JP2023069249A - 繊維強化プラスチックおよびガスタンク - Google Patents

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Abstract

【課題】複合材料の気体透過係数を高くすることにより、高いガス透過性を有する繊維強化プラスチックを得ることができる技術を提供する。【解決手段】繊維強化プラスチックは、エポキシ樹脂などの樹脂、脂環式酸無水物硬化剤などの硬化剤、ならびに熱塩基発生剤などの硬化促進剤を配合した樹脂組成物と、前記樹脂組成物に対する重量比0.5%以上1.0%以下のセルロースナノファイバと、を含有する複合材料と、繊維材料と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、繊維強化プラスチックおよびそれを用いたガスタンクに関する。
強度向上のためにライナの外側に繊維強化プラスチック層としてのCFRP層を備える高圧タンクが知られている(例えば、特許文献1)。この高圧タンクでは、高圧タンク内のガスは、ライナを透過してCFRP層に留まり、CFRP層の亀裂やボイドを通過してCFRP層の外側のGFRP層に到達する。
特開2020-085095号公報
高圧タンク内のガスが繊維強化プラスチック層に留まることを抑制するために、繊維強化プラスチックのガス透過性の改善が望まれている。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、繊維強化プラスチックが提供される。この繊維強化プラスチックは、樹脂組成物と、前記樹脂組成物に対する重量比0.5%以上1.0%以下のセルロースナノファイバと、を含有する複合材料と、繊維材料と、を備える。
この形態の繊維強化プラスチックによれば、セルロースナノファイバを備えない場合と比較して、複合材料の気体透過係数を高くすることができる。したがって、高いガス透過性を有する繊維強化プラスチックを得ることができる。
(2)上記形態の繊維強化プラスチックにおいて、前記セルロースナノファイバの平均径が、1nm以上20nm以下であってよい。
この形態の繊維強化プラスチックによれば、セルロースナノファイバの分散性を向上することができる。したがって、ガス透過性のばらつきを低減した繊維強化プラスチックを得ることができる。
(3)上記形態の繊維強化プラスチックにおいて、前記樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、エポキシ樹脂硬化促進剤とを含有してよい。
この形態の繊維強化プラスチックによれば、高いガス透過性とともに高い耐水性や耐熱性を有する繊維強化プラスチックを得ることができる。
(4)上記形態の繊維強化プラスチックにおいて、前記樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂に対する重量比85%の前記酸無水物硬化剤と、前記エポキシ樹脂に対する重量比3%の前記エポキシ樹脂硬化促進剤とが、前記エポキシ樹脂に含有されてよい。
この形態の繊維強化プラスチックによれば、高いガス透過性とともに高い耐水性や耐熱性を有する繊維強化プラスチックを得ることができる。
(5)本開示の他の形態によれば、ガスタンクが提供される。このガスタンクは、ライナと、前記ライナの外周面上に形成される上記各形態の繊維強化プラスチックを含有する補強層とを備える。
この形態のガスタンクによれば、要求される機械強度が得られるとともに、ガス透過性の高い補強層を有するガスタンクを得ることができる。
本開示は、繊維強化プラスチックやガスタンク以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、繊維強化プラスチックの製造方法やガスタンクの製造方法、繊維強化プラスチックの製造装置、ガスタンクの製造装置等の形態で実現できる。
ガスタンクの構成を示す説明図。 本実施形態の繊維強化プラスチックの製造方法を示す工程図。 樹脂組成物の組成の一例を示す説明図。 複合材料の組成の一例を示す説明図。 複合材料の機械物性としての引張強度の評価結果を示すグラフ。 複合材料の機械物性としての破断伸度の評価結果を示すグラフ。 複合材料のガス透過性の評価結果を示すグラフ。
A.第1実施形態:
図1は、ガスタンク100の構成を示す説明図である。図1には、ガスタンク100の中心軸AXを境界に、ガスタンク100の外観と断面図とが模式的に示されている。ガスタンク100は、本開示の第1実施形態としての繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)を用いて形成される繊維強化樹脂層19を備えている。
