JP2023072106A - 測距装置、およびプログラム - Google Patents

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Tetsuro Okuyama
徹 山田
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Abstract

【課題】距離データを効率的かつより正確に取得することを可能にする技術を提供する。【解決手段】測距装置は、発光装置と、2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、を備え、前記処理回路は、前記発光装置に、前記第1の光で対象範囲を照射させ、前記受光装置が前記第1の光の照射によって生じた第1の反射光を検出して得られた第1の信号に基づいて、前記対象範囲における第1の距離データを生成し、前記発光装置に、前記対象範囲内の第1の箇所に向けて前記第1の光よりも広がりの程度が小さい第2の光を出射させ、前記受光装置が前記第2の光の照射によって生じた第2の反射光を検出して得られた第2の信号に基づいて、前記対象範囲内の前記第1の箇所とは異なる第2の箇所における前記第1の距離データを補正する。【選択図】図5

Description

本開示は、測距装置、およびプログラムに関する。
従来、物体に光を照射し、当該物体からの反射光を検出することにより、当該物体の位置または距離に関するデータを取得する種々のデバイスが提案されている。
例えば特許文献1は、光源を含む投光系と、投光系から投光され物体で反射された光を受光する光検出器を含む受光系と、光検出器の出力信号が入力される信号処理系と、制御系とを備える物体検出装置を開示している。制御系は、投光系の投光範囲内の少なくとも1つの領域を注目領域として設定し、投光系の投光条件または信号処理系の処理条件を、注目領域に投光するときと注目領域以外の領域に投光するときとで異なるように制御する。
特許文献2は、LiDAR(Light Detection and Ranging)装置を開示している。当該LiDAR装置は、第1のビームスキャナと、第2のビームスキャナと、コントローラとを備える。第1のビームスキャナは、第1のスキャンパターンの第1のレーザビームで第1の領域をスキャンする。第2のビームスキャナは、第2のスキャンパターンの第2のレーザビームで、第1の領域よりも狭い第2の領域をスキャンする。コントローラは、第1のビームスキャナを駆動して第1の領域をスキャンし、第1のレーザビームによる反射光のデータを取得する。当該データから、1つ以上の対象物を決定し、第2のビームスキャナを駆動して第2の領域内を照射することにより、当該対象物をモニターする。
特許文献3は、測距撮像装置を開示している。この測距撮像装置は、パッシブ光を検出するイメージセンサから出力された信号に基づき、撮像対象エリア全体の中から測距を必要とする被写体を特定する。この測距撮像装置は、当該被写体をレーザ光で照射し、その反射光を検出することにより、当該被写体までの距離を計測する。
特許文献4は、光ビームによって空間を走査し、イメージセンサによって物体からの反射光を受光して距離情報を取得する装置を開示している。
特開2017-173298号公報 米国特許第10061020号明細書 特開2018-185342号公報 米国特許出願公開第2018/0217258号明細書
本開示は、測距対象シーンにおける距離データを効率的かつより正確に取得することを可能にする技術を提供する。
本開示の一態様に係る測距装置は、発光装置と、2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、を備え、前記処理回路は、前記発光装置に、第1の光で対象範囲を照射させ、前記受光装置が前記第1の光の照射によって生じた第1の反射光を検出することにより得られた第1の信号に基づいて、前記対象範囲における第1の距離データを生成し、前記発光装置に、前記対象範囲内の第1の箇所に向けて前記第1の光よりも広がりの程度が小さい第2の光を出射させ、前記受光装置が前記第2の光の照射によって生じた第2の反射光を検出することにより得られた第2の信号に基づいて、前記対象範囲内の前記第1の箇所とは異なる第2の箇所における前記第1の距離データを補正する。
本開示の他の態様に係る測距装置は、発光装置と、2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、を備え、前記処理回路は、前記発光装置に、複数の光ビームまたはフラッシュ光を照射光として出射させ、前記受光装置が前記照射光によって生じた第1の反射光を検出することにより得られた第1の信号に基づいて、距離データを生成し、前記発光装置に、前記照射光の照射範囲内の少なくとも1つの第1の箇所に向けて少なくとも1つの光ビームを出射させ、前記受光装置が前記少なくとも1つの光ビームの照射によって生じた第2の反射光を検出することにより得られた第2の信号に基づいて、前記照射範囲内の前記少なくとも1つの第1の箇所とは異なる少なくとも1つの第2の箇所における前記距離データを補正する。
本開示の包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能な記録ディスク等の記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意の組み合わせで実現されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、例えばCD-ROM(Compact Disc‐Read Only Memory)等の不揮発性の記録媒体を含み得る。装置は、1つ以上の装置で構成されてもよい。装置が2つ以上の装置で構成される場合、当該2つ以上の装置は、1つの機器内に配置されてもよく、分離した2つ以上の機器内に分かれて配置されてもよい。本明細書および特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
本開示の実施形態によれば、測距対象シーンにおける距離データを効率的かつより正確に取得することが可能になる。
図1は、本開示の例示的な実施形態1による測距装置の概略的な構成を示すブロック図である。 図2は、実施形態1による測距装置の動作の概要を説明するための図である。 図3は、前面に測距装置が搭載された車両の例を模式的に示す斜視図である。 図4Aは、道路を走行中の車両から前方の対象範囲を見た様子を模式的に示す図である。 図4Bは、道路を走行中の車両から前方の対象範囲を見た様子を模式的に示す図である。 図4Cは、道路を走行中の車両から前方の対象範囲を見た様子を模式的に示す図である。 図5は、実施形態1における測距動作の例を示すフローチャートである。 図6Aは、ステップS103の動作を説明するための図である。 図6Bは、ステップS103の動作を説明するための図である。 図7は、間接TOFの技術を説明するための図である。 図8は、第1の距離データの信頼性が低い箇所を推定する動作の例を示すフローチャートである。 図9は、実施形態2による測距装置の動作の概要を説明するための図である。 図10は、実施形態2における測距動作の例を示すフローチャートである。 図11は、実施形態3における測距動作の例を示すフローチャートである。 図12は、実施形態4における測距動作の例を示すフローチャートである。 図13は、発光デバイスの一例を模式的に示す斜視図である。 図14は、1つの光導波路素子の断面の構造および伝搬する光の例を模式的に示す図である。 図15Aは、光導波路アレイの出射面に垂直な方向に光を出射する光導波路アレイの断面を示す図である。 図15Bは、光導波路アレイの出射面に垂直な方向とは異なる方向に光を出射する光導波路アレイの断面を示す図である。 図16は、3次元空間における光導波路アレイを模式的に示す斜視図である。 図17は、光導波路アレイおよび位相シフタアレイを、光出射面の法線方向(Z方向)から見た模式図である。 図18は、光源の一例を示す図である。 図19は、光源の他の構成例を示す図である。 図20は、光源のさらに他の構成例を示す図である。 図21は、光源のさらに他の構成例を示す図である。
以下、本開示の例示的な実施形態を説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
(実施形態1)
まず、図1から図3を参照して、本開示の例示的な実施形態1を簡単に説明する。
図1は、本開示の例示的な実施形態1による測距装置10の概略的な構成を示すブロック図である。本実施形態1による測距装置10は、発光装置100と、受光装置200と、処理回路300とを備える。測距装置10は、例えば車両に搭載されるLiDARシステムの一部として利用され得る。測距装置10は、測距対象のシーンを光で照射し、距離データを生成して出力するように構成されている。なお、本開示における「距離データ」とは、計測点の基準点からの絶対的な距離、または計測点間の相対的な深度を表す様々なデータを意味する。距離データは、例えば、距離画像データであってもよいし、3次元点群データであってもよい。距離データは、直接的に距離または深度を表すデータに限られず、距離または深度を算出するためのセンサデータそのもの、すなわちRawデータであってもよい。Rawデータは、例えば受光装置200が受けた光の強度に基づき生成した輝度データであり得る。輝度データは、例えば、輝度画像データであってもよい。
発光装置100は、広がりの程度の異なる複数種類の光を出射する。例えば、シーンに向けて相対的に広がりの大きい光ビームまたはフラッシュ光を照射したり、シーン中の特定の対象物に向けて広がりの小さい光ビームを照射したりすることができる。言い替えれば、発光装置100は、相対的にブロードな第1の光と、第1の光の照射範囲よりも狭い範囲を照射する第2の光とを出射することができる。発光装置100は、第1の光を出射する第1の光源と、第2の光を出射する第2の光源とを備えていてもよい。あるいは、発光装置100は、第1の光および第2の光の両方を出射することが可能な1つの光源を備えていてもよい。
受光装置200は、発光装置100から出射された光によって生じた反射光を検出し、反射光の強度に応じた信号を出力する。受光装置200は、例えば1つ以上のイメージセンサを備える。2次元に配列された複数の光検出セルを有するイメージセンサから出力された信号は、反射光の2次元強度分布の情報を含む。受光装置200は、第1の光の照射によって生じた第1の反射光を検出して第1の反射光の強度に応じた第1の信号を出力する。受光装置200はまた、第2の光の照射によって生じた第2の反射光を検出して第2の反射光の強度に応じた第2の信号を出力する。受光装置200は、第1の反射光を検出して第1の信号を出力する第1イメージセンサと、第2の反射光を検出して第2の信号を出力する第2イメージセンサとを備えていてもよい。あるいは、受光装置200は、第1の反射光および第2の反射光を検出して第1の信号および第2の信号をそれぞれ出力することが可能な1つのイメージセンサを備えていてもよい。受光装置200が1つのセンサを備える場合、受光装置200の構成を簡略化できる。
