JP2023076303A - 超音波トランスデューサの製造方法 - Google Patents

超音波トランスデューサの製造方法 Download PDF

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Shuntaro Machida
利之 峰
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Abstract

【課題】空洞や電極の周辺に特徴的な構造を持つ超音波トランスデューサをウェハの貼り合わせを利用して製造する超音波トランスデューサの製造方法を提供する。【解決手段】超音波トランスデューサの製造方法は、第1電極10となる基板上に、空洞30となる凹部と、凹部の内面から突出した突起60と、を有する第1絶縁層51を形成する工程と、第1絶縁層51上に、支持基板、埋込絶縁層および活性層が順に積層された積層基板を接合して、第1絶縁層51と活性層に囲まれた空洞30を形成する工程と、積層基板から支持基板を除去する工程と、空洞30上に位置する埋込絶縁層の中心側を除去して開口部102を形成する工程と、開口部102に露出した活性層の中心側を振動膜40となる絶縁膜に変換する工程と、絶縁膜40上に、第2電極20となる金属層を形成する工程と、金属層上に、第2絶縁層52を形成する工程と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、静電容量型の超音波トランスデューサをウェハの貼り合わせを利用して製造する超音波トランスデューサの製造方法に関する。
探傷検査、医療診断等の分野では、探触子として超音波トランスデューサが用いられている。超音波トランスデューサは、超音波エネルギと電気エネルギ等とを相互に変換する変換器であり、超音波の発信や受信を可能としている。超音波によって物質の内部の情報が得られるため、非破壊検査や生体組織検査等に利用されている。
従来、超音波トランスデューサとしては、圧電効果を示す圧電体が用いられてきた。一方、近年では、基板上に微細な振動膜を形成した静電容量型の超音波トランスデューサ(Capacitive Micro-machined Ultrasound Transducer:CMUT)の開発が進められている。CMUTは、基板上に電気的要素と機械的要素とを組み込んだMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)として半導体技術を用いて製造されている。
CMUTは、基板上に形成された振動膜と、基板と振動膜に挟まれた空洞と、振動膜と空洞を挟むように配置される一対の電極を備えている。超音波の発信は、電極間に直流バイアス電圧を印加し、交流電圧を重畳して振動膜を振動させることにより行う。超音波の受信は、電極間の電圧や電流の変化を測定することにより行う。
CMUTは、発信される超音波の周波数帯域が広いという特徴がある。また、半導体技術を用いて精密に製造されるため、高感度であり、微細な集積化や音響インピーダンスの調整が可能であり、ロット間の性能の均一性が高いという特徴がある。そのため、超音波の反射波による情報を画像化する超音波撮像装置の探触子等として期待されている。
CMUTを製造する方法としては、下部電極層、空洞となる犠牲層、振動膜となる絶縁層、上部電極層を、この順に積層する方法がある。この方法では、下部電極層と絶縁層に囲まれるように犠牲層を成膜し、外部から犠牲層に到達する開口を形成する。各層を積層した後に、開口を通じて犠牲層をウェットエッチングすることによって空洞を形成する。
また、CMUTを製造する方法としては、空洞となる凹部が形成されたウェハを貼り合わせる方法がある。ウェハとしては、SOI(Silicon on Insulator)基板が用いられている。SOI基板は、絶縁性の酸化膜が埋め込まれた積層構造を有している。SOI基板は、シリコンで形成された基板、二酸化シリコンで形成されたBOX(Buried Oxide)層、および、シリコンで形成された活性層が、この順に積層された構造に設けられている。
特許文献1には、基板の一方の面に、第1の絶縁層を形成する工程と、第1の絶縁層と振動膜とを重ね合わせる工程と、第1の絶縁層と振動膜とを熱処理により接合する工程と、間隙と接する基板または振動膜の面に第2の絶縁層を形成する工程と、を有する静電容量型トランスデューサの製造方法が記載されている。振動膜としては、SOI基板の活性層部を用いる旨が記載されている(段落0021参照)。
特許文献2には、デバイス基板の上面に、または、SOI基板の第2シリコン層上に、複数のキャビティを限定する絶縁層からなる支持部を形成する段階と、SOI基板をデバイス基板の上面にボンディングし、SOI基板とデバイス基板との間に複数のキャビティを形成する段階と、を含む静電容量微細加工超音波変換器の製造方法が記載されている(請求項11参照)。
特許文献3には、CMOS超音波変換器を形成する方法であって、開いた空洞が形成された第1のウェハを第2のウェハと接合することによって複数の封止された空洞を有する工学設計された基板を形成する方法が記載されている。第1のウェハや第2のウェハとしては、シリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハが挙げられている(請求項2、3参照)。
特開2013-138411号公報 特開2015-109634号公報 特開2020-107893号公報
CMUTを製造する方法のうち、下部電極層、犠牲層、振動膜となる絶縁層、上部電極層を、この順に積層する製造方法は、CMOS等の一般的なLSIの製造ラインで実施することができる。CMUTの配線プロセスは、CMOSの配線プロセスに準拠しているため、生産力がある既存の製造ラインを利用できる。しかし、このような既存の製造ラインは、生産量が要求されないCMUTには、適していない場合がある。各層を積層する製造方法には、空洞の構造や各層の構造を変更する場合に、対応が難しいという課題がある。
CMUTに大電圧が印加されると、振動膜が空洞の内面に接触して、振動膜に電荷が注入されることがある。電荷が注入されると、振動膜の振動特性や絶縁特性が変化してしまう。このような問題に対する対策として、空洞内に突起・支柱を設けて振動膜の全面の接触を防止する技術が開発されている。また、絶縁層や電極層の構造に機能性を持たせたCMUTが開発されている。
しかし、各層を積層する製造方法では、このような特徴的な内部構造を形成しようとする場合に、特殊なプロセスの追加が必要になる。一般的なLSIの製造ラインを利用し難い場合があるため、内部構造に特徴を持たせたCMUTを、ウェハの貼り合わせを利用して、より効率的に製造することが望まれている。