ガスタンク100は、例えば水素ガスなど、10~70MPaの高圧な流体を収容するための貯蔵容器である。ガスタンク100は、例えば、車両用の燃料電池や定置用の燃料電池に供給する水素を貯蔵するために使用される。ガスタンク100は、水素ガスのほか、酸素や天然ガスなどを収容してもよい。ガスタンク100は、ライナ10と、ライナ10の両端に配置された口金16,17と、ライナ10および口金16,17の外周面上に形成された繊維強化樹脂層19とを備えている。
ライナ10は、流体を密封するための内部空間を有する容器である。ライナ10は、例えば、ナイロン、ポリアミド、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ、ポリスチレン等のガスバリア性を有する樹脂で形成されている。ライナ10は、円筒状の一つの胴部12と、中心軸AXに沿って胴部12の両端に配置される半球状の二つのドーム部14とを備えている。ライナ10は、金属によって形成されてもよい。
口金16,17は、ライナ10の各ドーム部14の頂部に、ライナ10の両端から突出するように装着される。口金16は、金属製であり、ガスタンク100へのガスの充填、あるいは、ガスタンク100からのガスの放出のために用いられる。口金17は、封止されており、製造時の芯出し等に用いられる。
繊維強化樹脂層19は、ライナ10を補強するための補強層である。繊維強化樹脂層19は、本実施形態の繊維強化プラスチックによって形成されている。繊維強化樹脂層19には、ガス透過性を向上させるために、セルロースナノファイバ(以下、「CNF」とも呼ぶ。)が含有されている。ナノファイバとは、幅(径)がナノメートル程度、いわゆるナノオーダーの繊維を意味する。本実施形態では、繊維強化樹脂層19は、ライナ10および口金16,17の表面上に、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を含有する複合材料を含浸させた繊維材料の束をフィラメントワインディング法により巻き回し、熱硬化させることによって形成されている。ただし、繊維強化樹脂層19は、この方法には限らず、例えば、繊維材料を用いたシート状の基材を形成した後に、形成したシート状基材に対して上記複合材料を含侵させて形成されてもよく、上記の複合材料と繊維材料とを押出機に投入して、繊維材料を分散させ、これを溶融状態で塊状またはシート状に押出した後、所定の形状に賦形して形成されてもよい。また、繊維強化樹脂層19は、ライナ10に繊維材料を巻き回した基材を金型内に配置し、その金型内に樹脂を加圧充填して繊維材料に含浸させることにより形成されてもよい。
図2は、本実施形態の繊維強化プラスチックの製造方法を示す工程図である。工程S10では、エポキシ樹脂と、硬化剤と、溶媒と、硬化触媒と、CNFとを準備する。溶媒には、水や有機溶媒などの一般的な溶媒が用いられてよい。溶媒は、分散性を向上させる観点から、極性有機溶媒であることが好ましい。
本実施形態では、エポキシ樹脂には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が用いられる。ただし、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂には限定されず、例えば、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、高分子型エポキシ樹脂、ならびにビフェニル型エポキシ樹脂などの任意の種類のエポキシ樹脂が用いられてよい。エポキシ樹脂のその他の例としては、例えば、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などの2官能グルシジルエーテル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグルシジルエステル型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、およびエポキシ化大豆油などの線状脂肪族エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-ベンゼンジ(メタンアミン)、4-(グリシジロキシ)-N,N-ジグリシジルアニリン、3-(グリシジロキシ)-N,N-ジグリシジルアニリンなどのグルシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂、4官能ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などの多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。上述したエポキシ樹脂が、単独でまたは二種類以上を混合して使用されてもよい。