処理回路300は、発光装置100および受光装置200を制御し、受光装置200から出力された信号を処理する。処理回路300は、1つ以上のプロセッサと、1つ以上の記録媒体とを含む。記録媒体は、例えばRAMおよびROMなどのメモリを含む。記録媒体には、プロセッサによって実行されるコンピュータプログラム、および処理の過程で生じた種々のデータが格納され得る。処理回路300は、複数の回路の集合体であってもよい。例えば、処理回路300は、発光装置100および受光装置200を制御する制御回路と、受光装置200から出力された信号を処理する信号処理回路とを含んでいてもよい。
処理回路300は、発光装置100および受光装置200とは別の筐体に内蔵されてもよい。また、処理回路300は、発光装置100および受光装置200とは離れた場所に設置され、無線通信によって発光装置100および受光装置200を遠隔制御してもよい。
図2は、測距装置10の動作の概要を説明するための図である。図2には、測距装置10の一例と、測距装置10によって生成され得る距離画像の一例とが模式的に示されている。図2に示す例において、発光装置100は、第1の光源110と、第2の光源120とを備える。第1の光源110は、第1の光として、フラッシュ光L1を出射するように構成されている。第2の光源120は、第2の光として、光ビームL2を出射するように構成されている。第2の光源120は、光ビームL2の出射方向を変化させることができる。これにより、空間中の所定の領域を光ビームL2でスキャンすることもできる。第1の光源110および第2の光源120から出射される光の波長は、例えば700nm以上1100nm以下(近赤外光)の波長域に含まれ得る。太陽光において近赤外光の光量は可視光の光量より少ないので、測距に近赤外光を使用すれば、太陽光のノイズとしての影響を低減することができる。あるいは、当該光の波長は、400nm以上700nm以下(可視光)の波長域に含まれていてもよいし、紫外光の波長域に含まれていてもよい。受光装置200は、イメージセンサ210を備える。この例におけるイメージセンサ210は、TOF(Time of Flight)による測距が可能なTOFイメージセンサである。イメージセンサ210は、直接TOFまたは間接TOFの技術を利用して、測距対象のシーンの距離画像を生成することができる。処理回路300は、第1の光源110、第2の光源120、およびイメージセンサ210を制御する。
実施形態1における処理回路300は、第1の光源110にフラッシュ光L1で測距の対象範囲30Tを照射させ、これによって生じる第1の反射光をイメージセンサ210に検出させて第1の信号を出力させる。第1の反射光は、対象範囲30Tからの直接反射光および多重反射光を含む。直接反射光は、1つの箇所で反射されて測距装置10に戻って来る光である。多重反射光は、複数の箇所で順次反射されて測距装置10に戻って来る光である。処理回路300は、第1の信号に基づいて、対象範囲30Tにおける第1の距離データを生成して出力する。本明細書では、フラッシュ光L1の照射から第1の距離データの生成および出力までの動作を、「第1の動作」と称する。
処理回路300は、出力された第1の距離データの信頼性が低い複数の箇所を推定する。例えば、対象範囲30T内で多重反射光が経由する箇所では、第1の距離データの信頼性が低くなり得る。処理回路300は、そのような箇所を信頼性が低い箇所として決定する。
次に、処理回路300は、第2の光源120に、対象範囲30T内の第1の箇所に向けて光ビームL2を出射させ、これによって生じる第2の反射光をイメージセンサ210に検出させて第2の信号を出力させる。第2の反射光は、第1の箇所からの直接反射光、および第1の箇所から対象範囲30T内の第2の箇所を経由する多重反射光を含む。上記の推定した複数の箇所は、第1の箇所および第2の箇所を含む。処理回路300は、第2の信号に基づいて、第1の箇所および第2の箇所における第2の距離データを生成して出力する。処理回路300は、第2の距離データに基づいて、第1の箇所および第2の箇所における第1の距離データを補正する。本明細書では、光ビームL2の出射から第1の距離データの補正までの動作を「第2の動作」と称する。処理回路300は、推定した複数の箇所のうち、第1の箇所および第2の箇所以外の他の箇所に対して第2の動作を繰り返し実行する。
処理回路300は、例えば1/30秒または1/60秒のフレームごとに、第1の動作、第1の距離データの信頼性が低い複数の箇所を推定する動作、および推定した複数の箇所に対する第2の動作を実行する。これにより、処理回路300は、対象範囲30Tにおける時系列の距離データを取得することができる。
図3は、前面に測距装置10が搭載された車両50の例を模式的に示す斜視図である。図3に示す例において、車両50における測距装置10は、フラッシュ光L1および光ビームL2を車両50の前方に向けて出射する。測距装置10の車両50への搭載位置は、その前面に限らず、その上面、側面、または後面でもよい。当該搭載位置は、測距する方向に応じて適切に決定される。光ビームL2の広がりの程度は、フラッシュ光L1の広がりの程度よりも小さい。このため、光ビームL2の照射エネルギー密度は、フラッシュ光L1の照射エネルギー密度よりも高い。したがって、光ビームL2は、フラッシュ光L1よりも狭い範囲をより正確に照射するのに適している。
以下に、本開示の例示的な実施形態1を詳細に説明する。まず、図4Aから図4Cを参照して、フラッシュ光L1で対象範囲30Tを照射することによって生じる直接反射光および多重反射光を説明する。図4Aから図4Cは、道路を走行中の車両50から前方の測距の対象範囲30Tを見た様子を模式的に示す図である。対象範囲30Tにおいて、道路には先行車が走っており、道路脇の歩道には複数の歩行者が歩いている。歩道には複数の街灯がある。処理回路300は、発光装置100に、対象範囲30Tの全体をフラッシュ光L1で照射させ、受光装置200に、フラッシュ光L1の照射によって生じた第1の反射光を検出させ、第1の反射光の強度に応じた第1信号を出力させる。第1の反射光は、対象範囲30Tからの直接反射光および多重反射光を含む。
図4Aに示す例において、フラッシュ光L1のうち、位置Aを照射する光の一部は、直接反射光としてイメージセンサ210に入射し、他の一部は、位置Aから位置Bを経由する多重反射光としてイメージセンサ210に入射する。図4Aに示す実線は、照射光および直接反射光を表す。図4Aに示す破線は、多重反射光を表す。以下の図においても同様である。図4Bに示す例において、フラッシュ光L1のうち、位置Bを照射する光は、直接反射光としてイメージセンサ210に入射する。位置Aを照射する光とは異なり、位置Bを照射する光から多重反射光は生じない。図4Cに示す例では、位置Aの照射によって生じる直接反射光および多重反射光と、位置Bの照射によって生じる直接反射光とが重畳されている。
イメージセンサ210のうち、位置Aに対応する光検出セルは、位置Aを照射した光の一部によって生じた直接反射光を検出するが、多重反射光は検出しない。フラッシュ光L1の照射エネルギー密度が低いことに加えて、多重反射光が検出されないので、当該光検出セルによって検出される反射光の強度は相対的に低くなり得る。さらに、当該光検出セルによって検出される反射光の強度は低すぎて距離を計測できない可能性がある。一方、イメージセンサ210のうち、位置Bに対応する光検出セルは、位置Bを照射する光によって生じた直接反射光、および位置Aを照射した光の他の一部によって生じた多重反射光を混合して検出する。当該光検出セルによって検出される反射光の強度は相対的に高くなり得る。
以上のように、フラッシュ光L1で対象範囲30Tを照射すると、照射光のすべてが直接反射光として戻ってくるわけでなく、一部が多重反射光として戻ってくる。このため、フラッシュ光L1の照射では、対象範囲30Tを正確に測距できない可能性がある。
以下に、図5から図6Bを参照して、対象範囲30Tを効率的かつより正確に測距する動作の例を説明する。図5は、本実施形態1における測距動作の例を示すフローチャートである。処理回路300は、測距動作中、図5のフローチャートに示すステップS101からステップS110の動作を実行する。図6Aおよび図6Bは、ステップS103の動作を説明するための図である。以下、図5に示す各ステップの動作を説明する。
<ステップS101>
処理回路300は、発光装置100に、対象範囲30Tをフラッシュ光L1で照射させる。
<ステップS102>
処理回路300は、受光装置200に、フラッシュ光L1の照射によって生じた第1の反射光を検出させて第1の信号を出力させる。処理回路300は、第1の信号に基づいて、後述する間接TOFの技術によって第1の距離データを生成して出力する。ただし、このステップにおいて、処理回路300は、第1の反射光が多重反射光を含まないと仮定して、第1の距離データを生成する。間接TOFの技術ではなく直接TOFの技術を用いてもよい。処理回路300は、第1の距離データを処理回路300内の不図示のメモリに記憶する。前述した理由により、フラッシュ光L1の照射によって取得された第1の距離データは正確でない可能性がある。
<ステップS103>
処理回路300は、対象範囲30Tのうち、第1の距離データの信頼性が低い箇所を推定する。例えば、ある箇所における輝度値または距離値が、周辺の箇所における輝度値または距離値よりも一定値以上異なる場合、そのような箇所を信頼性が低い箇所と推定することができる。当該推定については詳細を後述する。信頼性が低いか否かを、対象範囲30Tのうち、イメージセンサ210に含まれるすべての光検出セルに対応する箇所について判断してもよいし、一部の光検出セルに対応するサンプル箇所についてだけ判断してもよい。
図6Aに示す例において、白丸は、信頼性が評価される複数のサンプル箇所を表す。屋外において100mまでの距離を計測する場合、隣接する2つのサンプル箇所の間の距離は、例えば50cm以上2m以下であり得る。屋内において10mまでの距離を計測する場合、隣接する2つのサンプル箇所の間の距離は、例えば5cm以上0.2m以下であり得る。
図6Bに示す例では、図6Aの複数のサンプル箇所のうち、10個のサンプル箇所が、信頼性が低い箇所として推定される。推定した箇所には、1から10まで番号が付けられている。信頼性が低いものとして推定される箇所の数は、測距対象のシーンによって異なる。多くの場合、2以上の箇所が信頼性の低い箇所として推定され得る。図4Aから図4Cに示す位置Aおよび位置Bは、それぞれ、図6Bに示すサンプル箇所1およびサンプル箇所6に相当する。以下の説明において、「信頼性が低いものとして推定される箇所」を、単に「推定した箇所」とも称する。
<ステップS104>
処理回路300は、第1の距離データの信頼性が低い箇所が推定されたか否かを判定する。推定した箇所がある場合、処理回路300はステップS105を実行する。推定した箇所がない場合、第1の距離データを補正する必要はないので、処理回路300は、測距動作を終了する。
<ステップS105>
処理回路300は、発光装置100に、推定した複数の箇所の1つである第1の箇所に向けて光ビームL2を出射させる。図6Bに示す例では、サンプル箇所1が第1の箇所である。
<ステップS106>
処理回路300は、受光装置200に、光ビームL2の照射によって生じた第2の反射光を検出させて第2の信号を出力させる。第2の反射光は、第1の箇所からの直接反射光、および第1の箇所から対象範囲30T内の第2の箇所を経由する多重反射光を含み得る。処理回路300は、第2の信号に基づいて、第2の距離データを生成して出力する。図6Bに示す例では、サンプル箇所1を照射する光ビームL2の一部は、直接反射光として、サンプル箇所1からイメージセンサ210に入射する。サンプル箇所1を照射する光ビームL2の他の一部は、多重反射光として、サンプル箇所1からサンプル箇所6を経由してイメージセンサ210に入射する。図6Bに示す例では、サンプル箇所6が第2の箇所である。
