JP2023059834A - アニオン捕捉機能を有する含水酸化チタン及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】封止材用樹脂組成物に含有することのできる、比表面積が大きく、かつ全細孔容積が一定以上であるアニオン捕捉機能に優れた含水酸化チタンを提供する。【解決手段】アニオン捕捉機能を有する含水酸化チタンであって、比表面積が100m2/g以上であり、かつ全細孔容積が0.2cm3/g以上である含水酸化チタン。【選択図】なし

Description

本発明は、アニオン捕捉機能を有する含水酸化チタン及びその製造方法に関する。
半導体素子等の電子部品は、封止材用樹脂組成物を用いて封止されていることが多く、当該組成物としてエポキシ樹脂に種々の材料を含むものが知られている。特許文献1には、含水酸化ジルコニウム、含水酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の無機陰イオン交換体、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤および赤リン系難燃剤からなることを特徴とする難燃性電子部品封止用樹脂組成物が記載されている。これによれば、ハロゲン化合物とアンチモン化合物の一部又は全部を使用することなく、優れた難燃性と高い耐湿信頼性を示す難燃性電子部品封止用樹脂組成物であるとされている。また、当該樹脂組成物に含まれる無機陰イオン交換体は、樹脂組成物中の陰イオン性不純物を捕捉し、封止材の性能を長期間維持するために機能するとされている。
また、硫酸イオンを除去する方法として、特許文献2には、硫酸イオンを含有するアルカリ金属塩化物水溶液と水酸化チタンとをスラリー状態で酸性の条件下に接触させることにより、該水溶液中の硫酸イオンをイオン交換反応によって該水酸化チタンに吸着せしめたのち、硫酸イオンを吸着せしめた該水酸化チタンを該水溶液から分離し、さらに別の水性液中に分散させてアルカリと反応させることにより該水性液中に硫酸イオンを脱着させることを特徴とするアルカリ金属塩化物水溶液から硫酸イオンを除去する方法が記載されている。これによれば、塩酸と水酸化アルカリを用いて塩水中から硫酸イオンのみを選択的に除去できるため、従来法と比べてコストが安いという利点を有するとされている。しかしながら、特許文献1及び2のように、硫酸イオン等の陰イオンを捕捉する含水酸化チタンであっても、当該含水酸化チタンの物性によってはアニオン捕捉機能が不十分となる場合があり、更なる改善が求められていた。
特開2003-147168号公報 特開平4-338110号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、封止材用樹脂組成物に含有することのできる、比表面積が大きく、かつ全細孔容積が一定以上であるアニオン捕捉機能に優れた含水酸化チタンを提供することを目的とするものである。
上記課題は、アニオン捕捉機能を有する含水酸化チタンであって、比表面積が100m/g以上であり、かつ全細孔容積が0.2cm/g以上であることを特徴とする含水酸化チタンを提供することによって解決される。
このとき、X線回折測定において、回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピーク強度が検出されないか、あるいは回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピークの半値幅が1.0°以上であることが好適であり、平均2次粒子径が100μm以下であることが好適である。
昇温前の重量を基準として、100℃で2時間保持した後の重量から算出された重量減少率A%と、250℃で2時間保持した後の重量から算出された重量減少率B%とが、以下の式(I)を満たす含水酸化チタンであることが好適な実施態様である。
B-A≦15 (I)
イオン性不純物の含有量が4.0重量%以下、または塩素含有量が200ppm以下であることが好適であり、硫酸イオン捕捉容量が0.20meq/g以上であることが好適であり、塩化物イオン捕捉容量が0.02meq/g以上であることが好適である。ケイ素化合物が配合されてなることが好適な実施態様であり、ケイ素化合物で被覆されてなることが好適な実施態様である。また、当該含水酸化チタンを含有する封止材用樹脂組成物であることが好適な実施態様である。
また、上記課題は、チタン含有酸性水溶液を出発原料とし、前記チタン含有酸性水溶液と5~98℃の水と塩基性水溶液とを混合して含水酸化チタン沈殿物を得る工程を行い、前記チタン沈殿物をろ過してろ液の電導度が2000μS/cm以下になるまで洗浄する工程を行い、100~450℃で乾燥する工程を行い、乾燥後の含水酸化チタン粉体を粉砕する工程を行うことを特徴とする含水酸化チタンの製造方法を提供することによっても解決される。
更に、上記課題は、チタンアルコキシドを出発原料とし、前記チタンアルコキシドを含むアルコール混合溶液に対し、前記チタンアルコキシドと水のモル比(水/チタンアルコキシド)が0.1以上となるように水を添加して得られる含水酸化チタン沈殿物を得る工程を行い、前記沈殿物をろ過する工程を行い、60~450℃で乾燥する工程を行い、乾燥後の含水酸化チタン粉体を粉砕する工程を行うことを特徴とする含水酸化チタンの製造方法を提供することによっても解決される。
本発明により、比表面積が大きく、かつ全細孔容積が一定以上であるアニオン捕捉機能に優れた含水酸化チタンを提供することができる。当該含水酸化チタンは腐食防止効果に優れるため、当該含水酸化チタンを含有する封止材用樹脂組成物として好適に用いることができる。
