JP2023075247A - ウィルソン病を治療するためのビスコリンテトラチオモリブデート - Google Patents

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Abstract

【課題】副作用を伴わずに、Cu代謝を改善し、有毒な遊離Cuを低減し、および正常なCuレベルを維持して患者の症状を改善するのに有効なウィルソン病の治療方法を提供する。【解決手段】本方法は、指定された基準を満たすNCC補正、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、ヘモグロビン、血小板、または好中球レベルを示す患者に、1日1回、15mgまたは30~90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含み得る。本方法は、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量を減少もしくは増加させることによって治療を修正すること、または一定期間にわたり治療を中断することを含み得る。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月4日に出願された米国仮出願第62/594,184号、2018年3月22日に出願された米国仮出願第62/646,553号、2018年4月10日に出願された米国仮出願第62/655,568号、2018年5月9日に出願された米国仮出願第62/669,095号、2018年10月4日に出願された米国仮出願第62/741,313号、および2018年10月25日に出願された米国仮出願第62/750,595号に対する優先権を主張し、これらの各々は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
ウィルソン病(WD)は、銅(Cu)代謝障害の常染色体劣性疾患である。ATP7B遺伝子における変異は、Cu-トランスポーターATPase2の産生不足をもたらし、Cuのセルロプラスミンへの取り込み障害、Cuの胆汁排出障害、遊離およびアルブミン結合Cuの増加、ならびに肝臓、脳、および他の組織におけるCuの蓄積を引き起こし、結果として臓器損傷および機能障害をもたらす。WDの有病率は、3万人に1人と推定されており、米国では約10,000人、欧州連合では約15,000人に相当する。
WDの典型的な臨床症状は、思春期から早期成人期である。遺伝的スクリーニングおよび遺伝子型-表現型の相関は、多数の関連するATP7B変異によって複雑化し、WDを有するほとんどの個体は、複合ヘテロ接合体である。WDの初期兆候および症状は、主に肝性(約40%)、神経学的(約40%)、または精神医学的(約20%)であるが、患者は、肝疾患および神経精神疾患の複合疾患を併発することが多い。未治療または不十分な治療の患者は、進行性の罹患率を有し、死亡率は通常、非代償性の肝硬変および肝不全に続発する。肝臓移植は、WDに関連する急性肝不全に対する唯一の有効な治療法であり、WDに関連する他の死因には、重篤な栄養失調を伴う肝悪性腫瘍および神経学的悪化が含まれる。
肝臓は、ヒトにおける主要なCu貯蔵器官の1つを表す。健康な人では、細胞内のCuホメオスタシスは、強固に制御されている。銅は、Cuトランスポーター1(CTR1)によって細胞に取り込まれ、次いで、CTR1から、酸化防止剤1のCuシャペロン、シトクロムcオキシダーゼ、およびスーパーオキシドジスムターゼなどのCuシャペロンに輸送される。シャペロンに付随する銅は、特定のCu要求酵素に送達される。過剰な量のCuが出現する場合、過剰なCuは、MT中の豊富なシステイン残基によるCuチオラート架橋を介して一価のCu(Cu+)としてメタロチオネイン(MT)と結合し、したがって、酸化還元電位の減少を通じてCuの解毒につながる。
WD患者では、ATPase 2欠乏によりCuの排出が損なわれる。これにより、主に肝臓および脳だけでなく他の臓器にもCuが蓄積する。MTの緩衝能力内では、MTは、Cuと強固に結合するため、Cuの明らかな毒性は存在しない。しかしながら、MTのCu緩衝能力を超えて、遊離Cuイオンが出現し、この過剰な遊離細胞内Cuが、酸化促進特性を引き起こし、結果として臨床症状を伴う組織/臓器損傷のリスクの増加につながる。WDにおけるCuの毒性は、Cu過負荷によりMTと強固に結合されない、遊離または緩やかに結合されたCuによって媒介されると想定される。
WDにおける治療目標は、ATPase2欠乏によって引き起こされるCu排出障害を補償することに焦点を当てている。WDの現在の治療は、一般的なキレート剤療法D-ペ
ニシラミン(CUPRIMINE(登録商標)、Valeant Pharmaceuticals、DEPEN(登録商標)、Meda Pharmaceuticals)およびトリエンチン(SYPRINE(登録商標)、Aton Pharma,Inc.)であり、Cuを非特異的にキレート化し、尿中のCu排出を促進する。加えて、Cuの食品性の取り込みを遮断する亜鉛(Zn)は、主に維持療法に使用される。亜鉛は、胃腸(GI)管におけるMTの誘導によってCuの吸収を損なう。
WD診断時に神経症状を伴う患者における疾患制御は、特に懸念される領域である。神経学的症状を伴う患者の3分の1以上は、キレート剤による4年間の治療後に改善を示さない。神経学的症状を伴うキレート療法に応答しないこの失敗は、神経系への不可逆的な損傷を反映し得る。また、最近の研究では、患者の約50%は、Cu調節剤による長年の治療にもかかわらず、神経学的症状が残存していた。治療開始時の神経学的症状の悪化は、ペニシラミンおよびトリエンチンで開始された患者の約25%で報告されており、これらの患者の最大50%は、回復しない。この「逆説的」な神経学的悪化の背後にあるメカニズムは、肝臓からCuが動員され、血液中のCuの上昇および中枢神経が神経学的悪化を引き起こすと考えられる。この理論は、非臨床データにより支持される。
WDを治療するために現在利用可能な薬物は、有害事象および治療の失敗のために治療中止の高い比率を有する。それらの有害事象プロファイルおよび複雑な投薬レジメンは、不十分な治療コンプライアンスおよび高率の治療失敗につながり、生涯にわたる治療を必要とするWDなどの疾患における主要な懸念である。
アンモニウム塩の形態におけるテトラチオモリブデートは、単回投薬後でもCuの制御および肝機能の改善をもたらすことが示されている。テトラチオモリブデート系治療の臨床的および非臨床的安全性ならびに毒性試験の大部分は、カチオン性対イオンとしてアンモニウムを使用して実施されている。
経口投与される活性剤の薬物吸収は、活性剤が投与される前または後に摂取される食品によって影響され得る。食品は、いくつかのメカニズムを通じて薬物の吸収に影響し得る。食品は、胃腸内の活性剤または薬学的製剤と相互作用することにより、胆汁の流れを刺激することにより、胃腸のpHを変化させることにより、内臓の血流を増加させることにより、または胃排出を遅延させることにより吸収に影響し得る。したがって、活性剤の生物学的利用能は、活性剤の投与の約2時間前または約1時間後以内の食品の摂取により影響し得る。
それにもかかわらず、特定の活性剤または薬学的製剤が食品効果を示すかどうかを、新たに予測することは困難である。さらに、存在する場合でも、活性剤または薬学的製剤に対する食品効果は、絶食条件下での同等用量の投与と比較して、摂食条件下における生物学的利用能の増加または減少をもたらし得る。実質的な食品効果が存在する場合(すなわち、ある用量の投与前または投与後の食品摂取は、絶食条件下における投与と比較して、薬物吸収の実質的な増加または減少を引き起こす)、摂食条件下において投与される薬学的製剤は、絶食条件下で投与される同じ薬学的製剤と生物学的に同等でない。
この生物学的同等性の欠如は、深刻な臨床的結果をもたらし得る。例えば、薬学的組成物を食品と共に投与することは、活性剤の危険な高薬物血漿レベルを提供し、臨床的副作用をもたらし得る。あるいは、絶食条件下で薬学的組成物を投与することは、有効な用量を提供し得る一方で、組成物を食品と共に投与することは、供給用量が有効でないような治療量以下の薬物血漿レベルを提供し得る。
したがって、現在利用可能な治療法に関連する副作用を伴わずに、Cu代謝を改善し、
有毒な遊離Cuを低減し、および正常なCuレベルを維持して患者の症状を改善するのに有効なウィルソン病の治療方法を開発する必要がある。
本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート療法でウィルソン病を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートは、以下の構造を有する:
Figure 2023075247000002
いくつかの実施形態では、本開示は、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを1日1回または毎日1回投与することにより、患者のウィルソン病を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、30~90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを1日に投与することにより、患者のウィルソン病を治療する方法に関する。さらなる実施形態では、本開示は、1日に30~90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することにより、患者におけるウィルソン病を治療する方法に関し、患者は、2.3μm/Lより大きいNCC補正、80IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、8g/dLより大きいヘモグロビン、30,000/μLより大きい血小板、または1,000/μLもしくは1x10/μLより大きい好中球のうち1つ以上を有する。
いくつかの実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量を減少させるか、またはビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量を増加させることにより、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法に関する。
一態様では、本開示は、異常な試験結果を示す患者におけるビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量を減少または増加させる方法をさらに提供し、任意で、治療をある期間中断することを含む。
別の態様では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデートを含む、患者においてウィルソン病を治療するための薬学的組成物を提供する。別の態様では、本開示は、少なくとも3セットの薬学的用量単位と、使用説明書とを含む、ウィルソン病を治療するためのキットを提供する。
別の態様では、本開示は、絶食状態においてビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む、治療を必要とする患者においてウィルソン病を治療する方法に関する。特定の態様では、ビスコリンテトラチオモリブデートは、腸溶性コーティング製剤として投与される。
さらに別の態様では、本開示は、治療を必要とする患者においてウィルソン病を治療する方法であって、ビスコリンテトラチオモリブデートを約24週間以上、約36週間以上、約48週間以上、約60週間以上、約72週間以上、約84週間以上、約92週間以上、約120週間以上、約132週間以上、または約144週間以上投与することを含む方法に関する。
特定の実施形態では、本開示は、治療を必要とする患者においてウィルソン病を治療するために使用する、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含む薬学的組成物に関する。特定の実施形態では、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含む薬学的組成物は、1日1回の投薬に好適である。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、1日おきに1回の投薬に好適である。なおさらなる実施形態では、薬学的組成物は、遅延放出薬学的組成物である。なおさらなる実施形態では、薬学的組成物は、錠剤またはカプセルの形態である。なおさらなる実施形態では、薬学的組成物は、錠剤の形態である。特定の実施形態では、薬学的組成物は、腸溶性コーティング錠剤の形態である。
本開示の特定の実施形態では、患者は、20%、35%、50%、または75%などの投与前に測定される際の患者のNCC補正と比較して、24週間の投与後に測定される際のNCC補正の減少、投与前に測定される際の患者のNCC補正と比較して、24週間の投与後に測定される際のNCC補正の減少を示す。
本開示の特定の実施形態では、患者は、20%、35%、50%、または75%などの投与前に測定される際の患者のNCC補正と比較して、48週間の投与後に測定される際のNCC補正の減少、投与前に測定される際の患者のNCC補正と比較して、48週間の投与後に測定される際のNCC補正の減少を示す。
本開示の特定の実施形態では、患者は、20%、35%、50%、または75%などの投与前に測定される際の患者のNCC補正と比較して、72週間の投与後に測定される際のNCC補正の減少、投与前に測定される際の患者のNCC補正と比較して、72週間の投与後に測定される際のNCC補正の減少を示す。
特定の実施形態では、治療を必要とする患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートを含む薬学的組成物に関し、30、45、60、75、または90mgのビスコリンテトラチオモリブデートは1日に投与され、患者は、以下のうちの1つ以上を有する:
a)2.3μm/Lより大きいNCC補正
b)80IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、
c)8g/dLより大きいヘモグロビン、
d) 30,000/μLより大きい血小板、または
e)10/μLより大きい好中球。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるALTレベルの少なくとも2倍で示すときに減少する。特定の実施形態では、患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させれ、特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、60mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、または特許が、1日1回、90
mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、75mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少される。
さらなる実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、正常の上限(ULN)の少なくとも2倍、少なくとも2倍のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを示す場合に減少される。なおさらなる実施形態では、患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させれ、特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、60mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、または特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、75mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少される。なおさらなる実施形態では、ULNは、30~45IU/mLである。より特定の実施形態では、ULNは、34IU/mLである。さらに特定の実施形態では、ULNは、40IU/mLである。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、ヘモグロビンレベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるヘモグロビンレベルの70%以下で示す場合に減少される。特定の実施形態では、患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させれ、特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、60mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、または特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、75mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少される。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、血小板レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示される血小板レベルの70%以下で示す場合に減少される。特定の実施形態では、患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させれ、特許が、1日1回、45mg用量のビス
コリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、60mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、または特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、75mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少される。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、好中球レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示される好中球レベルの70%以下で示す場合に減少される。特定の実施形態では、患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させれ、特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、60mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少され、または特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、用量は、1日1回、75mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少される。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるALTレベルの5倍より大きいことを示す場合、かつ該患者が、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるレベルの2倍より小さいALTレベルを示すと中断され、治療は、患者がビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデート、または患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートで再開される。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、200IU/mLより大きい場合、かつ該患者が、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるレベルの2倍より小さいALTレベルを示すと中断され、治療は、患者がビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデート、または患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテ
トラチオモリブデートで再開される。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、ヘモグロビンレベルを8g/dLより小さく示す場合、かつ該患者が、ヘモグロビンレベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるものと同等で示すと中断され、治療は、患者がビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデート、または患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートで再開される。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、血小板レベルを、30,000μLより小さく示す場合、かつ該患者が、血小板レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるものと同等で示すと中断され、治療は、患者がビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデート、または患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートで再開される。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、好中球レベルを、1.0×10/μLより小さく示す場合、かつ該患者が、好中球レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるものと同等で示すと中断され、治療は、患者がビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデート、または患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートで再開される。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、ビリルビンレベルを、2.4mg/dLより大きい、およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、120IU/mLより大きいことを示す場合、かつ患者が、正常の上限を下回るビリルビンレベルを示すと中断され、治療は、患者がビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデート、または患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートで再開される。
特定の実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けている患者においてウィルソン病を治療するために使用するビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、該患者が、ビ
リルビンの正常の上限の2倍より大きいビリルビンレベル、およびALTのULNの3倍より大きいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを示す場合、かつ該患者が正常の上限を下回るビリルビンを示すと中断され、治療は、患者がビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデート、または患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートで再開される。
特定の実施形態では、本開示は、患者のウィルソン病を治療する方法において使用するためのビスコリンテトラチオモリブデートを含む、組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に開示される組成物のいずれかに従って定義される。いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書に開示される方法のいずれかで使用するためのものである。いくつかの実施形態では、患者は、本明細書に開示されるように定義される。
特定の実施形態では、本開示は、ウィルソン病における治療に使用するためのビスコリンテトラチオモリブデートの薬学的組成物に関し、組成物は、絶食状態で投与される。さらなる実施形態では、薬学的組成物は、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含む。なおさらなる実施形態では、薬学的組成物は、腸溶性コーティング錠剤である。
特定の実施形態では、本開示は、ウィルソン病を有する患者に対してビスコリンテトラチオモリブデートを投与することと、ウィルソン病を有する患者に対してビスコリンテトラチオモリブデートを修正することと、を含むウィルソン病を治療する上記の方法に関し、患者は肝硬変を有する。
特定の実施形態では、本開示は、ウィルソン病を有する患者に対してビスコリンテトラチオモリブデートを投与することと、ウィルソン病を有する患者に対してビスコリンテトラチオモリブデートを修正することと、を含むウィルソン病を治療する上記の方法に関し、患者は肝硬変を有しない。
特定の実施形態では、本開示は、ウィルソン病を有する患者に対してビスコリンテトラチオモリブデートを投与することと、ウィルソン病を有する患者に対してビスコリンテトラチオモリブデートを修正することと、を含むウィルソン病を治療する上記の方法に関し、患者は、総振戦、総歩行、ジストニア、四肢の敏捷性および協調、ならびに硬直から選択される1つ以上のウィルソン病の表現型を示し、好ましくは、患者は、総振戦、または四肢の敏捷性および協調、またはその両方を示す。さらなる実施形態では、a)総振戦表現型が、安静時振戦、頭部振戦、腕-姿勢振戦および羽ばたき振戦、姿勢振戦-脚、ならびに顎振戦から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、b)総歩行表現型が、椅子から起きる、姿勢-体幹ジストニア、スタンスの運動失調、およびパーキンソニズム、歩行-脚ジストニア、運動失調、およびパーキンソニズムから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、c)ジストニア表現型が、口蓋下顎ジストニア、頚椎ジストニア、腕および手ジストニア、幹ジストニア、ならびに歩行-脚ジストニアから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、d)四肢の敏捷性および協調表現型が、指タップ、迅速な交互の手の動き、筆跡、指鼻試験、および脚の敏捷性から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、e)硬直表現型が、腕、脚、および頸部から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含む。
