JP2023067299A - 船舶用の干渉波発生システム、船舶、及び、船舶の曳波低減方法等 - Google Patents

船舶用の干渉波発生システム、船舶、及び、船舶の曳波低減方法等 Download PDF

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Abstract

【課題】船体没水部2が発生する曳波Awに対して、干渉波発生装置20により干渉波Bwを発生して、この干渉波Bwを曳波Awに干渉させて曳波Awの波のエネルギーを低減する。【解決手段】少なくとも船舶1が前進方向に航走しているときに、船舶1の両舷側に配置され、かつ、船舶1の船体没水部2の表面から離間した位置に配置された干渉波発生装置20により干渉波Bwを発生して、この干渉波Bwを船体没水部2が発生する曳波Awに干渉させることにより、船舶1の曳波Awの波のエネルギーを低減する。【選択図】図1

Description

本発明は、船舶から発生する曳波に対して、船舶の舷側側に船体表面から離間して配置された干渉波発生装置で干渉波を発生させ、この発生した干渉波を曳波に干渉させることにより、この曳波を低減する、船舶用の干渉波発生システム、船舶、及び、船舶の曳波低減方法等に関する。
水上を航行する船舶においては、移動する際に船体が水面(自由表面)に影響を及ぼして、船体の主として船首部と前方肩部と後方肩部と船尾部等から波を発生する。これらの波には、船舶と共に移動する局部波(砕波や自由表面衝撃波等)と船舶の側方や後方に伝搬していく自由波とがある。
この船舶で発生する自由波は「曳波」(「曳き波」、「引波」、「引き波」とも書かれる)と言われ、船舶の造波抵抗に大きく関係している。また、この曳波は、船舶が港湾内や運河等の狭水路を航行する際に、他の航行中の船舶又は停泊中の船舶、特に漁船や釣り船などの小型船舶に対して、不意打ちの波となる。この曳波により、これらの小型船舶は大きな揺れを誘発されて、浸水、転覆等の危険な状態に陥る可能性がある。また、貝や魚の養殖水産設備(養殖生け簀等)、沿岸、岸壁等に対しては波が打ち寄せることで、これらの設備にダメージを与えることにもなっている。
この曳波対策の一つとしては、船舶自体の航行速度を遅くする方法があり、例えば、日本の海上交通安全法では、航路の定められた特定の区間においては12ノット未満で航行するとされている。
また、従来技術における船舶側の曳波低減対策としては、船尾波に対する対策が多い。例えば、船体船尾部に、波抑制板体を、波の頂部を抑える位置まで移動できるように昇降自在に設けたり、この波抑制板体の先端を、波を分散させるように鋸歯状に形成したりして、この波抑制板により航行時に発生する波の頂部を上方から抑えることで、波の発生を抑制する船舶における波抑制装置が提案されている(特許文献1参照)。
また、同様に、船尾端から後方に所定間隔をおいて複数の翼型断面の翼体を前後方向に平行に配置して、この複数の翼体によって船尾波を前後に分断することで船尾波による曳波の波高を小さくする船尾曳波減少装置が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの波の頂部を抑えたり、波を分断するためには、船尾で発生する波の波長ベースの長さで抑えたり、分断したりする必要がある。例えば、船舶の速度(船速)をVsとすると、船舶の真後ろの方向に発生する横波の波長Lwは、「Lw=2π/g×Vs×Vs」となるので、船速Vsが12ノット(約6.17[m/s])でも、波長Lwは24.4mとなる。また、曳波は船尾部分の広範囲の流れの結果で発生しているので、船尾部分の狭い範囲で波の頂部を抑制したり、分断したりしてもその効果は限定的であると考えられる。
一方、船体形状における対策として、船舶の船尾側の船底に両舷で4列の凹部の流路を設けて、この凹部の後端部に突縁部を設けて構成して、船舶の航行時に、凹部で水流を引き寄せて、剥離現象などの乱れた流れを整流化し、船尾端に向かって誘導すると共に、このときに、凹部で縮流加速された水流を凹部流路の船尾端に設けられた後端突出部に当てることによって、船尾端から発生する水流の隆起を抑制して、船尾船側波の造波現象を抑制する船舶が提案されている(特許文献3参照)。
また、同型同大の三つの胴体を持つ三胴船において、胴体間距離と適切な排水量の配分によって三胴間に発生する造波をある速度時において相互に干渉相殺せしめて造波抵抗を極少化する三胴船が提案されている(特許文献4参照)。また、主船体の両舷に小型のアウトトリガーを持つ三胴船において、主船体とアウトトリガーとの造波干渉を利用してアウトトリガーの前後配置と主船体と胴間距離である胴配置を最適化することが検討されている(非特許文献1、2、3参照)。
しかしながら、同型同大の胴船を持つ三胴船の場合には、三つの胴は、造波抵抗理論では流体力学的には「相当連続吹出し分布」に相当するものである。そのため、波発生源の位相が主船体(センターハル)に対して逆位相となる「二重吹き出し」(「二重湧き出し」とも言う)に相当する船首バルブとは異なり、アウトトリガー(ウイングハル)の波発生源の位相が主船体の波発生源の位相と同位相となるため、半波長分は干渉させることが難しい。従って、三つの胴船で発生する相互の波を干渉させて自由波を低減させることは、波発生源での位相が逆位相となる船首バルブの波を干渉させるようにはいかないという問題がある。
また、波発生源に対して同位相である三つの胴体で発生する波を干渉させるためには、図54に参考までに示すように、主船体で発生する波(理論船形の自由波)とアウトトリガーで発生する波(同型船の波)との間で略半波長分だけずれるような配置とする必要がある。しかしながら、この波長の大きさは船速の影響を受けるため、アウトトリガーの配置を固定した場合には特定の波長、言い換えれば特定の船速に対してのみ、十分な干渉を起こすことができないという問題もある。
一方、船舶の造波抵抗を減少する方法として、船首バルブを設ける方法があり、造波抵抗の減少に大きな貢献をしてきた。この船首バルブは、船体の排水量の数%の排水量で造波減少効果を発揮できるが、船体没水部の形状と船速との組み合わせの一つの条件に対して船首バルブの前後位置と形状と大きさが最適化されている。
例えば、練習船におけるバルバスバウ(船首バルブ)の突き出し量と大きさを、水槽試験で模型試験による抵抗の計測および船首波の観察を行った結果を利用して、設計に役立てている(非特許文献4参照)。そして、造波抵抗と素成波の関係と、船型の改良における試験水槽での波形解析法の手法も紹介されている(非特許文献5参照)。
この波形解析法は、試験水槽に取り付けた波高計の横を模型船が通過するときに計測できる波高を記録及び解析する方法であり、抵抗試験と同時にできる簡易な試験とされている。そして、船舶の高速及び低速における波のパターン(図48参照)を示すと共に、波の縦切り波形の解析から、素成波の進行角度(θ)に対する波のエネルギー密度(波のスペクトラム)(図49参照)を求めて、船首バルブの最適化に利用している。
この船首バルブに関しては、波無し船型の船首系波に関する造波抵抗理論では、船体前半部の形状を「連続吹き出し分布(Continuous Source Distribution)」で、船首バルブ(球状船首)を「二重吹き出し(Point Doublet)」で、それぞれ表現する場合があるように、船体前半部で発生する波に対して、波の発生源の位相が逆位相となる船首バルブの波で干渉させることができる上に、互いの波の発生源を船体中心線上に配置できるので、非常に効率よく干渉させることができるという利点がある(非特許文献6参照)。
なお、この非特許文献6の付録で、「Continuous Source(連続吹き出し)」の波、「Point Doublet(二重吹き出し)」の波に加えて「Point Souce(点吹き出し)」の波ついても、「Fig.A-3 Calculated Wave Profiles for Continuous Source,Point Source & Point Doublet」において、計算された波形図(図50参照)を示して、波の干渉について考察している。
しかしながら、バルブ付船首(バルバスバウ船首形状)の船舶においては、船首バルブを船首部に一体的に固定配置しているので、船首バルブの大きさ、形状及び位置は、一つの「積載状態(通常は満載状態)及び速度(計画航走速度)」の条件に対して、波消し効果が最も大きくなるように、その状態の船体前半部の形状に対応させて、船首バルブの最適化が行われている。また、没水深度も船首バルブで発生する波のエネルギーの大きさに関係し、造波低減効果に影響を及ぼすが、通常は船首バルブの底面が船底部の底面と略同じ高さになるように設けられている。
このバルブ付船首の船舶においては、船首バルブを船首部に一体的に固定配置する結果、船首バルブ単体における波の特性ではなく、船首バルブを船首部に付けるための接続部を含めた波の特性が重要となる。そのため、船首バルブの形状と大きさの変化に伴い接続部の形状も変化する上に、船首バルブで発生する波はこの接続部分の形状の影響を受けることになる。従って、船首バルブの形状と大きさに加えて接続部の形状自体も重要となるので、設計の自由度が大きくなり、実験及び設計が難しくなるという問題が有る。
また、バルブ付船首の船舶においては、満載状態では船首バルブの効果が大きく造波抵抗が少なくなるが、軽荷状態では、船体前半部の船首系波と船首バルブが発生する波との干渉が十分に行われなくなる上に、船首バルブによる造波抵抗及び摩擦抵抗等の増加が生じるという問題がある。
この軽荷状態における抵抗増加の問題に対しては、船首水平フィン(HBF)を設けたり、軽荷状態用のバルブと満載状態用の船首バルブの2つのバルブを設けて2段バルブ構造としたり、船首バルブの形状や前後位置や上下位置を変化できるように構成したりすることが提案されてきている。また、バラスト状態(軽荷状態)において水面に半露出する船首バルブを球状バルブから水線入角の小さい長突出薄型バルブに船首バルブの形状を変更して造波抵抗を減少する方法や、船首バルブ無しの新たな形状の船首部を持つ船型とする方法が採用されてきている。
特開平9-175478号公報 特開平11-180379号公報 特開2017-159767号公報 特開昭49-1700789号公報
三胴船の抵抗特性:瀬尾敏一他、日本造船学会論文集、第134号、P.31~P.41:発行 社団法人日本造船学会:発行日 昭和48年(1973年)11月 アウトリガー付き三胴船型の胴配置に関する造波抵抗極小化の研究:鈴木和夫他、日本造船学会論文集、第177号、P.113~P.122:発行 社団法人日本造船学会:発行日 平成7年(1995年)5月 高速三胴船の性能に及ぼすアウトリガー配置の影響(第1報:抵抗と曳き波):安川宏紀他、日本船舶海洋工学会論文集、第1号、P.77~P.83:発行 社団法人日本船舶海洋工学会:発行日 平成17年(2005年) 船首の波沫きの減少について~船型設計への水槽試験の貢献例~:SRC News,NO.31,November 1995、P.6~P.7:発行 財団法人日本造船技術センター(SRC):発行日 1995年11月 漁船の船型開発:SRC News,NO.3,October 1988、P.6~P.7:発行 財団法人日本造船技術センター(SRC):発行日 1988年10月 球状船首の造波効果に関する水槽試験:乾崇夫、高幣哲夫、熊野道雄:造船協會論文集 第108号、P.39~P.51:発行 造船協會:発行日 昭和35年(1960年)11月
上記のように、多くの船舶においては、船首バルブを用いて造波抵抗の低減を図ってきているが、満載状態と計画航走速度の特定の組み合わせ以外の造波抵抗の低減に対しては、言い換えれば、多様な載荷状態や多様な船速における曳波の低減や造波抵抗の低減に対しては、更に研究及び技術開発の余地があると考えられる。
本発明は上記のことを鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、船首部の形状を含めた船体の形状に関わらず、干渉波発生装置で干渉波を発生させて、この干渉波を船体が発生する曳波に干渉させることで、船体が発生する曳波を低減することができて、これにより、船体の造波抵抗の低減効果を得ることができる、船舶用の干渉波発生システム、船舶、及び、船舶の曳波低減方法等を提供することにある。
上記のような目的を達成するための本発明の船舶用の干渉波発生システムは、航走時に曳波を発生する船舶において、少なくとも前記船舶が前進方向に航走しているときに、前記船舶の船体没水部が発生する曳波に対して、前記曳波のエネルギーを低減するための干渉波を発生する干渉波発生装置を有するとともに、前記干渉波発生装置を、前記船舶の両舷側の位置で、かつ、前記船体没水部の表面から離間した位置に配置することを特徴とする船舶用の干渉波発生システムである。
ここで言う「曳波」は、船首部と船首肩部で発生する「船首系波」のみならず、船尾肩部と船尾部で発生する「船尾系波」も含む波であり、船体没水部の全体で発生する船舶から外部に伝搬する自由波のことである。つまり、外部に伝搬しない局所波に対しては、ここでは対象にしていない。また、曳波は、排水量型船舶だけでなく、滑走型船舶などでも発生するので、本発明の対象の船舶の種類を排水量型船舶のみに限定する必要はなく、曳波を発生する船舶であれば本発明の対象となる。
また、「少なくとも船舶が前進方向に航走しているときには」は「船舶が前進方向に航走していないときは、除外してもよい。」という意味である。言い換えれば、干渉波発生装置を移動可能に設けて、船舶の接岸時等で使用しないときには、干渉波発生装置を船体の内部や上甲板等に収容又は格納していてもよいということである。
ここで、「干渉波」は、「対象とする波に対して干渉により全体としての波を低減する波のことである」と定義する。ここで言う「干渉波」は船体没水部の全体発生する船首系波と船尾系波の両方を含んだ波を対象とする干渉波であるが、必要に応じて、船体没水部の前半部で発生する船首系波の波のみを対象としてもよい。また、「干渉波発生装置」は干渉波を発生する装置のことを言い、巨視的には点源で表現できるにしても、局所的には立体的な空間を持つ。
この干渉波発生装置については、水没部分を有するバルブ部材などの固体で形成したたり、船舶の周囲の水を吸引する装置や、空気や排気ガスや蒸気や海水などの流体を吹出す装置等で構成したりすることも考えられる。この流体を用いる場合では、例えば、水没又は半没した配管や推進装置等から流体を噴出する方法だけでなく、流体を水面に対して吹き付けて水面に凹部を発生させる方法なども考えられる。
上記の構成によれば、船体没水部の前半部(造波抵抗理論上では「吹き出し分布(Source Distribution)」で表現される場合がある。)が発生する船首系波に対して、船首バルブ(同上「二重吹き出し(Point Doublet)」)で発生する船首バルブによる干渉波と同様なメカニズムで、干渉波発生装置により発生する干渉波を、船体没水部で発生する自由波(曳波)に干渉させることができるので、これにより、船体で発生する自由波を低減することができる。
ただし、本発明では、舷側に配置した干渉波発生装置の外側(船体とは反対側)の方向及び後方に伝搬していく干渉波で、船体没水部の曳波の内で舷側に伝搬して行く曳波に干渉させる。そして、両舷の干渉波発生装置によって発生する干渉波で、船体没水部で発生する曳波全体のエネルギーを低減する。