本発明の含水酸化チタンは、アニオン捕捉機能を有する含水酸化チタンであって、比表面積が100m/g以上であり、かつ全細孔容積が0.2cm/g以上であることを特徴とする。このように、比表面積が一定以上であり、かつ全細孔容積が一定以上である構成を満たすことにより、アニオン捕捉機能に優れた含水酸化チタンとなることが明らかとなった。後述する実施例と比較例との対比から明らかなように、比表面積が100m/g未満の比較例では、硫酸イオン捕捉容量が0.19meq/g以下、塩化物イオン捕捉容量が0.01meq/g以下であり、アニオン捕捉機能が不十分であった。これに対し、比表面積が一定以上、かつ全細孔容積が一定以上の実施例では、硫酸イオン捕捉容量が低いものでも0.23meq/gであり、塩化物イオン捕捉容量が低いものでも0.05meq/gであり、アニオン捕捉機能に優れた含水酸化チタンであることが分かる。
本発明の含水酸化チタンにおいて、硫酸イオン捕捉容量が0.20meq/g未満の場合、アニオン捕捉機能が不十分となるため、硫酸イオン捕捉容量が0.20meq/g以上であることが好ましく、0.50meq/g以上であることがより好ましく、0.80meq/g以上であることが更に好ましく、1.10meq/g以上であることが特に好ましく、1.30meq/g以上であることが最も好ましい。硫酸イオン捕捉容量は、通常、10meq/g以下である。なお、硫酸イオン捕捉容量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の含水酸化チタンにおいて、塩化物イオン捕捉容量が0.02meq/g未満の場合、アニオン捕捉機能が不十分となるため、塩化物イオン捕捉容量が0.02meq/g以上であることが好ましく、0.06meq/g以上であることがより好ましく、0.10meq/g以上であることが更に好ましく、0.15meq/g以上であることが特に好ましく、0.25meq/g以上であることが最も好ましい。塩化物イオン捕捉容量は、通常、2meq/g以下である。なお、塩化物イオン捕捉容量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の含水酸化チタンにおいて、硝酸イオン捕捉容量が0.02meq/g未満の場合、アニオン捕捉機能が不十分となるため、硝酸イオン捕捉容量が0.02meq/g以上であることが好ましく、0.05meq/g以上であることがより好ましく、0.10meq/g以上であることが更に好ましく、0.12meq/g以上であることが特に好ましく、0.20meq/g以上であることが最も好ましい。硝酸イオン捕捉容量は、通常、2meq/g以下である。なお、硝酸イオン捕捉容量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の含水酸化チタンにおいて、リン酸イオン捕捉容量が0.20meq/g未満の場合、アニオン捕捉機能が不十分となるため、リン酸イオン捕捉容量が0.20meq/g以上であることが好ましく、0.50meq/g以上であることがより好ましく、0.80meq/g以上であることが更に好ましく、1.10meq/g以上であることが特に好ましく、1.30meq/g以上であることが最も好ましい。リン酸イオン捕捉容量は、通常、10meq/g以下である。なお、リン酸イオン捕捉容量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の含水酸化チタンにおいて、酢酸イオン捕捉容量が0.02meq/g未満の場合、アニオン捕捉機能が不十分となるため、酢酸イオン捕捉容量が0.02meq/g以上であることが好ましく、0.04meq/g以上であることがより好ましく、0.10meq/g以上であることが更に好ましく、0.12meq/g以上であることが特に好ましく、0.15meq/g以上であることが最も好ましい。酢酸イオン捕捉容量は、通常、1meq/g以下である。なお、酢酸イオン捕捉容量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の含水酸化チタンにおいて、比表面積は100m/g以上である。比表面積が100m/g未満の場合、アニオン捕捉機能が不十分となる。比表面積は、140m/g以上であることが好ましく、170m/g以上であることがより好ましく、200m/g以上であることが更に好ましく、250m/g以上であることが特に好ましく、310m/g以上であることが最も好ましい。一方、当該含水酸化チタンを封止材用樹脂組成物に配合した際の著しい粘度上昇を抑制する観点から、比表面積は、550m/g以下であることが好ましく、520m/g以下であることがより好ましく、480m/g以下であることが更に好ましく、450m/g以下であることが特に好ましい。本発明における比表面積(m/g)は、圧力pにおいてN分子が固体表面に吸着するときのガス吸着量vと、p/p(相対圧p:飽和水蒸気圧)との関係(吸着等温線)に対し、BET理論を適用することにより求められる。
本発明の含水酸化チタンにおいて、全細孔容積は0.2cm/g以上である。全細孔容積が0.2cm/g未満の場合、アニオン捕捉機能が不十分となる。全細孔容積は、0.3cm/g以上であることが好ましく、0.4cm/g以上であることがより好ましく、0.6cm/g以上であることが更に好ましく、0.8cm/g以上であることが特に好ましい。一方、全細孔容積は、通常、2.5cm/g以下であり、2.2cm/g以下であることが好ましい。本発明における全細孔容積(cm/g)は、相対圧p/pにおけるNガス吸着量を液体状態のNの体積に換算することにより求められる。
本発明の含水酸化チタンにおいて、平均2次粒子径が100μm以下であることが好ましい。平均2次粒子径が100μmを超える場合、樹脂組成物に配合した場合に含水酸化チタンに由来する傷痕が生じるおそれがあり、平均2次粒子径は、90μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更に好ましく、45μm以下であることが特に好ましく、35μm以下であることが最も好ましい。一方、平均2次粒子径は、通常、1μm以上であり、4μm以上であることが好ましく、6μm以上であることがより好ましい。本発明における平均2次粒子径は、後述する実施例に記載のように、粒度分布を測定し、得られた粒度分布から50%体積累積粒径を算出することにより求められる。
