JP2023069298A - タービンケース及びガスタービン - Google Patents

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Abstract

【課題】熱と圧力によって熱変形を起こさないタービンケースを提供する。【解決手段】タービンケース2aは、シュラウドケース9と排気ディフューザ10が連結される第1フランジF1と、外壁側面17に設けられて燃焼器14が設けられる第2フランジF2を有し、中心軸線Zに関して非対象形状である。第1フランジの周囲には、複数本の放射状リブ20と、放射状リブを連結する円形リブ30が設けられる。熱や圧力による影響が大きい第1フランジの周囲に円形リブを設けたので、高価な材質に変更する対策や、シュラウドケース等を冷却する対策と比較してタービンケースの熱変形を低廉なコストで抑制できる。【選択図】図4

Description

本発明は、燃焼器で生成した燃焼ガスによってタービンを回転させるガスタービンにおいて、タービンを含む種々の部品を組み付けて内部に収納するタービンケースに係り、特に、駆動時の熱と圧力による熱変形を抑えたタービンケースと、これを用いたガスタービンに関するものである。
特許文献1には、管状の構造部材と、ベースプレートまたは接合用フランジ等の基板との間を、補強リブを用いて溶接補強した接合構造体の発明が開示されている。この発明における補強リブは、管状の構造部材の外周を巻くようなU字形の構造であり、このリブ構造により、リブ屈曲側外側溶接止端部の疲労耐力とベースプレートもしくは接合用フランジ側に近いリブ開放端の疲労耐力の両方を同時に高めることで、耐力や疲労性能を一段と高めることができるものとされている。
特許文献2には、ガスタービンエンジンにおける低圧タービンケーシングの冷却に関する発明が開示されている。この発明は、ケーシングの変形抑制を目的とするものではなく、シュラウドとケーシングの間に冷却空気を流すことにより、ジェットエンジンに特有の長細いケーシングを冷却することを目的としている。
特許文献3には、内燃機関のエキゾーストマニフォールドのリブ構造に関する発明が開示されている。この発明の補強リブは、マニフォールドの両端にある2つのフランジの間を接続して設けられており、これによってマニフォールドの熱変形が抑制できるものとされている。
特開2006-2464号公報 特開2004-60656号公報 特開2007-2726号公報
ガスタービンは、タービンケース内に設けたタービンに燃焼器で生成した高温のガスを供給し、タービン及びこれが取り付けられたロータを回転させて回転運動エネルギーを得る内燃機関である。本願発明者等は、ガスタービンの研究・開発に従事しているが、本願発明前に本願発明者等が知得していたガスタービンでは、動力源である高温の燃焼ガスの熱と圧力によってタービンケースが変形を起こすことがあった。タービンケースが変形すると、高速で回転するタービンとシュラウドケース等の他の構成部材の隙間(チップクリアランス)が変化し、部材が破損し、又は機関性能が悪化する可能性がある。このため、本願発明者等は、熱と圧力によるタービンケースの変形を抑えることを近年の研究・開発の課題としてきた。本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、ガスタービンを駆動した際の熱と圧力によって熱変形を起こさないようなタービンケースと、これを用いたガスタービンを提供することを目的としている。
請求項1に記載されたタービンケースは、
他の部品が連結されるフランジを有するタービンケースであって、
前記フランジを取り囲む連続リブを備えたことを特徴としている。
請求項2に記載されたタービンケースは、請求項1に記載のタービンケースにおいて、
前記フランジを周方向に等間隔で取り囲む複数本の放射状リブを備え、
前記連続リブと前記放射状リブは接続部において直角に交差して接続されており、
前記接続部において前記連続リブと前記放射状リブの間は曲面で構成されていることを特徴としている。
請求項3に記載されたタービンケースは、請求項2に記載のタービンケースにおいて、
前記連続リブの厚さが、25mm以上であるか又は前記放射状リブの厚さよりも大きいことを特徴としている。
請求項4に記載されたタービンケースは、請求項1乃至3の何れか一つに記載のタービンケースにおいて、
