JP2023059820A - 不織布の製造方法 - Google Patents

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文夫 神野
Fumio Jinno
暁師 徐
Xiao Shi Xu
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Abstract

Figure 2023059820000001
【課題】結晶化の遅い樹脂層を熱ローラにより融着して不織布を製造する。
【解決手段】複数の繊維噴付装置から繊維を噴出する繊維噴付工程と、複数の繊維噴付装置から噴き付けられる繊維の束を搬送面で捕集してシート状の繊維層にしつつ移送方向に搬送するシート搬送工程と、シート状の繊維層に、熱ローラにより熱と圧力を加えて融着させる融着工程と、を、備える、不織布の製造方法であって、複数の繊維噴付装置は、少なくとも、搬送面において厚み方向に第1層を形成する第1繊維噴付装置と、第1繊維噴付装置とは別素材からなる繊維を噴出して、搬送面において厚み方向に第2層を形成する第2繊維噴付装置と、を、有する、不織布の製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、不織布の製造方法に関する。
従来、不織布の製造方法が知られている(特許文献1)。
特開2021-70875号公報
不織布は、一例としては、紡糸孔から吐出した樹脂製長繊維を細化延伸してコンベア上に集積させて、熱ローラによる加熱と加圧を行うことにより繊維同士を融着する、所謂スパンボンド製法により得られる。スパンボンド製法では素材としてポリオフィレン系の樹脂をよく用いるが、ポリオフィレン系の樹脂は紡糸孔から吐出後数秒で結晶化するため、熱ローラによる加熱と加圧を行っても熱ローラに貼り付くことはない。しかし、素材として結晶化の遅い樹脂を用いる場合、集積した樹脂の一部が熱ローラに貼り付いてしまう。
本発明は、素材として結晶化の遅い樹脂を用いつつ、熱ローラに貼り付かない不織布を製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、別素材からなる樹脂層を重ねて集積し、加熱と加圧を行う。
本発明は、具体的には、複数の繊維噴付装置から繊維を噴出する繊維噴付工程と、前記複数の繊維噴付装置から噴き付けられる繊維の束を搬送面で捕集してシート状の繊維層にしつつ移送方向に搬送するシート搬送工程と、前記シート状の繊維層に、熱ローラにより熱と圧力を加えて融着させる融着工程と、を、備える、不織布の製造方法であって、前記複数の繊維噴付装置は、少なくとも、前記搬送面において厚み方向に第1層を形成する第1繊維噴付装置と、前記第1繊維噴付装置とは別素材からなる繊維を噴出して、前記搬送面において厚み方向に第2層を形成する第2繊維噴付装置と、を、有する、不織布の製造方法である。
前記第1繊維噴付装置は、結晶化が遅い結晶性の樹脂繊維を噴出し、前記搬送面において厚み方向に第1層である中層を形成し、前記第2繊維噴射装置は複数設けられ、結晶化が早い結晶性の樹脂繊維を噴出し、前記搬送面において厚み方向に第2層である上層と下層とを形成し、前記融着工程において、前記熱ローラは前記上層および前記下層と当接してよい。
前記第2層を構成する繊維層と、前記第1層を構成する繊維層は、相溶性が低くてよい。
前記融着工程を経た後、前記第1層と前記第2層とを剥離する剥離工程を備えてよい。
前記剥離工程の後、前記第1層と前記第2層とをそれぞれ別の不織布として得てよい。
複数設けられた前記第2繊維噴付装置は、複数の繊維吐出口を備え、前記第2層を構成する繊維層は、厚み方向に2層以上の層から構成されていてよい。
前記第1層を構成する繊維層は、一層であってよい。
前記第1層は、ポリ乳酸系の繊維により形成され、前記第2層は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテフタレートのうちのいずれかからなる繊維により形成されてよい。
前記熱ローラの表面温度は、120℃以上であってよい。
前記シート搬送工程の搬送速度は、40m/min以上であり、前記第1繊維噴付装置および第2繊維噴付装置の繊維吐出量は、0.5/hole/min以下であってよい。
