては、例えば、[Pd(アリル)(Cl)]、[Pd(メタリル(メタリル))(Cl)][Pd(dba)]、[Pd(dba)]、PdCl、PdBr、PdI、Pd(NO、PdSO[Pd(OAc)]、[Pd(PtBu]、[Pd(PCy]、[Pd(Poトリル]、[Pd(PPh]、[Pd(COD)(Cl)(Me)]、[Pd(Phen)(OAc)]、[Pd(PtBu(Br)]、[Pd(CCN)(Cl)]、[Pd(PCy(Cl)]、[Pd(PPh(Cl)]、[Pd(ノルボルナジエン)(Cl)]、[Pd(TMEDA)(Cl)]、[Pd(TMEDA)(CH]、[Pd(OAc)]、[Pd(CFCOO)]、[Pd(アセチルアセトネート)]、[Pd(COD)(Cl)]、及び[Pd(アリル)(Cp)]が挙げられる。
前記ニッケル化合物及び前記パラジウム化合物において、dbaは、ジベンジリデンアセトンであり、Cyは、シクロヘキシルであり、CODは、1,5-シクロオクタジエンであり、Phenは、フェナントロリンであり、TMEDAは、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンであり、Fcは、フェロセニルであり、Cpは、シクロペンタジエニルである。
前記有機配位子化合物としては、有機リン系配位子化合物又は窒素系配位子化合物が好ましい。
前記有機リン系配位子化合物としては、例えば、1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジシクロペンチルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジシクロヘプチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジシクロヘプチルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジシクロヘプチルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジイソプロピルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジ-sec-ブチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジ-sec-ブチルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジ-sec-ブチルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ドデシルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ドデシルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ドデシルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(デシルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(デシルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(デシルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(テトラデシルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(テトラデシルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(テトラデシルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ヘキサデシルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ヘキサデシルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ヘキサデシルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ブタン、及び
Figure 2023080882000005
が挙げられる。
前記窒素系配位子化合物としては、例えば、バソクプロイン(1,10-フェナントロリンの2位と9位の炭素に結合していた水素がメチル基に置換され、4位と7位の炭素に結合していた水素がフェニル基に置換された化合物)等のフェナントロリン誘導体、2,2’-ビピリジン、エチレンジアミン、ターピリジン、エチレンジアミン四酢酸、ポルフィリンが挙げられる。
前記遷移金属化合物及び前記有機配位子化合物は、それぞれ、1種類を単独で、又は2種類以上を組みわせて使用することができる。
前記遷移金属化合物及び前記有機配位子化合物の使用量は特に限定されないが、前記遷移金属化合物は、化合物(A)1モル当量に対して、0.0005~1.0モル当量の範囲であることが好ましく、0.001~0.3モル当量の範囲であることがより好ましく、0.005~0.06モル当量の範囲であることがさらに好ましい。また、前記有機配位子化合物は、化合物(A)1モル当量に対して、0.001~2.0モル当量の範囲であることが好ましく、0.005~0.6モル当量の範囲であることがより好ましく、0.02~0.2モル当量の範囲であることがさらに好ましい。
或いは又、前記遷移金属化合物及び前記有機配位子化合物の使用量は特に限定されないが、液相酸化反応を行う場合、前記遷移金属化合物の使用量は、反応器内に存在する溶液に対して0.1~30質量%の範囲であることが好ましく、0.5~20質量%の範囲であることがより好ましく、1~15質量%の範囲であることがさらに好ましい。また、前記有機配位子化合物の使用量は、反応器内に存在する溶液に対して0.1~30質量%の範囲であることが好ましく、0.5~20質量%の範囲であることがより好ましく、1~15質量%の範囲であることがさらに好ましいが好ましい。
<還元剤>
本実施形態の不飽和カルボン酸化合物の製造方法において、化合物(A)と二酸化炭素との反応は、還元剤の存在下で行うことが好ましい。
前記還元剤としては、例えば、H、Mg、Na、Zn、Mn、及びホスフィンが挙げられる。
