JP2023077190A - 混繊不織布及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、混繊不織布及びその製造方法に関する。
生活関連、医療・衛生材、農業・園芸用、産業用等の用途には、汎用の熱可塑性樹脂であるポリアミドやポリエステル、ポリプロピレン等からなる不織布が使用されている。これらの熱可塑性樹脂は、疎水性であることから、これらの素材からなる不織布も疎水性であり、吸水性、吸湿性は非常に低いものであった。そこで、疎水性の繊維に吸水性あるいは吸放湿性を付与するための提案がなされている。
例えば、高吸水性ポリマー(SAP)としてポリアクリル酸系樹脂が汎用されており、ポリアクリル酸系樹脂で構成された高吸水性繊維、及びこの高吸水性繊維を含む不織布が提案されている(特許文献1)。特許文献2にはポリアルキレンオキシド化合物と多価カルボン酸又はジイソシアネートとを反応させて得られる親水性高分子量化合物に、電離性放射線又は紫外線を照射し、架橋させて得られる吸水性材料が提案されている。特許文献3には吸水ポリマーと吸水繊維を用いる方法が提案されている。特許文献4には高い吸水性を有し、柔軟性にも優れた不織布として、ポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性樹脂を溶融紡糸することにより、熱可塑性吸水性樹脂で構成された繊維を含む不織布を調製する高吸水性不織布及びその製造方法が開示されている。
しかし、特許文献1の高吸水性繊維で構成された不織布は、ポリアクリル酸系SAPを使用しており、高度に架橋されて熱可塑性を有さず、繊維化、特に、長繊維(連続したフィラメント)の製造が困難であった。さらに、熱融着性も有さないため、不織布形態とするためには接着剤や熱融着性繊維などのバインダー成分が必要となる問題もあった。特許文献2の吸水性材料は、親水性高分子量化合物を架橋するための電離性放射線または紫外線の照射条件によっては、架橋にムラが生じるため、吸水時に材料表面にぬめりが生じ易く、ゲル強度が低下したり、溶融粘度が高く繊維化が困難である問題があった。特許文献3の吸水性不織布積層体は、吸水ポリマーと吸水繊維を用いており、吸水性に優れるものの、吸水ポリマーとの不織布積層体であるため、一般に高強度のものを得ることは困難であった。特許文献4の高吸水性不織布は、熱可塑性吸水性樹脂の紡糸過程で、溶融紡糸した繊維の固化速度が遅く、溶融状態の繊維がコンベアーネットに貼り付き、不織布の生産が出来ないため、シート状の基材の上に紡糸をし、その後、不織布を基材から外している。吸湿した吸水性繊維は、吸湿した際に繊維表面に粘り気があり、そのため吸水性繊維のみで不織布にすると、吸湿した時に不織布の形状が変化する。さらに、放湿した時に形状が変化するという問題があった。吸水性繊維自体は、繰り返し使える性能を有するが、形状変化を防止するために他素材と複層にすると、吸放湿性能が発揮できない、吸水繊維の層が変形するという問題があった。
本発明は、前記従来技術の問題を解決するため、特定の少なくとも2つの連続繊維を混繊した不織布とすることにより、吸湿時の形状安定性が高く、コンベアーネットに繊維が接着しにくい混繊不織布及びその製造方法を提供する。
本発明の混繊不織布は、第1の連続繊維と第2の連続繊維を含む混繊不織布であり、前記第1の連続繊維は熱可塑性非吸水性繊維であり、前記第2の連続繊維はポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性繊維であり、前記第1の連続繊維と前記第2の連続繊維は混繊されていることを特徴とする。
本発明の混繊不織布の製造方法は、前記の混繊不織布の製造方法であって、第1の連続繊維の熱可塑性非吸水性樹脂と、第2の連続繊維の熱可塑性吸水性樹脂を、それぞれ別個の紡糸ノズルから溶融紡糸し、混繊不織布とすることを特徴とする。
本発明は、第1の連続繊維は熱可塑性非吸水性繊維であり、第2の連続繊維はポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性繊維であり、第1の連続繊維と第2の連続繊維は混繊されていることにより、第1の連続繊維が骨材となり、吸湿時の形状安定性が高く、初期の吸水速度が高く、放湿性も高い混繊不織布とすることができる。また、熱可塑性吸水性樹脂より固化速度が早い熱可塑性非吸水性樹脂と熱可塑性吸水性樹脂が個別のノズルで溶融紡糸されることで、吸水性の第2の連続繊維とコンベアーネットの接点が減少し、コンベアーネットに繊維が接着することを防止することができる。さらに、吸水性の第2の連続繊維に絡まり合う様に非吸水性の第1の連続繊維が紡糸されるため、吸水性の第1の連続繊維とコンベアーネットの接点がさらに減少し、コンベアーネットに繊維が接着することを防止することができる。
本発明の混繊不織布は、第1の連続繊維と第2の連続繊維を含み、前記第1の連続繊維は熱可塑性非吸水性繊維であり、前記第2の連続繊維はポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性繊維であり、前記第1の連続繊維と前記第2の連続繊維は混繊されている。これにより、第1の連続繊維が骨材となり、吸湿時の形状安定性が高く、初期の吸水速度が高く、放湿性も高い混繊不織布とすることができる。
前記混繊不織布を母数としたとき、吸水性の第2の連続繊維は1~99質量%含むのが好ましく、より好ましくは10~90質量%であり、さらに好ましくは20~80質量%である。また、非吸水性の第1の連続繊維は1~99質量%含むのが好ましく、より好ましくは10~90質量%であり、さらに好ましくは20~80質量%である。
前記吸水性の第2の連続繊維は、ポリC2-4アルキレンオキシド単位を含む変性物であるのが好ましい。具体的には、ポリアルキレンオキシドとしては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、これらの共重合体又は混合物などが挙げられるが、少なくともポリエチレンオキシドを含む単位、例えば、ポリエチレンオキシド単位、ポリC2-4アルキレンオキシド共重合体単位などが好ましい。ポリアルキレンオキシド単位中におけるポリエチレンオキシド単位の割合は、50~100モル%、好ましくは70~100モル%、さらに好ましくは90~100モル%である。例えば、ポリプロピレンオキシド単位を含む場合は、80~95モル%であり、共重合体の重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれでもよく、通常はブロック共重合である。