なおさらなる実施形態では、a)総振戦表現型が、30~45のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、b)総歩行表現型が、20~32のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、c)ジストニア表現型が、15~28のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、d)四肢の敏捷性および協調表現型が、20~36のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、ならびにe)硬直表現型が、10~20のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされる。
特定の実施形態では、本開示は、ウィルソン病を有する患者に対してビスコリンテトラチオモリブデートを投与することと、ウィルソン病を有する患者に対してビスコリンテトラチオモリブデートを修正することと、を含むウィルソン病を治療する上記の方法に関し、患者は、筆跡、脚の敏捷性、およびそれらの組み合わせから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の神経学的症状を示す。さらなる実施形態では、患者は、2~4のUWDRSパートIIIに従った筆跡のスコア、2~8のUWDRSパートIIIに従った脚の敏捷性のスコア、または4~12のUWDRSパートIIIに従った筆跡および脚の敏捷性のスコアを示す。なおさらなる実施形態では、患者は、組成物の投与後に、UWDRSパートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状の改善を示す。なおさらなる実施形態では、患者は、a)5~25の総振戦表現型、b)5~20の総歩行表現型、c)5~15のジストニア表現型、d)5~20の四肢の敏捷性および協調表現型、ならびにe)5~15の硬直表現型のうちの1つ以上のUWDRSパートIIIスコアにおいて減少を示す。
さらに他の実施形態では、患者は、1~3の筆跡についてのUWDRSパートIIIスコアの減少、1~6の脚の敏捷性についてのUWDRSパートIIIスコアの減少、ならびに2~9の筆跡および脚の敏捷性についてのUWDRSパートIIIスコアの減少のうちの1つ以上を示す。
特定の実施形態では、本開示は、ウィルソン病を治療するのに使用するための、本明細書に記載される組成物を提供し、患者は、総振戦、総歩行、ジストニア、四肢の敏捷性および協調、ならびに硬直から選択される1つ以上のウィルソン病の表現型を示し、好ましくは、患者は、総振戦、または四肢の敏捷性および協調、またはその両方を示す。さらなる実施形態では、a)総振戦表現型が、安静時振戦、頭部振戦、腕-姿勢振戦および羽ばたき振戦、姿勢振戦-脚、ならびに顎振戦から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、b)総歩行表現型が、椅子から起きる、姿勢-体幹ジストニア、スタンスの運動失調、およびパーキンソニズム、歩行-脚ジストニア、運動失調、およびパーキンソニズムから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、c)ジストニア表現型が、口蓋下顎ジストニア、頚椎ジストニア、腕および手ジストニア、幹ジストニア、ならびに歩行-脚ジストニアから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、d)四肢の敏捷性および協調表現型が、指タップ、迅速な交互の手の動き、筆跡、指鼻試験、および脚の敏捷性から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、e)硬直表現型が、腕、脚、および頸部から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含む。
なおさらなる実施形態では、a)総振戦表現型が、30~45のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、b)総歩行表現型が、20~32のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、c)ジストニア表現型が、15~28のUWDRSパート
IIIスコアにより特徴付けされ、d)四肢の敏捷性および協調表現型が、20~36のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、ならびにe)硬直表現型が、10~20のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされる。
特定の実施形態では、本開示は、ウィルソン病を治療するのに使用するための、本明細書に記載される組成物を提供し、患者は、筆跡、脚の敏捷性、およびそれらの組み合わせから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の神経学的症状を示す。さらなる実施形態では、患者は、2~4のUWDRSパートIIIに従った筆跡のスコア、2~8のUWDRSパートIIIに従った脚の敏捷性のスコア、または4~12のUWDRSパートIIIに従った筆跡および脚の敏捷性のスコアを示す。なおさらなる実施形態では、患者は、組成物の投与後に、UWDRSパートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状の改善を示す。なおさらなる実施形態では、a)5~25の総振戦表現型、b)5~20の総歩行表現型、c)5~15のジストニア表現型、d)5~20の四肢の敏捷性および協調表現型、ならびにe)5~15の硬直表現型のうちの1つ以上のUWDRSパートIIIスコアにおいて減少を示す。
さらに他の実施形態では、患者は、1~3の筆跡についてのUWDRSパートIIIスコアの減少、1~6の脚の敏捷性についてのUWDRSパートIIIスコアの減少、ならびに2~9の筆跡および脚の敏捷性についてのUWDRSパートIIIスコアの減少のうちの1つ以上を示す。
特定の実施形態では、本開示は、ウィルソン病を治療するのに使用するための、本明細書に記載される組成物を提供し、患者は肝硬変を有する。
特定の実施形態では、本開示は、ウィルソン病を治療するのに使用するための、本明細書に記載される組成物を提供し、患者は肝硬変を有しない。
追加の態様および実施形態は、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
治験プロファイルを示す。 NCC補正濃度の経時的変化を示す。ベースラインからの変化は、各時点で19~25人の患者の最小二乗平均値(SE)である。1人の患者は23週目に治療を中断したが、24週目の値としてNCC補正測定値を含めるための指定されたウィンドウ内である。p値はベースラインに対するものである。 経時的な障害および神経学的状態の変化を示す。ベースライン統一ウィルソン病評価スケール(UWDRSパートII)スコア(障害;A)およびパートIIIスコア(神経学的兆候;B)からの変化は、21~28人の患者の最小二乗平均値(SE)である。 1日1回のWTX101治療によるNCC補正レベルを示す。 1日1回のWTX101治療による肝臓安定性の測定値の変化を示す。 1日1回のWTX101治療による障害および神経学的兆候の変化を示す。 コアおよび延長期間中に報告された有害事象(AE)の数を示す。 図8A~図8Bは、絶食(治療A)および摂食条件(治療B)下での単回60mg(2×30mg)用量のWTX101 EC錠剤、ならびに絶食条件下でのUC+PPI(治療C)の投与後の総Moの平均値±標準誤差血漿濃度を示す。データは、直線軸(図8A)および片対数(図8B)にプロットされる。 ベースライン時に患者の少なくとも50%が経験したUWDRS神経学的状態(パートIII)の症状を示す。データは、登録された集団(N=28)における患者の割合として表される。 研究集団のUWDRS神経学的状態(パートIII)項目スコアを示す。図10Aは、最大スコアが4である項目を示す。図10Aは、最大スコアが8である項目を示す。 研究集団のUWDRS神経学的状態(パートIII)項目スコアを示す。図10Aは、最大スコアが4である項目を示す。図10Aは、最大スコアが8である項目を示す。 ベースラインおよび24週目の間のUWDRS神経学的状態(パートIII)項目スコアの変化を有する患者の数を示す。データは、ベースライン時のスコアがゼロである患者を含む、所与の項目のデータを有するすべての患者からのものである(各ケースでn=22)。図11Aは、最大スコアが4である項目を示す。図11Aは、最大スコアが8である項目を示す。 ベースラインおよび24週目の間のUWDRS神経学的状態(パートIII)項目スコアの変化を有する患者の数を示す。データは、ベースライン時のスコアがゼロである患者を含む、所与の項目のデータを有するすべての患者からのものである(各ケースでn=22)。図11Aは、最大スコアが4である項目を示す。図11Aは、最大スコアが8である項目を示す。 延長研究のための患者の流れを示す。 肝硬変を有するおよび有しない患者のNCC補正レベルを示す。NCCレベルは、WTX101を受け取っていないため、ベースラインで補正されていない。BL、ベースライン;LLN、正常参照範囲の下限(0.8μmol/L);ULN、正常参照範囲の上限(2.3μmol/L);NCC補正、テトラチオモリブデート-銅-アルブミン複合体と結合した銅の量を補正した非セルロプラスミン結合銅;SEM、平均値の標準誤差 肝硬変を有するおよび有しない患者のALTレベルを示す。ALT、アラニンアミノトランスフェラーゼ;BL、ベースライン;SEM、平均値の標準誤差 肝硬変を有するおよび有しない患者のMELDスコア(肝疾患の重症度;スコア範囲6~40)を示す。BL、ベースライン;MELD、末期肝疾患のモデル;SEM、平均値の標準誤差 肝硬変を有するおよび有しない患者の修正されたNazerスコア(予後指数、スコア範囲、0~20)を示す。 肝硬変を有するおよび有しない患者のアルブミンレベルを示す。 肝硬変を有するおよび有しない患者の国際正規化比率を示す。BL、ベースライン;INR、国際正規化比率;SEM、平均値の標準誤差 肝硬変を有するおよび有しない患者の血液凝固時間を示す。BL、ベースライン;INR、国際正規化比率;SEM、平均値の標準誤差 パートII(患者が報告した日常生活動作に基づいて障害を測定する;スコア範囲、0~40)(図19A)およびパートIII(臨床医によって評価された神経学的状態を測定する(スコア範囲;0~143))(図19B)についてのUWDRSを示す。スコアが高いほど状態が悪いことを示す。 パートII(患者が報告した日常生活動作に基づいて障害を測定する;スコア範囲、0~40)(図19A)およびパートIII(臨床医によって評価された神経学的状態を測定する(スコア範囲;0~143))(図19B)についてのUWDRSを示す。スコアが高いほど状態が悪いことを示す。
本開示の特定の態様は、患者の異常な肝機能を制御するために、15mg剤形のビスコリンテトラチオモリブデートを投与することにより、またはビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量を修正することにより、ウィルソン病の治療に関連する有害事象を低減し得るという驚くべき発見に基づく。テトラチオモリブデートのアンモニウム塩は、一般
に、より多くの投与量、例えば、1日あたり90~220mgで投与される。Brewer et al.Initial Therapy of Patients with
Wilson’s Disease with Tetrathiomolybdate.Arch.Neurol.48:42-47(1991)。本開示によれば、当技術分野で一般に知られているアンモニウムテトラチオモリブデートの投与量と同じまたは同様の投与量でのビスコリンテトラチオモリブデートの投与は、本開示の方法が低減する有害事象に関連する。
本開示は、患者がビスコリンテトラチオモリブデートで治療されている後に異常な試験結果を示していた患者に治療有効用量のビスコリンテトラチオモリブデートを投与する方法を提供する。肝機能の異常は、薬物誘導性肝障害(肝毒性)を示す可能性があるため、異常が肝障害を反映しているか、または薬物を服用し続けると経時的に分解する限られた毒性を示すかを判断することが重要である。本開示によれば、異常な肝機能を示す患者であっても、任意で、ビスコリンテトラチオモリブデートを一定期間中断した後、同じ用量でビスコリンテトラチオモリブデートを服用し続けるか、または減少した用量でビスコリンテトラチオモリブデートを服用し続けることができる。この投与レジメンは、薬物の完全な標的用量での時間を最大化するという利点を有し、したがって、有益な治療効果の可能性がある。
本開示の方法は、任意で、ビスコリンテトラチオモリブデートを受けている患者における異常な肝機能を特定すること、およびビスコリンテトラチオモリブデートの低減された用量を受けている患者における肝試験結果をモニタリングすることを含む。本明細書に記載される方法のいずれかにおいて、ALTは、例えば、用量低減前に、34IU/mLまたは64IU/mLまたは170IU/mLより大きいレベルに上昇し得る。代替的に、用量低減前に、ヘモグロビンが低減し得るか、または血小板が低減し得るか、または好中球が低減し得る。
本開示の方法は、任意で、体内の銅レベルを測定することを含む。体内の銅レベルを測定する様々な手段は当該技術分野で既知である。一実施形態では、血清または血漿限外濾過液中の遊離銅濃度は、ウィルソン病の診断およびモニタリングを支援するために、誘導結合質量分析によって測定される。別の実施形態では、尿中の遊離濃度が決定される。別の実施形態では、銅の胆汁分泌は、糞便中の銅濃度の測定によって決定される。別の実施形態では、毛髪の銅含有量が決定される。さらなる実施形態では、遊離血清銅の量は、セルロプラスミンによって未結合銅である、血液中を循環している未結合銅の量として決定される。これは、肝臓および他の臓器に自由に蓄積できる銅であることを理解されたい。好ましい実施形態では、非セルロプラスミン結合銅またはNCCは、誘導結合質量分析または当技術分野で既知の他の方法によって決定される。本明細書に記載されている方法のいずれかにおいて、NCC補正は、例えば、2.3μm/Lより大きく上昇し得る。
上記の健康な個体における試験結果およびレベルの範囲は、検査条件および検査方法によって変化することができるが、一般に、健康な個体は、6~34U/L、9~34U/L、または6~41U/Lの範囲内のALTレベル、11.6~16.4g/dL、13.6~18.0g/dL、または12.0~16.0g/dLの範囲内のヘモグロビン、140~400×10/μLの範囲内の血小板、1.96~7.23×10/μLの範囲内の好中球、および0.2~1.2mg/dL、または0.10~1.10mg/dLの範囲内のビリルビンを示すことが知られている。ウィルソン病の診断および治療のための臨床検査方法に関するさらなる情報は、European Association
for the Study of the Liver(EASL) Clinical Practice Guidelines:Wilson’s Disease;J.Hepatology 56:671-685(2012)に提供されており、これ
はその全体が本開示に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、本開示は、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを1日1回または毎日1回投与することにより、患者のウィルソン病を治療する方法に関する。1日1回の用量は、単回用量、または2回用量、任意で等分した2回用量、または3回、または4回、または5回用量の形態で与えられ得る。用量は、経口、静脈内、筋肉内、または当技術分野で知られる他の方法で送達され得る。
いくつかの実施形態では、本開示は、1日に30~90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することにより、患者におけるウィルソン病を治療する方法に関し、患者は、2.3μm/Lより大きいNCC補正、80IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、8g/dLより大きいヘモグロビン、30,000/μLより大きい血小板、または1,000/μLまたは1x10/μLより大きい好中球のうち1つ以上を有する。患者は、2.3μm/Lより大きいNCC補正および80IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、または2.3μm/Lより大きいNCC補正および8g/dLより大きいヘモグロビン、またはこれらのパラメータのうちの2つ以上の任意の他の組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のパラメータが測定されるであろう。一実施形態では、NCC補正が測定される。別の実施形態では、パラメータのうちの2つ以上が測定される。別の実施形態では、すべてのパラメータが測定される。
いくつかの実施形態では、本開示は、1日に30~90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することにより、患者におけるウィルソン病を治療する方法に関し、患者は、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5μm/Lより大きいNCC補正、もしくはNCC補正の正常の上限(ULN)の2倍、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、もしくはALTの正常(ULN)の上限の2倍、6、7、8、9、または10g/dLより大きいヘモグロビン、20,000、25,000、30,000、35,000、もしくは40,000/μLより大きい血小板、または0.5x10、1x10、1.5x10、2x10、もしくは2.5x10/μLより大きい好中球のうちの1つ以上を有する。特定の実施形態では、患者は、これらのパラメータのうちの2つ以上の組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のパラメータが測定されるであろう。別の実施形態では、NCC補正が測定される。さらなる実施形態では、パラメータのうちの2つ以上が測定される。さらなる実施形態では、すべてが測定される。
いくつかの実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量を増加させることにより、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法に関する。本開示のいくつかの実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量は、特定の試験結果を示す患者において増加される。いくつかの実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、15mgの増分で増加する。いくつかの実施形態では、本開示は、患者が、2.3μm/Lより大きいNCC補正、80IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、8g/dLより大きいヘモグロビン、30,000/μLより大きい血小板、または1,000/μLもしくは1x10/μLより大きい好中球のうち1つ以上を有する場合に、1日用量が増加する。さらなる実施形態では、本開示は、患者が、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5μm/Lより大きいNCC補正、もしくはNCC補正の正常の上限(ULN)の2倍、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、もしくはALTの正常(ULN)の上
限の2倍、6、7、8、9、または10g/dLより大きいヘモグロビン、20,000、25,000、30,000、35,000、もしくは40,000/μLより大きい血小板、または0.5x10、1x10、1.5x10、2x10、もしくは2.5x10/μLより大きい好中球のうちの1つ以上を有する場合に、1日用量が増加する。患者は、2.3μm/Lより大きいNCC補正および80IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、または2.3μm/Lより大きいNCC補正および8g/dLより大きいヘモグロビン、またはこれらのパラメータのうちの2つ以上の任意の他の組み合わせを有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のパラメータが測定されるであろう。一実施形態では、NCC補正が測定される。別の実施形態では、パラメータのうちの2つ以上が測定される。別の実施形態では、すべてのパラメータが測定される。特定の実施形態では、1日用量は、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートの増分で増加する。特定の実施形態では、1日用量は、治療開始中、典型的には、ビスコリンテトラチオモリブデートによる治療の最初の3、4、5、または6ヶ月間に増加する。本開示の特定の態様では、患者の用量は、1回増加する。本開示のさらなる態様では、患者の用量は、2回増加する。本開示のさらなる態様では、患者の用量は、3回以上増加する。
いくつかの実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量を減少させることにより、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法に関する。いくつかの実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量は、15mgの増分で減少する。一実施形態では、1日用量は、1日おきに用量を投与することにより減少する。別の実施形態では、1日用量は、患者が1日あたり平均7.5mgのビスコリンテトラチオモリブデートを受けるように、1日おきに15mgを投与することにより減少する。
一態様では、本開示は、異常な試験結果を示す患者におけるビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量を減少させる方法をさらに提供する。本開示の特定の態様では、患者が特定の異常な試験結果を示す場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの投与は一時的に中断され、特許が改善された試験結果を示す場合、任意で、低用量で再開される。一実施形態では、検査は、肝機能の検査である。当該技術分野で既知の肝機能の任意の検査が用いられ得る。一実施形態では、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはビリルビンレベルが使用される。一実施形態では、検査は、血球減少につながる長期の過剰脱銅によって引き起こされる骨髄抑制の検査である。一実施形態では、ヘモグロビンレベル、血小板レベル、または好中球レベルが試験として使用され得る。一実施形態では、2つ以上の検査の試験結果が使用される。一実施形態では、いくつかの試験が使用される。特定の実施形態では、2つの連続した試験結果が異常であるときに用量が減少する。
特定の実施形態では、異常な試験結果を示している患者におけるビスコリンテトラチオモリブデートの1日量は、異常な試験結果の前に1日15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを服用している患者の用量が、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少する、異常な試験結果の前に1日30mgのビスコリンテトラチオモリブデートを服用している患者の用量が、1日15mgに減少する、異常な試験結果の前に1日45mgのビスコリンテトラチオモリブデートを服用している患者の用量が、1日30mgに減少する、異常な試験結果の前に1日60mgのビスコリンテトラチオモリブデートを服用している患者の用量が、1日45mgに減少する、異常な試験結果の前に1日75mgのビスコリンテトラチオモリブデートを服用している患者の用量が、1日60mgに減少する、および異常な試験結果の前に1日90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを服用している患者の用量が、1日75mgに減少するように15mgで減少する。他の実施形態では、異常な試験結果を示している患者におけるビスコリンテトラチオモ
リブデートの1日用量は、半分に減少する。さらに他の実施形態では、異常な試験結果の前に1日30~90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを服用している異常な試験結果を示している患者におけるビスコリンテトラチオモリブデートの用量は、1日15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートに減少し、かつ異常な検査結果の前に1日15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを服用している異常な検査結果を示している患者におけるビスコリンテトラチオモリブデートの用量は、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートに減少する。
特定の実施形態では、患者が特定の異常な試験結果を示す場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの投与は一時的に中断され、試験結果が特定の閾値を満たす場合に再開される。特定の実施形態では、投薬は、2つの連続した試験結果が異常であるときに中断される。さらなる実施形態では、投薬は、2つの連続した試験結果が特定の閾値を満たす場合に再開される。特定の実施形態では、1日用量のビスコリンテトラチオモリブデートは、中断前のレベルで再開される。さらなる実施形態では、1日用量のビスコリンテトラチオモリブデートは、上述されるように減少した投与量レベルで再開される。本開示のなおさらなる実施形態では、1日用量は、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートで再開される。本開示のなおさらなる実施形態では、患者が異常な試験結果の前に1日30~90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを服用していた場合、1日用量は、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートで再開される。本開示のなおさらなる実施形態では、患者が異常な試験結果の前に1日15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを服用していた場合、用量は、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートで再開される。