前記タービンケースは、シュラウドケースが接続される第1フランジが一端面に開口するとともに燃焼器が接続される第2フランジが周壁に開口しており、その中心線に関して非対称な構造の円筒形であって、
前記連続リブは、少なくとも前記第1フランジを取り囲んで設けられたことを特徴としている。
請求項5に記載されたガスタービンは、
第1フランジが一端面に開口するとともに、第2フランジが周壁に開口しており、その中心線に関して非対称な構造の円筒形であるタービンケースと、
前記タービンケースに収納されて前記第1フランジに接続されたシュラウドケースと、
前記第2フランジに接続された燃焼器と、
前記タービンケースに収納され、前記燃焼器で生成されて前記シュラウドケースを介して供給された燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
少なくとも前記第1フランジを取り囲んで前記タービンケースに設けられた連続リブを備えたことを特徴としている。
請求項1に記載されたタービンケースによれば、他の部品が連結されるため、熱や圧力による影響が大きいフランジの周囲に連続リブを設けたので、従来よりも耐久性能が高い高価な材質に変更する対策や、タービンケースに連結される部品、例えばシュラウドケースやタービンスクロールを冷却するといった従来の対策と比較して、タービンケースの熱変形を低廉なコストで抑制することができる。
また、請求項1に記載されたタービンケースによれば、連続リブを設けたことにより、常温の空気で冷却されるタービンケースの表面積が増加し、連続リブが冷却フィンとして機能するため、タービンケースの外気による冷却性能を向上させることができる。
請求項2に記載されたタービンケースによれば、連続リブと放射状リブが直角に交差している接続部において、連続リブと放射状リブの間を曲面で構成したので、タービンケースに発生する応力を抑制しつつ、剛性を高めることができ、これによってタービンケースの表面に集中していた熱膨張を抑制することができる。
請求項3に記載されたタービンケースによれば、連続リブの厚さを最適化することにより、従来から使用されている安価な材料で構成されたタービンケースにおいて恒久的な変形が生じないようにすることができる。
請求項4に記載されたタービンケース及び請求項5のタービンに用いられるタービンケースは、シュラウドケースが接続される第1フランジが一端面に開口した円筒形であるが、燃焼器が接続される第2フランジが周壁に開口しているため、円筒形の中心線に関して非対称な構造となっている。従って、何等の手段を講じない場合には、ガスタービンの駆動時にタービンケース内に発生する高熱と圧力により、非対称な構造のタービンケースには、特定の箇所に応力の集中が生じ、タービンケースが変形してしまう可能性がある。ところが、タービンケースには、少なくとも第1フランジを取り囲んで連続リブを設けたので、タービンケースの熱変形を低廉なコストで抑制でき、タービンケースの外気による冷却性能も向上するため、タービンケースの耐久性が高いガスタービンを実現することができる。
実施形態のガスタービンの構造を示すために、ガスタービンの一部を破断して示した模式的な斜視図である。 実施形態のガスタービンにおいて、タービンケースの第1フランジとシュラウドケースと排気ディフューザの連結部分を拡大して示す断面図である。 分図(a)は、現形状のタービンケースの斜視図であり、分図(b)は、所定の条件でガスタービンを駆動した場合に現形状のタービンケースに加わる応力を、有限要素法を用いたシミュレーションにより計算した結果を示す図である。 分図(a)は、本発明の実施形態に係るタービンケースの斜視図であり、分図(b)は、所定の条件でガスタービンを駆動した場合に実施形態のタービンケースに加わる応力を、有限要素法を用いたシミュレーションにより計算した結果を示す図である。 分図(a)は、所定の条件でガスタービンを駆動した場合に、現形状のタービンケースと実施形態に係るタービンケースについて、内部圧力比に対する応力比の関係について、有限要素法を用いたシミュレーションにより計算した結果を示す表であり、分図(b)は分図(a)の表に示す計算結果を示したグラフである。 現形状のタービンケースと実施形態に係るタービンケースについて、所定の条件でガスタービンを駆動した場合に、シュラウドケース等が取り付けられる第1フランジの周縁部における軸方向変位比を、有限要素法を用いたシミュレーションにより計算した結果を示すグラフである。
