JP2023064219A - 燃焼炉排ガス処理方法および燃焼炉排ガス処理システム - Google Patents

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一郎 相澤
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雪 初
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Abstract

【課題】ダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素の再合成を抑制しつつ排ガスからの熱回収効率を高めることができる燃焼炉排ガス処理方法および燃焼炉排ガス処理システムを提供する。【解決手段】燃焼炉排ガス処理システムは、燃焼炉11から排出された650℃以上且つ850℃以下のダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素の基となる物質を含む排ガスを、高反応性消石灰と共存させた状態で、排ガスから熱を回収することにより排ガスの温度を200℃以下に低下させる排熱回収ボイラ12と、高反応性消石灰を用いて、排熱回収ボイラ12から排出される排ガスに含まれる酸性物質を中和するとともに排ガスに含まれる塵を収集するバグフィルタ15と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、燃焼炉排ガス処理方法および燃焼炉排ガス処理システムに関する。
都市ごみ燃焼炉から排出される排ガスと熱交換することにより回収した熱を利用して蒸気を発生させる排熱回収ボイラと、排熱回収ボイラから排出される排ガスの脱硝を行う反応器と、反応器から排出される排ガスを冷却する冷却塔と、バグフィルタと、を備える都市ごみ焼却装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この都市ごみ焼却装置では、排熱回収ボイラから冷却塔に至るまでの間におけるダイオキシン類の再合成を抑制する観点から冷却塔直前までにおける排ガスの温度を500℃以上に設定し、冷却塔において排ガスを150℃~200℃まで冷却する。
特開平10-202062号公報
ところで、特許文献1に記載された都市ごみ焼却装置では、ダイオキシン類の再合成を抑制する観点から排熱回収ボイラから排出される排ガスの温度を400℃乃至500℃の温度領域とする必要があり、熱回収効率の向上が制限される。そこで、ダイオキシン類の再合成を抑制しつつ排熱回収ボイラにおける熱回収効率の向上が要請されている。
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、ダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素の再合成を抑制しつつ排ガスからの熱回収効率を高めることができる燃焼炉排ガス処理方法および燃焼炉排ガス処理システムを提供することを目的とする。
本発明に係る燃焼炉排ガス処理方法は、
燃焼炉から排出された650℃以上且つ850℃以下のダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素の基となる物質を含む排ガスを、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物と共存させた状態で、前記排ガスから熱を回収することにより前記排ガスの温度を200℃以下に低下させる熱回収工程と、
前記熱回収工程の後、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物を用いて、前記排ガスに含まれる酸性物質を中和するとともに前記排ガスに含まれる塵を収集する中和集塵工程と、を含む。
他の観点から見た本発明に係る燃焼炉排ガス処理システムは、
節炭器を有し、燃焼炉に煙道を介して接続されるとともに、前記燃焼炉から排出された650℃以上且つ850℃以下のダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素の基となる物質を含む排ガスを、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物と共存させた状態で、前記節炭器により前記排ガスから熱を回収することにより前記排ガスの温度を200℃以下に低下させる排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラに煙道を介して接続され、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物を用いて、前記排ガスに含まれる酸性物質を中和するとともに前記排ガスに含まれる塵を収集するバグフィルタと、を備える。
