JP2023070526A - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】低温でのウェットグリップ性能に優れたタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】ゴム成分と、シリカと、下記式(I)で表される化合物とを含み、
アセトン抽出量が16.0質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物。
[化1]
Figure 2023070526000013
(式(I)中、Rは、炭化水素基を表す。R、Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は-(AO)-H基(nは1以上の整数を表し、R、Rの各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。AOは、同一又は異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基を表す。)を表し、R、Rのうち少なくとも1つが-(AO)-H基である。)
【選択図】なし

Description

本開示は、タイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、安全性等の観点から、自動車用タイヤのグリップ性能を改善することが望まれ、特に低温でのウェットグリップ性能の改善が望まれている。
本開示は、前記課題を解決し、低温でのウェットグリップ性能に優れたタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本開示は、ゴム成分と、シリカと、下記式(I)で表される化合物とを含み、
アセトン抽出量が16.0質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物である。
Figure 2023070526000001
(式(I)中、Rは、炭化水素基を表す。R、Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は-(AO)-H基(nは1以上の整数を表し、R、Rの各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。AOは、同一又は異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基を表す。)を表し、R、Rのうち少なくとも1つが-(AO)-H基である。)
本開示によれば、ゴム成分と、シリカと、前記式(I)で表される化合物とを含み、かつアセトン抽出量が16.0質量%以上のタイヤ用ゴム組成物であるので、操縦安定性を向上できる。
本開示のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分と、シリカと、前記式(I)で表される化合物とを含み、かつアセトン抽出量が16.0質量%以上である。
上記ゴム組成物で前述の効果が得られる理由は、以下のように推察される。
シリカ表面に式(I)で表される化合物が吸着し、疎水化され、ゴム中への分散が良好になる。そのため、大きなシリカのドメインの形成が防止され、ゴムの柔軟性が得られるため、追従性が良好になる。
同時にシリカが分散したことで、シリカ-ポリマーの細かいネットワークが形成される。そのため、この中に入り込む可塑剤成分(AE)を多くすることで、ポリマーの微細な運動性が向上し、低温下でも運動性が高くなる。これにより、低温下での追従性が更に向上すると共に、シリカ-ポリマー間の摩擦によるエネルギーロスも生じやすくなる。
以上の作用により、低温でのウェットグリップ性能が向上したものと推察される。
上記ゴム組成物において、アセトン抽出量(AE)は16.0質量%以上であるが、好ましくは19.0質量%以上、より好ましくは21.0質量%以上、更に好ましくは22.0質量%以上、特に好ましくは24.0質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは33.0質量%以下、より好ましくは30.0質量%以下、更に好ましくは28.0質量%以下、特に好ましくは27.0質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、アセトン抽出量(AE)は、加硫後のゴム組成物(サンプル)について、JIS K 6229:2015に準拠したアセトン抽出量の測定方法により測定される(単位:加硫後のゴム組成物(サンプル)中の質量%)。
AEを調整する方法としては、当業者に公知の方法を採用できる。例えば、AEは、ゴム組成物中の、オイル等の可塑剤量が増加すると、大きくなる傾向がある。
ゴム組成物は、ゴム成分を含む。
ゴム組成物において、ゴム成分は、架橋に寄与する成分であり、一般的に、重量平均分子量(Mw)が1万以上のポリマーである。
ゴム成分の重量平均分子量は、好ましくは5万以上、より好ましくは15万以上、更に好ましくは20万以上であり、また、好ましくは200万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは100万以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
ゴム成分としては特に限定されず、タイヤ分野で公知のものを使用できる。例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンスブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより良好に得られる観点から、イソプレン系ゴム、BR、SBRが好ましく、少なくともイソプレン系ゴムを含むことがより好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、NRが好ましい。
ゴム組成物がイソプレン系ゴムを含む場合、ゴム成分100質量%中、イソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは65質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
イソプレン系ゴムを含むことで前述の効果が得られる理由は、以下のように推察される。
イソプレン系ゴムを含む場合、そのゴム強度により、大変形時の強度(M100)が高くなり、それにより、操縦安定性が良好になったと考えられる。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR150B、LG Chem社製のBR1280等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等の1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含むBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
