JP2023076209A - 多芯薄膜超伝導線材、および、その製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 後加工なしに製造可能な多芯薄膜超伝導線材、および、その製造方法を提供すること。【解決手段】 本発明の多芯薄膜超伝導線材は、基板上に位置する複数の非超伝導層と、基板と前記複数の非超伝導層との上に位置する希土類系酸化物薄膜とを備え、希土類系酸化物薄膜は、ドープまたはアンドープの希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)および酸素(O)を含有し、一般式REBa2Cu3O7-d(ここで、0≦d≦0.8)を満たし、基板は、希土類系酸化物薄膜の配向基板である。【選択図】 図1

Description

本発明は、多芯薄膜超伝導線材、および、その製造方法に関する。
高温超伝導材料の1つであるREBaCu7-d(REBCO、RE=Y、Eu、Gd、Sm等の希少元素、RE:Ba:Cu=1:2:3の組成比)超伝導体は、超電導マグネットや省電力化のための電力機器へ応用可能な材料である。超伝導マグネットに応用する上では、交流損失低減および遮蔽磁場の影響低減が必要不可欠である。一方、これらの応用に期待されているいわゆる薄膜超電導線材は薄いテープ状の上でしか高い臨界電流密度を有した材料を作製できない。
これらの線材の交流等を含めた既存電力システムへの適用を考えた場合、安定して電流を流すことが出来る、交流損失を防ぐ、遮蔽磁場低減目的で、細線化のプロセスを経る必要がある。これまで、細線化は機械的に裁断を行ったり、レーザースクライビング法と呼ばれるレーザーによる複数の溝を作ったりする後加工の必要があった。
近年、後加工を必要としない細線化のプロセスが開発された(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、金属有機化合物溶液を塗布した後、所定の熱処理を施して酸化物超電導薄膜を形成する塗布熱分解法による超電導線材の製造に用いられる超電導線材用基板に関し、金属有機化合物溶液の塗膜の形成を回避する塗膜非形成部が、超電導線材用基板の長さ方向に沿って、幅方向に少なくとも1つ以上設けられていることを開示する。
特許文献1によれば、塗膜非形成部の撥液性を利用するため、酸化物超伝導薄膜の形成は、溶液を用いた塗布熱分解に制限される。そのため、塗膜非形成部の除去、ならびに、酸化物の形成のため、熱処理を必要とする。
特開2011-124167号公報
以上から、本発明の課題は、後加工なしに製造可能な多芯薄膜超伝導線材、および、その製造方法を提供することである。
本発明による多芯薄膜超伝導線材は、基板と、前記基板上に位置する複数の非超伝導層と、前記基板と前記複数の非超伝導層との上に位置する希土類系酸化物薄膜とを備え、前記希土類系酸化物薄膜は、ドープまたはアンドープの希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)および酸素(O)を含有し、一般式REBaCu7-d(ここで、0≦d≦0.8)を満たし、前記基板は、前記希土類系酸化物薄膜の配向基板であり、これにより上記課題を解決する。
前記複数の非超伝導層上に位置する前記希土類系酸化物薄膜の結晶性は、前記基板上に位置する前記希土類系酸化物薄膜のそれよりも低くてよい。
前記複数の非超伝導層上に位置する希土類系酸化物薄膜は、不純物相をさらに含有してもよい。
前記不純物相は、酸化銅、および/または、YBaCuO(4≦x≦6)であってもよい。
前記複数の非超伝導層は、超伝導性を有さない金属材料または酸化物材料であってもよい。
前記金属材料または酸化物材料は、800℃を超える融点を有してもよい。
前記金属材料は、ジルコニウム(Zr)、銀(Ag)、ニオブ(Nb)、金(Au)、ハフニウム(Hf)、コバルト(Co)、ゲルマニウム(Ge)、白金(Pt)、および、シリコン(Si)からなる群から選択されてもよい。
前記酸化物は、バリウム複合酸化物(BaMO、ただし、Mは、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)およびスズ(Sn)からなる群から選択される)であってもよい。
前記酸化物は、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、および、酸化ハフニウム(HfO)からなる群から選択されてもよい。
前記複数の非超伝導層の幅は、100nm以上20μm以下の範囲を満たしてもよい。
前記複数の非超伝導層の幅は、1μm以上20μm以下の範囲を満たしてもよい。
前記複数の非超伝導層の厚さは、100nm以上1μm以下の範囲を満たしてもよい。
前記希土類系酸化物薄膜の厚さは、100nm以上500nm以下の範囲を満たしてもよい。
