JP2023064101A - 歯科治療用のオステオトーム、穴形成器具、テストポスト、ストッパーエクステンション、歯根膜ガード、水流チューブ - Google Patents

歯科治療用のオステオトーム、穴形成器具、テストポスト、ストッパーエクステンション、歯根膜ガード、水流チューブ Download PDF

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Noriaki Yoshihashi
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Abstract

【課題】インプラント体の埋設治療や自家歯牙等の埋設体の埋設治療を行うときの種々の問題に鑑み、これらに対応した歯科治療用のオステオトーム等を提供する。【解決手段】患者の顎部の治療箇所の表層から深部に向けて埋入され、当該治療箇所の奥の粘膜の位置を変位させるように骨を押し広げあるいは圧縮する際に衝撃を加えるための器具として用いられるオステオトーム60であって、当該オステオトームの本体部たるボディ部と、該ボディ部の先端に形成され、粘膜の位置を変位させる端部63と、を備える。端部63の径は、自家製歯の移植に適した大きさである。【選択図】図34G

Description

本発明は、歯科治療用のオステオトーム、穴形成器具、テストポスト、ストッパーエク
ステンション、歯根膜ガード、水流チューブに関する。
例えばインプラント治療において、通常、術者である歯科医師は、歯科用CTスキャン
を用いて、患者の治療位置を含む、上顎及び/又は下顎の3次元画像データを得る。歯科
医師は、3次元画像データに基づいて、治療位置に加えて、患者の上顎の上顎洞の位置、
後上歯槽動脈、及び、大口蓋動脈の位置、又は、患者の下顎の下歯槽動脈及び下歯槽神経
の位置を手技前に把握する。
そして、歯科医師は、例えばインプラント治療において、治療対象が上顎であれば、ド
リルなどの穴形成器具の先端を、所定の非到達(非接触)ターゲットとして患者の上顎洞
粘膜、後上歯槽動脈、及び、大口蓋動脈などに到達させないように手技を行う。また、歯
科医師は、治療対象が下顎であれば、ドリルなどの穴形成器具の先端を、所定の非到達タ
ーゲットとして患者の下歯槽動脈及び下歯槽神経に到達させないように手技を行う。
例えばインプラント治療において、治療計画通りに骨に凹孔を形成するために、ドリル
を案内するサージカルガイドが使用されることがある。サージカルガイドは、患者の上顎
及び/又は下顎の3次元画像データに基づいて形成される。サージカルガイドは、患者の
歯及び歯茎に嵌めて使用される。サージカルガイドは、歯科医師による手技時、インプラ
ント体の埋設用の穴を形成するときの穴の位置、方向、径等を、治療計画の通りに形成可
能とする。
特表2017-508595号公報
例えばインプラント治療における危険性は、動脈や神経等の非到達ターゲットの位置を
手技のときに目視できないことである。
インプラント治療の治療計画の作成(サージカルガイドの作成を含む)は、現状、歯科
医師が取得した患者のCT画像データ(DICOMデータ)から、例えばインプラントのメー
カーが持つシステムを用いてメーカーの技術者が行うことが多い。歯科医師は、メーカー
の技術者が作成した治療計画を検討する。しかし、歯科医師は治療計画の作成時に作成現
場におらず、また、歯科医師がメーカーが作成した治療計画の修正時に使用可能なツール
は限られている。対象が3次元的であるため、歯科医師がインプラント体の選定、インプ
ラント体を埋設する凹孔の内径、位置、角度等の僅かな調整、器具選択といった治療計画
の細かな指示を歯科医師の意図通りに行うことが難しい。
本来であれば、インプラント治療の治療計画の作成から実際の治療まで、歯科医師が責
任をもって行うべきである。そして、メーカーの技術者が作成した治療計画において例え
ば穴形成器具の各種パラメータの選択ミス等があったとしたときに、歯科医師が気づかず
に誤った治療計画の通りに手技を行ってしまう可能性を排除することは難しい。
本開示は、例えばインプラント体の埋設治療や自家歯牙等の埋設体の埋設治療を行うと
き、治療計画を作成した後、実際の穴形成器具などの手技器具を用いた歯科治療の前に、
その手技器具を用いたときの手技器具の先端位置と、患者の上顎の上顎洞粘膜、後上歯槽
動脈、及び、大口蓋動脈の位置、又は、下顎の下歯槽動脈及び下歯槽神経の位置などの非
到達ターゲット位置との位置関係を術者である歯科医師が事前検証可能な、歯科治療計画
の手技前検証システム、歯科治療計画の手技前検証プログラム、歯科治療計画の手技前検
証用の模型の製造方法、及び、歯科治療計画の手技前検証用の模型を提供し、可能な限り
歯科医師自身が設計、器具選択、治療計画の安全性の確認を行い、最良の治療計画を実現
することを目的とする。併せて、本開示は、インプラント体の埋設治療や自家歯牙等の埋
設体の埋設治療を行うときの種々の問題に鑑み、これらに対応した歯科治療用のオステオ
トーム、穴形成器具、テストポスト、ストッパーエクステンション、歯根膜ガード、水流
チューブを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るオステオトームは、患者の顎部の治療箇所の表層から深部に向け
て埋入され、当該治療箇所の奥の粘膜の位置を変位させるように骨を押し広げあるいは圧
縮する際に衝撃を加えるための器具として用いられるオステオトームであって、
当該オステオトームの本体部たるボディ部と、
該ボディ部の先端に形成され、粘膜の位置を変位させる端部と、
を備え、端部の径が自家製歯の移植に適した大きさである、オステオトームである。
上記のごときオステオトームは、端部の径が、インプラント専用のオステオトームの端
部径よりも大きいものであってもよい。
上記のごときオステオトームの端部の径が5mm以上であってもよい。
上記のごときオステオトームは、患者の治療箇所の表面形状に合わせて設けられ、治療
の際の深さの目安となる基準位置を所定量オフセットさせるサージカルガイドに形成され
たガイド孔に沿ってガイドされる被ガイド部がボディ部の一部に形成されていてもよい。
本発明の別の一態様は、患者の顎部の治療箇所に対し基端側から先端側に向けて埋入さ
れ、当該治療箇所の奥の粘膜の位置を変位させるように骨を押し広げあるいは圧縮する際
に衝撃を加えるための器具として用いられるオステオトームであって、
当該オステオトームの本体部たるボディ部と、
該ボディ部の先端に形成され、粘膜の位置を変位させる端部と、
を備え、患者の治療箇所の表面形状に合わせて形成され、治療の際の高さの目安となる基
準位置を所定量オフセットさせるサージカルガイドに設けられたガイド孔に沿ってガイド
される被ガイド部がボディ部の一部に形成されている、オステオトーム。
本発明の一態様は、患者の顎部の治療箇所の表層から深部に向けて進み、埋設体の一部
を埋設するための穴を形成するドリルを有する穴形成器具であって、ドリルの径が自家製
歯の移植に適した大きさである、穴形成器具である。
上記のごとき穴形成器具は、ドリルの径が、埋設体がインプラント体である場合のドリ
ル径よりも大きいものであってもよい。
上記のごとき穴形成器具は、ドリル径が5mm以上であるものであってもよい。
上記のごとき穴形成器具は、患者の治療箇所の表面形状に合わせて形成され、治療の際
の高さの目安となる基準位置を所定量オフセットさせるサージカルガイドに設けられたガ
イド孔に沿ってガイドされる被ガイド部が当該穴形成器具の一部に形成されているもので
あってもよい。
本発明の一態様は、樹脂材料またはセラミック材料で形成され、患者の顎部の治療箇所
に埋設体の一部を埋設するために形成された穴、または、患者の治療箇所の表面形状に合
わせて設けられ、治療の際の深さの目安となる基準位置を所定量オフセットさせるサージ
カルガイドに形成されたガイド孔に挿入され、その状態で行われる放射線を利用した撮影
画像中に結像して穴またはガイド孔の位置を示す、画像診断用のテストポストである。
上記のごときテストポストは、段付き形状であってもよい。
上記のごときテストポストは、サージカルガイドのガイド孔の内径よりも大きい径であ
る外径部を有していてもよい。
本発明の一態様は、患者の治療箇所の表面形状に合わせて設けられ、治療の際の深さの
目安となる基準位置を所定量オフセットさせるサージカルガイドに形成されたガイド孔に
挿入され、ガイド長さを延長させる、筒状に形成されたストッパーエクステンションであ
る。
上記のごときストッパーエクステンションは、段付き形状であってもよい。
上記のごときストッパーエクステンションは、サージカルガイドのガイド孔の内径より
も大きい径である外径部を有するものであってもよい。
本発明の一態様は、移植に供される自家製歯のうち、カット対象たる歯根を除く部分の
一部または全部を覆い、歯根をカットする際に当該歯根の周囲にある歯根膜に与えること
がある外因によるダメージを軽減させる、歯根膜ガードである。
上記のごとき歯根膜ガードは、低反発素材で形成されていてもよい。
上記のごとき歯根膜ガードは、シリコン製であってもよい。
本発明の一態様は、患者の顎部の治療箇所の表層から深部に向けて埋入され、当該治療
箇所の奥の粘膜の位置に向けて先端部から水を噴出させる水流チューブであって、
先端部の径が自家製歯の移植に適した大きさである、移植用の水流チューブである。
上記のごとき水流チューブの先端部に、先端から基端に向かうにつれ外径が段階的に大
きくなる段部が形成されていてもよい。
本発明の他の一態様は、患者の顎部の3次元立体画像に基づいて形成され、患者の治療
対象の歯、歯茎、及び、歯茎に覆われる歯槽骨の少なくとも一部と同じ大きさ及び同じ形
状で、患者の治療対象の歯、歯茎、及び、歯槽骨の少なくとも一部を模す模型本体と、
患者の3次元立体画像に基づいて形成され、患者の治療対象の歯槽骨に隣接又は埋設さ
れ、治療時に複数から選択される手技器具の先端を非接触とするべき非接触ターゲットを
模し、患者の治療対象の歯、歯茎、及び、歯槽骨と非接触ターゲットとの位置関係と同じ
位置関係に、模型本体に設けられる、ターゲット模型部と、
患者の3次元立体画像に基づいて、模型本体における患者の治療対象の歯茎及び歯槽骨
を模した位置に、治療対象に対する埋設体を埋設可能な孔を模して形成され、患者の3次
元立体画像における孔に対し3次元立体画像における手技器具が嵌まり、3次元立体画像
において手技器具が孔に挿入されたときに、手技器具とターゲットとの間の位置関係を歯
科医師に視認可能とする、孔部と、
を備え、
ターゲット模型部に、手技前検証時に手技器具が接触した場合、接触したことを知らし
めるための流体が内蔵されている、歯科治療計画の手技前検証用の模型である。
このような模型によれば、歯科治療計画の手技前検証の際、非接触ターゲットを模した
ターゲット模型部に手技器具が接触すると流体(たとえば着色された液体、など)が漏れ
出るため、ターゲット模型部への接触があったことを視覚的に簡単に認識することができ
る。