本発明の含水酸化チタンにおいて、X線回折測定を行った際に、回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピーク強度が検出されないか、あるいは回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピークの半値幅が1.0°以上である構成を満たすことが好適な実施態様である。ここで、回折ピーク強度が検出されないとは、ピーク強度が200count以下であることをいう。後述する実施例と比較例との対比から明らかなように、回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピークの半値幅が0.9°以下の比較例では、アニオン捕捉機能が不十分であったのに対し、回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピーク強度が検出されないか、あるいは回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピークの半値幅が1.0°以上である実施例では、アニオン捕捉機能に優れることが分かる。したがって、X線回折測定を行った際に、回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピーク強度が検出されないか、あるいは回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピークの半値幅が1.0°以上である構成を満たす含水酸化チタンであることが本発明の好適な実施態様である。なお、X線回折測定を行った際に、回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピーク強度が検出されない構成を満たす含水酸化チタンは、オルソチタン酸である。また、回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピークの半値幅は、1.1°以上であることがより好ましく、1.2°以上であることが更に好ましい。当該半値幅は、通常、2.0°以下である。
本発明の含水酸化チタンにおいて、昇温前の重量を基準として、100℃で2時間保持した後の重量から算出された重量減少率A%と、250℃で2時間保持した後の重量から算出された重量減少率B%とが、以下の式(I)を満たすことが好適な実施態様である。
B-A≦15 (I)
上記式(I)の重量減少率の差であるB-Aが15を超える場合、樹脂組成物に配合した場合に含水酸化チタンに含まれる結晶水により空隙が生じて悪影響を及ぼすおそれがある。上記式(I)におけるB-Aは14以下であることがより好ましく、13以下であることが更に好ましく、10以下であることが特に好ましい。一方、上記式(I)におけるB-Aは、通常、0.1以上である。
本発明の含水酸化チタンにおいて、イオン性不純物の含有量が4.0重量%以下であることが好ましい。本発明においてイオン性不純物とは、硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、炭酸イオン等の陰イオン及びナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン等の陽イオンからなる群から選択される少なくとも1種のことをいう。イオン性不純物の含有量が4.0重量%を超える場合、腐食防止効果が得られないおそれがあり、イオン性不純物の含有量は、3.0重量%以下であることがより好ましく、2.0重量%以下であることが更に好ましく、1.0重量%以下であることが特に好ましく、0.5重量%以下であることが最も好ましい。一方、イオン性不純物の含有量は、通常、0.01重量%以上である。上記イオン性不純物における陰イオンはイオンクロマトグラフィーにより求められ、陽イオンについてはICP発光分光分析により求められる。
本発明の含水酸化チタンにおいて、塩素含有量が200ppm以下であることが好ましい。塩素含有量が200ppmを超える場合、腐食防止効果が得られないおそれがあり、塩素含有量は、180ppm以下であることがより好ましく、150ppm以下であることが更に好ましく、120ppm以下であることが特に好ましい。一方、塩素含有量は、通常、10ppm以上である。
本発明の含水酸化チタンにおいて、ケイ素化合物が配合されてなることが好適な実施態様であり、ケイ素化合物で含水酸化チタンが被覆されてなることがより好適な実施態様である。このように、ケイ素化合物が配合又は被覆されてなることにより、含水酸化チタンが疎水化され、樹脂組成物に配合した場合の粘性上昇を抑えることが可能となる。ケイ素化合物の被覆量としては、含水酸化チタン100重量部に対して、0.2~20重量部であることが好ましく、1~15重量部であることがより好ましい。ケイ素化合物としては特に限定されず、公知の化合物を使用することができる。
本発明の含水酸化チタンには、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分が含まれていても構わない。例えば、含水酸化チタンを製造する際の原料に由来する成分等が挙げられる。当該原料である硫酸チタニル水溶液に由来する成分としてニオブ(Nb)があり、かかるニオブ(Nb)の含有量としては、2.0モル%以下であることが好ましい。
本発明の含水酸化チタンの製造方法としては特に限定されない。チタン含有酸性水溶液を出発原料とし、前記チタン含有酸性水溶液と5~98℃の水と塩基性水溶液とを混合して含水酸化チタン沈殿物を得る工程(以下、「中和工程1」と略記することがある)を行い、前記沈殿物をろ過してろ液の電導度が2000μS/cm以下になるまで洗浄する工程(以下、「ろ過・洗浄工程1」と略記することがある)を行い、100~450℃で乾燥する工程(以下、「乾燥工程1」と略記することがある)を行い、乾燥後の含水酸化チタン粉体を粉砕する工程(以下、「粉砕工程1」と略記することがある)をこの順番で行うことによって、本発明の含水酸化チタンを好適に得ることができる。