BRのシス量(シス含量)は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム組成物がBRを含む場合、ゴム成分100質量%中、BRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、特に好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。市販品としては、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品が挙げられる。
SBRは、ガラス転移温度(Tg)が-50℃未満であることが好ましく、-55℃以下であることがより好ましく、-58℃以下であることが更に好ましく、-60℃以下であることが特に好ましい。該ガラス転移温度の下限は、-78℃以上であることが好ましく、-75℃以上であることがより好ましく、-72℃以上であることが更に好ましく、-70℃以上であることが特に好ましい。
なお、本明細書において、SBRのガラス転移温度は、JIS K7121に従い、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量測定(DSC)を行って測定される値である。
このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。
低TgのSBRを使用することでコンパウンドのTgが低下し、低温域でもゴムの追従性が良くなり、かつ、スチレン部が存在し、スチレン部による発熱性も得やすくなる為、低温でのウェットグリップ性能が向上したものと推察される。
SBRのスチレン含量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。該スチレン含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは22質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は、H-NMR測定により算出される。
SBRのビニル含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。ビニル含量が10質量%未満であると、充分なウェットグリップ性能が得られないおそれがある。該ビニル含量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。ビニル含量が90質量%を超えると、強度が悪化するおそれがある。
なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
ゴム組成物がSBRを含む場合、ゴム成分100質量%中、SBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、特に好ましくは50質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、特に好ましくは65質量%以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム成分は、オイルで伸展された油展ゴム、樹脂で伸展された樹脂伸展ゴムであってもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、油展ゴムが好ましい。
なお、油展ゴムに使用されるオイル、樹脂伸展ゴムに使用される樹脂は、後述の可塑剤で説明したものと同様である。また、油展ゴム中のオイル分、樹脂伸展ゴム中の樹脂分は特に限定されないが、通常、ゴム固形分100質量部に対して10~50質量部程度である。
ゴム成分は、変性により、シリカ等の充填材と相互作用する官能基が導入されていてもよい。
上記官能基としては、例えば、ケイ素含有基(-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基、アルコキシ基など)、アミノ基、アミド基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、ケイ素含有基が好ましく、-SiR(Rは、同一又は異なって、水素、水酸基、炭化水素基(好ましくは炭素数1~6の炭化水素基(より好ましくは炭素数1~6のアルキル基))又はアルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基))であり、Rの少なくとも一つが水酸基)がより好ましい。
上記官能基を導入する化合物(変性剤)の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記ゴム組成物は、充填剤として、シリカを含有する。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカの原料は、水ガラス(珪酸ソーダ)であってもよいし、もみ殻等のバイオマス材料であってもよい。市販品としては、エボニックデグッサ社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
シリカの平均一次粒子径は、好ましくは25nm以下、より好ましくは20nm以下、更に好ましくは16nm以下、特に好ましくは14nm以下である。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、好ましくは3nm以上、より好ましくは5nm以上、更に好ましくは7nm以上である。上記範囲内であると、操縦安定性、低燃費性能が好適に得られる傾向がある。
なお、シリカの平均一次粒子径は、透過型又は走査型電子顕微鏡により観察し、視野内に観察されたシリカの一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。
シリカの平均一次粒子径を小さくする、特に16nm以下のような微粒子径のシリカを用いることで、シリカの表面積が増加し、シリカ-ポリマー間の摩擦によるエネルギーロスが生じやすくなると考えられる。従って、低温でのウェットグリップ性能が顕著に向上したものと推察される。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは70質量部以上、特に好ましくは80質量部以上であり、また、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下、特に好ましくは95質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
シリカの含有量を所定量以上にすることでこのような効果が得られる理由は、以下のように推察される。
シリカ量を多量にするほど、シリカ-ポリマー間の摩擦によるエネルギーロスが生じやすくなると考えられる。また、フィラーが多いほど、式(I)で表される化合物による分散向上の効果を得やすくなると考えられる。従って、低温でのウェットグリップ性能が顕著に向上したものと推察される。
