JP2023078606A - 給紙装置、画像形成システム、および制御プログラム - Google Patents

給紙装置、画像形成システム、および制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】給紙を安定して行う。【解決手段】給紙装置10は、複数の用紙を積載する載置部331と、載置部331に積載された用紙の給紙方向の先端側から前記用紙に向けた、空気流を生成する先端ファン311を含むエア供給部31と、エア供給部31により、積載された用紙の束から分離した最上部の用紙を吸着して、搬送する吸着搬送部32と、吸着搬送部32により最上部の用紙を搬送する際に、次の用紙が連れて搬送される連れ送り量を検知する検知部と、制御部11と、を備え、制御部11は、検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、先端ファン311による風量が大きくなるように先端ファン311の風量制御を実行する。【選択図】図2

Description

本発明は、給紙装置、画像形成システム、および制御プログラムに関する。
複写機、ファクシミリ、プリンタ、およびこれらの機能を備えた画像形成システムには給紙ユニットが設けられている。そして、この給紙ユニットに積載して収納された用紙を1枚ずつ分離して送り出し、送り出した用紙を画像形成部に搬送して画像を形成する。
近年では、電子写真方式の画像形成システムがPOD(プリントオンデマンド)等の軽印刷の分野で使用されるようになり、画像品質および用紙に関する多様なニーズに対応できることが要求されている。特に用紙に関しては、グロスコート紙、上質紙、追い刷り紙、再生紙などが用いられる場合がある。
従来のローラー搬送方式の給紙装置では、用紙とローラー表面との間の摩擦力により用紙を搬送するため、表面が非常に平滑なグロスコート紙では十分な摩擦力が得られず給紙が安定しない。また、追い刷り紙や再生紙では表面に付着している離型材(打ち粉)や紙粉等の異物がローラー表面に転移してしまい、これにより摩擦力が低下し、長期的に安定した給紙を行えないという問題がある。
このような問題に対応する方式として、エアアシスト方式の給紙装置(以下、エア給紙装置ともいう)が提案されている(例えば特許文献1)。このエア給紙装置は、給紙トレイに重ねて積載した用紙束に対して、周囲から用紙束の上部側面に向かってエアを吹き付けて、用紙間にエアを送り込んで最上面の用紙を用紙束から浮上させ、分離する。そして、分離された最上位の用紙を給紙ローラー等により1枚ずつ搬送するものである。
この特許文献1のエア給紙装置では、使用する用紙の紙種情報に基づいて、給紙パラメータを設定するとともに、その給紙パラメータでの搬送結果を、ネットワークに接続された管理装置に集約し、解析することで、給紙パラメータを設定(更新)している。また、このエア給紙装置では、搬送結果として、連れ送り量やジャム数に基づいて、給紙パラメータとして、用紙にエアを吹き付けるファンの風量を調整し、調整後の設定を各画像形成装置に共通に用いている。
特開2020-70166号公報(特に図12、図13)
しかしながら、特許文献1のように、連れ送り量に基づいて、一の設定を常に用いた場合には、例えば機内の環境が日々変わるような場合には、ある日の搬送では適切であった設定を、別の日に適用したとしても、安定した給紙が行えるとは限られない。また、用紙坪量が小さな軽い用紙の場合には、エアの吹き付けによって用紙の姿勢が大きくばらつく。そのために、用紙の姿勢に応じて捌き性能が変わり、連れ送り量やジャム発生頻度が変わったりする、そのために、給紙時の不良を安定して低減することはできない。また、特許文献1では、給紙トレイに設けられた複数種類のファンの風量を一律に制御するものであり、ファン毎の特性を反映させたものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、検知した連れ送り量が大きくなるに応じて、先端ファンの風量を大きくなるように制御することで、給紙を安定して行える給紙装置、および給紙処理を実行する制御プログラムを提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
(1)複数の用紙を積載する載置部と、
前記載置部に積載された用紙の給紙方向の先端側から前記用紙に向けた、空気流を生成する先端ファンを含むエア供給部と、
前記エア供給部により、積載された用紙の束から分離した最上部の用紙を吸着して、搬送する吸着搬送部と、
前記吸着搬送部により最上部の前記用紙を搬送する際に、次の用紙が連れて搬送される連れ送り量を検知する検知部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きくなるように前記先端ファンの風量制御を実行する、給紙装置。
(2)前記エア供給部は、さらに、前記載置部に積載された用紙の給紙方向に直交する側面側から前記用紙に向けた、空気流を生成するサイドファンを含み、
前記制御部は、前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きく、前記サイドファンによる風量が小さくなるように、前記先端ファンおよび前記サイドファンの風量制御を実行する、上記(1)に記載の給紙装置。
(3)前記サイドファンによる風量の下限値が予め設定されており、
前記制御部は、前記サイドファンの風量が前記下限値を下回らないように制御する、上記(2)に記載の給紙装置。
(4)給紙動作は、前記載置部に積載された用紙の束から、最上部の用紙を浮上させて、前記吸着搬送部に吸着させる第1段階と、前記第1段階の後に前記吸着搬送部に吸着した用紙を下流側に搬送する第2段階と、が含まれ、
前記制御部は、前記先端ファンの前記風量制御として、
前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記第2段階での前記先端ファンによる風量が大きくなるように前記先端ファンを制御する、上記(1)から上記(3)のいずれかに記載の給紙装置。