図43~図47を参照しながら、より詳細に説明する。なお、実際には、船体の排除効果、粘性の影響、局所波の存在が波の発生と伝搬に影響を与えるので、船舶で発生する対象波の対象波発生源Awpの波パターン、干渉波発生装置で発生する干渉波の干渉波発生源Bwpの波パターンは、実際には、ケルビン波の波パターンからずれるが、ここでは、説明を簡単にするために、これらの影響を考えずに、説明を進める。つまり、ここでは、説明を容易とするために、単純なケルビン波の波パターンで説明する。なお、図43~図47で図示している波パターンは、単純なケルビン波の波パターンを模しているつもりではあるが、必ずしも、正確な理論的なケルビン波の波パターンとはなっていない。なお、対象波発生源Awpが進行速度Vaで進行しているときに、対象波発生源Awpと共に移動する座標系から見ると、流入する水の速度Vwの水が対象波発生源Awpに向かって流れていることになる。
図43に示すように、この対象波発生源Awpの外側に伝搬して行く自由波(曳波)である対象波Awは、対象波発生源Awpの進行速度Vaと対象波Awの伝搬速度との関係で、ケルビン波の波パターンの扇形の内側で伝搬していく。そして、対象波発生源Awpの進行方向からθの角度だけ逸れた方向に伝搬する波のことを素成波Aw(θ)という。この素成波Aw(θ)の波長Lw(θ)は一定で規則正しい配列の位相面を持っている。
そして、の素成波Aw(θ)の波長Lw(θ)に関しては、浅水域や狭水域でない場合は、対象波発生源Awpの進行方向Lacとなす角度θの方向に進む波の波長Lw(θ)は、対象波発生源Awpの進行速度をVa(m/s)とするとき、「Lw(θ)=2π/g×Va×cosθ=0.64×Va×cosθ」となる。ここで、「g」は重力の加速度(9.8m/s)である。
そのため、対象波の素成波Aw(θ)の山谷が合成されて作られる波パターンは一定の波パターンを形成する。この波の山谷の位置は、進行速度Vaに対しては進行速度Vaの2乗で変化する。ただし、対象波発生源Awpの特性(例えば、船体没水部の形状)によって、伝搬方向θへの波の伝搬エネルギーの分布が異なるため、山谷の振幅の大きさは場所によって異なり、対象波発生源Awpの特性に従って、それぞれの波パターンを形成する。つまり、波パターンは、対象波発生源Awpの特性に従って異なる。
この対象波の素成波Aw(θ)は伝搬方向θで区別すると、縦波Awcと横波Awdになる。縦波Awcは「拡散波」、「発散波」等と呼ばれ、対象波発生源(航跡源等)Awpからは斜め前方向や横方向(θ≧約35度:理論的には35度16分)に伝搬する波であるが、対象波発生源Awpが前方に移動していくため、対象波発生源Awpに固定された座標系で見ると斜め後方向に広がっていく波となる。一方、横波Awdは、対象波発生源Awpの後方向(θ≦約35度:理論的には35度16分)に伝搬する波で、対象波発生源Awpの経路(Lac)上に中心を持つ円弧状の波となり、この横波Awdから対象波発生源Awpまでの距離は円弧の半径に等しくなる。
この縦波Awcの山と横波Awdの山が交わる頂点をカスプと言い、この最も外側のカスプPac(i:i=1,2,3・・・)が連なるライン(カスプライン)Lapは、線形理論的には、対象波発生源Awpの進行速度Vaに関係なく、対象波発生源Awpを頂点とする船首方向から各舷側の側にθc(約20度:理論的には19度28分)で開いた直線Lapとなる。このカスプラインLapは対象波発生源Awpで発生する対象波Awの最前端の稜線となり、対象波Awは、この2つのカスプラインLapより後方の扇型の範囲内に伝搬され、この扇形の範囲外に出ることはない。
次に図44~図47を参照して、干渉波による曳波低減のメカニズムについて説明する。先ず、図44は、船舶の船体没水部の対象波発生源をAwpとし、左舷側を省いて、対象波Awの山(太い実線)の右舷側のみを図示している。また、干渉波発生源をBwpとし、これも左舷側を省いて、干渉波Bwの右舷側のみの谷(太い点線)のみを図示している。この干渉波発生源Bwpは、対象波発生源Awpの進行速度Vaと同じ進行速度Vbで同じ方向に進行している。なお、実際には、左舷側に干渉波の内側干渉波Bwbも発生してしまうが、干渉波発生源Bwpを非対称に形成することで、右舷側の干渉波発生装置20の外側干渉波Bwaよりも左舷側の干渉波の内側干渉波Bwbを小さくすることができる。
そして、図44に示すように、船舶の船体没水部が発生する対象波Awと逆位相を持つ干渉波発生源Bwpの場合には、次の3通りの配置が考えられる。そして、図45に示す第1の配置では、干渉波発生源Bwpを対象波発生源Awpのケルビン波のカスプの位置Pac(1)に、干渉波発生源Bwpを配置する。この配置位置では、干渉波の横波Bwdの谷は、対象波の横波Awdの山に略重なるが、干渉波の縦波Bwcの谷は、対象波の縦波Awcの山に必ずしも重ならないところが出てくる。
図46に示す第2の配置では、対象波の縦波Awcに対して干渉波の縦波Bwcを干渉させるために、干渉波の縦波Bwcの谷が対象波の縦波Awcの山に重なる割合が多くなるように、干渉波発生源Bwpを配置する。この配置位置では、横波同士の干渉が不十分となるが、必ずしも、カスプの位置Pac(1)に配置する必要はないので、干渉波発生源Bwpの配置位置の前後方向及び幅方向に関しての自由度が増す。
図47に示第3の配置では、対象波の横波Awdに対して干渉波の横波Bwdを干渉させるために、干渉波の縦波Bwcの谷が対象波の横波Awdの山に重なるように、干渉波発生源Bwpを配置する。この配置位置では、干渉波発生源Bwpの配置は、対象波の横波Awdとの関係で前後方向の制約を受けるが、縦波同士の干渉を考慮しなければ、幅方向の自由度は増す。
上記のような干渉波発生源の配置では、対象波Awの全体に対して効果的に干渉できるとは限らない。しかしながら、対象波Awで最も大きなエネルギーを持つ伝搬方向θの範囲における素成波Aw(θ)のエネルギーを低減できる位置を、干渉波発生源Bwpの配置位置とすることで、大きな曳波低減効果を得ることができると考える。
なお、実際の対象波Awには船体没水部による排除効果、粘性効果、局所波の存在等が複雑に影響するので、実際の波パターンは、理論的なケルビン波の波パターンからずれるが、局所波の影響を入れた非線形ケルビン波の計算値は、実測の「八の字波」とよく合っているとの報告もある。
そのため、干渉波発生源Bwpが船舶の対象波の素成波Aw(θ)と逆位相の干渉波の素成波Bw(θ)を発生するような場合は、干渉波発生源Bwpの配置位置に関しては、計算可能な理論的な線形ケルビン波の波パターンを参考にするのが効果的であると考えられる。また、干渉波の素成波Bw(θ)が対象波の素成波Aw(θ)と逆位相でない場合でも、干渉波の素成波Bw(θ)と対象波の素成波Aw(θ)の位相が逆位相になる位置に干渉波発生源Bwpを配置することで、少なくともθに関する一部の範囲における対象波の素成波Aw(θ)のエネルギーを低減できると考える。
いずれにしても、干渉波発生装置を取り付けた模型船による水槽試験や数値シミュレーション計算(例えば、CFD)等により、干渉波発生装置の適切な配置位置を設定できる。しかしながら、対象波Awの波パターンは、航路の水深の影響、船体没水部による排除効果、粘性効果、局所波の存在等の影響で変化するので、実船では、この干渉波発生装置の位置を前後方向又は幅方向にある程度の範囲内で移動可能に構成して、航行する海域に合わせて、干渉波発生装置の位置を調整できるようにしておくことが好ましい。
そして、この干渉波発生装置を、船舶の両舷側の位置で、かつ、船舶の船体没水部の表面から離間した位置に配置して、干渉波を発生させて、曳波のエネルギーを低減するとの構成により、次のような利点がある。第1の利点は、船体没水部で発生している自由波(曳波、対象波)に対して、干渉波を発生するので、既存の船舶に対しても設けることができる点にある。第2の利点は、船首バルブの干渉波とは別の干渉波を発生するので、船体の船首部の形状に関わらず、言い換えれば、船首バルブの有無に影響されずに、曳波の低減効果及び造波抵抗の低減効果を発揮できる点にある。
また、第3の利点は、船首バルブのように、船首に設ける際に必要となる接続部のような形状的に干渉となる部分が略無くなり、干渉波発生装置が発生する干渉波の特性を船体と分離して、個別に把握できるようになるので、模型試験や数値シミュレーションによる試験の数を減少でき、設計が容易となる点にある。第4の利点は、船体没水部の状態と船速の変化に対応して、干渉波発生装置の没水深度、没水容積、前後位置、幅方向位置、容量などを比較的容易に変更して、干渉波の振幅と波パターンを変更できる点にある。
更に、上記の船舶用の干渉波発生システムで、前記干渉波発生装置において、船舶の前進方向に平行な平面に対して、前記船体没水部とは反対側となる方向に発生する干渉波のエネルギーが、前記船体没水部の側になる方向に発生する干渉波のエネルギーよりも大きいように構成する。
この構成とする理由は、干渉波発生装置としては、外側干渉波が、船体没水部からの自由波の内の干渉波発生装置を透過して外側に伝搬する自由波と干渉するのに対して、内側干渉波は、船体没水部からの自由波の内の干渉波発生装置で船体側に反射する自由波に干渉することになる。そして、一般的に、この透過する自由波のエネルギーの方が、反射する自由波のエネルギーよりも大きいと考えられるからである。
そして、この構成により、船体没水部とは反対側となる方向に発生する干渉波(ここでは「外側干渉波」と言うことにする)により、効率よく船体没水部で発生する自由波のエネルギーを低減するともに、船体没水部の側になる方向に発生する干渉波(ここでは「内側干渉波」と言うことにする)のエネルギーを小さくして、この内側干渉波によるエネルギー拡散量を小さくする。
また、上記の船舶用の干渉波発生システムにおいて、前記干渉波発生装置が、船舶の前後方向、船舶の幅方向、船舶の上下方向の少なくとも一方向において移動可能に構成されていると、次のような効果を発揮できる。つまり、船舶の前後方向及び船舶の幅方向に移動できることにより、船舶の船速の変化による自由波の山谷(位相)の位置(波パターン)の変化に対応できるようになる。また、船舶の上下方向に移動できることにより、船舶の載荷状態(船体の姿勢)の変化による自由波のエネルギーの変化に対応できるようになる。
より詳細には、船舶及び干渉波発生装置で発生する自由波の波長が船速の2乗に比例して変化するので、自由波の山谷(位相)の位置が船舶に対して変化するが、この波パターンの変化に対して、干渉波発生装置の配置位置を移動するように構成することで追従できるようになる。また、船舶の載荷状況に従って船体没水部の容積が変化し、船体没水部で発生する自由波のエネルギーの大きさが変化するが、この変化に対して、干渉波発生装置の上下移動で干渉波発生装置から発生する干渉波のエネルギーを変化させることにより対応できるようになる。
上記の船舶用の干渉波発生システムにおいて、前記干渉波発生装置が、船舶の船体内部又は上甲板又は前記上甲板より上方に収容されるように構成されていると、次のような効果を発揮できる。つまり、船舶の接岸作業や曳船による曳航作業等の邪魔にならないようにすることができる。
そして、上記の船舶用の干渉波発生システムにおいて、前記干渉波発生装置が、バルブを有する干渉波発生部材を有して構成されていると、従来技術における船首バルブにおける模型による水槽試験、数値実験及び設計方法等を、二重吹き出し(Point Doublet)の効果を発揮するバルブを有する干渉波発生部材に使用して、バルブを有する干渉波発生部材を設計することが容易にできるようになる。
あるいは、上記の船舶用の干渉波発生システムにおいて、前記干渉波発生装置が、前記船舶の周囲の水を吸引する吸込部を有して構成されていると、ウォータージェットの吸引部分、ポッド推進器の吸引部分などの吸込部として、吸込みの効果で発生する干渉波を利用できるようになる。
あるいは、上記の船舶用の干渉波発生システムにおいて、前記干渉波発生装置が、流体を吹出す吹出部を有して構成されていると、ウォータージェットの噴射部分、ポッド推進器の噴射部分などをこの吹出部として、吹き出しの効果で発生する干渉波を利用できるようになる。
あるいは、上記の船舶用の干渉波発生システムにおいて、前記干渉波発生装置が、前記船舶を推進する推進力の一部又は全部を発生する推進力発生装置を有して構成されていると、水を吸込んで噴射するウォータージェット推進装置や、水流を加速して後方に押し出すポッド推進器などの推進力発生装置を、この干渉波発生装置として利用できるようになる。
上記のバルブを有する干渉波発生部材を干渉波発生装置とする船舶用の干渉波発生システムにおいて、少なくとも、前記船舶が前進方向に航走しているときに、前記干渉波発生装置の干渉波発生源の上から見た位置が、前記曳波の波パターンにおける縦波の波頂線と横波の波頂線の交点の位置を中心とした、半径が前記船体没水部の最大船幅の4分の1である円の内部領域にあるように構成していると、干渉波発生装置の配置位置を簡便に設定することができる。なお、この縦波の波頂線と横波の波頂線の交点は、カスプライン上にあるカスプだけでなく、カスプラインよりも内側にできる交点を含む。
ここで、「干渉波発生装置」は干渉波を発生する装置のことを言い、「干渉波発生源」は、干渉波発生装置が発生する波のパターンの包絡線の交点、言い換えれば、波パターンの扇形の要に相当する頂点のこととして定義するものであり、仮想の波発生源である。
この設定方法は簡便な方法であるが、余裕のある場合には、さらに、干渉波発生装置を付けた船舶の模型の水槽試験等において、干渉波発生装置の配置位置を船体に対して前後方向と幅方向に少しずつ移動して、船舶全体としての曳波の低減効果又は船舶の造波抵抗の低減効果が最大となる配置位置を求めることが好ましい。
そして、上記の目的を達成するための船舶は、上記のいずれかの船舶用の干渉波発生システムを備えていることを特徴とする。この構成により、上記のそれぞれの船舶用の干渉波発生システムと同様の効果を発揮できる。
そして、上記の船舶において、前記船体没水部の後半部が、船舶の上下方向に関して、満載喫水線または計画喫水線より下側において、深さ方向の少なくとも50%の範囲において、連続的又は断続的に水線面形状の70%が対称翼の後半部の形状で形成されていると、言い換えれば、船体没水部の後半部の水線面形状の70%が対称翼の後半部の形状の70%と一致するように形成されていると、次のような効果を発揮できる。
この構成によれば、船体没水部の後半部の大半を対称翼の後半部の形状で形成するので、船尾側における流れを単純化でき、後方肩部及び船尾による波の発生を抑制できる。従って、船体没水部の後半部で発生する波のエネルギーを低減できるので、船舶用の干渉波発生システムお造波抵抗低減効果に加えて、船舶全体としての造波抵抗を大幅に減少することができる。
そして、上記の目的を達成するための船舶の曳波低減方法は、少なくとも船舶が前進方向に航走しているときに、前記船舶の両舷側に配置され、かつ、前記船舶の船体没水部の表面から離間した位置に配置された干渉波発生装置により、干渉波を発生して、前記干渉波を前記船体没水部が発生する曳波に干渉させることにより、前記船舶が発生する曳波のエネルギーを低減することを特徴とする船舶の曳波低減方法である。
あるいは、上記の目的を達成するための船舶の曳波低減方法は、上記のいずれかの船舶用の干渉波発生システムを用いて、前記船舶の曳波のエネルギーを低減することを特徴とする船舶の曳波低減方法である。
これらの船舶の曳波低減方法によれば、干渉波発生源から発生する干渉波を、船体没水部の全体で発生する自由波(曳波)に干渉させることにより、船舶から発生する曳波のエネルギーを低減することができる。
そして、上記の目的を達成するための船舶の造波抵抗減方法は、上記のいずれかの船舶の曳波低減方法を用いて、前記船舶の造波抵抗を低減することを特徴とする船舶の造波抵抗低減方法である。この方法によれば、上記のそれぞれの船舶の曳波低減方法と同様な効果を発揮でき、特に、後方に拡散する横波のエネルギーを低減することにより、造波抵抗を低減できる。