<ステップS107>
処理回路300は、光ビームL2で第1の箇所を照射することにより、第1の箇所からの直接反射光の他に、第1の箇所から第2の箇所を経由する多重反射光が生じたか否かを判定する。例えば、イメージセンサ210において第2の反射光を検出した光検出セルの数が2以上であれば、多重反射光が生じたことがわかる。多重反射光が生じた場合、処理回路300はステップS108を実行する。多重反射光が生じない場合、処理回路300はステップS109を実行する。例えば、図6Bに示すサンプル箇所6を第1の箇所に選択した場合、図4Bに示すように、多重反射光は生じない。
<ステップS108>
多重反射光が生じた場合、処理回路300は、第2の距離データに基づいて、第1の箇所および第2の箇所における第1の距離データを補正する。第1の箇所における第1の距離データの補正において、処理回路300は、例えば、第1の箇所における第1の距離データを、第1の箇所における第2の距離データに置き換える。光ビームL2の照射エネルギー密度は高いので、照射光の一部が多重反射光になって戻ってこなくても、直接反射光の強度は、距離を計測できるくらい十分に高い。なお、フラッシュ光L1の照射によって第1の箇所における第1の距離データを取得でき、第1の箇所における第1の距離データが第1の箇所における第2の距離データにほぼ等しければ、当該補正の必要はない。両データにおける距離値の差の絶対値が所定値以下であれば、両データはほぼ等しいと考えることができる。当該所定値は、第1の距離データおよび第2の距離データの平均値に対して、屋外であれば、例えば5%以下であり、屋内であれば、例えば3%以下であり得る。第2の箇所における第1の距離データの補正については詳細を後述する。当該補正により、第1の反射光に含まれる多重反射光の影響を抑制することができる。
<ステップS109>
多重反射光が生じない場合、処理回路300は、第2の距離データに基づいて、第1の箇所における第1の距離データを補正する。第1の箇所における第1の距離データを補正については、ステップS108において説明した通りである。
<ステップS110>
ステップS108またはステップS109の動作を実行した後、処理回路300は、信頼性が低いと推定された複数の箇所をすべて調べたか否かを判定する。実施形態1では、ステップS108において、第1の箇所だけでなく第2の箇所における第1の距離データも補正することができるので、第2の箇所を新たに調べる必要はない。したがって、次に選択する箇所は、信頼性が低いと推定された複数の箇所のうち、第1の箇所および第2の箇所以外の第3の箇所である。図6Bに示す例では、第3の箇所は、サンプル箇所1およびサンプル箇所6以外の8個のサンプル箇所の1つである。
信頼性が低いと推定された複数の箇所のうち、選択した第3の箇所が、第1の箇所のように照射光の一部が多重反射光になる箇所であれば、第3の箇所、および第3の箇所とは異なる第4の箇所における第1の距離データを補正することができる。第4の箇所を新たに調べる必要はない。このようにして、信頼性が低いと推定された複数の箇所の残りを効率的に調べることができる。本明細書では、第3の箇所を照射する光ビームL2を「第3の光」とも称する。
推定した複数の箇所のうち、第1の箇所の近傍に位置する箇所では、照射光の一部が多重反射光になる可能性が相対的に高いと考えらえる。このような箇所を優先的に光ビームL2で照射することにより、効率的に調べることができる。第1の箇所の近傍に位置する箇所は、例えば、第1の箇所を中心として所定の範囲内に位置する箇所であり得る。所定の範囲は、屋外であれば、例えば図6Aに示す例において、第1の箇所の近傍に存在する24個のサンプル箇所によって規定され得る。所定の範囲は、屋内であれば、第1の箇所の近傍に存在する8個のサンプル箇所によって規定され得る。上記の24個のサンプル箇所は、第1の箇所を中心とする5×5のサンプル箇所から第1の箇所を除いた箇所である。上記の8個のサンプル箇所は、第1の箇所を中心とする3×3のサンプル箇所から第1の箇所を除いた箇所である。図6Bに示す例において、屋外におけるサンプル箇所1の近傍に位置する箇所は、サンプル箇所2、サンプル箇所3、またはサンプル箇所4である。なお、用途によっては、推定した複数の箇所の残りを不規則にまたは番号順に選択してもよい。
推定した複数の箇所をすべて調べた場合、処理回路300は、測距動作を終了する。推定した複数の箇所をすべて調べていない場合、処理回路300は、ステップS105の動作を再び実行する。
実施形態1において、処理回路300は、フレームごとに、図5に示すステップS101からステップS110までの測距動作を実行する。当該測距動作により、対象範囲30Tを効率的かつより正確に測距することができる。処理回路300は、メモリ内に時系列で記憶された補正後の第1の距離データに基づいて、運転支援または自動運転による車両の挙動を決定してもよい。処理回路300は、補正後の第1の距離データに関連する情報を、車両50内の不図示のディスプレイまたは計器に表示させてもよい。
(間接TOFの技術による第1の距離データの生成)
次に、図7を参照して、ステップS102における第1の距離データの生成動作を説明する。図7は、間接TOFの技術を説明するための図である。間接TOFの技術では、発光装置100から出射され、対象範囲30Tのある箇所で反射されて戻ってくる光の往復時間τが、光の強度に変換して計測される。空気中での光速をcとすると、距離値はcτ/2によって表される。
図7の一番上の図は、発光装置100から出射された光の強度の時間変化を表す。出射光の時間幅はΔtである。図7の真中の図および一番下の図は、イメージセンサ210に入射する反射光の強度の時間変化を表す。当該反射光は、連続する第1の時間窓から第3の時間窓で検出される。第1の時間窓、第2の時間窓、および第3の時間窓で各光検出セルに蓄積される信号量を、それぞれ、A、A、およびAとする。1フレームの間に、図7に示す発光および受光を複数回繰り返して、蓄積される信号量を増加させてもよい。
図7の真中の図に示す例において、反射光のうち、一部は第1の時間窓で検出され、他の一部は第2の時間窓で検出される。当該反射光は、第3の時間窓では検出されない。信号量Aは、信号量Aおよび信号量Aに含まれる外光などのノイズ量として扱うことができる。信号量Aおよび信号量Aからノイズ量Aを除去した信号量をそれぞれ、BおよびBとする。B=A-AおよびB=A-Aである。このとき、出射光の往復時間τは、以下の式(1)によって表される。
Figure 2023072106000002
同様に、図7の一番下の図に示す例において、反射光のうち、一部は第2の時間窓で検出され、他の一部は第3の時間窓で検出される。当該反射光は第1の時間窓では検出されない。信号量Aは、信号量Aおよび信号量Aに含まれるノイズ量として扱うことができる。信号量Aおよび信号量Aからノイズ量Aを除去した信号量をそれぞれ、BおよびBとする。B=A-AおよびB=A-Aである。このとき、出射光の往復時間τは、以下の式(2)によって表される。
Figure 2023072106000003
以上に説明した間接TOFの技術によって第1の距離データを生成することができる。なお、用途によっては上記のノイズ量を考慮しなくてもよい。
(第1の距離データの信頼性が低い箇所の推定)
次に、図8を参照して、ステップS103における推定動作を説明する。図8は、第1の距離データの信頼性が低い箇所を推定する動作の例を示すフローチャートである。処理回路300は、図8に示すステップS201からステップS205の推定動作を実行する。以下、図8に示す各ステップの動作を説明する。
<ステップS201>
処理回路300は、図6Aに示すように、対象範囲30Tにおける複数のサンプル箇所を決定する。
<ステップS202>
処理回路300は、第1の信号の強度分布および/または第1の距離データにおける距離分布から、座標(u、v)のサンプル箇所での特徴量x(u、v)と、その周囲に位置する座標(u、v;i)のサンプル箇所での特徴量x(u、v;i)との差の絶対値を算出する。特徴量x(u、v)は、例えば、輝度値または距離値であり得る。座標(u、v;i)は、座標(u±1、v)、(u、v±1)、および(u±1、v±1)の8つのうちのいずれかを表す。i=1、・・・、8である。
<ステップS203>
処理回路300は、以下の式(3)に示すように、ステップS202において算出された差の絶対値のうち、最小値が所定値T以上であるか否かを判定する。
Figure 2023072106000004
所定値Tには、例えば、x(u、v)およびx(u、v;i)の中央値または平均値をx(u、v)として、x(u、v)に係数を掛けた値を用いてもよい。当該係数は、例えば0.01以上0.1以下であり得る。
フラッシュ光L1で対象範囲30Tを照射すると、図4Aから図4Cを参照して説明したように、図6Bに示すサンプル箇所1では、反射光の強度が周囲よりも相対的に低くなり、図6Bに示すサンプル箇所6では、反射光の強度が周囲よりも相対的に高くなり得る。特徴量x(u、v)が輝度値である場合、信頼性が低い箇所は、例えば、輝度値が周囲よりも相対的に高かったり低かったりするサンプル箇所であり得る。特徴量x(u、v)が距離値である場合、信頼性が低い箇所は、例えば、反射光の強度が低すぎて距離値を算出できないサンプル箇所、または、直接反射光および多重反射光が混合するために距離値を正確に算出できないサンプル箇所であり得る。
式(3)が満たされる場合、処理回路300はステップS204を実行する。式(3)が満たされない場合、処理回路300はステップS205を実行する。
<ステップS204>
式(3)が満たされる場合、処理回路300は、サンプル箇所(u、v)を、第1の距離データの信頼性が低い箇所と推定する。
<ステップS205>
処理回路300は、複数のサンプル箇所をすべて調べたか否かを判定する。複数のサンプル箇所をすべて調べた場合、処理回路300は、推定動作を終了する。複数のサンプル箇所をすべて調べていない場合、処理回路300は、ステップS202の動作を再び実行する。
以上のように、処理回路300は、第1の信号の強度分布の連続性および/または第1の距離データにおける距離分布の連続性に基づいて、第1の距離データにおける信頼性が低い複数の箇所を推定する。当該複数の箇所は、多重反射光が経由する箇所である。
図8に示すステップS201からステップS205の推定動作以外にも、例えば、公知の信頼性の推定動作を用いてもよい。
(第2の箇所における第1の距離データの補正)
次に、ステップS108における補正動作を説明する。第2の箇所における第1の距離データから、以下の式(4)によって表される行列方程式が得られる。
Figure 2023072106000005
係数行列Φは、以下の式(5)によって表される。
Figure 2023072106000006
(j=1、・・・、N)は、測距動作前に決定された複数の離散的な距離値を表す。Nは、例えば、10以上256以下であり得る。例えば、100mまでの距離を計測する場合、距離値dから距離値dは、0mから100mまでを等間隔に離散化した値である。もちろん、等間隔に離散化するのではなく、近傍は細かく、遠方は荒く離散化してもよい。B0;djおよびB1;djは、それぞれ、間接TOFの技術によって算出される距離値dに相当する第1時間窓および第2時間窓での信号量を表す。係数行列Φは、2行N列の行列である。
