JP2023061548A - 侵入検知システム - Google Patents
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Abstract
【課題】人の侵入ないし近接を検知するシステムにおいて、所望の形状及び大きさの監視ゾーンを低コストに実現可能な技術を提供する。【解決手段】侵入検知システムが、人が携行する受信機と、監視ゾーンに敷設される漏洩同軸ケーブルと、前記漏洩同軸ケーブルをアンテナとして用いる電波発射装置と、前記電波発射装置が接続される通信装置と、前記通信装置を介して通信可能な受信機が現れた場合に、前記監視ゾーンへ人が侵入したと判定する検知装置と、を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、人の侵入ないし近接を検知するための技術に関する。
製造や物流などの現場において、AMR(Autonomous Mobile Robot)やマニピュレー
タなどのロボットを導入する例が増えている。同じ空間内でロボットと人が協働する場面では、人の安全確保が極めて重要な課題となる。
タなどのロボットを導入する例が増えている。同じ空間内でロボットと人が協働する場面では、人の安全確保が極めて重要な課題となる。
従来の安全対策としては、例えば、ライトカーテンのような光学センサーを利用して、監視ゾーンへの侵入や退去を監視するものがある。しかしこの種のセンサーは狭い出入口にしか設置できないため、監視ゾーンが広い場合や侵入経路が多い場合に設置が困難であったり、あるいは設置台数が増えて高コストになるという課題がある。また、赤外線による人感センサーを利用して、監視ゾーン内の熱源移動を検知するものも知られている。しかしこの方法は、静止状態の対象を検知しづらい、対象の不存在を確認するのに不向き、応答速度が遅い、などの課題がある。
また、屋内の複数箇所に設置したBLEビーコンからの信号を作業者の携帯端末で受信し、三点測位により作業者の存在位置を推定する屋内位置測定技術が知られている(特許文献1参照)。このような測位技術を利用して、作業者の監視ゾーンへの立ち入りを検知することも可能ではある。しかしながら、この方法は、多数のビーコンを設置する必要があるため、規模の大きい工場などでは高コストになる。また位置推定にある程度の処理時間を要するため、高い応答速度が得られにくい。協働ロボットの安全制御においては、人の侵入ないし近接を検知した場合に即座にロボットを制御することが望まれるため、応答速度の遅い方法は好ましくない。
他の方法として、作業者に発信機(ビーコン)を持たせ、監視ゾーン内に設置した受信機によって発信機からの信号を受信することで、作業者の接近を検知するという技術もある。しかしこの方法も、多数の受信機を設置する必要があるため高コストになる。加えて、監視ゾーンを所望の形及び広さに設計しづらいという問題もある。この点について、図7を用いて説明を加える。工場や物流現場におけるロボットの作業エリアは、AMRが走行する通路であったり、マニピュレータが設置されたコンベアラインであったりするので、多くの場合、監視ゾーンZのフットプリント形状は長方形(もしくは長方形を組み合わせた多角形)が望ましい。一方で、ビーコン信号の受信機60は無指向性アンテナをもち、その受信エリア61は円形となる。したがって、長方形の監視ゾーンZ(図7のハッチングした領域)をカバーするには複数の受信機60を設置しなければならないが、図7を見てわかるように、受信エリア61が重複したり、受信エリア61の一部が監視ゾーンZをはみ出したりと、無駄が大きい。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、人の侵入ないし近接を検知するシステムにおいて、所望の形状及び大きさの監視ゾーンを低コストに実現可能な技術を提供することにある。
本開示は、人が携行する受信機と、監視ゾーンに敷設される漏洩同軸ケーブルと、前記漏洩同軸ケーブルをアンテナとして用いる電波発射装置と、前記電波発射装置が接続される通信装置と、前記通信装置を介して通信可能な受信機が現れた場合に、前記監視ゾーンへ人が侵入したと判定する検知装置と、を有することを特徴とする侵入検知システムを含む。
