JP2023069812A - 車両の走行制御方法及び走行制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、車両の走行制御方法及び走行制御装置に関するものである。
自動運転により交差点を走行する際に、車両が交差点内で走行すべき推奨領域を取得し、この推奨領域を走行するように車両を制御することで交差点を通過させる車両制御システムが知られている(特許文献1)。
しかしながら、上記従来の車両制御システムでは、交差点への進入道路と交差点からの退出道路を接続する推奨領域が一つしか設定されない。自車両が交差点を右左折して通過する場合に、対向車両の走行挙動によっては交差点内で一旦停車し、対向車両が自車両の付近を通過した後、右左折して交差点を通過することがある。しかしながら、推奨領域が一つしか設定されないと、交差点内で停車する自車両の位置によっては、停車した後に右左折して交差点を通過するまでに要する時間が長くなるという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、自車両が交差点内で停車した後、交差点を通過するまでに要する時間を短縮できる車両の走行制御方法及び走行制御装置を提供することである。
自車両が右折又は左折して通過しようとする交差点における、交差点の入口から出口までの自車両の走行予定軌跡が、自車両が現在走行する自車線の対向車線を横断する場合に、交差点における自車両の走行予定軌跡として、交差点の入口から出口へ定常円旋回する第1走行ラインと、交差点の中央付近において対向車線を走行する対向車両の通過を待機する第2走行ラインを設定し、第1走行ラインと第2走行ラインのいずれかを選択して自車両を走行させることによって、上記課題を解決する。
本発明によれば、自車両が交差点内で停車した後、交差点を通過するまでに要する時間を短縮できる車両の走行制御方法及び走行制御装置を提供することができる。
《走行制御装置の構成》
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る車両の走行制御装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態の走行制御装置1は、本発明に係る車両の走行制御方法を実施する一実施の形態でもある。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る車両の走行制御装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態の走行制御装置1は、本発明に係る車両の走行制御方法を実施する一実施の形態でもある。
図1に示すように、本実施形態の走行制御装置1は、センサ11、自車位置検出装置12、地図データベース13、車載機器14、ナビゲーション装置15、提示装置16、入力装置17、駆動制御装置18、及び制御装置19を備える。これらの装置は、たとえばCAN(Controller Area Network)その他の車載LANにより接続され、相互に情報の送受信を行うことができる。
センサ11は、自車両の走行状態を検出する。たとえば、センサ11として、自車両の前方を撮像する前方カメラ、自車両の左右の側方をそれぞれ撮像する側方カメラ、自車両の後方を撮像する後方カメラ、自車両の前方の障害物を検出する前方レーダー、自車両の後方の障害物を検出する後方レーダー、自車両の左右の側方に存在する障害物を検出する側方レーダー、自車両の車速を検出する車速センサ、ドライバーがハンドルを持っているか否かを検出するタッチセンサ(静電容量センサ)およびドライバーを撮像する車内カメラなどが挙げられる。なお、センサ11として、上述した複数のセンサのうち1つを用いる構成としてもよいし、2種類以上のセンサを組み合わせて用いる構成としてもよい。センサ11の検出結果は、所定時間間隔で制御装置19に出力される。
自車位置検出装置12は、GPSユニット、ジャイロセンサ、および車速センサ等を備える。自車位置検出装置12は、GPSユニットにより複数の衛星通信から送信される電波を検出し、対象車両(自車両)の位置情報を周期的に取得する。また、自車位置検出装置12は、取得した対象車両の位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、対象車両の現在位置を検出する。自車位置検出装置12により検出された対象車両の位置情報は、所定時間間隔で制御装置19に出力される。
地図データベース13は、各種施設や特定の地点の位置情報を含む三次元高精度地図情報を格納し、制御装置19からアクセス可能とされたメモリである。三次元高精度地図情報は、データ取得用車両を用いて実際の道路を走行した際に検出された道路形状に基づく三次元地図情報である。三次元高精度地図情報は、地図情報とともに、カーブ路及びそのカーブの大きさ(たとえば曲率又は曲率半径)、道路の合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置などの詳細かつ高精度の位置情報が、三次元情報として関連付けられた地図情報である。ただし、本発明の地図データベースに格納される地図情報は、三次元高精度地図情報にのみ限定されず、それ以外の地図情報であってもよい。
車載機器14は、車両に搭載された各種機器であり、ドライバーの操作により動作する。このような車載機器としては、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダル、方向指示器、ワイパー、ライト、クラクション、その他の特定のスイッチなどが挙げられる。車載機器14は、ドライバーにより操作された場合に、その操作情報を制御装置19に出力する。
ナビゲーション装置15は、自車位置検出装置12から自車両の現在の位置情報を取得し、誘導用の地図情報に自車両の位置を重ね合わせてディスプレイなどに表示する。また、ナビゲーション装置15は、ドライバーが目的地を入力すると、その目的地までのルートを演算し、設定されたルートをドライバーに案内するナビゲーション機能を備える。このナビゲーション機能により、ナビゲーション装置15は、ディスプレイの地図上に目的地までのルートを表示するとともに、音声等によってルート上の走行推奨行動をドライバーに知らせる。
提示装置16は、ナビゲーション装置15が備えるディスプレイ、ルームミラーに組み込まれたディスプレイ、メーター部に組み込まれたディスプレイ、フロントガラスに映し出されるヘッドアップディスプレイ等の各種ディスプレイを含む。また、提示装置16は、オーディオ装置のスピーカー、振動体が埋設された座席シート装置など、ディスプレイ以外の装置を含む。提示装置16は、制御装置19の制御に従って、各種の提示情報をドライバーに報知する。
入力装置17は、たとえば、ドライバーの手動操作による入力が可能なボタンスイッチ、ディスプレイ画面上に配置されたタッチパネル、又はドライバーの音声による入力が可能なマイクなどの装置である。本実施形態では、ドライバーが入力装置17を操作することで、提示装置16により提示された提示情報に対する設定情報を入力することができる。図2は、本実施形態の入力装置17の一部を示す正面図であり、ステアリングホイールのスポーク部などに配置されたボタンスイッチ群からなる一例を示す。
