JP2023073601A - ポリアリーレンスルフィド組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械的物性、難燃性、成形加工性に優れ、かつエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等との接着性に優れると同時に、帯電防止性能、難燃性に優れるポリアリーレンスルフィド組成物を提供する。【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド(A)30~83.5重量%、エチレン共重合体(B)1~15重量%、エポキシ当量が450~2300、かつ融点が50~135℃のビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)0.5~15重量%、導電性充填材(D)15~40重量%を含むポリアリーレンスルフィド組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィドの本来有する耐熱性、機械的強度、成形加工性などを損なうことなく、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等との接着性を改良すると同時に、帯電防止性能、難燃性に優れるポリアリーレンスルフィド組成物に関するものである。
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(以下、PPSと略記することもある。)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略記することもある。)は、優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性、耐薬品性を有し、多くの電気・電子機器部材や自動車機器部材、その他OA機器部材等に幅広く使用されている。
そして、これら部品はその二次加工として他部材とエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等からなる(接着)材料とを介し、接着し複合体としての使用が検討されている。しかし、PAS材料は、接着剤との接合力が比較的小さいことから、これらエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等からなる(接着)材料とPASからなる部品材料との接着性に課題を有することが多い。
そこで、部品材料との接着性を改良する方法として、ポリアリーレンスルフィド樹脂にエポキシ樹脂を配合した組成物(例えば、特許文献1参照。)、ポリアリーレンスルフィドにビスフェノールA型エポキシ樹脂、無水マレイン酸変性エチレン系共重合体、カルナバワックスを配合した組成物(例えば特許文献2参照。)、等が提案されている。
また、ポリアリーレンスルフィドは、ガラス繊維や炭酸カルシウム等の無機充填材を配合した組成物として各種用途に展開されている。その際にガラス繊維や炭酸カルシウム等の無機充填材は電気絶縁材料であることから、それらを配合したPAS組成物部品は、表面抵抗率が高く、摩擦等により帯電しやすい、帯電部品が静電気を発生する、空気中の塵を吸着する、などの課題を有する上に、帯電により電子製品の回路が不良動作を起こす、等の課題を有する場合があり、PAS組成物の帯電防止性を改良する方法として、樹脂材料に導電性充填材を配合した組成物が提案されている(例えば特許文献3、4参照。)。
特許第4873117号 特開2006-45293号公報 特公平3-50792号 特開2000-336266号公報
しかしながら、特許文献1に提案の樹脂組成物は、エポキシ樹脂等との接着性改良には更なる検討を要するものである上に、ウレタン樹脂との接着性、帯電防止性については検討のなれていないものであった。また、特許文献2に提案の組成物は、接着性の改良効果の見られるものではあるが、難燃性に課題を生じやすいものであった。さらに、特許文献3、4に提案の樹脂組成物は、表面抵抗率の性能としては十分なものではなく、接触時に激しい静電気放電を起こし、電気製品の損傷が懸念されるものであった。
そこで、本発明は、PASが有する機械的物性、成形加工性を損なうことなく、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂との接着性を改良すると同時に、帯電防止性能、難燃性にも優れるPAS組成物を提供するものである。
本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討した結果、PAS、エチレン系共重合体、特定のエポキシ樹脂、導電性充填材をそれぞれ特定の割合で含むPAS組成物が、機械的物性、難燃性、成形加工性かつエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂との接着性および帯電防止性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、PAS(A)30~83.5重量%、エチレン系共重合体(B)1~15重量%、エポキシ当量が450~2300、かつ融点が50~135℃のビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)0.5~15重量%及び導電性充填材(D)15~40重量%を含むことを特徴とするPAS組成物に関するものである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のPAS組成物は、PAS(A)30~83.5重量%、エチレン系共重合体(B)1~15重量%、エポキシ当量が450~2300、かつ融点が50~135℃のビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)0.5~15重量%、導電性充填材(D)15~40重量%を含んでなるものである。