本発明に係る燃焼炉排ガス処理方法では、燃焼炉から排出された650℃以上且つ850℃以下の排ガスを、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物と共存させた状態で、排ガスから熱を回収することにより排ガスの温度を200℃以下に低下させる。また、本発明に係る燃焼炉排ガス処理システムによれば、排熱回収ボイラが、燃焼炉から排出された650℃以上且つ850℃以下の排ガスを、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物と共存させた状態で、節炭器により排ガスから熱を回収することにより排ガスの温度を200℃未満に低下させる。これにより、ダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素が再合成される温度領域を含む温度領域において、当該多環芳香族炭化水素の基となる物質とカルシウム化合物またはマグネシウム化合物と共存させることにより、当該多環芳香族炭化水素の再合成を抑制することができる。従って、比較的広い温度領域において、ダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素の再合成を抑制しつつ排ガスからの熱回収を継続することができ、その分、排ガスからの熱回収効率を高めることができる。
本発明の実施の形態に係る燃焼炉排ガス処理システムの概略図である。 (A)はp-クロロフェノールと活性炭とを共存させた場合のp-クロロフェノールからデノボ合成により生成するジクロロジベンゾダイオキシンのクロマトグラムを示す図であり、(B)はp-クロロフェノールと活性炭と煤塵とを共存させた場合のp-クロロフェノールからデノボ合成により生成するジクロロジベンゾダイオキシンのクロマトグラムを示す図である。 (A)はp-クロロフェノールと活性炭と高反応性消石灰とを共存させた場合のp-クロロフェノールからデノボ合成により生成するジクロロジベンゾダイオキシンのクロマトグラムを示す図であり、(B)はp-クロロフェノールと活性炭と煤塵と高反応性消石灰とを共存させた場合のp-クロロフェノールからデノボ合成により生成するジクロロジベンゾダイオキシンのクロマトグラムを示す図である。 (A)はクロロフェノールと高反応性消石灰とを共存させない場合の反応機構を示す図であり、(B)はクロロフェノールと高反応性消石灰とを共存させた場合の反応機構を示す図である。 (A)は、実施の形態に係る燃焼炉排ガス処理システムにおける各工程での温度遷移を示す図であり、(B)は、比較例に係る燃焼炉排ガス処理システムにおける各工程での温度遷移を示す図である。 変形例に係る燃焼炉排ガス処理システムの概略図である。
以下、本発明の実施の形態に係る燃焼炉排ガス処理方法について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態に係る燃焼炉排ガス処理方法は、燃焼炉から排出された650℃以上且つ850℃以下のダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素の基となる物質を含む排ガスを、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物と共存させた状態で、排ガスから熱を回収することにより排ガスの温度を200℃以下となるまで低下させる熱回収工程と、熱回収工程の後、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物を用いて、排ガスに含まれる酸性物質を中和するとともに排ガスに含まれる塵を収集する中和集塵工程と、を含む。
本実施の形態に係る燃焼炉排ガス処理方法は、例えば図1に示すような廃棄物処理プラントで採用される。この廃棄物処理プラントは、搬入された廃棄物を焼却処理するとともに、廃棄物の焼却により発生した熱を利用して蒸気を生成する。この廃棄物処理プラントは、廃棄物を焼却する燃焼炉11と、排熱回収ボイラ12と、脱硝反応塔16と、排ガスを放出する煙突17と、を備える。ここで、排熱回収ボイラ12と脱硝反応塔16とから、燃焼炉11から排出される排ガスを処理する燃焼炉排ガス処理システムが構成されている。