特許文献1に記載された技術では、第1の絶縁層とSOI基板とを重ね合わせている。しかし、この技術では、第1の絶縁層とSOI基板とを重ね合わせる工程の後に、間隙にガスを導入して熱酸化させて第2の絶縁層を形成している。このような技術では、ガスの導入前の空洞内に突起・支柱を設ける必要があるため、品質上や製造プロセス上での問題が懸念される。
特許文献2に記載された技術では、第1絶縁層を形成したSOIウェハである第1ウェハと、第2絶縁層、メンブレンおよび支持部を形成したデバイスウェハとを、シリコン直接ボンディング法を利用して接合している。しかし、この技術では、デバイスウェハに平坦な第2絶縁層のみを形成している。
特許文献3に記載された技術では、空洞を形成するようにパターニングされた酸化シリコン層が形成された第1のSOIウェハと、第2のウェハとを接合している(段落0079~0085参照)。しかし、この技術では、平面視で空洞と重なる位置に、第1のシリコンデバイス層が形成されている。空洞内には、隔離ポストを形成することができるとされているが、具体的な形成方法は開示されていない。
そこで、本発明は、空洞や電極の周辺に特徴的な構造を持つ超音波トランスデューサをウェハの貼り合わせを利用して製造する超音波トランスデューサの製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る超音波トランスデューサの製造方法は、静電容量型の超音波トランスデューサの製造方法であって、前記超音波トランスデューサは、第1電極と、第1電極上に位置する空洞と、前記第1電極上の前記空洞を覆う振動膜と、前記振動膜上に位置する第2電極と、前記空洞の内面から突出した突起と、を備え、前記第1電極となる基板上に、前記空洞となる凹部と、前記凹部の内面から突出した突起と、を有する第1絶縁層を形成する工程と、前記第1絶縁層上に、支持基板、埋込絶縁層および活性層が順に積層された積層基板を接合して、前記第1絶縁層と前記活性層に囲まれた前記空洞を形成する工程と、前記積層基板から前記支持基板を除去する工程と、前記空洞上に位置する前記埋込絶縁層の中心側を除去して開口部を形成する工程と、前記開口部に露出した前記活性層の中心側を前記振動膜となる絶縁膜に変換する工程と、前記絶縁膜上に、前記第2電極となる金属層を形成する工程と、前記金属層上に、第2絶縁層を形成する工程と、を含む。
本発明によれば、空洞や電極の周辺に特徴的な構造を持つ超音波トランスデューサをウェハの貼り合わせを利用して製造する超音波トランスデューサの製造方法を提供することができる。
第1実施形態に係る超音波トランスデューサを模式的に示す平面図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサを模式的に示す断面図。 積層プロセスによる超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 積層プロセスによる超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 積層プロセスによる超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 積層プロセスによる超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 積層プロセスによる超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 積層プロセスによる超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 積層プロセスによる超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第2実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第2実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第2実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第2実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第2実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第3実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図。 第3実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図
以下、本発明の一実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法について、図を参照しながら説明する。なお、以下の各図において、共通する構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る超音波トランスデューサを模式的に示す平面図である。図2は、第1実施形態に係る超音波トランスデューサを模式的に示す断面図である。図2は、図1のI-I線断面図である。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る超音波トランスデューサ1は、下部電極(第1電極)10、上部電極(第2電極)20、空洞30、振動膜40、突起60、開口部102等を備えている。なお、図1では、内部構造を示すために、第2絶縁層52等の記載を省略している。
超音波トランスデューサ1は、超音波エネルギと電気エネルギ等とを相互に変換する変換器である。超音波トランスデューサ1は、振動膜を備えた静電容量型であり、超音波の発信および受信を可能としている。超音波トランスデューサ1は、超音波の反射波による情報を画像化する超音波撮像装置の探触子等として用いることができる。
超音波トランスデューサ1は、従来の一般的な超音波トランスデューサと比較して、次の(1)~(3)の特徴的な内部構造を有している。(1)空洞30内に突起60が設けられている点、(2)上部電極20に開口部102が設けられている点、(3)上部電極20の外側が高く、下部電極10と上部電極20の外側との間に距離が設けられている点である。
(1)~(3)の特徴的な内部構造を有する本実施形態に係る超音波トランスデューサ1は、ウェハを貼り合わせる製造方法を利用して製造される。(1)~(3)の特徴的な内部構造を有する超音波トランスデューサは、成膜を繰り返して各層を積層する積層プロセスで製造することが可能である。これに対し、本実施形態では、SOI基板の貼り合わせを利用した製造プロセスで、(1)~(3)の特徴的な内部構造を形成する。
下部電極10は、基板状に設けられており、超音波トランスデューサ1の主要な構成要素を支持している。下部電極10は、単層で形成された単層構造とされてもよいし、複数層が積層されて形成された積層構造とされてもよい。積層構造としては、例えば、基板、絶縁層、電極として機能する金属層を、この順に積層した構造が挙げられる。
