JP2023066425A - 眼科用組成物およびその使用方法 - Google Patents

眼科用組成物およびその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、様々な眼の状態、特に、角膜の状態に使用できる眼科用組成物を包含する。また、これらの組成物およびこれらの組成物を含むキットを利用する方法も包含される。【解決手段】組成物は、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む。上記組成物は、(i)患者の角膜の菲薄化または不整形に関連する状態を治療または予防する、あるいは(ii)患者の眼の屈折異常を治療または予防するためのものである。【選択図】図13

Description

関連出願
本出願は、2015年3月5日に出願されたニュージーランド仮特許出願第NZ705727号の利益を主張するものであり、内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
技術分野
本開示は、眼の状態の治療および/または予防に有用な組成物および方法に関する。特に、本開示は、角膜の強化および再生、ならびに眼の屈折異常の矯正に使用することができる組成物および方法に関する。
これまで、分化した細胞は、以前の状態に戻る能力を持たなくなると考えられていた。しかしながら、この見識は、多能性幹細胞(細胞リプログラミング)の誘導、および分化細胞が別の表現型に転換できることを示す証拠によって疑問視されてきている(Takahashi&Yamanaka 2006;Wernig et al.2007;Yamanaka&Blau 2010;Gurdon&Melton 2008;Peran et al.2011)。さらに、今では、周囲の細胞、細胞外マトリックス、ならびに増殖因子および分化因子を含む細胞の微小環境が、細胞分化の方向転換をもたらす上で重要な役割を果たすと考えられている(Hakelien and Collas 2002)。この情報に基づいて、研究者は、細胞リプログラミングおよび幹細胞の技術を用いた治療法を開発し始めた。
眼の角膜は、眼の全屈折力(焦点を合わせる力)の2/3超を占めている。角膜の形状におけるたとえわずかな変化でも、網膜上で焦点が結ばれる像の鮮明度に劇的な影響を与え得る。角膜の実質層(眼の透明な前面)は、角膜組織の大半を占め、大部分がI型およびV型コラーゲンである密集したコラーゲン原線維から構成される、高度に組織化されたラメラからなる(Marshall et al.1993)。均一に整列したコラーゲン原線維に起因する実質層の特有な構造は、角膜に靭性および透明性という特性を付与する(Funderburgh 2000)。
角膜からストローマ細胞(角膜実質細胞)を除去し、単層で培養すると、それらは線維芽細胞の形態学的特徴を示し、星状の細胞から多核の紡錘状細胞に転換する(Funderburgh et al.2001)。一般的に観察される角膜実質細胞の別の表現型は、傷害後に角膜に見られる筋線維芽細胞の形態である(Jester et al.1987)。外因性増殖因子およびサイトカインにおける変化が、これらの表現型変化をもたらすと考えられる(Funderburgh et al.2001)。
増殖因子のTGFβファミリーは、軟骨細胞(軟骨)分化の最も強力な誘導因子であることが分かっている(Heng,Cao,&Lee 2004;Johnstone et al.1998;Menetrey et al.2000)。TGFβ1は、ニワトリ胚線維芽細胞によるコラーゲンおよびファイブロネクチンの合成を刺激する(Ignotz and Massague 1986)。角膜実質細胞に関して、TGFβ1およびTGFβ2は、おそらくは角膜実質細胞の筋線維芽細胞表現型への変換に起因して、瘢痕に関連するECMの沈着を引き起こすことが分かっている(Funderburgh,Mann,Funderburgh,Corpuz,&Roth 2001)。対照的に、TGFβ3は、線維症または瘢痕を起こさずに、I型コラーゲンからなるECMの沈着を引き起こすように角膜の線維芽細胞を誘導することが示されている(Karamichos,Hutcheon,&Zieske 2011)。ある特定の非タンパク質性化合物、例えば、デキサメタゾン(Johnstone,Hering,Caplan,Goldberg,&Yoo 1998)、アスコルビン酸(Farquharson,Berry,Barbara Mawer,Seawright,&Whitehead 1998)、およびエタノール(Kulyk&Hoffman 1996)は、in vitroで軟骨細胞分化を促進することも分かっている。
種々の欠陥、傷害、疾患、および変性疾患を含む、角膜に影響を与える数多くの状態が存在する。近視は、角膜の過度の湾曲によって生じ、眼に進入した光が網膜の手前で焦点を結ぶ。これは、世界中で最も多く見られる視力障害であり、いくつかのアジア諸国では70~90%、欧米では30~40%の人々の視力に影響を及ぼしている(Frederick 2002)。ほとんどの場合、近視は、最初に学齢児童に起こり、約20歳まで進行する。これはまた、成人における黄斑変性症、網膜剥離、および緑内障の有病率にも関連している(Ebenstein&Pruitt 2006)。
近視は、処方眼鏡またはコンタクトレンズの使用によって最も一般的に矯正される。しかしながら、これらのデバイスは、該状態に対する恒久的な治療は提供せず、ある特定の活動の間の使用には適さない。コンタクトレンズはまた、眼感染症、ならびに角膜擦過傷および潰瘍を含むより深刻な状態にも関連している。ある特定の状況において、屈折矯正手術または角膜矯正治療は、近視に適応がある。それでもなお、これらの治療は、軽度から中程度の近視に一時的な矯正を提供するに過ぎない:これらは恒久的な治療ではなく、重度の症例には適さない。
円錐角膜は、角膜実質の菲薄化およびボーマン層として知られる角膜の一部分の破損に関連する、形状不正な角膜変性症である。角膜実質の進行性菲薄化は、典型的には数十年かけて起こり、その結果として角膜が円錐状になる。これは、不正乱視および近視による視力障害を引き起こす。円錐角膜の原因は未だに分かってはいないが、絶えず目をこすることおよびコンタクトレンズ着用等の要因に関連している(Krachmer,Feder,&Belin 1984;Sherwin&Brookes 2004)。早ければ思春期に現れ、20代または30代まで進行する。
円錐角膜の有病率は、世界の一般集団において約2000人に1人と推定されており(Rabinowitz 1998)、性別による偏向は認められない。円錐角膜の発症は、典型的には早期成人期であり、働き盛りおよび子育て年齢にまで継続するため、生活の質の損失および円錐角膜の治療による経済的負担は、重大な公衆衛生上の懸念を意味する。円錐角膜は、西洋における角膜移植の主要な適応症であり、フランスの角膜移植の28.8%(Legeais et al.2001)および米国の11.4%~15.4%を占めることが研究者によって明らかにされている(Cosar et al.2002;Dobbins et al.2000)。ニュージーランドでは円錐角膜の有病率が異常に高く、パシフィカおよびマオリ集団においては不釣り合いに高い発生率が示されている(Patel et al.2005;Patel&McGhee 2013)。ニュージーランドにおいて実行される全角膜移植の約50%が、円錐角膜のためである(Edwards et al.2002)。
円錐角膜に関するいくつかの研究にもかかわらず、根底にある生化学的プロセスは十分に理解されていないままである。円錐角膜の家族性発症は、病因の1つが遺伝的であることを示唆している(Ihalainen 1985)。この状態はまた、ある特定の生化学的要因および生体力学的要因と関連している。例えば、円錐角膜の角膜菲薄化は、細胞外マトリックス(ECM)構成成分の喪失によるものであることが明らかになっている。しかしながら、これは、それらの破壊、それらの形成障害、またはそれらの組み合わせに起因する場合がある(Klintworth&Damms 1995;Klintworth 1999;Jhanji et al.2011)。角膜実質において、円錐角膜に関連する変化は、ラメラおよび角膜実質細胞数の減少(Ku,Niederer,Patel,Sherwin,&McGhee 2008;Sherwin&Brookes
2004)、ならびにラメラ組織、およびコラーゲン原線維量の分布における変化を含む(Meek et al.2005)。
実質層の分解は、異常なタンパク分解酵素活性に起因する可能性があると考えられる(Fukuchi,Yue,Sugar,&Lam 1994)。円錐角膜の角膜は、低レベルの酵素阻害物質および高レベルの分解酵素を有することが分かっている(Kenney&Brown 2003)。生体力学的要因は、紫外線照射および機械的外傷によって引き起こされる酸化的損傷に起因する角膜の菲薄化および剛性の低下を含む(Kenney&Brown 2003)。生体力学的研究により、円錐角膜の角膜は、弾性および剛性の低下を示したが、その理由は未だに不明である(Edmund 1988)。コラーゲン架橋の減少が原因であるかもしれないと提案されている(Wollensak&Buddecke 1990)。現在のところ、満足の行く円錐角膜の動物モデルは存在せず、研究は主としてex vivo環境に限定されている。
状態の重症度に応じて、円錐角膜の進行を遅らせるための試みは、特別な眼鏡およびコンタクトレンズの使用を含む。重度の症例では、角膜インプラント、角膜実質内リング、または角膜移植が必要となる(Jhanji,Sharma,&Vajpayee 2011)。角膜の全層が除去されてドナー角膜組織と交換される手技である全層角膜移植は、円錐角膜の重症症例を治療するために最も一般的に用いられる外科的手技である(Rabinowitz 1998)。円錐角膜は、世界的に角膜移植手術の主な適応であり、円錐角膜に罹患する約12~20%の人々が角膜移植を必要としている(Pramanik,Musch,Sutphin,&Farjo 2006)。
円錐角膜の初期治療の選択肢、例えば、Rose Kレンズとして知られる特別に作製されるガス透過性レンズは、視力の改善に重点を置いてきた。より新しい治療は、疾患の進行を遅らせることを目的としている。角膜コラーゲン架橋(CXL)として知られる治療は、角膜の剛性および生体力学的安定性を高めることに着目している。この手技では、上皮が切除され、局所リボフラビン点眼薬が投与され、角膜が約30分間370nmの紫外線A波に曝露される(Ashwin&McDonnell 2010;G.Wollensak,Spoerl,&Seiler 2003)。UVA光線がリボフラビンを活性化させ、それによって角膜実質内のコラーゲン分子間に共有結合の形成を誘導する活性酸素種を生成すると考えられる(Spoerl,Huhle,&Seiler 1998;G.Wollensak et al.2003)。しかしながら、この手技は、内皮細胞損傷の可能性があるため、400μmよりも薄い角膜の治療には不適切である。この治療はより剛性の高い角膜をもたらすが、角膜の菲薄化の問題には対応しない。
したがって、角膜に影響を及ぼす状態を含む眼の状態に対応するための治療用組成物および方法に対する継続的な必要性が存在する。特に、比較的低侵襲性であり、投与しやすい治療薬の必要性が存在する。
本発明者は、角膜組織におけるコラーゲンの発現および細胞外マトリックスの形成を変化させるように角膜細胞を改変するための組成物および方法を開発した。これらの組成物および方法は、角膜を再生および/または強化するのに有用であり、それによって角膜および眼の屈折異常の種々の状態を治療および/または予防する。
一態様において、本発明は、角膜を、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物と接触させ、それによって状態を治療または予防することを含む、角膜の菲薄化もしくは不整形形状異常に関連する状態を治療または予防する方法を含む。
種々の態様において、
TGFβ3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。
デキサメタゾンは、デキサメタゾンホスフェートである。
組成物は、10~100ng/mlのTGFβ3ポリペプチドを含む。
組成物は、40~4000ng/mlのデキサメタゾンを含む。
組成物は、点眼薬として製剤化される。
組成物は、ゲランガムを用いて製剤化される。
組成物は、1日1回または1日2回投与される。
組成物は、1つ以上の追加の眼用薬剤と同時投与される。
1つ以上の追加の眼用薬剤は、麻酔薬、抗炎症薬、抗菌剤、および潤滑剤からなる群から選択される。
組成物は、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングの使用と併せて投与される。
コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、組成物を用いた治療の間および/または後に角膜の形状を成形するかまたは維持するように適合される。
コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、組成物のための担体として、または組成物溶出デバイスとして作用するように適合される。
組成物は、角膜コラーゲン架橋と併せて投与される。
組成物の投与は、架橋の前および/または後である。
状態は、円錐角膜、近視、および乱視からなる群から選択される。
代替の態様において、方法は、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片を含む組成物、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物の同時投与を含む。
さらなる一態様において、本発明は、角膜を、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物と接触させ、それによって角膜の損傷または傷害を治療または予防することを含む、角膜の損傷または傷害を治療または予防する方法を含む。
種々の態様において、
TGFβ3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。
デキサメタゾンは、デキサメタゾンホスフェートである。
組成物は、10~100ng/mlのTGFβ3ポリペプチドを含む。
組成物は、40~4000ng/mlのデキサメタゾンを含む。
組成物は、点眼薬として製剤化される。
組成物は、ゲランガムを用いて製剤化される。
組成物は、1日1回または1日2回投与される。
組成物は、1つ以上の追加の眼用薬剤と同時投与される。
1つ以上の追加の眼用薬剤は、麻酔薬、抗炎症薬、抗菌剤、および潤滑剤からなる群から選択される。
組成物は、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングの使用と併せて投与される。
コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、組成物を用いた治療の間および/または後に角膜の形状を成形するかまたは維持するように適合される。
コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、組成物のための担体として、または組成物溶出デバイスとして作用するように適合される。
角膜の損傷または傷害は、擦過傷、裂傷、潰瘍、熱傷、穿刺、または手術のうちの1つ以上に関連する。
代替の態様において、方法は、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片を含む組成物、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物の同時投与を含む。
さらなる態様において、本発明は、眼を、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物と接触させ、それによって眼の屈折異常を治療または予防することを含む、眼の屈折異常を治療または予防する方法を含む。
種々の態様において、:
TGFβ3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。
デキサメタゾンは、デキサメタゾンホスフェートである。
組成物は、10~100ng/mlのTGFβ3ポリペプチドを含む。
組成物は、40~4000ng/mlのデキサメタゾンを含む。
組成物は、点眼薬として製剤化される。
組成物は、ゲランガムを用いて製剤化される。
組成物は、1日1回または1日2回投与される。
組成物は、1つ以上の追加の眼用薬剤と同時投与される。
1つ以上の追加の眼用薬剤は、麻酔薬、抗炎症薬、抗菌剤、および潤滑剤からなる群から選択される。
組成物は、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングと併せた使用のために投与される。
コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、組成物を用いた治療の間および/または後に角膜の形状を成形するかまたは維持するように適合される。
コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、組成物のための担体として、または組成物溶出デバイスとして作用するように適合される。
方法は、屈折矯正手術の前または後に行われる。
眼の屈折異常は、近視、遠視、乱視、および老視のうちの1つ以上に関連する。
代替の態様において、方法は、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片を含む組成物、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物の同時投与を含む。
なおもさらなる態様において、本発明は、
TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物と、
1つ以上のコンタクトレンズと、を含むキットを包含する。
種々の態様において、
コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、組成物を用いた治療の間および/または後に角膜の形状を成形するかまたは維持するように適合される。
コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、組成物のための担体として、または組成物溶出デバイスとして作用する。
TGFβ3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。
デキサメタゾンは、デキサメタゾンホスフェートである。
組成物は、10~100ng/mlのTGFβ3ポリペプチドを含む。
組成物は、40~4000ng/mlのデキサメタゾンを含む。
組成物は、点眼薬として製剤化される。
組成物は、ゲランガムを用いて製剤化される。
組成物は、1日1回または1日2回の投与のために製剤化される。
組成物は、1つ以上の追加の眼用薬剤と共製剤化される。
キットは、1つ以上の追加の眼用薬剤を含む。
1つ以上の追加の眼用薬剤は、麻酔薬、抗炎症薬、抗菌剤、および潤滑剤からなる群から選択される。
キットは、コンタクトレンズ溶液を含む。
キットは、使用説明書を含む。
キットは、眼の屈折異常の治療または予防のために使用される。
キットは、円錐角膜、近視、遠視、乱視、老視、および角膜実質ジストロフィからなる群から選択される角膜の状態の治療または予防のために使用される。