図示する入力装置17は、制御装置19が備える自律走行制御機能(自律速度制御機能及び自律操舵制御機能)のON/OFF等を設定する際に使用するボタンスイッチである。自律速度制御機能及び自律操舵制御機能を含む自律走行制御機能の詳細は、後述する。本実施形態の入力装置17は、メインスイッチ171、リジューム・アクセラレートスイッチ172、セット・コーストスイッチ173、キャンセルスイッチ174、車間調整スイッチ175、及び車線変更支援スイッチ176を備える。
メインスイッチ171は、制御装置19の自律速度制御機能及び自律操舵制御機能を実現するシステムの電源をON/OFFするスイッチである。リジューム・アクセラレートスイッチ172は、自律速度制御機能を一旦OFFしたのちOFF前の設定速度で自律速度制御機能を再開したり、先行車両(自車両と同じ車線の前方を走行する他車両。以下、本明細書において同じ。)に追従して停車したのち制御装置19によって再発進したりするリジューム操作や、設定速度を上げるアクセラレート操作をするためのスイッチである。セット・コーストスイッチ173は、走行時の速度で自律速度制御機能を開始するセット操作や、設定速度を下げるコースト操作をするためのスイッチである。キャンセルスイッチ174は、自律速度制御機能をOFFするスイッチである。車間調整スイッチ175は、先行車両との車間距離を設定するためのスイッチであり、たとえば短距離・中距離・長距離といった複数段の設定から1つを選択するスイッチである。車線変更支援スイッチ176は、制御装置19が車線変更の開始をドライバーに確認した場合に車線変更の開始を承諾するためのスイッチである。なお、車線変更の開始を承諾した後に、車線変更支援スイッチ176を所定時間よりも長く押すことで、制御装置19による車線変更の提案の承諾を取り消すことができる。
図2に示すボタンスイッチ群以外にも、方向指示器の方向指示レバーやその他の車載機器14のスイッチを入力装置17として用いることができる。たとえば、制御装置19から自律制御により車線変更を行うか否かを提案された場合に、ドライバーが方向指示器のスイッチをオンにすることで、車線変更の承諾又は許可を入力する構成とすることもできる。また、制御装置19から自律制御により車線変更を行うか否かを提案された場合に、ドライバーが方向指示レバーを操作すると、提案された車線変更ではなく、方向指示レバーが操作された方向に向かって車線変更を行う構成とすることもできる。入力装置17により入力された設定情報は、制御装置19に出力される。
駆動制御装置18は、種々の態様で自車両の走行を制御する。たとえば、駆動制御装置18は、自律速度制御機能により自車両が設定速度で定速走行する場合には、自車両が設定速度となるように、加速および減速、並びに走行速度を維持するために、駆動機構の動作(エンジン自動車にあっては内燃機関の動作、電気自動車系にあっては走行用モータの動作を含み、ハイブリッド自動車にあっては内燃機関と走行用モータとのトルク配分も含む)およびブレーキ動作を制御する。また、駆動制御装置18は、自律速度制御機能により自車両が先行車両に追従走行する場合には、自車両と先行車両との車間距離が一定距離となるように、加減速度および走行速度を実現するための駆動機構の動作およびブレーキ動作を制御する。
また、駆動制御装置18は、自律操舵制御機能により、上述した駆動機構とブレーキの動作制御に加えて、ステアリングアクチュエータの動作を制御することで、自車両の操舵制御を実行する。たとえば、駆動制御装置18は、自律操舵制御機能によりレーンキープ制御を実行する場合に、自車線(自車両が走行する車線。以下、本明細書において同じ。)のレーンマーカを検出し、自車両が自車線内の所定位置を走行するように、自車両の幅員方向における走行位置を制御する。また、駆動制御装置18は、後述する車線変更支援機能により車線変更支援を実行する場合に、自車両が車線変更を行うように、自車両の幅員方向における走行位置を制御する。さらに、駆動制御装置18は、自律操舵制御機能により右左折支援を実行する場合には、交差点などにおいて右折又は左折する走行制御を行う。なお、駆動制御装置18は、後述する制御装置19の指示により自車両の走行を制御する。また、駆動制御装置18による走行制御方法として、その他の公知の方法を用いることもできる。
制御装置19は、自車両の走行を制御するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)等を備える。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
《制御装置19により実現される機能》
制御装置19は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、自車両の走行状態に関する情報を取得する走行情報取得機能と、自車両の走行シーンを判定する走行シーン判定機能と、自車両の走行速度及び/又は操舵を自律制御する自律走行制御機能とを実現する。以下、制御装置19が備える各機能について説明する。
制御装置19は、ROMに格納されたプログラムをCPUにより実行することにより、自車両の走行状態に関する情報を取得する走行情報取得機能と、自車両の走行シーンを判定する走行シーン判定機能と、自車両の走行速度及び/又は操舵を自律制御する自律走行制御機能とを実現する。以下、制御装置19が備える各機能について説明する。
制御装置19の走行情報取得機能は、制御装置19が自車両の走行状態に関する走行情報を取得するための機能である。たとえば、制御装置19は、センサ11の前方カメラ、後方カメラ及び側方カメラにより撮像された自車両外部の画像情報を走行情報として取得する。また、制御装置19は、前方レーダー、後方レーダー及び側方レーダーによる検出結果を、走行情報として取得する。さらに、制御装置19は、センサ11の車速センサにより検出された自車両の車速情報、ジャイロセンサにより検出された自車両の姿勢角・ヨーレート、車内カメラにより撮像されたドライバーの顔の画像情報なども走行情報として取得する。
さらに、制御装置19は、自車両の現在の位置情報を走行情報として自車位置検出装置12から取得する。また、制御装置19は、設定された目的地及び目的地までのルートを走行情報としてナビゲーション装置15から取得する。さらに、制御装置19は、カーブ路及びそのカーブの大きさ(たとえば曲率又は曲率半径)、合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置などの位置情報を走行情報として地図データベース13から取得する。加えて、制御装置19は、ドライバーによる車載機器14の操作情報を、走行情報として車載機器14から取得する。以上が、制御装置19により実現される走行情報取得機能である。
制御装置19の走行シーン判定機能は、制御装置19のROMに記憶されたテーブルを参照して、自車両が走行している走行シーンを判定する機能である。制御装置19のROMに記憶されたテーブルには、たとえば車線変更や追い越しに適した走行シーンとその判定条件が、走行シーンごとに記憶されている。制御装置19は、ROMに記憶されたテーブルを参照して、自車両の走行シーンが、たとえば車線変更や追い越しに適した走行シーンであるか否かを判定する。