そして、上記の目的を達成するための船舶の改造方法は、上記のいずれかの船舶用の干渉波発生システムを既存の船舶に追加して設けることを特徴とする船舶の改造方法である。この方法によれば、上記のそれぞれの船舶の曳波低減方法と同様な効果を発揮でき、特に、後方に拡散する横波のエネルギーを低減することにより、造波抵抗を低減できる。
そして、上記の目的を達成するための船舶の設計方法は、上記のいずれかの船舶を設計する方法であって、対象とする船舶と対象とする条件を設定する対象条件設定ステップ(S10)と、前記対象条件設定ステップ(S10)で設定した対象条件の下で、前記船舶が発生する対象波の波特性を特定する対象波の波特性解析ステップ(S20)と、前記干渉波発生装置が発生する干渉波の波特性を設定する干渉波発生装置設定ステップ(S30)と、前記対象波の波特性解析ステップ(S20)で特定した前記対象波の波特性と、前記干渉波発生装置設定ステップ(S30)で設定した前記干渉波発生装置が発生する前記干渉波の波特性とを用いて、前記干渉波発生装置の前記船舶に対する配置位置を設定する配置位置設定ステップ(S40)を有することを特徴とする船舶の設計方法である。
この構成を有する船舶の設計方法では、船舶が発生する波の波特性に合わせて、類似の波特性を持つ波を発生する干渉波発生装置を選定又は設計でき、両者の波特性を用いて、干渉波発生装置の配置位置を最適化することにより、船舶が発生する自由波(曳波)に干渉波発生装置が発生する干渉波をより効果的に干渉させることができるようになる。従って、船舶で発生する曳波のエネルギーを小さくすることができる、船舶用の干渉波発生システムを備えた船舶を効率よく設計できる。
本発明の船舶用の干渉波発生システム、船舶、及び、船舶の曳波低減方法等によれば、船首部の形状を含めた船体の形状に関わらず、船体没水部が発生する曳波に対して、干渉波を発生させて干渉させることにより、曳波のエネルギーの低減効果を得ることができて、これにより、船舶の造波抵抗の低減効果を得ることができる。
図1は本発明の実施の形態の船舶を模式的に例示する図で、(a)は船舶の前半部を右舷側から見た側面図で、(b)は船舶の前半部を船底側から見た底面図で、(c)は船舶を前方から見た正面図である。 図2は本発明の第1の実施の形態の干渉波発生装置の第1の例を模式的に示す図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図3は本発明の第1の実施の形態の干渉波発生装置の第2の例を模式的に示す図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図4は本発明の第1の実施の形態の干渉波発生装置の第3の例を模式的に示す図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図5は本発明の第1の実施の形態の干渉波発生装置の第4の例を模式的に示す図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図6は本発明の第1の実施の形態の干渉波発生装置の第5の例を模式的に示す図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図7は本発明の第1の実施の形態の干渉波発生装置の第6の例を模式的に示す図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図8は本発明の第2の実施の形態の干渉波発生装置の第1の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図9は本発明の第2の実施の形態の干渉波発生装置の第2の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図10は本発明の第2の実施の形態の干渉波発生装置の第3の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図11は本発明の第2の実施の形態の干渉波発生装置における波特性を変化させる方式を模式的に例示する図で、(a)は吸込部の形状で波特性を変化させる方式で、(b)は吸込水路仕切壁を有する吸込部の形状で波特性を変化させる方式で、(c)は吸込部の分布で波特性を変化させる方式である。 図12は本発明の第2の実施の形態の干渉波発生装置で、吸込部毎に設けた吸込流量調整弁で波特性を変更する方式を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図13は本発明の第3の実施の形態の干渉波発生装置の第1の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図14は本発明の第3の実施の形態の干渉波発生装置の第2の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図15は本発明の第3の実施の形態の干渉波発生装置の第3の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図16は本発明の第3の実施の形態の干渉波発生装置における波特性を変化させる方式を模式的に例示する図で、(a)は吹出部の形状で波特性を変化させる方式で、(b)は吹出水路仕切壁を有する吹出部の形状で波特性を変化させる方式で、(c)は吹出の分布で波特性を変化させる方式である。 図17は本発明の第3の実施の形態の干渉波発生装置で、吹出部毎に設けた吹出流量調整弁で波特性を変更する方式を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図18は本発明の第4の実施の形態の干渉波発生装置の第1の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図19は本発明の第4の実施の形態の干渉波発生装置の第2の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図20は本発明の第4の実施の形態の干渉波発生装置の第3の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図21は本発明の第4の実施の形態の干渉波発生装置における波特性を変化させる方式を模式的に例示する図で、(a)は干渉波発生装置のデフレクタを回動する方式で、(b)はバケットを回動する方式である。 図22は本発明の第5の実施の形態の干渉波発生装置の第1の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図23は本発明の第5の実施の形態の干渉波発生装置の第2の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図24は本発明の第5の実施の形態の干渉波発生装置の第3の例を模式的に例示する図で、(a)は右舷側から見た側面図で、(b)は右舷側の底面図で、(c)は右舷側の正面図である。 図25は本発明の第5の実施の形態の干渉波発生装置における波特性を変更する方式を模式的に例示する図で、(a)は干渉波発生装置の本体を回動する方式で、(b)はダクトを回動する方式で、(c)はダクトの後流に配置した整流板を回動する方式である。 図26は干渉波発生装置における回動方式の収容機構を説明するための横断面図である。 図27は干渉波発生装置における転倒方式の収容機構を説明するための横断面図で、舷側の凹部との間の移動を示す図である。 図28は干渉波発生装置における転倒方式の収容機構の他の例を説明するための横断面図で、上甲板の上と間の移動を示す図である。 図29は干渉波発生装置における伸縮方式の格納機構を説明するための横断面図である。 図30は干渉波発生装置における昇降方式の格納機構を説明するための横断面図である。 図31は曳航式の干渉波発生装置の構成を示す模式的な図で、(a)は側面図で、(b)は平面図で、(c)は底面図で、(d)は正面図である。 図32は本発明の干渉波発生システムの設計方法の構成を例示するステップ図である。 図33は図32の「干渉波発生源設定ステップ」のより詳細な構成を例示するステップ図である。 図34は図32の「配置位置設定ステップ」のより詳細な構成を例示するステップ図である。 図35は第1の実施の形態の船舶を示す図で、干渉波発生システムを配置した船舶を模式的に示す平面図である。 図36は第1の実施の形態の船舶における第1の実施の形態の干渉波発生装置の配置位置の一例を模式的に示す平面図である。 図37は船舶の船首波系波と船尾系波に対する曳航式の干渉波発生装置の配置位置と波パターンとの比較の一例を模式的に示す平面図である。 図38は第2の実施の形態の船舶を示す図で、(a)は船体没水部の後半部を翼型形状で形成すると共に、第1の実施の形態の干渉波発生装置を配置した船舶を模式的に示す図で,(b)は、NACA0020翼の翼型形状を示す図である。 図39は航行速度12ノットのケルビン波の波パターンの大きさとVLCC、高速コンテナ船、護衛艦の大きさを模式的に例示する平面図である。 図40はVLCCにおける航行速度15.5ノットのケルビン波の波パターンの大きさとVLCCの大きさを模式的に例示する平面図である。 図41は高速コンテナ船における航行速度23.5ノットのケルビン波の波パターンの大きさと高速コンテナ船の大きさを模式的に例示する平面図である。 図42は護衛艦における航行速度30ノットのケルビン波の波パターンの大きさと護衛艦の大きさを模式的に例示する平面図である。 図43はケルビン波の波パターンを説明するための平面図である。 図44は船舶の曳波の対象波発生源と、干渉波の干渉波発生源との関係を説明するための平面図である。 図45は対象波と干渉波の波をケルビン波の波パターンで模した場合における、干渉波発生源を対象波発生源の波バターンの第1番目のカスプの位置に重ねた場合の波パターンを説明するための平面図である。 図46は対象波と干渉波の波をケルビン波の波パターンで模した場合における、干渉波発生源を対象波発生源の波バターンの縦波の位置に重ねた場合の波パターンを説明するための平面図である。 図47は対象波と干渉波の波をケルビン波の波パターンで模した場合における、干渉波発生源を対象波発生源の波バターンの横波の位置に重ねた場合の波パターンを説明するための平面図である。 図48は非特許文献5の「図―4 波のパターン」を書き変えた高速航行の船と低速航行の船の対象波の波パターンを例示する図である。 図49は非特許文献5の「図―7 船の波のエネルギー密度」を書き変えた対象波の波のエネルギー密度(波スペクトラム)を例示する図で、「A」は常用速度付近で、「B」と「C」は最高速度付近である。 図50は非特許文献6の「Fig.A-3」を書き変えた「連続吹き出し、点吹き出し、二重吹き出しの計算された波形状」を示す図である。 図51は理論船形と二重吹出しによる干渉を説明するための模式的な波形図である。 図52は理論船形と点吸込みによる干渉を説明するための模式的な波形図である。 図53は理論船形と点吹き出しによる干渉を説明するための模式的な波形図である。 図54は理論船形の波と同船型の波との間の干渉を説明するための模式的な波形図である。
〔イントロ及び図の概説〕以下、図面を参照して本発明に係る、船舶用の干渉波発生システム、船舶、船舶の曳波低減方法、船舶の造波抵抗低減方法、船舶の改造方法、船舶の設計方法の実施の形態について説明する。
最初に図面について説明する。図1は、干渉波発生システム10を備えた船舶1の実施の形態を示す図で、図2~図24は、干渉波発生装置20の実施の形態を示す図である。より詳細には、図1~図7は、二重吹き出し効果を持つ第1の実施の形態の干渉波発生装置20Aに関する図であり、図8~図12は、吸込み効果を持つ第2の実施の形態の干渉波発生装置20Bに関する図であり、図13~図17は、吹き出し効果を持つ第3の実施の形態の干渉波発生装置20Cに関する図である。また、図18~図21は、ウォータ-ジェット部27を用いた第4の実施の形態の干渉波発生装置20Dに関する図であり、図22~図25は、ポッド推進器28を用いた第5の実施の形態の干渉波発生装置20Eに関する図である。図26~図30は、干渉波発生装置の収容機構に関する図である。そして、図31は曳航式の干渉波発生装置に関する図である。
また、図32~図34は、船舶の設計方法S1の構成を示すステップ図である。図35~図38は、本発明の第1及び第2の実施の形態の船舶を示す図である。図39~図42は、実船と波パターンとの関係を例示する平面図である。より詳細には、図39は航行速度を制限されている航路での12ノットの波パターンと実船の大きさとの関係を模式的に示す平面図である。図40はVLCC(大型タンカー)、図41は高速コンテナ船、図42は護衛艦のそれぞれの航走速度における波パターンの大きさを模式的に示す平面図である。
図43~図47は、対象波の波パターンと干渉波の波パターンとの関係を基に、対象波と干渉波の干渉を説明するための波パターンの図である。図48は、高速と低速の波パターンを示す図で、図49は、波スペクトラム(波のエネルギー密度)を示す図で非特許文献5の図を書き変えた図である。図50は、非特許文献6の「Fig A-3」を書き変えたもので、数値的船型の波と、点吹き出しの波と、二重吹き出しの波とを示す図である。図51は二重吹き出し、図52は点吸込み、図53は点吹き出しのそれぞれの波と理論船型の波との干渉に関する波形図である。図54は、同型同大の三胴船における波の干渉に関する波形図である。
なお、ここで示す図面は本発明を説明するための概略図であり、必ずしも正確な寸法の比率で示されているものでもなく、また、必ずしも正確な位置を示しているものでもない。なお、符号「Lc」は船体中央断面を示す船体中央線であり、平面図と底面図、正面線図と背面図などでも同じ符号「Lc」を用いている。
〔用語の定義〕以下の説明に先立って、ここで用いる座標系と各用語(「船体没水部」、「対象波」、「対象波発生源」、「干渉波」、「干渉波発生装置」、「干渉波発生源」)について定義または説明をしておく。
まず、座標系として、船舶に固定した直交座標系として右手系のX-Y-Z座標系(船舶と共に移動する移動座標系)を採用し、X方向を「船舶の前後方向(以下、略して「前後方向」と言う)」とし、Y方向を「船舶の幅方向(以下、略して「幅方向」と言う)」とし、Z方向を「船舶の上下方向(以下、略して「上下方向」と言う)」とする。なお、ここでは方向を明確にするための補助として座標系を用いているので、座標系の原点は特に固定して論じる必要はないが、説明を簡略化するために座標系の原点を船舶1の重心位置としている。
「船体没水部(2)」は、対象とする船舶が、「対象条件(Ct)=対象とする載荷状態(St)と対象とする航行速度(Vst)」で航走しているときに没水している船体の部分のことと定義する。また、ここでは、船体没水部が航行しているときに発生する自由波を「対象波(Aw)」と定義する。
また、船体没水部では対象波を発生するが、この船体没水部は巨視的には点源で表現できるにしても、局所的には立体的な空間を占有する具体的な物体である。一方、「対象波発生源(Awp)」は、船体没水部が発生する波のパターンの包絡線の交点、言い換えれば、波パターンの扇形の要に相当する頂点のこととして定義するものであり、仮想の波発生源である。
「干渉波(Bw)」は、対象波に対して干渉により全体としての波(「合成波(Cw)」)を低減する波のことである」と定義する。この干渉波は、次に述べる「干渉波発生装置(20)」により発生する自由波である。
また、「干渉波発生装置(20A~20E:「20」を総称とする)」は干渉波を発生する装置のことを言い、巨視的には点源で表現できるにしても、局所的には立体的な空間を占有する具体的な物体である。一方、「干渉波発生源(Bwp)」は、干渉波発生装置が発生する波のパターンの包絡線の交点、言い換えれば、波パターンの扇形の要に相当する頂点のこととして定義するものであり、仮想の波発生源である。