前記還元剤は、1種類を単独で、又は2種類以上を組みわせて使用することができる。
触媒の一部が上記遷移金属(例えば、ニッケル、パラジウム)の酸化によって不活性化されることがある。触媒の不活性化は、本実施形態の不飽和カルボン酸化合物の製造方法の全体の効率を低下させる。この場合、還元剤を添加することが好ましい。還元剤は、酸化された遷移金属の還元によって不活性化した触媒を再活性化する。
前記還元剤の使用量は、特に限定されないが、Mg、Na、Zn、又はMnを使用する場合の使用量は、化合物(A)1モル当量に対して、0.03~60モル当量の範囲であることが好ましく、0.1~20モル当量の範囲であることがより好ましく、0.5~6モル当量の範囲であることがさらに好ましい。
或いは又、前記還元剤の使用量は、特に限定されないが、液相酸化反応を行う場合、Mg、Na、Zn、又はMnを使用する場合の使用量は、反応器内に存在する溶液に対して0.1~30質量%の範囲であることが好ましく、0.5~20質量%の範囲であることがより好ましく、1~15質量%の範囲であることがさらに好ましい。
<非プロトン性極性溶媒>
本実施形態の不飽和カルボン酸化合物の製造方法において、化合物(A)と二酸化炭素との反応は、非プロトン性極性溶媒の存在下で行うことが好ましい。
前記非プロトン性極性溶媒としては、例えば、エーテル類、エステル類、スルホン類、スルホキシド類、及びアミド類が挙げられる。
前記エーテル類としては、例えば、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフランが挙げられる。
前記エステル類としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル及び酢酸プロピルが挙げられる。
前記スルホン類としては、例えば、ジメチルスルホン(DMSO2)、スルホラン及び3-メチルスルホランが挙げられる。
前記スルホキシド類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、アセトアミド及びN-メチルカプロラクタムが挙げられる。
前記非プロトン性極性溶媒は、1種類を単独で、又は2種類以上を組みわせて使用することができる。
前記非プロトン性極性溶媒の使用量は、化合物(A)と二酸化炭素との反応を阻害しない範囲内であれば特に限定されない。
<反応方法>
本実施形態の不飽和カルボン酸化合物の製造方法において、化合物(A)と二酸化炭素との反応は、既定の温度及び規定の圧力で、ガス/液体反応又は液体/液体反応に適している容器中で行われる。前記容器は、ステンレス等の金属製、又はガラス製であってもよい。
本実施形態の不飽和カルボン酸化合物の製造方法において、化合物(A)と二酸化炭素との反応は、連続的に又は不連続的に行われてもよいが、連続的に行われることが好ましい。
本実施形態の不飽和カルボン酸化合物の製造方法において、化合物(A)、二酸化炭素、遷移金属化合物(触媒)、有機配位子化合物(触媒)、還元剤及び非プロトン性極性溶媒を容器中に供給する。
化合物(A)と二酸化炭素とを反応させる際の容器内の圧力は、特に限定されないが、大気圧から2.0MPaGの範囲内が好ましく、大気圧から1.0MPaGの範囲内がより好ましく、0.2~1.0MPaGの範囲内がさらに好ましく、0.3~0.8MPaGの範囲内が特に好ましい。
化合物(A)と二酸化炭素とを反応させる際の容器内の温度は、特に限定されないが、0~250℃の範囲内が好ましく、40~200℃の範囲内がより好ましく、50~150℃の範囲内がさらに好ましく、60~100℃の範囲内が特に好ましい。
化合物(A)と二酸化炭素とを反応させる際の雰囲気は、非酸化的雰囲気が好ましい。非酸化的雰囲気は、例えば、容器の内部空間を二酸化炭素等の非酸化性ガスで置換することにより達成することができる。容器の内部空間を二酸化炭素で置換すると、原料である二酸化炭素の供給も同時にできるので好ましい。
化合物(A)と二酸化炭素とを反応させて所望の不飽和カルボン酸化合物を得るまでの反応時間は、特に限定されないが、1~10時間が好ましい。
化合物(A)及び二酸化炭素の量は化学反応論的に適宜設定することができるが、二酸化炭素を過剰にしてもよい。
化合物(A)と二酸化炭素とを反応させて得られる不飽和カルボン酸化合物は、非プロトン性極性溶媒を溶媒として用いた場合には、通常、当該溶媒中に塩の形態で溶解して得られる。塩の形態の不飽和カルボン酸化合物は、より強い酸を添加することにより、遊離酸として得られる。例えば、化合物(A)として酢酸イソプロペニルを用い、メタクリル酸の塩が合成された場合、例えば、ギ酸(酸解離定数pKa=3.75)を用いることにより、メタクリル酸(酸解離定数pKa=4.66)を遊離酸として得ることができる(酸解離定数pKaが小さいほど強酸である)。
以下では実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は後述する実施例に限定されるものではない。
[化合物の略称]
・化合物(A)
IPAc:酢酸イソプロペニル(富士フイルム和光純薬社製)
・触媒(遷移金属化合物)
NiI:ヨウ素化ニッケル(高純度化学研究所社製)
・触媒(有機配位子化合物)
バソクプロイン:1,10-フェナントロリンの誘導体(下記式で表される化合物、富士フイルム和光純薬社製)
Figure 2023080882000006
・溶媒(非プロトン性極性溶媒)
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド(富士フイルム和光純薬社製)
・還元剤
Mn:マンガン粉末(富士フイルム和光純薬社製)
[実施例1]
窒素ガス雰囲気下、乾燥した内容量100mLのステンレス鋼製ミクロオートクレーブ(以下「容器」という。)に、撹拌子と、反応溶媒として窒素ガスの通液により脱気したDMF(114mmol)を入れた後、窒素ガスの通液により脱気したIPAc(10mmol)と、NiI(0.2mmol)と、バソクプロイン(0.5mmol)と、Mn(20mmol)と、を加えた。容器の内部空間を二酸化炭素で置換した後、数分間撹拌して内容物を溶解させた。
次いで、容器を密閉し、さらに二酸化炭素で圧力を0.5MPaGまで加圧した後、内容物を撹拌しながら内容物の温度が80℃となるように加熱し、80℃で5時間、加熱撹拌して反応を行った。