第1実施形態及び第2実施形態に係る歯科治療計画事前検証システムのブロック図。 インプラント体の一例を示す概略図。 穴形成器具の一例を示す概略図。 第1実施形態に係る歯科治療計画事前検証用の模型を示す概略図。 図4Aとは異なる方向から見た模型を示す概略図。 第1実施形態の変形例に係る歯科治療計画事前検証用の模型を示す概略図。 第1実施形態に係るサージカルガイドを示す概略図。 インプラント治療の治療計画を示すフローチャート。 図6に続くインプラント治療の治療計画を示すフローチャート。 下歯槽骨を示す第1の3次元画像データに対し非到達ターゲットの位置をマーキングした第3の3次元画像データを重ねた状態を示す図。 図8に、さらに、インプラント体の第4の3次元画像データを重ねた状態を示す図。 図9に、さらに歯及び歯茎の第2の3次元画像データ及び穴形成器具の第5の3次元画像データを重ねた状態を示す図。 サージカルガイドの第6の3次元画像データを示す図。 下顎にサージカルガイドを取り付けた状態での、歯茎、歯、下歯槽骨、インプラント体、非到達ターゲットを示す概略図。 下顎にサージカルガイドを取り付けた状態での、歯茎、歯、下歯槽骨、穴形成器具、非到達ターゲットを示す概略図。 図9に、さらにサージカルガイドの第6の3次元画像データを重ねた状態を示す図。 図14から第1の3次元画像データ、及び、第2の3次元画像データを除去した状態を示す図。 第2の3次元画像データ、第3の3次元画像データ、第4の3次元画像データ、及び、第5の3次元画像データの一部の表面画像データを示す図。 図16に示す表面画像データを重ね合わせた後、第4の3次元画像データ、及び、第5の3次元画像データを引いた表面画像を示す図。 模型にサージカルガイドを組み合わせた後、穴形成器具をサージカルガイドのガイド孔を挿入した状態を示す概略図。 第1変形例に係る、下顎にサージカルガイドを取り付けた状態での、歯茎、歯、下歯槽骨、ハンドルを含む穴形成器具、非到達ターゲットを示す概略図。 第2変形例に係る、下歯槽骨を示す第1の3次元画像データに対し非到達ターゲットの位置をマーキングした第3の3次元画像データ、自家歯牙の第4の3次元画像データ、及び、穴形成器具の第5の3次元画像データを重ねた状態を示す図。 第2実施形態に係り、上顎の上歯槽骨、上顎洞、後上歯槽動脈及び大口蓋動脈を示す第1の3次元画像データに、インプラント体の第4の3次元画像データ及び穴形成器具の第5の3次元画像データを重ねた状態を示す図。 上顎の第1から第4の3次元画像データを重ねた状態を示す図。 図22に示す図に第6の3次元画像データを重ねるとともに、第1の3次元画像データを除去した状態を示す図。 第1の3次元画像データ、第2の3次元画像データ、第3の3次元画像データ、第4の3次元画像データ、及び、第5の3次元画像データの一部の表面画像データを示す図。 図24に示す表面画像データを重ね合わせた後、第4の3次元画像データ、及び、第5の3次元画像データを引いた表面画像を示す図。 図25に示す上顎を、異なる方向から見た図。 上顎にインプラント体を埋設する手技を行うときの歯と上顎洞との位置関係を示す概略図。 図27に続く、上顎にインプラント体を埋設する手技を行うときの歯と上顎洞との位置関係を示す概略図。 図22中の第2の3次元画像データに、上顎洞の上顎洞底粘膜を重ねた状態を示す図。 第3実施形態におけるオステオトームの一例を示す図である。 オステオトームの一部を拡大して示す図である。 バー部を基端側にずらした状態のオステオトームの部分拡大図である。 図30B中のXXXI-XXXI線における断面図である。 端部の径が大きいバー部の一例を示す図である。 患者の顎部の治療箇所近傍の歯及び歯茎にサージカルガイドを嵌めた状態を示す図である。 穴形成器具で治療箇所に凹孔を形成する様子を示す図である。 凹孔を形成してから穴形成器具を抜いた後の状態を示す図である。 大径の穴形成器具で治療箇所により大きな凹孔を形成する様子を示す図である。 より大きな凹孔を形成してから穴形成器具を抜いた後の状態を示す図である。 再びサージカルガイドを嵌め、サージカルガイドのガイド孔にオステオトームを差し込んだ状態を示す図である。 治療箇所に形成された大きな凹孔の表層にオステオトームの端部を埋入し、当該治療箇所の奥の粘膜の位置を変位させる様子を示す図である。 粘膜の位置を変位させてからオステオトームとサージカルガイドを取り外した後の状態を示す図である。 端部の径が大きなオステオトームをサージカルガイドとともに取り付けた状態を示す図である。 端部の径が大きなオステオトームで治療箇所の奥の粘膜の位置をさらに変位させる様子を示す図である。 粘膜の位置をさらに変位させてからオステオトームとサージカルガイドを取り外した後の状態を示す図である。 端部の径がより大きなオステオトームをサージカルガイドとともに取り付けた状態を示す図である。 端部の径がより大きなオステオトームで治療箇所の奥の粘膜の位置をさらに変位させる様子を示す図である。 粘膜の位置をさらに変位させてからオステオトームとサージカルガイドを取り外した後の状態を示す図である。 粘膜の位置をさらに変位させた後に水流チューブをサージカルガイドとともに取り付けた状態を示す図である。 水流チューブから噴出させた水で粘膜の位置を変位させる様子を示す図である。 水流チューブから噴出させた水で粘膜の位置をさらに変位させた様子を示す図である。 水流チューブから噴出させた水で粘膜の位置をさらに変位させた後の凹孔に自家製歯を移植した状態を示す図である。 埋設体の位置がずれていた実際の例を示す画像である。 テストポストの一例を示す画像である。 テストポストの別の例を示す図である。 画像データに基づき実際に作成されたサージカルガイドの一例を示す図である。 テストポストを装着したサージカルガイドを示す図である。 テストポストを装着したサージカルガイドを患者に装着して撮影したCT画像の一例を示す図である。 ストッパーエクステンションの一例を示す図である。 ハンドルに装着され、穴形成器具のシャンクを保持した状態のストッパーエクステンションを示す図である。 ハンドルに装着され、穴形成器具のシャンクを保持した状態のストッパーエクステンションの一部をサージカルガイドのガイド孔に挿入した状態を示す図である。 歯根膜ガードによって覆われる前の自家製歯の一例を参考までに示す図である。 歯根膜ガードによって覆われた状態の自家製歯を示す図である。 歯根膜ガードによって覆われた状態の自家製歯を指で挟み持った様子を示す図である。
実施形態に係る、歯科治療計画の手技前検証システム(歯科治療計画作成後、手技前に
歯科治療計画の検証を行うための模型作製システム)10は、例えばある患者の各種デー
タの取得、インプラント治療の治療計画の作成から、患者への手技を行うまでの一連の作
業の一部をなす。このシステム10は、例えば、ある患者の患部データの取得、ある患者
への歯科治療計画の作成から実際の患者の模型(歯科治療計画の手技前検証用の模型)1
00を出力したものを用いて歯科治療計画の手技前検証を行う一連の作業を行うときに用
いる。ある患者の患部データの取得、及び、模型100の出力は、このシステム10とは
異なる別のシステムにより行ってもよい。
(第1実施形態)
第1実施形態では、システム10を、多数から選択される埋設体としてのインプラント
体30(図2参照)を患者の下顎に埋設するインプラント治療を行う例に用いる場合につ
いて説明する。
図1に示すように、歯科治療計画の手技前検証システム(以下、単にシステムという)
10は、制御装置12と、第1のスキャナ14と、第2のスキャナ16と、表示部18と
、操作部(指示入力部)20と、記憶装置22と、3Dプリンタ24と、ミリングマシン
26とを備える。
制御装置12は、第1のスキャナ14、第2のスキャナ16、表示部18、操作部20
、記憶装置22、3Dプリンタ24、及び、ミリングマシン26を制御する。制御装置1
2としては、例えばコンピュータを用いる。制御装置12は、例えば、CPUやMPUな
どのプロセッサ、RAM、ROM、及び、I/Oインターフェースを含む。制御装置12
は、例えば1又は複数のCPUなどのプロセッサがROM等のメモリに格納された制御プ
ログラムをRAMに展開して、表示部18、操作部20、記憶装置22、第1のスキャナ
14、第2のスキャナ16、3Dプリンタ24、及び、ミリングマシン26に対する適宜
の処理を実行する。又は、制御装置12は、例えば1又は複数のCPUなどのプロセッサ
がネットワークを介してプログラムを読み出し、表示部18、操作部20、記憶装置22
、第1のスキャナ14、第2のスキャナ16、3Dプリンタ24、及び、ミリングマシン
26に対する適宜の処理を実行する。制御装置12は、メモリに予め格納されたプログラ
ムをプロセッサが読み込んで実行することにより、各部を制御し、画像処理などの処理を
行う機能をソフトウェアにより実現する。
第1のスキャナ14は、例えば歯科用CTスキャンである。第1のスキャナ14は、患
者の例えば下顎の歯、骨及び骨内部の3次元画像データ(例えばDICOMデータ)を取得し
、制御装置12に出力する。制御装置12は、患者の下顎の歯、骨及び骨内部の3次元画
像データを、記憶装置22に記憶させる。第2のスキャナ16は、例えば口腔内スキャナ
である。第2のスキャナ16は、患者の例えば下顎の歯及び歯茎の表面の3次元画像デー
タ(例えばSTLデータ)を取得し、制御装置12に出力する。制御装置12は、患者の下
顎の歯及び歯茎の表面の3次元画像データを、記憶装置22に記憶させる。
表示部18は、例えば液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイなどの各種のディス
プレイである。表示部18は、第1のスキャナ14及び第2のスキャナ16で取得し制御
装置12に出力する患者に関する画像を表示するとともに、各種の情報を表示する。制御
装置12は、記憶装置22に記憶させた患者の3次元画像データを読み出して表示部18
に表示させてもよい。
操作部20は、制御装置12に対する指示を入力する。操作部20は、例えばキーボー
ド及びマウス等のデバイスを含む。
記憶装置22は、患者の各種データ(例えば、下顎の歯、骨及び骨内部の3次元画像デ
ータ(DICOMデータ)、及び、患者の下顎の歯及び歯茎の表面の3次元画像データ(例え
ばSTLデータ))を記憶する。記憶装置22は、例えば図2に示すインプラント体30の
各種の3次元画像データ(インプラント体データ)22a、図3に示すドリルなどの穴形
成器具40の各種の3次元画像データ(穴形成器具セットデータ)22bを記憶する。
制御装置12がネットワークを介してインプラント体30の各種の3次元画像データ2
2a、穴形成器具40の各種の3次元画像データ22bを読み出す場合、記憶装置22に
インプラント体30の各種の3次元画像データ22a、穴形成器具40の各種の3次元画
像データ22bを記憶させることは不要となり得る。すなわち、制御装置12は、記憶装
置22の代わりに、例えばサーバ上のデータベース(インプラント体データ22a及び穴
形成器具セットデータ22b)を用いてもよい。制御装置12は、サーバから各種のデー
タを読み出し可能である。
図3に示すように、実際の穴形成器具40は、例えば、穴をあけるボディ42と、シャ
ンク44と、スリーブ46と、ストッパー48と、を有する。ボディ42及びシャンク4
4は一体成型など、一体化されている。シャンク44は、図示しないハンドピースに固定
される。このため、ボディ42及びシャンク44は、所定の回転軸の軸回りに回転する。
スリーブ46は、ボディ42の外側を覆い、後述するサージカルガイドなどの補助器具2
00のガイド孔(貫通孔)210に嵌合又は係合する。ストッパー48のボディ42側の
端面48aは、例えばハンドピースとの距離が規定された状態で、補助器具200のガイ
ド孔210を規定する規定面220に当接する。
3Dプリンタ24は、患者の下顎の3次元画像データ及び歯科医師が作成する3次元画
像データに基づいて、図4A及び図4Bに示す、歯科治療事前検証用の模型100を造形
する。3Dプリンタ24は、例えば歯科医師が自ら所有し、その歯科医師が3Dプリンタ
24を動作させることが好適であるが、専門業者等が、歯科医師等から3Dプリンタ用の
データを受け取り、造形物を出力してもよい。
模型100は、模型本体110と、ターゲット模型部120と、孔部130とを有する
。模型本体110は、患者の実際の下顎の治療対象部位及びその周囲と同じ大きさ、形状
に造形される。模型本体110とターゲット模型部120との間は、患者の実際の下顎の
治療対象部位とターゲット(非接触ターゲット又は接触ターゲット)との位置関係と同じ
位置関係に形成される。同じ位置関係とは、治療対象部位の手技に関係する部位が、患者
の実際の下顎の治療対象部位及びその周囲と同じ大きさ、形状に形成される意である。孔
部130は、後述するインプラント体30及び穴形成器具40の各種のパラメータによっ
て規定される。孔部130は、治療対象部位の孔部130に埋設するインプラント体30
又は穴形成器具40の形状(例えば、長さ、外径)、角度、位置に関するパラメータの設
定にしたがって形成される。
模型本体110は、孔部130の縁部を形成する規定面135を有する。規定面135
は、歯茎又は下歯槽骨の表面である。スリーブ46の端面46aが規定面135に当接す
ると、その位置から穴形成器具40のボディ42が歯茎及び下歯槽骨の奥側に向かうこと
を規制する。このため、模型本体110の規定面135により、穴形成器具40の先端到
達位置は規定される。
ターゲット模型部120は模型本体110に支持されることが好適である。模型100
は、ターゲット模型部120を支持し、模型本体110とは反対側に設けられる基部(土
台)140と、模型本体110と基部140とを接続する支柱150とをさらに有する。
ミリングマシン26は、患者の下顎の3次元画像データ及び歯科医師が作成する3次元
画像データに基づいて、図5に示す補助器具(サージカルガイド)200を削り出す。ミ
リングマシン26は、例えば歯科医師が自ら所有し、その歯科医師がミリングマシン26
を動作させることが好適であるが、専門業者等が、歯科医師等からミリングマシン26用
のデータを受け取り、補助器具200を出力してもよい。
実際に歯科治療時に使用される補助器具200は、医療認可され、歯科治療に耐え得る
耐久性を有する樹脂材が用いられる。歯科治療時に使用される補助器具200は、3Dプ
リンタ24で作製される場合もあり得る。この場合の補助器具200は、医療認可された
素材で形成される。なお、歯科治療時に使用せず、模型100とともに歯科医師の確認用