シリカ以外に使用可能な充填剤としては、例えば、シリカ以外の無機充填剤、カーボンブラックが挙げられる。シリカ以外の無機充填剤としては、クレー、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、カーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。カーボンブラックの原料は、リグニン、植物油等のバイオマス材料であってもよい。また、カーボンブラックの製造方法は、ファーネス法等の燃焼によるものであってもよいし、水熱炭化(HTC)によるものであってもよい。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、70m/g以上がより好ましく、90m/g以上が更に好ましい。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、また、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
充填剤の含有量(シリカ、カーボンブラック等の合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは70質量部以上、特に好ましくは80質量部以上であり、また、好ましくは160質量部以下、より好ましくは130質量部以下、更に好ましくは110質量部以下、特に好ましくは105質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
本開示では、下記式(I)で表される化合物が使用される。なお、式(I)で表される化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2023070526000002
(式(I)中、Rは、炭化水素基を表す。R、Rは、同一若しくは異なって、水素原子(-H)、炭化水素基、又は-(AO)-H基(nは1以上の整数を表し、R、Rの各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。AOは、同一又は異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基を表す。)を表し、R、Rのうち少なくとも1つが-(AO)-H基である。)
~Rの炭化水素基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基が好ましい。炭化水素基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは8以上、特に好ましくは12以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは22以下、特に好ましくは20以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基、アルキニレン基等が挙げられる。なかでも、上記炭素数のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、炭素数3~8のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6~10のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、トリル(tolyl)基、キシリル(xylyl)基、ナフチル基等が挙げられる。なお、トリル基及びキシリル基におけるベンゼン環上のメチル基の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置でもよい。
、Rの-(AO)-H基(nは1以上の整数を表し、R、Rの各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)のAOは、同一又は異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基を表す。該炭素数は、好ましくは3以上であり、上限は特に限定されないが、好ましくは7以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
オキシアルキレン基AO中のアルキレン基Aは、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。
効果がより好適に得られるという理由から、AOは、炭素数2~3のオキシアルキレン基(オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO))に分岐鎖R(Rは、炭化水素基を表す。)が結合した基であることが好ましく、-(AO)-H基は、下記式(A)、(B)で表される基であることがより好ましく、下記式(A)で表される基であることが更に好ましい。また、分岐鎖Rは、酸素原子に隣接する炭素原子に結合していることが好ましい。
Figure 2023070526000003
(式(A)、(B)中、Rは、炭化水素基を表す。nは-(AO)-H基のnと同様である。)
の炭化水素基は、R~Rの炭化水素基と同様の基が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。炭化水素基(好ましくは脂肪族炭化水素基、より好ましくはアルキル基)の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
(AO)が2種以上のオキシアルキレン基を含む場合、オキシアルキレン基の配列はブロックでもランダムでもよい。
nは、AOの付加モル数を表す。nは、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは10以下、特に好ましくは5以下、最も好ましくは3以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
式(I)において、R、Rのうち少なくとも1つが-(AO)-H基であるが、R、Rの全てが-(AO)-H基であることがより好ましい。すなわち、上記式(I)で表される化合物は、下記式(I-1)で表される化合物であることが更に好ましい。これにより、効果がより好適に得られる傾向がある。
Figure 2023070526000004
(式(I-1)中、n1、n2が1以上の整数(nと同様の整数)を表す点以外は、式(I)と同様である。)
式(I)、式(I-1)において、AOの付加モル数の合計(n1+n2)は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上であり、好ましくは40以下、より好ましくは32以下、更に好ましくは20以下、特に好ましくは10以下、最も好ましくは6以下である。上記範囲内であると、効果がより好適に得られる傾向がある。
式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノール類(式(I)中、R:-(CHCH)x-H、R:-(CHCH)y-H)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、POE(2)オクチルアミン、POE(4)デシルアミン、POE(2)ドデシルアミン、POE(5)ドデシルアミン、POE(15)ドデシルアミン、POE(2)テトラデシルアミン、POE(2)ヘキサデシルアミン、POE(2)オクタデシルアミン、POE(20)オクタデシルアミン、POE(2)オクタデセニルアミンなども挙げられる。なお、POE(m)は、ポリオキシエチレンが平均mモル付加していることを示す。これらの市販品として、花王(株)製のアミート102(POE(2)ドデシルアミン)、アミート105(POE(5)ドデシルアミン)、アミート302(POE(2)オクタデシルアミン)、アミート320(POE(20)オクタデシルアミン)などを使用できる。