前記基板は、酸化マグネシウム(MgO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、アルミン酸ランタン(LaAlO)、アルミニウムタンタル酸ストロンチウム(SAT;SrAlTaO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガリウム酸ランタン(LaGaO)、ガリウム酸ネオジウム(NdGaO)、ガリウム酸プラセオジウム(PrGaO)、イットリウムアルミネート(YAlO)、錫酸バリウム(BaSnO)、ジルコン酸バリウム(BaZrO)、ネオジウムタンタル酸バリウム(BaNdTaO)、錫酸ストロンチウム(SrSnO)、錫酸カルシウム(CaSnO)、ストロンチウムガリウム酸ランタン(LaSrGaO)、ランタンストロンチウムアルミネート(LaSrAlO)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、(LaAlO0.3-(SrAl0.5Ta0.50.7(LSAT)、酸化マグネシウム(MgO)、および、サファイアからなる群から選択される酸化物であってもよい。
前記基板は、二軸配向性基板であってもよい。
前記希土類系酸化物薄膜には、ジルコン酸バリウム(BaZrO)、錫酸バリウム(BaSnO)、ハフニウム酸バリウム(BaHfO)、および、金(Au)からなる群から選択される材料からなるナノロッドがドープされていてもよい。
前記複数の非超伝導層の間隔は、100nm以上1mm以下の範囲を満たしてもよい。
本発明による上記多芯薄膜超伝導線材の製造方法は、基材上にリソグラフィ技術またはプリンディング技術を用いて複数の非超伝導層を形成することと、前記基板と前記複数の非超伝導層との上に希土類系酸化物薄膜を形成することとを包含し、これにより上記課題を解決する。
前記複数の非超伝導層を形成することは、室温で行ってもよい。
前記希土類系酸化物薄膜を形成することは、物理的気相成長法、化学的気相成長法、および、液相成長法からなる群から選択される手法を用いてもよい。
本発明による多芯薄膜超伝導線材は、基板と、その上に位置する複数の非超伝導層と、それら基板と複数の非超伝導層との上に位置する、ドープまたはアンドープの希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)および酸素(O)を含有し、一般式REBaCu7-d(ここで、0≦d≦0.8)を満たす希土類系酸化物薄膜とを備える。基板は、希土類系酸化物薄膜の配向基板であるため、基板上に位置する希土類系酸化物薄膜は、基板に対して配向しており、優れた超伝導性を示す。一方、複数の非超伝導層上に位置する希土類系酸化物薄膜の結晶性は、基板上に位置する希土類系酸化物薄膜のそれよりも低くなる。このような結晶方位の乱れにより、複数の非超伝導層上に位置する希土類系酸化物薄膜では、超伝導電流が流れにくくなる。その結果、超伝導性を示し、超伝導電流が流れやすい領域と、超伝導電流が流れにくい領域とが繰り返され、多芯薄膜超伝導線材として機能し得る。
本発明による多芯薄膜超伝導線材の製造方法は、基材上にリソグラフィ技術またはプリンディング技術を用いて複数の非超伝導層を形成することと、それら基板と複数の非超伝導層との上に希土類系酸化物薄膜を形成することとを包含する。単に、複数の非超伝導層を含む基板上に希土類系酸化物薄膜を形成するだけでよいため、複数の非超伝導層を除去する必要もなく、後加工も不要である。
本発明による多芯薄膜超伝導線材を示す模式図 本発明による多芯薄膜超伝導線材の細部を示す模式図 本発明による多芯薄膜超伝導線材の製造工程を示すフローチャート 例1~例3の多芯薄膜超伝導線材を製造する工程を示すプロシージャ 例1および例2で用いた複数の非超伝導層を備えるSTO基板表面の光学顕微鏡像を示す図 例1および例2で用いた複数の非超伝導層を備えるSTO基板表面のSEM像を示す図 例1および例2で用いた複数の非超伝導層を備えるSTO基板表面のレーザ顕微鏡像を示す図 例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の表面のSEM像を示す図 例1の多芯薄膜超伝導線材の表面のXRDパターンを示す図 例1の多芯薄膜超伝導線材の電気抵抗の温度依存性を示す図 例1の多芯薄膜超伝導線材の磁気偏向像を示す図 例1の多芯薄膜超伝導線材の断面のSTEM像 例1の多芯薄膜超伝導線材の断面のTEM像 例1の多芯薄膜超伝導線材の表面のEBSD像 図14のZr膜上の希土類酸化物薄膜のEBSD像から算出した結晶方位の傾きの分布を示す図 例1の多芯薄膜超伝導線材の断面のEDXマッピング
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
図1は、本発明による多芯薄膜超伝導線材を示す模式図である。
図2は、本発明による多芯薄膜超伝導線材の細部を示す模式図である。柔軟多孔体を示す模式図である。
本発明の多芯薄膜超伝導線材100は、基板110と、基板110上に位置する複数の非超伝導層120と、基板110と非超伝導層120との上に位置する希土類系酸化物薄膜130とを備える。ここで、希土類系酸化物薄膜130は、ドープまたはアンドープの希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)および酸素(O)を含有し、一般式REBaCu7-d(ここで、0≦d≦0.8)である。さらに、基板110は、希土類系酸化物薄膜130の配向基板であるため、基板110上の希土類系酸化物薄膜130は、基板110に対して配向している。