燃焼炉11は、燃焼炉本体111と、燃焼炉本体111内へ廃棄物を供給する廃棄物フィーダ112と、燃焼炉本体111内へ廃油を供給する廃油フィーダ113と、バーナ115、116と、を有する。燃焼炉本体111の内壁は、耐火煉瓦のような耐火性材料で被覆されている。バーナ115、116は、それぞれ、矢印AR1、AR2に示すように燃焼炉本体111内へ投入される廃棄物および廃油を燃焼炉本体111内で850℃以上1000℃以下の温度で燃焼させる。廃棄物および廃油が燃焼して発生した燃焼ガスは、燃焼炉本体111内から煙道PI1へ排出される。この煙道PI1から排出される排ガスは、ダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素の基となる物質を含む。なお、バーナ115、116は、燃焼炉本体111内に存在する有機物質を完全燃焼させるための補助熱源であり、これにより、燃焼炉本体111内において有機物質を温度850℃以上且つ1000℃以下で2秒以上滞留させることができる。これにより、ダイオキシン特別措置法のガイドラインに記載された要件を満たすことができる。
排熱回収ボイラ12は、煙道PI1を介して燃焼炉本体111に接続されたボイラ本体121と、ボイラ本体121内に配置された節炭器122と、ボイラ本体121内へカルシウム化合物を噴霧する化合物供給部123と、を有する。カルシウム化合物としては、例えば、JIS特号消石灰に比べてBET比表面積が40m/g程度以上の高反応性消石灰が採用される。この場合、化合物供給部123は、ボイラ本体121内の高反応性消石灰の濃度が例えば0.1g/m乃至3.0g/mとなるように噴霧する。ここで、節炭器122には、給水管PI11を通じて節炭器122へ水を圧送する給水部131と、節炭器122で排ガスと熱交換することにより高温に加熱されることにより生成される蒸気を、排水管PI12を通じて回収する回収部132と、を有する。なお、回収部132が回収した蒸気は、例えば蒸気タービン(図示せず)へ供給されて蒸気タービンによる発電に利用される。この排熱回収ボイラ12には、燃焼炉11から排出された排ガスが煙道PI1を通じて650℃以上且つ850℃以下に冷却されてから投入されるように設定されている。ここで、投入される排ガスの温度が、650℃よりも高くなると、排ガスに含まれる物質が溶融してボイラ本体121内に付着してしまうため、排熱回収ボイラ12に投入される排ガスの温度は、650℃程度であることが好ましい。また、排熱回収ボイラ12内の温度が450℃以上となると、排熱回収ボイラ12内において高反応性消石灰の一部が生石灰、即ち、酸化カルシウムへ変化してしまい、その分、排熱回収ボイラ12における中和効果が低減してしまう虞がある。このため、排熱回収ボイラ12内の温度は、なるべく300℃以上450℃未満にしておくことが好ましい。なお、化合物供給部123が噴霧する化合物は、カルシウム化合物に限定されるものではなく、例えば、マグネシウム化合物であってもよい。また。カルシウム化合物としては、消石灰、即ち、水酸化カルシウムに限定されるものではなく、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等の他のカルシウム化合物であってもよい。
この排熱回収ボイラ12では、燃焼炉11から煙道PI1を通じて排出される排ガスを、高反応性消石灰と共存させた状態で、節炭器122を用いて排ガスから熱を回収することにより排ガスの温度を200℃以下まで低下させる熱回収工程が行われる。そして、排熱回収ボイラ12は、熱回収された排ガスを煙道PI2へ排出する。ここで、排熱回収ボイラ12から200℃を超える排ガスが直接バグフィルタ15へ排出されると、バグフィルタ15が破損する虞がある。従って、バグフィルタ15へ排出される排ガスの温度は、200℃以下、例えば150℃以上200℃以下とすることが好ましい。
バグフィルタ15は、煙道PI2を介して排熱回収ボイラ12に接続されている。煙道PI2には、高反応性消石灰のようなカルシウム化合物を噴霧する化合物供給部18が設けられている。なお。化合物供給部18が噴霧する化合物は、カルシウム化合物に限定されるものではなく、例えば、マグネシウム化合物であってもよい。また。カルシウム化合物としては、高反応性消石灰のような水酸化カルシウムに限定されるものではなく、炭酸カルシウム、塩化カルシウム等の他のカルシウム化合物であってもよい。ここで、化合物供給部18は、例えば高反応性消石灰を噴霧する場合、ボイラ本体121内の高反応性消石灰の濃度が例えば1.0g/m乃至5.0g/mとなるように噴霧する。このバグフィルタ15では、排熱回収ボイラ12から煙道PI2に排出される排ガスに高反応性消石灰を噴霧することにより、排ガスに含まれる塩酸のような酸性物質を中和するとともに排ガスに含まれる塵を捕集する中和集塵工程が行われる。そして、バグフィルタ15は、中和集塵工程が行われた排ガスを煙道PI4へ排出する。
