JP2023062647A - 汚濁水の浄化及び重金属類不溶化の凝集固化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 汚濁水に含有する第二特定有害物質(重金属)を凝集物と上澄み液に分離し、上澄み液の水質は環境基準値以下に浄化して排出し、凝集物は環境基準値以下の自由水を放出して、重金属を包埋した固化強度を有する団粒状固化物に改質する。また、高流動性泥土を、含有土粒子が結合した非流動性固化物に改質し、自由水を放出して、固化強度のある団粒状固化物に変える。雨水等による再泥化防止と重金属を不溶化した団粒状固化物は、中性で適度の保水性と通水性を有しているので、植生が良好で、盛土材や土木資材に活用することができる。【解決手段】 天然鉱物、天然鉱物の水硬化剤、無機凝集剤、鉄粉、前記鉄粉表面を修飾する鉄イオン修飾剤、有機粘結剤を含んでなる凝集固化組成物を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、汚濁水に含有する第二特定有害物質(重金属)を凝集物と上澄み液に分離し、上澄み液の水質は環境基準値以下に浄化して排出し、凝集物は環境基準値以下の自由水を放出して、重金属を包埋した固化強度を有する団粒状固化物に改質する。また、高流動性泥土を、含有土粒子が結合した非流動性固化物に改質し、自由水を放出して、固化強度のある団粒状固化物に変える。雨水等による再泥化防止と重金属を不溶化した団粒状固化物は、中性で適度の保水性と通水性を有しているので、植生が良好で、盛土材や土木資材に活用することができる。
汚濁水の浄化、減容化、及び高流動性泥土の再資源化に役立ち、自然生態系と地域環境健全化に貢献できる凝集固化組成物を提供する。
近年、エスディージーズ「持続可能な開発目標」のグローバルな課題解決のために、「環境」、「経済」、「社会」分野の調和が図られてきているが、今なお、多くの企業は経済性の観点から、生産性の向上を目指した技術革新が優先されており、必然的に多くの企業から自然生態系の浄化能力を超えた汚濁水や有害物質が排出されており、環境汚染が問題となっている。
これらの環境汚染汚濁水、湧水、河川水に含有される第二特定有害物質に対して凝集固化組成物を添加・混合処理し、発生する上澄み液の水質を環境基準値以下にして浄化して排出する。同時に、発生する凝集物を分離して、凝集物より自由水を放出させて固化強度を発現させ、中性の団粒状固化物に改質する。
また、高流動性泥土も、同様に固化強度を発現させた中性に団粒状固化物に改質することにより、汚濁水の浄化と減容化を達成する。
回収した団粒状固化物を、植生が良好な盛土材等の土木資材に循環活用することにより、自然生態系や地域社会の環境の健全化に貢献できる。
現在、高流動性泥土を石灰系固化剤やセメント系固化剤で処理して、移送可能な非流動性固化物に改質し、管理型処分場で盛土材に活用されている。しかしながら、石灰系やセメント系固化剤は強アルカリの滲出水が排出されるために、植生が悪い。
したがって、産業廃棄物の高流動性泥土を、中性で適切な通水性と保水性を有し、固化強度が発現した団粒状固化物に改質して、植生が良好な盛土材として活用できる凝集固化剤組成物が渇望されている。
例えば特許文献1では、製紙スラッジ焼却灰及び/又は有機系焼却灰を主原料とし、これに、固化助剤としてのクリンカアッシュ及び無水石膏と、凝集剤としての無機系凝集剤カチオン性高分子凝集剤粉末及びアニオン性高分子凝集剤粉末とを配合せしめた粉状組成物からなり、且つ無機系凝集剤が、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄、ポリ塩化鉄、珪酸アルミニウム、塩化第二鉄、及び硫酸鉄から選ばれた1種又は2種以上であると共に、カチオン性高分子凝集剤粉末及びアニオン性高分子凝集剤粉末の粒子径が、それぞれ、100μm以下であることを特徴とする軟泥土壌用粉末固化材を報告している。
また、特許文献2では、第一の無機凝集剤、硫酸アルミニウム、粉末ポリ塩化アルミニウム、第二の無機凝集剤及びモルデナイト系天然ゼオライトを含有する排水処理用凝集剤であって、第一の無機凝集剤は、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化第二鉄、酸化マンガン、二酸化珪素、酸化アルミニウム、三酸化硫黄、酸化チタン、及び強熱減量を含有し、第二の無機凝集剤は、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化第二鉄、酸化マンガン、二酸化珪素、酸化アルミニウム、三酸化硫黄、酸化チタン、強熱減量及び水分を含有し、モルデナイト系天然ゼオライトは、リン酸、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化鉄、珪酸、酸化アルミニウム及び水分を含有する排水処理用凝集剤を報告している。
しかしながら、特許文献1では、焼却灰の水和反応物の凝集機能のために、焼却灰が配合されているが、カーボンニュートラルの観点から、製紙スラッジや有機系廃棄物の焼却処理は望ましい方法ではない。また、特許文献2では、酸化物を中心として多数の構成物からなるため、非常に複雑で、作製するには、煩雑な凝集剤である。したがって、焼却灰を含まず天然鉱物が主体である凝集固化組成物が求められており、自然生態系の健全化に貢献できる組成物が望ましい。