一般式REBaCu7-d(ここで、0≦d≦0.8)で表される希土類系酸化物薄膜は、酸素欠損型の層状ペロブスカイト構造を有しており、REとその上下にある超伝導を発現させるCuO面からなる超伝導層と、BaO面とCuO鎖で構成されるブロック層が、交互に積み重なって構成されており、ペロブスカイト構造を有し、超伝物質として知られている。
希土類元素REは、好ましくは、ルテチウム(Lu)、イッテルビウム(Yb)、ツリウム(Tm)、エルビウム(Er)、ホルミウム(Ho)、ジスプロシウム(Dy)、ガドリニウム(Gd)、ユーロピウム(Eu)、および、サマリウム(Sm)からなる群から少なくとも1種選択される。希土類元素REの選択により、臨界温度Tcが変化し得るので、用途に応じて選択すればよい。
希土類系酸化物薄膜130には、超伝導電流を向上させるため、ピンニングセンタとしてナノロッドを有してもよい。このようなナノロッドは、好ましくは、ジルコン酸バリウム(BaZrO)、錫酸バリウム(BaSnO)、ハフニウム酸バリウム(BaHfO)、および、金(Au)からなる群から選択される材料からなる。中でも、ジルコン酸バリウムは、希土類系酸化物薄膜130と同じペロブスカイト構造を有するため、超伝導特性の低下させないため好ましい。
このようなナノロッドのドープ量は、好ましくは、5mol%以上15mol%以下の範囲である。この範囲であれば、希土類系酸化物薄膜130の結晶構造を維持し、超伝導性を低下させることなく、超伝導電流を向上できる。
このように、基板110上に位置する希土類系酸化物薄膜130は、基板110に対して配向しており、優れた超伝導性を示す。一方、複数の非超伝導層120上に位置する希土類系酸化物薄膜130は、超伝導電流が流れにくくなり、超伝導性を示しにくい。その結果、希土類系酸化物薄膜130を物理的に裁断することなく、超伝導電流が流れやすい領域と、超伝導電流が流れにくい領域とが繰り返されるので、多芯化・細線化された多芯薄膜超伝導線材として機能し得る。
基板110は、希土類系酸化物薄膜130を配向させる基板であれば、特に制限はないが、例示的には、酸化マグネシウム(MgO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、アルミン酸ランタン(LaAlO)、アルミニウムタンタル酸ストロンチウム(SAT;SrAlTaO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガリウム酸ランタン(LaGaO)、ガリウム酸ネオジウム(NdGaO)、ガリウム酸プラセオジウム(PrGaO)、イットリウムアルミネート(YAlO)、錫酸バリウム(BaSnO)、ジルコン酸バリウム(BaZrO)、ネオジウムタンタル酸バリウム(BaNdTaO)、錫酸ストロンチウム(SrSnO)、錫酸カルシウム(CaSnO)、ストロンチウムガリウム酸ランタン(LaSrGaO)、ランタンストロンチウムアルミネート(LaSrAlO)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、(LaAlO0.3-(SrAl0.5Ta0.50.7(LSAT)、酸化マグネシウム(MgO)、および、サファイアからなる群から選択される酸化物である。これらは、希土類系酸化物薄膜130の配向基板として知られている。
例えば、MgOを基板として用いる場合、面方位{100}のMgO単結晶基板を用いれば、希土類系酸化物薄膜130をc軸配向させることができる。希土類系酸化物薄膜130は、配向していれば結晶方位に制限はなく、c軸配向に限らない。当業者であれば、希土類系酸化物薄膜130の結晶方位に合わせて、上述した酸化物からなる単結晶基板およびsの面方位を適宜選択し得る。
あるいは、基板110は、二軸配向性基板であってもよい。二軸配向性基板は、金属基板上に面内配向した中間層を形成した基板であり、希土類系酸化物薄膜130に使用されることが知られている。
以降では分かりやすさのために、基板110上に位置する希土類系酸化物薄膜130を単に希土類系酸化物薄膜210(図2)と称し、複数の非超伝導層120上に位置する希土類系酸化物薄膜130を単に希土類系酸化物薄膜220(図2)と称する。
希土類系酸化物薄膜220の結晶性は、好ましくは、希土類系酸化物薄膜210のそれよりも低い。結晶性の違いは、結晶方位の乱れに基づく。結晶方位が乱れた希土類系酸化物薄膜220では、配向した希土類系酸化物薄膜210に比べて、超伝導電流が流れにくくなる。このような結晶方位の乱れ、すなわち結晶性の違いは、走査型電子顕微鏡による後方散乱電子回折(EBSD)によって確認でき、希土類系酸化物薄膜220が、希土類系酸化物薄膜210の結晶方位と異なる結晶方位の面を有せばよい。EBSD像を参照すれば、単に色の違いで判別できる。