繊維強化プラスチックに含有される樹脂材料は、エポキシ樹脂には限定されず、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂、ならびにポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を用いてもよい。繊維強化プラスチックが充分な強度を有する場合には、熱硬化性樹脂に代えて、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィドなどの熱可塑性樹脂が用いられてもよい。
硬化剤としては、アミン系、酸無水物系、ならびに潜在性硬化剤系などの種々の硬化剤が用いられてよい。本実施形態では、硬化剤には、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸からなる脂環式酸無水物硬化剤が用いられる。硬化剤は、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸に限らず、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水ハイミック酸などの脂環式酸無水物が用いられてもよい。硬化剤のその他の例としては、ドデセニル無水コハク酸などの脂肪族酸無水物、無水フタル酸および無水トリメリット酸などの芳香族酸無水物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂、フェノール-ジシクロペンタジエン共重合体樹脂などのフェノール樹脂類、ジシアンジアミドおよびアジピン酸ジヒドラジドなどの有機ジヒドラジド等が挙げられる。
CNFは、原料としてのセルロースを機械粉砕することにより得ることができる。原料としては、セルロースI型を有する木材パルプ、コットン、リンター、麻、バクテリアセルロース、柔細胞繊維などの非木系パルプや、セルロースII型を用いた再生セルロース繊維などが用いられる。セルロースは、パルプをビータやリファイナで所定の長さとして、例えば、ホモジナイザ、グラインダ、衝撃粉砕機、ビーズミルなどを用いて、フィブリル化または微細化することによって機械粉砕することができる。本実施形態では、CNFは、複合材料中のCNFの分散性を高くするために、断面の平均径が1nm以上、20nm以下の範囲になるように形成される。本実施形態では、分散性に対して最も好適な条件として、直径が5nmのCNFを用いている。本実施形態では、さらに、CNFの表面にアセチル化処理を施している。アセチル化処理により、複合材料内でのCNFの分散性をより向上させることができる。ただし、アセチル化処理は、必須ではなく、省略されてもよい。CNF表面がアセチル化処理されているか否かは、例えば、赤外分光法により特定することができる。製造されたガスタンク100または繊維強化樹脂層19においてCNF表面がアセチル化処理されているか否かを判定する場合には、例えば、繊維強化樹脂層19を強酸性溶液で繊維材料と、樹脂材料と、CNFとに分離した後に、得られたCNFに対して赤外分光法を行うことにより特定することができる。強酸性溶液によるCNF表面へのダメージを低減または回避する観点から、極性有機溶媒などによりエポキシ樹脂を膨潤させたのちに、CNFを取り出してもよい。
硬化触媒としては、例えば、三級アミン、イミダゾール類、リン化合物などを用いることができる。熱塩基発生剤が硬化触媒として用いられてもよい。硬化触媒しては、例えば、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルベンジルアミン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセンおよびその誘導体などのアミン類、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾールおよび2-フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類およびその誘導体が用いられてもよい。これらは、単独または二種類以上を組み合わせて用いられてもよい。硬化触媒は、硬化促進剤とも呼ばれ得る。
