JP2023076967A - 造膜助剤およびこれを含む水系エマルジョン組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ない添加量であっても水系エマルジョン組成物の最低造膜温度を十分に低下させることができる造膜助剤を提供する。【解決手段】式(1):R1-O-(CH2-CH(R3)-O)n-R2で表される化合物を含む、造膜助剤:式(1)において、R1およびR2は、炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基であり、このとき、R1およびR2の少なくとも一方は、炭素数3~8の分岐のアルキル基であり、かつ、R1およびR2の炭素数の合計は、6以上であり、R3は、水素、メチル基またはエチル基であり、nは、-(CH2-CH(R3)-O)-の平均付加モル数を表し、2~4の数である。【選択図】図1

Description

本発明は、造膜助剤およびこれを含む水系エマルジョン組成物に関する。
従来、塗料の分野では、トルエンやキシレン等の有機溶媒を蒸発させて皮膜化して用いる、いわゆる有機溶剤型のものが主流であった。しかし、作業安全、環境汚染の低減等の観点から、水性型の塗料への移行が強く望まれている。水性型の塗料の代表としては、樹脂粒子が水系媒体に分散した形態である、水系エマルジョン組成物を用いた塗料(以下、「水系エマルジョン組成物」または「水系エマルジョン塗料」と称する)が挙げられる。この溶媒として水系媒体を用いる水系エマルジョン塗料の成膜機構に関しては、有機溶剤型では有機溶媒の蒸発によって連続皮膜が形成されるのに対して、水系エマルジョン塗料では水の蒸発だけでは連続皮膜が形成されず、水の蒸発後、樹脂粒子同士が接触、変形して融着が進み、隙間のない平滑な膜が形成される。この際、樹脂粒子同士の融着等を促進するため、一般的に造膜助剤と呼ばれる添加剤を用いる。造膜助剤はさらに、塗料の最低造膜温度(MFT)を下げ、造膜性を向上する効果がある。
現在、造膜助剤としては、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール(登録商標、以下同じ))が汎用されている。また、特許文献1には、アクリル樹脂分散液に、造膜助剤として沸点150~220℃のアルキレングリコールジアルキルエーテルを加えて水系アクリル樹脂分散液(塗料に相当する)を調製することが開示されている。沸点150~220℃のアルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルが開示されている。一方、当該文献には、沸点150~220℃ではないアルキレングリコールジアルキルエーテルとして、沸点255℃のジエチレングリコールジn-ブチルエーテルを造膜助剤として用いた比較例も開示されている。
特開2020-193252号公報
しかし、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)や、特許文献1に記載されるアルキレングリコールジアルキルエーテルを造膜助剤として用いた場合、水系エマルジョン塗料の最低造膜温度を低下させるという点で未だ改善の余地があった。すなわち、この場合に水系エマルジョン塗料の最低造膜温度を十分に低下させるためには、造膜助剤を比較的多量に添加しなければならず、形成される塗膜の硬度や平滑性に悪影響をもたらすという問題がある。
したがって、本発明は、少ない添加量であっても水系エマルジョン組成物の最低造膜温度を十分に低下させることができる造膜助剤を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を行った結果、下記式(1):
Figure 2023076967000002
上記式(1)中、
およびRは、炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基であり、このとき、RおよびRの少なくとも一方は、炭素数3~8の分岐のアルキル基であり、かつ、RおよびRの炭素数の合計は、6以上であり、
は、水素、メチル基またはエチル基であり、
nは、-(CH-CH(R)-O)-の平均付加モル数を表し、2~4の数である、
で表される化合物を含む、造膜助剤により、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の造膜助剤を水系エマルジョン組成物に適用すると、造膜助剤の添加量が少ない場合であっても水系エマルジョン組成物の最低造膜温度を十分に低下させることができる。
実施例の欄において評価した、アクリル樹脂の水系エマルジョン組成物に対する各造膜助剤の添加量と、最低造膜温度との関係をプロットしたグラフである。 実施例の欄において評価した、アクリルスチレン樹脂の水系エマルジョン組成物に対する各造膜助剤の添加量と、最低造膜温度との関係をプロットしたグラフである。 実施例の欄において評価した、アクリル樹脂の水系エマルジョン組成物により形成された塗膜のデジタルカメラによる撮影画像である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタアクリレートの総称である。(メタ)アクリル等の(メタ)を含む化合物等も同様に、名称中に「メタ」を有する化合物と「メタ」を有さない化合物の総称である。さらに、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を、「沸点」は常圧における沸点を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40~50%RHの条件下で行われた。