異常な試験結果は、設定された閾値を上回るまたは下回って定義され得、肝機能または骨髄機能は、正常であると言われる。任意の態様では、正常の上限(ULN)は、試験結果に対して定義される。任意の態様では、投薬は、患者が2つの連続した異常な試験結果を示す場合に修正される。ビスコリンテトラチオモリブデートの投与は、ULNより大きい、もしくはULNの2倍、もしくはULNの3倍、もしくはULNの4倍、もしくはULNの5倍、もしくはULNのあらゆる倍数の試験結果により、またはULNの1倍、2倍、3倍、4倍、もしくは5倍の間のULNの小倍数より大きい肝機能の試験により修正され得る。一実施形態では、試験結果がULNの2~5倍である場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日の投与は減少する。一実施形態では、試験結果がULNの5倍より大きい場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの1日の投与は中断される。別の実施形態では、肝機能の試験は、ALTである。任意で、ALTがULNの2倍より小さい場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの投与は再開される。任意で、ALTがULNの2倍より小さい場合、1日用量のビスコリンテトラチオモリブデートは、低用量で再開される。一実施形態では、ULNおよびALTの正常の下限(LLN)は、使用される特定のアッセイに依存する。一実施形態では、ALTのULNは、30~45IU/mL、または30~33IU/mL、または33~36IU/mL、または36~39IU/mL、または39~42IU/mL、または42~45IU/mLである。一実施形態では、ALTのULNは、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、または45IU/mLであるか、または間の任意の端数である。別の実施形態では、ALTのULNは、34IU/mLである。別の実施形態では、ALTのULNは、40IU/mLである。
別の任意の態様では、肝臓の結果がビスコリンテトラチオモリブデートの投与を開始する前に行われた試験のベースライン測定値を下回る場合に、1日用量のビスコリンテトラチオモリブデートは、修正される。任意で、このベースラインは、患者特異的である。任意で、このベースラインは、医学的判断によって決定される。任意で、このベースラインは、臨床治験結果によって決定される。任意で、投薬は、患者が2つの連続した異常な試
験結果を示す場合に修正される。一実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量を修正するための閾値は、ベースラインの50%もしくは60%もしくは70%もしくは80%もしくは90%、または間の任意の割合である。別の実施形態では、閾値は、ベースラインの65%または70%または75%である。一実施形態では、閾値は、ベースラインの70%である。任意の態様では、患者のヘモグロビンレベルがその患者のベースラインヘモグロビンの70%より小さい場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量は、修正される。他の任意の態様では、閾値は、ベースライン血小板の70%、またはベースライン好中球の70%である。
さらなる態様では、患者のヘモグロビンレベルが6、7、8、9、または10g/dLより小さい場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量は、減少させるか、または一時的に中断される。なおさらなる態様では、患者のヘモグロビンレベルが8g/dLより小さい場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量は、減少させるか、または一時的に中断される。別の態様では、血小板が20,000、25,000、30,000、35,000、または40,000/μLより小さい場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量は、減少させるか、または一時的に中断される。さらに別の態様では、血小板が30,000/μLより小さい場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量は、減少させるか、または一時的に中断される。さらに別の態様では、好中球が0.5×10、1×10、1.5×10、2×10、または2.5×10/μLより小さい場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量は、減少させるか、または一時的に中断される。さらに別の態様では、好中球が1×10/μLより小さい場合、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量は、減少させるか、または一時的に中断される。任意で、投薬は、患者が2つの連続した異常な試験結果を示す場合に修正される。
特定の実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量が一時的に中断された場合、患者が、6、7、8、9、もしくは10g/dL以上のヘモグロビンレベル、20,000、25,000、30,000、35,000、もしくは40,000/μL以上の血小板、および/または0.5x10、1x10、1.5x10、2x10、もしくは2.5x10/μL以上の好中球のうちの1つ以上を示した場合に投薬が再開される。さらなる実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量が一時的に中断された場合、患者が、8g/dL以上のヘモグロビンレベル、30,000/μL以上の血小板、および/または1x10/μL以上の好中球のうちの1つ以上を示した場合に投薬が再開される。さらなる実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量が一時的に中断された場合、患者が、ヘモグロビン、血小板、または好中球のうちの1つ以上のベースラインレベルを示した場合に投薬が再開される。
当業者は、肝機能または骨髄抑制試験のこの詳述が非限定的であることを意図していることを理解するであろう。肝機能または骨髄抑制の他の試験が実施され得る。肝機能または骨髄抑制の新しい試験が開発され、現在開示されている肝機能試験の代わりに使用され得る。
別の態様では、本開示は、神経学的悪化を示す患者におけるビスコリンテトラチオモリブデートの1日用量を減少させる方法をさらに提供する。一実施形態では、神経学的悪化は、UWDRSパートIIIスコアを使用して評価される。一実施形態では、ベースラインUWDRSパートIIIは、ビスコリンテトラチオモリブデート投与の前に決定される。一実施形態では、神経学的悪化は、1、2、3、4、5、6、7、または8ポイントのベースラインを超えるUWDRSパートIIIスコアの増加として定義される。別の実施形態では、神経学的悪化は、4、5、または6のベースラインを超えるUWDRSパートIIIスコアの増加として定義される。別の実施形態では、神経学的悪化は、ベースラインUWDRSパートIIIが20より小さい場合に、4のベースラインを超えるUWDR
SパートIIIスコアの増加として定義される。別の実施形態では、神経学的悪化は、ベースラインUWDRSパートIIIが20以上であった場合に、6のベースラインを超えるUWDRSパートIIIスコアの増加として定義される。任意の態様では、修正は、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断することを含む。任意の態様では、修正は、該患者が神経学的悪化を示さなくなった後に、修正された用量のビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む。特定の態様では、該患者のUWDRSパートIIIスコアが安定していると判定された場合、患者は、神経学的悪化を示さない。一実施態様では、修正された用量は、低減された用量である。いくつかの実施形態では、修正された用量は、患者が神経学的悪化を示す前に投与される1日用量の半分である。他の実施形態では、修正された用量は、患者が神経学的悪化を示す前に投与される1日用量よりも少なく、例えば、患者が神経学的悪化を示す前に投与される1日用量よりも15mg少ない。いくつかの実施形態では、患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデート、患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデート、特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日1回、15~30mgのビスコリンテトラチオモリブデート、特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデート、特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日1回、30~45mgのビスコリンテトラチオモリブデート、または特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートとなる。
いくつかの実施形態では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデートの用量を一定の増分で増加または減少させることに関する。一実施形態では、本方法は、一定期間、1日あたり約15~約90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含む第1の用量レベルを患者に投与すること、続いて、第2の期間、第1の用量レベルのビスコリンテトラチオモリブデートの量よりも1日あたり少なくとも約15mg少ないビスコリンテトラチオモリブデートを含む第2の用量レベルを投与することを含む。一実施形態では、第2の用量レベルは、1日おきに15mgである。用量レベルおよび1日用量は、互換的に使用され得る。用量レベルは、1日の異なる時間または同じ時間に与えられる1、2、3、4、5、またはそれ以上の用量を含み得る。用量は、任意で、1つの錠剤または2つの錠剤であり得る。任意で、用量は、錠剤、カプセル、または他の丸剤として提供され得る。任意で、用量は、液体形態であり得る。
いくつかの実施形態では、第1の用量レベルは、15mg、または30mg、または45mg、または60mg、または75mg、または90mgである。任意の態様では、第1の用量レベルは、90mgを超え得る。いくつかの実施形態では、第2の用量レベルは、15mg、または30mg、または45mg、または60mg、または75mg、または90mgである。任意の態様では、第2の用量レベルは、90mgを超え得る。当業者は、この用量レベルの列挙が非限定的であることを理解するであろう。任意で、用量は、対象の体重に基づいて調整され得る。任意で、用量は、ビスコリンテトラチオモリブデートの投与後にテトラチオモリブデートの血清濃度を測定することなどによって、薬物の生物学的利用能を測定することにより調整され得る。任意で、用量は、患者の血清中の銅を測定することにより調整され得る。任意で、用量は、NCC補正を測定することにより調整され得る。
一実施形態では、第1の用量レベルは90mgであり、第2の用量レベルは15mgである。一実施形態では、第1の用量レベルは90mgであり、第2の用量レベルは75mgである。他の実施形態では、第1の用量レベルは90mg、または75mg、または6
0mg、または45mgであり、第2の用量レベルは第1の用量レベルより15mg少ない。別の実施形態では、第2の用量レベルは、第1の用量レベルよりも30mg少ない。他の実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートによる治療は、第1の用量レベルと第2の用量レベルとの間で中断される。一実施形態では、治療は、異常な試験結果の後に中断される。一実施形態では、第2の用量レベルによる治療は、患者が異常な試験結果を示さない後に行われる。
別の態様では、本開示は、ビスコリンテトラチオモリブデートを含む、患者においてウィルソン病を治療するための薬学的組成物を提供する。ビスコリンテトラチオモリブデートの特定の薬学的組成物は、米国特許第7,189,865号により提供されており、その全体が参照により組み込まれる。薬学的組成物は、概して、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd edition(2012)に記載される。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、ビスコリンテトラチオモリブデートおよび第2の薬学的活性成分を含む。一実施形態では、第2の薬学的活性成分は亜鉛である。亜鉛は、酢酸亜鉛または亜硫酸亜鉛として提供され得る。一実施形態では、第2の薬学的活性成分は、ビスコリン塩以外のテトラチオモリブデート塩である。任意で、第2の薬学的活性成分は、テトラチオモリブデートアンモニウムである。別の実施形態では、第2の薬学的活性成分は、銅キレート剤である。任意の実施形態では、第2の薬学的活性成分は、2,3,2-テトラミンまたはD-ペニシラミンである。
いくつかの実施形態では、本開示の組成物および方法は、テトラチオモリブデートのビスコリン塩以外のテトラチオモリブデートの塩に関する。いくつかの実施形態では、テトラチオモリブデート塩は、テトラチオモリブデートおよび任意の薬学的に許容される対イオンの塩である。例示的な対イオンには、限定されないが、アンモニウム、コリン、およびアセチルコリンが含まれる。対イオンは、例えば、正荷電有機酸であり得る。投薬は、塩の分子量に応じて調整される。
別の態様では、本開示は、少なくとも3セットの薬学的用量単位と、使用説明書とを含む、ウィルソン病を治療するためのキットを提供する。一実施形態では、キットは、使用説明書と共に7日または30日または90日の治療過程に十分な錠剤を含む。一実施形態では、使用説明書は、各日投与される薬学的投与量単位または薬学的投薬単位の小単位の数を増加または減少するための肝機能および閾値の試験を示す。一実施形態では、キットは亜鉛錠剤をさらに含む。一実施形態では、キットは、ビスコリンテトラチオモリブデート以外の銅キレート剤をさらに含む。別の態様では、本開示は、本開示の方法のいずれかで使用するための組成物を提供する。別の態様では、本開示は、本開示の方法のいずれかで使用するための医薬品の製造で使用するための組成物を提供する。
経口投与の場合、本開示の薬学的組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸カルシウムなど)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカなど)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど)、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤および担体を用いて従来の手段により調製される固体剤形、例えば、錠剤(嚥下可能および咀嚼可能形態の両方)、カプセル、またはジェルキャップの形態を取り得る。かかる錠剤は、当技術分野で周知の方法によってコーティングすることもできる。
投与される用量は、患者の年齢、体重、および状態、ならびに投与経路、剤形、および
レジメン、および所望の結果に従って調整され得る。いくつかの実施形態では、対象に投与される用量は、所望のエンドポイントに到達するまで滴定される。
上述される組成物は、上述される剤形で、1日1回~4回の単回または分割用量で投与され得る。
種々のサイズの錠剤、カプセル、およびカプレットを含む投与量単位は、例えば、約2~10000mgの総重量で調製することができ、上記の範囲内の活性物質の一方または両方を含有し、残りは、許容される薬学的慣行に従って他の物質の生理学的に許容される担体である。これらの錠剤はもちろん、小用量を提供するためにスコア付けできる。ゼラチンカプセルは、同様に製剤化することができる。
いくつかの実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートは、分割可能な投与量単位の形態で同じ投与量単位で提供される。例えば、いくつかの実施形態では、スコア付き錠剤は、投与量単位を提供し得る。医師または他の医療専門家の指示の下で、対象は、投与量単位の1つの部分を服用するように指示され得、1つの部分は、所定の間隔で所望の投与量レベルを提供する。以下の間隔で、患者は、投与量単位の2つ以上の部分を服用するように指示され得、2つ以上の部分は、その間隔で所望の投与量レベルを提供する。
液体製剤はまた、活性物質の1つまたは組み合わせを薬学的投与に許容される従来の液体ビヒクルに溶解または懸濁して、小さじ1~4杯で所望の投与量を提供することによっても調製できる。
かかる剤形は、1日あたり1~4回のレジメンで患者に投与することができる。
本開示の特定の態様は、摂食状態でビスコリンテトラチオモリブデートを投与すると、絶食条件下でビスコリンテトラチオモリブデートを投与する場合と比較して、吸収が60%~75%減少するという驚くべき発見に基づく。本開示の一態様では、ビスコリンテトラチオモリブデートは、ウィルソン病に罹患している患者に絶食状態で投与される。他の実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートは、一晩の絶食後に投与される。さらに他の実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートは、約1、2、3、4、5、6、7、または8時間の絶食後に、空腹時に投与される。特定の実施形態では、ビスコリンテトラチオモリブデートは、腸溶性コーティング製剤として投与される。
本明細書に記載されるすべての特徴(あらゆる添付の特許請求、要約、および図面を含む)、および/またはそのように開示される任意の方法のすべてのステップは、少なくともいくつかのそのような特徴および/またはステップが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで上記の態様のいずれかと組み合わせ得る。詳細には、本明細書に記載される活性剤および組成物のいずれかを、記載される治療方法のいずれかに使用することができる。任意およびすべての組み合わせは、本発明の一部を形成するものとして明示的に想定される。
本明細書で使用される場合、以下の用語は、以下の意味を有するものとする:
「ビスコリンテトラチオモリブデート」は、テトラチオモリブデートのビスコリン塩またはその薬学的組成物を指す。ビスコリンテトラチオモリブデートは、コリンテトラチオモリブデート、またはATN-224、またはWTX101、またはWTX-101、またはDECUPRATE(商標)としても知られている。「WD」は、ウィルソン病を指す。
「QOD」または「quaque altera die」は、1日おきに治療を施すことを指し、例えば、15mgのQODは、1日おきに15mg用量を投与することを示すように当該技術分野で理解される。「QD」または「quaque die」は、1日1回、治療を施すことを指し、例えば、15mgのQDは、1日1回、15mg用量を投与することを示すように当該技術分野で理解される。「SoC」は、標準的なケアを指す。
「連続的な試験結果」または「連続的な異常な試験結果」とは、2つの異なる時点で行われた同じパラメータの2回以上の測定を指す。特定の実施形態では、該測定は、1週間間隔で行われる。他の実施形態では、該測定は、2週間間隔で行われる。
「非セルロプラスミン結合銅」または「NCC」は、血清中の遊離銅の濃度を指す。血漿では、銅は、セルロプラスミンと結合するか、またはアルブミンもしくはより小さな循環ペプチドなど、他の血漿タンパク質と緩く結合する。セルロプラスミンと結合しない緩く結合した銅(すなわち、非セルロプラスミン結合銅、またはNCC)は、時に「遊離」銅と称される。健康な状況(すなわち、ウィルソン病を有しない状況)では、一般に、総血漿銅の70%を超えてセルロプラスミンと結合している。ウィルソン病のため、セルロプラスミン結合銅レベルは、典型的には、ウィルソン病において低く、ウィルソン病患者において観察される全体的な低い総血漿銅レベルを説明し得る。しかしながら、遊離(すなわち、非セルロプラスミン結合)銅を総血清銅レベルからセルロプラスミン銅を差し引いて計算すると、これは通常、正常の上限(>15mg/dL)を超えて上昇することがわかる。未治療のウィルソン病患者において、NCCレベルは、典型的には、25μg/dLを超える。NCCレベル(μg/dL)を計算するために、セルロプラスミン(mg/dL)に3を掛け、次に、この値を総血清銅レベル(μg/dL)から差し引く。
「NCC補正」または「NCCcorr」は、テトラチオモリブデート-銅-アルブミン複合体に含まれる銅について補正されたNCCを指す。NCCcorrを決定するための例示的な方法は、Weiss et al.Lancet Gastroenterol Hepatol.2:869-876(2017)に提供され、これは本開示の全体に組み込まれる。セルロプラスミンへの銅取り込みのメカニズムは、Hellman et al.J.Bio.Chem.48:46632-38(2002)に記載される。
「末期肝疾患のモデル」または「MELD」は、慢性肝疾患の重症度を評価するためのスコアリングシステムを指す。MELDは、対象の血清ビリルビン値、血清クレアチニン値、およびプロトロンビン時間の国際正規化比率(INR)を使用して、生存率を予測する。それは以下の式に従って計算される:MELD=3.78×ln[血清ビリルビン(mg/dL)]+11.2×ln[INR]+9.57×ln[血清クレアチニン(mg/dL)]+6.43
「修正Nazerスコア」は、肝臓の状態を評価することを指し、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、国際正規化比率、ビリルビン、アルブミン、および白血球数の5つの実験室パラメータの組み合わせからなる。スコアは、0~20の合計範囲であり、値が低いほど改善を示す。
「線維症-4指数/一過性エラストグラフィ」または「FIB-4指数」は、標準的な生化学的値(ALT、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、および血小板数)および年齢に基づいて肝線維症を予測するために使用される式を指す。
「一過性エラストグラフィ」は、ソノグラムを利用して、肝臓を通過する音波の速度を測定することにより、肝臓の肝線維症または脂肪沈着の程度を評価する非侵襲的画像法を
指す。
「セルロプラスミン」は、ヒトにおいてCP遺伝子によってコードされるフェロキシダーゼ酵素を指す。セルロプラスミンは、血液中の主要な銅運搬タンパク質であり、さらに鉄代謝にも役割を果たす。
「総銅および総モリブデン」または「総銅および総モリブデン分析」は、患者の血清中の銅の総濃度およびモリブデン(Mo)の総濃度の測定を指す。
「種分化プロファイリング」は、サイズ排除クロマトグラフィによるMo、Cu、およびタンパク質複合体プロファイリングを指す。
「統一ウィルソン病評価スケール」または「UWDRS」は、一般的にa.ジストニア、b.運動失調、およびc.パーキンソン症候群の3つの運動障害症候群に分類できるWDの神経学的症状を評価するために設計された臨床評価スケールを指す。UWDRSは、UWDRSパートI(意識、項目1)、UWDRSパートII(日常活動項目[障害]の履歴レビュー、項目2~11)、およびUWDRSパートIII(神経学的検査、項目12~34)の3パートから構成される。UWDRSパートIおよびパートIIIは、典型的には神経科医によって評価される。UWDRSパートIIは、典型的には対象または家族によって報告される。UWDRSは、Czlonkowska A et al.Neurol Neurochir Pol 41:1-12(2007)に記載されており、その全体が本開示に組み込まれる。
「臨床包括的所見-重症度スケール」または「CGI-S」は、臨床医が同じ診断を有する対象との過去の経験と比較して、臨床医が評価時に対象の病気の重症度を評価することを必要とする7ポイントスケールを指す。総臨床経験を考慮して、対象は、評価時に疾患の重症度について以下のように評価される:1、正常、まったく病気ではない、2、境界域の病気、3、軽度の病気、4、中等度の病気、5、顕著な病気、6、重度の病気、または7、極度の病気。
「臨床包括的所見-改善スケール」または「CGI-I」は、介入の開始時のベースライン状態と比較して、臨床医が対象の病気がどの程度改善または悪化したかを評価することを必要とする7ポイントスケールを指し、以下のように評価される:1、非常に改善された、2、大幅に改善された、3、最小限に改善された、4、変化なし、5,最小限に悪化、6、大幅に悪化、または7、非常に悪化。
「簡易精神的評価スケール-24」または「BPRS-24」は、評価者が精神症状の重症度を測定できる24項目の手段を指す。BPRS-24は、24の精神症状を評価する。精神症状の存在および重症度は、1(存在しない)から7(極めて重症)の範囲のリッカートスケールで評価される。BPRS-24は、訓練された医師により実施され得る。
「EuroQoL 5次元」または「EQ-5D」は、EQ-5D-5L記述システムおよびEQビジュアルアナログスケールからなる試験を指す。記述システムは5次元(移動性、セルフケア、通常の活動、痛み/不快感、不安/抑うつ)で構成され、それぞれに5つのレベルの重症度(問題なし/軽度の問題/中程度の問題/重度の問題/極度の問題)がある。EQ-5D-5L記述システムにおけるスコアについては、回答者に、5次元のそれぞれにおいて最も適切な記述にチェックを入れて(または十字架を入れて)健康状態を示すよう求められる。この決定により、その次元に対して選択されたレベルを表す1桁の数値が得られる。5次元の桁は、回答者の健康状態を説明する5桁の数字で組み合わ
せることができる。
「薬物療法の治療満足度アンケート」または「TSQM-9」は、薬物療法を受けている対象の満足度または不満度の全体的なレベルを評価するために使用されるスコアを指す。この複合スケールは、TSQM-9調査の2項目で構成される:悪い点を上回るこの薬物療法の良い点にどの程度満足しているか?あらゆることを考慮して、この薬物療法にどの程度満足しているか、または不満であるか?