反応終了後に、撹拌を維持しながら室温まで放冷しガス成分をパージ後、容器中の反応液を全量回収した。反応液の性状は、固体と液体の混合物であった。反応液にギ酸を添加して、生成したメタクリル酸を遊離させた。
ガスクロマトグラフィーを用いて、反応後回収したIPAc及び生成したメタクリル酸の量(モル数)を求めた。次いで、ガスクロマトグラフィーの結果から、下記式(i)にてIPAc転化率(単位:mol%)を算出した。また、ガスクロマトグラフィーの結果から、下記式(ii)にてメタクリル酸収率(単位:mol%)を算出した。評価結果を表1に示す。
IPAc転化率(%)=(A-B)/A×100 式(i)
メタクリル酸収率(%)=C/A×100 式(ii)
式中、Aは原料として添加したIPAcのモル数、Bは反応後回収したIPAcのモル数、Cは反応で生成したメタクリル酸のモル数である。
[実施例2]
ステンレス鋼製ミクロオートクレーブをガラス製フラスコ(以下同様に、「容器」という。)に変更し、容器の内部空間を二酸化炭素雰囲気の大気圧下に維持した以外は、実施例1と同様の条件で反応を行ってメタクリル酸を製造した。
実施例1と同様にして、IPAc転化率(単位:mol%)及びメタクリル酸収率(単位:mol%)を算出した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
NiIを不使用とした以外は、実施例2と同様の条件で反応を行った。
実施例2と同様にして、IPAc転化率(単位:mol%)及びメタクリル酸収率(単位:mol%)を算出した。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
バソクプロインを不使用とした以外は、実験例2と同様の条件で反応を行った。
実施例2と同様にして、IPAc転化率(単位:mol%)及びメタクリル酸収率(単位:mol%)を算出した。評価結果を表1に示す。
Figure 2023080882000007
実施例1及び実施例2では、二酸化炭素を原料に用いて、ハロゲン原子の脱離を伴うことなく、α,β-不飽和カルボン酸であるメタクリル酸を効率的に製造することができた。特に実施例1はメタクリル酸の収率が高かった。
比較例1では、遷移金属化合物であるNiIを使用せず、即ち、触媒として遷移金属化合物及び有機配位子化合物を併用しない条件で反応を行ったため、メタクリル酸が得られなかった。
比較例2では、有機配位子化合物であるバソクプロインを使用せず、即ち、触媒として遷移金属化合物及び有機配位子化合物を併用しない条件で反応を行ったため、メタクリル酸が得られなかった。
本発明の不飽和カルボン酸の製造方法は、アクリル樹脂の原料として有用なメタクリル酸など、産業上有用なα,β-不飽和カルボン酸をハロゲン原子の脱離を伴うことなく製造できるうえ、地球温暖化ガスとして排出量削減が求められている二酸化炭素を消費することができるので、工業的、環境的に有利である。

Claims (9)

  1. 式(1)で表される化合物と二酸化炭素とを触媒の存在下で反応させることを含む、式(2)で表される不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
    Figure 2023080882000008
    [式(1)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。RとRとは互いに結合して環状構造を形成してもよい。]
    Figure 2023080882000009
    [式(2)中、R、R及びRは、それぞれ、式(1)中のR、R及びRと同義であり、Xは、水素原子、又は長周期型周期表第3~4周期に含まれる金属原子を表し、nは1又は2を表す。]
  2. 式(1)において、R、R、R及びRからなる群から選択される少なくとも1つの基が前記置換基として、アリール基、又は長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子を含む、請求項1に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
  3. 前記長周期型周期表第2~3周期に含まれる一価以上三価以下の非金属原子が、C、N、O、F、P、S及びClからなる群から選択される少なくとも1種を有する、請求項2に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
  4. 前記触媒が、長周期型周期表第8~10族遷移金属化合物及び有機配位子化合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
  5. 前記長周期型周期表第8~10族遷移金属化合物が、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtからなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含む、請求項4に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
  6. 式(2)のXにおいて、長周期型周期表第3~4周期に含まれる金属原子が、Na、Mg、Al、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びGaからなる群から選択されるいずれか1種である、請求項1~5のいずれか一項に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
  7. 還元剤の存在下で反応させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
  8. 非プロトン性極性溶媒の存在下で反応させる、請求項1~7のいずれか一項に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
  9. 前記式(1)で表される化合物が酢酸イソプロペニルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の不飽和カルボン酸化合物の製造方法。
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