前記受信機は、前記漏洩同軸ケーブルからの電波を受信した場合に、受信電波強度の情報を前記検知装置に通知し、前記検知装置は、前記受信機から通知された受信電波強度を、前記監視ゾーンへの侵入判定処理に利用してもよい。
前記検知装置は、前記受信機と通信可能となり、且つ、前記受信機から通知された受信電波強度が所定の閾値を超えた場合に、前記受信機を携行する人が前記監視ゾーンに侵入したと判定してもよい。
前記検知装置は、前記受信機から通知された受信電波強度に基づいて、前記漏洩同軸ケーブルから前記受信機までの距離を判定してもよい。
前記検知装置は、前記受信機から通知された受信電波強度の時間変化に基づいて、前記漏洩同軸ケーブルに対する前記受信機の相対的な移動方向を予測してもよい。
前記監視ゾーン内で動作するロボットを制御するためのロボット制御装置をさらに有し、前記検知装置によって前記監視ゾーンへ人が侵入したと判定された場合に、前記ロボット制御装置が、前記ロボットの動作モードを、第1モードから、前記第1モードよりも動作が低速な第2モードへと切り替えてもよい。
前記電波発射装置と前記漏洩同軸ケーブルのあいだに減衰器をさらに有してもよい。
本発明は、上記手段の少なくとも一部を有する侵入検知システムとして捉えてもよいし、同システムを構成する検知装置、通信装置、電波発射装置、もしくは漏洩同軸ケーブル、又はそれらのうちのいくつかの組み合わせを発明と捉えてもよい。また、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む侵入検知方法もしくは侵入検知システムの制御方法、又は、かかる方法を実現するためのプログラムやそのプログラムを非一時的に記録した記録媒体として捉えることもできる。なお、上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
本発明によれば、人の侵入ないし近接を検知するシステムにおいて、所望の形状及び大きさの監視ゾーンを低コストに実現することが可能である。
<適用例>
図1を参照して、本発明の適用例の一つについて説明する。
図1を参照して、本発明の適用例の一つについて説明する。
侵入検知システム1(以下単に「本システム1」とも称する。)は、監視ゾーンへの人の侵入ないし近接を検知するためのシステムであり、例えば、工場や物流現場において、ロボットの作業エリアを監視し安全確保のための制御を行う目的で利用される。
本システム1の基本的な検知原理は、無線通信エリアによって所望の監視ゾーンZを形成する一方で、各作業者には無線の受信機10を携行させておき、通信可能な受信機10が現れた場合に監視ゾーンZへ作業者が侵入ないし近接したと判定する、というものである。
工場や物流現場において利用されるロボットには例えばAMR(モバイルロボット)やマニピュレータなどがあり、いずれの場合もロボットの作業エリアは細長い長方形、もしくは、長方形を組み合わせたL字形・U字形・O字形などの多角形となることが多い。したがって、監視ゾーンZ(すなわち、無線通信エリア)のフットプリント形状も、ロボットの作業エリアに合致するように、細長い長方形や長方形を組み合わせた多角形に形成することが望ましい。ロボットの作業エリアと監視ゾーンZを可及的に一致させることにより、検知漏れと過検知の両方を防止できるからである。
検知漏れとは、人がロボットの作業エリアに侵入したにもかかわらず、それを検知できない事象である。安全確保の観点から、検知漏れは確実に防止しなければならない。しかし、検知漏れを起こさないために監視ゾーンZをロボットの作業エリアに比べ過剰に広く設定してしまうと、過検知(人がロボットの作業エリアに侵入していないにもかかわらず、検知してしまうこと)が増加するおそれがある。過検知の発生は、ロボットの動きを不必要に停止あるいは低下させることにつながるため、ロボットの稼働効率の観点からは好ましくない。このような理由から、監視ゾーンZの形状及び大きさは、ロボットの作業エリアをカバーするのに必要十分なものに設定することが望ましい。