ポリアルキレンオキシド単位の数平均分子量は、3000~50000が好ましく、より好ましくは5000~30000、さらに好ましくは15000~22000である。分子量が小さすぎると、前記熱可塑性吸水性樹脂の溶融粘度が高くなり、混繊不織布の製造時に成形温度を高温にする必要があり、樹脂の分解や着色が生じ易い。一方、分子量が大きすぎると、溶融粘度が低くなり、混繊不織布の柔軟性が低下すると共に、吸水時のゲルにぬめりが生じ易い。
ポリアルキレンオキシド単位を主鎖に含む熱可塑性吸水性樹脂としては、ジオール単位としてポリアルキレンオキシド単位を含むポリエステル系樹脂やポリエステル系エラストマーなどであるが、柔軟性と吸水性とを両立できる点などから、ポリアルキレンオキシドを含むポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを反応させて得られる熱可塑性吸水性樹脂が好ましい。
ポリアルキレンオキシド変性物において、ポリオール成分としては、繊維化形成能を高める点などから、前記ポリアルキレンオキシドに加えて、他のポリオール成分(低分子ポリオール成分)を用いるのが好ましい。他のポリオール成分としては、例えば、脂肪族ジオール(エチレングリコール、1,2-又は1,3-プロピレングリコール、1,4-、1,3-又は1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ウンデカンジオールなどのC2-12アルカンジオール)、脂肪族ポリオール又はそのエステル(グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのC3-12脂肪族ポリオール、グリセリルモノアセテート、グリセリルモノブチレートなどのグリセリンモノアシルエステルなど)、脂環族ジオール(シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添キシリレンジオールなどのシクロアルカンジオール、これらのシクロアルカンジオールのC2-4アルキレンオキシド付加物など)、芳香族ジオール(キシリレンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンなどの芳香族ジオール、これらの芳香族ジオールのC2-4アルキレンオキシド付加物など)などが挙げられる。これら他のポリオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これら他のポリオール成分のうち、ポリアルキレンオキシドとの相溶性や吸水性などの点から、脂肪族ジオール、特に、1,4-ブタンジオールなどのC3-5アルキレングリコールが好ましい。
他のポリオール成分の割合は、ポリアルキレンオキシド1モルに対して、例えば、0.5~6モル、好ましくは1~5モル、より好ましくは1.5~3モルである。他のポリオール成分の割合が少なすぎると、樹脂の吸水能は高まるものの、ゲル強度が低下するため、吸液時に混繊不織布の表面がヌルヌルし易くなる(ぬめり感が発生する)傾向がある。一方、他のポリオール成分の割合が多すぎると、樹脂の溶融粘度が高くなり、樹脂の分解や着色の虞がある。なお、ポリアルキレンオキシドのモル数は、その質量を数平均分子量で除することにより求めることができる。
他のポリオール成分の割合は、ポリアルキレンオキシド1モルに対して、例えば、0.5~6モル、好ましくは1~5モル、より好ましくは1.5~3モルである。他のポリオール成分の割合が少なすぎると、樹脂の吸水能は高まるものの、ゲル強度が低下するため、吸液時に混繊不織布の表面がヌルヌルし易くなる(ぬめり感が発生する)傾向がある。一方、他のポリオール成分の割合が多すぎると、樹脂の溶融粘度が高くなり、樹脂の分解や着色の虞がある。なお、ポリアルキレンオキシドのモル数は、その質量を数平均分子量で除することにより求めることができる。
前記ポリイソシアネート成分としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。これらのポリイソシアネート成分は、多量体(二量体、三量体、四量体など)、アダクト体、変性体(ビュレット変性体、アロハネート変性体、ウレア変性体など)などの誘導体や、複数のイソシアネート基を有するウレタンオリゴマーなどであってもよい。
これらのポリイソシアネート成分のうち、耐候性などの点から、非芳香族ポリイソシアネート、例えば、対称な脂肪族又は脂環族ポリイソシアネート、HDIなどの脂肪族ジイソシアネート、HMDIなどの脂環族ジイソシアネートなどが好ましい。ポリイソシアネート成分の割合(使用割合)は、前記ポリアルキレンオキシド及び他のポリオール成分の合計1モルに対して、0.5~3モル、好ましくは0.7~2モル、より好ましくは0.8~1.2モルである。ポリイソシアネート成分の使用量が少なすぎると、樹脂の吸水能が高まるものの、ぬめり感が生じ易く、一方、ポリイソシアネート成分の使用量が多すぎると、樹脂の分解や着色の虞がある。ポリアルキレンオキシド変性物は、通常、ペレット、シート又はフィルム状などの形態で得られる。ポリアルキレンオキシド変性物は、これらの形態のままで使用してもよいが、粉砕機などを用いて粉砕してもよい。
前記熱可塑性吸水性樹脂(特にポリアルキレンオキシド変性物)は、繊維化のために、適度な溶融粘度を有しているのが好ましい。具体的には、溶融粘度は、温度150~200℃及び荷重3~5MPaにおいて、ダイ孔直径1mm、ダイ長さ1mmの条件で、100~800Pa・sであり、より好ましくは200~600Pa・sである。溶融粘度が低すぎると、加工性が低下して混繊不織布の柔軟性が低下する。一方、溶融粘度が高すぎると、混繊不織布化時の成形温度を高温にする必要があり、ポリアルキレンオキシド変性物の分解や、得られる混繊不織布が着色し易い。