たとえば、「先行車両への追いつきシーン」の判定条件として、「前方に先行車両が存在」、「先行車両の車速<自車両の設定車速」、「先行車両への到達が所定時間以内」、および「車線変更の方向が車線変更禁止条件になっていない」の4つの条件が設定されているとする。この場合、制御装置19は、たとえば、センサ11に含まれる前方カメラや前方レーダーによる検出結果、車速センサにより検出された自車両の車速、および自車位置検出装置12による自車両の位置情報などに基づいて、自車両が上記条件を満たすか否かを判断する。上記条件を満たす場合には、制御装置19は、自車両が「先行車両への追いつきシーン」であると判定する。以上が、制御装置19により実現される走行シーン判定機能である。
制御装置19の自律走行制御機能は、制御装置19が自車両の走行をドライバーの操作に依ることなく自律制御するための機能である。制御装置19の自律走行制御機能は、自車両の走行速度を自律制御する自律速度制御機能と、自車両の操舵を自律制御する自律操舵制御機能とを含む。なお、ドライバーの操作に依ることなく自律制御することには、一部の操作をドライバーにより行うことも含まれる。また、自律速度制御機能と自律操舵制御機能は、互いに独立した機能であってもよく、互いに関連した機能であってもよい。以下、本実施形態の自律速度制御機能と自律操舵制御機能について説明する。
自律速度制御機能は、先行車両を検出しているときは、ドライバーが設定した車速を上限にして、車速に応じた車間距離を保つように車間制御を行いつつ先行車両に追従走行する一方、先行車両を検出していない場合には、ドライバーが設定した車速で定速走行する機能である。前者を車間制御、後者を定速制御ともいう。なお、自律速度制御機能は、センサ11により道路標識から走行中の道路の制限速度を検出し、あるいは地図データベース13の地図情報から制限速度を取得して、その制限速度を自動的に設定車速にする機能を含んでもよい。
自律速度制御機能を作動するには、まずドライバーが、図2に示す入力装置17のリジューム・アクセラレートスイッチ172又はセット・コーストスイッチ173を操作して、所望の走行速度を入力する。たとえば、自車両が70km/hで走行中にセット・コーストスイッチ173を押すと、現在の走行速度がそのまま設定されるが、ドライバーが所望する速度が80km/hであるとすると、リジューム・アクセラレートスイッチ172を複数回押して、設定速度を上げればよい。リジューム・アクセラレートスイッチ172に付された「+」の印は、設定値を増加させるスイッチであることを示している。逆にドライバーが所望する速度が60km/hであるとすると、セット・コーストスイッチ173を複数回押して、設定速度を下げればよい。セット・コーストスイッチ173に付された「-」の印は、設定値を減少させるスイッチであることを示している。また、ドライバーが所望する車間距離は、図2に示す入力装置17の車間調整スイッチ175を操作し、たとえば短距離・中距離・長距離といった複数段の設定から1つを選択すればよい。
ドライバーが設定した車速で定速走行する定速制御は、センサ11の前方レーダー等により、自車線の前方に先行車両が存在しないことが検出された場合に実行される。定速制御では、設定された走行速度を維持するように、車速センサによる車速データをフィードバックしながら、駆動制御装置18によりエンジンやブレーキなどの駆動機構の動作を制御する。
車間制御を行いつつ先行車両に追従走行する車間制御は、センサ11の前方レーダー等により、自車線の前方に先行車両が存在することが検出された場合に実行される。車間制御では、設定された走行速度を上限にして、設定された車間距離を維持するように、前方レーダーにより検出した車間距離データをフィードバックしながら、駆動制御装置18によりエンジンやブレーキなどの駆動機構の動作を制御する。なお、車間制御で走行中に先行車両が停止した場合は、先行車両に続いて自車両も停止する。また、自車両が停止した後、たとえば30秒以内に先行車両が発進すると、自車両も発進し、再び車間制御による追従走行を開始する。自車両が30秒を超えて停止している場合は、先行車両が発進しても自動で発進せず、先行車両が発進した後、リジューム・アクセラレートスイッチ172を押すか又はアクセルペダルを踏むと、再び車間制御による追従走行を開始する。
一方、自律操舵制御機能は、ステアリングアクチュエータの動作を制御することで、自車両の操舵制御を実行するための機能である。本実施形態の自律操舵制御機能には、(1)車線のたとえば中央付近を走行するようにステアリングを制御して、ドライバーのハンドル操作を支援するレーンキープ機能(車線幅員方向維持機能)、(2)ドライバーがウィンカーレバーを操作するとステアリングを制御し、車線変更に必要なハンドル操作を支援する車線変更支援機能、(3)設定車速よりも遅い車両を前方に検出すると、表示によりドライバーに追い越し操作を行うか確認し、ドライバーが承諾スイッチを操作した場合、ステアリングを制御し追い越し操作を支援する追い越し支援機能、(4)ドライバーがナビゲーション装置などに目的地を設定している場合には、ルートに従って走行するために必要な車線変更地点に到達すると、表示によりドライバーに車線変更を行うか確認し、ドライバーが承諾スイッチを操作した場合、ステアリングを制御し車線変更を支援するルート走行支援機能などが含まれる。なお、自律操舵制御を実行する場合、自律速度制御も同時に実行するが、速度制御はドライバーのアクセル・ブレーキ操作によって実行してもよい。
さて、上述した自律走行制御機能を用いて交差点内を自律走行する場合、予め設定した走行ルートを自車両が追従走行することにより交差点内を通過する。従来技術にて上げた先行技術文献には、交差点への進入道路と交差点からの退出道路を接続する推奨領域を設定し、この推奨領域を走行するように自車両を制御することが記載されている。しかしながら、先行技術文献では、交差点内を走行するための推奨領域が一つしか設定されない。交差点内の推奨領域(走行ルート)が一つしか設定されないと、自車両V1が交差点内で停車する位置によっては、交差点内で停車した後に、自車両V1が右左折して交差点を通過するまでに要する時間が長くなることがある。
図4に示す交差点ISは、図の上下方向に延在する走行レーンが片側2車線(左側通行)の道路であり、図の左右方向に延在する走行レーンは交差点ISに進入する走行レーンが2車線、交差点ISから退出する走行レーンが1車線の道路である。自車両V1は、図の下方の走行レーンL1から交差点ISに進入し、交差点IS内を右折して図の右方の走行レーンL2へ退出するものとする。このような場合に、たとえば自車両V1が現在走行する走行レーンL1の対向車線(自車線と対向する車線。以下、本明細書において同じ。)である走行レーンL3から進入し、交差点ISを直進して走行レーンL4へ退出する対向車両V2がいると、図4に示すように、自車両V1は交差点ISの入口付近で一旦停車する必要がある。そして、対向車両V2が通過した後に、自車両V1は停車していた位置から右折を開始して走行レーンL2に退出することになるので、交差点IS内で停車してから交差点ISを通過するまでに要する時間が長くなる。