特開2008-106088号公報 特開2015-139767号公報
本発明は、前記の背景技術の従来の課題を解決する新規な凝集固化組成物を提供することにある。本発明に従う凝集固化組成物は、安全が確保された凝集機能、固化機能、重金属不溶化機能を有する成分を配合処方して製剤化されており、本凝集固化組成物の1重量%水分散液は中性を呈し、環境配慮型の凝集固化組成物である特徴を有している。
汚濁水中の化学的酸素要求量(COD)成分、生物学的酸素要求量(BOD)成分、第二特定有害物質(重金属)は、本凝集固化組成物に配合された凝集機能成分、固化機能成分、重金属不溶化機能成分により、上澄み液と凝集物に分離できる。上澄み液は環境基準値以下になり、河川に排出できる。
回収した凝集物は、環境基準値以下の自由水を放出後に、配合した固化機能成分により団粒状固化物になり、材齢7日後で固化強度が発現する。
雨水により再泥化せず、中性で適切な通水性と保水性を有し、植生が良好であるため、自然生態系や地域環境の健全化に貢献できる盛土材や土木資材として、活用できることを特徴とする。
本発明に従う凝集固化組成物は、汚濁水に対して、一例として、500mg/Lを添加し、30秒の攪拌で、汚濁水中のCOD成分、BOD成分、第二特定有害物質(重金属)を凝集物に分離できる。
凝集物は、自由水を放出後に固化強度が発現した団粒状固化物に改質できる。改質後では、雨水により膨潤崩壊や再泥化が起こらず、重金属不溶化機能成分で有害物質の溶出が無い。
さらに、上澄み液の水質、凝集物からの自由水の水質、団粒状固化物からの滲出水の水質は、環境基準値以下になり、河川に排出できるので、汚濁水の浄化と減容化が可能になる。
本発明に従う本凝集固化組成物は、一例として、500mg/Lの添加濃度と30秒の攪拌時間で、汚濁水の溶解物と懸濁物を、凝集物と上澄み液に分離することができる。
これは、特許文献1の記載されている凝集固化剤の凝集物と上澄み液の分離速度と比較して、添加濃度が半分以下、攪拌時間も半分以下にできるため、汚濁水の浄化と減容化の処理工程を大幅に簡素化できる。
さらに、回収した凝集物は、自由水を放出後に、配合した固化機能成分により固化強度が発現した団粒状固化物に改質できる。従来の特許文献1に記載されている凝集固化剤と比較して、3倍程度固化強度が大きい。さらに、重金属類不溶化成分により、上澄み液、自由水、団粒状固化物からの滲出水の水質は、環境基準値以下になる。
本発明に従う凝集固化組成物が、産業廃棄物の高流動性泥土に対して、一例として、3重量%添加され、60秒間混合すると、配合された重金属不溶化機能を伴い、凝集機能成分と固化機能成分の相乗作用で流動性の無い固化物になる。
その固化物は、固化強度がある団粒状固化物になり、放出される自由水の水質は、環境基準値以下であるため、河川に排出でき、配合した重金属不溶化機能により高流動性泥土から溶出する重金属濃度は、環境基準値以下になる。
材齢7日後で固化強度が発現し、雨水により再泥化せず、中性で適切な通水性と保水性を有し、植生が良好なため盛土材や土木資材に循環活用できる。
そして、本発明にあっては、かくの如き課題を解決するために、天然鉱物、天然鉱物の水硬化剤、無機凝集剤、鉄粉、前記鉄粉表面を修飾する鉄イオン修飾剤、有機粘結剤を含んでなる凝集固化組成物を提供する。
また、天然鉱物は、ゼオライト、セリサイト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムのうち1種類又は2種類以上からなり、天然鉱物の水硬化剤は、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、軽焼ドロマイトのうち1種類又は2種類以上かならなり、無機凝集剤は、塩化アルミニウム及び/又は、硫酸アルミニウムであり、有機粘結剤は、アルギン酸又はその塩、多糖類水酸化物又はその塩、アニオン性高分子、カチオン性高分子のうち1種類又は2種類以上からなり、天然鉱物、天然鉱物の水硬化剤、無機凝集剤、有機粘結剤の各粒径は50~1000μmであることを特徴とする凝集固化組成物も、その要旨とするものである。
なお、鉄粉は四酸化三鉄からなり、鉄イオン修飾剤は、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄のうち1種類又は2種類以上からなり、鉄イオン修飾剤の粒径は10~70μmであることを特徴とする凝集固化組成物も、その要旨とするものである。
そして、天然鉱物の1種類以上を10~90重量%、天然鉱物の水硬化剤の1種類以上を5~60重量%、無機凝集剤の1種類以上を3~30重量%、鉄粉(四酸化三鉄)を1~5重量%、鉄イオン修飾剤の1種類以上を0.5~10重量%、有機粘結剤の1種類以上を0.5~10重量%を処方・製剤化してなる凝集固化組成物も、その要旨とするものである。
また、重金属イオンを還元する硫酸第一鉄及び/又は、塩化第一鉄を含んでいることを特徴とする凝集固化組成物も、その要旨とするものである。
そして、本発明に従う凝集固化組成物から構成される汚濁水の浄化剤も、その要旨とするものである。
