JP2023074685A - 被検体分析方法 - Google Patents

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    • G01N21/62Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light
    • G01N21/63Systems in which the material investigated is excited whereby it emits light or causes a change in wavelength of the incident light optically excited
    • G01N21/65Raman scattering

Abstract

【課題】高効率なSERS分光による分析を容易に行うことができる方法被検体分析方法を提供する。【解決手段】被検体分析方法は、(1) 被検体、金属イオンの溶液および還元剤を混合して混合液を作製する混合ステップS11と、(2) 混合液に対して光を照射して混合液中の還元剤の還元作用により混合液中の金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させるとともに、被検体または被検体由来の物質を金属微小構造に付着させる金属微小構造生成ステップS12と、(3) 支持体上の金属微小構造に励起光を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する測定ステップS14と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、被検体分析方法に関するものである。
被検体を分析する方法として、該被検体に励起光を照射したときに発生するラマン散乱光のスペクトルに基づく方法が知られている。ラマン散乱スペクトルは被検体の分子振動を反映したものであることから、ラマン散乱スペクトルの形状に基づいて被検体を分析することができる。しかし、この分析方法では、通常、ラマン散乱の効率が非常に小さく、被検体が微量である場合には分析が困難である。このことから、従来、この分析方法が実用的に適用される被検体は、鉱物や高密度なプラスチックなどの物質に限定されてきた。
一方、表面増強ラマン散乱(Surface Enhanced Raman Scattering:SERS)分光は、ラマン散乱効率の大幅な向上により高感度の測定が可能であり、低濃度試料の分析が可能であるとして注目されている。SERS分光では、励起光が照射された金属微小構造において増強された電場(光子場)を発生させること(第1条件)、および、その増強された電場が到達する金属微小構造のごく近傍に定常的に被検体が存在すること(第2条件)、の2つの主条件が満たされることにより、被検体から高強度のラマン散乱光を発生させることができる。
第1条件を効率よく達成するために、ナノメートルオーダーのサイズの多様な形状の金属微小構造配列体が設計され、この金属微小構造配列体を表面に備える基板(SERS基板)を利用し、このSERS基板に被検体を滴下するなどして、SERS分光による被検体の分析を行うことが提案されている。また、金属コロイド(例えば、銀コロイド粒子、金コロイド粒子)が分散した分散液を利用し、この金属コロイド分散液に被検体を入れることで、SERS分光による被検体の分析を行うことが提案されている。
SERS基板を利用する場合および金属コロイド分散液を利用する場合の何れにおいても、SERS分光による被検体の分析を行うには上記第2条件が満たされることが必要である。すなわち、増強された電場が得られる領域は、金属微小構造に依存して空間的に制限されており、多くの場合は金属微小構造の間隙に位置する。したがって、第2条件をも満たしてSERS光を効率よく発生させるためには、この制限された間隙に被検体が存在することが必要である。
非特許文献1には、銀イオンの共存下で被検体(ピリジン、ビオチン、クエン酸ナトリウム)のラマン散乱スペクトルを測定したところ、銀コロイドの共存下で被検体を測定したものと同様のスペクトルが得られたことが報告されている。また、この文献には、可視光(Arイオンレーザ光)の照射により銀コロイドが生成されたと推測される旨が記載されている。
非特許文献2には、硝酸銀水溶液と還元剤(クエン酸)との混合液に対して可視光を照射したところ銀コロイドが生成されたこと、および、この銀コロイドを利用して被検体(ピリジン、カフェイン)のSERSスペクトルを測定することができたこと、が報告されている。
Ahern,A. M.; Garrell, R. L.: In situ photoreduced silver nitrate as a substrate forsurface-enhanced Raman spectroscopy. Analytical Chemistry, 59, 2813-2816 (1987). Sato-Berru,R.; Redon, R.; Vazquez-Olmos, A.; Saniger, J. M.: Silver nanoparticlessynthesized by direct photoreduction of metal salts. Application insurface-enhanced Raman spectroscopy. Journal of Raman Spectroscopy, 40, 376-380(2009). Mosier-Boss, P. A. Review on SERSof Bacteria. Biosensors 7, 51 (2017).