実施形態のガスタービンの特徴的な構成と、これに起因する現形状のガスタービンでは得られない効果を説明するため、まず現形状のガスタービンと実施形態のガスタービンに共通する構造を、図1~図4を参照して説明する。なお、現形状のガスタービンとは、本願発明前に公知であったものとの意味ではなく、本願発明前に本願発明者等が知得していた先行技術との意味である。
図1に示すように、ガスタービン1は、略円筒形のタービンケース2と、タービンケース2に同軸で連結された略円筒形のコンプレッサケース3からなる外筐体を備えている。この外筐体の内部の中央には、共通のロータ4が複数個の軸受5を介して回転自在に支持されている。ロータ4には、コンプレッサケース3内に収納された圧縮機6が取り付けられており、またタービンケース2内に収納されたタービン7が取り付けられている。また、コンプレッサケース3の外側には、吸気を取り入れるためのダクト8が取り付けられている。
図1、図3(a)及び図4(a)に示すように、タービンケース2は前述したように略円筒形の部材であって、後に説明する各種部材を取り付けるための第1フランジF1が一端面に開口しており、第2フランジF2が周壁に開口している。このため、タービンケース2は略円筒形ではあるが、その中心線(中心軸線Z)に関して非対称な構造となっている。
図1及び図2に示すように、タービンケース2の第1フランジF1には、シュラウドケース9と排気ディフューザ10が取り付けられている。特に図2に拡大して示すように、タービンケース2の第1フランジF1と、シュラウドケース9の取り付け部と、排気ディフューザ10の取り付け部は、重ねられて共通のボルト11で一体に締結されている。シュラウドケース9と排気ディフューザ10は、タービン7を駆動した後の燃焼ガスを排出する排気流路12を構成している。
図1に示すように、タービンケース2の第2フランジF2には、外筒13が取り付けられている。外筒13の内部には、外筒13の内壁と所定間隔をおいて、タービン7に駆動用の燃焼ガスを供給する缶型燃焼器14が設けられている。缶型燃焼器14には、空気を採り入れるために複数の貫通孔が形成されているまた、詳細は図示しないが、缶型燃焼器14には、燃料を供給する燃料配管が接続され、また点火栓が設けられている。
図1に示すように、タービンケース2の内部には、缶型燃焼器14から送られてくる燃焼ガスをタービン7に導く燃焼ガス流路を構成するタービンスクロール15が設けられている。すなわち、タービンスクロール15の一端は缶型燃焼器14の開放された下端に接続されており、他端はタービン7に向けて開口している。また、タービンケース2の内壁とタービンスクロール15の外壁の間には、缶型燃焼器14に圧縮空気を供給する空気流路16が構成されている。すなわち、空気流路16は、圧縮機6が設けられたコンプレッサケース3と、外筒13と缶型燃焼器14の間にある空間とを連通させている。
以上の構成によれば、圧縮機6で圧縮された圧縮空気が空気流路16から缶型燃焼器14に供給され、また燃料配管から缶型燃焼器14に燃料が供給されると、缶型燃焼器14の内部では混合気が生成され、これに点火栓が着火して燃焼させることによって燃焼ガスが生成される。缶型燃焼器14で生成された燃焼ガスは、タービンスクロール15の内部空間である燃焼ガス流路を通ってタービン7に導かれ、これを駆動してロータ4を回転させた後、シュラウドケース9と排気ディフューザ10で形成される排気流路12から外に排出される。
次に、現形状のガスタービン1の構造に起因する問題点について説明する。なお、実施形態のタービンケースについては符号2aを当て、現形状のガスタービンについては符合2bを当て、特に区別しない場合は符合2を当てて説明する。
先に説明したように、タービンケース2は、シュラウドケース9との間に空気流路16を形成する役割と、内部の燃焼ガス流路に1000℃の燃焼ガスが流れるタービンスクロール15からの熱を遮蔽する遮熱の役割と、ロータ4及びタービン7の格納の役割と、缶型燃焼器14とシュラウドケース9を所定位置に保持する役割等、複数の役割を兼ねる複雑な構造体である。
このように複雑な構造体において、タービンケース2が熱や内部の圧力によって変形した場合、シュラウドケース9の外壁とタービン7の先端の隙間(チップクリアランス)が変化するため、これが狭くなった場合には、シュラウドケース9の外壁とタービン7が接触して破損する可能性があり、広くなった場合には、タービン7の空力性能を著しく低下させ、機関性能を悪化させる可能性がある。また、タービンケース2が変形することで、ロータ4の軸受5の保持位置が変わり、ロータ4にミスアライメントを発生させ、振動が増加する可能性がある。さらに、タービンケース2の変形により、図3(a)及び図4(a)に示すシュラウドケース9との接続面及び缶型燃焼器14の接続面である第1フランジF1及び第2フランジF2の座面のシール性能が著しく低下し、タービンケース2の外に圧縮空気が漏れ出し、機関運転が困難になる可能性がある。さらにまた、タービンケース2が変形すれば、これに連結されたコンプレッサケース3も変形する可能性がある。