本システム1では、上記のような監視ゾーンZ(無線通信エリア)を形成するために、漏洩同軸ケーブル11(LCX:Leaky Coaxial Cable)を固定局側のアンテナとして利
用する。漏洩同軸ケーブル11は、ケーブルの外部導体に電波を漏らすためのスロット(孔)を形成することにより、伝送信号の一部のエネルギーをケーブル周囲の空間に電波として放射可能な構造の同軸ケーブルである。漏洩同軸ケーブル11は、通常、地下街やトンネルなどの電波不感地帯に無線LAN環境を構築するために用いられるものであるが、本システム1では、これを別の用途、すなわち、侵入検知の監視ゾーンZの形成に利用する点が特徴である。
用する。漏洩同軸ケーブル11は、ケーブルの外部導体に電波を漏らすためのスロット(孔)を形成することにより、伝送信号の一部のエネルギーをケーブル周囲の空間に電波として放射可能な構造の同軸ケーブルである。漏洩同軸ケーブル11は、通常、地下街やトンネルなどの電波不感地帯に無線LAN環境を構築するために用いられるものであるが、本システム1では、これを別の用途、すなわち、侵入検知の監視ゾーンZの形成に利用する点が特徴である。
漏洩同軸ケーブル11の電波放射範囲はケーブルを中心軸とした円柱となるため、漏洩同軸ケーブル11を無線アンテナとして利用した場合のフットプリント形状は、ケーブルの軸方向に細長い長方形となる。したがって、ロボットの作業エリアの長軸方向に沿って漏洩同軸ケーブル11を敷設するだけで、作業エリアをカバーするのに必要最小限な大きさ及び形状の監視ゾーンを容易に形成することが可能である。なお、監視ゾーンの長軸方向の長さはケーブルの敷設長さで調整可能であり、監視ゾーンの短軸方向の幅はケーブルに与える送信電力の強度で調整可能であるため、監視ゾーンの大きさ(長さ・幅)の設計自由度も高い。また、漏洩同軸ケーブル11をL字やU字のように折り曲げて敷設すれば、L字形やU字形といった多角形の監視ゾーンも形成することができる。監視ゾーンの設営は漏洩同軸ケーブルを敷設するのみであるため、低コストかつ短時間で施工することができる。また、漏洩同軸ケーブルは天井や床を這わせることができるため、既設ラインへ
導入も容易である。
導入も容易である。
<実施形態>
(システム構成)
図2を参照して、本発明の実施形態を説明する。図2は、実施形態に係る侵入検知システム1の構成例を示す模式図である。
(システム構成)
図2を参照して、本発明の実施形態を説明する。図2は、実施形態に係る侵入検知システム1の構成例を示す模式図である。
侵入検知システム1は、主な構成として、通信装置20、電波発射装置21、漏洩同軸ケーブル11、ルータ22、検知装置23、ロボット制御装置24、受信機10を有する。このうち、通信装置20と電波発射装置21と漏洩同軸ケーブル11が、無線の固定局を構成している。本システム1で利用する無線通信規格はどのようなものでもよい。例えば、Wi-Fi、プライベートLTE(ローカル4G)、ローカル5Gなどを用いてもよい。導入コストの点からはWi-Fiが好ましい。一方、超低遅延の5Gを利用すれば、作業者の侵入ないし近接を瞬時に検知でき、ロボットRの安全制御を即座に実行できるため、安全確保の点からはローカル5Gが好ましい。
通信装置20は、無線通信のベースバンド処理や時分割多重処理などを担うデバイスである。Wi-Fiの場合は、例えばWi-Fiルータが通信装置20に該当し、ローカル4G/5Gの場合は、例えばベースバンドユニット(BBU)が通信装置20に該当する。電波発射装置21は、送受信するデジタル信号を無線周波数に変換し、送信電力の増幅やアンテナである漏洩同軸ケーブル11での送受信などを行うデバイスである。Wi-Fiの場合は、例えばアクセスポイントが電波発射装置21に該当し、ローカル4G/5Gの場合は、例えばアンテナユニット(RU)が電波発射装置21に該当する。電波発射装置21の送信電力を調整することにより、漏洩同軸ケーブル11から放射される電波の強さ、すなわち、監視ゾーンの短軸方向の幅を調整することができる。電波発射装置21の仕様にもよるが、例えば、監視ゾーンの幅を数メートル~数十メートルの範囲で設定可能である。電波発射装置21の送信電力を最小値に設定したときの幅よりもさらに監視ゾーンを狭くしたい場合には、電波発射装置21と漏洩同軸ケーブル11のあいだに減衰器(アッテネータ)25を設けてもよい。アッテネータ25により漏洩同軸ケーブル11から放射される電波を弱めることで、監視ゾーンの短軸方向の幅を狭めることができる。
