JP2023074667A - フィラメント材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明は、環境に配慮する観点から、天然素材及び生分解性素材からなる3D印刷用フィラメント材料を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明は、フィラメント材料であって、フィラメント材料の総質量に対し、粉砕処理した木粉を10質量%~20質量%、ポリ乳酸を70質量%~85質量%、アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸(PBAT)を5質量%~10質量%の量で含むことを特徴とする、生分解性フィラメント材料、及びその製造方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、木粉を配合した天然素材樹脂を主とする3D印刷用フィラメント及びその製造方法に関する。
近年は、3Dプリンタが企業の製品開発全般の場面において急速に発達してきた。3Dプリンタは、種々の規模の機器の普及に伴い、試作品製造から製品開発全般の場面、例えば、商品企画、設計、製品の開発工程におけるデザインや機能の確認など多岐にわたる場面で活用されている。試作品を外注加工に委ねていた従来に比べて、開発者が自ら試作品を製作できる点で活躍の場が広がっている。
他方、個人の手作り品も3Dプリンタを用い容易に作成できることから、広く3Dプリンタによる樹脂成形品製造が用いられようとしている。
ところで、近年、プラスチックごみによる環境汚染問題が広く問題となっている。海洋に放出されるプラスチックごみが海洋生態系に影響を与えるだけでなく、ごみ処理増加の問題もあり、プラスチックごみ削減が提言されている。
したがって、3Dプリンタを用いて多くの試作品を製作する場面や、個人が制作する物品であっても、製作の結果生じる造形物の試作及び/又は製作の自由度が増した結果、廃棄される造形物が大量になることを考えれば、3Dプリント材料も、プラスチック素材が少ないほうが、環境に配慮する観点から好ましい。
特許文献1には、半結晶性ポリ乳酸70重量%及び木質系セルロース繊維のパルプ20重量%を含み、その他の材料はポリプロピレン10重量%である積層造形フィラメント材料、及び半結晶性ポリ乳酸80重量%及び木質系セルロース繊維のパルプが20重量%の積層造形フィラメント材料が開示されている。
特許文献2には、生分解性脂肪族-芳香族ポリエステル60-100重量部にポリ乳酸0-40重量部を加え、有機フィラー0-35重量部を含む生分解性ポリエステル組成物が開示されている。
特許文献3には、木片をソルボサーマル処理しさらに化学処理したセルロースナノファイバーを23重量%まで含むポリ乳酸との複合材料が開示されている。
特開2017-222169号公報 特表2018-526465号公報 特開2021-21041公報
しかしながら、特許文献1及び3は、天然素材をセルロース繊維処理する工程を必要とする。また、ポリ乳酸とアジピン酸ポリブチレンテレフタル酸と組み合わせて使用する態様は開示されていない。また、特許文献2は、膜材におけるフィッシュアイ等の発生を防止するための組成である。
したがって、本発明は、環境に配慮する観点から、天然素材及び生分解性素材からなる3D印刷用フィラメント材料を提供することを目的とする。また、本発明の別の観点から、木材の端材の簡易で適切な用途を提供するために、木の風合いを生かした天然素材及び生分解性素材からなり、木材に係る天然素材を含む組成物でも同等の機械的特性を有する3D印刷用フィラメント材料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、発明者は鋭意研究を重ね、以下を発明するに至った。
即ち、本発明は、
<1> フィラメント材料であって、
フィラメント材料の総質量に対し、粉砕処理した木粉を10質量%~20質量%、
ポリ乳酸を70質量%~85質量%、
アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸(PBAT)を5質量%~10質量%
の量で含むことを特徴とする、生分解性フィラメント材料。