2次のベクトルVは、フラッシュ光L1の照射によって生じた第1の信号に基づいて、以下の式(6)によって表される。
Figure 2023072106000007
式(6)におけるBおよびBは、それぞれ、第2の箇所に対応する光検出セルによって第1時間窓および第2時間窓で検出された反射光の信号量を表す。式(6)における上付きの「T」は、行ベクトルを列ベクトルに転置することを意味している。
解くべきN次のベクトルWは、以下の式(7)によって表される。
Figure 2023072106000008
式(7)における成分Wdjは、距離値dに対応する成分を表す。例えば、光検出セルが距離値dに対応する直接反射光を検出し、多重反射光を検出しない場合、成分Wd1のみが1になり、それ以外の成分は0になる。すなわち、W=[1、0、・・・、0]である。これに対して、光検出セルが距離値dに対応する直接反射光、および距離値d2に対応する多重反射光を検出する場合、成分Wd1が1になり、成分Wd2が例えば0.2になり、それ以外の成分は0になる。すなわち、W=[1、0.2、・・・、0]である。
実施形態1において、推定した複数の箇所のうち、第1の箇所に向けて光ビームL2を出射した場合、イメージセンサ210は、第1の箇所からの直接反射光、および第1の箇所から第2の箇所を経由した多重反射光を検出する。第1の箇所からの直接反射光と、第2の箇所からの多重反射光とは、イメージセンサ210の異なる画素で検出される。したがって、第2の箇所からの多重反射光を受光した画素における第2の距離データから、第2の箇所におけるベクトルWに含まれる成分Wd2の値を知ることができる。成分Wd2の値は、出射光と多重反射光との強度比から算出することができる。
実施形態1において、処理回路300は、以下の式(8)によって表される修正された行列方程式を解くことにより、第2の箇所における距離値を算出する。
Figure 2023072106000009
係数行列Φ’は以下の式(9)によって表されるように補正される。
Figure 2023072106000010
式(9)における係数行列Φ’では、式(5)における係数行列Φから、距離値dに対応する成分が除去されている。係数行列Φ’は、2行(N-1)列の行列である。
2次のベクトルV’は、以下の式(10)によって表される。
Figure 2023072106000011
式(10)におけるベクトルV’では、式(6)におけるベクトルVから、多重反射光の成分が除去されている。
解くべき(N‐1)次のベクトルW’は、以下の式(11)によって表される。
Figure 2023072106000012
式(11)におけるベクトルW’では、式(7)におけるベクトルWから、成分Wd2が除去されている。式(8)における行列方程式を解き、ベクトルW’=[1、0、0、・・・、0]が得られれば、第2の箇所における距離値dを算出することができる。
補正前の第2の箇所における第1の距離データから得られた距離値と、算出された第2の箇所における距離値dとの差の絶対値が所定値以下であれば、両データはほぼ等しいと考えることができる。この場合、第2の箇所における第1の距離データに、補正前の距離値または算出された距離値を用いてもよいし、補正前の距離値および算出された距離値dの平均値を用いてもよい。上記の差の絶対値が所定値以上であれば、算出された距離値dが、第2の箇所における第1の距離データに用いられる。
以上のようにして、処理回路300は、第2の信号から、第2の反射光に含まれる第2の箇所を経由した多重反射光に由来する多重反射成分を抽出し、第2の信号の多重反射成分に基づいて、第2の箇所における第1の距離データを補正する。
次に、式(8)における行列方程式の解法を説明する。当該行列方程式では、ベクトルW’における成分の数の方が、独立した式の数よりも多い。ベクトルW’における成分の数はN-1であり、独立した式の数は2である。当該行列方程式は、以下の式(12)によって表されるfの最小値を見つけることによって解くことができる。
Figure 2023072106000013
式(12)の右辺における第2項のうち、αは重み係数を表し、残りの記号はベクトルW’のL1ノルムを表す。処理回路300は、ADMM(Alternating Direction Method of Multipliers)法などの繰り返し計算によって式(12)におけるfの最小値を見つけることにより、ベクトルW’を算出することができる。
前述した例では、第2の箇所において、距離値dに対応する直接反射光の他に、距離値d2に対応する多重反射光が存在していた。第2の箇所において、距離値d2および距離値dに対応する複数の多重反射光が存在する例では、式(4)における係数行列Φ、ベクトルW、およびベクトルVから、距離値d2および距離値dに対応する成分を除去した行列方程式を解くことにより、第2の箇所における距離値dを算出することができる。
第2の距離データを用いずに第1の距離データから得られた式(4)における行列方程式を解くことによっても、第2の箇所での距離値dを算出することができる。ただし、第2の距離データを用いて修正された式(8)における行列方程式を解く方が、算出時間を短縮することができる。したがって、第2の箇所における第1の距離データを効率的に補正することができる。
(実施形態2)
実施形態1では、フラッシュ光を利用して生成された対象範囲における第1の距離データのうち、信頼性の低い箇所における距離データが、単一の光ビームを利用して生成された第2の距離データに基づいて補正される。実施形態2では、マルチビーム光を利用して生成された照射範囲における第3の距離データのうち、信頼性の低い箇所における距離データが、マルチビーム光を利用して生成された第4の距離データに基づいて補正される。マルチビーム光は2つ以上の光ビームを含む。ここで、照射範囲は、例えば、1フレーム当たりにマルチビーム光を1回または複数回出射した場合に照射されるすべての照射範囲であり得る。以下では、実施形態2が実施形態1とは異なる点を中心に説明する。実施形態2による測距装置は、実施形態1による測距装置と同様の構成を有する。以下の説明において、実施形態2も含めこれ以降の実施形態における構成要素の参照符号には、実施形態1における構成要素と同一の参照符号が用いられている。
発光装置100は、マルチビーム光を出射するように構成された第1の光源110と、マルチビーム光を出射するように構成された第2の光源120とを備える。第1の光源110から出射されたマルチビーム光を利用して照射範囲における第3の距離データが生成され、第2の光源120から出射されたマルチビーム光を利用して第4の距離データが生成される。第1の光源110は、複数の光源を含んでいてもよいし、単一の光源を含んでいてもよい。第1の光源110は、複数の光源から複数の方向にそれぞれ光ビームを同時に出射できるように構成されていてもよいし、単一の光源から出射される光ビームの方向を単位期間内に変化させるように構成されていてもよい。すなわち、2つ以上の光ビームが同時に出射されてもよいし、順次出射されてもよい。第2の光源120についても同様である。なお、発光装置100は、第1の光源110および第2の光源120の一方だけを含んでいてもよい。当該一方の光源から出射されたマルチビーム光を利用して第3および第4の距離データを生成してもよい。発光装置100に含まれる第1の光源110および第2の光源120の具体的な構成については詳細を後述する。
処理回路300は、マルチビーム光によって生じた反射光が、受光装置200におけるイメージセンサ210に含まれる複数の光検出セルのうち、異なる光検出セルにそれぞれ入射するように、マルチビーム光の方向を決定する。ある例において、イメージセンサ210は、受光面に沿って2次元的に配列された複数の光検出セルを含む。この場合、処理回路300は、当該受光面に投影されたマルチビーム光の経路が、当該受光面内で互いに重ならず、かつ交差しないように、マルチビーム光の方向の組み合わせを決定してもよい。その結果、複数の物体から生じた反射光が1つの光検出セルに入射することを回避することができる。
処理回路300は、1フレームに含まれる複数の単位期間の各々において、発光装置100に、マルチビーム光を出射させ、複数の光検出セルの少なくとも一部に、マルチビーム光によって生じた反射光を検出させる。処理回路300は、マルチビーム光のそれぞれの反射光がイメージセンサ210に含まれる複数の光検出セルのいずれかによって検出されるように、各光検出セルの露光タイミングを制御する。処理回路300は、光検出セルに、複数の単位期間の各々において光検出セルに蓄積された、光検出量に応じた電荷を少なくとも1回出力させる。マルチビーム光の方向の組み合わせは、単位期間ごとに異なるように設定され得る。当該組み合わせは、例えば、複数の単位期間に複数回出射されるマルチビーム光で、予め設定された距離レンジにある範囲が照射されるように決定され得る。距離情報の生成は、反射光を検出した一部の光検出セルについて行われ得る。処理回路300は、単位期間ごとに、反射光を検出した一部の光検出セルについて距離データを生成してもよい。あるいは、処理回路300は、複数の単位期間におけるマルチビーム光の出射および反射光の検出がすべて終了した後、照射範囲の距離データを生成してもよい。
図9は、実施形態2による測距装置10の動作の概要を説明するための図である。図9には、対象物の例として、人および複数の車両が示されている。発光装置100は、単位期間ごとに、マルチビーム光L3を出射する。図9に示す例において、マルチビーム光L3に含まれる光ビームの数は4である。1つの単位期間に出射される光ビームの数は4に限らず、2以上の任意の数であり得る。受光装置200は、2次元画像を取得するイメージセンサを含む。図9に示すように、測距装置10は、路上の人または車両などの物体までの距離の計測に使用され得る。測距装置10は、例えば車載LiDARシステムの構成要素として使用され得る。
実施形態2による測距装置10によれば、単位期間ごとに、マルチビーム光L3を出射して複数の箇所の距離情報を取得することができる。このため、単位期間ごとに1つの方向にのみ1つの光ビームを出射させる従来の測距装置と比較して、短時間で測距することができる。さらに、複数の対象物からの反射光が1つの光検出セルに入射することを避けることができるので、より正確に測距することができる。
実施形態2における処理回路300の動作は以下の通りである。
処理回路300は、第1の光源110に、複数の光ビームを出射させ、これによって生じる第3の反射光をイメージセンサ210に検出させて第3の信号を出力させる。上記の複数の光ビームは、例えば、1フレーム当たりにマルチビーム光L3を1回または複数回出射させて生じるすべての光ビームであり得る。第3の反射光は、複数の光ビームの照射範囲からの直接反射光および多重反射光を含む。処理回路300は、第3の信号に基づいて、照射範囲における第3の距離データを生成して出力する。処理回路300は、1フレームに含まれる複数の単位時間の各々において距離データを生成してもよいし、1フレームにおけるマルチビーム光L3の照射および反射光の検出がすべて終了した後に距離データを生成してもよい。
処理回路300は、出力された第3の距離データの信頼性が低い複数の箇所を推定する。照射範囲内で多重反射光が経由する箇所では、第3の距離データの信頼性が低くなり得る。