タービンケース2の形状を変形させる主要因は高温流体からの熱伝達である。タービンケース2は、その外壁が常に常温の空気で冷やされる一方で、300℃以上となる圧縮機6の吐出空気温度に近い高温流体である圧縮空気が、その内壁に沿って流れる。また、タービンケース2の内側に設けられたタービンスクロール15には1000℃の燃焼ガスが流れ、タービンケース2は強い輻射を受ける。さらに、第1フランジF1及び第2フランジF2には、排気流路12を区画するシュラウドケース9と、燃焼で高温となる缶型燃焼器14がそれぞれ接続されており、タービンケース2には700℃近い温度が直接熱伝導により伝わる。
このように、タービンケース2は各部で高温に曝されるとともに、各部相互の温度差が大きい過酷な環境下にある。しかしながら、タービンケース2は、上述したように多数の部品が接続されて一体に組み立てられた構造であるため熱膨張しにくく、各所に不均一な態様で応力が発生する。特に、図3(a)及び図4(a)に示すように、シュラウドケース9が接続される第1フランジF1の座面と、円筒形のタービンケース2bの周面に当たる外壁側面17の間にある部分、すなわち、第1フランジF1の座面の外周から円筒形のタービンケース2bの中心軸線Z方向に半円筒形に膨出・湾曲した周状の部分である外壁曲面18は、その外側は常温の空気で冷やされるが、内部にある高温の部品から直接熱伝導を受けるため温度差が生じやすく、熱による変形を伴いやすい。缶型燃焼器14が接続される第2フランジF2の座面近傍も同様である。
図3(a)に示すように、この熱変形を抑制するため、現形状のタービンケース2bには、第1フランジF1の外周部から、外壁曲面18を経て外壁側面17に至るまで、複数本の放射状リブ20がそれぞれ連続的に設けられている。放射状リブ20は、外壁曲面18においては、円形の第1フランジF1の半径方向に延設されており、円形の第1フランジF1の周方向について等間隔で第1フランジF1を取り囲むように設けられている。放射状リブ20は、外壁側面17においては、円形の第1フランジF1の中心軸線Zと平行になっている。また、放射状リブ20の外壁側面17上の端部は、タービンケース2bの外壁側面17に対して一定の角度を有する斜面で連続している。
しかしながら、現形状のタービンケース2bでは、この放射状リブ20で熱変形を抑えることができず、大きな応力が局所的に発生している。図3(b)は、図3(a)に示した現形状のタービンケース2bを有するガスタービン1を所定の条件で駆動した場合に、現形状のタービンケース2bに加わる応力を、有限要素法を用いたシミュレーションにより計算し、その結果を3D画像上に濃淡のグラフィックで示した図である。図3(b)に示すように、缶型燃焼器14が取り付けられる第2フランジF2に近い外壁曲面18の一部、すなわち、第1フランジF1と第2フランジF2に挟まれた外壁曲面18の一部(第1の集中点P1と称する。)は、高温であるとともに温度差が顕著であるため、図中濃いグレーで表されるように高い応力が発生している。この高い応力が発生している外壁曲面18上の第1の集中点P1に対して、円形の第1フランジF1の周方向について180°回転した反対側の位置(第2の集中点P2と称する。)にも応力が集中している。これらの箇所では、応力の集中により、タービンケース2bの表面が熱変形している。
ガスタービン1が始動と停止を繰り返すと、タービンケース2は加熱と冷却を繰り返すため、疲労が蓄積され疲労寿命の低下が懸念される。現形状のタービンケース2bでは、き裂等は発生していないが、今後のガスタービンの開発においては圧力比の増加が想定されるため、タービンケース2については何らかの熱変形対策が必要であると本願発明者等は考えた。さらに、前述した現形状のタービンケース2bは缶型燃焼器14を有するタイプであり、これを改良する本発明のタービンケース2aも、缶型燃焼器14を有するタイプに好適に適用されることを考慮しているが、このタイプのタービンケース2は、ジェットエンジンに代表されるアニュラー型燃焼器のような軸対象である円筒形状のタービンケースとは異なっている。すなわち、缶型燃焼器14を有するタイプのガスタービン1に用いられるタービンケース2は、缶型燃焼器14を接続するために、円柱形の本体の側周面に、当該本体よりも半径の小さい円柱を埋め込んだような非対称構造となっており、従って前述した放射状リブ20を配置設計する難易度は高く、図3(b)を参照して説明したように、タービンケース2bの熱変形を、必ずしも効果的に抑止しているとは言い難い。