に用いる補助器具200は、例えば模型100と同じ素材で形成されることが好適である
。模型100は実際の治療に用いられるわけではないため、規定面135とターゲット模
型部120との関係が維持されていれば、適宜の素材で適宜の精度に形成されていればよ
い。
補助器具200は、患者の治療箇所の表面形状に合わせて形成される。補助器具200
は、患者の治療箇所の歯茎の近傍の歯、歯茎又は顎骨にスクリューで固定後に嵌合させて
用いる。補助器具200は、下顎に対するガタツキを防止した状態で、下顎に固定される
。補助器具200は、歯茎及び歯槽骨に設定した凹孔を形成し、その凹孔に設定したイン
プラント体30を入れるための凹孔を正確に穴形成器具40のボディ42で形成するため
に用いる。
補助器具200は、本体205と、ガイド孔210とを有する。
上述したように、補助器具200は、患者の治療箇所の歯茎の近傍の歯、歯茎及び顎骨
にスクリューで固定後に嵌合させて用いるため、本体205は、歯、歯茎及び顎骨との基
準位置を規定する位置規定部として用いられる。本体205は、患者の口腔の領域に、例
えば1本以上の歯に沿って固定される例を図示するが、患者の下顎側が完全に無歯の状態
であってもよい。例えば、本体205は、1本または2本の歯のみ、骨のみ、または任意
のそれらの任意の組み合わせのような患者の口腔のより小さな部分に接続するように構成
され得る。
ガイド孔210は、本体205が患者の下顎の歯及び歯茎に適切に取り付けられたとき
に、穴形成器具40のボディ42により形成される凹孔の方向、形状(長さ、外径)、角
度、位置等を規定する。補助器具200は、ガイド孔210の縁部を形成する規定面22
0を有する。規定面220は、歯茎又は下歯槽骨に対向する面とは反対側の面である。ス
トッパー48の端面48aが規定面220に当接すると、その位置から穴形成器具40の
ボディ42が歯茎及び下歯槽骨の奥側に向かうことを規制する。このため、補助器具20
0の規定面220により、穴形成器具40の先端到達位置は規定される。
なお、補助器具200のガイド孔210は、穴形成器具40だけでなく、例えば、止血
用などの電気メスなどの他の手技器具を挿入し得る可能性がある。このとき、規制面22
0は、電気メスの挿入方向、角度、位置等を規制する。このため、規制面220は、穴形
成器具40の規制面として用いられるだけでなく、手技器具の規制面として用いられ得る
。したがって、補助器具200は、手技器具の位置規定体として用いられる。
なお、本実施形態に係るシステム10では、歯科医師は、補助器具を3次元画像データ
(3次元形状を表現するデータ)として作成でき、3Dプリンタ24又はミリングマシン
26を用いて、患者の下顎の形状及び大きさに適合する実物を造形可能である。
本実施形態に係る制御装置12には、画像表示プログラム、画像処理プログラム、出力
プログラム等が格納されている。
画像表示プログラムは、第1のスキャナ14、第2のスキャナ16で取得するデータを
表示部18に表示させる。画像処理プログラムは、画像表示プログラムで表示させた画像
データと、記憶装置22に格納された各種のデータとを同一の座標軸に基づいて重ね合わ
せる。画像表示プログラムは、画像処理プログラムを用いて同一の座標軸に基づいて重ね
合わせたデータを表示部18に表示させる。また、画像表示プログラムは、歯科医師の意
図に基づいて作成する3次元画像データを表示部18に表示させる。出力プログラムは、
画像処理プログラムを用いて歯科医師の意図に基づいて作成する3次元画像データ及び物
体(例えば模型100及び補助器具200)の表面データ(3次元形状を表現するデータ
(3次元画像データ)をいい、以下、表面データという)を出力する。出力プログラムは
、3Dプリンタ24又はミリングマシン26に実物を造形させる表面データを出力可能で
ある。
歯科医師は、操作部20を用いて制御装置12に各種の指示を入力し、例えば図6及び
図7に示すフローに沿ってインプラント治療の治療計画を作成する。
歯科医師は、歯科用CTスキャンなどの第1のスキャナ14を用いて、患者の下顎の歯
、骨及び骨内部の3次元画像データ(例えばDICOMデータ)を取得し、記憶装置22に記
憶させる。これを第1の3次元画像データとする。また、歯科医師は、例えば、口腔内ス
キャナなどの第2のスキャナ16を用いて、歯及び歯茎の表面の3次元画像データ(例え
ばSTLデータ)を取得し、記憶装置22に記憶させる。これを第2の3次元画像データ(
第1の表面データ)52とする。歯科医師は、適宜のソフトウェア(アプリケーション)
に、第1の3次元画像データ、及び、第2の3次元画像データを取り込む(ステップS1
)。ソフトウェアは、第1の3次元画像データ51、及び、第2の3次元画像データ52
のデータ形式が異なっていても、第1の3次元画像データ51、及び、第2の3次元画像
データ52の両方のデータを読み込み可能である。
歯科医師は、例えば第1の3次元画像データに基づく第1の3次元画像51を表示部1
8の表示画面で確認するとともに、その他の各種条件に基づいて、ある患者の治療部位に
おけるインプラント治療の可否を総合的に判断する(ステップS2)。以下、歯科医師が
、インプラント治療が可能である(S2-Yes)と判断したときの作業について説明す
る。なお、歯科医師が、インプラント治療が不可である(S2-No)と判断したとき、
治療計画の作成作業を終了する。
なお、第2の3次元画像データをインプラント治療の可否判断に使用しない場合、第2
のスキャナ16を用いた、歯及び歯茎の表面の3次元画像データ(例えばSTLデータ)の
取得を、ステップS2の工程の後に行ってもよい。
歯科医師は、図8に示すように、ソフトウェア上で、下顎の骨(下歯槽骨)を示す第1
の3次元画像51において、インプラント治療時にインプラント体30を埋設する凹孔7
0の形成時に穴形成器具40のボディ42の先端を到達させない非到達(非接触)ターゲ
ットとするため、下歯槽動脈及び下歯槽神経の位置を特定する。そして、歯科医師は、ソ
フトウェア上で、非到達ターゲットの位置をマーキングする(ステップS3、第1の処理
)。このとき、歯科医師は、ソフトウェア上で、非到達ターゲットが3次元的に形成され
るように非到達ターゲットの特徴点をマーキングする。そして、歯科医師は、第3の3次
元画像データ(第4の表面データ)53として、非到達ターゲットを作成する。
歯科医師は、図9に示すように、ソフトウェア上で、治療位置において、インプラント
体30を模したインプラント体の形状(例えば長さ、外径)、角度、位置等を設定又はイ
ンストールする(ステップS4)。インストールとは、例えば歯科医師が3Dスキャナな
どを用いて取得した3次元データをシステム10に取り込むことをいう。インプラント体
の角度とは、例えば患者の治療位置に対する設置向きをいう。
なお、インプラント体としては、そのインプラント体に1対1に対応し、実際に医療認
可されたインプラント体30と同じ形状及び同じ寸法の情報を含む3次元画像データを用
いる。このとき、歯科医師は、インプラント体30に取り付けるアバットメント(abutme
nt)及び上部構造(歯冠部)の形状との関係を考慮する。歯科医師は、例えば記憶装置2
2に記憶されたインプラント体の3次元画像データ22aから、設定内容に合致する1つ
のインプラント体を選択する。歯科医師が選択するインプラント体の第4の3次元画像デ
ータ(第2の表面データ)54は、例えばインプラント体30のメーカーから提供される
。歯科医師は、インプラント体30のメーカーから提供されない場合、インプラント体の
第4の3次元画像データ54を自ら作成してもよい。制御装置12は、歯科医師が作成し
たインプラント体の第4の3次元画像データ54を、記憶装置22に記憶させる。
歯科医師は、自らインプラント体30を選択し、下顎の骨に対するインプラント体30
の角度、位置等を患者に合わせて最適に設定できる。このとき、歯科医師は、インプラン
ト体の選択をやり直し、患者の処置対象に対し、長さ、外径が異なるインプラント体の適
合性を試すことも容易である。
歯科医師は、図10に示すように、患者の治療に用いる1つ又は複数メーカーのドリル
セットから、選択したインプラント体を埋設するための凹孔70の深さ、径、角度、位置
に応じて適切な穴形成器具を選択する(第2の処理)。なお、穴形成器具としては、その
穴形成器具に1対1に対応し、実際に医療認可された穴形成器具40と同じ形状及び同じ
寸法の情報を含む3次元画像データを用いる。歯科医師は、通常は、選択したインプラン
ト体30のメーカーが推奨する穴形成器具40を選択し得るが、他の穴形成器具40を用
いてもよい。歯科医師は、記憶装置22に記憶された穴形成器具40を模した穴形成器具
の3次元画像データ22bから、設定内容に合致する1つの穴形成器具40を選択する。
歯科医師が選択する穴形成器具40の第5の3次元画像データ(第3の表面データ)55
は、例えば穴形成器具40のメーカーから提供される。歯科医師は、穴形成器具40のメ
ーカーから提供されない場合、第5の3次元画像データ55を自ら作成してもよい。制御
装置12は、歯科医師が作成した第5の3次元画像データ55を、記憶装置22に記憶さ
せる。
なお、一般に、実際の穴形成器具40による孔部130の径は、実際のインプラント体
30の外径より僅かに小さく形成される。この関係は、ソフトウェア上での関係も同じで
ある。穴形成器具とインプラント体の外径の差は、パラメータとして歯科医師が操作部2
0に入力することで、適宜に設定可能である。
歯科医師は、ソフトウェア上で、第1から第5の3次元画像データ51-55の座標軸
を合わせ、第1の3次元画像データ51、第3の3次元画像データ53、及び、第4の3
次元画像データ54及び/又は第5の3次元画像データ55に、第2の3次元画像データ
52を、座標軸を一致させた所定の座標系上で重ね合わせる(ステップS5)。このため
、歯科医師は、図10に示すように、表示部18において、下顎の歯及び歯茎の表面と、
歯槽骨の内部の動脈及び神経との位置関係をソフトウェアを用いて明示する。
歯科医師は、図11に示すように、表示部18に表示されるソフトウェア上で、患者の
下顎の形状に合わせて、補助器具(サージカルテンプレート)の3次元画像データを作成
する(ステップS6)。すなわち、歯科医師は、第6の3次元画像56として、補助器具
を作成する。
図5に示す補助器具200は、治療箇所の穴形成器具40のボディ42を案内するとと
もに、歯茎を覆う。歯科医師は、治療計画を決定するとき、補助器具200の3Dプリン
タ24用又はミリングマシン26用の3次元画像データ(例えばSTLデータ)を出力し、
補助器具200を3Dプリンタ24又はミリングマシン26で造形する。この補助器具2
00は、3Dプリンタ24で作成される模型100(図4A及び図4B参照)に嵌合又は
係合可能である。なお、補助器具200に用いる樹脂材は、この補助器具200を実際に
治療時に使用するか否かによって異なる。補助器具200として、医療用に認可された樹
脂材を用いる場合、この補助器具200をそのまま使用し得る。補助器具200として、
医療用に非認可の樹脂材を用いる場合、この補助器具200をそのまま実際の治療には使
用し得ない。この場合、補助器具200は、後述するように、模型100と嵌合させた状
態において、穴形成器具40の先端が所定の位置に配置され、かつ、ターゲット模型部1
20に接触しないことを確認するといった、作成した治療計画を手技前に検証するために
用いる。
ここで、実際の手技において、歯科医師は、患者の治療対象部位に対する凹孔の形成時
に歯茎表面(歯槽骨ではない)から何ミリ掘っているかは確認できないが、歯槽骨表面か
ら何ミリ掘っているかや、歯槽骨表面から動脈までの距離は、実際に使用する道具を用い
て事前に確認することができる。
図12及び図13には、歯槽骨312、歯314、歯茎316、凹孔318、及び、下
歯槽動脈及び下歯槽神経の非到達ターゲット320を含む下顎310の模式図を示す。
図12に示すように、実際のインプラント治療において、補助器具200及び穴形成器
具40を用いて、下歯槽骨312及び歯茎316には、凹孔318が形成される。凹孔3
18は、下歯槽骨312の頂部から凹孔318の底部までの距離D1と、下歯槽骨312
の頂部(規定面)335から補助器具200の規定面220までの距離(オフセット値)
D2を合わせた深さとなる。すなわち、補助器具200を用いる場合、凹孔318の深さ
は、下歯槽骨312の頂部から補助器具200の規定面220までオフセットされる。
この場合、図12及び図13に示すように、歯科医師は、(ドリルスリーブ46の上端
46bより下のドリルボディ42の長さH1)-(ストッパー48の高さH2)=(手術
時に用いるインプラント体30の長さD1)+(補助器具200を用いたときのオフセッ
ト値D2)となるように、穴形成器具40、及び、インプラント体30をそれぞれ選択す