(5)前記先端ファンからの空気流の向きを、前記載置部に積載された用紙の束の最上部の用紙に向けた下向きと、前記載置部に積載された用紙の束の上方に配置された前記吸着搬送部に向けた上向きの方向に切り替える切替機構を、さらに備え、
前記制御部は
前記第1段階では、前記切替機構により前記空気流の向きを下向き方向に設定し、
前記第2段階では、前記切替機構により前記空気流の向きを上向き方向に設定するとともに、前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きくなるように前記先端ファンを制御する、上記(4)に記載の給紙装置。
(6)前記制御部は、前記載置部に積載された用紙を1枚ずつ連続して給紙する際に、
前記先端ファンを起動した後、前記連れ送り量が所定量以下に減少するまでの期間に、前記先端ファンの前記連れ送り量に応じた前記風量制御を実行する、上記(1)から上記(5)のいずれかに記載の給紙装置。
(7)前記制御部は、前記載置部に積載された用紙を1枚ずつ連続して給紙する際に、
前記先端ファンを起動した後、所定枚数の給紙をするまで、または所定時間が経過するまでの期間に、前記連れ送り量に応じた前記風量制御を実行する、上記(1)から上記(6)のいずれかに記載の給紙装置。
(8)さらに、前記載置部に積載した用紙に関する用紙情報を取得する取得部を備え、
前記制御部は、記憶部に予め記憶されている前記用紙情報、前記連れ送り量、およびファン風量または補正量の関係を示す補正テーブル、または関係式を用いて、前記風量制御を実行する、上記(1)から上記(7)のいずれかに記載の給紙装置。
(9)前記検知部は、前記連れ送り量として、前の用紙の前記吸着搬送部による搬送時に給紙方向の下流側に搬送された距離を検知する、上記(1)から上記(8)のいずれかに記載の給紙装置。
(10)前記検知部は、前記吸着搬送部よりも下流側の搬送経路上の所定位置において、用紙の有無を検知する用紙検知センサーを含み、
前記制御部は、給紙する際に、前記所定位置に到達するまでの、前記吸着搬送部を駆動開始してからの搬送量、または到達時間に基づいて、前記連れ送り量を算出する、上記(9)に記載の給紙装置。
(11)上記(1)から上記(10)のいずれかに記載の給紙装置と、
前記給紙装置から給紙された用紙に対して画像形成する画像形成部と、
を備える画像形成システム。
(12)複数の用紙を積載する載置部と、前記載置部に積載された用紙の給紙方向の先端側から前記用紙に向けた、空気流を生成する先端ファンを含むエア供給部と、前記エア供給部により、積載された用紙の束から分離した最上部の用紙を吸着して、搬送する吸着搬送部と、前記吸着搬送部により最上部の前記用紙を搬送する際に、次の用紙が連れて搬送される連れ送り量を検知する検知部と、を備えた給紙装置を制御するための制御プログラムであって、
前記検知部により連れ送り量を検知するステップ(a)と、
前記ステップ(a)で検知した連れ送り量に応じて、前記先端ファンの風量を制御するステップ(b)と、を含み、
前記ステップ(b)では、前記ステップ(a)で検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きくなるように前記先端ファンの風量を制御する、給紙処理を、給紙装置を制御するコンピューターに実行させるための制御プログラム。
(13)前記エア供給部は、さらに、前記載置部に積載された用紙の給紙方向に直交する側面側から前記用紙に向けた、空気流を生成するサイドファンを含み、
前記ステップ(b)では、検知した連れ送り量に応じて、前記サイドファンの風量も制御し、かつ、前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きく、前記サイドファンによる風量が小さくなるように、前記先端ファンおよび前記サイドファンの風量を制御する、上記(12)に記載の制御プログラム。
本発明に係る給紙装置は、複数の用紙を積載する載置部と、前記載置部に積載された用紙の給紙方向の先端側から前記用紙に向けた、空気流を生成する先端ファンを含むエア供給部と、前記エア供給部により、積載された用紙の束から分離した最上部の用紙を吸着して、搬送する吸着搬送部と、前記吸着搬送部により最上部の前記用紙を搬送する際に、次の用紙が連れて搬送される連れ送り量を検知する検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きくなるように前記先端ファンの風量制御を実行する。これにより、連れ送り量を低減でき、ひいては、給紙を安定して行える。
本実施形態に係る給紙装置を備える画像形成システムの概略構成を示す図である。 画像形成システムのブロック図である。 給紙装置の給紙部の断面図である。 給紙部の斜視図である。 給紙動作(第1段階)を示す模式図である。 給紙動作(第2段階)を示す模式図である。 連れ送りがない場合の次の用紙の給紙動作(第1段階)を示す模式図である。 給紙動作(第1段階)を示す模式図である。 給紙動作(第2段階)を示す模式図である。 連れ送りがある場合の次の用紙の給紙動作(第1段階)を示す模式図である。 連れ送り量と先端ファンの風量の関係を示すグラフである。 連れ送り量とサイドファンの風量の関係を示すグラフである。 第1の実施形態における給紙装置の給紙処理を示すフローチャートである。 ステップS14の処理を示すサブルーチンフローチャートである。 連れ送り量の算出方法を説明するための模式図である。 ステップS15の処理を示すサブルーチンフローチャートである。 連れ送り量とファン風量との関係を示す補正テーブルの例である。 変形例におけるステップS14の処理を示すサブルーチンフローチャートである。 変形例における用紙情報、連れ送り量、と補正量(先端ファン用)との関係を示す補正テーブルの例である。 第2の実施形態における、給紙装置の給紙処理を示すフローチャートである。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の範囲は開示される実施形態に限定されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。図面においては、上下方向をZ方向、画像形成装置の正面、背面方向をY方向、これらのY、Z方向に直交する方向をX方向とする。Y方向は、幅方向、または回転軸方向ともいい、X方向は搬送方向(または給紙方向)ともいう。本実施形態においては、用紙には、印刷用紙(以下、単に用紙という)、各種フィルムが含まれる。特に用紙としては、植物由来の機械パルプ、および/または化学パルプを用いて製造されたものが含まれる。また用紙の種類としては、コート紙のグロス紙およびマット紙、ならびに非コート紙の普通紙および上質紙、等が含まれる。