前記第1繊維噴付装置の繊維吐出圧は、0.11Mpa以上であり、前記シート搬送工程において搬送される、前記第1層を構成する繊維の糸直径は、15μm以下であってよい。
本発明によれば、結晶化の遅い樹脂層を熱ローラにより融着し、不織布として形成することができる。
図1は、第1実施形態に係る不織布の平面図である。 図2は、第1実施形態に係る不織布のCD方向の断面図である。 図3は、第1実施形態に係る不織布の製造方法に関するフローチャートである。 図4は、第1実施形態に係る不織布を製造する不織布製造装置を示す図である。 図5は、第1実施形態に係る不織布を剥離する工程の一例を示す図である。 図6は、第1実施形態に係る不織布を剥離する更に別の工程の一例を示す図である。 図7は、第2実施形態に係る不織布のCD方向の断面図である。 図8は、第2実施形態に係る不織布を製造する不織布製造装置を示す図である。 図9は、第2実施形態に係る不織布を剥離する工程の一例を示す図である。 図10は、第2実施形態に係る不織布を剥離する更に別の工程の一例を示す図である。 図11は、第3実施形態に係る不織布を製造する不織布製造装置を示す図である。 図12は、第3実施形態に係る不織布にエンボス加工を行い、剥離する工程の一例を示す図である。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る不織布の製造工程について説明をする。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る不織布Cを上方から見た場合の平面図である。図2は、不織布Cを図1に示すAA線に沿って切断した場合のCD方向の断面図である。不織布Cは、MD方向が長手方向となるシートであり、複数層で構成されている。なお、各層の積層方向を厚み方向とする。
図2に示されるように、不織布Cは、繊維層C1,C2,C3が積層された3層構造を有している。上層および下層となる繊維層C1,C3は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテフタレート(PET)のいずれかの樹脂を原料として形成されている。中層となる繊維層C2は、ポリ乳酸系の樹脂を原料とした繊維で形成されている。ポリ乳酸は、生分解性不織布の原材料として用いられている。すなわち、ポリ乳酸を原料として形成された繊維層C2は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテフタレートのうちのいずれかの樹脂を原料として形成された繊維層C1,C3に挟まれた形で存在している。各繊維層を構成する繊維の繊維径は15μm以下である。繊維径についての詳細は後述する。
ポリ乳酸(PLA)はグルコースの発酵によって作られる乳酸を原料とする生分解性樹脂である。ポリ乳酸は、微生物などにより最終的に二酸化炭素と水にまで分解されるため、環境負荷を低減できる。
不織布Cは、各繊維層がエンボスによって互いに圧搾接合されている。エンボスの面積率は、5~25%である。また、各繊維層の目付量は、10~30g/mである。このような不織布Cは、吸収性物品やマスクの材料に適している。
次に、図3に基づいて、本実施形態に係る不織布の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係る不織布の製造方法に関するフローチャートである。まず、本実施形態に係る製造方法では、溶融した熱可塑性樹脂を口金から鉛直下方に吐出し、気流により樹脂を鉛直下方に引っ張ることで繊維状とする(ステップS101、本願でいう「繊維噴付工程」の一例)。次に、繊維がコンベア上に積層されて搬送される(ステップS102、本願でいう「シート搬送工程」の一例)。次に、3層に積層した繊維を熱ロールに通して各層における繊維同士を融着させる(ステップS103、本願でいう「融着工程」の一例)。最後に、各層を剥離して薄い不織布を得る(ステップS104、本願でいう「剥離工程」の一例)。
