JP2023069565A - センシング用導電性ゴム組成物 - Google Patents

センシング用導電性ゴム組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023069565A
JP2023069565A JP2021181514A JP2021181514A JP2023069565A JP 2023069565 A JP2023069565 A JP 2023069565A JP 2021181514 A JP2021181514 A JP 2021181514A JP 2021181514 A JP2021181514 A JP 2021181514A JP 2023069565 A JP2023069565 A JP 2023069565A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber composition
rubber
sensing
conductive rubber
molwt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021181514A
Other languages
English (en)
Inventor
智裕 浦田
Tomohiro Urata
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2021181514A priority Critical patent/JP2023069565A/ja
Priority to PCT/JP2022/035528 priority patent/WO2023079858A1/ja
Priority to CN202280073334.4A priority patent/CN118176253A/zh
Publication of JP2023069565A publication Critical patent/JP2023069565A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C1/00Tyres characterised by the chemical composition or the physical arrangement or mixture of the composition
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K3/00Use of inorganic substances as compounding ingredients
    • C08K3/02Elements
    • C08K3/04Carbon
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08KUse of inorganic or non-macromolecular organic substances as compounding ingredients
    • C08K5/00Use of organic ingredients
    • C08K5/16Nitrogen-containing compounds
    • C08K5/17Amines; Quaternary ammonium compounds
    • C08K5/18Amines; Quaternary ammonium compounds with aromatically bound amino groups
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L7/00Compositions of natural rubber
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L9/00Compositions of homopolymers or copolymers of conjugated diene hydrocarbons
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01BMEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
    • G01B7/00Measuring arrangements characterised by the use of electric or magnetic techniques
    • G01B7/16Measuring arrangements characterised by the use of electric or magnetic techniques for measuring the deformation in a solid, e.g. by resistance strain gauge

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Abstract

【課題】ゴム製品に適用することで、センサーを用いることなく、ゴム製品の歪量を高い精度で検知することが可能なセンシング用導電性ゴム組成物を提供する。【解決手段】ジエン系ゴムと、カーボンブラックと、老化防止剤と、を含み、前記老化防止剤が、式(i):HeavyAtomCount/MolWt≦5.46×MaxPartialCharge/MolWt+0.071[式中、HeavyAtomCountは、老化防止剤中の非水素原子の数であり、MolWtは、老化防止剤の分子量であり、MaxPartialChargeは、老化防止剤の最もプラス側に偏っている原子の偏り(+δの値)を示す]の関係を満たすことを特徴とする、センシング用導電性ゴム組成物である。【選択図】図5

Description

本発明は、センシング用導電性ゴム組成物に関するものである。
ラバーアクチュエータやタイヤ等のゴム製品において、ゴム製品の歪量を計測することが求められることがある。一般的なゴム製品の歪量を検出するには、ゴム製品の外部に別途センサー(歪センサー、加速度センサー、位置検知センサー、角度センサー等)を設ける必要がある。
一方、センサーを用いることなく、ゴム製品の電気抵抗値を測定することによって、当該ゴム製品の歪量を推測する技術が知られている。例えば、下記特許文献1には、ゴム素材に導電性の高いカーボンブラックやカーボンナノチューブを配合してゴム材料を調製することで、ゴム材料に導電性を付与し、歪による電気抵抗値の変化と歪との相関性をとることによって、ゴム材料の歪量を推定する技術が開示されている。
特開2008-037906号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術によれば、大まかな歪量を推測できるものの、その推測の精度は不十分であり、推測の精度を更に向上させる余地がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、ゴム製品に適用することで、センサーを用いることなく、ゴム製品の歪量を高い精度で検知することが可能なセンシング用導電性ゴム組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、ジエン系ゴムと、カーボンブラックと、老化防止剤と、を含み、
前記老化防止剤が、下記式(i):
HeavyAtomCount/MolWt≦5.46×MaxPartialCharge/MolWt+0.071 ・・・ (i)