SERS基板や金属コロイド分散液を利用して行うSERS分光による被検体の分析は、予めSERS基板や金属コロイド分散液を用意しておく必要がある。SERS光は特に銀(Ag)を用いる場合に効率よく発生するものの、銀は酸化し易い。分光測定時にSERS基板上の銀の微小構造や銀コロイドの表面に酸化膜が形成されていると、効率的なSERS分光による被検体の分析ができない。また、分光測定時までにSERS基板や金属コロイドが汚染されないようにする必要があり、これらの扱いは容易でない。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、高効率なSERS分光による分析を容易に行うことができる方法被検体分析方法を提供することを目的とする。
本発明の第1態様の被検体分析方法は、(1) 被検体、金属イオンの溶液および還元剤を混合して混合液を作製する混合ステップと、(2) 混合液に対して光を照射して混合液中の還元剤の還元作用により混合液中の金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させるとともに、被検体または被検体由来の物質を金属微小構造に付着させる金属微小構造生成ステップと、(3) 支持体上の金属微小構造に励起光を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する測定ステップと、を備える。
本発明の第2態様の被検体分析方法は、(1) 金属イオンの溶液および還元剤を混合して混合液を作製する混合ステップと、(2) 混合液に対して光を照射して混合液中の還元剤の還元作用により混合液中の金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させる金属微小構造生成ステップと、(3) 被検体または被検体由来の物質を支持体上の金属微小構造に付着させる付着ステップと、(4)付着ステップの後に支持体上の金属微小構造に励起光を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する測定ステップと、を備える。
金属微小構造生成ステップにおいて、200nm以上400nm以下の波長の光を混合液に対して照射するのが好適である。
本発明によれば、高効率なSERS分光による分析を容易に行うことができる。
図1は、第1実施形態の被検体分析方法のフローチャートである。 図2は、第2実施形態の被検体分析方法のフローチャートである。 図3は、ヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液の吸光スペクトル(破線)、および、ヒドロキシルアミン塩酸塩と硝酸銀との混合水溶液の吸光スペクトル(実線)を示す図である。 図4は、各実施例の測定ステップにおいてSERS光スペクトルの測定の際に用いた顕微分光装置1の光学系を示す図である。 図5は、実施例1で得られたSERS光スペクトルを示す図である。 図6は、実施例2で得られたSERS光スペクトルを示す図である。 図7は、実施例3で作製された金属微小構造の顕微鏡像を示す図である。 図8(a)は、実施例3で得られたSERS光スペクトルを示す図である。図8(b)は、アデニン、グアニン、チミンおよびシトシンそれぞれのSERS光スペクトルを示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、第1実施形態の被検体分析方法のフローチャートである。第1実施形態の被検体分析方法は、混合ステップS11、金属微小構造生成ステップS12、測定ステップS14および分析ステップS15を順に行うことで被検体の分析を行う。第1実施形態の被検体分析方法では、混合ステップS11において、被測定溶液を含む混合液を作製する。
混合ステップS11では、被検体を含む被測定溶液、金属イオンの溶液および還元剤を十分に混合して、混合液を作製する。被測定溶液、金属イオン溶液および還元剤の混合の仕方または順序として様々な態様があり得る。被測定溶液、金属イオン溶液および還元剤の三つを同時に混合してもよい。また、被測定溶液、金属イオン溶液および還元剤のうちの何れか二つを混合して中間混合液を作製し、次に、この中間混合液に対して残りの一つを混合して最終的な混合液を作製してもよい。
被検体は、還元作用の有無を問わず任意であり、例えば、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、4,4'-ビピリジル等であってもよく、また、細胞であってもよい。金属イオンは、還元剤の還元作用により還元され得るものであれば任意であり、例えば金イオンや銀イオン等である。還元剤は、例えば、グルコース水溶液、硫酸鉄(II)水溶液、水素化ホウ素ナトリウム水溶液、ホルムアルデヒド水溶液、ヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液などである。最終的な混合液として混合される金属イオン溶液および還元剤それぞれの量および濃度は、被測定溶液の量および被測定溶液中の被検体の濃度に応じて適切に調製される。