1台の通信装置20に対し、複数台の電波発射装置21を接続可能である。一組の電波発射装置21と漏洩同軸ケーブル11で一つの監視ゾーンを形成するため、必要な監視ゾーンの数に合わせて電波発射装置21の数を設計すればよい。なお、図2では、通信装置20と電波発射装置21を別の装置のように記載したが、通信装置20と電波発射装置21の両方の機能を具備する装置を利用してもよい。
検知装置23は、侵入検知処理を行う装置である。検知装置23と通信装置20はルータ22に接続されており、互いにデータの送受信が可能である。後述するように本システム1の侵入検知は、通信装置20を介して検知装置23と受信機10のあいだに通信パスが確立されること、すなわち、検知装置23が通信可能な受信機10の出現を検知することを基本原理にしている。したがって、検知装置23と通信装置20のあいだの接続は、通信速度が速く安定性に優れた有線接続が好ましい。ただし、通信速度、安定性、遅延などの面で問題なければ、検知装置23と通信装置20のあいだも無線接続にして構わない。
検知装置23は、プロセッサ(CPU)とメモリと不揮発性記憶媒体を有するコンピュータ装置により構成される。後述する侵入検知処理の各機能は、不揮発性記憶媒体に非一時的に格納されているプログラムをメモリにロードし、そのプログラムをプロセッサが実行することによって実現される。検知装置23は、例えば、パーソナルコンピュータ(P
C)、タブレット端末、スマートフォンなどで構成してもよいし、いわゆる産業用PCやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)などに実装してもよい。あるいは、侵入検知処理の機能のうちの全部又は一部を、FPGAやASICなどの回路で構成してもよい。
C)、タブレット端末、スマートフォンなどで構成してもよいし、いわゆる産業用PCやプログラマブルロジックコントローラ(PLC)などに実装してもよい。あるいは、侵入検知処理の機能のうちの全部又は一部を、FPGAやASICなどの回路で構成してもよい。
ロボット制御装置24は、ロボットRを制御するためのコントローラである。本実施形態のロボット制御装置24は、作業者の侵入や近接が検知された場合にロボットRの動作を停止又は低速動作に切り替えるといった安全制御を担う。なお、ロボット制御装置24と検知装置23は別の装置で構成してもよいし、ロボット制御装置24と検知装置23の両方の機能を具備する装置を利用してもよい。
受信機10は、作業者が携行する端末である。固定局(通信装置20及び電波発射装置21)とのあいだで無線通信可能な移動局として機能する装置であれば、どのようなものを受信機10として用いてもよい。例えば、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、ティーチングペンダントなどを利用してもよいし、あるいは、専用のデバイスを利用してもよい。
(侵入検知処理)
図3及び図4を参照して、本システム1の侵入検知処理の一例を説明する。図3は、受信機10が無線接続する手順を示しており、図4は、検知装置23が実行する処理の流れを示している。
図3及び図4を参照して、本システム1の侵入検知処理の一例を説明する。図3は、受信機10が無線接続する手順を示しており、図4は、検知装置23が実行する処理の流れを示している。
図3に示すように、受信機10を携行した作業者が監視ゾーンに入り又は近づき、受信機10が漏洩同軸ケーブル11から放射されている電波を受信可能になると(ステップS30)、受信機10と固定局(通信装置20及び電波発射装置21)とのあいだの接続が確立される(ステップS31)。
無線接続が確立されると、受信機10は、接続通知を検知装置23に送信する(ステップS32)。この接続通知は、受信機10が監視ゾーン(無線通信エリア)に入ったことを検知装置23に通知するためのメッセージである。