図1は、本実施形態に係る給紙装置10を備える画像形成システム1000の概略構成を示す図である。図2は、画像形成システム1000のブロック図である。
画像形成システム1000には、給紙装置10、および画像形成装置50が含まれる。給紙装置10および画像形成装置50は、互いに機械的に連結し、およびケーブル80等により電気的に接続される。
(給紙装置10)
給紙装置10は、制御部11、記憶部12、通信部13、および1つ以上の給紙部30を備える。給紙装置10は、給紙部30に収納した用紙90を、1枚ずつ給紙、搬送し、後段の画像形成装置50に送る。この給紙部30は、エアアシスト方式の給紙部であり、給紙トレイとも称される。この給紙部30の具体的な構成についての詳細は後述する(図3等)。
制御部11は、CPUと、メモリを有する。CPUは、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理を実行するマルチコアのプロセッサ等から構成される制御回路であり、給紙装置10の各機能は、それに対応するプログラムをCPUが実行することにより発揮される。メモリは、作業領域として一時的にプログラムおよびデータを記憶する高速アクセス可能な主記憶装置である。メモリには、例えば、DRAM、SDRAM、SRAM等が採用される。
記憶部12は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや各種データを格納する大容量の補助記憶装置である。ストレージには、例えば、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ、ROM等が採用される。記憶部12には、給紙部30に収納された用紙90の用紙情報、および後述の給紙制御に用いる補正テーブル、または関係式が記憶されている。この用紙情報は、取得部として機能する通信部13により、画像形成装置50から取得したものである。画像形成装置50側では、この用紙情報は、内蔵したメディアセンサーの検知出力、または操作表示部57からのユーザーの入力により生成する。用紙情報には、用紙のサイズ、坪量、および紙種の区分が含まれる。坪量の区分としては、62g/m~450g/mまでの範囲において、任意の間隔で分割した数区分~十数区分である。紙種の区分としては、例えばグロス紙、マット紙、普通紙、上質紙、高光沢紙がある。補正テーブルまたは関係式は、「連れ送り量」とファン風量(またはファン補正量)の関係、または、「連れ送り量」、用紙情報と、ファン風量(またはファン補正量)を示すものである(後述の図13、または図15)。
通信部13は、画像形成装置50、等の装置と通信するためのインターフェースである。
(画像形成装置50)
画像形成装置50は、制御部51、記憶部52、通信部53、画像形成部54、給紙部55、搬送部56、操作表示部57、画像読取部58、等を備える。以下においては給紙部55を、給紙装置10の給紙部30と区別するために本体側給紙部55ともいう。
制御部51は、上述の制御部11と同様にCPU、メモリで構成され、画像形成装置50を制御する。または制御部51は、給紙装置10の制御部11と協働することで、画像形成システム全体を制御する。
記憶部52は、記憶部12と同様の構成を備え、各種データを記憶する。通信部53は、給紙装置10、等の装置と通信するためのインターフェースである。また、通信部53は、ネットワーク通じて、PC等と通信する。
画像形成部54は、例えば電子写真方式の画像形成部であり、感光体ドラム、帯電極、露光部、現像部、転写部、クリーニング部等を備える。感光体ドラムに形成された静電潜像は、現像部によって現像されトナー像となる。給紙部30、または、本体側給紙部55から搬送された用紙90は、レジストローラーでタイミング制御され、トナー像と同期がとられ転写部に搬送される。転写部でトナー像が転写された用紙90は、下流側の定着部に搬送され、用紙90上にトナー像が定着される。
本体側給紙部55は、ローラー搬送方式の給紙部であり、用紙90とローラー表面との間の摩擦力により用紙を、1枚ずつ給紙、搬送する。なお、本体側給紙部55も、給紙部30と同様のエアアシスト方式の給紙部とし、後述する給紙処理を適用してもよい。
搬送部56は、複数の搬送ローラーを配置した搬送路を備え、各給紙部30、55から給紙された用紙90を搬送する。
操作表示部57はタッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、画像形成システム1000の状態を表示したり、ユーザーからの印刷指示を受け付けたりする。また、ユーザーからの給紙部30、55等に載置した用紙の種類、坪量、等の用紙情報の入力を受け付ける。
画像読取部58は、本体の上部に配置され、センサーアレイ、光学系、LED光源、原稿ガラス、およびこれらを収納する筐体を備える。画像読取部58は、ADFで搬送した原稿、または原稿ガラスに載置した原稿を読み取って画像データを生成する。
(給紙部30)
次に、図2とともに、および図3、図4を参照し、給紙部30の構成について説明する。図3、図4は、それぞれ、給紙部30の断面図、および斜視図である。
給紙部30は、エア供給部31、吸着搬送部32、用紙収納部33、切替機構34、搬送部35、および複数の用紙検知センサーS1~S3を含む。
