JP2023066742A - フッ素原子含有ポリマーの分解方法、及びフッ素原子含有ポリマーの分解装置 - Google Patents

フッ素原子含有ポリマーの分解方法、及びフッ素原子含有ポリマーの分解装置 Download PDF

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Abstract

【課題】処理後に分離を要する固体残渣を減少させ、より低い温度であっても高い収率でフッ化物イオンを回収できるフッ素原子含有ポリマーの分解方法を提供すること。【解決手段】アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、分解対象であるフッ素原子含有ポリマーを200℃以上の亜臨界水に接触させる工程を含み、酸素を含む雰囲気でこの工程を行うことを特徴とするフッ素原子含有ポリマーの分解方法を用いればよい。この方法によれば、フッ素原子含有ポリマーは、フッ化物イオンと二酸化炭素に分解され、容易に無機化される。【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素原子含有ポリマーの分解方法、及びフッ素原子含有ポリマーの分解装置に関するものである。
フッ素原子を含んだポリマーは、その化学的安定性や熱に対する耐久性の高さなどの特性が評価され、理化学医療機器を初めとして諸々の生活用品に至るまで様々な分野に応用されている。例えば、HC=CFの構造式で表されるフッ化ビニリデンを重合したポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、高い機械的強度を備えるとともに、耐薬品性や耐熱性にも優れることから、パイプ、シート、プレート等の製品に応用されている。また、テトラフルオロエチレンとエチレンとを共重合させたETFEは、紫外線に強く、透明性もあるため、例えば構造ドーム等に使用されている。
その反面、これらのポリマーは、こうした化学的安定性や熱に対する耐久性の高さなどの裏返しとして、廃棄物処理の問題を抱えがちである。すなわち、これらのポリマーを焼却しようとすれば、共有結合の中で最強である炭素・フッ素結合の存在によりその分解には高温での処理が必要になるばかりでなく、焼却により発生するフッ化水素ガスによる焼却炉材の劣化を招くことになる。このため、これらのポリマーを廃棄処分しようとすれば埋め立て処理が必要となるが、廃棄物の最終処分場が逼迫している現状ではそれも問題である。したがって、フッ素原子含有ポリマーについての、焼却でもなく埋め立てでもない、新たな廃棄物処理法が求められている。
そのような背景から、例えば非特許文献1には、過酸化水素の存在下、亜臨界水にフッ素原子含有ポリマーを接触させることにより、このポリマーを二酸化炭素とフッ化物イオンまで分解する処理方法が提案されている。このような処理法であれば、比較的穏和な条件でフッ素原子含有ポリマーを無機化することができるばかりか、その処理で生じたフッ化物イオンをカルシウムイオンと反応させることにより、あらゆるフッ素含有化合物の原料になるフッ化カルシウムを得ることができ、資源のリサイクル面からも優れるということができる。
また、特許文献1には、酸化剤である過マンガン酸塩の存在下で200℃以上の亜臨界水中でフッ素原子含有ポリマーを処理することで、これを分解する方法が提案されている。この方法によれば、過酸化水素を酸化剤として亜臨界水でフッ素原子含有ポリマーを処理する場合に比べて、酸化剤の使用量を大幅に低減できるとされている。
また、特許文献2には、塩基性化合物の存在下で200℃以上の亜臨界水中でフッ素原子含有ポリマーを処理することで、これを分解する方法が提案されている。この方法によれば、フッ素原子含有ポリマーは黒色の元素状炭素と推測される状態にまで分解され、ポリマーに含まれていたフッ素原子はフッ化物イオンとして回収される。そして、特許文献2には、アルゴンガス雰囲気下で亜臨界水の温度を250℃以上とすればフッ化物イオンの収率が90%以上にもなることが実施例として開示されている。
特開2018-104578号公報 特開2021-155478号公報
Hisao Hori et al., Ind. Eng. Chem. Res., 2015, 54, pp8650-8658