金属微小構造生成ステップS12では、混合液に対して光を照射して混合液中の還元剤の還元作用により混合液中の金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させるとともに、被検体または被検体由来の物質を金属微小構造に付着させる。支持体上の金属微小構造とは、金属微粒子が析出してその凝集体が支持体上に島状に分布している構造である。このとき、混合液の蒸発を防止するために加湿環境下で支持体を所定時間に亘って静置するのが好ましい。
支持体は、中間混合液または混合液を作製する際に用いた容器であってもよいが、その容器とは別に用意された容器または基板であってもよく、基板として例えばスライドガラスであってもよい。また、所定パターンで撥水処理したスライドガラスを用いて、このスライドガラス上の撥水処理していない領域において混合液を作製して金属微小構造を生成させてもよい。
金属微小構造生成ステップS12において混合液に対して照射する光として、紫外光または可視光を用いることができる。可視光を用いる場合と比較して、400nm以下の短い波長の紫外光を用いる場合には、短時間に低パワーの光を照射することで効率的に金属イオンを還元することができる。また、混合液に対して照射する光は200nm以上の波長であるのが好ましい。
金属微小構造生成ステップS12の後に、支持体上の金属微小構造を乾燥させる乾燥ステップを行ってもよく、また、支持体上の金属微小構造を水(好適には超純水)により洗浄する洗浄ステップを行ってもよい。洗浄ステップでは、後の測定ステップS14での測定に不要な溶液を除去する。なお、この洗浄ステップは試料によっては行わなくてもよい。
測定ステップS14では、支持体上の金属微小構造に励起光を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する。励起光照射方向に対してラマン散乱光測定方向は任意であり、後方散乱光および前方散乱光の何れを測定してもよいし、他の方向への散乱光を測定してもよい。また、測定光学系の途中に、ラマン散乱光を選択的に透過させる光フィルタを設けるのが好ましい。励起光は好適にはレーザ光である。励起光が照射された金属微小構造において増強された電場が発生し(第1条件)、その増強された電場が到達する金属微小構造に被検体または被検体由来の物質が付着している(第2条件)ので、測定されるラマン散乱光は、被検体または被検体由来の物質から発生したSERS光である。
支持体上の狭い領域に金属微小構造が生成されている場合には、顕微分光装置を用いて励起光を照射するとともにSERS光スペクトルを測定するのが好ましい。支持体上の金属微小構造が生成されている領域が乾燥している状態で、励起光を照射してSERS光スペクトルを測定してもよい。金属微小構造に付着した被検体または被検体由来の物質が励起光照射により焼損することを抑制する為には、支持体上において金属微小構造を液体(例えば水)に浸漬させた状態とし、その浸漬した金属微小構造に励起光を照射するのが好ましい。この場合、液浸対物レンズを用いるのが好ましい。
分析ステップS15では、ラマン散乱光(SERS光)のスペクトルに基づいて被検体を分析する。具体的には、得られたSERS光スペクトルにおいてピークが現れるラマンシフト量の位置および該ピークの高さに基づいて、被検体を分析する。
図2は、第2実施形態の被検体分析方法のフローチャートである。第2実施形態の被検体分析方法は、混合ステップS21、金属微小構造生成ステップS22、付着ステップS23、測定ステップS24および分析ステップS25を順に行うことで被検体の分析を行う。第2実施形態の被検体分析方法では、金属微小構造生成ステップS22後の付着ステップS23において、被検体または被検体由来の物質を支持体上の金属微小構造に付着させる。以下では、第1実施形態の被検体分析方法と異なる点について主に説明する。
混合ステップS21では、金属イオンの溶液および還元剤を十分に混合して、混合液を作製する。金属微小構造生成ステップS22では、混合液に対して光を照射して混合液中の還元剤の還元作用により混合液中の金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させる。
付着ステップS23では、被検体または被検体由来の物質を支持体上の金属微小構造に付着させる。なお、付着ステップS23の前または後に、支持体上の金属微小構造を乾燥させる乾燥ステップを行ってもよく、また、支持体上の金属微小構造を水(好適には超純水)により洗浄する洗浄ステップを行ってもよい。
