JP2023063949A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】誘電正接が低く、高温高湿環境への曝露後であっても良好な導体密着性を呈し、良好な機械特性を呈する硬化物をもたらすことができる、新規の樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)熱硬化性樹脂、(B)硬化剤、及び、(C)エチニル基又はエチニレン基を有する樹脂を含む樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。さらには、該樹脂組成物を用いた、樹脂シート、硬化物、プリント配線板、半導体チップパッケージ、及び半導体装置に関する。
エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂とその硬化剤を含む樹脂組成物は、絶縁性、耐熱性、密着性などに優れる硬化物をもたらすことから、プリント配線板や半導体チップパッケージなどの電子部品の絶縁材料として広く使われてきた。このような樹脂組成物としては、例えば、特許文献1に開示される樹脂組成物が知られている。
特開2014-47318号公報
近年の通信の高速化に伴い、電子部品の絶縁材料には、高周波環境で作動させる際の伝送損失を低減すべく、より低い誘電正接を呈することが求められている。また、電子部品の絶縁材料は、導体層や導体箔との密着性(以下、単に「導体密着性」ともいう。)、とりわけ高温高湿環境への曝露後であっても高い導体密着性を呈することが望ましい。
また電子部品の小型化・高機能化に伴い、絶縁材料の薄型化が進み、クラック不良などが起こり易くなっている。それを防止するために、絶縁材料に対して、優れた機械特性、具体的には高い破断点伸度が求められている。
本発明の課題は、誘電正接が低く、高温高湿環境への曝露後であっても良好な導体密着性を呈し、良好な機械特性を呈する硬化物をもたらすことができる、新規の樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂及び硬化剤を含む樹脂組成物において、さらにエチニル基又はエチニレン基を有する樹脂を組み合わせて用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)熱硬化性樹脂、(B)硬化剤、及び、(C)エチニル基又はエチニレン基を有する樹脂を含む樹脂組成物。
[2] (C)成分が、分子端部にエチニル基又はエチニレン基を有する、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (C)成分の分子端部が、下記一般式(C1)で表される構造単位である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
Figure 2023063949000001
(式中、
は、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、
環Arは、置換基を有していてもよい芳香環を表し、
n1は、0又は1を表し、
*は、結合手を表す。)
[4] (C)成分が、下記一般式(C2)で表される構造単位を有する、[1]~[3]の何れかに記載の樹脂組成物。
Figure 2023063949000002
(式中、
は、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基、又は、(iii)シロキサン骨格を有する2価の基を表し、
は、それぞれ独立に、1つ以上の芳香環を含有する4価の有機基を表し、
は、それぞれ独立に、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、又は、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基を表し、
n2は、0以上の数を表す。)
[5] (C)成分の重量平均分子量が500~50000の範囲である、[1]~[4]の何れかに記載の樹脂組成物。
[6] (C)成分の含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、1質量%以上である、[1]~[5]の何れかに記載の樹脂組成物。
[7] さらに(D)無機充填材を含む、[1]~[6]の何れかに記載の樹脂組成物。
[8] (D)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、[7]に記載の樹脂組成物。
[9] プリント配線板の絶縁層用である、[1]~[8]の何れかに記載の樹脂組成物。
[10] 半導体封止用である、[1]~[8]の何れかに記載の樹脂組成物。
[11] 支持体と、該支持体上に設けられた[1]~[10]の何れかに記載の樹脂組成物の層とを含む、樹脂シート。
[12] 支持体が、熱可塑性樹脂フィルム又は金属箔である、[11]に記載の樹脂シート。
[13] [1]~[10]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物。
[14] [1]~[9]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を含む、プリント配線板。
[15] [1]~[8]、[10]の何れかに記載の樹脂組成物の硬化物からなる封止層を含む、半導体チップパッケージ。
[16] [14]に記載のプリント配線板又は[15]に記載の半導体チップパッケージを含む、半導体装置。
本発明によれば、誘電正接が低く、高温高湿環境への曝露後であっても良好な導体密着性を呈し、良好な機械特性を呈する硬化物をもたらすことができる、新規の樹脂組成物を提供することができる。
<用語の説明>
本明細書において、化合物又は基についていう「置換基を有していてもよい」という用語は、該化合物又は基の水素原子が置換基で置換されていない場合、及び、該化合物又は基の水素原子の一部又は全部が置換基で置換されている場合の双方を意味する。
本明細書において、「置換基」という用語は、特に説明のない限り、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、1価の複素環基、アルキリデン基、アミノ基、シリル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基及びオキソ基を意味する。
置換基として用いられるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。置換基として用いられるアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~12、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~3である。置換基として用いられるアルケニル基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2~12、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2又は3である。置換基として用いられるシクロアルキル基の炭素原子数は、好ましくは3~12、より好ましくは3~6である。置換基として用いられるアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。該アルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは1~12、より好ましくは1~6である。置換基として用いられるシクロアルキルオキシ基の炭素原子数は、好ましくは3~12、より好ましくは3~6である。置換基として用いられるアリール基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を1個除いた基である。置換基として用いられるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6~14、より好ましくは6~10である。置換基として用いられるアリールオキシ基の炭素原子数は、好ましくは6~14、より好ましくは6~10である。置換基として用いられるアリールアルキル基の炭素原子数は、好ましくは7~15、より好ましくは7~11である。置換基として用いられるアリールアルコキシ基の炭素原子数は、好ましくは7~15、より好ましくは7~11である。置換基として用いられる1価の複素環基とは、複素環式化合物の複素環から水素原子1個を除いた基をいう。該1価の複素環基の炭素原子数は、好ましくは3~15、より好ましくは3~9である。置換基として用いられるアルキリデン基とは、アルカンの同一の炭素原子から水素原子を2個除いた基をいう。該アルキリデン基の炭素原子数は、好ましくは1~12、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~3である。上述の置換基は、さらに置換基(以下、「二次置換基」という場合がある。)を有していてもよい。二次置換基としては、特に記載のない限り、上述の置換基と同じものを用いてよい。
本明細書において、「有機基」という用語は、骨格原子として少なくとも炭素原子を含む基をいい、直鎖状、分岐状又は環状のいずれであってもよい。本明細書において、有機基の骨格原子数は、特に記載のない限り、好ましくは1~3000、より好ましくは1~1000、さらに好ましくは1~100、さらにより好ましくは1~50、特に好ましくは1~30又は1~20である。有機基としては、例えば、炭素原子、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子から選ばれる1個以上の骨格原子(但し炭素原子を少なくとも含む)からなる基が挙げられる。
本明細書において、「芳香環」という用語は、環上のπ電子系に含まれる電子数が4p+2個(pは自然数)であるヒュッケル則に従う環を意味し、単環式の芳香環、及び2個以上の単環式の芳香環が縮合した縮合多環式芳香環を含む。芳香環は、環構成原子として炭素原子のみを有する芳香族炭素環、又は環構成原子として、炭素原子に加えて、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有する芳香族複素環であり得る。本明細書において、芳香環の炭素原子数は、特に記載のない限り、好ましくは3以上、より好ましくは4以上又は5以上、さらに好ましくは6以上であり、その上限は、好ましくは24以下、より好ましくは18以下又は14以下、さらに好ましくは10以下である。該炭素原子数に置換基の炭素原子数は含まれない。芳香環としては、例えば、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環等の単環式芳香環;ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾイミダゾール環、インダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、アクリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、フタラジン環等の2個以上の単環式芳香環が縮合した縮合多環式芳香環が挙げられる。
本明細書において、「非芳香環」という用語は、芳香環以外の環を意味し、単環式の非芳香環、及び2個以上の単環式の非芳香環が縮合した縮合多環式非芳香環を含む。非芳香環は、炭素環又は複素環であり得る。非芳香環は、飽和環であっても、不飽和環であってもよい。非芳香環としては、例えば、シクロアルカン環;シクロアルケン環;ピロリジン環、テトラヒドロフラン環、ジオキサン環、テトラヒドロピラン環等の単環式の非芳香族複素環(好ましくは3~10員);ノルボルナン環、デカリン環、アダマンタン環、テトラヒドロジシクロペンタジエン環等の縮合多環式非芳香族炭素環(好ましくは8~15員)等が挙げられる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)熱硬化性樹脂、(B)硬化剤、及び、(C)エチニル基又はエチニレン基を有する樹脂を含むことを特徴とする。
<(A)熱硬化性樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(A)成分として、熱硬化性樹脂を含む。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ウレタン樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、後述する(C)成分との組み合わせにおいて、誘電特性、導体密着性、機械特性の何れにおいても優れる硬化物をもたらすことができる観点から、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が挙げられる。ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノール構造を有するエポキシ樹脂を指し、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂が挙げられる。ビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェニル構造を有するエポキシ樹脂を指し、ここでビフェニル構造はアルキル基、アルコキシ基、アリール基等の置換基を有していてもよい。したがって、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂もビフェニル型エポキシ樹脂に含まれる。エポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい
エポキシ樹脂としては、芳香族系のエポキシ樹脂が好ましい。ここで、芳香族系のエポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環を有するエポキシ樹脂を意味する。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有することが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分を100質量%とした場合、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」という。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」という。)とがある。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂等の脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP-4032」、「HP-4032D」、「HP-4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP-4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでもよく、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでもよい。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:0.01~1:50、より好ましくは1:0.05~1:20、さらに好ましくは1:0.1~1:10である。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.~1000g/eq.である。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。エポキシ樹脂のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
後述する(C)成分との組み合わせにおいて、誘電特性、導体密着性、機械特性の何れにおいても優れる硬化物をもたらすことができる観点から、樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは12質量%以上、14質量%以上又は15質量%以上である。該含有量の上限は、特に限定されず、樹脂組成物に要求される特性に応じて決定してよいが、例えば、60質量%以下、50質量%以下又は40質量%以下などとし得る。本発明において、樹脂組成物についていう「樹脂成分」とは、樹脂組成物を構成する不揮発成分のうち、後述する無機充填材を除いた成分をいう。
本発明の樹脂組成物において、(A)成分の不揮発成分を100質量%とした場合、エポキシ樹脂の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上又は70質量%以上である。(A)成分に占めるエポキシ樹脂の含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよいが、例えば、95質量%以下、90質量%以下などとしてもよい。
<(B)硬化剤>