<2> 前記粉砕処理した木粉に用いられる木材が、ブナ、ナラ、カバ、クワ、サクラ、トチ、クリ、クルミ、ケヤキ、キリ、アカマツ、クロマツ、スギ、ツガ、ヒノキ、イチョウ、カラマツ、モミ、及び竹類由来の木材から選ばれる、<1>に記載のフィラメント材料。
<3> 顔料又は着色剤を更に含む、<1>に記載のフィラメント材料。
<4> 前記木粉の分級による粒径が50~80μmである、<1>に記載のフィラメント材料。
<5> 前記木粉の分級による粒径が70~80μmである、<1>に記載のフィラメント材料。
<6> 下記工程:
木材を粉砕処理し分級による粒径50~80μmの木粉とする工程、
フィラメント材料の総質量に対し、前記粉砕処理した木粉を10質量%~20質量%とし、
ポリ乳酸を70質量%~85質量%、及び
アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸(PBAT)を5質量%~10質量%
の量で含む組成物を、前記木粉と混合する工程、
前記混合工程で得られた混合物を押出成形する工程、
を含むことを特徴とする、フィラメント材料の製造方法。
<7> 3Dプリンタ用フィラメントである、<1>~<5>に記載のフィラメント材料。
<8> <1>~<5>に記載のフィラメント材料を使用した成形品。
である。
本発明によれば、製造方法における加工処理を効率良く進めることができる簡便な木粉の処理工程を含む、生分解性の高いフィラメント材料を提供することが可能である。本発明によるフィラメント材料は、木の風合いを生かした色調の造形物を得ることができ、充分な硬度が得られる他、造形の際の熱によるゆがみも無い良好な仕上がりが得られる。また、比重に関してはPLA100%素材のフィラメントに比べ約30%の軽量化が実現された。さらに、生分解性に優れるため、各種成形品の製造だけでなく、多数の試作品製作をする場合にも廃棄物が環境に配慮される点で好適に用いられる。
なお、本発明による3Dプリンタ用フィラメントは、熱溶解積層法(Fused Filament Fablication:FDM)方式に用いる、リールに巻かれたフィラメント状の樹脂を指す。
本発明に係るフィラメント材料は、木粉と、生分解性プラスチックと、PBATとを含む。
そして、本発明によるフィラメント材料は、高い生分解性を示し、好ましくは90%~100%、より好ましくは、95%~100%、最も好ましくは、分解性100%(当該場合の生分解は、工業用コンポスト、温度60℃、湿度60%以上)を示す。
本発明に係るフィラメント材料の主原料は、木粉である。木粉を用いることにより、環境に配慮した成分分量を増やし、生分解性プラスチック素材の含有量を減じ、さらに、3Dプリンタで製造する試作品や製品に木の風合いを加味することができる。
木粉の例としては、原木又はその端材等の木材を機械的に粉砕して得られる。当該木材の例としては、ブナ、ナラ、カバ、クワ、サクラ、トチ、クリ、クルミ、ケヤキ、キリ等の広葉樹、アカマツ、クロマツ、スギ、ツガ、ヒノキ、イチョウ、カラマツ、モミ等の針葉樹、竹類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、汎用の木粉としては、ヒノキ、トドマツ、カラマツ、スギ等が利用可能であるが、これらに限定されるものではない。ただし、樹液が豊富でない木材がより好ましく用いられる。
本発明に使用される木粉は、樹皮を取り除いた木粉、樹皮を含んで粉状としたものいずれも使用され得、いずれの場合においても同様の色調のフィラメント材料を得られ得る。
また、本発明に使用される木粉は、原木から派生した端材の再利用も本発明の木粉として使用され得る。
木粉の粉砕方法は、例えば、概ね以下のとおりである。
先ず、桑の原木を、薪割機を用いて長さ30cm、縦横8cm以内の薪に切断し、次にチッパーと呼ばれる粉砕機で5cm程度の大きさの木片に切断し、水分が8%~14%になるまで乾燥させる。