キットは、擦過傷、裂傷、潰瘍、熱傷、穿刺、角膜融解、および外科的傷害からなる群から選択される角膜の状態の治療のために使用される。
代替の態様において、キットは、別個の構成要素として、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片を含む組成物、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物を含む。
さらなる態様において、本発明は、角膜実質細胞におけるII型コラーゲンの発現を誘導する方法であって、角膜実質細胞を、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物に接触させ、それによって角膜実質細胞におけるII型コラーゲンの発現を誘導することを含む方法を含む。
種々の態様において、
TGFβ3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。
デキサメタゾンは、デキサメタゾンホスフェートである。
組成物は、10~100ng/mlのTGFβ3ポリペプチドを含む。
組成物は、40~4000ng/mlのデキサメタゾンを含む。
組成物は、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングを介した投与のために製剤化される。
組成物は、溶液、ゲル、クリーム、またはエマルジョンとしての投与のために製剤化される。
方法は、in vivoで行われる。
方法は、ex vivoで行われる。
代替の態様において、方法は、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片を含む組成物、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物の同時投与を含む。
上記概要は、本発明のある特定の実施形態の特徴および技術的利点を広義に説明している。さらなる技術的利点は、以下の本発明の詳細な説明および実施例に詳細に記載される。
本発明の特徴であると考えられる新規の特徴は、添付の図面および実施例と関連付けて考慮すると、本発明の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。しかしながら、本明細書に提供される図面および実施例は、本発明を説明するのに役立つか、または本発明の理解を深める助けとなることを意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
角膜の曲率増加によって引き起こされる近視のために、眼に進入する光が網膜上で焦点を結ばないことを示す概略図である。 それぞれ、正常な角膜(A)および円錐角膜の角膜(B)の図である。(C)重度の円錐角膜のシャインプルーフ画像。中央角膜に有意な角膜の菲薄化が認められる。 器官型切片培養の設定。 成獣雄ウィスターラットの眼に増殖因子点眼薬が点眼される。 ラットの眼を撮像するために特別に設定されたPhoenix Micron IV in vivo眼球撮像システム。 (A)ナノインデンターシステム、(B)角膜の弾性およびヒステリシスを算出するために用いられる、インデンテーションプロセスの間に得られた典型的な荷重変位曲線の概略図である。Pmax=印加される最大荷重、hmax=押し込み深さ、h=接触深さ(先端部と試料との間の接触高さ)、h=最終深さ、S=除荷剛性。 ヒト角膜ボタン(A)およびラット眼球(B)を保持するように設計されたナノインデンテーションの装備。顕微鏡を使用することによって角膜の中央部分の位置出しを行い(C)、位置出ししてからインデンタープローブを使用する(D)。 軟骨形成分化培地に播種された角膜実質細胞。TGFβ3およびデキサメタゾンを含有する軟骨形成分化培地で3週間培養した角膜実質細胞は球を形成し、それを(A)球の周辺部はネスチン、(B)コア内はII型コラーゲンを用いて標識した。次いで、培養培地を、線維芽細胞増殖培地を含有する血清と1週間交換し、球から細胞を広がらせ、皿に集合させた(C)。単層中の細胞がII型コラーゲンに陰性であったのに対し、細胞クラスターはII型コラーゲンには陽性のままであった(D)。 線維芽細胞増殖培地を含有する血清に播種された角膜実質細胞。対照線維芽細胞増殖培地で3週間培養した角膜実質細胞は、ネスチン(A)およびII型コラーゲン(B)に陰性であった。コンフルエントな線維芽細胞を、次いで、TGFβ3およびデキサメタゾンを含有する軟骨形成分化培地で3週間培養した(C)。細胞は、II型コラーゲンに陰性のままであった(D)。(E)軟骨形成分化培地中のコンフルエントな線維芽細胞のペレット培養物。3週間培養した後、細胞ペレットを切片化したところ、角膜実質細胞マーカーであるケラトカンに陽性に標識され(F)、軟骨細胞特異的II型コラーゲンには陰性であった(G)。 対照培地(A)および(D)で2週間培養したヒト角膜切片は、それぞれ、II型コラーゲンには陰性であり、I型コラーゲンには陽性であった。1週間(B)および(E)ならびに2週間(C)および(F)、軟骨形成分化培地中で培養したヒト角膜切片を、II型コラーゲン(B)および(C)ならびにI型(E)および(F)について標識した。2週間処理した角膜切片においてII型コラーゲンに対する強い標識が見られたのに対し、1週間のみ処理した切片は、II型コラーゲンに陰性であった。軟骨形成分化培地中で両方の期間培養した切片は、対照処理切片と比較するとあまり強くは標識されなかったが、未処理角膜のI型コラーゲンには陽性であった。 ヒト角膜切片を(A)対照培地および(B)軟骨形成分化培地で2週間培養し、II型コラーゲンについて標識した。図9によって示されるように同様の結果が得られた。(C)未処理の角膜と、(D)および(E)TGFβ3およびデキサメタゾンで処理したラットの角膜においてII型コラーゲンが広く標識されている処理した角膜とを示すIn vivo実験。角膜の前(上)部により強い標識が見られた(D)。II型コラーゲンは繊維状に見え、ECM全体に均一に分布されていた。 対照培地(A)、(C)、および(E)、ならびに軟骨形成分化培地(B)、(D)、および(F)中で2週間in vitro培養し、II型コラーゲン(A)および(B)、ならびにビメンチン(C)~(F)についてそれぞれ標識された円錐角膜の角膜ボタンである。正常なヒト角膜における標識と比較して、処理した円錐角膜の角膜(B)におけるII型コラーゲンの標識は弱かった。しかしながら、II型コラーゲンの沈着は、以前に正常なヒトおよびラットの角膜のin vitroおよびin vivo処理後に見られたパターンと類似していた。円錐角膜の角膜の未処理の半分である(C)および(E)と比較して、円錐角膜のボタン(D)および(F)の処理した半分における線維芽細胞集団は数が増加し、角膜実質細胞は、多数の長い細胞突起を有し、より健康かつ無傷に見えた(F)。 Ex vivo培養したヒト円錐角膜の角膜を、対照培地(A)および(C)、ならびに軟骨形成分化培地(B)および(D)中で3週間培養し、α平滑筋アクチン(αSMA)(A)および(B)、ならびにIII型コラーゲン(C)および(D)について標識した。軟骨形成分化培地中で培養した角膜と比較して、対照培地(A)中で培養した角膜の実質層におけるαSMAにより強い標識が認められた。2つの培地のうちのいずれかで培養した角膜は、III型コラーゲンには陽性に標識されなかった。 in vivo処理した角膜の角膜透明性。処理した角膜(A)および(C)、ならびに未処理の角膜(B)および(D)。3週間後、処理および未処理の角膜は互いに区別することができなかった。角膜(A)および(B)の正面図から、光が容易に通過して眼の裏側の血管が非常に鮮明に見える、透明な角膜が明らかにされている。8週目の角膜断面のin vivo画像から、光が容易に通過する、透明な、透き通った角膜が明らかにされている。角膜の混濁または瘢痕の徴候は認められなかった。 in vivoで処理した角膜におけるII型コラーゲン(A)およびI型コラーゲン(B)の定量的遺伝子発現。1週間の処理後、II型コラーゲンの発現には初期の増加が見られた。処理を中止すると、II型コラーゲンの発現に著しい低下が見られた(A)。天然の角膜I型コラーゲンの発現も、最初は上方制御されたが、長期処理したところ(最長7週間)、その発現は、未処理の対照角膜に相当するものであった(B)。 1週間in vivoで処理した角膜と未処理の角膜との比較は、硬度(H)、および弾性率(Er)の低下に有意差を示さなかった。 2匹のラットからの3週間in vivoで処理した角膜および未処理の角膜について得られた荷重変形曲線。プロットした値を含む対応するグラフは、処理した角膜における弾性率(Er)および硬度(H)の増加を明らかに示している。 8週間処理したおよび対照ヒト円錐角膜の角膜との弾性率および硬度の比較は、処理した角膜の両方におけるパラメータの著しい増加を明らかにしている。 in vivo細胞リプログラミングと、治療中に所望の角膜形状を保持するための剛性コンタクトレンズとを組み合わせることによってヒツジの眼の角膜を再形成する。 (A)Phoenix Micron IV眼撮像システム。この撮像システムは、角膜の厚さ、曲率、および透明性の測定を可能にする。(B)OCTアタッチメントは、本明細書に示される画像と同様に、前眼部の可視化、ならびに角膜の厚さおよび完全性の測定を可能にする。ヒツジにおける角膜の生体力学をex vivoで評価するために使用される(C)ナノインデンター、および(D)その設定の概略図。出力は、荷重変位曲線として示され、弾性ヤング率を得るため、および硬度の尺度を得るために分析され得る。ヒツジのような大動物では、角膜の厚さ(E)はミクロンで示され、角膜の曲率測定値(F)は、携帯用Pentacam(登録商標)を使用して得られる。角膜の曲率(F)の場合、広く間隔の開いた色輪郭は大きな曲率半径を意味し、より狭い輪郭は、急な曲率の領域を意味する。数字は、各点の曲率半径を示す。 デキサメタゾンと組み合わせたTGFβ3のみが、II型コラーゲンの沈着をもたらした。ヒツジ角膜組織を、(A)BMP6、(B)BMP6+ヒドロコルチゾン、(C)TGFβ3+ヒドロコルチゾン、(D)BMP6+デキサメタゾン、(E)TGFβ3+プレドニゾン、(F)TGFβ3+Triesense(登録商標)、(G)および(H)それぞれ20×および60×の倍率のTGFβ3+デキサメタゾン中で培養し、軟骨特異的II型コラーゲンについて標識した。 TGFβ3デキサメタゾンとの組み合わせに関する用量反応試験。ヒツジ角膜を3週間培養し、II型コラーゲンについて標識した。
以下の説明は、多数の例示的な構成、パラメータ等を記載する。しかしながら、そのような説明は、本発明の範囲に対する制限であることを意図するものではなく、代わりに、例示的な実施形態の説明として提供されるということを認識されたい。
定義
本発明の説明、態様、実施形態、および実施例における本明細書の例の各々において、「含む(comprising)」、「含む(including)」等の用語は、制限なく、包括的に理解されるものとする。したがって、文脈上、明らかに別段の要求がない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む」、「含んでいる」等の語は、排他的な意味ではなく、包括的な意味で、すなわち、「限定されないが、~を含む」の意味に解釈されるべきである。
本明細書で使用される場合、「強化」は、角膜組織(例えば、実質層)を含む角膜の厚さ、硬度、弾性率、引張強度、および規則性のうちの1つ以上を増加させる方法を指す。強化は、角膜に特定の形状、すなわち、角膜の曲率を付与するために用いられ得る。強化方法は、眼または角膜の特定の条件の存在下または非存在下で行われ得る。強化は、角膜の細胞外マトリックス中の構成成分(例えば、II型コラーゲン)の増加を含み得る。強化はまた、角膜の細胞(例えば、角膜実質細胞)の数を増加させることも含み得る。細胞の数は、例えば、そのような細胞の増殖状態を静止状態から活動状態に変化させることによって増加させてもよい。
「同時投与」または「同時投与する」は、薬剤、例えば、眼の治療薬の併用を指し、共製剤(すなわち、複合製剤)の投与、および別々の製剤の同時投与または連続投与を含む。同様に、「~と併せて」は、治療用組成物と治療デバイス/手順との併用を指す。これは、デバイス/手順の使用に先行する、デバイス/手順と同時の、および/またはデバイス/手順の使用後の、組成物の使用を含むことができる。
角膜の「状態」は、角膜の疾患、欠陥、損傷、傷害、変性、または機能不全の状況を指す。状態は、角膜組織(例えば、実質層)または角膜細胞(例えば、角膜実質細胞)に影響を及ぼし得る。状態は、急性の状態、例えば、擦過傷もしくは潰瘍症であり得るか、または慢性の状態、例えば、円錐角膜もしくは近視であり得る。
本明細書で使用される「角膜」は、虹彩、瞳孔、および前眼房を覆う眼の透明な前の部分を指す。これは、角膜上皮、ボーマン層、角膜実質、デスメ膜、および角膜上皮を含む。特に興味深いのは、角膜の実質層(固有質とも称される)であり、角膜実質細胞とともに規則的に配置されたコラーゲン線維の細胞外マトリックスを含む。
化学誘導体に関連する「誘導体」は、化学的に修飾されている化合物を指す。本開示は、本明細書に記載の化合物の各々だけでなく、元の化合物の塩、水素化物、エステル、および他の修飾等の化学修飾形態を含む、それらの任意の誘導体も包含する。
ポリペプチドに特に関連して本明細書で使用される「単離された」は、その天然の環境から分離された分子を指す。単離された分子は、生化学的技術、組換え技術、および合成技術を含む、当該技術分野で既知であり使用されている任意の方法または方法の組み合わせによって得ることができる。単離された構成成分を得るために、ポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップまたは濃縮ステップによって調製されてもよい。特に興味深いのは、人工的な手段、すなわち、非自然的な手段によって得られるポリペプチドおよびペプチドである。これは、限定されないが、合成化学、組換え技術、精製プロトコル等を含む。天然、組換え、または合成の源から単離されたポリペプチドが含まれる。また、化学合成によって、またはプラスミド、ベクター、もしくは細胞翻訳系または無細胞翻訳系に導入され得る他の発現構築物によって産生されるポリペプチドも含まれる。そのようなポリペプチドは、ヒトの介在なしで、天然に存在するポリペプチドとは明らかに区別される。
「タンパク質」または「ポリペプチド」という用語(例えば、配列番号1)、および他のそのような用語は、簡潔にするために、本明細書に記載される分子を指す。そのような用語は、これらの分子の完全な特徴を提供することを意味するものではない。したがって、タンパク質またはポリペプチドは、特定のアミノ酸配列、特定の二次元的表現の構造を有するものとして本明細書において特徴付けられてもよいが、請求される実際の分子は、三次元構造、ある特定の結合についての移動度、および全体として分子の他の特性を含む他の特徴を有することを理解されたい。本開示に包含されるのは、分子自体および全体としてのそれらの特性である。「タンパク質」および「ポリペプチド」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
TGFβ3「ポリペプチド」は、任意の源から得られたポリペプチド、例えば、単離された天然に存在するポリペプチド、組換えポリペプチド、および合成ポリペプチドを指し、天然に存在するアミノ酸配列を有するポリペプチドだけではなく、本明細書に詳述されるように、変異アミノ酸配列およびそのような配列の断片を有するポリペプチドも含む。TGFβ3はまた、当該技術分野において、形質転換増殖因子-β3、TGFB3、ARVD、およびFLJ16571とも称され得る。
アミノ酸の「配列同一性」は、2つ以上のポリペプチドのアミノ酸対アミノ酸の比較を指す。試験配列は、基準配列(すなわち、100%の同一性を共有する)に対して同一であり得るか、または1つ以上のアミノ酸置換を含み得る。好ましい態様において、アミノ酸置換は、基準アミノ酸と比較して、電荷または疎水性等の類似する化学特性および/または物理特性を有し得る。配列同一性は、典型的には、最も高い相同性の領域における配列アライメントによって決定され得る。配列アライメントアルゴリズム、例えば、BLAST(登録商標)配列アライメントプログラムは、当該技術分野において周知であり、広く使用されている。配列アライメントに基づいて、比較されたポリペプチド配列間のパーセント同一性を決定することができる。
本明細書で使用される「屈折異常」は、眼による光の集束における欠陥を指す。屈折異常は、球面異常および円柱異常を含み得る。低次収差および高次収差の両方が含まれる。特に屈折異常として含まれるのは、近視、遠視、乱視、不同視、および老視として知られる眼の状態である。
角膜に関連する「再生」は、角膜(角膜組織(例えば、実質層)を含む)の形状、厚さ、規則性、硬度、弾性率、および引張強度のうちの1つ以上の復元を指す。再生の方法は、角膜に特定の形状、すなわち、角膜の曲率を付与するために用いられ得る。再生方法は、眼または角膜の特定の条件の治療において行われ得る。再生は、角膜の細胞外マトリックス中の構成成分(例えば、II型コラーゲン)の増加を含み得る。再生はまた、角膜の細胞(例えば、角膜実質細胞)の数を増加させることも含み得る。細胞の数は、例えば、そのような細胞の増殖状態を静止状態から活動状態に変化させることによって増加させてもよい。
例えば、角膜細胞(例えば、角膜実質細胞)に関して、細胞の「リプログラミング」は、分化の状態における変化を指す。リプログラミングは、細胞形態、細胞の遺伝子発現(例えば、I型コラーゲンおよび/もしくはII型コラーゲンの発現を含むコラーゲンの発現)、または細胞増殖状況(例えば、静止状態もしくは活動状態)における1つ以上の変化に関連する。
「対象」という用語は、ヒトまたは非ヒト動物を指す。
「予防すること」は、ある状態、例えば、眼の状態、または具体的には角膜の障害もしくは他の欠陥等の角膜の状態の発症を停止することまたは遅延させることを指す。予防措置は、状態の1つ以上の症状の停止もしくは遅延をもたらすか、またはそのような症状が生じた場合はそれを軽減する。角膜の状態の予防は、本明細書に詳述されるように、角膜の強化を含み得る。
「治療すること」は、ある状態、例えば、眼の状態、または具体的には角膜の障害もしくは他の欠陥等の角膜の状態を軽減する、改善する、または解消することを指す。治療は、状態の1つ以上の症状の軽減、改善、または排除をもたらす。角膜の状態の治療は、本明細書に詳述されるように、角膜の再生を含み得る。本発明の組成物および方法は、本明細書に詳述されるように、種々の状態を治療するため、種々の状態を予防するため、または種々の状態を治療および予防するために使用され得る。
細胞および組織の再生
細胞および組織の再生技術は、治療処置における大きな期待が見込める。本明細書に開示されるように、本発明者は、角膜組織におけるII型コラーゲンの発現および細胞外マトリックス(ECM)の沈着に影響を及ぼすために、in situ細胞リプログラミングを用いて細胞を改変するための組成物および方法を開発した。これは、今度は眼の角膜を強くするおよび/または強化するために使用される。本発明者は、そうすることにより、角膜実質マトリックスのin situ/in vivoでの再生および強化のための特有のアプローチを提供する。
したがって、開示される方法は、近視および円錐角膜を含む種々の角膜の状態のためのin vivo組織工学治療に用いられ得る。前述のように、近視は、角膜の過度な曲率によって特徴付けられ(図1A)、円錐角膜は、角膜の菲薄化という特徴的パターンに至る進行性の拡張性角膜ジストロフィである(図1B;Romero-Jimenez,Santodomingo-Rubido,&Wolffsohn 2010より出典の画像)。