なお、本発明に従う凝集固化組成物から構成される高流動性泥土の改質剤も、その要旨とするものである。
また、本発明に従う凝集固化組成物から構成される第二特定有害物質(重金属)の不溶化剤も、その要旨とするものである。
本発明に従う凝集固化組成物は、少量の添加により、環境を汚染する汚濁水、湧水、河川水に含有される自然由来の第二特定有害物質に対して、添加混合処理を実施することができる。
発生する上澄み液の水質を環境基準値以下にして排出し、同時に発生する凝集物を分離する。その凝集物は、自由水を放出させ、固化強度を発現させた中性の団粒状固化物に改質できる。
また、高流動性泥土も、同様に固化強度を発現させた中性に団粒状固化物に改質できる。これらのことから、汚濁水の浄化と減容化を達成し、回収した団粒状固化物は、植生が良好な盛土材等や既存土壌との親和性が良いため、土木資材に循環活用するができる。
道路用コンクリートカッター工事で発生した汚濁水の処理。(左)処理前、(右)凝集固化組成物を添加・攪拌後。 フッ素を含有した石炭洗浄廃水の処理。(左)処理前、(右)凝集固化組成物を添加・攪拌後。 ヒ素を含有したトンネル掘削泥水の処理。(左)処理前、(右)凝集固化組成物を添加・攪拌後。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を、更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
安全性が確保された天然鉱物(ゼオライト、セリサイト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム)から1種類又は2種類以上選択し、天然鉱物の水硬化剤(硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、軽焼ドロマイト)から1種類又は2種類以上選択し、無機凝集剤(塩化アルミニウム及び/又は硫酸アルミニウム)鉄粉(四酸化三鉄)、鉄粉表面の鉄イオン修飾剤(硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄)から1種類又は2種類以上選択し、有機粘結剤(アルギン酸又はその塩、多糖類水酸化物又はその塩、アニオン性高分子、カチオン性高分子)から1種類又は2種類以上選択し、汚濁水や流動性泥土への分散性が良好になるように、各粒径を2~2000μmに調整し、粉末を配合処方して製剤化した。
本発明に従う凝集固化組成物では、天然鉱物、無機凝集剤、有機粘結剤の各粒径を50~1000μmにすることで、凝集機能が向上し、凝集時間が短縮できた。
鉄粉(四酸化三鉄)の表面を、鉄イオンで修飾する鉄系化合物の各粒径を10~70μmにすることにより、鉄粉表面に第二特定有害物質(重金属)が吸着・固定化された。
さらに、天然鉱物の吸水性硬化剤(硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、軽焼ドロマイト)の各粒径を50~1,000μmにすることにより、他成分との相乗効果作用で凝集機能が向上し、成長した凝集物は、自由水を放出して固化強度のある団粒状固化物になり、雨水による再泥化が防止され、第二特定有害物質(重金属)不溶化機能が促進された。
有機粘結剤と他成分との相乗効果作用により、凝集物の形成速度が速くなり、凝集物に含有される天然鉱物や鉄粉は比重が大きいため、凝集物の沈降性速度が向上し、迅速な汚濁水の浄化と減容化が達成できた。
本発明に従う凝集固化組成物では、天然鉱物(ゼオライト、セリサイト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム)から1種類又は2種類以上選択し、その含有量が10~90重量%であり、天然鉱物の水硬化剤(硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、軽焼ドロマイト)から1種類又は2種類以上選択し、その含有量が5~60重量%であり、無機凝集剤(塩化アルミニウム及び/又は硫酸アルミニウム)の含有量は3~30重量%であり、鉄粉(四酸化三鉄)の含有量は1~5重量%、鉄粉表面の鉄イオン修飾剤(硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄)から1種類又は2種類以上選択し、その含有量は0.5~10重量%であり、有機粘結剤(アルギン酸又はその塩、多糖類水酸化物又はその塩、アニオン性高分子、カチオン性高分子)から1種類又は2種類以上選択し、その含有量は0.5~10重量%であった。これらの配合比率下で、固化組成物を均一に分散できる混合器により混合して製剤化した後、袋詰めにした。対象汚濁水や流動性泥土に対して、本凝集固化組成物の分散性が良好であり、凝集機能、固化機能、第二特定有害物質(重金属)不溶化機能が発揮させた。
一般的に、従来の重金属不溶化剤は、有機硫黄系化合物のキレート機能により重金属と反応して、不溶化する機能を有している。ここで、有機系キレート剤は、自然界で分解して重金属を再溶出させるので、長期間不溶化を持続させるために、固化剤として生石灰やセメント等を混合して、不溶化機能を持続させている。しかしながら、固化剤の含有アルカリ成分が雨水により溶出することに伴い、重金属類が徐々に溶出してくるので、溶出防止対策としてアルカリ成分を中和処理することが必要になる。