[式中、HeavyAtomCountは、老化防止剤中の非水素原子の数であり、MolWtは、老化防止剤の分子量であり、MaxPartialChargeは、老化防止剤の最もプラス側に偏っている原子の偏り(+δの値)を示す]の関係を満たすことを特徴とする。
かかる本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、ゴム製品に適用することで、センサーを用いることなく、ゴム製品の歪量を高い精度で検知することが可能である。
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物の好適例においては、前記カーボンブラックの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、45質量部以上である。この場合、ゴム組成物の電気抵抗値が十分に低くなる。
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物において、前記カーボンブラックは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が110m/g以上であることが好ましい。この場合も、ゴム組成物の電気抵抗値が十分に低くなる。
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、当該センシング用導電性ゴム組成物中の老化防止剤をN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤6PPD)に置き換えたゴム組成物に比べて、伸長時の誘電率が低下していることが好ましい。この場合、センシング用導電性ゴム組成物を適用したゴム製品の歪量をより高い精度で検知することが可能となる。
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、当該センシング用導電性ゴム組成物中の老化防止剤をN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤6PPD)に置き換えたゴム組成物に比べて、抵抗レンジが大きいことが好ましい。この場合も、センシング用導電性ゴム組成物を適用したゴム製品の歪量をより高い精度で検知することが可能となる。
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物の他の好適例においては、前記老化防止剤が、下記式(ii):
HeavyAtomCount/MolWt≧5.46×MaxPartialCharge/MolWt+0.068 ・・・ (ii)
[式中、HeavyAtomCountは、老化防止剤中の非水素原子の数であり、MolWtは、老化防止剤の分子量であり、MaxPartialChargeは、老化防止剤の最もプラス側に偏っている原子の偏り(+δの値)を示す]の関係を満たす。この場合、センシング用導電性ゴム組成物を適用したゴム製品の歪量をより高い精度で検知することできる。
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物において、前記老化防止剤は、前記式(i)中のHeavyAtomCount/MolWtが0.072以上であることが好ましい。この場合も、センシング用導電性ゴム組成物を適用したゴム製品の歪量をより高い精度で検知することできる。
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物において、前記老化防止剤は、前記式(i)中のMaxPartialCharge/MolWtが0.001以下であることが好ましい。この場合も、センシング用導電性ゴム組成物を適用したゴム製品の歪量をより高い精度で検知することできる。
本発明によれば、ゴム製品に適用することで、センサーを用いることなく、ゴム製品の歪量を高い精度で検知することが可能なセンシング用導電性ゴム組成物を提供することができる。
老化防止剤77PDを含むゴム組成物からなるゴム試験片と、老化防止剤6PPDを含むゴム組成物からなるゴム試験片に対して、歪みを加えた際の体積抵抗(Ωm)の変化の様子の一例を示すグラフである。 ラバーアクチュエータの一例の側面図である。 ラバーアクチュエータの一例の一部分解斜視図である。 タイヤの一例の断面図である。 各種老化防止剤の「HeavyAtomCount/MolWt」(縦軸)と「MaxPartialCharge/MolWt」(横軸)との関係を示すグラフである。
以下に、本発明のセンシング用導電性ゴム組成物を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
<センシング用導電性ゴム組成物>
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、ジエン系ゴムと、カーボンブラックと、老化防止剤と、を含む。そして、本発明のセンシング用導電性ゴム組成物においては、前記老化防止剤が、下記式(i):
HeavyAtomCount/MolWt≦5.46×MaxPartialCharge/MolWt+0.071 ・・・ (i)
[式中、HeavyAtomCountは、老化防止剤中の非水素原子の数であり、MolWtは、老化防止剤の分子量であり、MaxPartialChargeは、老化防止剤の最もプラス側に偏っている原子の偏り(+δの値)を示す]の関係を満たすことを特徴とする。
上述のように、ジエン系ゴム等のゴム成分に導電性の高いカーボンブラックやカーボンナノチューブを配合することで、導電性を有するゴム組成物が得られるが、かかる導電性のゴム組成物では、電気抵抗値を測定することによって、大まかな歪量を推測できるものの、その推測の精度は不十分である。
これに対して、本発明者は、ゴム組成物に一般的に配合されている老化防止剤に着目し、該老化防止剤もゴム組成物の電気抵抗値に寄与することを見出した。そして、本発明者は、更に検討を進めた結果、老化防止剤として一般に用いられているN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤6PPD)に代えて、上記式(i)の関係を満たす老化防止剤を配合することで、より高い精度で歪量を推測することが可能なゴム組成物を得られることを見出した。
図1に、式(i)の関係を満たす老化防止剤の一例として、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤77PD)を含むゴム組成物からなるゴム試験片と、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤6PPD)を含むゴム組成物からなるゴム試験片に対して、歪みを加えた際の体積抵抗(Ωm)の変化の様子の一例を示す。図1中、左端が変形無し、右端が70%まで変形した点であり、変形無し→変形(最大70%)→変形無しの1周期において測定した電気抵抗値を表している。
上記式(i)の関係を満たす老化防止剤を含むゴム組成物を使用した場合、老化防止剤6PPDを含むゴム組成物を使用した場合よりも、ゴム製品の変形前と変形後の電気抵抗値の差が大きいため、より高い精度で歪量を推測すること可能となる。
従って、本発明のセンシング用導電性ゴム組成物によれば、ゴム製品に適用することで、センサーを用いることなく、ゴム製品の歪量を高い精度で検知することが可能となる。
(ジエン系ゴム)
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、ジエン系ゴムを含み、該ジエン系ゴムが、組成物にゴム弾性をもたらし、ゴム組成物の伸縮を可能にする。また、該ジエン系ゴムは、後述する老化防止剤と組み合わせてゴム組成物に配合されることで、ゴム組成物が十分な耐オゾン性を有することとなる。