本発明のPAS組成物を構成するPAS(A)としては、一般にPASと称される範疇に属するものであればよく、該PASとしては、例えばp-フェニレンスルフィド単位、m-フェニレンスルフィド単位、o-フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルフォン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ビフェニレンスルフィド単位からなる単独重合体又は共重合体を挙げることができ、該PASの具体的例示としては、PPS、ポリフェニレンスルフィドスルフォン、ポリフェニレンスルフィドケトン、ポリフェニレンスルフィドエーテル等が挙げられ、その中でも、特に耐熱性、強度特性に優れるPAS組成物となることから、PPSであることが好ましい。
該PAS(A)の製造方法としては、PASの製造方法として知られている方法により製造することが可能であり、例えば極性溶媒中で硫化アルカリ金属塩、ポリハロ芳香族化合物を重合することにより得る事が可能である。その際の極性有機溶媒としては、例えばN-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等を挙げる事ができ、硫化アルカリ金属塩としては、例えば硫化ナトリウム、硫化ルビジウム、硫化リチウムの無水物又は水和物を挙げる事ができる。また、硫化アルカリ金属塩としては、水硫化アルカリ金属塩とアルカリ金属水酸化物を反応させたものであってもよい。ポリハロ芳香族化合物としては、例えばp-ジクロロベンゼン、p-ジブロモベンゼン、p-ジヨードベンゼン、m-ジクロロベンゼン、m-ジブロモベンゼン、m-ジヨードベンゼン、4,4’-ジクロロジフェニルスルホン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロジフェニルエーテル、4,4’-ジクロロジビフェニル等を挙げる事ができる。
また、PAS(A)としては、直鎖状のものであっても、重合時にトリハロゲン以上のポリハロゲン化合物を少量添加して若干の架橋又は分岐構造を導入したものであっても、PASの分子鎖の一部及び/又は末端を例えばカルボキシル基、カルボキシ金属塩、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基等の官能基により変性されたものであっても、窒素などの非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。また、該PAS(A)は、加熱硬化前又は後に脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄など)、あるいはアセトン、メチルアルコールなどの有機溶媒による洗浄処理を行うことによってイオン、オリゴマーなどの不純物を低減させたものであってもよい。さらに、重合反応終了後に不活性ガス又は酸化性ガス中で加熱処理を行い、硬化を行ったものであってもよい。
本発明のPAS組成物を構成するPAS(A)の配合量は、30~83.5重量%であり、35~70重量%であることが好ましい。ここで、ポリアリーレンスルフィドの配合量が30重量%未満である場合、得られる組成物は、耐熱性、成形加工性、機械的物性、難燃性に劣るものとなる。一方、83.5重量%を超える場合、得られる組成物は、組成物の接着性、帯電防止性に劣るものとなる。
本発明のPAS組成物を構成するエチレン系共重合体(B)は、エチレン系共重合体の範疇に属するものであればよく、その中でも特にPAS組成物の接着性を改良する効果に優れるものとなることから、エチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル-無水マレイン酸共重合体,エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体,エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-酢酸ビニル共重合体,エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体及び無水マレイン酸グラフト変性エチレン-α-オレフィン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種以上のエポキシ変性エチレン系共重合体又は無水マレイン酸変性エチレン系共重合体であることが好ましい。
該エチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル-無水マレイン酸共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるPAS組成物が接着性に優れることから、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=50~98:40~1:10~1の範囲であることが好ましい。該エチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル-無水マレイン酸共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンダインLX4110(SK global chemical社製)、(商品名)ボンダインTX8030(SK global chemical社製)、(商品名)ボンダインAX8390(SK global chemical社製)等が挙げられる。
該エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるPAS組成物が接着性に優れることから、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位(重量比)=85~99:15~1の範囲であることが好ましい。該エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンダインAX8840(SK global chemical社製)、(商品名)ボンドファーストE(住友化学(株)製)等が挙げられる。
該エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-酢酸ビニル共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるPAS組成物が接着性に優れることから、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位:酢酸ビニル残基単位(重量比)=50~98:15~1:35~1の範囲であることが好ましい。該エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-酢酸ビニル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンドファースト2B(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファースト7B(住友化学(株)製)等が挙げられる。
該エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるPAS組成物が接着性に優れることから、エチレン残基単位:α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル残基単位:α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル残基単位(重量比)=50~98:10~1:40~1の範囲であることが好ましい。該エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンドファースト7L(住友化学(株)製)、(商品名)ボンドファースト7M(住友化学(株)製))、(商品名)LOTADER AX8700(SK global chemical社製)、(商品名)LOTADER AX8750(SK global chemical社製)等が挙げられる。
該無水マレイン酸グラフト変性エチレン-α-オレフィン共重合体としては、この範疇に属するものであれば如何なるものを用いても良く、中でも得られるPAS組成物が接着性に優れることから、エチレン残基単位:α-オレフィン残基単位:無水マレイン酸残基単位(重量比)=50~98:45~1:5~1の範囲からなるものであることが好ましく、具体的には無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン-プロピレンゴム等が挙げられる。該無水マレイン酸グラフト変性エチレン-α-オレフィン共重合体は、例えばエチレン-α-オレフィン共重合体、過酸化物、無水マレイン酸を共存し、グラフト化反応を進行することにより入手することが可能である。
そして、エチレン系共重合体(B)を構成するα-オレフィンとは、炭素数が3以上のα-オレフィンを言い、例えばプロピレン、ブテン-1、4-メチル-ペンテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1等を例示できる。また、α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸等のアルキルエステルが挙げられ、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチル等が挙げられる。α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステルとしては、例えばアクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステルが挙げられる。
該エチレン系共重合体(B)の配合量としては、とりわけ接着性に優れたPAS組成物となることから1~15重量%であり、3~10重量%であることが好ましい。ここで、エチレン系共重合体(B)の配合量が1重量%未満である場合、得られる組成物は接着性に劣るものとなる。一方、配合量が20重量%を超える場合、得られる組成物は難燃性に劣るものとなり好ましくない。
本発明のPAS組成物を構成するエポキシ樹脂(C)は、エポキシ当量が450~2300、かつ融点が50~135℃のビスフェノールA型エポキシ樹脂であり、その中でもエポキシ当量が700~2100、かつ融点が80~131℃のビスフェノールA型エポキシ樹脂が好ましく、その性状としては、エポキシ基を2個以上含む固体状のビスフェノールA型エポキシ樹脂が用いられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂である場合、得られる組成物は接着性に劣るものとなる。
ここで、エポキシ当量が450未満のビスフェノールA型エポキシ樹脂である場合、得られる組成物を成形品とする際に金型汚染性が著しく悪化したり、成形品の外観が劣ったものとなる。一方、エポキシ当量が2300を超えるビスフェノールA型エポキシ樹脂である場合、得られる組成物は接着強度の改善効果にバラツキが発生し、扱い難いものとなる。また、融点が50℃未満のビスフェノールA型エポキシ樹脂である場合、得られる組成物を成形品とする際に金型汚染性が著しく悪化したり、成形品の外観が劣ったものとなる。一方、融点が135℃を超えるビスフェノールA型エポキシ樹脂である場合、得られる組成物の接着強度の改善効果にバラツキが発生し、扱い難いものとなる。
該エポキシ樹脂(C)の配合量としては、0.5~15重量%であり、特に機械的物性、耐熱性、接着性に優れるPAS組成物となることから1.0~10重量%であることが好ましい。ここで、エポキシ樹脂(C)の配合量が0.5重量%未満である場合、得られる組成物は接着性改良効果が発現しない。一方、エポキシ樹脂(C)の配合量が20重量%を超える場合、得られる組成物は難燃性に劣るものとなる。