角膜実質細胞は、比較的静止状態にあり、通常は線維芽細胞または筋線維芽細胞表現型に転換したときに、大量の細胞外マトリックス(ECM)を産生するのみである。これらの表現型に関連するECMの沈着は、通常、角膜線維症および透明性の喪失を引き起こす(Kadler,Baldock,Bella,&Boot-Handford 2007)。軟骨を構成する細胞である軟骨細胞は、角膜に見出されるI型に類似する線維性コラーゲンであるII型コラーゲンを分泌する。II型コラーゲンはまた、ニワトリ角膜の発生中に角膜実質細胞によっても発現されるが、これは後に成熟ニワトリ角膜実質内のI型によって置き換えられる(Linsenmayer et al.1990)。
本発明者は、成人ヒトおよびラットの角膜からのストローマ細胞を、増殖因子を特定する神経細胞系統で処理したときにニューロン特異的タンパク質を産生するようにリプログラミングすることができることを以前に示した(Greene et al.2013)。このデータは、in vitroおよびin vivoの両方で増殖因子環境を調節するだけで、成人細胞集団をリプログラミングすることができることを示している。
次に、本明細書において実証されるように、本発明者は、形質転換増殖因子β3(TGFβ3)およびデキサメタゾンで細胞を処理することにより軟骨特異的線維性コラーゲンであるII型コラーゲンを産生するように、角膜実質の細胞をin vitroおよびex vivoで誘導することができることを示す(実施例8および9)。具体的には、本発明者は、ヒト円錐角膜の角膜生検において、角膜実質細胞がこれら2つの化合物で処理されたときに、II型コラーゲンを発現することを実証した(実施例8)。さらに、動物試験を用いて、本発明者は、II型コラーゲンの沈着を刺激するために、点眼薬を使用してTGFβ3およびデキサメタゾンの2つの化合物をin vivoで送達できることを実証した(実施例9)。特に、II型コラーゲンの沈着は均一であり、線維症または瘢痕を伴わず、かつ角膜の透明性に影響を及ぼすことなく、角膜の生体力学を改善した(実施例11および13)。
理論に拘束されることを望むものではないが、コラーゲン沈着は、角膜実質内の細胞を軟骨細胞表現型にリプログラミングすることによってもたらされると仮説が立てられる。軟骨細胞は、角膜に見出されるI型に類似する線維性コラーゲンであるだけではなく、ニワトリ角膜の発生中にも発現されるII型コラーゲンを分泌することが分かっている(Linsenmayer et al.1990)。これは後に成熟した角膜実質内のI型コラーゲンによって置き換えられる(Linsenmayer et al.1990)。
本明細書に記載される結果において、TGFβ3およびデキサメタゾンで角膜実質細胞を処理したところ、I型コラーゲンの発現における初期の増加が観察された(実施例12)。しかしながら、本発明者は、観察されたレベルのI型コラーゲンの沈着は、角膜を硬化/再形成するには不十分であると考える。さらに、II型コラーゲンの沈着は、治療戦略としてより実現可能であると見なされる。II型コラーゲンは、例えば、円錐角膜の角膜に存在する酵素による酵素分解の影響を受けにくいことに留意されたい。
本発明者の結果によれば、角膜実質細胞のリプログラミングを用いて、角膜の生体力学的特徴を改善するための有効な処置として新しいECM分子を産生することが可能である。このアプローチは、前述のような角膜の酵素による分解に対する感受性を低下させるため、有利であると考えられる。開示される治療モジュールは、角膜を安定させることのみを目的とするのではなく、種々の角膜の状態および眼の屈折異常を含む眼の状態に対する治療補助を提供することも目的としている。したがって、本発明の方法は、例えば、拡張性角膜における円錐角膜の角膜実質細胞の治療のために使用され得る。さらに、本発明の方法は、本明細書に詳述されるように、近視および種々の他の角膜の状態の治療に使用され得る。
眼および角膜に影響を及ぼす状態
本明細書に記載の組成物は、角膜(例えば、実質層)および角膜細胞(例えば、角膜実質細胞)の再生または強化において特に有用である。組成物は、角膜の菲薄化、脆弱化、細胞喪失、組織喪失、マトリックス喪失、コラーゲン喪失、および/または不整形に対応するために使用され得る。このように、本明細書に記載の組成物は、角膜の欠陥、疾患、損傷、傷害、および/または変性、ならびに眼の屈折異常に関与する状態を含む、眼に影響を及ぼす種々の状態に用いることができる。
具体的な態様において、本発明は、角膜の欠陥を治療するための方法を包含する。ある特定の状況において、本発明の方法は、角膜の欠陥を予防するためにも使用され得る。欠陥は、特定の角膜の状態に関連している場合がある。例示的な状態は、本明細書に詳述されるような円錐角膜、ならびに球状角膜、ペルーシド角膜辺縁変性、および後部円錐角膜等の角膜拡張症を含む関連する状態を含む(例えば、Arffa 1997;Krachmer et al.1984;Rabonitz 2004;Jinabhai et
al.2010を参照)。近視、老視、ならびに正乱視および不正乱視を包含する乱視も、欠陥として特に含まれる。角膜の先天性欠陥もまた含まれる。その中には、扁平角膜および小角膜が含まれ、後者は、胎児性アルコール症候群、ターナー症候群、エーラース・ダンロス症候群、ヴァイユ・マルケザーニ症候群、ワールデンブルグ症候群、ナンス・ホーラン症候群、およびコルネリア・デ・ランゲ症候群に関連し得る。エーラース・ダンロス症候群IV型に関連し得る球状角膜(前述)もまた含まれる。
さらなる態様において、本発明は、角膜の損傷または変性を治療するための方法を包含する。ある特定の状況において、本発明の方法は、角膜の損傷を予防するために使用され得る。損傷または変性は、角膜の特定の状態に関連し得る。特に含まれるのは、角膜融解、例えば、関節リウマチ等の炎症性疾患に関連する角膜融解である。他の例示的な状態は、角膜炎、例えば、辺縁角膜炎、角膜実質角膜炎、兎眼性角膜炎、神経栄養性角膜炎、糸状角膜炎、酒さ性角膜炎、ウイルス性角膜炎(ヘルペス角膜炎を含む)、真菌性角膜炎、原虫性角膜炎、ならびに他の感染性角膜炎、例えば、梅毒性角膜実質炎、微胞子虫による角膜炎、タイゲソン角膜炎、および感染性結晶状角膜症を含む。末梢潰瘍性角膜炎(PUK)とも称される潰瘍性角膜炎も含まれ、これは、関節リウマチ、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデス、再発性多発軟骨炎、および結節性多発動脈炎等の全身性疾患に関連する潰瘍性角膜炎を含む。眼内炎も含まれる。また、慢性角膜浮腫、モーレン潰瘍、角膜縁凹窩、フリクテン症、テリエン周辺変性症、ザルツマン変性症、球状変性症、およびフックスジストロフィも含まれる。そのような状態は、当該技術分野において周知であり、十分に特徴付けられている。例えば、Jackson 2008;Denniston 2009;およびWillshaw et al.2000を参照されたい。さらには、角膜実質ジストロフィ、例えば、格子状角膜実質ジストロフィ(例えば、1型および2型)、顆粒状角膜ジストロフィ(例えば、1型および2型)、斑状角膜ジストロフィ、シュナイダー角膜ジストロフィ、先天性角膜実質ジストロフィ、および斑点状角膜ジストロフィが含まれる。
さらなる態様において、本発明は、角膜に対する傷害を治療するための方法を包含する。物理的損傷、化学的損傷、照射損傷、および/または特定の薬物による損傷による傷害が含まれる。傷害は、角膜擦過傷、角膜びらん、角膜穿刺、膜破裂、角膜瘢痕、または角膜潰瘍(融解性潰瘍、無痛潰瘍、および表在性潰瘍を含む)に関連し得る。手術創、放射状角膜切開後の角膜損傷、および遷延性上皮欠損を含む角膜形成術後の急性期の問題を含む、眼の手術に関連する傷害および他の損傷もまた含まれる。さらに、角膜融解、例えば、眼の手術または他の治療(例えば、局所NSAID投与)後の角膜融解に関連する傷害が含まれる。角膜融解は、感染性、炎症性、または栄養性の原因に起因し得る。加齢に関連する角膜の傷害および損傷もまた含まれる。
さらなる態様において、本発明は、眼の屈折異常を治療または予防するための方法を包含する。そのような屈折異常は、近視、遠視、老視、不同視、高次収差、および種々の乱視を含む特定の状態に関連し得る。高次収差は、限定されないが、昏睡、トレフォイル、クアドラフォイル(quadrafoil)、球面収差、および数学的表現(例えば、ゼルニケ多項式)によって特定される収差を含む。
角膜の状態は、フルオレセイン染色を含む種々の方法によって診断され得、該染色は、ザイデル試験、鏡面反射顕微鏡、角膜トポグラフィー、等尺性断層撮影(isometric tomography)、角膜厚測定、超音波、細隙灯、角膜擦過細胞診、および生検を含み得る。診断は、視力および/または混濁の評価も含み得る。角膜の状態は、疼痛、羞明、異物感、視力低下、浮腫、白血球浸潤、フルオレセイン取り込み、血管新生、充血、ならびに頭痛、悪心、および疲労等の全身症状のうちの1つ以上の症状に関連し得る。同様に、屈折異常の症状は、限定されないが、視力低下、ならびに霧視、複視、かすみ目、眼精疲労、異物感、問題のあるグレアまたはハロ、飛蚊症、ゴースト像、夜間視力障害、斜視、過度の凝視、瞬き過多、頭痛、眼をこすること、眼の疲れ、眼の表面の乾燥、眼刺激、充血、および眼の痙攣を含んでもよい。
治療用組成物
前述のように、本明細書に記載の組成物は、角膜に影響を及ぼす状態および眼の屈折異常を含む、種々の眼の状態を治療および/または予防するために用いられ得る。組成物は、デキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤とともに、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片を含んでもよい。
種々の態様において、組成物は、記載される構成成分(TGFβ3ポリペプチド(またはその変異体もしくは断片)とデキサメタゾン(またはその誘導体もしくは関連ステロイド剤))との組み合わせを含むように製剤化されてもよいか、あるいは、第1の構成成分(TGFβ3ポリペプチド(またはその変異体もしくは断片)または代替としてデキサメタゾン(またはその誘導体もしくは関連ステロイド剤))と、投与前に加えられる第2の構成成分とを含むように製剤化されてもよい。代替として、組成物は、第2の構成成分を含む製剤との同時投与または連続投与において使用される、第1の構成成分(TGFβ3ポリペプチド(またはその変異体もしくは断片)または代替としてデキサメタゾン(またはその誘導体もしくは関連ステロイド剤))を含むように製剤化されてもよい。
一態様において、TGFβ3ポリペプチドは、少なくとも下記のアミノ酸配列を含んでもよい:ALDTNYCFRN LEENCCVRPL YIDFRQDLGW KWVHEPKGYY ANFCSGPCPY LRSADTTHST VLGLYNTLNP EASASPCCVP QDLEPLTILY YVGRTPKVEQ LSNMVVKSCK CS(配列番号1)(GenBank参照番号CAR70088.1)。TGFβ3ポリペプチドは、少なくとも上に示す112個のアミノ酸を含むことができ、25.5kDaの分子量を有してもよい。代替として、TGFβ3ポリペプチドは、GenBank参照番号CAA33024.1、GenBank受託番号CAA33024、またはNCBI基準配列NP_003230.1中に特定される前駆体ポリペプチド配列のアミノ酸644~850(207個のアミノ酸)に由来してもよい。
他の態様において、TGFβ3の変異体または断片が用いられてもよい。例えば、変異体または断片は、配列番号1に対して少なくとも75%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも85%、最も好ましくは、本明細書に記載される配列番号1に対して、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または約100%の配列同一性を示し得る。TGFβ3の変異体が、生物学的活性、例えば、非変異ポリペプチドと比較して同様であるかまたは改善された活性を示す場合に特に興味深い。
さらなる態様において、特定の断片が用いられてもよい。例えば、TGFβ3断片は、配列番号1の少なくとも80個のアミノ酸、少なくとも85個のアミノ酸、より好ましくは、配列番号1の少なくとも90個のアミノ酸、少なくとも91個のアミノ酸、少なくとも92個のアミノ酸、少なくとも93個のアミノ酸、少なくとも94個のアミノ酸、少なくとも95個のアミノ酸、少なくとも96個のアミノ酸、少なくとも97個のアミノ酸、少なくとも98個のアミノ酸、少なくとも99個のアミノ酸、最も好ましくは、配列番号1の100個のアミノ酸、少なくとも101個のアミノ酸、少なくとも102個のアミノ酸、少なくとも103個のアミノ酸、少なくとも104個のアミノ酸、少なくとも105個のアミノ酸、少なくとも106個のアミノ酸、107個のアミノ酸、108個のアミノ酸、109個のアミノ酸、110個のアミノ酸、または111個のアミノ酸を含んでもよい。特に興味深いのは、TGFβ3の機能的断片であり、例えば、生物学的活性、例えば、基準ポリペプチドと比較して同様であるかまたは改善された活性を示す断片である。
特定の態様において、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片は、組換えポリペプチドとして提供されてもよい。例えば、当該技術分野において広く知られかつ使用されているように、ポリペプチドは、細胞または細胞不含発現系において発現させてもよい。これらには、細菌、真菌、植物、および哺乳動物発現系が含まれる。E.coli細胞、CHO細胞、HEK細胞、およびNicotiana benthamiana細胞を用いた発現系は、特に含まれる。TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片は、ヒトまたは非ヒト発現系において発現されるヒト組換えポリペプチドとして提供されてもよい。TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片は、既知の方法に従って、ジスルフィド結合したホモ二量体の非グリコシル化ポリペプチド鎖として提供されてもよい。
TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片は、周知のクロマトグラフィー技術を含む標準的な方法によって組換え発現系から単離されてもよい。TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片は、ポリペプチドの切断、単離、および/または局在化を促進するための配列タグを含んでもよい。本発明によれば、TGFβ3ポリペプチドは、種々の商業的供給源から得られてもよい。例えば、組換えヒトTGFβ3は、R&D Systems(カタログ番号243-B3-002;243-B3-010)、BioVision,Inc.(カタログ番号4344-500;4344-50;4344-5)、またはProspec Protein Specialists(カタログ番号CYT-113;CYT-319)から得られてもよい。
TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片の生物学的活性は、広く知られかつ使用されている方法に従って測定されてもよい。例えば、生物学的活性は、ポリペプチドがミンク肺上皮細胞(Mv1Lu)の増殖を阻害する能力によって培養中に測定されてもよい(例えば、Premaraj et al.2006を参照)。この測定による例示的な活性は、≦50ng/mlのED50によって示される。代替として、生物学的活性は、マウスHT-2細胞のIL-4誘導性の増殖(IL-2の存在下でヒツジ赤血球によって活性化されるBALB/c脾臓)の用量依存性阻害によって測定されてもよい(例えば、Tsang et al.1995を参照)。この測定による例示的な活性は、典型的には0.1~0.5ng/mlである。代替として、本明細書に記載の薬剤の組み合わせを含む組成物は、以下に記載される方法を用いて生物学的活性について測定されてもよい。例えば、角膜実質細胞におけるII型コラーゲン(例えば、II型コラーゲン、α1)の誘導は、免疫組織化学アッセイ、タンパク質アッセイ、ウェスタンブロット分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)解析、および定量的PCR技術のうちの1つ以上によって評価され得る。
本明細書に記載されるように、組成物はまた、デキサメタゾン、その誘導体、および/または関連ステロイド剤も含んでもよい。デキサメタゾンは、以下の化学構造を有するとして特徴付けられる。
Figure 2023066425000002
デキサメタゾンの商品名は、例えば、Decadron(登録商標)、Dexasone(登録商標)、Diodex(登録商標)、Hexadrol(登録商標)、Maxidex(登録商標)、およびMinims(登録商標)を含む。
種々の態様において、その任意のエステルおよび塩を含むデキサメタゾンの誘導体が使用されてもよい。例示的な誘導体は、限定されないが、デキサメタゾン-17-アセテート(CAS参照番号:1177-87-3)、リン酸デキサメタゾン二ナトリウム(CAS参照番号:2392-39-4)、デキサメタゾン吉草酸エステル(CAS参照番号:14899-36-6)、デキサメタゾン-21-イソニコチン酸エステル(CAS参照番号:2265-64-7)、デキサメタゾンパルミチン酸エステル(CAS参照番号:33755-46-3)、デキサメタゾンプロピオン酸塩(CAS参照番号:55541-30-5)、デキサメタゾンアセフラート(CAS参照番号:83880-70-0)、デキサメタゾン-21-ガラクトシド(CAS参照番号:92901-23-0)、デキサメタゾン21-チオピバレート、デキサメタゾン21-チオペンタノエート、デキサメタゾン21-チオール-2-メチル-ブタノエート、デキサメタゾン21-チオール-3-メチル-ブタノエート、デキサメタゾン21-チオヘキサノエート、デキサメタゾン21-チオール-4-メチル-ペンタノエート、デキサメタゾン21-チオール-3,3-ジメチル-ブタノエート、デキサメタゾン21-チオール-2-エチル-ブタノエート、デキサメタゾン21-チオオクタノエート、デキサメタゾン21-チオール-2-エチル-ヘキサノエート、デキサメタゾン21-チオノナノエート、デキサメタゾン21-チオデカノエート、デキサメタゾン21-p-フルオロチオベンゾエートまたはそれらの組み合わせを含む。特に含まれるのは、デキサメタゾンアルコールおよびリン酸デキサメタゾンナトリウムである。US4177268に記載されるように、デキサメタゾン誘導体もまた含まれる。
組成物は、デキサメタゾンの代わりにまたはそれに加えて、関連ステロイド剤を含んでもよい。例えば、他のコルチコイドステロイドが、デキサメタゾンの代わりにまたはそれとともに用いられてもよい。関連ステロイドとしての使用に好ましいのは、Coopman分類によるグループCのステロイドであり、ベタメタゾン型ステロイド、例えば、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、およびフルオコルトロンを含む。他の関連ステロイド剤は、限定されないが、フルオロメタロン、ロトプレンドール、メドリゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、リメキソロン、ヒドロコルチゾン、ロドキサミド、またはそれらの任意の誘導体もしくは組み合わせを含む。特に含まれるのは、フルオロメタロンアセテート、フルオロメタロンアルコール、プレドニゾロンアセテート、リン酸プレドニゾロンナトリウム、ロトプレンドールエタボン酸塩、ヒドロコルチゾンアセテート、およびロドキサミドトロメタミンである。本開示の化学物質のいずれに関しても、化学物質は、アセテート形態およびリン酸ナトリウム形態、ナトリウム塩等の種々の修飾形態であり得ることを理解されたい。