本発明の樹脂組成物は、(B)成分として、硬化剤を含む。(B)成分は、通常、(A)成分と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する。
(B)成分としては、例えば、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、アミン系硬化剤などが挙げられる。(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、(A)成分及び後述する(C)成分との組み合わせにおいて、誘電特性、導体密着性、機械特性の何れにおいても優れる硬化物をもたらすことができる観点から、(B)成分は、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤からなる群から選択される1種以上を含むことが好ましく、とりわけ誘電特性に優れる硬化物をもたらすことができる観点から、活性エステル系硬化剤を含むことが好ましい。したがって一実施形態において、(B)成分は、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤からなる群から選択される1種以上を含み、より好適には活性エステル系硬化剤を含む。
活性エステル系硬化剤としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を用いることができる。中でも、活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系硬化剤の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系硬化剤、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系硬化剤が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル系硬化剤、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系硬化剤がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル化合物の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65M」、「EXB-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」、(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-60T」、「EXB-8150-62T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」(DIC社製)、;リン含有活性エステル化合物として、「EXB9401」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル化合物として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)、スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するものが好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤、含窒素ナフトール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤、トリアジン骨格含有ナフトール系硬化剤がより好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、「MEH-8000H」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」;日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-495V」、「SN-375」、「SN-395」;DIC社製の「TD-2090」、「TD-2090-60M」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」、「HPC-9500」、「KA-1160」、「KA-1163」、「KA-1165」;群栄化学社製の「GDP-6115L」、「GDP-6115H」、「ELPC75」等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物系硬化剤の市販品としては、新日本理化社製の「MH-700」等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL-950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)V-03(カルボジイミド基当量:216g/eq.)、V-05(カルボジイミド基当量:262g/eq.)、V-07(カルボジイミド基当量:200g/eq.);V-09(カルボジイミド基当量:200g/eq.);ラインケミー社製のスタバクゾール(登録商標)P(カルボジイミド基当量:302g/eq.)が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられる。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
(A)成分及び後述する(C)成分との組み合わせにおいて、誘電特性、導体密着性、機械特性の何れにおいても優れる硬化物をもたらすことができる観点から、樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上又は30質量%以上である。該含有量の上限は、特に限定されず、樹脂組成物に要求される特性に応じて決定してよいが、例えば、70質量%以下、60質量%以下又は55質量%以下などとし得る。
先述のとおり、誘電特性に優れる硬化物をもたらす観点から、(B)成分は活性エステル系硬化剤を含むことが好ましい。本発明の樹脂組成物が(B)成分として活性エステル系硬化剤を含む場合、(B)成分中の活性エステル系硬化剤の含有量は、一際優れた誘電特性を呈する硬化物を得る観点から、(B)成分の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、75質量%以上又は80質量%以上である。(B)成分に占める活性エステル系硬化剤の含有量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよいが、例えば、95質量%以下、90質量%以下などとしてもよい。
本発明の樹脂組成物が(B)成分として活性エステル系硬化剤を含む場合、(A)成分に対する活性エステル系硬化剤の質量比(活性エステル系硬化剤/(A)成分)は、一際優れた誘電特性を呈する観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上である。ここで、硬化剤として活性エステル系硬化剤を含む樹脂組成物は、誘電特性が良好な硬化物を実現できる一方で、優れた誘電特性を実現できる程度にその含有量を高めると、硬くて脆い硬化物に帰着し易く、それ故、クラック不良が起こり易いという問題がある。これに対し、後述する(C)成分を含む本発明の樹脂組成物によれば、優れた誘電特性を実現できる程度に活性エステル系硬化剤を含む場合であっても、良好な機械特性を呈する硬化物をもたらすことができる。例えば、本発明の樹脂組成物において、(A)成分に対する活性エステル系硬化剤の質量比は、1以上、1.1以上又は1.2以上にまで高めてよい。該質量比(活性エステル系硬化剤/(A)成分)の上限は、例えば、2以下、1.9以下、1.8以下などとしてよい。
<(C)エチニル基又はエチニレン基を有する樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(C)成分として、エチニル基又はエチニレン基を有する樹脂(以下、単に「エチニル基含有樹脂」ともいう。)を含む。
斯かる(C)成分を含むことにより、本発明の樹脂組成物は、誘電正接が低く、高温高湿環境への曝露後であっても良好な導体密着性を呈し、良好な機械特性を呈する硬化物をもたらすことができる。
(C)成分は、エチニル基又はエチニレン基を有する樹脂であり、式:R-C≡C-で表される基を有することを特徴とする。Rについては後述するが、Rが水素原子である場合にエチニル基を有するといい、Rが水素原子以外である場合にエチニレン基を有するという。
(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、所期の効果を奏するにあたり、(C)成分は、その分子端部にエチニル基又はエチニレン基を有することが好ましい。
(C)成分は、エチニル基又はエチニレン基を分子中に複数個有することが好ましく、例えば、その分子鎖の両端部にエチニル基又はエチニレン基を有することが好ましい。一実施形態において、(C)成分は、その分子鎖の両端部にエチニル基又はエチニレン基を有する。
中でも、(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにおいてもいっそう優れた硬化物をもたらすことができる観点から、(C)成分の分子端部が、下記一般式(C1)で表される構造単位(以下、「構造単位(C1)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2023063949000003
(式中、
は、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、
環Arは、置換基を有していてもよい芳香環を表し、
n1は、0又は1を表し、
*は、結合手を表す。)
におけるアリール基は、芳香族炭化水素から芳香環上の水素原子を1個除いた1価の基をいう。(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにも優れる硬化物をもたらす樹脂組成物を実現する観点から、該アリール基の炭素原子数は、好ましくは6~14、より好ましくは6~10である。該アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
におけるアルキル基は、飽和炭化水素から水素原子を1個除いた1価の基をいい、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよい。(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにも優れる硬化物をもたらす樹脂組成物を実現する観点から、該アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4、さらにより好ましくは1~3である。該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基が挙げられる。
におけるアリール基やアルキル基が有していてもよい置換基は先述のとおりである。中でも、(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにも優れる硬化物をもたらす樹脂組成物を実現する観点から、ハロゲン原子、アルキル基、及びアリール基から選択される1種以上が好ましく、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上がより好ましい。
好適な一実施形態において、一般式(C1)中のRは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基、又は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~3のアルキル基を示し、かつ、該置換基は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上である。より好適な一実施形態において、一般式(C1)中のRは、水素原子、炭素原子数6のアリール基(すなわち、フェニル基)、又は、炭素原子数1~3のアルキル基を示す。
環Arにおける芳香環は、芳香族炭素環及び芳香族複素環の何れであってもよいが、本発明の効果をより享受し得る観点から、芳香族炭素環であることが好ましい。該芳香族炭素環の炭素原子数は、好ましくは6~14、より好ましくは6~10である。
環Arにおける芳香環が有していてもよい置換基は先述のとおりである。中でも、(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにも優れる硬化物をもたらす樹脂組成物を実現する観点から、ハロゲン原子、アルキル基、及びアリール基から選択される1種以上が好ましく、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上がより好ましい。
好適な一実施形態において、一般式(C1)中の環Arは、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数6~14の芳香族炭素環(より好適にはベンゼン環又はナフタレン環)である。
一般式(C1)において、n1は、0又は1を表す。
(C)成分は、構造単位(C1)を分子中に複数個有することが好ましく、例えば、(C)成分は、その分子鎖の両端部に構造単位(C1)を有することが好ましい。したがって一実施形態において、(C)成分は、その分子鎖の両端部が構造単位(C1)である。
(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにも優れる硬化物をもたらす樹脂組成物を実現する観点から、(C)成分の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは50000以下、より好ましくは45000以下、さらに好ましくは30000以下、28000以下、26000以下又は25000以下である。(C)成分のMwの下限は、特に限定されないが、本発明の効果をより享受し得る観点から、好ましくは500以上、600以上又は700以上である。したがって好適な一実施形態において、(C)成分のMwは500~50000の範囲にある。なお、(C)成分のMwは、GPC法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
(C)成分は、エチニル基又はエチニレン基(好ましくは上記構造単位(C1))を有する限り、残部の構造は特に限定されず、例えば、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び珪素原子から選ばれる1個以上(例えば1~3000個、1~1000個、1~500個)の骨格原子を用いて、上記Mwの好適範囲を満たすように適宜決定してよい。以下、(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにもいっそう優れる硬化物をもたらす樹脂組成物を実現する観点から特に好適な(C)成分の構造について説明する。
好適な一実施形態において、(C)成分は、下記一般式(C2)で表される構造単位(以下、「構造単位(C2)」ともいう。)を有する。
Figure 2023063949000004
(式中、
は、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基、又は、(iii)シロキサン骨格を有する2価の基を表し、
は、それぞれ独立に、1つ以上の芳香環を含有する4価の有機基を表し、
は、それぞれ独立に、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、又は、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基を表し、
n2は、0以上の数を表す。)
一般式(C2)において、Rは、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基、又は、(iii)シロキサン骨格を有する2価の基を表す。
が(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基を表す場合、Rで表される2価の有機基が含有する芳香環は、先述のとおり、単環式芳香環、及び、2個以上の単環式芳香環が縮合した縮合多環式芳香環の何れであってもよい。また、芳香環は、芳香族炭素環、及び、芳香族複素環の何れであってもよい。中でも、(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにも優れる硬化物をもたらす樹脂組成物を実現する観点から、該2価の有機基は、好ましくは芳香族炭素環を1つ以上(より好適には2つ以上、3つ以上又は4つ以上)含有する。
が(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基を表す場合、本発明の効果をより享受し得る観点から、Rは、下記一般式(C2-2i)で表される2価の基(以下、2価の基(C2-2i)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2023063949000005