そこで、本実施形態に係る車両の走行制御装置1では、交差点を自律走行する場合に、自車両V1の走行予定軌跡として、交差点ISの入口から出口へ定常円旋回する第1走行ラインのほかに、交差点ISの中央付近において、対向車線を走行する対向車両V2の通過を待機する第2走行ラインを設定する。そして、自車両V1が交差点ISを通過する際に、第2走行ラインを選択すると、交差点ISの中央付近において対向車両V2が通過するの待機できるので、自車両V1が交差点IS内で停車した後、交差点ISを通過するまでに要する時間を短縮することができる。
以下、交差点ISを自律走行する実施形態について、図5A~図6Bを参照しながら説明する。なお、以下においては、日本の交通法規のように、車両は左側通行、人間は右側通行と規定された交通法規に従う走行シーンに本発明を適用した例を説明する。ただし、車両は右側通行、人間は左側通行と規定された交通法規に従う走行シーンに対しても、以下の説明において左右を入れ替えた読み替えを行うことにより、本発明を適用することができる。
図3は、制御装置19に含まれる交差点走行制御ユニット190の一例を示すブロック図である。本実施形態の交差点走行制御ユニット190は、走行データ蓄積部191と、走行状況判定部192と、走行ライン設定部193と、追従指令値生成部194を備え、これに地図データベース13と、交差点検出部としての前方カメラなどのセンサ11からの信号又は情報が組み込まれ、最終的な指令値は駆動制御装置18に出力される。これらの交差点走行制御ユニット190を構成する各部は、制御装置19における情報処理プログラムの実行により発揮される機能構成を便宜的に表現したものであり、実際にはROMに格納されたプログラムにより実現される。
走行データ蓄積部191は、過去に走行したことがある道路における車両の走行情報(走行軌跡など)及び位置情報(緯度経度など)が関連付けられて蓄積されたデータベースである。走行データ蓄積部191は、たとえば車両の外部のサーバなどに設けられ、特定のユーザがインターネット回線などを介してアクセス可能とされている。この走行データ蓄積部191に走行軌跡の履歴があれば、そのデータを読み出して自律走行することができる。また、過去の走行情報に今回の走行情報を反映して更新し、たとえば後述する第1走行ライン及び第2走行ラインの情報を記憶することもできる。ただし、走行履歴がない初めての交差点ISであったり、交差点ISの形状が変更されていたりすると走行データ蓄積部191の情報は利用できない。なお、走行データ蓄積部191は、本発明に必須の構成ではなく、必要に応じて省略されてもよい。
交差点検出部は、自車両V1の走行ルートにおける交差点ISを検出するセンサ11であり、主として自車両V1の前方を撮像する前方カメラ、自車両V1の左右の側方をそれぞれ撮像する側方カメラなどが含まれる。交差点検出部は、前方カメラ等により交差点情報を取得する。交差点情報には、交差点ISの入口及び出口の位置情報(緯度経度など)、交差点ISの入口及び出口に接続する道路情報(車線数、車線幅など)のほか、路面標示情報(レーンマーカ、停止線など)が含まれる。なお、交差点検出部は、地図データベース13に格納された地図情報から交差点情報を取得してもよい。
図5Aは、本実施形態の走行制御装置1を用いて、自車両V1が交差点ISを自律走行により右折するシーンの一例を示す平面図である。図5Aに示す交差点ISは、図4に示す交差点ISと同様に、図の上下方向に延在する走行レーンが片側2車線(左側通行)の道路であり、図の左右方向に延在する走行レーンは交差点ISに進入する走行レーンが2車線、交差点ISから退出する走行レーンが1車線の道路である。また、交差点ISの中央には交差点IS内の走行を誘導する誘導標示GMが設けられている。自車両V1は、交差点ISの入口の走行レーンL1から交差点ISに進入し、右折して交差点ISの出口の走行レーンL2に退出するものとする。なお、ここでいう交差点ISの入口と、交差点ISの出口とは、自車両V1の進行方向から見たときの入口及び出口という意味である。
走行状況判定部192は、地図データベース13により取得した地図情報、走行データ蓄積部191により取得した車両の走行情報(走行軌跡など)、交差点検出部により取得した交差点情報に基づいて、自車両V1が交差点ISを走行する走行予定軌跡TRが、自車両V1が現在走行する自車線の対向車線を横断するか否かを判定する。走行予定軌跡TRが対向車線を横断するということは、対向車線を走行する対向車両V2を通過させるため、自車両V1が交差点IS内で停車または徐行する必要があるということである。
まず、走行状況判定部192は、自車両V1の走行予定軌跡TRを生成する。図5Aに示すシーンでいうと、たとえば交差点ISの入口に接続する走行レーンL1の停止線SL1の中心と、交差点ISの出口に接続する走行レーンL2の対向車線の停止線を延長した延長停止線SL2(二重線)の中心を滑らかに繋ぐ緩和曲線を、たとえば三角関数、多項式関数、クロソイド曲線、ベジェ曲線などを用いて生成する(実線矢印)。なお、走行データ蓄積部191に、交差点ISの過去の走行軌跡が記憶されている場合には、走行状況判定部192は、走行予定軌跡TRとして過去の走行軌跡を読み出してもよい。
次に、走行状況判定部192は、生成した走行予定軌跡TRが対向車線を横断するか否かを判定する。ここでいう対向車線とは、図5Aに示すシーンでいうと、自車両V1が現在走行する走行レーンL1に対向する走行レーンL3,走行レーンL4及び、走行レーンL3と走行レーンL4を繋ぐ交差点IS内の経由レーンRLである。たとえば自車両V1が交差点ISを左折する場合には経由レーンRLを横断しないが、図5Aに示すように、自車両V1が走行予定軌跡TRに沿って右折する場合には、経由レーンRLを横断する。このようなシーンにおいて、走行状況判定部192は、自車両V1の走行予定軌跡TRが対向車線を横断すると判定する。走行状況判定部192は、判定結果を走行ライン設定部193に出力する。
走行ライン設定部193は、走行状況判定部192から自車両V1の走行予定軌跡TRが対向車線を横断するという判定結果を取得すると、自車両V1が交差点IS内を走行するための走行予定軌跡TRとして、少なくとも第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2を設定する。そして、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2のうち、いずれの走行ラインTL(第1走行ラインTL1,第2走行ラインTL2の総称。以下、本明細書において同じ。)を用いて自車両V1を走行制御するか決定し、追従指令値生成部194に出力する。
第1走行ラインTL1は、特に限定されないが、たとえば図5Aに示すように交差点ISの入口から出口までを繋ぐ曲率が一定のラインである。すなわち、自車両V1が旋回する半径が一定となる定常円旋回の軌跡となる。これに対して、第2走行ラインTL2は、特に限定されないが、交差点ISの入口から中央付近までと、交差点ISの中央付近から出口までとを繋ぐ曲率が、第1走行ラインTL1より大きい走行ラインである。すなわち、交差点ISの入口から中央付近までは、自車両V1がなるべく直進して走行し、交差点ISの中央付近で大きく旋回して出口に向かう軌跡であり、交差点ISの中央付近において自車両V1が対向車両V2の通過を待機することができる軌跡である。これにより、第1走行ラインTL1は、自車両V1の走行挙動を安定させることができ、第2走行ラインTL2は、対向車線を走行する対向車両V2の走行挙動に自車両V1を対応させることができる。なお、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2は、後述するように一部の軌跡において重畳する領域があってもよい(図6A及び図6B参照)。