中和工程1で使用されるチタン含有酸性水溶液としては、硫酸チタニル、四塩化チタン、硝酸チタン、酢酸チタン等のチタン化合物を含む水溶液が好適に採用される。また、塩基性水溶液としては、アンモニア水、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、tert-ブチルアミン等が好適に採用される。チタン含有酸性水溶液に含まれるチタン化合物の濃度としては、TiOとして50~350g/Lであることが好ましい。中和工程1では、チタン含有酸性水溶液と5~98℃の水と塩基性水溶液とを混合することにより、含水酸化チタン沈殿物が得られる。比表面積が大きく、かつ全細孔容積が一定以上の含水酸化チタンを得る観点から、5~98℃の水を攪拌中に、チタン含有酸性水溶液と塩基性水溶液とをそれぞれpH7~9を保持しながら一定時間で同時に添加し終わるように滴下することが好適な実施態様である。より比表面積が大きく、かつ全細孔容積が一定以上の含水酸化チタンを得る観点から、前記pHは7.2以上であることがより好ましく、7.3以上であることが更に好ましく、7.4以上であることが特に好ましい。一方、前記pHは8.6以下であることがより好ましく、8.2以下であることが更に好ましく、7.9以下であることが特に好ましく、7.7以下であることが最も好ましい。また、前記一定時間としては特に限定されず、10分~12時間が好ましく、12分~10時間がより好ましく、1~5時間が更に好ましい。このとき、使用される水としては、イオン交換水、蒸留水又は純水が好ましく、水の温度を5~98℃に保持したままチタン含有酸性水溶液と塩基性水溶液とが混合される。比表面積の大きい含水酸化チタンを得る観点から、10℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることが更に好ましく、60℃以上であることが特に好ましく、80℃以上であることが最も好ましい。
中和工程1において、粒子成長を抑制して高比表面積・高細孔容積の含水酸化チタンを得る観点から、中和が完了した際のスラリーの固形分濃度は、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましい。一方、スラリーの固形分濃度は、通常、1%以上であり、2%以上であることが好ましい。なお、当該スラリーの固形分濃度は、100℃の乾燥条件下で測定した乾燥固形分から算出することにより求められる。
ろ過・洗浄工程1では、中和工程1で得られた含水酸化チタン沈殿物を公知の方法でろ過し、ろ液の電導度が2000μS/cm以下になるまで洗浄することが好ましい。ろ液の電導度が2000μS/cm以下になるまで洗浄することにより、アニオン捕捉機能に優れるとともに、腐食防止効果に優れる含水酸化チタンが得られる利点を有する。当該電導度は、1500μS/cm以下であることがより好ましく、1000μS/cm以下であることが更に好ましく、650μS/cm以下であることが特に好ましく、500μS/cm以下であることが最も好ましい。
乾燥工程1では、100~450℃で乾燥して含水酸化チタン粉体を得ることが好ましい。このことにより、含水酸化チタンに含まれる結晶水が少なくなることで上記式(I)の重量減少率の差であるB-Aの値を小さくすることができ、樹脂組成物に配合した場合に空隙が生じて悪影響を及ぼすことを防止できる利点を有する。乾燥温度が100℃未満の場合、上記式(I)の重量減少率の差であるB-Aの値が大きくなり、樹脂組成物に配合した場合に空隙が生じて悪影響を及ぼすおそれがある。かかる観点から、乾燥温度は、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることが更に好ましい。一方、乾燥温度が450℃を超える場合、比表面積が小さくなり、回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピークの半値幅も一定以下となり、アニオン捕捉機能が低下するおそれがある。かかる観点から、乾燥温度は、450℃以下であることがより好ましく、350℃以下であることが更に好ましい。
粉砕工程1では、乾燥後の含水酸化チタン粉体を公知の粉砕機等で粉砕することが好ましい。粉砕機としては、特に限定されず、超遠心粉砕機、ボールミル、ジェットミル、ライカイ機等を用いることができる。当該粉砕により、平均2次粒子径が一定以下の含水酸化チタンを得ることができ、上述で説明した平均2次粒子径の値が好適に採用される。超遠心粉砕機で粉砕する場合、ローター回転数を4000rpm以上で粉砕することが好ましく、7000rpm以上で粉砕することがより好ましく、9000rpm以上で粉砕することが更に好ましく、13000rpm以上で粉砕することが特に好ましい。
本発明の含水酸化チタンにおいて、ケイ素化合物が配合されてなることが好適な実施態様である。ケイ素化合物を配合するタイミングとしては特に限定されず、中和工程1の後、ろ過・洗浄工程1の後、又は乾燥工程1の後に適宜配合される。中でも、ろ過・洗浄工程1の後、又は乾燥工程1の後にケイ素化合物を配合することが好ましく、乾燥工程1の後にケイ素化合物を配合することがより好ましい。用いられるケイ素化合物としては特に限定されず、公知の化合物を使用することができる。
また、本発明の含水酸化チタンの製造方法として、チタンアルコキシドを出発原料とし、チタンアルコキシドを含むアルコール混合溶液に対し、前記チタンアルコキシドと水のモル比(水/チタンアルコキシド)が0.1以上となるように水を添加して含水酸化チタン沈殿物を得る工程(以下、「中和工程2」と略記することがある)を行い、前記沈殿物をろ過する工程(以下、「ろ過工程2」と略記することがある)を行い、60~450℃で乾燥する工程(以下、「乾燥工程2」と略記することがある)を行い、乾燥後の含水酸化チタン粉体を粉砕する工程(以下、「粉砕工程2」と略記することがある)をこの順番で行うことによっても、本発明の含水酸化チタンを好適に得ることができる。
