JP2023060486A - 蓄冷材及び蓄冷方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】潜熱量の増加及び融点の降下の観点から有利な蓄冷材を提供する。【解決手段】本開示の蓄冷材は、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートと、水と、1‐プロパノールとを備えている。テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートは、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐メチルプロパノエート、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐エチルブタノエート、及びテトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐プロピルペンタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1つである。テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの含有量に対する、1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で0.2以上1.8以下である。【選択図】なし

Description

本開示は、蓄冷材及び蓄冷方法に関する。
特許文献1は、ホスト物質及びゲスト物質によってセミクラスレートハイドレートが構成される蓄熱材料に関する。この蓄熱材料は、ホスト物質である水と、ゲスト物質を含有している。ゲスト物質は、テトラブチルアンモニウムイオンであるカチオンと、所定のカルボン酸イオンであるアニオンとからなる。特許文献1には、この蓄冷材料を備えた蓄冷装置が記載されている。
非特許文献1は、4級アンモニウム塩の包接水和物及びその類似体に関する。
特開2019-44095号公報
Journal of Structural Chemistry 28 (1987), 394-432
本開示は、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートを備えつつ、潜熱量の増加及び融点の降下の観点から有利な蓄冷材を提供する。
本開示における蓄冷材は、
テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐メチルプロパノエート、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐エチルブタノエート、及びテトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐プロピルペンタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1つのテトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートと、
水と、
1‐プロパノールと、を備え、
前記テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの含有量に対する、前記1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で0.2以上1.8以下である。
本開示における蓄冷材によれば、1‐プロパノールと水分子との間の分子間相互作用により、セミクラスレートハイドレートの分解温度が低減されるものの、セミクラスレートハイドレートの結晶構造が安定化するので、蓄冷材の潜熱量がやや増加する。このため、本開示における蓄冷材は、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートを備えつつ、潜熱量の増加及び融点の降下の観点から有利である。
実施の形態1における蓄冷材の放冷時の特性を示すグラフ テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの構造の一例を示す図 テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの構造の別の一例を示す図 テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの構造のさらに別の一例を示す図 実施の形態2におけるクーラーボックスの図
(本開示の基礎となった知見等)
発明者が本開示に想到するに至った当時、蓄冷材においてセミクラスレートハイドレートの分解温度を調整するために融点降下剤等の添加剤を加えると、蓄冷材の潜熱量が目減りするという課題があった。そのため、当該業界では、まず、用途に適した分解温度のセミクラスレートハイドレートの探索がなされていた。適したセミクラスレートハイドレートが見つからない場合には、用途に適した分解温度より高い分解温度を示すセミクラスレートハイドレートに対して融点降下剤で分解温度を調整し、潜熱量の目減りを許容することが一般的であった。
そうした状況下において、発明者は、セミクラスレートハイドレートが形成される蓄冷材の潜熱量の増加を目的として、適切な添加剤を探索した。その過程において、所定の蓄冷材に対して1‐プロパノールを添加することにより、蓄冷材の融点を降下させつつ蓄冷材の潜熱量を増加させることができることを新たに発見し、本開示の主題を構成するに至った。そこで、本開示は、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートを備えつつ、潜熱量の増加及び融点の降下の観点から有利な蓄冷材を提供する。