処理回路300は、第2の光源120に、照射範囲内の推定した複数の箇所のうち、2つ以上の第3の箇所に向けてマルチビーム光L4を出射させ、これによって生じる第4の反射光をイメージセンサ210に検出させて第4の信号を出力させる。第4の反射光は、2つ以上の第3の箇所からの直接反射光、および2つ以上の第3の箇所から照射範囲内の2つ以上の第4の箇所をそれぞれ経由する多重反射光を含む。上記の推定した複数の箇所は、2つ以上の第3の箇所および2つ以上の第4の箇所を含む。処理回路300は、第4の信号に基づいて、2つ以上の第3の箇所および2つ以上の第4の箇所における第4の距離データを生成して出力する。処理回路300は、第4の距離データに基づいて、2つ以上の第3の箇所および2つ以上の第4の箇所における第3の距離データを補正する。本明細書では、マルチビーム光L4の出射から第3の距離データの補正までの動作を「第3の動作」と称する。処理回路300は、推定した複数の箇所のうち、2つ以上の第3の箇所および2つ以上の第4の箇所以外の他の箇所に対して第3の動作を繰り返し実行する。
図10は、実施形態2における測距動作の例を示すフローチャートである。処理回路300は、測距動作中、図10のフローチャートに示すステップS301からステップS307の動作を実行する。以下、図10に示す各ステップの動作を説明する。
<ステップS301>
処理回路300は、発光装置100に、複数の光ビームを出射させ、受光装置200に、当該照射によって生じた第3の反射光を検出させて第3の信号を出力させる。複数の光ビームは、前述したように、1フレーム当たりにマルチビーム光L3を1回または複数回出射させて生じるすべての光ビームである。処理回路300は、第3の信号に基づいて、実施形態1において前述した間接TOFの技術によって照射範囲における第3の距離データを生成して出力する。ただし、このステップにおいて、処理回路300は、第3の反射光が多重反射光を含まないと仮定して、当該距離データを生成する。間接TOFの技術ではなく直接TOFの技術を用いてもよい。処理回路300は、第3の距離データを処理回路300内の不図示のメモリに記憶する。実施形態1において前述した理由により、複数の光ビームの照射によって取得された距離データは正確でない可能性がある。
<ステップS302>
処理回路300は、照射範囲のうち、第3の距離データの信頼性が低い箇所を前述の通り推定する。信頼性が低いか否かを、照射範囲のうち、イメージセンサ210に含まれるすべての光検出セルに対応する箇所で調べてもよいし、一部の光検出セルに対応するサンプル箇所だけで調べてもよい。
<ステップS303>
処理回路300は、第3の距離データの信頼性が低い箇所が推定されたか否かを判定する。推定した箇所がある場合、処理回路300はステップS304を実行する。推定した箇所がない場合、第3の距離データを補正する必要はないので、処理回路300は測距動作を終了する。
<ステップS304>
処理回路300は、発光装置100に、推定した複数の箇所のうち、2つ以上の第3の箇所に向けてマルチビーム光L4を出射させる。2つ以上の第3の箇所は、マルチビーム光L4に含まれる2つ以上の光ビームでそれぞれ照射される。マルチビーム光L4に含まれる光ビームの本数は、マルチビーム光L3に含まれる光ビームの本数に等しい場合もあれば、異なる場合もある。
<ステップS305>
処理回路300は、受光装置200に、マルチビーム光L4の照射によって生じた第4の反射光を検出させて第4の信号を出力させる。第4の反射光は、2つ以上の第3の箇所からの直接反射光、および2つ以上の第3の箇所から照射範囲内の2つ以上の第4の箇所をそれぞれ経由する多重反射光を含み得る。処理回路300は、第4の信号に基づいて、第4の距離データを生成して出力する。この第4の距離データの生成方法は、実施形態1において前述した(第2の箇所における第1の距離データの補正)の欄に記載の通りである。
<ステップS306>
処理回路300は、第4の距離データに基づいて、2つ以上の第3の箇所、または2つ以上の第3の箇所および2つ以上の第4の箇所における第3の距離データを補正する。この動作は、図5のフローチャートに示すステップS107からS109の動作と同様である。
<ステップS307>
ステップS306の動作を実行した後、処理回路300は、推定した複数の箇所をすべて調べたか否かを判定する。推定した複数の箇所をすべて調べた場合、処理回路300は、測距動作を終了する。推定した複数の箇所をすべて調べていない場合、処理回路300は、ステップS304の動作を再び実行する。推定した複数の箇所をマルチビーム光L4の照射によって1回ですべて調べることも可能である。
実施形態2による測距装置10では、マルチビーム光を利用することにより、照射範囲内の複数の箇所を同時にまたは単位期間内に照射することができる。その結果、単一の光ビームを利用する場合と比較して距離データをより高速に生成することができる。
(実施形態3)
実施形態3では、マルチビーム光を利用して生成された照射範囲における第3の距離データのうち、信頼性の低い箇所における距離データが、単一の光ビームを利用して生成された第5の距離データに基づいて補正される。以下では、実施形態3が実施形態1および2とは異なる点を中心に説明する。実施形態3における処理回路300の動作は以下の通りである。
処理回路300は、第1の光源110に、複数の光ビームを出射させ、これによって生じる第3の反射光をイメージセンサ210に検出させて第3の信号を出力させる。第3の反射光は、複数の光ビームの照射範囲内からの直接反射光および多重反射光を含む。処理回路300は、第3の信号に基づいて、照射範囲における第3の距離データを生成して出力する。処理回路300が1フレームのどのタイミングで距離データを生成するかについては、実施形態2において説明した通りである。
処理回路300は、出力された第3の距離データの信頼性が低い複数の箇所を推定する。照射範囲内で多重反射光が経由する箇所では、第3の距離データの信頼性が低くなり得る。
処理回路300は、第2の光源120に、照射範囲内の推定した複数の箇所のうち、第5の箇所に向けて光ビームL5を出射させ、これによって生じる第5の反射光をイメージセンサ210に検出させて第5の信号を出力させる。第5の反射光は、第5の箇所からの直接反射光、および第5の箇所から照射範囲内の第6の箇所を経由する多重反射光を含む。上記の推定した複数の箇所は、第5の箇所および第6の箇所を含む。処理回路300は、第5の信号に基づいて、第5の箇所および第6の箇所における第5の距離データを生成して出力する。処理回路300は、第5の距離データに基づいて、第5の箇所および第6の箇所における第3の距離データを補正する。本明細書では、光ビームL5の出射から第5の距離データの補正までの動作を「第4の動作」と称する。処理回路300は、推定した複数の箇所のうち、第5の箇所および第6の箇所以外の他の箇所に対して第4の動作を繰り返し実行する。
図11は、実施形態3における測距動作の例を示すフローチャートである。処理回路300は、測距動作中、図11のフローチャートに示すステップS401からステップS407の動作を実行する。以下、図11に示す各ステップの動作を説明する。
<ステップS401からS403>
ステップS401からS403の動作は、それぞれ、図10のフローチャートに示すステップS301からS303の動作と同じである。
<ステップS404>
処理回路300は、発光装置100に、推定した複数の箇所のうち、第5の箇所に向けて光ビームL5を出射させる。
<ステップS405>
処理回路300は、受光装置200に、光ビームL5の照射によって生じた第5の反射光を検出させて、第5の信号を出力させる。第5の反射光は、第5の箇所からの直接反射光、および第6の箇所から照射範囲内の第6の箇所を経由する多重反射光を含み得る。処理回路300は、第5の信号に基づいて、第5の距離データを生成して出力する。この第5の距離データの生成方法は、前述の(第2の箇所における第1の距離データの補正)の欄に記載の通りである。
<ステップS406>
処理回路300は、第5の距離データに基づいて、第5の箇所、または第5および第6の箇所における第3の距離データを補正する。この動作は、図5のフローチャートに示すステップS107からS109の動作と同様である。
<ステップS407>
ステップS406の動作を実行した後、処理回路300は、推定した複数の箇所をすべて調べたか否かを判定する。推定した複数の箇所をすべて調べた場合、処理回路300は、測距動作を終了する。推定した複数の箇所をすべて調べていない場合、処理回路300は、ステップS404の動作を再び実行する。
実施形態3による測距装置10では、マルチビーム光を利用して第3の距離データをより高速に生成することができる。さらに、実施形態3による測距装置10では、光ビームを利用して第5の距離データをより正確に生成することができる。
(実施形態4)
実施形態4では、フラッシュ光を利用して生成された照射範囲における第1の距離データのうち、信頼性の低い箇所における距離データが、マルチビーム光を利用して生成された第6の距離データに基づいて補正される。以下では、実施形態4が実施形態1から3とは異なる点を中心に説明する。実施形態4における処理回路300の動作は以下の通りである。
処理回路300は、第1の光源110にフラッシュ光L1で照射範囲を照射させ、これによって生じる第1の反射光をイメージセンサ210に検出させて第1の信号を出力させる。第1の反射光は、照射範囲からの直接反射光および多重反射光を含む。処理回路300は、第1の信号に基づいて、照射範囲における第1の距離データを生成して出力する。
処理回路300は、出力された第1の距離データの信頼性が低い複数の箇所を推定する。照射範囲内で多重反射光が経由する箇所では、第1の距離データの信頼性が低くなり得る。
処理回路300は、第2の光源120に、照射範囲内の推定した複数の箇所のうち、2つ以上の第7の箇所に向けてマルチビーム光L6を出射させ、これによって生じる第6の反射光をイメージセンサ210に検出させて第6の信号を出力させる。第6の反射光は、2つ以上の第7の箇所からの直接反射光、および2つ以上の第7の箇所から照射範囲内の2つ以上の第8の箇所をそれぞれ経由する多重反射光を含む。上記の推定した複数の箇所は、2つ以上の第7の箇所および2つ以上の第8の箇所を含む。処理回路300は、第6の信号に基づいて、2つ以上の第7の箇所および2つ以上の第8の箇所における第6の距離データを生成して出力する。処理回路300は、第6の距離データに基づいて、2つ以上の第7の箇所および2つ以上の第8の箇所における第1の距離データを補正する。本明細書では、マルチビーム光L6の出射から第6の距離データの補正までの動作を「第5の動作」と称する。処理回路300は、推定した複数の箇所のうち、2つ以上の第7の箇所および2つ以上の第8の箇所以外の他の箇所に対して第5の動作を繰り返し実行する。
図12は、実施形態4における測距動作の例を示すフローチャートである。処理回路300は、測距動作中、図12のフローチャートに示すステップS501からステップS508の動作を実行する。以下、図12に示す各ステップの動作を説明する。
<ステップS501からS504>
ステップS501からS504の動作は、それぞれ、図5のフローチャートに示すステップS101からS104の動作と同じである。フラッシュ光で照射される照射範囲は、実施形態1における対象範囲に等しい。
<ステップS505>