<造膜助剤>
本発明の造膜助剤は、下記式(1)で表される化合物を含む。
Figure 2023076967000003
上記式(1)中、
およびRは、炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基であり、このとき、RおよびRの少なくとも一方は、炭素数3~8の分岐のアルキル基であり、かつ、RおよびRの炭素数の合計は、6以上であり、
は、水素、メチル基またはエチル基であり、
nは、-(CH-CH(R)-O)-の平均付加モル数を表し、2~4の数である。
また、一実施形態において、本発明の造膜助剤は、上記式(1)で表される化合物のうち、沸点が220℃を超えるものを含む。
当該造膜助剤を水系エマルジョン組成物に適用すると、造膜助剤の添加量が少ない場合であっても水系エマルジョン組成物の最低造膜温度を十分に低下させることができる。当該効果を奏するメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
水系エマルジョン組成物では、水の蒸発だけでは連続皮膜が形成されず、水の蒸発後、樹脂粒子同士が接触して融着が進み、隙間のない平滑な膜が形成される。この際、樹脂粒子同士の融着等を促進するために、造膜助剤が使用される。しかし、現在汎用されている造膜助剤、例えば、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(テキサノール)や、特許文献1に記載されるアルキレングリコールジアルキルエーテルを用いた場合に、水系エマルジョン組成物の最低造膜温度を低下させるためには、造膜助剤を比較的多量に添加しなければならない。水系エマルジョン組成物において造膜助剤が多量に含有されている場合、形成される塗膜の硬度や平滑性に悪影響をもたらすという問題がある。これは、塗膜中に多量の造膜助剤が残存することで、塗膜が可塑化するためであると考えられる。
そこで、本発明者らは、造膜助剤の設計について鋭意検討した結果、上記式(1)で表されるように末端に少なくともひとつの炭素数3~8の分岐のアルキル基を有する化合物を造膜助剤として用いることで、上記課題を解決できることを見出した。一般的に、疎水性の造膜助剤を用いると、樹脂粒子に浸透して樹脂粒子の表面を膨潤させ、塗布後の樹脂粒子同士の融着を促進し、最低造膜温度を下げるのに有利であると考えられる。しかし、疎水性の造膜助剤を水系エマルジョン組成物(塗料)に配合すると、水系媒体に分散していた樹脂粒子が不安定化して凝集してしまい、組成物の塗布自体が困難になるという問題が生じうる。これに対し、上記式(1)で表される化合物は、親水性を付与するオキシアルキレン基と、疎水性を付与する少なくともひとつの炭素数3~8の分岐のアルキル基とが、適度なバランスで存在する。特に、式(1)で表される化合物が末端に炭素数3~8の分岐のアルキル基を有することにより、式(1)で表される化合物を含む造膜助剤は、水系エマルジョン組成物における水の表面張力を効率的に低下させることができる。これにより、本発明の造膜助剤は、少量の添加であっても、樹脂粒子に効率的に浸透して樹脂粒子の凝集を抑制しつつ、樹脂粒子の表面を膨潤させることができる。また、造膜助剤が、水系エマルジョン組成物において水の表面張力を効率的に低下させることにより、被塗装物に対する水系エマルジョン組成物のぬれ性が向上する。ゆえに、本発明の造膜助剤を含む水系エマルジョン組成物は、被塗装物への塗布性が良好である。
すなわち、本発明の造膜助剤を含む水系エマルジョン組成物を被塗装物に塗布した場合、造膜助剤が塗膜に存在することにより、樹脂に浸透し、造膜助剤の働きで表面が膨潤した樹脂粒子同士が塗膜において容易に融着する。この際、式(1)で表される化合物が水の表面張力を効率的に低下させるため、造膜助剤が樹脂粒子に効率的に浸透して、樹脂粒子同士の膨潤、融着を効率的に進行させることができる。その結果、本発明の造膜助剤は、少量の添加であっても、水系エマルジョン組成物の最低造膜温度を十分に下げることができる。また、本発明の造膜助剤は、水系エマルジョン組成物への添加量が少なく済むため、形成される塗膜中に残存する造膜助剤も少量となり、塗膜が可塑化するのを抑えることができる。ゆえに、本発明の造膜助剤によれば、形成される塗膜の硬度および平滑性に与える悪影響が抑えられる。このため、例えば水系エマルジョン組成物が塗料とされた場合には、塗料本来の性質(例えば、硬度、平滑性等)に及ぼす影響を最小限に抑えることができる。
なお、本発明は、上記メカニズムに何ら制限されるものではない。
上述したように、本発明の造膜助剤は、下記式(1)で表される化合物を含む。なお、造膜助剤に含まれる下記式(1)で表される化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。以下、下記式(1)で表される化合物を「化合物(1)」とも称する。
Figure 2023076967000004
上記式(1)中、RおよびRは、炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基であり、このとき、RおよびRの少なくとも一方は、炭素数3~8の分岐のアルキル基であり、かつ、RおよびRの炭素数の合計は、6以上である。
炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-t-ブチル-2-メチルプロピル基、3,5,5-トリメチルペンチル基等のアルキル基が挙げられる。炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基としては、好ましくは炭素数1~6の直鎖または分岐のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキル基である。
本発明において、RおよびRの少なくとも一方は、炭素数3~8の分岐のアルキル基である。RおよびRの少なくとも一方が有する炭素数3~8の分岐のアルキル基としては、上記したアルキル基のうち炭素数3~8の分岐のアルキル基を用いることができる。それらのうち、炭素数3~8の分岐のアルキル基としては、水系エマルジョン組成物の最低造膜温度をより一層下げるという観点から、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基、tert-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基が好ましく、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基がより好ましく、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基であるのがさらに好ましい。炭素数3~8の分岐のアルキル基としては、炭素数3~5の分岐のアルキル基であることがより好ましい。RおよびRは、どちらか一方が炭素数3~8の分岐のアルキル基を有していればよいが、どちらも炭素数3~8の分岐のアルキル基を有していてもよい。RおよびRがどちらも炭素数3~8の分岐のアルキル基を有する場合、RおよびRは、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基であるのが好ましく、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基であるのがより好ましい。RおよびRの一方が炭素数3~8の分岐のアルキル基を有する場合、RおよびRの他方は、炭素数1~6の直鎖アルキル基であるのが好ましく、炭素数1~5の直鎖アルキル基であるのがより好ましい。一実施形態において、本発明の効果のさらなる向上の観点から、RおよびRは、炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキル基であり、このとき、RおよびRの少なくとも一方は、炭素数3~5の分岐のアルキル基である。
本発明において、RおよびRの炭素数の合計は、6以上である。RおよびRの炭素数の合計は、水系エマルジョン組成物の最低造膜温度をより一層下げるという観点から、7以上であるのが好ましく、8以上であるのがより好ましい。RおよびRの炭素数の合計の上限は、特に制限されず、理論上は16であるが、実用化の観点から、好ましくは15以下であるのが好ましく、12以下であるのがより好ましく、10以下であるのがさらに好ましい。
上記式(1)中、Rは、水素、メチル基またはエチル基である。ここで、式(1)において、「-(CH-CH(R)-O)-」は、オキシアルキレン基を表し、「-(CH-CH(R)-O)-」は、例えば、Rが水素の場合、オキシエチレン基(-(CHCH-O)-)を表し;Rがメチル基の場合、オキシプロピレン基(-(CH-CH(CH)-O)-)を表し;Rがエチル基の場合、オキシブチレン基(-(CH-CH(CHCH)-O)-)を表す。一実施形態において、本発明の効果のさらなる向上の観点から、Rは、水素またはメチル基である。
上記式(1)中、「-(CH-CH(R)-O)-」は、ポリオキシアルキレン鎖を表している。nは、-(CH-CH(R)-O)-の平均付加モル数を表し、2~4の数である。水系エマルジョン組成物の最低造膜温度をより一層下げる観点から、nは、3~4の数であることが好ましい。
上記式(1)中、-(CH-CH(R)-O)-がオキシアルキレン基を複数有する場合において、複数のオキシアルキレン基は、同一であっても異なっていてもよい。また、-(CH-CH(R)-O)n-が2種以上のオキシアルキレン基を有する場合、配列は、ランダム型、ブロック型のいずれでもよい。
本発明の造膜助剤に含まれる式(1)で表される化合物の沸点は、特に限定されないが220℃を超えるものが望ましい。沸点が220℃を超えることにより、水系エマルジョン組成物により塗膜が形成された際に、水が揮発しても造膜助剤は揮発せずに塗膜中に残存することができ、樹脂粒子の膨潤、融着を効率的に進行させることができる。これにより、水系エマルジョン組成物の最低造膜温度を十分に低下させることができる。式(1)で表される化合物の沸点は、225℃以上であるのが好ましく、230℃以上であるのがより好ましく、240℃以上であるのがさらに好ましく、245℃以上であるのが特に好ましく、250℃以上であるのが最も好ましい。式(1)で表される化合物の沸点が上記範囲内であることにより、本発明の所期の効果がより一層発揮される。また、式(1)で表される化合物の沸点は、400℃以下であることが好ましく、380℃以下であることがより好ましく、350℃以下であることがさらに好ましく、330℃以下であることが特に好ましい。