JP2023067801A - 鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法 - Google Patents

鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023067801A
JP2023067801A JP2022169568A JP2022169568A JP2023067801A JP 2023067801 A JP2023067801 A JP 2023067801A JP 2022169568 A JP2022169568 A JP 2022169568A JP 2022169568 A JP2022169568 A JP 2022169568A JP 2023067801 A JP2023067801 A JP 2023067801A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
less
mass
iron
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022169568A
Other languages
English (en)
Inventor
聡史 池見
Satoshi Ikemi
清介 鷹木
Seisuke Takagi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Piston Ring Co Ltd
Original Assignee
Nippon Piston Ring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Piston Ring Co Ltd filed Critical Nippon Piston Ring Co Ltd
Publication of JP2023067801A publication Critical patent/JP2023067801A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F5/00Manufacture of workpieces or articles from metallic powder characterised by the special shape of the product
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F1/00Metallic powder; Treatment of metallic powder, e.g. to facilitate working or to improve properties
    • B22F1/10Metallic powder containing lubricating or binding agents; Metallic powder containing organic material
    • B22F1/105Metallic powder containing lubricating or binding agents; Metallic powder containing organic material containing inorganic lubricating or binding agents, e.g. metal salts
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B22CASTING; POWDER METALLURGY
    • B22FWORKING METALLIC POWDER; MANUFACTURE OF ARTICLES FROM METALLIC POWDER; MAKING METALLIC POWDER; APPARATUS OR DEVICES SPECIALLY ADAPTED FOR METALLIC POWDER
    • B22F7/00Manufacture of composite layers, workpieces, or articles, comprising metallic powder, by sintering the powder, with or without compacting wherein at least one part is obtained by sintering or compression
    • B22F7/06Manufacture of composite layers, workpieces, or articles, comprising metallic powder, by sintering the powder, with or without compacting wherein at least one part is obtained by sintering or compression of composite workpieces or articles from parts, e.g. to form tipped tools
    • B22F7/08Manufacture of composite layers, workpieces, or articles, comprising metallic powder, by sintering the powder, with or without compacting wherein at least one part is obtained by sintering or compression of composite workpieces or articles from parts, e.g. to form tipped tools with one or more parts not made from powder
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C19/00Alloys based on nickel or cobalt
    • C22C19/07Alloys based on nickel or cobalt based on cobalt
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16KVALVES; TAPS; COCKS; ACTUATING-FLOATS; DEVICES FOR VENTING OR AERATING
    • F16K51/00Other details not peculiar to particular types of valves or cut-off apparatus

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

【課題】圧環強さに優れた鉄基焼結合金製バルブシートを提供する。【解決手段】機能部材側層と支持部材側層とを一体的に焼結して二層構造の焼結体とする。機能部材側層用混合粉と支持部材側層用混合粉とを、この順に金型に充填し、プレス加工して圧粉体とし、該圧粉体に焼結処理を施し、二層構造の鉄基焼結合金製バルブシートとする。機能部材側層用混合粉では、基地相形成用鉄系粉末として硬さ170~220HVを有する鉄系粉末を用いて、基地相を、粒径:10μm以下の微細炭化物が、150個/(30μm×30μm)の以上の密度で微細析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相として形成し、この基地相中に、ビッカース硬さで650~1200HVの硬さを有するSi-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末またはSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子を面積率で20~40%分散させ、さらに固体潤滑剤粒子を面積率で0~5%分散させる。これにより、従来より、圧環強さに優れかつ耐摩耗性にも優れたバルブシートとすることができる。なお、機能部材側層のみの単層構造としてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、内燃機関用バルブシートおよびその製造方法に係り、とくに圧環強さの向上に関する。
バルブシートは、通常、内燃機関のシリンダーヘッドに圧入されて、燃焼ガスのシールと、バルブを冷却する役割を担っている。バルブシートは、バルブによる叩かれ、すべりによる摩耗、燃焼ガスによる加熱、燃焼生成物による腐食等に晒されるため、従来から、耐熱性、耐摩耗性に優れることが要求されてきた。
このような要求に対し、例えば特許文献1には、「耐摩耗性に優れた内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート」が記載されている。特許文献1に記載された技術では、基地相を10μm以下の微細炭化物が析出した550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相である硬質な単相組織とし、該基地相中に650~1200HVの硬さを有する硬質粒子を面積率で20~40%分散させ、硬質粒子の周りに拡散相を面積率で0.5~5%形成し、あるいはさらに固体潤滑剤粒子を面積率で5%以下分散させた組織を有する鉄基焼結合金製バルブシートとしている。これにより、厳しい摩耗環境であるガス燃料等の特殊燃料を使用する環境下の内燃機関において、高フェース面硬さバルブを使用しても、バルブシートの摩耗は少なく、耐摩耗性に優れたバルブとバルブシートの組合せが実現できるとしている。