処理回路300は、発光装置100に、推定した複数の箇所のうち、2つ以上の第7の箇所に向けてマルチビーム光L6を出射させる。2つ以上の第7の箇所は、マルチビーム光L6に含まれる2つ以上の光ビームでそれぞれ照射される。
<ステップS506>
処理回路300は、受光装置200に、マルチビーム光L6の照射によって生じた第6の反射光を検出させて、第6の信号を出力させる。第6の反射光は、2つ以上の第7の箇所からの直接反射光、および2つ以上の第7の箇所から照射範囲内の2つ以上の第8の箇所をそれぞれ経由する多重反射光を含み得る。処理回路300は、第6の信号に基づいて、第6の距離データを生成して出力する。この第6の距離データの生成方法は、前述の(第2の箇所における第1の距離データの補正)の欄に記載の通りである。
<ステップS507>
処理回路300は、第6の距離データに基づいて、2つ以上の第7の箇所、または2つ以上の第7および2つ以上の第8の箇所における第1の距離データを補正する。この動作は、図5のフローチャートに示すステップS107からS109の動作と同様である。
<ステップS508>
ステップS507の動作を実行した後、処理回路300は、推定した複数の箇所をすべて調べたか否かを判定する。推定した複数の箇所をすべて調べた場合、処理回路300は、測距動作を終了する。推定した複数の箇所をすべて調べていない場合、処理回路300は、ステップS505の動作を再び実行する。推定した複数の箇所をマルチビーム光L6の照射によって1回ですべて調べることも可能である。
実施形態4による測距装置10では、フラッシュ光を利用して第1の距離データを1回で生成することができる。さらに、実施形態4による測距装置10では、マルチビーム光を利用して第6の距離データをより高速に生成することができる。
(マルチビーム光を出射する光源の構成例)
次に、発光装置100に含まれる第1の光源110がマルチビーム光を出射する場合における第1の光源110の構成例を説明する。第2の光源120は、第1の光源110と同様の構成を有し得る。以下の説明では、第1の光源110を単に「光源110」と称する。光源110は、処理回路300の制御に応じて光ビームの出射方向を変化させることができる発光デバイスである。このような発光デバイスを、以下、「光スキャンデバイス」と称することがある。光スキャンデバイスは、測距対象のシーン内の一部の領域を光ビームで順次照射する。この機能を実現するため、光スキャンデバイスは、光ビームの出射方向を変化させる機構を備える。例えば、光スキャンデバイスは、レーザなどの発光素子と、少なくとも1つの稼働ミラー、例えばMEMSミラーとを備え得る。発光素子から出射された光は、稼働ミラーによって反射され、測距対象のシーン内の所定の領域に向かう。処理回路300は、稼働ミラーを駆動することにより、光ビームの出射方向を変化させることができる。
稼働ミラーを有する発光デバイスとは異なる構造によって光の出射方向を変化させることが可能な発光デバイスを用いてもよい。例えば、特開2018-124271号公報に開示されているような、反射型導波路を利用した発光デバイスを用いても良い。あるいは、アンテナアレイによって各アンテナから出力される光の位相を調節することで、アレイ全体の光の方向を変化させる発光デバイスを用いてもよい。
以下、光源110の構成の一例を説明する。
図13は、光源110において使用され得る発光デバイスの一例を模式的に示す斜視図である。光源110は、各々が異なる方向に光を出射する複数の発光デバイスの組み合わせによって構成され得る。図13は、そのうちの1つの発光デバイスの構成を簡略化して示している。
発光デバイスは、複数の光導波路素子12を含む光導波路アレイを備える。複数の光導波路素子12の各々は、第1の方向(図13におけるX方向)に延びた形状を有する。複数の光導波路素子12は、第1の方向に交差する第2の方向(図13におけるY方向)に規則的に配列されている。複数の光導波路素子12は、第1の方向に光を伝搬させながら、第1および第2の方向に平行な仮想的な平面に交差する第3の方向D3に光を出射させる。
複数の光導波路素子12のそれぞれは、互いに対向する第1のミラー30および第2のミラー40と、ミラー30とミラー40の間に位置する光導波層20とを有する。ミラー30およびミラー40の各々は、第3の方向D3に交差する反射面を、光導波層20との界面に有する。ミラー30およびミラー40、ならびに光導波層20は、第1の方向に延びた形状を有している。
第1のミラー30の反射面と第2のミラー40の反射面とは略平行に対向している。2つのミラー30およびミラー40のうち、少なくとも第1のミラー30は、光導波層20を伝搬する光の一部を透過させる特性を有する。言い換えれば、第1のミラー30は、当該光について、第2のミラー40よりも高い光透過率を有する。このため、光導波層20を伝搬する光の一部は、第1のミラー30から外部に出射される。このようなミラー30および40は、例えば誘電体による多層膜(「多層反射膜」と称することもある。)によって形成される多層膜ミラーであり得る。
それぞれの光導波路素子12に入力する光の位相を調整し、さらに、これらの光導波路素子12における光導波層20の屈折率もしくは厚さ、または光導波層20に入力される光の波長を調整することで、任意の方向に光を出射させることができる。
図14は、1つの光導波路素子12の断面の構造および伝搬する光の例を模式的に示す図である。図14では、図13に示すX方向およびY方向に垂直な方向をZ方向とし、光導波路素子12のXZ面に平行な断面が模式的に示されている。光導波路素子12において、一対のミラー30とミラー40が光導波層20を挟むように配置されている。光導波層20のX方向における一端から導入された光22は、光導波層20の上面に設けられた第1のミラー30および下面に設けられた第2のミラー40によって反射を繰り返しながら光導波層20内を伝搬する。第1のミラー30の光透過率は第2のミラー40の光透過率よりも高い。このため、主に第1のミラー30から光の一部を出力することができる。
通常の光ファイバーなどの光導波路では、全反射を繰り返しながら光が光導波路に沿って伝搬する。これに対して、本実施形態における光導波路素子12では、光は光導波層20の上下に配置されたミラー30および40によって反射を繰り返しながら伝搬する。このため、光の伝搬角度に制約がない。ここで光の伝搬角度とは、ミラー30またはミラー40と光導波層20との界面への入射角度を意味する。ミラー30またはミラー40に対して、より垂直に近い角度で入射する光も伝搬できる。すなわち、全反射の臨界角よりも小さい角度で界面に入射する光も伝搬できる。このため、光の伝搬方向における光の群速度は自由空間における光速に比べて大きく低下する。これにより、光導波路素子12は、光の波長、光導波層20の厚さ、および光導波層20の屈折率の変化に対して光の伝搬条件が大きく変化するという性質を持つ。このような光導波路を、「反射型光導波路」または「スローライト光導波路」と称する。
光導波路素子12から空気中に出射される光の出射角度θは、以下の式(13)によって表される。
Figure 2023072106000014
式(13)からわかるように、空気中での光の波長λ、光導波層20の屈折率nおよび光導波層20の厚さdのいずれかを変えることで光の出射方向を変えることができる。
例えば、n=2、d=387nm、λ=1550nm、m=1の場合、出射角度は0°である。この状態から、屈折率をn=2.2に変化させると、出射角度は約66°に変化する。一方、屈折率を変えずに厚さをd=420nmに変化させると、出射角度は約51°に変化する。屈折率も厚さも変化させずに波長をλ=1500nmに変化させると、出射角度は約30°に変化する。このように、光の波長λ、光導波層20の屈折率n、および光導波層20の厚さdのいずれかを変化させることにより、光の出射方向を変化させることができる。
光の波長λは、例えば一般的なシリコン(Si)により光を吸収することで光を検出するイメージセンサで高い検出感度が得られる400nmから1100nm(可視光から近赤外光)の波長域に含まれ得る。他の例では、波長λは、光ファイバーまたはSi光導波路において伝送損失の比較的小さい1260nmから1625nmの近赤外光の波長域に含まれ得る。なお、これらの波長範囲は一例である。使用される光の波長域は、可視光または赤外光の波長域に限定されず、例えば紫外光の波長域であってもよい。
発光デバイスは、各光導波路素子12における光導波層20の屈折率、厚さ、および波長の少なくとも1つを変化させる第1調整素子を備え得る。これにより、出射光の方向を調製することができる。
光導波層20の少なくとも一部の屈折率を調整するために、光導波層20は、液晶材料または電気光学材料を含んでいてもよい。光導波層20は、一対の電極によって挟まれ得る。一対の電極に電圧を印加することにより、光導波層20の屈折率を変化させることができる。
光導波層20の厚さを調整するために、例えば、第1のミラー30および第2のミラー40の少なくとも一方に少なくとも1つのアクチュエータが接続されてもよい。少なくとも1つのアクチュエータによって第1のミラー30と第2のミラー40との距離を変化させることにより、光導波層20の厚さを変化させることができる。光導波層20が液体から形成されていれば、光導波層20の厚さは容易に変化し得る。
複数の光導波路素子12が一方向に配列された光導波路アレイにおいて、それぞれの光導波路素子12から出射される光の干渉により、光の出射方向は変化する。各光導波路素子12に供給する光の位相を調整することにより、光の出射方向を変化させることができる。以下、その原理を説明する。
図15Aは、光導波路アレイの出射面に垂直な方向に光を出射する光導波路アレイの断面を示す図である。図15Aには、各光導波路素子12を伝搬する光の位相シフト量も記載されている。ここで、位相シフト量は、左端の光導波路素子12を伝搬する光の位相を基準にした値である。本実施形態における光導波路アレイは、等間隔に配列された複数の光導波路素子12を含んでいる。図15Aにおいて、破線の円弧は、各光導波路素子12から出射される光の波面を示している。直線は、光の干渉によって形成される波面を示している。矢印は、光導波路アレイから出射される光の方向(すなわち、波数ベクトルの方向)を示している。図15Aの例では、各光導波路素子12における光導波層20を伝搬する光の位相はいずれも同じである。この場合、光は光導波路素子12の配列方向(Y方向)および光導波層20が延びる方向(X方向)の両方に垂直な方向(Z方向)に出射される。
図15Bは、光導波路アレイの出射面に垂直な方向とは異なる方向に光を出射する光導波路アレイの断面を示す図である。図15Bに示す例では、複数の光導波路素子12における光導波層20を伝搬する光の位相が、配列方向に一定量(Δφ)ずつ異なっている。この場合、光は、Z方向とは異なる方向に出射される。このΔφを変化させることにより、光の波数ベクトルのY方向の成分を変化させることができる。隣接する2つの光導波路素子12の間の中心間距離をpとすると、光の出射角度αは、以下の式(14)によって表される。
Figure 2023072106000015
光導波路素子12の本数がNのとき、光の出射角度の広がり角Δαは、以下の式(15)によって表される。
Figure 2023072106000016
したがって、光導波路素子12の本数が多いほど、広がり角Δαを小さくすることができる。