ちなみに、走行ラインTLは、自車両V1が第1走行ラインTL1を走行した場合に発生する横方向の躍度(ジャーク,加加速度)が、第2走行ラインTL2を走行した場合に発生する横方向の躍度に比べて小さいラインとすることにより設定されてもよい。これにより、第1走行ラインTL1は、自車両V1が右折する際の横方向にかかる遠心力(いわゆる横G)の躍度を抑制した軌跡にすることができるので、自車両V1の走行挙動の安定性が向上する。
また、走行ラインTLは、第2走行ラインTL2のうち、交差点ISの入口から中央付近まで走行した場合の自車両V1の操舵角が、第1走行ラインTL1を走行した場合の操舵角に比べて小さく、第2走行ラインTL2のうち、交差点ISの中央付近から出口まで走行した場合の操舵角が、第1走行ラインTL1を走行した場合の操舵角に比べて大きくすることにより設定されてもよい。これにより、第1走行ラインTL1は、自車両V1の乗員がハンドルを操作する際の、操舵角の変化量を抑制した軌跡にすることができるので、自車両V1の走行挙動の安定性が更に向上する。また、第2走行ラインTL2は、交差点ISの中央付近に至るまでは、操舵角の変化量を抑制した軌跡にすることができるので、自車両V1を交差点ISの中央付近まで円滑に走行させることができる。
走行ライン設定部193は、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2を設定すると、いずれの走行ラインTLを用いて自車両V1を走行制御するか選択する。たとえば、センサ11としての前方カメラ等により、交差点ISを走行する他車両を検出し、検出された他車両の走行挙動から、自車両V1が交差点IS内で停車又は徐行する必要があるか否かを判定して走行ラインTLを決定してもよい。
図5Bに示すように、第2走行ラインTL2は交差点ISの中央付近を走行するため、第1走行ラインTL1に沿って走行し、交差点IS内で停車する場合に比べて、自車両V1を交差点ISの内部(中央付近)で停車させることができる。そのため、走行ライン設定部193は、他車両の走行挙動により自車両V1が交差点IS内で停車又は徐行する必要がある場合には、第2走行ラインTL2を選択する。自車両V1をなるべく交差点ISの内部(中央付近)で停車させたほうが、停車した後に自車両V1が右折するための距離が短くなるので、交差点ISを通過するのに要する時間を短縮することができるからである。
特に、交差点ISを走行する他車両のうち、走行レーンL3から交差点ISに進入する対向車両V2が検出された場合には、自車両V1が交差点IS内で停車又は徐行する可能性が高くなるので、走行ライン設定部193は第2走行ラインTL2を選択する。図5Bに示すシーンのように、対向車両V2が走行レーンL3から経由レーンRLを走行し、走行レーンL4へ退出する場合には、対向車両V2が自車両V1の走行予定軌跡TRを通過するので、自車両V1の走行挙動に影響を与えるからである。自車両V1の走行挙動に影響を与える対向車両V2が存在する場合には、自車両V1が停車又は徐行する必要があると判定し、第2走行ラインTL2を選択することにより、自車両V1をなるべく交差点ISの内部(中央付近)で停車させることができる。その結果、自車両V1が停車した後、交差点ISを通過するのに要する時間を短縮することができる。
ただし、交差点検出部により取得した交差点情報に基づいて、自車両V1が現在走行する走行レーンL1が、対向車線(走行レーンL3)に対して優先道路であると検出した場合には、第1走行ラインTL1を選択してもよい。このような場合には、自車両V1の走行予定軌跡TRを通過する対向車両V2がいても、自車両V1が対向車両V2に優先して交差点ISを右折することができるので、自車両V1は停車又は徐行する必要がないからである。
一方において、自車両V1が現在走行する走行レーンL1が、対向車線(走行レーンL3)に対して非優先道路である場合には、走行レーンL3から交差点ISに進入する対向車両V2がいると、自車両V1は停車又は徐行しなければならないので、第2走行ラインTL2を選択する。このように、自車両V1が走行する自車線が対向車線に対して優先道路であるか非優先道路であるかに応じて走行ラインTLを選択することにより、交差点ISの走行環境に応じた走行ラインTLで自車両V1を走行させることができる。
なお、図5Cに示すように、交差点検出部により取得した交差点情報に基づいて、交差点IS内の走行を誘導する誘導ラインGLを検出した場合には、交通法規に従って自車両V1を走行させるため、走行ライン設定部193は、誘導ラインGLに沿った第3走行ラインTL3を用いて走行制御する。ただし、図5Cに示すように、誘導ラインGLが交差点IS内の一部の範囲において設置されてることも多い。このような場合には、たとえば誘導ラインGLの先端で自車両V1が停止する停止位置SPを検出し、停止位置SPから交差点ISの出口の延長停止線SL2(二重線)までを繋ぐ補完ラインCLを演算し、第3走行ラインTL3を通過した後は補完ラインCLに沿って自車両V1を走行制御してもよい。
ちなみに、走行ライン設定部193は、図5A及び図5Bに示すように、交差点IS内の走行を誘導する誘導標示GMを検出した場合には、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2のうち、誘導標示GMの付近を走行する走行ラインTL(ここでは図5Bに示す第2走行ラインTL2)を用いて自車両V1を走行させる。誘導ラインGLを検出した場合と同様に、交通法規に従って自車両V1を走行制御するためである。
図6A及び図6Bは、走行ライン設定部193が、第1走行ラインTL1又は第2走行ラインTL2を選択するシーンを説明するための平面図である。上述したように、走行ライン設定部193は、対向車両V2の走行挙動や交差点検出部により取得した交差点情報に基づいて、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTLのいずれか(或いは第3走行ラインTL3)を選択して自車両V1を走行制御する。たとえば、走行ライン設定部193は、自車両V1が交差点ISの入口に到達したタイミングで走行ラインTLを選択してもよい。図6Aに示すシーンでいうと、自車両V1が走行レーンL1の停止線SL1に至った際である。自車両V1が交差点ISに進入する前に走行ラインTLを選択することにより、自車両V1が円滑に交差点ISを通過することができるからである。