次に、図4に基づいて、本実施形態に係る不織布Cの製造方法および製造装置について説明する。図4は、本実施形態に係る不織布Cを製造する不織布製造装置Mを示す図である。図4において、不織布製造装置Mは、複数の繊維噴付装置である3組の噴出装置(繊維噴付装置)10を備えており、それぞれの噴出装置10(10A、10B、10C)は、紡糸装置20、冷風装置30およびインジェクタ40を備えて構築されている。不織布製造装置Mは、噴出装置10A、10B、10Cを備えることによって3層の不織布Cを製造することができる。噴出装置10Bは、繊維層C2を形成するための「第1繊維噴付装置」の一例であり、噴出装置10A、10Cは、繊維層C1,C3を形成するための「第2繊維噴付装置」の一例である。
不織布製造装置Mは、噴出装置10と共に、捕集コンベア(シート搬送装置)50、エンボス加工装置60、およびワインダ70が各種工程を実行可能に直列的に配置されている。その噴出装置10A、10B、10Cは捕集コンベア50上部の搬送面に対して搬送方向に直列的に配置されている。不織布製造装置Mは、図4の紙面に向かう方向をCD方向(幅方向)にする不織布Cを連続的に製造するように構築されており、紡糸する繊維(フィラメント)をシート状にして捕集しつつエンボス加工を施すことによって繊維間を適
宜に接合する、所謂、スパンボンド製法により不織布Cを製造する。
紡糸装置20は、押出機21と、紡糸口金23とを備えて構成されている。押出機21は、ホッパ22に供給される原料樹脂R(R1、R2、R3)を溶融しながら、螺旋状のローター21rの回転により、所定流量の溶融物を紡糸口金23へと送り出す。紡糸口金23は、所望の繊維状の構造を形成しつつ吐出するように構成された複数の複合紡糸ノズル(不図示)を有し、押出機21からの溶融物を複数のフィラメント(繊維)fの束(以下、「フィラメント集合体」という)Fとして重力方向に紡出(排出)する。
ここで、噴出装置10A、10B、10C毎に種別を変えて異種材料R1、R2、R3のシート状フィラメントを重ねて多層にする。上述の通り、原料樹脂R1,R3としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテフタレートのうちのいずれかの樹脂を採用することができ、原料樹脂R2としては、ポリ乳酸系の樹脂が採用できる。また、原料樹脂R1,R2,R3には、例えば、公知の耐熱安定剤および耐候安定剤などの各種の安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等の添加物を適宜含有させるようにしてもよい。
冷風装置30は、対向位置に配置されるオープン型の一対の送風機31、32を備えている。この冷風装置30は、紡糸装置20から排出されて上方から下方に向かって通過するフィラメント集合体Fに送風機31、32のそれぞれから冷却エアーAcを吹き付けて冷却する。ここで、冷風装置30は、一方の送風機31をメインとして利用可能に大型タイプを設置して、対面する他方の送風機32をサブとして補助的に利用可能に小型タイプが選択されて設置されている。
インジェクタ40は、紡糸方向である上方から下方に向かってボディ41内を通過するように降下するフィラメント集合体Fに駆動流体として下方に向かう高圧エアーを吹き付けることにより、そのボディ41の入り口側に低圧領域を発生させる構造を備えている。このインジェクタ40は、降下するフィラメント集合体Fをボディ41の入り口側の低圧領域に引き込むように牽引しつつ、そのボディ41内でも高圧エアーにより下方に牽引することで、冷風装置30を経由して上方から下方の紡糸方向に降下するフィラメント集合体Fを延伸させる。繊維状の構造を形成してフィラメント集合体Fを延伸させる工程は、図3に示すステップS101の工程(繊維噴付工程)である。
捕集コンベア50は、メインコンベア51と、サブコンベア52、53と、吸引ボックス(吸引手段)54と、を備えて構築されている。メインコンベア51は、フィラメント集合体Fの幅よりも広めに形成されて表裏に通気可能な網状の捕集ベルト151がローラ151r群に巻き掛けられて周回駆動するように設置されている。サブコンベア52、53も、フィラメント集合体Fの幅よりも広めに形成されて表裏に通気可能な網状の捕集ベルト152、153がローラ152r群やローラ153r群のそれぞれに巻き掛けられて逆向きに周回駆動するように設置されている。