上部電極20は、空洞30および振動膜40を下部電極10との間に挟むように、振動膜40上に設けられている。上部電極20は、単層で形成された単層構造とされてもよいし、複数層が積層されて形成された積層構造とされてもよい。上部電極20の中心側には、開口部102が設けられている。開口部102は、上部電極20の中心側を上下に貫通するように開口している。開口部102が設けられることによって、上部電極20は、超音波トランスデューサ1の平面視で突起60と重ならない配置とされている。
下部電極10や上部電極20の材料としては、アルミニウム、タングステン、チタン、ニッケル、コバルト、クロム、白金、金等や、これらの合金である金属材料や、高濃度の不純物をドープしたシリコン、アモルファスシリコン、酸化インジウムスズ等の酸化物材料を用いることができる。
下部電極10の基板の材料としては、シリコン、ガラス、石英、サファイア等を用いることができる。下部電極10の絶縁層の材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム等を用いることができる。
空洞30は、下部電極10上に振動膜40に隣接して設けられている。空洞30は、上下方向の厚さが小さい薄層状の空間を形成している。空洞30は、大気圧雰囲気とされてもよいし、大気圧よりも低い真空とされてもよい。但し、空洞30の電気絶縁性を確保する観点からは、真空とされることが好ましい。空洞30の真空雰囲気としては、0.1~100Paの中真空以上が好ましく、100Pa以下が好ましく、1Pa程度がより好ましい。
振動膜40は、空洞30を下部電極10との間に挟むように、空洞30上に設けられている。振動膜40の周囲は、下部電極10上に設けられた第1絶縁層51上に支持されている。振動膜40は、下部電極10と上部電極20との間を電気的に絶縁すると共に、静電気力等で弾性的に変形して超音波の発信および受信を行う。
振動膜40の材料としては、酸化シリコンが用いられる。振動膜40は、下部電極10側にSOI基板が貼り合わされた後に、シリコンで形成された活性層が熱酸化されることによって形成される。
振動膜40は、電極間に直流バイアス電圧が印加された状態で交流電圧が重畳されると、静電気力等で弾性的に変形して交流電圧の周波数で上下に振動し、上部電極20の側に超音波を発信する。また、直流バイアス電圧が印加された状態で超音波を受けると、弾性変形して上下に振動し、下部電極10と上部電極20との間に静電容量の変化を生じさせる。
突起60は、下部電極10側の空洞30の内面から上部電極20側の空洞30の内面に向けて突出している。突起60は、変位がない状態の振動膜40に接触しない高さに設けられている。突起60は、超音波トランスデューサ1の平面視で空洞30の中心側に島状に配置されている。
第1絶縁層51、第2絶縁層52、埋込絶縁層72は、下部電極10や上部電極20を電気的に絶縁している。第1絶縁層51や第2絶縁層52の材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム等を用いることができる。第1絶縁層51や第2絶縁層52の材料は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。第1絶縁層51や第2絶縁層52の材料としては、耐電圧性の観点から、酸化シリコンが好ましい。埋込絶縁層72の材料としては、酸化シリコンが用いられる。埋込絶縁層72は、下部電極10側にSOI基板が貼り合わされて形成される。
なお、図1において、超音波トランスデューサ1は、矩形状に設けられているが、六角形状等に設けられてもよい。突起60は、1個が設けられているが、複数個が設けられてもよい。複数の突起60は、同心上等に配置できる。超音波トランスデューサ1は、下部電極10、上部電極20、空洞30、振動膜40等を、1組だけ備えてもよいし、これらの複数組を備えた素子アレイとされてもよい。
(1)~(3)の特徴的な内部構造のうち、(1)空洞30内に突起60が設けられている構造によると、振動膜40が振動したとき、振動膜40の全面が空洞30の内面に接触するのを防ぐことができる。
電極間に大電圧を印加すると、振動した振動膜40が、空洞30の内面に接触する虞がある。振動膜40が空洞30の内面に接触すると、電気絶縁性の振動膜40に電荷が注入されてコラプス状態となる。コラプス状態では、振動膜40が正常時と異なる電位となり、弾性的な復元力による振動挙動が変化する。このような電位をコラプス電位という。コラプス状態になると、振動膜40の振動特性や絶縁特性が変化するため、超音波トランスデューサ1の動作信頼性が損なわれる。
これに対し、空洞30内に突起60を設けると、振動膜40と空洞30の内面との接触面積が小さくなるため、振動膜40に注入される電荷量を抑制して、振動膜40の振動特性や絶縁特性を安定に保つことができる。また、コラプス電位に近い高電圧の印加や、空洞30を薄く設けることが可能になるため、超音波の感度を向上させることができる。
また、(2)上部電極20に開口部102が設けられている構造によると、空洞30の直上に位置する上部電極20の面積を小さくすることができる。下部電極10と上部電極20の中心側との間において、電界の集中を抑制できるため、振動膜40の振動に不要な寄生容量を低減して、超音波トランスデューサ1の動作信頼性を向上させることができる。特に、突起60の周辺に電界が集中し難くなるため、振動膜40が振動して突起60に接触しても、振動膜40に電荷が注入され難くなり、振動膜40の振動特性や絶縁特性が安定に保たれる。
また、(3)上部電極20の外側が高く、下部電極10と上部電極20の外側との間に距離が設けられている構造によると、下部電極10と上部電極20の外側との間において、電界の集中を抑制できるため、超音波トランスデューサ1の動作信頼性を向上させることができる。
ここで、(1)~(3)の特徴的な内部構造を有する超音波トランスデューサを製造する従来の積層プロセスによる製造方法について説明する。
図3A~図3Dおよび図4A~図4Cは、積層プロセスによる超音波トランスデューサの製造方法を示す図である。
図3A~図3Dおよび図4A~図4Cに示すように、(1)~(3)の特徴的な内部構造を有する超音波トランスデューサは、下部電極層110、犠牲層180、振動膜となる絶縁層154、上部電極層120を、この順に積層する積層プロセスで製造することが可能である。
はじめに、図3Aに示すように、半導体基板101上に第1絶縁層151が形成される。第1絶縁層151は、シリコンで形成された半導体基板101上に、熱酸化法、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によって、二酸化シリコン等で形成される。そして、第1絶縁層151上にパターニングされた下部電極層110が形成される。下部電極層110は、スパッタリング法等によって、アルミニウム合金等で形成される。