一般的に、船体没水部の先端位置と対象波発生源の位置は一致しない。また、同様に、干渉波発生装置の先端位置と干渉波発生源の位置は一致しない。対象波発生源の位置は、船舶の模型船の水槽試験等で得られる対象波の波パターンから求められる。通常は、船体没水部の先端位置よりも対象波発生源の位置が前方になる。また、干渉波発生源の位置は、干渉波発生装置の模型の単独での水槽試験等で得られる干渉波の波パターンから求められる。そして、この干渉波発生源の位置と干渉波発生装置との位置との関係は、干渉波発生装置の種類により異なる。
〔本発明の対象〕そして、本発明が対象とする船舶に関しては、本発明では船舶から発生する曳波のエネルギーを低減することを第1の目的としているので、大型タンカーや大型鉱石運搬船などの比較的低速の船舶等の排水量型の船舶だけでなく、コンテナ船や大型フェリーや艦艇等の比較的高速の船舶や、その他の水中翼型の船舶や滑走型の船舶も対象となる。また、単胴船だけでなく、双胴船や三胴船等の多胴船等にも適用できる。
また、本発明は、船舶に干渉波発生システムを加えることで、曳波のエネルギーを低減する効果により、造波抵抗の低減効果を発揮することを第2の目的としている。この干渉波発生システムは、船首バルブの代わりにもなる得るシステムであるので、対象とする船舶の船首部の形状は船首バルブの有無を問わない。
従って、対象となる船舶の船首部の形状は、「バルバスバウ」以外の「垂直艦首」、「クリッパー・バウ」、「アトランチック・バウ」、「ダブルカーブド・バウ」、「スプーン(カッター)・バウ」等の船首形状であってもよい。言い換えれば、本発明の干渉波発生システムを採用することにより、これらの船首部の形状も採用できるようになる。
〔本発明が対象とする対象波〕次に、本発明が対象とする対象波について説明する。船舶は一般的には、前後の細長く形成され、船首部と船体中央平行部と船尾部で形成されている。船体没水部で発生する波は、船体断面積が急激に変化する部分、特に、船首、船首部から船体中央平行部に移行する船首肩部、船首部から船体中央平行部から船尾に移行する船尾肩部、船尾の4か所の部分で発生する波の影響が大きく、これらの波が合成された複雑な波系を発生している。なお、船首部と船尾部で発生する波に比べて、前方肩部と後方肩部で発生する波は比較的小さいとされている。
これらの波系の一部が自由波となり外部に伝搬することにより、船舶の航走に伴うエネルギー損失が起こり、造波抵抗と呼ばれる抵抗成分の主要部分となる。これらの波のうちで、本発明が対象とする対象波は、通常は、船体没水部の全体で発生する船首系波と船尾系波の両方を含んだ自由波であるが、必要に応じて、船体没水部の前半部で発生する船首系波の自由波のみとしてもよい。なお、船首では、自由波による造波抵抗の他にも、砕波等の局所波による抵抗、スプレー抵抗等の抵抗成分がある。
〔干渉波発生システム〕そして、最初に、図1~図34を参照しながら、本発明の実施の形態の船舶用の干渉波発生システム(以下、略して「干渉波発生システム」とする)10について説明する。この干渉波発生システム10は、航走時に曳波(対象波)Awを発生する船舶1において、少なくとも船舶1が前進方向に航走しているときに、船舶1の船体没水部2が発生する曳波Awに対して、曳波Awのエネルギーを低減するための干渉波Bwを発生する干渉波発生装置20を有するとともに、この干渉波発生装置20を、船舶1の両舷側の位置で、かつ、船体没水部2の表面から離間した位置に配置することを特徴とするシステムである。
なお、この「離間した位置に配置」とは、船体没水部2における膨出構造や突出構造を排除する意味であり、船体没水部2の外部を流れる水(海水等)が船体没水部2と干渉波発生装置20の間を流れる構造である。つまり、船体没水部2の表面と干渉波を干渉波発生装置20の発生する部分との間に離間距離Sを有して構成されることであり、干渉波発生装置20は船体没水部2とが連続した形状、言い換えれば、一体的な構造になっていないということである。なお、干渉波発生装置20が支持装置30を介して船体没水部2に接続することは、ここでは「離間した位置に配置している」ことに含まれる。また、この支持装置30の一部が干渉波Bwの一部を発生することを妨げるものではない。
この干渉波発生システム10は、図1に示すように、干渉波発生装置20と、干渉波発生装置20を支持する支持装置30と、干渉波発生装置20を移動する移動システム40とを有して構成される。
そして、本発明の第1の実施の形態の干渉波発生装置20Aは、バルブを有する干渉波発生部材21を有して構成される。また、本発明の第2の実施の形態の干渉波発生装置20Bは、船舶1の周囲の水Wを吸引する吸込部を有して構成される。また、本発明の第3の実施の形態の干渉波発生装置20Cは、流体を吹出す吹出部を有して構成される。そして、本発明の第4の実施の形態の干渉波発生装置20Dは、ウォータージェット推進装置の推進力発生装置を有して構成され、本発明の第5の実施の形態の干渉波発生装置20Eは、ポッド推進器の推進力発生装置を有して構成される。
そして、この干渉波発生装置20は、船舶の前進方向Xに平行な平面Lpに対して非対称の形状に形成して、船舶1の船体没水部2に対して反対側になる方向に発生する干渉波発生装置20の外側干渉波Bwaのエネルギーが、船体没水部2の側になる方向に発生する内側干渉波Bwbのエネルギーよりも大きくなるように構成する。
このように構成する理由は、干渉波発生装置20を船体没水部2の船体表面から離間距離Sを有して水没状態又は半没状態で両舷側に配置したときに、干渉波発生装置20で発生する干渉波Bwを除いて考えた場合には、船体没水部2で発生する対象波Awが、干渉波発生装置20に到達したときに、対象波Awのほとんどの部分は干渉波発生装置20の外側に伝搬していく透過波Awaとなるが、対象波Awの一部は干渉波発生装置20によって反射される反射波Awbとなる。通常は、反射波Awbよりも、透過波Awaの方が大きくなるため、透過波Awaに干渉させる干渉波発生装置20の外側干渉波Bwaのエネルギーを、透過波Awaに干渉させる内側干渉波Bwbのエネルギーより大きくなるように構成する。
〔第1の実施の形態〕そして、第1の実施の形態の干渉波発生装置20Aは、バルブを有する干渉波発生部材21を有して構成される。この干渉波発生部材21が発揮する二重吹き出しの効果では、参考までに図51の波形図で示すように、逆位相(βaの位相差が約180°)の干渉波Bwを発生するので、船舶の対象波Awの対象波発生源Awpと干渉波発生装置20Aの干渉波Bwの干渉波発生源Bwpを重ねることで、最も効率よく干渉させることができて消波できる。この干渉波発生源Bwpを対象波発生源Awpに重ねる構成が船首バルブである。
この船首バルブの配置に対して、本発明では、干渉波発生装置20Aを、船舶1の両舷側の位置で、かつ、船体没水部2の表面から離間した位置に配置する。そして、この配置位置を、干渉により対象波Awを効率よく低減できる位置とする。
図2~図7に示すように、この干渉波発生部材21は、外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bとで形成されている。これらの外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bは、それぞれが、船首バルブと同様な形状、例えば、球状バルブや長突出薄バルブの半体を合わせた形状と略同様な形状に形成されている。なお、この内側半バルブ体21bは省力される場合もある。
また、見方を変えれば、干渉波発生部材21は、バルブ部21cと尾部21dで形成されている。このバルブ部21cは、「二重吹き出し」の効果を発揮する部分で、船舶1が発生する対象波Awに対する干渉波Bwを発生する部分である。一方、尾部21dは、バルブ部21cに沿って流れてくる水の流れを整流してから、干渉波発生部材21の後方に流出させる部分である。この尾部21dを設けることにより、バルブ部21cの後方で水の流れが剥離したり、死水領域が発生したりするのを防止して、バルブ部21cの圧力抵抗を減少する。なお、バルブ部21cと尾部21dとの境界は必ずしも明確である必要はなく、干渉波発生部材21の周囲の水の流れが円滑に流れるように、連続的に変化する形状とすることが好ましい。
そして、この干渉波発生部材21は、図2に示す第1の例では、上下方向Zに略相似形で形成され、上下方向Zに延びて形成されている。この構成では、干渉波発生部材21自体が垂直支持部材31Aを兼ねている。また、図3に示す第2の例では、干渉波発生部材21を長突出薄バルブと略同様な形状で形成し、水没させて、垂直支持部材31Aで支持している。また、図4に示す第3の例では、干渉波発生部材21を前進方向に平行な面Lpの両側に2つの球状バルブの半体を合わせた形状で形成し、水没させて、水平支持部材31Bで支持している。
また、図5に示す第4の例では、船舶1の前進方向に平行になるように仕切部材23を設けて、仕切部材23の各面に外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bを設けている。また、図6に示す第5の例では、外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bとが一体で形成されている干渉波発生部材21の周囲に仕切部材23を設けて、外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bを区画している。また、図7に示す第6の例では、仕切部材23の外側面に外側半バルブ体21aのみを設けている。言い換えれば、内側半バルブ体21bを省いて、外側半バルブ体21aのみで干渉波発生部材21を形成している。
次に、干渉波発生部材21の非対称性について説明する。仮に、図2~図4に示す第1例から第3例のように、外側半バルブ体(外側半バルブ+外側半尾部)21aの内側面(船体側の面)を前進方向に平行な面Lpで形成した場合には、言い換えれば、内側半バルブ体(内側半バルブ+内側半尾部)21bを省いた形状にした場合には、外側半バルブ体21aから前進方向に平行な面Lpへの流れが剥離し易くなり、渦流が発生したりして、圧力抵抗が増加する。そのため、内側半バルブ体21bに相当する部分を設けて、干渉波発生装置20Aの圧力抵抗を減少することが必要になる。
しかしながら、この内側半バルブ体21bから船体没水部2の側への干渉波が発生してしまうので、この内側への干渉波を干渉波発生装置20Aで反射する反射波Awbに干渉する内側干渉波Bwbとして用いる。つまり、干渉波発生装置20Aの外側に伝搬していく船首系波(ここでは船尾系波Awgを含まない船首系波)Awfの透過波Awaと船尾系波Awgとが含まれる外側対象波Awtは、外側半バルブ体21aで発生する干渉波発生装置20Aの外側干渉波Bwaで干渉させることで低減させる。また、干渉波発生装置20Aで反射されて船体没水部2の側に伝搬していく船首系波Awfの反射波Awbは、内側半バルブ体21bで発生する内側干渉波Bwbで干渉させることで、対象波(船尾系波Awgも含む)Awの全体を低減させる。
上記を考慮して、干渉波発生装置20Aの外側干渉波Bwaのエネルギーが、内側干渉波Bwbのエネルギーよりも大きくなるようにするために、干渉波発生部材21を前進方向に平行な面Lpに対して、船体没水部2とは反対側になる部分に配置された外側半バルブ体21aと、船体没水部2側になる部分に配置された内側半バルブ体21bとで構成し、外側半バルブ体21aの容積を、内側半バルブ体21bの容積よりも大きく構成する。これにより、船首系波Awfの反射波Awbに対しては、内側半バルブ体21bで発生する内側干渉波Bwbで干渉させ、残りの外側対象波Awtに対しては、外側半バルブ体21aで発生する干渉波発生装置20Aの外側干渉波Bwaで干渉させる。
また、外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bのバルブの形状と大きさは、同じような船舶で船首バルブを持つ船舶が有る場合には、その船首バルブの形状や大きさが参考になる。つまり、船首バルブを設ける条件と同じ条件においては、船首バルブが無い船舶1に対して干渉波発生部材21を配置する場合には、外側半バルブ体21aのバルブ部分の大きさは船首バルブの半分程度の大きさと推定でき、船首バルブが付いている船舶1に対して干渉波発生部材21を配置する場合には、外側半バルブ体21aのバルブ部分の大きさは船首バルブよりも相当小さくて済むと考えられる。
〔干渉波発生部材の波特性〕この干渉波発生部材21の形状を変化させることにより、干渉波発生部材21の進行により発生する波パターン(例えば、図48参照)と、干渉波発生部材21から伝搬する方向θにおける干渉波の素成波Bw(θ)の波のエネルギー密度(波スペクトラム:例えば、図49参照))を変化させることができる。また、干渉波発生部材21の大きさの変化、又は没水深度の変更により、干渉波の素成波Bw(θ)の波のエネルギー(波の振幅の大きさ)を変化させることができる。そして、このバルブを有する干渉波発生部材21の形状とその大きさとその配置位置は、後述する「干渉波発生システムの設計方法」で決定することができる。
以下、より詳細に、この干渉波Bwの波のエネルギーの増減について説明する。先ず、干渉波発生装置20Aの第1の例(図2参照)のように柱状の構成をしている場合について説明する。この場合には、干渉波発生装置20Aを船体没水部2に対して上下方向Zを固定して配置した構成であっても、船舶1の載荷状態が軽荷状態から満載状態になって船体没水部2の没水容積が増加して、船体没水部2で発生する対象波Awのエネルギーが大きくなると、干渉波発生部材21も水没するので、略同じ形状のバルブ部分の水没部分が増加して、干渉波Bwのエネルギーが大きくなる。そのため、干渉波発生部材21を船体没水部2に対して上下方向Zに移動させなくても曳波を効果的に低減し続けることができる。
この柱状の構成では、船舶1の載荷状態が変化しても、船体没水部2が発生する対象波Awの波スペクトラムの形状が大きく変化せずに、対象波Awのエネルギーの大きさが大きく変化する船型に対しては、上下方向Zに関して水平断面は略同じ形状のままで形成した干渉波発生部材21で対応する。
一方、船舶1の載荷状態が変化すると、船体没水部2が発生する対象波Awの波スペクトラムの形状が大きく変化する船型、例えば、船首バルブ付き船型に対しては、それぞれの載荷状態における波スペクトラムに対応できるように、干渉波発生部材21の水平断面を上下方向Zに関して変化させて形成した干渉波発生装置20Aで対応する。
干渉波発生装置20Aの第2の例(図3参照)のような垂直支持部材31Aで支持する半没の構成をしている場合について説明する。この構成で、干渉波発生部材21を船体没水部2に対して上下方向Zを固定して配置した場合に、船舶1の載荷状態が軽荷状態から満載状態になったときには、干渉波発生部材21の水没深度が深くなり、発生する干渉波Bwのエネルギーが小さくなる。この構成では、水没量が増加する垂直支持部材31Aの部分で、干渉波Bwのエネルギーを大きくすることができるが、第1の例に比べれば不十分となる。従って、この第2の例の半没の構成は、船舶1の載荷状態の変化が比較的少ない船舶に向いている。なお、干渉波発生部材21を上下方向Zに移動可能に構成することで、船舶1における多少の載荷状態の変化に対して対応できる。