脱硝反応塔16は、例えば酸化チタンを担持した酸化タングステン、酸化バナジウム等を主成分とする触媒を有し、触媒により排ガス中に含まれるNOxを分解する触媒脱硫法によりNOxを除去する。なお、脱硝反応塔16としては、例えば800℃乃至900℃の温度環境下においてアンモニアガスまたはアンモニア水、尿酸を噴霧して排ガス中に含まれるNOxを選択還元する無触媒脱硝法を採用したものを採用してもよい。或いは、脱硝反応塔16として、触媒機能を有する濾布を有する脱硝濾過式集塵器を採用してもよいし、或いは、活性コークス、電子ビーム、天然ガスによる再燃焼を利用したものであってもよい。脱硝反応塔16は、脱硝処理を行った排ガスを煙道PI5へ排出する。そして、煙道PI5に排出された排ガスは、脱硝反応塔16に煙道PI5を介して接続された煙突17を通じて大気中へ放出される。
次に、本実施の形態に係る熱回収工程において高反応性消石灰を噴霧することによるダイオキシン類の再合成抑制効果を評価するための実験の結果について説明する。実験では、まず、バイアル瓶内に煤塵10mgを入れてから排ガスに含まれていると考えられるp-クロロフェノールとトルエンとを1:3の割合で含むp-クロロフェノール/トルエン溶液2μLを添加することにより調製された試料(以下、「試料1」と称する。)と、バイアル瓶内に煤塵10mgおよび高反応性消石灰10mgを入れてから前述のp-クロロフェノール/トルエン溶液2μLを添加することにより調製された試料(以下、「試料2」と称する。)と、を準備した。ここで、煤塵は、燃焼炉11で廃棄物および廃油を燃焼させたときに生成されたものを採用した。そして、試料1、2について高温ヘッドスペース(HS)GC/MS(Gas Chromatography Mass Spectrometry)システムを用いて300℃、5minの保温条件で発生ガス中のダイオキシン類を分析した。この分析には、GC/MS装置として、Agilent 7010B トリプル四重極GC/MS(アジレント・テクノロジー製)、HSサンプラとして、Agilent 7697A(アジレント・テクノロジー製)を使用した。ここで、カラムとしては、キャピラリカラムSH-Rxi-5Sil MS(長さ30m、内径0.25mm、固定相の厚さ0.25μm:島津製作所製)を採用した。
試料1についてGCMS分析を行った結果を下記表1に示し、試料1についてGCMS分析を行った結果を下記表2に示す。ここで、「m/z」は、イオンの質量を表す。
Figure 2023064219000002
Figure 2023064219000003
表1、表2に示す結果から、試料2では、試料1に比べて、各種ダイオキシン類の検出量が大幅に減少していることが判った。
ところで、高反応性消石灰とともに煤塵または活性炭が共存している場合、p-クロロフェノールまたは各種ダイオキシン類が煤塵または活性炭に吸着されることにより、ダイオキシン類が減少している可能性が考えられる。そこで、p-クロロフェノールを高反応性消石灰と共存させることにより、単なる煤塵または活性炭への吸着ではなく各種ダイオキシン類の再合成が抑制されていることを検証するための実験を行った。この実験では、まず、バイアル瓶内に活性炭10mgを入れてから前述のp-クロロフェノールとトルエンとを1:3の割合で含むp-クロロフェノール/トルエン溶液2μLを添加することにより調製した試料を3つ準備し、電気炉を用いてそれぞれ温度300℃、加熱時間5min、10min、20minで加熱した。次に、バイアル瓶内の活性炭を10mg取り出して二硫化炭素(CS)溶媒に浸漬させることにより、活性炭に吸着した物質を溶媒に抽出させた。その後、活性炭に吸着した物質を含む溶液の上澄み液をバイアル瓶へ封入することにより放置時間5min、10min、20minそれぞれに対応する3種類の試料(以下、「試料3、4、5」と称する。)を作製した。また、バイアル瓶内に活性炭10mgおよび煤塵3mgを入れてから前述のp-クロロフェノール/トルエン溶液2μLを添加することにより調製した試料を3つ準備し、電気炉を用いてそれぞれ温度300℃、加熱時間5min、10min、20minで加熱した。次に、バイアル瓶内の活性炭および煤塵の混合物を10mgだけ取り出してCS溶媒に浸漬させることにより、活性炭に吸着した物質を溶媒に抽出させた。その後、活性炭に吸着した物質を含む溶液の上澄み液を別のバイアル瓶へ封入することにより放置時間5min、10min、20minそれぞれに対応する3種類の試料(以下、「試料6、7、8」と称する。)を作製した。