続いて、粉砕機を用いて所定の粒径の木粉となるまで粉砕処理を行う。一例として、オリエント式粉砕機(オリエント粉砕機株式会社製、型番:VM-22K)で8mm程度の大きさに粉砕する。粉砕条件は、回転数940min-1、スクリーン径8.0mmとする。次いで、マキノ式粉砕機(槇野産業株式会社製、型番:DD―2-3.7)を用いて250μm程度の大きさに粉砕する。粉砕条件は、回転数5,600min-1、スクリーン径2.0mmとする。さらにマキノ式粉砕機にミクロシフター(槇野産業株式会社製、型番:MS-30-NF)をつなぎ分級することで77μm以下の大きさに粉砕する。粉砕条件は、マキノ式粉砕機の回転数5,600min-1、スクリーン径0.35mm、ミクロシフターの回転数100min-1、分級用スクリーンを用いる。
これらの木粉は、このように原木及び/又は廃材を粉砕したものであり、当該木粉の粒径は、数μm~数百μm、好ましくは50μm~80μm、より好ましくは70μm~80μm、例えば77μmである。
木粉の粒径は、分級を用いて測定され得る。粒径が大きすぎると、フィラメントの製造においてノズルの目詰まりを起こし好ましくないため、上記粒径が決定される。また、粒径が小さすぎると、粉砕処理の負荷が増し、また、後の混練り作業工程で木粉が拡散し不都合が生じる。
上記のとおり、煩雑な化学的前処理工程を要することなく木材を上記所定の粒径に加工することにより、本発明のフィラメント材料に添加される。
当該木粉の割合は、本発明のフィラメント材料の総質量に対し、5質量%~30質量%、より好ましくは10質量%~20質量%、最も好ましくは10質量%の割合でフィラメント材料の製造工程に添加される。木粉の割合が30質量%を超えると、本発明のフィラメントの特性を満たすことができず、木粉の割合が5質量%未満であると、木材の風合いが生かせず、また、木材端材の利用用途を生かす本発明の利点を生かすことができないので、上記割合が決定される。
本発明によるフィラメント材料のその他の成分は、ポリ乳酸(PLA)である。ポリ乳酸は、バイオマス由来の生分解性プラスチックである。この生分解性の高い素材であるポリ乳酸が最も本発明の目的に合致した材料である。本発明に使用されPLAは、高耐熱グレードが好ましいが、これに限定されるものではない。
当該ポリ乳酸の割合は、本発明のフィラメント材料の総質量に対し、好ましくは70質量%~85質量%、より好ましくは70質量%~83質量%の割合でフィラメント材料の製造工程に添加される。フィラメント材料中のポリ乳酸の割合が低すぎると、本発明のフィラメント材料の所望の製品特性を有するフィラメント材料が得られづらくなり、また、ノズル詰まりを起こしやすくなり、弾力性も保てない。ポリ乳酸の割合が高すぎると、本発明のフィラメントの特徴である木の風合いが得られにくくなる。
本発明によるフィラメント材料に含まれる他の成分は、アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸である。アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸は、石油化学由来であるが、生分解性プラスチックであり、本発明に少量用いる。
当該アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸の割合は、本発明のフィラメント材料の総質量に対し、5質量%~10質量%、より好ましくは5質量%~8質量%、最も好ましくは5質量%~7質量%の割合でフィラメント材料の製造工程に添加される。
当該アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸の割合は、本発明に係るフィラメント材料を得るために好適な割合を提供するものである。アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸量を増加させると、ポリ乳酸量を相対的に減少させることになるため、フィラメントの強度が保てなくなる。また、アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸量が少なすぎると、フィラメントの弾力性が失われるため、上記範囲が決定される。