式(1)で表される化合物の沸点が上記範囲内であることにより、造膜助剤が樹脂粒子の融着が終わった後に揮発し、塗料本来の性質(例えば、硬度、平滑性等)に及ぼす影響を最小限に抑えることができる。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、エチレングリコールジイソプロピルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルモノtert-ブチルエーテル、エチレングリコールモノn-プロピルエーテルモノtert-ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルモノtert-ブチルエーテル、エチレングリコールジtert-ブチルエーテル等のエチレングリコールジアルキルエーテル;ジエチレングリコールジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルモノtert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノn-プロピルエーテルモノtert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルモノtert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジtert-ブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル;トリエチレングリコールジイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルモノtert-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノtert-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノn-プロピルエーテルモノtert-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテルモノtert-ブチルエーテル、トリエチレングリコールジtert-ブチルエーテル等のトリエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテルモノtert-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテルモノtert-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテルモノtert-ブチルエーテル、プロピレングリコールジtert-ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル;ジプロピレングリコールジイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテルモノtert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn-プロピルエーテルモノtert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテルモノtert-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジtert-ブチルエーテル等のジプロピレングリコールジアルキルエーテル;などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(1)で表される化合物の製造方法は、特に制限されない。例えば、R-OH(Rは上記式(1)のRと同義)で表されるアルコールにアルキレンオキシドを付加させて、R-(CH-CH(R)-O)-H(RおよびRは、それぞれ上記式(1)のRおよびRと同義)で表されるアルキレングリコールモノアルキルエーテルを得た後、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの末端にアルキル基を導入して、R-(CH-CH(R)-O)-R(R~Rは、それぞれ上記式(1)のR~Rと同義)で表されるアルキレングリコールジアルキルエーテルを得る方法が挙げられる。
具体的には、触媒存在下、アルコールにアルキレンオキシドを付加させる。この際、アルキレンオキシドとして、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを用いることで、アルコールにオキシアルキレン基が導入されたアルキレングリコールモノアルキルエーテルを得ることができる。例えば、付加させるアルキレンオキシドとして、エチレンオキシドに加え、プロピレンオキシド等を併せて用いることで、R-OHに複数のオキシアルキレン基を導入することができる。2種以上のアルキレンオキシドを付加させる場合、ランダム付加、ブロック付加のいずれであってもよい。上記方法において、反応後の粗生成物を蒸留等の精製手段を用いて精製してもよい。
次に、上述の方法により得られたアルキレングリコールモノアルキルエーテルとアルケンとを用いて公知の方法(例えば、中国特許出願公開番号106928032号公報に記載の方法)でアルキレングリコールジアルキルエーテルを得ることができる。
<水系エマルジョン組成物>