本発明のPAS組成物を構成する導電性充填材(D)は、導電性充填材の範疇に属するものであれば公知のものを使用可能である。導電性充填材としては、例えば金、銀、銅、鉄、アルミなどの金属系導電性充填材;PAN系炭素繊維,ピッチ系炭素繊維などの炭素繊維、黒鉛、アセチレンブラック,ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、カーボンナノチューブなどの炭素系導電性充填材、等が挙げられ、その中でも金型摩耗性、低比重の観点、更には適度な導電性を制御しやすいことから繊維径10~200μmの炭素繊維、平均粒径10~200μmの黒鉛、カーボンブラックなどの炭素系導電性充填材が好ましい。該導電性充填材(D)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
そして、該導電性充填材(D)の配合量としては15~40重量%である。ここで、15重量%未満である場合、得られる組成物は帯電防止性に劣るものとなる。一方、40重量%を超える場合、得られる組成物は、表面抵抗値が極めて低くなるため、激しい静電気放電を発生する可能性が高くなる。
本発明のPAS組成物は、特に機械的強度、寸法安定性に優れたものとなることからPAS組成物100重量部に対し、さらに繊維状充填材及び/又は無機充填材1~150重量部を配合してなるものが好ましい。繊維状充填材としては、例えばガラス繊維、ウイスカー、無機系繊維、有機系繊維、鉱物系繊維等が挙げられ、その中でも特にガラス繊維であることが好ましい。該繊維状充填材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用することも可能であり、必要によりエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物又はポリマーで、予め表面処理したものを用いてもよい。
また無機充填材とは、板状、粉粒状の無機物であり、例えば炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、マイカ、シリカ、タルク、クレイ、硫酸カルシウム、カオリン、ワラステナイト、ゼオライト、ガラスパウダー、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化スズ、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、黒鉛、カーボンブラック、ガラスパウダー、ガラスバルーン、ガラスフレーク、ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらの無機充填材は2種以上を併用することも可能であり、必要によりエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物又はポリマーで、予め表面処理したものを用いてもよい。
本発明のPAS組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の可塑剤;酸化防止剤;紫外線防止剤;熱安定剤;離型剤;滑剤;結晶核剤;発泡剤、シランカップリング剤などの通常の添加剤を1種以上添加するものであってもよい。
さらに、本発明のPAS組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、各種熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、例えばシアン酸エステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアルキレンオキサイド等の1種以上を混合して使用してなるものであってもよい。
本発明のPAS組成物の製造方法としては特に制限はなく、一般的な混合・混練方法として知られている方法を用いる事が可能であり、例えば全ての原材料を配合し溶融混練する方法;原材料の一部を配合した後で溶融混練し、さらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法;あるいは原材料の一部を配合後単軸又は二軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法、など、いずれの方法を用いてもよい。また、小量の添加成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加することで使用してもよい。そして、溶融混練を行う方法としては、従来から使用されている加熱溶融混練方法を用いることができ、例えば単軸又は二軸押出機、ニーダー、ミル、ブラベンダーなどによる加熱溶融混練方法が挙げられ、特に混練能力に優れた二軸押出機による溶融混練方法が好ましい。また、この際の混練温度は特に限定されるものではなく、通常260~350℃の中から任意に選ぶことができる。
本発明のPAS組成物は、優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性、耐薬品性を有し、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等、特にウレタン樹脂との接着性が良好な特徴を有する。また、優れた難燃性を有するものであることが好ましく、その際の難燃性としては、UL-94に準拠した燃焼性レベルがV-0相当であることが好ましい。さらに、優れた帯電防止性能を有するものであることが好ましく、表面低効率が1.0×10以上1.0×1011Ω以下であることが好ましい。その際の表面低効率の測定方法としては、例えば70mm×70mm×2mmのプレート試験片を成形し、高抵抗測定器を用い、温度23±2℃、湿度50±5%RH,印加電圧DC1V、60秒の条件にて測定する方法を挙げることができる。
そして、得られたPAS組成物は、射出成形機、押出成形機、圧縮成形機などを用いて任意の形状に成形することができる。このようにして得られた成形品としては、リレーケース、バリコンケース、コンデンサーケース、パワーモジュールケース、インテリジェントパワーモジュールケース、エンジンコントロールユニットケース、点火装置ケース、ランプハウジング等の各種ケースとすることができ、電気・電子機器部材、自動車部材、OA機器部材などに幅広く使用できる。