特許第6736227号公報
しかしながら、特許文献1に記載された鉄基焼結合金製バルブシートでは、圧環強さが低く、シリンダヘッドへの圧入に際し、割れが発生しやすく、また、バルブと接触するに際し、粒子が脱落しやすくなり、耐摩耗性が低下するなどの問題があった。また、ヤング率が低く変形しやすくなり、シール性が低下し、燃焼ガスが漏れるという問題があった。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、圧環強さに優れた鉄基焼結合金製バルブシートを提供することを目的とする。なお、ここでいう「圧環強さに優れた」とは、JIS Z 2507の規定に準拠して得られた、圧環強さが470MPa以上である場合をいうものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、圧環強さに影響する各種要因について、鋭意検討した。その結果、低い「圧環強さ」は、使用した鉄系粉末の圧縮性が低いことに起因するという知見を得た。特許文献1に記載された技術では、鉄系粉末として微細炭化物が析出可能な鉄基粉末を使用しているが、炭化物が粉末中ですでに析出して粉末粒子の硬さが高くなり、圧粉成形時に、粉末粒子の塑性変形(圧縮)が不十分となり、そのため、焼結処理時の元素拡散も促進されにくく、結果として粒子間結合力が低下すると考えた。
そこで、本発明では、圧粉成形時に十分な圧粉成形が可能で粉末粒子へ十分な塑性変形が付加できるように、基地相形成用の鉄系粉末として、炭素量の低い鉄系粉末を使用することに想到した。しかし、鉄系粉末の炭素量を低減しすぎると、炭化物量が少なくなり、焼結体の耐摩耗性が低下するため、黒鉛粉末配合量を増加して、焼結体の炭素量が低下しないように配慮することとした。これにより、焼結体における微細炭化物の析出量が、従来より著しく増加し、耐摩耗性、圧環強さが顕著に向上することを知見した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成したものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
[1]機能部材側層からなる単層構造を有する鉄基焼結合金製バルブシートであって、
前記機能部材側層が、基地相中に硬質粒子および固体潤滑剤粒子を分散させてなり、
前記基地相が、粒径:10μm以下の微細炭化物が、150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相であり、
前記硬質粒子が、ビッカース硬さで650~1200HVの硬さを有し、質量%で、Si:2.20~2.70%、Cr:7.5~9.5%、Mo:27.0~30.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなるSi-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末またはビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:1.5~2.5%、Cr:24.0~26.0%、Mo:23.0~26.0%、Ni:9.5~11.0%を含み残部CoからなるSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子であり、前記基地相中に面積率で20~40%分散し、さらに
前記固体潤滑剤粒子が面積率で0~5%分散した組織を有し、
密度が6.65g/cm3以上で、圧環強さに優れることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。
[2]前記基地相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部が、質量%で、C:1.0~2.0%、Si:0.5~1.5%、Mn:2.0%未満、Cr:2.0~10.0%、Mo:5.0~15.0%、W:0.5~10.0%、V:0.5~5.0%、Co:10.0~35.0%、Ni:0~5.0%、S:0~2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする[1]に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
[3]機能部材側層と支持部材側層とが一体で焼結された二層構造を有する鉄基焼結合金製バルブシートであって、
前記機能部材側層が、基地相と、該基地相中に硬質粒子および固体潤滑剤粒子を分散させてなり、前記基地相が、粒径:10μm以下の微細炭化物が、150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相であり、前記硬質粒子が、ビッカース硬さで650~1200HVの硬さを有し、質量%で、Si:2.20~2.70%、Cr:7.5~9.5%、Mo:27.0~30.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなるSi-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末またはビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:1.5~2.5%、Cr:24.0~26.0%、Mo:23.0~26.0%、Ni:9.5~11.0%を含み残部CoからなるSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子であり、前記基地相中に面積率で20~40%分散し、さらに前記固体潤滑剤粒子が面積率で0~5%分散した組織を有し、
前記支持部材側層が、パーライトからなる基地相と、該基地相中に、硬質粒子を面積率で0~5%、固体潤滑剤粒子を面積率で0~5%分散させてなる組織を有し、
密度が6.65g/cm3以上で、圧環強さに優れることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。
[4]前記機能部材側層における前記基地相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部が、質量%で、C:1.0~2.0%、Si:0.5~1.5%、Mn:2.0%未満、Cr:2.0~10.0%、Mo:5.0~15.0%、W:0.5~10.0%、V:0.5~5.0%、Co:10.0~35.0%、Ni:0~5.0%、S:0~2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
前記支持部材側層における前記基地相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部が、質量%で、C:0.9~2.0%を含み、あるいはさらに、Ni:0.5%以下、Mo:0.8%以下、Cu:5.0%以下、Mn:5.0%以下、S:2.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有すること特徴とする[3]に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
[5][1]または[2]に記載の単層構造の鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法であって、
鉄系粉末と、黒鉛粉末と、合金元素粉末と、硬質粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粉末とを所定量配合し、混合、混錬して、混合粉としたのち、
前記混合粉を所定形状の金型に充填しプレス加工を施して圧粉体とし、ついで、
前記圧粉体に保護雰囲気中で焼結処理を施し焼結体としたのち、切削加工あるいはさらに研削加工を施して、所定形状のバルブシートを製造するに当たり、
前記鉄系粉末を、質量%で、C:0.05~0.70%、Si:0.70%以下、Mn:0.50%以下、Cr:4.5%以下、Mo:10.0%以下、V:4.5%以下、W:10.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ビッカース硬さで170~220HVの粒子硬さを有する鉄系粉末とし、該鉄系粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、40~70%配合し、