以下、本開示の実施の形態が、図面を参照しながら説明される。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1から図4を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
実施の形態1における蓄冷材は、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートと、水と、1‐プロパノールと、を備えている。テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートは、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐メチルプロパノエート、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐エチルブタノエート、及びテトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐プロピルペンタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。蓄冷材において、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの含有量に対する、1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で0.2以上1.8以下である。
蓄冷材の結晶化においてセミクラスレートハイドレートが形成される。本明細書において、クラスレートハイドレートは、ホスト分子である水分子が水素結合によってかご状の結晶を作り、その中に水以外の物質であるゲスト物質が包み込まれてできる結晶を意味する。加えて、セミクラスレートハイドレートは、水分子の水素結合ネットワークにゲスト物質が参加してできる結晶である。水分子とゲスト物質が過不足なくハイドレートを形成する濃度は、調和濃度と呼ばれる。クラスレートハイドレート及びセミクラスレートハイドレートが形成される蓄冷材において、蓄冷材におけるゲスト物質の濃度は調和濃度又は調和濃度付近に調整されうる。
蓄冷材は、所定の融点を有する。蓄冷材の融点は、蓄冷材の技術分野においてよく知られているように、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定されうる。
図1は、予め結晶化された蓄冷材の放冷時の特性を示すグラフである。図1において、横軸及び縦軸は、それぞれ、時間t及び温度Tを示す。図1の区間Eにおいて、蓄冷材の温度は、結晶化温度以下の温度に維持されている。例えば、クーラーボックスの蓋が閉められている間、クーラーボックス内に配置された蓄冷材の温度が結晶化温度以下に維持されるように、クーラーボックスの内部の温度は結晶化温度以下に設定されている。
次に、蓄冷材が徐々に加温される。図1における区間Fを参照せよ。例えば、区間Eの終わり、すなわち、区間Fの始まりでクーラーボックスの蓋が開けられると、もしくは、蓋が開けられて食品等の物品がクーラーボックスに収められると、クーラーボックスの内部の温度が徐々に高くなる。
蓄冷材の温度が蓄冷材の融点Tmに達すると、蓄冷材の温度は蓄冷材の融点Tm付近に保たれる。図1における区間Gを参照せよ。万一、クーラーボックスの内部に蓄冷材が存在しない場合、クーラーボックスの内部の温度は、図1における区間Zに示されるように連続的に上昇する。一方、クーラーボックスの内部に蓄冷材が存在している場合、区間Gにおいて、クーラーボックスの内部の温度は、蓄冷材の融点Tm付近に保たれる。このようにして、蓄冷材が蓄冷効果を発揮する。区間Gの終わりで、蓄冷材における結晶が融解して消失する。その結果、蓄冷材は液化する。蓄冷材の温度が融点Tm付近で保持される区間Gの時間が長いほど、蓄冷材の保冷性能が高いと理解される。
その後、液化した蓄冷材の温度は、周囲温度と等しくなるように上昇する。図1における区間Hを参照せよ。
蓄冷材は冷却され、再利用されうる。
蓄冷材は、例えば、以下の条件(I)及び条件(II)を満たしている。蓄冷材がこれらの条件を満たしていると、生鮮品及び食品等の物品の保冷のためのクーラーボックスにおいて蓄冷材が有利に使用されうる。
条件(I):蓄冷材の融点が、生鮮品及び食品等の物品の適正温度と同等である、又は、その適正温度よりも数℃程度低い。
条件(II):蓄冷材の潜熱量が175kJ/リットル(L)以上である。
蓄冷材の融点が、生鮮品及び食品等の物品の適正温度よりも高い、又は、その適正温度より顕著に低い場合、環境温度に応じてクーラーボックスの内部温度が上昇するときに、適正温度を長期間保つことができない。一方、蓄冷材が条件(I)を満たすと、蓄冷材の融点が、生鮮品又は食品の適正温度と同等か数℃低い場合には、適正温度を長く保つことができる。
実施の形態1における蓄冷材が条件(II)を満たしていると、実施の形態1における蓄冷材の潜熱量が他の種類の蓄冷材の潜熱量と同等以上になりやすく、他の種類の蓄冷材に対する競争力が確保されやすい。例えば、5.9℃の融点を有するn‐テトラデカンの潜熱量は175kJ/Lであり、9.9℃の融点を有するn‐ペンタデカンの潜熱量は175kJ/Lであり、18.2℃の融点を有するn‐ヘキサデカンの潜熱量は177kJ/Lである。
この技術分野において、融解熱量は潜熱量とも呼ばれる。
テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートは、例えば、図2に示す、tetra-n-butylammonium-2-ethylbutanoateである。「butanoate」は、ブタノエート又はブタノアートと呼ばれる。テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートは、図3に示す、tetra-n-butylammonium-2-methylpropanoateであってもよい。「propanoate」は、プロパノエート又はプロパノアートと呼ばれる。テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートは、図4に示す、tetra-n-butylammonium-2-n-propylpentanoateであってもよい。「pentanoate」は、ペンタノエート又はペンタノアートと呼ばれる。
蓄冷材において、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの含有量に対する、1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で、望ましくは0.3以上であり、より望ましくは0.5以上であり、さらに望ましくは0.7以上である。その比は、望ましくは1.7以下であり、より望ましくは1.6以下であり、さらに望ましくは1.5以下である。
蓄冷材の融点は、特定の値に限定されない。蓄冷材は、例えば、8.0℃未満の融点を有する。蓄冷材の融点は、例えば、2℃以上である。
蓄冷材の潜熱量は、特定の値に限定されない。蓄冷材の潜熱量は、例えば、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートと水とを含み、1‐プロパノールを含んでいない蓄冷材の潜熱量より大きい。蓄冷材の潜熱量は、例えば182kJ/Lを超えており、望ましくは184kJ/L以上であり、より望ましくは186kJ/L以上であり、さらに望ましくは188kJ/L以上である。蓄冷材の潜熱量は、200kJ/L以上に調整されうる。
蓄冷材において、水の含有量に対する、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの含有量の比は、特定の値に限定されない。その比は、モル基準で、例えば、0.02以上0.04以下である。
テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの含有量に対する、1‐プロパノールの含有量の比がモル基準で0.2以上1.8以下である限り、蓄冷材における1‐プロパノールの含有量は特定の値に限定されない。蓄冷材における1‐プロパノールの含有量は、例えば、モル基準で5%以下である。
蓄冷材は、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレート、水、及び1‐プロパノール以外の成分である添加剤をさらに含有していてもよい。添加剤の例は、過冷却抑制剤、増粘剤、及び防腐剤である。
蓄冷材は、添加剤を含有していなくてもよい。換言すると、蓄冷材は、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレート、水、及び1‐プロパノールのみから構成されていてもよい。
蓄冷材は、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレート、水、及び1‐プロパノールを混合することによって製造されうる。
[1-2.動作]
実施の形態1における蓄冷材について、その動作、作用を説明する。
蓄冷材の使用において、蓄冷と、放冷とが繰り返される。蓄冷において、例えば、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの周囲が水分子で取り囲まれ、カゴ構造を有するセミクラスレートハイドレートが形成される。セミクラスレートハイドレートにおいて、水分子からなるカゴ構造の全てが充填されているわけではなく、空のカゴ構造も存在する。蓄冷材において所定量の1‐プロパノールが存在すると、空のカゴ構造の中に1‐プロパノールが収まることにより、セミクラスレートハイドレートの結晶構造が安定化しやすい。その場合、1‐プロパノールの水酸基が水分子を置換して、1‐プロパノールのアルキル鎖がカゴ構造の中に入っていると考えられるが、詳細な構造は不明である。
セミクラスレートハイドレートのカゴ構造には、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートが配置されていないカゴ構造が含まれうる。テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートによりセミクラスレートハイドレートには歪みが生じると考えられる。このような歪みに対応して、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートが配置されていないカゴ構造に1‐プロパノールが配置され、セミクラスレートハイドレートの結晶構造が安定化しやすいと考えられる。
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、蓄冷材は、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートと、水と、1‐プロパノールと、を備えている。テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートは、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐メチルプロパノエート、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐エチルブタノエート、及びテトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐プロピルペンタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。蓄冷材において、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの含有量に対する、1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で0.2以上1.8以下である。