エア供給部31は、先端ファン311、サイドファン312、およびダクト313、314で構成される。先端ファン311、サイドファン312は、風量を多段階で制御可能である。以下においては、各ファン311、312は、入力するPWM値(0~100%)により、0~100%の範囲で風量を可変できるものとして説明する。また両サイドにそれぞれ配置された2つのサイドファン312は、風量を制御する際には、同じ出力となるように可変制御される。
用紙収納部33の載置部331(後述)上に積載された用紙90の用紙の束(以下、単に用紙束という)の先端側に、ダクト313が配置されている。ダクト313の内部の先端ファン311により、給紙方向の先端側から用紙束(用紙)に向けた空気流を生成する。空気流は、ダクト313の上部に設けられた吹き出し口a1から排出される。
用紙束の幅方向の両サイドには、それぞれダクト314が設けられている。ダクト314の内部のサイドファン312により、両方の側面側それぞれから用紙束に向けた空気流を生成する。空気流は、ダクト314の上部に設けられた吹き出し口a2から、用紙束の上部に向けて排出される。用紙90を用紙束から分離し、浮上させる段階(後述の図5Aの第1段階)では、先端ファン311とサイドファン312により生成された用紙束の上部に向けた略水平向きの空気流により、用紙束から用紙90が分離し、浮上する。浮上した用紙90のうち、最上位の用紙90は、吸着搬送部32により吸着され、給紙方向に搬送される。
吸着搬送部32は、用紙束の搬送方向の下流側(用紙先端側)の上方に配置されている。なお、図3等では、搬送方向において、吸着搬送部32の長さを、用紙90の長さと同等までに誇張して表示している。
吸着搬送部32は、吸引ファン321、ダクト322、吸着ベルト323、複数の搬送ローラー、および駆動モーター329を備える。図4に示すように複数の吸着ベルト323(図4の例では3個)は、幅方向に渡って並列配置される。これら無端状の吸着ベルト323は、駆動モーター329に接続する大径ローラーと、これよりも小さな2つの小径のローラーによって回転可能に支持される。吸着ベルト323には多数の小径の貫通孔が設けられている。ダクト322の下部には吸着ベルト323に対向する吸引口が設けられ、吸引ファン321により吸着ベルト323の内側を負圧にする。吸引ファン321により吸引されたエアはダクト322を介して装置背面側に排出される。
用紙収納部33は、上面が水平面上にある載置部331、先端規制板332,一対のサイド規制板333、後端規制板334および昇降モーター339を備える。サイド規制板333、および後端規制板334は、収納する用紙90のサイズに応じて、移動機構(図示せず)に応じてユーザーにより位置を可変可能であり、先端規制板332、サイド規制板333、および後端規制板334の内面が、収納する用紙束の四辺に略接触するように位置合わせされる。また、サイド規制板333と、上述のダクト314は一体で構成されており、サイド規制板333の内部にダクト314が形成されており、サイドファン312が収容されている。
それぞれの用紙検知センサーS1は光学センサー単体、またはアクチュエーターとの組み合わせで構成される。用紙検知センサーS1は、検出位置(Z方向)における用紙90の有無を検知する。
用紙収納部33の載置部331の載置面に載置された用紙束の最上部が、所定の高さ位置に到達したことは、用紙検知センサーS1により検知され、その出力に応じて、制御部11は、昇降モーター339を制御することにより、用紙束の最上部が所定の高さ位置になるように、載置部331の高さが調整される。
切替機構34は、シャッター341、風向切替ソレノイド349、およびその他の連結部材(図示せず)により構成される。シャッター341は、ダクト313の内部に配置され、風向切替ソレノイド349によりシャッター341を作動させることで、先端ファン311からの空気流の向きを、上向きと下向きに切り替える。なお、シャッター341、およびソレノイドに換えて、板状の風向切替板と、駆動モーターの構成とし、風の向きを2段階ではなく、多段階に変更できる構成としてもよい。
シャッター341が初期位置にあり、下向きの空気流が形成された状態(後述の図5A)では、用紙束の上部に向けた略水平の空気流が形成される。また、制御部11が風向切替ソレノイド349を作動させ、シャッター341の位置を変更することで、上向きの空気流が形成された状態(後述の図5B)では、用紙の束の上方に配置されている吸着搬送部32に向けた斜め上向きの空気流が形成される。風向切替ソレノイド349をオフすることで、バネ等によりシャッター341は、初期位置に戻る。
搬送部35は、1つ以上の搬送ローラー対を含み、吸着搬送部32により給紙、搬送された用紙90を、下流側に搬送する。用紙90が、搬送経路上の所定位置まで正常に搬送したことは、用紙検知センサーS2、S3により検知される。
(給紙動作、および連れ送り量)
次に、図5A~図6Cを参照し、以上に説明した給紙部30による給紙動作と、連れ送り量について説明する。図5A~図5Cは、連れ送りがない(連れ送り量=0(mm))、理想的な給紙動作を時系列に示した模式図である。図6A~図6Cは、連れ送りがある(連れ送り量Xmm)場合の給紙動作を時系列に示した模式図である。また、図5A~図6Cにおいては、ある時点における1~3枚目の用紙をそれぞれ用紙90a~90cと表記している。給紙装置10は、1枚の用紙90を給紙する毎に、以下の第1段階(用紙浮上)、第2段階(搬送、捌き)の給紙動作を繰り返す。
図5Aに示す第1段階の給紙動作では、先端ファン311とサイドファン312による略水平の空気流により、用紙束の最上位の用紙90aが浮上し、浮上した用紙90aは、吸引ファン321により、吸着ベルト323の表面に吸着する。吸着ベルト323に用紙90aが吸着したことを検知センサー(図示せず)により検知するようにしてもよい。図5Aに示す第1段階では、シャッター341は初期位置にあり、先端ファン311により下向きの空気流が形成される。下向きの空気流は、用紙束の各用紙90間に空気を送り込むことにより、最上部の用紙90を分離させる機能がある。第1段階は、吸着ベルト323への用紙90の吸着を検知してから所定時間経過後、または、第2段階の終了後に第1段階を開始してから所定時間経過後に終了する。