組成物は、例えば、0.04ng/ml~4ng/ml、もしくは0.04ng/ml~0.4ng/ml、もしくは0.4ng/ml~4ng/ml、もしくは4~40ng/ml、もしくは40ng/ml~400ng/ml、もしくは40ng/ml~4000ng/mlのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤、あるいは、約0.04ng/ml、約0.08ng/ml、約0.12ng/ml、約0.4ng/ml、約0.8ng/ml、約1.2ng/ml、約4ng/ml、約12ng/ml、約24ng/ml、約40ng/ml、約80ng/ml、約120ng/ml、約240ng/ml、約400ng/ml、約800ng/ml、約1000ng/ml、約1600ng/ml、約2000ng/ml、約2400ng/ml、約3200ng/ml、もしくは約4000ng/mlのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含んでもよい。
さらなる例として、組成物は、0.4μg/ml~40μg/ml、もしくは0.4μg/ml~4μg/ml、もしくは4μg/ml~40μg/mlのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤、あるいは約0.4μg/ml、約0.8μg/ml、約1μg/ml、約1.2μg/ml、約2μg/ml、約4μg/ml、約8μg/ml、約12μg/ml、約20μg/ml、もしくは約40μg/mlのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含んでもよい。
さらなる例として、組成物は、0.1mg/ml~1mg/ml、もしくは0.5mg/ml~5mg/ml、もしくは1mg/ml~10mg/mlのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤、あるいは約0.1mg/ml、約0.5mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約5mg/ml、もしくは約10mg/mlのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含んでもよい。
組成物は、例えば、1ng/ml~1μg/ml、もしくは1ng/ml~10ng/ml、もしくは10ng/ml~100ng/ml、もしくは100ng/ml~1μg/mlのTGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、あるいは約1ng/ml、約5ng/ml、約10ng/ml、約20ng/ml、約50ng/ml、約100ng/ml、約200ng/ml、約500ng/ml、約800ng/ml、もしくは約1μg/mlのTGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片を含んでもよい。特定の態様において、組成物は、少なくとも4ng/mlのTGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片とともに、少なくとも40ng/mlのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含んでもよい。
組成物はまた、1つ以上の抗炎症薬を含んでもよい。例示的な抗炎症薬は、少なくとも、ケトチフェンフマル酸塩、ジクロフェナクナトリウム、フルルビプロフェンナトリウム、ケトルラクトロメタミン、スプロフェン、セレコキシブ、ナプロキセン、ロフェコキシブ、またはそれらの任意の誘導体もしくは組み合わせを含む。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が特に含まれる。組成物は、さらに、1つ以上の麻酔薬を含んでもよい。例示的な麻酔薬は、少なくとも、局所麻酔薬、例えば、プロパラカイン、リドカイン、およびテトラカイン、ならびにそれらの任意の誘導体または組み合わせ等を含む。他の眼用薬剤が組成物に含まれるように選択されてもよい:これらは、治療を受ける対象の状態および必要性に基づいて当業者によって選択され得る。
本明細書に記載の組成物は、本明細書に記載されるように、また既知の方法に従って、局所投与のために製剤化され得る。ある特定の状況において、眼内投与が望ましい場合がある。組成物は、眼への投与に適した任意の形態で提供され得る。例示的な製剤は、少なくとも、適切な眼科用ビヒクル中の、溶液、懸濁液、エマルジョン(分散系)、ゲル、クリーム、または軟膏を含む。例えば、組成物は、点眼薬、半固体ゲル、またはスプレーの形態で提供されてもよい。ある特定の態様において、成形コンタクトレンズまたは他の挿入物/インプラントに、本発明の組成物を含浸させることができる。このようにして、対象がコンタクトレンズを着用すると、組成物を連続的に、かつ持続放出様式で角膜に送達することができる。
眼への局所投与の場合、組成物は、5.0~8.0のpH範囲で製剤化されてもよい。このpH範囲は、溶液への緩衝液の添加によって達成され得る。製剤は、緩衝溶液中で安定であることが好ましい。すなわち、緩衝液と活性薬剤との間には、例えば、沈殿または凝集による、組成物を不安定にするであろう有害な相互作用は存在しない。組成物は、対象の必要性(例えば、作業上の必要性、休息時間、睡眠等)に応じて、高張性(5%~40%、好ましくは約10、20、30、もしくは40%)または低張性(0%~5%、好ましくは約1、2、3、もしくは4%)であり得る。高張性組成物(例えば、40%)は、本明細書に詳述されるように、成形コンタクトレンズと組み合わされる場合に使用され得る。
組成物は、任意選択的な成分として1つ以上の適切な保存剤を含んでもよい。適切な保存剤は、汚染、例えば、細菌汚染を防止するために加えられてもよい。そのような薬剤は、限定されないが、塩化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、フェニルエチルアルコール、EDTA、ソルビン酸、Onamer(登録商標)M、および当業者に既知の他の薬剤、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。そのような保存剤は、典型的には組成物の0.001重量%~1.0重量%のレベルで用いられ得る。
組成物は、任意選択的な共溶媒を含有してもよい。本発明の組成物の構成成分の溶解性は、組成物中の界面活性剤または他の適切な共溶媒によって高めることができる。そのような共溶媒/界面活性剤は、例えば、ポリソルベート20、60、および80、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン界面活性剤(例えば、Pluronic(登録商標)F-68、F-84、およびP-103)、シクロデキストリン、チロキサポール、および当業者に既知の他の薬剤、ならびにそれらのあらゆる組み合わせを含む。そのような共溶媒は、典型的には組成物の0.01重量%~2重量%のレベルで用いられ得る。
眼の中への組成物の取り込みを増加するために浸透促進剤が使用されてもよい。例示的な薬剤は、少なくとも、塩化セチルピリジニウム、ラサロシド等のイオノフォア、塩化ベンザルコニウム、パラベン、Tween 20、サポニン、Brij 35、Brij 78、Brij 98、エチレンジアミン四酢酸、胆汁酸塩および胆汁酸(コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸、ケノデオキシコール酸、およびウルソデオキシコール酸等)、カプリン酸、アゾン、フシジン酸ヘキサメチレンラウリン酸アミド、サポニン、ヘキサメチレンオクタンアミド、およびデシルメチルスルホキシドを含む。
加えて、組成物と眼との接触を延長するために、眼を覆うムチン膜に接着するための生体接着ポリマーが使用されてもよい。生体接着ポリマーは、多数の親水性官能基を有する巨大分子親水コロイド、例えば、静電相互作用を確立することができるカルボキシ-、ヒドロキシ-、アミド、および硫酸であってもよい。例示的な薬剤は、少なくとも、ポリアクリル酸(例えば、Carbopol、Carbophil、およびポリカルボフィル)およびカルボキシメチルセルロースを含む。
制御放出系もまた使用され得る:そのような系は、in situゲル、コロイド粒子、ナノ粒子、および/またはニオソームを含んでもよい。他の薬物送達系は、限定されないが、耐食性眼用挿入物、浸食性眼用挿入物、ハイドロゲル、コラーゲンシールド、リポソーム、薬物充填フィルム(例えば、NOD(登録商標))、およびイオン導入法を含む。
組成物はまた、粘度を増加させるための任意選択的な薬剤も含み得る。活性化合物の眼内吸収を高めるために、製剤を調剤する際の変動を減少させるために、製剤の懸濁液もしくはエマルジョンの構成成分の物理的分離を減少させるために、および/または別様に眼科用製剤を改善するために、単純水溶液の粘度を超えて増加される粘度が望ましい場合がある。そのような粘度上昇剤は、例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、当業者に既知の他の薬剤、またはそれらの組み合わせを含む。そのような薬剤は、典型的には組成物の0.01重量%~2%重量%のレベルで用いられ得る。
特定の態様において、組成物は、ゲル化剤、例えば、ゲランガム等の水溶性高分子多糖類を含む。ゲランガムは、種々の商業的供給源から得ることができ、例えば、Kelcogel(登録商標)の商品名で販売されている。特に、Kelcogel(登録商標)LT100は、柔らかく弾性のある非脆性ゲルを形成する、細目メッシュの高アシルゲランとして使用され得る。具体的な態様において、ゲランガムに基づく組成物は、0.5%点眼薬として製剤化される。
他の薬剤が、組成物をさらに安定化するためまたは別様に強化するために使用されてもよい。例えば、EDTA、塩化ナトリウム、チロキサポール、硫酸ナトリウム、および/またはヒドロキシエチルセルロースのうちの1つ以上が、組成物をさらに安定化するさらなる有益な効果を有し得る。
治療方法
上で述べたように、本明細書に記載の組成物は、角膜(例えば、実質層)および角膜細胞(例えば、角膜実質細胞)の再生または強化において特に有用である。具体的には、組成物は、角膜の形状、厚さ、規則性、硬度、弾性率、引張強度、または機能(例えば、屈折)を向上させるために使用され得る。したがって、本明細書に記載の組成物は、種々の角膜の状態および眼の屈折異常に対応するように使用されてもよく、また他の眼の治療の補助治療として使用されてもよい。
前述のように、組成物は、眼に投与するための任意の適切な手段で製剤化され得る。製剤として含まれるのは、点眼液、クリーム、エマルジョン、軟膏、およびゲルである。点眼薬として作製される製剤には特に留意されたい。特定の態様において、組成物は、多くの種類の市販の点眼薬ディスペンサーのいずれかを使用して点眼薬として投与されてもよい。例示として、本発明の組成物のための容器は、透明、半透明、および不透明であってもよく、ガラス内張り、異物混入防止、1回分または数回分の用量アリコートに梱包されている、およびそれらの任意の組み合わせ等の、他の特性または特性の組み合わせを含み得る。
組成物は、所望の医学的転帰を達成するために、治療有効量で対象に投与され得る。具体的には、組成物は、本明細書に記載される眼の状態に対応するため、またはそのような状態の1つ以上の症状を少なくとも軽減するための量で投与されてもよい。組成物の正確な投与量(すなわち、量および計画)は、対象および提示される状態に基づいて臨床医によって決定され得る。例示的な製剤(例えば、点眼薬)は、1~24回/日、または1~12回/日、または1~6回/日、または1~4回/日、または1~3回/日、または1~2回/日、または1、2、3、4、6、8、12、18、もしくは24回/日投与されてもよい。組成物は、治療される各眼に1滴を入れることによって点眼薬として局所的に適用されてもよい。代替として、2~3滴が各眼に適用されてもよい。
記載される組成物の場合、投与量範囲は、例えば、1回の用量につき片目当たり、0.2pg~2.4ng、もしくは2pg~2.4ngのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤、あるいは約0.2pg、約0.4pg、約0.6pg、約0.8pg、約1.2pg、約2.4pg、約2pg、約4pg、約6pg、約8pg、約12pg、約18pg、約24pg、約0.2ng、約0.26ng、約0.4ng、約0.6ng、約0.8ng、約1.2ng、約1.8ng、もしくは約2.4ngのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤であってもよい。
別の例として、投与量範囲は、1回の用量につき片目当たり、12ng~1.3μg、または6ng~600ngのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤、あるいは6ng、約8ng、約12ng、約16ng、約18ng、約24ng、約26ng、約30ng、約36ng、約40ng、約48ng、約52ng、約54ng、約60ng、約72ng、約78ng、約80ng、約90ng、約120ng、約130ng、約160ng、約180ng、約240ng、約260ng、約300ng、約360ng、約400ng、約480ng、約520ng、約540ng、約600ng、約720ng、約780ng、約900ng、約1.2μg、約1.3μgのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤であってもよい。
さらに他の例として、投与量範囲は、1回の用量につき片目当たり、1.5μg~150μg、2.6μg~260μg、もしくは6.5μg~650μgのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤、あるいは約1.5μg、約2μg、約3μg、約4.5μg、約6μg、約6.5μg、約7.5μg、約10μg、約15μg、約22.5μg、約32.5μg、約20μg、約26μg、約30μg、約40μg、約45μg、約60μg、約65μg、約75μg、約80μg、約90μg、約100μg、約120μg、約130μg、約150μg、約180μg、約225μg、約240μg、約260μg、約200μg、約300μg、約325μg、約450μg、約600μg、もしくは約650μgのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤であってもよい。特定のデキサメタゾンの製剤は市販されており、それらは許容される投与量および投与計画に従って用いられてもよいことを認識されたい。
上記デキサメタゾンの投与量のいずれも、例えば、1回の用量につき片目当たり、5pg~65ng、または0.5ng~65ngのTGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、あるいは約5pg、約10pg、約15pg、約20pg、約30pg、約45pg、約60pg、約0.05ng、約0.1ng、約0.15ng、約0.2ng、約0.3ng、約0.45ng、約0.5ng、約0.6ng、約0.65ng、約1ng、約1.5ng、約2ng、約3ng、約4ng、約4.5ng、約6ng、約6.5ng、約7.5ng、約9ng、約10ng、約12ng、約13ng、約15ng、約16ng、約20ng、約22.5ng、約24ng、約30ng、約32.5ng、約36ng、約40ng、約45ng、約48ng、約50ng、約52ng、約60ng、もしくは約65ngのTGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片の投与量範囲と同時投与されてもよい。
片目の投与量は、開示される組成物の約1滴であってもよい。1滴の組成物は、10μl~200μl、20μl~120μl、もしくは50μl~80μl、またはその間の任意の値であってもよい。例えば、ピペッター等のディスペンサーは、1μl~300μlおよびその間の任意の値の液滴を分注することができる。好ましくは、ディスペンサーは、開示される組成物1滴当たり、約15μl、約20μl、約30μl、約45μl、約60μl、または約65μlを計量する。
組成物がコンタクトレンズまたは別の挿入物/インプラントデバイスを介して投与される場合、コンタクトレンズまたは挿入物/インプラントは、例えば、0.01mg~10mgのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤、あるいは約0.01mg、約0.1mg、約0.5mg、約0.7mg、約1mg、約5mg、または約10mgのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含んでもよい。代替として、コンタクトレンズまたは挿入物/インプラントは、10ng~100ngのデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤、あるいは約1ng、約5ng、約10ng、約20ng、約50ng、約80ng、または約100ngのデキサメタゾン,またはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含んでもよい。さらなる例として、コンタクトレンズまたは挿入物/インプラントは、約10ng~1μgのTGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、あるいは約10ng、約50ng、約100ng、約200ng、約500ng、約800ng、または約1μgのTGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片を含んでもよい。
本明細書に記載の組成物は、種々の外科的手技または他の治療と併せて使用されてもよい。例えば、組成物は、眼の屈折矯正のための外科的方法および非外科的方法とともに使用することができる。例示的な方法は、限定されないが、ミニ非対称放射状角膜切開術(MARK)を含む放射状角膜切開術(RK)、六角形角膜切開術(HK)、レーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)、角膜曲率形成術、レーザーin situ角膜曲率形成術(LASIK)、例えば、intraLASIK(登録商標)、レーザー上皮細胞屈折矯正術(LASEK)、例えば、Epi-LASEK、自動角膜層状切除(ALK)、レーザー熱角膜形成術(LTK)、伝導式角膜形成術(CK)、角膜輪部減張切開術(LRI)、乱視矯正角膜切開術(AK)、エピケラトファキア、前毛様体強膜切開術(ACS)、強膜補強術、老視の回復、老視のレーザー回復術(LRP)、角膜内リング(ICR)、角膜実質内リング(例えば、INTACTS(登録商標))、移植可能なコンタクトレンズ、強膜拡張バンド(SEB)、およびKamra(商標)インレーを含む。加熱角膜形成術、角膜矯正治療、酵素角膜矯正治療、および化学的角膜矯正治療もまた含まれる。