干渉波発生装置20Aの第3の例(図4参照)のように水平支持部材31Bで支持する全没の構成について説明する。この構成で、干渉波発生部材21を船体没水部2に対して上下方向Zを固定して配置した場合に、船舶1の載荷状態が軽荷状態から満載状態になって船体没水部2で発生する対象波Awのエネルギーが大きくなったときには、水面を貫通する部分が無い上に、干渉波発生部材21の水没深度が深くなり、発生する干渉波Bwのエネルギーが小さくなるので、対応が非常に難しくなる。従って、この第3の形状は、船舶1の載荷状態の変化が少ない船舶に向いている。なお、船舶1における多少の載荷状態の変化に対しては、干渉波発生部材21を移動可能に構成して、上下方向Zに移動することで対応できる。
〔仕切部材〕そして、干渉波発生装置20Aによる船首系波Awfの透過波Awaと反射波Awbの分離とその割合の推定が困難であったり、船舶の載荷状態や航走速度によって比較的大きな変化したりして、前進方向に平行な面Lpに対して面対称でない干渉波発生部材21では十分に干渉しきれない場合には、図5~図7に示すように、干渉波発生装置20Aに、船首系波Awfの一部を反射する仕切部材23を設ける。
この仕切部材23の第1の役割は、外側半バルブ体21aで発生する干渉波発生装置20Aの外側干渉波Bwaが仕切部材23の船体没水部2の側(「内側」という)に及ぼす影響を少なくすることである。また、第2の役割は、仕切部材23の内側に、反射する反射波Awbの大きさを調整可能とすると共に、反射波Awbの波パターンを特定し易くすることにある。
そして、第3の役割は、船体没水部2と反対側(「外側」という)への干渉波発生装置20Aの外側干渉波Bwaと、内側への内側干渉波Bwbとを分離して考えることができるようにすることである。これにより、内側半バルブ体21bで発生させる内側干渉波Bwbの大きさと波パターンと特定し易くして、内側半バルブ体21bを設計し易くすることができる。
そして、この仕切部材23は、先端も後端も含めて、構成部分を剥離や渦を発生し難い形状にして、抵抗の増加をできるだけ小さくする。そのため、仕切部材23は完全な平面で形成するよりも、薄翼形状などで形成するのが好ましい。
次に、仕切部材23を有する第4~第6の例について説明する。図5に示す第4の例では、外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bとをそれぞれ独立して構成する。この第4の例では、外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bを個別に設計することができ、干渉波発生装置20Aで反射する反射波Awbに対して、より適切な内側半バルブ体21bを提供できる。
また、図6に示す第5の例では、外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bとは一体の干渉波発生部材21で形成し、この干渉波発生部材21の周囲を仕切部材23で仕切ることにより、外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bの機能を持たせている。この第5の例では、既にある第1~第3の例の干渉波発生装置20Aを用いて、それに仕切部材23を加えることで、反射波Awbに対して対応するものであり、比較的簡便に設計及び製造できる。
そして、図7に示す第6の例では、内側半バルブ体21bを最初から省いた構成にして、反射波Awbの影響は無視する構成となる。この第6の例では、仕切部材23の内側になる部分は何も配置せずに、仕切部材23の形状を剥離や死水領域が発生しない程度の流線型形状とする。対象波Awの波の影響がある深度よりも喫水が深い船舶1においては、反射波Awbの影響は小さいと考えられる。そのため、この第6の例は、非常に簡便に設計及び製造できる。
〔第2の実施の形態〕そして、図8~図12に示す第2の実施の形態の干渉波発生装置20Bは、船舶1の周囲の水Wを吸引する吸込部24を有して構成される。この吸込部24が発揮する吸込みの効果では、図52に参考で示すように、βaの位相差(約90°)の干渉波Bwを発生するので、船舶の対象波Awの対象波発生源Awpに対して、干渉波発生装置20Bの干渉波Bwの干渉波発生源Bwpを位相差βaだけ前方に配置すると最も効率よく干渉により消波できることになる。
これを考慮しつつ、本発明では、干渉波発生装置20Bを、船舶1の両舷側の位置で、かつ、船体没水部2の表面から離間した位置に配置する。そして、この配置位置を、干渉により対象波Awを効率よく低減できる位置とする。
この干渉波発生装置20Bにおいては、図8に示す第1の例では、外側吸込部24aと内側吸込部24bを有して構成され、図9に示す第2の例では、一つの吸込部24に仕切部材23を設けて構成され、図10に示す第3の例では、内側吸込部24bを省いて、仕切部材23の外側だけに外側吸込部24aを設けて構成されている。
そして、干渉波発生装置20Bで発生する干渉波Bwの波スペクトラムと波パターンの波特性に関しては、図11(a)に示すような吸込部24の形状の変化により、また、図11(b)に示すような、吸込水路仕切壁24d付きの吸込部24の形状の変化により、また、図11(c)に示すような吸込部24の分布の変化等により波特性を変化させて、対象波Awの波特性に対応させることができる。さらに、図12に示すように、吸込部24の水路に吸込流量調整弁24eを設けて、吸込部24における吸込量を変化させることにより、干渉波発生装置20Bで発生する干渉波Bwの波特性を限定された範囲内ではあるが、船舶1の航行中に変更することができる。
この干渉波発生装置20Bは、吸込部24(外側吸込部24a、内側吸込部24bを含む)から船体没水部2の周囲の水Wを吸込むことで、吸込みの効果で干渉波Bwを発生する。そのためには、正面の吸込部24では、船舶1の船速Vsよりも早い流速で水Wを吸い込む必要がある。
この吸込部24から吸込んだ水Wは、水路25(図8~図10、図12参照)では、垂直支持部材31Aの内部に配置)を通って一旦船内に吸込まれる。この吸込んだ水Wの処理は特に限定されないが、船外に噴射されて船舶1の推進力を発生する用途やエンジンや排気ガスを冷却する用途に使用する。例えば、ウォータージェット推進装置の吸込装置として、吸込部24を兼用する。なお、吸込部24には保護格子24c等を設けて、浮遊物などを吸込まないようにする。
〔第3の実施の形態〕そして、図13~図17に示すように、第3の実施の形態の干渉波発生装置20Cは、流体を吹出す吹出部26を有して構成される。この吹出部26が発揮する吹き出しの効果では、図53に参考で示すように、βaの位相差(約270°:約-90°)の干渉波Bwを発生するので、船舶の対象波Awの対象波発生源Awpに対して、干渉波発生装置20Aの干渉波Bwの干渉波発生源Bwpを位相差βaだけ後方に配置すると最も効率よく干渉により消波できる。
これを考慮しつつ、本発明では、干渉波発生装置20Cを、船舶1の両舷側の位置で、かつ、船体没水部2の表面から離間した位置に配置する。そして、この配置位置を、干渉により対象波Awを効率よく低減できる位置とする。
この干渉波発生装置20Cにおいては、図13に示す第1の例では、外側吹出部26aと内側吹出部26bを有して構成され、図14に示す第2の例では、一つの吹出部26に仕切部材23を設けて構成され、図15に示す第3の例では、内側吹出部26bを省いて、仕切部材23の外側だけに外側吹出部26aを設けて構成されている。
そして、干渉波発生装置20Cで発生する干渉波Bwの波スペクトラムと波パターンの波特性に関しては、図16(a)に示すような吹出部26の形状の変化により、また、図16(b)に示すような、吹出水路仕切壁26d付きの吹出部26の形状の変化により、また、図16(c)に示すような吹出部26の分布の変化等により波特性を変化させて、対象波Awの波特性に対応させることができる。さらに、図17に示すように、吹出部26の水路に吹出流量調整弁26eを設けて、吹出部26における吹出量を変化させることにより、干渉波発生装置20Cで発生する干渉波Bwの波特性を限定された範囲内ではあるが、船舶1の航行中に変更することができる。
この干渉波発生装置20Cは、吹出部26(外側吹出部26a、内側吹出部26bを含む)から船体没水部2の周囲に流体(水W等)を吹出すことで、吹出しの効果で干渉波Bwを発生する。そのためには、船舶1の船速Vsよりも早い流速で水Wを吹出す必要がある。
この吹出部26から吹出す流体は、水路25(図13~図15、図17参照)では、垂直支持部材31Aや水平支持部材31Bの内部に配置)を通って船内から吹出部26に送り込まれる。この流体は特に限定されないが、エンジンからの排気ガス、エンジンからの水蒸気等の気体や、エンジンからの冷却水等の液体で構成される。例えば、ウォータージェット推進装置における噴射部分として、吹出部26を兼用してもよい。
〔第4の実施の形態〕そして、図18~図21に示すように、第4の実施の形態の干渉波発生装置20Dは、高速船や水上バイク(水上オートバイ)等で使用されているウォータージェット部(推進力発生装置)27を有して構成される。図18に示す第1の例では、このウォータージェット部27は、外側ウォータージェット部27aと内側ウォータージェット部27bを有して構成される。また、図19に示す第2の例では、一つのウォータージェット部27に仕切部材23を設けて構成され、図20に示す第3の例では、内側ウォータージェット部27bを省いて、仕切部材23の外側だけに外側ウォータージェット部27aを設けて構成されている。
これを考慮しつつ、本発明では、干渉波発生装置20Dを、船舶1の両舷側の位置で、かつ、船体没水部2の表面から離間した位置に配置する。そして、この配置位置を、干渉により対象波Awを効率よく低減できる位置とする。
この干渉波発生装置20Dは、ウォータージェット部27(外側ウォータージェット部27a、内側ウォータージェット部27bを含む)の前部に設けた吸込口から船体没水部2の周囲から水Wを吸い込むことで吸込み効果により干渉波Bwの一部を発生し、この水Wを後部に設けた噴射口から噴射することで、吹出しの効果で干渉波Bwの一部を発生する。なお、従来技術のウォータージェット推進装置では、船底に設けた吸込口から水を吸引しているが、本発明では船底に相当する部分がないので、吸込口を前方に向けて構成したり、下側に向けて構成したりする。
この干渉波発生装置20Dでは、吸込口と噴射口との間にポンプ27cを配置する必要があるので、距離を取って、吸込口と噴射口を配置することができる。従って、前後方向Xに関して、最も効果的に干渉させることができる位置に吸込口と噴射口を配置することができる。この干渉波発生装置20Dでは、干渉波Bwと、船舶1の推進力の一部を発生できる。
また、吸込口の没水深度を深くして干渉波Bwの発生量を減少すれば、没水深度が浅い噴射口で発生する干渉波Bwが主流となり、第3の干渉波発生装置20Cと同様な吹き出しの効果を発揮する装置となる。一方、噴射口の没水深度を深くして干渉波Bwの発生量を減少すれば、没水深度が浅い吸込口で発生する干渉波Bwが主流となり、第2の干渉波発生装置20Bと同様な吸込みの効果を発揮する装置となる。
そして、干渉波発生装置20Dで発生する干渉波Bwの波スペクトラムと波パターンの波特性に関しては、図21に示すように噴射方向を変化させることで、波特性を変化させることができる。より詳細には、図21(a)に示すように、デフレクタ(水流偏向機構)27dの方向の変化で噴射方向を変化させたり、また、図21(b)に示すように、リバースバケット等のバスケット27eによる噴射口の覆い量の変化で噴射方向を変化させたりする。これらにより、船舶1の航行中であっても、この噴射方向に関しての噴射流の分布の変更等により波特性を変化させて、対象波Awの波特性に対応させることができる。特に、デフレクタ27dの整流板の数の増加と個別制御により、より細かい波特性の変更が可能となる。
〔第5の実施の形態〕そして、図22~図25に示すように、第5の実施の形態の干渉波発生装置20Eは、ポッド推進器(推進力発生装置)28を有して構成される。図22に示す第1の例では、このポッド推進器28は、外側ポッド推進器28aと内側ポッド推進器28bを有して構成される。また、図23に示す第2の例では、一つのポッド推進器28に仕切部材23を設けて構成され、図24に示す第3の例では、内側ポッド推進器28bを省いて、仕切部材23の外側だけに外側ポッド推進器28aを設けて構成される。
この干渉波発生装置20Eは、ポッド推進器28(外側ポッド推進器28a、内側ポッド推進器28bを含む)のプロペラ29で周囲の水Wを後方に押し出すことにより、干渉波Bwを発生する。なお、このプロペラ29には、図23に示すように、ダクト29aを設けて、プロペラ後流を整流して、干渉波Bwの波パターンを整えるようにしてもよい。特に、図23に示すように、仕切部材23を設けて内側干渉波Bwbを発生する場合には、プロペラ後流の流量が調整し易くなる。
この干渉波発生装置20Eは、電動機を内臓した装置でポッド推進器28を構成すると、配置位置の移動が容易となると共に、プロペラ29の回転数の制御が容易となり、干渉波Bwのエネルギーの大きさの調整が比較的容易となる。さらに、既存のポッド推進器を用いたり、多量に製造できる規格化したポッド推進器を用いたりすることができ、製造コストを抑制できる。また、この干渉波発生装置20Eでは、干渉波発生装置20Dと同様に、干渉波Bwと推進力の一部を発生できる。
そして、干渉波発生装置20Eで発生する干渉波Bwの波スペクトラムと波パターンの波特性に関しては、図25に示すように、プロペラ後流の方向を変化させることにより、波特性を変化さえることができる。より詳細には、図25(a)に示すように、ポッド推進器28を旋回させることで噴射方向を変化したり、また、図25(b)に示すように、ダクト29aの方向の変化で噴射方向を変化したり、図25(c)に示すように、ダクト29aの後方に配置した整流板29bの方向の変化で噴射方向を変化したりする。これらにより、船舶1の航行中であっても、この噴射方向に関しての噴射流の分布の変更等により波特性を変化させて、対象波Awの波特性に対応させることができる。
〔干渉波のエネルギーの大きさの調整〕そして、これらの干渉波発生装置20が発生する干渉波Bwの波のエネルギー、言い換えれば振幅の大きさは、没水深度、形状、没水容積、吸込流量、吹出流量、推進力等の特性に影響される。一般的には、没水深度が浅く水面に近い程、また、干渉波発生装置20の没水容積、吸込流量、吹出流量、推進力が大きい程、発生する干渉波Bwのエネルギーが大きくなる。従って、これらの特性を、対象波Awの波のエネルギーに対して、干渉波Bwの波のエネルギーが略同等になる設定することで、効率よく対象波Awの波のエネルギーを低減できる。
次に、干渉波発生装置20で、干渉波Bwの発生部分を全没させる構成について説明する。この構成では、干渉波発生装置20を船体没水部2に対して固定して構成すると、載荷状態が軽荷状態から満載状態に変化して喫水が増加して対象波Awのエネルギーの大きさが増加したときに、干渉波発生装置20の没水深度が増加して、干渉波Bwのエネルギーの大きさが小さくなってしまう。そのため、干渉波Bwにおける多少のエネルギーの大きさは、干渉波発生装置20の吸込流量、吹出流量、推進力等の特性を変化させることでも対応は可能であるが、干渉波発生装置20の没水深度を変更できるように上下方向Zに移動可能に構成することが好ましい。
この全没タイプの干渉波発生装置20においては、干渉波Bwを効率よく発生させるためには、水面に近い位置に設けることがより効果的である。一方で、航行時に水Waと共に空気を吸い込むと、吸引効率が悪化したり、吸引流速と吸引水量の調整が難しくなったりする。また、噴射部は水上にあってもよいが、プロペラ29も水面に露出すると推進効率が悪化する。従って、これらの干渉波発生装置20は、噴射部分を除いて、船舶1の航行姿勢や航行時の水面の状態や航行水域の波浪状態等に合わせて、常に水没状態となる水深に設けることが好ましい。