前記硬質粒子粉末を、ビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:2.20~2.70%、Cr:7.5~9.5%、Mo:27.0~30.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなるSi-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末またはビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:1.5~2.5%、Cr:24.0~26.0%、Mo:23.0~26.0%、Ni:9.5~11.0%を含み残部CoからなるSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子とし、該硬質粒子粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、20~40%配合し、
前記黒鉛粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、0.5~2.0%配合し、
前記合金元素粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で合計で、0~5.0%配合し、さらに、
前記固体潤滑剤粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、0~5%配合し、
前記プレス加工を、前記圧粉体の密度が、密度:6.6g/cm3以上となるように施し、
前記焼結処理を、焼結温度:1100~1200℃で行う処理として、前記焼結体を得ることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
[6]前記焼結体が、粒径:10μm以下の微細炭化物が150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相である基地相中に、硬質粒子を面積率で20~40%分散させ、さらに、固体潤滑剤粒子を面積率で0~5%分散させた組織と、かつ前記基地相、前記拡散相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部で、質量%で、C:1.0~2.0%、Si:0.5~1.5%、Mn:2.0%未満、Cr:2.0~10.0%、Mo:5.0~15.0%、W:0.5~10.0%、V:0.5~5.0%、Co:10.0~35.0%、Ni:0~5.0%、S:0~2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする[5]に記載の鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
[7][3]または[4]に記載の二層構造の鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法であって、
鉄系粉末と、黒鉛粉末と、合金元素粉末と、硬質粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粉末とを所定量配合し、混合、混錬して、機能部材側層用混合粉とし、
鉄系粉末と、黒鉛粉末と、あるいはさらに合金元素粉末と、硬質粒子粉末と、固体潤滑剤粉末とを所定量配合し、混合、混錬して、支持部材側層用混合粉とし、
前記機能部材側層用混合粉と前記支持部材側層用混合粉とをその順に、所定形状の金型に充填し、プレス加工を施して圧粉体とし、ついで、前記圧粉体に保護雰囲気中で焼結処理を施し二層構造の焼結体としたのち、切削加工あるいはさらに研削加工を施して、所定形状の二層構造のバルブシートを製造するに当たり、
前記機能部材側層用混合粉では、前記鉄系粉末を、質量%で、C:0.05~0.70%、Si:0.70%以下、Mn:0.50%以下、Cr:4.5%以下、Mo:10.0%以下、V:4.5%以下、W:10.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ビッカース硬さで170~220HVの粒子硬さを有する鉄系粉末とし、該鉄系粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、40~70%配合し、
前記硬質粒子粉末を、ビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:2.20~2.70%、Cr:7.5~9.5%、Mo:27.0~30.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなるSi-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末またはビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:1.5~2.5%、Cr:24.0~26.0%、Mo:23.0~26.0%、Ni:9.5~11.0%を含み残部CoからなるSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子とし、該硬質粒子粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、20~40%配合し、
前記黒鉛粉末を、前記機能部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0.5~2.0%配合し、
前記合金元素粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で合計で、0~5.0%配合し、さらに、
前記固体潤滑剤粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、0~5%配合し、
前記プレス加工を、前記圧粉体の密度が、密度:6.6g/cm3以上となるように施し、
前記支持部材側層用混合粉では、前記鉄系粉末を純鉄粉とし、前記黒鉛粉末を、前記支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0.5~2.0%配合し、前記合金元素粉末を、前記支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、合計で0~5.0%配合し、前記硬質粒子粉末をFe-Mo合金粉末として、該硬質粒子粉末を前記支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0~5%配合し、前記固体潤滑剤粉末を、前記支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0~5%配合し、
前記プレス加工を、前記圧粉体の密度が、密度:6.6g/cm3以上となるように施し、
前記焼結処理を、焼結温度:1100~1200℃で行う処理として、
前記焼結体を二層構造の焼結体とすることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
[8]前記二層構造の焼結体を、前記機能部材側層が、粒径:10μm以下の微細炭化物が150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相である基地相と、該基地相中に、硬質粒子を面積率で20~40%分散させ、さらに、固体潤滑剤粒子を面積率で0~5%分散させた組織と、かつ前記基地相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部で、質量%で、C:1.0~2.0%、Si:0.5~1.5%、Mn:2.0%未満、Cr:2.0~10.0%、Mo:5.0~15.0%、W:0.5~10.0%、V:0.5~5.0%、Co:10.0~35.0%、Ni:0~5.0%、S:0~2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、を有し、
前記支持部材側層が、パーライトからなる基地相と、該基地相中に、硬質粒子を面積率で0~5%、固体潤滑剤粒子を面積率で0~5%分散させてなる組織と、前記基地相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部で、質量%で、C:0.9~2.0%を含み、あるいはさらに、Ni:0.5%以下、Mo:0.8%以下、Cu:5.0%以下、Mn:5.0%以下、S:2.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、を有する二層構造の焼結体であることを特徴とする[7]に記載の鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
本発明によれば、耐摩耗性に優れるうえ、圧環強さにも優れた鉄基焼結合金製バルブシートを製造でき、産業上格段の効果を奏する。
リグ試験機の概要を示す説明図である。
本発明バルブシートは、機能部材側層のみの単層構造の鉄基焼結合金製バルブシートであるか、または機能部材側層と支持部材側層とを一体的に焼結した二層構造の鉄基焼結合金製バルブシートである。
まず、機能部材側層について説明する。
機能部材側層は、基地相と、該基地相中に硬質粒子および固体潤滑剤粒子を分散させた組織を有する。