以上、現形状のガスタービン2bと実施形態のガスタービン2aとに共通する構造と、現形状のガスタービン2bにおける放射状リブ20の問題点を説明したが、これらを踏まえ、本発明の特徴である連続リブの構造と、現形状の問題点を解決する作用効果について、図4~図6を参照して以下に説明する。
図4(a)に示すように、実施形態のタービンケース2aでは、現形状の放射状リブ20に加えて、これと交差する連続リブとしての円形リブ30(以下リングリブ30とも称する。)を設けた。円形リブ30は、第1フランジF1を取り囲んでいる外壁曲面18の頂点を結ぶ閉じた円形のパターンで設けられており、複数本の放射状リブ20の全てに交差し、それぞれに接続されている。すなわち、連続リブの「連続」とは、1本の線が閉じており、その形状に関わらずループとなっている状態を示しており、例えば円形リブ30のように円形でもよいし、フランジの外形状によっては楕円形や矩形であってもよい。
図4(a)に示すように、タービンケース2aの表面(すなわち外壁曲面18の表面)からリングリブ30の表面までの高さは放射状リブ20と同じであり、リングリブ30は表面にタービンケース2aの表面と平行で一定の厚さTを持つ平面を有している。リングリブ30の表面は、一定の半径の内周と、一定の半径に厚さTを加えた半径の外周を有するリング形状である。放射状リブ20とリングリブ30は外壁曲面18上において直角に交差して接続され、その接続部は一定の半径Rを持つ曲面で構成されている。接続部において、円形リブ30と放射状リブ20の間は曲面で繋がっているため、第1フランジF1の軸線方向Zと平行な視線で見た場合、接続部はひし形又は星型に類似した形状を呈している。
図4(b)は、所定の条件でガスタービン1を駆動した場合に実施形態のタービンケース2aに加わる応力を有限要素法(FiniteElementMethod, 以下FEM)を用いたシミュレーションにより計算し、その結果を3D画像上に濃淡のグラフィックで示した図である。先に図3(b)を参照して説明したように、現形状のタービンケース2bでは、タービンケース2の外壁曲面18のうち、第2フランジF2があるために外壁曲面18が最も短くなっている第1の集中点P1と、これとは180°反対側の第2の集中点P2に、特に応力が集中していた。一方、図4(b)に示すように、放射状リブ20に加えてリングリブ30も有する実施形態のタービンケース2aでは、もっとも圧縮応力が高かった第1の集中点P1に相当する位置での応力は、現形状のタービンケース2bと比較すると20%ほど低減できている。リングリブ30を追設することで、熱と内部の圧力によって生じる応力を抑制しつつ、剛性を高め、これによってタービンケース2bの表面の特定箇所に集中していた熱膨張を抑制することができた。
なお、実施形態のタービンケース2aでは、放射状リブ20に加えてリングリブ30を追設しているため、特に高熱に曝され、熱分布も複雑なタービンケース2aの外壁曲面18の表面積が、現形状のタービンケース2bに較べて増大するため、タービンケース2aの表面から空気への熱伝達が促進されるので、タービンケース2aの熱膨張を抑制する効果がより高くなる。
図5を参照し、ガスタービン1の運転時に、現形状のタービンケース2bに発生する応力と、実施形態のタービンケース2aに発生する応力を比較する。
図5は、現形状のタービンケース2bと、リングリブ30の厚さTを変えた2種類の実施形態のタービンケース2aについて、所定の運転条件下においてタービンケース2a,2bに発生する応力を、FEM手法を用いたシミュレーションにより計算し、その結果を内部圧力比と応力比の関係として示したものである。分図(a)は、計算結果の数値を示した表であり、分図(b)は計算結果をグラフ化したものである。なお、ここで応力比とは、タービンケース2a,2bにおいて発生する圧縮応力と引張応力の比であり、内部圧力比とは、圧縮応力が発生する位置の内部にかかる圧力と、引張圧縮応力が発生する位置の内部にかかる圧力の比である。