この様な背景から、少量の添加で長期間安定的に重金属を不溶化でき、且つ安全性の高い処理剤が渇望されてきた。本発明に従う凝集固化組成物では、天然鉱物を主体として、鉄粉と鉄粉表面の鉄イオン修飾剤により第二特定有害物質(重金属)を不溶化し、中性で、自然生態系に配慮がなされた。1重量%の本凝集固化組成物の水分散液は、pH6.5~8.5であり、中性であった。
本発明に従う凝集固化組成物では、鉄粉(四酸化三鉄)表面を修飾する鉄イオン修飾剤が用いられるが、特に硫酸第一鉄や塩化第一鉄が選択された場合には、還元剤である硫酸第一鉄や塩化第一鉄の還元作用を有効に活用することができた。
汚濁水や流動性泥土中に6価クロムが含有していた場合、3価クロムに還元することができた。クロムの重金属元素では、6価の価数状態より3価の価数状態の方が低毒性であるため、鉄イオン修飾剤である硫酸第一鉄や塩化第一鉄の還元作用が有効に働いた。鉄粉と鉄粉表面の鉄イオン修飾剤により第二特定有害物質(重金属)を不溶化できたが、より毒性の低い状態で、包埋・不溶化することができた。
本発明に従う凝集固化組成物を、産業廃棄物の高流動性泥土に対して添加・混合すると、1種類又は2種類以上選択された天然鉱物(ゼオライト、セリサイト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム)が、泥土中水分を吸収した後、泥土粒子を包埋・結合し、1種類又は2種類以上選択された天然鉱物の水硬化剤(硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、軽焼ドロマイト)、無機凝集剤(塩化アルミニウム及び/又は硫酸アルミニウム)、鉄粉(四酸化三鉄)、1種類又は2種類以上選択された鉄粉表面の鉄イオン修飾剤(硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄)、1種類又は2種類以上選択された有機粘結剤(アルギン酸又はその塩、多糖類水酸化物又はその塩、アニオン性高分子、カチオン性高分子)の凝集機能と固化機能により、ダンプトラックで移送できる固化物になった。この固化物は、自由水を放出して固化強度のある団粒状物であり、自由水や滲出水の水質は、環境基準値以下であった。
特に、凝集付与成分の無機凝集剤(塩化アルミニウム及び/又は硫酸アルミニウム)の含有量は8~30重量%であり、1種類又は2種類以上選択された有機粘結剤(アルギン酸又はその塩、多糖類水酸化物又はその塩、アニオン性高分子、カチオン性高分子)の含有量は3~10重量%の場合、ダンプトラックに移送に適した固化物になった。
本発明に従う凝集固化組成物が、汚濁水に対しては、0.005~0.5重量%(50mg/L~5,000mg/L)添加・混合されると、凝集物と上澄み液に分離できた。高流動性泥土に対しては、0.5~7重量%添加・混合すると、ダンプトラックで移送できる固化物に改質できた。
本発明に従う凝集固化組成物では、1種類又は2種類以上選択した天然鉱物(ゼオライト、セリサイト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム)が、汚濁水中のCOD成分、BOD成分、第二特定有害物質(重金属)だけでなく、臭気成分も取込んだ凝集物になる。したがって、上澄み液の水質は、環境基準値以下になるため河川に排出でき、さらに悪臭物質を低減化して作業環境を改善できた。
本発明に従う凝集固化組成物により、汚濁水を処理して得られる凝集物から自由水を放出し、その凝集物は、固化強度が発現した中性の団粒状固化物に改質され、盛土材に活用できた。また、高流動性泥土を処理して得られる非流動性固化物は、材齢7日後で1軸圧縮強度400kN/m以上になり、中層路盤材等の土木資材に活用できた。
本発明に従う凝集固化組成物には、汚濁水や高流動性泥土の水分を吸収し、さらに、COD成分、BOD成分、第二特定有害物質(重金属)を吸着・包埋することに役立つため、珪藻土、ベントナイト、パーライト等の補助剤を加えて、固化機能を向上させても良い。
本発明に従う凝集固化組成物には、有機粘結剤として、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、リン酸化澱粉などの澱粉誘導体、寒天、カラギーナン、海藻類、膠、カゼインなどの動物性タンパク質、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの合成高分子凝集剤などを加えても良い。
また、必要に応じて消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、スケール防止剤などの機能性補助剤を配合処方しても良い。
本発明に従う凝集固化組成物により、掘削泥土や河川・湖沼等の底泥を凝集固化して、ベルトプレス、フィルタープレス、スクリュープレスなどの機械的圧搾方法により濃縮減容化に適用できた。