前記熱可塑性吸水性樹脂(特にポリアルキレンオキシド変性物)は、高い吸水性を有しており、吸水量(自重に対する吸水量)が10~50g/gであり、好ましくは15~45g/g、より好ましくは20~40g/gである。吸水量が高すぎると、吸水時に混繊不織布の形態安定性などが低下する傾向がある。さらに、本発明では、吸水量は、水中のイオン濃度に依存することがなく、例えば、海水であっても、真水(純水)と同様の吸水量を有している。
このようなポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性樹脂繊維の横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、一般的な中実断面形状である丸型断面や異型断面(偏平状、楕円状、多角形状など)に限定されず、中空断面状などであってもよい。
前記吸水性繊維及び非吸収繊維の平均繊維直径は、用途に応じて、0.1~100μmの範囲から選択でき、例えば、1~50μmであり、好ましくは3~30μm、さらに好ましくは10~20μmである。繊維直径が小さすぎると、風綿が発生し易く、塊状となり易い。一方、繊維直径が大きすぎると、地合が粗くなり、風合いが低下し易い。吸水性繊維(第2の連続繊維)の単繊維繊度は、非吸収繊維(第1の連続繊維の単繊維繊度)より大きいことが好ましい。これにより非吸収繊維(第1の連続繊維の単繊維繊度)は、吸水性繊維(第2の連続繊維)の間に入って絡まりやすくなり、吸水性繊維とコンベアーネットの接点がさらに減少し、コンベアーネットに吸収性繊維が接着することを防止することができる。なお、平均繊維直径は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記第1の連続繊維は、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維又はポリエステル系繊維などが好ましい。これらの繊維は自重に対する吸水量が10g/g未満である。ポリオレフィン系繊維としては、例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などがある。ポリエステル系繊維としては、例えばポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維などがある。ポリアミド系繊維としては、例えばポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維などがある。ポリウレタン系繊維としては、例えばポリエステルポリオール型ウレタン繊維などがある。これら熱可塑性非吸水性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。公定水分率を例示すると、ポリエチレン繊維0%、ポリアミド繊維4.5%、ポリエステル繊維0.4%である(繊維の百科事典,472頁,2002年3月25日,丸善)。
前記第1の連続繊維及び前記第2の連続繊維の平均繊維直径は0.1~50μmであるのが好ましい。なお、連続繊維は長繊維又はフィラメントとも呼ばれる。
前記混繊不織布は、5~100g/gの吸水能を有するのが好ましい。これにより、吸水性、吸湿性が高い不織布となる。
前記混繊不織布は、後に説明する測定方法において、5~90質量%の吸湿性と、95質量%以上の放湿率を有することが好ましい。これにより、初期の吸水速度が高く、放湿性も高い混繊不織布とすることができる。
本発明の混繊不織布は、適度の熱融着性を有するため、バインダー成分がなくても不織布の形態を保持できるため、実質的にバインダー成分を含んでいなくてもよい。なお、バインダーを含む場合の成分の割合は、混繊不織布全体に対して、0~10質量%、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよいが、通常は、バインダー成分を含有していない。
本発明の混繊不織布の単位面積当たりの質量(目付)は、用途に応じて、5~2000g/m2程度の範囲から選択でき、例えば、10~1500g/m2、好ましくは15~1000g/m2、より好ましくは20~500g/m2であってもよい。
また、本発明の混繊不織布の見かけ密度も、用途に応じて、例えば、0.01~10g/cm3の範囲から選択でき、例えば、0.03~5g/cm3、好ましくは0.05~3g/cm3、より好ましくは0.1~1g/cm3であってもよい。
本発明の混繊不織布の厚みも、用途に応じて、0.01~100mmの範囲から選択でき、例えば、0.02~10mm、好ましくは0.03~5mm、よりに好ましくは0.1~1mmであってもよい。さらに、用途に応じて、このような範囲にある厚みの不織布を複数枚積層して使用してもよい。
また、本発明の混繊不織布の見かけ密度も、用途に応じて、例えば、0.01~10g/cm3の範囲から選択でき、例えば、0.03~5g/cm3、好ましくは0.05~3g/cm3、より好ましくは0.1~1g/cm3であってもよい。
本発明の混繊不織布の厚みも、用途に応じて、0.01~100mmの範囲から選択でき、例えば、0.02~10mm、好ましくは0.03~5mm、よりに好ましくは0.1~1mmであってもよい。さらに、用途に応じて、このような範囲にある厚みの不織布を複数枚積層して使用してもよい。
本発明の混繊不織布は、通気性にも優れ、フラジール形法による通気度で1cm3/(cm2・秒)以上であり、例えば、1~1000cm3/(cm2・秒)、好ましくは10~800cm3/(cm2・秒)、より好ましくは20~300cm3/(cm2・秒))であってもよい。本発明では、バインダーを実質的に含まず、フィルム化も抑制されているため、通気度が高い。
本発明の混繊不織布は、厚み0.2mmにおいて、破断強度が1~200N/5cm、好ましくは3~150N/5cm、より好ましくは5~100N/5cm)である。
本発明の混繊不織布は、シート状基材に積層して積層体を形成してもよい。積層体は、3層以上の積層体であってもよく、例えば、シート状基材の両面に混繊不織布を積層した積層体、混繊不織布の両面にシート状基材を積層した積層体などであってもよい。