基地相は、粒径:10μm以下の微細炭化物が、150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相からなる単相とする。ここでいう「単相」とは、当該相が面積率で95%以上を占める場合をいう。なお、面積率で5%未満であれば、硬さ550HV未満の相が基地相中に残存しても、耐摩耗性への影響は少なく許容できる。基地相の硬さが、550HV未満では、バルブとの接触に際して凝着が発生しやすくなり耐摩耗性が低下する。一方、700HVを超えて硬くなると、焼結体としての靭性が低下する。このため、基地相の硬さはビッカース硬さで550HV以上、好ましくは700HV以下とした。なお、好ましくは560~660HVである。
基地相中に析出する炭化物の粒径が、10μmを超えて大きくなると、基地相の硬さ、靭性が低下し相手攻撃性が増加し、圧環強さが低下する。本発明では、炭化物は、基地相中に150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出させる。析出密度が150個/(30μm×30μm)未満では、析出密度が低すぎて、所望の圧環強さや耐摩耗性を確保できない。このようなことから、基地相は、粒径:10μm以下の微細炭化物が、150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相とした。
上記した硬さと組織を有する基地相は、質量%で、C:0.05~0.70%、Si:0.70%以下、Mn:0.50%以下、Cr:4.5%以下、Mo:10.0%以下、V:4.5%以下、W:10.0%以下を含み、あるいはさらに、Co:5.0%以下含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することが好ましい。
本発明バルブシートの機能部材側層は、上記した硬さ、組織、組成を有する基地相中に、硬質粒子、あるいはさらに固体潤滑剤粒子を分散させた組織を有する。分散する硬質粒子は、ビッカース硬さで650~1200HVの硬さを有する硬質粒子とする。硬質粒子の硬さが、650HV未満では、耐摩耗性の向上効果が少ない。一方、1200HVを超えて高くなると、被削性の低下を招く。このため、基地相中に分散させる硬質粒子の硬さはビッカース硬さで650~1200HVの範囲に限定した。
なお、基地相中に分散する硬質粒子は、平均粒径:10~150μmの粒子とすることが好ましい。平均粒径が10μm未満では、焼結時に拡散しやすく所望の耐摩耗性向上の効果を確保できない。一方、150μmを超えて大きくなると、基地との結合力が低下する。このため、基地相中に分散する硬質粒子の平均粒径は10~150μmとすることが好ましい。ここでいう「平均粒径」とは、レーザ散乱法で測定した累積分布が50%となる粒径D50を意味する。
また、本発明バルブシートの機能部材側層では、上記した硬さの硬質粒子を基地相中に面積率で20~40%分散させる。硬質粒子の分散量が20%未満では、所望の耐摩耗性を確保できなくなる。一方、40%を超えると、基地相と硬質粒子との結合力が低下し、耐摩耗性が低下する。
本発明バルブシートの機能部材側層で使用する硬質粒子粉末としては、Si-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末、またはSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子、とすることが好ましい。Si-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末は、質量%で、Si:2.20~2.70%、Cr:7.5~9.5%、Mo:27.0~30.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなる組成と、ビッカース硬さで650~1200HVを有する。また、Si-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子は、質量%で、Si:1.5~2.5%、Cr:24.0~26.0%、Mo:23.0~26.0%、Ni:9.5~11.0%を含み残部Coからなる組成と、ビッカース硬さで650~1200HVを有する。
本発明バルブシートの機能部材側層では、硬質粒子の周りに、拡散相を形成する場合もあるが、その量は少なく、多くても面積率で0.5%未満程度である。この拡散相は、焼結時に、硬質粒子から合金元素が基地相中に拡散して形成されるものであるが、本発明バルブシートの機能部材側層では、炭化物が安定化しているため、拡散相の形成量は少ない。
本発明バルブシートの機能部材側層では、基地相中に固体潤滑剤粒子を、面積率で0~5%分散させてもよい。基地相中に固体潤滑剤粒子を分散させることにより、被削性、加工性、潤滑性が向上する。しかし、5%を超えると、焼結反応の進行を妨げ、機械的性質の低下を招く。このため、固体潤滑剤粒子は面積率で0~5%の範囲に限定した。固体潤滑剤としては、硫化マンガンMnS、二硫化モリブデンMoS2等が例示できる。
本発明バルブシートの機能部材側層では、基地相、硬質粒子、固体潤滑剤粒子を含む基地部は、質量%で、C:1.0~2.0%、Si:0.5~1.5%、Mn:2.0%未満、Cr:2.0~10.0%、Mo:5.0~15.0%、W:0.5~10.0%、V:0.5~5.0%、Co:10.0~35.0%、Ni:0~5.0%、S:0~2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する。
以下、機能部材側層における基地部組成の限定理由について説明する。なお、以下、組成における質量%は、単に%で記す。
C:1.0~2.0%
Cは、基地相を所定の硬さ、組織に調整し、所定の微細炭化物を形成するために必要な元素であり、1.0%以上含有させる。一方、2.0%を超えて含有すると、焼結時に液相焼結となり、析出炭化物量が過多となり、空孔数が増加し、寸法精度が低下する。このため、Cは1.0~2.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは1.0~1.5%である。
Si:0.5~1.5%
Siは、硬さを増加させる元素であり、0.5%以上含有することが好ましい。一方、1.5%を超える含有は、靭性の低下を招く。このため、Siは0.5~1.5%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.5~1.3%である。
Mn:2.0%未満
Mnは、基地相の硬さを増加させる元素であり、また、Mnは固体潤滑剤粒子の含有に起因して基地部に含まれ、被削性改善に寄与する。このような効果は0.05%以上の含有で顕著となるが、2.0%以上の含有は、基地相硬さ、靭性、延性の低下に繋がる。このため、Mnは2.0%未満に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.05~1.5%である。
Cr:2.0~10.0%
Crは、基地相に固溶して、また炭化物を形成して基地相の硬さを増加させ、さらに硬質粒子の硬さを増加させ、耐熱性、耐摩耗性を向上させる元素であり、2.0%以上含有することが好ましい。一方、10.0%を超えて含有すると、Cr炭化物の形成が過多となり、微細な炭化物とすることが難しくなり、また硬質粒子の硬さが高くなりすぎる。このため、Crは2.0~10.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは4.0~6.0%である。
Mo:5.0~15.0%
Moは、基地相に固溶し、また微細炭化物を形成して基地相の硬さを増加させ、耐摩耗性の向上に寄与する元素である。また、硬質粒子の硬さを増加させる。このような効果は、5.0%以上の含有で顕著となるが、15.0%を超えて含有すると、成形性が低下する。このため、Moは5.0~15.0%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは10.0~14.0%である。
W:0.5~10.0%
Wは、微細炭化物を形成し、基地相の硬さを増加させ、耐摩耗性を向上する効果を有する元素である。このような効果は、0.5%以上の含有で顕著となるが、10.0%を超えて含有すると、成形性が低下する。このため、Wは0.5~10.0%に限定することが好ましい。なお、より好ましくは2.0~5.0%である。
V:0.5~5.0%
Vは、微細炭化物を形成し、基地相の硬さを増加させ、耐摩耗性を向上する効果を有する元素である。このような効果は、0.5%以上の含有で顕著となるが、5.0%を超えて含有すると、成形性が低下する。このため、Vは0.5~5.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.5~2.0%である。
Co:10.0~35.0%
Coは、基地相の強度、とくに高温強度を増加させ、耐摩耗性を向上させる元素であり、さらに基地相の靭性を向上させる元素であり、硬質粒子の硬さを増加させる元素である。このような効果は10.0%以上の含有で顕著となる。一方、35.0%を超える含有は、基地相硬さを低下させる。このため、Coは10.0~35.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは10.0~25.0%以下である。
Ni:0~5.0%