なお、希土類系酸化物薄膜210の結晶性と希土類系酸化物薄膜220のそれとの間に差があれば特に制限はないが、好ましくは、希土類系酸化物薄膜220におけるab面内の隣接する結晶方位の傾きの平均が4゜以上であれば、超伝導電流が流れにくくなり、多芯線化を促進できる。本願明細書では、結晶方位の傾きは、結晶粒100個に対して、隣接する結晶粒の結晶方位の傾きを算出し、平均したものとする。
簡便には、希土類系酸化物薄膜220が、結晶粒100個に対して、希土類系酸化物薄膜210の結晶の主要な結晶方位と異なる結晶方位を有する結晶粒を10%以上80%以下の範囲で含有すれば、傾きの平均が4°以上とみなせる。より好ましくは、希土類系酸化物薄膜220が、結晶粒100個に対して、希土類系酸化物薄膜210の結晶の主要な結晶方位と異なる結晶方位を有する結晶粒を35%以上45%以下の範囲で含有すればよい。
希土類系酸化物薄膜220は、好ましくは、不純物相230を含有する。希土類系酸化物薄膜220中に含有される不純物相230は、超伝導性を示さない。このため、希土類系酸化物薄膜130を物理的に裁断することなく、超伝導性を示す領域と、超伝導性を示さない/超伝導性を示しにくい領域とが繰り返されるので、多芯薄膜超伝導線材として機能し得る。
このような不純物相230は、好ましくは、酸化銅、および/または、YBaCuO(4≦x≦6)である。これらはいずれも超伝導性を示さない。不純物相230の含有量は、好ましくは、5vol%以上100vol%未満の範囲であってよい。この範囲であれば、超伝導性を示さないため、多芯線化を促進できる。なお、不純物相230を有することは、含有量は、走査電子顕微鏡などに付属している元素マッピング等によって測定される。なお、希土類系酸化物薄膜220の多くが不純物相からなっても、希土類系酸化物薄膜130全体に占める希土類系酸化物薄膜220の割合は極めて小さいため、X線回折によれば、希土類系酸化物薄膜130全体は、一般式REBaCu7-d(ここで、0≦d≦0.8)を満たすといえ、本発明はこのような場合も含む。不純物相230の含有量は、より好ましくは、5vol%以上20vol%以下の範囲であってよい。少ない不純物量で多芯線化を可能にする。
希土類系酸化物薄膜220の幅に対する希土類系酸化物薄膜210の幅の比は、好ましくは、1以上1000以下である。これにより、多芯薄膜超伝導線材として機能する。希土類系酸化物薄膜220の幅に対する希土類系酸化物薄膜210の幅の比は、より好ましくは、10以上500以下であってよい。
複数の非超伝導層120は、超伝導性を有さない材料からなれば特に制限はないが、好ましくは、超伝導性を有さない金属材料または酸化物材料である。
超伝導性を有さない金属材料または酸化物材料は、好ましくは、800℃を超える融点を有する材料からなる。これにより、後述する製造プロセスにおいて、希土類系酸化物薄膜130と非超伝導層120とが反応することを防ぐことができる。なお、融点の上限は特に制限はないが、例えば、金属材料であれば2000℃以下、酸化物材料であれば3000℃以下であってよい。
超伝導性を有さない金属材料は、例示的には、ジルコニウム(Zr)、銀(Ag)、ニオブ(Nb)、金(Au)、ハフニウム(Hf)、コバルト(Co)、ゲルマニウム(Ge)、白金(Pt)、および、シリコン(Si)からなる群から選択される。これらの金属材料は、室温にて基板上に成膜可能であり、800℃を超える融点を有する。これらの金属材料の上であれば、希土類系酸化物薄膜230は、多結晶化するか、または、配向しても配向性は低くなる。
超伝導性を有さない酸化物材料は、例示的には、バリウム複合酸化物(BaMO、ただし、Mは、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)およびスズ(Sn)からなる群から選択される)である。この複合酸化物は、室温にて基板上に成膜可能であり、800℃を超える融点を有する。このような複合酸化物は、希土類系酸化物薄膜との反応性が低いため、希土類系酸化物薄膜230の形成を促進する。
あるいは、超伝導性を有さない酸化物材料は、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、および、酸化ハフニウム(HfO)からなる群から選択されてもよい。これらの酸化物は、室温にて基板上に成膜可能であり、800℃を超える融点を有する。これらの酸化物の上であれば、希土類系酸化物薄膜220は、多結晶化するか、または、配向しても配向性は低くなる。
非超伝導層120の幅は、上述した希土類系酸化物薄膜220を形成できる限り、特に制限はないが、好ましくは、100nm以上20μm以下の範囲を満たす。100nm以上であれば、口述するリソグラフィ技術またはプリンティング技術を採用できるので、好ましい。線材の大きさを考慮すると、20μmを上限とするとよい。
非超伝導層120の幅は、より好ましくは、1μm以上20μm以下の範囲を満たす。この範囲であれば、非超伝導層20上の希土類系酸化物薄膜220は、結晶性が低くなり、不純物相230を有し得る。