前記ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、合成イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。前記ジエン系ゴムは、1種単独でもよいし、2種以上のブレンドでもよい。
(カーボンブラック)
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、カーボンブラックを含み、該カーボンブラックが、組成物に導電性をもたらして、ゴム組成物のセンシングを可能とする。
前記カーボンブラックの含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、45質量部以上が好ましく、50質量部以上が更に好ましい。カーボンブラックの含有量が、ジエン系ゴム100質量部に対して45質量部以上であると、ゴム組成物の電気抵抗値が十分に低くなる(電気が十分に流れる)。
また、前記カーボンブラックの含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、70質量部以下が好ましく、60質量部以下が更に好ましく、55質量部以下がより一層好ましい。カーボンブラックの含有量が、ジエン系ゴム100質量部に対して55質量部以下であると、ゴム組成物の電気抵抗値が十分に高くなり(電気が流れ過ぎず)、電気抵抗値の変化を更に検出し易くなると共に、ゴム組成物の硬さが低くなり、例えば、ラバーアクチュエータのチューブゴムに適用するのに好適な硬さとなる。
前記カーボンブラックは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が110m/g以上であることが好ましい。カーボンブラックのCTAB吸着比表面積が110m/g以上であると、カーボンブラックの粒径が十分に小さく、ゴム組成物の電気抵抗値が十分に低くなる(電気が十分に流れる)。
前記カーボンブラックのセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積は、作業性の観点から、140m/g以下が好ましい。
なお、本明細書において、カーボンブラックのセチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積は、JIS K6217-3に準拠して測定された値であり、カーボンブラックの微細孔を含まない外部表面積を、カーボンブラックにCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)を吸着させたときの比表面積で示したものである。
前記カーボンブラックは、圧縮ジブチルフタレート(24M4DBP)吸収量が90mL/100g以上であることが好ましい。カーボンブラックの24M4DBP吸収量は、カーボンブラックのストラクチャーに関連する物性であって、24M4DBP吸収量が、大きい程、ゴム組成物の電気抵抗値が低くなる。また、カーボンブラックの24M4DBP吸収量は、高歪ロスの指標ともなり、高歪でのカーボンブラック同士の擦れ合い量に関係し、高歪では、カーボンブラック同士の擦れ合い量が多い方が電気抵抗値の変化が大きくなる。そして、カーボンブラックの24M4DBP吸収量が90mL/100g以上であると、ゴム組成物の電気抵抗値が十分に低くなり、また、歪みに対する電気抵抗値の変化が大きくなる。
また、前記カーボンブラックの圧縮ジブチルフタレート(24M4DBP)吸収量は、混練りによるばらつきを抑える観点から、130mL/100g以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、カーボンブラックの圧縮ジブチルフタレート(24M4DBP)吸収量は、ISO 6894に準拠し、24,000psiの圧力で4回繰り返し圧力を加えた後、DBP(ジブチルフタレート)吸収量を測定した値である。該24M4DBP吸収量は、所謂、ファンデルワールス力により生じている変形性及び破壊性の構造形態(2次ストラクチャー)によるDBP吸収量を排除し、非破壊性の真のストラクチャーの構造形態(1次ストラクチャー)に基づくDBP吸収量を求めるときに用いられ、1次ストラクチャーを主体とするカーボンブラックの骨格的構造を評価する指標である。
前記カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラック等が挙げられる。これらカーボンブラックは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(老化防止剤)
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、老化防止剤を含み、該老化防止剤は、下記式(i):
HeavyAtomCount/MolWt≦5.46×MaxPartialCharge/MolWt+0.071 ・・・ (i)
の関係を満たす。
式(i)中、HeavyAtomCountは、老化防止剤中の非水素原子の数であり、MolWtは、老化防止剤の分子量である。また、式(i)中のMaxPartialChargeは、老化防止剤の分子中各原子について、電荷の偏りをGasteiger電荷で計算した後、最もプラス側に偏っている原子の偏り(+δの値)を示し、誘電率に影響する指標である。
式(i)及び後述する式(ii)中の「HeavyAtomCount」、「MolWt」、「MaxPartialCharge」は、OSS(オープンソーススフトウェア)のフリーソフトウェアであるRDkit(Open-source cheminformatics; http://www.rdkit.org)を用いて、化合物の構造式を入力することで、論理計算により得られる値である。
式(i)の関係を満たす老化防止剤は、電荷の偏りが小さい傾向にあるため、誘電率が低くなり易く、また、ゴム組成物の誘電率を低減することで、歪みを加えた際のゴム組成物の抵抗レンジ(電気抵抗値の変化幅)が大きくなり易い。そのため、式(i)の関係を満たす老化防止剤を含むゴム組成物をゴム製品に適用することで、センサーを用いることなく、ゴム製品の歪量を高い精度で検知することが可能となる。
前記老化防止剤は、下記式(2):
HeavyAtomCount/MolWt≧5.46×MaxPartialCharge/MolWt+0.068 ・・・ (2)
[式中、HeavyAtomCountは、老化防止剤中の非水素原子の数であり、MolWtは、老化防止剤の分子量であり、MaxPartialChargeは、老化防止剤の最もプラス側に偏っている原子の偏り(+δの値)を示す]の関係を満たすことが好ましい。この場合、センシング用導電性ゴム組成物を適用したゴム製品の歪量をより高い精度で検知することできる。
前記老化防止剤は、前記式(1)中のHeavyAtomCount/MolWtが0.072以上であることが好ましい。この場合も、センシング用導電性ゴム組成物を適用したゴム製品の歪量をより高い精度で検知することできる。
前記老化防止剤は、前記式(1)中のMaxPartialCharge/MolWtが0.001以下であることが好ましい。この場合も、センシング用導電性ゴム組成物を適用したゴム製品の歪量をより高い精度で検知することできる。
前記老化防止剤としては、p-フェニレンジアミン系老化防止剤が好ましい。また、該p-フェニレンジアミン系老化防止剤としては、フェニレンジアミン部分以外に二重結合を有しないものが好ましく、更には、下記一般式(1):
Figure 2023069565000002
[式中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である]で表されるp-フェニレンジアミン系化合物がより好ましい。