第2実施形態における測定ステップS24は、第1実施形態における測定ステップS14と同じである。第2実施形態における分析ステップS25は、第1実施形態における分析ステップS15と同じである。
次に、金属微小構造生成ステップS12,S22において混合液に対して照射する光の波長が200nm以上400nm以下であることが好ましい理由について説明する。図3は、ヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液の吸光スペクトル(破線)、および、ヒドロキシルアミン塩酸塩と硝酸銀との混合水溶液の吸光スペクトル(実線)を示す図である。ヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液は還元剤の一例である。ヒドロキシルアミン塩酸塩のみの場合には、この図において表示されている波長領域において光吸収が小さい。
これに対して、ヒドロキシルアミン塩酸塩と硝酸銀との混合水溶液の場合には、この混合により生成される塩化銀による光吸収により、400nm以下の波長領域で吸光度が上昇する。金属微小構造生成ステップS12,S22における光照射による金属微小構造の生成は、この塩化銀の光吸収に起因して生じる。ただし、200nm未満の波長領域では水による光吸収が増大するので、200nm以上の光を混合液に照射するのが好ましい。以上より、金属微小構造生成ステップS12,S22において混合液に対して照射する光の波長は200nm以上400nm以下であることが好ましい。
次に、実施例1~3について説明する。図4は、各実施例の測定ステップにおいてSERS光スペクトルの測定の際に用いた顕微分光装置1の光学系を示す図である。何れの実施例においても、金属微小構造を支持する支持体としてスライドガラスを用いた。支持体(スライドガラス)21の表面に、金属微粒子が析出してその凝集体が島状に分布している金属微小構造22を形成した。この金属微小構造22に被検体(または被検体由来の物質)23を付着させた。これら金属微小構造22および被検体23を水24に浸漬させてもよい。
励起光源11として、波長640nmのレーザ光を励起光Lとして出力するレーザダイオードを用いた。励起光源11から出力された励起光Lは、ダイクロイックミラー12により反射された後、対物レンズ13を経て金属微小構造22および被検体23に照射された。対物レンズ13を経て試料面に照射されたレーザ光のパワーは60μWであった。
励起光Lの照射により発生して対物レンズ13により捕集されたラマン散乱光(SERS光)Lは、ダイクロイックミラー12および光フィルタ14を透過して、分光器15に入射された。分光器15は冷却CCD検出器を備えたものであり、この分光器15によりSERS光のスペクトルが測定された。
実施例1の手順は、図2のフローチャートによるものであり、次のとおりであった。金属イオン溶液として硝酸銀水溶液(濃度5mM)を用い、還元剤としてヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液(濃度10mM)を用い、被検体を含む被測定溶液としてアデニン水溶液(濃度10μM)を用いた。
混合ステップS21では、支持体としてのスライドガラス上に金属イオン溶液10μLを滴下し、この滴下スポットに対して還元剤10μLを更に滴下して、これらをスライドガラス上で混合した。
金属微小構造生成ステップS22では、LED光源から出力された光をスライドガラス上の混合液に対して照射した。この光の波長は275nmであり、パワーは3mW程度であり、照射時間は20分間であった。この光照射により、混合液中の還元剤の還元作用により混合液中の銀イオンを還元し、銀の凝集物を析出させて、金属微小構造をスライドガラス上に生成させた。その後、金属微小構造を乾燥させた。
付着ステップS23では、被検体溶液10μLをスライドガラス上の金属微小構造に滴下して、被検体を金属微小構造に付着させた。
測定ステップS24では、スライドガラス上の金属微小構造に励起光(波長640nmのレーザ光)を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光(SERS光)のスペクトルを測定した。
実施例2の手順は、図1のフローチャートによるものであり、次のとおりであった。金属イオン溶液として硝酸銀水溶液(濃度5mM)を用い、還元剤としてヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液(濃度10mM)を用い、被検体を含む被測定溶液としてアデニン水溶液(濃度10μM)を用いた。