また、全没タイプの干渉波発生装置20を上下方向Zに複数基配置して、船舶1の載荷状態によって、水没している干渉波発生装置20の内から幾つかを選択して稼働させることで、干渉波Bwのエネルギーの大きさを調整することも考えられる。例えば、上側の干渉波発生装置20が発生する干渉波Bwのエネルギーを下側の干渉波発生装置20が発生する干渉波Bwのエネルギーよりも大きく構成して、船舶の喫水が増加して対象波Awのエネルギーが増加したときに、下側の干渉波発生装置20を停止して、水没した上側の干渉波発生装置20を稼働させる。あるいは、発生する干渉波Bwのエネルギーが小さい干渉波発生装置20を上側に配置して、船舶の喫水が増加して対象波Awのエネルギーが増加したときに、下側の干渉波発生装置20に加えて、水没した上側の干渉波発生装置20を稼働させる。
また、全没タイプの干渉波発生装置20を複数基集めて配置して、船舶1の載荷状態によって、水没している干渉波発生装置20の内から幾つかを選択して稼働させることで、干渉波Bwのエネルギーの大きさを調整する。例えば、船舶1の喫水が増加して対象波Awのエネルギーが増加したときに、稼働する干渉波発生装置20の基数を増加することで、発生する干渉波Bwのエネルギーを大きくする。
〔支持装置〕次に支持装置30について説明する。この支持装置30においては、支持方向から垂直支持部材31A、水平支持部材31B、斜め支持部材31Cが考えられる。この垂直支持部材31Aを伸縮可能に構成することで、干渉波発生装置20の没水深度を変更できるようになる。また、水平支持部材31Bを伸縮可能に構成することで、干渉波発生装置20と船体没水部2との離間距離を変更できるようになる。また、斜め支持部材31Cを伸縮可能に構成することで、干渉波発生装置20の没水深度と、干渉波発生装置20と船体没水部2との離間距離を同時に変更できるようになる。
また、支持装置30の水没部分に、干渉波発生装置20の重量を相殺する浮力又は揚力又は沈下力を持たせることで、干渉波発生装置20の設置及び移動に伴う船体の姿勢への影響を小さくすることができる。
その一方で、垂直支持部材31Aの水面を貫通する部分に浮力を持たせると、船舶が横揺れ(ロール)または横傾斜(ヒール)したときに、復原力を発生できるようになり、横揺れ安定性を増加できるというメリットがある。一方、既に就航している既存の船舶に追加する場合には、垂直支持部材31Aで発生する復原力は、設計外の復原力となるので、垂直支持部材31Aによる復原力の発生を排除する場合には、垂直支持部材31Aの内部にバラストタンクを設けて、垂直支持部材31Aの浮力を中立にすることで復原力が発生しないようにすることができる。
また、水没部分を有する垂直支持部材31Aを用いる場合には、副次的な効果として、垂直支持部材31Aの水没部分における水平断面の形状や、水没部分に設けたフラットなどにより、旋回モーメントを発生できるように構成することで、針路保持性能や旋回性能を向上させることができる。
また、水没部分を有する水平支持部材31Bを用いる場合には、副次的な効果として、水平支持部材31Bの垂直断面の形状や、フラットなどにより、トリムモーメント(ピッチモーメント)を発生できるように構成することで、姿勢(トリム)維持性能やピッチング抑制性能を向上させることができる。
なお、水没部分を有する斜め支持部材31Cを用いる場合には、副次的な効果として、垂直支持部材31Aと水平支持部材31Bの効果を発揮できるが、効果的な断面形状の決定やフラットの制御がやや複雑になる。
〔干渉波発生装置の移動〕そして、干渉波発生システム10において、干渉波発生装置20が、船舶の前後方向X、船舶の幅方向Y、船舶の上下方向Zの少なくとも一方において移動可能に構成される。これにより、船舶1の船速Vsの変化による自由波Awの山谷(位相)の位置の変化に対応できるようになる。
より詳細には、船舶1で発生する対象波Awの波長が船速Vsの2乗に比例して変化するので、対象波Awの山谷(位相)の位置が船舶1に対して変化する。この変化に対して、干渉波発生装置20の配置位置を移動して、干渉波Bwの山谷(位相)の位置を移動できるので、追従できるようになる。また、船舶1の載荷状況に従って船体没水部2の容積が変化し、船体没水部2で発生する対象波Awのエネルギーの大きさが変化するが、この変化に対して、干渉波発生装置20を上下方向Zに移動することで、干渉波発生装置20で発生する干渉波Bwのエネルギーをある程度であるが変化させて、対応できるようになる。
〔干渉波発生装置の収容〕また、干渉波発生システム10において、干渉波発生装置20が、船舶1の船体内部又は上甲板3又は上甲板3より上方に収容可能に構成する。これにより、船舶の接岸作業や曳船による曳航作業等の邪魔にならないようにすることができる。
〔収容方式〕この収容方式としては、干渉波発生装置20を船舶1の側面の一部に上から回動させて横に位置するような回動方式、干渉波発生装置20の支持部材31(31A~31C)を折って船舶1の凹部または上甲板の上に移動させる転倒方式、船舶1の側面の一部から干渉波発生装置20を側方に伸縮する伸縮方式、上甲板より降ろす昇降方式、その他の方法等様々な方式を用いることができる。
〔収容の移動面〕また、図26~図30に例示するように干渉波発生装置20を横断面内(Y-Z面内)で移動させる構成としてもよく、縦断面内(Z-X面内)で干渉波発生装置20を移動させる構成としてもよく、水平面内(X-Y面内)で干渉波発生装置20を移動させる構成としてもよい。この収容方式としては、航空機の車輪の格納方式を参考にすることができる。なお、これらの図26~図30では、ポッド推進器の干渉波発生装置20Eを図示しているが、これ以外の干渉波発生装置20A~20Dであってもよい。従って、代表として干渉波発生装置20として図示すると共に、説明でも「干渉波発生装置20」を用いて説明する。
〔収容方式の例示〕この干渉波発生装置20の収容方式としては、図26に示すような回動方式、図27及び図28に示すような転倒方式、図29に示すような伸縮方式、図30に示すような昇降方式、及びその他の方法等の様々な方式を用いることができる。
この回動方式では、図26に示すような、干渉波発生装置20の斜め支持部材31Cを収容システム50における回転軸51回りに回動させることで、干渉波発生装置20を上甲板3の収容位置と配置位置の間を移動させる。また、転倒方式では、図27及び図28に示すような、干渉波発生装置20の水平支持部材31Bの一部に収容システム50の回転軸51を設けて、この回転軸51回りに水平支持部材31Bを回動させることで、干渉波発生装置20を舷側2cの凹部2h(図27参照)又は上甲板3の上(図28参照)の収容位置と配置位置との間を移動させる。
そして、伸縮方式では、図29に示すような収容システム50におけるピストン52を伸縮させることで、水平支持部材31Bを伸縮して干渉波発生装置20を船体没水部2の舷側2cの内部の収容位置と配置位置との間を移動させる。また、昇降方式では、図30に示すような、干渉波発生装置20を収容システム50により昇降部53を昇降用柱54に沿って昇降させることで、干渉波発生装置20を上甲板3の上の収容位置と配置位置との間を移動させる。
また、収容システム50ごと干渉波発生装置20を移動可能に構成してもよく、移動システム40ごと干渉波発生装置20を収容可能に構成してもよい。また、干渉波発生装置20を特定の収容位置に移動してから収容するように構成してもよい。
〔干渉波発生装置の非収容〕上記の構成とは別に、干渉波発生装置20の非収容方式は、必ずしも、船体を接岸させる必要がない船舶で採用される。これらの船舶としては、貨物船などの乗客の乗降がない船舶、特に港に寄らず、沖合バースで荷役するタンカー、大型であるため接岸が困難で小型船で桟橋との間を通行する大型客船等がある。また、桟橋や岸壁等と船舶との間に人員と物資の通路の確保ができれば良いような船舶では、両者の間に架橋することで対応することができる。
また、船舶1が接岸する側が決まっている場合には、接岸しない側の干渉波発生装置20は、必ずしも、収容可能に構成しなくてもよい。また、接岸に際しては、必ずしも船体没水部2を接岸させる必要がなく、人員と物資の通路の確保ができれば良いので、通路を接岸時に架橋することで対応するように、舷側2cに設けた干渉波発生装置20を収容しないままとする非収容方式としてもよい。この非収容方式は、貨物船などの乗客の乗降がない商船、特に港に寄らず、沖合バースで荷役するタンカー等で採用することができる。
〔局所波の発生〕なお、水面貫通部分がある構成の場合には、船首部と同様に局所波が発生する。例えば、干渉波発生装置20Aの第1の例の構成では、干渉波発生装置20Aがバルブ形状のまま水面を貫通するので、干渉に使用されない局所波が発生し、この局所波を発生する分だけ造波抵抗の低減効果が減少する。また、垂直支持部材31Aが水面を貫通する構成では、この垂直支持部材31Aの水面貫通部分で干渉に使用されない局所波が発生するが、干渉波発生装置20Aの第1の例の柱状の構成に比べて小さくすることができる。また、干渉波発生装置20を全没させると共に、支持部材31も全没させる構成では、水面貫通部分が無いので局所波の発生を著しく小さくすることができる。
〔離間配置とコアンダ効果の回避〕また、干渉波発生装置20を船体没水部2の船体表面から離間して配置することと、吹出部26、ウォータージェット部27、プロペラ29における流体及び水Wの主噴射方向を船体表面から離れた方向、言い換えれば、噴射される流体及び水Wが船体表面に沿って流れないように構成することにより、噴射される水Wcと船体没水部2との干渉を避ける。これらの構成により、実質的に後方に向けて噴射される流体及び水Wcが、コアンダ効果などによって船体表面に沿って流れて、船体表面における水の流速が増加することに起因する摩擦抵抗の増加を回避する。また、この構成により、干渉波発生装置20C~20Eで発生する推進力と船体没水部2の抵抗を分離して考えることができるようになる。
〔その他の干渉波発生装置〕上記の干渉波発生装置20A~20E以外の干渉波発生装置としては、空気や排気ガスや蒸気や海水などの流体を吹出す装置等が考えられる。この流体を用いる場合では、例えば、水没又は半没した配管や推進装置等から流体を前方や公報以外の特定の方向や複数の方向に噴出する方法が考えられる。また、流体を素面より上から噴射して、水面に対して吹き付けて、水面に凹部を発生させる方法なども考えられる。
〔曳航式の干渉波発生装置〕次に曳航式の干渉波発生装置20について説明する。この曳航式の干渉波発生装置20は、図31に示すように、船舶1に設けた曳航装置(支持装置)30から延びる曳航索31Dで曳航される被曳航部材31Eに設けられている干渉波発生装置20であり、浮力体として機能する船体31Eaに接続する支持部材31Ecにより固定支持される。
この曳航式の干渉波発生装置20では、船体31Eaの甲板上からから延びる曳航索31Dの長さにより、船舶1に対する前後方向Xの位置を設定することができる。また、干渉波発生装置20を舷側2cの近傍に配置する場合には、船体31Eaの舷側側で上下方向Zに水中に延びる横力発生部材31Edにより、曳航時に船体31Eaを船舶1側に寄せる横力Fyを発生させる。これにより、船体31Eaの舷側に配置された離間距離維持部材31Ebの先端部を船舶1の舷側2cに押圧することにより、幅方向Yに関して船舶1からの離間距離を維持できる。一方、干渉波発生装置20を舷側2cから離れた位置に配置する場合には、船舶1における曳航点を舷側2cから張出すことにより、船舶1からの離間距離を維持できる。さらには、曳航時に船体31Eaを船舶1側に寄せる横力Fyを舷側2cから離間する方向に発生させるとともに、船舶1の舷側2cから横方向の係留索を被曳航部材31Eに追設して、この追設した係留索の長さにより、船舶1からの離間距離を維持することもできる。
この曳航式の干渉波発生装置20は、被曳航部材31Eが必要になるが、支持装置30、移動システム40、収容システム50が非常に単純な構成になる上に、船舶1とは別体で形成できる。そのため、船舶1における工事が少なく、干渉波発生システム10の全体を単純化することできる。また、この曳航式の干渉波発生装置20はユニット化及び規格化し易いというメリットがある。
〔干渉波発生システムの設計方法〕次に、「干渉波発生システムの設計方法(以下、「設計方法」と言う)」S1について説明する。図32に示すように、この設計方法S1は、「対象条件設定ステップ」S10と、「対象波の波特性解析ステップ」S20と、「干渉波発生装置設定ステップ」S30と、「配置位置設定ステップ」S40と、「システム構成設計ステップ」S50とを有して構成されている。
なお、以下の説明に関しては、非特許文献5の造波抵抗の改善方法を参考にしてとおり、この非特許文献5を参照すると以下の説明を理解し易い。また、以下で述べる模型船による水槽試験に代わりに、モデル船型を数値化して、数値シミュレーション計算で波高分布を算出したり、実船における波高の計測や航空写真(ステレオ写真)から波高分布を求めたりしてもよい。
対象条件設定ステップS10は、対象とする船舶1と対象とする条件である「対象条件」Ctを設定するステップである。この対象条件設定ステップS10では、干渉波発生システム10で対象とする船舶1と、干渉波Bwを発生するときの条件、即ち、「船舶の船体没水部の形状(船体形状と航走時の載荷状態)」Stと「航行速度」Vstの組み合わせである対象条件Ctを設定する。なお、この対象条件Ctとしては、一組である場合もあるが、通常は、この対象条件Ctは、満載状態、軽荷状態等の複数の載荷状態と、運航時の航行速度、制限速度のある航路での航行速度等の複数の航行速度とを組み合わせた、複数の条件となる。
次の対象波の波特性解析ステップS20は、対象条件設定ステップS10で設定した対象条件Ctの下で、船舶1が発生する対象波Awの波特性を特定するステップである。この対象波の波特性解析ステップS20では、対象条件設定ステップS10で設定された船舶1の船体没水部2を模した模型船を用意する。そして、船体没水部2の形状と航行速度Vstの組み合わせの対象条件Ctに対応する模型船の水槽試験(曳航試験、自航試験等)で波形計測と波形解析を行う。つまり、模型船の曳航時又は航走時に、模型船とは幅方向に離間した位置に配置した波高計で計測した計測波形(縦切り波形)から、船体の起こす波の位相に関する情報と、波の振幅に関する情報を得る。
そして、この水槽試験で得られた情報にから、各対象条件Ctにおける船体没水部2が発生する「波スペクトラム(素成波のエネルギー分布)」(以下「対象波スペクトラム」と言う)と「波パターン(水平面での波の山谷の波高の分布)」(以下「対象波パターン」と言う)の情報を得る。
なお、ここでは、船首バルブのように船首系波に対して干渉波Bwを発生するのではなく、船体全体で発生する波(対象波)に対して干渉波Bwを発生させることを目的にしているので、この船体没水部2で発生する対象波Awには、船首系波Awfだけでなく、船尾系波Awgも含んだ波とする。ただし、何らかの理由で、船首系波Awfの自由波のみを低減したいような場合では、伝搬する自由波の計測又は解析の範囲を絞ることにより、船尾系波Awgの影響を除去して、対象波Awの船首系波Awfのみの波特性を得てもよい。
次の干渉波発生装置設定ステップS30は、干渉波発生システム10で使用する干渉波発生装置20を選定して、干渉波発生源Bwpの種類と波特性を設定するステップである。図33に示すように、この干渉波発生装置設定ステップS30では、最初に「干渉波発生装置の仮設定ステップ」S31で、波特性のデータを手持している既存の干渉波発生装置20の内から対象波スペクトラムに対して、干渉させたい干渉波スペクトラムを持つ既存の干渉波発生装置20を仮候補として選定する。