る。歯科医師は、凹孔318の底部又はインプラント体30の底部と非到達ターゲット3
20とが離間するように凹孔318を形成し、インプラント体30を凹孔318に埋設す
る。すなわち、歯科医師は、インプラント体30の形状(例えば外径)、位置、角度又は
凹孔70の内径、位置、角度をパラメータとするとともに、上述したパラメータH1、H
2、D1、D2を適宜に操作部20を用いて入力し、患者の治療対象部位に対する状態を
確認しながら、最適な治療計画を作成する。パラメータH1、H2の設定又はインストー
ルには、歯科医師が最適な穴形成器具40を選択することを含む。
歯科医師は、図14に示すように、下顎の骨の第1の3次元画像51と、歯及び歯茎の
表面の第2の3次元画像52と、非到達ターゲットの第3の3次元画像53と、インプラ
ント体の第4の3次元画像54及び/又は穴形成器具の第5の3次元画像55と、補助器
具の第6の3次元画像56とを所定の座標系上で重ね合わせる(ステップS7、第5の処
理)。そして、歯科医師は、図15に示すように、表示部18において、第6の3次元画
像56と、第4の3次元画像54又は第5の3次元画像55と、第3の3次元画像53と
の配置状態を確認する。すなわち、歯科医師は、ソフトウェア上で、補助器具と、インプ
ラント体と、インプラント体を埋設するための孔を形成する穴形成器具と、非到達ターゲ
ットとの位置関係を明示する。
なお、ステップS3からステップS7は、画像処理プログラムを用いて処理し、画像表
示プログラムを用いて表示部18に表示させる。
そして、歯科医師は、補助器具200を3Dプリンタ24又はミリングマシン26にて
造形する(ステップS8)。
歯科医師は、ソフトウェア上での治療計画に修正点があるか否か確認する。問題があれ
ば、修正する。問題がなければ、図16に示す、第2の3次元画像データ52、第3の3
次元画像データ53、第4の3次元画像データ54、第5の3次元画像データ55を所定
の座標系上で重ね合わせる(ステップS9)。このとき、治療計画を作成するソフトウェ
アにより、第2の3次元画像データ52、第3の3次元画像データ53、第4の3次元画
像データ54、第5の3次元画像データ55を所定の座標系上で重ね合わせる。または、
歯科医師は、なお、互換性を有するデータであれば、治療計画を作成するソフトウェアと
は別の、例えば3DCADソフトウェアにこれら3次元画像データをインポートし、これ
ら3次元画像データを重ね合わせてもよい。このとき、穴形成器具の第5の3次元画像デ
ータ55は、ボディ、シャンクを除き、例えばスリーブ(ガイドチューブ)の画像(スリ
ーブに関する第5の3次元画像データ55a)のみインポートする。
歯科医師は、図17に示すように、ソフトウェアにおいて、インプラント体に関する第
4の3次元画像データ54、及び、スリーブに関する第5の3次元画像データ55aを除
去する(ステップS10、第3の処理)。すなわち、ソフトウェア上で、歯、インプラン
ト体の埋設用の凹孔を模す貫通孔130を有する模型本体110の3次元画像データ11
0a、及び、ターゲット模型部120の3Dプリンタ24用の3次元画像データ120a
を含む、模型100の3次元画像データ(第5の表面データ)100aを作成する。
ステップS9からステップS10は、画像処理プログラムを用いて処理し、画像表示プ
ログラムを用いて表示部18に表示させる。
歯科医師が3Dプリンタ24用のデータを確認した後、歯科医師の操作部20への操作
入力指示により、制御装置12に制御される3Dプリンタ24は、歯、インプラント体3
0の埋設用の凹孔70を模す貫通孔130を有する歯茎、下歯槽動脈を模したターゲット
模型部120を含む、患者の治療部位の模型100(図4A及び図4B参照)を造形する
(ステップS11、第4の処理)。
ここで、歯科医師は、システム10を用いた治療計画の作成処理を一旦終了する。
このように、上述したシステム10の操作部20には、制御装置12に対し、患者の3
次元立体画像データにおいて、患者の治療対象部位と、非到達ターゲットとを特定する処
理指示、患者の3次元立体画像データにおいて、治療対象部位に埋設するインプラント体
の各種のパラメータを設定又は歯科医師が3Dスキャナなどを用いて取得したデータをイ
ンストールして、インプラント体を埋設するための凹孔を模す孔を設定する処理指示を行
う。また、操作部20では、制御装置12に対し、第1の表面データ(表面画像に関する
データ)と、第2の表面データ又は第3の表面データと、第4の表面データとを所定の座
標系上で重ね合わせる処理指示(座標変換指示)、及び、第1の表面データから、第2の
表面データ及び第3の表面データを引いて、孔を含む治療対象部位と、第4の表面データ
との位置関係を示す第5の表面データを作成する処理指示、が入力される。
すなわち、操作部20では、制御装置12に対し、第1の表面データと、第2の表面デ
ータ及び第3の表面データの少なくとも一方と、第4の表面データとを所定の座標系上で
重ね合わせる処理指示(座標変換指示)、及び、第1の表面データから、第2の表面デー
タ及び第3の表面データを引いて、孔を含む治療対象部位と、第4の表面データとの位置
関係を示す第5の表面データを作成する処理指示、が入力され、制御装置12により、こ
れらが処理される。なお、座標変換指示に第2の表面データを用いない場合、第5の表面
データの作成時に第2の表面データを引く必要はない。座標変換指示に第3の表面データ
を用いない場合、第5の表面データの作成時に第3の表面データを引く必要はない。
歯科医師は、図18に示すように、3Dプリンタ24で造形した模型100に例えば補
助器具200を嵌める。歯科医師は、さらに、補助器具200のガイド孔210に、穴形
成器具40のボディ42を挿入する。このとき、穴形成器具40は、スリーブ46及びス
トッパー48を使用する。歯科医師は、穴形成器具40のボディ42の先端とターゲット
模型部120との位置関係を視認により確認する。具体的には、歯科医師は、穴形成器具
40を、補助器具200のガイド孔210に嵌合させたとき、穴形成器具40のボディ4
2でインプラント体30を埋設するための凹孔をあけるために貫通孔130に挿入したと
きに、穴形成器具40のボディ42が所望の方向を向くか、ボディ42の先端が動脈及び
神経などのターゲット模型部120から離間した状態を維持するか、確認する。
または、穴形成器具40の先端は、下歯槽神経や下歯槽動脈から3mm以上離間するこ
とが推奨される。このため、下歯槽神経や下歯槽動脈のそれぞれのターゲット模型部12
0を実際のものに対して例えば3mm以上、規定面135に向かって大きく作成し、穴形
成器具40の先端が当接し離間しないように治療計画を作成することもできる。すなわち
、ターゲット模型部120の一部を、実際の非到達ターゲットの位置よりも、規定面13
5側に近づけることにより、穴形成器具40のボディ42の先端がターゲット模型部12
0に当接した位置と、穴形成器具40のストッパー48のボディ42側の端面48aとの
位置関係に基づいて、歯科医師は、実際に患者に使用する穴形成器具40の使用の可否に
ついて、判断することができる。すなわち、例えば歯科医師は、ターゲット模型部120
を、到達(接触)ターゲットとして形成することも可能である。
このように、歯科医師は、システム10を用いて患者の3次元画像51,52及び、イ
ンプラント体及び穴形成器具の3次元画像54,55を用いて、実際の患者と同じ大きさ
、形状の模型100を造形することで、実際に用いる穴形成器具40を用いて、インプラ
ント体30を埋設する凹孔を作成する手技の事前検証を行うことができる。事前検証にお
いて、問題がなければ、歯科医師は、実際の患者に治療計画の通りに手技を行う。事前検
証において問題点が生じたときには、歯科医師は、必要に応じて治療計画を修正し、再度
、模型100及び補助器具200を作成し直し、手技の事前検証を行う。歯科医師は、必
要に応じて、事前検証において、問題がなくなるまで、この作業を繰り返す。
なお、模型100を造形する場合、歯科医師は、インプラント体及び穴形成器具の3次
元画像54,55を選択的に用いてもよい。
ところで、模型本体110の貫通孔130の位置、大きさ、角度等は、インプラント体
30を嵌める、最終的な大きさに形成される。実際の手技において、歯科医師は、小さな
穴から徐々に穴径を大きくするともに、深く掘っていく。このため、歯科医師は、実際の
手技において、凹孔を形成する場合、ドリルボディ42が、短く、径が小さいものから、
徐々に太く、径が長いものに変更して手技を進めていく。システム10においては、治療
計画として、歯科医師がどのような穴形成器具を用いて、凹孔を形成するのかを記載する
ことができるが、3Dプリンタ24で造形される3次元画像としては、インプラント体3
0を埋設可能な最終的な大きさの凹孔を設定し得る。
模型100を用いることで、歯科医師は、ドリル径が小さく短いものから、徐々に大き
く長いものに変更しながら、手技を進める事前検証をも、模型100を用いて事前検証す
ることができる。すなわち、模型100を用いることで、最終的に用いる穴形成器具40
だけでなく、凹孔の作成途中に用いる各種の手技器具においても、事前検証を行うことが
できる。凹孔の作成途中に用いる手技器具としては、例えば、骨補填材、採血した血液か
ら分離させた血小板当を含むフィブリンゲル、又は、これらの混合物を治療対象部位に注
入する注入器具等がある。
そして、現在、歯科医師は、実際の手技において、使用するインプラント体30に応じ
て、穴形成器具のボディ42の長さ、ストッパー48の高さ、オフセット値などの各種パ
ラメータを歯科医師が手技時に計算して手技を行うことがある。歯科医師がいずれか1つ
のパラメータでも間違えると、本来使用すべき器具とは異なる器具を使う可能性があり、
医療事故につながるおそれがある。本実施形態に係る模型100を使用することにより、
歯科医師が実際の手技において、最終的な大きさの凹孔を形成するまでの、各手技器具の
使用の妥当性を、歯科医師自身が事前検証することができる。
また、例えば歯科医師等のシステム10における治療計画の作成者は、治療計画の作成
時において穴形成器具40のボディ42の長さ、ストッパー48の高さ、オフセット値な
どの各種パラメータを間違うことがあり得る。そして、治療計画の作成者は、各種パラメ
ータの間違いを見逃して、治療計画の作成を終了してしまうことがあり得る。この場合で
あっても、歯科医師が模型100及び実際の穴形成器具40を使用して治療計画の事前検
証を行うと、治療計画における各種パラメータの設定ミスに気付くことができ得る。そし
て、歯科医師は、模型100を用いて、使用する穴形成器具40のボディ42の長さ、ス
トッパー48の高さ、オフセット値などのパラメータをどのように変更すると上手く手技
が行えるか、検討を行うことができる。このとき、治療計画の作成時に設定したメーカー
の穴形成器具40以外の穴形成器具も、適宜に試すことができる。このため、歯科医師は
、模型100を用いることにより、穴形成器具40を、自らが所有する器具の中から、適
切に選択することができる。
したがって、本実施形態で説明した模型100を用いて歯科医師が手技の事前検証を行
うことは、インプラント治療における治療の一環として必ず行うべきである。このため、
歯科医師は、模型100を用いた手技の事前検証により、必要に応じて、穴形成器具40
を適切に変更し、最適な治療を行うことができる。なお、歯科医師は、システム10を使
用して治療計画を修正してもよいことはもちろんである。このため、歯科医師が本実施形
態に係る模型100を用いることで、インプラント治療の安全性を大きく高めることがで
きる。
インプラント治療において、例えば補助器具200を作成し、歯科医師は、患者の下顎
に対して、所望の位置に所定の大きさの凹孔を作成し、その凹孔にインプラント体30を
埋設する治療を行っている。従来は、インプラント体30を埋設するための穴形成器具4
0と補助器具200との関係で、例えば非到達ターゲットに独自の考えによる他メーカー
の穴形成器具による代替え選択により40のボディ42の先端が到達するか否か、歯科医
師が手技前に視覚的、実際に確認する手段がなかった。本実施形態によれば、患者の治療
対象部位を含む模型本体110と、ターゲット模型部120と、補助器具200と、穴形
成器具40又はインプラント体30との関係を、模型100及び実物の穴形成器具40又
はインプラント体30を用いて歯科医師が手技前に検証することができる。すなわち、歯
科医師は、作成した治療計画を実際の手技前に事前検証することができる。このため、歯
科医師は、穴形成器具40による手技の安全性を事前検証した上で、実際の手技を行うこ
とができる。歯科医師は、実際の手技のときに、模型100において、非到達ターゲット