(式中、
環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表し、
21、L22及びL23は、それぞれ独立に、単結合、又は、2価の連結基を表し、
n21は、0以上の数を表し、
n22は、0又は1を表し、
n23は、0又は1を表す。)
ここで、n23が0である場合、2価の基(C2-2i)は、環Ar21から2つの結合手が延びている構造(*-環Ar21-*)を有する。n23が1である場合、2価の基(C2-2i)は、*-環Ar21-L21-(環Ar22-L22n21-(環Ar23-L23n22-環Ar24-*で表される構造を有する。
環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24における芳香環は先述のとおりである。中でも、本発明の効果をより享受し得る観点から、環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24における芳香環は、それぞれ独立に、炭素原子数6~14の芳香族炭素環であり、より好適にはベンゼン環又はナフタレン環である。
環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24における芳香環が有していてもよい置換基は先述のとおりである。中でも、本発明の効果をより享受し得る観点から、ハロゲン原子、アルキル基、及びアリール基から選択される1種以上が好ましく、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上がより好ましい。
好適な一実施形態において、一般式(C2-2i)中の環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数6~14の芳香族炭素環(より好適にはベンゼン環又はナフタレン環)である。
一般式(C2-2i)において、L21、L22及びL23は、それぞれ独立に、単結合、又は、2価の連結基を表す。L21、L22及びL23で表される2価の連結基は、好ましくは、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び珪素原子から選ばれる1個以上(例えば1~3000個、1~1000個、1~100個、1~50個)の骨格原子からなる2価の基である。2価の連結基の例としては、-SO-、-CO-、-COO-、-O-、-S-、-O-C-O-(ここで、-C-は、フェニレン基を表す。)、-O-C-C(CH-C-O-、-COO-(CH-OCO-(ここで、qは、1~20の整数を表す。)、-COO-HC-HC(-O-C(=O)-CH)-CH-OCO-、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、-NR-(ここで、Rは、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基を表す。)及び-C(=O)-NR-が挙げられる。アルキレン基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~5又は1~4である。アルケニレン基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは2~10、より好ましくは2~6、さらに好ましくは2~5である。アリーレン基の炭素原子数は、好ましくは6~14、より好ましくは6~10であり、ヘテロアリーレン基の炭素原子数は、好ましくは3~9である。上述のアルキル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基は、さらに置換基を有していてもよい。当該置換基は先述のとおりであるが、中でも、本発明の効果をより享受し得る観点から、ハロゲン原子、アルキル基、及びアリール基から選択される1種以上が好ましく、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上がより好ましい。
好適な一実施形態において、一般式(C2-2i)中のL21、L22及びL23は、それぞれ独立に、単結合、-SO-、-CO-、-COO-、-O-、-S-、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10のアルケニレン基、-NR-(ここで、Rは、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基を表す。)、又は、-C(=O)-NR-を表し、より好適には、単結合、-O-、-S-、又は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6のアルキレン基を表す。ここで、置換基としては、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上が好ましい。
一実施形態において、n22及びn23は1であり、L21が表す2価の連結基とL23が表す2価の連結基とが互いに同じであり、L21が表す2価の連結基とL22が表す2価の連結基とが互いに異なる。好適な一実施形態において、n22及びn23は1であり、L21及びL23が-O-であり、L22が置換基を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基の炭素原子数の好適範囲や置換基の好適な種類は先述のとおりである。
一般式(C2-2i)において、n21は0以上の数を表し、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~4又は1~3である。
好適な一実施形態において、一般式(C2-2i)中、
n22及びn23は1であり、
環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数6~14の芳香族炭素環(より好適にはベンゼン環又はナフタレン環)を表し、
21、L22及びL23は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、又は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、ここで、該置換基は、置換基としては、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上であり、
n21は1~5の数を表す。
より好適な一実施形態において、一般式(C2-2i)中、
n22及びn23は1であり、
環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、ベンゼン環を表し、
21及びL23は、-O-を表し、
22は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、
n21は1~3の数を表す。
が(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基を表す場合、該脂肪族基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、環構造を含んでもよい。該脂肪族基の炭素原子数は、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、10以上、15以上又は20以上である。該炭素原子数の上限は特に限定されないが、例えば、100以下、80以下、60以下又は50以下などとし得る。該脂肪族基は、骨格原子として、炭素原子のほか、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び珪素原子から選ばれる1個以上を含んでもよい。
が(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基を表す場合、本発明の効果をより享受し得る観点から、Rは、下記一般式(C2-2ii)で表される2価の基(以下、2価の基(C2-2ii)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2023063949000006
(式中、
21及びR23は、それぞれ独立に、単結合、置換基を有していてもよいアルキレン基、又は、置換基を有していてもよいアルケニレン基を表し、
環R22は、アルキル基及びアルケニル基からなる群から選択される置換基を有していてもよい非芳香環を表し、
n24は、0~3の数を表し、
*は、結合手を表す。)
21及びR23におけるアルキレン基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~12、さらに好ましくは1~10又は1~8である。
21及びR23におけるアルケニレン基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは2~20、より好ましくは2~12、さらに好ましくは2~10又は2~8である。
21及びR23におけるアルキレン基やアルケニレン基が有していてもよい置換基は先述のとおりである。中でも、本発明の効果をより享受し得る観点から、ハロゲン原子、アルキル基、及びアリール基から選択される1種以上が好ましく、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上がより好ましい。
環R22における非芳香環は先述のとおりであるが、中でも、本発明の効果をより享受し得る観点から、シクロアルカン環又はシクロアルケン環であることが好ましい。該シクロアルカン環やシクロアルケン環の炭素原子数は、好ましくは3~12、より好ましくは3~10、さらに好ましくは3~8又は4~8である。
環R22における非芳香環が有していてもよい置換基としてのアルキル基及びアルケニル基は先述のとおりであるが、中でも、アルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~8であり、アルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2~10、より好ましくは2~8である。
一般式(C2-2ii)において、n24は、0~3の数を表し、好ましくは0~2、より好ましくは0又は1、さらに好ましくは1である。
好適な一実施形態において、一般式(C2-2ii)中、
n24は1であり、
21及びR23は、それぞれ独立に、単結合、置換基を有していてもよい炭素原子数1~8のアルキレン基、又は、置換基を有していてもよい炭素原子数2~8のアルケニレン基を表し、ここで、該置換基は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上であり、
環R22は、炭素原子数1~8のアルキル基及び炭素原子数2~8のアルケニル基からなる群から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数4~8のシクロアルカン環又はシクロアルケン環を表す。
より好適な一実施形態において、一般式(C2-2ii)中、
n24は1であり、
21及びR23は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数8のアルキレン基又はアルケニレン基を表し、
環R22は、炭素原子数6~8のアルキル基及び炭素原子数6~8のアルケニル基からなる群から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を表すか、
又は、
n24は1であり、
21及びR23の一方は、単結合を表し、
21及びR23の他方は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数1~3のアルキレン基を表し、
環R22は、置換基として炭素原子数1~3のアルキル基を1~4個(好ましくは2~4個、より好ましくは3個)有するシクロヘキサン環を表す。前者の場合、2価の基(C2-2ii)は、ダイマージアミン由来のC36骨格を有することが好ましい。
が(iii)シロキサン骨格を有する2価の基を表す場合、本発明の効果をより享受し得る観点から、Rは、下記一般式(C2-2iii)で表される2価の基(以下、2価の基(C2-2iii)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2023063949000007
(式中、
24及びR25は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキレン基を表し、
26及びR27は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は、置換基を有していてもよいアリール基を表し、
n25は、0以上の数を表す。)
24及びR25におけるアルキレン基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1~20、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~6又は1~4である。
24及びR25におけるアルキレン基が有していてもよい置換基は先述のとおりである。中でも、本発明の効果をより享受し得る観点から、ハロゲン原子、アルキル基、及びアリール基から選択される1種以上が好ましく、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上がより好ましい。
26及びR27におけるアルキル基は直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、その炭素原子数は、好ましくは1~10、より好ましくは1~6、さらに好ましくは1~4又は1~3である。
26及びR27におけるアリール基の炭素原子数は、好ましくは6~14、より好ましくは6~10である。
26及びR27におけるアルキル基やアリール基が有していてもよい置換基は先述のとおりである。中でも、本発明の効果をより享受し得る観点から、ハロゲン原子、アルキル基、及びアリール基から選択される1種以上が好ましく、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上がより好ましい。
一般式(C2-2iii)において、n25は0以上の数を表し、その範囲は特に限定されず、例えば、(C)成分のMwが上記好適範囲を満たすように適宜決定してよい。
好適な一実施形態において、一般式(C2-2iii)中、
24及びR25は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数1~10のアルキレン基を表し、
26及びR27は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数1~3のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素原子数6~10のアリール基を表し、ここで、該置換基はフッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上であり、
n25は、(C)成分のMwが500~50000の範囲となるような数を表す。n25について、(C)成分のMwのより好適な範囲は先述のとおりである。
一般式(C2)において、Rは、それぞれ独立に、1つ以上の芳香環を含有する4価の有機基を表す。
で表される4価の有機基が含有する芳香環は、先述のとおり、単環式芳香環、及び、2個以上の単環式芳香環が縮合した縮合多環式芳香環の何れであってもよい。また、芳香環は、芳香族炭素環、及び、芳香族複素環の何れであってもよい。中でも、(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにも優れる硬化物をもたらす樹脂組成物を実現する観点から、該4価の有機基は、好ましくは芳香族炭素環を1つ以上(より好適には2つ以上、3つ以上又は4つ以上)含有する。
本発明の効果をより享受し得る観点から、Rは、下記一般式(C2-3)で表される4価の基(以下、4価の基(C2-3)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2023063949000008
(式中、
環Ar31、環Ar32、環Ar33及び環Ar34は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表し、
31、L32及びL33は、それぞれ独立に、単結合、又は、2価の連結基を表し、
n31は、0以上の数を表し、
n32は、0又は1を表し、
n33は、0又は1を表す。)
ここで、n33が0である場合、4価の基(C2-3)は、環Ar31から4つの結合手が延びている構造((*-)(*-)環Ar31(-*)(-*))を有する。n33が1である場合、4価の基(C2-3)は、(*-)(*-)環Ar31-L31-(環Ar32-L32n31-(環Ar33-L33n32-環Ar34(-*)(-*)で表される構造を有する。