中和工程2では、チタンアルコキシドを含むアルコール混合溶液に対し、前記チタンアルコキシドと水のモル比(水/チタンアルコキシド)が0.1以上となるように水を添加して含水酸化チタン沈殿物を得ることが好ましい。このことにより、含水酸化チタンに含まれる結晶水が少なくなることで上記式(I)の重量減少率の差であるB-Aの値を小さくすることができ、樹脂組成物に配合した場合に空隙が生じて悪影響を及ぼすことを防止できる利点を有する。前記モル比(水/チタンアルコキシド)が0.1未満の場合、含水酸化チタン沈殿物が得られないおそれがあり、前記モル比(水/チタンアルコキシド)は0.15以上であることがより好ましく、0.2以上であることが更に好ましく、0.25以上であることが特に好ましい。一方、前記モル比(水/チタンアルコキシド)は、通常、10以下であり、8以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましく、4以下であることが更に好ましい。用いられるチタンアルコキシドとしては、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn-ブトキシド等が挙げられる。
ろ過工程2では、中和工程2で得られた含水酸化チタン沈殿物を公知の方法でろ過し、60~450℃で乾燥する乾燥工程2を行うことが好ましい。次いで、乾燥後の含水酸化チタン粉体を公知の粉砕機等で粉砕する粉砕工程2を行うことが好ましい。粉砕工程2としては、上記粉砕工程1と同様の方法が好適に採用される。
上述のようにして得られる本発明の含水酸化チタンは、比表面積が大きく、かつ全細孔容積が一定以上であるアニオン捕捉機能に優れた含水酸化チタンを提供することができる。当該含水酸化チタンは腐食防止効果に優れるため、当該含水酸化チタンを含有する封止材用樹脂組成物として好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
(1)比表面積、全細孔容積
マイクロトラック・ベル株式会社製「BELSORP mini」を用いて、比表面積と全細孔容積を測定した。測定前において、含水酸化チタンに物理吸着している水分などを取り除くため、前処理として真空排気しながら加熱した。
(2)X線回折ピークの半値幅
PANalytical社製「X’pert-PRO」を用いて、X線回折ピークの半値幅を測定した。Cu-Kα線を使用し、X線出力が45kVおよび40mAである条件で測定した。得られたX線回折パターンのうち、25.3±0.5°のX線回折ピークの半値幅を算出した。また、ピーク強度が200count以下であるものは、ピークの検出ができないもの(未検出)とした。
(3)平均2次粒子径
日機装株式会社製「マイクロトラックMT3000」を用いて、含水酸化チタンの平均2次粒子径を測定した。測定溶媒を純水として、含水酸化チタンを入れた懸濁液を30Wで30秒間超音波処理した後、粒度分布を測定した。得られた粒度分布から50%体積累積粒径を算出し、これを平均2次粒子径とした。
(4)重量減少率
日立ハイテクサイエンス社製の「TG/DTA7300」を用いて、重量減少率を算出した。10mgの含水酸化チタンを200mL/分の空気流の測定雰囲気で30℃から100℃まで5℃/分の速度で昇温した。昇温前の重量を基準として、2時間温度を保持した後の重量から重量減少率A(%)を算出した。その後、250℃まで5℃/分の速度で昇温し、昇温前の重量を基準として、2時間温度を保持した後の重量から重量減少率B(%)を算出した。AとBの差により重量減少率B-A(%)を求めた。
(5)硫酸イオン捕捉容量
0.5gの含水酸化チタンを100mLのポリプロピレン製の瓶に入れ、さらに0.1mol/L硫酸水溶液を50mL投入し、密栓して25℃で20時間振とうした。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターでこの溶液を濾過し、下記イオンクロマトグラフィー分析条件により濾液中の硫酸イオン濃度(mg/L)を測定した。また、含水酸化チタンを入れないで同様の操作を行って硫酸イオン濃度(mg/L)を測定した上で、下記式(II)により硫酸イオン捕捉容量(meq/g)を求めた。
[イオンクロマトグラフィー分析条件]
測定機器:Dionex社製 ICS-2100
分離カラム:Dionex社製 IonPacAS11
ガードカラム:Dionex社製 IonPacAG11
溶離液:12mM KOH水溶液
流量:1.0ml/min
サプレッサー:ADRS-600(リサイクルモード)
硫酸イオン捕捉容量(meq/g)=[含水酸化チタンを入れていない硫酸水溶液中の硫酸イオン濃度(mg/L)-含水酸化チタンを入れて硫酸イオンを捕捉した後の硫酸水溶液中の硫酸イオン濃度(mg/L)]×50/1000(L)÷硫酸イオンのモル質量(g/mol)×イオンの価数÷使用した含水酸化チタンの質量(g) (II)
(6)塩化物イオン捕捉容量
0.5gの含水酸化チタンを100mLのポリプロピレン製の瓶に入れ、さらに0.1mol/L塩酸水溶液を50mL投入し、密栓して25℃で20時間振とうした。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターでこの溶液を濾過し、上記イオンクロマトグラフィー分析条件により濾液中の塩化物イオン濃度(mg/L)を測定した。また、含水酸化チタンを入れないで同様の操作を行って塩化物イオン濃度(mg/L)を測定した上で、下記式(III)により塩化物イオン捕捉容量(meq/g)を求めた。
塩化物イオン捕捉容量(meq/g)=[含水酸化チタンを入れていない塩酸水溶液中の塩酸イオン濃度(mg/L)-含水酸化チタンを入れて塩化物イオンを捕捉した後の塩酸水溶液中の塩酸イオン濃度(mg/L)]×50/1000(L)÷塩化物イオンのモル質量(g/mol)×イオンの価数÷使用した含水酸化チタンの質量(g) (III)
(7)硝酸イオン捕捉容量