図5Bに示す第2段階の給紙動作では、制御部11は、風向切替ソレノイド349を作動させることで、先端ファン311により上向きの空気流が形成される。この空気流は、第2段階では、吸着ベルト323に吸着した最上位の用紙90a以外の用紙を捌く機能がある。例えば用紙90aに加えて次の用紙90bも浮上し、吸着ベルト323に吸着されていた場合には、これを分離し、落下させて用紙束に戻す。1枚目の用紙90aは、吸着ベルト323、および搬送部35により下流側に搬送される。第2段階の終了、および次の第1段階への移行は、例えば用紙検知センサーS2が用紙90aを検知してから所定時間経過後、または用紙検知センサーS2が用紙を検知しなくなってから行われる。
図5Cに示す次の用紙90bに対する第1段階の給紙動作では、再び、図5Aと同様の動作を行い、以降の給紙動作を繰り返す。また、図5Cにおいては、先の用紙90aは、搬送部35により下流側に搬送され続ける。
(連れ送りがある場合)
次に、図6A~図6Cを参照する。図6A~図6Cは、それぞれ、図5A~図5Cに対応する。
図6Aでは、図5Aと異なり、用紙90aの上昇に伴い、次の図90bも浮上した状態を示している。また、図6Bでは、第2段階の捌きにより、分離し、落下したが、用紙束には、ずれた状態となっている。例えば、各ファン311、312の風量が適切でない場合、あるいは、用紙90の表面性、表面状態により、用紙束からの分離が容易にできない状況で発生する。
図6Bの後の、図6Cの第1段階では、図6Bの影響により、連れ送りが生じた状態で、吸着ベルト323に吸着した状況を示している。本実施形態においては、連れ送りの程度を連れ送り量Xにより評価している。連れ送り自体は、直接的には問題とはならないが、給紙不良の前兆を示す指標としては有効であり、大きくなり過ぎると、給紙不良を引き起こす。連れ送り量は、最上位の用紙90aを搬送する際に、次の用紙90bが連れて搬送される量であり、第1段階終了時の適正位置に対する飛び出し量である。具体的には、図6Cに示すように、第1段階終了時における、吸着ベルト323に吸着した用紙90の先端の位置(xn)の適正位置(基準位置x0)に対するずれ量である。ここで、基準位置x0はX方向における予め定めた位置であり、連れ送りがない場合、例えば用紙束を給紙部30にセット(補充)した最初の用紙90が吸着ベルト323に吸着した際の用紙先端位置である。連れ送り量の検知は、後述する連れ送り量検知処理(検知部)により検知する(図11)。
(連れ送り量とファン風量)
次に各ファン311、312の風量と連れ送り量との関係を説明する。図7は、連れ送り量と先端ファン311の風量の関係を示すグラフである。図8は、連れ送り量とサイドファン312の風量の関係を示すグラフである。
図7に示すように、先端ファン311の風量を大きくするほど、連れ送り量は減少することがわかる。すなわち、連れ送り量が大きくなるほど、これを抑制するためには、先端ファン311の風量を大きくすることが有効である。
一方で、図8に示すようにサイドファン312では、風量を大きくするほど、連れ送り量が増加することがわかる。すなわち、連れ送り量が大きくなるほど、これを抑制するためには、サイドファン312の風量を小さくすることが有効である。このように、先端ファン311とサイドファン312では、風量と連れ送り量の傾向が異なるため、特許文献1(特開2020-70166)のように、一律に風量を変更しただけでは、連れ送り量を低減し、ひいては給紙不良を低減できないことを、本件出願の発明者が見出した。
(給紙処理)
図9は、第1の実施形態における給紙装置10の給紙処理を示すフローチャートである。
(ステップS11)
制御部11は、印刷ジョブの実行開始を受け付けた場合には、処理をステップS12に進める。例えば、画像形成装置50が操作表示部57を通じて、ユーザーからの印刷指示を受け付けた場合には、制御部11は、制御部51から実行開始の指示を受信する。
(ステップS12、S13)
制御部11は、各ファン311、312を起動させる。またこれと同時に吸引ファン321を起動させて、給紙動作を開始する。ここでは、給紙動作を開始し、最上位の用紙90を、吸着ベルト323に吸着させる(第1段階)。用紙90が吸着ベルト323に吸着し、給紙可能なタイミングになると、吸着ベルト323の駆動を開始し、用紙90の搬送を開始する(第2段階)。
(ステップS14)
制御部11は、検知部により連れ送り量を検知する。ここで、検知部は、制御部11のタイマー機能、および用紙検知センサーS2より実現される機能である。
(ステップS201)
図10は、連れ送り量の検知処理(ステップS14)を示すサブルーチンフローチャートである。制御部11は、第2段階になり吸着ベルト323の駆動を開始したタイミングでタイマーによるカウントを開始する。
(ステップS202)
制御部11は、用紙検知センサーS2を、例えば1msec周期で監視し、ON(用紙あり)となるまで待ち(NO)、ONとなり用紙90の先端の通過(到達)を検知した場合には(YES)、処理をステップS203に進める。
(ステップS203)
制御部11は、通過を検知した時点でのタイマー値である経過時間txから連れ送り量Xを算出する。具体的には、経過時間tx、搬送速度v1、ならびにx方向での基準位置x0、および用紙検知センサーS2の位置x2を用いて算出する。経過時間txに搬送速度v1を乗じることで移動距離Lnを算出し、これと、基準x0と位置x2との距離の差分(センサ-距離Ls)から、吸着ベルト323の駆動開始時、すなわち、第2段階の開始時における基準位置x0に対する用紙90の先端位置である連れ送り量Xを算出する。例えば、連れ送りが最小(指標0)の連れ送り量X=0の場合には、経過時間tx=Ls/v1となり、連れ送りが最大(指標100)の連れ送り量X=Ls(位置x2)の場合には経過時間tx=0となる。以上により図10の処理を終了し、図9の処理に戻りステップS15以降の処理を実行する(エンド(リターン))。
(ステップS15)