環Ar31、環Ar32、環Ar33及び環Ar34における芳香環は、その好適な例も含めて、上記の環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24における芳香環と同様である。環Ar31、環Ar32、環Ar33及び環Ar34における芳香環が有していてもよい置換基も、その好適な例を含めて、上記の環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24と同様である。
好適な一実施形態において、一般式(C2-3)中の環Ar31、環Ar32、環Ar33及び環Ar34は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数6~14の芳香族炭素環(より好適にはベンゼン環又はナフタレン環)である。
31、L32及びL33で表される2価の連結基は、その好適な例や置換基の好適な例も含めて、上記のL21、L22及びL23で表される2価の連結基と同様である。
好適な一実施形態において、一般式(C2-3)中のL31、L32及びL33は、それぞれ独立に、単結合、-SO-、-CO-、-COO-、-O-、-S-、置換基を有していてもよい炭素原子数1~10のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10のアルケニレン基、-NR-(ここで、Rは、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基を表す。)、又は、-C(=O)-NR-を表し、より好適には、単結合、-O-、-S-、又は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6のアルキレン基を表す。ここで、置換基としては、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上が好ましい。
一実施形態において、n32及びn33は1であり、L31が表す2価の連結基とL33が表す2価の連結基とが互いに同じであり、L31が表す2価の連結基とL32が表す2価の連結基とが互いに異なる。好適な一実施形態において、n32及びn33は1であり、L31及びL33が-O-であり、L32が置換基を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基の炭素原子数の好適範囲や置換基の好適な種類は先述のとおりである。
一般式(C2-3)において、n31は0以上の数を表し、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~4又は1~3である。
好適な一実施形態において、一般式(C2-3)中、
n32及びn33は1であり、
環Ar31、環Ar32、環Ar33及び環Ar34は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数6~14の芳香族炭素環(より好適にはベンゼン環又はナフタレン環)を表し、
31、L32及びL33は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、又は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、ここで、該置換基は、置換基としては、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上であり、
n31は1~5の数を表す。
より好適な一実施形態において、一般式(C2-3)中、
n32及びn33は1であり、
環Ar31、環Ar32、環Ar33及び環Ar34は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、ベンゼン環を表し、
31及びL33は、-O-を表し、
32は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、
n31は1~3の数を表す。
一般式(C2)において、Rは、それぞれ独立に、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、又は、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基を表す。
が(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基を表す場合、該2価の有機基は、上記のRについて説明した(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基と同様である。該2価の有機基の好適な例は、上記の一般式(C2-2i)で表される2価の基、すなわち、2価の基(C2-2i)について説明したとおりである。
好適な一実施形態において、Rは、2価の基(C2-2i)であり、ここで一般式(C2-2i)中、
n22及びn23は1であり、
環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数6~14の芳香族炭素環(より好適にはベンゼン環又はナフタレン環)を表し、
21、L22及びL23は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、又は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、ここで、該置換基は、置換基としては、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上であり、
n21は1~5の数を表す。
より好適な一実施形態において、Rは、2価の基(C2-2i)であり、ここで一般式(C2-2i)中、
n22及びn23は1であり、
環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、ベンゼン環を表し、
21及びL23は、-O-を表し、
22は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、
n21は1~3の数を表す。
が(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基を表す場合、該2価の有機基は、上記のRについて説明した(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基と同様である。該2価の脂肪族基の好適な例は、上記の一般式(C2-2ii)で表される2価の基、すなわち、2価の基(C2-2ii)について説明したとおりである。
好適な一実施形態において、Rは、2価の基(C2-2ii)であり、ここで一般式(C2-2ii)中、
n24は1であり、
21及びR23は、それぞれ独立に、単結合、置換基を有していてもよい炭素原子数1~8のアルキレン基、又は、置換基を有していてもよい炭素原子数2~8のアルケニレン基を表し、ここで、該置換基は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上であり、
環R22は、炭素原子数1~8のアルキル基及び炭素原子数2~8のアルケニル基からなる群から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数4~8のシクロアルカン環又はシクロアルケン環を表す。
より好適な一実施形態において、Rは、2価の基(C2-2ii)であり、ここで一般式(C2-2ii)中、
n24は1であり、
21及びR23は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数8のアルキレン基又はアルケニレン基を表し、
環R22は、炭素原子数6~8のアルキル基及び炭素原子数6~8のアルケニル基からなる群から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、シクロヘキサン環又はシクロヘキセン環を表すか;又は、
n24は1であり、
21及びR23の一方は、単結合を表し、
21及びR23の他方は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数1~3のアルキレン基を表し、
環R22は、置換基として炭素原子数1~3のアルキル基を1~4個(好ましくは2~4個、より好ましくは3個)有するシクロヘキサン環を表す。前者の場合、2価の基(C2-2ii)は、ダイマージアミン由来のC36骨格を有することが好ましい。
一般式(C2)において、n2は0以上の数を表す。n2の上限は本発明の効果を奏する限り特に限定されず、例えば、(C)成分のMwが上記の好適範囲となるように適宜決定してよい。例えば、n2は0~100の範囲の数であってよい。
(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにも優れる硬化物をもたらす樹脂組成物を実現する観点から、n2が0である場合、Rは、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基、又は、(iii)シロキサン骨格を有する2価の基を表すことが好ましく、上記の2価の基(C2-2ii)、又は、上記の2価の基(C2-2iii)であることがより好ましい。これら2価の基(C2-2ii)や(C2-2iii)の好適な例は、先述のとおりである。
また、n2が0でない場合(例えば、1~100の範囲の数である場合)、Rは、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、又は、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基を表すことが好ましく、上記の2価の基(C2-2i)、又は、上記の2価の基(C2-2ii)であることがより好ましい。これら2価の基(C2-2i)や(C2-2ii)の好適な例は、先述のとおりである。斯かる場合、RやRは、その好適な例も含めて、先述のとおりである。
(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電正接、導体密着性、機械特性の何れにもいっそう優れる硬化物をもたらす樹脂組成物を実現する観点から、構造単位(C2)は、下記一般式(C2’)で表される構造単位(以下、「構造単位(C2’)」ともいう。)であることが好ましい。
Figure 2023063949000009
(式中、
、R、n2、環Ar32、環Ar33、L31、L32、L33、n31、n32及びn33は先述のとおりであり、
31及びR32は、それぞれ独立に、置換基を表し、
n34及びn35は、それぞれ独立に、0~3の数を表す。)
一般式(C2’)において、R、R、n2、環Ar32、環Ar33、L31、L32、L33、n31、n32及びn33は先述のとおりである。
n2が0である場合、Rは、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基、又は、(iii)シロキサン骨格を有する2価の基を表すことが好ましく、上記の2価の基(C2-2ii)、又は、上記の2価の基(C2-2iii)であることがより好ましい。これら2価の基(C2-2ii)や(C2-2iii)の好適な例は、先述のとおりである。
n2が0でない場合(例えば、1~100の範囲の数である場合)、Rは、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、又は、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基を表すことが好ましく、上記の2価の基(C2-2i)、又は、上記の2価の基(C2-2ii)であることがより好ましい。これら2価の基(C2-2i)や(C2-2ii)の好適な例は、先述のとおりである。
n2が0でない場合(例えば、1~100の範囲の数である場合)、環Ar32、環Ar33、L31、L32、L33、n31、n32及びn33は先述のとおりであり、上記の4価の基(C2-3)について説明したとおり、
n32及びn33は1であり、
環Ar32及び環Ar33は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数6~14の芳香族炭素環(より好適にはベンゼン環又はナフタレン環)を表し、
31、L32及びL33は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、又は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、ここで、該置換基は、置換基としては、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上であり、
n31は1~5の数を表すことが好ましく;
n32及びn33は1であり、
環Ar32及び環Ar33は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、ベンゼン環を表し、
31及びL33は、-O-を表し、
32は、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上の置換基を有していてもよい、炭素原子数1~6のアルキレン基を表し、
n31は1~3の数を表すことがより好ましい。
n2が0でない場合(例えば、1~100の範囲の数である場合)、Rは、先述のとおりであり、上記の2価の基(C2-2i)、又は、上記の2価の基(C2-2ii)であることがより好ましい。これら2価の基(C2-2i)や(C2-2ii)の好適な例は、先述のとおりである。
31及びR32で表される置換基(一般式(C2-3)中の環Ar31及び環Ar34が有していてもよい置換基に該当する。)は先述のとおりであるが、中でも、ハロゲン原子、アルキル基、及びアリール基から選択される1種以上が好ましく、フッ素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、及び炭素原子数6~10のアリール基から選択される1種以上がより好ましい。
好適な一実施形態において、(C)成分は、その分子端部が上記の構造単位(C1)であり、その分子鎖内部に上記の構造単位(C2)を含む。
(C)成分は、構造単位(C2)の両末端に構造単位(C1)が直に結合した構造を有してよい。すなわち、(C)成分は、構造単位(C1)と構造単位(C2)のみを含む構造であってよい。あるいはまた、(C)成分は、本発明の効果を奏する限りにおいて、構造単位(C1)と構造単位(C2)に加えて、他の構造単位を含んでもよい。(C)成分において、構造単位(C1)と構造単位(C2)の合計の含有量は、(C)成分の分子鎖の全体を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、80質量%以上又は90質量%以上であり、その上限は100質量%であってよい。
斯かる他の構造単位としては、例えば、下記一般式(C3)で表される構造単位(以下、「構造単位(C3)」ともいう。)が挙げられる。
Figure 2023063949000010
(式中、
は、4価の脂肪族基を表し、
は、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、又は、(ii)2価の脂肪族基を表す。)
で表される4価の脂肪族基は、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、環構造を含んでもよい。該脂肪族基の炭素原子数は、好ましくは2以上、3以上、4以上又は6以上である。該炭素原子数の上限は特に限定されないが、例えば、100以下、80以下、60以下又は50以下などとし得る。該脂肪族基は、骨格原子として、炭素原子のほか、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び珪素原子から選ばれる1個以上を含んでもよい。
で表される(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基は、好適な例も含めて、上記のRで表される(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基と同様である。また、Rで表される(ii)2価の脂肪族基は、その好適な例も含めて、上記のRで表される(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基と同様であるほか、炭素原子数1~4の2価の脂肪族基であってもよい。
(A)成分及び(B)成分との組み合わせにおいて、誘電特性、導体密着性、機械特性の何れにおいても優れる硬化物をもたらすことができる観点から、樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、4質量%以上又は5質量%以上である。該含有量の上限は、特に限定されず、樹脂組成物に要求される特性に応じて決定してよいが、例えば、50質量%以下、40質量%以下、35質量%以下又は30質量%以下などとし得る。