つまり、対象波の波特性解析ステップS20で把握された船体没水部2が発生する対象波スペクトラムに類似した「干渉波発生装置の波スペクトラム」(以下「干渉波スペクトラム」と言う)を持つ干渉波発生装置20を今回使用する干渉波発生装置20として仮設定を行う。例えば、干渉波発生装置20Aでは、外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bのバルブの形状と大きさを仮設定する。また、この仮設定は、干渉波発生装置20のデータが蓄積していくに従って、精度が高くなっていくと考える。
なお、対象波Awの波長Lwは船速Vsの2乗に比例するため、対象船の船長によっては、船体の側部の配置可能な位置に、干渉波発生装置20を配置できるとは限らない。また、横波(伝搬方向のθが略20度以下、ケルビン波の扇型の後方向への伝搬波)又は縦波のどちらか一方に対して、干渉するように配置位置を設定する必要がある場合も生じる。例えば、横波Awdを対象にする場合は、対象波Awの横波Awdの山は波長Lwごとに円弧状に生じるので、この横波Awdの同位相の円弧の部分に、干渉波Bwの横波の逆位相の部分が重なるように干渉波発生源Bwpも位置を決めて干渉波発生装置20を配置する。一方、対象船の船長の関係で、波長Lw毎の前後位置に配置できない場合には、横波Awdの低減は諦めて、主に縦波Awcの低減を図る。
このような場合には、対象波スペクトラムに類似せずに、対象波スペクトラムに対して低減したい素成波Aw(θ)に対して大きなエネルギー密度を持つ干渉波スペクトラムの干渉波発生装置20選択する。この仮設定では、既存の干渉波発生装置20が無い場合、若しくは、既存の干渉波発生装置20では不十分な場合には、新規の干渉波発生装置20を新たに設計する。
次の「干渉波特性解析ステップ」S32では、干渉波発生装置の仮設定ステップS31で選択した干渉波発生装置20若しくは新規に設計した干渉波発生装置20の模型を製作して、没水深度、若しくは、必要に応じてシリーズ模型を用いて没水容積等を変化させながら、対象条件Ctの航行速度Vstに対応した船速Vsmで水槽試験をして、波形計測と波形解析を行う。これにより、干渉波発生装置20の干渉波スペクトラムと干渉波パターンのデータを得る。例えば、干渉波発生装置20Aでは、外側半バルブ体21aと内側半バルブ体21bの模型で水槽試験を行う。
次の「波スペクトラムの比較ステップ」S33では、対象波スペクトラムと干渉波スペクトラムとを比較して、満足する干渉波スペクトラムが得られたか否かを判定し、満足する干渉波スペクトラムが得られていなければ(不満)、干渉波発生装置の仮設定ステップS31に戻り、干渉波発生装置20の仮設定を繰り返す。一方、満足する干渉波スペクトラムが得られていれば(満足)、「設定ステップ」S34に行き、満足する干渉波スペクトラムを持つ干渉波発生装置20を、使用する干渉波発生装置20に設定する。
次の配置位置設定ステップS40は、対象波特性解析ステップS20で解析した対象波Awの波特性と、干渉波発生装置20設定ステップS30で設定した干渉波発生装置20の波特性とを用いて、干渉波発生装置20の船舶1に対する配置位置を仮設定するステップである。この配置位置設定ステップS40では、図34に示すように、最初に、「配置可能領域設定ステップ」S41で、対象船舶1における干渉波発生装置20を実船において構造的に配置できる「配置可能領域」を設定する。
次に、「配置位置の初期設定ステップ」S42で、各対象条件Ctにおいて、この配置可能領域の範囲内で、干渉波発生源Bwpを対象波Awの縦波Awcと横波Awdの交点等、干渉効果が大きいと推定される配置位置になるように干渉波発生装置20の配置位置を初期設定する。
この初期設定の配置位置としては、干渉波発生装置20が、図51に示すような二重吹き出しの効果を発揮させるような場合には、干渉波発生源Bwpの位置が波の谷になり始める部分(β≒180°)に相当するので、対象波Awの波パターンの波の山になり始めとなる部分(β≒0°)を示す位相線の交点などを干渉波発生源Bwpの初期の配置位置となるように干渉波発生装置20を配置する。
また、干渉波発生装置20が、図52に示すような点吸い込みの効果を発揮させるような場合には、干渉波発生源Bwpの位置が干渉波Bwの谷の部分(β≒270°)に相当するので、対象波Awの波パターンの波の山の位置(β≒90°)の位相線の交点などを干渉波発生源Bwpの初期の配置位置となるように干渉波発生装置20を配置する。
また、干渉波発生装置20が、図53に示すような点吹き出しの効果を発揮させるような場合には、干渉波発生源Bwpの位置が干渉波Bwの山の部分(β≒90°)に相当するので、対象波Awの波パターンの波の谷となる部分(β≒270°)の位相線の交点などを干渉波発生源Bwpの初期の配置位置となるように干渉波発生装置20を配置する。
なお、実際に使用する干渉波発生装置20の波パターンは、理論的なものとは異なり、必ずしも、図51~図53に示すような波特性とはならない。そのため、波形分析をして、対象波発生源Awpの位置で発生する対象波Awの位相と、干渉波発生源Bwpの位置で発生する干渉波Bwの位相を比べて、最も干渉効果が大きい位相差βaを求めて、この位相差βaに基づいて、対象波発生源Awpが発生する波パターンの位相線を作成する。この位相線に基づいて、干渉波発生源Bwpの仮位置を設定する。
次に、図34に示すように、「配置位置調整ステップ」S43で、干渉波発生源Bwpの位置を仮位置から、対象波発生源Awpに対して調整量だけ移動して、その位置における干渉波パターンを対象波パターンの上に重ね合せる。この重ね合わせでは、曳波低減の目的に従って、重ね合せた後のエネルギーが、全体的に最も小さくなるように選択したり、特定の伝搬方向(θ)や方向範囲に関する範囲で最も小さくなるようなに選択したりする。この重ね合せの場合に、重ね合せの組み合わせ数が多くなるが、「対象波パターン」の波高も変化させることが重要である。この干渉波発生装置20の干渉波のエネルギーの大きさを変化させる方法としては、干渉波発生装置20の没水深度、形状、没水容積、吸込流量、吹出流量、推進力等の特性を変化させる方法などがある。
次に「評価値の算出ステップ」S44で、干渉効果の評価値を算出する。この干渉効果の評価値としては、特定の場所における波高の高さや、ある範囲におけるエネルギーの大きさ等で評価する。
例えば、「対象波パターン」と「干渉波パターン」に関して、波パターンを考慮する範囲における各位置の座標(x(i),y(j))とその位置の波高(ha(i,j)、hb(i,j)×k)を数値化する。次に、「対象波パターン」に対して「干渉波バターン」を移動させながら、重ね合せた位置で各波高を加算する。そして、この加算した結果の波高(hc(i,j)=ha(i,j)+hb(i,j)×k)の2乗した値を位置に関して加算した値の平均値(Ew=Σ[hc(i,j)×hc(i,j)〕/(i×j))が最小になるような位置を求める。ここで、「k」を変化させることが「干渉波バターン」の波高を変化させることに対応する。
次の「干渉効果の評価ステップ」S45で、干渉効果を評価し、目標を満足していれば(満足)、次の「仮設定ステップ」S46に行き、配置位置調整ステップS43で設定した配置位置を仮設定した配置位置として、「配置位置の決定ステップ」S47に行く。一方、干渉効果の評価ステップS45で、干渉効果を評価し、目標を満足していなければ(不満)、配置位置調整ステップS43に戻り、S43~S45を繰り返す。
次の配置位置の決定ステップS46で、干渉波発生装置20の船舶1に対する配置位置を決定する。この配置位置の決定ステップS47では、干渉波発生装置20を仮設定ステップS46で選択した配置位置に取り付けた模型船で水槽試験を行い、曳波減少の効果を確認する。干渉波発生装置20の没水深度と水平位置の微調整を行いながら、対象条件Ctの航行速度Vstに対応した船速Vsmで波形計測と波形解析を行う。
なお、必要であれば、干渉波発生装置20の形状などを変化させて干渉波発生装置20の波特性を調整する。これらにより、対象波Awと干渉波Bwを干渉させた合成波Cwに関して「合成波スペクトラム」と「合成波パターン」のデータを得て、これらの微調整した没水深度と水平位置におけるデータを比較検討することで、より最適な位置を求め、この干渉波発生装置20の配置位置を決定する。
次のシステム構成設計ステップS60は、干渉波発生装置20を実際に配置する構造及びシステムの構成を設計するステップである。このシステム構成設計ステップS60では、既に設定又は決定されている、干渉波発生装置20の形状と大きさと配置位置に対して、実船に配置する具体的なシステム構成を設計する。
この場合に対象条件Ctが一つであったり、対象条件Ctに連続性がなかったりした場合には、その対象条件Ctに対応する干渉波発生装置20をその配置位置に配置できる構成とする。そのためには、必要に応じて、複数の対象条件Ctに対応する複数の干渉波発生装置20と、この複数の干渉波発生装置20を支持するために、複数基の支持部材又は支持装置を備えたりする。
また、対象条件Ctが連続的である場合には、干渉波発生装置20の没水深度と水平位置を変更できるように、支持部材や支持装置によって干渉波発生装置20を船舶の前後方向X、船舶の幅方向Y、船舶の上下方向Zの少なくとも一方において移動可能に構成する。
さらに、船舶1の接岸等で、干渉波発生装置20が接岸作業等に対して支障になる場合には、船舶1の船体内部又は上甲板又は前記上甲板より上方又はその他の場所に収納可能に設ける。
〔船舶の設計方法〕そして、上記のように、本発明の実施の形態の船舶の設計方法は、対象とする船舶1と対象とする条件(対象条件)Ctを設定する対象条件設定ステップS10と、対象条件設定ステップS10で設定した対象条件Ctの下で、船舶1が発生する対象波Awの波特性を特定する対象波の波特性解析ステップS20と、干渉波発生装置20が発生する干渉波Bwの波特性を設定する干渉波発生装置設定ステップS30と、対象波の波特性解析ステップS20で特定した対象波Awの波特性と、干渉波発生装置設定ステップ(S30)で設定した干渉波発生装置20が発生する干渉波Bwの波特性とを用いて、干渉波発生装置20の船舶1に対する配置位置を設定する配置位置設定ステップS40を有して構成される。
そして、この構成を有する船舶の設計方法S1では、船舶1が発生する対象波Awの波特性に合わせて、類似の波特性を持つ干渉波Bwを発生する干渉波発生装置20を選定又は設計でき、両者の波特性を用いて、干渉波発生装置20の配置位置を最適化することにより、船舶1が発生する自由波(対象波)Awに干渉波発生装置20が発生する干渉波Bwをより効果的に干渉させることができるようになる。従って、船舶1から伝搬される自由波Awのエネルギーを小さくすることができる、船舶用の干渉波発生システム10を備えた船舶1を設計できる。
〔第1の実施の形態の船舶〕そして、本発明の第1及び第2の実施の形態の船舶1(1A、1B)は、上記のいずれかの船舶用の干渉波発生システム10を備えて構成される。この干渉波発生装置20(図35~図38では干渉波発生装置20A)を備えた、従来船型の船舶1Aの例を図35~図37に、対称翼形状の船尾を持つ船舶1Bの例を図38に示す。これらの構成により、上記のそれぞれの船舶1A、1Bの干渉波発生システム10と同様の効果を発揮できる。
また、干渉波発生装置20が干渉波発生装置20Aである場合における船舶用の干渉波発生システム10の配置に関して、少なくとも、船舶1Aが前進方向に航走しているときに、干渉波発生装置20Aの干渉波発生源Bwpの上から見た位置が、曳波Awの波パターンにおける縦波Awcの波頂線Lwcと横波Awdの波頂線Lwdの交点(Pca(i)等)の位置を中心とした、半径Rcが船体没水部2の最大船幅Bmaxの4分の1である円Caの内部領域Rcaにあるように構成している例を図36に示す。
この例では、次のような効果を発揮できる。つまり、この内部領域Rcaに干渉波発生装置20Aを配置することで、干渉波発生装置20Aの配置位置を簡便に設定することができる。なお、この縦波Awcの波頂線Lwcと横波Awdの波頂線Lwdの交点は、カスプラインLap上にあるカスプPac(i)だけでなく、カスプラインLapよりも内側にできる波頂線Lwc,Lwdの交点Pacn(i,j)を含む。
また、図37に、曳航式の干渉波発生装置20を、船舶1の船首波系と船尾波系の両方に対しての配置した例を示す。この干渉波発生装置20では、船舶1の曳航点から繰り出される曳航索31Dの長さにより、船舶1に対する前後方向Xの位置を設定することができ、また、船舶1における曳航点の幅方向Yへの張り出し距離により、船舶1に対する幅方向Yの位置を設定することができる。
〔第2の実施の形態の船舶〕そして、本発明の第2の実施の形態の船舶1Bでは、さらに、図38に示すように、船体没水部2の後半部Rbsが、船舶の上下方向Zに関して、満載喫水線WLまたは計画喫水線より下側において、深さ方向の少なくとも50%の範囲において、連続的又は断続的に水線面形状の70%が対称翼60の後半部Rbwの形状Swingで形成されているように、言い換えれば、船体没水部2の後半部Rbsの水線面形状の70%が対称翼の後半部Rbwの形状Swingの70%と一致するように、構成される。
図38(a)では、船舶1Bの船体没水部2の後半部Rbs(船体没水部2の前後方向Xに関する中央Pmより後方)を対称翼(NACA0020翼)の後半部Rbw(対称翼60の前後方向Xに関する中央Pmより後方)の形状Swingで形成している例を示す。なお、図38(b)は、対称翼(NACA0020翼)60の全体を示す。また、対称翼60はこのNACA0020翼に限定されず、その他の対称翼であってもよい。
この構成によれば、船体没水部2の後半部Rbsの大半を対称翼の後半部Rbwの形状Swingで形成するので、船尾側における流れを単純化でき、後方肩部及び船尾による波の発生を抑制できる。従って、船体没水部2の後半部Rbsで発生する波のエネルギーを低減できるので、干渉波発生システム10の造波抵抗低減効果に加えて、船舶1Bの全体としての造波抵抗を大幅に減少することができる。また、船尾の対称翼形状により船尾における流れを円滑にすることにより、造波抵抗の低減に加えて圧力抵抗も低減できるので、船舶1Bの抵抗を大きく低減できる。
なお、図35~図38においては、プロペラやウォータージェット推進審装置やポッド推進器などの推進システムを示していないが、本発明の干渉波発生システム10は、船体没水部2の形状に関わらず、また、推進システムに関わらず、対象波Awに対して、干渉波Bwを発生するものであるので、船舶1(1A、1B)が対象波Awを発生するものであれば、適用できる。
〔船舶の曳波低減方法〕そして、本発明の実施の形態の船舶の曳波低減方法は、少なくとも船舶1が前進方向に航走しているときに、船舶1の両舷側に配置され、かつ、船舶1の船体没水部2の表面から離間した位置に配置された干渉波発生装置20により、干渉波Bwを発生して、干渉波Bwを船体没水部2が発生する曳波(伝搬波=自由波=対象波)Awに干渉させることにより、船舶1の曳波Awを低減する方法である。
あるいは、本発明の実施の形態の船舶の曳波低減方法は、上記のいずれかの船舶用の干渉波発生システムを用いて、船舶1の曳波Awを低減する方法である。この船舶の曳波低減方法によれば、干渉波発生源Bwpから発生する干渉波Bwを、船体没水部2の全体で発生する自由波(対象波、曳波)Awに干渉させることにより、船舶1から発生する曳波Awを低減することができる。
〔船舶の造波抵抗低減方法〕そして、本発明の実施の形態の船舶の造波抵抗減方法は、上記のいずれかの船舶の曳波低減方法を用いて、船舶1の造波抵抗を低減する方法である。この方法によれば、上記のそれぞれの船舶の曳波低減方法と同様な効果を発揮でき、対象波Awの特に後方に拡散する横波Awdのエネルギーを低減することにより、造波抵抗を低減できる。