に対する穴形成器具40のボディ42の先端の到達位置、すなわち、非到達ターゲットと
穴形成器具40のボディ42の先端との離間距離、又は、当接状態を事前に把握している
ため、歯科医師が手技にかける時間をより短くすることができる。このため、歯科医師は
、治療計画の通りに手技を行うことで、患者に対してより低侵襲に手技を行うことができ
る。
歯科医師は、第1のスキャナ(CTスキャン)14、第2のスキャナ(口腔内スキャナ
)16を用いた患者データを取得する医療行為と、実際に患者に対して手技を行う医療行
為との間に、システム10を用いて治療計画の作成処理を行うことができる。本実施形態
では、歯科医師が自ら治療計画を作成する例について説明した。治療計画の作成処理は、
患者に実際を治療、診断するものではないが、インプラント体30の下顎への埋設手技と
いう医療行為に繋がる極めて重要な処理である。このため、歯科医師が、システム10を
用いて治療計画を作成し、治療計画に基づいて作成した模型100、及び、補助器具20
0を用いて手技の事前検証を行うことが、インプラント治療の安全性を確保する上で極め
て有効な処理となる。そのためには、歯科医師自身が、各患者に対する最適な治療計画を
作成可能なシステム10を用いることは、治療の安全性を確保する上で、極めて有用であ
る。
上述したように、治療計画の作成自体は、例えばメーカーの技術者や、歯科技工士など
の歯科治療行為に対する無資格者が治療計画の作成を行うことはあり得る。この場合でも
、歯科医師は、治療計画の作成データを受け取り、システム10において、治療計画を検
討し、修正指示又は自ら修正することができる。いずれにしても、歯科医師は、実際の手
技を行う直前に、模型100、穴形成器具40、インプラント体30、補助器具200を
用いて、治療の安全性を事前検証することができる。
上述した治療計画を修正し、模型100を作成し直す場合、システム10を用いて歯科
医師自身が一連の作業を行うことにより、メーカー等の業者とのやり取りの時間を削減す
ることができる。このため、歯科医師が治療計画を作成し、3Dプリンタ24で模型10
0を出力する場合、業者を使う場合に比べて、例えば1週間単位などの大幅な時間削減を
図り得る。したがって、歯科医師は、患者に対して、より早期に手技を行える状態を整え
ることができ得る。
歯科医師がシステム10を用いる場合、歯科医師が主導して、歯科医師が試行錯誤して
最適な治療計画を立てることができる。このため、仮に、補助器具200及び模型100
の出力を業者に任せる場合であっても、補助器具200及び模型100の修正回数を少な
くすることができる。したがって、歯科医師は、患者に対して、より早期に手技を行える
状態を整えることができ得る。
なお、従来、補助器具(サージカルガイド)の作成費用は例えば最低でも35000円以上
であるなど、比較的高額であり、必ず必要とされているわけではないため、歯科医師が補
助器具200を使用する場合も、その作成費用を患者に支払ってもらうことが難しいこと
があった。このため、現在のインプラント治療の際には、補助器具の使用が必ずしも広ま
っているとは言い難い。しかしながら、本実施形態に係るシステム10を用いて例えば歯
科医師自身が補助器具200を設計し、それを歯科医師自身が所有する3Dプリンタ24
又はミリングマシン26を用いて出力することで、補助器具200の作成に大幅な費用削
減を図ることができる。したがって、本実施形態に係るシステム10を用いることで、イ
ンプラント治療の際、サージカルガイドなどの補助器具の使用を歯科医師に広めることが
できる。
したがって、システム10を用いることにより、治療計画の作成を極力歯科医師の主導
に変更でき、補助器具200を含む治療計画の作成コストを削減でき、補助器具200を
用いた、より安全性が高い治療を広めることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、例えばインプラント体などの埋設体の埋設
治療を行うとき、実際の穴形成器具40などの手技器具を用いた歯科治療の前に、その手
技器具を用いたときの手技器具の先端位置と、患者の下顎の下歯槽動脈及び下歯槽神経の
位置などのターゲット位置との位置関係を歯科医師が事前検証可能な、歯科治療計画の手
技前検証システム10、歯科治療計画の手技前検証プログラム、歯科治療計画の手技前検
証用の模型100の製造方法、及び、歯科治療計画の手技前検証用の模型100を提供す
ることができる。
図4A及び図4Bに示す模型100では、患者の下歯槽骨に相当する部位が存在しない
。図4Cに示すように、3Dプリンタ24で作成した模型100の樹脂材が例えば透明又
は半透明で、ターゲット模型部120を歯科医師が視認により確認することができる膜状
体145として下歯槽骨に相当する部位が存在していてもよい。模型100の樹脂材が例
えば透明又は半透明である場合、模型100は、図10中の左下図から、インプラント体
の第4の3次元画像54及び穴形成器具の第5の3次元画像55を除去した状態に形成さ
れる。下歯槽骨に相当する部位は、穴形成器具40とターゲット模型部120との位置関
係を視認可能であれば、メッシュ状に形成されていてもよい。
補助器具200は、インプラント体30を埋設するための凹孔を形成するためのガイド
孔210を有する。ガイド孔210及び凹孔70は、穴形成器具40として回転ドリルに
より形成される場合、円形孔である。ガイド孔210及び凹孔70は、穴形成器具40に
よっては、回転ドリルによらない非円形孔を形成する場合もあり得る。
本実施形態では、第1のスキャナ14及び第2のスキャナ16の2つのスキャナを用い
る例について説明した。例えば、1つのスキャナで第1の3次元画像データ51及び第2
の3次元画像データ52を取得可能であれば、複数のスキャナは不要となり得る。
第1のスキャナ14及び第2のスキャナ16は、歯科医師が所有し、歯科医師が患者の
顎部の3次元画像データを取得する。3Dプリンタ24による造形物の造形は、適宜の業
者により行ってもよい。例えば、第1のスキャナ14、及び/又は、第2のスキャナ16
を用いて予め患者の3次元画像データを取得することがあり得るため、第1のスキャナ1
4、及び/又は、第2のスキャナ16は、システム10に含まないことも好適である。3
Dプリンタ24、及び/又は、ミリングマシン26は、システム10に含まないことも好
適である。
本実施形態では、システム10において、補助器具200を作成し、実際の手技に補助
器具200を用いる例について説明した。補助器具200は、例えば穴形成器具40の選
択により、必ずしも必要でない場合があり得る。
(第1変形例)
第1実施形態の第1変形例に係るシステム10について、図19を用いて説明する。こ
こでは、図3に示す穴形成器具40とは異なる穴形成器具40を用いる場合のパラメータ
の設定の違いについて説明する。
図19には、図3とは異なる穴形成器具40の第1変形例を示す。図19に示す穴形成
器具40は、ボディ42、シャンク44、スリーブ46、及び、ストッパー48に加えて
、ハンドル50を有する。ストッパー48の下端は、ハンドル50に当接する。このため
、穴形成器具40のボディ42の先端の位置は、ハンドル50の高さにより、調整される
。例えば、ハンドル50の高さが高くなると、凹孔318の底部は非到達ターゲット32
0から離される。
図19に示すように、歯科医師は、(インプラント体30の長さD1)+(補助器具2
00を用いたときのオフセット値D2)=(ドリルスリーブ46の上端より下のドリルボ
ディ42の長さH1)-(ストッパー48の高さH2)-(ハンドル50の高さH3)と
なるように、穴形成器具40、及び、インプラント体30をそれぞれ選択する。このよう
に、歯科医師は、種々の穴形成器具40に合わせて、各種の設定値を設定する。
すなわち、歯科医師は、インプラント体30の形状(長さ、外径)、位置、角度をパラ
メータとするとともに、上述したパラメータH1、H2、H3、D1、D2を適宜に操作
部20を用いて入力し、患者の治療対象部位に対する状態を確認しながら、最適な治療計
画を作成する。パラメータH1、H2、H3の設定又はインストールには、歯科医師が最
適な穴形成器具40を選択することを含む。
(第2変形例)
第1実施形態では、図12に示すように、インプラント体30を下顎に形成する凹孔3
18に埋設する場合を例にして説明した。例えば、インプラント体30を凹孔318に埋
設する代わりに、図20に示す埋設体としての自家歯牙400を埋設する凹孔を形成する
場合も、同様に、第1実施形態で説明したシステム10を用いて治療計画を作成すること
ができる。
歯科医師は、インプラント体30の3次元画像データを作成するのと同様に、自家歯牙
400の3次元画像データ(第2の表面データ)を作成することができる。自家歯牙40
0の3次元画像データは、種々の機器を用いて取得し得る。自家歯牙400の3次元画像
データは、例えば第2のスキャナ16を用いて取得してもよい。
歯科医師は、自家歯牙400の形状、位置、角度をパラメータとするとともに、上述し
たパラメータH1、H2、H3、D1、D2を適宜に操作部20を用いて入力し、患者の
治療対象部位に対する状態を確認しながら、最適な治療計画を作成する。パラメータH1
、H2、H3の設定又はインストールには、歯科医師が最適な穴形成器具40を選択する
ことを含む。自家歯牙400は、既製品を用い得るインプラント体30とは異なり、患者
ごとに形状が異なる。このため、自家歯牙400を下顎に埋設する場合、自家歯牙400
の形状に合わせて2つや3つの凹孔を開けることがある。これら凹孔を形成する場合も、
補助器具200を用いることができる。凹孔を作成する場合、例えば同一又は異なる複数
の穴形成器具40a,40bを順に用いることができる。
なお、自家歯牙の代わりに、例えば歯の幹細胞を用いた再生医療を行う場合に、歯の幹
細胞を体内又は対外で培養したものを、凹孔に埋設する治療を行うことが可能となり得る
。この場合、歯科医師は、システム10における治療計画の作成において、再生医療にお
ける埋設体としての細胞組織(例えば細胞組織の集合体)の形状、位置、角度をパラメー
タとするとともに、上述したパラメータH1、H2、H3、D1、D2を適宜に操作部2
0を用いて入力し、患者の治療対象部位に対する状態を確認しながら、最適な治療計画を
作成する。パラメータH1、H2、H3の設定又はインストールには、歯科医師が最適な
穴形成器具40を選択することを含む。このように、歯科医師は、上述したシステム10
を用いて、再生医療を行う場合も、治療計画を作成し、歯科治療計画の手技前検証用の模
型を作成することができ得る。
(第2実施形態)
第2実施形態では、システム10を、多数から選択されるインプラント体30(図2参
照)を患者の上顎に埋設するインプラント治療を行う例に用いる場合について、図21か
ら図29を用いて説明する。第1実施形態で説明した事項と共通の事項については、適宜
に説明を省略する。
第1のスキャナ(歯科用CTスキャン)14は、患者の例えば上顎の歯、骨及び骨内部
の第1の3次元画像データ(例えばDICOMデータ)551を取得し、制御装置12に出力
する。制御装置12は、第1の3次元画像データ551を、記憶装置22に記憶させる。
第2のスキャナ(口腔内スキャナ)16は、患者の例えば上顎の歯及び歯茎の表面の第2
の3次元画像データ(例えばSTLデータ)552を取得し、制御装置12に出力する。制
御装置12は、第2の3次元画像データ552を、記憶装置22に記憶させる。
図21に示すように、歯科医師は、ソフトウェア上で、第1のスキャナ14で得た上歯
槽骨、上顎洞、後上歯槽動脈及び大口蓋動脈を示す第1の3次元画像551を用いて、イ
ンプラント体を埋設する凹孔70の設定時に、非到達ターゲットとする後上歯槽動脈、大
口蓋動脈、及び、上顎洞底粘膜(図27から図29参照)の位置を特定する。そして、歯
科医師は、ソフトウェア上で、非到達ターゲットが3次元的に形成されるように非到達タ
ーゲットの特徴点をマーキングする(ステップS3)。そして、歯科医師は、第3の3次
元画像データ553a,553b,553cとして、非到達ターゲットを作成する。なお
、後上歯槽動脈、大口蓋動脈、及び、上顎洞底粘膜は、上歯槽骨に隣接する。
図21中の右側図では、上顎洞551aの部位、後上歯槽動脈の部位の3次元画像55
3a、及び、大口蓋動脈の部位の3次元画像553bを示す。
なお、上顎洞底粘膜に対応する3次元画像データ553cは、卵の殻の一部のように作
成してもよく、全体として例えば球体状(図29参照)に形成してもよい。これは、模型
により治療計画の事前検証を行うときに、穴形成器具40のボディ42の先端の到達に影
響する部位が上顎洞底粘膜に対応する部位であり、残りの部位は、穴形成器具40のボデ
ィ42の先端の到達に影響しないためである。