さらに、公知の高分子吸収性樹脂(架橋ポリアクリル酸塩、ポリアミノメチルアクリルアミド)、高分子凝集剤、無機系凝集剤(ポリ硫酸第二鉄)等を併用して、凝集機能、固化機能、及びCOD成分、BOD成分、第二特定有害物質(重金属)の不溶化機能を向上させることもできる。
本発明に従う凝集固化組成物は、粉末状の数種の無機質成分と少量の有機粘結剤で処方製剤化されているため、配合成分の相乗効果により、各種汚濁物質が3~7mm程度の沈降性凝集物に巨大化し、上澄み液の固形分濃度を5mg/L以下にして清澄性を促進させた。
さらに、沈降性凝集物は、自由水を放出させて固化強度のある団粒状固化物になった。また、高流動性泥土に対しても、配合成分の相乗効果で移送可能な固形物に改質し、その固形物からも自由水を放出させて、固化強度のある中性の団粒状固化物になった。これらの団粒状固化物は、植生に良好な盛土材や土木資材に適用できた。
本発明に従う凝集固化組成物による凝集機能、固化機能及び第二特定有害物質(重金属)不溶化機能のメカニズムの詳細は不明である。しかしながら、無機凝集剤の塩化アルミニウム及び/又は、硫酸アルミニウムと、鉄イオン修飾剤が、汚濁水中の懸濁物を凝結し、その凝結物を、1種類又は2種類以上選択された有機粘結剤(アルギン酸又はその塩、多糖類水酸化物又はその塩、アニオン性高分子、カチオン性高分子)が凝集物に成長させることにより、凝集機能が促進されると推測する。
主成分の1種類又は2種類以上選択された天然鉱物(ゼオライト、セリサイト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム)は、高い吸水量(2~20mL/g)を有する。したがって、これらの天然鉱物と、1種類又は2種類以上選択された天然鉱物の水硬化剤(硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、軽焼ドロマイト)との相乗効果により、泥土粒子を包埋・結合して固化機能が発現すると予想する。
さらに、鉄粉の四酸化三鉄と、1種類又は2種類以上選択された鉄粉表面の鉄イオン修飾剤(硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄)により、第二特定有害物質(重金属)を鉄粉(四酸化三鉄)に吸着・固定化して、不溶化機能を発現させると推察する。
本発明に従う凝集固化組成物では、1種類又は2種類以上選択された天然鉱物(ゼオライト、セリサイト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム)、鉄粉(四酸化三鉄)、1種類又は2種類以上選択された鉄粉表面の鉄イオン修飾剤(硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄)は比重が大きいため、凝集物に重力促進剤として作用し、上澄み液の清澄達成時間が短縮できた。
本発明に従う凝集固化組成物が汚濁水に添加・混合された時、無機凝集剤から正に帯電したアルミニウムイオン、鉄イオン修飾剤から正に帯電した鉄イオン、及び選択された場合には、水硬化剤から正に帯電したカルシウムイオンやマグネシウムイオンが生じる。これらのカチオンは、汚濁水中の負に帯電している懸濁物を電荷中和して凝結核を生成し、さらに、これらのカチオンは、有機粘結剤を架橋してゲル状高分子にするため、凝結物を巨大な凝集物に成長させると同時に、耐水性が確保されるので、団粒状固化物の再泥化が抑制され、第二特定有害物質(重金属)の不溶化が促進された。
従来の汚濁水処理は、汚濁水の種類や、含有される固形分濃度に対応して、選定した無機凝集剤と高分子凝集剤を併用するが、無機系凝集剤は強酸性であるため、汚濁水のpHが3~5に低下し、この酸性領域では、高分子凝集剤の凝集効果が発揮できないため、アルカリ剤で中和することが必要であった。そのため、無機凝集剤で酸性になった汚濁水をアルカリ剤で中和処理する中和槽の設置が必要である。さらに、高分子凝集剤は難溶性であるために、高分子凝集剤の溶解層の設置が必要である。
水に高分子凝集剤を徐々に添加して、高分子凝集剤が0.2重量%である溶解槽を設置し、高分子凝集剤の500倍希釈液を汚濁水に添加して、高速攪拌槽で懸濁物を高分子凝集剤(0.2重量%)と反応させて、凝結物を次の緩速攪拌槽に導入し、凝集物に成長させて、上澄み液と沈降性凝集物に分離する。
この様に、従来の汚濁水処理では、中和槽、高分子凝集剤の溶解槽、高速攪拌槽、緩速攪拌槽、凝集物の固液分離槽の多段処理槽が必要であったが、本発明に従う凝集固化組成物は、凝集機能、固化機能、重金属不溶化機能を有する成分を処方製剤しているため、1段の処理槽で、凝集物と上澄み液に分離することができた。
凝集機能を強化した本凝集固化組成物は、固形分濃度が200~100,000mg/Lの汚濁水に対して、50~5,000mg/Lの添加量で、上澄み液と凝集物に分離でき、上澄み液は、環境基準値以下となり、河川に排出できた。
分離した凝集物は、自由水を放出して固化物になり、材齢7日で固化強度が発現した団粒状固化物になり、雨水により再泥化せず、土木資材に活用できた。
固化機能を強化した本凝集固化組成物は、固形分濃度が100,000~400,000mg/Lの高流動性泥土に対しては、5,000~50,000mg/Lの添加量で、移送可能な固化物でき、材齢7日で固化強度が発現した団粒状固化物になり、雨水により再泥化せず、土木資材に活用できた。