捕集ベルト151は、噴出装置10A、10B、10Cの下方の噴付箇所に上面151aが確実に位置する長さを有してローラ151r群に巻き掛けられており、インジェクタ40により牽引降下されてくるフィラメント集合体Faを受け取りつつ移送することによって布状(シート状)に捕集するようになっている。すなわち、捕集ベルト151は、上面151aの周回移動方向(移送方向)の上流側端部(先頭)から下流側端部(最後尾)に向かって周回駆動することにより、シート状のフィラメント集合体Faを捕集可能な十分な面積を有して捕集面および搬送面として機能する。なお、フィラメント集合体Faは、不織布Cにおいて下層側の繊維層C3となる。
捕集ベルト152は、捕集ベルト151の上面151aの周回移動方向の中間に位置する噴出装置10Bの下方の噴付箇所に上面152aが位置してローラ152r群に巻き掛けられており、インジェクタ40により牽引降下されてくるフィラメント集合体Fbを受け取りつつ移送することによってシート状に捕集するようになっている。また、捕集ベルト153は、捕集ベルト151の上面151aの周回移動方向の下流側端部(最後尾)に位置する噴出装置10Cの下方の噴付箇所に上面153aが位置してローラ153r群に巻き掛けられており、インジェクタ40により牽引降下されてくるフィラメント集合体Fcを受け取りつつ移送することによってシート状に捕集するようになっている。なお、フィラメント集合体Fbは、不織布Cにおいて繊維層C2となる。
これら捕集ベルト152、153は、捕集ベルト151の上面151aの周回移動方向の上流側端部(先頭)に位置する噴出装置10Aの下方から下流側に外れた位置に設置されており、その上面151aと噴出装置10B、10Cとの間に位置して逆転方向に周回駆動することによって、それぞれの上面152a、153aがシート状のフィラメント集合体Fb、Fcを捕集する捕集面および搬送面として機能する。そして、これら捕集ベルト152、153は、捕集ベルト151の上面(上部)151aに対面する下部との間にシート状のフィラメント集合体Fb、Fcを剥がれてめくれてしまうことなく挟み込むように周回駆動して下流側への搬送を補助するように機能する。
吸引ボックス54は、メインコンベア51の捕集ベルト151内に収容されて、それぞれ減圧室として機能する吸引チャンバ154a、154a-2、154b、154b-2、154c、154c-2に区画されている。これら吸引チャンバ154a~154c-2は、上部側を吸引するように不図示の吸引口が配置されて、それぞれ個別に駆動可能な吸引ファン155a~155c-2が吸引可能に接続されている。
吸引チャンバ154a、154b、154cは、それぞれ噴出装置10A、10B、10Cのインジェクタ40下方に位置するように設置されており、吸引チャンバ154a-2、154b-2、154c-2は、これら吸引チャンバ154a、154b、154cの下流側に位置するように設置されている。
吸引チャンバ154aは、噴出装置10Aのインジェクタ40の下方のメインコンベア51の捕集ベルト151直下に位置するように設置されており、吸引ファン155aが駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下から上方を吸引する。
吸引チャンバ154a-2は、その吸引チャンバ154aの下流側に隣接して、後述するように、噴出装置10Bの下方に位置する吸引チャンバ154bとの間のメインコンベア51の捕集ベルト151直下に位置するように設置されており、吸引ファン155a-2が駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下から上方を吸引する。
これにより、噴出装置10Aの紡糸するフィラメント集合体Faは、メインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154aにより上面151a上に捕集されるように吸引される。このため、そのフィラメント集合体Faは、捕集ベルト151が長さ方向に周回移動するのに連れて上面151a上でシート状に捕集されつつ保持されて移送される。この後に、そのフィラメント集合体Faは、捕集ベルト151が長さ方向に周回移動するのに連れて吸引チャンバ154aから隣接する吸引チャンバ154a-2に受け渡されてシート状を維持するように吸引保持されて移送される。