本発明の効果をより享受し得る観点から、樹脂組成物中の(A)成分と(B)成分の不揮発成分の合計を100質量%とした場合、(C)成分の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上、4質量%以上又は5質量%以上である。該含有量の上限は、特に限定されず、樹脂組成物に要求される特性に応じて決定してよいが、例えば、60質量%以下、55質量%以下又は50質量%以下などとし得る。
以下、(C)成分の合成手順の一例を示す。
一実施形態において、(C)成分は、
(c1)エチニル基又はエチニレン基を有する芳香族カルボン酸無水物と、
(c2)ジアミン化合物と
の反応物(イミド化物)である。
-(c1)エチニル基又はエチニレン基を有する芳香族カルボン酸無水物-
(c1)成分は、エチニル基又はエチニレン基を有する芳香族カルボン酸無水物である。該(c1)成分は、エチニル基又はエチニレン基を有する芳香族カルボン酸無水物であれば特に構造は限定されないが、好適な例として、下記一般式(c1)で表される芳香族カルボン酸無水物(以下、「芳香族カルボン酸無水物(c1)」ともいう。)が挙げられる。該芳香族カルボン酸無水物(c1)を用いることにより、上記の構造単位(C1)を有する(C)成分を合成することができる。
Figure 2023063949000011
(式中、R、環Ar及びnは先述のとおりである。)
芳香族カルボン酸無水物(c1)としては、目的とする(C)成分中の構造単位(C1)の構造を達成すべく、R、環Ar及びnを適宜決定してよい。例えば、斯かる芳香族カルボン酸無水物(c1)としては、Rがフェニル基、n1が0、環Arがベンゼン環である構造単位(C1)をもたらすものとして、4-フェニルエチニルフタル酸無水物(以下、「PEPA」ともいう。)が挙げられ、Rがメチル基、n1が0、環Arがベンゼン環である構造単位(C1)をもたらすものとして、4-メチルエチニルフタル酸無水物が挙げられ、Rが水素原子、n1が0、環Arがベンゼン環である構造単位(C1)をもたらすものとして、4-エチニルフタル酸無水物が挙げられ、Rがフェニル基、n1が1、環Arがベンゼン環である構造単位(C1)をもたらすものとして、フェニルエチニルトリメリット酸無水物(以下、「PETA」ともいう。)が挙げられる。これら各種芳香族カルボン酸無水物(c1)は、東京化成工業社、ネクザムケミカル社等の各供給メーカーから入手可能である。
-(c2)ジアミン化合物-
(c2)成分は、ジアミン化合物である。該(c2)成分は、分子鎖末端部に2つのアミノ基を有する限り特に構造は限定されないが、好適な例として、下記一般式(c2)で表されるジアミン化合物(以下、「ジアミン化合物(c2)」ともいう。)が挙げられる。該ジアミン化合物(c2)を用いることにより、上記の構造単位(C2)を有する(C)成分を合成することができる。
Figure 2023063949000012
(式中、R、R、R及びn2は先述のとおりである。)
(c2)成分としては、目的とする(C)成分中の構造単位(C2)の構造を達成すべく、R、R、R及びn2を適宜決定してよい。例えば、斯かるジアミン化合物(c2)としては、n2が0である構造単位(C2)をもたらすものとして、下記一般式(c2-1)で表されるジアミン化合物(以下、「ジアミン化合物(c2-1)」ともいう。)を用いればよい。
Figure 2023063949000013
(式中、Rは先述のとおりである。)
詳細には、Rが上記の2価の基(C2-2i)である構造単位(C2)を達成する場合、上記の2価の基(C2-2i)の両末端にアミノ基が結合した構造を有するジアミン化合物を用いればよい。例えば、n23が0、環Ar21がベンゼン環である構造単位(C2)をもたらすものとして、1,4-ベンゼンジアミン等の各種ベンゼンジアミンを用いればよく、n23が1、n21及びn22が0、環Ar21及び環Ar24がベンゼン環、L21が単結合である構造単位(C2)をもたらすものとして、4,4’-ビフェニルジアミン等の各種ビフェニルジアミンを用いればよく、n22及びn23が1、n21が2、環Ar21、環Ar22、環Ar23及び環Ar24がベンゼン環、L21及びL23が-O-、L22がジメチルメチレン基(炭素原子数3の分岐状アルキレン基)である構造単位(C2)をもたらすものとして、4,4’-[1,4-フェニレンビス[(1-メチルエチリデン)-4,1-フェニレンオキシ]]ビスベンゼンアミン(下記式で表される化合物;以下、「BPPAN」ともいう。)を用いればよい。
Figure 2023063949000014
が上記の2価の基(C2-2ii)である構造単位(C2)を達成する場合、上記の2価の基(C2-2ii)の両末端にアミノ基が結合した構造を有するジアミン化合物を用いればよい。例えば、n24が0、R23がアルキレン基である構造単位(C2)をもたらすものとして、1,6-ヘキサメチレンジアミン等の各種アルキレンジアミンを用いればよく、n24が1、R21及びR23が炭素原子数8のアルキレン基又はアルケニレン基、環R22が炭素原子数6~8のアルキル基及びアルケニル基からなる群から選択される置換基を有するシクロヘキサン環又はシクロヘキセン環である構造単位(C2)をもたらすものとして、ダイマージアミンを用いればよく、n24が1、R21及びR23の一方が単結合、他方がメチレン基、環R22が置換基としてメチル基を3個有するシクロヘキサン環である構造単位(C2)をもたらすものとして、イソホロンジアミン(以下、「IPDA」ともいう。)を用いればよい。
が上記の2価の基(C2-2iii)である構造単位(C2)を達成する場合、上記の2価の基(C2-2iii)の両末端にアミノ基が結合した構造を有するジアミン化合物を用いればよい。例えば、R24及びR25がアルキレン基、R26及びR27が炭素原子数1~3のアルキル基、n25が(C)成分の重量平均分子量が500~50000の範囲となるような数である構造単位(C2)をもたらすものとして、「KF-8010」、「X-22-161A」、「X-22-161B」、「KF-8012」、「KF-8008」(何れも信越シリコーン社製)等の各種アミノ変性シリコーン化合物を用いればよく、R24及びR25がアルキレン基、R26及びR27が、それぞれ独立に、炭素原子数1~3のアルキル基又はフェニル基、n25が(C)成分の重量平均分子量が500~50000の範囲となるような数である構造単位(C2)をもたらすものとして、「X-22-1660B-3」、「X-22-9409」(何れも信越シリコーン社製)等の各種アミノ変性シリコーン化合物を用いればよい。
また、例えば、n2が1~100の範囲にあるなど、n2が0でないジアミン化合物(c2)は、上記ジアミン化合物(c2-1)と、下記一般式(c2-2-1)で表される芳香族カルボン酸二無水物(以下、「芳香族カルボン酸二無水物(c2-2-1)」ともういう。)と、下記一般式(c2-2-2)で表されるジアミン化合物(以下、「ジアミン化合物(c2-2-2)」ともいう。)との反応物(イミド化物)を用いればよい。
Figure 2023063949000015
(式中、Rは先述のとおりである。)
Figure 2023063949000016
(式中、Rは先述のとおりである。)
芳香族カルボン酸二無水物(c2-2-1)について、Rが上記の4価の基(C2-3)である構造単位(C2)を達成する場合、上記の4価の基(C2-3)の両末端がカルボン酸無水物である構造を有する芳香族カルボン酸二無水物を用いればよい。例えば、n33が0、環Ar31がベンゼン環である構造単位(C2)をもたらすものとして、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸二無水物等の各種ベンゼンテトラカルボン酸二無水物を用いればよく、n33が1、n31及びn32が0、環Ar31及び環Ar34がベンゼン環、L31が単結合である構造単位(C2)をもたらすものとして、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等の各種ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を用いればよく、n31、n32及びn33が1、環Ar31、環Ar32、環Ar33及び環Ar34がベンゼン環、L31及びL33が-O-、L32がジメチルメチレン基(炭素原子数3の分岐状アルキレン基)である構造単位(C2)をもたらすものとして、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(下記式で表される化合物;以下、「BPADA」ともいう。)を用いればよい。
Figure 2023063949000017
ジアミン化合物(c2-1)は先述のとおりである。n2が0でない構造単位(C2)を達成する場合、先述のとおり、Rは、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、又は、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基を表すことが好ましく、ジアミン化合物(c2-1)としては、上記の2価の基(C2-2i)の両末端にアミノ基が結合した構造を有するジアミン化合物、又は、上記の2価の基(C2-2ii)の両末端にアミノ基が結合した構造を有するジアミン化合物を好ましく用いることができる。ジアミン化合物(c2-2-2)も同様である。
なお、目的とする(C)成分中の構造単位(C2)において、RとRが同一の構造を有する場合には、ジアミン化合物(c2-1)とジアミン化合物(c2-2-2)とは同一物であってよい。斯かる場合、ジアミン化合物(c2)は、ジアミン化合物(c2-1)と、芳香族カルボン酸二無水物(c2-2-1)との反応物(イミド化物)であってよい。
構造単位(C1)及び構造単位(C2)に加えて、他の構造単位、例えば、上記の構造単位(C3)を含む(C)成分を合成する場合、上記の一般式(c2-2-1)で表される芳香族カルボン酸二無水物に加えて、式中のRがRに置き換わった脂肪族カルボン酸二無水物を配合すればよい。例えば、1,1,6,6-ヘキサンテトラカルボン酸二無水物等の各種アルカンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等の各種シクロアルカンテトラカルボン酸二無水物を用いればよい。
n2が0である構造単位(C2)を含む(C)成分を合成する場合、芳香族カルボン酸無水物(c1)と、ジアミン化合物(c2-1)とを反応させればよい。n2が1~100の範囲の数であるなど、n2が0でない構造単位(C2)を含む(C)成分を合成する場合、ジアミン化合物(c2-1)、芳香族カルボン酸二無水物(c2-2-1)、及びジアミン化合物(c2-2-2)を反応させてジアミン化合物(c2)を合成した後、得られたジアミン化合物(c2)と芳香族カルボン酸無水物(c1)とを反応させてもよく、芳香族カルボン酸無水物(c1)、ジアミン化合物(c2-1)、芳香族カルボン酸二無水物(c2-2-1)、及びジアミン化合物(c2-2-2)を混合した後、反応させてもよい。斯かる反応において、各成分の量比等の条件を変更することにより、イミド化(脱水環化)の進行度合を調整することができ、得られる(C)成分の構造(構造単位(C2)中のn2)を調整することができる。なお、斯かる反応は、所期の(C)成分の構造が実現される限りにおいて特に限定されず、イミド化反応として従来公知のプロセス、条件を採用して実施してよい。
<(D)無機充填材>
本発明の樹脂組成物は、(D)成分として、さらに無機充填材を含んでもよい。(D)成分を含有させることにより、線熱膨張率や誘電正接をさらに低下させることができる。
(D)成分の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(D)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分の市販品としては、例えば、電化化学工業社製の「UFP-30」;日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;デンカ社製の「UFP-30」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「DAW-03」、「FB-105FD」;太平洋セメント社製の「MGH-005」;日揮触媒化成社製の「BA-S」などが挙げられる。
(D)成分の平均粒径は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、2μm以下、1μm以下又は0.7μm以下である。該平均粒径の下限は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.07μm以上、0.1μm以上又は0.2μm以上である。(D)成分の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出した。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(D)成分の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1m/g以上、より好ましくは0.5m/g以上、さらに好ましくは1m/g以上、3m/g以上又は5m/g以上である。該比表面積の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは100m/g以下、より好ましくは80m/g以下、さらに好ましくは60m/g以下、50m/g以下又は40m/g以下である。(D)成分の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
(D)成分は、空孔率0体積%の非中空無機充填材(好ましくは非中空シリカ)であっても、空孔率0体積%超の中空無機充填材(好ましくは中空シリカ)であってもよく、両方を含んでいてもよい。(D)成分は、非中空無機充填材(好ましくは非中空シリカ)のみを含んでもよく、中空無機充填材(好ましくは中空シリカ)のみを含んでもよく、非中空無機充填材(好ましくは非中空シリカ)と中空無機充填材(好ましくは中空シリカ)を組み合わせて含んでもよい。(D)成分が中空無機充填材を含む場合、誘電率をより低く抑えていっそう良好な誘電特性を呈する硬化物をもたらす樹脂組成物を実現し易いため好適である。中空無機充填材の空孔率は、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上、さらに好ましくは20体積%以上であり、その上限は、好ましくは90体積%以下、より好ましくは85体積%以下、さらに好ましくは80体積%以下、75体積%以下、70体積%以下、65体積%以下、60体積%以下、55体積%以下又は50体積%以下である。無機充填材の空孔率P(体積%)は、粒子の外面を基準とした粒子全体の体積に対する粒子内部に1個又は2個以上存在する空孔の合計体積の体積基準割合(空孔の合計体積/粒子の体積)として定義され、例えば、無機充填材の実際の密度の測定値D(g/cm)、及び無機充填材を形成する材料の物質密度の理論値D(g/cm)を用いて、下記式(1)により算出される。
Figure 2023063949000018
無機充填材の実際の密度は、例えば、真密度測定装置を用いて測定することができる。真密度測定装置としては、例えば、QUANTACHROME社製のULTRAPYCNOMETER1000等が挙げられる。測定ガスとしては、例えば、窒素を使用する。
(D)成分は、適切な表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。表面処理されることにより、(D)成分の耐湿性及び分散性を高めることができる。表面処理剤としては、例えば、ビニル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、スチリル系シランカップリング剤、(メタ)アクリル系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、イソシアヌレート系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤、酸無水物系シランカップリング剤等のシランカップリング剤;メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等の非シランカップリング-アルコキシシラン化合物;シラザン化合物等が挙げられる。表面処理剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、好ましくは0.2~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下がさらに好ましい。(D)成分の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