Niは、基地相の硬さ、靭性の向上に寄与する元素であり、また、硬質粒子の硬さ増加にも寄与する元素であり、必要に応じて含有できる。含有する場合には0.3%以上とすることが好ましいが、5.0%を超えて含有すると、基地相の成形性の低下を招く。このため、含有する場合には、5.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは1.0%以下である。
S:0~2.0%
Sは、固体潤滑剤粒子の含有に起因して基地部に含まれ、被削性向上に寄与する元素であり、必要に応じて含有できる。しかし、Sが2.0%を超えて含有されると、靭性、延性の低下を招く。このため、含有する場合には、Sは2.0%以下に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としては、P:0.03%以下が許容できる。
つぎに、本発明バルブシートを二層構造とした場合の支持部材側層について説明する。なお、二層構造の機能部材側層は、上記した単層構造の場合の機能部材側層と同じとする。
本発明バルブシートの支持部材側層の基地相は、パーライトを主とする組織とし、支持部材側層は上記した組織の基地相と、該基地相中に、硬質粒子を面積率で0~5%、固体潤滑剤粒子を面積率で0~5%分散させてなる組織を有する。
支持部材側層の基地相中には、必要に応じて被削性を向上させる固体潤滑剤粒子を分散させてもよい。固体潤滑剤粒子としては、MnS、MoS2等が例示できる。分散させる場合は、固体潤滑剤粒子は、面積率で、0.3%以上とすることが好ましい。0.3%未満では被削性向上の目的を達成できにくい。一方、5%を超えて分散させても、効果が飽和し、分散量に見合う効果が期待できなくなる。このため、分散させる場合には、固体潤滑剤粒子は5%以下に限定することが好ましい。
また、支持部材側層の基地相中には、基地相の強度を増加させるために、硬質粒子を面積率で0~5%分散させてもよい。支持部材側層中に分散させる硬質粒子としては、フェロモリブデン(Fe-Mo)系合金鉄が例示できる。硬質粒子を面積率で5%を超えて分散させても効果が飽和するため5%を上限とした。
そして、さらに本発明バルブシートの支持部材側層は、基地相、硬質粒子および固体潤滑剤粒子を含む基地部が、質量%で、C:0.9~2.0%を含み、あるいはさらに、Ni:0.5%以下、Mo:0.8%以下、Cu:5.0%以下、Mn:5.0%以下、S:2.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する。
C、Ni、Mo、Cuは、支持部材側層の基地相強度(硬さ)を増加させる元素である。Cは、所望の強度を確保するために、0.9%以上含有させる。一方、2.0%を超えて含有すると、強度が高くなりすぎて靭性が低下する。このため、Cは0.9~2.0%の範囲に限定した。また、Ni、Mo、Cuは、所望の強度に応じて含有するが、Ni:0.5%、Mo:0.8%、Cu:5.0%、を超えて含有すると、強度が高くなりすぎるため、Ni:0.5%以下、Mo:0.8%以下、Cu:5.0%以下の範囲に限定することが好ましい。また、Mn、SおよびMoの一部は、固体潤滑剤粒子の分散に起因して含まれるが、固体潤滑剤粒子を多量に分散させても、効果が飽和する。このため、Mn:5.0%以下、S:2.0%以下に限定した。
つぎに、本発明鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法について説明する。
本発明の単層構造の鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法では、まず、鉄系粉末と、黒鉛粉末と、合金元素粉末と、硬質粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粉末とを、上記した基地部組成となるように所定量配合し、混合、混錬して、混合粉(機能部材側層用混合粉)とする。
混合粉(機能部材側層用混合粉)に配合する鉄系粉末は、基地相を形成するために配合する粉末であり、本発明では基地相を微細炭化物析出相とすることができる合金鋼粉末とする。そのような合金鋼粉末としては、JIS G 4403に規定される高速度工具鋼組成に準じた組成の粉末が例示できるが、それに限定されないことは言うまでもない。
配合する鉄系粉末は、質量%で、C:0.05~0.70%、Si:0.70%以下、Mn:0.50%以下、Cr:4.5%以下、Mo:10.0%以下、V:4.5%以下、W:10.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ビッカース硬さで170~220HVの粒子硬さを有する鉄系粉末とする。以下に、まず鉄系粉末の組成限定理由について説明する。以下、組成における質量%は、単に%と記す。
以下に、配合する鉄系粉末の組成限定理由について説明する。
C:0.05~0.70%
本発明で配合する鉄系粉末は、Cを低減した高速度鋼組成の粉末とする。Cが0.05%未満では、それ以上の粉末粒子の硬さ低下が認められなくなる。一方、Cが0.70%を超えると、粉末粒子の硬さが高くなりすぎて、粉末粒子の圧縮性が低下する。このため、鉄系粉末のC含有量は0.05~0.70%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.3~0.6%である。
Si:0.70%以下
Siは、脱酸剤として作用する元素であり、このような効果を得るためには、0.05%以上の含有で顕著となる。一方、0.70%を超えて含有すると圧縮性が低下する。このため、Siは、0.70%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.40%以下である。
Mn:0.50%以下
Mnは、脱酸剤として作用するとともに、強度(硬さ)増加に寄与する。このような効果は、0.10%以上の含有で顕著となる。一方、0.50%を超えて含有すると、硬さが高くなり圧縮性が低下する。このため、Mnは0.50%以下に限定することが好ましい。
Cr:4.5%以下
Crは、炭化物を形成し、耐摩耗性を向上する効果を有する元素である。このような効果は、2.0%以上の含有で顕著となるが、4.5%を超えて含有すると、靭性が低下する。このため、Crは4.5%以下に限定することが好ましい。
Mo:10.0%以下
Moは、微細炭化物を形成し、耐摩耗性を向上する効果を有する元素である。このような効果は、3.0%以上の含有で顕著となるが、10.0%を超えて含有すると、成形性が低下する。このため、Moは10.0%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは4.0~6.0%である。
V:4.5%以下
Vは、微細炭化物を形成し、耐摩耗性を向上する効果を有する元素である。このような効果は、1.5%以上の含有で顕著となるが、4.5%を超えて含有すると、成形性が低下する。このため、Vは4.5%以下に限定することが好ましい。
W:10.0%以下
Wは、微細炭化物を形成し、耐摩耗性を向上する効果を有する元素である。このような効果は、5.0%以上の含有で顕著となるが、10.0%を超えて含有すると、成形性が低下する。このため、Wは10.0%以下に限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。不可避的不純物としては、P:0.03%以下、S:0.02%以下が許容できる。Pは、オーステナイト粒界に偏析して粒界脆性を促進するため、できるだけ低減することが好ましい。なお、より好ましくは0.010%以下である。また、Sは、鋼中では硫化物系介在物として存在し、熱間加工性を阻害するため、できるだけ低減することが望ましい。なお、より好ましくは0.005%以下である。
粒子硬さ:170~220HV
本発明で使用する鉄系粉末は、170~220HVの粒子硬さを有する粉末とする。粒子硬さが170HV未満では、鉄系粉末の硬さが低くなり過ぎて焼結体としての耐摩耗性が低下する。一方、220HVを超えて粒子硬さが高くなると、圧縮性が低下し、焼結体としての圧環強さが低下する。このため、配合する鉄系粉末の粒子硬さは170~220HVに限定した。
また、配合する硬質粒子粉末は、上記した硬さおよび組成を有するSi-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末、またはSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子、とすることが好ましい。本発明では、このような硬さを有する硬質粒子粉末を、混合粉全量に対する質量%で、20~40%配合する。
なお、混合粉中に配合する硬質粒子粉末は、上記した硬さを有し、さらに平均粒径が10~150μmの粒子とすることが好ましい。平均粒径が10μm未満では、焼結時に拡散しやすく、所望の耐摩耗性を確保できない。一方、150μm超えでは、基地との結合力が低下する。このため、硬質粒子粉末の平均粒径は10~150μmとすることが好ましい。なお、「平均粒径」は、レーザ散乱法で測定した累積分布が50%となる粒径D50を意味する。
また、固体潤滑剤粒子は、被削性、加工性、潤滑性を向上させるために、基地相中に分散させる。固体潤滑剤粒子としては、MnS、MoS2等とすることが好ましい。固体潤滑剤粒子粉末の配合量は、混合粉全量に対する質量%で、0~5%とすることが好ましい。