吸引チャンバ154bは、噴出装置10Bのインジェクタ40の下方のメインコンベア51の捕集ベルト151直下に位置するように設置されており、吸引ファン155bが駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下からサブコンベア52の捕集ベ
ルト152の上方を吸引する。
吸引チャンバ154b-2は、その吸引チャンバ154bの下流側に隣接して、後述するように、噴出装置10Cの下方に位置する吸引チャンバ154cとの間のメインコンベア51の捕集ベルト151直下に位置するように設置されており、吸引ファン155b-2が駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下から上方を吸引する。
これにより、噴出装置10Aの紡糸するフィラメント集合体Faは、上述の吸引チャンバ154a、154a-2に続けて、メインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154b、154b-2により上面151a上にシート状のまま吸引保持されて移送される。
また、噴出装置10Bの紡糸するフィラメント集合体Fbは、メインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154bにより上面151a上のサブコンベア52の捕集ベルト152の上面152a上に捕集されるように吸引される。このため、そのフィラメント集合体Fbは、捕集ベルト152が長さ方向に周回移動するのに連れて上面152a上でシート状に捕集されつつ保持されて移送される。
ところで、サブコンベア52の捕集ベルト152は、メインコンベア51の捕集ベルト151に対して逆向きに周回回転することから、その捕集ベルト152の上面152aが逆方向に移動した後に上下が反転されてメインコンベア51の捕集ベルト151の上面151aに対面して同一方向に移動することになる。このため、噴出装置10Bの紡糸するフィラメント集合体Fbは、サブコンベア52の捕集ベルト152の上面152a上でシート状に捕集保持されて移送された後に、メインコンベア51の捕集ベルト151の上面151a上のシート状のフィラメント集合体Faに重なるように合わされて、そのメインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154bによりシート状のまま吸引保持されて移送される。
このことから、噴出装置10Bの下方でシート状に捕集保持されて重ねられるフィラメント集合体Fab(Fa、Fb)は、捕集ベルト151が長さ方向に周回移動するのに連れて吸引チャンバ154bから隣接する吸引チャンバ154b-2に受け渡されてシート状を維持するように吸引保持されて移送される。
吸引チャンバ154cは、噴出装置10Cのインジェクタ40の下方のメインコンベア51の捕集ベルト151直下に位置するように設置されており、吸引ファン155cが駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下からサブコンベア53の捕集ベルト153の上方を吸引する。
吸引チャンバ154c-2は、その吸引チャンバ154cの下流側に隣接して、後述するように、メインコンベア51の捕集ベルト151の端部手前の直下に位置するように設置されており、吸引ファン155c-2が駆動して減圧されることによりその捕集ベルト151の直下から上方を吸引する。
これにより、噴出装置10A、10Bの紡糸するフィラメント集合体Fabは、上述の吸引チャンバ154a~154b-2に続けて、メインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154c、154c-2により上面151a上に重なるシート状のまま吸引保持されて移送される。
また、噴出装置10Cの紡糸するフィラメント集合体Fcは、メインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154cにより上面151a上のサブコンベア53の捕
集ベルト153の上面153a上に捕集されるように吸引される。このため、そのフィラメント集合体Fcは、捕集ベルト153が長さ方向に周回移動するのに連れて上面153a上でシート状に捕集されつつ保持されて移送される。なお、フィラメント集合体Fcは、不織布Cにおいて上層側の繊維層C1となる。