上記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して一価の飽和炭化水素基である。RとRは、同一でも異なってもよいが、合成上の観点から、同一であることが好ましい。
前記一価の飽和炭化水素基の炭素数は、1~20が好ましく、3~10が更に好ましく、6及び7が特に好ましい。飽和炭化水素基の炭素数が20以下であると、単位質量当たりのモル数が大きくなるため、老化防止効果が大きくなり、加硫ゴム及び/又はゴム組成物の耐オゾン性が向上する。
上記一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の鎖状又は環状の一価の飽和炭化水素基であることが好ましい。
前記一価の飽和炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基が挙げられ、アルキル基は、直鎖状でも、分岐鎖状でもよく、また、シクロアルキル基には、置換基として更にアルキル基等が結合していてもよい。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、1,4-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,4-ジメチルペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基等が挙げられ、これらの中でも、1,4-ジメチルペンチル基が好ましい。
前記シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキシル基が好ましい。
上記一般式(1)で表されるp-フェニレンジアミン系化合物として、具体的には、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤77PD)、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン(老化防止剤CCPD)等が挙げられ、これらの中でも、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤77PD)、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン(CCPD)が好ましく、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤77PD)が特に好ましい。前記p-フェニレンジアミン系化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、上記一般式(1)で表されるp-フェニレンジアミン系化合物は、任意の担体に担持されていてもよい。例えば、上記一般式(1)で表されるp-フェニレンジアミン系化合物は、シリカ、炭酸カルシウム等の無機充填剤に担持されていてもよい。
また、上記一般式(1)で表されるp-フェニレンジアミン系化合物は、加硫ゴムに用いるゴム成分とともにマスターバッチを構成してもよい。
また、上記一般式(1)で表されるp-フェニレンジアミン系化合物は、有機酸との塩としてもよい。ここで、塩とする際に用いる有機酸としては、特に限定されるものではないが、ステアリン酸等が挙げられる。
前記老化防止剤としては、上述したp-フェニレンジアミン系化合物の他にも、スチレン化フェノール(老化防止剤SPH)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](老化防止剤1010)等のフェノール系化合物も挙げられる。
前記老化防止剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して1質量部以上が好ましく、2質量部以上が更に好ましく、また、10質量部以下が好ましく、6質量部以下が更に好ましい。老化防止剤の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して2質量部以上であると、ゴム組成物の誘電率を低下させる効果、抵抗レンジを広げる効果が大きくなる。また、老化防止剤の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して6質量部以下であると、ブルームによる変色の程度が良好である。
(カーボンナノチューブ)
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、更にカーボンナノチューブを含んでもよい。該カーボンナノチューブは、組成物の導電性を向上させる作用を有する。
前記カーボンナノチューブの含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、2質量部以上5質量部以下であることが更に好ましい。カーボンナノチューブの含有量が、ゴム成分100質量部に対して1質量部以上であると、ゴム組成物の電気抵抗値が十分に低くなり(電気が十分に流れ)、電気抵抗値の変化を更に検出し易くなる。また、カーボンナノチューブの含有量が、ゴム成分100質量部に対して5質量部以下であると、ゴム組成物の電気抵抗値が十分に高くなり(電気が流れ過ぎず)、電気抵抗値の変化を更に検出し易くなる。
前記カーボンナノチューブ(CNT)は、直径数nm~数十nm程度の炭素原子からなる構造体であり、極微細なチューブ状構造を有する。
前記カーボンナノチューブは、単層ナノチューブでも、多層ナノチューブでもよい。
前記カーボンナノチューブとしては、長さが0.1μm~30μmのものが好ましく、0.1μm~10μmのものがより好ましい。
また、前記カーボンナノチューブとしては、直径が10nm~300nmのものが好ましく、100nm~250nmのものがより好ましい。
前記カーボンナノチューブは、プラズマCVD(化学気相成長)法、熱CVD法、表面分解法、流動気相合成法、アーク放電法等により合成することができ、市販品を利用することもできる。市販品のカーボンナノチューブとしては、例えば、KUMHO社製のカーボンナノチューブ、昭和電工社製気相法炭素繊維VGCF(登録商標)、米国マテリアルズテクノロジーズリサーチ(MTR)社製のカーボンナノチューブを用いることができる。
(伸長時の誘電率)
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、当該センシング用導電性ゴム組成物中の老化防止剤をN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤6PPD)に置き換えたゴム組成物に比べて、伸長時の誘電率が低下していることが好ましい。ゴム組成物の伸長時の誘電率を低減することで、歪みを加えた際のゴム組成物の抵抗レンジ(電気抵抗値の変化幅)が大きくなり易く、センシング用導電性ゴム組成物を適用したゴム製品の歪量をより高い精度で検知することが可能となる。
なお、ゴム組成物の伸長時の誘電率を低減する方法としては、上記式(i)を満たす老化防止剤を配合したり、その配合量を調整すること等が挙げられる。
また、伸長の長さは特に限定がなく、外力を加えない状態より任意の方向上において長さが増加していれば、伸長ととらえてよい。
(抵抗レンジ)
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、当該センシング用導電性ゴム組成物中の老化防止剤をN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤6PPD)に置き換えたゴム組成物に比べて、抵抗レンジが大きいことが好ましい。歪みを加えた際のゴム組成物の抵抗レンジ(電気抵抗値の変化幅)が大きくなることで、センシング用導電性ゴム組成物を適用したゴム製品の歪量をより高い精度で検知することが可能となる。