なお、混合粉には、上記した鉄系粉末、硬質粒子粉末、あるいはさらに固体潤滑剤粉末を所定量配合し、さらに上記した基地相組成、基地部組成となるように、黒鉛粉末、合金元素粉末を配合することはいうまでもない。なお、混合粉には、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤を配合しても良い。
上記したように、鉄系粉末に、さらに黒鉛粉末と、合金元素粉末と、硬質粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粉末とを所定量配合し、混合、混錬して混合粉とする。
得られた混合粉を、ついで、所定のバルブシート形状の金型に充填する。
混合粉を金型に充填した後、プレス加工機等でプレス加工し、バルブシート形状の圧粉体とする。なお、プレス加工は、圧粉体の密度が6.6g/cm3以上となるように調整することが好ましい。
得られた圧粉体に、ついで、焼結処理を施し、焼結体とする。
焼結処理は、保護雰囲気中で、加熱温度:1100~1200℃の温度範囲で施す処理とすることが好ましい。加熱温度が1100℃未満では、焼結拡散が不足し、一方、1200℃超えでは、過拡散となり、耐摩耗性が低下する。なお、プレス加工P-焼結処理S工程は複数回繰り返す工程(2P2S等)としてもよい。
得られた焼結体に研削・切削等の加工を施して、所望の寸法形状のバルブシートとする。
つぎに、本発明の二層構造の鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法では、上記した混合粉(機能部材側層用混合粉)に加えて、さらに支持部材側層用混合粉を用意する。
支持部材側層用混合粉は、鉄系粉末と、黒鉛粉末と、あるいはさらに合金元素粉末と、硬質粒子粉末と、固体潤滑剤粉末とを所定量配合し、混合、混錬して、混合粉とする。支持部材側層用混合粉では、鉄系粉末を純鉄粉とし、黒鉛粉末を、支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0.5~2.0%配合し、合金元素粉末を、支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、合計で0~5.0%配合し、硬質粒子粉末をフェロモリブデン(Fe-Mo)合金粉末として、該硬質粒子粉末を支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0~5%配合し、固体潤滑剤粉末を、前記支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0~5%配合する。
そして、機能部材側層用混合粉と支持部材側層用混合粉をこの順に、所望の比率で、所定形状の金型に充填する。
金型に充填した後に、上記した単層構造の場合と同じように、プレス加工を施して圧粉体とし、ついで圧粉体に、上記した単層構造の場合と同じように、焼結処理を施し二層構造の焼結体を得る。
得られた二層構造の焼結体に研削・切削等の加工を施して、所望の寸法形状の二層構造のバルブシートとする。
以下、実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
まず、機能部材側層用混合粉および支持部材側層用混合粉を用意した。
機能部材側層用混合粉は、基地相形成用の鉄系粉末に、黒鉛粉末、合金元素粉末、硬質粒子粉末、固体潤滑剤粉末(MnS粉末)を、表1に示す配合量となるように調整し、混合、混錬して混合粉(No.A~No.K)とした。なお、使用した鉄系粉末は、表2に示す組成、硬さの高速度工具鋼系粉末(No.a~No.d)とした。また、使用した硬質粒子粉末は、表3に示す組成、硬さ、平均粒径の粒子粉末(No.h1~No.h2)とした。
支持部材側層用混合粉は、基地相形成用の鉄系粉末と、黒鉛粉末と、あるいはさらに合金元素粉末と硬質粒子粉末と固体潤滑剤粒子粉末と、を表1に示す配合量となるように調整し、混合、混錬して混合粉(No.1A~No.1B)とした。なお、使用した鉄系粉末は表2に示す組成、硬さの粉末(No.e)とした。鉄系粉末No.eは純鉄粉である。また、使用した硬質粒子粉末は、表3に示す組成、硬さ、平均粒径の粒子粉末(No.h3)とした。硬質粒子粉末No.h3は、フェロモリブデン合金鉄である。なお、混合粉には潤滑剤として、混合粉100質量部に対しステアリン酸亜鉛を1質量部配合した。一部のバルブシートでは、機能部材側層のみの単層構造とした。
Figure 2023067801000001
Figure 2023067801000002
Figure 2023067801000003
得られた混合粉を、金型に充填し、プレス加工機で所定のバルブシート形状の圧粉体とした。得られた圧粉体について、アルキメデス法で密度を測定した。
ついで、得られた圧粉体に、焼結処理を施した。焼結処理は、保護雰囲気中で、加熱温度:1150℃とした焼結炉に装入し(保持時間:6hr)、焼結体とした。
得られた焼結体に、さらに切削、研磨等の加工を施して、所定形状(外径:27mmΦ×内径22mmΦ×厚さ6mm)の鉄基焼結合金製バルブシートとした。
得られたバルブシートについて、化学分析、組織観察、硬さ試験、密度試験、摩耗試験、圧環強さ試験を実施した。試験方法は次の通りとした。
(1)化学分析
得られたバルブシートの各部位から分析用試料を採取し、発光分析法により、各部位における各成分の含有量を分析し、焼結体基地部の組成を求めた。
(2)組織観察
得られたバルブシートについて、軸方向に垂直な断面を研磨し、腐食(腐食液:ナイタール液)して組織を現出し、光学顕微鏡(倍率:200倍)で観察し、基地相組織の種類を特定した。また、走査型電子顕微鏡(倍率:2000倍)を用いて、基地相中に析出した炭化物について、粒径を測定し、炭化物粒径の最大が10μm以下であることを確認し、基地相が微細炭化物析出相であるとした。炭化物粒径(長辺長さ)の最大径が10μmを超える場合には、単に炭化物析出相とした。また、走査型電子顕微鏡(倍率:2000倍)を用いて、基地相中に析出した炭化物について、観察視野(30μm×30μm)内の個数を測定し、炭化物析出密度(個/(30μm×30μm))を算出した。
(3)硬さ試験
得られたバルブシートについて、軸方向に垂直な断面を研磨し、腐食(腐食液:ナイタール液)して組織を現出し、ビッカース硬度計(試験力:0.98N(100gf))を用いて、基地相のビッカース硬さHVを測定した。
(4)密度試験
得られたバルブシートについて、アルキメデス法を用いて密度(焼結体密度)を測定した。
(5)摩耗試験
得られたバルブシートについて、図1に示すリグ試験機を用いて、次に示す試験条件で摩耗試験を実施した。
試験温度:300℃(シートフェイス)
試験時間:12hr
カム回転数:3000rpm
バルブ回転数:20rpm
衝撃荷重:700N
バルブ材質:窒化膜付き耐熱鋼(SUH35表面硬さ1150HV)
試験後、試験片(バルブシート)の摩耗量を測定した。得られた摩耗量から、バルブシートNo.1(従来例)を基準(1.00)とし、当該バルブシートの摩耗比を算出した。
(6)圧環強さ試験
得られたバルブシートについて、JIS Z 2507の規定に準拠して、圧環強さを求めた。得られた圧環強さから、バルブシートNo.1(従来例)を基準(1.00)とし、当該バルブシートの圧環強さ比を算出した。なお、バルブシートNo.1(従来例)の圧環強さは470MPaであった。
得られた結果を表4および表5に示す。
Figure 2023067801000004
Figure 2023067801000005
本発明例はいずれも、従来例(バルブシートNo.1)に比べて、基地相中の炭化物の析出密度が大幅に高くなり、炭化物が従来例に比べてより微細に分散している。これにより、本発明例はいずれも、焼結体密度が高くなり、さらに圧環強さ比が高く圧環強さが向上し、摩耗比が低く、耐摩耗性が向上している。
1 バルブシート
2 シリンダブロック相当材
3 加熱手段
4 バルブ

Claims (8)

  1. 機能部材側層からなる単層構造を有する鉄基焼結合金製バルブシートであって、
    前記機能部材側層が、基地相中に硬質粒子および固体潤滑剤粒子を分散させてなり、
    前記基地相が、粒径:10μm以下の微細炭化物が、150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相であり、
    前記硬質粒子が、ビッカース硬さで650~1200HVの硬さを有し、質量%で、Si:2.20~2.70%、Cr:7.5~9.5%、Mo:27.0~30.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなるSi-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末またはビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:1.5~2.5%、Cr:24.0~26.0%、Mo:23.0~26.0%、Ni:9.5~11.0%を含み残部CoからなるSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子であり、前記基地相中に面積率で20~40%分散し、さらに