本発明の樹脂組成物が(D)成分を含む場合、樹脂組成物中の(D)成分の含有量は、樹脂組成物に要求される特性に応じて決定してよいが、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、例えば、40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは65質量%以上又は70質量%以上である。無機充填材の含有量の上限は、特に限定されないが、例えば90質量%以下、80質量%以下などとし得る。
<(E)有機充填材>
本発明の樹脂組成物は、(E)成分として、さらに有機充填材を含んでもよい。
有機充填材としては、プリント配線板や半導体チップパッケージやなどの電子部品の絶縁材料を形成するに際し使用し得る任意の有機充填材を使用してよく、例えば、ゴム粒子、ポリアミド微粒子、シリコーン粒子などが挙げられる。
ゴム粒子としては、ゴム弾性を示す樹脂に化学的架橋処理を施し、有機溶剤に不溶かつ不融とした樹脂の微粒子体である限り特に限定されず、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子などが挙げられる。ゴム粒子としては、具体的には、XER-91(日本合成ゴム社製)、スタフィロイドAC3355、AC3816、AC3816N、AC3832、AC4030、AC3364、IM101(以上、アイカ工業社製)、パラロイドEXL2655、EXL2602(以上、ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。
(E)成分の平均粒子径は、好ましくは0.005μm~1μmの範囲であり、より好ましくは0.2μm~0.6μmの範囲である。(E)成分の平均粒子径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤に有機充填材を超音波などにより均一に分散させ、濃厚系粒径アナライザー(大塚電子(株)製「FPAR-1000」)を用いて、有機充填材の粒度分布を質量基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。
本発明の樹脂組成物が(E)成分を含む場合、樹脂組成物中の(E)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.5質量%、より好ましくは1質量%以上、1.5質量%以上又は2質量%以上であり、その上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、6質量%以下又は5質量%以下である。
<(F)硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、(F)成分として、さらに硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤を含むことにより、硬化時間及び硬化温度を効率的に調整することができる。
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、過酸化物系硬化促進剤等が挙げられる。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物が(F)成分を含む場合、樹脂組成物中の(F)成分の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、0.7質量%以下又は0.6質量%以下である。
<任意の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに任意の添加剤を含んでもよい。このような添加剤としては、例えば、ラジカル重合性不飽和基として、マレイミド基、ビニル基、アリル基、スチリル基、ビニルフェニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フマロイル基、及びマレオイル基から選ばれる1種以上を有するラジカル重合性樹脂;過酸化物系ラジカル重合開始剤、アゾ系ラジカル重合開始剤等のラジカル重合開始剤;フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン系難燃剤(例えばリン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスフィン酸化合物、赤リン)、窒素系難燃剤(例えば硫酸メラミン)、ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤(例えば三酸化アンチモン)等の難燃剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤等が挙げられる。斯かる添加剤の含有量は、樹脂組成物に要求される特性に応じて決定してよい。
<有機溶媒>
本発明の樹脂組成物は、揮発性成分として、さらに有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶媒;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶媒;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、例えば、任意の調製容器に(A)成分、(B)成分、(C)成分、また、必要に応じて(D)成分、(E)成分、(F)成分、その他の添加剤や有機溶剤を、任意の順で及び/又は一部若しくは全部同時に加えて混合することによって、製造することができる。また、各成分を加えて混合する過程で、温度を適宜設定することができ、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、加えて混合する過程において又はその後に、樹脂組成物を、例えば、ミキサーなどの撹拌装置又は振盪装置を用いて撹拌又は振盪し、均一に分散させてもよい。また、撹拌又は振盪と同時に、真空下等の低圧条件下で脱泡を行ってもよい。
先述のとおり、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を組み合わせて含む本発明の樹脂組成物は、誘電正接が低く、高温高湿環境への曝露後であっても良好な導体密着性を呈し、良好な機械特性を呈する硬化物をもたらすことができる。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物の硬化物は、誘電正接(Df)が低いという特徴を呈する。例えば、後述する[誘電特性]欄に記載のように5.8GHz、23℃で測定した場合、本発明の樹脂組成物の硬化物の誘電正接(Df)は、好ましくは0.01以下、0.008以下、0.006以下、0.005以下、0.004以下、0.003以下又は0.0025以下となり得る。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物の硬化物は、導体密着性が高いという特徴を呈する。例えば、後述する[導体箔との密着性]欄に記載のように130℃、85%RHの高温高湿条件に100時間曝露させた場合、高温高湿条件曝露前の導体箔との密着強度をS1(kgf/cm)、高温高湿条件曝露後の導体箔との密着強度をS2(kgf/cm)としたとき、S1とS2の差分(S1-S2)は、好ましくは0.35kgf/cm以下、0.34kgf/cm以下、0.32kgf/cm以下、0.3kgf/cm以下、0.28kgf/cm以下、0.26kgf/cm以下又は0.25kgf/cm以下、である。また、S2の値は、好ましくは0.3kgf/cm以上、0.32kgf/cm以上、0.34kgf/cm以上、0.35kgf/cm以上、0.36kgf/cm以上、0.38kgf/cm以上又は0.4kgf/cm以上である。
一実施形態において、本発明の樹脂組成物の硬化物は、機械特性(破断点伸度)に優れるという特徴を呈する。例えば、後述する[破断点伸度]欄に記載のようにJIS K7127に準拠して引張試験を行った場合、本発明の樹脂組成物の硬化物の破断点伸度は、好ましくは1.5%以上、1.6%以上、1.8%以上又は2%以上となり得る。
先述のとおり、本発明の樹脂組成物は、誘電正接が低く、高温高湿環境への曝露後であっても良好な導体密着性を呈し、良好な機械特性を呈する硬化物をもたらす。したがって本発明の樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層用樹脂組成物)として好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶層間縁層用樹脂組成物)としてより好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物は、プリント配線板が部品内蔵回路板である場合にも好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物はまた、半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体封止用の樹脂組成物)として好適に使用することができ、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層用の樹脂組成物(再配線形成層用の樹脂組成物)としても好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物はさらに、樹脂シート、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が必要とされる用途で広範囲に使用できる。
[シート状積層材料(樹脂シート、プリプレグ)]
本発明の樹脂組成物は、そのまま使用することもできるが、該樹脂組成物を含有するシート状積層材料の形態で用いてもよい。
シート状積層材料としては、以下に示す樹脂シート、プリプレグが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物の層(以下、単に「樹脂組成物層」という。)とを含み、樹脂組成物層が本発明の樹脂組成物から形成されることを特徴とする。
樹脂組成物層の厚さは、用途によって好適値は異なり、用途に応じて適宜決定してよい。例えば、樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板や半導体チップパッケージの薄型化の観点から、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、120μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下又は50μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上などとし得る。
支持体としては、例えば、熱可塑性樹脂フィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、熱可塑性樹脂フィルム、金属箔が好ましい。したがって好適な一実施形態において、支持体は、熱可塑性樹脂フィルム又は金属箔である。
支持体として熱可塑性樹脂フィルムを使用する場合、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
支持体として金属箔を用いる場合、薄い金属箔に剥離が可能な支持基材を張り合わせた支持基材付き金属箔を用いてよい。一実施形態において、支持基材付き金属箔は、支持基材と、該支持基材上に設けられた剥離層と、該剥離層上に設けられた金属箔とを含む。支持体として支持基材付き金属箔を用いる場合、樹脂組成物層は、金属箔上に設けられる。
支持基材付き金属箔において、支持基材の材質は、特に限定されないが、例えば、銅箔、アルミニウム箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、銅合金箔等が挙げられる。支持基材として、銅箔を用いる場合、電解銅箔、圧延銅箔であってよい。また、剥離層は、支持基材から金属箔を剥離できれば特に限定されず、例えば、Cr、Ni、Co、Fe、Mo、Ti、W、Pからなる群から選択される元素の合金層;有機被膜等が挙げられる。
支持基材付き金属箔において、金属箔の材質としては、例えば、銅箔、銅合金箔が好ましい。
支持基材付き金属箔において、支持基材の厚さは、特に限定されないが、10μm~150μmの範囲が好ましく、10μm~100μmの範囲がより好ましい。また、金属箔の厚さは、例えば、0.1μm~10μmの範囲としてよい。
一実施形態において、樹脂シートは、必要に応じて、任意の層をさらに含んでいてもよい。斯かる任意の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
樹脂シートは、例えば、液状の樹脂組成物をそのまま、或いは有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、これを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、樹脂組成物の成分として説明した有機溶剤と同様のものが挙げられる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物又は樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂組成物又は樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
一実施形態において、プリプレグは、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成される。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。プリント配線板や半導体チップパッケージの薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されない。通常、10μm以上である。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、上述の樹脂シートにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
本発明のシート状積層材料は、プリント配線板の絶縁層を形成するため(プリント配線板の絶縁層用)に好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するため(プリント配線板の絶層間縁層用)により好適に使用することができる。本発明のシート状積層材料はまた、半導体チップを封止するため(半導体封止用)に好適に使用することができ、再配線層を形成するための絶縁層としての再配線形成層用に好適に使用することができる。
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を含む。
プリント配線板は、例えば、上記の樹脂シートを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、樹脂シートを、樹脂シートの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程
(II)樹脂組成物層を硬化(例えば熱硬化)して絶縁層を形成する工程
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
内層基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスしてもよく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスしてもよい。
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施され得る。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。なお、支持体として、金属箔を使用した場合、支持体を剥離することなく、該金属箔を用いて導体層を形成してよい。また、支持体として、支持基材付き金属箔を使用した場合、支持基材(と剥離層)を剥離すればよい。そして、金属箔を用いて導体層を形成することができる。
工程(II)において、樹脂組成物層を硬化(例えば熱硬化)して、樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を形成する。樹脂組成物層の硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、一実施形態において、硬化温度は好ましくは140℃~250℃、より好ましくは150℃~240℃、さらに好ましくは180℃~230℃である。硬化時間は好ましくは5分間~240分間、より好ましくは10分間~150分間、さらに好ましくは15分間~120分間とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃~140℃、好ましくは60℃~135℃、より好ましくは70℃~130℃の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