0.5gの含水酸化チタンを100mLのポリプロピレン製の瓶に入れ、さらに0.1mol/L硝酸水溶液を50mL投入し、密栓して25℃で20時間振とうした。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターでこの溶液を濾過し、上記イオンクロマトグラフィー分析条件により濾液中の硝酸イオン濃度(mg/L)を測定した。また、含水酸化チタンを入れないで同様の操作を行って硝酸イオン濃度(mg/L)を測定した上で、下記式(IV)により硝酸イオン捕捉容量(meq/g)を求めた。
硝酸イオン捕捉容量(meq/g)=[含水酸化チタンを入れていない硝酸水溶液中の硝酸イオン濃度(mg/L)-含水酸化チタンを入れて硝酸イオンを捕捉した後の硝酸水溶液中の硝酸イオン濃度(mg/L)]×50/1000(L)÷硝酸イオンのモル質量(g/mol)×イオンの価数÷使用した含水酸化チタンの質量(g) (IV)
(8)リン酸イオン捕捉容量
0.5gの含水酸化チタンを100mLのポリプロピレン製の瓶に入れ、さらに0.1mol/Lリン酸水溶液を50mL投入し、密栓して25℃で20時間振とうした。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターでこの溶液を濾過し、上記イオンクロマトグラフィー分析条件により濾液中のリン酸イオン濃度(mg/L)を測定した。また、含水酸化チタンを入れないで同様の操作を行ってリン酸イオン濃度(mg/L)を測定した上で、下記式(V)によりリン酸イオン捕捉容量(meq/g)を求めた。
リン酸イオン捕捉容量(meq/g)=[含水酸化チタンを入れていないリン酸水溶液中のリン酸イオン濃度(mg/L)-含水酸化チタンを入れてリン酸イオンを捕捉した後のリン酸水溶液中のリン酸イオン濃度(mg/L)]×50/1000(L)÷リン酸イオンのモル質量(g/mol)×イオンの価数÷使用した含水酸化チタンの質量(g) (V)
(9)酢酸イオン捕捉容量
0.5gの含水酸化チタンを100mLのポリプロピレン製の瓶に入れ、さらに0.1mol/L酢酸水溶液を50mL投入し、密栓して25℃で20時間振とうした。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターでこの溶液を濾過し、上記イオンクロマトグラフィー分析条件により濾液中の酢酸イオン濃度(mg/L)を測定した。また、含水酸化チタンを入れないで同様の操作を行って酢酸イオン濃度(mg/L)を測定した上で、下記式(VI)により酢酸イオン捕捉容量(meq/g)を求めた。
酢酸イオン捕捉容量(meq/g)=[含水酸化チタンを入れていない酢酸水溶液中の酢酸イオン濃度(mg/L)-含水酸化チタンを入れて酢酸イオンを捕捉した後の酢酸水溶液中の酢酸イオン濃度(mg/L)]×50/1000(L)÷酢酸イオンのモル質量(g/mol)×イオンの価数÷使用した含水酸化チタンの質量(g) (VI)
(10)エポキシ樹脂中での硫酸イオンの捕捉率
60部の球状シリカ、19.5部のビスフェノールエポキシ樹脂(エポキシ当量190)、19.5部の酸無水物系硬化剤(メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、分子量178)、1部の含水酸化チタン、0.1部の3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、0.04部の硬化加速剤(2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール)を配合し、これを自転公転式ミキサー(株式会社THINKY製「あわとり練太郎ARE-400TWIN」)で混合した。混合した樹脂をポリプロピレン製の容器に入れ100℃で硬化させたのち粉砕した。粉砕素材5gに対しイオン交換水50gを加え、120℃、20時間の条件下で硫酸イオンを抽出した。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターでこの溶液を濾過し、上記イオンクロマトグラフィー分析条件により濾液中の硫酸イオン濃度(mg/L)を測定した。この硫酸イオン濃度に対して含水酸化チタンを入れないで同様の操作を行って硫酸イオン濃度を測定した値を除することで硫酸イオンの捕捉率を評価した。
(11)シリコーンゴム中での硫酸イオンの捕捉率
98.4部のシリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、KE-12)、0.5部の硬化剤(信越化学工業株式会社製、CAT-RM)、1部の含水酸化チタン、0.1部の3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを配合し、これを自転公転式ミキサー(株式会社THINKY製「あわとり練太郎ARE-400TWIN」)で混合した。混合したゴムをポリプロピレン製の容器に入れ25℃で硬化させたのち粉砕した。粉砕素材5gに対しイオン交換水50gを加え、120℃、20時間の条件下で硫酸イオンを抽出した。その後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターでこの溶液を濾過し、上記イオンクロマトグラフィー分析条件により濾液中の硫酸イオン濃度(mg/L)を測定した。この硫酸イオン濃度に対して含水酸化チタンを入れないで同様の操作を行って硫酸イオン濃度を測定した値を除することで硫酸イオンの捕捉率を評価した。
(12)イオン性不純物含有量
5.0gの含水酸化チタンを100mLのポリテトラフルオロエチレン製の密閉耐圧容器に入れ、さらに50mLの純水を投入して、密閉して125℃で20時間処理を行った。冷却後、ポアサイズ0.1μmのメンブレンフィルターでこの溶液を濾過し、濾液中の塩化物イオン濃度、硝酸イオン濃度および硫酸イオン濃度を上記イオンクロマトグラフィー分析条件により測定した。また、ナトリウムイオン濃度とカリウムイオン濃度はICP発光分光分析装置で測定した。それぞれの測定値の合計を1/1000倍した値をイオン性不純物含有量(重量%)とした。