「3つの最も厄介な症状」は、対象の3つの最も厄介な症状を指す。各対象、または対象および介護者は、3つの最も厄介な症状を特定し、これらは、これらの症状が日常生活の活動に与える影響も書面形態で文書化される。3つの最も厄介な症状は、実行可能かつ適切な場合、同意した対象からのビデオテープを介して記録される。
「時間測定25F歩行試験」とは、時間測定25フィート歩行に基づく定量的な可動性および脚機能の性能試験を指す。対象は、明確にマークされた25フィートのコースの一端に向かい、25フィートをできるだけ速く安全に歩くように指示される。時間は、スタートの指示の開始から計算され、対象が25フィートのマークに達したときに終了する。課題は、対象に同じ距離を歩いて戻ってもらい、すぐに再び実行される。時間測定25F歩行試験のスコアは、2つのトライアルの平均である。対象は、この課題を行う際に補助器具を使用できる。
「9ホールペグテスト」または「9-HPT」は、上肢機能の簡単で標準化された定量的な試験を指す。利き手および非利き手の両方が2回試験される。対象は、9つのペグを保持する小さな浅い容器と、9つの空の穴がある木製またはプラスチック製のブロックと、を備えたテーブルに座席する。ストップウォッチがスタートされたときの開始指令で、対象は、9つのペグを一度に1つずつ拾い上げ、9つの穴にそれらを入れ、それらを穴に入れたら、一度に1つずつできるだけ早く再び取り除き、それらを浅い容器に戻す。利き手による2回の連続したトライアルの直後に、非利き手による2回の連続したトライアルが続く。9-HPTのスコアは、4回のトライアルの平均である。
「非言語的ストループ干渉試験」は、実行機能、計画、計画、知識の適用、意思決定の能力を有効に測定することを指す。心理学では、ストループ効果は、課題の反応時間における干渉のデモンストレーションである。この試験中の口頭でのコミュニケーションはない。試験は、ジェスチャーおよびデモンストレーションを使用して、非言語的な指示で教授される。
「計数的スパン試験」は、計数的配列および計数的スパン配列決定の順方向および逆順方向(後方)リコールについて測定された試験を指す。計数的配列は、2桁の長さで始まって表示され、2回のトライアルは、列挙の長さを増やして表示される。対象が1つの配列長で治験を正確に報告できない場合、または最大の列挙長(9桁、8後方)に達した場合、試験は終了する。
「有害事象」は、医薬品を投与される臨床調査対象における有害な医学的オカレンスを指し、必ずしもこの治療と因果関係があるとは限らない。したがって、有害事象は、治験薬に関連するかどうかにかかわらず、治験薬の使用に一時的に関連する、任意の好ましくないおよび/または意図しない兆候(異常な検査所見を含む)、症状、または疾患であり得る。臨床的に有意な異常な検査所見または神経学的検査所見を含む他の検査所見は、有害事象として報告される。当業者は、異常な検査所見または他の異常な評価が臨床的に有意であるかを決定する際に、彼または彼女の医学的および科学的判断を行使する。エラーと判断された異常な試験は、有害事象として報告する必要はない。
すべての有害事象の重症度は、有害事象の一般用語基準(CTCAE)に従ってグレード付けされる。これらの基準は、http://ctep.cancer.gov/reporting/ctc.htmlに見出される。CTCAEに列挙されていない有害事象については、以下のグレード付けシステムが使用される:軽度(CTCAEグレード1):一過性の症状、兆候/症状を認識しているが、容易に許容的であり、対象の日常活動に支障をきたすことはない。中程度(CTCAEグレード2):対象の通常の活動を妨げるが、それでも許容できるマークされた兆候/症状。重度(CTCAEグレード3):被験者の日常の活動に許容できない相当な干渉を引き起こす、普通に生活できない兆候/症状。生命を脅かす(CTCAEグレード4):生命を脅かす、または有害事象を無効にする。死亡(CTCAEグレード5):死亡関連の有害事象。
「有害(薬物)応答」は、任意の用量に関連する医薬品に対するすべての有害かつ意図しない反応を指し、有害な薬物反応と見なされる。医薬品に対する「応答」とは、医薬品と有害事象との因果関係が、少なくとも合理的な可能性である、すなわち、その関係を除外することができないことを意味する。
「予期しない有害薬物応答」は、有害応答を指し、その性質または重症度は、該当する製品情報と一致しない。
「薬理学的特性」は、薬物の吸収、分布、代謝、および排出を考慮する必要があることを指す。
「特別な関心のある有害事象」は、研究薬物療法の開始後の任意の新しい神経学的症状または進行中の神経学的症状の臨床的に著しい悪化が、重篤か非重篤かにかかわらず、AESIと指定されることを指す。
「重篤な有害事象」は、死亡もしくは生命を脅かす有害事象、入院もしくは現在の入院の長期化、永続的もしくは著しい障害/行為能力の喪失もしくは通常の生命機能を遂行する能力の実質的な混乱、先天性異常/先天性欠損症、または重要な医学的事象の結果のうちのいずれかをもたらす有害事象または有害応答を指す。
治験責任医師または治験依頼者のいずれかから見て、その発生により対象が直ちに死亡するリスクがある場合、有害事象または副作用は「生命を脅かす」と見なされる。より重度の形態で発生している場合、死亡に至る可能性がある事象は含まれない。
少なくとも1泊の入院は、入院患者の入院と見なされる。入院を伴わない緊急治療室の訪問は、この基準の下ではSAEとして記録されず、インフォームドコンセントに署名する前に手続きの予定または計画された入院も行われない。しかしながら、待機的手術中に発生する予期せぬ合併症および/または入院期間の延長は、有害事象として記録され、重症度を評価する必要がある。社会的または状況的な理由による病院への入院(すなわち、滞在する場所がない、遠方に住んでいて来院することができない)は、入院患者の入院とは見なされない。
適切な医学的判断に基づいて、それらが対象を危険にさらし得、上記に列挙される結果の1つを防ぐために医学的または外科的介入が必要とされ得る場合、死亡に至らない、生命を脅かす、または入院を必要とする重要な医学的事象は、SAEと見なされ得る。かかる医学的事象の例としては、救急室または自宅で集中的な治療を必要とするアレルギー性気管支痙攣、入院患者の入院をもたらさない血行不良、痙攣、薬物依存症の発症などが含まれる。
「病歴」とは、以前および現在の薬物療法、以前および現在の診断、状態、および著しいタバコ、アルコール、薬物の使用と見なされる手術に関する情報を指す。
「臨床検査評価」または「臨床検査測定」には、化学、血液学、凝固、および尿検査(顕微鏡による)が含まれる。
「心電図パラメータ」は、心拍数、RR間隔、PR間隔、QRS幅、およびQT間隔を指す。
「バイタルサイン」は、心拍数、血圧、呼吸速度、体温、体重を指す。
「健康診断」とは、一般的な外観、呼吸器系、心血管系、腹部、皮膚、頭および首(耳、目、鼻、喉を含む)、リンパ節、甲状腺、ならびに筋骨格(脊椎および四肢を含む)系の評価を指す。統一ウィルソン病評価スケールパートIIIは、この研究で使用される神経学的検査である。
本明細書で使用される「スコア」という用語は、アッセイ結果の相対値、レベル、強度、または程度を指す。これは、当業者によって、またはアルゴリズムを使用して、場合によっては既知の分析物を含む試料を使用して、任意で既知の濃度または既知の分析物の力価を有する試料を使用して、人工的に作成することができる。これは、当業者によって手動で割り当てられた数、または式もしくはアルゴリズムで生成された数とすることができる。また、「-」、「+」、「++」などの記号も使用できる。スコアは、式またはアルゴリズムを使用した計算から生成され得るか、またはアッセイ結果の目視点検、測定、または推定により割り当てされ得る。既知の濃度または既知の分析物の力価を用いた試料を使用する場合、かかる試料は、希釈および非希釈条件でアッセイでき、スコアの範囲またはスコアの標準曲線を生成でき、これは、同じ分析で使用するいくつかの実施形態では、同じ分析物について分析された未知の試料のスコアを割り当てまたは推定するために使用することができる。
実施例1:ウィルソン病を有する患者におけるビスコリンテトラチオモリブデート:非盲検、多施設、第2相治験。
背景
ウィルソン病は、銅が肝臓、脳、および他の組織に蓄積する遺伝性疾患である。治療は、有効性、安全性の懸念、および1日に複数回投与することによって制限されていた。ビスコリンテトラチオモリブデート(WTX101)は、肝性細胞内銅を標的とする経口的なファーストインクラスの銅タンパク質凝集分子であり、アルブミンとの三重複合体を形成し、胆汁中の銅排出を増加させることにより、血漿非セルロプラスミン結合銅(NCC)を減少させる。WTX101の有効性および安全性は、ウィルソン病を有する患者の初回または初期治療で評価した。
方法
この非盲検第2相試験は、米国およびヨーロッパの11の病院で実施した。未治療の患者、またはキレート剤もしくは亜鉛による治療を24ヶ月を超えて受けていない、4以上のライプツィヒスコアを有し、正常参照範囲の下限(≧0・8μmol/L)を上回るNCC濃度を有した、ウィルソン病を有する患者(≧18歳以上)を登録した。適格な患者は、最初の4~8週間のベースラインNCC濃度に基づいて、15~60mg/日の開始用量でWTX101単独療法を受け、最大24週までの残りの週にわたって応答誘導個別化投薬を受けた。治験担当者、他の病院担当者、および患者は、治療の正体を認識してい
た。一次的エンドポイントは、24週間でのテトラチオモリブデート-銅-アルブミン複合体(NCC補正)における銅について補正されたベースラインNCC濃度の変化であり、治療の成功は、正規化されたNCC補正の達成もしくは維持(≦2・3μmol/L[正常の上限])、または24週間でのベースラインからのNCC補正の少なくとも25%の減少の達成として定義した。この研究は、ClinicalTrials.gov、第NCT02273596号に登録されている。
所見
28人の患者を登録し、WTX101を受け、22人(79%)の患者が最大24週目まで研究を完了した。24週間で、28人の患者のうち20人(71%、95%CI 51・3~86・8;p <0・0001)が治療成功の基準を満たし、WTX101で治療した16人(57%)は、正規化されたNCC補正濃度を達成または維持し、4人(14%)は、ベースラインNCC補正から少なくとも25%減少した。平均NCC補正は、ベースラインから24週までで72%減少した(最小二乗平均差-2・4μmol/L[SE 0・4]、95%CI-3・2~-1・6;p<0・0001)。驚くべきことに、逆説的な薬物関連の神経学的悪化の症例は、記録されなかった。肝機能はすべての患者で安定していたが、無症候性アラニン、またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、またはγ-グルタミルトランスフェラーゼの濃度が可逆的に増加し、ビリルビンは増加せず、少なくとも30mg/日WTX101を受けた28人の患者のうち11人(39%)で発生した。7人の患者(25%)で11個の重篤な有害事象が報告され、精神障害(4人の患者で6つの事象)、歩行障害(1つの事象)、肝アミノトランスフェラーゼの上昇(2人の患者で2つの事象、1つは無顆粒球症)、および神経学的機能の低下(因果関係を除外することはできなかったが、自然疾患の進行による可能性が高い1つの事象)が含まれる。精神障害および歩行障害として分類される7つの重篤な有害事象は、治験薬に関連する可能性は低いと評価されたが、残りの4つの事象は関連している可能性があるか、またはおそらく関連していた。
解釈
結果は、WTX101が独自の作用機序を有するウィルソン病の有望な新しい治療アプローチである可能性があることを示した。1日1回の投与および良好な安全性プロファイルを考慮して、WTX101は、この衰弱状態を伴う患者の治療を改善することができる。
導入
ウィルソン病は、肝臓、脳、他の組織への銅の蓄積につながる銅輸送障害の常染色体劣性疾患である。疾患は、ATP7B遺伝子の変異によって引き起こされ、銅輸送ATPaseをコードする。ATP7B機能が低下すると、セルロプラスミンへの銅の取り込みが減少し、胆汁中の銅の排出が損なわれる。ウィルソン病は約30000人に1人が罹患しているが、有病率は、集団によって異なり、著しく診断が不十分であり得る。臨床症状は大きく異なり、肝疾患の形態、神経学的および精神症状、ならびにカイザー-フライシャー角膜環を含む。異常な検査所見には、血漿中の遊離非セルロプラスミン結合銅(NCC)の濃度の上昇、および循環セルロプラスミンの低濃度が含まれる。
診断および治療せずに放置すると、ウィルソン病は普遍的に致命的である。数十年前に銅の濃度を下げるために承認された経口治療には、キレート剤(ペニシラミンおよびトリエンチン)が含まれ、銅または亜鉛の尿中排出を増加させ、胃腸の銅吸収を阻害する。
これらの治療法を用いた前向きな研究はほとんどなされておらず、投薬レジメンの有効性、安全性、および単純性に関してかなり満たされていないニーズがある。さらに、ペニシラミンまたはトリエンチンで治療を開始する神経学的症状を有する患者は、神経疾患の
逆説的な早期悪化を伴うことがあり、新しい神経学的兆候が急速に現れるか、または既存の神経学的兆候が悪化し、著しい障害につながる。臨床研究では、キレート剤開始後の早期悪化により影響を受ける神経学的ウィルソン病患者の割合は、19%~35%の範囲である。初期の神経学的悪化は不可逆的であり得、遊離銅の急速な動員が原因である可能性がある。
ビスコリンテトラチオモリブデート(WTX101)は、ウィルソン病に対する1日1回の単剤療法として調査中の経口的なファーストインクラスの銅タンパク質結合分子である。薬物の以前の形態であるテトラチオモリブデートアンモニウムは、臨床研究において銅濃度を急速に制御していたが、日常的に使用するには不安定すぎる。ビスコリン部分は安定性が向上しているため大きな進歩であり、他の利用可能な治療法とは異なり、WTX101は肝細胞に直接的な細胞内活性を有するようであり、過剰な銅と結合し、胆汁中の銅排出を促進する。WTX101はまた、遊離血漿中の銅と急速に結合し、テトラチオモリブデートと銅およびアルブミンとの安定した三重複合体を形成する。
方法
非盲検の第2相試験は、11の病院で実施した。適格な患者は18歳以上であり、4以上のライプツィヒスコアによりウィルソン病と診断した。登録時に、患者は、ウィルソン病の以前の治療を受けていないか、または24ヶ月以内にキレート剤もしくは亜鉛で治療されており、正常参照範囲の下限(≧0・8μmol/L)を上回るNCC濃度を有した。非代償性肝硬変、11より大きいMELDスコア、または6より大きい修正されたNazerスコア(改訂されたキングのスコア)を伴う患者は、除外した。
プロトコルおよびすべての改正は、現地の機関審査会および倫理委員会によって承認された。研究の実施は、独立したデータおよび安全監視委員会によって監視された。すべての参加者は、ヘルシンキ宣言に従って、書面によるインフォームドコンセントを提供した。
治験責任医師、他の病院職員、患者、および治験依頼者は、治療の正体を認識していた。以前に治療された患者は、WTX101の開始前に48時間の洗い流し期間を有した。患者は、最初の4~8週間のベースラインNCC濃度に基づいて15~60mg/日のWTX101の開始用量を受け、その後24週の残りの週にわたって応答誘導個別化投薬を受けた。WTX101の投与は、最初は1日2回であったが、初期のプロトコル修正は1日1回の投与を実施した(治験責任医師によって適切と判断される場合)。
120mg/日を受けた患者における高アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)濃度の後、用量レジメンを修正して、最大用量を300mg/日から60mg/日に減少させた。
治験責任医師の判断により、WTX101の用量は、臨床化学および血液学、臨床評価、安全性、およびNCC濃度などの様々な要因に基づいて、事前定義された増分で調整できる。用量設定の増加は段階的であり、各増加は前回の用量の2倍に制限され、NCCが正常範囲内またはそれを下回る場合は許可しなかった。用量は、ALTまたはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)濃度が正常範囲を少なくとも2~5倍上回る、ベースラインヘモグロビンの30%以上の減少、または統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIII(ウィルソン病のために特別に開発された、承認および検証済みの定量的神経学的スコアリングシステム)に基づく神経学的兆候の4ポイント以上の増加の2回連続した報告の後、一時的に減少または中断した。
血漿総銅濃度およびセルロプラスミン濃度の値を使用して、NCCを総銅濃度からセル
ロプラスミンに結合した銅の量を差し引いて計算した(誘導結合血漿質量分析で決定した)。これは、反応性有毒銅プールの一部ではないため、WTX101治療後にテトラチオモリブデート-銅-アルブミン複合体と結合した銅の量を差し引くことにより、NCC測定を補正した。補正方法は、NCCおよび血漿モリブデン濃度の関係を使用して決定し、2つの独立した方法により確認された、三重複合体における銅に対するモリブデンの平均モル比を使用した。NCC補正方法は、試験および検証試料の無作為な選択を使用して検証した。
一次的エンドポイントは、ベースラインから24週間までのNCC補正の変化であり、テトラチオモリブデート-銅-アルブミン複合体(NCC補正)に含まれる銅について補正されたNCC濃度として測定した。治療の成功は、NCC補正(≦2・3μmol/L[正常の上限])の正規化された濃度の達成もしくは維持、または24週間でのベースラインからのNCC補正の少なくとも25%の減少の達成として定義した。
二次的エンドポイントは、NCC補正レベル臨床神経学的疾患、肝機能、臨床症状、健康関連の生活の質(HRQoL)、精神状態、薬物動態および交換可能な銅、種分化プロファイリング、尿中銅の正常化に対する安全性および耐容性、変化および時間であった。精神状態、薬物動態データ、銅エンドポイントも測定した。神経学的疾患は、UWDRSパートIIで測定した患者が報告した障害として、かつUWDRSパートIIIで測定した訓練された評価者の神経学的状態として評価した。肝臓の合成機能は、国際正規化比率(INR)およびアルブミン濃度のモニタリングによって評価した。さらに、肝機能の変化は、修正されたNazerスコアによって評価し(ビリルビン、INR、AST、アルブミン、および白血球数に基づく)、事後分析ではMELDスコアによって評価した(ビリルビン、クレアチニン、INR、および肝疾患の原因に基づく)。HRQoLは、EuroQoL 5 Dimensions Visual Analogue Scale(EQ VAS)で測定した。
有害事象(AE)データは、治験責任医師が決定した治験薬との関連で、発症、期間、重篤度、重症度について収集した。
計画された登録数は30人の患者であり、少なくとも15人の患者はキレート剤または亜鉛による限定された(≦90日間)以前の治療を受けたと予想された。研究の目的は主に記述統計を提示することであったため、正式な電力計算は実施しなかった。銅濃度およびスコアの変化は、記述統計で経時的に要約した。固定効果項の混合モデル反復測定分析を診療所訪問時に適用し、空間力共分散構造を適用して参加者内エラーをモデル化した。反復測定間の時間距離が増加するにつれて、参加者内相関関係が減衰すると想定しているため、空間力共分散構造を選択した。SAS(バージョン9.3)を、最小二乗平均の経時変化、ならびに関連する95%CI、SE、および両側p値を提供するために利用した。
28人の患者を登録し、WTX101で治療し、22人(79%)の患者は、最大24週目までに研究を完了した(図1)。ベースライン時に、15人(54%)の患者は女性であり、平均年齢は、34・1歳(SD 11・86)であり、18歳~64歳の範囲であった。9人(32%)の患者は、ウィルソン病に対する以前の治療を受けていなかった。9人(32%)の患者は、28日より少ない治療を受けており、10人(36%)の患者は、28日~2年間(中央値100日[範囲7~714])治療を受けていた。ほとんどの患者は、登録時に様々な程度の神経学的兆候を有し、構音障害(19人[68%])、姿勢性振戦(18人[64%])、手の交互動作障害(18人[64%])、および異常な歩行(17人[61%])、主に運動失調によって引き起こされる異常な歩行(12人[43%])が最も一般的である。ベースライン時の平均UWDRSパートIIIスコ
アは、22.8(SD 21.0;範囲0~83)であり、スコアが0(神経学的異常なし)の患者は3人(11%)のみであった。ベースライン時に、13人(46%)の患者が、病歴(7人の患者)またはAST対血小板比率指標(6人の患者)の推定に基づいて、肝硬変を有した。14人(50%)の患者は、研究参加時に26例の肝臓試験異常を示した(12人のALT、9人のAST、1人のビリルビン、および4人のINR)。これらの異常のうち、24例は、正常の上限の1~2倍以内、2例は、上限の3~5倍以内であった。
24週目、または早期中止患者の最後用量では、1日用量は、6人(21%)の患者で15mg、13人(46%)の患者で30mg、9人の患者で60mg(32%)であった。研究におけるWTX101の総投薬の80%以上は、1日1回であった。
WTX101による治療は、NCC補正における急速な改善と関連しており、平均NCC補正濃度は、12週目までに正常の上限を下回った(図2)。24週間で、28人の患者のうち20人(71%、95%CI 51・3~86・8;p <0・0001)が治療成功を達成しており、16人(57%)が正規化されたNCC補正濃度を達成または維持し、4人(14%)がベースラインからNCC補正が少なくとも25%減少した。全体として、平均NCC補正は、ベースラインから24週目までに72%減少した(最小二乗平均差-2・4μmol/L[SE 0・4]、95%CI-3・2~-1・6;p<0・0001;表1、図2)。
Figure 2023075247000003
Figure 2023075247000004
疾患関連障害は、WTX101による治療後に有意に改善した(表1、図3)。平均UWDRSパートIIスコアは、ベースライン時の6・6(SD 10・0)から24週目時の4・1(8・2)に改善した(表1、図3A)。UWDRSパートIIスコアは、12人(57%)の患者で少なくとも1ポイント改善し、9人(43%)の患者では変化せず、既存の神経学的疾患がさらに悪化したため21週間で治療を中断した患者を除き、悪化を報告した患者はいなかった。
UWDRSパートIIIの平均スコアは、ベースライン時の22・8(21・0)から24週目時の16・6(17・7)に有意に改善した(表1、図3B)。UWDRSパートIIIスコアは、24週目時に14人(67%)の患者で4ポイント以上で改善し、5人(24%)の患者で(ベースラインの3ポイント以内)安定した。2人(10%)の患者で5ポイントの悪化が存在し、1人の患者はベースライン時に19とスコア付けされ、研究中に16~27の変動を伴い、第2の患者はベースライン時に3、18~24週目に8とスコア付けされ、これらの患者の障害は、全体を通して0と評価した。驚くべきこと
に、治験薬に起因する逆説的な神経学的悪化の症例は、治療開始後12週間で記録しなかった。
ベースラインから24週目までのINRおよびアルブミンの改善は統計的に有意であったが、それらは数値的には小さく、安定した肝機能を示した(表1)。肝臓の状態は、MELDおよび修正されたNazerスコアによって推定されるように、研究全体を通じてほとんど変化しなかった(表1)。