高流動性泥土に対する固化機能のメカニズムの詳細は不明であるが、1種類又は2種類以上選択された天然鉱物(ゼオライト、セリサイト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム)は、高い吸水量(2~20mL/g)を有するため、高流動性泥土が非流動性の固化物になると思われる。
1種類又は2種類以上選択された天然鉱物の水硬化剤(硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、軽焼ドロマイト)は、炭酸ガスを吸収して炭酸に変化し(漆喰の固化機能)、固化強度が発現すると推測される。硫酸カルシウムが選択された場合には、水硬性作用がさらに加えられて、固化強度が向上すると思われる。
本発明に従う凝集固化組成物が高流動性泥土に添加・混合された時、無機凝集剤から正に帯電したアルミニウムイオン、鉄イオン修飾剤から正に帯電した鉄イオン、及び選択された場合には、水硬化剤から正に帯電したカルシウムイオンやマグネシウムイオンが生じる。これらのカチオンにより、有機粘結剤が架橋して、耐水性の高分子になるため、固化機能が補完され、雨水による再泥化が防止される。この固化物は、自由水を放出する際に生じる空隙により、適度な通水性と保水性を有する中性の団粒状固化物になるため、植生が良好で盛土材や土木資材に活用できると想像される。
従来、使用されている高分子凝集剤は、汚濁水を凝集するが、その凝集物は高分子凝集剤の特有の保水作用により、材齢7日後では固化強度が発現しない。したがって、この保水性凝集物に対して、石灰系、石膏系、セメント系の固化剤を併用して固化させることにより、固化強度の向上が必要であり、さらに第二特定有害物質(重金属)の不溶化には、有機系キレート剤を併用することも必要である。一方、本発明に従う凝集固化組成物は、これらの問題点を解決すべく、汚濁水に対して、凝集機能、固化機能、及び第二特定有害物質(重金属)の不溶化機能を発揮できるように、処方・製剤化された。
汚濁水中の懸濁物の粒子径は、0.5~50μmの微細粒子であり、微細粒子間の静電気の反発作用により、分散状態が維持される。この分散状態の微細粒子に対して、本発明に従う凝集固化組成物に存在する水溶性金属塩は、微細粒子間の静電気反発力電位を中和して、微細粒子間反発力を低下させることにより、微細粒子を凝結する。
さらに、有機粘結成剤は、凝集固化組成物から生じる水溶性カチオンにより架橋されて、物理的に強度のある凝集物に成長する。この凝集物は、天然鉱物の高比重粒子を包埋した沈降性凝集物になるので、上澄み液との分離が向上し、汚濁水の浄化と減容化ができた。
重金属を含有した汚濁水を処理するために、凝集固化組成物を作製し、その混合比率を表1に示す。平均粒径d50は、動的光散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所、ナノ粒子解析装置nanoPartica SZ-100V2)により測定した。凝集固化組成物は灰白色粉末(嵩比重≒1.07g/mL)であり、1重量%の凝集固化組成物の水分散液は、pH8.3であり、中性であった。この凝集固化組成物により、凝集機能、固化機能及び第二特定有害物質(重金属)不溶化機能を確認することができた。
Figure 2023062647000002
Figure 2023062647000003
作業現場から排出された掘削汚濁水の処理のために、特に有効な凝集固化組成物の混合割合を模索し、その一例を表2に示す。平均粒径d50は、動的光散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所、ナノ粒子解析装置nanoPartica SZ-100V2)により測定した。この凝集固化組成物の元素割合を、蛍光X線分析装置で測定し、その元素割合を表3に示す。作業現場から排出された掘削汚濁水の固形分濃度を、1,000mg/L、3,000mg/L、6,000mg/Lに調整し、この調整した汚濁水に対して、表2示された混合割合で製剤された凝集固化組成物を、所定量添加した。60rpmで30秒攪拌、90秒静置した後、凝集物と上澄み液に分離し、その上澄み液の固形分濃度は、検出限界の5mg/L以下になり、凝集機能の有用性が確認できた。また、凝集物は、材齢7日後で自由水を放出して、固化強度が発現した。この団粒状固化物を水に入れ、60rpmで60分攪拌したが、再泥化せず、固化機能の有効性が確認できた。その結果を表4に示す。
Figure 2023062647000004
Figure 2023062647000005
Figure 2023062647000006
Figure 2023062647000007
河川浚渫汚濁水(固形分濃度12,000mg/L、pH7.4、BOD値8.5mg/L、COD値18mg/L、全亜鉛0.041mg/L)を表2に示された混合割合で製剤された凝集固化組成物で処理した。凝集固化組成物の添加量を1,000mg/Lとして添加し、60rpmで30秒攪拌した後、90秒静置し、凝集物と上澄み液に分離した。