ここでは、ステップS14(検知部)で算出した連れ送り量から、先端ファン311の風量f1、およびサイドファン312の風量f2を設定する。図12は、ファン風量の補正処理(ステップS15)を示すサブルーチンフローチャートである。図13は、連れ送り量と風量との関係を示す補正テーブルである。
(ステップS301)
ここでは、制御部11は、記憶部12に予め記憶されている図13に示すような補正テーブルを用いて、ファン風量を設定する。この補正テーブルにおいては連れ送り量を大、中、小の三段階に区分している。連れ送り量の理想を指標0、許容最大値を指標100とした場合、大、中、小はこれを3等分した上位、中位、下位に対応する。例えば指標100は、許容可能な上限値に相当する。この上限値は、搬送ジャムとなる連れ送り量よりも少し小さい値、例えば、連れ送り量30mmである。また、この上限値30mmは、用紙検知センサーS2の位置(センサー距離Ls)に対応する。なお、補正テーブルに替えて、連れ送り量と補正後の風量を示す関係式を用いて、風量補正をおこなってもよい。
図13に示すように、本実施形態では、本件出願の発明者が見出した図7、図8の関係に対応して、連れ送り量が大きいほど、先端ファン311の風量f1を標準よりも大きくし、サイドファン322の風量f2を標準よりも小さくしている。なお、標準の風量は、用紙種類(坪量)に応じて予め保存された設定テーブルにより設定された風量である。また、サイドファン322の風量f2は、浮上する機能を果たせない場合には、別の給紙不良が発生する可能性があるため、所定の下限値が予め設定されており、下限値以下には設定しないようにしている(図8の「浮上不足」を参照)。以上により図12の処理を終了し、図9の処理に戻りステップS16以降の処理を実行する(エンド(リターン))。
(ステップS16)
制御部11は、ステップS15の設定値になるように各ファン311、312の風量を調整し、以降の用紙90の給紙時の設定に反映させる。例えば、連続して用紙90に印刷する印刷ジョブにおいて、前の用紙90(n枚目)を給紙した際の連れ送り量Xにより調整したファン風量f1、f2を次の用紙90(n+1枚目)の給紙時に適用する。
(ステップS17)
制御部11は、印刷ジョブが終了でなければ(NO)、処理をステップS13に戻し、以降の処理を繰り返す。一方で、印刷ジョブが終了(YES)したのであれば処理を終了する(エンド)。
(変形例)
次に、図14、図15を参照し、変形例におけるファン風量の補正処理について説明する。図14は、ステップS15の処理を示すサブルーチンフローチャートであり、図15は、用紙情報、連れ送り量、と補正量(先端ファン用)との関係を示す補正テーブルの例である。以下の変形例においては、連れ送り量に加え用紙情報に基づいて、風量制御を実行する。
(ステップS321)
制御部11は、対象となる給紙部30に紐付けて記憶部12に記憶されている用紙情報を取得する。用紙情報は取得部(通信部13)が予め取得したものであり、例えば収納されている用紙90の坪量である。
(ステップS322)
制御部11は、記憶部12に記憶されている補正テーブルを用いて、ファン311、312それぞれの風量の補正量(デルタ量)df1、df2を決定する。図15に示す、先端ファン311の補正量df1に関する補正テーブルでは、坪量が大きいほど、補正量は大きくなっている。例えば、坪量64g/mで、連れ送り量が指標100(例えば最大値の30mm)の場合は、先端ファン311の補正量df1=45%になる。サイドファン312についても同様に、補正テーブルを用いて、補正量df2を決定する。図15に示すように先端ファン311の補正量は連れ送り量が大きいほど、プラス(風量が増加する方向)の値が増加するように記述されているが、サイドファン312の補正テーブルにおいては、連れ送り量が大きいほど、補正量は、マイナス(風量が減少する方向)の絶対値が大きくなるように設定されている。
(ステップS323)
制御部11は、ステップS323で決定した補正量df1、df2から下記の式によりそれぞれのファンの風量を設定する。なお、上述のようにdf2はマイナスの値が設定されている。
先端ファン311の風量f1=fs1+df1
サイドファン312の風量f2=fs2+df2
ここで、fs1、fs2は、補正前の標準の風量であり、坪量に応じて予め設定される固定値である(坪量が大きいほど、大きい値)。また、先端ファン311、312は、上述のようにPWM値により風量が可変されるものであり、可変範囲は、0~100%の範囲である。例えば、坪量64g/mの標準風量fs1=30%で、ステップS322で決定した補正量df1=45%の場合は、補正後の風量はこれらを加算した75%となる。なお、固定値を用いずに、直前の調整後の風量に補正量を、加算するようにしてもよい。例えば先端ファン311の風量f1=f1n-1+df1とする(f1は今回の調整後風量、f1n-1は直前の調整後風量)。
(ステップS324)
制御部11は、ステップS323で設定した、サイドファン312の風量f2が、所定の下限値未満の場合には、下限値に修正する。この下限値は、上述のように第1段階での浮上させる効力が確保できる最低値である。下限値は用紙種類(坪量)に応じて、異なる下限値としてもよい(坪量が大きいほど、下限値が大きい)。例えば、ステップS323で設定した風量f2が5%であり、これが下限値10%未満の場合には、下限値10%に修正する。
このように本実施形態に係る給送装置は、吸着搬送部により最上部の用紙を搬送する際に、次の用紙が連れて搬送される連れ送り量を検知する検知部と、制御部と、を備え、制御部は、検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、先端ファンによる風量が大きくなるように先端ファンの風量制御を実行する。これにより、連れ送り量を低減でき、ひいては、給紙を安定して行える。また、本実施形態では、検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、先端ファンによる風量が大きく、サイドファンによる風量が小さくなるように、先端ファンおよびサイドファンの風量制御を実行する。これにより、より、安定した給紙を実行できる。