組成物は、非屈折性状態の外科的矯正、例えば、角膜裂傷の外科的矯正と併せて使用されてもよい。特定の態様において、本明細書に記載の組成物は、角膜に対して行われる特定の外科的方法と併せて使用されてもよい。例示的な方法は、限定されないが、角膜の移植手術、全層角膜移植(PK)、治療的表層角膜切除術(PTK)、翼状片切除、角膜染色、人工角膜挿入(例えば、KProまたはDohlman-Doane)、および歯根部利用人工角膜挿入(OOKP)を含む。
組成物は、角膜コラーゲン架橋と併せて使用されてもよい。角膜架橋は、典型的には、UVA光線への曝露によって活性化されたリボフラビン溶液の使用を伴う。知られている架橋方法は、限定されないが、上皮が除去される角膜架橋(ドレスデンプロトコル、またはエピオフ)、経上皮架橋(エピオン)、および加速架橋を含む。架橋手順は、一般的に入手可能であり、とりわけ、CXL、C3-R(登録商標)CCL(登録商標)、およびKXL(登録商標)角膜架橋として販売されている。組成物の投与は、架橋手順の前および/または後であってもよい。開示される組成物は、角膜実質の濁りおよび細胞喪失(後により詳細に記載される)等の架橋手順の有害な影響を回避するかまたはそれに対抗するために使用することができると提唱されている。さらに、開示される組成物を用いた角膜の再生は、以前はそのような手順に不適応であった対象、例えば、角膜の厚さが400μm未満の対象に対して架橋を行うことを可能にすることができる。さらに、開示される組成物は、架橋のみの使用によっては対応されない進行性の角膜の菲薄化を遅延または停止するために使用することができる。
本明細書に記載の組成物は、1つ以上の追加の眼用薬剤と同時投与されてもよい。種々の態様において、同時投与は、そのような薬剤との同時投与もしくは後続投与によるか、またはそのような薬剤との共製剤化によるものであり得る。治療されるまたは予防される状態に応じて、本明細書に記載の組成物は、限定されないが、抗ヒスタミン薬、感神経模倣薬、β受容体遮断薬、副交感神経刺激薬、副交感神経遮断薬、プロスタグランジン、栄養剤、血管収縮剤、潤滑剤、抗菌剤、および麻酔薬を含む、1つ以上の薬剤と同時投与されてもよい。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含む種々の抗炎症薬が特に含まれる。組成物はまた、眼潤滑液および人工涙液と同時投与されてもよい。
麻酔薬の非限定的な例は、ベンゾカイン、ブピバカイン、コカイン、エチドカイン、リドカイン、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、クロロプロカイン、プロカイン、プロパラカイン、ロピカイン、およびテトラカインを含む。抗炎症薬の非限定的な例は、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スルファサラジン、オルサラジン、サリチル酸ナトリウム、トリサルチル酸コリンマグネシウム、サルサレート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スリンダク、エトドラク、トルメチン、ジクロフェナク、ケトロラク、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、スプロフェン、オキサプロキシン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、オキシカム、ピロキシカム、テノキシカム、ピラゾリジンジオン、フェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン、フェニラミン、アンタゾリン、ナブメトン、COX-2阻害剤(Celebrex(登録商標))、アパゾン、ニメスリド、および、ジレウトンを含む。ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、フルオロメトロン、および、デキサメタゾン等のグルココルチコイドもまた、抗炎症薬として使用され得る。
例示的な抗菌剤は、限定されないが、亜鉛バシトラシン、クロラムフェニコール、クロロテトラサイクリン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、ノルフロキサシン、スルファセタミド、スルフイソキサゾール、ポリミキシンB、テトラサイクリン、トブラマイシン、イドクスウリジン、トリフルリジン、ビダラビン、アシクロビル、フォスカネット、ガンシクロビル、ナタマイシン、アンフォテリシンB、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、フルシトシン、クリンダマイシン、ピリメタミン、フォリン酸、スルファジアジン、および、トリメトプリム・スルファメトキサゾールを含む。例示的な血管収縮剤は、限定されないが、ジピベフリン(Propine(登録商標))、エピネフリン、フェニレフリン、アプラクロニジン、コカイン、ヒドロキシアンフェタミン、ナファゾリン、テトラヒドロゾリン、ダピプラゾール、ベタキソロール、カルテオロール、レボブノロール、メチプラノロール、およびチモロールを含む。栄養素は、ビタミン、ミネラル、および他の有益な物質、例えば、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンE、ビタミンK、および亜鉛を含む。
具体的な態様において、本明細書に記載の組成物は、点眼薬として製剤化され、そのような点眼薬は、他の点眼薬製剤と併せて使用される。そのような他の点眼薬は、限定されないが、洗浄/潤滑点眼薬、ドライアイ治療薬、ステロイドおよび抗生物質点眼薬、緑内障点眼薬、アレルギー/抗炎症点眼薬、ならびに結膜炎点眼薬を含む。
組成物は、対象の角膜の支持または再形成を補助するために、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングと併せて使用されてもよい。角膜挿入物には、角膜インレーおよび角膜アンレーデバイスが含まれる。例えば、コンタクトレンズ、角膜実質内リング、または他の挿入物/インプラントは、組成物を用いた治療の前、間、および/または後に角膜の形状を成形するかまたは維持するために使用されてもよい。角膜の「挿入物」は、典型的には、角膜の中に一時的に挿入されるデバイスを指すのに対し、角膜の「インプラント」は、典型的には、より恒久的なデバイスを指すことに留意されたい。しかしながら、当該技術分野において、多くの周知のデバイスはインプラント/挿入物として交換可能に記載されている。したがって、本明細書で使用される「挿入物/インプラント」という用語は、使用される時間に基づいて厳密に限定的であると見なされるべきではない。
コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、角膜の欠陥、疾患、損傷、傷害、および/または変性、ならびに眼の屈折異常の治療のために、開示される組成物とともに使用されてもよい。種々の態様において、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、組成物のための担体として、または組成物溶出デバイスとして作用し得る。他の態様において、コンタクトレンズ、角膜実質内リング、または他の角膜挿入物/インプラントは、本明細書において詳述されるように、眼への投与に適した組成物、例えば、点眼薬とともに用いられてもよい。ある特定の態様において、対象に最も適したコンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、もしくは角膜実質内リングを決定するために、かつ/または組成物の配合を決定するために、コンピュータソフトウェアが使用されてもよい。特定の態様において、本明細書に記載の組成物とともに、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングを用いた治療は、眼の手術、例えば、屈折矯正手術または移植手術の前または後に使用される。
治療は、対象を評価すること(例えば、対象の年齢、作業上の必要性、眼球異常または障害等)、角膜の前面の曲率半径に必要な変化の助けとなるように、成形コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングの使用を処方すること、およびコンタクトレンズまたはインプラント/挿入物と併せて使用されるように本明細書に記載の組成物を処方することを含む。処方され、対象によって用いられるコンタクトレンズまたはインプラント/挿入物は、角膜に機械的力を及ぼし、それによって形状の変化、すなわち、角膜の屈折力を誘導するように使用することができる。
ある特定の好ましい態様において、角膜は、開示される組成物と併せた角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングの使用によって支持または形成され得る。市販のデバイスの例は、INTACS(登録商標)およびKeraRing角膜実質内リングを含む。別の態様において、成形コンタクトレンズが、開示される組成物と併せて使用されてもよい。コンタクトレンズは、ハードまたは硬質であり得るか、またはソフトレンズであり得る。代替として、コンタクトレンズは、硬い部分と柔らかい部分の両方を備えてもよい。ソフトコンタクトレンズが使用される場合、角膜により大きな正または負の曲率が誘導され得、対象の眼における不快感は、その対象がコンタクトレンズに順応するにつれて減少するであろう。ハードコンタクトレンズが使用される場合、より大きな機械的圧力が角膜に及ぼされる可能性がある。コンタクトレンズは、気体透過性であってもよい。成形コンタクトレンズは、商業的供給源から得られてもよい。市販のレンズの例として、少なくとも、DreamLite、OK Lens、EyeDream、MiracLens、DreamLens、i-GO OVC、GOV、Wake and See、CRT、Fargo/iSee、Emerald、およびWave Contact Lens Systemのレンズが挙げられる。
一旦、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングが対象の眼の上/中に配置されると、本明細書に記載の組成物(例えば、点眼薬)が眼に投与されてもよい。ある特定の状況において、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングの配置前に、組成物を前投与することが望ましい場合がある。有利には、コンタクトレンズ、角膜実質内リング、または他の挿入物/インプラントと組成物とは、角膜の形状に変化をもたらし、それによって屈折力を生じさせるように、併せて使用されてもよい。組成物は、角膜が所望の形状変化を受け入れることができるように、より頻繁に投与されてもよい。ある特定の態様において、組成物は、少なくとも24、12、または8時間毎に投与される。他の態様において、組成物は、6時間毎に投与される。ある特定の他の態様において、組成物は、約3時間毎に投与される。さらに他の態様において、組成物は、約2時間毎に投与される。さらに他の態様において、組成物は、1時間毎に投与される。
いずれか特定の理論に拘束されることを望むものではないが、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングと、本明細書に記載の組成物との併用は、角膜の分子構造における変化を含んでもよく、角膜実質に見出される細胞およびコラーゲン(例えば、II型コラーゲン)等のタンパク質の変化を誘導し得る。そうすることで、角膜の表面がより均一になる。角膜の表面の不規則性を低減することにより、全ての像の質および透明さ(すなわち、視力)が改善される。
成形コンタクトレンズの計算には、最も平坦な角膜曲率測定が用いられる。当業者はまた、より傾斜した角膜曲率測定または両方の平均を使用することができ、この角膜の曲率に基づいて、角膜の前面の曲率半径を平坦にするかまたは傾斜させるのに必要な計算を行い、ひいては眼の屈折欠陥を矯正する。成形コンタクトレンズのベースカーブは、それぞれの眼の屈折力の変化に基づいて別々に計算され得る。特定の態様において、成形コンタクトレンズのベースカーブは、要求される屈折異常に応じて、1~4つのより平坦なまたはより傾斜したジオプタ、より好ましくは1~3つのより平坦なまたはより傾斜したジオプタ、さらにより好ましくは1~2つのより平坦なまたはより傾斜したジオプタで計算され始めることができる。周辺ベースカーブは、成形コンタクトレンズの順応に依存し、中心ゾーンより大きい0.5mmの直径となるように計算されるが、設計に応じて異なり得る。
本発明に従って使用される成形コンタクトレンズの直径は、8.0mm~18.0mmであり得る。市販のレンズはそのような直径で製造される。ある特定の態様において、成形コンタクトレンズは、8.0mm~12.0mmの範囲の直径を有するハードコンタクトレンズであってもよい。他の態様において、成形コンタクトレンズは、13.0mm~15.0mmの範囲の直径を有するソフトコンタクトレンズであってもよい。ソフトコンタクトレンズは、角膜全体を覆い、強膜から強膜に及んでもよい。さらにほかの態様において、成形コンタクトレンズは、硬い材料と柔らかい材料からなってもよい。コンタクトレンズは、中心部が硬く、約12.0mm、13.0mm、14.0mm、または15.0mmまでであってもよく、周辺部は柔らかく、16.0mm、17.0mm、および18.0mmまでであってもよい。より大きなコンタクトレンズ、好ましくはソフトコンタクトレンズが、成形コンタクトレンズとして夜に使用されてもよい。
成形コンタクトレンズの度数は、対象が快適に見るために必要な屈折力にできるだけ近くなるよう決定され得る。成形コンタクトレンズの順応プロセスの間、視力が対象の必要性を満たすのに十分でない場合、その対象は、治療を受ける間に眼鏡を処方される。角膜が再形成されているかまたは再形成された場合、治療が計画通りに進んでおり、かつ適切であることを確認するために、種々の検眼測定が繰り返される。そのような測定は、近見視力および遠見視力に関する視力、オルソタイプ、角膜曲率測定、客観的および主観的な網膜検影法、成形コンタクトレンズの順応図、成形コンタクトレンズの動き、ならびに成形コンタクトレンズの快適性が挙げられ得る。
測定が行われた後、これらの測定に基づいて治療プログラムに変更が行われてもよい。評価ごとに、同じ成形コンタクトレンズを続けるかどうか、または新しいコンタクトレンズを使用するべきかの決定が行われ得る。さらに、成形コンタクトレンズとともに使用される組成物に関しても同じ決定を行うことができる。成形コンタクトレンズおよび/または組成物の変更は、数週間にわたって角膜の所望の再形成を誘導するために行われ得る。ある特定の態様において、毎週の定期的な補正は、治療が開始されてから最初の8週間の間に行われる。
本明細書に記載の組成物は、角膜のコラーゲン含有量(例えば、II型コラーゲン)に変化をもたらす。角膜の解剖学的形態、組織像、および生理機能の他の態様も、組成物によって影響を受け得る。ある特定の態様において、組成物は、角膜の水和に変化をもたらすために、高張性または低張性であり得る。他の態様において、組成物は、角膜の分子構造(例えば、細胞外マトリックス)を変更し、このようにして、角膜を強化もしくは修復するか、または所望の曲率になるように角膜を再形成するために使用されてもよい。
角膜を再形成する場合、角膜を軟化するための1つ以上の酵素を同時投与することが望ましい場合がある。例示的な酵素は、限定されないが、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC、ケラタンゼ、およびストロメライシンを含み、これらは、角膜の種々のプロテオグリカン成分に作用することが示されている。酵素コラゲナーゼ、マトリックスメタロプロテアーゼ1(間質コラゲナーゼ)、およびマトリックスメタロプロテアーゼ2(ゼラチナーゼ)もまた含まれる。組成物がそのような酵素と同時投与される場合、そのような酵素の作用を高めるために、ポリマー等のビヒクル(例えば、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、セルロース等)を組成物中に含むことが望ましい場合がある。メタロプロテアーゼ酵素を活性化するために、さらなる薬剤、例えば、インターロイキン-1α、腫瘍壊死因子α/βおよびその任意の亜型、尿酸ナトリウム1水和物、酢酸4-アミノフェニル水銀、ヒト血清アミロイドA、ヒトBミクログロブリン、および塩化銅が含まれてもよい。カルバミド(尿素)もまた含まれ得る。また、これらの薬剤の任意の組み合わせも使用され得る。
組成物はまた、角膜に見出される他の糖類またはタンパク質を分解する1つ以上酵素と同時投与されてもよい。組成物は、成形コンタクトレンズまたは任意の角膜挿入物/角膜インプラントの刺激を軽減するために使用される1つ以上の麻酔薬と同時投与されてもよい。組成物は、治療中の対象の快適性を向上させるために1つ以上の潤滑剤と同時投与されてもよい。他の態様において、組成物は、抗細菌剤、抗ウイルス剤、および/または抗真菌剤等の1つ以上の抗菌剤と同時投与されてもよい。組成物はまた、1つ以上の血管収縮剤と同時投与されてもよい。当業者は、治療される状態に基づいて、対象への同時投与に適切な薬剤を決定することができる。
ある特定の態様において、組成物は、キット内に提供されてもよい。キットは、成形コンタクトレンズ、潤滑点眼薬、コンタクトレンズ用洗浄液または他の溶液、コンタクトレンズ携帯ケース、予備のコンタクトレンズ一対、ならびにコンタクトレンズ着用および組成物使用に関する指示書のうちの1つ以上を含んでもよい。キットとともに提供される組成物は、構成成分(TGFβ3ポリペプチド(またはその変異体もしくは断片)とデキサメタゾン(またはその誘導体もしくは関連ステロイド剤))との組み合わせを含むように製剤化されてもよいか、またはキットは、投与前に一緒に混合されるかまたは一緒に投与される、すなわち、同時投与または連続投与による、別々の製剤として、構成成分を含んでもよい。
本明細書に記載される実施例は、特定の実施形態および態様を例示する目的で提供されるのであって、決して本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、本明細書に記載される開示および教示を用いて、過度な実験を行うことなく、他の実施形態、態様、および変形例を作り出すことができる。そのような全ての実施形態、態様、および変形例は、本発明の一部であると見なされる。
実施例1:実験の概要
以前の実験において、本発明者は、角膜実質細胞を神経細胞系統に分化するように誘導することが可能であることを示した。本明細書に記載の実験は、角膜実質細胞が軟骨特異的II型コラーゲンを分泌する軟骨細胞様細胞に転換する可能性を調査することを目的としていた。この種類の軟骨は、発生中に発現されると考えられる(Linsenmayer et al.1990)。さらなる目的は、生きたラットの角膜においてin vivoでII型コラーゲンの沈着を誘導することができるかどうか、およびこの処置が角膜の光学的特性に好ましい影響を与えたかどうかを確認することであった。さらなる目的は、円錐角膜の組織中の角膜実質細胞が、この細胞リプログラミングの方法および後続のII型コラーゲンに富んだECMの産生に適用可能であり得るかどうかを決定することであった。最後に、この実験は、II型コラーゲンの沈着がin vivoおよびex vivoで処理した角膜の生体力学的特性に及ぼす影響を、硬度および弾性率の分析を可能にする生物工学的アプローチであるナノインデンテーション試験を使用して評価することを目標としていた。