なお、ゴム組成物の抵抗レンジを大きくする方法としては、上記式(i)を満たす老化防止剤を配合したり、その配合量を調整すること等が挙げられる。
<センシング用導電性ゴム組成物の製造方法>
本発明のゴム組成物は、例えば、バンバリーミキサーやロール等を用いて、ジエン系ゴムに、カーボンブラックと、老化防止剤と、を配合し、所望によりカーボンナノチューブを更に配合して、混練した後、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
前記センシング用導電性ゴム組成物は、上述した成分の他、軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛(亜鉛華)、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
<センシング用導電性ゴム組成物の用途>
上述した本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、歪みを加えた際の抵抗レンジ(電気抵抗値の変化幅)が大きいため、歪量のセンシング(察知、検知、探知、感知)に用いることができる。該センシング用導電性ゴム組成物は、種々のゴム製品に利用でき、特には、ラバーアクチュエータのチューブゴム、タイヤに好適に利用することができる。また、その他にも、例えば、防振ゴム、免振ゴム、ホース、コンベヤベルト、ゴムクローラ、手袋等において、使用時に歪みを生じるゴム部材であれば適宜転用可能であり、その用途は前記例示に限定されることなく広範で適用可能なことは言うまでもない。
(ラバーアクチュエータ)
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物を用いた好適態様のラバーアクチュエータを図2に示す。図2に示すラバーアクチュエータ10は、流体圧によって膨張及び収縮する筒状のチューブゴム110と、所定方向に配向されたコードを編み込んだ筒状の構造体であって前記チューブゴム110の外周面を覆うスリーブ120と、によって構成されるアクチュエータ本体部100を具え、チューブゴム110に、上述した本発明のセンシング用導電性ゴム組成物が用いられている。
図2は、本実施形態に係るラバーアクチュエータ10の側面図である。図2に示すように、ラバーアクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100、封止機構200及び封止機構300を具える。また、ラバーアクチュエータ10の両端には、連結部20がそれぞれ設けられる。また、各連結部20には、抵抗値測定装置30が接続されている。
アクチュエータ本体部100は、チューブゴム110とスリーブ120とによって構成される。アクチュエータ本体部100には、フィッティング400及び通過孔410を介して作動流体が流入する。ここで、ラバーアクチュエータ10は、流体圧で作動し、空気圧式でも、液圧式でもよく、また、作動流体として液体が用いられる場合、該液体としては、油、水等が挙げられる。なお、ラバーアクチュエータが、油圧式の場合、作動流体としては、従来より油圧駆動システムに使用されている作動油を使用することができる。
アクチュエータ本体部100は、チューブゴム110内へ作動流体が流入することによって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXに収縮し、径方向Dに膨張する。また、アクチュエータ本体部100は、チューブゴム110から作動流体が流出することによって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXに膨張し、径方向Dに収縮する。このようなアクチュエータ本体部100の形状変化によって、ラバーアクチュエータ10は、アクチュエータとしての機能を発揮する。
また、このようなラバーアクチュエータ10は、いわゆるマッキベン型であり、人工筋肉用として適用できることは勿論のこと、より高い能力(収縮力)が要求されるロボットの体肢(上肢、下肢等)用としても好適に用い得る。連結部20には、当該体肢を構成する部材等が連結される。なお、本実施形態においては、連結部20に、抵抗値測定装置30が接続されているが、抵抗値測定装置30の接続箇所は、これに限られず、例えば、チューブゴム110の両端部に直接接続されていてもよい。
封止機構200及び封止機構300は、軸方向DAXにおけるアクチュエータ本体部100の両端部を封止する。具体的には、封止機構200は、封止部材210及びかしめ部材230を含む。封止部材210は、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXの端部を封止する。また、かしめ部材230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210と共にかしめる。かしめ部材230の外周面には、治具によってかしめ部材230がかしめられた痕である圧痕231が形成される。
封止機構200と封止機構300との相違点は、フィッティング400,500(及び通過孔410,510)の役割が異なる点である。
封止機構200に設けられているフィッティング400は、ラバーアクチュエータ10の駆動圧力源、具体的には、作動流体のコンプレッサと接続されたホース(管路)を取り付けられるように突出している。フィッティング400を介して流入した作動流体は、通過孔410を通過してアクチュエータ本体部100の内部、具体的には、チューブゴム110の内部に流入する。
一方、封止機構300に設けられているフィッティング500は、ラバーアクチュエータ10に作動流体を注入する際の、ガス抜きとして使用できるように突出している。ラバーアクチュエータ10の作動初期において、作動流体をラバーアクチュエータ10に注入すると、ラバーアクチュエータ10内部に元々存在していたガスは、通過孔510を介してフィッティング500から排出される。
図3は、ラバーアクチュエータ10の一部分解斜視図である。図3に示すように、ラバーアクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100及び封止機構200を具える。
アクチュエータ本体部100は、前述したように、チューブゴム110とスリーブ120とによって構成される。
チューブゴム110は、流体圧によって膨張及び収縮する円筒状の筒状体である。チューブゴム110は、作動流体による収縮及び膨張を繰り返し、上述した本発明のセンシング用導電性ゴム組成物が適用されている。
スリーブ120は、円筒状であり、チューブゴム110の外周面を覆う。スリーブ120は、所定方向に配向されたコードを編み込んだ構造体であり、配向されたコードが交差することによって菱形の形状が繰り返されている。スリーブ120は、このような形状を有することによって、パンタグラフ変形し、チューブゴム110の収縮及び膨張を規制しつつ追従する。
図3において、封止機構200は、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおける端部を封止する。封止機構200は、封止部材210、係止リング220及びかしめ部材230によって構成される。
封止部材210は、胴体部211及び鍔部212を有する。封止部材210としては、ステンレス鋼等の金属を好適に用い得るが、このような金属に限定されず、硬質プラスチック材料等を用いてもよい。
胴体部211は、円管状であり、胴体部211には、作動流体が通過する通過孔215が形成される。通過孔215は、通過孔410(図2参照)に連通する。胴体部211には、チューブゴム110が挿通される。