(第2の実施形態)
次に図16を参照し、第2の実施形態に係る給紙装置10について説明する。図16は、第2の実施形態における、給紙装置の給紙処理を示すフローチャートである。以下に説明する構成以外は、図1~図15に示した第1の実施形態およびこれの変形例と同じであり説明を省略する。以下に説明する第2の実施形態では、ファン風量制御の実施タイミングを、ファン起動から所定期間、または第2段階のみに限定するものである。
(ステップS41~S43)
これらの処理は、図9のステップS11~S13と同じである。画像形成装置50が、印刷ジョブを受け付けることに応じて、ファンを起動させるとともに、給紙動作を開始する。
(ステップS44)
制御部11は、ファン風量制御を実施するタミングが否かの判断を行う。印刷ジョブを実行中は、第1の実施形態のように全期間ファン風量の調整を行ってもよいが、過剰に調整を行う場合には、最適値から外れてしまう可能性がある。また、印刷ジョブの実行を開始し、停止状態のファンが起動してから、所定期間の間は、ファンの空気流が安定せずに、用紙90の浮上状態が安定しない場合がある。そのため、所定期間にある場合にのみ、後続の連れ送り量に応じたファン風量制御を実施し(YES)、処理をステップS45に進める。一方で所定期間でなければファン風量制御は実施せず(NO)、処理をステップS50に進める。ここで所定期間とは以下の2種類のいずれかである。第1は、ファンの起動を開始(ステップS42)してから、連れ送り量が所定値以下になるまでの期間である。所定値とは、例えば、0mm、または、許容可能な最大値を指標100とした場合にその1/10の指標10以下となった場合であり、所定期間の周期は、最初に所定値以下となったタイミングである。第2は、ファンの起動を開始(ステップS42)してから、所定枚数、および/または所定時間が経過するまでである。所定枚数は、例えば数十枚であり、所定時間は、例えば1分以内である。
(ステップS45、S46)
ここでは、図9のステップS14、S15と同様に、図10、および図12または図14のサブルーチン処理により、連れ送り量を検知し、検知した連れ送り量から、先端ファン311、およびサイドファン312それぞれのファン風量f1、f2を設定する。
(ステップS47)
制御部11は、サイドファン312の風量をステップS46で設定した風量f2に調整する。例えば前の用紙90(n枚目)を給紙した際の連れ送り量Xにより設定したファン風量f2を今回の用紙90(n+1枚目)の給紙時(第1、第2段階とも)に適用する。
(ステップS48)
制御部11は、用紙90(n+1枚目)の第1段階の給紙時の先端ファン311の風量を標準風量fs1に設定する。この標準風量fs1は、上述のように坪量に応じて予め設定されるものである。この第1段階では、切替機構34により切り替えられる先端ファン311の空気流の向きは、下向きである(図5A等参照)。
(ステップS49)
制御部11は、吸着ベルト323に用紙90(n+1枚目)が吸着することにより、第2段階に移行させた場合、切替機構34により先端ファン311の空気流の向きを上向きに切り替える(図5B等参照)。また同時に、先端ファン311の風量を、ステップS46において、前の用紙(n枚目)を給紙した際の連れ送り量Xにより設定したファン風量f1を、今回の用紙90(n+1枚目)の第2段階での給紙時に適用する。
(ステップS50)
図9のステップS17と同様に、制御部11は、印刷ジョブが終了でなければ(NO)、処理をステップS43に戻し、以降の処理を繰り返す。一方で、印刷ジョブが終了(YES)したのであれば処理を終了する(エンド)。
このように第2の実施形態では、ファン風量制御の実施タイミングを、ファン起動から所定期間にのみ実施することで、風量制御を適切な期間にのみ実施できる。また、給紙時の第2段階のみ、先端ファン311の風量を、連れ送り量に応じて、大きくなるように制御することで、風量制御を適正に行え、ひいては、より安定した給紙を実行できる。
以上に説明した給紙装置10、およびこれを備える画像形成システム1000の構成は、上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的な給紙装置、または画像形成システムが備える構成を排除するものではない。
上述の各実施形態では、給紙装置10は、画像形成装置50と別体の構成としたが、一体の機械構成としてもよい。例えば本体側給紙部55を、給紙部30と同様のエアアシスト方式の給紙部とし、この給紙部に、各実施形態の風量制御を行う給紙処理を適用してもよい。
また、連れ送り量は、前の用紙90(n枚目)の給紙時の連れ送り量Xに基づいて、次の用紙(n+1枚目)の給紙時の風量調整を行う例を示したが、これに限られず、複数枚の検知結果を平均処理した結果により風量調整するようにしてもよい。さらに、連れ送り量の検知部として、用紙検知センサーS2を用いる例を示したが、これに限られず、用紙検知センサーS2付近に、カメラまたは光学ラインセンサーを配置する構成とし、これを検知部として用いてもよい。このカメラ、またはラインセンターが取得した画像データを画像解析することにより、第2段階開始時の用紙90の先端位置判定することで、連れ送り量を検知する。
また、上述した実施形態に係る給紙装置10、および画像形成システム1000における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
1000 画像形成システム
10 給紙装置
11 制御部
12 記憶部
30 給紙部
31 エア供給部
311 先端ファン
312 サイドファン
313、314 ダクト
32 吸着搬送部
321 吸着ファン
322 ダクト
323 吸着ベルト
326 駆動モーター
33 用紙収納部
331 載置部
332 先端規制板
333 サイド規制板
334 後端規制板
339 昇降モーター
34 切替機構
341 シャッター
349 切替ソレノイド
35 搬送部

Claims (13)