図16は、3次元空間における光導波路アレイを模式的に示す斜視図である。図16に示す太い矢印は、発光デバイスから出射される光の方向を表す。θは、光の出射方向とYZ平面とがなす角度である。θは式(14)を満たす。αは、光の出射方向とXZ平面とがなす角度である。αは式(15)を満たす。
それぞれの光導波路素子12から出射される光の位相を制御するために、例えば、光導波路素子12に光を導入する前段に、光の位相を変化させる位相シフタが設けられ得る。発光デバイスは、複数の光導波路素子12のそれぞれに接続された複数の位相シフタと、各位相シフタを伝搬する光の位相を調整する第2調整素子とを備え得る。各位相シフタは、複数の光導波路素子12の対応する1つにおける光導波層20に直接的にまたは他の光導波路を介して繋がる光導波路を含む。第2調整素子は、複数の位相シフタから複数の光導波路素子12へ伝搬する光の位相の差をそれぞれ変化させることにより、複数の光導波路素子12から出射される光の方向(すなわち、第3の方向D3)を変化させる。以下の説明では、光導波路アレイと同様に、配列された複数の位相シフタを「位相シフタアレイ」と称することがある。
図17は、光導波路アレイ10Aおよび位相シフタアレイ80Aを、光出射面の法線方向(Z方向)から見た模式図である。図17に示す例では、全ての位相シフタ80が同じ伝搬特性を有し、全ての光導波路素子12が同じ伝搬特性を有する。それぞれの位相シフタ80およびそれぞれの光導波路素子12は同じ長さであってもよいし、長さが異なっていてもよい。それぞれの位相シフタ80の長さが等しい場合は、例えば、駆動電圧によってそれぞれの位相シフト量を調整することができる。また、それぞれの位相シフタ80の長さを等ステップで変化させた構造にすることで、同じ駆動電圧で等ステップの位相シフトを与えることもできる。さらに、この発光デバイスは、複数の位相シフタ80に光を分岐して供給する光分岐器90と、各光導波路素子12を駆動する第1駆動回路201と、各位相シフタ80を駆動する第2駆動回路202とをさらに備える。図17における直線の矢印は光の入力を示している。別々に設けられた第1駆動回路201と第2駆動回路202とをそれぞれ独立に制御することにより、2次元的に光の出射方向を変化させることができる。この例では、第1駆動回路201は、第1調整素子の1つの要素として機能し、第2駆動回路202は、第2調整素子の1つの要素として機能する。
第1駆動回路201は、各光導波路素子12における光導波層20の屈折率および厚さの少なくとも一方を変化させることにより、光導波層20から出射する光の角度を変化させる。第2駆動回路202は、各位相シフタ80における光導波路20aの屈折率を変化させることにより、光導波路20aの内部を伝搬する光の位相を変化させる。光分岐器90は、全反射によって光が伝搬する光導波路で構成してもよいし、光導波路素子12と同様の反射型光導波路で構成してもよい。
なお、光分岐器90で分岐したそれぞれの光の位相を制御した後に、それぞれの光を位相シフタ80に導入してもよい。この位相制御には、例えば、位相シフタ80に至るまでの光導波路の長さを調整することによるパッシブな位相制御構造を用いることができる。あるいは、位相シフタ80と同様の機能を有する電気信号で制御可能な位相シフタを用いても良い。このような方法により、例えば、全ての位相シフタ80に等位相の光が供給されるように、位相シフタ80に導入される前に位相を調整してもよい。そのような調整により、第2駆動回路202による各位相シフタ80の制御をシンプルにすることができる。
上記の発光デバイスの動作原理、および動作方法などの詳細は、特開2018-124271号公報に開示されている。特開2018-124271号公報の開示内容全体を本明細書に援用する。
本実施形態における光源110は、各々が異なる方向に光を出射する複数の導波路アレイを組み合わせることによって実現され得る。以下、そのような光源110の構成例を説明する。
図18は、光源110の一例を示す図である。この例における光源110は、光導波路アレイ10Aと、光導波路アレイ10Aに接続された位相シフタアレイ80Aとを備える。光導波路アレイ10Aは、Y方向に並ぶ複数の光導波路群10gを含む。各光導波路群10gは、1つ以上の光導波路素子12を含む。位相シフタアレイ80Aは、Y方向に並ぶ複数の位相シフタ群80gを含む。各位相シフタ群80gは、1つ以上の位相シフタ80を含む。この例において、位相シフタ群80gのまとまりは、光導波路群10gのまとまりとは異なっている。より具体的には、1つの光導波路群10gに、2つの位相シフタ群80gが接続されている。
各位相シフタ80の位相シフト量は、制御回路130によって個別に制御される。各位相シフタ80の位相シフト量は、その配列の順序に応じた第1の位相シフト量(Δφの整数倍)と、位相シフタ群80gごとに異なる第2の位相シフト量(Va、Vb、Vc、Vdのいずれか)との和になるように制御される。第2の位相シフト量を位相シフタ群80gごとに変化させることにより、光ビームの出射方向のY成分、およびスポットサイズのY方向の広がり角が制御される。
一方、制御回路130は、光導波路群10gごとに、印加される電圧の値を個別に決定する。各光導波路群10gへの印加電圧の制御により、光ビームの出射方向のX成分が制御される。位相シフタ群80gと光導波路群10gとの組み合わせに依存して、光の出射方向が決定される。図18の例では、1つの位相シフタ群80gに接続された隣り合う2つの光導波路群10sから同一の方向に光が出射する。1つの光導波路群10gから出射される光束を1つの光ビームとすると、図18の例では、2本の光ビームを同時に出射することができる。光導波路素子12および位相シフタ80の数を増やせば、さらにビーム本数を増やすことができる。
図19は、光源110の他の構成例を示す図である。この例における光源110は、各々が異なる方向に光ビームを出射する複数の発光デバイス700を備える。この例では、1つのチップ上に複数の位相シフタ80および複数の光導波路素子12が実装される。制御回路130は、各発光デバイス700における各位相シフタ80および各光導波路素子12への印加電圧を制御する。これにより、制御回路130は、各発光デバイス700から出射する光ビームの方向を制御する。この例では、光源110は3つの発光デバイス700を備えるが、さらに多数の発光デバイス700を備えていてもよい。近距離用ビームおよび遠距離用ビームの各々は、複数の発光デバイス700から出射する光ビームの集合によって構成され得る。
図20は、光源110のさらに他の構成例を示す図である。この例における光源110は、各々が異なるチップに実装された複数の発光デバイス700を備える。複数の発光デバイス700は、異なる方向に光ビームを出射する。各発光デバイス700は、複数の位相シフタ80および複数の光導波路素子12に印加する電圧を決定する制御回路130aを備える。各発光デバイス700における制御回路130aは、外部の制御回路130によって制御される。この例でも、光源110は3つの発光デバイス700を備えるが、さらに多数の発光デバイス700を備えていてもよい。近距離用ビームおよび遠距離用ビームの各々は、複数の発光デバイス700から出射する光ビームの集合によって構成され得る。
図21は、光源110のさらに他の例を示す図である。この例では、光源110は、レーザなどの発光素子と、少なくとも1つの可動ミラー、例えばMEMSミラーとを備える。発光素子から出射された光は、可動ミラーによって反射され、対象領域内(図21において矩形で表示)の所定の領域に向かう。制御回路130は、可動ミラーを駆動することにより、光源110からの出射光の方向を変化させる。これにより、例えば図21において点線矢印で示すように、対象領域を光でスキャンすることができる。
以下に、本開示の実施形態における測距装置を項目ごとに記載する。
第1の項目に係る測距装置は、発光装置と、2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、を備える。前記処理回路は、前記発光装置に、第1の光で対象範囲を照射させ、前記受光装置が前記第1の光の照射によって生じた第1の反射光を検出することにより得られた第1の信号に基づいて、前記対象範囲における第1の距離データを生成し、前記発光装置に、前記対象範囲内の第1の箇所に向けて前記第1の光よりも広がりの程度が小さい第2の光を出射させ、前記受光装置が前記第2の光の照射によって生じた第2の反射光を検出することにより得られた第2の信号に基づいて、前記対象範囲内の前記第1の箇所とは異なる第2の箇所における前記第1の距離データを補正する。
この測距装置では、測距対象シーンにおける距離データを効率的かつより正確に取得することが可能になる。
第2の項目に係る測距装置は、第1の項目に係る測距装置において、前記処理回路が、前記第2の信号から、前記第2の反射光に含まれる前記第2の箇所を経由した多重反射光に由来する多重反射成分を抽出し、前記第2の信号の前記多重反射成分に基づいて、前記第2の箇所における前記第1の距離データを補正する。
この測距装置では、第2の箇所における第1の距離データを補正して多重反射光の影響を抑制することができる。
第3の項目に係る測距装置は、第1または第2の項目に係る測距装置において、前記処理回路が、さらに、前記第2の信号に基づいて、前記第1の箇所における前記第1の距離データを補正する。
この測距装置では、第2の光で直接照射された第1の箇所における第1の距離データを補正することができる。
第4の項目に係る測距装置は、第1から第3の項目のいずれかに係る測距装置において、前記処理回路が、前記第1の信号の強度分布の連続性および/または前記第1の距離データにおける距離分布の連続性に基づいて前記第1の距離データの信頼性を推定し、前記信頼性に基づき、前記対象範囲内における前記第1の箇所を決定する。
この測距装置では、照射光の一部が多重反射光になり得る箇所を、第1の箇所とすることができる。
第5の項目に係る測距装置は、第1から第4の項目のいずれかに係る測距装置において、前記処理回路が、さらに、前記発光装置に、前記対象範囲内の前記第1の箇所および前記第2の箇所以外の第3の箇所に向けて前記第1の光よりも広がりの程度が小さい第3の光を出射させ、前記受光装置が前記第3の光の照射によって生じた第3の反射光を検出することにより得られた第3の信号に基づいて、前記対象範囲内の前記第3の箇所とは異なる第4の箇所における前記第1の距離データを補正する。
この測距装置では、第2の箇所および第4の箇所を第2の光で直接照射する必要がないので、第1の距離データを効率的に補正することができる。
第6の項目に係る測距装置は、第5の項目に係る測距装置において、前記第3の箇所が、前記第1の箇所を中心として所定の範囲内に位置する箇所である。
この測距装置では、照射光の一部が多重反射光になる可能性が高い箇所を、第3の箇所とすることができる。
第7の項目に係る測距装置は、発光装置と、2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、を備える。前記処理回路は、前記発光装置に、複数の光ビームまたはフラッシュ光を照射光として出射させ、前記受光装置が前記照射光によって生じた第1の反射光を検出することにより得られた第1の信号に基づいて、距離データを生成し、前記発光装置に、前記照射光の照射範囲内の少なくとも1つの第1の箇所に向けて少なくとも1つの光ビームを出射させ、前記受光装置が前記少なくとも1つの光ビームの照射によって生じた第2の反射光を検出することにより得られた第2の信号に基づいて、前記照射範囲内の前記少なくとも1つの第1の箇所とは異なる少なくとも1つの第2の箇所における前記距離データを補正する。