続いて、図3Bに示すように、下部電極層110上および第1絶縁層151上に第2絶縁層152が形成される。第2絶縁層152は、プラズマCVD法等によって、二酸化シリコン等で形成される。そして、第2絶縁層152上にパターニングされた犠牲層180が形成される。犠牲層180は、プラズマCVD法等によって、多結晶シリコン等で形成される。犠牲層180は、平面視で下部電極110と重なる位置に形成される。
次いで、犠牲層180の上面に、突起160を形成するための凹部181が形成される。凹部181は、リソグラフィでマスクを形成して、エッチングによって形成される。
続いて、図3Cに示すように、第2絶縁層152上および犠牲層180の外側上にパターニングされた第3絶縁層153が形成される。第3絶縁層153は、プラズマCVD法等によって、二酸化シリコン等で形成される。第3絶縁層153は、犠牲層180の外側上に形成するが、犠牲層180の中心側上に形成しない。第3絶縁層153は、電極間の距離を確保するために厚肉化することが好ましいため、犠牲層180をマスクで保護して成膜される。
続いて、図3Dに示すように、第3絶縁層153上および犠牲層180上に第4絶縁層154が形成される。第4絶縁層154は、プラズマCVD法等によって、二酸化シリコン等で形成される。凹部181に第4絶縁層154の材料が堆積して、突起160が形成される。
続いて、図4Aに示すように、第4絶縁層154上にパターニングされた上部電極層120が形成される。上部電極層120は、スパッタリング法等によって、アルミニウム合金等で形成される。そして、上部電極層120の中心側に開口部121が形成される。上部電極層120の中心側は、第4絶縁層154の中心側が露出する深さまで除去される。開口部121は、リソグラフィでマスクを形成して、エッチングによって形成される。
続いて、図4Bに示すように、上部電極層120上および第4絶縁層154上に第5絶縁層155が形成される。第5絶縁層155は、プラズマCVD法等によって、窒化シリコン等で形成される。そして、第5絶縁層155および第4絶縁層154を貫通して犠牲層180に到達する開口部182が形成される。開口部182は、リソグラフィでマスクを形成して、エッチングによって形成される。
続いて、図4Cに示すように、犠牲層180が溶解されて、第2絶縁層152と第4絶縁層154との間に空洞130が形成される。犠牲層180の溶解は、水酸化カリウム等のエッチャントを開口部182に注入して行う。そして、開口部182を閉塞させて、空洞130を気密に密閉する。開口部182は、プラズマCVD法等によって、窒化シリコン等で閉塞させる。
その後、第5絶縁層155の上面から下部電極110や上部電極120に到達する配線用の開口部を形成する。配線用の開口部は、リソグラフィでマスクを形成して、エッチングによって形成される。下部電極110および上部電極120は、スイッチングデバイス等と電気的に接続されて、超音波トランスデューサが製造される。
図3A~図3Dおよび図4A~図4Cに示すように、(1)~(3)の特徴的な内部構造を有する超音波トランスデューサの従来の製造方法は、各層の成膜や、エッチング等を繰り返す方法である。そのため、このような超音波トランスデューサの製造には、一般的なLSIの製造ラインを利用することができる。CMUTの配線プロセスは、CMOSの配線プロセスに準拠しているため、生産力がある既存の製造ラインを利用した製造プロセスが製造効率等の点で有利になる。
しかし、一般的なLSIの製造ラインは、特徴的な内部構造を有する超音波トランスデューサを製造する場合に、必ずしも適していない点もある。既存の製造ラインは、生産力がある一方で、生産量が要求されないCMUTの小規模生産を行う場合、汎用性が低くなる。特徴的な内部構造を形成する場合、特殊なプロセスの追加が必要になるが、既存の製造ラインを変更する対応は難しい場合がある。
例えば、(1)空洞30内に突起60が設けられている構造を形成する場合、凹部181を形成するプロセスが必要であり、犠牲層180に対して二段階のエッチングを施す必要がある。互いに異なるマスクを用いたプロセスを追加しなければならないため、一般的なLSIの製造ラインの汎用性が低下する。
また、(3)上部電極20の外側が高く、下部電極10と上部電極20の外側との間に距離が設けられている構造を形成する場合、厚肉化された第3絶縁層153を成膜する必要がある。犠牲層180を保護しつつ、厚肉化された第3絶縁層153をパターニングしなければならないため、特殊なプロセスを追加する必要がある。
このような積層プロセスの問題に対し、本実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法では、(1)~(3)の特徴的な内部構造を有する超音波トランスデューサ1を、ウェハを貼り合わせる製造方法を利用して製造する。振動膜40に隣接する空洞30は、犠牲層をエッチングする方法ではなく、凹部を形成した絶縁層にウェハを貼り合わせる方法によって形成される。
図5A~図5E、図6A~図6C、図7A~図7Cおよび図8A~図8Bは、第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図である。
図5A~図5Eは、下部電極10となる基板10上に第1絶縁層51を形成する工程を示す図である。図6A~図6Cは、第1絶縁層51上に積層基板70を接合して空洞30を形成する工程と、積層基板70から支持基板71を除去する工程を示す図である。図7A~図7Cは、振動膜40となる絶縁膜40を形成する工程と、上部電極20となる金属層20を形成する工程を示す図である。図8A~図8Bは、上部電極20となる金属層20上に第2絶縁層52を形成する工程を示す図である。
はじめに、図5Aに示すように、下部電極10となる基板10上に、厚肉絶縁層51aを形成する。厚肉絶縁層51aは、熱酸化法、プラズマCVD法等によって形成することができる。厚肉絶縁層51aの厚さは、例えば、200nmとすることができる。
続いて、図5Bに示すように、厚肉絶縁層51aの中心側を除去して開口部105を形成する。厚肉絶縁層51aの中心側は、厚肉絶縁層51aの外側を残して、基板10の中心側が露出する深さまで除去する。厚肉絶縁層51aの中心側は、リソグラフィによるマスクを形成して、エッチングによって除去することができる。
続いて、図5Cに示すように、開口部105に露出した基板10上に、厚肉絶縁層51aよりも薄い中肉絶縁層51bを形成する。中肉絶縁層51bは、熱酸化法、プラズマCVD法等によって形成することができる。中肉絶縁層51bの厚さは、例えば、50nmとすることができる。