また、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2とが重畳する場合には、走行ライン設定部193は、この重畳する領域において走行ラインTLを選択してもよい。図6Bに示すシーンでいうと、走行ライン設定部193は、交差点検出部により取得した交差点情報に基づいて、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2が重畳する重畳エリアCAを検出する。重畳エリアCAを過ぎてから走行ラインTLを選択すると、場合によっては自車両V1の走行軌跡を急に変更しなければならず、自車両V1の走行挙動に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、重畳エリアCAにおいて走行ラインTLを選択すれば、交差点ISに進入した後であっても、自車両V1の走行挙動に影響を及ぼすことなく、より適切な走行ラインTLを設定することができる。
さらに、走行ライン設定部193は、重畳エリアCAのうち、交差点ISの中央付近に最も近付く位置、すなわち交差点ISに最も進入したタイミングで走行ラインTLを選択してもよい。図6Bに示すシーンでいうと、重畳エリアCAの最端部SCLに至った際に走行ラインTLを選択する。交差点ISに進入した後、なるべく交差点ISの内部まで自車両V1を走行させたタイミングで走行ラインTLを選択することにより、対向車線を走行する対向車両V2の走行挙動を検出する時間を確保しつつ、自車両V1の走行環境に応じた適切な走行ラインTLを選択することができるからである。
図3に戻り、追従指令値生成部194は、走行ライン設定部193により選択された走行ラインTLに基づいて実際に駆動制御装置18へ出力する制御指令値を演算する。たとえば、選択された走行ラインTLの中央に沿って自車両V1を走行させるように制御指令値を演算する。追従指令値生成部196は、選択された走行ラインTLに基づいて自車両V1を追従させることで交差点ISを走行させる。
《交差点走行制御処理》
次に、図7を参照して、本実施形態に係る交差点走行制御処理について説明する。図7は、本実施形態の制御装置19が実行する交差点走行制御処理の一例を示すフローチャートである。以下に説明する走行制御処理は、制御装置19により所定時間間隔で実行される。また、以下においては、制御装置19の自律走行制御機能により、自律速度制御と自律操舵制御が実行され、自車両がドライバーの設定した速度で車線内を走行するように、自車両の幅員方向における走行位置を制御するレーンキープ制御が行われているものとする。
次に、図7を参照して、本実施形態に係る交差点走行制御処理について説明する。図7は、本実施形態の制御装置19が実行する交差点走行制御処理の一例を示すフローチャートである。以下に説明する走行制御処理は、制御装置19により所定時間間隔で実行される。また、以下においては、制御装置19の自律走行制御機能により、自律速度制御と自律操舵制御が実行され、自車両がドライバーの設定した速度で車線内を走行するように、自車両の幅員方向における走行位置を制御するレーンキープ制御が行われているものとする。
まず、図7のステップS1にて、交差点検出部(センサ11)は、前方カメラ等を用いて自車両V1の走行ルートにある交差点ISを検出する。次に、走行状況判定部192は、ステップS2にて、自車両V1の走行予定軌跡TRを生成する。たとえば、図5Aに示すように、交差点ISの入口に接続する走行レーンL1の停止線SL1の中心と、交差点ISの出口に接続する走行レーンL2の対向車線の停止線を延長して算出した延長停止線SL2(二重線)の中心を滑らかに繋ぐ緩和曲線を生成する。なお、走行データ蓄積部191に交差点ISの過去の走行軌跡が記憶されている場合には、過去の走行軌跡を読み出して走行予定軌跡TRとしてもよい。
ステップS3にて、走行状況判定部192は、自車両V1の走行予定軌跡TRが対向車線を横断するか否かを判定する。対向車線とは、図5Aに示すシーンでいうと、自車両V1が現在走行する走行レーンL1に対向する走行レーンL3,走行レーンL4と、走行レーンL3と走行レーンL4を繋ぐ交差点IS内の経由レーンRLである。図5Aに示すように、自車両V1の走行予定軌跡TRが対向車線を横断すると判定した場合には、ステップS4へ進む。これに対して自車両V1の走行予定軌跡TRが対向車線を横断しないと判定した場合には、交差点ISを通過する際に、自車両V1が対向車両V2の走行状態に応じて停車又は徐行する必要がないので、本実施形態の交差点走行制御処理を終了する。
ステップS3の判定の結果、自車両V1の走行予定軌跡TRが対向車線を横断すると判定した場合には、ステップS4にて、走行ライン設定部193は、交差点ISにおける自車両V1の走行予定軌跡TRとして、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2を設定する。第1走行ラインTL1は、たとえば図5Aに示す、交差点ISの入口から出口を走行する自車両V1の旋回する半径が一定となる定常円旋回の軌跡である。第2走行ラインTL2は、たとえば図5Bに示す、交差点ISの入口から中央付近までは、自車両V1がなるべく直進して走行し、交差点ISの中央付近で大きく旋回して出口に向かう軌跡であり、交差点ISの中央付近において自車両V1が対向車両V2の通過を待機することができる軌跡である。
続くステップS5にて、走行ライン設定部193は、図6Bに示すように、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2が重畳する、重畳エリアCAが存在するか否かを判定する。重畳エリアCAが存在すると判定した場合には、ステップS6へ進む。これに対して、重畳エリアCAが存在しないと判定した場合には、ステップS7へ進む。
ステップS5の判定の結果、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2が重畳する重畳エリアCAが存在すると判定した場合には、ステップS6にて、走行ライン設定部193は、図6Bに示すように、自車両V1が重畳エリアCAの最端部SCLに到達したか否かを判定する。重畳エリアCAの最端部SCLに到達したと判定した場合には、ステップS8へ進む。これに対して、重畳エリアCAの最端部SCLに到達していないと判定した場合には、重畳エリアCAの最端部SCLに到達するまでステップS6を繰り返す。
ステップS5の判定の結果、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2が重畳する重畳エリアCAが存在しないと判定した場合には、ステップS7にて、走行ライン設定部193は、図6Aに示すように自車両V1が交差点ISの入口に到達したか否かを判定する。交差点ISの入口とは、たとえば自車両V1が走行する走行レーンL1の停止線SL1である。交差点ISの入口に到達したと判定した場合には、ステップS8へ進む。これに対して、交差点ISの入口に到達していないと判定した場合には、交差点ISの入口に到達するまでステップS7を繰り返す。
ステップS6の判定の結果、自車両V1が重畳エリアCAの最端部SCLに到達したと判定した場合及びステップS7の判定の結果、自車両V1が交差点ISの入口に到達したと判定した場合には、ステップS8にて、走行ライン設定部193は、自車両V1が走行する走行レーンL1の対向車線から進入する対向車両V2が存在するか否かを判定する。ここでいう対向車線とは、図5A及び図5Bに示す走行レーンL3である。