この測距装置では、複数の光ビームまたはフラッシュ光の照射範囲における距離データを効率的かつより正確に取得することが可能になる。
第8の項目に係る測距装置は、第7の項目に係る測距装置において、前記照射光が前記複数の光ビームであり、前記少なくとも1つの第1の箇所が、2つ以上の第1の箇所を含み、前記少なくとも1つの第2の箇所が、2つ以上の第2の箇所を含み、前記少なくとも1つの光ビームが、2つ以上の光ビームである。
この測距装置では、複数の光ビームの照射によって距離データをより高速に生成することができ、2つ以上の光ビームの照射によって当該距離データをより高速に補正することができる。
第9の項目に係る測距装置は、第7の項目に係る測距装置において、前記照射光が前記複数の光ビームであり、前記少なくとも1つの第1の箇所が、1つの第1の箇所を含み、前記少なくとも1つの第2の箇所が、1つの第2の箇所を含み、前記少なくとも1つの光ビームが、単一の光ビームである。
この測距装置では、複数の光ビームの照射によって距離データをより高速に生成することができ、単一の光ビームの照射によって当該距離データをより正確に補正することができる。
第10の項目に係る測距装置は、第7の項目に係る測距装置において、前記照射光が前記フラッシュ光であり、前記少なくとも1つの第1の箇所が、2つ以上の第1の箇所を含み、前記少なくとも1つの第2の箇所が、2つ以上の第2の箇所を含み、前記少なくとも1つの光ビームが、2つ以上の光ビームである。
この測距装置では、フラッシュ光の照射によって距離データを1回で生成することができ、2つ以上の光ビームの照射によって当該距離データをより高速に補正することができる。
第11の項目に係るプログラムは、測距装置に用いられるプログラムである。前記測距装置は、発光装置と、2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、を備える。前記プログラムは、前記処理回路に以下の動作を実行させる。前記動作は、前記発光装置に、第1の光で対象範囲を照射させることと、前記受光装置が前記第1の光の照射によって生じた第1の反射光を検出することにより得られた第1の信号に基づいて、前記対象範囲における第1の距離データを生成することと、前記発光装置に、前記対象範囲内の第1の箇所に向けて前記第1の光よりも広がりの程度が小さい第2の光を出射させることと、前記受光装置が前記第2の光の照射によって生じた第2の反射光を検出することにより得られた第2の信号に基づいて、前記対象範囲内の前記第1の箇所とは異なる第2の箇所における前記第1の距離データを補正することと、を含む。
このプログラムでは、測距対象シーンにおける距離データを効率的かつより正確に取得することが可能になる。
第12の項目に係るプログラムは、測距装置に用いられるプログラムである。前記測距装置は、発光装置と、2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、を備える。前記プログラムは、前記処理回路に以下の動作を実行させる。前記動作は、前記発光装置に、複数の光ビームまたはフラッシュ光を照射光として出射させることと、前記受光装置が前記照射光によって生じた第1の反射光を検出することにより得られた第1の信号に基づいて、距離データを生成することと、前記発光装置に、前記照射光の照射範囲内の少なくとも1つの第1の箇所に向けて少なくとも1つの光ビームを出射させることと、前記受光装置が前記少なくとも1つの光ビームの照射によって生じた第2の反射光を検出することにより得られた第2の信号に基づいて、前記照射範囲内の前記少なくとも1つの第1の箇所とは異なる少なくとも1つの第2の箇所における前記距離データを補正することと、を含む。
このプログラムでは、複数の光ビームまたはフラッシュ光の照射範囲における距離データを効率的かつより正確に取得することが可能になる。
本開示における測距装置は、例えば、自動車、AGV(無人搬送車)などの車両、および、UAV(無人飛行機)などの飛行体に搭載されるLiDARシステムの用途に利用できる。本開示における測距装置は、例えば、建築物に取り付ける監視システムにも適用できる。
10 測距装置
30T 対象範囲
50 車両
100 発光装置
110 第1の光源
120 第2の光源
200 受光装置
210 イメージセンサ
300 処理回路

Claims (12)

  1. 発光装置と、
    2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、
    前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、
    を備え、
    前記処理回路は、
    前記発光装置に、第1の光で対象範囲を照射させ、
    前記受光装置が前記第1の光の照射によって生じた第1の反射光を検出することにより得られた第1の信号に基づいて、前記対象範囲における第1の距離データを生成し、
    前記発光装置に、前記対象範囲内の第1の箇所に向けて前記第1の光よりも広がりの程度が小さい第2の光を出射させ、
    前記受光装置が前記第2の光の照射によって生じた第2の反射光を検出することにより得られた第2の信号に基づいて、前記対象範囲内の前記第1の箇所とは異なる第2の箇所における前記第1の距離データを補正する、
    測距装置。
  2. 前記処理回路は、
    前記第2の信号から、前記第2の反射光に含まれる前記第2の箇所を経由した多重反射光に由来する多重反射成分を抽出し、
    前記第2の信号の前記多重反射成分に基づいて、前記第2の箇所における前記第1の距離データを補正する、
    請求項1に記載の測距装置。
  3. 前記処理回路は、さらに、前記第2の信号に基づいて、前記第1の箇所における前記第1の距離データを補正する、
    請求項1または2に記載の測距装置。
  4. 前記処理回路は、
    前記第1の信号の強度分布の連続性および/または前記第1の距離データにおける距離分布の連続性に基づいて前記第1の距離データの信頼性を推定し、
    前記信頼性に基づき、前記対象範囲内における前記第1の箇所を決定する、
    請求項1から3のいずれかに記載の測距装置。
  5. 前記処理回路は、さらに、
    前記発光装置に、前記対象範囲内の前記第1の箇所および前記第2の箇所以外の第3の箇所に向けて前記第1の光よりも広がりの程度が小さい第3の光を出射させ、
    前記受光装置が前記第3の光の照射によって生じた第3の反射光を検出することにより得られた第3の信号に基づいて、前記対象範囲内の前記第3の箇所とは異なる第4の箇所における前記第1の距離データを補正する、
    請求項1から4のいずれかに記載の測距装置。
  6. 前記第3の箇所は、前記第1の箇所を中心として所定の範囲内に位置する箇所である、
    請求項5に記載の測距装置。
  7. 発光装置と、
    2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、
    前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、
    を備え、
    前記処理回路は、
    前記発光装置に、複数の光ビームまたはフラッシュ光を照射光として出射させ、
    前記受光装置が前記照射光によって生じた第1の反射光を検出することにより得られた第1の信号に基づいて、距離データを生成し、
    前記発光装置に、前記照射光の照射範囲内の少なくとも1つの第1の箇所に向けて少なくとも1つの光ビームを出射させ、
    前記受光装置が前記少なくとも1つの光ビームの照射によって生じた第2の反射光を検出することにより得られた第2の信号に基づいて、前記照射範囲内の前記少なくとも1つの第1の箇所とは異なる少なくとも1つの第2の箇所における前記距離データを補正する、
    測距装置。
  8. 前記照射光は前記複数の光ビームであり、
    前記少なくとも1つの第1の箇所は、2つ以上の第1の箇所を含み、
    前記少なくとも1つの第2の箇所は、2つ以上の第2の箇所を含み、
    前記少なくとも1つの光ビームは、2つ以上の光ビームである、
    請求項7に記載の測距装置。
  9. 前記照射光は前記複数の光ビームであり、
    前記少なくとも1つの第1の箇所は、1つの第1の箇所を含み、
    前記少なくとも1つの第2の箇所は、1つの第2の箇所を含み、
    前記少なくとも1つの光ビームは、単一の光ビームである、
    請求項7に記載の測距装置。
  10. 前記照射光は前記フラッシュ光であり、
    前記少なくとも1つの第1の箇所は、2つ以上の第1の箇所を含み、
    前記少なくとも1つの第2の箇所は、2つ以上の第2の箇所を含み、
    前記少なくとも1つの光ビームは、2つ以上の光ビームである、
    請求項7に記載の測距装置。
  11. 測距装置に用いられるプログラムであって、
    前記測距装置は、
    発光装置と、
    2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、
    前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、
    を備え、
    前記プログラムは、前記処理回路に、
    前記発光装置に、第1の光で対象範囲を照射させることと、
    前記受光装置が前記第1の光の照射によって生じた第1の反射光を検出することにより得られた第1の信号に基づいて、前記対象範囲における第1の距離データを生成することと、
    前記発光装置に、前記対象範囲内の第1の箇所に向けて前記第1の光よりも広がりの程度が小さい第2の光を出射させることと、
    前記受光装置が前記第2の光の照射によって生じた第2の反射光を検出することにより得られた第2の信号に基づいて、前記対象範囲内の前記第1の箇所とは異なる第2の箇所における前記第1の距離データを補正することと、
    を実行させる、
    プログラム。
  12. 測距装置に用いられるプログラムであって、
    前記測距装置は、
    発光装置と、
    2次元に配列された複数の光検出セルを含む受光装置と、
    前記発光装置および前記受光装置を制御し、前記受光装置から出力された信号を処理する処理回路と、
    を備え、
    前記プログラムは、前記処理回路に、
    前記発光装置に、複数の光ビームまたはフラッシュ光を照射光として出射させることと、
    前記受光装置が前記照射光によって生じた第1の反射光を検出することにより得られた第1の信号に基づいて、距離データを生成することと、
    前記発光装置に、前記照射光の照射範囲内の少なくとも1つの第1の箇所に向けて少なくとも1つの光ビームを出射させることと、
    前記受光装置が前記少なくとも1つの光ビームの照射によって生じた第2の反射光を検出することにより得られた第2の信号に基づいて、前記照射範囲内の前記少なくとも1つの第1の箇所とは異なる少なくとも1つの第2の箇所における前記距離データを補正することと、
    を実行させる、
    プログラム。
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