工程S20では、準備したエポキシ樹脂と、硬化剤と、溶媒と、CNFとを撹拌する。撹拌には、マグネチックスターラや、プロペラ式の撹拌装置、ホモジナイザ、ホモミキサ、超音波分散機などを用いることができる。工程S30では、撹拌中のこれら材料に、さらに、硬化触媒を添加して撹拌を継続する。工程S40では、ロータリエバポレータなどを用いて減圧・加熱を行い、溶媒を除去する。この結果、複合材料が生成される。本開示において、樹脂と、硬化剤とを配合したものを「樹脂組成物」とも呼び、樹脂組成物に対して、さらにCNFを配合したものを「複合材料」とも呼ぶ。樹脂組成物には、さらに、硬化促進剤や溶媒が含まれてもよい。本実施形態では、樹脂組成物は、上述したように、エポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、エポキシ樹脂硬化促進剤とを含有している。
工程S50では、生成した複合材料を繊維材料に含浸させる。本実施形態では、繊維材料としてカーボン繊維が用いられる。繊維材料は、カーボン繊維のほか、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、高強度ポリエチレン繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(poly p-phenylenebenzobisoxazole)繊維等を用いることができ、これらの複数種類の繊維を組み合わせて用いてもよい。工程S60では、複合材料を含浸させたカーボン繊維を熱硬化する。以上により、繊維強化プラスチックの製造が完了する。
図3および図4を用いて、本実施形態の繊維強化プラスチックの組成について説明する。図3は、樹脂組成物の組成の一例を示す説明図である。図3に示すように、樹脂組成物は、エポキシ樹脂100グラムに対して、酸無水物硬化剤85グラムと、エポキシ樹脂硬化促進剤3グラムとが添加されている。すなわち、樹脂組成物は、エポキシ樹脂に対する重量比85%の酸無水物硬化剤と、エポキシ樹脂に対する重量比3%のエポキシ樹脂硬化促進剤とが、エポキシ樹脂に含有されている。
図4は、複合材料の組成の一例を示す説明図である。図4に示すように、複合材料は、樹脂組成物100グラムに対して、0.5グラム以上1.0グラム以下のセルロースナノファイバが添加されて形成されている。すなわち、複合材料は、樹脂組成物に対する重量比0.5%以上1.0%以下のセルロースナノファイバが樹脂組成物に含有されている。
図5から図7を参照して、CNFの添加量に対する複合材料の機械物性の関係について説明する。図5から図7に示すように、本実施形態では、上記の製造方法により製造された複合材料の試験サンプルを用いて、機械物性ならびにガス透過性について評価した。図5ならびに後述する図6に示す機械物性の評価は、JIS B 7721に準拠した引張試験の評価結果である。荷重測定器には、ミネベア社製のLTS-50NBを用いた。
図5は、複合材料の機械物性としての引張強度の評価結果を示すグラフである。図5の横軸は、樹脂組成物100グラムに対して添加されたCNFの添加量(グラム)を示し、縦軸は、弾性率(MPa)を示している。弾性率は、引張ひずみに対する引張応力の比率を意味する。なお、図5に示す弾性率のプロットのそれぞれは、複数回の評価結果における平均値を示している。複合材料の引張強度は、繊維強化樹脂層19の強度向上の観点から、高いほど好ましい。図5には、ガスタンク100に用いられる繊維強化プラスチックにおいて、複合材料に要求される弾性率の目標値BD1が示されている。図5に示すように、CNFの添加量にかかわらず、すべての評価サンプルの弾性率が目標値BD1を上回っている。
図6は、複合材料の機械物性としての破断伸度の評価結果を示すグラフである。図6の横軸は、樹脂組成物100グラムに対して添加されたCNFの添加量(グラム)を示し、縦軸は、破断伸度(%)を示している。なお、図6に示す破断伸度は、上降伏点での破断伸度が例示されている。複合材料の破断伸度は、ガスタンク100の膨張などに伴うガスタンク100の変形に対する繊維強化樹脂層19の耐久性を向上させる観点から、高いほど好ましい。図6には、ガスタンク100に用いられる繊維強化プラスチックにおいて、複合材料に要求される引張伸度の目標値BD2が示されている。図6に示すように、CNFの添加量にかかわらず、すべてのサンプルの引張伸度が目標値BD2を上回っている。