  1. 複数の用紙を積載する載置部と、
    前記載置部に積載された用紙の給紙方向の先端側から前記用紙に向けた、空気流を生成する先端ファンを含むエア供給部と、
    前記エア供給部により、積載された用紙の束から分離した最上部の用紙を吸着して、搬送する吸着搬送部と、
    前記吸着搬送部により最上部の前記用紙を搬送する際に、次の用紙が連れて搬送される連れ送り量を検知する検知部と、
    制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きくなるように前記先端ファンの風量制御を実行する、給紙装置。
  2. 前記エア供給部は、さらに、前記載置部に積載された用紙の給紙方向に直交する側面側から前記用紙に向けた、空気流を生成するサイドファンを含み、
    前記制御部は、前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きく、前記サイドファンによる風量が小さくなるように、前記先端ファンおよび前記サイドファンの風量制御を実行する、請求項1に記載の給紙装置。
  3. 前記サイドファンによる風量の下限値が予め設定されており、
    前記制御部は、前記サイドファンの風量が前記下限値を下回らないように制御する、請求項2に記載の給紙装置。
  4. 給紙動作は、前記載置部に積載された用紙の束から、最上部の用紙を浮上させて、前記吸着搬送部に吸着させる第1段階と、前記第1段階の後に前記吸着搬送部に吸着した用紙を下流側に搬送する第2段階と、が含まれ、
    前記制御部は、前記先端ファンの前記風量制御として、
    前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記第2段階での前記先端ファンによる風量が大きくなるように前記先端ファンを制御する、請求項1から請求項3のいずれかに記載の給紙装置。
  5. 前記先端ファンからの空気流の向きを、前記載置部に積載された用紙の束の最上部の用紙に向けた下向きと、前記載置部に積載された用紙の束の上方に配置された前記吸着搬送部に向けた上向きの方向に切り替える切替機構を、さらに備え、
    前記制御部は
    前記第1段階では、前記切替機構により前記空気流の向きを下向き方向に設定し、
    前記第2段階では、前記切替機構により前記空気流の向きを上向き方向に設定するとともに、前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きくなるように前記先端ファンを制御する、請求項4に記載の給紙装置。
  6. 前記制御部は、前記載置部に積載された用紙を1枚ずつ連続して給紙する際に、
    前記先端ファンを起動した後、前記連れ送り量が所定量以下に減少するまでの期間に、前記先端ファンの前記連れ送り量に応じた前記風量制御を実行する、請求項1から請求項5のいずれかに記載の給紙装置。
  7. 前記制御部は、前記載置部に積載された用紙を1枚ずつ連続して給紙する際に、
    前記先端ファンを起動した後、所定枚数の給紙をするまで、または所定時間が経過するまでの期間に、前記連れ送り量に応じた前記風量制御を実行する、請求項1から請求項6のいずれかに記載の給紙装置。
  8. さらに、前記載置部に積載した用紙に関する用紙情報を取得する取得部を備え、
    前記制御部は、記憶部に予め記憶されている前記用紙情報、前記連れ送り量、およびファン風量または補正量の関係を示す補正テーブル、または関係式を用いて、前記風量制御を実行する、請求項1から請求項7のいずれかに記載の給紙装置。
  9. 前記検知部は、前記連れ送り量として、前の用紙の前記吸着搬送部による搬送時に給紙方向の下流側に搬送された距離を検知する、請求項1から請求項8のいずれかに記載の給紙装置。
  10. 前記検知部は、前記吸着搬送部よりも下流側の搬送経路上の所定位置において、用紙の有無を検知する用紙検知センサーを含み、
    前記制御部は、給紙する際に、前記所定位置に到達するまでの、前記吸着搬送部を駆動開始してからの搬送量、または到達時間に基づいて、前記連れ送り量を算出する、請求項9に記載の給紙装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれかに記載の給紙装置と、
    前記給紙装置から給紙された用紙に対して画像形成する画像形成部と、
    を備える画像形成システム。
  12. 複数の用紙を積載する載置部と、前記載置部に積載された用紙の給紙方向の先端側から前記用紙に向けた、空気流を生成する先端ファンを含むエア供給部と、前記エア供給部により、積載された用紙の束から分離した最上部の用紙を吸着して、搬送する吸着搬送部と、前記吸着搬送部により最上部の前記用紙を搬送する際に、次の用紙が連れて搬送される連れ送り量を検知する検知部と、を備えた給紙装置を制御するための制御プログラムであって、
    前記検知部により連れ送り量を検知するステップ(a)と、
    前記ステップ(a)で検知した連れ送り量に応じて、前記先端ファンの風量を制御するステップ(b)と、を含み、
    前記ステップ(b)では、前記ステップ(a)で検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きくなるように前記先端ファンの風量を制御する、給紙処理を、給紙装置を制御するコンピューターに実行させるための制御プログラム。
  13. 前記エア供給部は、さらに、前記載置部に積載された用紙の給紙方向に直交する側面側から前記用紙に向けた、空気流を生成するサイドファンを含み、
    前記ステップ(b)では、検知した連れ送り量に応じて、前記サイドファンの風量も制御し、かつ、前記検知部が検知した連れ送り量が大きいほど、前記先端ファンによる風量が大きく、前記サイドファンによる風量が小さくなるように、前記先端ファンおよび前記サイドファンの風量を制御する、請求項12に記載の制御プログラム。
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