本発明は、上記造膜助剤と、樹脂と、水系媒体と、を含む、水系エマルジョン組成物についても提供する。当該水系エマルジョン組成物は、最低造膜温度が十分に低く、良好な硬度や平滑性を有する塗膜を形成することができる。
本発明の水系エマルジョン組成物において、造膜助剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上であり、より好ましくは0.05質量部以上であり、さらにより好ましくは0.1質量部以上であり、特に好ましくは0.2質量部以上である。上記下限値以上であれば、最低造膜温度を十分に下げることができ、好ましい造膜性向上効果が得られる。また、本発明の水系エマルジョン組成物において、造膜助剤の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは20質量部以下であり、さらに好ましくは15質量部以下であり、さらにより好ましくは10質量部以下であり、特に好ましくは7質量部以下であり、最も好ましくは5質量部以下である。上記上限値以下であれば、水系エマルジョン組成物の最低造膜温度を十分に低下させることができ、形成される塗膜の硬度や平滑性に与える悪影響を小さく抑えることができる。
[樹脂]
本発明の水系エマルジョン組成物に使用される樹脂は、特に制限されず、例えば、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニルアクリル樹脂、酢酸ビニルベオバ樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、合成ゴムラテックス、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。樹脂としては、例えば、アクリル樹脂またはアクリルスチレン樹脂が好ましい。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル系単量体を重合してなる樹脂である。(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール等の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アクリルスチレン樹脂は、(メタ)アクリル系単量体およびスチレン系単量体を重合してなる樹脂である。(メタ)アクリル系単量体の例は、上記のとおりである。また、スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の水系エマルジョン組成物に使用される樹脂のガラス転移温度は、特に制限されないが、例えば10~35℃である。
本発明の水系エマルジョン組成物に対する樹脂の含有量は、特に制限されないが、例えば30~80質量%である。樹脂は、例えば、樹脂エマルジョンとして水系エマルジョン組成物に配合されてもよい。
[水系媒体]
本明細書において、水系媒体は、水を主成分として含有する(好ましくは50質量%以上含有する)媒体をいい、水以外の成分をさらに含有していてもよい。水以外の成分としては、水に溶解する有機溶剤を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。好ましくは、水系媒体として水のみを使用する。
[任意成分]
本発明の水系エマルジョン組成物は、造膜助剤、樹脂および水系媒体に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の添加剤をさらに含有してもよい。添加剤としては、例えば、顔料、可塑剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、紫外線吸収剤、香料等が挙げられる。その含有量は、特に限定されないが、樹脂に対して0.1~30質量%が好ましい。
[水系エマルジョン組成物の製造方法]
本発明の水系エマルジョン組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば、重合開始剤および乳化剤の存在下、水系媒体中で樹脂を構成する単量体成分を乳化重合させて、樹脂エマルジョンを調製した後、造膜助剤等の添加剤を添加する方法が挙げられる。乳化重合としては、(1)単量体成分を乳化剤および水系媒体中に滴下しながら重合を行う方法(単量体滴下法);(2)原料(単量体成分、乳化剤、および水系媒体)の全量を混合したものから一括で重合を行う方法(単量体一括仕込み法);(3)原料のうちの一部(単量体成分のうちの1種または2種以上等、乳化剤、水系媒体、および重合開始剤)を用いてプレ重合しシードエマルジョンを製造した後、シードエマルジョンへ残りの原料を添加して乳化重合を行う方法(シードエマルジョン法);等が挙げられる。中でも、粒子径制御、重合安定性良好なエマルジョンを得られるという観点から、エマルジョンを得る方法としては、上記(3)の方法が好ましい。上記方法において、乳化剤および重合開始剤としては、通常の乳化重合に用いられる公知のものを使用することができる。
[水系エマルジョン組成物の用途]
本発明に係る水系エマルジョン組成物は、最低造膜温度が十分に低く、良好な硬度および平滑性を有する塗膜を形成できることから、塗料として好適に使用することができる。また、本発明に係る水系エマルジョン組成物は、粘着剤、接着剤等に使用してもよい。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