シート状基材は、混繊不織布との接着性の点から、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー又はゴムなどの有機高分子で構成されていればよく、用途に応じて選択できるが、柔軟性や密着性の点から、軟質系高分子で構成されたフィルム又はシート(ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴムなどで構成されたフィルム又はシートなど)、有機高分子で構成された不織布又は織編布(織布又は編布)などを好ましく利用できる。これらのシート状基材のうち、通気性などの不織布の特性を損なわずに、密着性や柔軟性に優れる点から、前述の他の繊維で構成された不織布又は織編布(特に、不織布)が特に好ましい。
シート状基材は、混繊不織布との接着性の点から、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー又はゴムなどの有機高分子で構成されていればよく、用途に応じて選択できるが、柔軟性や密着性の点から、軟質系高分子で構成されたフィルム又はシート(ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴムなどで構成されたフィルム又はシートなど)、有機高分子で構成された不織布又は織編布(織布又は編布)などを好ましく利用できる。これらのシート状基材のうち、通気性などの不織布の特性を損なわずに、密着性や柔軟性に優れる点から、前述の他の繊維で構成された不織布又は織編布(特に、不織布)が特に好ましい。
さらに、他の繊維で構成された不織布又は織編布は、密着力が強く、強固な積層体を製造する場合には、親水性樹脂(極性の高い樹脂)で構成されたシート状基材、特に、親水性繊維で構成された不織布又は織編布であってもよい。親水性繊維としては、例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系繊維、ポリ乳酸などのポリ乳酸系繊維、(メタ)アクリルアミド単位を含む(メタ)アクリル系共重合体繊維、レーヨン繊維やアセテート繊維などのセルロース系繊維などが挙げられる。これらのうち、レーヨン繊維などのセルロース系繊維や、エチレン-ビニルアルコール共重合体繊維などのビニルアルコール系繊維で構成された不織布などが好ましい。
一方、前述の他の繊維で構成された不織布又は織編布は、層間に強固な接着力が要求されない場合、積層体から剥離して本発明の不織布を単層で得る場合などには、非親水性樹脂(極性がそれほど高くなく、疎水性が比較的強い樹脂)で構成されたシート状基材、特に、非親水性繊維で構成された不織布又は織編布であってもよい。非親水性繊維としては、例えば、ポリオレフィン系繊維(例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、ポリエステル系繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維など)、ポリアミド系繊維(例えば、ポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維など)、ポリウレタン系繊維(例えば、ポリエステルポリオール型ウレタン系繊維など)などが挙げられる。これらのうち、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維で構成された不織布などが好ましく、ポリプロピレン系繊維などの非吸水性繊維が特に好ましい。
シート状基材としての不織布は、例えば、長繊維不織布(スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、フラッシュ紡糸不織布など)であってもよく、短繊維不織布(スパンレース不織布、エアレース不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、ケミカルボンド不織布、紙など)であってもよい。
不織布とシート状基材との厚み比は、用途やシート状基材の種類に応じて選択できるが、例えば、不織布/シート状基材=10/1~1/10、好ましくは5/1~1/5、さらに好ましくは1/3~3/1程度である。
本発明の積層体の厚みは、用途に応じて、例えば、0.01mm以上(例えば、0.01~100mm程度)の範囲から選択でき、例えば、0.05~10mm、好ましくは0.1~5mm、さらに好ましくは0.2~3mm(特に0.3~1mm)程度であってもよい。積層体の目付、見かけ密度、通気度、破断強度及び破断伸度は、前記不織布と同様の範囲から選択できる。
次に、本発明の混繊不織布の製造方法について説明する。この製造方法は、第1の連続繊維の熱可塑性非吸水性樹脂と、第2の連続繊維の熱可塑性吸水性樹脂を、それぞれ別個の紡糸ノズルから溶融紡糸し、混繊不織布とする。紡糸工程とウェブ化工程とが直結している直接法が好ましい。直接法としては、慣用の方法、例えば、スパンボンド法、メルトブローン法、フラッシュ紡糸法などを利用できる。これらの方法のうち、簡便な方法により、バインダーが不要で、かつ繊維直径が小さいフィラメントが得られる点から、メルトブローン法が好ましい。メルトブローン法で得られた不織布をメルトブローン不織布ともいう。
メルトブローン法では、前記熱可塑性吸水性樹脂を溶融紡糸しながら、得られた繊維を高温の気体で吹き飛ばし、混合して捕集することにより、繊維ウェブを得る。本発明では、以下の製造条件で紡糸することにより、前記熱可塑性吸水性樹脂を用いて、フィルム化が抑制され、均一に繊維化された新規な混繊不織布を製造できる。特に、ポリアルキレンオキシド変性物は固化速度が遅く、親水性が高いにも拘わらず、本発明の方法でポリアルキレンオキシド物を溶融紡糸することにより、フィルム化することなく、均一な混繊不織布が得られる。
具体的には、ポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性樹脂(必要に応じて、他の添加剤を含む)は、慣用の混合機(例えば、溶融混練押出機など)を用いて溶融混練される。溶融温度は、前記熱可塑性吸水性樹脂の種類に応じて選択できるが、ポリアルキレンオキシド変性物の場合、例えば、温度150~260℃、好ましくは160~250℃、より好ましくは180~240℃である。