式(I)で表される化合物としては上記市販品等を使用してもよく、またこれら市販品等とは別に製造したものを用いてもよい。製造方法としては例えば、多価アミン化合物に対してアルキレンオキサイドを、触媒存在下もしくは触媒を用いずに作用させることが考えられるが、この方法に限定されるものではない。
式(I)で表される化合物の含有量(2種以上を併用する場合は合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上、特に好ましくは2.0質量部以上である。また、該含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下、更に好ましくは6.0質量部以下である。式(I)で表される化合物の含有量が上記範囲内であると、効果がより好適に得られる。
上記ゴム組成物は、効果がより良好に得られる観点から、シランカップリング剤を含有することが望ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系;等があげられる。市販されているものとしては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、操縦安定性、低燃費性能が良好に得られる観点から、メルカプト系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは6質量部以上、更に好ましくは10質量部以上であり、また、好ましくは16質量部以下、より好ましくは14質量部以下、更に好ましくは12質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、効果がより良好に得られる観点から、可塑剤として、樹脂を含有することが望ましい。
樹脂としては、C5系樹脂、C5/C9系樹脂、C9系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、シクロペンタジエン系樹脂及びこれらの水添物からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂が望ましい。
C5系樹脂は、C5留分を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解によって得られるC5留分を、AlCl、BF等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる重合体等が挙げられる。C5留分には、通常、1-ペンテン、2-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、3-メチル-1-ブテン等のオレフィン系炭化水素;2-メチル-1,3-ブタジエン、1,2-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,2-ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素;等が含まれる。
C5/C9系樹脂は、C5留分及びC9留分を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、石油由来のC5留分とC9留分とを、AlCl、BF等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる重合体等が挙げられる。具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデン等を主成分とする共重合体等が挙げられる。
なお、本明細書において、C5/C9系樹脂は、スチレン系樹脂、C5系樹脂、C9系樹脂とは別の樹脂として取り扱う。
C9系樹脂は、C9留分を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解により、エチレン、プロピレン等の石油化学基礎原料と共に副生するC9留分を、AlCl、BF等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる重合体等が挙げられる。C9留分の具体例としては、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、γ-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、インデン等が挙げられる。C9系樹脂は、C9留分と共に、C8留分であるスチレン等、C10留分であるメチルインデン、1,3-ジメチルスチレン等、更にはナフタレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、p-tert-ブチルスチレン等をも原料として用い、これらのC8~C10留分等を混合物のまま、例えばフリーデルクラフツ型触媒により共重合して得られるものであってもよい。
なお、本明細書において、C9系樹脂は、スチレン系樹脂とは別の樹脂として取り扱う。
クマロンインデン系樹脂は、クマロン及びインデンを構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、クマロン及びインデンの共重合体の他、クマロン及びインデンとこれらと共重合し得る他の単量体との共重合体も挙げられる。
スチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、スチレン系単量体1種を単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体との共重合体も挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、スチレン、α-メチルスチレンがより好ましい。
効果をより良好に得るため、スチレン系樹脂は、α-メチルスチレン系樹脂(α-メチルスチレン単独重合体、スチレンとα-メチルスチレンとの共重合体等)が好ましく、スチレンα-メチルスチレン樹脂(スチレンとα-メチルスチレンとの共重合体)がより好ましい。
テルペン系樹脂は、テルペン化合物(テルペン系単量体)を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、テルペン化合物1種を単独で重合した単独重合体、2種以上のテルペン化合物を共重合した共重合体の他、テルペン化合物及びこれと共重合し得る他の単量体との共重合体も挙げられる。
テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)等に分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
効果をより良好に得るため、テルペン系樹脂は、テルペン化合物の単独重合体(ポリテルペン樹脂)、テルペン化合物とスチレン系単量体との共重合体が好ましく、テルペン化合物とスチレン系単量体との共重合体がより好ましい。また、テルペン化合物とスチレン系単量体との共重合体は、テルペン化合物とスチレンとの共重合体(テルペンスチレン樹脂)であることが好ましい。