ステップS8の判定の結果、対向車線(走行レーンL3)から進入する対向車両V2が存在すると判定した場合には、ステップS9へ進み、走行ライン設定部193は第2走行ラインTL2を選択する。対向車線(走行レーンL3)から進入する対向車両V2が存在する場合には、自車両V1は交差点IS内で停車又は徐行する必要があるため、第2走行ラインTL2を選択し、交差点ISの内部(中央付近)で自車両V1を停車又は徐行させる。
ステップS8の判定の結果、対向車線(走行レーンL3)から進入する対向車両V2が存在しないと判定した場合には、ステップS10へ進み、走行ライン設定部193は第1走行ラインTL1を選択する。対向車両V2が存在しない場合には、自車両V1は交差点IS内で停車又は徐行する必要がないため、第1走行ラインTL1を選択し、自車両V1を走行挙動の安定性の高い軌跡で走行させる。
続くステップS11にて、追従指令値生成部196は、走行ライン設定部193により選択された走行ラインTLに基づいて制御指令値を演算する。そして、駆動制御装置18へ制御指令値を出力し、自車両V1の走行を制御して交差点ISを右折させる。
以上のとおり、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、自車両V1が右折又は左折して通過しようとする交差点ISにおける、交差点ISの入口から出口までの自車両V1の走行予定軌跡TRが、自車両V1が現在走行する自車線(走行レーンL1)の対向車線(走行レーンL3,L4及び経由レーンRL)を横断する場合に、交差点ISにおける自車両V1の走行予定軌跡TRとして、交差点ISの入口から出口へ定常円旋回する第1走行ラインTL1と、交差点ISの中央付近において対向車線を走行する対向車両V2の通過を待機する第2走行ラインTL2を設定し、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2のいずれかを選択して自車両V1を走行させる。交差点ISにおける自車両V1の走行予定軌跡TRとして、交差点ISの入口から出口へ定常円旋回する第1走行ラインTL1のほかに、交差点ISの中央付近において対向車線を走行する対向車両V2の通過を待機する第2走行ラインTL2を設定する。したがって、第2走行ラインTL2を選択し、交差点ISの中央付近において対向車両V2の通過を待機することにより、自車両V1が交差点IS内で停車した後、交差点ISを通過するまでに要する時間を短縮することができる。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、第1走行ラインTL1を走行した場合に発生する自車両V1の横方向の躍度が、第2走行ラインTL2を走行した場合に発生する自車両V1の横方向の躍度に比べて小さい。これにより、第1走行ラインTL1は、自車両V1が右折する際の横方向にかかる遠心力(いわゆる横G)の躍度を抑制した軌跡にすることができるので、自車両V1の走行挙動の安定性が向上する。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、第2走行ラインTL2のうち、交差点ISの入口から中央付近まで走行した場合の自車両V1の操舵角が、第1走行ラインTL1を走行した場合の自車両V1の操舵角に比べて小さく、第2走行ラインTL2のうち、交差点ISの中央付近から出口まで走行した場合の自車両V1の操舵角が、第1走行ラインTL1を走行した場合の自車両V1の操舵角に比べて大きい。これにより、第1走行ラインTL1は、自車両V1の乗員がハンドルを操作する際の、操舵角の変化量を抑制した軌跡にすることができるので、自車両V1の走行挙動の安定性が更に向上する。また、第2走行ラインTL2は、交差点ISの中央付近に至るまでは、操舵角の変化量を抑制した軌跡にすることができるので、自車両V1を交差点ISの中央付近まで円滑に走行させることができる。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、第1走行ラインTL1は、交差点ISの入口から出口までを繋ぐ曲率が一定の曲線ラインであって、第2走行ラインTL2は、交差点ISの入口から中央付近までと、交差点ISの中央付近から出口までとを繋ぐ曲率が、第1走行ラインTL1の曲率より大きい。これにより、第1走行ラインTL1は、自車両V1の走行挙動を安定させることができ、第2走行ラインTL2は、対向車線を走行する対向車両V2の走行挙動に自車両V1を対応させることができる。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、自車両V1が交差点IS内で停車又は徐行する必要があるか否かを判定し、自車両V1が交差点IS内で停車又は徐行する必要があると判定した場合は、第2走行ラインTL2を選択する。これにより、自車両V1が交差点IS内で停車又は徐行する必要がある場合には、自車両V1をなるべく交差点ISの内部(中央付近)で停車させることができる。その結果、停車した後に自車両V1が右折するための距離が短くなるので、交差点ISを通過するのに要する時間を短縮することができる。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、対向車線(走行レーンL3)を走行する対向車両V2を検出し、対向車両V2が交差点ISに進入する場合には、自車両V1が交差点IS内で停車又は徐行する必要があると判定し、第2走行ラインTL2を選択する。これにより、自車両V1の走行挙動に影響を与える対向車両V2が存在する場合には、自車両V1が停車又は徐行する必要があると判定し、自車両V1をなるべく交差点ISの内部(中央付近)で停車させる。その結果、自車両V1が停車した後、交差点ISを通過するのに要する時間を短縮することができる。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、自車両V1が現在走行する自車線(走行レーンL1)が、対向車線(走行レーンL3)に対して優先道路であるか非優先道路であるかを検出し、自車線(走行レーンL1)が優先道路である場合には、第1走行ラインTL1を選択し、自車線(走行レーンL1)が非優先道路である場合には、第2走行ラインTL2を選択する。これにより、交差点ISの走行環境に応じた走行ラインTLで自車両V1を走行させることができる。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、交差点IS内の走行を誘導する誘導ラインGLを検出し、当該誘導ラインGLが検出された場合には、誘導ラインGL(第3走行ラインTL3)に沿って自車両V1を走行させるので、交通法規に従って自車両V1を走行させることができる。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、交差点IS内の走行を誘導する誘導標示GMを検出し、当該誘導標示GMが検出された場合には、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2のうち、誘導標示GMの付近を走行する走行ラインTLを選択するので、交通法規に従って適切な走行ラインTLを選択して自車両V1を走行させることができる。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、自車両V1が交差点ISに進入する前に、交差点ISの入口において第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2のいずれかを選択する。これにより、自車両V1は円滑に交差点ISを通過することができる。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、交差点ISの入口から中央付近までの間に第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2が重畳する重畳エリアCAを検出し、自車両V1が交差点ISに進入した後に、重畳エリアCAにおいて第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2のいずれかを選択する。これにより、交差点ISに進入した後であっても、自車両V1の走行挙動に影響を及ぼすことなく、より適切な走行ラインTLを設定することができる。