ここで、現形状のタービンケース2bの放射状リブ20の厚さは10mmである。また実施形態の2種類のタービンケース2aは、現形状のタービンケース2bの放射状リブ20に加え、接続部の曲面の半径Rが20mm、厚さTが20mmのリングリブ30を設けたタービンケース2a(リングリブ30R20T20)と、現形状のタービンケース2bの放射状リブ20に加え、接続部の曲面の半径Rが20mm、厚さTが25mmのリングリブ30を設けたタービンケース2a(リングリブ30R20T25)である。
タービンケース2の材料としてはFCD(球状黒鉛鋳鉄品)が従来から一般的で安価な材料として知られているが、このFCDが所定の高温においても内部圧力比に関わらず応力比が1となる限界ラインを図5に示す計算結果に併せて表示した。発生する応力の応力比がこの限界ラインより低ければ、当該タービンケース2をFCDで構成しても0.2%耐力を越えた応力が発生して永久ひずみが残るような熱変形を避けることができることになる。
図5(a)、(b)によれば、例えば内部圧力比1.0における応力比を見ると、現形状(分図(b)では実線で示す。)では応力比1.0の前記限界ラインを越えた1.126となっており、0.2%耐力を越えた応力比によって永久ひずみが残る熱変形が生じてしまう。これに対して、実施形態のタービンケース2a(リングリブ30R20T20、分図(b)では破線で示す。)では、応力比が1.046となっており、応力比が0.2%耐力の限界ラインをわずかに越えてはいるが、永久ひずみが残るような熱変形は避けられる可能性は認められ、また永久ひずみが残ってもごく少なくて済む。さらに、実施形態のタービンケース2a(リングリブ30R20T25、分図(b)では三点鎖線で表示)では、応力比が0.950となっており、応力比が0.2%耐力の限界ラインを下回っているので、永久ひずみが残るような熱変形は発生しない。
このように、実施形態のタービンケース2aにおいて、連続リブの厚さTを、少なくとも現形状の放射状リブ20よりも大きい値(T20)又は25mm以上といった最適値とすることにより、従来から使用されているFCD等の安価な材料でタービンケース2aを構成しても、熱や圧力による恒久的な変形が実質的に生じないようにすることができる。
図6を参照して、ガスタービン1の運転時に、現形状のタービンケース2bの第1フランジF1に発生する変位と、実施形態のタービンケース2aの第1フランジF1に発生する変位を比較する。
図6は、現形状のタービンケース2bと実施形態のタービンケース2aについて、所定の条件でガスタービン1を駆動した場合に、第1フランジF1の周縁部における軸方向の変位比を、有限要素法を用いたシミュレーションにより計算し、第1フランジF1の周縁部の位相角度(°)ごとに示したものである。図3(a)及び図4(a)において、変位比を表す基準となる軸方向とは、円形の第1フランジF1の中心軸線Zであり、第1フランジF1の周縁部の位相角度(°)とは、TOPを0°、RIGHTを45°、BOTTOMを180°、LEFTを270°とする周方向の角度を意味する。
図6に示すように、ガスタービン1の運転時に、現形状のタービンケース2bの第1フランジF1に発生する軸方向変位比(破線で示す。)は、全ての位相角度について0.9を越えており、特にLEFT(270°)とTOP(0°)の間の位置、すなわち図3(a)で示した第1の集中点P1においては、1.1に近い値を示す。これは、前述したように、第1の集中点P1では高熱によって局所的に大きな変形が生じていることを示している。
これに対し、図6に示すように、ガスタービン1の運転時に、実施形態のタービンケース2aの第1フランジF1に発生する軸方向変位比(実線で示す。)は、全ての位相角度について0.7を下回るとともに、ほぼ一定値を示しており、特定の位相角度において軸方向変位比が突出して大きい状況は見られない。これは、実施形態によれば、熱と内部の圧力によって第1フランジF1の周囲に生じている中心軸線Z方向の変形は、現形状のタービンケース2bに較べて小さく、また、第1フランジF1の周方向について平均化されていることを示している。
以上説明した実施形態では、放射状リブ20に加えてリングリブ30を設けたが、放射状リブ20を設けずに、リングリブ30のみを設けた場合にも、熱変形の抑止効果を得ることができる。そのため実施形態では、第1フランジF1にリングリブ30を設けたが、第2フランジF2の周囲の円周面にリングリブ30を設けてもよい。