接続通知には、受信機10又は受信機10を携行する作業者を特定するための『受信機情報』、受信機10が侵入した監視ゾーンを特定するための『ゾーン情報』、受信機10の『受信電波強度情報』などが含まれるとよい。受信機情報は、受信機10ごとに一意の情報であればどのような情報を用いてもよく、例えば、受信機10の名称、IPアドレス、MACアドレス、あるいは、作業者の氏名、IDなどを用いることができる。ゾーン情報は、監視ゾーンごとに一意の情報であればどのような情報を用いてもよく、例えば、電波発射装置21のアクセスポイント名、IPアドレス、MACアドレス、SSIDなどを用いることができる。受信電波強度情報は、受信機10が受信している電波の強さを示す情報であり、例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)などを用いることができる。
受信機10と固定局のあいだの接続が維持されているあいだ、受信機10は、所定のサイクル(例えば、数ミリ秒~数十ミリ秒ごと)で接続通知を検知装置23に送信する。作業者が監視ゾーンから退去又は離れ、受信機10が無線通信エリアの外に出ると、受信機10と固定局のあいだの接続が切断される(ステップS33)。接続が切断された後は、受信機10からの接続通知が途絶えるため、検知装置23側も受信機10が監視ゾーンから出たことを知ることができる。
次に、図4を参照して、検知装置23の処理を説明する。本システム1の稼働中、検知
装置23は図4の処理を所定のサイクル(例えば、数ミリ秒~数十ミリ秒ごと)で繰り返し実行する。なお、図4は1つの監視ゾーンに対する処理を示している。複数の監視ゾーンが存在する場合には、監視ゾーン毎に図4の処理を並列に実行すればよい。
装置23は図4の処理を所定のサイクル(例えば、数ミリ秒~数十ミリ秒ごと)で繰り返し実行する。なお、図4は1つの監視ゾーンに対する処理を示している。複数の監視ゾーンが存在する場合には、監視ゾーン毎に図4の処理を並列に実行すればよい。
ステップS40において、検知装置23は、対象とする監視ゾーン内に通信可能な受信機10が存在するか確認する。具体的には、検知装置23は、いずれかの受信機10から接続通知を受けたか否かを確認し、接続通知を受信していた場合はそこに含まれるゾーン情報を参照して、対象とする監視ゾーンか否かを確認する。対象とする監視ゾーンのゾーン情報を含む接続通知を受信していた場合は、『受信機あり』と判定し、ステップS41に進む。そうでない場合は、『受信機なし』と判定し、ステップS43に進む。
『受信機あり』と判定された場合、検知装置23は、接続通知に含まれる受信電波強度情報を参照して、受信機10が監視ゾーンに侵入しているか否かを判定する(ステップS41)。受信電波強度が所定の閾値を超えている場合、検知装置23は、『侵入』と判定し、ステップS42に進む。そうでない場合はステップS43に進む。
受信電波強度は、受信機10がアンテナである漏洩同軸ケーブル11に近づくほど強くなる。漏洩同軸ケーブル11は監視ゾーンの中心線に相当するものであるから、受信電波強度は、作業者が監視ゾーンの中心にどの程度近づいているか、を示す指標と考えてよい。それゆえ、単純に通信可能か否かで侵入検知を行うよりも、受信電波強度による判定を組み合わせる方が、受信機10ないし作業者の状況(すなわちリスク)を精度良く判定することが可能となる。ただし、受信電波強度を侵入判定処理に用いることは必須ではない。ステップS41を省略し、ステップS40で『受信機あり』と判定されたら『侵入』とみなしステップS42に進んでもよい。
『侵入』と判定された場合、検知装置23は、ロボット制御装置24に対し、監視ゾーンに作業者が侵入したことを検知した旨を通知する(ステップS42)。この検知通知には、監視ゾーンの『ゾーン情報』や侵入した受信機10の『受信機情報』が含まれていてもよい。ロボット制御装置24は、検知装置23から検知通知を受信すると、ロボットRの動作モードを安全動作モードに切り替える。
ステップS40において『受信機なし』と判定された場合、又は、ステップS41において『侵入でない』と判定された場合は、検知装置23は、ロボット制御装置24に対し、監視ゾーンに作業者が存在しない旨を通知する(ステップS43)。この非検知通知には、監視ゾーンの『ゾーン情報』が含まれていてもよい。ロボット制御装置24は、検知装置23から非検知通知を受信すると、ロボットRの動作モードを通常動作モードに切り替える。