プリント配線板を製造するに際しては、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層を粗化処理する工程、(V)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(III)乃至工程(V)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間に実施してよい。また、必要に応じて、工程(I)~工程(V)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述のプリプレグを用いて製造することができる。製造方法は基本的に樹脂シートを用いる場合と同様である。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(IV)において、スミアの除去(デスミア)も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。
中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
工程(V)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
他の実施形態において、導体層は、金属箔を使用して形成してよい。金属箔を使用して導体層を形成する場合、工程(V)は、工程(I)と工程(II)の間に実施することが好適である。例えば、工程(I)の後、支持体を除去し、露出した樹脂組成物層の表面に金属箔を積層する。樹脂組成物層と金属箔との積層は、真空ラミネート法により実施してよい。積層の条件は、工程(I)について説明した条件と同様としてよい。次いで、工程(II)を実施して絶縁層を形成する。その後、絶縁層上の金属箔を利用して、サブトラクティブ法、モディファイドセミアディティブ法等の従来の公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
金属箔は、例えば、電解法、圧延法等の公知の方法により製造することができる。金属箔の市販品としては、例えば、JX日鉱日石金属社製のHLP箔、JXUT-III箔、三井金属鉱山社製の3EC-III箔、TP-III箔等が挙げられる。
あるいは、樹脂シートの支持体として、金属箔や、支持基材付き金属箔を使用した場合、該金属箔を用いて導体層を形成してよいことは先述のとおりである。
[半導体チップパッケージ]
本発明の半導体チップパッケージは、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる封止層を含む。本発明の半導体チップパッケージはまた、先述のとおり、本発明の樹脂組成物の硬化物からなる、再配線層を形成するための絶縁層(再配線形成層)を含んでもよい。
半導体チップパッケージは、例えば、本発明の樹脂組成物、樹脂シートを用いて、下記(1)乃至(6)の工程を含む方法により製造することができる。工程(3)の封止層あるいは工程(5)の再配線形成層を形成するために、本発明の樹脂組成物、樹脂シートを用いればよい。以下、樹脂組成物や樹脂シートを用いて封止層や再配線形成層を形成する一例を示すが、半導体チップパッケージの封止層や再配線形成層を形成する技術は公知であり、当業者であれば、本発明の樹脂組成物や樹脂シートを用いて、公知の技術に従って半導体パッケージを製造することができる。
(1)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(2)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(3)半導体チップ上に封止層を形成する工程、
(4)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(5)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に、絶縁層としての再配線形成層を形成する工程、及び
(6)再配線形成層上に、導体層としての再配線層を形成する工程
-工程(1)-
基材に使用する材料は特に限定されない。基材としては、シリコンウェハ;ガラスウェハ;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板(例えばFR-4基板);ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)からなる基板などが挙げられる。
仮固定フィルムは、工程(4)において半導体チップから剥離することができると共に、半導体チップを仮固定することができれば材料は特に限定されない。仮固定フィルムは市販品を用いることができる。市販品としては、日東電工社製のリヴァアルファ等が挙げられる。
-工程(2)-
半導体チップの仮固定は、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の公知の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体パッケージの生産数等に応じて適宜設定することができ、例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に整列させて仮固定することができる。
-工程(3)-
本発明の樹脂シートの樹脂組成物層を、半導体チップ上に積層、又は本発明の樹脂組成物を半導体チップ上に塗布し、硬化(例えば熱硬化)させて封止層を形成する。
例えば、半導体チップと樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去した後支持体側から樹脂シートを半導体チップに加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを半導体チップに加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、半導体チップの表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。半導体チップと樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してもよく、その積層条件は、プリント配線板の製造方法に関連して説明した積層条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
積層の後、樹脂組成物を熱硬化させて封止層を形成する。熱硬化の条件は、プリント配線板の製造方法に関連して説明した熱硬化の条件と同様である。
樹脂シートの支持体は、半導体チップ上に樹脂シートを積層し熱硬化した後に剥離してもよく、半導体チップ上に樹脂シートを積層する前に支持体を剥離してもよい。
本発明の樹脂組成物を塗布して封止層を形成する場合、その塗布条件としては、本発明の樹脂シートに関連して説明した樹脂組成物層を形成する際の塗布条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
-工程(4)-
基材及び仮固定フィルムを剥離する方法は、仮固定フィルムの材質等に応じて適宜変更することができ、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法、及び基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法等が挙げられる。
仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100~250℃で1~90秒間又は5~15分間である。また、基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm~1000mJ/cmである。
-工程(5)-
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料は、再配線形成層(絶縁層)形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。本発明の樹脂組成物、樹脂シートを用いて再配線形成層を形成してもよい。
再配線形成層を形成後、半導体チップと後述する導体層を層間接続するために、再配線形成層にビアホールを形成してもよい。ビアホールは、再配線形成層の材料に応じて、公知の方法により形成してよい。
-工程(6)-
再配線形成層上への導体層の形成は、プリント配線板の製造方法に関連して説明した工程(V)と同様に実施してよい。なお、工程(5)及び工程(6)を繰り返し行い、導体層(再配線層)及び再配線形成層(絶縁層)を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
半導体チップパッケージを製造するにあたって、(7)導体層(再配線層)上にソルダーレジスト層を形成する工程、(8)バンプを形成する工程、(9)複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程をさらに実施してもよい。これらの工程は、半導体チップパッケージの製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。
優れた誘電特性を呈する硬化物をもたらす本発明の樹脂組成物、樹脂シートを用いて封止層、再配線形成層を形成することにより、半導体パッケージが、ファンイン(Fan-In)型パッケージであるかファンアウト(Fan-Out)型パッケージであるかの別を問わず、伝送損失の極めて少ない半導体チップパッケージを実現することができる。一実施形態において、本発明の半導体チップパッケージは、ファンアウト(Fan-Out)型パッケージである。本発明の樹脂組成物、樹脂シートは、ファンアウト型パネルレベルパッケージ(FOPLP)、ファンアウト型ウェハレベルパッケージ(FOWLP)の別を問わず、適用できる。一実施形態において、本発明の半導体パッケージは、ファンアウト型パネルレベルパッケージ(FOPLP)である。他の一実施形態において、本発明の半導体パッケージは、ファンアウト型ウェハレベルパッケージ(FOWLP)である。
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、本発明の樹脂組成物層の硬化物からなる層を含む。本発明の半導体装置は、本発明のプリント配線板又は半導体チップパッケージを用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<合成例1.エチニル基含有樹脂1の調製>
溶媒としてのN,N-ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」ともいう。)400g中に、BPADA46.5g、BPPAN50.4g、PEPA2.9g、溶媒としてのトルエン40gを混合することで得られるモノマー組成物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。
引き続き、ポリアミド酸の溶液を昇温した後、約160℃に保持しながら、窒素気流下で縮合水をトルエンとともに共沸除去した。水分定量受器に所定量の水がたまっていること、及び、水の流出が見られなくなっていることを確認した。確認後、反応溶液を更に昇温し、200℃で1時間攪拌した。その後、冷却した。これにより、下記式で表される構造を有するエチニル基含有樹脂1を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。エチニル基含有樹脂1の重量平均分子量(Mw;ポリスチレン換算)は約17000であった。
Figure 2023063949000019
<合成例2.エチニル基含有樹脂2の調製>
溶媒としてのDMAc400g中に、BPADA46.5g、BPPAN50.4g、PETA3.2g、溶媒としてのトルエン40gを混合することで得られるモノマー組成物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。
得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして脱水環化(イミド化)することにより、下記式で表される構造を有するエチニル基含有樹脂2を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。エチニル基含有樹脂2の重量平均分子量(Mw;ポリスチレン換算)は約19000であった。
Figure 2023063949000020
<合成例3.エチニル基含有樹脂3の調製>
溶媒としてのDMAc400g中に、BPADA46.5g、BPPAN37.8g、ダイマージアミン(クローダジャパン社製「PRIAMINE 1075」)12.8g、PEPA2.9g、溶媒としてのトルエン40gを混合することで得られるモノマー組成物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。
得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして脱水環化(イミド化)することにより、下記式で表される構造を有するエチニル基含有樹脂3を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。エチニル基含有樹脂3の重量平均分子量(Mw;ポリスチレン換算)は約16000であった。
Figure 2023063949000021
<合成例4.エチニル基含有樹脂4の調製>
溶媒としてのDMAc400g中に、BPADA46.5g、BPPAN37.8g、IPDA4.1g、PETA3.2g、溶媒としてのトルエン40gを混合することで得られるモノマー組成物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。
得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして脱水環化(イミド化)することにより、下記式で表される構造を有するエチニル基含有樹脂4を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。エチニル基含有樹脂4の重量平均分子量(Mw;ポリスチレン換算)は約15000であった。
Figure 2023063949000022
<合成例5.エチニル基含有樹脂5の調製>
溶媒としてのDMAc250g中に、ダイマージアミン(クローダジャパン社製「PRIAMINE 1075」)30.0g、PEPA27.0g、溶媒としてのトルエン150gを混合することで得られるモノマー組成物を、常温、大気圧中で5時間撹拌、反応させた。
引き続き、p-トルエンスルホン酸一水和物10.0gを加え、反応液を加熱し還流下で共沸してくる水とトルエンを冷却・分離した後、トルエンだけを系内に戻して脱水反応を10時間行った。室温まで空冷後、減圧濃縮し、褐色溶液を酢酸エチル200gに溶解させイオン交換水50gで3回、2%炭酸水素ナトリウム水溶液50gで3回洗浄した。その後、硫酸ナトリウムを加え乾燥させた後、減圧濃縮し得られた反応物を80℃で12時間真空乾燥を行い、下記式で表される構造を有するエチニル基含有樹脂5を得た。
Figure 2023063949000023
<合成例6.エチニル基含有樹脂6の調製>
溶媒としてのDMAc400g中に、変性シリコーンオイル(信越シリコーン社製「X-22-1660B-3」)60.0g、PETA7.5g、溶媒としてのトルエン40gを混合することで得られるモノマー組成物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。
得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして脱水環化(イミド化)することにより、下記式で表される構造を有するエチニル基含有樹脂6(式中、Rは炭素原子数1~6のアルキレン基を表す。)を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。
Figure 2023063949000024
<合成例7.エチニル基非含有樹脂7の調製>
溶媒としてのDMAc400g中に、BPADA49.6g、BPPAN50.4g、溶媒としてのトルエン40gを混合することで得られるモノマー組成物を、常温、大気圧中で3時間撹拌、反応させた。これにより、ポリアミド酸の溶液を得た。
得られたポリアミド酸の溶液を用いて、合成例1と同様にして脱水環化(イミド化)することにより、下記式で表される構造を有するエチニル基非含有樹脂7を不揮発成分として20質量%含むワニスを得た。エチニル基非含有樹脂7の重量平均分子量(Mw;ポリスチレン換算)は約20000であった。
Figure 2023063949000025
[実施例1.樹脂組成物1の調製]