これにより、蓄冷材の蓄冷において形成されるセミクラスレートハイドレートの結晶構造が安定化しやすく、蓄冷材の融点を低下させつつ潜熱量を増加させやすい。例えば、蓄冷材の融点を8.0℃未満に低下させつつ潜熱量を182kJ/Lより大きくできる。その結果、例えば、蓄冷材を用いて8.0℃未満の温度での長期間の保冷が可能となる。
本実施の形態のように、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートは、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐エチルブタノエートであってもよい。この場合、蓄冷材の蓄冷において形成されるセミクラスレートハイドレートの結晶構造がより安定化しやすく、より蓄冷材の融点を低下させつつ潜熱量を増加させやすい。
本実施の形態において、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートをゲスト物質として有し、かつ、水をホスト物質として有する、セミクラスレートハイドレートを形成することを含む、蓄冷方法を提供できる。この蓄冷方法において、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートは、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐メチルプロパノエート、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐エチルブタノエート、及びテトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐プロピルペンタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。加えて、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの含有量に対する、1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で0.2以上1.8以下である。
(実施の形態2)
以下、図5を用いて、実施の形態2を説明する。
図5は、実施の形態2におけるクーラーボックス100を示す。
クーラーボックス100は、底(図示せず)及び側部を有する断熱ボックス101と、断熱蓋102とを備えている。
例えば、断熱ボックス101の内側の底面、断熱ボックス101の内側の側面、及び断熱蓋102の内側の面からなる群より選択される少なくとも1つに沿って、実施の形態1における蓄冷材が配置されている。図5では、直方体の形状を有する断熱ボックス101の内側の4つの各側面に接するように、実施の形態1における蓄冷材を内包する蓄冷材パック110が設けられている。
実施の形態1における蓄冷材は、断熱ボックス101の底の内部、断熱ボックス101の側部の内部、及び断熱蓋102の内部からなる群より選択される少なくとも1つに配置されてもよい。実施の形態1における蓄冷材は、蓄冷材パック110において内包された状態でクーラーボックス100の内部の空間に配置されていてもよい。クーラーボックス100の内部の空間は、例えば、断熱ボックス101の内側の底面、断熱ボックス101の内側の側面、及び断熱蓋102の内側の面によって形成される空間である。
断熱ボックスの側部、断熱ボックスの断熱蓋、及び断熱ボックス自体からなる群から選択される少なくとも1つの内部に、実施の形態1における蓄冷材が設けられていてもよい。この場合も、実施の形態1における蓄冷材は、蓄冷材パック110において内包された状態で配置されていてもよい。
断熱ボックス101の内部には、例えば、生鮮及び食品からなる群より選択される少なくとも1つである対象物120が入れられる。図5に示す断熱ボックス101の内部には、例えば、対象物120としてアルコール飲料が入れられる。アルコール飲料の例は日本酒である。日本酒の例は、純米酒又は純米吟醸酒である。日本酒の華やかな香り及び旨味を愉しむためには、日本酒を25℃以下で保冷することが求められる。実施の形態2におけるクーラーボックスは、実施の形態1における蓄冷材が25℃以下の融点を有しうるので、日本酒の保冷に適している。生鮮品は、例えば、医薬品、生体組織、細胞、又は花卉等の鮮度保持が求められる品物を含む。
以下の実施例を参照しながら、本開示がより詳細に説明される。
本実施例において、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐エチルブタノエートは、「TBA‐2‐EB」と略記される。TBA‐2‐EBは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドと、2‐エチル酪酸との中和反応により合成された。テトラブチルアンモニウムヒドロキシド及び2‐エチル酪酸は東京化成工業株式会社より購入された。
(実施例1A)
表1に示す通り、1.047g(約0.0029モル)のTBA‐2‐EB、1.953g(約0.1085モル)の純水、及び0.264g(約0.0044モル)の1‐プロパノールが9ミリリットルの容量を有するスクリュー管に入れられ、混合物が得られた。スクリュー管は、ねじのついた蓋を有するガラス管であった。この混合物はスクリュー管の内部で十分に撹拌され、実施例1Aに係る蓄冷材が得られた。実施例1Aに係る蓄冷材におけるTBA‐2‐EBの含有量に対する1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で1.5であった。