本発明によるフィラメント材料は、上記成分以外に、その他の成分として添加剤を任意に含み得る。添加剤の例としては、潤滑剤、顔料又は着色剤等が挙げられ、例えば、オイルの一種であるパラフィンオイルは、混練時の原料の均等分散のために適宜用いられ有効であり、任意に含まれ得る。パラフィンオイルの他に、例えば、パラフィンワックス、加工助剤オイル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のフィラメント材料に用いる木粉は、木材を乾燥後、適宜所望の大きさに裁断し所望の粒径を得るために粉砕処理を行う。木材の端材の簡易な用途を提供するため、化学的処理は行われない。
そして、本発明によるフィラメント材料は、公知のフィラメント製造用押出機を用いて所望の形状のフィラメント材料に成形され、巻取り機で巻取り製造することができる。
そして、本発明のフィラメントから、適正な出力条件の元で得られた造形物は、充分な硬度が得られる他、造形の際の熱によるゆがみも無い良好な仕上がりとなっている。
下記に、本発明の態様の例を説明する。
実施例1
木粉の粉砕
桑の原木を、薪割機を用いて長さ30cm、縦横8cm以内の薪に切断し、次にチッパーと呼ばれる粉砕機で5cm程度の大きさの木片に切断し、水分が8%~14%になるまで乾燥させた。
続いて、これをオリエント式粉砕機(オリエント粉砕機株式会社製、型番:VM-22K)で8mm程度の大きさに粉砕した。粉砕条件は、回転数940min-1、スクリーン径8.0mmとした。次いで、マキノ式粉砕機(槇野産業株式会社製、型番:DD―2-3.7)を用いて250μm程度の大きさに粉砕した。粉砕条件は、回転数5,600min-1、スクリーン径2.0mmとした。さらにマキノ式粉砕機にミクロシフター(槇野産業株式会社製、型番:MS-30-NF)をつなぎ分級することで77μm以下の大きさに粉砕した。粉砕条件は、マキノ式粉砕機の回転数5,600min-1、スクリーン径0.35mm、ミクロシフターの回転数100min-1、分級用スクリーンを用いた。
実施例2
生分解性フィラメント製造に、AS-1押出機(株式会社エーペックスジャパン製)を使用した。桑の原木を粉砕した木粉(粒径77μm)10質量部、PLA(ポリ乳酸:とうもろこし澱粉樹脂、安徽豊原福泰来聚乳酸有限公司製、型番:P-2012-10122、)83質量部及びPBAT(アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸、営口康輝石化有限公司製、型番:KHB2021)7質量部を、AS-1押出機に供給する。ベンダー推奨の押出設定の下で、上記木粉と樹脂ブレンドを、淡褐色を有するφ1.75mmフィラメントに押出成形した。
実施例2において作製したフィラメントを長さ50×φ1.75mmの試験片とし、JIS K 7161-1に準拠した引張試験(測定数n=5)、JIS K 7171に準拠した曲げ試験(測定数n=5)を行った。また、実施例2において作製したフィラメントを長さ160×φ1.75mmの試験片とし、JIS K 7111-1に準拠したシャルピー衝撃試験(測定数n=4)を行った。
結果を下記表に示す。
Figure 2023074667000001

注)N:未破壊
結果より、木粉を上記割合で添加してもポリ乳酸を原料とする材料の所定の性能を有していた。特に、引張弾性率・曲げ弾性率の結果は、市販されているフィラメントに比べ高い数値が出ており、品質的にも十分なものと考えられる。
実施例3
桑の木粉20質量部、ポリ乳酸(マエダ化成株式会社製、型番:L130)70質量部及びPBAT(アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸、営口康輝石化有限公司製、型番:KHB2021)10質量部とし、パラフィン油数滴を添加した以外は実施例2と同様の方法を用いて種々の直径を有するフィラメントを押出成形した。
実施例3で製造したフィラメント材料の、JIS K 7161-2に準拠した引張試験の測定結果を表2に示す。
Figure 2023074667000002
実施例4
実施例2で製造したフィラメントを用いて、FFF(熱溶解積層)方式3Dプリンタ(フラッシュフォージ(登録商標)社製)を用いて、下記A~Cのモデルを製造した。
A:六角ネジ(長さ30mm、ネジ径6mm)
B:家屋モデル(D45mm、W67mm、H32mm)
C:カブトムシ(体長95mm)
得られた成形物のサポート材を除去し、最終製品(重量は、それぞれAは1.12g、Bは9.35g、Cは25g)を得、その外観を観察した。