ところで、サブコンベア53の捕集ベルト153も、メインコンベア51の捕集ベルト151に対して逆向きに周回回転することから、その捕集ベルト153の上面153aが逆方向に移動した後に上下を反転されてメインコンベア51の捕集ベルト151の上面151aに対面して同一方向に移動することになる。このため、噴出装置10Cの紡糸するフィラメント集合体Fcは、サブコンベア53の捕集ベルト153の上面153a上でシート状に捕集保持されて移送された後に、メインコンベア51の捕集ベルト151の上面151a上のシート状のフィラメント集合体Fabにさらに重なるように合わされて、そのメインコンベア51の捕集ベルト151下の吸引チャンバ154cによりシート状のまま吸引保持されて移送される。
このことから、噴出装置10Cの下方でシート状に捕集保持されて重ねられるフィラメント集合体Fabc(Fa、Fb、Fc)は、捕集ベルト151が長さ方向に周回移動するのに連れて吸引チャンバ154cから隣接する吸引チャンバ154c-2に受け渡されてシート状を維持するように吸引保持されて移送される。
要するに、捕集コンベア50は、捕集ベルト151~153の上面151a~153a上に噴出装置10A、10B、10Cの紡糸するフィラメント集合体Fa、Fb、Fcを吸引ボックス54によって所定厚さのシート状に吸引捕集しつつ保持した後に重ねることによってエンボス加工前のフィラメント集合体Fabc(不織布C)にする積層工程を担っている。積層された不織布Cは下流に搬送されて、溶着工程を担うエンボス加工装置60に受け渡される。噴付されたフィラメントFを捕集コンベア50で積層し、不織布Cを搬送してエンボス加工装置60に渡す工程は、図3に示すステップS102の工程(シート搬送工程)である。
エンボス加工装置60は、一対のエンボスロール61、62(本願でいう「熱ロール」の一例)を備えており、その円筒状の外周面61a、62a同士を圧接させて相対回転する。このエンボス加工装置60は、下側のエンボスロール61の滑らかな円筒外周面61aに、上側のエンボスロール62の円筒外周面62aに規則的あるいは不規則に配列された不図示のエンボス突起を所望の圧接力で押し付ける。なお、後述するように本開示で特に重要となるのは、エンボスロール61,62と直接当接しない繊維層C2である。このため、エンボスロール61,62にはエンボスを設けないこともできる。
これにより、エンボス加工装置60は、エンボスロール61、62間に挟み込むフィラメント集合体Fabcを相対回転方向に送り出すとともに、そのエンボス突起の形成位置に対応する複数のエンボス加工箇所でフィラメントf同士を交絡させつつ圧搾接合させるエンボス加工を施して、そのシート状の形態を維持する不織布Cに加工する。なお、エンボスロール62の円筒外周面62aに形成するエンボス突起は、エンボスロール61の円筒外周面61a側に形成してもよく、あるいは、これらの双方の円筒外周面61a、62aに形成するようにしてよく、さらに、凸形状に限らず、凹形状に形成して、相手側円筒面に、例えば、連続するリブ形状を押し付けて圧搾接合させるようにしてもよい。
また、エンボスロール61、62の円筒外周面61aと62aは、加熱されている。円筒外周面61a,62aが加熱されていると、不織布Cを構成する各繊維の一部が融合するため、丈夫な不織布を製造することができる。フィラメント集合体Fabcをエンボス加工装置60で不織布Cに加工する工程は、図3に示すステップS103の工程(融着工
程)である。
ワインダ70は、フィラメント集合体Fabcのフィラメントf同士がエンボス加工装置60により交絡接合された不織布Cを、弛まないように張力を調整しつつ受け取って、その不織布Cを連続的に皺なく所望の巻き硬さでロール状に巻き取る。
これにより、ワインダ70は、フィラメント集合体Fabcがシート状にされてロール状に巻かれている所望の長さの不織布Cを、次の加工工程などに供給可能に準備することができる。