歯科医師は、図21に示すように、ソフトウェア上で、治療位置において、インプラン
ト体30を模したインプラント体の長さ、外径、角度、位置等を設定又はインストールす
る(ステップS4)。このとき、歯科医師は、第1実施形態で説明したインプラント体3
0の外径、位置、角度、各種のパラメータ(穴形成器具40の選択を含む)を適宜に設定
し、治療計画を最適化する。
歯科医師は、図22に示すように、ソフトウェア上で、第1から第5の3次元画像デー
タ551,552,553a-553c,54,55の座標軸を合わせ、第1の3次元画
像データ551、第3の3次元画像データ553a-553c、及び、第4の3次元画像
データ54及び/又は第5の3次元画像データ55に、第2の3次元画像データ552を
所定の座標系上で重ね合わせる(ステップS5)。このため、歯科医師は、上顎の歯及び
歯茎の表面と、上歯槽骨の内部の動脈との位置関係をソフトウェア上で明示する。
歯科医師は、図23に示すように、ソフトウェア上で、患者の上顎の形状に合わせて、
補助器具(サージカルテンプレート)を作成する(ステップS6)。すなわち、歯科医師
は、第6の3次元画像データ556として、補助器具を作成する。歯科医師は、表示部1
8において、第6の3次元画像データ556と、第4の3次元画像データ54又は第5の
3次元画像データ55と、第3の3次元画像データ553a,553bとの配置状態を確
認する(ステップS7)。そして、歯科医師は、補助器具を出力する(ステップS8)。
歯科医師は、ソフトウェア上での治療計画に修正点があるか否か確認する。問題があれ
ば、修正する。問題がなければ、図24に示す、歯及び上歯槽骨を示す第1の3次元画像
データ551、歯及び歯茎を示す第2の3次元画像データ552、非到達ターゲットの第
3の3次元画像データ553a,553b、インプラント体の第4の3次元画像データ5
4、穴形成器具40の第5の3次元画像データ55を所定の座標系上で重ね合わせる(ス
テップS9)。このとき、治療計画を作成するソフトウェアと同じソフトウェアにより、
第2の3次元画像データ552、第3の3次元画像データ553a,553b、第4の3
次元画像データ54、第5の3次元画像データ55を所定の座標系上で重ね合わせる。
歯科医師は、ソフトウェアにおいて、インプラント体30に関する第4の3次元画像デ
ータ54、及び、スリーブに関する第5の3次元画像データ55aを除去する(ステップ
S10)。すなわち、図25及び図26に示すように、ソフトウェア上で、歯、インプラ
ント体30の埋設用の凹孔を模す貫通孔を有する歯茎、非到達ターゲットの3Dプリンタ
24用のデータ(模型の表面データ)を作成する。
歯科医師が3Dプリンタ24用のデータを確認した後、歯科医師の指示入力に基づいて
、制御装置12に制御される3Dプリンタ24は、歯、インプラント体30の埋設用の凹
孔を模す貫通孔を有する歯茎、非到達ターゲットである後上歯槽動脈及び大口蓋動脈を模
した、患者の治療部位の模型を造形する(ステップS11)。
ここで、図27は、上顎710の歯槽骨712、歯714、上顎洞730の関係を示す
。図28は、例えばサイナスリフト(ソケットリフト)処置などの上顎洞底挙上術を用い
た上顎710へのインプラント体30の固定状態を示す。上顎710の上歯槽骨712に
インプラント体30を埋設するとき、図27に示す上歯槽骨712の厚さが足りない場合
があり得る。このとき、図28に示す上顎洞730の上顎洞底粘膜730aを人工の骨補
填材740を用いて押し上げる上顎洞底挙上術が行われる。上顎洞底挙上術を行う場合、
上顎洞730の上顎洞底粘膜730aも、後上歯槽骨動脈及び大口蓋動脈とともに、穴形
成器具40としてのドリルボディ42の非到達ターゲットとなる。
上顎洞底挙上術を行う場合、インプラント体30を埋設する凹孔718を上歯槽骨71
2に開ける。このとき、例えば、上顎洞730の底部近傍まで凹孔718を開けるが、上
顎洞底粘膜730aは貫通させない。上歯槽骨712は、穴形成器具40ではなく、オス
テオトームなどで貫通させる。上顎洞730の粘膜730aと上歯槽骨712との間に骨
補填材740を充填する。この状態で、インプラント体30を埋設する。このとき、骨補
填材740及びインプラント体30は、上顎洞底粘膜730aを破らない。
この場合、歯科治療計画の手技前検証用の模型として、例えば、第1実施形態で説明し
た下歯槽骨を形成しないことと同様に、図29に示すように、上歯槽骨を形成せず、歯、
歯茎、後上歯槽骨動脈、大口蓋動脈、及び、上顎洞底粘膜を模した模型が造形される。こ
のように模型を形成すると、補助器具のガイド孔、模型の貫通孔に選択した穴形成器具4
0を嵌合させたときの、穴形成器具40のボディ42の先端と、上顎洞底粘膜730aと
の位置関係を歯科医師が確認することができる。すなわち、歯科医師は、歯科治療がより
安全に行えるか否か、歯科治療計画を事前検証することができる。
なお、上顎の模型は、歯及び歯茎に相当する部位を模型本体としたときに、第1実施形
態で説明した模型100のように、例えば上顎洞底粘膜730aを、支柱により支持する
ことが好適である。
下顎に対してシステム10を用いる場合と同様に、上顎に対してシステム10を用いる
場合も、下顎に対して奏する効果と同じ効果を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、例えばインプラント体等の埋設体の埋設治
療を行うときの実際の手技器具を用いた歯科治療の前に、その手技器具を用いたときの手
技器具の先端位置と、患者の上顎の後上歯槽動脈及び大口蓋動脈や、上顎洞粘膜、の位置
などのターゲット位置との位置関係を歯科医師が事前検証可能な、歯科治療計画の手技前
検証システム10、歯科治療計画の手技前検証プログラム、歯科治療計画の手技前検証用
の模型の製造方法、及び、歯科治療計画の手技前検証用の模型を提供することができる。
なお、第2実施形態に係るシステム10においても、インプラント体30の代わりに、
第1実施形態の変形例で説明した自家歯牙400又は細胞組織を用いることができる。
上述した変形例を含む第1実施形態及び第2実施形態によれば、例えばインプラント体
30又は自家歯牙の埋設治療を行う前に、歯科医師は、歯科治療事前検証用のシステム1
0を用いて作製した模型100と、実際の歯科治療において使用を予定する穴形成器具(
手技器具)40と、インプラント体30又は自家歯牙400とを用いて、各種の治療器具
の選択を含めた治療計画に問題がないか、手技前に事前検証することができる。このため
、歯科医師が、手技中に使用する道具(例えば穴形成器具40)でその患者の治療対象部
位に治療計画に沿った所定の治療が行えるか疑心暗鬼となり、治療に時間をかけ、患者に
負担をかけてしまうことを防止することができる。このため、上述した変形例を含む第1
実施形態及び第2実施形態に係るシステム10及び模型100、更には、治療計画で設定
した穴形成器具40を用いることで、患者に対してより低侵襲に歯科治療を行うことがで
きる。
また、このようにシステム10を用いた、模型100の3次元画像データを作成するま
での治療計画の作成作業を業者ではなく、実際に治療を行う歯科医師が確認しながら行う
ことで、例えばインプラント体30又は自家歯牙の埋設治療をより安全に行うことができ
る。
また、3Dプリンタ24やミリングマシン26を歯科医師が所有する場合、3次元画像
データの受け渡し時間及び模型100の運搬時間を省略でき、治療計画の作成から、模型
100を用いた歯科治療事前検証までの一連の作業にかける時間を短縮することができる
。また、治療計画を修正する場合も、治療計画の修正から、模型100を用いた歯科治療
事前検証までの一連の作業にかける時間を短縮することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態は、移植用のオステオトームに関する。オステオトーム60は、
患者の顎部の治療箇所の表層から深部に向けて埋入され、当該治療箇所の奥の粘膜の位置
を変位させるように骨を押し広げあるいは圧縮する際に衝撃を加えるための器具として用
いられる。本実施形態のオステオトーム60は、ボディ部61、バー部62、端部63、
被ガイド部64、ストッパー部65、表示窓66、スクリュー67を備えている(図30
A等参照)。
ボディ部61は、当該オステオトーム60の本体部であり、歯科医師が持ちやすく操作
しやすい形状とされている。ボディ部61には、バー部62を装着するための空洞部61
aが形成されている(図31等参照)。
バー部62は、ボディ部61の空洞部61aに装着される細長形状の部材で、先端に、
患者の粘膜の位置を変位させるように端部63が形成されている。本実施形態のバー部6
2は、空洞部61aに沿って長手方向にスライド可能に形成されていて、端部63までの
突出量、ひいてはオステオトーム60の全体長さを自在に変更できるようになっている(
図30A、図30C等参照)。また、バー部62には、複数の係合溝62aが長手方向に
沿って所定間隔をおいて形成されている(図30B等参照)。これら係合溝62aは、ス
クリュー67を回した際にその先端が係合するように形成されており、このようにスクリ
ュー67の先端を係合溝62aに係合させることでバー部62を係止させ、ボディ部61
に対するバー部62の相対位置を位置決めすることができる(図31参照)。また、バー
部62には、スクリュー67によって位置決めされた状態における端部63までの突出量
に関する情報ないしは埋入深さに関する情報を提示する情報提示部62bが設けられてい
る(図30B等参照)。例えば本実施形態では当該情報を数値で示すようにしているが(
図30B参照)、これは一例であって、情報提示部62bによる情報提示の具体的な手法
は特に限定されない。
端部63はバー部62の先端部分であって、患者の粘膜に当接してその位置を変位させ
るのに適した形状に形成されている(図30B等参照)。粘膜の位置を段階的に変位させ
るときの2段階目以降の場合や、凹孔70を自家歯牙(以下、自家製歯ともいう)400
の移植に適した大きさとする場合などに応じて、端部63の径をより大きくして患者への
手技を進めてもよい。本実施形態では、端部63の径が異なるバー部62をあらかじめ複
数種類準備しておき、当該バー部62を取り換えることによって端部63の径を変えるこ
とができるようにしている。これら複数のバー部62の少なくとも1本は、端部63の径
が、インプラント専用のオステオトームの端部径よりも大きい。そのようなバー部62の
端部63の径は、例えば5mm以上となっている。端部63の大きさ(径)が上記のような
バー部62は特に自家製歯400の移植用として好適に用いることができるものであり、
従来のようなインプラント用のオステオトームでは用いられてこなかったものであるとい
える。
被ガイド部64は、サージカルガイド200のガイド孔210に沿ってガイドされる部
分であり、ボディ部61の一部に、ガイド孔210の大きさと形状に合わせて形成されて
いる(図30B等参照)。ここまで説明したとおり、サージカルガイド200は、患者の
治療箇所の表面形状に合わせて設けられ、治療の際の深さの目安となる基準位置を所定量
オフセットさせるように形成されたものである。本実施形態では、このようなサージカル
ガイド200のガイド孔210に被ガイド部64を沿わせながらオステオトーム60を動
かす構造とすることで、歯科医師毎の技能の違いや患者毎の治療箇所の状況の違い等に起
因する、治療箇所に埋入させる際に生じ得るばらつきを減少させ、再現性と精度を向上さ
せることができるようにしている(図34A等参照)。
ストッパー部65は、サージカルガイド200に当接してオステオトーム60の可動範
囲を規制するように形成された部分である。本実施形態では、上記の被ガイド部64の基
端側を当該被ガイド部64よりも大径の段付き形状とし、当該段付き形状部分をストッパ
ー部65として機能させている(図30B等参照)。
表示窓66は、バー部62に設けられた情報提示部62bの情報が視認できるようにす
るべくボディ部61に形成されている(図30B等参照)。例えば本実施形態では、ボデ
ィ部61の一部を窓状に切り欠いたものを表示窓66とし、その内側に取り付けられたバ
ー部62の情報提示部62bの情報(例えば数値)が視認できるようにしている(図30
B等参照)。
スクリュー67は、バー部62をボディ部61の所定位置に係止させるための係止具と
して用いられる部材である。ボディ部61に設けられたこのスクリュー67を締め込み、
その先端をバー部62の係合溝62aに係合させることで、バー部62を所定の位置に係
止させた状態とすることができる。一方で、スクリュー67を逆に回して緩めればバー部
62の係止状態が解除され、バー部62を長手方向にスライドさせることが可能となる。