更に、バイアル瓶内に活性炭10mgおよび高反応性消石灰10mgを入れてから前述のp-クロロフェノール/トルエン溶液2μLを添加することにより調製した試料を3つ準備し、電気炉を用いてそれぞれ温度300℃、加熱時間5min、10min、20minで加熱した。次に、バイアル瓶内の活性炭および高反応性消石灰の混合物を10mg取り出してCS溶媒に浸漬させることにより、活性炭に吸着した物質を溶媒に抽出させた。その後、活性炭に吸着した物質を含む溶液の上澄み液をバイアル瓶へ封入することにより放置時間5min、10min、20minそれぞれに対応する3種類の試料(以下、「試料9、10、11」と称する。)を作製した。また、バイアル瓶内に活性炭10mg、煤塵3mgおよび高反応性消石灰10mgを入れてから前述のp-クロロフェノール/トルエン溶液2μLを添加することにより調製した試料を3つ準備し、電気炉を用いてそれぞれ温度300℃、加熱時間5min、10min、20minで加熱した。次に、バイアル瓶内の活性炭、煤塵および高反応性消石灰の混合物を10mgだけ取り出してCS溶媒に浸漬させることにより、活性炭に吸着した物質を溶媒に抽出させた。その後、活性炭に吸着した物質を含む溶液の上澄み液を別のバイアル瓶へ封入することにより放置時間5min、10min、20minそれぞれに対応する3種類の試料(以下、「試料12、13、14」と称する。)を作製した。その後、試料3乃至14それぞれについてダイオキシン類の生成量を前述のGCMS分析により評価した。
図2(A)および(B)に示すように、試料3乃至8では、ジクロロベンゾダイオキシンに対応するピークが顕著に表れたことから、ダイオキシン類が存在する場合、それらが活性炭或いは煤塵に吸着されることが判った。一方、図3(A)および(B)に示すように、試料9乃至14では、ジクロロベンゾダイオキシンに対応するピーク図2(A)および(B)の場合のそれと比べて大幅に低下している。このことから、p-クロロフェノールを、高反応性消石灰と共存させることにより、p-クロロフェノールからのダイオキシン類のデノボ合成による生成そのものを効果的に抑制することが判った。
ここで、本実施の形態に係る排熱回収ボイラ12における排ガス中に含まれるp-クロロフェノールの反応機構について図4(A)および(B)を参照しながら説明する。まず、p-クロロフェノールを、高反応性消石灰と共存させることなく、ダイオキシン類が再合成される再合成温度領域の温度(例えば300℃)の環境下において燃焼炉11から排出される煤塵と共存させた状態で放置したとする。この場合、図4(A)に示すように、p-クロロフェノールからpクロロフェノラートが生成される。そして、2つのpクロロフェノラートが結合してダイオキシン類に属するジクロロジベンゾダイオキシンが生成されてしまう。
一方、本実施の形態のように、p-クロロフェノールを、300℃の環境下において高反応性消石灰、即ち、水酸化カルシウムおよび前述の煤塵と共存させた状態で放置したとする。この場合、図4(B)に示すように、p-クロロフェノールからカルシウムpクロロフェノラートが生成されることにより、ジクロロジベンゾダイオキシンの生成が阻害されると考えられる。本実施の形態に係る熱焼却排ガス処理システムでは、このp-クロロフェノールの反応機構に基づいて、排熱回収ボイラ12のボイラ本体121内に高反応性消石灰を噴霧することで、ボイラ本体121内を再合成温度領域で維持しながらもダイオキシン類の発生を抑制できる。
次に、本実施の形態に係る排熱回収ボイラ12における熱回収効率について図5(A)および(B)を参照しながら説明する。なお、図5(A)は、冷却塔を備える従来の燃焼炉排ガス処理システムにおいて、排熱回収ボイラ12において排ガスの温度を450℃まで低下させる場合を示し、図5(B)は、排熱回収ボイラ12において排ガスの温度を150℃まで低下させる場合を示す。図5(A)および(B)において、排熱回収ボイラ12が排ガスから回収する熱量は、面積P0、P1で表される。面積P1が面積P0に比べて大きいことからも判るように、排熱回収ボイラ12において排ガスの温度を150℃まで低下させるほうが熱回収ボイラにおける熱回収効率が増加する。即ち、本実施の形態に係る燃焼炉排ガス処理システムでは、従来はダイオキシン類の発生抑制の観点から難しかった150℃以上且つ450℃以下の温度領域での熱回収が可能となっている。
以上説明したように、本実施の形態に係る燃焼炉排ガス処理システムによれば、排熱回収ボイラ12が、燃焼炉11から排出された650℃以上且つ850℃以下の排ガスを、カルシウム化合物(例えば高反応性消石灰)と共存させた状態で、節炭器122により排ガスから熱を回収することにより排ガスの温度を200℃に低下させる。これにより、300℃近傍の再合成温度領域を含む温度領域において、排ガスとカルシウム化合物とを共存させることにより、ボイラ本体121内でのダイオキシン類の再合成を抑制することができる。従って、300℃近傍の再合成温度領域を含む比較的広い温度領域において、ダイオキシン類の再合成を抑制しつつ排ガスからの熱回収を継続することができ、その分、排ガスからの熱回収効率を高めることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限