その上澄み液の水質結果を表5に示す。凝集固化組成物で処理されて生じた上澄み液は、水質汚濁防止法(水産3級(生息する鯉,鮒に影響にない水質))や工業用水1級の水質基準値に適合していた。したがって、凝集機能及び全亜鉛の不溶化機能の有用性が確認できた。また、凝集物は、材齢7日後で自由水を放出して、固化強度が発現した。この多孔性団粒状固化物を水に入れ、60rpmで60分攪拌したが、再泥化せず、固化機能の有効性が確認できた。
Figure 2023062647000008
道路用コンクリートカッター工事で発生した汚濁水の固形分濃度を10,000mg/Lと30,000mg/Lに調整し、この調整した汚濁水に対して、表2の凝集固化組成物を、所定量添加した。60rpmで30秒攪拌した後、90秒静置し、凝集物と上澄み液に分離した。凝集固化組成物の添加前と添加後の写真を、図1に示す。
その上澄み液の水質結果を表6に示す。第二特定有害物質(重金属)六価クロムイオン濃度は、固形分濃度10,000mg/Lの時、0.22mg/Lであり、固形分濃度30,000mg/Lの時、0.46mg/Lであり、0.0005mg/L以下の環境基準値以下になった。さらに、この六価クロムイオンの不溶化機能が確認された。さらに、凝集物は、材齢7日後で自由水を放出して、固化強度が発現した。この多孔性団粒状固化物を水に入れ、60rpmで60分攪拌したが、再泥化せず、固化機能の有効性が確認できた。
Figure 2023062647000009
建設工事に伴い、汚泥水に混入して流出する第二特定有害物質(重金属等)のヒ素は、毒性が高く、そのヒ素の除去は、鉄、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム等の金属の水酸化物に吸着させて処理する方法や、塩化第二鉄を混合して、ヒ素を水酸化物共沈させる方法が用いられている。しかしながら、水質基準値以下にするには、金属水酸化物等を大量に添加するので、廃棄されるスラッジ量が問題になっている。
汚濁水中には、処理が困難な三価亜ヒ酸が主要な化学形態なっているため、オゾン酸化剤、鉄化合物、マンガン化合物、過酸化水素で酸化処理して、毒性の弱い五価ヒ酸として処理しているが、大量の酸化剤に伴う廃棄物の問題がある。
ヒ酸や亜ヒ酸の除去には、鉄、活性アルミナ等に吸着・ろ過する方法があるが、大容量設備や専門的で高度の維持管理の必要性がある。また、汚泥水のヒ素の除去は、カチオン交換樹脂又はキレート樹脂に鉄とヒドロキシイオン担持した吸着剤や、稀土類水酸化物を多孔質に担持した吸着剤や、金属水酸化物吸着剤や、活性アルミナと活性炭を混合した吸着剤等を、吸着塔に充填して処理する方法があるが、大容量の吸着塔が必要であり、泥水中の懸濁物質による充填物閉塞等に伴うヒ素流出の問題がある。
汚泥水に含有するヒ素を高効率に吸着・固着する四酸化三鉄の粒径は、ヒ素を吸着する比表面積と凝集物の形状から、0.5~70μm範囲が良好であった。粒径が0.5μm以下になると、ヒ素を吸着した四酸化三鉄が水中に再分散するため、ヒ素の不溶化機能が低下し、さらに、凝集剤の凝集機能が低下するため、凝集物の形状が小さくなり、凝集物の沈降時間が長くなるので、上澄み液との固液分離性能が悪化する。
また、粒径20μm以上になると、四酸化三鉄の比表面積が小さくなるため、泥水中の粘土やシルト質とヒ素との付着・接触機会が劣り、四酸化三鉄がヒ素を吸着して不溶化する性能が十分に発揮できないため、ヒ素不溶化と凝集物沈降性の両機能を発揮する四酸化三鉄の粒径は、5~15μmが有効であった。
四酸化三鉄は化学的に非常に安定化しているので、ヒ素吸着機能が高くないため、ヒ素吸着機能を向上させるには、四酸化三鉄の表面に鉄イオンで修飾してヒ素を固着させる方法が有効である。鉄系化合物は、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄等が用いられた。四酸化三鉄に対して30~70重量%を配合すると、四酸化三鉄表面に吸着した鉄イオン錯体物にヒ素が固着するため、四酸化三鉄の単独使用よりヒ素の吸着・固着性能が向上するので、ヒ素の固着時間が短縮できた。
さらに、含有する有機粘結剤が、汚濁水を上澄み液と沈降性凝集物に分離した。その上澄み液中のヒ素濃度や懸濁物濃度は、水質環境基準値以下になった。この凝集物は、自由水を放出して固化強度が発現した団粒状固化物に改質し、雨水による再泥化が防止できた。
汚泥水に含有する第二特定有害物質(重金属等)のカドミニウム、クロム、水銀、セレン、鉛、ホウ素も、ヒ素と同様に本発明に従う凝集固化組成物を添加・攪拌すると、上澄み液と沈降性凝集物に分離できた。
その上澄み液中の第二特定有害物質(重金属等)濃度と懸濁物濃度は、環境基準値以下になった。この沈降性凝集物は、自由水を放出して固化強度が発現した団粒状固化物に改質し、雨水による再泥化が防止できた。
泥水に含有する第二特定有害物質のフッ素も、同様に本発明に従う凝集固化組成物を添加・攪拌すると、上澄み液と沈降性凝集物に分離できた。凝集固化組成物の添加前と添加後の写真を、図2に示す。
その上澄み液中の第二特定有害物質(フッ素)濃度と懸濁物濃度は、環境基準値以下になった。この沈降性凝集物は、自由水を放出して固化強度が発現した団粒状固化物に改質し、雨水による再泥化が防止できた。