混合機により溶融混練された前記熱可塑性吸水性樹脂は、紡糸ヘッドに個別に設置された2個のノズルに供給される。各ノズルの間隔は、例えば、0.3mm、好ましくは0.2mm、より好ましくは0.1mmである。
各ノズルの吐出量は、0.01~0.5g/(孔・分)程度の範囲から選択でき、例えば、0.03~0.4g/(孔・分)、好ましくは0.05~0.3g/(孔・分)、よりに好ましくは0.15~0.2g/(孔・分)である。
紡糸温度は、前記熱可塑性吸水性樹脂の種類に応じて、120~300℃程度の範囲から選択できるが、ポリアルキレンオキシド変性物の場合、例えば、150~260℃、好ましくは180~255℃、より好ましくは220~245℃である。紡糸温度が高すぎると、樹脂が劣化する虞がある。一方、紡糸温度が低すぎると、フィラメント化が困難となる傾向がある。
メルトブローン法では、通常、紡糸された繊維をネット上に向けて吹き飛ばすために、通常、ノズルの近傍に形成されたスリットから高温の空気を吹き付ける方法が利用される。空気の温度は、紡糸温度±50℃(特に±30℃)程度の範囲から選択でき、通常、紡糸温度と同様の温度である。
吹き付ける空気の流量(エアー流量)は、例えば、1000~10000L/min、好ましくは1500~8000L/min、より好ましくは2000~6500L/minである。吹き付ける空気の圧力(エアー圧)は、例えば、0.001~1MPa、好ましくは0.005~0.5MPa、より好ましくは0.01~0.3MPaである。
ノズル口と捕集ネットとの距離(捕集距離)は、例えば、10~100cm、好ましくは20~90cm、より好ましくは30~80cmである。捕集距離が小さすぎると、風綿飛散の量が多くなり、ウェブの形成が困難となる傾向がある。一方、捕集距離が大きすぎると、ウェブ地合が粗くなる傾向がある。さらに、本発明では、コンベアーネットの下部から吸引コレクター(サクション装置)により吸引してもよい。吸引圧力は、例えば、0.1~2.0kPa、好ましくは0.5~1.5kPaである。
さらに、本発明では、コンベアーネットと混繊不織布との接着を抑制する点から、ポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性樹脂をシート基材の上に溶融紡糸してもいい。シート状基材、特に、非吸水性繊維で構成された不織布に前記熱可塑性吸水性樹脂を溶融紡糸すると、得られた混繊不織布を容易にシート状基材から剥離でき、簡便に混繊不織布を製造できる。
図1は本発明の一実施態様のメルトブローン不織布製造装置10を示す概略説明図である。成形機5の金属ネット6(コンベアーネット)の上に、メルトブローン法により、熱可塑性非吸水性繊維と、ポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性繊維をノズル3から溶融紡糸しながら、紡糸された繊維4を高温高速の流体で複合形成して吹き付ける。吹き付けられた繊維4は、金属ネット6の下部より、サクション装置7(吸引コレクター)を用いて、金属ネット6の上に吸引捕集し堆積し、前記繊維4で構成された混繊不織布8とし、巻き取りロール9で巻き取る。
図2は本発明の別の実施態様のメルトブローン不織布製造装置11を示す概略説明図であり、シート基材2の上に溶融紡糸する例である。シート状基材供給ロール1よりシート状基材2を、成形機5の金属ネット6(コンベアーネット)の上に敷き出し(供給し)、メルトブローン法により、熱可塑性非吸水性繊維と、ポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性繊維をノズル3から溶融紡糸しながら、紡糸された繊維4を高温高速の流体で複合形成して吹き付ける。吹き付けられた繊維4は、金属ネット6の下部より、サクション装置7(吸引コレクター)を用いて、前記シート状基材2の上に吸引捕集されて堆積し、前記繊維4で構成された混繊不織布8とし、巻き取りロール9で巻き取る。
シート状基材2としては、前述のシート状基材を利用できるが、サクション装置からの吸引を可能とするために、通気性を有する不織布、織布、編布などが好ましい。特に、前述の長繊維不織布を利用して、シート状基材から混繊不織布を剥離して、単層の混繊不織布としてもよく、そのまま積層体として利用してもよい。ポリアルキレンオキシド変性物は固化速度が遅く、親水性が高いため、均一な不織布(特に、単層の不織布)を製造するのは極めて困難であるが、本発明の方法では、シート状基材として、前述の長繊維不織布(特に、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維などの非吸水性繊維で構成された不織布又は織編布)を利用することにより、フィルム化することなく、均一な混繊不織布を得ることができる。
シート状基材2としては、前述のシート状基材を利用できるが、サクション装置からの吸引を可能とするために、通気性を有する不織布、織布、編布などが好ましい。特に、前述の長繊維不織布を利用して、シート状基材から混繊不織布を剥離して、単層の混繊不織布としてもよく、そのまま積層体として利用してもよい。ポリアルキレンオキシド変性物は固化速度が遅く、親水性が高いため、均一な不織布(特に、単層の不織布)を製造するのは極めて困難であるが、本発明の方法では、シート状基材として、前述の長繊維不織布(特に、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維などの非吸水性繊維で構成された不織布又は織編布)を利用することにより、フィルム化することなく、均一な混繊不織布を得ることができる。
なお、開繊した短繊維の集合体をカードで供給し、短繊維に対するバインダー成分の役割を兼ねてポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性樹脂を、カード上に溶融紡糸して積層体(又は一体化物)を形成してもよい。