鍔部212は、胴体部211に連なっており、胴体部211よりもアクチュエータ10の軸方向DAXにおける端部側に位置する。鍔部212は、胴体部211よりも径方向Dに沿った外径が大きい。鍔部212は、胴体部211に挿通されたチューブゴム110及び係止リング220を係止する。
胴体部211の外周面には、凹凸部213が形成される。凹凸部213は、胴体部211に挿通されたチューブゴム110の滑り抑制に寄与する。凹凸部213による凸部分が3つ以上形成されることが好ましい。
また、胴体部211の鍔部212寄りの位置には、胴体部211よりも外径が小さい小径部214が形成される。
係止リング220は、スリーブ120を係止する。具体的には、スリーブ120は、係止リング220を介して径方向D外側に折り返される。
係止リング220の外径は、胴体部211の外径よりも大きい。係止リング220は、胴体部211の小径部214の位置においてスリーブ120を係止する。つまり、係止リング220は、胴体部211の径方向D外側であって、鍔部212に隣接する位置において、スリーブ120を係止する。
係止リング220は、胴体部211よりも小さい小径部214に係止させるため、本実施形態では、二分割の形状としている。なお、係止リング220は、二分割に限らず、より多くの部分に分割してもよいし、一部の分割部分が回動可能に連結されていてもよい。
係止リング220としては、封止部材210と同様の金属や硬質プラスチック材料等を用いることができる。
かしめ部材230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210と共にかしめる。かしめ部材230としては、アルミニウム合金、真鍮及び鉄等の金属を用いることができる。かしめ部材230には、かしめ用の治具によってかしめ部材230がかしめられると、図2に示したような圧痕231が形成される。
上述のように、チューブゴム110は、作動流体による収縮及び膨張を繰り返し、本発明のセンシング用導電性ゴム組成物が適用されている。
ここで、アクチュエータ本体部100の収縮率が高くなると、アクチュエータ本体部100(チューブゴム110)の電気抵抗値が低くなる。これは、アクチュエータ本体部100に流体が流入してアクチュエータ本体部100が軸方向DAXに収縮すると、チューブゴム110は、スリーブ120によって規制された所定範囲内において径方向Dに膨張する際、チューブゴム110の厚みが薄くなることにより、チューブゴム110に含まれるカーボンブラック(及びカーボンナノチューブ)間の距離が狭められる。
具体的には、アクチュエータ本体部100が収縮する際、チューブゴム110は拡張するため、チューブゴム110の膜厚が薄くなる。この結果、カーボンブラック(及びカーボンナノチューブ)の膜厚方向における寸法(距離)が狭まり、カーボンブラック(及びカーボンナノチューブ)が接近することとなる。
即ち、アクチュエータ本体部100の収縮率が高くなり、長さが短くなると、カーボンブラック(及びカーボンナノチューブ)間の距離が狭くなるため、チューブゴム110の導電率が増大、換言すれば、チューブゴム110の電気抵抗値が低下する。そして、該抵抗値を、各連結部30に接続された抵抗値測定装置40で測定することで、チューブゴム110の歪量を高い精度で測定することが可能となる。
(タイヤ)
次に、本発明のセンシング用導電性ゴム組成物を用いた好適態様のタイヤを図4に示す。一好適態様のタイヤ40は、一対のビード部41と、一対のサイドウォール部42と、トレッド部43と、これら各部を補強するカーカス45と、を具え、更に、カーカス45のタイヤ内面側に、センシングゴム部材47を具える。
図4に示すタイヤ40は、一対のビード部41と、一対のサイドウォール部42と、トレッド部43と、ビード部41に埋設されたビードコア44間にトロイド状に延在させたカーカス45と、を具え、更に、トレッド部43において、トレッド踏面のタイヤ半径方向内側で、且つ、カーカス45のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置された2枚の補強層46a,46bからなるベルト46と、カーカス45のタイヤ内面側に配置されたセンシングゴム部材47と、を具える。また、センシングゴム部材47の両端部には、抵抗値測定装置48が接続されている。
図4に示すタイヤ40において、カーカス45は、1枚のカーカスプライから構成されており、また、ビード部41内に夫々埋設した一対のビードコア44間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア44の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とからなるが、カーカス45のプライ数及び構造は、これに限られるものではない。なお、カーカスとしては、タイヤの耐久性の観点から、ラジアルカーカスが好ましい。ここで、カーカス45を構成するカーカスプライは、複数の補強コードを被覆ゴムで被覆してなり、該補強コードとしては、ポリエチレンテレフタレートコード、ナイロンコード、レーヨンコード等の有機繊維コードの他、スチールコードを用いてもよい。
また、図4に示すタイヤ40のベルト46は、2枚のベルト層46a,46bから構成されており、各ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層、好ましくは、スチールコードのゴム引き層からなり、更に、2枚のベルト層が、該ベルト層を構成するコードが互いにタイヤ赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト46を構成している。なお、図中のベルト46は、2枚のベルト層からなるが、ベルト46を構成するベルト層の枚数は、1枚以上であればよく、これに限られるものではない。
また、図4に示されていないが、タイヤ40のベルト46よりタイヤ半径方向外側には、さらにベルト補強層a及びベルト補強層bを配置してもよい。該ベルト補強層aはベルト46の全体を覆うように配置され、さらに該ベルト補強層aのタイヤ半径方向外側において、該ベルト補強層aのタイヤ幅方向両端部のみを覆うように一対のベルト補強層bが配置されてもよい。該ベルト補強層a及びベルト補強層bはタイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したポリエチレンテレフタレートコードのゴム引き層からなってもよく、これに限られるものではない。
図4に示すタイヤ40は、カーカス45のタイヤ内面側であって、タイヤの最内面にセンシングゴム部材47を具える。センシングゴム部材47は、通常タイヤの気密性を確保するために設けられるインナーライナーの代替として、設けられていてもよいし(即ち、センシング機能に加えて、空気不透過能を有していてもよいし)、インナーライナーのタイヤ内面側に別途貼付されていてもよい。
ここで、センシングゴム部材47は、上述した本発明のセンシング用導電性ゴム組成物からなる。また、センシングゴム部材47の両端部には、抵抗値測定装置48が接続されており、抵抗値測定装置48により、該センシングゴム部材47の抵抗値を測定(モニタリング)することで、タイヤ10の歪量を高い精度で測定することができる。また、タイヤ10の歪量を測定(モニタリング)することで、路面の状況、タイヤの接地状況、タイヤの摩耗具合等の情報を継続的に得ることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<ゴム組成物の調製>
表1に示す配合のゴム組成物を、通常の方法で混練して調製した。