非超伝導層120の間隔は、好ましくは、100nm以上1mm以下の範囲を満たす。これにより、多芯薄膜超伝導線材として機能する。非超伝導層120の間隔は、より好ましくは、10μm以上500μm以下の範囲を満たす。非超伝導層120の間隔は、なお好ましくは、30μm以上100μm以下の範囲を満たす。これにより、交流損失を効率的に抑制し、遮蔽磁場の影響を低減した多芯薄膜超伝導線材を提供できる。
非超伝導層120の厚さは、特に制限はないが、好ましくは、100nm以上1μm以下の範囲である。この範囲であれば、非超伝導層20上の希土類系酸化物薄膜220は、結晶性が低くなり、不純物相230を有し得る。非超伝導層120の厚さは、より好ましくは、100nm以上500nm以下の範囲である。
本発明の多芯薄膜超伝導線材100は、物理的に裁断することなく希土類系酸化物薄膜が多芯化されているので、交流損失が抑制され、遮蔽磁場が低減される。このような多芯薄膜超伝導線材100は、電力機器、医療用加速器、核融合炉などに適用される。
次に、本発明の多芯薄膜超伝導線材100の製造方法を説明する。
図3は、本発明による多芯薄膜超伝導線材の製造工程を示すフローチャートである。
本発明の多芯薄膜超伝導線材100は、以下の製造工程を包含する。
ステップS310:基材上にリソグラフィ技術またはプリンディング技術を用いて複数の非超伝導層を形成すること。
ステップS320:基板と複数の非超伝導層との上に希土類系酸化物薄膜を形成すること。
このように、基板上に複数の非超伝導層を形成し、その上に希土類系酸化物薄膜を形成するだけで、希土類系酸化物薄膜の物理的な裁断などの後加工を不要とし、非超伝導層を除去する必要もなく、本発明の多芯薄膜超伝導線材が製造される。
各ステップについて詳細に説明する。なお、基板、非超伝導層、および、希土類系酸化物薄膜は、図1および図2を参照して説明したとおりであるため、説明を省略する。
ステップS310では、リソグラフィ技術またはプリンティング技術を用い、基板にレジストをパターニングする。レジストは、光や電子線等によって現像液に対する溶解性が変化する組成物であってよい。レジストに、例えばレーザー露光装置装置により、基板の長手方向に複数の線状のパターンを描画し、現像すると、光が照射された照射部のみが除去される。
リソグラフィ技術は、既存のフォトリソグラフィあるいは電子線リソグラフィのいずれであってもよい。プリンティング技術は、既存のナノインプリントを採用できる。
レジストがパターニングされた基板上に、物理的気相成長法(真空蒸着法、分子線蒸着法、レーザアブレーションによるPLD(Physical Laser Deposition)法、分子線エピタキシー、各種スパッタなど)により非超伝導層を形成する。レジストを用いたプロセスを考慮すれば、非超伝導層は、室温(8℃以上35℃以下の範囲)で成膜される。その後、溶剤等を用いてレジストを除去することにより、基板上に基板長手方向に複数の非超伝導層を形成できる。
ステップS320では、上述の物理的気相成長法、化学的気相成長法(MOCVD法、フラッシュCVD法を含む各種のCVD法など)、化学的液相成長法(ゾル-ゲル法や有機金属化合物分解(MOD)法、液相式ミスト成膜(LSMCD法など)等により、複数の非超伝導層が形成された基板上に希土類系酸化物薄膜を形成する。
ステップS320において、複数の非超伝導層が形成された基板上に単に希土類系酸化物薄膜を形成するだけで、基板直上にある希土類系酸化物薄膜は、配向基板により基板に対して配向するよう成長し、非超伝導直上にある希土類系酸化物薄膜は、結晶性が低くなり得、不純物相を有し得る。その結果、図1、図2に示す本発明の多芯薄膜超伝導線材100が得られる。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[例1~例3]
例1~例3では、フォトリソグラフィ技術を用いて、基板と、その上に種々の幅の複数の非超伝導層と、それらの上に希土類系酸化物薄膜とを備えた多芯薄膜超伝導線材を製造した。基板として面方位(001)STiO単結晶基板(STO基板)を用い、非超伝導層としてZr膜またはAg膜を用い、希土類系酸化物薄膜として、10%BaZrOナノロッドドープまたはアンドープYBaCu膜を用いた。
図4は、例1~例3の多芯薄膜超伝導線材を製造する工程を示すプロシージャである。
STO基板410(5mm×5mm)にレジスト420(東京応化工業株式会社製、OFPR800LB)を塗布し、マスクレス露光装置(株式会社ナノシステムソリューションズ、DL-1000)を用いて、レジスト420をパターニングした。これにより、露光された部分のレジストが除去され、STO基板410の長手方向に線状の複数のレジスト420aとなった。
図4では分かりやすさのために、等間隔に位置する3本の線状のレジスト420aを模式的に示すが、実際には、5本の線状のレジストがあり、それらの間隔は、2μm、5μm、10μm、15μmの順であった。
次に、RFマグネトロンスパッタリング装置(芝浦メカトロニクス社製、CFD-4EP-LL(4G))を用いて、Zr膜(300nm)またはAg膜(300nm)である非超伝導層430を形成した。スパッタリング条件を表1に示す。