(融点および潜熱量の測定)
パーキンエルマージャパン社製の示差走査熱量計DSC-8500を用いて、約10ミリグラムの実施例1Aに係る蓄冷材に対して示差走査熱量測定(DSC)を行った。予めプログラムされた通りに温度調整を行いこの測定を行った。まず、基準物質の温度が摂氏30度に10分間維持された。次いで、基準物質の温度が摂氏1度/1分の速度で低下された。その冷却過程において、蓄冷材の結晶化に伴う温度上昇が発熱ピークとして観測され、その後、蓄冷材の温度はプログラムされた温度に収束した。これにより、蓄冷材の結晶化が完了したことを確認した。基準物質の温度が摂氏マイナス20度に到達した後、基準物質の温度は摂氏マイナス20度で10分間維持された。その後、基準物質の温度は摂氏マイナス20度から摂氏30度まで、摂氏1度/1分の速度で、上昇された。結晶化した蓄冷材の融解が始まると、潜熱分だけ吸熱されるため、温度上昇が停滞した。融解が終了すると、また元のプログラムの温度上昇線に収束した。このときの吸熱ピークの温度を蓄冷材の融点と決定し、吸熱量を蓄冷材の潜熱量と決定した。このように、DSC-8500を用いて、実施例1Aに係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。その結果、実施例1Aに係る蓄冷材の融点は摂氏7.0度であり、実施例1Aに係る蓄冷材の潜熱量は191kJ/Lであった。結果を表1に示す。
(実施例1B)
1‐プロパノールの添加量を0.176g(約0.0029モル)に変更した以外は、実施例1Aと同様にして、実施例1Bに係る蓄冷材を得た。実施例1Bに係る蓄冷材におけるTBA‐2‐EBの含有量に対する1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で1.0であった。実施例1Aと同様にして、実施例1Bに係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表1に示す。
(実施例1C)
1‐プロパノールの添加量を0.0352g(約0.00059モル)に変更した以外は、実施例1Aと同様にして、実施例1Cに係る蓄冷材を得た。実施例1Bに係る蓄冷材におけるTBA‐2‐EBの含有量に対する1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で0.2であった。実施例1Aと同様にして、実施例1Cに係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表1に示す。
(実施例1D)
1‐プロパノールの添加量を0.317g(約0.0053モル)に変更した以外は、実施例1Aと同様にして、実施例1Dに係る蓄冷材を得た。実施例1Dに係る蓄冷材におけるTBA‐2‐EBの含有量に対する1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で1.8であった。実施例1Aと同様にして、実施例1Dに係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表1に示す。
(比較例1)
1‐プロパノールを添加しなかったこと以外は、実施例1Aと同様にして、比較例1に係る蓄冷材を得た。実施例1Aと同様にして、比較例1に係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表1に示す。
(比較例2)
1‐プロパノールの添加量を0.352g(約0.0059モル)に変更した以外は、実施例1Aと同様にして、比較例2に係る蓄冷材を得た。比較例2に係る蓄冷材におけるTBA‐2‐EBの含有量に対する1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で2.0であった。実施例1Aと同様にして、比較例2に係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表1に示す。
(比較例3)
1‐プロパノールの添加量を0.529g(約0.0088モル)に変更した以外は、実施例1Aと同様にして、比較例3に係る蓄冷材を得た。比較例3に係る蓄冷材におけるTBA‐2‐EBの含有量に対する1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で3.0であった。実施例1Aと同様にして、比較例3に係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表1に示す。
(比較例4)
1‐プロパノールの代わりに、0.176g(約0.0029モル)の2‐プロパノールを加えた以外は、実施例1Aと同様にして、比較例4に係る蓄冷材を得た。実施例1Aと同様にして、比較例4に係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表2に示す。
(比較例5)
1‐プロパノールの代わりに、0.217g(約0.0029モル)の1‐ブタノールを加えた以外は、実施例1Aと同様にして、比較例5に係る蓄冷材を得た。実施例1Aと同様にして、比較例5に係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表2に示す。
(比較例6)
1‐プロパノールの代わりに、0.217g(約0.0029モル)の2‐ブタノールを加えた以外は、実施例1Aと同様にして、比較例6に係る蓄冷材を得た。実施例1Aと同様にして、比較例6に係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表2に示す。