なお、本明細書において、テルペンスチレン樹脂のように、テルペン化合物及びスチレン系単量体を構成モノマーとして含むポリマーは、スチレン系樹脂ではなく、テルペン系樹脂として取り扱う。
シクロペンタジエン系樹脂は、シクロペンタジエン系単量体を構成モノマーとして含むポリマーであり、例えば、シクロペンタジエン系単量体1種を単独で重合した単独重合体、2種以上のシクロペンタジエン系単量体を共重合した共重合体の他、シクロペンタジエン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体との共重合体も挙げられる。
シクロペンタジエン系単量体としては、例えば、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、ジシクロペンタジエンが好ましい。すなわち、シクロペンタジエン系樹脂は、ジシクロペンタジエン(DCPD)を構成モノマーとして含むポリマー(DCPD系樹脂)であることが好ましく、水添DCPD系樹脂がより好ましい。
樹脂は、操縦安定性、低燃費性能の観点から、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂を含むことが好ましい。
このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。
樹脂、特にスチレン系樹脂、テルペン系樹脂を用いることで、コンパウンドのTgが上がり、低温域でのtanδ(エネルギーロス)が上昇する。また、可塑剤成分(AE)が多くなる為、低温での運動性も高くなる。従って、低温でのウェットグリップ性能が向上したものと推察される。
樹脂の含有量(総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
スチレン系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
テルペン系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上述の樹脂は、常温(25℃)で固体の固体樹脂であってもよいし、常温(25℃)で液状の液状樹脂であってもよい。効果をより良好に得るため、樹脂は、少なくとも、固体樹脂を含むことが好ましい。
上記樹脂の軟化点は、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上であり、また、好ましくは180℃以下、より好ましくは130℃以下である。
なお、本開示において、レジンの軟化点は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
固体樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して好ましくは5質量部以上、より好ましくは8質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
液状樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは1質量部以下で、0質量部でもよい。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上述の樹脂の市販品としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、ENEOS(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
樹脂以外の可塑剤としては、例えば、液状ポリマー、オイル(油展ゴム中のオイル分を含む)等を使用することができる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、オイルが好ましい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル等を用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。また、これら以外にも、ライフサイクルアセスメントの観点から、ゴム加工用ミキサーやエンジンなどの潤滑油として使用された後のオイルや、調理店で使用された後の廃食用油を精製して得たオイルを適宜用いても良い。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、ENEOS(株)、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、特に好ましくは25質量部以上である。上限は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは35質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
可塑剤の含有量(樹脂、オイル等の合計含有量)は、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、特に好ましくは35質量部以上であり、また、好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは45質量部以下、特に好ましくは40質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物は、老化防止剤を含有してもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤等が挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物は、ワックスを含有してもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品としては、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、日油(株)、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは3.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、市販品としては、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上、更に好ましくは3.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは6.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物は、硫黄を含有してもよい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に架橋剤として用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄等が挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは3.5質量部以下、より好ましくは2.8質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。市販品としては、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上であり、また、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下、更に好ましくは7.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