臨床的改善は、有意に増加した平均EQ VASスコアによって反映された(表1)。
WTX101による治療は一般的に良好な耐性であり、ほとんどの有害事象は軽度または中程度の強度であった(表2に要約した)。増加した酵素濃度、主にALT、AST、またはγ-グルタミルトランスフェラーゼを、ビリルビンの増加を伴わずに、30mg/日以上のWTX101を受けた28人の患者のうちの11人(39%)で記録した。これらの増加は通常4~10週間後に発生し、ほとんどが軽度または中程度であり、すべて無症候性であり、用量調整または最大6週間までの治療中断後1~2週間以内に正規化した。これら11人の患者におけるピークALTの中央値は、197U/L(範囲101~1341)であり、ベースラインから7・2倍増加した。ベースラインから14・3倍~29・3倍のALT増加を伴う3人の患者(11%)は、治療を中断した。第2に高いALTシグナル(615U/L)は、120mg/日でWTX101を受けた第1の登録患者のうち1人で生じた。その後、プロトコルごとの用量レジメンを改正し、最大投与量を60mg/日に低減した。最も顕著なALTシグナル(1341U L)を伴う患者は、WTX101の30mg/日を受け、登録前に以前のペニシラミン治療でALTの上昇(ピーク400U/L)を伴った。ALT濃度の増加により薬物を中断した3人の患者では、肝臓試験による異常な結果は可逆的であり、ビリルビンの顕著な増加とは関連しなかった。
Figure 2023075247000005
少なくとも2人の患者において治験責任医師が報告した治療で発生した有害事象、およびすべての治療で発生した重篤な有害事象を列挙した。患者は、複数の有害事象または重篤な有害事象を有していた可能性がある。精神障害および歩行障害として分類した7つの重篤な有害事象は、治験薬に関連する可能性は低いと評価したが、残りの4つの事象は、関連している可能性があるか、またはおそらく関連していた。1人の患者で適応障害を報告し、6週間後に急性状態障害の悪化を記録した(ここでは1つの重篤な有害事象として列挙した)。別の患者では、躁病は、24週間の研究中に3週間以内に2回の別々の場面で報告した(ここでは1つの重篤な有害事象として列挙した)。ALTは、アラニンアミノトランスフェラーゼを指す。GGTは、γ-グルタミルトランスフェラーゼを指す。AST=アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ。
2人(7%)の患者が白血球減少症を有し、1人(4%)が血小板減少症を有したことは、おそらく、あるいは、または明確に治験薬と関連していると報告したが、すべては用量調整後に回復した。研究治療と関連した胃腸または皮膚の有害事象を報告した患者はほ
とんどいなかった(表2)。
精神障害(4人の患者で6つの事象)、肝アミノトランスフェラーゼの上昇(2人の患者で2つの事象、1つは無顆粒球症)、歩行障害(1つの事象)、および神経学的機能の低下(1つの事象;表2)の7人の患者(25%)で11の重篤な有害事象を報告した。精神医学的重篤な有害事象および歩行障害は、既存の神経学的または精神医学的疾患の症状のために、治験薬に関連する遠隔または可能性が低いと評価された一方で、他の4つの重篤な有害事象は、治療に関連する可能性があるかまたは可能性が高かった。
登録前に神経学的悪化を示した以前に治療された患者の1人は、研究治療にもかかわらず12週目後にさらなる神経学的低下を示し、21週目に中断し、ベースラインからUWDRSパートIIが3ポイント増加し、UWDRSパートIIIが11ポイント増加した。因果関係を除外することはできなかったが、神経学的衰退はおそらく自然疾患の進行によるものと評価した。治験責任医師は、精神医学的または行動的症状がプロトコルに従うことができなかったため、2人(7%)の患者の治療を中断した。これらの患者は、UWDRSパートIIIスコアを改善または変更していなかった。
議論
結果は、WTX101が、約3ヶ月後に著しいNCC補正の低減を伴って急速な銅制御を誘導し、ほとんどの患者における神経学的症状および機能が早期に大幅に改善したことを示す。この研究は、ウィルソン病を有する患者において行われた最初の多国籍プロスペクティブ治験であり、新しい経口薬WTX101による治療を評価することを目的とし、投与および投薬に有意な利点を有する。
以前の利用可能な治療法は、ウィルソン病を有する患者の臨床的改善を示すのに数年かかる可能性がある。肝機能は、肝疾患または代償性肝硬変を有するほとんどの患者において、以前の治療レジメンの1~2年で正規化する可能性がある一方で、神経学的疾患を有する人の症状の改善は遅く、肝機能ほどは改善または解決しない可能性がある。いかなる特定の理論にも拘束されることなく、WTX101で観察した急速な生化学的および臨床的改善は、血漿中の有毒な遊離銅の濃度を低下させる、その新規の銅特異的かつ直接的な肝臓の作用機序と関連している可能性がある。神経症状を呈した患者の治療は、長年のキレート療法を経た後でも、症状時に神経学的疾患を有する患者の約半数が依然として残留兆候を有するため、特に困難であった。さらに、逆説的な初期の神経学的悪化は、標準的なキレート剤による治療開始後でも神経学的ウィルソン病を有する患者で観察される可能性があり、神経学的欠損は、患者の3分の1~2分の1で不可逆的であり得る。Litwinおよび同僚らによる研究では、ペニシラミンで治療した神経性ウィルソン病を有する患者42人のうち12人(29%)で早期神経学的悪化を観察し、開始から平均で2、3ヶ月の神経学的悪化が見られた。Litwin et al.Early neurological worsening in patients with Wilson’s disease.J.Neurol Sci 355:162-67(2015)。潜在的に、CNSに再分配できない不活性かつ大きなタンパク質複合体におけるWTX101の銅との結合は、治療の最初の12週間以内に初期の神経学的悪化の明らかな欠如の原因となり得る。1つの可能性は、以前に治療された患者が、その後のWTX101治療で神経学的悪化を観察しなかったように、十分に長い期間キレート療法を受けた可能性がり、しかしながら、治療未経験の患者では、初期の神経学的悪化の症例は記録されていない。登録前に神経学的悪化を伴う以前に治療された1人の患者(<28日間の亜鉛)は、WTX101に対する臨床応答が不十分であったため、用量の増加にもかかわらず、さらなる神経学的低下を有し、研究治療は21週目に中断した。神経学的衰退はおそらく自然疾患の進行によるものと評価したが、因果関係を除外することはできなかった。21週目に中断した患者に加えて、他の2人の参加者が神経学的または精神医学的理由によりW
TX101による治療を中断した。ウィルソン病を有する患者において神経学的、精神学的、または神経学的および精神学的症状の両方が頻繁に発生し、これらの2人の参加者が研究手順に従えなくなった原因であった。また、既存の精神学的疾患は、研究中にいくつかの病院への入院を必要とし、これは定義により重篤な有害事象として文書化した。実際に、11件の報告された重篤な有害事象のうち8件は、本質的に神経学的または精神医学的であり、5人の患者で発生した。
INRおよびアルブミン濃度の結果が示すように、合成肝機能は、24週間の研究にわたってWTX101で安定しているように見えた。この発見は、肝硬変の証拠があるかに関係なく、すべての患者で認められた。注目すべきことは、肝機能試験における可逆的増加は、肝疾患の段階に関係なく、本研究の患者の39%で観察した。増加は、開始後4~10週間で30mg/日以上で発生し、ほとんどが軽度または中程度であった。上昇が見られた患者はすべて、肝疾患に関して無症候性であった。肝機能試験からの結果は、用量調整または治療中断後1~2週間以内に正規化した。薬物を中断した患者を含む肝機能試験結果が増加した患者では、ビリルビンの顕著な増加は見られず、重篤な薬物誘発性肝障害がないことを示した。同様の用量依存的で早期可逆的アミノトランスフェラーゼの増加は、テトラチオモリブデートアンモニウムで治療されたウィルソン病を有する患者で発生し、これは用量減少または治療中断にも応答した。しかしながら、肝疾患または原発性胆汁性肝硬変を有しない患者では、テトラチオモリブデートを使用しても同様の肝臓試験異常は報告しておらず、観察した効果はウィルソン病に特有であることを示唆した。WTX101治療に応答して肝酵素レベルが上昇するメカニズムの1つの機構は、メタロチオネインを含む肝プールから銅を除去することにより、その後の肝アミノトランスフェラーゼの一過性の増加につながるなど、その銅調節活性に関連し得る。しかしながら、正確なメカニズムはまだ解明されていない。
以前の利用可能なウィルソン病の治療は、頻繁に治療の中断および変更をもたらす他の潜在的に深刻な有害事象の対象となった。レトロスペクティブ研究では、キレート剤を使用した患者の32%、亜鉛を使用した患者の11%が、有害事象のために治療を中断した。ペニシラミンは、発熱、および発疹、および様々な皮膚反応などの初期感受性反応、ならびにループス様症候群、および腎毒性などの後期反応と関連する。胃腸の有害事象は、亜鉛治療で頻繁に報告され、亜鉛で治療された子供の40%は、ポーランドのコホートで胃腸の有害事象を有した。Wiernicka et al.,Gastrointestinal side effects in children with Wilson’s disease treated with zinc sulphate.World J Gastroenterol 19:4356-62(2013)。研究では、2人の患者がそれぞれ、研究治療に関連すると見なされる悪心または乾燥肌を報告したが、これらは概して軽度または中程度であり、中断には至らなかった。6人の患者は、研究治療を中断した。これらの中断は、ウィルソン病を有する症候性患者の慢性的な生命を制限する性質を反映しており、ほとんどの登録患者は、様々な程度の神経学的または精神的症状を示しており、初期の投薬レジメンを修正する必要があった探索的アプローチである。
以前の利用可能なウィルソン病の治療薬は、複数回の1日用量、1日最大4回まで処方され、食事なしで摂取する必要がある。研究は、現在の治療法で治療された患者の最大45%が、長期のアドヒアランスが不十分または問題があることを示唆する。生涯にわたる治療法を順守しないと、症状の再発および肝疾患の進行、または神経学的もしくは精神症状を引き起こす可能性あるが、時間枠には個人差が存在する。WTX101を使用すると、1日1回の経口投薬が可能であり、治療に対するアドヒアランスの向上および患者の転帰の改善につながる可能性がある。
試料サイズは、難病における第2相治験には十分であるが、臨床的に異種の疾患における転帰を評価する場合は比較的小さい。しかしながら、すべての結果は、適用される評価パラメータに関係なく一貫しており、研究集団におけるWTX101の全体的な有益な効果を支持する。MELDスコアが上昇した非代償性肝疾患の患者は除外した。希少な疾患に関連する登録の困難さのため、およびウィルソン病は診断後に非常に迅速に治療されることが多いため、治療歴のない患者および以前に治療された患者の混合集団が必要であった。研究にこの集団を含めることにより、以前にキレート療法または亜鉛を受けた患者におけるWTX101の効果の評価も可能となった。治験は、制御されておらず、非盲検であった。内部統制が望ましいが、これは希少疾患の早期薬剤開発において必ずしも実現可能ではない。しかしながら、銅制御および肝機能を含む、バイアスの影響を受けにくい結果には改善があった。治験期間は比較的短かったが、WTX101の長期的な安全性および有効性をさらに調査するための延長研究が進行中である。
結論として、WTX101治療は、ウィルソン病を有する患者の遊離銅を急速に低下させ、この銅制御は障害の減少、神経学的状態の改善、および24週間にわたる安定した肝機能と関連した。用量調整により、WTX101は、食品効果を伴わない単純な1日1回の経口投薬レジメンを用いた良好な安全性プロファイルを示した。したがって、WTX101は、いくつかの満たされていない臨床ニーズに対処する可能性を有する。
実施例2:ウィルソン病におけるWTX101の長期有効性および安全性:第2相試験の継続的な延長からのデータ。
実施例1では、経口で1日1回のWTX101単剤療法により、NCCが急速に低下および制御され、障害および神経学的状態が改善されたが、24週間後のWDを有する患者における早期の薬物誘発性神経学的悪化および肝機能の安定化は有しなかった。第2相試験の継続的な延長期間からの72週間の有効性および安全性のデータは、WDでのWTX101による長期疾病管理に関する最初のプロスペクティブな報告を表す。
実施例1は、≧4のライプツィヒスコアによって確立したWD診断を有する28人の成人において実施した非盲検多施設単一群第2相治験である。含む場合、NCCレベルは、通常の参照範囲の下限(≧0.8μM)を超えなければならなかった。参加者は、WDの事前治療がなかったか(n=9)、キレート化または亜鉛による事前治療が≦24ヶ月(<28日間、n=9;28日間~2年間、n=10)のいずれかであった。参加者は、NCCレベル、臨床評価、および安全基準に基づいて、15~120mg/日の間の個別化された用量で応答誘導投薬レジメンを使用して、WTX101を24週間受けた。
データは、(a)テトラチオモリブデート-銅-アルブミン複合体に含まれる結合銅について補正したNCCレベル(NCC補正)、(b)標準的な実験室測定を使用して、および末期肝疾患モデル(MELD)スコア(ビリルビン、クレアチニン、および国際正規化比率[INR]に基づく)で測定した肝臓の状態、(c)統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIを使用した患者が報告した障害、およびUWDRSパートIIIを使用した神経学的状態、ならびに(d)いかに示した安全性のパラメータについて、延長期間の最初の72週間から収集した。
コア研究のベースラインでは、46%の患者は、病歴(n=7)、またはAST対血小板の比率指標(n=6)に基づいて、肝硬変を発症した。24週目または早期中断を伴う患者の最終用量を受けた時に、1日用量は、6人の患者で15mg、13人の患者で30mg、および9人の患者で60mgであった。最初の24週間のコア研究を完了した22人の患者全員が、この実施例に記載される延長期間に参加した。
20人の患者が72週までに治療を完了した。1人の患者は、妊娠を望んでいたため、
治療を中断した。1人の患者は、治療を継続しているにもかかわらず、進行性疾患経過のため、試験手順を遵守できなかった。
Figure 2023075247000006
明記されていない限り、平均±標準誤差
血漿中の遊離銅レベル
ベースラインでの上昇平均(SEM)NCC補正(3.6[0.4]μM)が減少し、24週目に制御され(0.9[0.2]μM)、72週目に制御されたままであった(0.5[0.2]μM)(図4)。
肝機能
平均INR、アルブミン、ALTレベル、およびMELDスコアは、24週目~72週目の間で改善したか、または変化しないように見え、肝機能の安定性を示した(図5)。
39%の患者(≧30mg/日)から24週目(実施例1)で観察した、用量調整を必要とする可逆的なALTの上昇は、延長では観察しなかった。
患者は、24週目から72週目まで、平均UWDRS障害スコアおよび神経学的兆候スコアの継続的な改善を示した(図6)。
WTX101は、一般的に72週間の治療で良好に耐性であった。全体として、報告した有害事象(AE)および重篤なAE(SAE)の数は、1~24週から25~72週まで約50%減少した(図7、表4)。24週目から72週目までの間に、89%のAEは軽度または中程度であり、89%は治療とは無関係または関連性が低いと見なした。
ベースラインでは、血小板数(56%)および好中球(32%)数の減少が一般的であり、追跡調査を通じて同様の報告があった。ほとんどの発生は、低NCCレベルを伴わず、銅欠乏症を反映する可能性は低い。追跡期間中にわたり、低ヘモグロビンは希発であり、測定値の5.2%が正常範囲を下回り、7人の患者は、ある時点で低ヘモグロビンを示したが、100g/Lを下回る測定値ではなかった。2人の対象は、軽度の貧血および低NCCレベルを伴う好中球減少症の証拠を有し、それぞれ36週目~72週目の銅欠乏症と一致した可能性があり、どちらも用量減少に急速に応答した。
Figure 2023075247000007
遊離銅レベルの初期の改善、および肝および神経学的状態は、WTX101を用いて24週目から72週目まで維持またはさらに改善され、1日1回のWTX101がWDの長期的な疾患制御を提供することを示す。WTX101は、WDを有する患者において24週間の治療を超えても良好に耐性である。これらの所見は、その単純な投薬レジメンと共
に、WTX101がWDの治療におけるいくつかの満たされていないニーズに対処していることを示す。
実施例3:最大60ヶ月の延長期を伴う18歳以上のウィルソン病患者における48週間投与したWTX 101の有効性および安全性を評価する第3相、無作為化、評価者盲検、多施設試験。
研究デザインの要約
18歳以上のWD対象において、SoCと比較して48週間投与した個別のWTX101投与レジメンの有効性および安全性を評価する無作為化、評価者盲検、多施設試験を実施した。
約102人の対象が、約5~10の北米の施設および他の世界中の15~25の施設に登録される。
>28日間のSoC療法(すなわち、ペニシラミンもしくはトリエンチンによるキレート療法、Zn療法、またはキレート療法およびZn療法の両方の組み合わせ)を受けている(コホート1)、または未治療である、または≦28日間のSoC療法(すなわち、ペニシラミンもしくはトリエンチンによるキレート療法、Zn療法、またはキレート療法およびZn療法の両方の組み合わせ)を受けている(コホート2)、WDを有する適格な対象は、WTX101またはSoC(コホート1における継続療法として、またはコホート2における継続もしくは初期療法として)での治療に対して2:1の比率で無作為化した。無作為化は、以前のSoC療法によって層別化した。
すべての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象を研究に登録し、外来患者として研究した。WTX101を受けるために無作為化した以前に治療された対象は、WTX101による治療の開始直前に、以前のSoC療法の≧48時間のウォッシュアウトを受ける必要がある。WTX101に無作為化した適格な対象は、1日おきに(QOD)15mg~60mgのQDの範囲の用量で経口投与するための遅延放出錠剤としてWTX 101を受ける。最大90mgのQDの最大用量は、以下の基準が満たされた場合にのみ、医療モニターと協議し、合意する必要がある:NCC補正が>正常の上限(ULN)であり、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が、<2×ULNであり、血液学的パラメータ(ヘモグロビン、血小板、好中球)が、表1に従って用量の修正を必要とする閾値を上回ったままである。有効性および安全性の評価は、予定した来院時に実施されるが、有害事象および併用薬は、研究全体を通じて継続的に監視される。
来院スキームは、スクリーニング来院、登録来院、治療段階、および研究終了(EOS)(または早期終了[ET])来院からなる。来院スケジュールを以下に要約した。
スクリーニング来院は、登録来院(1日目)の28日以内に行った。1日目の来院後、1週目、2週目、30週目、および42週目(それぞれ8日目、15日目、211日目、および295日目)に電話評価を行い、その後、4週目、6週目、8週目、12週目、18週目、24週目、36週目、および48週目(それぞれ29日目、43日目、57日目、85日目、127日目、169日目、253日目、および337日目)に研究来院を行った。
48週間の治療期間を完了している対象には、WTX101の治療効果の長期的な安全性および耐性を評価するための調査の延長期に参加する機会を提供する。対象がこの延長期への参加を選択しない場合、彼/彼女は、現地の医師の指導の下でWDのSoCへの移行を支援する。
EOS来院は、52週目(365日目)に、延長期に入らない対象に対してのみ実施する。延長期に入らない各対象について、主要の研究期は、1日目の治療開始後から約52週間(約365日)に終了する(最終用量日から4週間後のEOS来院による48週間の治療)。延長期に入る各対象について、主要の研究期は、1日目の治療開始後から約48週間(337日目)に終了する。
個々の対象の用量修正
WTX101の投薬の一時的な中断または用量増加の制限に関する詳細な基準は、表5に詳述する。
Figure 2023075247000008
Figure 2023075247000009
Figure 2023075247000010
Figure 2023075247000011
特定の検査パラメータまたはUWDRSパートIIIの毒性もしくは悪化と一致する事前指定パラメータに関する2つの連続した結果(すなわち、2回の連続した研究来院で得られる)は、用量調整基準を適用するために取得する必要がある。結果がベースラインに戻るか、または正常範囲制限内に戻るまで、毎週の繰り返し試験を継続する。その後、試験を2週間後に繰り返す。結果がベースラインまたは正常範囲制限に留まる場合、次にパープロトコールスケジュールタイミングが再開されるであろう。
研究期間
各対象について、主要の研究期は、研究1日目の治療開始後約52週間(約365日)で終了するであろう(対象が延長期に入らない場合、最終用量日から4週間後にEOS来院による48週間の治療を行う)。48週間の治療期間を完了している対象には、WTX101の長期的な安全性および有効性を評価するための延長期に参加する機会を提供する。対象がこの延長期への参加を選択しない場合、彼/彼女は、現地の医師の指導の下でWDのSoCへの移行を支援する。
来院スケジュール以外の追加の臨床評価が治験責任医師が必要であると判断した場合、または対象が用量調整基準を満たした場合、予定外の来院が発生し得る。さらに、神経学的悪化の兆候または症状によって示されるように、明らかな神経学的悪化がある場合、追加の神経学的評価が治験責任医師の判断で行われる。
WTX101-301における48週間の無作為化治療を完了したすべての対象には、最大60ヶ月の非盲検延長期に参加する機会を提供し、その期では、WTX101療法を受けることになる。延長期の目的は、WTX101の耐性を評価し、長期的な安全性および有効性を確立することである。対象は、WTX101がそれぞれの国で商業的に利用可能になるまで、延長期にとどまる資格がある。
治療群
対象は、15mgのQOD~60mgのQDのWTX101またはSoC療法で治療されるであろう。対象は、2つのコホートのうちの1つに無作為化されるであろう:コホート1->28日間のキレート化またはZn療法、もしくはキレート化およびZn療法の組み合わせで治療した対象、またはコホート2-未治療、もしくは≦28日間の以前のキレート化またはZn療法、もしくはキレート化およびZn療法の両方の組み合わせで治療さ
れている対象。
投薬の根拠
WTX101の用量は、プロトコルに指定されたガイドラインに基づいて、必要に応じて個々の対象で調整されるであろう。WTX101用量修正の詳細な投薬ガイドは、表5に概説した。