Figure 2023076209000002
レジスト除去液(MicroChem社製、RemoverPG)にこれを浸漬し、レジスト420aを除去した。これにより、STO基板410上に線状の複数の非超伝導層430aを形成した。
得られたSTO基板410上の非超伝導層430aを、光学顕微鏡(キーエンス社製、VHX-1000)、走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテク社製、SU-70)およびレーザ顕微鏡(キーエンス社製、VK-X1100)を用いて観察した。結果を図5~図7に示す。
複数の非超伝導層430aが形成されたSTO基板410上に、パルスレーザデポジション装置(アルバック社製)を用いて、アンドープまたは10%BaZrOナノロッドドープYBaCuである希土類系酸化物薄膜440を形成した。PLD条件を表2に示す。ターゲットは、TEP社から入手した。
Figure 2023076209000003
簡単のため、例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の実験条件を表3に示す。
Figure 2023076209000004
このようにして得られた、例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の表面をSEMにより観察した。結果を図8に示す。例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の希土類酸化物薄膜についてX線回折装置(トライSE社製、TRY-HA)を用い、X線回折を行った。結果を図9に示す。例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の希土類酸化物薄膜について、電気抵抗の温度依存性を測定した。結果を図10に示す。
例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の表面を磁気偏向観察装置により観察した。結果を図11に示す。例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の断面の様子を、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)を搭載した走査型透過電子顕微鏡(STEM、JEOL社製、JEM-ARM200F-G)により観察した。これらの結果を図12~図13に示す。例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の表面のEBSD像を上述のSEMにより調べた。結果を図14および図15に示す。さらに、例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の細部の元素分析をEDXにより行った。結果を図16に示す。
以上の結果をまとめて説明する。
図5は、例1および例2で用いた複数の非超伝導層を備えるSTO基板表面の光学顕微鏡像を示す図である。
図6は、例1および例2で用いた複数の非超伝導層を備えるSTO基板表面のSEM像を示す図である。
図7は、例1および例2で用いた複数の非超伝導層を備えるSTO基板表面のレーザ顕微鏡像を示す図である。
図5において、グレースケールが暗く示される領域が、Zr膜である非超伝導層であり、複数の線状の非超伝導層がSTO基板上に形成されたことを確認した。図5の左から、非超伝導層の幅は、2μm、5μm、10μm、15μmの順であった。
図6は、幅15μmのZr膜である非超伝導層を拡大して示す。リソグラフィ技術により非超伝導層の境界は明瞭であった。図7(B)は、幅15μmのZr膜である非超伝導層のメイン画像(図7(A))の表面の凹凸の計測画像である。図7(B)において、グレースケールが暗く示される領域が300nmの高さに相当し、Zr膜である非超伝導層の厚さは、300nmであった。なお、図示しないが、例3のAg膜である非超伝導層も同様の様態を示し、厚さは300nmであった。
図8は、例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の表面のSEM像を示す図である。
図8(A)~(C)は、それぞれ、例1~例3の多芯薄膜超伝導線材の表面を示し、分かりやすさのために、非超伝導層に相当する領域を点線で示す。
図8(A)および(B)によれば、STO基板直上の希土類系酸化物薄膜も、非超伝導層直上の希土類系酸化物薄膜も、いずれも均一な様態であった。図8(B)には、ナノロッドの存在が確認された。一方、図8(C)は、STO基板直上の希土類系酸化物薄膜と、非超伝導層直上の希土類系酸化物薄膜とで様態が異なって示されるが、積算回数が異なっているためである。
図9は、例1の多芯薄膜超伝導線材の表面のXRDパターンを示す図である。