(比較例7)
1‐プロパノールの代わりに、0.217g(約0.0029モル)のイソブチルアルコールを加えた以外は、実施例1Aと同様にして、比較例7に係る蓄冷材を得た。実施例1Aと同様にして、比較例7に係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表2に示す。
(比較例8)
1‐プロパノールの代わりに、0.217g(約0.0029モル)のtert-ブチルアルコールを加えた以外は、実施例1Aと同様にして、比較例8に係る蓄冷材を得た。実施例1Aと同様にして、比較例8に係る蓄冷材の融点及び潜熱量が測定された。結果を表2に示す。
1‐プロパノールが添加された、各実施例に係る蓄冷材並びに比較例2及び3に係る蓄冷材の融点及び潜熱量を、1‐プロパノールが添加されていない、比較例1に係る蓄冷材の融点及び潜熱量と対比した。加えて、1‐プロパノール以外のアルコールが添加された、比較例4から8に係る蓄冷材の融点及び潜熱量を、比較例1に係る蓄冷材の融点及び潜熱量と対比した。
比較例1に係る蓄冷材の融点(摂氏8.0度)より低い融点を有し、かつ、比較例1に係る蓄冷材の潜熱量(182kJ/L)より大きい潜熱量を有する蓄冷材を「A」と評価し、それ以外の蓄冷材を「C」と評価した。評価の結果を表1に示す。
Figure 2023060486000001
Figure 2023060486000002
表1に示す通り、各実施例に係る融点は比較例1に係る蓄冷材の融点より低い。加えて、各実施例に係る蓄冷材の潜熱量は比較例1に係る蓄冷材の潜熱量より大きい、このため、蓄冷材において、TBA‐2‐EBの含有量に対する1‐プロパノールの含有量の比がモル基準で0.2以上1.8以下であることは、蓄冷材の潜熱量の増加及び融点の降下の観点から有利であると理解される。
比較例2及び3によれば、蓄冷材において、TBA‐2‐EBの含有量に対する1‐プロパノールの含有量の比がモル基準で2.0以上であると、蓄冷材の融点が低くなりやすい。しかし、この場合、蓄冷材の潜熱量は比較例1に係る蓄冷材の潜熱量に比べて小さくなる。
表2に示す通り、比較例4から8に係る蓄冷材の潜熱量は、140kJ/L以下であり、比較例1に係る蓄冷材の潜熱量よりも低かった。1‐プロパノールの代わりに、2‐プロパノール、1‐ブタノール、2‐ブタノール、イソブチルアルコール、又はtert-ブチルアルコールを添加しても蓄冷材の潜熱量を大きくすることは難しいことが理解される。
以上のように、各実施例に係る蓄冷材は、各比較例に係る蓄冷材と比べて、潜熱量の増加及び融点の降下の観点から有利である。このため、所望の温度での長期間の保冷に有利な蓄冷材を提供できる。
本開示による蓄冷材は、医薬品、生体組織、細胞、食品、及び花卉等の鮮度保持が求められる対象物の貯蔵、保管、又は輸送のために用いられうる。
100 クーラーボックス
101 断熱ボックス
102 断熱蓋
110 蓄冷材パック
120 対象物

Claims (3)

  1. テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐メチルプロパノエート、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐エチルブタノエート、及びテトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐プロピルペンタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1つのテトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートと、
    水と、
    1‐プロパノールと、を備え、
    前記テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの含有量に対する、前記1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で0.2以上1.8以下である、
    蓄冷材。
  2. 前記テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートは、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐エチルブタノエートを含む、請求項1に記載の蓄冷材。
  3. テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートをゲスト物質として有し、かつ、水をホスト物質として有する、セミクラスレートハイドレートを形成することを含み、
    前記テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートは、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐メチルプロパノエート、テトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐エチルブタノエート、及びテトラ‐n‐ブチルアンモニウム‐2‐プロピルペンタノエートからなる群より選ばれる少なくとも1つのテトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートからなる群より選ばれる少なくとも1つを含み、
    前記テトラ‐n‐ブチルアンモニウムカルボキシレートの含有量に対する、1‐プロパノールの含有量の比は、モル基準で0.2以上1.8以下である、
    蓄冷方法。
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