(13)分散性評価
60部のビスフェノールエポキシ樹脂(エポキシ当量190)と40部の含水酸化チタンを自転公転式ミキサー(株式会社THINKY製「あわとり練太郎ARE-400TWIN」)で混合した。この混合物をグラインドメーター(太佑機材株式会社製「No.109」)上に載せ、金属スクレーパーでゲージ上の混合物をかき取り、スクレーパーの運動により生じた粒状痕が、3mm幅の帯の中に5~10個の点が発生した位置の目盛りを読み取った。
(14)気泡(ボイド)数
50部のビスフェノールエポキシ樹脂(エポキシ当量190)、50部の酸無水物系硬化剤(メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、分子量178)、50部の球状シリカ、1部の硬化加速剤(2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール)、1部の含水酸化チタンを配合し、これを自転公転式ミキサー(株式会社THINKY製「あわとり練太郎ARE-400TWIN」)で混合した。混合した樹脂をポリプロピレン製の容器に入れ、100℃で硬化させ、硬化樹脂組成物を得た。得られたそれぞれの硬化樹脂組成物について光学顕微鏡にて5mm四方中に存在する気泡(ボイド)数を観察した。
(15)腐食性評価
含水酸化チタンにイオン交換水を加えて固形分70%のペーストにし、2cm四方の銅箔に塗布した。これをエスペック株式会社製のハイパワー恒温恒湿器に温度130℃、相対湿度85%の条件で2日間置き、塗布面の腐食状態を確認した。腐食が確認されなかった場合を○、腐食が確認され、腐食部面積が1mm未満の場合を△、1mm以上の場合を×と評価した。
実施例1
25℃のイオン交換水500mLを攪拌中に、硫酸チタニル水溶液(テイカ株式会社製TM溶液、TiO含有量:248g/L)200mLと濃度28質量%のアンモニア水(富士フィルム和光純薬株式会社製)250mLを添加し、沈殿物を得た。この時、硫酸チタニル水溶液とアンモニア水がそれぞれ3時間で添加し終わるように同時に滴下し、滴下終了後1時間攪拌した。反応系のpHを7.5に保持しながら中和を行い、最大液温は40℃であった。このときのスラリーの固形分濃度(100℃の乾燥条件下で測定)は8%であった。得られた沈殿物をろ過し、イオン交換水でろ液の電導度が100μS/cmになるまでろ過して得たケーキを洗浄し、100℃で12時間真空乾燥した。乾燥後の粉体を超遠心粉砕機(レッチェ社製「ZM-200」)でローター回転数を16000rpmで粉砕して実施例1の含水酸化チタンを得た。
実施例2
実施例1において、超遠心粉砕機(レッチェ社製「ZM-200」)のローター回転数を12000rpmで粉砕したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の含水酸化チタンを得た。
実施例3
実施例1において、超遠心粉砕機(レッチェ社製「ZM-200」)のローター回転数を8000rpmで粉砕したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例3の含水酸化チタンを得た。
実施例4
実施例1において、超遠心粉砕機(レッチェ社製「ZM-200」)のローター回転数を6000rpmで粉砕したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施例4の含水酸化チタンを得た。
実施例5
実施例1において、イオン交換水の液温を95℃に保持する以外は、実施例1と同様の方法で実施例5の含水酸化チタンを得た。
実施例6
実施例1において、100℃で真空乾燥する代わりに250℃で6時間乾燥した以外は、実施例1と同様の方法で実施例6の含水酸化チタンを得た。
実施例7
実施例1において、100℃で真空乾燥する代わりに350℃で6時間乾燥した以外は、実施例1と同様の方法で実施例7の含水酸化チタンを得た。
実施例8
実施例1において、100℃で真空乾燥する代わりに450℃で6時間乾燥した以外は、実施例1と同様の方法で実施例8の含水酸化チタンを得た。
実施例9
実施例1において、100℃で真空乾燥する代わりに80℃で12時間真空乾燥した以外は、実施例1と同様の方法で実施例9の含水酸化チタンを得た。
実施例10
実施例1において、イオン交換水でろ液の電導度が100μS/cmになるまで洗浄する代わりにろ液の電導度が0.7mS/cmになるまで洗浄した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例10の含水酸化チタンを得た。
実施例11
実施例1において、イオン交換水でろ液の電導度が100μS/cmになるまで洗浄する代わりにろ液の電導度が2.0mS/cmになるまで洗浄した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例11の含水酸化チタンを得た。
実施例12
実施例1で得られた含水酸化チタン100gと、ケイ素化合物であるN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM-573」)5gとを卓上ブレンダー(岩谷産業株式会社製「ラボミルサープラス」)で20分間混合し、得られた処理粉体を乾燥機にて120℃で2時間乾燥することによりケイ素化合物で被覆された含水酸化チタンを得た。続いて、超遠心粉砕機(レッチェ社製「ZM-200」)でローター回転数を16000rpmで粉砕して実施例12の含水酸化チタンを得た。
実施例13
実施例12において、ケイ素化合物であるN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM-573」)の使用量を10gにした以外は実施例12と同様の方法で、実施例13の含水酸化チタンを得た。
実施例14