比較例1
市販のPLA100%フィラメント(フラッシュフォージ(登録商標)社製、1.75mmPLAライトグレーフィラメント)を用いて、実施例4と同様にA~Cのモデルを製造した。
実施例4において製造したA~Cのモデルはいずれも、比較例1でのモデルと比較して、充分な硬度が得られる他、造形の際の熱によるゆがみも無い良好な仕上がりが得られ、強度や正確性も保持していた。また、比重に関しては約30%軽量となった。さらに、木の風合いを生かした色調の造形物を得ることができた。
実施例5
実施例2で製造したフィラメントを用いて、FFF(熱溶解積層)方式3Dプリンタ(フラッシュフォージ(登録商標)社製)を用いて、全長45mmの亀の置物モデル50個を連続して製造し、サポート材を除去した後に最終製品各4.85gを得た。
外観を観察した結果、全てのモデルにおいて同品質のモデルを製造することができ、従来のフィラメントと同様に連続製造が可能であった。充分な硬度が得られる他、造形の際の熱によるゆがみも無い良好な仕上がりが得られ、強度や正確性も保持していた。また、木の風合いを生かした色調の造形物を得ることができた。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、かかる特定の実施態様に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の改良・変更が可能である。
本発明は、木粉を配合した天然素材樹脂を主とする3Dプリンタ用フィラメント及びその製造方法に関する。
しかしながら、特許文献1及び3は、天然素材をセルロース繊維処理する工程を必要とする。また、ポリ乳酸とポリブチレンアジペートテレフタレートと組み合わせて使用する態様は開示されていない。また、特許文献2は、膜材におけるフィッシュアイ等の発生を防止するための組成である。
したがって、本発明は、環境に配慮する観点から、天然素材及び生分解性素材からなる3Dプリンタ用フィラメント材料を提供することを目的とする。また、本発明の別の観点から、木材の端材の簡易で適切な用途を提供するために、木の風合いを生かした天然素材及び生分解性素材からなり、木材に係る天然素材を含む組成物でも同等の機械的特性を有する3Dプリンタ用フィラメント材料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、発明者は鋭意研究を重ね、以下を発明するに至った。
即ち、本発明は、
<1> フィラメントであって、
フィラメント材料の総質量に対し、粉砕処理した木粉を10質量%~20質量%、
ポリ乳酸を70質量%~85質量%
ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)を5質量%~10質量%
の量で含むことを特徴とする、生分解性の3Dプリンタ用のフィラメント。
<2> 前記粉砕処理した木粉に用いられる木材が、ブナ、ナラ、カバ、クワ、サクラ、トチ、クリ、クルミ、ケヤキ、キリ、アカマツ、クロマツ、スギ、ツガ、ヒノキ、イチョウ、カラマツ、モミ、及び竹類由来の木材から選ばれる、<1>に記載のフィラメント。
<3> 顔料又は着色剤を更に含む、<1>に記載のフィラメント。
<4> 前記木粉の分級による粒径が50~80μmである、<1>に記載のフィラメント。
<5> 前記木粉の分級による粒径が70~80μmである、<1>に記載のフィラメント。
<6> 下記工程:
木材を粉砕処理し分級による粒径50~80μmの木粉とする工程、
フィラメント材料の総質量に対し、前記粉砕処理した木粉を10質量%~20質量%とし、
ポリ乳酸を70質量%~85質量%、及
ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)を5質量%~10質量%
の量で含む組成物を、前記木粉と混合する工程、
前記混合工程で得られた混合物を押出成形する工程、
を含むことを特徴とする、3Dプリンタ用のフィラメントの製造方法、
ある。