<造膜助剤の合成>
[合成例1-1]トリエチレングリコールモノn-ブチルエーテルモノtert-ブチルエーテル(BTG-tBu)の合成
(1)トリエチレングリコールモノn-ブチルエーテルの合成
内容量3000mLの攪拌機と温度調節機を備えたオートクレーブに、n-ブタノール(東京化成工業株式会社製)700質量部、苛性カリ(富士フィルム和光純薬株式会社製)0.7質量部(n-ブタノールに対して0.1質量%)を仕込み、容器内の空気を除くため窒素置換(0.1MPa⇔0.5MPa)を5回行った。その後、120~140℃でエチレンオキシド(株式会社日本触媒製)1247質量部(n-ブタノールに対して3.0mol)を3時間かけて断続的にオートクレーブ内に導入し、140℃で1時間反応させた。その後、反応温度135~145℃で2時間反応させた。反応終了後、温度を室温まで下げ、粗生成物(トリエチレングリコールモノn-ブチルエーテル)を得た。
次に、得られた粗生成物(トリエチレングリコールモノn-ブチルエーテル)を充填塔、温度計およびコンデンサーを備えたガラス製フラスコに仕込み、蒸留条件を以下のように設定して、精製を行った。具体的には、蒸留温度および圧力を110~120℃、170~200mmHgに設定し、初留を得た。次に、蒸留温度および圧力を130~140℃、20~40mmHgに設定し、トリエチレングリコールモノn-ブチルエーテルを含む留分を得た。蒸留により得られたトリエチレングリコールモノn-ブチルエーテルはガスクロマトグラフィー(GC)により純度の確認(99%以上)を行った。
≪GC条件≫
ガスクロマトグラフィーの条件は以下の通りである:
装置:島津製作所製 ガスクロマトグラフGC-2025
検出器:水素イオン化検出法(FID)
試料導入量:スプリット注入法
カラム:ZB-1(長さ:30m、内径:0.32mm、膜厚:0.25μm)
注入量:0.2μl
線速度:30cm/sec
キャリアガス:ヘリウム
昇温条件:100℃から20℃/分で340℃まで昇温、340℃で1分間保持する。
(2)BTG-tBuの合成
公知の方法(例えば中国特許出願公開番号106928032号公報に記載の方法)でトリエチレングリコールモノn-ブチルエーテルとイソブチレンとを原料にして、BTG-tBuの合成を行った。得られたBTG-tBuはガスクロマトグラフィー(GC)により化合物の確認を行い、純度が95%以上であることを確認した(GC条件は上記)。BTG-tBuの沸点は270℃であった。
[合成例1-2]トリエチレングリコールモノメチルエーテルモノtert-ブチルエーテル(MTG-tBu)の合成
(1)トリエチレングリコールモノメチルエーテルの合成
上記[合成例1-1](1)においてn-ブタノールをメタノールに変更した以外は[合成例1-1](1)と同様にして、トリエチレングリコールモノメチルエーテルを合成した。
(2)MTG-tBuの合成
上記[合成例1-1](2)においてトリエチレングリコールモノn-ブチルエーテルをトリエチレングリコールモノメチルエーテルに変更した以外は、[合成例1-1](2)と同様にして、MTG-tBuを合成した。得られたMTG-tBuはガスクロマトグラフィー(GC)により化合物の確認を行い、純度が95%以上であることを確認した(GC条件は上記)。MTG-tBuの沸点は254℃であった。
<樹脂エマルジョンの合成>
[合成例2-1]アクリル樹脂エマルジョン(樹脂エマルジョンA)の合成
300mlの三角フラスコにアクリル酸ブチル(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級試薬)49.5質量部、メタクリル酸メチル(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級試薬)49.5質量部、アクリル酸(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級試薬)1質量部を仕込み混合した。別の500ミリリットルの三角フラスコに脱イオン水43.4質量部、乳化剤としてニューコール707-SF(日本乳化剤株式会社製 ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩 純分30%)6.6質量部を仕込み攪拌子にて混合した。そのフラスコに先程のモノマー混合液を5回に分けて投入した。十分に混合した後、10質量%過硫酸アンモニウム(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級試薬)水溶液5質量部を添加し、プレエマルジョンを調製した。攪拌機、温度計、窒素吹き込み管、還流冷却器、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコに、脱イオン水50質量部、調製したプレエマルジョンの5%にあたる5.58質量部を仕込み80℃に昇温した。80℃で30分間保ち、初期重合を行なった。初期重合後、残りのプレエマルジョンを3時間かけて滴下して重合を行なった。その後、80℃で1時間熟成を行なった後に室温まで冷却した。25質量%アンモニア水溶液でpHを8.0に調整して固形分49.4質量%の樹脂エマルジョンA(アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル/アクリル酸=49.5/49.5/1(質量比))を得た。