固形分濃度6,200mg/L、ヒ素濃度0.2mg/Lの掘削泥水に対して、表2の凝集固化組成物で処理した。凝集固化組成物の添加量を400mg/Lとして添加し、60rpmで60秒攪拌した後、180秒静置し、凝集物と上澄み液に分離した。凝集固化組成物の添加前と添加後の写真を、図3に示す。
上澄み液の水質を表7に示す。上澄み液中のヒ素濃度は、0.001mg/L以下となり、ヒ素不溶化ができており、水質環境基準値以下であった。この掘削泥水のpHは8.2であり、本凝集固化組成物を400mg/L添加した後のpHも、8.2で変化せず、水質環境基準値のpH(6.5~8.5)の範囲内であった。さらに、凝集物は、材齢7日後で自由水を放出して、固化強度が発現した。この団粒状固化物を水に入れ、60rpmで60分攪拌したが、再泥化せず、固化機能の有効性が確認できた。
Figure 2023062647000010
掘削工事から排出される高流動性泥土を処理するために、凝集固化組成物を作製し、その混合比率を表7に示す。平均粒径d50は、動的光散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所、ナノ粒子解析装置nanoPartica SZ-100V2)により測定した。この凝集固化組成物の元素割合を、蛍光X線分析装置で測定し、その元素割合を表8に示す。その凝集固化組成物は灰白色粉末(嵩比重≒1.09g/mL)であり、1重量%の凝集固化組成物の水分散液は、pH8.3であり、中性であった。
Figure 2023062647000011
Figure 2023062647000012
Figure 2023062647000013
掘削工事から排出される高流動性泥土を、各種固形分濃度に調整し、その固形分濃度に対して、表7の固化機能を強化した凝集固化組成物を、所定量添加した。大型スプーンで100回切返しながら、混合・攪拌すると、非流動性固化物に改質できた。
この固化物をモルタルフロー試験装置で50回上下に振動させて、フロー値を測定し、その固化物の改質効果が確認した。その結果を表9に示す。改質された固化物1軸圧縮試験容器に入れて、材齢7日後に脱型して、1軸圧縮強度を測定し、固化強度が発現したことを確認した。また、この材齢7日後の団粒状固化物を水に入れ、60rpmで60分攪拌したが、再泥化せず、固化機能の有効性が確認できた。
Figure 2023062647000014
Figure 2023062647000015

Claims (8)

  1. 天然鉱物、天然鉱物の水硬化剤、無機凝集剤、鉄粉、前記鉄粉表面を修飾する鉄イオン修飾剤、有機粘結剤を含んでなる凝集固化組成物。
  2. 前記天然鉱物は、ゼオライト、セリサイト、バーミキュライト、炭酸カルシウム、水酸化カルシウムのうち1種類又は2種類以上からなり、
    前記天然鉱物の水硬化剤は、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、軽焼ドロマイトのうち1種類又は2種類以上かならなり、
    前記無機凝集剤は、塩化アルミニウム及び/又は、硫酸アルミニウムであり、
    前記有機粘結剤は、アルギン酸又はその塩、多糖類水酸化物又はその塩、アニオン性高分子、カチオン性高分子のうち1種類又は2種類以上からなり、
    前記天然鉱物、前記天然鉱物の水硬化剤、前記無機凝集剤、前記有機粘結剤の各粒径は50~1000μmである請求項1に記載の凝集固化組成物。
  3. 前記鉄粉は四酸化三鉄からなり、前記鉄イオン修飾剤は、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄のうち1種類又は2種類以上からなり、該鉄イオン修飾剤の粒径は10~70μmである請求項1又は2のいずれか1項に記載の凝集固化組成物。
  4. 前記天然鉱物の2種類以上を10~90重量%、前記天然鉱物の水硬化剤の2種類以上を5~60重量%、前記無機凝集剤の1種類以上を3~30重量%、前記鉄粉(四酸化三鉄)を1~5重量%、前記鉄イオン修飾剤の1種類以上を0.5~10重量%、前記有機粘結剤の1種類以上を0.5~10重量%を処方・製剤化してなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の凝集固化組成物。
  5. 重金属イオンを還元する硫酸第一鉄及び/又は、塩化第一鉄を含んでいる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の凝集固化組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の凝集固化組成物から構成される汚濁水の浄化剤。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の凝集固化組成物から構成される高流動性泥土の改質剤。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の凝集固化組成物から構成される第二特定有害物質(重金属)の不溶化剤。
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