混合ステップS11では、支持体としてのスライドガラス上に金属イオン溶液10μLを滴下し、この滴下スポットに対して還元剤10μLを更に滴下して、これらをスライドガラス上で混合した。続いて、この滴下スポットに対して被検体溶液10μLを更に滴下して、これらをスライドガラス上で混合した。
金属微小構造生成ステップS12では、LED光源から出力された光をスライドガラス上の混合液に対して照射した。この光の波長は275nmであり、パワーは3mW程度であり、照射時間は20分間であった。この光照射により、混合液中の還元剤の還元作用により混合液中の銀イオンを還元し、銀の凝集物を析出させて、金属微小構造をスライドガラス上に生成させた。
測定ステップS14では、スライドガラス上の金属微小構造に励起光(波長640nmのレーザ光)を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光(SERS光)のスペクトルを測定した。
実施例3の手順は、図1のフローチャートによるものであり、次のとおりであった。金属イオン溶液として硝酸銀水溶液(濃度1.0mM)を用い、還元剤としてヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液(濃度20mM)を用い、被検体を含む被測定溶液として微生物分散液を用いた。ここで用いた微生物分散液は、液体培地にて培養した後の大腸菌(DH5αコンピテントセル)を遠心分離により回収して超純水中へ分散させたものである。
混合ステップS11では、支持体としてのスライドガラス上に金属イオン溶液2μLを滴下し、この滴下スポットに対して被検体溶液2μLを更に滴下して、これらをスライドガラス上で混合した。続いて、この滴下スポットに対して還元剤2μLを更に滴下して、これらをスライドガラス上で混合した。
金属微小構造生成ステップS12では、LED光源から出力された光をスライドガラス上の混合液に対して照射した。この光の波長は275nmであり、パワーは3mW程度であり、照射時間は20分間であった。この光照射により、混合液中の還元剤の還元作用により混合液中の銀イオンを還元し、銀の凝集物を析出させて、金属微小構造をスライドガラス上に生成させた。その後、金属微小構造を静置して乾燥させ、超純水で洗浄することにより、反応混合物中に残存していた塩を除去した。
測定ステップS14では、スライドガラス上の金属微小構造に励起光(波長640nmのレーザ光)を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光(SERS光)のスペクトルを測定した。
図5は、実施例1で得られたSERS光スペクトルを示す図である。図6は、実施例2で得られたSERS光スペクトルを示す図である。これらの図において、横軸はラマンシフト量(単位cm-1)を表し、縦軸はラマン散乱強度(任意単位)を表す。また、これらの図において、SERS光スペクトル毎に縦軸のゼロ点は異なっている。以降のSERS光スペクトルの図においても同様である。
図5および図6に示されるように、実施例1,2の何れの場合にも、ラマンシフト量735nm-1付近にアデニンに特徴的な呼吸振動に由来するピークが認められた。第1実施形態および第2実施形態の何れの被検体測定方法によっても、アデニンに特有のSERS光スペクトルが測定された。したがって、例えば、水に不溶で非水溶媒などに溶解した被検体であれば第2実施形態の被検体測定方法で測定をすることが可能であり、水溶性の被検体であれば第1実施形態の被検体測定方法で測定を実施することが可能である。
図7は、実施例3で作製された金属微小構造の顕微鏡像を示す図である。この顕微鏡像において、黒い部分は菌体を示し、白い部分は析出した銀の構造体を示す。測定ステップでは、黒い菌体と白い銀の構造体とが重なっている箇所を含む領域(図中で中央領域)に対して励起光を照射して、その励起光照射により発生したSERS光のスペクトルを測定した。
図8(a)は、実施例3で得られたSERS光スペクトルを示す図である。図8(b)は、アデニン、グアニン、チミンおよびシトシンそれぞれのSERS光スペクトルを示す図である。実施例3で得られたSERS光スペクトルにおいても、図5および図6のSERS光スペクトルと同様に、ラマンシフト量735nm-1付近にアデニンに特徴的なピークが認められた。また、実施例3で得られたSERS光スペクトルにおいては、アデニンだけでなく、他の核酸塩基であるグアニン、チミンおよびシトシンそれぞれに特徴的なピークも認められた。
非特許文献3によれば、コロイド粒子等を利用して菌体由来のSERS光スペクトルが得られており、このSERS光スペクトルにおけるピークは菌体に含まれる核酸および核酸塩基またはその代謝物によるものであるとされている。実施例3では、非特許文献3に記載されたSERS分光技術と同様に、核酸由来の物質によるピークを有するSERS光スペクトルが取得された。