エタノール(95%)500mLとチタンテトライソプロポキシド(富士フィルム和光純薬株式会社製)142gの混合溶液に、イオン交換水3gを添加して沈殿物を得た。得られた沈殿物をろ過し、80℃で乾燥した。乾燥後の粉体を超遠心粉砕機(レッチェ社製「ZM-200」)でローター回転数を16000rpmで粉砕して実施例14の含水酸化チタンを得た。
実施例15
500mLのイオン交換水を攪拌中に、四塩化チタン(富士フィルム和光純薬株式会社製)125gにイオン交換水を加えて調製した四塩化チタン水溶液250gと濃度28質量%のアンモニア水(富士フィルム和光純薬株式会社製)250mLを添加して沈殿物を得た。この時、四塩化チタンとアンモニア水がそれぞれ3時間で添加し終わるように同時に滴下し、滴下終了後1時間攪拌した。反応系のpHを7.5に保持しながら中和を行い、最大液温は40℃であった。このときのスラリーの固形分濃度(100℃の乾燥条件下で測定)は8%であった。得られた沈殿物をろ過し、イオン交換水でろ液の電導度が500μS/cmになるまでろ過して得たケーキを洗浄し、100℃で12時間真空乾燥した。乾燥後の粉体を超遠心粉砕機(レッチェ社製「ZM-200」)でローター回転数を16000rpmで粉砕して実施例15の含水酸化チタンを得た。
実施例16
実施例15において、イオン交換水でろ液の電導度が500μS/cmになるまで洗浄する代わりにろ液の電導度が100μS/cmになるまで洗浄した以外は、実施例15と同様の方法で、実施例16の含水酸化チタンを得た。
実施例17
70℃のイオン交換水500mLを攪拌中に、硫酸チタニル水溶液(テイカ株式会社製TM溶液、TiO含有量:248g/L)200mLと濃度28質量%のアンモニア水(富士フィルム和光純薬株式会社製)250mLを添加し、沈殿物を得た。この時、硫酸チタニル水溶液とアンモニア水がそれぞれ3時間で添加し終わるように同時に滴下し、滴下終了後1時間攪拌した。反応系のpHを7.5に保持しながら中和を行い、最大液温は80℃であった。このときのスラリーの固形分濃度(100℃の乾燥条件下で測定)は8%であった。得られた沈殿物をろ過し、イオン交換水でろ液の電導度が100μS/cmになるまでろ過して得たケーキを洗浄し、100℃で真空乾燥した。乾燥後の粉体を超遠心粉砕機(レッチェ社製「ZM-200」)でローター回転数を16000rpmで粉砕して実施例17の含水酸化チタンを得た。
比較例1
実施例1において、100℃で真空乾燥する代わりに480℃で6時間加熱焼成した以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の含水酸化チタンを得た。
比較例2
実施例1において、100℃で真空乾燥する代わりに500℃で6時間加熱焼成した以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の含水酸化チタンを得た。
比較例3
TiO(OH)で示される含水酸化チタン(テイカ株式会社製「AMT-600」、比表面積89m/g、全細孔容積0.2cm/g、平均2次粒子径5μm)を比較例3の含水酸化チタンとした。
Figure 2023059834000001
Figure 2023059834000002

Claims (12)

  1. アニオン捕捉機能を有する含水酸化チタンであって、比表面積が100m/g以上であり、かつ全細孔容積が0.2cm/g以上であることを特徴とする含水酸化チタン。
  2. X線回折測定において、回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピーク強度が検出されないか、あるいは回折角(2θ)が25.3±0.5°の回折ピークの半値幅が1.0°以上である請求項1に記載の含水酸化チタン。
  3. 平均2次粒子径が100μm以下である請求項1又は2に記載の含水酸化チタン。
  4. 昇温前の重量を基準として、100℃で2時間保持した後の重量から算出された重量減少率A%と、250℃で2時間保持した後の重量から算出された重量減少率B%とが、以下の式(I)を満たす請求項1~3のいずれかに記載の含水酸化チタン。
    B-A≦15 (I)
  5. イオン性不純物の含有量が4.0重量%以下、または塩素含有量が200ppm以下である請求項1~4のいずれかに記載の含水酸化チタン。
  6. 硫酸イオン捕捉容量が0.20meq/g以上である請求項1~5のいずれかに記載の含水酸化チタン。
  7. 塩化物イオン捕捉容量が0.02meq/g以上である請求項1~6のいずれかに記載の含水酸化チタン。
  8. ケイ素化合物が配合されてなる請求項1~7のいずれかに記載の含水酸化チタン。
  9. ケイ素化合物で被覆されてなる請求項1~8のいずれかに記載の含水酸化チタン。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の含水酸化チタンを含有する封止材用樹脂組成物。
  11. チタン含有酸性水溶液を出発原料とし、前記チタン含有酸性水溶液と5~98℃の水と塩基性水溶液とを混合して含水酸化チタン沈殿物を得る工程を行い、前記チタン沈殿物をろ過してろ液の電導度が2000μS/cm以下になるまで洗浄する工程を行い、100~450℃で乾燥する工程を行い、乾燥後の含水酸化チタン粉体を粉砕する工程を行うことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の含水酸化チタンの製造方法。
  12. チタンアルコキシドを出発原料とし、前記チタンアルコキシドを含むアルコール混合溶液に対し、前記チタンアルコキシドと水のモル比(水/チタンアルコキシド)が0.1以上となるように水を添加して得られる含水酸化チタン沈殿物を得る工程を行い、前記沈殿物をろ過する工程を行い、60~450℃で乾燥する工程を行い、乾燥後の含水酸化チタン粉体を粉砕する工程を行うことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の含水酸化チタンの製造方法。

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