続いて、図5Dに示すように、中肉絶縁層51bの外側を除去して、開口部105に露出した基板10上に突起60を形成する。中肉絶縁層51bの外側は、中肉絶縁層51bの中心側を残し、中肉絶縁層51bを貫通するように、基板10が露出する深さまで除去される。中肉絶縁層51bの外側は、リソグラフィによるマスクを形成して、エッチングによって除去することができる。
続いて、図5Eに示すように、突起60の周囲の開口部105に露出した基板10上に、中肉絶縁層51bよりも薄い薄肉絶縁層51cを形成する。薄肉絶縁層51cの形成によって、厚肉絶縁層51aと薄肉絶縁層51cで囲まれた凹部55が形成される。薄肉絶縁層51cは、熱酸化法、プラズマCVD法等によって形成することができる。薄肉絶縁層51cの厚さは、例えば、30nmとすることができる。
図5A~図5Eの工程によると、下部電極10となる基板10上に、空洞30となる凹部55と、凹部55の内面から突出した突起60と、を有する第1絶縁層51が形成される。突起60は、上部電極20の側ではなく、下部電極10となる基板10の側に、表面加工によって形成される。犠牲層に凹部を形成するプロセスや、犠牲層をウェットエッチングするプロセスが不要になる。
続いて、図6Aに示すように、凹部55が形成された第1絶縁層51上に、大気圧雰囲気下で、SOI基板(積層基板)70を接合して、図6Bに示すように、第1絶縁層51とSOI基板70に囲まれた空洞30を形成する。SOI基板の接合は、密着させた基板同士を1000℃以上で熱処理する直接接合法等で行うことができる。SOI基板70を貼り合わせて空洞30を形成するため、従来の犠牲層を形成する製造方法とは異なり、犠牲層をウェットエッチングするための開口部が設けられない構造となる。
SOI基板70は、支持基板71、埋込絶縁層72および活性層73が、この順に積層された構造に設けられている。支持基板71および活性層73は、例えば、シリコンで形成される。埋込絶縁層72は、例えば、酸化シリコンで形成される。支持基板71および活性層73の厚さは、例えば、50nmとすることができる。埋込絶縁層72の厚さは、例えば、100nmとすることができる。
続いて、図6Cに示すように、第1絶縁層51上に接合された積層基板70から支持基板71を除去する。支持基板71の除去は、平面研削、水素イオン注入法、PACE(plasma assisted chemical etching)法等の適宜の方法で行うことができる。
図6A~図6Cの工程によると、(1)空洞30内に突起60が設けられている構造が形成される。空洞30は、第1絶縁層51上に形成されており、埋込絶縁層72および活性層73で覆われた構造となる。埋込絶縁層72の厚さは、上部電極20の段差に影響するが、SOI基板の選択によって調整できる。
続いて、図7Aに示すように、埋込絶縁層72の中心側を除去して、開口部107を形成する。埋込絶縁層72の中心側は、埋込絶縁層72の外側を残し、埋込絶縁層72を貫通するように、活性層73が露出する深さまで除去される。埋込絶縁層72の中心側は、リソグラフィによるマスクを形成して、エッチングによって除去することができる。
続いて、図7Bに示すように、開口部107に露出した活性層73の中心側を振動膜40となる絶縁膜40に変換する。絶縁膜40は、熱酸化法によって酸化シリコンで形成することができる。絶縁膜40は、超音波トランスデューサ1の平面視で、少なくとも空洞30を覆うように形成することが好ましい。絶縁膜40の幅は、後工程で形成される上部電極20よりも大きいことが好ましい。
続いて、図7Cに示すように、絶縁膜40上および埋込絶縁層72上に、上部電極20となる金属層20を形成する。金属層20は、スパッタリング法等によって形成することができる。金属層20は、一層で構成されてもよいし、複数層が積層されて構成されてもよい。
図7A~図7Cの工程によると、(3)上部電極20の外側が高く、下部電極10と上部電極20の外側との間に距離が設けられている構造が形成される。上部電極20となる金属層20は、開口部72aに露出した絶縁膜40の上面と、中心側が除去された埋込絶縁層72の上面と、開口部107に面する埋込絶縁層72の内面とに、段差状を呈するように形成される。
続いて、図8Aに示すように、金属層20の中心側および外側を除去して、金属層20をパターニングすると共に開口部102を形成する。金属層20の中心側は、金属層20の外側を残し、金属層20を貫通するように、絶縁膜40が露出する深さまで除去される。また、金属層20の外側は、金属層20を貫通するように、埋込絶縁層72が露出する深さまで除去される。金属層20の中心側や外側は、リソグラフィによるマスクを形成して、エッチングによって除去することができる。
続いて、図8Bに示すように、上部電極20となる金属層20上、開口部102に露出した絶縁膜40上、および、埋込絶縁層72上に、第2絶縁層52を形成する。第2絶縁層52は、プラズマCVD法等によって形成することができる。第2絶縁層52の厚さは、例えば、300nmとすることができる。
図8A~図8Bの工程によると、(2)上部電極20に開口部102が設けられている構造が形成される。上部電極20となる金属層20は、中心側を貫通する開口部102を備える構造に設けられる。上部電極20となる金属層20を形成する工程は、絶縁膜40の上面と、中心側が除去された埋込絶縁層72の上面と、開口部102に面する埋込絶縁層72の内面とに、段差状を呈するように金属層20を形成する工程となる。
その後、第2絶縁層52の上面から下部電極10や上部電極20に到達する配線用の開口部108,109が形成される。配線用の開口部108,109は、リソグラフィでマスクを形成して、エッチングによって形成される。下部電極110および上部電極120は、スイッチングデバイス等と電気的に接続されて、超音波トランスデューサ1が製造される。
上部電極20は、中心側を貫通する開口部102を備え、内側から外側に向かうに連れて高さが高くなる段差を有する形状とされる。上部電極20は、振動膜40上に開口部102を形成するように設けられた基部20aと、基部20aの外側から上方に向けて延設された起立部20bと、起立部20bの上端から外側に向けて延設された縁部20cと、を備える構造となる。起立部20bは、空洞30の外側の上方に位置し、基部20aと縁部20cとを段差状に繋ぐ筒状とされる。