WTX101の開始用量は、すべての対象で15mgのQDである。4週間後、その後のWTX101投薬は、個別化されるであろう。投薬ガイダンスは、臨床化学、および血液学、臨床評価、安全性、およびNCC補正を含む様々な要因に基づく。
用量の増加は、疾患が適切に制御されていない場合、治験責任医師の判断により、少なくとも4週間間隔で15mgの増加が可能であり、NCC/NCC補正によって測定した対象の臨床状態および遊離血中Cuレベルを考慮に入れ、用量調整基準は適用しない。用量増大後、対象は4週間の期間、2週間ごとに有害事象および検査評価について監視されるであろう。この期間中に定期的な研究来院が予定されていない場合、在宅看護師がこれらの評価を完了し得る。
NCC補正レベルが正常範囲内(<2.3μmol/L)に低下し、対象の臨床状態が2回の連続した評価で安定または改善している場合、WTX101投与量を主治験責任医師の判断で維持または低減され得る。過剰治療を回避するために、対象の臨床状態が過剰治療の可能性を示している、および/またはNCC/NCC補正値が正常範囲を下回っている場合、主治験責任医師の判断により、指示に従っていつでも用量を低減できる。しかしながら、用量調整の基準としてNCC補正を使用するかは任意であり、グローバル研究における部門にわたり異なる臨床診療を反映する。用量調整基準のいずれかを満たした場合、用量を下げるかまたは中断する必要がある。
研究薬剤投与
WTX101は、経口投与用のために15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含む錠剤として提供されるであろう。WTX101は、15mgのQOD~60mgのQDの範囲の用量で投与されるであろう。最大90mgのQDの最大用量は、以下の基準が満たされた場合にのみ、医療モニターと協議し、合意する必要がある:NCC補正が>ULNであり、ALTが<2×ULNであり、血液学的パラメータ(ヘモグロビン、血小板、好中球)が、表1に従って用量の修正を必要とする閾値を上回ったままである。
WTX101は、48週間の治療期間でQDまたはQOD(午前中に服用した)であり、絶食状態(食事の1時間前または2時間後)に投与されるであろう。さらに、WTX101投与の詳細は以下に含まれる。
個別化したWTX101投薬は、以下のパラメータに基づいて研究を通して利用されるであろう:臨床基準:肝臓および神経学的状態に基づく用量設定、NCC補正:WTX101 TPCと結合したCuの量を調整したNCCレベルに基づいて指示された用量設定、および安全性監視:Cu低下、肝臓試験、および神経学的試験の認められた血液学的影響について定期的にスケジュールした評価に基づく用量調整基準。
用量低減を必要とする有害事象が発生した場合、WTX101用量を低減することもできる。特定の事象に関連する投薬ガイダンスは、用量調整基準(表5)に提供され、他の事象の用量低減は、医療モニターと連携して適宜に施設の主治験責任医師(または該当する場合、副治験責任医師)によって取り扱われるであろう。
すべての対象において、WTX101は、1日目に15mgのQD開始用量で投与され、最初の4週間継続するであろう。4週間後、疾患が適切に制御されていない場合、主治験責任医師の判断により、30mgのQDへの用量設定の増加を実施し得、NCC/NCC補正で測定した対象の臨床状態および遊離血中Cuレベルを考慮して、用量調整基準は適用しない。主治験責任医師の判断により、上述の同じ基準に従って、少なくとも4週間間隔で15mgの増分で、さらなる用量増加が可能である。
NCC補正レベルが正常範囲内(<2.3μmol/L)に下がった場合、および/または対象の臨床状態が2回の連続した評価で安定もしくは改善している場合、WTX101投与量を主治験責任医師の判断で維持または低減し得る。過剰治療を回避するために、対象の臨床状態が過剰治療の可能性を示している、および/またはNCC/NCC補正値が正常範囲を下回っている場合、主治験責任医師の判断により、指示に従っていつでも用量を低減できる。しかしながら、用量調整の基準としてNCC補正を使用するかは任意であり、グローバル研究における部門にわたり異なる臨床診療を反映する。用量調整基準のいずれかを満たした場合、用量を下げるかまたは中断する必要がある。
予想される最大用量は60mgのQDであるが、より高い用量は、医療モニターと連携して適宜に考慮し得る。最大90mgのQDの最大用量は、以下の基準が満たされた場合にのみ、医療モニターと協議し、合意する必要がある:NCC補正が>ULNであり、ALTが<2×ULNであり、血液学的パラメータ(ヘモグロビン、血小板、好中球)が、表5に従って用量の修正を必要とする閾値を上回ったままである。
測定における正確性については、以下のパラメータに従う。エストロゲンは、胆汁Cu排出を妨害し得る。ビタミンEは、WD治療レジメンにおける補助療法として使用されている。対象は、Cu、Zn、もしくはMoを含むビタミンまたはミネラルを使用してはならない。ガドリニウムおよびヨウ素含有造影剤は、Moに対する試験を妨害することが知られている。ガドリニウムおよびヨウ素含有造影剤は、Mo試験前の96時間以内に使用しないことを要求した。バリウム含有造影剤は、Cuに対する試験を妨害することが知られている。バリウム含有造影剤は、Cu試験前の96時間以内に使用しないことを要求した。対象は、研究期間中、Cuの含有量の多い食品および飲料の摂取を避ける必要がある。
無作為化およびウォッシュアウト(該当する場合)の後、対象は来院および処置のために戻るであろう:1週目~30週目の来院および42週目の来院は、予定された時間の±3日以内に行われ、36週目~48週目の来院は、予定された時間の±7日以内に行われるであろう。
有効性評価
一次的有効性評価は、遊離Cuの制御であり、NCCレベルのベースライン(1日目)から48週間までの変化率として測定されるであろう。WTX101で治療した対象については、NCCレベルは、WTX101三重複合体(TPC)と結合したCuの量で補正されるであろう。
二次的有効性評価には以下が含まれる:MELDスコアを使用した肝状態、UWDRSパートIIを使用した障害、UWDRSパートIIIを使用した神経学的状態、臨床グローバル印象スケール(スケール項目1および2)を使用した臨床状態、およびNCC応答者率。
三次的有効性評価には以下が含まれる:各対象の3つの最も厄介な症状の個別化した評価、FIB-4指数および一過性エラストグラフィを使用した肝線維症、修正されたNa
zerスコアを使用した肝状態、BPRS-24を使用した精神症状、ならびにEQ-5DおよびTSQM-9を使用したQoL/PROエンドポイント測定。
探索的有効性評価には以下が含まれる:
血漿の全Cu、遊離Cu、PUF-Cu、およびCu種分化の探索的測定を使用したCu制御の評価、Mo血漿レベルの評価、24時間尿Cuおよび尿Moの評価、時間測定25F歩行試験の評価、9-HPTの評価、非言語的ストループ干渉試験の評価、ならびに計数的スパン試験の評価。
統計
すべての統計分析は、当該技術分野で認識された手順に従って行われる。有効性および安全性データを分析するために使用した統計的方法の一般的な説明を以下に概説する。統計分析は、SAS(登録商標)、バージョン9.3以降、SAS Institute、Cary、North Carolina、米国を使用して実行されるであろう。
一次的評価項目は、NCCレベルのベースラインから48週間までの変化率として評価されるCu制御であり、WTX101で治療した対象については、NCCレベルは、WTX101 TPCと結合したCuの量で補正した。
NCCレベルのベースラインからの変化率は、コホートおよび以前のSoC治療によって層別化した混合モデル反復測定(MMRM)分析を使用して分析した。4週目、8週目、12週目、24週目、36週目、および48週目におけるベースラインからの変化が含まれる。制限された最尤推定が使用されるであろう。モデルは、コホートおよび以前のSoC治療によって層別化した。データをより適切に正規化するために、NCCを分析の前にログ変換し得る。固定効果用語は、無作為化治療(WTX101またはSoC)、来院および来院相互作用による無作為化治療、ならびに共変数としてのベースラインNCCレベルに含まれる。来院相互作用による治療は、重要性に関係なくモデルに残存するであろう。非構造化共分散マトリックスを使用して、対象内誤差をモデル化し、Kenward-Roger近似を使用して自由度を推定する。非構造化共分散構造の適合が収束しない場合、以下の共分散構造は、収束に到達するまで順番に試行するであろう:不均一性を伴うテプリッツ、不均一性を伴う自己回帰、テプリッツ、および自己回帰。対象となる主な対比は、48週目のWTX101対SoCで治療した対象の間である。48週目のNCCレベルの平均パーセント変化における無作為化治療間の差異のモデルに基づく推定値、両側95%信頼区間(CI)およびp値を提供する。低い両側95%CIが-15%の差異を除外する場合、SoCに関連するWTX101の全体的な研究集団で非劣性が結論付けら、低い両側95%CIが0%の差異を除外する場合、SoCにわたるWTX101の全体的な研究集団で優位性が結論付けられる。最小二乗(LS)は、早期の時点(すなわち、4週目、8週目、12週目、24週目、および36週目)でのベースラインおよび関連する標準誤差(SE)からの変化を抽出し、経時的にアームごとにグラフで表示する。
コホート1内の一次的エンドポイントの支持的分析は、分析がコホートについて層別化されないことを除いて、全体的な集団分析について説明されたものを反映する。
NCCレベルのベースラインからの変化率は、MMRM分析を使用して記述的に分析し、無作為化治療群間で行われる正式な統計比較は行わない。4週目、8週目、12週目、24週目、36週目、および48週目のベースラインからの変化率は、コホート1対象の分析で説明したのと同じモデル項を使用して推定した。対象となる主要な出力は、それぞれの48週目以内のNCCレベルのベースラインからの変化率のLS平均、SE、およびp値である。アーム内のLSの平均変化およびベースライン早期時点(すなわち、4週目、8週目、12週目、24週目、および36週目)からのSEを抽出し、経時的にアーム
ごとにグラフで表示する。
二次的有効性エンドポイントには以下が含まれる:MELDスコアによって評価した48週間の肝状態のベースラインからの変化、UWDRSパートIIスコアのベースラインから48週間への変化、UWDRSパートIIIスコアのベースラインから48週間への変化、CGI-IおよびCGI-Sのベースラインから48週間への変化、ならびに48週でのNCC応答者率。
二次的有効性エンドポイントは、48週目のSoC対WTX101治療対象間の主要な対比を伴うコホート層別化MMRM分析を介して、一次的エンドポイントと同じ様式で分析されるであろう。コホート1対象では支持的で比較的な分析も実施し、コホート2対象ではアーム内の支持的で記述的な分析が実施されるであろう。エンドポイントb、c、およびdについては、合計スコアを分析する。
NCC応答は、NCCもしくはNCC補正(0.8μM~2.3μM)の正規化されたレベルを達成もしくは維持する、または48週間でNCCもしくはNCC補正の少なくとも25%の減少に達する対象の比率として定義した。WTX101で治療した対象については、NCCレベルは、WTX101 TPCと結合したCuの量で補正されるであろう。
48週間の値を有しない対象は、非応答者として考慮されるであろう。これらのデータは、無作為化された治療およびベースラインNCCレベルの期間を伴うコホート層別化ロジスティック回帰を介して分析されるであろう。繰り返すが、コホート1対象では支持的で比較的な分析を実施し、コホート2対象ではアーム内の支持的で記述的な分析が実施されるであろう。
実施例4:食品を伴うおよび伴わない腸溶性コーティング製剤ならびに食品を伴わないプロトンポンプ阻害剤と同時投与される非コーティング製剤の単回投薬後のビスコリンテトラチオモリブデートの吸収
血漿総Mo濃度の測定に基づいて、健康な対象におけるビスコリンテトラチオモリブデートの単回用量のPK(薬物動態)を評価する、単一施設、非盲検、無作為化、3期間、3治療、6配列クロスオーバー研究を実施した。図8Aおよび8Bに示される研究図に記載されるように、成人男性および女性対象を使用する18人の健康な非喫煙者は、3期間のコースにわたって治療A、B、またはCを受けた。対象は、一度に各治療を受けた。対象を、ABC、ACB、BAC、BCA、CAB、およびCBAの6つの治療配列のいずれかに不作為化した。すべての治験薬は、約240mLの水と共に経口摂取した。対象に、治験薬を粉砕、分割、または咀嚼しないように指示した。
治療A:一晩絶食後、1日目の時間0の60mgのビスコリンテトラチオモリブデート(2xビスコリンテトラチオモリブデート腸溶性コーティング(EC)錠剤、30mg、表6を参照されたい)。
治療B:先行して一晩絶食し、高脂肪朝食の開始から30分後、1日目の時間0の60mgのビスコリンテトラチオモリブデート(2xビスコリンテトラチオモリブデート1 EC錠剤、30mg)。
治療C:一晩絶食後の-5~-1日目の朝に20mgのオメプラゾール(PPI(プロトンポンプ阻害剤)の1x20mg遅延放出カプセル)QD、一晩絶食後の1日目の時間-1の20mgのオメプラゾール遅延放出カプセル、および1日目の時間0の60mgのビスコリンテトラチオモリブデート(2xビスコリンテトラチオモリブデート非コーティング(UC)カプセル、30mg、表7を参照されたい。)
Figure 2023075247000012
Figure 2023075247000013
登録され、研究を完了した18人の対象すべてが安全性およびPK分析を含む。しかしながら、測定可能な投薬前血漿総Mo濃度が、対応するCmax(最大測定血漿濃度)の>40%であったため、1人の対象を治療BのPK記述統計および統計分析から除外した。したがって、PK分析集団は、絶食時のEC錠剤(治療A)、および絶食時のUC+PPI(治療C)の18人の対象と、摂食時のEC錠剤(治療B)の17人の対象とで構成した。
薬物動態学的結果
血漿総MoのPKパラメータを以下のように計算した:
AUC0-t:線形台形法により計算した、時間0から最後の測定可能な濃度までの、血漿濃度対時間曲線下の面積。
AUC0-inf:時間0から無限大までの血漿濃度対時間曲線下の面積。AUC0-infは、AUC0-tに、最後の測定可能な血漿濃度と排出速度定数との比率を加えた合計として計算した。
max:指定されたスパンの時間にわたる最大測定血漿濃度。
max:最大測定血漿濃度の時間。最大値が複数の時点で発生した場合、tmaxはこの値を有する最初の時点として定義した。
λz:血漿濃度対時間曲線の片対数プロットから計算した見かけ上の一次終末排出速度定数。最後の非ゼロ濃度から始まる、終末対数線形相(例えば、3以上の非ゼロ血漿濃度)の最大ポイント数を使用して、線形最小二乗回帰分析によりパラメータを計算した。
1/2:見かけ上の一次終末排出半減期を0.693/λzと計算した。
lag吸収遅延時間
CL/F:見かけ上の経口クリアランス
Vz/F:見かけ上の経口分布量
図8Aおよび8Bに示すように、総Moの平均±標準誤差血漿濃度は、絶食時の非コーティングカプセル(UC)+PPI(治療C)と比較して、絶食時のEC錠(治療A)の投与後にわずかに低かった。しかしながら、対象間でばらつきがあり、18人のうち3人がEC錠剤に対してはるかに低い濃度を示し、5人が平均データと同じパターンを示し、10人が両方の治療に対して比較可能または重ね合わせ可能な濃度を示した。
平均血漿中濃度と一致して、Cmax、AUC0-t、およびAUCinfの算術(表8)および幾何(表7)平均値は、絶食時のEC錠剤(治療A)のほうが、絶食時のUCカプセル+PPI(治療C)よりも低かった。GMRは、75.81%~87.16%の範囲であり、関連する90%CIの下限は<80.00%(表9)であり、平均して暴露の減少を示す。Tmaxの中央値は、両方の治療でそれぞれ4.54時間および4.50時間で同等であり、同等の範囲であった(表8)。
18人の対象のうち4(4)人は、絶食時のEC錠剤投与後の吸収遅延時間を有し、中央値(範囲)は、2.00時間(2.00~3.00時間)であった(表8)。
食品と共にEC錠剤(治療B)を投与することにより、平均血漿総Mo濃度の大幅な減少をもたらした(図5)。これは、この治療で評価可能な17人の対象のうち2人を除くすべてで観察した。Cmax、AUC0-t、およびAUCinfは、食品と共にEC錠剤を投与した後に低くなり(表4および5)、GMRは、25.20%~40.49%の範囲であり、吸収の大幅な減少を示した。Tmaxの中央値は、食品を伴うおよび伴わないで、それぞれ4.55時間および4.54時間と同等であり、同等の範囲であった(表8)。絶食時のEC錠剤(治療A)と比較して、より多くの対象(6人の対象)が吸収遅延時間を有し、中央値(範囲)が3.00時間(2.00~5.00時間)に増加した(表8)。
平均t1/2は、3つの治療すべてで本質的に同じであり(表8)、全体の平均は、約48時間または2日であった。CL/FおよびVz/Fは、2つの絶食治療においても同等であったが、摂食時のEC錠剤の投与後の生物学的利用能が低いため、その治療ではより高い。
max、AUC0-t、およびAUCinfについての最も低い対象間変動係数(BSCV)を、絶食時のUCカプセル+PPI(治療C)で観察し、値は15.8%~19.1%の範囲であった(表8)。絶食時のEC錠剤(治療A)の投与により、より高いBSCVをもたらした(26.1%~35.2%;表8)。高カロリー/高脂肪食後にEC錠剤を投与した場合、BSCVは、はるかに高く、特にAUC0-tおよびAUCinfについて、それぞれ81.5%および72.6%であった(表8)。絶食時のEC錠剤と比較して、摂食条件下でEC錠剤を投与した場合、AUCについてのBSCVは約2.2倍高い。
図8Aおよび8Bに示されるように、絶食時のUC+PPI(治療C)と比較して、絶食時のEC錠剤(治療A)の投与後、総Moの平均±標準誤差血漿濃度にわずかな減少があった。Cmax、AUC(0-t)、およびAUC(inf)についても同様の傾向を観察した(表6および7)。それにもかかわらず、個々の対象のデータを調査すると、何人かの個々の対象で同様のパターンを観察した一方で、大部分は、両方が絶食条件下で投与された場合に、ビスコリンテトラチオモリブデートEC錠剤およびビスコリンテトラチオモリブデートUC+PPIについて同等である総Mo濃度時間プロファイルを有した。しかしながら、摂食時のビスコリンテトラチオモリブデートEC錠剤(治療B)の投与は、対象の大部分の間で一貫していた吸収の60%~75%の減少をもたらした。
Figure 2023075247000014
Figure 2023075247000015
Figure 2023075247000016
実施例5:ウィルソン病の第2相、多施設、非盲検研究におけるWTX101治療による神経学的改善
実施例1に記載した第2相研究中に収集したデータは、WTX101による24週間の治療後の特定の神経学的変化を特徴付けるためにさらに分析した。
方法
WDを有する成人患者(未治療または≦2年のキレート化もしくは亜鉛療法)は、24週間、応答誘導個別化WTX101投薬(1日15~120mg)を受けた。神経学的状態の変化は、統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)を使用して特徴付けした。
結果
登録した28人の患者のうち、25人は神経学的症状を示した。ベースライン平均UWDRSパートII(障害)およびIII(神経学的状態)スコアは、それぞれ6.6(SD 10.0;範囲0~35)および22.8(SD 21.0;範囲0~83)であった。24週目までに、平均[SD]UWDRSパートIIスコア(4.1[8.2];p
<0.001)およびパートIIIスコア(16.6[17.7];p<0.0001)の両方が改善した。パートIIおよびパートIIIの合計スコア間には、時間の経過に伴って非常に有意な予測関係があった(p<0.0001)。ベースライン時の最も一般的なUWDRSパートIIIの異常は、例えば、交互の手の動き(71%)、指タップ(57%)、筆跡(54%)、および脚の敏捷性(54%)などの姿勢腕振戦(71%)、構音障害(68%)、歩行(61%)ならびに四肢の器用さおよび協調スケールアイテムであった。最も深刻な影響を受けた項目は、筆跡および構音障害であった(平均[SD]スコアはそれぞれ2.0[0.8]および1.8[0.9])。筆跡(51.4%)、脚の敏捷性(40.8%)、姿勢腕振戦(39.5%)、および交互の手の動き(35.0%)について、24週間にわたり最大の平均改善(変化%)を観察した。総振戦または四肢の器用さおよび調整項目をグループ化すると、同様の改善を示した(それぞれ34.2%および29.2%)。WTX101は概して良好な耐性であり、早期の薬物誘導性神経学的悪化は観察しなかった。
結論
神経学的症状は、WDを有するこの患者コホートにおいて一般的であった。WTX101治療は、WDにおける24週間の第2相プロスペクティブ治験において、障害および神経学的状態を急速に改善した。WTX101治療後の神経学的状態の改善は、患者が報告した障害の減少と相関した。
実施例6:ウィルソン病の第2相、多施設、非盲検研究におけるWTX101治療による神経学的改善
実施例1の第2相研究をさらに分析して、ウィルソン病(WD)患者における神経症状の詳細と、WTX101による24週間の治療後の特定の神経学的変化とを特徴付けした。このデータの分析は、実施例5に記載されるように一般的に行った。
神経学的症状は、非常にすぐに無力化することができるが、以前の既存の治療法は、必ずしも症状を緩和するわけではなく、時には周知の逆説的な神経疾患の早期悪化を引き起こし、かつ/または患者による耐性が乏しい。24週間の第2相研究(NCT02273596;EudraCT 2014-001703-41)におけるビスコリンテトラチオモリブデート(WTX101)は、非セルロプラスミン結合銅(NCC)レベルの迅速な制御、および平均NCCレベルが12週までに正常の上限を下回る好ましい安全プロファイルを示した。
統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)を使用して評価した神経症状の分析は、逆説的な早期悪化なしに症状の改善を示した。研究における神経学的症状の変化は、UWDRSのパートIII(神経学的状態)からのデータを使用して精査した。さらに、この実施例は、ウィルソン病の報告した患者(パートII)、および臨床的に評価した(パートIII)神経学的症状の患者の間の定量的関係を探索する。
方法
ウィルソン病(≧4のライプツィヒスコア)と診断された成人(≧18歳)は、ウィルソン病の以前の治療を受けていないか、または≦24ヶ月にキレート化もしくは亜鉛療法を受けており、かつNCC濃度が正常な参照範囲の下限を上回る(すなわち、≧0.8μmol/L)。非代償性肝硬変、>11の末期肝疾患(MELD)スコアのモデル、または>6の修正されたNazerスコア(改訂されたキングのスコア)を有した場合、患者を除外した。
24週間の第2相非盲検研究は、ヨーロッパおよび米国で実施した。最初の4~8週間の間、患者は、血漿モリブデン(ベースラインを除く)に対して調整したベースラインN
CC濃度に応じて、1日1回、15~60mgのWTX101を受けた。その後、実験室(血漿モリブデンに対して調整したNCC濃度を含む)および臨床評価(投与された最大1日用量:120mg)に従って投薬を調整した。