積層体から不織布を剥離して得る場合、剥離性を向上させるために、積層体を冷却装置で冷却してもよい。例えば、巻き取りロールの温度を、例えば、0~35℃程度に調整してもよい。
積層体から不織布を剥離して得る場合、剥離性を向上させるために、積層体を冷却装置で冷却してもよい。例えば、巻き取りロールの温度を、例えば、0~35℃程度に調整してもよい。
得られた混繊不織布又は積層体は、通常、板状又はシート状成形体として得られ、切断加工などにより所望の形状に加工して利用されるが、必要に応じて慣用の熱成形により二次成形してもよい。さらに、混繊不織布又は積層体は、慣用の積層方法、ゴム/スチールロール、エンボス/スチールロールなどを利用した方法で、シート状又はフィルム状材料を更に積層してもよい。
図3A-Dは本発明の一実施態様の溶融紡糸ノズルの概略平面図である。図3Aの溶融紡糸ノズル12aは、大口径ノズル13と小口径ノズル14をこの順番に一列に配列した例である。大口径ノズル13からは熱可塑性吸水性樹脂を吐出し、小口径ノズル14からは熱可塑性非吸水性樹脂を吐出する。CDは混繊不織布8の幅方向である。図3Bの溶融紡糸ノズル12bは大口径ノズル13と小口径ノズル14a,14bをこの順番に一列に配列した例である。図3Cの溶融紡糸ノズル12cは、大口径ノズル13と小口径ノズル14を2列に配列した例である。図3Dの溶融紡糸ノズル12dは、大口径ノズル13の両側に小口径ノズル14a,14bを配列し、合計3列に配置した例である。
図4は本発明の一実施例の混繊不織布の平面写真である。直径の太い繊維は吸水性繊維15であり、直径の細い繊維は非吸水性繊維16である。繊維の太さ関係は、ノズル直径と吹き付け流体の風速によって制御できる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例における各物性値は、以下に示す方法により測定した。なお、実施例中の「部」及び「%」は質量基準である。
<不織布の吸水率>
得られたメルトブローン不織布をイオン交換水又は人工海水(八洲薬品株製、商品名「アクアマリン」)中に30秒間浸漬した後、吸水前後の不織布の質量を測定し、下記式からイオン交換水又は人工海水の吸水量を算出した。
<吸水量>
吸水量は前記メルトブローン不織布の吸水前後の質量を計り、次の式によって算出した。
吸水量(g/g)=(吸水後の質量-吸水前の質量)/吸水前の質量
<吸湿率及び放湿率>
予め質量[A(g)]を測定した不織布を34℃、90%RHの条件下で恒温恒湿槽に5時間静置した後に質量[B(g)]を測定した。さらに、25℃、65%RHの条件下に2時間静置し、そのときの質量[C(g)]を測定し、吸湿率(%)及び放湿率(%)を下記式に従って求めた。なお、30%以上の吸湿率と90%以上の放湿率を有すれば、良好な吸放湿率を示す混繊不織布と判断できる。
吸湿率(%)=[(B-A)/A]×100
放湿率(%)=[(B-C)/(B-A)]×100
<不織布の目付(g/m2)>
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
<不織布の厚み(mm)、見掛け密度(g/cm3)>
JISL1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて厚さを測定し、この値と目付けの値とから見かけ密度を算出した。
<不織布の平均繊維直径>
不織布を走査型顕微鏡で拡大撮影し、任意の100本の繊維直径(以下繊維径という)を測定し、平均値を算出した。
<不織布の通気度>
JIS L1096に準じ、フラジール形法にて測定した。
<コンベアーネットとの剥離性>
不織布とコンベアーネットと剥離性について評価した。
<形状安定性>
温度34℃、相対湿度90%RHの条件下で5時間吸湿後、温度25℃、相対湿度65%RHの条件下で2時間放湿した。これを20回繰り返して、不織布の形状安定性を評価した。
得られたメルトブローン不織布をイオン交換水又は人工海水(八洲薬品株製、商品名「アクアマリン」)中に30秒間浸漬した後、吸水前後の不織布の質量を測定し、下記式からイオン交換水又は人工海水の吸水量を算出した。
<吸水量>
吸水量は前記メルトブローン不織布の吸水前後の質量を計り、次の式によって算出した。
吸水量(g/g)=(吸水後の質量-吸水前の質量)/吸水前の質量
<吸湿率及び放湿率>
予め質量[A(g)]を測定した不織布を34℃、90%RHの条件下で恒温恒湿槽に5時間静置した後に質量[B(g)]を測定した。さらに、25℃、65%RHの条件下に2時間静置し、そのときの質量[C(g)]を測定し、吸湿率(%)及び放湿率(%)を下記式に従って求めた。なお、30%以上の吸湿率と90%以上の放湿率を有すれば、良好な吸放湿率を示す混繊不織布と判断できる。
吸湿率(%)=[(B-A)/A]×100
放湿率(%)=[(B-C)/(B-A)]×100
<不織布の目付(g/m2)>
JIS L1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて測定した。
<不織布の厚み(mm)、見掛け密度(g/cm3)>
JISL1913「一般短繊維不織布試験方法」に準じて厚さを測定し、この値と目付けの値とから見かけ密度を算出した。
<不織布の平均繊維直径>
不織布を走査型顕微鏡で拡大撮影し、任意の100本の繊維直径(以下繊維径という)を測定し、平均値を算出した。
<不織布の通気度>
JIS L1096に準じ、フラジール形法にて測定した。
<コンベアーネットとの剥離性>
不織布とコンベアーネットと剥離性について評価した。
<形状安定性>
温度34℃、相対湿度90%RHの条件下で5時間吸湿後、温度25℃、相対湿度65%RHの条件下で2時間放湿した。これを20回繰り返して、不織布の形状安定性を評価した。
(製造例:ポリアルキレンオキシド変性物の合成例)