本実施形態のタービンケース2aによれば、上述したように補強用リブとしてリングリブ30を追加したので、熱と圧力によって発生する応力に起因したタービンケース2aの熱変形を抑制することができるため、次のような効果が得られる。
(1) ガスタービン1の機関性能を安定して維持することができる
(2) 現状で用いられている安価な材料でもタービンケース2aの熱変形が抑えられるため、特に高級な耐熱材料を用いる必要がなくなる。
(3) シュラウドケース9を保持するフランジF1,F2の座面の熱変形を抑制できるため、シュラウドケース9の保持力が向上する。
(4) タービンケース2a及びコンプレッサケース3内にロータ4を保持している軸受5の位置が変わることを抑制できるため、タービンケース2a及びコンプレッサケース3の振動を抑制できる。
(5) タービンケース2aの熱変形を防止できるので、タービン7から受ける熱の遮熱を気にする必要がなくなる
(6) リングリブ30は比較的単純な構造であり、安価に熱変形対策を講ずることが可能である。
(7) タービンケース2aの耐圧力性能が向上するため、タービンケース2aの寿命が延びる。
(8) タービン7のチップクリアランスを一定に保つことによって,タービン7の性能を長期にわたり維持できる。
(9) タービン7とシュラウドケース9が接触することを回避できる。
(10)運転中のチップクリアランスを一定に保つことができ、また運転の前後でのチップクリアランスの差が小さくなる。このため駆動時及び分解後の組み立て時等における性能管理が容易になる。
(11)リングリブ30が冷却フィンの役割を果たすため、外気による冷却性能が向上する。
また、本実施形態のタービンケース2aは、舶用、陸用、航空用を含むガスタービン機関や産業用タービンのタービンケースだけでなく、過給機やターボチャージャーのタービンケース、ボイラーなど配管を支持する役目も担う圧力容器の筐体等に採用することができ、これら種々の適用対象において、安価にタービンケース又は筐体の熱変形を抑制することができる。
1…ガスタービン
2…タービンケース
2a…実施形態のタービンケース
2b…現状のタービンケース
7…タービン
9…シュラウドケース
14…缶型燃焼器
20…放射状リブ
30…連続リブとしての円形リブ(リングリブ)
F1…第1フランジ
F2…第2フランジ
T…円形リブの厚さ

Claims (5)

  1. 他の部品が連結されるフランジを有するタービンケースであって、
    前記フランジを取り囲む連続リブを備えたことを特徴とするタービンケース。
  2. 前記フランジを周方向に等間隔で取り囲む複数本の放射状リブを備え、
    前記連続リブと前記放射状リブは接続部において直角に交差して接続されており、
    前記接続部において前記連続リブと前記放射状リブの間は曲面で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のタービンケース。
  3. 前記連続リブの厚さが、25mm以上であるか又は前記放射状リブの厚さよりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のタービンケース。
  4. 前記タービンケースは、シュラウドケースが接続される第1フランジが一端面に開口するとともに燃焼器が接続される第2フランジが周壁に開口しており、その中心線に関して非対称な構造の円筒形であって、
    前記連続リブは、少なくとも前記第1フランジを取り囲んで設けられたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のタービンケース。
  5. 第1フランジが一端面に開口するとともに、第2フランジが周壁に開口しており、その中心線に関して非対称な構造の円筒形であるタービンケースと、
    前記タービンケースに収納されて前記第1フランジに接続されたシュラウドケースと、
    前記第2フランジに接続された燃焼器と、
    前記タービンケースに収納され、前記燃焼器で生成されて前記シュラウドケースを介して供給された燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
    少なくとも前記第1フランジを取り囲んで前記タービンケースに設けられた連続リブを備えたことを特徴とするガスタービン。
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