    前記固体潤滑剤粒子が面積率で0~5%分散した組織を有し、
    密度が6.65g/cm3以上で、圧環強さに優れることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。
  2. 前記基地相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部が、質量%で、C:1.0~2.0%、Si:0.5~1.5%、Mn:2.0%未満、Cr:2.0~10.0%、Mo:5.0~15.0%、W:0.5~10.0%、V:0.5~5.0%、Co:10.0~35.0%、Ni:0~5.0%、S:0~2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
  3. 機能部材側層と支持部材側層とが一体で焼結された二層構造を有する鉄基焼結合金製バルブシートであって、
    前記機能部材側層が、基地相と、該基地相中に硬質粒子および固体潤滑剤粒子を分散させてなり、前記基地相が、粒径:10μm以下の微細炭化物が、150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相であり、前記硬質粒子が、ビッカース硬さで650~1200HVの硬さを有し、質量%で、Si:2.20~2.70%、Cr:7.5~9.5%、Mo:27.0~30.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなるSi-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末またはビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:1.5~2.5%、Cr:24.0~26.0%、Mo:23.0~26.0%、Ni:9.5~11.0%を含み残部CoからなるSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子であり、前記基地相中に面積率で20~40%分散し、さらに前記固体潤滑剤粒子が面積率で0~5%分散した組織を有し、
    前記支持部材側層が、パーライトからなる基地相と、該基地相中に、硬質粒子を面積率で0~5%、固体潤滑剤粒子を面積率で0~5%分散させてなる組織を有し、
    密度が6.65g/cm3以上で、圧環強さに優れることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシート。
  4. 前記機能部材側層における前記基地相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部が、質量%で、C:1.0~2.0%、Si:0.5~1.5%、Mn:2.0%未満、Cr:2.0~10.0%、Mo:5.0~15.0%、W:0.5~10.0%、V:0.5~5.0%、Co:10.0~35.0%、Ni:0~5.0%、S:0~2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
    前記支持部材側層における前記基地相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部が、質量%で、C:0.9~2.0%を含み、あるいはさらに、Ni:0.5%以下、Mo:0.4~0.8%、Cu:5.0%以下、Mn:5.0%以下、S:2.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有すること特徴とする請求項3に記載の鉄基焼結合金製バルブシート。
  5. 請求項1または2に記載の単層構造の鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法であって、
    鉄系粉末と、黒鉛粉末と、合金元素粉末と、硬質粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粉末とを所定量配合し、混合、混錬して、混合粉としたのち、
    前記混合粉を所定形状の金型に充填しプレス加工を施して圧粉体とし、ついで、
    前記圧粉体に保護雰囲気中で焼結処理を施し焼結体としたのち、切削加工あるいはさらに研削加工を施して、所定形状のバルブシートを製造するに当たり、
    前記鉄系粉末を、質量%で、C:0.05~0.70%、Si:0.70%以下、Mn:0.50%以下、Cr:4.5%以下、Mo:10.0%以下、V:4.5%以下、W:10.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ビッカース硬さで170~220HVの粒子硬さを有する鉄系粉末とし、該鉄系粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、40~70%配合し、
    前記硬質粒子粉末を、ビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:2.20~2.70%、Cr:7.5~9.5%、Mo:27.0~30.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなるSi-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末またはビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:1.5~2.5%、Cr:24.0~26.0%、Mo:23.0~26.0%、Ni:9.5~11.0%を含み残部CoからなるSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子とし、該硬質粒子粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、20~40%配合し、
    前記黒鉛粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、0.5~2.0%配合し、
    前記合金元素粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で合計で、0~5.0%配合し、さらに、
    前記固体潤滑剤粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、0~5%配合し、
    前記プレス加工を、前記圧粉体の密度が、密度:6.6g/cm3以上となるように施し、
    前記焼結処理を、焼結温度:1100~1200℃で行う処理として、前記焼結体を得ることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
  6. 前記焼結体が、粒径:10μm以下の微細炭化物が150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相である基地相中に、
    硬質粒子を面積率で20~40%分散させ、さらに、固体潤滑剤粒子を面積率で0~5%分散させた組織と、かつ前記基地相、前記拡散相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部で、質量%で、C:1.0~2.0%、Si:0.5~1.5%、Mn:2.0%未満、Cr:2.0~10.0%、Mo:5.0~15.0%、W:0.5~10.0%、V:0.5~5.0%、Co:10.0~35.0%、Ni:0~5.0%、S:0~2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する
    ことを特徴とする請求項5に記載の鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
  7. 請求項3または4に記載の二層構造の鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法であって、
    鉄系粉末と、黒鉛粉末と、合金元素粉末と、硬質粒子粉末と、あるいはさらに固体潤滑剤粉末とを所定量配合し、混合、混錬して、機能部材側層用混合粉とし、
    鉄系粉末と、黒鉛粉末と、あるいはさらに合金元素粉末と、硬質粒子粉末と、固体潤滑剤粉末とを所定量配合し、混合、混錬して、支持部材側層用混合粉とし、
    前記機能部材側層用混合粉と前記支持部材側層用混合粉とをその順に、所定形状の金型に充填し、プレス加工を施して圧粉体とし、ついで、前記圧粉体に保護雰囲気中で焼結処理を施し二層構造の焼結体としたのち、切削加工あるいはさらに研削加工を施して、所定形状の二層構造のバルブシートを製造するに当たり、
    前記機能部材側層用混合粉では、前記鉄系粉末を、質量%で、C:0.05~0.70%、Si:0.70%以下、Mn:0.50%以下、Cr:4.5%以下、Mo:10.0%以下、V:4.5%以下、W:10.0%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、ビッカース硬さで170~220HVの粒子硬さを有する鉄系粉末とし、該鉄系粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、40~70%配合し、