80℃に保温された攪拌機のついた貯蔵タンクAに、十分に脱水した数平均分子量20,000のポリエチレンオキシド100質量部、1,4-ブタンジオ-ル0.90質量部及びジブチルスズジラウレ-ト0.1質量部の割合で投入し、窒素ガス雰囲気下で攪拌して、均一な混合物とした。このタンクとは別に、30℃に保温された貯蔵タンクBに、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネ-トを投入し、窒素ガス雰囲気下で貯蔵した。定量ポンプを用いて、貯蔵タンクAの混合物を250g/分の速度、貯蔵タンクBのジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネ-トを9.2g/分の速度で、110~140℃に設定した2軸押出機に連続的に供給し、押出機中で混合し、反応を行い、押出機出口からストランドを押出し、ペレタイザーによりペレット化して、ポリアルキレンオキシド変性物を得た。得られたポリアルキレンオキシド変性物の溶融粘度は、280Pa・sであり、イオン交換水、人工海水ともに吸水量は25g/gであった。
80℃に保温された攪拌機のついた貯蔵タンクAに、十分に脱水した数平均分子量20,000のポリエチレンオキシド100質量部、1,4-ブタンジオ-ル0.90質量部及びジブチルスズジラウレ-ト0.1質量部の割合で投入し、窒素ガス雰囲気下で攪拌して、均一な混合物とした。このタンクとは別に、30℃に保温された貯蔵タンクBに、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネ-トを投入し、窒素ガス雰囲気下で貯蔵した。定量ポンプを用いて、貯蔵タンクAの混合物を250g/分の速度、貯蔵タンクBのジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネ-トを9.2g/分の速度で、110~140℃に設定した2軸押出機に連続的に供給し、押出機中で混合し、反応を行い、押出機出口からストランドを押出し、ペレタイザーによりペレット化して、ポリアルキレンオキシド変性物を得た。得られたポリアルキレンオキシド変性物の溶融粘度は、280Pa・sであり、イオン交換水、人工海水ともに吸水量は25g/gであった。
(実施例1)
図1に示す装置を用いて、熱可塑性吸水樹脂として製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物と、熱可塑性非吸水性樹脂としてポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製 商品名プライムポリプロ S119)を個別のノズルより溶融紡糸した。熱可塑性吸水繊維の混率80%、熱可塑性非吸水性樹脂の混率20%とした。詳しくは、ポリアルキレンオキシド変性物のペレットを、孔径0.6mmφ、紡糸ノズルの口金から紡糸温度240℃で吐出すると同時に、紡糸孔の近傍に設けたスリットから温度(一次エアー温度)220℃、エアー量2500L/minの熱風を噴出させて吐出した繊維を細化した。ポリプロピレン樹脂のペレットを、孔径0.3mmφ、紡糸ノズルの口金から紡糸温度240℃で吐出すると同時に、紡糸孔の近傍に設けたスリットから温度(一次エアー温度)220℃、エアー量2500L/minの熱風を噴出させて吐出した繊維を細化した。それら繊維を捕集距離60cmに位置するコンベアーネットに捕集し、巻き取り、目付50g/m2の混繊不織布を得た。得られた混繊不織布の平面写真を図1に示す。
図1に示す装置を用いて、熱可塑性吸水樹脂として製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物と、熱可塑性非吸水性樹脂としてポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製 商品名プライムポリプロ S119)を個別のノズルより溶融紡糸した。熱可塑性吸水繊維の混率80%、熱可塑性非吸水性樹脂の混率20%とした。詳しくは、ポリアルキレンオキシド変性物のペレットを、孔径0.6mmφ、紡糸ノズルの口金から紡糸温度240℃で吐出すると同時に、紡糸孔の近傍に設けたスリットから温度(一次エアー温度)220℃、エアー量2500L/minの熱風を噴出させて吐出した繊維を細化した。ポリプロピレン樹脂のペレットを、孔径0.3mmφ、紡糸ノズルの口金から紡糸温度240℃で吐出すると同時に、紡糸孔の近傍に設けたスリットから温度(一次エアー温度)220℃、エアー量2500L/minの熱風を噴出させて吐出した繊維を細化した。それら繊維を捕集距離60cmに位置するコンベアーネットに捕集し、巻き取り、目付50g/m2の混繊不織布を得た。得られた混繊不織布の平面写真を図1に示す。
(実施例2)
実施例1の熱可塑性吸水繊維と熱可塑性非吸水樹脂の割合を、熱可塑性吸水繊維の混率50%、熱可塑性非吸水性樹脂の混率50%とした。割合以外は実施例1と同様にして目付50g/m2の混繊不織布を得た。
実施例1の熱可塑性吸水繊維と熱可塑性非吸水樹脂の割合を、熱可塑性吸水繊維の混率50%、熱可塑性非吸水性樹脂の混率50%とした。割合以外は実施例1と同様にして目付50g/m2の混繊不織布を得た。
(実施例3)
図2に示す装置を用い、捲縮を有する短繊維不織布をシート基材2とし、この上に実施例1の熱可塑性吸水繊維と熱可塑性非吸水性樹脂の割合を、熱可塑性吸水繊維の混率50%、熱可塑性非吸水性樹脂の混率40%とした混繊不織布を積層させた。シート基材2は、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維をカードウェブとし、サーマルボンド法により不織布とした。その他は実施例1と同様にして目付50g/m2の混繊不織布を得た。
図2に示す装置を用い、捲縮を有する短繊維不織布をシート基材2とし、この上に実施例1の熱可塑性吸水繊維と熱可塑性非吸水性樹脂の割合を、熱可塑性吸水繊維の混率50%、熱可塑性非吸水性樹脂の混率40%とした混繊不織布を積層させた。シート基材2は、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート繊維をカードウェブとし、サーマルボンド法により不織布とした。その他は実施例1と同様にして目付50g/m2の混繊不織布を得た。
(比較例1)