[合成例2-2]アクリルスチレン樹脂エマルジョン(樹脂エマルジョンB)の合成
300mlの三角フラスコにアクリル酸ブチル(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級試薬)40質量部、メタクリル酸メチル(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級試薬)30質量部、スチレン(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級試薬)30質量部、アクリル酸(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級試薬)2質量部を仕込み混合した。別の500ミリリットルの三角フラスコに脱イオン水45.4質量部、乳化剤としてNewcol CMP-11-SN(日本乳化剤株式会社製 ポリオキシエチレンクミルフェノールエーテルスルホン酸エステルナトリウム塩 純分50%)4.1質量部を仕込み攪拌子にて混合した。そのフラスコに先程のモノマー混合液を5回に分けて投入した。十分に混合した後、10質量%過硫酸アンモニウム(富士フイルム和光純薬株式会社製 特級試薬)水溶液5.1質量部を添加し、プレエマルジョンを調製した。攪拌機、温度計、窒素吹き込み管、還流冷却器、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコに、脱イオン水50質量部、調製したプレエマルジョンの5%にあたる7.83質量部を仕込み80℃に昇温した。80℃で30分間保ち、初期重合を行なった。初期重合後、残りのプレエマルジョンを3時間かけて滴下して重合を行なった。その後、80℃で1時間熟成を行なった後に室温まで冷却した。25質量%アンモニア水溶液でpHを8.0に調整して固形分50.7質量%の樹脂エマルジョンB(アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸=40/30/30/2(質量比))を得た。
<水系エマルジョン組成物の調製>
[アクリル樹脂の水系エマルジョン組成物]
上記合成例2-1で合成した樹脂エマルジョンAに対し、造膜助剤として上記合成例1-1または1-2で得られた化合物または下記の比較化合物を、樹脂エマルジョンの樹脂100質量部に対して5、10または20質量部の量で添加し、25℃で180分混合撹拌したのち24時間静置し、水系エマルジョン組成物を調製した。
[アクリルスチレン樹脂の水系エマルジョン組成物]
上記合成例2-2で合成した樹脂エマルジョンBに対し、造膜助剤として上記合成例1-1または1-2で得られた化合物または下記の比較化合物を、樹脂エマルジョンの樹脂100質量部に対して1、2.5、5または10質量部の量で添加し、25℃で180分混合撹拌したのち24時間静置し、水系エマルジョン組成物を調製した。
[比較化合物]
・DBDG(日本乳化剤株式会社製 ジエチレングリコールジn-ブチルエーテル、沸点255℃)
・TX-IB(イーストマンケミカル株式会社製 2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート、沸点282℃)
・テキサノール(イーストマンケミカル株式会社製 2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、沸点240℃)。
<水系エマルジョン組成物の評価>
水系エマルジョン組成物について、造膜性および塗膜物性を評価した。表1には、アクリル樹脂を用いた水系エマルジョン組成物の最低造膜温度および硬度の結果を示し、表2には、アクリルスチレン樹脂を用いた水系エマルジョン組成物の最低造膜温度および硬度の結果を示す。また、表3にはアクリル樹脂を用いた水系エマルジョン組成物の平滑性の結果を示す。なお、表1~表3において、造膜助剤の「含有量(質量部)」は、水系エマルジョン組成物中の樹脂100質量部に対する造膜助剤の添加量を表す。表1~表3において、造膜助剤における「-」の表記はその剤を添加しないことを意味し、塗膜物性における「-」の表記はその評価を測定していないことを意味する。
また、水系エマルジョン組成物において、各造膜助剤の添加量と、最低造膜温度との関係をプロットしたグラフを図1および図2に示す(図1:アクリル樹脂の水系エマルジョン組成物、図2:アクリルスチレン樹脂の水系エマルジョン組成物)。平滑性の評価では、光沢度の評価に用いた塗膜表面をデジタルカメラ(等倍)で撮影し、図3に示した(図3 (a)実施例1、(b)実施例4、(c)比較例4、(d)比較例10)。
[造膜性(最低造膜温度)]
上記調製した水系エマルジョン組成物を最低造膜温度測定器(テスター産業株式会社製 MFG No.67831)に供し、測定温度範囲0℃~50℃、塗布膜厚0.2mm、乾燥時間1時間の条件で、最低造膜温度(MFT)を測定した。
[塗膜物性]
上記調製した水系エマルジョン組成物について、下記方法により塗膜の硬度および平滑性を評価した。
(硬度)
ガラス板上に、アプリケーターを用いて、ウェット膜厚が75μmとなるように上記調製した水系エマルジョン組成物を塗布し、乾燥(110℃×3分→室温×24時間)し、塗膜を得た。得られた塗膜を、ペンデュラム振り子式硬度計(コーテック株式会社製 SP0500)を用い、振り子の角度が6°から測定を開始し、3°以下になるまでの振幅回数を測定した。乾燥した塗膜が所定の硬さに達しない場合を硬度不足といい、塗膜表面に傷が付きやすい等の問題を起こす。