本発明は、PAS樹脂の有する機械的物性、耐熱性、成形加工性を損なうことなく、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等、特にウレタン樹脂との接着性の付与と同時に、帯電防止性能、難燃性に優れたPAS組成物に関するものである。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
実施例及び比較例において用いた、PAS(A)、エチレン系共重合体(B)、エポキシ樹脂(C)、導電性充填材(D)を以下に示す。
<PAS(A)>
ポリ(p-フェニレンスルフィド)(A-1)(以下、PPS(A-1)と記す。):溶融粘度200ポイズ。
<エチレン系共重合体(B)>
エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B-1)(以下、PE(B-1)と記す。):SK global chemical社製、(商品名)ロタダーAX8700。
エチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル-無水マレイン酸共重合体(B-2)以下、PE(B-2)と記す。):SK global chemical社製、(商品名)ボンダインAX8390。
<エポキシ樹脂(C)>
エポキシ樹脂(C-1);ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC(株)製、(商品名)エピクロン3050;エポキシ当量780、融点95℃。
エポキシ樹脂(C-2);ビスフェノールA型エポキシ樹脂、DIC(株)製、(商品名)エピクロン7050;エポキシ当量2000、融点125℃。
<導電性充填材(D)>
ピッチ系ミルド炭素繊維(D-1)(以下、CF(D-1)と記す。);大阪ガスケミカル(株)製、(商品名)ドナカーボ・ミルドS343;繊維径18μm、平均繊維長0.7mm、アスペクト比39。
球状黒鉛(D-2)(以下、CB(D-2)と記す。);球状黒鉛、伊藤黒鉛工業(株)製、(商品名)SG-BL40;平均粒子径40μm。
<合成例1(PPS(A-1)の合成)>
攪拌機を装備する15リットルオートクレーブに、フレーク状硫化ソーダ(NaS・2.9HO)1814g、30%苛性ソーダ溶液(30%NaOHaq)48g及びN-メチル-2-ピロリドン3679gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、380gの水を留去した。190℃まで冷却した後、p-ジクロロベンゼン2107g、N-メチル-2-ピロリドン985gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて1時間重合させた後、25分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合後、減圧下で重合スラリーからN-メチル-2-ピロリドンを蒸留操作で回収した。最終到達温度は170℃で圧力は4.7kPaであった。得られたケーキに80℃の温水を加えスラリー濃度20%として洗浄し、再度、同様に温水を加え175℃まで昇温してポリ(p-フェニレンスルフィド)の洗浄を合計2回行った。得られたポリフェニレンスルフィドを105℃で一昼夜乾燥した。次いで、乾燥したポリフェニレンスルフィドをバッチ式ロータリーキルン型焼成装置に充填し、窒素雰囲気下で235℃まで昇温し、1時間の保持による硬化処理を行うことによって、溶融粘度200ポイズのPPS(A-1)を得た。
~PASの溶融粘度測定~
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター(島津製作所製、(商品名)CFT-500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
~接着強度の測定~
実施例により得られたPAS組成物をASTM1号引張試験片に成形し、該試験片を2つに切断しバリを取った後、アセトンで表面を洗浄し、接着面積1.3cmにて、ウレタン系接着剤(日本シーカ(株)製;(商品名)シーカフレックス-268)を塗布し、バインダークリップ(ライオン(株)製、(商品名)No.155)にて固定後、23℃×50%RH雰囲気下で96時間静置しウレタン系接着剤を硬化させ、接着強度測定試験片を調製した。
得られた接着強度測定試験片は、その後、バインダークリップをはずし低速引張試験機(島津製作所製:(商品名)オートグラフAG-5000B)により、50mm/分の引張速度で引張剪断接着強度の試験を行い、その結果を接着強度とした。
~表面抵抗率~
実施例により得られたPAS組成物を70mm×70mm×2mmのプレート試験片に成形し、高抵抗測定器(アジレント・テクノロジー(株)製、(商品名)ハイレジスタンスメーター4339B)により測定した。測定環境は、温度23±2℃、湿度50±5%RH,印加電圧DC1V、60秒で実施した。表面抵抗率が1.0×10Ω以上1.0×1011Ω以下であるものを帯電防止性能として優れると判断した。
~難燃性~
実施例により得られたPAS組成物を125mm×13mm×2.0mmの短冊状試験片に成形し、UL-94に準拠し測定を行った。燃焼性レベルがV-0相当であるものを優れると判断した。
実施例1
PPS(A-1)64重量%、PE(B-1)4重量%、エポキシ樹脂(C-1)3重量%、CF(D-1)30重量%をあらかじめヘンシェルミキサーにて均一に混合した。その後、スクリュー径37mmφの二軸押出機(東芝機械(株)製、(商品名)TEM―35B-102B)を用い、シリンダー温度300℃で溶融混練してペレット化したPAS組成物を得た。
得られたPAS組成物を120℃で5時間乾燥後、シリンダー温度300℃、金型温度140℃に設定した射出成形機(住友重機械工業製、(商品名)SE75S)によりを試験片に成形し、接着強度、表面抵抗率、難燃性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例2