〔船舶の改造方法〕そして、本発明の実施の形態の船舶の改造方法は、上記のいずれかの船舶用の干渉波発生システム10を既存の船舶に追加して設ける方法である。この方法によれば、上記のそれぞれの船舶の曳波低減方法と同様な効果を発揮でき、対象波Awの特に後方に拡散する横波Awdのエネルギーを低減することにより、造波抵抗を低減できる。
〔実船に関する試算例〕次に、実船を想定した場合の船舶の大きさと干渉波発生装置20の配置位置との関係について試算してみる。ここでは、実船の例として、マラッカマックスと呼ばれる肥大タンカー船と、23,000TEU型と呼ばれる高速コンテナ船と、DDG179と呼ばれる護衛艦について試算する。
〔実船の諸元〕この肥大タンカー船の諸元は、載荷重量トンが30万トンで、船長(Lt)333m、幅(Bt)60m、満載吃水(dc)20.5m、航行速度(Vs)15.5ノット(約8.0[m/s])、主機関出力27,020kWである。また、高速コンテナ船の諸元は、載荷重量トン22.5万トンで、船長(Lc)400m、幅(Bc)61.5m、満載吃水(dc)16.4m、航行速度(Vs)23.5ノット(約12.1[m/s])、主機関出力60,000kWである。そして、護衛艦の諸元は、標準排水量トンが8200トンで、船長(Ld)170m、幅(Bd)21m、喫水(dd)6.2m、航行速度(Vs)約30ノット(約15.4[m/s])である。
〔波長〕そして、図43等に示すように、対象波Awの波長Lw(θ)に関しては、船舶1の進行方向となす角度θの方向に進む波の波長Lw(θ)は、船速をVs(m/s)とするとき、波長Lw(θ)は、「Lw(θ)=2π/g×Vs×cosθ=0.64×Vs×cosθ」となる。ここで、「g」は重力の加速度9.8m/sである。
〔波の影響が及ぶ水深〕ここで、波の影響が及ぶ水深について検討すると、波の水粒子の動きは、水深に応じて指数関数的に減衰して、波長の半分よりも深くなると、水粒子の動きは水面の約4%になる。また、波のエネルギーは、水粒子の速度の2乗に比例すると考えると、波長の0.2倍の水深で約8%となり、波長の0.37倍の水深で約1%となる。
〔制限航路における曳波対策について〕最初に、東京湾の浦賀水道航路など航行する際の曳波対策としての実用化について考えてみる。これらの行路では、12ノット(約6.17[m/s])以下で航行することになっているので、波長Lw0=Lw(0°)=24.4m以下となる。従って、上記の内で最も喫水の浅い護衛艦でも、喫水(dd=6.2m)は波長Lw0の25%程度となり、波のエネルギーが4%程度になると推定される水深となるので、対象波Awも干渉波Bwも他舷側への影響することは少ないと考える。
次に、12ノットにおけるケルビン波の波パターンと各船舶の大きさとの比較を図39に示す。なお、各船舶の図形は単に船長と船幅を示すだけであり、船型は実際とは異なる。また、最初のカスプの位置Pc1を試算すると、幅方向Yに関しては、ケルビン波のカスプラインがθ≒20であり、また、正接のTan(20°)=0.364であることを考えると、船速Vs=12ノットにおける波長Lw0に対するPc1の位置の幅Bpcは、Bpc=8.9mとなる。
そして、肥大タンカー船では、Lw0/Lt=0.07、Bw/Bt=0.15となる。また、高速コンテナ船では、Lw0/Lc=0.06、Bw/Bc=0.14となる。そして、護衛艦では、Lw0/Ld=0.14、Bw/Bd=0.42となる。実際には、船体の影響を受けるため、対象波Awの波パターンは一点を起点とするケルビン波から変形したものとなり、最初のカスプの位置Pc1も変化するが、最初のカスプの位置に対して干渉波発生装置20を配置することは可能と考える。
また、必ずしも、カスプの位置Pc1に対して、干渉波発生装置20を配置しなくても、縦波Awcへの対策を主としたり、横波Awdへの対策を主としたりすることで、干渉波発生装置20の配置位置の範囲は広がるので、12ノットで発生する対象波Awに対する曳波対策として干渉波発生装置20を配置することは可能と考える。なお、この曳波対策としては、各舷側に対して、複数の配置位置に干渉波発生装置20を配置してもよい。
〔航行速度における抵抗低減対策について〕次に、各船舶1の航行速度における曳波対策による造波抵抗低減について考える。先ず、大型タンカー船の航行速度Vst=15.5ノット(約8.0[m/s])では、波長Lw0=40.1mとなる。また、高速コンテナ船の航行速度Vst=23.5ノット(約12.1[m/s])では、波長Lw0=93.7mとなる。そして、護衛艦の航行速度Vst=約30ノット(約15.4[m/s])では、Lw0=151.8mとなる。
そして、大型タンカー船では満載吃水20.5mで波長40mなので、波長の51%となり、また、高速コンテナ船では満載吃水16.4mで波長47mの35%となるので、反対の舷側の方にはほとんど影響しないと考える。一方、護衛艦では、喫水6.2mで波長76mの8%程度となるので、波のエネルギーの4割近くが船底を通って反対の舷側の方にも伝搬するものと考えられる。しかしながら、対象波Awの波パターンには、この透過波も含まれているので、干渉波発生装置20の設計に関して影響は及ぼさない。
そして、干渉波発生装置20の配置位置の参考となるケルビン波の波パターンにおける第1のカスプの位置Pc1は、Lw0×Tan(20°)となるので、肥大タンカー船では、Btw(カスプ位置)=14.6m、また、高速コンテナ船では、Bcw=34.1m、そして、護衛艦では、Bdw=55.3mとなる。
これを、船長と船幅との比でみると、肥大タンカー船では、Lw/Lt(波長/船長)=0.12、Btw/Bt(カスプ位置/船幅)=0.24となる。また、高速コンテナ船では、Lw/Lc=0.23、Bcw/Bc=0.55となる。そして、護衛艦では、Lw/Ld=0.89、Bdw/Bd=2.63となる。これを、図40~図42に示す。
従って、護衛艦のような高速で航行する船舶においては、カスプの位置に干渉波発生装置20を配置することは難しいと考えられるが、肥大タンカー船等の比較的低速の商船に関しては、カスプの位置に配置できる商船も多いのではないかと考える。さらに、カスプの位置でなくても、縦波Awcへの対策を主としたり、横波Awdへの対策を主としたりすることで、干渉波発生装置20を船舶1の近傍に配置することは十分に可能であるので、対象波Awの波特性によっては、十分に対応できる場合もあると考える。
〔本発明の効果〕上記の船舶用の干渉波発生システム10、船舶1、及び、船舶の曳波低減方法等によれば、船首部の形状を含めた船体の形状に関わらず、船体没水部2の前半部が発生する船首系波Awf、又は、船体没水部が発生する船首系波Awと船尾系波Awgの両方を含んだ船体没水部2の全体から発生する曳波Awに対して、干渉波Bwを発生させて干渉させることにより、曳波Awの低減効果を得ることができて、これにより、船舶1の造波抵抗の低減効果を得ることができる。
1、1A、1B 船舶
2 船体没水部
2a 船首部
2c 舷側
2d 船底
3 上甲板
10 干渉波発生システム
20、20A~20E 干渉波発生装置
21 バルブを有する干渉波発生部材
21a 外側半バルブ体
21b 内側半バルブ体
21c バルブ部
21d 尾部
23 仕切部材
24 吸込部
24a 外側吸込部
24b 内側吸込部
24c 保護格子
24d 吸込水路仕切壁
24e 吸込流量調整弁
25 水路
26 吹出部
26a 外側吹出部
26b 内側吹出部
26d 吹出水路仕切壁
26e 吹出流量調整弁
27 ウォータージェット部
27a 外側ウォータージェット部
27b 内側ウォータージェット部
27c ポンプ
27d デフレクタ
27e バケット
28 ポッド推進器
28a 外側ポッド推進器
28b 内側ポッド推進器
28c ポッド回転軸
29 プロペラ
29a ダクト
29b 整流部材
29c ダクト回転軸
30 支持装置
31 支持部材
31A 垂直支持部材
31B 水平支持部材
31C 斜め支持部材
31D 曳航索
31E 被曳航部材
40 移動システム
50 収容システム
51 回転軸
52 ピストン
53 昇降部
54 昇降用柱
60 対称翼
Aw 対象波
Awc 対象波の縦波
Awd 対象波の横波
Awp 対象波発生源
Bc 船幅(高速コンテナ船)
Bd 船幅(護衛艦)
Bmax 最大船幅
Bt 船幅(VLCC)
Bw 干渉波
Bwc 干渉波の縦波
Bwd 干渉波の横波
Bwp 干渉波発生源
Ca 円
Ct 対象条件
Lac 対象波発生源の経路
Lap カスプライン
Lbc 干渉波発生源の経路
Lbp カスプライン
Lc 船体中心線(船体中心面)
Lp 前進方向に平行な面
Lwc 縦波の波頂線
Lwd 横波の波頂線
Pac(i) カスプ
Pacn(i,j) 波頂線の交点
Pbc(i) カスプ
Pm 前後方向に関する中央
Rbs 船体没水部の後半部
Rbw 対称翼の後半部
Rc 円の半径
Rca 円の内部領域
S 離間距離
S1 干渉波発生システムの設計方法
S10 対象条件設定ステップ
S20 対象波の波特性解析ステップ
S30 干渉波発生装置設定ステップ
S31 干渉波発生装置の仮設定ステップ
S32 干渉波特性解析ステップ
S33 波スペクトラムの比較ステップ
S34 干渉波発生装置の設定ステップ
S40 配置位置設定ステップ
S41 配置可能領域設定ステップ
S42 配置位置の初期設定ステップ
S43 配置位置調整ステップ
S44 評価値の算出ステップ
S45 干渉効果の評価ステップ
S46 仮設定ステップ
S47 配置位置の決定ステップ
S50 システム構成設計ステップ
Swing 対称翼の後半部の形状
Va 対象波発生源の進行速度
Vb 干渉波発生源の進行速度
Vs 航行速度
Vw 流入する水の速度
W 水
WL 水面(航走時喫水線)
X 前後方向(船舶の前後方向)
Y 幅方向(船舶の幅方向)
Z 上下方向(船舶の上下方向)
θ 波の伝搬方向の角度
θc カスプラインの角度

Claims (16)

  1. 航走時に曳波(Aw)を発生する船舶(1)において、少なくとも前記船舶(1)が前進方向に航走しているときに、前記船舶(1)の船体没水部(2)が発生する曳波(Aw)に対して、前記曳波(Aw)のエネルギーを低減するための干渉波(Bw)を発生する干渉波発生装置(20)を有するとともに、前記干渉波発生装置(20)を、前記船舶(1)の両舷側の位置で、かつ、前記船体没水部(2)の表面から離間した位置に配置することを特徴とする船舶用の干渉波発生システム。
  2. 前記干渉波発生装置(20)において、船舶の前進方向(X)に平行な平面(Lp)に対して、前記船体没水部(2)とは反対側となる方向に発生する干渉波(Bwa)のエネルギーが、前記船体没水部(2)の側になる方向に発生する干渉波(Bwb)のエネルギーよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の船舶用の干渉波発生システム。
  3. 前記干渉波発生装置(20)が、船舶の前後方向(X)、船舶の幅方向(Y)、船舶の上下方向(Z)の少なくとも一方向において移動するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶用の干渉波発生システム。
  4. 前記干渉波発生装置(20)が、前記船舶(1)の船体内部又は上甲板(3)又は前記上甲板(3)より上方に収容されるように構成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の船舶用の干渉波発生システム。
  5. 前記干渉波発生装置(20A)が、バルブを有する干渉波発生部材(21)を有して構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の船舶用の干渉波発生システム。
  6. 前記干渉波発生装置(20B)が、前記船舶(1)の周囲の水を吸引する吸込部(24)を有して構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の船舶用の干渉波発生システム。
  7. 前記干渉波発生装置(20C)が、流体を吹出す吹出部(26)を有して構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の船舶用の干渉波発生システム。
  8. 前記干渉波発生装置(20D)が、前記船舶(1)を推進する推進力の一部又は全部を発生する推進力発生装置(27,28)を有して構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の船舶用の干渉波発生システム。
  9. 少なくとも、前記船舶(1)が前進方向に航走しているときに、前記干渉波発生装置(20)の干渉波発生源(Bwp)の上から見た位置が、前記曳波(Aw)の波パターンにおける縦波の波頂線(Lwc)と横波の波頂線(Lwd)の交点の位置を中心とした、半径(Rc)が前記船体没水部(2)の最大船幅(Bmax)の4分の1である円(Ca)の内部領域(Rca)にあることを特徴とする請求項5項に記載の船舶用の干渉波発生システム。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の船舶用の干渉波発生システム(10)を備えていることを特徴とする船舶。
  11. 前記船体没水部(2)の後半部(Rbs)が、船舶の上下方向(Z)に関して、満載喫水線(WL)または計画喫水線より下側において、深さ方向の少なくとも50%の範囲において、連続的又は断続的に水線面形状の70%が対称翼の後半部(Rbw)の形状(Swing)で形成されていることを特徴とする請求項10に記載の船舶。
  12. 少なくとも船舶(1)が前進方向に航走しているときに、前記船舶(1)の両舷側に配置され、かつ、前記船舶(1)の船体没水部(2)の表面から離間した位置に配置された干渉波発生源装置(20)により、干渉波(Bw)を発生して、前記干渉波(Bw)を前記船体没水部(2)が発生する曳波(Aw)に干渉させることにより、前記船舶(1)が発生する曳波(Aw)のエネルギーを低減することを特徴とする船舶の曳波低減方法。
  13. 請求項1~9のいずれか1項に記載の船舶用の干渉波発生システム(10)を用いて、前記船舶(1)の曳波(Aw)のエネルギーを低減することを特徴とする船舶の曳波低減方法。
  14. 請求項12又は13に記載の船舶の曳波低減方法を用いて、前記船舶(1)の造波抵抗を低減することを特徴とする船舶の造波抵抗低減方法。
  15. 請求項1~9のいずれか1項に記載の船舶用の干渉波発生システム(10)を既存の船舶(1)に追加して設けることを特徴とする船舶の改造方法。
  16. 請求項10又は11に記載の船舶を設計する方法であって、
    対象とする船舶(1)と対象とする条件を設定する対象条件設定ステップ(S10)と、
    前記対象条件設定ステップ(S10)で設定した対象条件(Ct)の下で、前記船舶(1)が発生する対象波(Aw)の波特性を特定する対象波の波特性解析ステップ(S20)と、
    前記干渉波発生装置(20)が発生する干渉波(Bw)の波特性を設定する干渉波発生装置設定ステップ(S30)と、
    前記対象波の波特性解析ステップ(S20)で特定した前記対象波(Aw)の波特性と、前記干渉波発生装置設定ステップ(S30)で設定した前記干渉波発生源装置(20)が発生する前記干渉(Bw)の波特性とを用いて、前記干渉波発生装置(20)の前記船舶(1)に対する配置位置を設定する配置位置設定ステップ(S40)を有することを特徴とする船舶の設計方法。
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