(平滑性)
平滑性は、水系エマルジョン組成物により形成される塗膜を目視および光沢度により評価した。
ガラス板上に、アプリケーターを用いて、ウェット膜厚が75μmとなるように上記調製した水系エマルジョン組成物を塗布し、乾燥(0℃×24時間)し、塗膜を得た。光沢度計(株式会社堀場製作所製 GROSS METER IG-331)を用いて、塗膜の光沢度(入射角:60°、20°)を測定した。なお、光沢度は、表面に当たった光の正反射の程度を表し、塗膜表面の平滑性を示す。光沢度が高いほど、塗膜表面が平坦であることを意味する。
Figure 2023076967000005
Figure 2023076967000006
Figure 2023076967000007
[造膜性]
表1に示すように、アクリル樹脂エマルジョン系において、本発明の造膜助剤を添加した実施例1~6の組成物は、本発明の範囲外である造膜助剤(比較化合物)を添加した比較例1~9の組成物および造膜助剤を添加していない比較例10の組成物に比べて、MFTが顕著に低いことがわかった。
また、表2に示すように、アクリルスチレン樹脂エマルジョン系において、本発明の造膜助剤を添加した実施例7~14の組成物は、本発明の範囲外である造膜助剤(比較化合物)を添加した比較例11~14の組成物および造膜助剤を添加していない比較例15の組成物に比べて、MFTが顕著に低いことがわかった。
これらの結果から、本発明の造膜助剤は、少量の添加であっても、水系エマルジョン組成物の最低造膜温度を十分に低下させ、造膜性を向上できることがわかった。
[塗膜物性]
上記の[造膜性]において最低造膜温度の低下効果が見られた添加量で造膜助剤を含む水系エマルジョン組成物について、形成される塗膜の硬度および平滑性を確認した。
表1および表2に示すように、実施例1~14の本発明の造膜助剤を含む組成物から形成された塗膜は、本発明の範囲外である造膜助剤を含む組成物から形成された塗膜と造膜助剤の添加量ごとに比較すると、硬度において、より優れた結果を示すことがわかった。
表3に示すように、実施例1、実施例4の本発明の造膜助剤を含む組成物から形成された塗膜は、比較例1、比較例10の組成物から形成された塗膜と比較すると、光沢度が高く、平滑性においてより優れた結果を示すことがわかった。また、図3に示すように、実施例1、実施例4の本発明の造膜助剤を含む組成物から形成された塗膜は、比較例1、比較例10の組成物から形成された塗膜よりも白い糸状の斑点が顕著に少なく、平滑性が優れていることがわかった。
本発明の造膜助剤は、図1および図2に示すように、少量の添加であっても最低造膜温度を低減する効果が高い。よって、添加量ごとに本発明の造膜助剤を含む組成物と、本発明の範囲外である造膜助剤を含む組成物とを比べると、本発明の造膜助剤を含む組成物の方が最低造膜温度が低いことがわかる。すなわち、ある最低造膜温度を達成しようとする場合において、本発明の造膜助剤を用いると、本発明の範囲外である造膜助剤を用いるよりも、その添加量を有意に減らすことができる。そうすると、造膜助剤の添加量の低減に伴い、造膜助剤を添加することによる塗膜への影響(例えば、硬度および平滑性)も低減することができる。
上記結果から、本発明の造膜助剤によれば、形成される塗膜の硬度および平滑性に与える悪影響を抑えつつ、最低造膜温度を十分に低下させることができることが確認された。また、本発明の造膜助剤によれば、少量の添加であっても最低造膜温度を十分に低下させることができるため、形成される塗膜の硬度および平滑性に与える悪影響が抑えられた水系エマルジョン組成物が提供される。

Claims (7)

  1. 下記式(1):
    Figure 2023076967000008

    上記式(1)中、
    およびRは、炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキル基であり、このとき、RおよびRの少なくとも一方は、炭素数3~8の分岐のアルキル基であり、かつ、RおよびRの炭素数の合計は、6以上であり、
    は、水素、メチル基またはエチル基であり、
    nは、-(CH-CH(R)-O)-の平均付加モル数を表し、2~4の数である、
    で表される化合物を含む、造膜助剤。
  2. は、水素またはメチル基である、請求項1に記載の造膜助剤。
  3. およびRは、炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキル基であり、このとき、RおよびRの少なくとも一方は、炭素数3~5の分岐のアルキル基である、請求項1または2に記載の造膜助剤。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の造膜助剤と、樹脂と、水系媒体と、を含む、水系エマルジョン組成物。
  5. 前記樹脂100質量部に対して、前記造膜助剤を5質量部以下で含む、請求項4に記載の水系エマルジョン組成物。
  6. 前記樹脂は、アクリル樹脂またはアクリルスチレン樹脂である、請求項4または5に記載の水系エマルジョン組成物。
  7. 塗料として用いられる、請求項4~6のいずれか1項に記載の水系エマルジョン組成物。
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