ゴム組成物には、上記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤、例えば、有機過酸化物等を更に配合してもよい。これらの添加剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
ゴム組成物は、例えば、上述の各成分をオープンロール、バンバリーミキサー等のゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。加硫時間は、通常5~15分である。
上記ゴム組成物において、効果がより良好に得られる観点から、アセトン抽出量(AE)、ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量(質量部)は、下記式を満たすことが望ましい。
AE/シリカの含有量≧0.20
AE/シリカの含有量の上限は、好ましくは0.25以上、より好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.33以上、特に好ましくは0.35以上である。上限は、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.45以下、更に好ましくは0.43以下、特に好ましくは0.42以下である。下限は、上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。
AE量/シリカの含有量を所定以上とすることで、シリカ-ポリマーの細かいネットワークに入り込む可塑剤成分(AE)が多くなり、ポリマーの微細な運動性が向上し、低温下でも運動性が高くなる。これにより、低温下での追従性が更に向上すると共に、シリカ-ポリマー間の摩擦によるエネルギーロスも生じやすくなる。従って、低温でのウェットグリップ性能が向上したと推察される。
上記ゴム組成物において、効果がより良好に得られる観点から、アセトン抽出量(AE)、ゴム成分100質量部に対する前記式(I)で表される化合物の含有量(質量部)は、下記式を満たすことが望ましい。
AE/式(I)で表される化合物の含有量≧8.0
AE/式(I)で表される化合物の含有量の下限は、好ましくは9.0以上、より好ましくは10.0以上、更に好ましくは10.5以上、特に好ましくは11.0以上である。上限は、好ましくは15.0以下、より好ましくは14.0以下、更に好ましくは13.5以下、特に好ましくは13.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。
AE/式(I)で表される化合物の含有量を所定以上とすることで、シリカ-ポリマーの細かいネットワークに入り込む可塑剤成分(AE)が多くなり、ポリマーの微細な運動性が向上し、低温下でも運動性が高くなる。これにより、低温下での追従性が更に向上すると共に、シリカ-ポリマー間の摩擦によるエネルギーロスも生じやすくなる。従って、低温でのウェットグリップ性能が向上したと推察される。
上記ゴム組成物において、効果がより良好に得られる観点から、ゴム成分100質量部に対する前記樹脂の含有量(質量部)、ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量(質量部)は、下記式を満たすことが望ましい。
樹脂の含有量/シリカの含有量≧0.10
樹脂の含有量/シリカの含有量の下限は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.17以上、更に好ましくは0.20以上、特に好ましくは0.22以上である。上限は、好ましくは0.50以下、より好ましくは0.40以下、更に好ましくは0.30以下、特に好ましくは0.27以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。
樹脂の含有量/シリカの含有量を所定以上とすることで、式(I)の化合物により疎水化されたシリカが樹脂成分に被覆され、ゴム中へ分散されやすくなると考えられる。これにより、低温下での追従性が更に向上すると共に、シリカ-ポリマー間の摩擦によるエネルギーロスも生じやすくなる。従って、低温でのウェットグリップ性能が向上したと推察される。
上記ゴム組成物において、効果がより良好に得られる観点から、ゴム成分100質量部に対する前記樹脂の含有量(質量部)、ゴム成分100質量部に対する前記式(I)で表される化合物の含有量(質量部)は、下記式を満たすことが望ましい。
樹脂の含有量/式(I)で表される化合物の含有量≧3.0
樹脂の含有量/式(I)で表される化合物の含有量の下限は、好ましくは4.0以上、より好ましくは5.0以上、更に好ましくは5.5以上、特に好ましくは6.0以上である。上限は、好ましくは15.0以下、より好ましくは12.5以下、更に好ましくは10.0以下、特に好ましくは8.0以下である。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。
樹脂の含有量/式(I)で表される化合物の含有量を所定以上とすることで、式(I)の化合物と反応後のシリカが、樹脂に被覆され、分散されやすくなると考えられる。これにより、低温下での追従性が更に向上すると共に、シリカ-ポリマー間の摩擦によるエネルギーロスも生じやすくなる。従って、低温でのウェットグリップ性能が向上したと推察される。
ゴム組成物は、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満であることが好ましく、-5℃未満であることがより好ましく、-10℃未満であることが更に好ましい。該ガラス転移温度の下限は、-50℃以上であることが好ましく、-45℃以上であることがより好ましく、-40℃以上であることが更に好ましい。
なお、本明細書において、ゴム組成物のTgは、tanδピーク温度であり、該tanδピーク温度は粘弾性試験を行って得られたtanδの温度分布曲線における最も大きいtanδ値に対応する温度を意味する。具体的には、Tg、すなわちtanδピーク温度は、後述の実施例に記載の方法により測定できる。
上記ゴム組成物は、例えば、トレッド、サイドウォール、ベーストレッド、アンダートレッド、ショルダー、クリンチ、ビードエイペックス、ブレーカークッションゴム、カーカスコード被覆用ゴム、インスレーション、チェーファー、インナーライナー等や、ランフラットタイヤのサイド補強層などのタイヤ部材に(タイヤ用ゴム組成物として)用いることができる。なかでも、トレッド(特に、走行時に路面に接する部分(キャップトレッド))に好適である。ここで、トレッド(キャップトレッド)として用いる場合、そのタイヤ半径方向内側に配されるゴム層(ベーストレッドなど)が前記式(I)で表される化合物を含んでいても良い。また、トレッド(キャップトレッド)内の前記式(I)で表される化合物の含有量>トレッド(キャップトレッド)のタイヤ半径方向内側に配されるゴム層内の前記式(I)で表される化合物の含有量の関係を満たすことが好ましい。