ここで、通常動作モードは、ロボットの作業エリア内に人がいないことが保証されている場合に採り得るモードであり、ロボットの稼働効率や動作速度を優先する。通常動作モードの場合、ロボットRは最高性能を発揮することが可能である。一方の安全動作モードは、ロボットの作業エリア内に人が存在した場合でもその安全を確保し得るように動作するモードである。安全動作モードでは、通常動作モードに比べてロボットRの動作は低速になる。
本システム1を利用した侵入検知処理によれば、監視ゾーン内に作業者が立ち入らない限り、ロボットRを通常動作モードで動作させることができるため、ロボットRの高効率な稼働を実現できる。そして、監視ゾーン内に作業者が侵入した場合には、即座にロボットRを安全動作モードに切り替えることができるため、作業者の安全が担保される。したがって、ロボットと人が協働する現場において、ロボットの効率的な稼働と人の安全の両
立が可能となる。
立が可能となる。
<他の実施形態>
上記実施形態は、本発明の構成例を例示的に説明するものに過ぎない。本発明は上記の具体的な形態には限定されることはなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
上記実施形態は、本発明の構成例を例示的に説明するものに過ぎない。本発明は上記の具体的な形態には限定されることはなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、監視ゾーンに侵入したか否かの2値の判定を行ったが、受信電波強度に基づいてさらに細かく作業者の状況(位置)を判定してもよい。例えば、図4のステップS41の判定処理で、受信電波強度が閾値を超えていたら『侵入』、閾値以下であれば『近接』(つまり、監視ゾーンの外であるが、監視ゾーンに極めて近い位置に存在する状態)と判定してもよい。この場合、検知装置23の判定結果は、『侵入』/『近接』/『受信機なし』の3値となる。受信電波強度に基づいて、侵入の程度(監視ゾーンの中心への近さ)をさらに細かくレベル分けしてもよい。例えば、『侵入:監視ゾーンの中心部』/『侵入:監視ゾーンの端部』…のような判定結果を出力することも可能である。
検知装置23が3値以上の判定結果を出力する場合、ロボット制御装置24も動作モードを3段階以上に切り替えてもよい。例えば、『受信機なし』の場合は通常動作モード、『近接』の場合は通常動作モードよりも低速な第1安全動作モード、『侵入』の場合は第1安全動作モードよりもさらに低速な第2安全動作モード、のような切り替えが可能である。
検知装置23は、電波発射装置21の送信電力と受信機10の受信電波強度に基づいて、漏洩同軸ケーブル11(監視ゾーンの中心軸に相当する)から受信機10までの距離を判定してもよい。電波発射装置21の送信電力の設置値は、検知装置23に予め登録してもよいし、あるいは、検知装置23が通信装置20又は電波発射装置21から動的に収集してもよい。距離判定を行った場合は、検知装置23は、受信機10ごとの距離情報をロボット制御装置24へ通知してもよい。
検知装置23が、同じ受信機10から継続的に受信した接続通知を基に、受信電波強度の時間変化をとらえることによって、漏洩同軸ケーブル11に対する当該受信機10の相対的な移動方向を予測してもよい。例えば、受信電波強度が徐々に強くなっている場合には、受信機10が漏洩同軸ケーブル11に近づく方向に移動すると予測でき、逆に、受信電波強度が徐々に弱くなっている場合には、受信機10が漏洩同軸ケーブル11から遠ざかる方向に移動すると予測できる。移動方向だけでなく、受信電波強度の変化の傾きから移動速度を推定したり、所定時間後の相対距離(例えば、受信機10が1秒後に監視ゾーンから抜ける、など)を推定したりしてもよい。