図9によれば、00Lの回折ピークのみが観察され、希土類系酸化物薄膜は、全体としてc軸配向したYBaCuであると同定された。図示しないが、例2および例3においても、c軸配向した10%BaZrOナノロッドドープYBaCuまたはアンドープYBaCuであることを確認した。
図10は、例1の多芯薄膜超伝導線材の電気抵抗の温度依存性を示す図である。
図10によれば、例1のアンドープYBaCuである希土類系酸化物薄膜は、臨界温度Tc=85.9Kにおいて超伝導となることが分かった。この臨界温度はこれまでYBaCuにおいて報告のある臨界温度と同様であった。図示しないが、例2および例3の希土類系酸化物薄膜も同様に超伝導となることが分かった。
図11は、例1の多芯薄膜超伝導線材の磁気偏向像を示す図である。
図11によれば、グレースケールが明るく示される4本の線を境として、領域が磁気的に明確に分割されており、希土類系酸化物薄膜が多芯化されていることが分かった。この4本の線は、Zr膜である非超伝導層であり、Zr膜上のYBaCuでは、超伝導電流が流れにくいことを示唆する。図示しないが、例2~例3の多芯薄膜超伝導線材も、同様の磁気偏向像を示した。
以上から、基板と、基板上に位置する複数の非超伝導層と、これらの上に位置する希土類系酸化物薄膜とを備え、希土類系酸化物薄膜は、ドープまたはアンドープの希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)および酸素(O)を含有し、一般式REBaCu7-d(ここで、0≦d≦0.8)を満たし、基板は、希土類系酸化物薄膜の配向基板である、多芯薄膜超伝導線材であれば、物理的に裁断することなく、希土類系酸化物薄膜が多芯化されることが示された。
図12は、例1の多芯薄膜超伝導線材の断面のSTEM像である。
図13は、例1の多芯薄膜超伝導線材の断面のTEM像である。
図12および図13によれば、STO基板上にZr膜である非超伝導層、その上にYBaCuである希土類系酸化物薄膜がある領域と、STO基板直上にYBaCuである希土類系酸化物薄膜がある領域とが確認された。
図14は、例1の多芯薄膜超伝導線材の表面のEBSD像である。
図14ではグレースケールで示すが、実際にはカラー画像であり、同じ明度は同じ結晶方位であることを示す。図14においてSTO基板直上の希土類酸化物薄膜210の結晶方位は、実質的に100方位に揃っていた。一方、Zr膜直上の希土類酸化物薄膜220の結晶方位は、明らかにランダムであった。このことから、Zr膜直上の希土類酸化物薄膜220の結晶性は、STO基板直上の希土類酸化物薄膜210のそれよりも低いことが分かった。図示しないが、例2~例3の多芯薄膜超伝導線材の断面も同様の様態であった。
図15は、図14のZr膜上の希土類酸化物薄膜のEBSD像から算出した結晶方位の傾きの分布を示す図である。
図15によれば、Zr膜上の希土類酸化物薄膜220は、60%を超える結晶粒が同じ結晶方位を有するが、残りの40%の結晶粒は結晶方位にばらつきがあり、主要な結晶方位に対して5°~80°まで広く傾いて分布していることが分かった。図示しないが、STO基板直上の希土類酸化物薄膜210のab面内の隣接する結晶方位の傾きは2°以下であり、実質100%の結晶粒が同じ結晶方位であり、上述の60%の結晶粒と同じ結晶方位であった。
図16は、例1の多芯薄膜超伝導線材の断面のEDXマッピングである。
図16(A)は、Zr膜直上のYBaCuのEDXマッピングであり、図16(B)は、STO基板直上のYBaCuのEDXマッピングである。図16(A)と図16(B)とを比較すると、とりわけY、Ba、Cuの組成が異なることが分かる。このことからも、Zr膜直上の希土類酸化物薄膜の結晶性は、STO基板直上の希土類酸化物薄膜のそれよりも低くなり得、不純物相を有し得ることが分かる。さらに、EDXマッピングによれば、Zr膜直上の希土類酸化物薄膜は、不純物相として酸化銅(CuO)を含有しており、5vol%以上の含有量であることが分かった。測定領域をZr膜直上の希土類酸化物薄膜全体に単純換算しても、不純物相の含有量は20vol%以下であると考える。図示しないが、例2~例3の多芯薄膜超伝導線材の断面も同様の様態であった。
本発明の多芯薄膜超伝導線材の製造方法は、後加工なしに多芯化できるため、実用化に有利である。本発明の多芯薄膜超伝導線材は、物理的な裁断などをすることなく、細線化されているので、交流損失が抑制され、遮蔽磁場が低減される。このような多芯薄膜超伝導線材は、電力機器、医療用加速器、核融合炉などに適用される。
100 多芯薄膜超伝導線材
110 基板
120、430、430a 非超伝導層
130、210、220、440 希土類系酸化物薄膜
230 不純物相
410 STO基板
420、420a レジスト

Claims (20)

  1. 基板と、
    前記基板上に位置する複数の非超伝導層と、
    前記基板と前記複数の非超伝導層との上に位置する希土類系酸化物薄膜と
    を備え、
    前記希土類系酸化物薄膜は、ドープまたはアンドープの希土類元素(RE)、バリウム(Ba)、銅(Cu)および酸素(O)を含有し、一般式REBaCu7-d(ここで、0≦d≦0.8)を満たし、