実施例2:組織試料
ヒト組織
死体の全ヒト角膜、移植手術時に得られた円錐角膜の角膜、ヒト角膜縁周縁部、および外科医が切除したDSEKキャップ(角膜内皮移植からの余分な角膜実質組織)は、New Zealand National Eye Bank(Auckland,New
Zealand)から供給されたドナーから得られた。角膜縁接合部から2mmの角膜縁を残して角膜移植手術のために中央角膜ボタンが除去された後、ヒト角膜縁周縁部を採取した。組織を使用する前に、Northern X Regional Human Ethics Committeeから研究倫理承認書および同意書が得られた。全ての組織は、使用するまでNew Zealand Eye Bank培地(イーグルMEM培地中に2%FCS、2mM L-グルタミン、1×Anti-Anti)に保存し、New Zealand Eye Bank輸送培地(5%デキストランを添加したEye
Bank培地)中で輸送された。
動物組織
University of Auckland Animal Ethics Committeeから動物試験に関する倫理承認書が得られた(承認番号R856)。二酸化炭素室を使用した安楽死後に、6~8週齢の成獣雄ウィスターラットから眼および軟骨を得た。動物から全眼を除去し、解剖顕微鏡下で外科用ハサミを使用して、角膜を慎重に切除した。剣状突起は、その端部に薄くて広い軟骨板を含む頬骨の一部であるが、メスの刃を使用してこれを切除した。動物組織をポビドンヨード(PVP-I)およびチオ硫酸ナトリウムで洗浄した。軟骨を覆う余分な脂肪および組織は、刃で掻爬した。新たに回収した眼および軟骨は、使用するまでの最小限の時間、リン酸緩衝食塩水に保存した。
実施例3:組織学的解析
組織の調製および凍結切片化
角膜片および軟骨片(2mm×2mm)を、液体窒素中で瞬間凍結する前に、Optimal Cutting Temperature(OCT)化合物(Tissue-Tek、Sakura、The Netherlands)に包埋した。厚さ10~15μmの切片を、Microm HM550 Cryostat(Thermo-Scientific、USA)を使用して切断し、SuperFrost(商標)Plus静電式スライド(Menzel-Glenser、Germany)に載せた。凍結切片は、次に使用するまで-20℃で保存した。
細胞および組織の培養
ヒトおよびラット角膜からの組織消化および細胞調製
角膜縁周縁部を切除して、クラスII層流フード内で強膜から角膜実質を単離した。この後、角膜上皮および内皮を角膜切開刀で穏やかに掻爬し、廃棄した。DSEKキャップにも、角膜切開刀を用いた穏やかな掻爬を行って上皮を除去した。次いで、残りの角膜実質組織を、回転式振盪機上で穏やかに混合しながら、37℃のハンクス平衡塩類溶液(GIBCO(登録商標)、Life Technologies)中0.4%のII型コラゲナーゼ(Sigma-Aldrich)で消化した。様々な消化時間を用いたが、最適な組織消化および細胞生存率には5時間が必要であった。
組織消化が完了した後、1200rpmで7分間遠心分離することにより細胞をペレット化した。次いで、最小量の適切な細胞培養培地中に細胞を再懸濁し、Leica DM
IL卓上倒立顕微鏡およびNeubauer血球計数器を使用してカウントした。1:1の比でトリパンブルー溶液(PBS中0.04%のトリパンブルーストック)に加えた細胞懸濁液を、試料当たり最低3カウントで使用し、平均値を取った。
角膜実質細胞の細胞培養
細胞操作は、クラスII層流フード内で無菌技術を用いて行った。単離した角膜実質細胞を、2~3mlの細胞培養培地中のプラスチックまたはガラス製カバースリップ上の12ウェルまたは24ウェルクラスタープレート(Falcon)内で培養した。細胞は、5%COを含む37℃の加湿インキュベーター内に維持した。培養培地を24時間後に交換し、その後は2日おきにまたは必要があればより頻繁に交換した。細胞は、Leica DM IL卓上倒立顕微鏡を用いて毎日観察した。細胞ペレット培養のために、プラスチック製の円錐管内で、300gで7分間20℃にて遠心分離することにより組織をペレット化した後、細胞を新たに得た。適切な培養培地を試験管に加えた。37℃で24時間のインキュベーション後、細胞が収縮し、管の壁に接着しないペレットが形成された。37℃の5%COの加湿雰囲気中、2mlの培地中でペレットを3週間培養した。培地は1日おきに交換した。
器官型切片培養
ヒトおよびラットの角膜組織および軟骨組織を、刃を用いて前後平面に切片化し(1~2mm)、切片を器官型の空気/液体界面培養系に配置した(図2)。端的に述べると、正常組織の外植片を、0.4μm孔径の細胞培養インサート(Millicell、France)上で、培養培地とCO富化環境との界面で培養した。角膜切片は、上皮側を上にして3mlの培養培地を含む細胞培養プレート上に配置した。培養培地は1日おきに交換した。
実施例3:In vitroリプログラミング
培養培地
下の表に記載されるように、いくつかのカスタムメイド培地を使用した。
Figure 2023066425000003
Figure 2023066425000004
角膜実質細胞の軟骨形成リプログラミング
軟骨形成分化培地中で組織片を様々な時間間隔で培養し、増殖因子処理に必要とされる最適な時間を決定した。各時点で試料を回収した(表2)。細胞の単層を得るために、ガラスカバースリップ上に15×10/cmの密度で角膜実質細胞を播種した。細胞を24時間カバースリップに付着させ、1日おきに培養培地を交換した。細胞は、最長3週間維持した。
Figure 2023066425000005
実施例4:In vivoリプログラミング
増殖因子送達のためのゲル点眼薬製剤
細菌Pseudomonas elodeaによって産生される水溶性多糖類であるゲランガムを使用して、点眼薬を製剤化した。ゲルベース製剤の使用は、角膜滞留時間の延長、および治療薬の眼アベイラビリティの増加を可能にする。高分子ゲランガムはアニオン性ポリマーであるため、Ca2+、Mg2+、K、およびNa等の一価および二価のカチオンの存在下ではin situゲル化を経験する(Bakliwal,&Pawar 2010)。涙液中に存在する電解質は、点眼されるとポリマーのゲル化を引き起こし、次により長い滞留時間および薬物のバイオアベイラビリティの増大をもたらす(Ludwig 2005)。以前の製剤化試験に基づいて、ポリマー製剤は、無刺激性であり、in vivoでの使用に安全である(Rupenthal,Green,&Alany 2011)。
最初に蒸留水を80℃に加熱し、その後、ゲランガム(Kelcogel(商標)USA)を絶えず撹拌しながら加えることによって0.5%溶液を調製した。粉末が完全に溶解してから、溶液を冷却し、4℃で保存する。適切な量の増殖因子を絶えず撹拌しながら流動性ゲルに加える。培養培地中で使用されるよりも10倍高い濃度の増殖因子を用いて、鼻涙の排出および瞬きによって失われる薬物を補完した。点眼薬ゲルは、最終濃度100ng/mlのTGFβ3および約4μg/mlのデキサメタゾンを含んでいた。
神経原性因子および軟骨形成因子を用いた処理
動物を手で保定し、約15μLの点眼薬を右眼に点眼した(図3)。反対側の眼を対照眼として用いた。1日3回の点眼薬を、神経細胞の特異化には最長5日間投与し、軟骨形成細胞の特異化には最長8週間投与した。
実施例5:免疫組織化学(IHC)解析
組織の回収および処理
処理終了時に、二酸化炭素室を使用して動物を安楽死させた。眼を採取してリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した。次いで、角膜を慎重に切除し、4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で1時間固定し、凍結および切片化の前に組織を凍結保護するためにスクロース溶液で処理した。凍結保護としてのスクロースは、凍結組織片における氷晶アーチファクトの形成を防止する脱水剤である。組織の緩慢凍結の場合、凍結保護が特に重要である。
端的に述べると、4℃の20%スクロース溶液に角膜を5時間浸漬し、次いで、30%スクロース溶液に移し、組織が沈むまで4℃に維持した(通常は一晩)。次いで、角膜をOCT化合物中に包埋し、液体窒素に浸漬して急速凍結を引き起こした。凍結した組織ブロックは、次に使用するまで-80℃で保存した。約10~15μmの厚さのクリオスタット切片をSuperFrost(商標)Plusスライドに載せ、必要とされるまでスライドを-80℃で保存した。細胞培養の場合、カバースリップ上で培養した細胞をPBSですすぎ、4%PFAで15分間固定した。カバースリップを次に使用するまでPBSに浸漬した。
免疫組織化学
凍結組織切片に関して、免疫組織化学を行う前に、スライドを15~20分間室温で維持した。PBSを使用してOCTを洗い流し、組織の周辺ゾーンを、ワックスペンを使用して境界を画定した。組織片は、最初に10%正常ヤギ血清のブロッキング溶液を用いて1時間インキュベートした後、適切な希釈率の一次抗体を用いて4℃で一晩インキュベートした。次いで、スライドをPBS中で3回すすいだ後、適切な希釈率の二次抗体を用いてインキュベーションした。二次抗体を室温で2時間静置した。核マーカー4’,6’-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)を用いて切片を対比染色し、Citifluor退色防止剤(ProSciTech、Australia)に埋め込んだ。Olympus FluoView(商標)FV-1000共焦点レーザー走査型顕微鏡(405nm、473nm、および559nm波長レーザー)およびLeica DMRA蛍光顕微鏡を使用して撮像した。
Figure 2023066425000006
実施例6:遺伝子発現解析
RNA単離およびcDNA合成
試料からのmRNA抽出は、PureLink(登録商標)RNA MicroKit(Invitrogen)を使用して行った。端的に述べると、組織試料を0.75mlのTRIzol(登録商標)および担体RNAと混合し、手持ち式ホモジナイザー(PRO Scientific,Inc.)を使用してホモジナイズした。次いで、0.2mlのクロロホルムを用いて試料をインキュベートした後、12000rpmおよび4℃で15分間遠心分離した。上相を分離し、エタノールと混合し、次いで回収カラムチューブに移した。
12000rpmで1分間遠心分離することによりRNAを回収した。フロースルーを廃棄し、抽出したRNAをデオキシリボヌクレアーゼ(DNAse)で処理した。提供された緩衝液で数回カラムを洗浄し、最後にRNAを、リボヌクレアーゼ(RNAse)を含まない水に分散した。NanoDrop(登録商標)(Thermo Scientific)を使用して濃度を決定し、mRNAを-80℃で保存した。
SuperScript(登録商標)VILO(商標)cDNA Synthesis
Kit(Invitrogen(商標)、Life Technologies)を使用してcDNAを調製した。端的に述べると、100ngのRNAを、VILO(商標)Reaction Mix、SuperScript(登録商標)Enzyme Mix、およびRNAse不含水とともに25℃で10分間インキュベートした。次いで、試料を42℃で120分間インキュベートした後、85℃で5分間インキュベーションした。cDNAを-20℃で保存した。
TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイを使用した定量的PCR
対象とする遺伝子のためにTaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイを得た。PCRステップにおいて、10μLのTaqMan(登録商標)Universal Master Mix IIを1μLのアッセイ試料、約25ngのcDNA、および9μLの水と合わせて体積を20μLとした。試験管をボルテックスし、短時間遠心分離して内容物を沈殿させた。各cDNA試料を3通り調製し、384ウェルプレートにピペットで注入した。各反応混合物20μLをMicroAmp(登録商標)Optical 384-Well Reaction Plate(Applied Biosystems)の各ウェルに充填した。次いで、プレートをMicroAmp(登録商標)Optical Adhesive Film(Applied Biosystems)で覆い、プレートを短時間遠心分離して気泡を除去した。プレートを7900HT Fast Real-Time PCR Systemに移し、以下の熱サイクルパラメータを使用して実行した:50℃で2分、95℃で10分、その後95℃で15秒および60℃で1分を40サイクル。結果は、前の項に記載されるように分析した。
Figure 2023066425000007
実施例7:in situでの角膜実質ECMタンパク質沈着後の生体力学的特性および光学的特性の試験
げっ歯類の眼球前部分(前部構造)の実験
角膜の生体力学は、種々の角膜疾患の診断および治療において関連性があることが示されており、角膜の構造、および角膜の生理的機能との関係に関する洞察を提供する。透明性の低下は望ましくないため、ECMタンパク質の沈着を引き起こすための処理を受けた角膜は、角膜混濁についても検査する必要がある。
Phoenix Micron IVげっ歯類眼撮像システム(Phoenix Research Labs)を使用して、処理したラットの角膜を調べた。最初に、ケタミンおよびDomitor(登録商標)(3:2)の腹腔内注射を用いてラットを鎮静化した。Micron IV撮像システムの細隙灯アタッチメントを使用して、角膜の層を詳細に調べ、角膜の完全性および透明性を確認した。角膜の透明性を確認するために網膜像の撮像も行った。撮像後、鎮静の回復のために、ラットにAntisedan(登録商標)(atipamezole)を投与した。
in vitroおよびin vivo処理した角膜のナノインデンテーション測定
ナノインデンテーションは、対象とする試料面に垂直な微弱な力を印加し、結果として得られた試料の圧痕の測定を通して、対象とする材料の機械的測定を提供する(Dias&Ziebarth 2013)。ナノインデンテーションは、組織および他の生体材料におけるナノスケールおよびミクロスケールの機械特性を測定するための強力なツールとして最近出現した(Ebenstein&Pruitt 2006)。さらに最近のin
situ 走査型プローブ顕微鏡(SPM)画像処理の発展では、ナノインデンター先端部が、ナノインデンテーションと組み合わされた3D画像処理デバイスとして同時に使用され、新規材料研究の新しい波をもたらした(Dickinson&Schirer 2009)。ナノインデンテーション先端部が制御荷重下で角膜組織に押し込まれる間に、力、変位、および時間が同時に記録される。ナノインデンテーションの間に印加される力は、数ナノニュートンほど小さくてもよいか、または数ニュートンほど大きくてもよく、広範なサイズスケールでの試験を可能にする。ナノインデンテーション試験は、荷重変位曲線として出力され、角膜の剛性、完全性、および弾性に関連する機械的特性を算出するための明確に定義された方程式を用いて分析することができる。
ヒト円錐角膜の角膜を、対照培地中、またはリプログラミング因子を誘導する特定のECMタンパク質を含有する培地中の器官型培養液に入れた。次いで、処理期間の終了時に、ナノインデンテーション測定を行った。in vivo試験のために、動物を手で保定し、リプログラミング因子を含有する約15μLのゲル点眼薬製剤を各ウィスターラットの右眼に点眼した。反対側の眼を対照眼として用いた。点眼薬を1日3回、最長7週間投与した。単離した眼に対する処理期間の1週目、3週目、または7週目の後に、ナノインデンテーションの測定値を記録した。
ナノインデンテーション試験は、University of AucklandのChemical and Materials Engineering labで行われた。角膜をその自然な位置で検査するために、ナノインデンテーションには型が必要であった。以前の試験では、角膜を所定の位置に保持するためにポリスチレンおよびブルータックを使用していた。荷重下で型が変形することの影響は潜在的な誤差の源であるため、試験のために硬い型が決定された。型を作製するために使用された最初の材料は、従来の粘土であった。これをヒト角膜試料の正確な形状および曲率に形成した(図6(A))。次いで、粘土を試験に使用するまでの2日間放置して硬化させた。ラット眼の試験は、眼球全体が用いられるため若干異なるものであった。眼球を所定の場所に保持するために、樹脂で充填された、眼球を保持するための小さな窪みを有するペトリ皿が使用された(図6(B))。試料を乾燥させないためにPBSを使用した。
試料は非常に柔らかい生体試料なので、全てのナノインデンテーション試験には円錐球状の流体先端部を使用した。ヒト試料に用いられた押し込み荷重は50μNであった。ラット眼球には、3~5μNの荷重範囲が用いられた。光ファイバーライトを点灯し、顕微鏡からの光線の下で試料を直接配置した。角膜の中央部をできる限り正確に光線の下に直接配置した(図6(C))。角膜の表面が良好な解像度で観察できるまでZ軸スライダーを調節することにより試料に焦点を合わせた。角膜試料中央の最も高い点に確実に焦点が合うように、X軸およびY軸方向に視野を移動させて、焦点がどのように変化するかを観察した。
一旦、データ収集ポイントの焦点を角膜の中央に合わせてから、試料の境界を定義し、迅速なアプローチを取った。押し込み前に、荷重の機能を正確に設定しなければならなかった。実際のインデンテーションプロセスは、Hysitron Triboindenter(登録商標)によって自動化されている(図6(D))。定義された限度に達するまで試料に貫通するインデンター先端部に、予め定義された荷重を配置した。次いで、先端部を10秒間保持した後、試料から先端部を外した。先端部を外した後の圧痕の面積(Ar)によって試料の硬度を決定した。
Figure 2023066425000008
maxが最大インデンテーション荷重である場合、面積は、円錐球状先端部と試料との接触面積である。以下の方程式によって示されるように、低い弾性率は、試料およびインデンター先端部の両方の弾性率を表したものである。
Figure 2023066425000009
式中、iはインデンターを意味し、mは試料材料を意味する。低い弾性率から、試料がいかに弾性であるかが分かる。同じインデンター先端部が各試験に使用されるため、低い弾性率を用いて、試験される各試料の弾性を比較することができる。
実施例8:ヒト成人角膜実質細胞を外因性TGFβ3およびデキサメタゾンで処理すると軟骨特異的II型コラーゲンを産生する
1つの増殖因子がいくつかの細胞の種類に同じかまたは異なる効果で作用し得る一方で、1つより多くの増殖因子が同様の生物学的機能を共有し得ることが分かっている。角膜実質においてコラーゲン沈着を引き起こし得る増殖因子、サイトカイン、および化学物質を選択する場合、ある特定の外因性因子の既知の影響を考慮することが重要であった。本発明の実験において、TGFβ3およびデキサメタゾンの併用処理が用いられた。