以上のとおり、本実施形態の被検体分析方法は、混合液に対して光を照射して混合液中の還元剤の還元作用により混合液中の金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させ、この金属微小構造に被検体または被検体由来の物質を付着させ、これに対する励起光照射により発生するラマン散乱光(SERS光)のスペクトルを測定して、このスペクトルに基づいて被検体を分析する。従来の分析方法と比べると、本実施形態の被検体分析方法は簡便かつ迅速に分析を行うことができる。
従来の方法においては、SERS分光が可能な被検体は、金属微小構造を構成する金属に対して親和性が高く吸着し易いものに限られている。これに対して、本実施形態の被検体分析方法では、金属微小構造を構成する金属に対して親和性が低く吸着し難い被検体であっても、金属微小構造を作製することができ、その金属微小構造の狭隘な間隙に被検体または被検体由来の物質が入り込むことができ、第2条件を満たすことができるので、SERS分光による被検体の分析を行うことが可能となる。
従来の分析方法においては、SERS光スペクトル測定に際して事前にSERS基板や金属コロイドを用意しておくことが必要である。これに対して、本実施形態の被検体分析方法は、SERS光スペクトル測定の直前に、金属微小構造の生成および被検体(または被検体由来の物質)の金属微小構造への付着を行うことができる。したがって、本実施形態の被検体分析方法は、酸化しやすい銀による金属微小構造を生成する場合であっても、銀の酸化の問題を抑制することができ、効率的なSERS分光を行うことができる。
本実施形態の被検体分析方法は、SERS基板や金属コロイドの事前用意が不要であるので、これらの汚染が問題となることはなく、被検体の分析を容易に行うことができる。また、本実施形態の被検体分析方法は、SERS基板や金属コロイドと比べて安価に入手可能な金属イオン溶液を用いるので、この点でも容易に被検体の分析を行うことができる。
従来の金属コロイド分散液を利用する分析方法は、被検体が微量である場合にはSERS分光が困難である。これに対して、本実施形態の被検体分析方法は、被検体が微量であってもSERS分光が可能である。
また、従来の方法においはpH調整剤を使用するのが好ましかったが、本実施形態の被検体分析方法ではpH調整剤を使用する必要はない。したがって、本実施形態の被検体分析方法では、試料中のpH変動が抑えられるので、pH変動によって変化が生じたり又は分解してしまったりするなどの虞のある被検体の分析にも対応できる。また、pH調整剤を使用しない本実施形態の被検体分析方法は、薬品の使用量を低減することにもなるので、環境に優しいといえる。
1…顕微分光装置、11…励起光源、12…ダイクロイックミラー、13…対物レンズ、14…光フィルタ、15…分光器、21…支持体、22…金属微小構造、23…被検体(または被検体由来の物質)、24…水。

Claims (3)

  1. 被検体、金属イオンの溶液および還元剤を混合して混合液を作製する混合ステップと、
    前記混合液に対して光を照射して前記混合液中の前記還元剤の還元作用により前記混合液中の前記金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させるとともに、前記被検体または前記被検体由来の物質を前記金属微小構造に付着させる金属微小構造生成ステップと、
    前記支持体上の前記金属微小構造に励起光を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する測定ステップと、
    を備える被検体分析方法。
  2. 金属イオンの溶液および還元剤を混合して混合液を作製する混合ステップと、
    前記混合液に対して光を照射して前記混合液中の前記還元剤の還元作用により前記混合液中の前記金属イオンを還元して金属微小構造を支持体上に生成させる金属微小構造生成ステップと、
    被検体または前記被検体由来の物質を前記支持体上の前記金属微小構造に付着させる付着ステップと、
    前記付着ステップの後に前記支持体上の前記金属微小構造に励起光を照射し、その励起光照射により発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する測定ステップと、
    を備える被検体分析方法。
  3. 前記金属微小構造生成ステップにおいて、200nm以上400nm以下の波長の光を前記混合液に対して照射する、
    請求項1または2に記載の被検体分析方法。
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