定されるものではない。例えば、図6に示す燃焼炉排ガス処理システムのように、2つの排熱回収ボイラ212、14を備えるものであってもよい。なお、図6において、実施の形態と同様の構成については図1と同一の符号を付している。つまり、本変形例に係る燃焼炉排ガス処理システムは、従来から一般的な排熱回収ボイラ212とその後段に設置される冷却塔とを備える焼却炉排ガス処理システムにおいて、冷却塔を排熱回収ボイラ14に置き換えた構成となっている。ここで、排熱回収ボイラ212は、実施の形態で説明した排熱回収ボイラ12において化合物供給部123を備えていない構造を有する。即ち、排熱回収ボイラ212は、排ガスを高反応性消石灰と共存させないで熱回収工程を行ういわゆる従来型の熱回収ボイラである。また、排熱回収ボイラ14は、実施の形態で説明した排熱回収ボイラ12と同様の構造を有し、煙道PI202を介して排熱回収ボイラ212に接続されたボイラ本体141と、ボイラ本体141内に配置された節炭器142と、ボイラ本体141内へカルシウム化合物を噴霧する化合物供給部143と、を有する。カルシウム化合物としては、前述のように高反応性消石灰が採用される。また、節炭器142には、給水管PI211を通じて節炭器142へ水を圧送する給水部2131と、節炭器142で生成される蒸気を、排水管PI212を通じて回収する回収部2132と、を有する。
前段の排熱回収ボイラ212では、煙道PI1から導入される650℃以上850℃以下の排ガスを、節炭器122を用いて排ガスから熱を回収することにより排ガスの温度を400℃以上500℃以下まで低下させる熱回収工程が行われる。この排熱回収ボイラ212では、排ガスを高反応性消石灰と共存させないで熱回収工程が行われる。そして、排熱回収ボイラ212から排出される400℃以上500℃以下の排ガスが、煙道PI3を通じて後段の排熱回収ボイラ14に投入される。そして、排熱回収ボイラ14では、前段の排熱回収ボイラ12から煙道PI3を通じて投入される排ガスを、高反応性消石灰と共存させた状態で、節炭器142を用いて排ガスから熱を回収することにより排ガスの温度を200℃以下まで低下させる熱回収工程が行われる。そして、後段の排熱回収ボイラ14は、温度が低下した排ガスを煙道PI3へ排出する。また、前述の化合物供給部18は、排熱回収ボイラ14とバグフィルタ15とを繋ぐ煙道PI3に設けられている。
本発明は、発電プラント、廃棄物処理プラントにおける燃焼炉から排出される排ガスを処理する排ガス処理設備に好適である。
11:燃焼炉、12,14,212:排熱回収ボイラ、15:バグフィルタ、16:脱硝反応塔、17:煙突、18,123,143:化合物供給部、111:燃焼炉本体、112:廃棄物フィーダ、113:廃油フィーダ、115、116:バーナ、121,141:ボイラ本体、122,142:節炭器、131,2131:給水部、132,2132:回収部、PI1、PI2、PI3、PI4、PI5、PI202:煙道、PI11,PI211:給水管、PI12,PI212:排水管

Claims (4)

  1. 燃焼炉から排出された650℃以上且つ850℃以下のダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素の基となる物質を含む排ガスを、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物と共存させた状態で、前記排ガスから熱を回収することにより前記排ガスの温度を200℃以下に低下させる熱回収工程と、
    前記熱回収工程の後、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物を用いて、前記排ガスに含まれる酸性物質を中和するとともに前記排ガスに含まれる塵を収集する中和集塵工程と、を含む、
    燃焼炉排ガス処理方法。
  2. 前記カルシウム化合物は、水酸化カルシウムである、
    請求項1に記載の燃焼炉排ガス処理方法。
  3. 前記中和集塵工程は、前記熱回収工程の直後に行われる、
    請求項1または2に記載の燃焼炉排ガス処理方法。
  4. 節炭器を有し、燃焼炉に煙道を介して接続されるとともに、前記燃焼炉から排出された650℃以上且つ850℃以下のダイオキシン類を含む多環芳香族炭化水素の基となる物質を含む排ガスを、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物と共存させた状態で、前記節炭器により前記排ガスから熱を回収することにより前記排ガスの温度を200℃以下に低下させる排熱回収ボイラと、
    前記排熱回収ボイラに煙道を介して接続され、カルシウム化合物またはマグネシウム化合物を用いて、前記排ガスに含まれる酸性物質を中和するとともに前記排ガスに含まれる塵を収集するバグフィルタと、を備える、
    燃焼炉排ガス処理システム。
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