    前記硬質粒子粉末を、ビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:2.20~2.70%、Cr:7.5~9.5%、Mo:27.0~30.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなるSi-Cr-Mo系Co基金属間化合物粒子粉末またはビッカース硬さで650~1200HVを有し、質量%で、Si:1.5~2.5%、Cr:24.0~26.0%、Mo:23.0~26.0%、Ni:9.5~11.0%を含み残部CoからなるSi-Cr-Mo-Ni系Co基金属間化合物粒子とし、該硬質粒子粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、20~40%配合し、
    前記黒鉛粉末を、前記機能部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0.5~2.0%配合し、
    前記合金元素粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で合計で、0~5.0%配合し、さらに、
    前記固体潤滑剤粉末を、前記混合粉全量に対する質量%で、0~5%配合し、
    前記プレス加工を、前記圧粉体の密度が、密度:6.6g/cm3以上となるように施し、
    前記支持部材側層用混合粉では、前記鉄系粉末を純鉄粉とし、前記黒鉛粉末を、前記支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0.5~2.0%配合し、前記合金元素粉末を、前記支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、合計で0~5.0%配合し、前記硬質粒子粉末をFe-Mo合金粉末として、該硬質粒子粉末を前記支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0~5%配合し、前記固体潤滑剤粉末を、前記支持部材側層用混合粉全量に対する質量%で、0~5%配合し、
    前記プレス加工を、前記圧粉体の密度が、密度:6.6g/cm3以上となるように施し、
    前記焼結処理を、焼結温度:1100~1200℃で行う処理として、
    前記焼結体を二層構造の焼結体とすることを特徴とする鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
  8. 前記二層構造の焼結体を、前記機能部材側層が、粒径:10μm以下の微細炭化物が150個/(30μm×30μm)以上の密度で析出し、ビッカース硬さで550HV以上の硬さを有する微細炭化物析出相である基地相と、該基地相中に、硬質粒子を面積率で20~40%分散させ、さらに、固体潤滑剤粒子を面積率で0~5%分散させた組織と、かつ前記基地相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部で、質量%で、C:1.0~2.0%、Si:0.5~1.5%、Mn:2.0%未満、Cr:2.0~10.0%、Mo:5.0~15.0%、W:0.5~10.0%、V:0.5~5.0%、Co:10.0~35.0%、Ni:0~5.0%、S:0~2.0%を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、を有し、
    前記支持部材側層が、パーライトからなる基地相と、該基地相中に、硬質粒子を面積率で0~5%、固体潤滑剤粒子を面積率で0~5%分散させてなる組織と、前記基地相、前記硬質粒子および前記固体潤滑剤粒子を含む基地部で、質量%で、C:0.9~2.0%を含み、あるいはさらに、Ni:0.5%以下、Mo:0.8%以下、Cu:5.0%以下、Mn:5.0%以下、S:2.0%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、を有する二層構造の焼結体であることを特徴とする請求項7に記載の鉄基焼結合金製バルブシートの製造方法。
JP2022169568A 2021-10-29 2022-10-24 鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法 Pending JP2023067801A (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021178038 2021-10-29
JP2021178038 2021-10-29
JP2022161766 2022-10-06
JP2022161766 2022-10-06

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023067801A true JP2023067801A (ja) 2023-05-16

Family

ID=86172263

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022169568A Pending JP2023067801A (ja) 2021-10-29 2022-10-24 鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2023067801A (ja)
CN (1) CN116060620A (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
CN116060620A (zh) 2023-05-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10605374B2 (en) Valve seat insert excellent in wear resistance made of iron-base sintered alloy for internal combustion engines, and assembly of valve seat insert and valve
US8733313B2 (en) Iron-based sintered alloy for valve seat, and valve seat for internal combustion engine
JP4368245B2 (ja) 硬質粒子分散型鉄基焼結合金
CN102762755B (zh) 阀座
JPH0559500A (ja) 二次硬化型高温耐摩耗性焼結合金
JP2017115184A (ja) 耐摩耗性に優れた内燃機関用バルブシート
EP2253727B1 (en) Iron-based alloy powder
JPH10226855A (ja) 耐摩耗焼結合金製内燃機関用バルブシート
EP1347067B1 (en) Iron-based sintered alloy for use as valve seat
JP6736227B2 (ja) 耐摩耗性に優れた内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシートおよびバルブシートとバルブとの組合せ体
US10213830B2 (en) Production method of sintered alloy, sintered-alloy compact, and sintered alloy
JP2012149584A (ja) 鉄基焼結合金製バルブシート
JP6871361B2 (ja) 熱伝導性に優れた内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート
US20200071803A1 (en) Sintered steel alloy for wear resistance at high temperatures and fabrication method of valve-seat using the same
US9950369B2 (en) Manufacturing method of sintered alloy, compact for sintering, and sintered alloy
JP6077499B2 (ja) 焼結合金用成形体、耐摩耗性鉄基焼結合金、およびその製造方法
JP2023067801A (ja) 鉄基焼結合金製バルブシートおよびその製造方法
JP7331290B2 (ja) 内燃機関用鉄基焼結合金製バルブシート
JPH04159405A (ja) 内燃機関用弁座材、及びその製造方法
WO2022185758A1 (ja) 鉄基焼結合金製バルブシート
JP4516697B2 (ja) 硬質粒子分散型鉄基焼結合金
JP2018178143A (ja) 耐摩耗性鉄基焼結合金の製造方法
JP4303172B2 (ja) 鉄基焼結合金製バルブシート
JP2010229516A (ja) 疲労強度に優れた粉末鍛造品、粉末鍛造用混合粉末、および破断分割型コンロッド