使用した老化防止剤の「HeavyAtomCount/MolWt」と「MaxPartialCharge/MolWt」の関係を図5に示す。また、式(i)の関係を満たす老化防止剤の一例として、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン(老化防止剤CCPD)の計算値(HeavyAtomCount/MolWt=0.073412、MaxPartialCharge/MolWt=0.00058854)に基づく点も、図5に掲載する。
<加硫ゴムでの試験>
得られたゴム組成物から、厚さ1mm、幅4.7mmの短冊状で、長さ20mmを残して、両端・片側を白金蒸着させた試験片を作製した。該試験片に対して、以下の方法で抵抗レンジ(電気抵抗値の変化幅)、歪量の平均二乗誤差(MSE)、誘電率を測定した。
(1)抵抗レンジ(電気抵抗値の変化幅)及び歪量の平均二乗誤差(MSE)
試験片を、株式会社システムワン製の引張試験機(model K18003)に接続し、引張速度6mm/secで、70%伸長させた(歪みの最小-最大:0~70%)際の歪量及び電気抵抗値(Ωm)を測定し、
比較例1-1~1-2及び実施例1-1~1-4に関しては、比較例1-1の電気抵抗値の変化幅(抵抗レンジ)を100として指数表示し、
比較例2及び実施例2-1~2-2に関しては、比較例2の抵抗レンジを100として指数表示し、
比較例3及び実施例3に関しては、比較例3の抵抗レンジを100として指数表示し、
比較例4及び実施例4に関しては、比較例4の抵抗レンジを100として指数表示し、
比較例5及び実施例5に関しては、比較例5の抵抗レンジを100として指数表示し、
同一フィラー配合での抵抗レンジの相違を評価した。
また、この際の、目的変数を歪量、説明変数を抵抗値とし、機械学習を行い、歪量と電気抵抗値との相関性を取った。
次に、実際の歪量と、電気抵抗値から推測される歪量(即ち、前記の歪量と電気抵抗値との相関性を利用して、電気抵抗値から推測される歪量)と、の平均二乗誤差(MSE)を算出した。
(2)誘電率
試験片を、株式会社システムワン製の引張試験機(model K18003)に接続し、70%伸長させた際の20Hzでの誘電率を、キーサイト製「E4990A」を使用して測定し、
比較例1-1~1-2及び実施例1-1~1-4に関しては、比較例1-1の誘電率を100として指数表示し、
比較例2及び実施例2-1~2-2に関しては、比較例2の誘電率を100として指数表示し、
比較例3及び実施例3に関しては、比較例3の誘電率を100として指数表示し、
比較例4及び実施例4に関しては、比較例4の誘電率を100として指数表示し、
比較例5及び実施例5に関しては、比較例5の誘電率を100として指数表示し、
同一フィラー配合での誘電率の相違を評価した。
Figure 2023069565000003
*1 NR: 天然ゴム、 RSS#2
*2 BR: ハイシスブタジエンゴム、宇部興産社製、商品名「UBEPOL-BR150L」
*3 ワックス: 精工化学社製、商品名「サンタントS」
*4 カーボンブラック1: 東海カーボン社製、商品名「シースト6」、CTAB吸着比表面積=112m/g、24M4DBP吸収量=100mL/100g
*5 カーボンブラック2: 旭カーボン社製、商品名「旭#78」、CTAB吸着比表面積=123m/g、24M4DBP吸収量=100mL/100g
*6 カーボンナノチューブ: Kumho社製、商品名「CNT K-Nanos-100P」
*7 老化防止剤6PPD: N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、HeavyAtomCount/MolWt=0.000620、MaxPartialCharge/MolWt=0.074515
*8 老化防止剤SDPA: 川口化学社製、商品名「DDA」、HeavyAtomCount/MolWt=0.000441、MaxPartialCharge/MolWt=0.076815
*9 老化防止剤SPH: 川口化学社製、商品名「SP」、HeavyAtomCount/MolWt=0.000969、MaxPartialCharge/MolWt=0.076054
*10 老化防止剤1010: ADEKA社製、商品名「アデカスタブ AO-60」、HeavyAtomCount/MolWt=0.000260、MaxPartialCharge/MolWt=0.072177
*11 老化防止剤77PD: 一般式(1)中のR及びRが飽和炭化水素基(1,4-ジメチルペンチル基)であるp-フェニレンジアミン系化合物、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、EASTMAN社製、HeavyAtomCount/MolWt=0.000526、MaxPartialCharge/MolWt=0.072244
*12 その他架橋系薬品: 加硫剤、加硫促進剤等の総量
使用した老化防止剤6PPD、老化防止剤SDPA、老化防止剤SPH、老化防止剤1010、老化防止剤77PDの構造式を以下に示す。
Figure 2023069565000004
表1から、本発明に従う実施例のゴム組成物は、老化防止剤6PPDを含むゴム組成物に比べて、誘電率が低く、また、抵抗レンジが大きく、更に、実際の歪量と電気抵抗値から推測される歪量との平均二乗誤差(MSE)が小さく、歪量を高い精度で検知できることが分かる。
本発明のセンシング用導電性ゴム組成物は、ゴム製品に適用することで、センサーを用いることなく、ゴム製品の歪量を高い精度で検知することが可能であり、ラバーアクチュエータのチューブゴム、タイヤ等の各種ゴム製品に利用できる。
10:ラバーアクチュエータ、 20:連結部、 30:抵抗値測定装置、 100:アクチュエータ本体部、 110:チューブゴム、 111:内層ゴム、 112:外層ゴム、 120:スリーブ、 200:封止機構、 210:封止部材、 211:胴体部、 212:鍔部、 213:凹凸部、 214:小径部、 215:通過孔、 220:係止リング、 230:かしめ部材、 231:圧痕、 300:封止機構、 400,500:フィッティング、 410,510:通過孔、 DAX:軸方向、 D:径方向、
40:タイヤ、 41:ビード部、 42:サイドウォール部、 43:トレッド部、 44:ビードコア、 45:カーカス、 46:ベルト、 46a,46b:補強層、 47:センシングゴム部材、 48:抵抗値測定装置

Claims (8)

  1. ジエン系ゴムと、カーボンブラックと、老化防止剤と、を含み、
    前記老化防止剤が、下記式(i):
    HeavyAtomCount/MolWt≦5.46×MaxPartialCharge/MolWt+0.071 ・・・ (i)
    [式中、HeavyAtomCountは、老化防止剤中の非水素原子の数であり、MolWtは、老化防止剤の分子量であり、MaxPartialChargeは、老化防止剤の最もプラス側に偏っている原子の偏り(+δの値)を示す]の関係を満たすことを特徴とする、センシング用導電性ゴム組成物。
  2. 前記カーボンブラックの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、45質量部以上である、請求項1に記載のセンシング用導電性ゴム組成物。