このような第1実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法によると、SOI基板を貼り合わせる製造方法を利用するため、従来の積層プロセスと比較して、成膜やエッチング等の加工のプロセス数や、特殊なプロセスを削減することができる。(1)空洞30内に突起60が設けられている構造は、下部電極10となる基板10側の表面加工と、SOI基板70の貼り合わせによって形成できるため、犠牲層の形成、突起となる凹部の加工、犠牲層の除去、犠牲層に到達する開口部の形成が不要になる。また、(3)上部電極20の外側が高い構造は、SOI基板70の埋込絶縁層72によって形成できるため、厚肉化された絶縁層の成膜が不要になる。そのため、空洞や電極の周辺に特徴的な構造を持つ超音波トランスデューサを、ウェハの貼り合わせを利用して、汎用性が高い簡便なプロセスで製造することができる。上部電極20の外側と下部電極10との距離は、上部電極20の中心側と下部電極10との距離よりも長くなり、振動膜40の振動に寄与しない寄生容量が低減される。
<第2実施形態>
図9A~図9C、図10A~図10Bは、第2実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図である。
図9A~図9Cは、振動膜40となる絶縁膜40を形成する工程と、上部電極20Aとなる金属層20aを形成する工程を示す図である。図10A~図10Bは、上部電極20Aとなる金属層20a上に第2絶縁層52を形成する工程を示す図である。
図9A~図9C、図10A~図10Bに示すように、本実施形態に係る超音波トランスデューサ2は、前記の超音波トランスデューサ2と同様に、下部電極(第1電極)10、上部電極(第2電極)20A、空洞30、振動膜40、突起60、開口部102a等を備えている。
本実施形態に係る超音波トランスデューサ2が、前記の超音波トランスデューサ1と異なる点は、上部電極(第2電極)20Aに、テーパ状の段差が形成されている点である。超音波トランスデューサ2の他の構成は、前記の超音波トランスデューサ1と略同様である。
(1)~(3)の特徴的な内部構造を有する超音波トランスデューサ2は、前記の超音波トランスデューサ1と同様に、ウェハを貼り合わせる製造方法を利用して製造される。超音波トランスデューサ2の製造方法は、上部電極20となる金属層20を形成する工程が、絶縁膜40の上面と、中心側が除去された埋込絶縁層72の上面と、開口部102に面する埋込絶縁層72の内面とに、段差状を呈するように金属層20を形成する工程となる。
はじめに、図5A~図5Eに示すように、下部電極10となる基板10上に第1絶縁層51を形成する工程が行われる。続いて、図6A~図6Cに示すように、第1絶縁層51上に積層基板70を接合して空洞30を形成する工程と、積層基板70から支持基板71を除去する工程が行われる。
続いて、図9Aに示すように、埋込絶縁層72の中心側を除去して、テーパ状の開口部107aを形成する。埋込絶縁層72の中心側は、埋込絶縁層72の外側を残し、埋込絶縁層72を貫通するように、活性層73が露出する深さまで除去される。開口部107aは、上方から下方に向かうに連れてテーパ状に縮径するように、テーパエッチング加工される。テーパエッチング加工は、例えば、耐エッチング性が高い添加剤をガスに添加して行うことができる。
続いて、図9Bに示すように、開口部107aに露出した活性層73の中心側を振動膜40となる絶縁膜40に変換する。絶縁膜40は、熱酸化法によって酸化シリコンで形成することができる。絶縁膜40は、超音波トランスデューサ1の平面視で、少なくとも空洞30を覆うように形成することが好ましい。絶縁膜40の幅は、後工程で形成される上部電極20よりも大きいことが好ましい。
続いて、図9Cに示すように、絶縁膜40上、埋込絶縁層72の上面上および埋込絶縁層72のテーパ面上に、上部電極20Aとなる金属層20Aを形成する。金属層20Aは、スパッタリング法等によって形成することができる。金属層20Aは、一層で構成されてもよいし、複数層が積層されて構成されてもよい。
図9A~図9Cの工程によると、(3)上部電極20Aの外側が高く、下部電極10と上部電極20Aの外側との間に距離が設けられている構造が形成される。上部電極20Aとなる金属層20Aは、開口部72aに露出した絶縁膜40の上面と、中心側が除去された埋込絶縁層72の上面と、埋込絶縁層72のテーパ状の内面とに、テーパ状の段差を呈するように形成される。
続いて、図10Aに示すように、金属層20Aの中心側および外側を除去して、金属層20Aをパターニングすると共に開口部102を形成する。金属層20Aの中心側は、金属層20Aの外側を残し、金属層20Aを貫通するように、絶縁膜40が露出する深さまで除去される。また、金属層20Aの外側は、金属層20Aを貫通するように、埋込絶縁層72が露出する深さまで除去される。金属層20Aの中心側や外側は、リソグラフィによるマスクを形成して、エッチングによって除去することができる。
続いて、図10Bに示すように、上部電極20Aとなる金属層20A上、開口部102に露出した絶縁膜40上、および、埋込絶縁層72上に、第2絶縁層52を形成する。第2絶縁層52は、プラズマCVD法等によって形成することができる。第2絶縁層52の厚さは、例えば、300nmとすることができる。
図10A~図10Bの工程によると、(2)上部電極20Aに開口部102が設けられている構造が形成される。上部電極20Aとなる金属層20Aは、中心側を貫通する開口部102を備える構造に設けられる。
その後、第2絶縁層52の上面から下部電極10や上部電極20に到達する配線用の開口部108,109が形成される。配線用の開口部108,109は、リソグラフィでマスクを形成して、エッチングによって形成される。下部電極110および上部電極120は、スイッチングデバイス等と電気的に接続されて、超音波トランスデューサ2が製造される。
上部電極20Aは、中心側を貫通する開口部102を備え、内側から外側に向かうに連れて高さが高くなるテーパ状の段差を有する形状とされる。上部電極20Aは、振動膜40上に開口部102を形成するように設けられた基部20dと、基部20dの外側から上方に向けて傾斜して延設された起立部20eと、起立部20eの上端から外側に向けて延設された縁部20fと、を備える構造となる。起立部20eは、空洞30の外側の上方に位置し、基部20dから縁部fに向かうに連れてテーパ状に拡径する筒状とされる。
このような本実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法によると、上部電極20Aの基部と起立部との間の隅部が断面視で鈍角形状になる。図8Bに示すように、上部電極20の基部20aと起立部20bとの間の隅部が直角であると、第2絶縁層52を形成する際に、隅部に金属層20の材料が堆積し難くなる。隅部に段切れが生じて、断線が起こる場合がある。これに対し、隅部が鈍角形状であると、金属層20Aの成膜性が向上し、隅部の段切れが抑制されるため、超音波トランスデューサ2の動作信頼性を向上させることができる。上部電極20Aの外側と下部電極10との距離は、上部電極20の中心側と下部電極10との距離よりも長くなるため、振動膜40の振動に寄与しない寄生容量が低減される。
<第3実施形態>