障害および神経学的状態は、それぞれ、ベースライン、ならびに4、8、12、18、および24週目にUWDRSのパートIIおよびパートIIIを使用して評価した。障害(パートII):患者が報告した10項目のアンケート(合計スコアの範囲:0~40;スコアが高いほど障害が大きいことを示す)。神経学的状態(パートIII):23項目の臨床医が評価したスコア(合計スコアの範囲:0~143;スコアが高いほど神経学的状態が悪いことを示す)。データ(UWDRSパートIIおよびIIIの合計スコア、ならびにAE)は、結果の状況について簡単に要約した。
障害および神経学的状態の合計スコアの関係を調査し、AEを最小限に抑えながら最適な治療レジメンを提供するために、神経学的症状に対する治療の影響をより良く理解し、定量化した。ベースライン、24週目、およびベースラインから24週目までの変化のUWDRS神経学的状態スコアは、患者の少なくとも50%が経験した任意の個々の項目、および項目群(すなわち、特定の患者表現型を表すと見なされ得る個々の項目の集合[表11])に対して計算した。
Figure 2023075247000017
最小二乗平均(標準誤差[SE]、95%信頼区間[CI])の値は、混合モデルの反復測定分析を使用して、UWDRS合計スコアのベースラインからの変化に対して計算し、有意性は、両側p値を使用して評価した。パートIIおよびIIIについてのUWDRS合計スコア間の関係を調査し、定量化するために、ランダム係数分析を、すべての研究来院からの各患者のスコアを使用して行った。他の結果について要約統計を計算した。
結果
合計で、28人の患者がWTX101を受けた(表12)。6人の患者が治療を中断した。3人は非神経学的性質のAEを経験し、2人は精神障害を有し、プロトコルを遵守できず、1人は疾患の進行により神経学的悪化を有した。
Figure 2023075247000018
UWDRS障害および神経学的状態:合計スコア
平均(SD)合計スコアは、24週目に障害については4.1(8.2)、および神経学的状態については16.6(17.7)で改善した。改善は、障害については-3.7(0.9;-5.5~-1.8;p=0.0003)、および神経学的状態については-8.7(1.9;-12.5~-5.0;p<0.0001)であり、両方の場合(ベースラインからの最小二乗平均[SE、95%CI]変化)で有意であった。UWDRSパートIIおよびパートIIIの合計スコア(p<0.0001)の間に有意な正の線形関係が存在した。
UWDRSの神経学的状態:個々の項目および項目群
ベースライン
個々の項目:患者の少なくとも50%に影響する6つの項目のうち、姿勢腕振戦、迅速な交互の手の動き、および構音障害(音声)が最も共通であった(図9)。項目(すなわち、4または8)間の最大可能なスコアの差異を考慮すると、筆跡および発話が最も深刻な影響を受けた(図10Aおよび10B)。
項目群:振戦は、最も多くの割合の患者(23人の患者、82%)で報告され、歩行(17人、61%)、ジストニア(15人、54%)、四肢の敏捷性および協調(15人、54%)、硬直(12人、43%)が続いた。項目群間の最大可能なスコアの差異を考慮すると(表11)、硬直は、最も深刻な影響を受け(平均[標準偏差、SD]スコア:3.5[2.9])、振戦(7.4[7.0])、ジストニア(3.9[4.4])、歩行(4.4[4.1])、および四肢の敏捷性および協調(1.3[0.5])が続いた。
ベースラインから24週目までの変化
個々の項目:記述統計に基づいて、平均パーセント改善は、筆跡および脚の敏捷性で最大であり(図11Aおよび11B)、スコアのいずれかの悪化を示す患者は少なかった(
図12)。2人の患者は2ポイントの悪化(指タップ)を有し、他のすべての悪化は1ポイントであった。
項目群:振戦(平均[SD]、34.2%[61.7])ならびに四肢の敏捷性および協調(29.2%[72.2])の改善は、概して個々の項目の改善と同様であった。分析の22人の患者のうち、それぞれ4および3のスコアの低下を示した(5事例で1ポイント、1事例で3ポイント[振戦]、1事例で4ポイント[肢の敏捷性および協調]の悪化)。硬直(26.9%[169.6])、ジストニア(15.0%[135.2])、および歩行(4.2%[77.8])の全体的な悪化は、それぞれ4、3、および6であり、個々に起因した(硬直については1~8ポイント、ジストニアについては2~4ポイント、総歩行については1~6ポイントの間の悪化)。
結論
第2相研究は、WTX101治療がウィルソン病における重要な満たされていないニーズに対処する可能性を有することを示した。WTX101治療後の神経学的状態の改善は、患者が報告した障害の減少と相関した。WTX101は、障害の減少および神経学的状態の改善に関連し、良好な耐性であった。
実施例7:肝硬変を有するまたは有しない患者の分析
ウィルソン病における死亡率は通常、代償不全肝硬変および肝不全に続発し、したがって、肝機能は適切な治療レジメンを決定する上で重要な要素である。実施例1の患者プールで使用する肝硬変を有する患者および有しない患者の結果を、最初の治験の3年間の延長期で生成した48週目のデータで補足し、分析した。実施例1は、最初にWTX101を15~60mg/日、次いで応答誘導個別化投薬(120mg/日の最大投与)を使用した、非盲検、単一アーム、24週間の継続研究であった。延長期は、1日1回、WTX101の継続的な応答誘導個別化投薬を使用した、非盲検、単一アーム、3年間の研究である。
この実施例で記載する分析では、患者は、病歴(生検または画像)またはAST対血小板比率指数(APRI)の推定に基づいて、肝硬変を有することを特徴とした(ASTはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼを指す)。要約統計は、ベースライン人口統計、NCC補正レベル、ALTレベル、MELDおよび修正されたNazerスコア、アルブミン濃度、国際正規化比率(INR)、統一ウィルソン病評価スケールを使用した障害および神経学的状態、ならびに有害事象(AE)について計算した。肝硬変を有する15人の患者のうち、13人がコア研究を完了し、そのすべてが延長研究を継続している。肝硬変を有しない13人の患者のうち、9人がコア研究を完了し、そのすべてが延長研究を継続している。延長研究の患者の流れを図12に示す。
ベースライン時のNCC補正は、肝硬変を有する患者では3.6μmol/L、肝硬変を有しない患者では3.7μmol/Lであった。WTX101は、ベースラインから24週まで、肝硬変を有する患者および有しない患者におけるNCC補正レベルを同様の程度で低下させ、24週目に見られた改善を48週目まで維持した。NCC補正レベルを図13に示す。
コア研究では、用量調整を必要とするALTの上昇は、肝硬変を有する5人の患者および肝硬変を有しない7人の患者で発生した。ALTの上昇は、肝硬変を有しない3人の患者における研究中止に関連していた。コア研究中のALTの上昇は、ビリルビン値の増加を伴わない。24週目から48週目までは、用量調整を必要とするALTの上昇は発生せず、肝硬変の状態に関係なくALTレベルは安定していた。肝硬変を有するおよび有しない患者のALTレベルを図14に示す。MELDスコア(肝疾患の重症度;スコア範囲、
6~40)(図15)および修正されたNazerスコア(予後指数;スコア範囲、0~20)(図16)は、ベースライン時に低く、コア試験および48週目まで安定していた。
平均アルブミン濃度(図17A)および国際正規化比率(INR)(図17B)は、肝硬変を有する患者および有しない両方の患者で、コア試験および48週目まで安定していた。平均アルブミン濃度(図17A)および血液凝固時間(図18)は、ベースライン時に正常範囲内であった。これらは、肝硬変を有するおよび有しない患者におけるコア研究ならびに48週目まで安定したままであった。UWDRSを使用して、患者が報告した障害および臨床医が評価した神経学的状態を評価する。肝硬変の状態に関係なく、コア研究中および48週目まで改善が生じた(図19Aおよび19B)。WTX101の耐性プロファイルは、肝硬変を有するおよび有しない患者で良好でありかつ類似していた。コア研究中に、肝硬変を有する10人患者および肝硬変を有しない12人の患者で有害事象(AE)が発生した。最も共通なAEは、ALTおよびGGTレベルの増加(肝硬変を有する3人の患者および肝硬変を有しない5人の患者のそれぞれ)、ASTレベルの増加(各群で4人の患者)、および振戦(肝硬変を有しない4人の患者)であった。延長期中において、コア研究(肝硬変を有する9人の患者および肝硬変を有しない6人の患者)と比較して、AEを経験した患者は少なかった。最も共通なAEは、尿路感染症(肝硬変を有する4人の患者)であった。重度の有害事象(SAE)は、0~48週目の間に、肝硬変を有する4人の患者および肝硬変を有しない6人の患者で発生した。延長期中において、肝硬変群における2人の患者がWTX101と関連している可能性のあるSAEを経験した。1人の患者は好中球減少症を有し、1人の患者は肝レンズ核変性症を有した。
この分析では、ベースラインと比較したWTX101治療による銅レベルの制御の改善は、両方の患者群においてWTX101治療の24週目~48週目まで維持された。WTX101では、肝機能は、肝硬変を有するおよび有しない患者で最大48週間まで安定であった。WTX101の耐性プロファイルは良好であり、肝硬変の存在に影響されなかった。したがって、WTX101治療は、治療した患者が治療前に肝硬変を有するまたは有しないに関係なく、有効かつ良好な耐性を維持し続ける。
当業者は、本明細書に開示される特定の閾値が、試験およびアッセイ方法の特定の条件に応じて多少変化し得ることを理解するであろう。さらに、当業者は、「~より大きい」または「~より小さい」と記載される閾値は、特定の実施形態では、それぞれ「~に等しいまたは~より大きい」または「~に等しいまたは~より小さい」ことを理解するであろう。同様に、当業者は、「以上」または「以下」と記載される閾値は、特定の実施形態では、それぞれ「~より大きい」または「~より小さい」ことを理解するであろう。
前述の詳細な記載は、理解の明確さのためにのみ与えられており、当業者には修正が明らかであるため、そこから不要な制限を理解すべきではない。
本発明は、その特定の実施形態に関連して記載されているが、それはさらなる修正が可能であり、本出願は、概して、本開示の原理に従った本発明の任意の変形、使用、または適応を包含することが意図されており、本発明が関連する技術分野内の既知のまたは慣習的な慣行の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲内で上記および以下の本質的な特徴に適用できるような本開示からの逸脱を含むことが理解されるであろう。
本明細書に引用されるすべての参考文献、論文、刊行物、特許、特許刊行物、および特許出願は、すべての目的のためにそれらの全体が参照により組み込まれる。しかしながら、本明細書に引用される任意の参考文献、論文、刊行物、特許、特許刊行物、および特許出願について言及することは、世界中の任意の国における共通の一般知識の一部を構成す
る有効な先行技術を構成することを承認する、または任意の形式の提案と見なさない、かつすべきではない。

Claims (87)

  1. 治療を必要とする患者において、ウィルソン病を治療する方法であって、1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む、方法。
  2. 治療を必要とする患者において、ウィルソン病を治療する方法であって、毎日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む、方法。
  3. 前記15mgのビスコリンテトラチオモリブデートが、遅延放出剤形として投与される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記剤形が、錠剤またはカプセルである、請求項1または3に記載の方法。
  5. 前記剤形が、錠剤である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記患者が、投与前に測定される際の前記患者のNCC補正と比較して、24週間の投与後に測定される際のNCC補正の減少を示す、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記患者が、投与前に測定される際の前記患者のNCC補正と比較して、24週間の投与後に測定される際のNCC補正の少なくとも20%の減少を示す、請求項6に記載の方法。
  8. 前記患者が、投与前に測定される際の前記患者のNCC補正と比較して、24週間の投与後に測定される際のNCC補正の少なくとも35%の減少を示す、請求項6に記載の方法。
  9. 前記患者が、投与前に測定される際の前記患者のNCC補正と比較して、24週間の投与後に測定される際のNCC補正の少なくとも50%の減少を示す、請求項6に記載の方法。
  10. 前記患者が、投与前に測定される際の前記患者のNCC補正と比較して、24週間の投与後に測定される際のNCC補正の少なくとも75%の減少を示す、請求項6に記載の方法。
  11. 前記患者が、投与前に測定される際の前記患者のNCC補正と比較して、48週間の投与後に測定される際のNCC補正の減少を示す、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
  12. 前記患者が、投与前に測定される際の前記患者のNCC補正と比較して、48週間の投与後に測定される際のNCC補正の少なくとも20%の減少を示す、請求項11に記載の方法。
  13. 前記患者が、投与前に測定される際の前記患者のNCC補正と比較して、48週間の投与後に測定される際のNCC補正の少なくとも35%の減少を示す、請求項11に記載の方法。
  14. 前記患者が、投与前に測定される際の前記患者のNCC補正と比較して、48週間の投与後に測定される際のNCC補正の少なくとも50%の減少を示す、請求項11に記載の方法。
  15. 前記患者が、投与前に測定される際の前記患者のNCC補正と比較して、48週間の投
    与後に測定される際のNCC補正の少なくとも75%の減少を示す、請求項11に記載の方法。
  16. 治療を必要とする患者において、ウィルソン病を治療する方法であって、1日に30~90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含み、前記患者が、
    a)2.3μm/Lより大きいNCC補正
    b)80IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、
    c)8g/dLより大きいヘモグロビン、
    d)30,000/μLより大きい血小板、および
    e)10/μLより大きい好中球、のうちの1つ以上を有する、方法。
  17. 1日に30mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む、請求項16に記載の方法。
  18. 1日に45mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む、請求項16に記載の方法。
  19. 1日に60mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む、請求項16に記載の方法。
  20. 1日に75mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む、請求項16に記載の方法。
  21. 1日に90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む、請求項16に記載の方法。
  22. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示される前記ALTレベルの少なくとも2倍で示し、前記方法が、
    ビスコリンテトラチオモリブデート用量を減少させることであって、
    前記患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、60mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、または
    前記特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、75mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させる、減少させることを含む、方法。
  23. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビ
    スコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、正常の上限(ULN)の少なくとも2倍で示し、前記方法が、
    ビスコリンテトラチオモリブデート用量を減少させることであって、
    前記患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、60mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、または
    前記特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、75mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させる、減少させることを含む、方法。
  24. 前記ULNが、30~45IU/mLである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記ULNが、34IU/mLである、請求項23に記載の方法。
  26. 前記ULNが、40IU/mLである、請求項23に記載の方法。
  27. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、ヘモグロビンレベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示される前記ヘモグロビンレベルの70%以下で示し、前記方法が、
    ビスコリンテトラチオモリブデート用量を減少させることであって、
    前記患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、60mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、または
    前記特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、75mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させる、減少させることを含む、方法。
  28. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、血小板レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示される前記血小板レベルの70%以下で示し、前記方法が、
    ビスコリンテトラチオモリブデート用量を減少させることであって、
    前記患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、60mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、または
    前記特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、75mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させる、減少させることを含む、方法。
  29. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、好中球レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示される前記好中球レベルの70%以下で示し、前記方法が、
    ビスコリンテトラチオモリブデート用量を減少させることであって、
    前記患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、
    前記特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、60mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させること、または
    前記特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、前記用量を1日1回、75mgのビスコリンテトラチオモリブデートに減少させる、減少させることを含む、方法。
  30. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を
    開始するときに示される前記ALTレベルの5倍より大きく示し、前記方法が、
    a)ビスコリンテトラチオモリブデートを中断すること、
    b)前記患者が、ALTレベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるレベルの2倍より小さく示した後、
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、または
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、を含む、方法。
  31. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、200IU/mLより大きく示し、前記方法が、
    a)ビスコリンテトラチオモリブデートを中断すること、
    b)前記患者が、ALTレベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるレベルの2倍より小さく示した後、
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、または
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、を含む、方法。
  32. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、ヘモグロビンレベルを、出血がない場合において8g/dLより小さく示し、前記方法が、
    a)ビスコリンテトラチオモリブデートを中断すること、
    b)前記患者が、ヘモグロビンレベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるものと同等で示した後、
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、または
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、を含む、方法。
  33. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、血小板レベルを、30,000μLより小さく示し、前記方法が、