特許文献2記載の発明によれば、フッ素原子含有ポリマーを安全に、かつ有害な廃棄物を生じることなく無機化できることになる。しかし、特許文献2の段落0019や実施例に示されるように、この発明に基づいてフッ素原子含有ポリマーを処理した場合、処理後の反応溶液中には元素状炭素と思われる黒色の固体残渣が含まれるのでこれを分離して廃棄処分する必要があり、また、フッ化物イオンの収率を100%近くまで高めるには250℃や300℃という高温条件とすることが必要だった。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、処理後に分離を要する固体残渣を減少させ、より低い温度であっても高い収率でフッ化物イオンを回収できるフッ素原子含有ポリマーの分解方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特許文献2記載の発明のように、塩基性化合物の存在下で分解対象であるフッ素原子含有ポリマーを亜臨界水に接触させることによりこれを分解する場合、反応容器内を酸素雰囲気とすることにより、例えば200℃という低温であっても十分に高い収率でフッ化物イオンを回収できるばかりでなく、ポリマーに含まれる炭素原子も二酸化炭素まで酸化され、上記のような黒色の固体残渣を生じるのを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、分解対象であるフッ素原子含有ポリマーを170℃以上の亜臨界水に接触させる工程を含み、上記工程が酸素を含む雰囲気で行われることを特徴とするフッ素原子含有ポリマーの分解方法である。
(2)また本発明は、上記亜臨界水の温度が200℃以上である(1)項記載のフッ素原子含有ポリマーの分解方法である。
(3)また本発明は、上記塩基性化合物が水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである(1)項又は(2)項記載のフッ素原子含有ポリマーの分解方法である。
(4)本発明は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、分解対象であるフッ素原子含有ポリマーを酸素含有雰囲気にて170℃以上の亜臨界水に接触させるための反応容器を備えることを特徴とするフッ素原子含有ポリマーの分解装置でもある。
本発明によれば、処理後に分離を要する固体残渣を減少させ、より低い温度であっても高い収率でフッ化物イオンを回収できるフッ素原子含有ポリマーの分解方法が提供される。
図1は、実施例における、反応温度に対するフッ化物イオン収率を示すプロットである。 図2は、比較例における、反応温度に対するフッ化物イオン収率を示すプロットである。
<フッ素原子含有ポリマーの分解方法>
以下、本発明のフッ素原子含有ポリマーの分解方法の一実施態様、及びフッ素原子含有ポリマーの分解装置の一実施形態について説明する。なお本発明は、以下の実施態様及び実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することが可能である。
本発明のフッ素原子含有ポリマーの分解方法は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、分解対象であるフッ素原子含有ポリマーを170℃以上の亜臨界水に接触させる工程を含み、その工程が酸素を含む雰囲気で行われることを特徴とする。本工程を備えさえすれば本発明の効果を得ることができ、本発明の範囲に含まれることになる。その他の工程としては、分解反応の効率を高めるためにフッ素原子含有ポリマーを細かく裁断する前処理工程を挙げることができるが、このような前処理は必須ではない。前処理を行う場合、フッ素原子含有ポリマーが粉末状になるまで小粒径化させておくことが望ましい。
本発明における分解対象のフッ素原子含有ポリマーは、分子中にフッ素原子を含むポリマーであり、分子中に1原子でもフッ素原子を含めば本発明の分解対象となる。フッ素原子含有ポリマーは、その高い耐薬品性、耐熱性、耐候性等の特性が評価され、産業や医療等を初めとしたあらゆる場面で応用されている。その反面、これらのポリマーは、こうした化学的安定性や熱に対する耐久性の高さなどの裏返しとして、廃棄物処理の問題を抱えがちである。本発明は、廃棄物となったこれらのポリマーを化学的に分解処理する方法を提供するものである。このようなフッ素原子含有ポリマーとしては、ホモポリマーでもコポリマーでもよく、そのようなものの例として、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等を挙げることができる。