図11A~図11Bは、第3実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法を示す図である。
図11A~図11Bは、上部電極20となる金属層20上に第2絶縁層52を形成する工程を示す図である。
図11A~図11Bに示すように、本実施形態に係る超音波トランスデューサ3は、前記の超音波トランスデューサ1と同様に、下部電極(第1電極)10、上部電極(第2電極)20、空洞30、振動膜40、突起60、開口部102等を備えている。
本実施形態に係る超音波トランスデューサ3が、前記の超音波トランスデューサ1と異なる点は、空洞30が大気圧よりも低い真空であり、空洞30の形成後に外部から空洞30に到達する貫通孔31が形成されて、空洞30が減圧された後に閉塞される点である。超音波トランスデューサ3の他の構成は、前記の超音波トランスデューサ1と略同様である。
(1)~(3)の特徴的な内部構造を有する超音波トランスデューサ3は、前記の超音波トランスデューサ1と同様に、ウェハを貼り合わせる製造方法を利用して製造される。超音波トランスデューサ3の製造方法は、上部電極20となる金属層20を形成する工程の後、且つ、第2絶縁層52を形成する工程の前に、空洞30と外部とを連通する貫通孔31を形成する工程を含む。第2絶縁層52を形成する工程は、大気圧よりも低い減圧雰囲気下で、空洞30の気体を貫通孔31を通じて排気しながら第2絶縁層52を形成する工程とされる。
はじめに、図5A~図5Eに示すように、下部電極10となる基板10上に第1絶縁層51を形成する工程が行われる。続いて、図6A~図6Cに示すように、第1絶縁層51上に積層基板70を接合して空洞30を形成する工程と、積層基板70から支持基板71を除去する工程が行われる。続いて、図7A~図7Cに示すように、振動膜40となる絶縁膜40を形成する工程と、上部電極20となる金属層20を形成する工程が行われる。
続いて、図11Aに示すように、金属層20の中心側および外側を除去して、金属層20をパターニングすると共に開口部102を形成する。また、金属層20の外側に露出した埋込絶縁層72の一部および絶縁膜40の一部を除去して、外部から空洞30に到達する貫通孔31を形成する。貫通孔31は、埋込絶縁層72および絶縁膜40を上下に貫通して、空洞30と外部とを互いに連通するように形成される。金属層20の中心側や外側、埋込絶縁層72の一部や絶縁膜40の一部は、リソグラフィによるマスクを形成して、ウェットエッチング等によって除去することができる。
続いて、図11Bに示すように、上部電極20となる金属層20上、開口部102に露出した絶縁膜40上、および、埋込絶縁層72上に、第2絶縁層52を形成する。第2絶縁層52は、プラズマCVD法等によって形成することができる。
第2絶縁層52の形成は、大気圧よりも低い減圧雰囲気下、好ましくは中真空以上の雰囲気下で、空洞30の気体を貫通孔31を通じて排気しながら行う。減圧雰囲気下で成膜を行うと、第2絶縁層52の材料が堆積する前に、貫通孔31を通じて空洞30内が減圧される。その後、第2絶縁層52の材料が堆積して、第2絶縁層52が形成されると共に、貫通孔31が閉塞される。
図11A~図11Bの工程によると、(2)上部電極20に開口部102が設けられている構造が形成される。上部電極20となる金属層20は、中心側を貫通する開口部102を備えるように形成される。
その後、第2絶縁層52の上面から下部電極10や上部電極20に到達する配線用の開口部108,109が形成される。配線用の開口部108,109は、リソグラフィでマスクを形成して、エッチングによって形成される。下部電極110および上部電極120は、スイッチングデバイス等と電気的に接続されて、超音波トランスデューサ3が製造される。
このような本実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法によると、空洞30が、第2絶縁層52の形成時に大気圧よりも低い減圧雰囲気とされる。そのため、電極間に大電圧が印加される場合であっても、空洞30における絶縁破壊を抑制することができる。空洞30を減圧雰囲気とするにあたり、既存のCVD装置を利用することができるため、製造プロセスや減圧装置を追加することなく、超音波トランスデューサ3の動作信頼性を向上させることができる。
<第4実施形態>
空洞30が大気圧よりも低い真空である超音波トランスデューサは、前記の超音波トランスデューサ3とは異なり、空洞30と外部とを連通する貫通孔31を形成することなく、ウェハを貼り合わせる製造方法を利用して製造することもできる。
(1)~(3)の特徴的な内部構造を有し、且つ、空洞30が大気圧よりも低い真空である超音波トランスデューサは、前記の超音波トランスデューサ1と同様に、ウェハを貼り合わせる製造方法を利用して製造される。このような超音波トランスデューサの製造方法は、空洞30を形成する工程が、大気圧よりも低い減圧雰囲気下で、第1絶縁層51上に、SOI基板70を接合する工程となる。
はじめに、図5A~図5Eに示すように、下部電極10となる基板10上に第1絶縁層51を形成する工程が行われる。続いて、図6A~図6Cに示すように、第1絶縁層51上に積層基板70を接合して空洞30を形成する工程と、積層基板70から支持基板71を除去する工程が行われる。
図6Aに示すように、凹部55が形成された第1絶縁層51上に、大気圧よりも低い減圧雰囲気下、好ましくは中真空以上の雰囲気下で、SOI基板(積層基板)70を接合して、図6Bに示すように、第1絶縁層51とSOI基板70に囲まれた空洞30を形成する。減圧雰囲気下で接合を行うと、凹部55内が減圧されたままSOI基板70で閉じられる。
このような本実施形態に係る超音波トランスデューサの製造方法によると、空洞30が、SOI基板70の接合時に大気圧よりも低い減圧雰囲気とされる。そのため、電極間に大電圧が印加される場合であっても、空洞30における絶縁破壊を抑制することができる。空洞30を減圧雰囲気とするにあたり、空洞30と外部とを連通する貫通孔31を形成する必要がないため、特殊なプロセスの追加が不要であり、既存の製造ラインの汎用性の低下を避けることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、技術的範囲を逸脱しない限り、様々な変形例が含まれる。例えば、前記の実施形態は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、或る実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えたり、或る実施形態の構成に他の構成を加えたりすることが可能である。また、或る実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、構成の削除、構成の置換をすることも可能である。