また、本実施形態のオステオトーム60においては2つのスクリュー67を、例えばバー
部62を挟むように配置している(図31参照)。スクリュー67を少なくとも2つ配置
することで、仮にそれらのうちの1つのスクリューが緩んだとしてもバー部62が手技中
に不意に動いてしまうのを回避することで安全に配慮することができる。本実施形態では
、バー部62の少なくとも両側に係合溝62aを設け、バー部62を挟むように配置され
た2つのスクリュー67の両方とも係合溝62aに係合させることができるようにしてい
る。これら2つのスクリュー67を、長手方向に沿って位置をずらして配置してもよい(
図31参照)。
上記のごとき構造とされた本実施形態のオステオトーム60の利点としては以下のよう
なものがある。
・全体の長さが可変であるため、例えば患者の上顎の治療箇所を対象にして手技を行う場
合に、オステオトーム60の一部が下顎に当たらないように全体長さを調整することがで
きる。
・表示窓66から、バー部62に設けられた情報提示部62bの情報を一目で確認するこ
とができる。
・サージカルガイド200のガイド孔210に被ガイド部64を沿わせながらオステオト
ーム60を動かすことによって、計画通りの位置、方向、深さの凹孔70を実現しやすく
なる。
なお、上記のごときオステオトーム60は好適な一例にすぎない。例えば、端部63の
大きさ(径)が所定値を超えるオステオトーム60を自家製歯400の移植用として適用
する際、上記のようなサージカルガイド200を使わずいわばフリーハンドで粘膜の位置
を変位させるのであれば、被ガイド部64を備えていないオステオトーム60を使用する
ことも可能である。また、特に図示してはいないが、スクリュータイプすなわち周囲に螺
旋状の凹凸が形成された構造のバー部62を採用し、当該凹凸を、ボディ部61の空洞部
61aの内壁に形成された螺旋状の凹凸に螺合させた構造としてもよい。バー部62を回
すことにより、当該バー部62をその中心軸方向に沿って移動させ、ボディ部61からの
突出量を変えることができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態は、移植用の穴形成器具40に関する。穴形成器具40は、患者
の顎部の治療箇所の表層から深部に向けて進み、埋設体の一部を埋設するための穴を形成
するドリル部41を有する器具である(図33B、図33D等参照)。本実施形態の穴形
成器具40は、ドリル部41の径が自家製歯400の移植に適した大きさとなっている(
図33D参照)。自家製歯400の移植に適したドリル部41の径とは、少なくとも、イ
ンプラント用の穴形成器具のドリル径よりも大きいということであり、具体的には、少な
くとも5mm以上の大きさとなる。ドリル部41の径が上記のような穴形成器具40は特に
自家製歯400の移植用として好適に用いることができるものであり、従来のようなイン
プラント用の穴形成器具では用いられてこなかったものであるといえる。なお、図33B
等における符号42はボディ、符号42Aはボディ42の先端、符号42Bはボディ42
の基端をそれぞれ示す。
また、本実施形態の穴形成器具40の一部には、被ガイド部43と、ストッパー48と
が形成されている。被ガイド部43は、サージカルガイド200のガイド孔210に沿っ
てガイドされるように形成されているもので、本実施形態では、上記のようなサージカル
ガイド200のガイド孔210に被ガイド部43を沿わせながら穴形成器具40を動かす
構造とすることで、歯科医師毎の技能の違いや患者毎の治療箇所の状況の違い等に起因す
る、治療箇所に埋入させる際に生じ得るばらつきを減少させ、再現性と精度を向上させる
ことができるようにしている(図33D等参照)。
(第3実施形態のオステオトーム、第4実施形態の穴形成器具等を用いた手技の一例)
本実施形態のごとき穴形成器具40、上記の第3実施形態のごときオステオトーム60
、そして水流チューブ700を用いて、患者の顎部に自家製歯400の移植用の凹孔70
を形成する際の歯科医師の手技の一連の流れを図に示しつつ説明する(図33A~図35
E参照)。
患者の顎部(例えば上顎)にサージカルガイド200を嵌めたら(図33A参照)、穴
形成器具40を用いて凹孔70を形成する(図33B参照)。この際、サージカルガイド
200のガイド孔210に、被ガイド部43を案内させながら穴形成器具40を動かして
先端を埋入させることで、計画通りの位置、方向、深さの凹孔70を形成しやすくなる。
ストッパー48がサージカルガイド200に当接したら(33B参照)、穴形成器具40
を引き抜く(図33C参照)。
次に、径がより大きなドリル部41を有する穴形成器具40を用い、より大きな凹孔7
0を形成する(図33D参照)。なお、図では詳細まで示していないが、シャンク44に
対して着脱可能なドリル部(ドリルヘッド)41を採用し、ガイド孔210にシャンク4
4を挿通させた後で当該シャンク44の先端にドリル部41を取り付けるようにすれば、
図33Dに示す状態(ガイド孔210の内径よりも大きなドリル部41がサージカルガイ
ド200と患者の顎部との間に存する状態)を実現することができる。
自家製歯400の移植に適した大きさの凹孔70を形成したら、サージカルガイド20
0と穴形成器具40を取り外し、その後、患者の顎部にサージカルガイド200を再び嵌
める(図33E参照)。なお、本例では2種類の大きさのドリル径を用い、いわば2段階
の手技で自家製歯400の移植に適した大きさの凹孔70を形成する例を示したが(図3
3B、図33D参照)、これは簡略化した例を説明したものであって、3種類以上の大き
さのドリル径を採用し、3段階以上の手技で自家製歯400の移植に適した大きさの凹孔
70を形成してもよいことはいうまでもない。
続いて、オステオトーム60等を用い、凹孔70の奥の粘膜の位置を変位させる。ここ
ではまずサージカルガイド200のガイド孔210にオステオトーム60のバー部62を
その端部63側から挿入し、ボディ部61の基端側をトンカチ800のヘッド802で繰
り返し叩き、端部63で粘膜の位置を徐々に変位させる(図34A参照)。ストッパー部
65がサージカルガイド200に当接するまで、当該オステオトーム60による手技(粘
膜の位置の変位)を続ける(図34B参照)。なお、図34A等では、オステオトーム6
0を簡略化して示しているがこれは基本的な構造のみを端的に示したものであって、構造
が異なるオステオトームを図示することを意図したものではない。また、図34Aと図3
4Bとでオステオトーム60の軸部(バー部)の長さが異なるがこれは空洞部61aに沿
ってバー部62を長手方向にスライドさせて端部63までの突出量ひいてはオステオトー
ム60の全体長さを適宜変えていることを表している。
ストッパー部65がサージカルガイド200に当接したら(図34B参照)、オステオ
トーム60とサージカルガイド200をいったん取り外す(図34C参照)。その後、端
部63の径がより大きなオステオトーム60を用い、さらに広い範囲で凹孔70の奥の粘
膜の位置を変位させる(図34D、図34E参照)。なお、図では詳細まで示していない
が、バー部62を取り換え、当該バー部62の基端側をサージカルガイド200のガイド
孔210に挿通させた後、バー部62をボディ部61に装着するようにすれば、図34D
に示す状態(ガイド孔210の内径よりも大きな端部63がサージカルガイド200と患
者の顎部との間に存する状態)を実現することができる。
その後、サージカルガイド200とオステオトーム60を取り外し(図34F参照)、
端部63の径がもう1段さらに大きなオステオトーム60を用い、さらに広い範囲で凹孔
70の奥の粘膜の位置を変位させる(図34G、図34H参照)。自家製歯400の移植
に適する程度にまで凹孔70の奥の粘膜の位置を変位させたら、サージカルガイド200
とオステオトーム60を取り外す(図35A参照)。なお、本例では端部73の大きさが
3種類のオステオトーム60を用い、いわば3段階の手技で粘膜の位置を変位させる例を
示したが(図34B、図34D、図34H等参照)、これは簡略化した例を説明したもの
であって、端部63の大きさが4種類以上のオステオトーム60を採用し、4段階以上の
手技で粘膜の位置を変位させてもよいことはいうまでもない。
続いて、水流チューブ700が装着された状態のサージカルガイド200を患者の顎部
(例えば上顎)に嵌め、当該水流チューブ700の先端部702を凹孔70に宛がう(図
35B参照)。このとき、先端部702に形成された段部704が凹孔70の内壁に接す
る状態になっていることが好適である(図35B参照)。なお、先端部702や段部70
4等、水流チューブ700の詳細な構造については後の実施形態において説明することと
する。
水流チューブ700の先端部702を凹孔70に宛がった状態にしたら(図35B参照
)、先端部702から水を噴出させ、凹孔70の奥の粘膜の位置をさらに変位させる(図
35C)。移植に適した状態となるまで粘膜を変位させたら(図35D参照)、水流チュ
ーブ700とサージカルガイド200を取り外し、当該凹孔70に自家製歯400を移植
する(図35E参照)。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態は、テストポスト410に関する。テストポスト410は、所定
の箇所の穴に挿入され、その状態で行われる放射線を利用した撮影画像中に結像して当該
穴の位置を示す、画像診断に用いられる試料である。ここでいう所定の箇所の穴とは、例
えば、患者の顎部の治療箇所に埋設体(インプラント体30や自家製歯400)の一部を
埋設するために形成された穴、または上記のサージカルガイド200に形成されたガイド
孔210のことをいう。
ここまで説明したような手技を実際に行った場合の従前の例に照らせば、埋設体の位置
(例えば、図36A中の中央付近の白い部分)が、予定していた目標位置(例えば、図3
6A中の中央付近の枠の部分)からずれてしまったということが実際に生じうる(図36
A参照)。これについて考察するに、その理由としては、マッチング不一致、印象材の歪
み、石膏の膨張、スキャンの歪み、CTデータの3次元化時の歪み、などが考えられるが
、いずれにしても、それなりの頻度でこのような事態が生じているという実情に照らせば
、計画どおりに手技が進んでいるのか、あるいは進めることが可能なのか、適時チェック
することが重要である。こういった実情や状況に鑑みて案出された本実施形態のテストポ
スト410は、上記のように適時にチェックすることを可能とする。
テストポスト410の具体例を説明する。本実施形態のテストポスト410は、放射線
を利用した撮影画像中に結像する材料、例えば樹脂材料、あるいはジルコニアといったセ
ラミック材料で形成されている(図36B参照)。テストポスト410の具体的なサイズ
は特に限定されるものではなく、位置検出の対象たる治療箇所の凹孔70やサージカルガ
イド200のガイド孔210に応じた大きさに形成されていればよい。
本実施形態では、外径が途中で変わるようにフランジ状の段付き部412が形成された
テストポスト410を採用している(図36B参照)。また、テストポスト410の最大
径となる外径部414の部分(図36Bに示すテストポスト410であれば、段付き部4
12の部分が相当)を、サージカルガイド200のガイド孔210の内径よりも大きい径
としてもよい。こうした場合には当該外径部414がサージカルガイド200に当接する
ストッパーとして機能し、当該サージカルガイド200がガイド孔210の所定位置に位
置決めした状態で撮像することができる。
ここで、テストポスト410の別の使用態様を説明する(図36C~図36F参照)。
本例では、補助器具の第6の3次元画像(サージカルガイド200の3次元画像)56に
基づき実際に作成されたサージカルガイド200に(図36D参照)、テストポスト41
0を装着し(図36E参照)、テストポスト410を装着した状態のまま当該サージカル
ガイド200を実際に患者に装着し、CT画像を撮影する(図36F参照)。CT画像に
写るテストポスト(符号410’で示す)の位置を確認することで、実際に作成されたサ
ージカルガイド200の設計とのずれ(差異、乖離)を確かめることができる。このよう
な用途のためのテストポスト410としては、最大径となる外径部414の部分の軸方向
長さが比較的長いものを採用することができる(図36C参照)。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態は、ストッパーエクステンションに関する。ストッパーエクステ
ンション500は、サージカルガイド200のガイド孔210に挿入され、ガイド長さを
延長させる部材として構成されている(図37A~図37C参照)。
本実施形態のストッパーエクステンション500は、筒状に形成された例えば樹脂製の