本開示のタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、上記ゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド等の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより、タイヤを得る。
上記タイヤ(空気入りタイヤ等)は、乗用車用タイヤ;トラック・バス用タイヤ;二輪車用タイヤ;高性能タイヤ;スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤ;サイド補強層を備えるランフラットタイヤ;スポンジ等の吸音部材をタイヤ内腔に備える吸音部材付タイヤ;パンク時に封止可能なシーラントをタイヤ内部又はタイヤ内腔に備える封止部材付タイヤ;センサや無線タグ等の電子部品をタイヤ内部又はタイヤ内腔に備える電子部品付タイヤ等に使用可能であり、乗用車用タイヤに好適である。
実施例に基づいて、本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
NR:TSR20
SBR1:住友化学(株)製の変性SBR(3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシランにより末端が変性されたS-SBR、スチレン含量:25質量%、ビニル含量:57質量%、Tg:-25℃)
SBR2:日本ゼオン(株)製のNS612(S-SBR、非油展、スチレン量:15質量%、ビニル量:30質量%、Tg:-65℃、Mw:78万)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(ビニル量1質量%、シス量97質量%)
カーボンブラックN220:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(NSA114m/g)
シリカ1:エボニック・デグサ社製のウルトラシルVN3(NSA175m/g)
シリカ2:エボニック・デグッサ社製の9000GR(NSA235m/g)
シランカップリング剤:エボニック・デグッサ社製Si266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
化合物1:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールHT/14(上記式(I-1)で表される化合物)
化合物2:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールT/15(上記式(I-1)で表される化合物)
化合物3:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製のリポノールC/15(上記式(I)(上記式(I-1))で表される化合物)
化合物4:花王(株)製のアミート102(POE(2)ドデシルアミン、上記式(I-1)で表される化合物)
樹脂1:アリゾナケミカル社製のSYLVARES SA85(αメチルスチレン系樹脂(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体)、軟化点85℃)
樹脂2:アリゾナケミカル社製のSylvatraxx4150(β-ピネン樹脂、β-ピネン含有量98質量%以上、Mw2350、Mn830)
樹脂3:ヤスハラケミカル社製のYSレジンTO125(芳香族変性テルペン樹脂、軟化点125℃)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH-24(アロマ系プロセスオイル)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
老化防止剤:ランクセス社製のVulkanox4020(N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
ワックス:日本精蝋(株)製のOzoace0355
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(実施例及び比較例)
表1~6に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物をキャップトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃の条件下で10分間プレス加硫して試験用タイヤ(乗用車用スタッドレスタイヤ、サイズ:205/70R15)を得た。
得られた試験用タイヤを用いて下記評価を行い、結果を表1~6に示した。
また、下記評価において、指数を計算する際の評価基準は以下のとおりである。
表1、2:比較例1-6
表3、4:比較例2-7
表5、6:比較例3-6
(アセトン抽出量(AE))
上記試験用タイヤのトレッドから切り出したゴム試験片(サンプル)について、JIS K 6229に準拠したアセトン抽出量の測定方法に準拠し、該ゴム試験片中に含まれるアセトンにより抽出される物質の量を測定した。
アセトン抽出量(質量%)=(抽出前のサンプルの質量-抽出後のサンプルの質量)/抽出前のサンプルの質量×100
(ガラス転移温度(Tg))
各試験用タイヤのトレッド部からタイヤ周方向が長辺となる様に長さ20mm×幅4mm×厚さ1mmの粘弾性測定サンプルを採取し、GABO社製のイプレクサーシリーズを用いて、温度-70~70℃の範囲で、周波数10Hz、初期歪10%、振幅±0.5%及び昇温速度2℃/minの条件下で、tanδの温度分布曲線を測定し、tanδが最大値になる温度を求め、ガラス転移点(Tg)とした。
(低温でのウェットグリップ性能)
試験用タイヤを国産2000ccのFF車に装着し、湿潤路面(雪氷のない0℃~3℃のウェット路面)で実車走行し、時速80km/hでロックブレーキを踏み、停止するまでに要した停止距離を測定した。基準比較例を100として、下記式により指数表示した。指数が大きいほど、低温でのウェットグリップ性能が良好であることを示す。
(低温ウェットグリップ性能指数)=(基準比較例の停止距離)/(各配合の停止距離)×100
Figure 2023070526000005
Figure 2023070526000006
Figure 2023070526000007
Figure 2023070526000008
Figure 2023070526000009
Figure 2023070526000010
各表より、実施例は、比較例に比べ、低温でのウェットグリップ性能が優れていた。
本開示(1)は、ゴム成分と、シリカと、下記式(I)で表される化合物とを含み、アセトン抽出量が16.0質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物である。
Figure 2023070526000011