また、本実施形態の車両の走行制御方法及び走行制御装置1によれば、自車両V1が重畳エリアCAのうち交差点ISの中央付近に最も近づく位置(最端部SCL)に至った際に、第1走行ラインTL1と第2走行ラインTL2のいずれかを選択する。これにより、対向車両V2の走行挙動を検出する時間を確保しつつ、自車両V1の走行環境に応じた適切な走行ラインTLを選択することができる。
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
1…走行制御装置
11…センサ
12…自車位置検出装置
13…地図データベース
14…車載機器
15…ナビゲーション装置
16…提示装置
17…入力装置
18…駆動制御装置
19…制御装置
V1…自車両
V2…対向車両
L1,L2,L3,L4…走行レーン
TL1…第1走行ライン
TL2…第2走行ライン
TR…走行予定軌跡
CA…重畳エリア
GL…誘導ライン
GM…誘導標示
IS…交差点
11…センサ
12…自車位置検出装置
13…地図データベース
14…車載機器
15…ナビゲーション装置
16…提示装置
17…入力装置
18…駆動制御装置
19…制御装置
V1…自車両
V2…対向車両
L1,L2,L3,L4…走行レーン
TL1…第1走行ライン
TL2…第2走行ライン
TR…走行予定軌跡
CA…重畳エリア
GL…誘導ライン
GM…誘導標示
IS…交差点
Claims (13)
- プロセッサにより実行され、交差点を含む道路を走行する自車両を自律走行制御する走行制御方法において、
前記プロセッサは、
前記自車両が右折又は左折して通過しようとする交差点における、前記交差点の入口から出口までの前記自車両の走行予定軌跡が、前記自車両が現在走行する自車線の対向車線を横断する場合に、
前記交差点における前記自車両の走行予定軌跡として、前記交差点の入口から出口へ定常円旋回する第1走行ラインと、前記交差点の中央付近において前記対向車線を走行する対向車両の通過を待機する第2走行ラインを設定し、
前記第1走行ラインと前記第2走行ラインのいずれかを選択して前記自車両を走行させる車両の走行制御方法。 - 前記第1走行ラインを走行した場合に発生する前記自車両の横方向の躍度が、前記第2走行ラインを走行した場合に発生する前記自車両の横方向の躍度に比べて小さい請求項1に記載の車両の走行制御方法。
- 前記第2走行ラインのうち、前記交差点の入口から中央付近まで走行した場合の前記自車両の操舵角が、前記第1走行ラインを走行した場合の前記自車両の操舵角に比べて小さく、
前記第2走行ラインのうち、前記交差点の中央付近から出口まで走行した場合の前記自車両の操舵角が、前記第1走行ラインを走行した場合の前記自車両の操舵角に比べて大きい請求項1又は2に記載の車両の走行制御方法。 - 前記第1走行ラインは、前記交差点の入口から出口までを繋ぐ曲率が一定の曲線ラインであって、
前記第2走行ラインは、前記交差点の入口から中央付近までと、前記交差点の中央付近から出口までとを繋ぐ曲率が、前記第1走行ラインの曲率より大きい請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の走行制御方法。 - 前記プロセッサは、
前記自車両が前記交差点内で停車又は徐行する必要があるか否かを判定し、前記自車両が前記交差点内で停車又は徐行する必要があると判定した場合は、前記第2走行ラインを選択する請求項1~4のいずれか一項に記載の車両の走行制御方法。 - 前記プロセッサは、
前記対向車線を走行する前記対向車両を検出し、前記対向車両が前記交差点に進入する場合には、前記自車両が前記交差点内で停車又は徐行する必要があると判定し、前記第2走行ラインを選択する請求項5に記載の車両の走行制御方法。 - 前記プロセッサは、
前記自車両が現在走行する自車線が、前記対向車線に対して優先道路であるか非優先道路であるかを検出し、前記自車線が優先道路である場合には、前記第1走行ラインを選択し、前記自車線が非優先道路である場合には、前記第2走行ラインを選択する請求項1~6のいずれか一項に記載の車両の走行制御方法。 - 前記プロセッサは、
前記交差点内の走行を誘導する誘導ラインを検出し、当該誘導ラインが検出された場合には、前記誘導ラインに沿って前記自車両を走行させる請求項1~7のいずれか一項に記載の車両の走行制御方法。 - 前記プロセッサは、
前記交差点内の走行を誘導する誘導標示を検出し、当該誘導標示が検出された場合には、前記第1走行ラインと前記第2走行ラインのうち、前記誘導標示の付近を走行する走行ラインを選択する請求項1~7のいずれか一項に記載の車両の走行制御方法。 - 前記プロセッサは、
前記自車両が前記交差点に進入する前に、前記交差点の入口において前記第1走行ラインと前記第2走行ラインのいずれかを選択する請求項1~9のいずれか一項に記載の車両の走行制御方法。 - 前記プロセッサは、
前記交差点の入口から中央付近までの間に前記第1走行ラインと前記第2走行ラインが重畳する重畳エリアを検出し、前記自車両が前記交差点に進入した後に、前記重畳エリアにおいて前記第1走行ラインと前記第2走行ラインのいずれかを選択する請求項1~9のいずれか一項に記載の車両の走行制御方法。 - 前記プロセッサは、
前記自車両が前記重畳エリアのうち前記交差点の中央付近に最も近づく位置に至った際に、前記第1走行ラインと前記第2走行ラインのいずれかを選択する請求項11に記載の車両の走行制御方法。 - 交差点を含む道路を走行する自車両を自律走行制御する走行制御装置において、
前記自車両が右折又は左折して通過しようとする交差点における、前記交差点の入口から出口までの前記自車両の走行予定軌跡が、前記自車両が現在走行する自車線の対向車線を横断するか否かを判定する判定部と、
前記交差点における前記自車両の走行予定軌跡として、前記交差点の入口から出口へ定常円旋回する第1走行ラインと、前記交差点の中央付近において前記対向車線を走行する対向車両の通過を待機する第2走行ラインを設定する設定部と、
前記第1走行ラインと前記第2走行ラインのいずれかを選択して前記自車両を走行させる制御部と、を備える車両の走行制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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