本発明では、塩基性化合物の存在下にて亜臨界水中でフッ素原子含有ポリマーを処理するが、このとき、塩基性化合物によりポリマー中からフッ化水素(HF)が引き抜かれることでポリマーの分解が生じると考えられる。このような機構によれば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のように、水素原子の存在しないポリマーでは本発明による分解は困難と考えられる。したがって、水素原子の存在しないポリマーは、本発明の適用除外とされることが好ましい。なお、ETFEは、重合してポリマーを形成するときに、エチレンとテトラフルオロエチレンとが交互に重合することが知られており、必ずフッ素原子の隣に水素原子が存在することになる。したがって、本発明は、ETFEにも好ましく適用可能である。
また、本発明では、上記のように、ポリマーからHFが引き抜かれることにより分解を生じると考えられ、HFが引き抜かれたポリマー分子は、最終的に二酸化炭素まで酸化される。このため、特許文献2記載の発明のように、元素状炭素と思われる黒色の固形残渣を殆ど生じない。このように、HFが引き抜かれたポリマー分子が二酸化炭素まで酸化される理由は、必ずしも明らかでないが、反応系内に存在する酸素分子によるものと推察される。反応終了後の反応溶液中には、ポリマーから引き抜かれたフッ素原子に由来するフッ化物イオンと、ポリマーに含まれていた炭素原子に由来する二酸化炭素が溶解した炭酸イオンが存在し、ポリマーは完全に無機化される。
亜臨界水は、加圧されることにより、100℃を超え、臨界温度である374℃よりも低い温度範囲にある液体状態の水である。亜臨界水は、100℃以下の水とは物性面で異なる性質を備えており、特に200℃~300℃の範囲にある亜臨界水では、比誘電率が大きく低下して室温におけるメタノールやアセトンとほぼ同等の脂溶性を示したり、室温で10-14mol/Lだったイオン積が10-11mol/Lのオーダーとなって、水素イオン及び水酸化物イオンの濃度が室温の水よりも30倍高くなったりする。このため、特に200℃~300℃の亜臨界水では、室温の水とは異なる反応性を示すことが知られている。本発明では、170℃以上の亜臨界水が用いられ、好ましくは200℃以上の亜臨界水が用いられる。
亜臨界水の調製に用いられる水としては特に限定されず、水道水、イオン交換水、蒸留水、井戸水等、どのようなものを用いてもよいが、共存する塩等の影響による副反応を抑制するとの観点からはイオン交換水や蒸留水が好ましく挙げられる。用いる水の量については、処理対象であるフッ素原子含有ポリマーが十分に浸る程度であればよいが、加圧のための密閉容器へ導入する水の量が極端に少ないと加熱後すべて水蒸気になり亜臨界水の状態にならないため注意が必要である。
既に述べたように、本発明では加熱された亜臨界水にフッ素原子含有ポリマーを接触させる工程を、酸素を含む雰囲気で行うことにより、特許文献2記載の発明よりもフッ化物イオンの収率が高くなる。フッ化物イオンの収率が高くなる理由の一つとしては、特許文献2記載の発明と異なって、本発明では元素状炭素と思われる黒色の固形残渣を殆ど生じないことを挙げることができる。特許文献2記載の発明では、反応終了後にこの固体残渣中にフッ化物イオンが取り込まれた状態になっている可能性があり、この場合、反応溶液中に溶出するフッ化物イオンが固体残渣に取り込まれた分だけ少なくなる。一方、本発明では、ポリマーに含まれる炭素原子が二酸化炭素まで酸化されることで固体残渣が殆ど存在しないので、反応溶液中にほぼ全てのフッ化物イオンが溶出することになる。
本発明では、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物が用いられる。既に述べたように、塩基性化合物は、フッ素原子含有ポリマーからHFを引き抜く反応を生じさせるために用いられる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等が挙げられ、これらの中でも、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが好ましく挙げられる。ここで、水酸化カリウムは、濃厚溶液において水酸化ナトリウムよりも活量が高く、塩基性が高いことが知られており、HFの引き抜き反応では高い活性が見込まれる。実際に、本発明において、水酸化カリウムを用いてフッ素原子含有ポリマーの分解を行うと、水酸化ナトリウムを用いた場合よりも活性が高いことが確認されている。このような観点からは、水酸化カリウムが最も好ましいといえる。
アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。
昇温して亜臨界水とする前の水中における塩基性化合物の濃度としては、0.5M~6.0M程度が挙げられる。なお、当業者にとって周知なように、単位の「M」はmol/Lを意味する。昇温して亜臨界水とする前の水中における塩基性化合物の濃度として、より好ましくは1.0M~3.0Mが挙げられ、さらに好ましくは1.0M~2.0Mが挙げられる
次に、塩基性化合物を含んだ亜臨界水にフッ素原子含有ポリマーを接触させて分解を行う方法について説明する。処理対象であるフッ素原子含有ポリマーの量に応じたサイズの圧力容器に水、塩基性化合物、及び処理対象であるフッ素原子含有ポリマーを加え、圧力容器内部を加圧して密閉する。圧力容器内部を加圧するには、酸素を含む気体を封入すればよい。このような気体としては、空気、酸素ガス等を好ましく挙げることができ、酸素ガスであることをより好ましく挙げられる。加圧の程度としては0.5MPa程度を挙げることができるが、特に限定されない。
上記の過程を経た圧力容器を加熱して分解反応を開始させる。加熱の温度は170℃以上であるが、200℃以上であることが好ましい。また、反応終了後の反応溶液における固体残渣を無くすという観点からは、加熱の温度は300℃未満であることが好ましく、250℃未満であることがより好ましい。圧力容器自体が加熱手段を備える場合には、その加熱手段を用いて加熱すればよく、圧力容器自体が加熱手段を備えない場合には、圧力容器全体をオートクレーブやオーブン中で加熱すればよい。反応時間としては6時間~24時間程度を挙げることができる。
反応終了後の水中には、フッ素原子含有ポリマーに含まれていたフッ素原子がフッ化物イオンとなって含まれている。フッ化物イオンは、カルシウムイオンと反応させることにより、あらゆるフッ素化合物の原料となるフッ化カルシウムに転換させることができる。このため、本発明の方法を用いてフッ素原子含有ポリマーの廃棄物処理を行うことにより、資源の有効活用を行うことが可能になる。
<フッ素原子含有ポリマーの分解装置>
上記本発明のフッ素原子含有ポリマーの分解方法を実現することのできる装置も本発明の一つである。この装置は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、分解対象であるフッ素原子含有ポリマーを酸素含有雰囲気下にて170℃以上の亜臨界水に接触させるための反応容器を備えることを特徴とする。
本発明の装置は、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物を含む水と、分解対処であるフッ素原子含有ポリマーとを圧力容器の内部に導入することができ、その内部を加圧状態で加熱することが可能である。加圧のために用いる気体には酸素が含まれるものが用いられ、このような気体としては空気や酸素ガス等が好ましく挙げられる。また、加熱温度は、170℃以上であり、好ましくは200℃以上である。圧力容器の内部には、その内容物を撹拌するための撹拌装置を備えることが望ましい。その他の事項については、上記フッ素原子含有ポリマーの分解方法で説明した通りであるので、ここでの説明を省略する。
以下、実施例を示すことにより本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例]