    a)ビスコリンテトラチオモリブデートを中断すること、
    b)前記患者が、血小板レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるものと同等で示した後、
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、または
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、を含む、方法。
  34. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、好中球レベルを、1.0×10/μLより小さく示し、前記方法が、
    a)ビスコリンテトラチオモリブデートを中断すること、
    b)前記患者が、好中球レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート治療を開始するときに示されるものと同等で示した後、
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、または
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、を含む、方法。
  35. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、ビリルビンレベルを、2.4mg/dLより大きく、およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、120IU/mLより大きく示し、前記方法が、
    a)ビスコリンテトラチオモリブデートを中断すること、
    b)前記患者が、正常の上限を下回るビリルビンレベルを示した後、
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日おきに15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、または
    前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデートを中断する前に、1日1回、15~90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日に15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、を含む、方法。
  36. ウィルソン病を有する患者を治療するためにビスコリンテトラチオモリブデートを投与する方法であって、前記患者が、異常な試験結果を示しており、前記方法が、
    (a)第1の期間に、1日あたり約15~約90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含む第1の用量レベルを前記患者に投与すること、続いて、
    (b)第2の期間に、1日あたり前記第1の用量レベルより少なくとも約15mg/日少ないビスコリンテトラチオモリブデートを含む第2の用量レベルを投与すること、を含む、方法。
  37. 前記第1の用量レベルが、1日あたり約15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含み、前記第2の用量レベルが、2日あたり約15mgより小さいビスコリンテトラチオモリブデートを含む、請求項34に記載の方法。
  38. 前記第1の用量レベルが、1日あたり約30mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含み、前記第2の用量レベルが、1日あたり約15mgより小さいビスコリンテトラチオモリブデートを含む、請求項34に記載の方法。
  39. 前記第1の用量レベルが、1日あたり約45mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含み、前記第2の用量レベルが、1日あたり約30mgより小さいビスコリンテトラチオモリブデートを含む、請求項34に記載の方法。
  40. 前記第1の用量レベルが、1日あたり約60mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含み、前記第2の用量レベルが、1日あたり約45mgより小さいビスコリンテトラチオモリブデートを含む、請求項34に記載の方法。
  41. 前記第1の用量レベルが、1日あたり約75mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含み、前記第2の用量レベルが、1日あたり約60mgより小さいビスコリンテトラチオモリブデートを含む、請求項34に記載の方法。
  42. 前記第1の用量レベルが、1日あたり約90mgのビスコリンテトラチオモリブデートを含み、前記第2の用量レベルが、1日あたり約75mgより小さいビスコリンテトラチオモリブデートを含む、請求項34に記載の方法。
  43. 前記異常な試験結果が、ビスコリンテトラチオモリブデート投与前に測定されるベースラインアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の少なくとも2倍のALTレベルを含む、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
  44. 前記異常な試験結果が、ビスコリンテトラチオモリブデート投与前に測定されるベースラインヘモグロビンレベルの70%以下のヘモグロビンレベルを含む、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
  45. 前記異常な試験結果が、ビスコリンテトラチオモリブデート投与前に測定されるベースライン血小板レベルの70%以下の血小板レベルを含む、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
  46. 前記異常な試験結果が、ビスコリンテトラチオモリブデート投与前に測定されるベースライン好中球レベルの70%以下の好中球レベルを含む、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
  47. 前記異常な試験結果が、68IU/mLより大きいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを含む、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
  48. 前記異常な試験結果が、正常なヘモグロビンレベルの70%以下のヘモグロビンレベルを含む、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
  49. 前記異常な試験結果が、正常な血小板レベルの70%以下の血小板レベルを含む、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
  50. 前記異常な試験結果が、正常な好中球レベルの70%以下の好中球レベルを含む、請求項34~40のいずれかに記載の方法。
  51. 前記異常な試験結果が、ビスコリンテトラチオモリブデート投与前に測定されるベースラインアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の少なくとも5倍のALTレベルを含み、前記方法が、
    (c)前記患者が、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート投与前に測定される前記ベースラインALTの2倍より小さく示すまで、ステップ(a)およびステップ(b)の間の第3の期間に治療を中断することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
  52. 前記異常な試験結果が、少なくとも200IU/mLのアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを含み、前記方法が、
    (c)前記患者が、68IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを示すまで、ステップ(a)およびステップ(b)の間の第3の期間に治療を中断することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
  53. 前記異常な試験結果が、出血がない場合において8g/dLより小さいヘモグロビンレベルを含み、
    (c)前記患者が、ヘモグロビンレベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート投与前に測定される前記ヘモグロビンレベルと同等で示すまで、ステップ(a)およびステップ(b)の間の第3の期間に治療を中断する、請求項34に記載の方法。
  54. 前記異常な試験結果が、血小板レベルを、30,000μLより小さく含み、前記方法が、
    (c)前記患者が、血小板レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート投与前に測定される前記血小板レベルと同等で示すまで、ステップ(a)およびステップ(b)の間の第3の期間に治療を中断することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
  55. 前記異常な試験結果が、好中球レベルを、1.0×103/μLより小さく含み、
    (c)前記患者が、好中球レベルを、ビスコリンテトラチオモリブデート投与前に測定される前記好中球レベルと同等で示すまで、ステップ(a)およびステップ(b)の間の第3の期間に治療を中断する、請求項34に記載の方法。
  56. 前記第2の用量が、1日あたり15mgである、請求項49~53のいずれかに記載の方法。
  57. 前記第2の用量が、1日おきに15mgである、請求項49~53のいずれかに記載の方法。
  58. 前記患者の
    a)NCC補正レベル、
    b)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、
    c)ヘモグロビンレベル、
    d)血小板レベル、および
    e)好中球レベル、のうちの少なくとも1つを測定することをさら含む、請求項6~55のいずれかに記載の方法。
  59. ビスコリンテトラチオモリブデート治療を受けているウィルソン病を有する患者へのビスコリンテトラチオモリブデート投与を修正する方法であって、前記患者が、神経学的悪化を示し、前記患者が、ビスコリンテトラチオモリブデート投与前に測定されるベースラインUWDRS Part IIIスコアを、20より小さく示し、前記神経学的悪化が、前記ベースラインUWDRS Part IIIスコアを超えるベースラインUWDRS Part IIIスコアの少なくとも4ポイントの増加を含み、前記方法が、
    a)ビスコリンテトラチオモリブデートを中断すること、
    b)前記患者が、神経学的悪化を示さなくなった後、
    前記患者が、1日1回、15mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日おきに15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、
    前記患者が、1日1回、30mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日1回、15mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、
    特許が、1日1回、45mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日1回、15または30mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、
    前記特許が、1日1回、60mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日1回、30mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、
    前記特許が、1日1回、75mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日1回、30~45mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、
    または
    前記特許が、1日1回、90mg用量のビスコリンテトラチオモリブデートにあった場合、1日1回、45mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与すること、を含む、方法。
  60. ビスコリンテトラチオモリブデートが、絶食状態で投与される、請求項1に記載の方法。
  61. 前記錠剤が、腸溶性コーティング錠剤である、請求項5に記載の方法。
  62. 前記患者が、肝硬変を有する、請求項1~59のいずれかに記載の方法。
  63. 前記患者が、肝硬変を有しない、請求項1~59のいずれかに記載の方法。
  64. 患者のウィルソン病を治療する方法において使用するためのビスコリンテトラチオモリブデートを含む、組成物。
  65. 前記方法が、1日あたりまたは1日おきに15mg~120mgのビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む、請求項62に記載の使用するための組成物。
  66. 前記方法が、1日1回または1日おきに1回、ビスコリンテトラチオモリブデートを投与することを含む、請求項62または63に記載の使用するための組成物。
  67. 前記患者が、総振戦、総歩行、ジストニア、四肢の敏捷性および協調、ならびに硬直から選択される1つ以上のウィルソン病の表現型を示し、好ましくは、前記患者が、総振戦、または四肢の敏捷性および協調、またはその両方を示す、請求項62~64のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  68. a)総振戦表現型が、安静時振戦、頭部振戦、腕-姿勢振戦および羽ばたき振戦、姿勢振戦-脚、ならびに顎振戦から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、
    b)総歩行表現型が、椅子から起きる、姿勢-体幹ジストニア、スタンスの運動失調、およびパーキンソニズム、歩行-脚ジストニア、運動失調、およびパーキンソニズムから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、
    c)ジストニア表現型が、口蓋下顎ジストニア、頚椎ジストニア、腕および手ジストニア、幹ジストニア、ならびに歩行-脚ジストニアから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、
    d)四肢の敏捷性および協調表現型が、指タップ、迅速な交互の手の動き、筆跡、指鼻試験、および脚の敏捷性から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、
    e)硬直表現型が、腕、脚、および頸部から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含む、請求項65に記載の使用するための組成物。
  69. a)総振戦表現型が、30~45のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、
    b)総歩行表現型が、20~32のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、
    c)ジストニア表現型が、15~28のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、
    d)四肢の敏捷性および協調表現型が、20~36のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、
    e)硬直表現型が、10~20のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされる、請求項66に記載の使用するための組成物。
  70. 前記患者が、筆跡、脚の敏捷性、およびそれらの組み合わせから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の神経学的症状を示す、請求項62~67のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  71. 前記患者が、2~4のUWDRSパートIIIに従った筆跡のスコア、2~8のUWDRSパートIIIに従った脚の敏捷性のスコア、または4~12のUWDRSパートIIIに従った筆跡および脚の敏捷性のスコアを示す、請求項68に記載の使用するための組成物。
  72. 前記患者が、前記組成物の投与後に、UWDRSパートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状の改善を示す、請求項66~69のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  73. 前記患者が、
    a)5~25の総振戦表現型、
    b)5~20の総歩行表現型、
    c)5~15のジストニア表現型、
    d)5~20の四肢の敏捷性および協調表現型、ならびに
    e)5~15の硬直表現型のうちの1つ以上のUWDRSパートIIIスコアにおいて減少を示す、請求項70に記載の使用するための組成物。
  74. 前記患者が、1~3の筆跡についてのUWDRSパートIIIスコアの減少、1~6の脚の敏捷性についてのUWDRSパートIIIスコアの減少、ならびに2~9の筆跡および脚の敏捷性についてのUWDRSパートIIIスコアの減少のうちの1つ以上を示す、請求項70に記載の使用するための組成物。
  75. 前記患者が、肝硬変を有する、請求項62~72のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
  76. 前記患者が、投与前に測定された前記患者のNCC補正と比較して、24週間の投与後に測定されたNCC補正の減少を示す、請求項73に記載の使用するための組成物。
  77. 前記患者が、投与前に測定された前記患者のNCC補正と比較して、48週間の投与後に測定されたNCC補正の減少を示す、請求項73に記載の使用するための組成物。
  78. 前記患者が、
    a)2.3μm/Lより大きいNCC補正
    b)80IU/mLより小さいアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベル、
    c)8g/dLより大きいヘモグロビン、
    d)30,000/μLより大きい血小板、および
    e)10/μLより大きい好中球のうちの1つ以上を有する、請求項73に記載の使用するための組成物。
  79. 前記患者が、総振戦、総歩行、ジストニア、四肢の敏捷性および協調、ならびに硬直から選択される1つ以上のウィルソン病の表現型を示し、好ましくは、前記患者が、総振戦、または四肢の敏捷性および協調、またはその両方を示す、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
  80. 前記患者が、総振戦、または四肢の敏捷性および協調、またはその両方を示す、請求項77に記載の方法。
  81. a)総振戦表現型が、安静時振戦、頭部振戦、腕-姿勢振戦および羽ばたき振戦、姿勢振戦-脚、ならびに顎振戦から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、
    b)総歩行表現型が、椅子から起きる、姿勢-体幹ジストニア、スタンスの運動失調、およびパーキンソニズム、歩行-脚ジストニア、運動失調、およびパーキンソニズムから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、
    c)ジストニア表現型が、口蓋下顎ジストニア、頚椎ジストニア、腕および手ジストニア、幹ジストニア、ならびに歩行-脚ジストニアから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、
    d)四肢の敏捷性および協調表現型が、指タップ、迅速な交互の手の動き、筆跡、指鼻試験、および脚の敏捷性から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含み、
    e)硬直表現型が、腕、脚、および頸部から選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状を含む、請求項77または78に記載の方法。
  82. a)総振戦表現型が、30~45のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、
    b)総歩行表現型が、20~32のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、
    c)ジストニア表現型が、15~28のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、
    d)四肢の敏捷性および協調表現型が、20~36のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされ、
    e)硬直表現型が、10~20のUWDRSパートIIIスコアにより特徴付けされる、請求項79に記載の方法。
  83. 前記患者が、筆跡、脚の敏捷性、およびそれらの組み合わせから選択される統一ウィルソン病評価スケール(UWDRS)パートIIIに従って、ウィルソン病の神経学的症状を示す、請求項1~61または77~80に記載の方法。
  84. 前記患者が、2~4のUWDRSパートIIIに従った筆跡のスコア、2~8のUWDRSパートIIIに従った脚の敏捷性のスコア、または4~12のUWDRSパートIIIに従った筆跡および脚の敏捷性のスコアを示す、請求項81に記載の方法。
  85. 前記患者が、前記組成物の投与後に、UWDRSパートIIIに従って、ウィルソン病の1つ以上の神経学的症状の改善を示す、請求項1~61または77~80に記載の方法。
  86. 前記患者が、
    a)5~25の総振戦表現型、
    b)5~20の総歩行表現型、
    c)5~15のジストニア表現型、
    d)5~20の四肢の敏捷性および協調表現型、ならびに
    e)5~15の硬直表現型のうちの1つ以上のUWDRSパートIIIスコアにおいて減少を示す、請求項83に記載の方法。
  87. 前記患者が、1~3の筆跡についてのUWDRSパートIIIスコアの減少、1~6の脚の敏捷性についてのUWDRSパートIIIスコアの減少、ならびに2~9の筆跡および脚の敏捷性についてのUWDRSパートIIIスコアの減少のうちの1つ以上を示す、請求項83に記載の方法。
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