  3. 前記カーボンブラックは、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)吸着比表面積が110m/g以上である、請求項1又は2に記載のセンシング用導電性ゴム組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のセンシング用導電性ゴム組成物であって、当該センシング用導電性ゴム組成物中の老化防止剤をN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤6PPD)に置き換えたゴム組成物に比べて、伸長時の誘電率が低下している、センシング用導電性ゴム組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載のセンシング用導電性ゴム組成物であって、当該センシング用導電性ゴム組成物中の老化防止剤をN-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(老化防止剤6PPD)に置き換えたゴム組成物に比べて、抵抗レンジが大きい、センシング用導電性ゴム組成物。
  6. 前記老化防止剤が、下記式(ii):
    HeavyAtomCount/MolWt≧5.46×MaxPartialCharge/MolWt+0.068 ・・・ (ii)
    [式中、HeavyAtomCountは、老化防止剤中の非水素原子の数であり、MolWtは、老化防止剤の分子量であり、MaxPartialChargeは、老化防止剤の最もプラス側に偏っている原子の偏り(+δの値)を示す]の関係を満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載のセンシング用導電性ゴム組成物。
  7. 前記老化防止剤は、前記式(i)中のHeavyAtomCount/MolWtが0.072以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載のセンシング用導電性ゴム組成物。
  8. 前記老化防止剤は、前記式(i)中のMaxPartialCharge/MolWtが0.001以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載のセンシング用導電性ゴム組成物。
JP2021181514A 2021-11-05 2021-11-05 センシング用導電性ゴム組成物 Pending JP2023069565A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021181514A JP2023069565A (ja) 2021-11-05 2021-11-05 センシング用導電性ゴム組成物
PCT/JP2022/035528 WO2023079858A1 (ja) 2021-11-05 2022-09-22 センシング用導電性ゴム組成物
CN202280073334.4A CN118176253A (zh) 2021-11-05 2022-09-22 感测用导电性橡胶组合物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021181514A JP2023069565A (ja) 2021-11-05 2021-11-05 センシング用導電性ゴム組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023069565A true JP2023069565A (ja) 2023-05-18

Family

ID=86241363

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021181514A Pending JP2023069565A (ja) 2021-11-05 2021-11-05 センシング用導電性ゴム組成物

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2023069565A (ja)
CN (1) CN118176253A (ja)
WO (1) WO2023079858A1 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006208051A (ja) * 2005-01-25 2006-08-10 Bridgestone Corp ゴム物品用歪センサー
JP2006208052A (ja) * 2005-01-25 2006-08-10 Bridgestone Corp ゴム物品用歪センサー
JP5056119B2 (ja) * 2007-03-30 2012-10-24 横浜ゴム株式会社 タイヤ補強層の変形挙動測定方法
JP5367860B2 (ja) * 2011-09-29 2013-12-11 住友ゴム工業株式会社 サイドウォール用ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ
JP7488150B2 (ja) * 2020-08-05 2024-05-21 株式会社ブリヂストン センシング用導電性ゴム組成物
CN114075352A (zh) * 2020-08-12 2022-02-22 苏州怒鲨智能科技有限公司 一种柔性传感器用导电橡胶及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2023079858A1 (ja) 2023-05-11
CN118176253A (zh) 2024-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7488150B2 (ja) センシング用導電性ゴム組成物
CA2925928C (en) Rubber compositions and uses thereof
JP6907937B2 (ja) ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JP6907936B2 (ja) ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
CN103333371B (zh) 用于轮胎侧壁的橡胶组合物和充气轮胎
JP6819583B2 (ja) ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ
JPWO2012023607A1 (ja) ゴム組成物および空気入りスタッドレスタイヤ
WO2023079858A1 (ja) センシング用導電性ゴム組成物
WO2018084123A1 (ja) 液圧式アクチュエータ
JP2009046088A (ja) タイヤのグリップ特性の評価方法
JP6328723B2 (ja) 空気入りタイヤおよび架橋ゴム組成物
JP2005272604A (ja) ビード用ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2018193535A (ja) タイヤ
JP5900526B2 (ja) ゴム組成物及びこれを用いる空気入りタイヤ
JP6904212B2 (ja) 空気入りタイヤおよび架橋ゴム組成物
WO2023026619A1 (ja) センシング用導電性ゴム組成物
WO2023026620A1 (ja) センシング用導電性ゴム組成物
WO2023026618A1 (ja) センシング用導電性ゴム組成物
JP2023031815A (ja) センシング用導電性ゴム組成物
JP2023031813A (ja) センシング用導電性ゴム組成物
JP2023031814A (ja) センシング用導電性ゴム組成物
JP2023031816A (ja) センシング用導電性ゴム組成物
JP2023031812A (ja) センシング用導電性ゴム組成物
JP5172120B2 (ja) 所定のコード被覆用ゴム組成物ならびにそれを用いたカーカスおよび/またはベルトを有するタイヤ
JP4113878B2 (ja) ゴム組成物およびそれからなる空気入りタイヤ