PPS(A-1)64重量%を61重量%、CF(D-1)30重量%を33重量%に変更し、PAS組成物を二軸押出機にて製造する際に、PPS(A-1)、PE(B-1)、エポキシ樹脂(C-1)、CF(D-1)の合計量100重量部に対し、繊維径10μm、繊維長3mmのガラス繊維35重量部を二軸押出機のサイドフィーダーから供給した以外は、実施例1と同様の方法にてPAS組成物を得た。得られたPAS組成物を実施例1と同様に試験片を作製し評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例3~8
PAS(A)、ポリエチレン系共重合体(B)、エポキシ樹脂(C)、導電性充填材(D)、ガラス繊維を表2に示す構成割合で配合した以外は、実施例1、ガラス繊維を配合する際は実施例2と同様の方法によりPAS組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
Figure 2023073601000001
比較例1
PAS(A)、エチレン系共重合体(B)、エポキシ樹脂(C)、導電性充填材(D)を表2に示す構成割合で配合した以外は、実施例1と同様の方法により組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示す。
得られた組成物は、接着強度に劣るものであった。
比較例2
PAS(A)、エチレン系共重合体(B)、エポキシ樹脂(C)、導電性充填材(D)を表2に示す構成割合で配合した以外は、実施例1と同様の方法により組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示す。
得られた組成物は、難燃性レベルがV-2相当未達であり難燃性に劣るものであった。
比較例3
PAS(A)、エチレン系共重合体(B)、エポキシ樹脂(C)、導電性充填材(D)を表2に示す構成割合で配合した以外は、実施例1と同様の方法により組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示す。
得られた組成物は、接着強度に劣るものであった。
比較例4
PAS(A)、エチレン系共重合体(B)、エポキシ樹脂(C)、導電性充填材(D)を表2に示す構成割合で配合した以外は、実施例1と同様の方法により組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示す。
得られた組成物は、難燃性レベルがV-2相当未達であり難燃性に劣るものであった。
比較例5
PAS(A)、エチレン系共重合体(B)、エポキシ樹脂(C)、導電性充填材(D)を表2に示す構成割合で配合した以外は、実施例1と同様の方法により組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示す。
得られた組成物は、表面抵抗値が高く、帯電防止性に劣るものであった。
比較例6
PAS(A)、エチレン系共重合体(B)、エポキシ樹脂(C)、導電性充填材(D)を表2に示す構成割合で配合した以外は、実施例1と同様の方法により組成物を作製し、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表2に示す。
得られた生成物は、表面抵抗値が低く、帯電防止性に劣るものであった。
Figure 2023073601000002
本発明のPAS組成物は、PAS有する機械的物性、耐熱性、成形加工性を損なうことなく、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等との接着性の付与と同時に、帯電防止性能、難燃性に優れるものであり、電気・電子機器部材、自動車部材、OA機器部材などに幅広く用いることができる。

Claims (5)

  1. ポリアリーレンスルフィド(A)30~83.5重量%、エチレン系共重合体(B)1~15重量%、エポキシ当量が450~2300、かつ融点が50~135℃のビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)0.5~15重量%、導電性充填材(D)15~40重量%を含むことを特徴とするポリアリーレンスルフィド組成物。
  2. エチレン系重合体(B)が、エチレン-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル-無水マレイン酸共重合体(B-1)、エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体(B-2)、エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-酢酸ビニル共重合体(B-3)、エチレン-α、β-不飽和カルボン酸グリシジルエステル-α、β-不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体(B-4)及び無水マレイン酸グラフト変性エチレン系重合体(B-5)からなる群より選択される少なくとも1種以上の変性エチレン系重合体であることを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  3. 導電性充填材(D)が、繊維径10~200μmの炭素繊維、平均粒径10~200μmの黒鉛及び/又はカーボンブラックであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  4. ポリアリーレンスルフィド(A)、エチレン系共重合体(B)、エポキシ当量が450~2300、かつ融点が50~135℃のビスフェノールA型エポキシ樹脂(C)、導電性充填材(D)の合計量100重量部に対し、さらにガラス繊維1~ 150重量部を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
  5. UL-94に準拠した燃焼性レベルがV-0相当であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のポリアリーレンスルフィド組成物。
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