(式(I)中、Rは、炭化水素基を表す。R、Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は-(AO)-H基(nは1以上の整数を表し、R、Rの各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。AOは、同一又は異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基を表す。)を表し、R、Rのうち少なくとも1つが-(AO)-H基である。)
本開示(2)は、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が50質量部以上である本開示(1)記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(3)は、前記ゴム成分がガラス転移温度-50℃未満のスチレンブタジエンゴムを含む本開示(1)又は(2)記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(4)は、スチレン系樹脂及びテルペン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む本開示(1)~(3)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(5)は、前記シリカの平均一次粒子径が16nm以下である本開示(1)~(4)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(6)は、前記ゴム成分がイソプレン系ゴムを含む本開示(1)~(5)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
本開示(7)は、前記アセトン抽出量(AE)、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量(質量部)が、下記式を満たす本開示(1)~(6)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
AE/シリカの含有量≧0.25
本開示(8)は、前記アセトン抽出量(AE)、前記ゴム成分100質量部に対する前記式(I)で表される化合物の含有量(質量部)が、下記式を満たす本開示(1)~(7)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
AE/式(I)で表される化合物の含有量≧10.0
本開示(9)は、前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂の含有量(質量部)及び前記シリカの含有量(質量部)が、下記式を満たす本開示(1)~(8)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
樹脂の含有量/シリカの含有量≧0.20
本開示(10)は、前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂の含有量(質量部)及び前記式(I)で表される化合物の含有量(質量部)が、下記式を満たす本開示(1)~(9)のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物である。
樹脂の含有量/式(I)で表される化合物の含有量≧5.5
本開示(11)は、本開示(1)~(10)のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材を有する空気入りタイヤである。
本開示(12)は、前記タイヤ部材がトレッドである本開示(11)記載の空気入りタイヤである。

Claims (12)

  1. ゴム成分と、シリカと、下記式(I)で表される化合物とを含み、
    アセトン抽出量が16.0質量%以上であるタイヤ用ゴム組成物。
    Figure 2023070526000012
    (式(I)中、Rは、炭化水素基を表す。R、Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭化水素基、又は-(AO)-H基(nは1以上の整数を表し、R、Rの各nは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。AOは、同一又は異なって、炭素数2以上のオキシアルキレン基を表す。)を表し、R、Rのうち少なくとも1つが-(AO)-H基である。)
  2. 前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が50質量部以上である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分がガラス転移温度-50℃未満のスチレンブタジエンゴムを含む請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. スチレン系樹脂及びテルペン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1~3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記シリカは、平均一次粒子径が16nm以下である請求項1~4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記ゴム成分がイソプレン系ゴムを含む請求項1~5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 前記アセトン抽出量(AE)、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量(質量部)が、下記式を満たす請求項1~6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    AE/シリカの含有量≧0.25
  8. 前記アセトン抽出量(AE)、前記ゴム成分100質量部に対する前記式(I)で表される化合物の含有量(質量部)が、下記式を満たす請求項1~7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    AE/式(I)で表される化合物の含有量≧10.0
  9. 前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂の含有量(質量部)及び前記シリカの含有量(質量部)が、下記式を満たす請求項1~8のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    樹脂の含有量/シリカの含有量≧0.20
  10. 前記ゴム成分100質量部に対する前記樹脂の含有量(質量部)及び前記式(I)で表される化合物の含有量(質量部)が、下記式を満たす請求項1~9のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
    樹脂の含有量/式(I)で表される化合物の含有量≧5.5
  11. 請求項1~10のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材を有する空気入りタイヤ。
  12. 前記タイヤ部材がトレッドである請求項11記載の空気入りタイヤ。

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