製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物を溶融紡糸した。ポリプロピレン樹脂のペレットを、孔径0.6mmφ、紡糸ノズルの口金から紡糸温度240℃で吐出すると同時に、紡糸孔の近傍に設けたスリットから温度(一次エアー温度)220℃、エアー量2500L/minの熱風を噴出させて吐出した繊維を細化した。それら繊維を捕集距離60cmに位置するコンベアーネットに捕集し、巻き取り、目付50g/m2の吸水性不織布を得た。
製造例1で得られたポリアルキレンオキシド変性物を溶融紡糸した。ポリプロピレン樹脂のペレットを、孔径0.6mmφ、紡糸ノズルの口金から紡糸温度240℃で吐出すると同時に、紡糸孔の近傍に設けたスリットから温度(一次エアー温度)220℃、エアー量2500L/minの熱風を噴出させて吐出した繊維を細化した。それら繊維を捕集距離60cmに位置するコンベアーネットに捕集し、巻き取り、目付50g/m2の吸水性不織布を得た。
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製 商品名プライムポリプロ S119)を溶融紡糸した。ポリプロピレン樹脂のペレットを、孔径0.3mmφ、紡糸ノズルの口金から紡糸温度240℃で吐出すると同時に、紡糸孔の近傍に設けたスリットから温度(一次エアー温度)220℃、エアー量2500L/minの熱風を噴出させて吐出した繊維を細化した。それら繊維を捕集距離60cmに位置するコンベアーネットに捕集し、巻き取り、目付50g/m2の疎水性不織布を得た。
ポリプロピレン樹脂(株式会社プライムポリマー製 商品名プライムポリプロ S119)を溶融紡糸した。ポリプロピレン樹脂のペレットを、孔径0.3mmφ、紡糸ノズルの口金から紡糸温度240℃で吐出すると同時に、紡糸孔の近傍に設けたスリットから温度(一次エアー温度)220℃、エアー量2500L/minの熱風を噴出させて吐出した繊維を細化した。それら繊維を捕集距離60cmに位置するコンベアーネットに捕集し、巻き取り、目付50g/m2の疎水性不織布を得た。
(評価)
(吸湿性の評価)
A:吸湿率30%以上。
B:吸湿率10%以上、30%未満。
C:吸湿率10%未満。
(放湿性の評価)
A:放湿率95%以上。
B:放湿率90%以上、95%未満。
C:放湿率90%未満。
(剥離性の評価)
A:不織布がコンバアーネットから、容易に剥がる。
B:不織布がコンバアーネットから、引っ掛かりながら剥がれる。
C:不織布がコンバアーネットから、剥がれずに破れる。
(形状安定性の評価)
A:シワの発生無し。
B:シワの発生有り。
C:収縮する。
実施例及び比較例で得られた積層体又は不織布の評価結果を表1に示す。
(吸湿性の評価)
A:吸湿率30%以上。
B:吸湿率10%以上、30%未満。
C:吸湿率10%未満。
(放湿性の評価)
A:放湿率95%以上。
B:放湿率90%以上、95%未満。
C:放湿率90%未満。
(剥離性の評価)
A:不織布がコンバアーネットから、容易に剥がる。
B:不織布がコンバアーネットから、引っ掛かりながら剥がれる。
C:不織布がコンバアーネットから、剥がれずに破れる。
(形状安定性の評価)
A:シワの発生無し。
B:シワの発生有り。
C:収縮する。
実施例及び比較例で得られた積層体又は不織布の評価結果を表1に示す。
表1の結果から、本実施例の混繊不織布は、吸湿性、放湿性、剥離性、および形状安定のいずれも優れていることがわかる。
本発明は、吸水性、吸放湿性、吸湿時の形状安定性に優れた混繊不織布およびその製造方法であり、生活関連、医療・衛生材、農業・園芸用、産業用等の用途に好適に用いることが出来る。
1 シート状基材供給ロール
2 シート状基材
3 ノズル
4 繊維
5 成形機
6 金属ネット(コンベアー)
7 サクション装置
8 混繊不織布
9 巻き取りロール
10,11 メルトブローン不織布製造装置
12 溶融紡糸ノズル
13 大口径ノズル
14 小口径ノズル
15 吸水性繊維
16 非吸水性繊維
2 シート状基材
3 ノズル
4 繊維
5 成形機
6 金属ネット(コンベアー)
7 サクション装置
8 混繊不織布
9 巻き取りロール
10,11 メルトブローン不織布製造装置
12 溶融紡糸ノズル
13 大口径ノズル
14 小口径ノズル
15 吸水性繊維
16 非吸水性繊維
Claims (9)
- 第1の連続繊維と第2の連続繊維を含む混繊不織布であり、
前記第1の連続繊維は熱可塑性非吸水性繊維であり、
前記第2の連続繊維はポリアルキレンオキシド単位を含む熱可塑性吸水性繊維であり、
前記第1の連続繊維と前記第2の連続繊維は混繊されていることを特徴とする混繊不織布。 - 前記混繊不織布を母数としたとき、前記第2の連続繊維の熱可塑性吸水性繊維は1~99質量%含まれている請求項1に記載の混繊不織布。
- 前記第2の連続繊維の熱可塑性吸水性繊維は、ポリC2-4アルキレンオキシド単位を含む変性物である請求項1又は2に記載の混繊不織布。
- 前記第2の連続繊維の熱可塑性吸水性繊維は自重に対する吸水量が10~50g/gであり、前記熱可塑性非吸水性繊維は自重に対する吸水量が10g/g未満である請求項1~3のいずれか1項に記載の混繊不織布。
- 前記第1の連続繊維の熱可塑性非吸水性繊維は、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維及びポリエステル系繊維からなる群から選ばれる少なくとも一つの繊維である請求項1~4のいずれか1項に記載の混繊不織布。
- 前記第1の連続繊維及び前記第2の連続繊維の平均繊維直径は0.1~50μmである請求項1~5のいずれか1項に記載の混繊不織布。
- 前記第2の連続繊維の単繊維繊度は前記第1の連続繊維の単繊維繊度より大きい請求項1~6のいずれか1項に記載の混繊不織布。
- 前記混繊不織布は、5~100g/gの吸水能を有する請求項1~7のいずれか1項に記載の混繊不織布。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の混繊不織布の製造方法であって、
第1の連続繊維の熱可塑性非吸水性樹脂と、第2の連続繊維の熱可塑性吸水性樹脂を、それぞれ別個の紡糸ノズルから溶融紡糸し、混繊不織布とすることを特徴とする混繊不織布の製造方法。
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