そして、本実施形態の捕集コンベア50は、上述するように、メインコンベア51の捕集ベルト151下に設置されている吸引ボックス54の吸引チャンバ154a~154c-2が噴出装置10A~10Cのインジェクタ40毎に対応するように区画されて設置されており、その個々に接続されている吸引ファン155a~155c-2もその吸引チャンバ154a~154c-2の区画範囲(領域)や必要な吸引圧力に応じた風速(風量)で吸引するように設定されている。ここで、吸引チャンバ154a~154c-2の吸引する区画範囲や吸引圧力は、適宜に設定すればよい。
具体的には、吸引チャンバ154aは、サブコンベアが介在することなく、メインコンベア51の捕集ベルト151直上の噴出装置10Aのインジェクタ40の出口から牽引降下されてくるフィラメント集合体Faを、その捕集ベルト151下から吸引してシート状に捕集し保持する。
この吸引チャンバ154aは、降下するフィラメント集合体Faを安定して保持可能な吸引圧力Paが、その移送方向の噴き付け領域程度の狭い範囲の捕集ベルト151の搬送面下で発生するように区画されており、その区画範囲内が吸引ファン155aにより吸引されて負圧にされる。
吸引チャンバ154b、154cは、それぞれ、サブコンベア52、53の捕集ベルト152、153直上の噴出装置10B、10Cのインジェクタ40の出口から牽引降下されてくるフィラメント集合体Fb、Fcを、そのサブコンベア52、53を介して捕集ベルト151下から吸引してシート状に捕集して保持する。これらサブコンベア52、53は、それぞれ、捕集ベルト152、153上に捕集保持するシート状のフィラメント集合体Fb、Fcを下部の捕集ベルト151との間に挟み込むようにしてフィラメント集合体Fab、Fabcとして下流へと送り出す。
これら吸引チャンバ154b、154cは、降下するフィラメント集合体Fb、Fcを安定して保持可能な吸引圧力Pb、Pcを捕集ベルト152、153の搬送面下で発生するように吸引ファン155b、155cが駆動して負圧にされる。なお、これら吸引チャンバ154b、154cも、吸引チャンバ154aと同様に、降下するフィラメント集合体Fb、Fcの移送方向の噴き付け領域程度の狭い区画範囲で所望の吸引圧力Pb、Pcが発生するように、吸引ファン155b、155cにより吸引されて負圧にされる。同時に、これら吸引チャンバ154b、154cは、捕集ベルト151上のフィラメント集合体Fab、Fabcを介在させてサブコンベア52、53の捕集ベルト152、153上を吸引することになる。このため、これら吸引チャンバ154b、154cは、捕集ベルト152、153上で最適な吸引圧力Pb、Pcが発生するように、捕集ベルト151下の移送方向の吸引範囲を調整して吸引容積を増減させてもよく、また、捕集ベルト152、153内も、同様に、吸引範囲を調整可能に区画等してもよい。
これにより、吸引チャンバ154b、154cは、吸引チャンバ154aと同様に、メ
インコンベア51の捕集ベルト151を介してシート状のフィラメント集合体Faから増量されたフィラメント集合体Fab、Fabcと続けて吸引保持することができる。
吸引チャンバ154a-2、154b-2、154c-2は、それぞれ、吸引チャンバ154a、154b、154cの下流側でメインコンベア51の捕集ベルト151上のシート状フィラメント集合体Fa、Fab、Fabcを連続吸引して保持する。
これら吸引チャンバ154a-2、154b-2、154c-2は、それぞれ、捕集ベルト151上のシート状フィラメント集合体Fa、Fab、Fabcをそのまま続けて吸引保持する吸引圧力Pa-2、Pb-2、Pc-2を発生されるように吸引ファン155a-2が駆動して負圧にされる。なお、吸引チャンバ154a-2、154b-2は、吸引チャンバ154a、154b、154cの間に介在して隙間なく吸引するように連続していることから、その噴出装置10毎の離隔する捕集位置を繋げるように広めの区画範囲を吸引するように設置されている。また、吸引チャンバ154c-2は、吸引チャンバ154cから受け取るシート状フィラメント集合体Fabcを下流側に隣接するエンボス加工装置60へと受け渡すだけであることから短めの区画範囲を吸引するように設置されている。