監視ゾーン(電波の到達範囲)が互いに重なるように複数の漏洩同軸ケーブルを配置してもよい。監視ゾーンが重なるエリアを設けることにより、受信機10の位置や状況をより詳しく判定することが可能となる。例えば、図5に示すように、2つの監視ゾーンZ1、Z2のあいだにオーバーラップゾーンZX(ハッチングで示した領域)が形成されている例を挙げる。受信機10が監視ゾーンZ1のみで検知された場合は、監視ゾーンZ1内のオーバーラップゾーンZXを除いた範囲に受信機10が存在すると特定できる。受信機10が監視ゾーンZ1とZ2の両方で検知された場合は、オーバーラップゾーンZX内に受信機10が存在すると特定できる。また、監視ゾーンZ1内で検知された受信機10の受信電波強度が徐々に弱くなり始めたところで、監視ゾーンZ2でも受信機10が検知された場合には、受信機10が監視ゾーンZ1から監視ゾーンZ2の方向に移動しているというように、移動方向の推定も可能となる。このように受信機10の位置や移動方向をよ
り詳しく判定することができれば、例えば、監視ゾーンへの近接や侵入をいち早く予測し、ロボットの安全制御に役立てることが可能である。
り詳しく判定することができれば、例えば、監視ゾーンへの近接や侵入をいち早く予測し、ロボットの安全制御に役立てることが可能である。
また、上記のようなオーバーラップゾーンZXにおいて、受信機10の2次元位置の測位を行ってもよい。例えば、監視ゾーンZ1の受信電波強度から監視ゾーンZ1の中心軸からの距離を計算すると共に、監視ゾーンZ2の受信電波強度から監視ゾーンZ2の中心軸からの距離を計算し、両者の距離から受信機10の2次元位置を推定してもよい。あるいは、受信電波強度の代わりに、監視ゾーンZ1からの電波到達時刻と監視ゾーンZ2からの電波到達時刻の差に基づいて、受信機10の2次元位置を推定してもよい。
また、受信機10に受信電波強度を表示する機能をもたせてもよい。作業者やケーブルの施工者は、受信機10の表示を見ることにより、監視ゾーンの境界(電波の到達範囲)を確認することができる。また、監視ゾーンに侵入したにもかかわらず電波強度が低ければ、敷設異常の可能性を疑うこともできる。
上記実施形態では、受信機10が、漏洩同軸ケーブル11~電波発射装置21~通信装置20により形成された通信パスを経由して、受信電波強度情報などを検知装置23に送信する構成を例示した。すなわち、侵入ないし近接を検知するための通信パスと、受信電波強度情報などを通知するための通信パスとが同じ構成である。しかしながら、2つの通信パスは必ずしも同じである必要はない。例えば図6に示すように、無線ルータ26による構内Wi-Fi環境が構築されており、受信機10が構内Wi-Fiに常時接続可能な場合であれば、受信電波強度情報などの通知は構内Wi-Fiを通じて行ってもよい。この場合、受信機10側では、漏洩同軸ケーブル11から放射されている電波を検知すると、その情報を別の通信パスである構内Wi-Fiを経由して検知装置23に通知する、という制御が行われる。このような構成は、漏洩同軸ケーブル11からの電波が極めて微弱である場合や、ノイズ源・干渉波・反射波などが多く漏洩同軸ケーブル11を経由しての伝送が安定しない場合などに有利である。なお、図6では、情報通知のための通信パスとして構内Wi-Fiを例示したが、漏洩同軸ケーブル11と異なるパスであればよいので、例えば、一般的な携帯電話回線を利用して情報通知を行ってもよい。
<付記>
1.人が携行する受信機(10)と、
監視ゾーンに敷設される漏洩同軸ケーブル(11)と、
前記漏洩同軸ケーブル(11)をアンテナとして用いる電波発射装置(21)と、
前記電波発射装置(21)が接続される通信装置(20)と、
前記通信装置(20)を介して通信可能な受信機(10)が現れた場合に、前記監視ゾーンへ人が侵入したと判定する検知装置(23)と、
を有することを特徴とする侵入検知システム(1)。
1.人が携行する受信機(10)と、
監視ゾーンに敷設される漏洩同軸ケーブル(11)と、
前記漏洩同軸ケーブル(11)をアンテナとして用いる電波発射装置(21)と、
前記電波発射装置(21)が接続される通信装置(20)と、
前記通信装置(20)を介して通信可能な受信機(10)が現れた場合に、前記監視ゾーンへ人が侵入したと判定する検知装置(23)と、
を有することを特徴とする侵入検知システム(1)。
1:侵入検知システム