TGFβ3およびデキサメタゾンの効果に関する証拠のほとんどは、それらの幹細胞/前駆細胞に対する影響に関して行われてきた試験から得られた(Schuldiner,Yanuka,Itskovitz-Eldor,Melton,&Benvenisty 2000;Worster,Nixon,Brower-Toland,&Williams 2000)。TGFβとデキサメタゾンとの組み合わせは、in vitroで前駆細胞を軟骨細胞に分化させるように誘導するために以前に使用されている(Diekman,Rowland,Lennon,Caplan,&Guilak 2009;Johnstone et al.1998;Kolambkar,Peister,Soker,Atala,&Guldberg 2007;Winter et al.2003)。さらに、合成ステロイド薬であるデキサメタゾンは、炎症性眼疾患を治療するために使用されてきた。したがって、TGFβ3とデキサメタゾンとの組み合わせが、軟骨細胞表現型に向けて角膜実質細胞の分化を促進するために軟骨形成分化培地に使用された。
本発明の実験において、I型およびII型コラーゲンの発現は特筆に値する。I型およびII型等の線維状コラーゲンは、自己組織化および架橋して、非常に高い剛性、低い伸展性、および弾性エネルギー貯蔵能力を示す、高結晶性の線維を形成することが分かっている(Wells 2003)。線維の剛性および引張強度に寄与するのは架橋である。
角膜実質の細胞外マトリックス(ECM)は、大部分がI型およびV型コラーゲンで構成された、密集したヘテロタイプのコラーゲン原線維からなる。角膜の原線維と同様に、軟骨原線維はヘテロタイプ(II型およびXI型から構成される)であり、25nmの均一な直径(角膜の原線維よりもやや小さい)を有する(Mendler,Eich-Bender,Vaughan,Winterhalter,&Bruckner 1989)。II型コラーゲンは、コラーゲンの主要な原線維成分であり、その分子が、長さ300nmの、単一の途切れのないヘリカルドメインから本質的になるという点において、I型コラーゲンに類似している。それらの類似性に起因して、II型およびXI型コラーゲンは、他の組織におけるI型およびV型コラーゲンの軟骨類似体であると見なされる(角膜実質コラーゲン)。
本発明の実験において、成熟した角膜からの角膜実質細胞を、TGFβ3およびデキサメタゾンを含有する軟骨形成分化培地、または標準的な線維芽細胞増殖培地のいずれかに播種した。2~3日以内に、軟骨形成分化培地に播種した角膜実質細胞は、直径約50~100μmの細胞凝集/球を形成した(図7(A))。球の中心部は軟骨細胞特異的II型コラーゲンで、周辺部はネスチンについて標識した(図7(B))。さらに、一旦、球が線維芽細胞増殖培地に配置されると、球からの細胞が外向きに広がり始め(図7(C))、培養皿に集合し、細胞の単層を形成した。細胞が一度凝集した領域はII型コラーゲンについて標識されたのに対し、単層中の細胞は標識されなかった(図7(D))。
線維芽細胞増殖培地に播種した角膜実質細胞は、線維芽細胞様細胞の均一な単層を形成したが(図8(A))、ネスチンまたはII型コラーゲンのいずれについても標識されなかった(図8(B))。培地を軟骨形成分化培地に交換したとき、培養物の外観に変化は認められず、細胞はII型コラーゲン陰性のままであった。これらの結果は、軟骨様ECMの産生には細胞凝集が重要であると考えられることを示唆している。線維芽細胞増殖培地に播種した角膜実質細胞は、必要とされる細胞凝集を形成することができなかった。したがって、線維芽細胞のクラスターを形成するために、コンフルエントな線維芽細胞を培養皿から解離させ、ペレット化し、軟骨形成分化培地中でペレット培養物としてさらに3週間増殖させた。細胞ペレットは、角膜実質特異的ECMタンパク質ケラトカンに陽性に標識されたが、軟骨特異的ECMタンパク質II型コラーゲンには陰性であった(図8(F)および(G))。
実施例9:成人ヒト角膜および成獣ラット角膜の角膜実質細胞をTGFβ3およびデキサメタゾンで処理すると、ECMを含有するII型コラーゲンを分泌する
成人ヒト角膜の切片を、対照培地中または軟骨形成分化培地中の器官型切片培養液に2週間配置した。次いで、組織片を軟骨細胞特異的ECMタンパク質II型コラーゲンおよび天然角膜のI型コラーゲンについて標識した。陽性の標識は、TGFβ3およびデキサメタゾンで処理した角膜にのみ見られた(図9(C)および10(B))。2週間の処理期間によって、処理した角膜の角膜実質ECM内にII型コラーゲンの沈着がもたらされたことが分かった(図9(C))。1週間の処理では、角膜実質ECMにおけるII型コラーゲンの眼に見える沈着はもたらされなかった(図9(B))。
天然I型コラーゲンの量およびパターンは、処理した角膜において若干変化したと考えられた。一般に、標識の強度は類似していたが、分布はより広範であり、標識の量は未処理の角膜のほうがより高かった(図9(D))。さらに、新たに産生されたII型コラーゲンは、いずれの大きな塊または凝集体を形成するもことなく、ECMに均一にかつ規則正しく沈着した。標識は、角膜実質の既存のコラーゲン構造に沿って明らかに見られ、実質層の全厚さにわたって分布していた。
次いで、in vitroヒト角膜組織実験をin vivoげっ歯類試験に拡張し、15μlのゲランガムに基づくTGFβ3およびデキサメタゾンの点眼薬製剤の1日3回投与により、雄ウィスターラットの右角膜を2週間処理した。2週間後、ラットを安楽死させ、角膜を免疫組織化学のために処理した。処理した角膜のみが、II型コラーゲンに陽性に標識され、より高いレベルの沈着が角膜の前部に観察された(図10(D)および(E))。したがって、軟骨形成分化培地中で培養した角膜切片のみがII型コラーゲンに陽性であった。さらに、II型コラーゲンは、角膜実質の既存のコラーゲン構造に沿って均一な層として沈着した。
実施例10:円錐角膜の角膜におけるII型コラーゲン沈着の誘導
本発明者は、次に、彼らの試験において観察されたin vivo リプログラミングが円錐角膜の治療に利用できることを確認しようと試みた。円錐角膜の角膜中の角膜実質細胞が、II型コラーゲン沈着の誘導に適用可能であることを確認するために実験を行った。角膜の移植手術後に得られた円錐角膜の角膜ボタンを、それらば得られたらすぐに培養液中に配置した。各ボタンの半分を対照培地に入れ、残りの半分を軟骨形成分化培地中に配置し、2週間維持した。2週間後、免疫組織化学またはmRNA抽出のいずれかのために組織を処理した。処理した角膜の半分のみの角膜実質ECMがII型コラーゲンに陽性であった(図11(B))。正常な角膜組織と比較して、標識の強度は円錐角膜組織においてより低かったが、標識パターンは類似しており、既存のコラーゲンラメラ構造に沿った規則正しい配置に従っていた。
ビメンチン標識により、円錐角膜の角膜の角膜実質細胞において、未処理のものと処理したものとの間ではっきりとした違いが明らかになった。一般に、角膜実質細胞の密度は、未処理の角膜においてより低く、角膜の後部には細胞が少ない(図11(C))。また、処理した角膜における角膜実質細胞は、より糸状に見え、未処理の角膜における角膜実質細胞と比較すると形態が完成している(図11(E)および(F))。未処理の角膜における角膜実質細胞と比較して、処理した角膜における角膜実質細胞は、より長く、またビメンチンについて強く標識されたより多くの細胞突起を有していた。
実施例11:TGFβ3およびデキサメタゾンによる処理は、線維化タンパク質の沈着を誘導せず、角膜混濁を引き起こす
軟骨形成分化培地中で最長3週間培養したヒト角膜を、線維症および瘢痕に関連するIII型コラーゲンおよびαSMAについて標識した(Gabbiani 2003;Karamichos et al.2012)。線維化マトリックス沈着のいずれの証拠も存在しなかったが、その一方で、対照組織においてより高い程度のαSMA標識が認められた(図12)。これらの結果は、TGFβ1およびTGFβ2とは異なり、TGFβ3は角膜実質細胞の筋線維芽細胞への分化を誘導しないという以前の知見を裏付けるものである。
試験期間を通して生きたラットに対して灯細隙灯試験を行った。試験時には、処理した角膜と未処理の角膜には瘢痕または混濁の徴候がなく、それらを区別することができなかった。血管を見せるための眼の裏側の画像は、光の通過を遮断しない鮮明な角膜を示しており(図13(A)および(B))、Micron IVレンズを使用したラット角膜のin vivo断面画像により、光が容易に透過する透明な角膜が明らかになった(図13(C)および(D))。角膜を通る光の透過の妨害につながるいずれの角膜混濁または濁りの徴候も認められなかった。
実施例12:in vivo処理時のII型およびI型コラーゲンのmRNA発現における変化
1週間、7週間、および3週間in vivoで処理した後、4週間の未処理期間を設けたラットの角膜を、定量的遺伝子発現解析に供した。増殖因子処理を中止した後、II型コラーゲンの発現が再び低下するかどうか、および/または永久的に停止するかどうかを決定することが目的であった。天然角膜のII型コラーゲンに対する処理の影響も調べた。
7週間処理した角膜と比較して、1週間処理した角膜は、非常に高いレベルのII型コラーゲンを発現した。図35の最初のグラフによって示されるように、処理を中止すると、発現レベルは著しく低下した。I型コラーゲンの発現の場合、1週間および7週間処理した角膜を、各々、それらの未処理の角膜と比較した。1週間の処理後に、I型コラーゲンの発現には初期スパイクが認められたが、7週目には、I型コラーゲンの発現は有意に低く、未処理角膜におけるその発現に相当するものであったことが明らかになった(図14(B))。
実施例13:in vitroおよびin vivoで処理した角膜の生体力学的特性における変化
II型コラーゲンの沈着が角膜の剛性および弾性に影響を及ぼすという仮説を立てた。これらの変化を評価するために、in vivoラット角膜およびex vivo処理したヒト角膜、ならびにそれらの対応する対照を、ナノインデンテーション試験に供した。
未処理対照と比較して、1週間in vivoで処理したラット角膜は、硬度または弾性のいずれにおいても有意な増加を示さなかった(図15)。3週間in vivoで処理した角膜において、処理眼と対照眼との間に明らかな違いが認められた。各角膜を最大で8回試験し、その結果得られた荷重変形グラフは良好な再現性を示した(図16)。増殖因子処理に曝露した右眼において、硬度と、弾性率の低下の両方が著しく高かった。対照培地または軟骨形成分化培地中のいずれかで6週間ex vivo培養した対応する球状角膜の角膜対も、同じ生体力学的試験に供した。この場合も同様に、試験により、処理した角膜の硬度および弾性率における有意な増加が明らかになった(図17)。
実施例14:増殖因子およびステロイドの比較組み合わせ
角膜実質細胞の軟骨細胞分化における他の増殖因子とステロイドとの組み合わせの有効性を調べるためにヒツジ角膜に対するex vivo試験を行った。
Auckland Meat Processorsから新鮮なヒツジの眼を得た。直ちに角膜を切除し、ポビドンヨード(PVP-I)およびチオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄した。次いで、穿孔器を使用してヒツジ角膜組織の8mmの円板を切除した。角膜円板を各培養条件(表5に概説される)に3週間配置した。次いで、角膜円板を器官型の空気/液体界面培養系に配置した。
端的に述べると、正常組織の外植片を、0.4μm孔径の細胞培養インサート(Millicell、France)上で、培養培地とCO富化環境との界面で培養した。角膜切片は、上皮側を上にして3mlの培養培地を含む細胞培養プレート上に配置した。培養培地は1日おきに交換した。使用した基本培地は、1%Anti-Anti(抗生物質-抗真菌剤溶液)および1%GlutaMAX(商標)(GIBCO(登録商標))を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)であった。3週間の終了時に、各角膜円板を4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で1時間固定し、凍結および切片化の前に組織を凍結保護するためにスクロース溶液で処理した。
簡潔に述べると、4℃の20%スクロース溶液に角膜を5時間浸漬し、次いで、30%スクロース溶液に移し、組織が沈むまで4℃に維持した(通常は一晩)。次いで、角膜をOCT(最適切削温度)化合物中に包埋し、液体窒素に浸漬して急速凍結を引き起こした。凍結した組織ブロックは、次に使用するまで-80℃で保存した。約4~6個の40μmの厚さのクリオスタット切片をSuperFrost(商標)Plusスライドに載せ、必要とされるまでスライドを-80℃で保存した。次いで、角膜切片をII型コラーゲンについて標識した。
免疫組織化学のために、スライドを15~20分間室温で維持した。PBSを使用してOCTを洗い流し、組織の周辺ゾーンを、ワックスペンを使用して境界を画定した。組織片は、最初に10%正常ヤギ血清のブロッキング溶液を用いて1時間インキュベートした後、マウス抗II型コラーゲン抗体(Millipore/MAB8887)を用いて4℃で一晩インキュベートした。適切な希釈率のヤギ抗マウスAlexa Fluor(登録商標)488二次抗体(Molecular Probes(登録商標)/A-11001)を用いてインキュベーションした。二次抗体を室温で2時間静置した。核マーカー4’,6’-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)を用いて切片を対比染色し、Citifluor退色防止剤(ProSciTech、Australia)に埋め込んだ。An Olympus FluoView(商標)FV-1000共焦点レーザー走査型顕微鏡(405nm、473nm、および559nm波長レーザー)およびLeica DMRA蛍光顕微鏡を使用して標識を可視化した。
表5は、本試験からの知見を表している。図20は、各条件の角膜切片におけるII型コラーゲン標識の代表的な画像を示す。
Figure 2023066425000010
この結果により、TGFβ3とデキサメタゾンとの組み合わせが、標的細胞から所望の反応を誘発した唯一の試験組み合わせであることが確認された(図20、パネルG~H)。他の増殖因子-ステロイドの組み合わせは、角膜実質細胞中のII型コラーゲンに所望の変化をもたらすことはできなかった(図20、パネルA~F)。またこの結果により、ヒツジ角膜の角膜実質細胞のリプログラミングも確認された(図20、パネルG~H)。
以前の試験では、他の増殖因子および他のステロイド化合物が角膜の治療および修復には不適切であることが示された。TGFβ1およびTGFβ2はどちらも線維化した瘢痕を生じさせる(Carrington,Albon et al.2006;Desmouliere,Chaponnier et al.2005;Jester,Huang et al.2002;Cowin et al.2001;Shah et al.1995)。EGFは、軟骨形成を負に制御する(Yoon 2000)。エストロゲンもまた、軟骨形成を負に制御する(Kato&Gospodarowicz 1985)。ヒドロコルチゾンは、軟骨細胞分化よりもむしろ脂肪生成を促進することが示されている(Ghoniem et al.2015;Lee,Kuo et al.2004)。これらの初期の研究は、一緒に作用して角膜実質細胞の軟骨細胞分化および瘢痕のない角膜の治癒を促進するTGFβ3およびデキサメタゾンに関する本発明の知見の有意性を示す。
実施例15:TGFβ3およびデキサメタゾンの比較投与量
in vivo試験前に、ex vivo処理のための種々の有効投与量を特定するための実験を行った。TGFβ3およびデキサメタゾンを種々の濃度で含有する培養培地でヒツジ角膜を培養することにより、これら2つの因子に関する用量範囲試験を行った。
新鮮なヒツジの眼を得、実施例14に記載されるように角膜を切除および処理した。1つのヒツジ角膜円板を16個の培養条件の各々に3週間配置した(図21)。角膜円板を培養し、次いで、実施例14に記載されるように免疫組織化学解析および顕微鏡解析に供した。図21は、各条件の角膜切片におけるII型コラーゲン標識の代表的な画像を示す。
本試験から、より低い濃度のTGFβ3(2~4ng/mL)およびデキサメタゾン(1~10nM)は、より低いex vivo有効性を有することが明らかになった(図21、1行目および2行目)。より高い用量、すなわち、8~10ng/mLのTGFβ3および100~1000nMのデキサメタゾンが、II型コラーゲンの沈着を誘導するのに効率的であった(図21、3行目および4行目)。
これらの結果は、100nMのデキサメタゾンおよび10ng/mLのTGFβ3の使用を有効濃度として裏付けた(図21、3行目)。より高い濃度のデキサメタゾン(1000nM、すなわち、400ng/mL)もまた有効であることが示された(図21、4行目)。本試験で試験したデキサメタゾン濃度は、市販の点眼薬に使用される濃度(すなわち、1mg/mLのデキサメタゾン)よりも著しく低いことに留意されたい。
実施例16:実験的観察および結果の概要
TGFβ1とデキサメタゾンとの組み合わせは、in vitroで前駆細胞を軟骨細胞に分化させるように誘導するために以前に使用されている(Diekman et al.2009;Johnstone et al.1998;Kolambkar et al.2007;Winter et al.2003)。他の試験では、角膜実質細胞のサイドポピュレーションが、類似する軟骨細胞分化条件下で軟骨特異的II型コラーゲンから構成されるマトリックスを産生することが示されている(Du,Funderburgh,Mann,SundarRaj,&Funderburgh 2005)。また、強膜細胞が、TGFβ1およびBMP2を含有する軟骨形成分化培地で4週間後にアグリカンを含む軟骨特異的マーカーとII型コラーゲンを発現したことが報告されている。さらに、ヒト強膜細胞は、軟骨欠損ラットに移植された後、in vivoにおける軟骨形成の可能性を保持することが示されている(Seko et al.2008)。強膜の線維芽細胞と角膜実質とは、共通の発生起源を共有することが分かっている。
本明細書に示されるように、TGFβ3およびデキサメタゾンを含有するが血清が存在しない培養培地に播種した角膜実質細胞は、細胞凝集によって2~3日以内に細胞スフェロイドを自然に形成し、3週目には、これらの細胞クラスターは、軟骨特異的II型コラーゲンに陽性に標識された。最初にTGFβ3およびデキサメタゾンで処理したとき、I型コラーゲンの発現も増加された。培地をウシ胎仔血清を含有する対照培地に交換すると、細胞クラスターは、単層の細胞に分散した。単層で増殖中の細胞は、もはやII型コラーゲンを発現しなかった。これらの結果から、細胞の凝集および環境が、II型コラーゲンの誘導において重要である可能性が示唆される。
特に、血清を含有する培地中で線維芽細胞として最初に増殖させた角膜実質細胞は、培地をTGFβ3およびデキサメタゾンを含有する軟骨形成分化培地に交換したときにII型コラーゲンを分泌しなかった。このことは、一旦、線維芽細胞として増殖すると、細胞は軟骨形成経路に沿って分化する能力を喪失することを示唆している。これに加えて、ペレットとして軟骨形成分化培地中の三次元培養で成長させた線維芽細胞も、軟骨特異的II型コラーゲンを発現することができなかった。これらの結果から、静止状態にある角膜実質細胞の表現型および細胞の凝集が軟骨細胞分化にとって重要であることが示唆される。