    前記基板は、前記希土類系酸化物薄膜の配向基板である、多芯薄膜超伝導線材。
  2. 前記複数の非超伝導層上に位置する前記希土類系酸化物薄膜の結晶性は、前記基板上に位置する前記希土類系酸化物薄膜のそれよりも低い、請求項1に記載の多芯薄膜超伝導線材。
  3. 前記複数の非超伝導層上に位置する希土類系酸化物薄膜は、不純物相をさらに含有する、請求項1または2に記載の多芯薄膜超伝導線材。
  4. 前記不純物相は、酸化銅、および/または、YBaCuO(4≦x≦6)である、請求項3に記載の多芯薄膜超伝導線材。
  5. 前記複数の非超伝導層は、超伝導性を有さない金属材料または酸化物材料である、請求項1~4のいずれかに記載の多芯薄膜超伝導線材。
  6. 前記金属材料または酸化物材料は、800℃を超える融点を有する、請求項5に記載の多芯薄膜超伝導線材。
  7. 前記金属材料は、ジルコニウム(Zr)、銀(Ag)、ニオブ(Nb)、金(Au)、ハフニウム(Hf)、コバルト(Co)、ゲルマニウム(Ge)、白金(Pt)、および、シリコン(Si)からなる群から選択される、請求項5または6に記載の多芯薄膜超伝導線材。
  8. 前記酸化物は、バリウム複合酸化物(BaMO、ただし、Mは、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ニオブ(Nb)およびスズ(Sn)からなる群から選択される)である、請求項5または6に記載の多芯薄膜超伝導線材。
  9. 前記酸化物は、酸化アルミニウム(Al)、酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化セリウム(CeO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、および、酸化ハフニウム(HfO)からなる群から選択される、請求項5または6に記載の多芯薄膜超伝導線材。
  10. 前記複数の非超伝導層の幅は、100nm以上20μm以下の範囲を満たす、請求項1~9のいずれかに記載の多芯薄膜超伝導線材。
  11. 前記複数の非超伝導層の幅は、1μm以上20μm以下の範囲を満たす、請求項10に記載の多芯薄膜超伝導線材。
  12. 前記複数の非超伝導層の厚さは、100nm以上1μm以下の範囲を満たす、請求項1~11のいずれかに記載の多芯薄膜超伝導線材。
  13. 前記希土類系酸化物薄膜の厚さは、100nm以上500nm以下の範囲を満たす、請求項1~12のいずれかに記載の多芯薄膜超伝導線材。
  14. 前記基板は、酸化マグネシウム(MgO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、アルミン酸ランタン(LaAlO)、アルミニウムタンタル酸ストロンチウム(SAT;SrAlTaO)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガリウム酸ランタン(LaGaO)、ガリウム酸ネオジウム(NdGaO)、ガリウム酸プラセオジウム(PrGaO)、イットリウムアルミネート(YAlO)、錫酸バリウム(BaSnO)、ジルコン酸バリウム(BaZrO)、ネオジウムタンタル酸バリウム(BaNdTaO)、錫酸ストロンチウム(SrSnO)、錫酸カルシウム(CaSnO)、ストロンチウムガリウム酸ランタン(LaSrGaO)、ランタンストロンチウムアルミネート(LaSrAlO)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、(LaAlO0.3-(SrAl0.5Ta0.50.7(LSAT)、酸化マグネシウム(MgO)、および、サファイアからなる群から選択される酸化物である、請求項1~13のいずれかに記載の多芯薄膜超伝導線材。
  15. 前記基板は、二軸配向性基板である、請求項1~13のいずれかに記載の多芯薄膜超伝導線材。
  16. 前記希土類系酸化物薄膜には、ジルコン酸バリウム(BaZrO)、錫酸バリウム(BaSnO)、ハフニウム酸バリウム(BaHfO)、および、金(Au)からなる群から選択される材料からなるナノロッドがドープされている、請求項1~15のいずれかに記載の多芯薄膜超伝導線材。
  17. 前記複数の非超伝導層の間隔は、100nm以上1mm以下の範囲を満たす、請求項1~16のいずれかに記載の多芯薄膜超伝導線材。
  18. 基材上にリソグラフィ技術またはプリンディング技術を用いて複数の非超伝導層を形成することと、
    前記基板と前記複数の非超伝導層との上に希土類系酸化物薄膜を形成することと
    を包含し、請求項1~17のいずれかに記載の多芯薄膜超伝導線材の製造方法。
  19. 前記複数の非超伝導層を形成することは、室温で行う、請求項18に記載の方法。
  20. 前記希土類系酸化物薄膜を形成することは、物理的気相成長法、化学的気相成長法、および、液相成長法からなる群から選択される手法を用いる、請求項18または19に記載の方法。
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