段付き形状の部材からなる(図37A参照)。ストッパーエクステンション500は、そ
の外径がハンドル50の先端のガイド孔50aの内径に応じた大きさに形成されており、
その一部(段付き部502を除く部分)をガイド孔50aの中に差し込むようにしてハン
ドル50に装着できるようになっている(図37B参照)。また、ストッパーエクステン
ション500の内径は、使用される穴形成器具40のシャンク44の径に応じた大きさと
されている。また、ストッパーエクステンション500のうち大径である外径部(本実施
形態のストッパーエクステンション500であれば段付き部502が相当)は、所定の大
きさ、例えばサージカルガイド200のガイド孔210の内径よりも大きい径、あるいは
、ハンドル50の先端のガイド孔50aの内径よりも大きな径とされている(図37B、
図37C参照)。
このように構成されたストッパーエクステンション500によれば、ハンドル50のみ
で穴形成器具40等をガイドする場合よりも軸方向のガイド長さを長くすることができる
から、穴形成器具40を用いた手技の際、当該穴形成器具40の横ぶれを少なくし、直進
性を向上させることが可能となる。
また、ストッパーエクステンション500は、ガイド長さを延長する部材としてのみな
らず、ストッパー(例えば、穴形成器具40のストッパー48や、オステオトーム60の
ストッパー部65など)が当接する位置を変えるための部材としても機能しうる。一例で
はあるが、例えばフランジ状の段付き部502の厚みを所定値(一例として、1mm)と
しておけば、ストッパーが当接する位置を所定値単位で変位させることができる。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態は、歯根膜ガードに関する。歯根膜ガード600は、移植に供さ
れる自家製歯400のうち、カット対象たる歯根を除く部分の一部または全部を覆う部材
である(図38A~図38C参照)。このような歯根膜ガード600を利用することで、
歯根をカットする際に当該歯根の周囲にある歯根膜に与えることがある外因(例えば、カ
ットする際に生じ得る熱や、カットする際に用いられる水流や油分、等)によるダメージ
を軽減させることが可能となる。このような歯根膜ガード600は、低反発素材で形成さ
れていてもよい。このような素材で形成された歯根膜ガード600によれば、歯根膜ガー
ド600で包まれた状態の自家製歯400を指で挟み持つ際、当該歯根膜ガード600が
自在に変形して持ちやすい形状となるため、歯根をカットするといった作業が行いやすく
なる(図38C等参照)。こういった観点から、歯根膜ガード600はシリコン製などで
あってもよい。なお、特に図示してはいないが、歯根膜ガード600で自家製歯400を
すべて覆い、歯根膜ガード600ごと歯根をカットするというような用い方をすることも
できる。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態は、水流チューブに関する。水流チューブ700は、患者の顎部
の治療箇所(凹孔70など)の表層から深部に向けて埋入され、当該治療箇所の奥の粘膜
の位置に向けて先端部72から水を噴出させる器具である。本実施形態では、水流チュー
ブ700の先端部702の径を、特に自家製歯400の移植に適した大きさ、より具体的
には、インプラント体30を埋設するときよりも一般的には大きくなる凹孔70のサイズ
に合わせた大きさとしている(図35B等参照)。さらに、本実施形態では、水流チュー
ブ700の先端部702に、先端から基端に向かうにつれ外径が段階的に大きくなる段部
704を形成している(図35C等参照)。段部704は、例えば、弾性部材(例えばゴ
ム材)からなる複数段のフランジ状突出部で形成することができる。このような段部70
4によれば、適度に弾性変形することによって凹孔70との密着性がさらによくなるため
、噴出させた水で粘膜を変位させる際の効率をさらに向上させることを可能とする(図3
5C、図35D等参照)。
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を
逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜
組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形
態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み
合わせにより種々の発明が抽出され得る。
10…歯科治療計画の手技前検証システム
12…制御装置
18…表示部
20…操作部
30…インプラント体(埋設体)
40…穴形成器具
41…ドリル部
42…ボディ
42A…ボディの先端
42B…ボディの基端
43…被ガイド部
44…シャンク
46…スリーブ(ドリルスリーブ)
48…ストッパー
48a…ストッパー48のボディ42側の端面
50…ハンドル
50a…ハンドルのガイド孔
51…第1の3次元画像データ(第6の表面データ)
52…第2の3次元画像データ(第1の表面データ)
53…第3の3次元画像データ(第4の表面データ)
54…第4の3次元画像データ(第2の表面データ)
55…第5の3次元画像データ(第3の表面データ)
56…第6の3次元画像
60…オステオトーム
61…ボディ部
61a…空洞部
62…バー部
62a…係合溝
62b…情報提示部
63…端部
64…被ガイド部
65…ストッパー部
66…表示窓
67…スクリュー(係止具)
70…凹孔
100…模型
100a…3次元画像データ(第5の表面データ)
110…模型本体
110a…3次元画像データ
120…ターゲット模型部
120a…3次元画像データ
130…孔部(貫通孔)
200…サージカルガイド(補助器具)
210…ガイド孔
220…規定面
310…下顎
312…歯槽骨
314…歯
316…歯茎
318…凹孔
320…非到達ターゲット
400…自家歯牙(自家製歯)
410…テストポスト
412…段付き部
414…外径部
500…ストッパーエクステンション
502…段付き部
504…外径部
600…歯根膜ガード
700…水流チューブ
702…先端部
704…段部
800…トンカチ
802…ヘッド
H1…ドリルスリーブの基端部(46b)からドリルボディ(42)の先端までの長さ
H2…ドリルスリーブの基端部(46b)から先端のストッパー(48)までの長さ
D1…インプラント体(30)または自家歯牙の長さ
D2…サージカルガイドを用いたことによるオフセット量の値

Claims (21)

  1. 患者の顎部の治療箇所の表層から深部に向けて埋入され、当該治療箇所の奥の粘膜の位
    置を変位させるように骨を押し広げあるいは圧縮する際に衝撃を加えるための器具として
    用いられるオステオトームであって、
    当該オステオトームの本体部たるボディ部と、
    前記ボディ部あるいは当該ボディ部に取り付けられる部材の先端に形成され、前記粘膜
    の位置を変位させる端部と、
    を備え、前記端部の径が自家製歯の移植に適した大きさである、オステオトーム。
  2. 前記端部の径が、インプラント専用のオステオトームの端部径よりも大きい、請求項1
    に記載のオステオトーム。
  3. 前記端部の径が5mm以上である、請求項2に記載のオステオトーム。
  4. 患者の治療箇所の表面形状に合わせて設けられ、治療の際の深さの目安となる基準位置
    を所定量オフセットさせるサージカルガイドに形成されたガイド孔に沿ってガイドされる
    被ガイド部が前記ボディ部の一部に形成されている、請求項3に記載のオステオトーム。
  5. 患者の顎部の治療箇所に対し基端側から先端側に向けて埋入され、当該治療箇所の奥の
    粘膜の位置を変位させるように骨を押し広げあるいは圧縮する際に衝撃を加えるための器
    具として用いられるオステオトームであって、
    当該オステオトームの本体部たるボディ部と、
    該ボディ部の先端に形成され、前記粘膜の位置を変位させる端部と、
    を備え、患者の治療箇所の表面形状に合わせて形成され、治療の際の高さの目安となる基
    準位置を所定量オフセットさせるサージカルガイドに設けられたガイド孔に沿ってガイド
    される被ガイド部が前記ボディ部の一部に形成されている、オステオトーム。
  6. 患者の顎部の治療箇所の表層から深部に向けて進み、埋設体の一部を埋設するための穴
    を形成するドリル部を有する穴形成器具であって、
    前記ドリル部の径が自家製歯の移植に適した大きさである、穴形成器具。
  7. 前記ドリル部の径が、前記埋設体がインプラント体である場合のドリル部の径よりも大
    きい、請求項6に記載の穴形成器具。
  8. 前記ドリル部の径が5mm以上である、請求項7に記載の穴形成器具。
  9. 患者の治療箇所の表面形状に合わせて形成され、治療の際の高さの目安となる基準位置
    を所定量オフセットさせるサージカルガイドに設けられたガイド孔に沿ってガイドされる
    被ガイド部が当該穴形成器具の一部に形成されている、請求項8に記載の穴形成器具。
  10. 樹脂材料またはセラミック材料で形成され、患者の顎部の治療箇所に埋設体の一部を埋
    設するために形成された穴、または、患者の治療箇所の表面形状に合わせて設けられ、治
    療の際の深さの目安となる基準位置を所定量オフセットさせるサージカルガイドに形成さ
    れたガイド孔に挿入され、その状態で行われる放射線を利用した撮影画像中に結像して前
    記穴または前記ガイド孔の位置を示す、画像診断用のテストポスト。
  11. 段付き形状である、請求項10に記載のテストポスト。
  12. 前記サージカルガイドの前記ガイド孔の内径よりも大きい径である外径部を有する、請
    求項11に記載のテストポスト。
  13. 患者の治療箇所の表面形状に合わせて設けられ、治療の際の深さの目安となる基準位置
    を所定量オフセットさせるサージカルガイドに形成されたガイド孔に挿入され、ガイド長
    さを延長させる、筒状に形成されたストッパーエクステンション。
  14. 段付き形状である、請求項13に記載のストッパーエクステンション。
  15. 前記サージカルガイドの前記ガイド孔の内径よりも大きい径である外径部を有する、請
    求項13に記載のストッパーエクステンション。
  16. 移植に供される自家製歯のうち、カット対象たる歯根を除く部分の一部または全部を覆
    い、前記歯根をカットする際に当該歯根の周囲にある歯根膜に与えることがある外因によ
    るダメージを軽減させる、歯根膜ガード。
  17. 低反発素材で形成される、請求項16に記載の歯根膜ガード。
  18. シリコン製である、請求項16に記載の歯根膜ガード。
  19. 患者の顎部の治療箇所の表層から深部に向けて埋入され、当該治療箇所の奥の粘膜の位
    置に向けて先端部から水を噴出させる水流チューブであって、
    前記先端部の径が自家製歯の移植に適した大きさである、移植用の水流チューブ。
  20. 前記先端部に、先端から基端に向かうにつれ外径が段階的に大きくなる段部が形成され
    ている、請求項19に記載の水流チューブ。
  21. 患者の顎部の3次元立体画像に基づいて形成され、前記患者の治療対象の歯、歯茎、及
    び、前記歯茎に覆われる歯槽骨の少なくとも一部と同じ大きさ及び同じ形状で、前記患者
    の治療対象の歯、歯茎、及び、歯槽骨の少なくとも一部を模す模型本体と、
    前記患者の3次元立体画像に基づいて形成され、前記患者の治療対象の前記歯槽骨に隣
    接又は埋設され、治療時に複数から選択される手技器具の先端を非接触とするべき非接触
    ターゲットを模し、前記患者の治療対象の歯、歯茎、及び、歯槽骨と前記非接触ターゲッ
    トとの位置関係と同じ位置関係に、前記模型本体に設けられる、ターゲット模型部と、
    前記患者の3次元立体画像に基づいて、前記模型本体における前記患者の治療対象の歯
    茎及び歯槽骨を模した位置に、前記治療対象に対する埋設体を埋設可能な孔を模して形成
    され、前記患者の3次元立体画像における前記孔に対し3次元立体画像における前記手技
    器具が嵌まり、前記3次元立体画像において前記手技器具が前記孔に挿入されたときに、
    前記手技器具と前記ターゲットとの間の位置関係を歯科医師に視認可能とする、孔部と、
    を備え、
    前記ターゲット模型部に、手技前検証時に前記手技器具が接触した場合、接触したこと
    を知らしめるための流体が内蔵されている、歯科治療計画の手技前検証用の模型。
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