図7は、複合材料のガス透過性の評価結果を示すグラフである。図7の横軸は、樹脂組成物100グラムに対して添加されたCNFの添加量(グラム)を示し、縦軸は、気体透過係数(cm3・cm/(cm2・sec・cmHg))を示している。図7に示すガス透過性の評価は、JIS K 7126に準拠した差圧法により行った。測定器は、GTRテック社製の差圧式ガス・蒸気透過率測定装置(GTR-30X)を用いた。気体は、乾燥状態の水素ガスを用い、差圧を1atmとした。検知器には、ガスクロマトグラフを用いた。
図7に示すように、CNF0.5グラムを含有する複合材料のサンプルの気体透過係数は、CNFを含有しないサンプルの気体透過係数の約1.68倍であり、CNF1.0グラムを含有する複合材料のサンプルの気体透過係数は、CNFを含有しないサンプルの気体透過係数の約1.64倍であり、CNF2.0グラムを含有する複合材料のサンプルの気体透過係数は、CNFを含有しないサンプルの気体透過係数の約1.33倍であった。すなわち、CNFを含有することにより、複合材料の気体透過係数が向上していることが理解できる。これは、CNFが添加されることにより、例えばスタッキング相互作用が低下するなど、樹脂材料の分子鎖の配向が乱されたことに起因すると推測される。気体透過係数は、CNFの添加量を1.0グラムから2.0グラムに増加させた場合には、減少する。これは、CNFが飽和し、樹脂材料の分子運動が抑制されることに起因すると推測される。
以上、説明したように、本実施形態の繊維強化プラスチックは、樹脂組成物に対して重量比0.5%以上1.0%以下のセルロースナノファイバが添加された複合材料と、繊維材料とを含有する。したがって、セルロースナノファイバを備えない場合と比較して、複合材料の気体透過係数を高くすることができ、高いガス透過性を有する繊維強化プラスチックを得ることができる。
本実施形態の繊維強化プラスチックによれば、セルロースナノファイバの平均繊維径が、1nm以上20nm以下である。したがって、CNFの分散性が向上し、ガス透過性のばらつきを低減した繊維強化プラスチックを得ることができる。
本実施形態の繊維強化プラスチックによれば、樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、エポキシ樹脂硬化促進剤とを含有する。したがって、高いガス透過性とともに高い耐水性や耐熱性を有する繊維強化プラスチックを得ることができる。
本実施形態の繊維強化プラスチックによれば、樹脂組成物は、エポキシ樹脂に対して、重量比85%の酸無水物硬化剤と、重量比3%のエポキシ樹脂硬化促進剤とが添加されている。したがって、高いガス透過性とともに高い耐水性や耐熱性を有する繊維強化プラスチックを得ることができる。
本実施形態のガスタンク100によれば、ライナ10と、ライナ10の外周面上に本実施形態の繊維強化プラスチックを含有する補強層としての繊維強化樹脂層19と、を備えている。したがって、要求される機械強度が得られるとともに、ガス透過性の高い補強層を有するガスタンク100を得ることができる。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…ライナ、12…胴部、14…ドーム部、16,17…口金、19…繊維強化樹脂層、100…ガスタンク、AX…中心軸

Claims (5)

  1. 繊維強化プラスチックであって、
    樹脂組成物と、前記樹脂組成物に対する重量比0.5%以上1.0%以下のセルロースナノファイバと、を含有する複合材料と、
    繊維材料と、を備える、
    繊維強化プラスチック。
  2. 前記セルロースナノファイバの平均径が、1nm以上20nm以下である、請求項1に記載の繊維強化プラスチック。
  3. 前記樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、酸無水物硬化剤と、エポキシ樹脂硬化促進剤とを含有する、請求項1または請求項2に記載の繊維強化プラスチック。
  4. 請求項3に記載の繊維強化プラスチックであって、
    前記樹脂組成物は、前記エポキシ樹脂に対する重量比85%の前記酸無水物硬化剤と、前記エポキシ樹脂に対する重量比3%の前記エポキシ樹脂硬化促進剤とが、前記エポキシ樹脂に含有されている、
    繊維強化プラスチック。
  5. ライナと、
    前記ライナの外周面上に形成され、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の繊維強化プラスチックを含有する補強層と、を備える、
    ガスタンク。
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