軟骨形成分化培地における正常な角膜および円錐角膜の角膜のex vivo培養により、角膜実質のラメラに沿ったII型コラーゲンの均一な沈着が明らかになったことが本明細書に示される。角膜実質内のあらゆる角膜実質細胞は、II型コラーゲン標識に関連しており、ここでも同様に、軟骨形成表現型へのリプログラミングが確率論的であることが示唆され、in vitro細胞培養から得られた結果が前駆細胞のサイドポピュレーションの増殖の結果ではなかったことが裏付けられた。さらに、ラットにおける角膜のin vivo処理も、ex vivo培養で見られたのと同様の様式でII型コラーゲンの沈着を引き起こした。しかしながら、in vivoで処理したときには角膜の前部にII型コラーゲンのより強い免疫標識が見られたことから、おそらくは、眼表面からの角膜実質の前層への増殖因子のより容易な拡散を反映している可能性が最も高い。
円錐角膜の角膜実質細胞においての密度の違いを調べる研究によって、細胞密度における全体的な低下が報告されている。本明細書における結果も、これを裏付けている。しかしながら、角膜実質の前部における細胞密度の著しい低下を報告している他の研究とは異なり(Hollingsworth,Efron,&Tullo 2005;Ku et al.2008;Mencucci et al.2010;Niederer et al.2008)、本明細書における結果は、未処理の円錐角膜の角膜の角膜実質の後部における角膜実質細胞密度の著しい低下も示している。円錐角膜には、角膜の全体的な菲薄化が認められる。しかしながら、これが、角膜実質細胞のアポトーシスおよび後続のECMの産生低下によるものであるかどうか、または角膜実質細胞アポトーシスが角膜の菲薄化プロセスに続発するかどうかは分かっていない。
本明細書に示されるように、TGFβ3およびデキサメタゾンを含有する軟骨形成培地中で培養した円錐角膜の角膜のうち処理した半分は、対照と比較して角膜実質細胞密度の増加を示した。さらに、角膜実質の後部には、角膜実質細胞が再集合したと考えられた。処理した半分における角膜実質細胞も、大きな突出した核およびいくつかの細胞突起を伴って、より健康に見えると考えられた。このことは、2つの因子を用いた処理が、角膜実質細胞を増殖させ、角膜実質細胞を欠いた特定の後部に角膜実質を再集合させた可能性を示唆している。
現在の円錐角膜の治療の1つであるコラーゲン架橋は、角膜実質の前部において初期の角膜実質細胞アポトーシスをもたらした。次いで、この後に角膜実質細胞による角膜実質の再集合の期間が続く。角膜実質細胞の細胞死は、通常、傷害への反応として見られ、架橋の場合、UVA誘導性の細胞損傷の結果であると理解されている。このアポトーシス応答は、さらなる炎症から角膜を保護するために発生したと考えられる(Wilson,Netto,&Ambrosio 2003)。
架橋処理後には、最長で数ヶ月持続し得る角膜実質の濁りも観察された。これは、角膜の微細構造の変化をもたらすコラーゲンの直径およびコラーゲン原線維間の空間における増加に起因している。ほとんどの研究が、処理後6~12ヶ月には角膜の曇りの低減を報告している(Greenstein,Fry,Bhatt,&Hersh 2010;Mazzotta et al.2008)。架橋処理後に角膜の臨床観察は何回か行われているが、角膜の曇りおよび他の考えられる処理の下流効果の原因に関しては曖昧さが存在する。角膜が再集合して透明になるには数ヶ月を要するという事実から、架橋が角膜実質内の創傷治癒反応を誘発している可能性が示唆される。
本試験では、たとえ長期(最長8週間)のin vitroおよびin vivo処理時であっても、角膜混濁の証拠は認められなかった。これは、おそらく、既存のコラーゲンラメラに沿った均一な層状のII型コラーゲンの沈着によるものである。III型コラーゲン(線維症に関連する)およびα平滑筋アクチン(筋線維芽細胞の形成中)の沈着は、混濁および瘢痕につながる。これらはどちらも、角膜創傷中に見られる。これらのタンパク質のいずれも処理した角膜には発現されなかったことから、瘢痕をもたらし得る創傷治癒カスケードが誘発されなかったことが示唆される。
本明細書に記載されるように、II型コラーゲンのmRNA発現の定量的測定は、TGFβ3およびデキサメタゾンを中止するとその発現が有意に低下したことを示した。これは、角膜実質細胞のリプログラミングは不可逆的ではなく、後続のECMにおけるII型コラーゲンの沈着は潜在的に制御され得るということを示唆している。不可逆的なECMの沈着を誘導することは望ましくないため、これは治療方法の開発にとって重要である。
ナノインデンテーションは、円錐角膜(角膜ジストロフィー)、およびLASIK後の眼の拡張症等のための架橋等の、術後療法の評価に用いられてきた。ヒト死体角膜に対して行われたある研究において、コラーゲンの架橋が、前部前角膜実質における弾性率に2倍増加を引き起こしたのに対し、後部角膜実質は処理による影響を受けなかったことが明らかになった(Dias,Diakonis,Kankariya,Yoo,&Ziebarth 2013)。本試験において、前部角膜の弾性を測定した。さらに、本試験の結果は、TGFβ3およびデキサメタゾンで処理した角膜において後部角膜実質の角膜実質細胞密度が変化したことを示している。
ナノインデンテーションは、個々のコラーゲン原線維の特性を測定しないが、II型コラーゲンの沈着で変化し、コラーゲン架橋において後に増加する、角膜の固有の弾性特性における変化を測定することができる。角膜実質内の構造の違いは、対応する生体力学的特性における違いに反映される。本明細書における結果は、増殖因子で処理したラット角膜の弾性率および硬度においてほぼ3倍増加が認められたことを示している。これらの結果は、処理によって、より高い弾性を有する、より剛性の高い角膜が得られることを示唆している。弾性率は、弾性的に変形される物質の抵抗性の尺度であり、したがって、より高い弾性率は、材料を変形させることがより困難であることを意味する。本試験において、1週間処理した角膜と比較して、3週間処理した角膜における硬度および弾性率の有意な増加は、検出可能なII型コラーゲンの層を沈着させるには少なくとも2~3週間の処理が必要であることを示す免疫組織化学標識の結果と一致している。
免疫組織化学標識の結果は、遺伝子発現試験および生体力学的試験と相まって、無傷の角膜内の角膜実質細胞が、TGFβ3およびデキサメタゾンを用いた処理によって軟骨形成経路に沿ったリプログラミングに適用可能であることを示している。TGFβ3とデキサメタゾンとを組み合わせた処理によるリプログラミングは、確率論的であり、より剛性の高い、より弾性の角膜をもたらすための増殖因子処理期間の調節によって制御され得る。特に、両方の薬剤の投与が必要である:TGFβ3とデキサメタゾンとが別々に試験される場合、角膜実質細胞においてII型コラーゲンの産生は観察されない。新規治療は、したがって、円錐角膜および他の眼疾患のために、本明細書に記載されるような、TGFβ3およびデキサメタゾンの投与によるin vivo組織工学を用いた新規治療が提案される。
実施例17:角膜の再形成を調べるための大動物モデル
ヒツジモデルにおいて最適な治療計画を実現しながら角膜を再形成する
角膜の再形成を実証するために、大動物モデルを使用するためのさらなる実験を行う。これらの実験では、処方コンタクトレンズの留置を可能にするために大動物モデルを使用した。ヒツジの眼は、大きさおよび生理機能がヒトの眼と同程度であるため、モデル動物としてヒツジを用いた。さらに、飼育設備はChristchurchのLincoln
Universityで入手可能であった。ヒツジは、穏やかな気質を有し、取り扱いに適していることに留意されたい。
飼育設備内で標準的な操作手順に従ってヒツジを鎮静化した。げっ歯類の用量最適化試験に基づいて最適なTGFβ3およびデキサメタゾン濃度を有する点眼薬製剤(体積目盛り付き)を右眼に点眼した後、コラーゲン沈着の間に所望の角膜の曲率を保持するために角膜INTACS(登録商標)(または類似の強膜リング)を留置した(図18)。点眼薬は、3週間の期間にわたり、(げっ歯類の最適化試験で決定されたように)1日1回または1日2回のいずれかで継続的に投与した。次いで、INTACS(登録商標)を除去し、さらに3週間または6ヶ月間飼育を続けた。
処理前および処理終了時(INTACS(登録商標)を除去したとき)に、角膜の厚さおよび曲率の測定を行った。携帯用角膜厚度計を使用して、処理した角膜対反対側の対照角膜の角膜の厚さにおける変化をin vivoで検出した。携帯用Pentacam(登録商標)を使用して、処理前および処理後にヒツジの眼の角膜の曲率および角膜の厚さを測定した(図19(E)および(F))。最終的な(最も正確な)Pentacam(登録商標)の測定値を用いて、レンズ除去から3週間後に角膜測定が繰り返される。げっ歯類の角膜について前述したように、これらは、動物を死に至らしめた後ではあるが、免疫組織学的解析および生体力学的解析のために眼を除去する前に行われる。万が一、ヒツジがハードコンタクトレンズに耐えられない場合(感染症、炎症、または被刺激性の徴候)、試験はレンズなしで継続され、II型コラーゲンの沈着および分布、ならびに生体力学的特性等の主要パラメータの完了を可能にする。
この結果を考慮すると、角膜を恒久的に再形成かつ安定化し、近視を含む一般的な角膜の欠陥に治療を提供するために、ガス透過性の剛性OrthoKコンタクトレンズ(または類似物)と組み合わせて、本明細書に詳述されるin vivo組織工学を用いることが提案される。
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当業者は、本明細書に記載される実施形態または態様と実質的に同じ機能を行うかまたは実質的に同じ結果を達成する修正例、代替例、および/または変更例が、そのような関連する本発明の実施形態または態様に従って後に用いられ得ることを本開示から容易に理解するであろう。したがって、本発明は、その範囲内に、本明細書に開示されるプロセス、製品、組成物、化合物、手段、方法、および/またはステップに対する修正例、代替例、および変更例を包含することが意図される。
本明細書に引用される、特許および特許出願を含む全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。いずれかの参考文献が従来技術を構成することは認められない。また、いずれかの参考文献の議論も、ニュージーランドまたは他の任意の国における当該技術分野の共通の一般知識の一部を形成することを認めるものではない。

Claims (20)

  1. (i)患者の角膜の菲薄化または不整形に関連する状態を治療または予防する、あるいは(ii)患者の眼の屈折異常を治療または予防するための組成物であって、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物であって、
    (a)前記TGFβ3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなるか、
    (b)前記デキサメタゾンは、デキサメタゾンホスフェートであるか、
    またはそれらの両方である、組成物。
  3. 請求項1または2に記載の組成物であって、
    (a)前記組成物は、10~100ng/mlの前記TGFβ3ポリペプチドを含むか、
    (b)前記組成物は、40~4000ng/mlのデキサメタゾンを含むか、
    またはそれらの両方である、組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物であって、
    (a)前記組成物は、1日1回または1日2回投与されるように製剤化されていること、
    (b)前記組成物は、1つ以上の追加の眼用薬剤と同時投与されるように製剤化されており、前記追加の眼用薬剤は、麻酔薬、抗炎症薬、抗菌剤、および潤滑剤からなる群から選択されること、および
    (c)前記組成物は、前記組成物を用いた治療の間および/または後に角膜の形状を成形するかまたは維持するように適合された、あるいは前記組成物のための担体として、または組成物溶出デバイスとして作用するように適合されたコンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングの使用と併せて投与されるように製剤化されていること
    のうちの少なくともいずれかである、組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物であって、
    (a)(i)の場合、前記組成物は、角膜コラーゲン架橋の前および/または後に投与されるように製剤化されているか、
    (b)(ii)の場合、前記組成物は、屈折矯正手術の前または後に投与されるように製剤化されている、組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物であって、
    (a)前記状態は、円錐角膜、近視、および乱視からなる群から選択されるか、または
    (b)前記眼の屈折異常は、近視、遠視、乱視、および老視のうちの1つ以上に関連する、組成物。
  7. (i)患者の角膜の菲薄化または不整形に関連する状態を治療または予防する、あるいは(ii)患者の眼の屈折異常を治療または予防するために使用されるキットであって、
    TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物と、
    1つ以上のコンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングとを含むキット。
  8. 請求項7に記載のキットであって、
    (a)前記1つ以上のコンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、前記組成物を用いた治療の間および/または後に角膜の形状を成形するかまたは維持するように適合されているか、
    (b)前記1つ以上のコンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングは、前記組成物のための担体として、または組成物溶出デバイスとして作用するか、
    またはそれらの両方である、キット。
  9. 請求項7または8に記載のキットであって、
    (a)前記TGFβ3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなるか、
    (b)前記デキサメタゾンは、デキサメタゾンホスフェートであるか、
    またはそれらの両方である、キット。
  10. 請求項7~9のいずれか一項に記載のキットであって、前記組成物は、
    (a)10~100ng/mlの前記TGFβ3ポリペプチドを含むこと、
    (b)40~4000ng/mlのデキサメタゾンを含むこと、
    (c)1日1回または1日2回の投与のために製剤化されていること、および
    (d)1つ以上の追加の眼用薬剤との合剤とされていること
    のうちの少なくともいずれかである、キット。
  11. 請求項7~10のいずれか一項に記載のキットであって、
    (a)前記キットは、1つ以上の追加の眼用薬剤を含み、前記1つ以上の追加の眼用薬剤は、麻酔薬、抗炎症薬、抗菌剤、および潤滑剤からなる群から選択されること、
    (b)前記キットは、コンタクトレンズ溶液を含むこと、および
    (c)前記キットは、使用説明書を含むこと
    のうちの少なくともいずれかである、キット。
  12. 患者の角膜実質細胞におけるII型コラーゲンの発現を誘導することにより、(i)患者の角膜の菲薄化または不整形に関連する状態を治療または予防するか、または(ii)患者の眼の屈折異常を治療または予防するための組成物であって、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物。
  13. 請求項12に記載の組成物であって、
    (a)前記TGFβ3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなるか、
    (b)前記デキサメタゾンは、デキサメタゾンホスフェートであるか、
    またはそれらの両方である、組成物。
  14. 請求項12または13に記載の組成物であって、
    (a)前記組成物は、10~100ng/mlの前記TGFβ3ポリペプチドを含むこと、
    (b)前記組成物は、40~4000ng/mlのデキサメタゾンを含むこと、
    (c)前記組成物は、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングを介した投与のために製剤化されていること、
    (d)前記組成物は、溶液、ゲル、クリーム、またはエマルジョンとしての投与のために製剤化されていること、および
    (e)前記組成物は、in vivo投与またはex vivo投与のために製剤化されていること
    のうちの少なくともいずれかである、組成物。
  15. (i)患者の角膜の菲薄化または不整形に関連する状態を治療または予防する、あるいは(ii)患者の眼の屈折異常を治療または予防するための医薬の製造における、TGFβ3ポリペプチドまたはその変異体もしくは断片、およびデキサメタゾンまたはその誘導体もしくは関連ステロイド剤を含む組成物の使用。
  16. 請求項15に記載の使用であって、
    (a)前記TGFβ3ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなるか、
    (b)前記デキサメタゾンは、デキサメタゾンホスフェートであるか、
    またはそれらの両方である、使用。
  17. 請求項15または16に記載の使用であって、
    (a)前記組成物は、10~100ng/mlの前記TGFβ3ポリペプチドを含むこと、
    (b)前記組成物は、40~4000ng/mlのデキサメタゾンを含むこと、
    (c)前記組成物は、コンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングを介した投与のために製剤化されていること、
    (d)前記組成物は、溶液、ゲル、クリーム、またはエマルジョンとしての投与のために製剤化されていること、および
    (e)前記組成物は、in vivo投与またはex vivo投与のために製剤化されていること
    のうちの少なくともいずれかである、使用。
  18. 請求項15~17のいずれか一項に記載の使用であって、
    (a)前記組成物は、1日1回または1日2回投与されるように製剤化されていること、
    (b)前記組成物は、1つ以上の追加の眼用薬剤と同時投与されるように製剤化されており、前記追加の眼用薬剤は、麻酔薬、抗炎症薬、抗菌剤、および潤滑剤からなる群から選択されること、および
    (c)前記組成物は、前記組成物を用いた治療の間および/または後に角膜の形状を成形するかまたは維持するように適合された、あるいは前記組成物のための担体として、または組成物溶出デバイスとして作用するように適合されたコンタクトレンズ、角膜挿入物、角膜インプラント、または角膜実質内リングの使用と併せて投与されるように製剤化されていること
    のうちの少なくともいずれかである、使用。
  19. 請求項15~18のいずれか一項に記載の使用であって、
    (a)(i)の場合、前記組成物は、角膜コラーゲン架橋の前および/または後に投与されるように製剤化されているか、
    (b)(ii)の場合、前記組成物は、屈折矯正手術の前または後に投与されるように製剤化されている、使用。
  20. 請求項15~19のいずれか一項に記載の使用であって、
    (a)前記状態は、円錐角膜、近視、および乱視からなる群から選択されるか、または
    (b)前記眼の屈折異常は、近視、遠視、乱視、および老視のうちの1つ以上に関連する、使用。
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