当該ポリ乳酸の割合は、本発明のフィラメント材料の総質量に対し、好ましくは70質量%~85質量%、より好ましくは70質量%~83質量%の割合でフィラメント材料の製造工程に添加される。フィラメント材料中のポリ乳酸の割合が低すぎると、本発明のフィラメントの所望の製品特性を有するフィラメントが得られづらくなり、また、ノズル詰まりを起こしやすくなり、弾力性も保てない。ポリ乳酸の割合が高すぎると、本発明のフィラメントの特徴である木の風合いが得られにくくなる。
本発明によるフィラメント材料に含まれる他の成分は、ポリブチレンアジペートテレフタレートである。ポリブチレンアジペートテレフタレートは、石油化学由来であるが、生分解性プラスチックであり、本発明に少量用いる。
該ポリブチレンアジペートテレフタレートの割合は、本発明のフィラメント材料の総質量に対し、5質量%~10質量%、より好ましくは5質量%~8質量%、最も好ましくは5質量%~7質量%の割合でフィラメント材料の製造工程に添加される。
該ポリブチレンアジペートテレフタレートの割合は、本発明に係るフィラメントを得るために好適な割合を提供するものである。ポリブチレンアジペートテレフタレート量を増加させると、ポリ乳酸量を相対的に減少させることになるため、フィラメントの強度が保てなくなる。また、ポリブチレンアジペートテレフタレート量が少なすぎると、フィラメントの弾力性が失われるため、上記範囲が決定される。
実施例2
生分解性フィラメント製造に、AS-1押出機(株式会社エーペックスジャパン製)を使用した。桑の原木を粉砕した木粉(粒径77μm)10質量部、PLA(ポリ乳酸:とうもろこし澱粉樹脂、安徽豊原福泰来聚乳酸有限公司製、型番:P-2012-10122、)83質量部及びPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート、営口康輝石化有限公司製、型番:KHB2021)7質量部を、AS-1押出機に供給する。ベンダー推奨の押出設定の下で、上記木粉と樹脂ブレンドを、淡褐色を有するφ1.75mmフィラメントに押出成形した。
実施例3
桑の木粉20質量部、ポリ乳酸(マエダ化成株式会社製、型番:L130)70質量部及びPBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート、営口康輝石化有限公司製、型番:KHB2021)10質量部とし、パラフィン油数滴を添加した以外は実施例2と同様の方法を用いて種々の直径を有するフィラメントを押出成形した。

Claims (8)

  1. フィラメント材料であって、
    フィラメント材料の総質量に対し、粉砕処理した木粉を10質量%~20質量%、
    ポリ乳酸を70質量%~85質量%、
    アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸(PBAT)を5質量%~10質量%
    の量で含むことを特徴とする、生分解性フィラメント材料。
  2. 前記粉砕処理した木粉に用いられる木材が、ブナ、ナラ、カバ、クワ、サクラ、トチ、クリ、クルミ、ケヤキ、キリ、アカマツ、クロマツ、スギ、ツガ、ヒノキ、イチョウ、カラマツ、モミ、及び竹類由来の木材から選ばれる、請求項1に記載のフィラメント材料。
  3. 顔料又は着色剤を更に含む、請求項1に記載のフィラメント材料。
  4. 前記木粉の分級による粒径が50~80μmである、請求項1に記載のフィラメント材料。
  5. 前記木粉の分級による粒径が70~80μmである、請求項1に記載のフィラメント材料。
  6. 下記工程:
    木材を粉砕処理し分級による粒径50~80μmの木粉とする工程、
    フィラメント材料の総質量に対し、前記粉砕処理した木粉を10質量%~20質量%とし、
    ポリ乳酸を70質量%~85質量%、及び
    アジピン酸ポリブチレンテレフタル酸(PBAT)を5質量%~10質量%
    の量で含む組成物を、前記木粉と混合する工程、
    前記混合工程で得られた混合物を押出成形する工程、
    を含むことを特徴とする、フィラメント材料の製造方法。
  7. 3Dプリンタ用フィラメントである、請求項1~5に記載のフィラメント材料。
  8. 請求項1~5に記載のフィラメント材料を使用した成形品。
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