試薬として市販されているPVDF粉末(ポリフッ化ビニリデン;フッ素原子含有率60.7質量%)30.0mgと、1.0M水酸化ナトリウム水溶液10mLを熱水リアクターに入れ、酸素ガスで0.5MPaまで加圧した後、150℃、200℃、250℃又は300℃で6時間反応させた。反応時の圧力は、1.2MPa(150℃)~9.1MPa(300℃)だった。なお、PVDF粉末30.0mg中に含まれるフッ素原子物質量は、959μmolである。反応終了後、内容物を室温まで冷却し、水相に生成したフッ化物イオンをイオンクロマトグラフィーで定量した。各反応温度でのフッ化物イオンの収量及び収率を表1に示すとともに、反応温度に対する収率のプロットを図1に示す。反応終了後、150℃で反応させたものについては反応溶液中に未反応のPDVFが観察され、200℃で反応させたものについては反応溶液が無色透明となり、その中に固体残渣は確認されなかった。250℃以上で反応させたものについては反応溶液中に黒色固体残渣が観察されたが、その量は少なかった。また、250℃のものでは反応溶液は無色透明だったが、300℃のものでは反応溶液が薄く褐色に着色していた。
Figure 2023066742000002
[比較例]
加圧に用いた気体を酸素ガスに代えてアルゴンガスに変更したこと以外は実施例と同じ手順でPVDF粉末の分解を行った。各反応温度でのフッ化物イオンの収量及び収率を表2に示すとともに、反応温度に対する収率のプロットを図2に示す。全ての温度条件にて反応終了後の反応溶液は着色しており、150℃で薄い褐色に着色していたのをはじめ、温度が高くなるにつれてこの着色が濃くなっていき、300℃では墨汁のように全体が黒く着色していた。また、150℃で反応させたものについては反応溶液中に未反応のPDVFが観察され、200℃以上では反応溶液中に黒色の固体残渣が観察された。
Figure 2023066742000003
表1及び2、並びに図1及び2を対比すると、酸素ガス雰囲気下でPVDFを亜臨界水に接触させた実施例では200℃でのフッ化物イオンの収率が90%以上となる一方で、特許文献2記載の発明と同様にアルゴンガス雰囲気下でPVDFを接触させた比較例では200℃でのフッ化物イオンの収率が80%以下に留まった。また、反応終了後の反応溶液についても、酸素ガス雰囲気下で反応を行った実施例では200℃のものについて固体残渣もなく均一な溶液であり、それ以上の温度であっても固体残渣は少なかったのに対して、アルゴンガス雰囲気下で反応を行った比較例では黒色の固体残渣が多かった。以上のことから、本発明のフッ素原子含有ポリマーの分解方法によれば、特許文献2記載の分解方法に比べてより低温で分解反応が収率良く進行し、また、固体残渣の発生もかなり抑制されることが理解できる。
(1)本発明は、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムの存在下、分解対象であるフッ素原子含有ポリマーを170℃以上250℃未満の亜臨界水に接触させる工程を含み、上記工程が酸素を含む雰囲気で行われることを特徴とするフッ素原子含有ポリマーの分解方法である。
(2)また本発明は、上記亜臨界水の温度が200℃以上250℃未満である(1)項記載のフッ素原子含有ポリマーの分解方法である。
(4)本発明は、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムの存在下、分解対象であるフッ素原子含有ポリマーを酸素含有雰囲気にて170℃以上250℃未満の亜臨界水に接触させるための反応容器を備えることを特徴とするフッ素原子含有ポリマーの分解装置でもある。

Claims (4)

  1. アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、分解対象であるフッ素原子含有ポリマーを170℃以上の亜臨界水に接触させる工程を含み、前記工程が酸素を含む雰囲気で行われることを特徴とするフッ素原子含有ポリマーの分解方法。
  2. 前記亜臨界水の温度が200℃以上である請求項1記載のフッ素原子含有ポリマーの分解方法。
  3. 前記塩基性化合物が水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである請求項1又は2記載のフッ素原子含有ポリマーの分解方法。
  4. アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物の存在下、分解対象であるフッ素原子含有ポリマーを酸素含有雰囲気にて170℃以上の亜臨界水に接触させるための反応容器を備えることを特徴とするフッ素原子含有ポリマーの分解装置。
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