10:受信機
11:漏洩同軸ケーブル
20:通信装置
21:電波発射装置
22:ルータ
23:検知装置
24:ロボット制御装置
25:アッテネータ
R:ロボット
Z1,Z2:監視ゾーン
ZX:オーバーラップゾーン
10:受信機
11:漏洩同軸ケーブル
20:通信装置
21:電波発射装置
22:ルータ
23:検知装置
24:ロボット制御装置
25:アッテネータ
R:ロボット
Z1,Z2:監視ゾーン
ZX:オーバーラップゾーン
Claims (7)
- 人が携行する受信機と、
監視ゾーンに敷設される漏洩同軸ケーブルと、
前記漏洩同軸ケーブルをアンテナとして用いる電波発射装置と、
前記電波発射装置が接続される通信装置と、
前記通信装置を介して通信可能な受信機が現れた場合に、前記監視ゾーンへ人が侵入したと判定する検知装置と、
を有することを特徴とする侵入検知システム。 - 前記受信機は、前記漏洩同軸ケーブルからの電波を受信した場合に、受信電波強度の情報を前記検知装置に通知し、
前記検知装置は、前記受信機から通知された受信電波強度を、前記監視ゾーンへの侵入判定処理に利用する
ことを特徴とする請求項1に記載の侵入検知システム。 - 前記検知装置は、前記受信機と通信可能となり、且つ、前記受信機から通知された受信電波強度が所定の閾値を超えた場合に、前記受信機を携行する人が前記監視ゾーンに侵入したと判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の侵入検知システム。 - 前記検知装置は、前記受信機から通知された受信電波強度に基づいて、前記漏洩同軸ケーブルから前記受信機までの距離を判定する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の侵入検知システム。 - 前記検知装置は、前記受信機から通知された受信電波強度の時間変化に基づいて、前記漏洩同軸ケーブルに対する前記受信機の相対的な移動方向を予測する
ことを特徴とする請求項2~4のうちいずれか1項に記載の侵入検知システム。 - 前記監視ゾーン内で動作するロボットを制御するためのロボット制御装置をさらに有し、
前記検知装置によって前記監視ゾーンへ人が侵入したと判定された場合に、前記ロボット制御装置が、前記ロボットの動作モードを、第1モードから、前記第1モードよりも動作が低速な第2モードへと切り替える
ことを特徴とする請求項1~5のうちいずれか1項に記載の侵入検知システム。 - 前記電波発射装置と前記漏洩同軸ケーブルのあいだに減衰器をさらに有する
ことを特徴とする請求項1~6のうちいずれか1項に記載の侵入検知システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021171515A JP2023061548A (ja) | 2021-10-20 | 2021-10-20 | 侵入検知システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021171515A JP2023061548A (ja) | 2021-10-20 | 2021-10-20 | 侵入検知システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023061548A true JP2023061548A (ja) | 2023-05-02 |
Family
ID=86249774
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021171515A Pending JP2023061548A (ja) | 2021-10-20 | 2021-10-20 | 侵入検知システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023061548A (ja) |
-
2021
- 2021-10-20 JP JP2021171515A patent/JP2023061548A/ja active Pending
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