例えば、前記の実施形態に係る超音波トランスデューサは、(1)空洞30内に突起60が設けられている構造、(2)上部電極20に開口部102が設けられている構造、および、(3)上部電極20の外側が高く、下部電極10と上部電極20の外側との間に距離が設けられている構造を備えているが、(1)~(3)の特徴的な内部構造のうち、一以上の構造を有する超音波トランスデューサを、ウェハを貼り合わせる製造方法を利用して製造することができる。
ウェハを貼り合わせる製造方法を利用して製造された超音波トランスデューサは、成膜プロセスではなく、貼り合わせプロセスで形成された埋込絶縁層72、活性層73、活性層73由来の振動膜40を含む。これらの層は、プラズマCVD法等によって成膜された層と比較して、水素濃度が低くなる。そのため、二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)等で分析して製造方法を判別できる。
1 超音波トランスデューサ
10 下部電極(第1電極),基板
20 上部電極(第2電極),金属層
30 空洞
31 貫通孔
40 振動膜,絶縁膜
51 第1絶縁層
51a 厚肉絶縁層
51b 中肉絶縁層
51c 薄肉絶縁層
52 第2絶縁層
60 突起
70 SOI基板(積層基板)
71 支持基板
72 埋込絶縁層
73 活性層
102 開口部
105 開口部
107 開口部
108 開口部
109 開口部

Claims (8)

  1. 静電容量型の超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記超音波トランスデューサは、第1電極と、第1電極上に位置する空洞と、前記第1電極上の前記空洞を覆う振動膜と、前記振動膜上に位置する第2電極と、前記空洞の内面から突出した突起と、を備え、
    前記第1電極となる基板上に、前記空洞となる凹部と、前記凹部の内面から突出した突起と、を有する第1絶縁層を形成する工程と、
    前記第1絶縁層上に、支持基板、埋込絶縁層および活性層が順に積層された積層基板を接合して、前記第1絶縁層と前記活性層に囲まれた前記空洞を形成する工程と、
    前記積層基板から前記支持基板を除去する工程と、
    前記空洞上に位置する前記埋込絶縁層の中心側を除去して開口部を形成する工程と、
    前記開口部に露出した前記活性層の中心側を前記振動膜となる絶縁膜に変換する工程と、
    前記絶縁膜上に、前記第2電極となる金属層を形成する工程と、
    前記金属層上に、第2絶縁層を形成する工程と、を含む超音波トランスデューサの製造方法。
  2. 請求項1に記載の超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記第2電極は、中心側を貫通する開口部を備え、
    超音波トランスデューサの製造方法は、前記第2電極となる金属層を形成する工程の後に、前記空洞上に位置する前記金属層の中心側を除去して前記開口部を形成する工程と、前記金属層上と前記絶縁膜上に、絶縁層を形成する工程と、を含む超音波トランスデューサの製造方法。
  3. 請求項1に記載の超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記第2電極は、前記振動膜上に設けられた基部と、前記基部の外側から上方に向けて延設された起立部と、前記起立部の上端から外側に向けて延設された縁部と、を備え、
    前記起立部は、前記基部と前記縁部とを段差状に繋ぐ筒状であり、
    前記第2電極となる金属層を形成する工程は、前記絶縁膜の上面と、中心側が除去された前記埋込絶縁層の上面と、前記開口部に面する前記埋込絶縁層の内面とに、段差状を呈するように前記金属層を形成する工程である超音波トランスデューサの製造方法。
  4. 請求項3に記載の超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記第2電極は、前記振動膜上に設けられた基部と、前記基部の外側から上方に向けて傾斜して延設された起立部と、前記起立部の上端から外側に向けて延設された縁部と、を備え、
    前記起立部は、前記基部から前記縁部に向かうに連れてテーパ状に拡径する筒状であり、
    前記第2電極となる金属層を形成する工程は、前記絶縁膜の上面と、中心側が上方に向かうに連れてテーパ状に拡径するように除去された前記埋込絶縁層の上面と、前記開口部に面する前記埋込絶縁層の傾斜した内面とに、テーパ状を呈するように前記金属層を形成する工程である超音波トランスデューサの製造方法。
  5. 請求項1に記載の超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記空洞は、大気圧よりも低い真空であり、
    前記第2電極となる金属層を形成する工程の後、且つ、前記第2絶縁層を形成する工程の前に、前記空洞と外部とを連通する貫通孔を形成する工程を含み、
    前記第2絶縁層を形成する工程は、大気圧よりも低い減圧雰囲気下で、前記空洞の気体を前記貫通孔を通じて排気しながら前記第2絶縁層を形成する工程である超音波トランスデューサの製造方法。
  6. 請求項1に記載の超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記空洞は、大気圧よりも低い真空であり、
    前記空洞を形成する工程は、大気圧よりも低い減圧雰囲気下で、前記第1絶縁層上に、前記積層基板を接合する工程である超音波トランスデューサの製造方法。
  7. 請求項1に記載の超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記第1絶縁層を形成する工程は、
    前記第1電極となる基板上に、厚肉絶縁層を形成する工程と、
    前記厚肉絶縁層の中心側を除去して開口部を形成する工程と、
    前記開口部に露出した前記基板上に、前記厚肉絶縁層よりも薄い中肉絶縁層を形成する工程と、
    前記中肉絶縁層の外側を除去して、前記基板上の前記開口部の中心側に前記突起を形成する工程と、
    前記突起の周囲の前記基板上に、前記中肉絶縁層および前記突起よりも薄い薄肉絶縁層を形成する工程と、を含む超音波トランスデューサの製造方法。
  8. 請求項1に記載の超音波トランスデューサの製造方法であって、
    前記絶縁膜は、酸化シリコンで形成されており、
    前記積層基板は、前記支持基板および前記活性層がシリコンで形成されており、前記埋込絶縁層が酸化シリコンで形成されているSOI基板であり、
    前記絶縁膜は、前記活性層が熱酸化された酸化シリコンで形成されている超音波トランスデューサの製造方法。
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