液状エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ZX1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂との1:1混合品(質量比)、エポキシ当量:169g/eq)5部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000H」、エポキシ当量約290g/eq)15部をトルエン20部、MEK20部に撹拌しながら加熱溶解させた。得られた溶液を室温にまで冷却した後、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量223g/eq、固形分65質量%のトルエン溶液)40部、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、水酸基当量約151g/eq、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)4部、合成例1にて合成したエチニル基含有樹脂1(固形分20質量%溶液)20部、有機充填材(ダウ・ケミカル社製「パラロイド EXL2655」)2部、硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ」、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、固形分10%のMEK溶液)3部、無機充填材(アミン系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm))150部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して樹脂組成物1を得た。
[実施例2.樹脂組成物2の調製]
活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量223、固形分65質量%のトルエン溶液)40部に代えて、活性エステル系硬化剤(エア・ウォーター社製「PC1300-02-65MA」、活性基当量199、固形分65質量%のメチルアミルケトン溶液)40部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物2を得た。
[実施例3.樹脂組成物3の調製]
エチニル基含有樹脂1(固形分20質量%溶液)20部に代えて、合成例2にて合成したエチニル基含有樹脂2(固形分20質量%溶液)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物3を得た。
[実施例4.樹脂組成物4の調製]
エチニル基含有樹脂1(固形分20質量%溶液)20部に代えて、合成例2にて合成したエチニル基含有樹脂2(固形分20質量%溶液)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物4を得た。
[実施例5.樹脂組成物5の調製]
エチニル基含有樹脂1(固形分20質量%溶液)20部に代えて、合成例3にて合成したエチニル基含有樹脂3(固形分20質量%溶液)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物5を得た。
[実施例6.樹脂組成物6の調製]
エチニル基含有樹脂1(固形分20質量%溶液)20部に代えて、合成例4にて合成したエチニル基含有樹脂4(固形分20質量%溶液)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物6を得た。
[実施例7.樹脂組成物7の調製]
エチニル基含有樹脂1(固形分20質量%溶液)20部に代えて、合成例5にて合成したエチニル基含有樹脂5(固形分50質量%のトルエン溶液)8部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物7を得た。
[実施例8.樹脂組成物8の調製]
エチニル基含有樹脂1(固形分20質量%溶液)20部に代えて、合成例6にて合成したエチニル基含有樹脂6(固形分20質量%溶液)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物8を得た。
[実施例9.樹脂組成物9の調製]
(i)無機充填材(アミン系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm))の配合量を150部から115部に変更した点、(ii)中空アルミノシリケート粒子(太平洋セメント社製「MGH-005」、平均粒径1.6μm、空孔率80体積%)28部を添加した点以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物9を得た。
[実施例10.樹脂組成物10の調製]
(i)無機充填材(アミン系シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm))の配合量を150部から115部に変更した点、(ii)中空シリカ粒子(日揮触媒化成社製「BA-S」、平均粒径2.6μm、空孔率25体積%)6.5部を添加した点以外は、実施例3と同様にして樹脂組成物10を得た。
[比較例1.比較用樹脂組成物の調製]
エチニル基含有樹脂1(固形分20質量%溶液)20部に代えて、合成例7にて合成したエチニル基非含有樹脂(固形分20質量%溶液)20部を使用した以外は、実施例1と同様にして比較用樹脂組成物を得た。
[樹脂シートの作製]
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL-5」)で離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃)を用意した。
樹脂組成物1~10、比較用樹脂組成物をそれぞれ支持体上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが30μmとなるよう、ダイコーターにて均一に塗布し、70℃から95℃で3分間乾燥することにより、支持体上に樹脂組成物層を形成した。次いで、樹脂組成物層の支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製「アルファンMA-411」、厚み15μm)の粗面を貼り合わせた。これにより、支持体、樹脂組成物層、及び保護フィルムをこの順に有する樹脂シートAを得た。
[メッキ導体層との密着性]
(1)内層基板の用意
内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行った。
(2)樹脂シートのラミネート
樹脂シートAから保護フィルムを剥がして、樹脂組成物層を露出させた。バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が内層基板と接するように、内層基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、120℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。
(3)樹脂組成物層の熱硬化
その後、樹脂シートがラミネートされた内層基板を、130℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで180℃のオーブンに移し替えて30分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させて、絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層、内層基板及び絶縁層をこの順に有する硬化基板Aを得た。
(4)粗化処理
硬化基板Aに、粗化処理としてのデスミア処理を行った。デスミア処理としては、下記の湿式デスミア処理を実施した。
(湿式デスミア処理)
硬化基板Aを、膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリング・ディップ・セキュリガントP」、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で5分間浸漬し、次いで、酸化剤溶液(アトテックジャパン社製「コンセントレート・コンパクトCP」、過マンガン酸カリウム濃度約6%、水酸化ナトリウム濃度約4%の水溶液)に80℃で15分間浸漬し、次いで、中和液(アトテックジャパン社製「リダクションソリューション・セキュリガントP」、硫酸水溶液)に40℃で5分間浸漬した後、80℃で15分間乾燥した。
(5)導体層の形成
セミアディティブ法に従って、絶縁層の粗化面に導体層を形成した。すなわち、粗化処理後の基板を、PdClを含む無電解メッキ液に40℃で5分間浸漬した後、無電解銅メッキ液に25℃で20分間浸漬した。次いで、150℃にて30分間加熱してアニール処理を行った後に、エッチングレジストを形成し、エッチングによりパターン形成した。その後、硫酸銅電解メッキを行い、厚さ30μmの導体層を形成し、アニール処理を200℃にて60分間行った。得られた基板を「評価基板B」と称する。
(6)メッキ導体層との密着性の評価
絶縁層とメッキ導体層のピール強度の測定は、日本工業規格(JIS C6481)に準拠して行った。具体的には、評価基板Bの導体層に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、この一端を剥がしてつかみ具で掴み、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重(kgf/cm)を測定し、剥離強度を求めた。測定には、引っ張り試験機(TSE社製「AC-50C-SL」)を使用した。
[誘電特性]
実施例及び比較例で作製した樹脂シートAから保護フィルムを剥がして、200℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた後、支持体を剥離した。得られた硬化物を「評価用硬化物C」と称する。評価用硬化物Cを、幅2mm、長さ80mmの試験片に切断した。該試験片について、アジレントテクノロジーズ社製「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電正接を測定した。3本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。
[破断点伸度]
評価用硬化物Cについて、日本工業規格(JIS K7127)に準拠して、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製「RTC-1250A」)により引っ張り試験を行い、破断点伸度を測定した。
[導体箔との密着性]
(1)銅箔の下地処理
三井金属鉱山社製「3EC-III」(電界銅箔、35μm)の光沢面をメック社製メックエッチボンド「CZ-8101」に浸漬して銅表面に粗化処理(Ra値=1μm)を行い、防錆処理(CL8300)を施した。この銅箔をCZ銅箔という。さらに、130℃のオーブンで30分間加熱処理した。
(2)銅箔のラミネートと絶縁層形成
実施例及び比較例で作製した各樹脂シートAから保護フィルムを剥がし、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機社製「MVLP-500」)を用いて、樹脂組成物層が内層回路を形成したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)と接合するように、前記の積層板の両面にラミネート処理した。ラミネート処理は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaで30秒間圧着することにより行った。ラミネート処理された樹脂シートから支持体である離型PETを剥離した。その樹脂組成物層上に、CZ銅箔の処理面を、上記と同様の条件で、ラミネートした。そして、200℃、90分の硬化条件で樹脂組成物層を硬化して絶縁層を形成することで、サンプルを作製した。
(3)導体箔との密着性の評価
-高温高湿環境試験(HAST)前の導体箔との密着性(S1)の測定-
作製したサンプルを150×30mmの小片に切断した。小片の銅箔部分に、カッターを用いて幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれて、銅箔の一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製、オートコム型試験機、「AC-50C-SL」)で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重をJIS C6481に準拠して測定した。
-高温高湿環境試験(HAST)後の導体箔との密着性(S2)の測定-
作製したサンプルを、高度加速寿命試験装置(楠本化成社製「PM422」)を用いて、130℃、85%RHの条件で100時間の高温高湿環境試験を実施した。その後、密着性S1の測定と同様に、銅箔の一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製、オートコム型試験機、「AC-50C-SL」)で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重をJIS C6481に準拠して測定した。
実施例1~10及び比較例1の結果を表1に示す。
Figure 2023063949000026

Claims (16)

  1. (A)熱硬化性樹脂、(B)硬化剤、及び、(C)エチニル基又はエチニレン基を有する樹脂を含む樹脂組成物。
  2. (C)成分が、分子端部にエチニル基又はエチニレン基を有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (C)成分の分子端部が、下記一般式(C1)で表される構造単位である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
    Figure 2023063949000027
    (式中、
    は、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、又は、置換基を有していてもよいアルキル基を表し、
    環Arは、置換基を有していてもよい芳香環を表し、
    n1は、0又は1を表し、
    *は、結合手を表す。)
  4. (C)成分が、下記一般式(C2)で表される構造単位を有する、請求項1~3の何れか1項に記載の樹脂組成物。
    Figure 2023063949000028
    (式中、
    は、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基、又は、(iii)シロキサン骨格を有する2価の基を表し、
    は、それぞれ独立に、1つ以上の芳香環を含有する4価の有機基を表し、
    は、それぞれ独立に、(i)1つ以上の芳香環を含有する2価の有機基、又は、(ii)炭素原子数5以上の2価の脂肪族基を表し、
    n2は、0以上の数を表す。)
  5. (C)成分の重量平均分子量が500~50000の範囲である、請求項1~4の何れか1項に記載の樹脂組成物。
  6. (C)成分の含有量が、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、1質量%以上である、請求項1~5の何れか1項に記載の樹脂組成物。
  7. さらに(D)無機充填材を含む、請求項1~6の何れか1項に記載の樹脂組成物。
  8. (D)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上である、請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. プリント配線板の絶縁層用である、請求項1~8の何れか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 半導体封止用である、請求項1~8の何れか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 支持体と、該支持体上に設けられた請求項1~10の何れか1項に記載の樹脂組成物の層とを含む、樹脂シート。
  12. 支持体が、熱可塑性樹脂フィルム又は金属箔である、請求項11に記載の樹脂シート。
  13. 請求項1~10の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
  14. 請求項1~9の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を含む、プリント配線板。
  15. 請求項1~8、10の何れか1項に記載の樹脂組成物の硬化物からなる封止層を含む、半導体チップパッケージ。
  16. 請求項14に記載のプリント配線板又は請求項15に記載の半導体チップパッケージを含む、半導体装置。
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JP6205692B2 (ja) 2012-09-03 2017-10-04 味の素株式会社 熱硬化性エポキシ樹脂組成物、絶縁層形成用接着フィルム及び多層プリント配線板

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