これにより、吸引チャンバ154a-2、154b-2、154c-2は、それぞれ、メインコンベア51の捕集ベルト151を介して上面151a上に位置するシート状フィラメント集合体Fa、Fab、Fabcを、吸引チャンバ154a、154b、154cに続けて吸引保持することができる。このとき、メインコンベア51の捕集ベルト151上のシート状フィラメント集合体Fa、Fabは、それぞれ、吸引チャンバ154a-2、154b-2により吸引保持されているので、浮き上がることなく、サブコンベア52、53の捕集ベルト152、153の間に挟み込まれる。また、このシート状フィラメント集合体Fa、Fabは、その捕集ベルト152、153で捕集保持されて上下反転されてくるシート状フィラメント集合体Fb、Fcが重ねられてシート状フィラメント集合体Fab、Fabcにされて吸引保持されつつ下流へと移送される。
捕集コンベア50は、上述するように、メインコンベア51の捕集ベルト151上に、シート状フィラメント集合体Fを捕集して保持するのに十分な吸引圧力Pを吸引ボックス54の吸引チャンバ154a~154c-2毎に発生させるように、個々の吸引ファン155a~155c-2が必要な風速で吸引するように設定されている。なお、下記で説明する吸引チャンバ154a~154c-2毎のフィラメント集合体Fの捕集面(搬送面)における吸引圧力Pの相対関係(強弱)は、吸引ファン155a~155c-2の接続箇所から捕集面までの離隔空間に応じた風速値を算出して代用することによって説明する。
例えば、吸引ボックス54は、捕集コンベア50における噴出装置10A、10B、10Cによるフィラメント集合体Fの噴付箇所に位置する吸引チャンバ154a、154b、154cの吸引圧力Pa、Pb、Pcが個々の下流側に位置する吸引チャンバ154a-2、154b-2、154c-2の吸引圧力Pa-2、Pb-2、Pc-2よりも大きくなるように調整されている。また、このうちのフィラメント集合体Fの移送方向における先頭側の吸引チャンバ154a、154a-2の吸引圧力Ps(Pa、Pa-2)と、中間の吸引チャンバ154b、154b-2の吸引圧力Pm(Pb、Pb-2)と、最後尾側の吸引チャンバ154c、154c-2の吸引圧力Pe(Pc、Pc-2)とでは、上流側と下流側との双方が吸引保持されていることから中間位置の吸引圧力Pmは先頭側吸引圧力Psと最後尾側吸引圧力Peとのそれぞれよりも小さく抑えるように(Ps>PmかつPe>Pm)調整することができる。また、それぞれの吸引圧力Pa、Pb、Pcとしては、吸引チャンバ154a、154b、154c内を減圧し過ぎて捕集ベルト151のスムーズな相対移動を妨げてしまわないように搬送面上のフィラメント集合体Fの目
付け量に応じて調整している。
詳細には、吸引チャンバ154aは、噴出装置10Aの紡糸するフィラメント集合体Faをシート状に捕集保持するメインコンベア51の捕集ベルト151における吸引圧力Paとして、例えば、ワインダ70でロール状に巻き取る半製品の目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合に風速Pa=7.5に設定される。この吸引圧力(風速)Paとしては、フィラメント集合体Faを吸引してシート状への捕集保持を開始する箇所であることから、その目付け量にかかわらず、捕集ベルト151の上面151aに吸着させるよう強めの値に設定されている。
吸引チャンバ154a-2は、吸引チャンバ154aに続けて、同様に、吸引圧力Pa-2として、例えば、目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合に風速Pa-2=3.8に設定される。ここで、この吸引圧力(風速)Pa-2としては、吸引圧力Paと同様に、フィラメント集合体Faの目付け量(秤量)にかかわらず、シート状に吸引保持される形状を維持する程度でよく、そのままメインコンベア51とサブコンベア52の捕集ベルト151、152の間に挟み込まれることから、吸引圧力Paの半分程度の低めに抑えられている。
吸引チャンバ154bは、吸引圧力Pbとして、例えば、目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合に風速Pb=6.0に設定される。この吸引圧力(風速)Pbとしては、吸引圧力Paと同様に、フィラメント集合体Fbをサブコンベア52の捕集ベルト152上でシート状に捕集形成することから、その目付け量にかかわらず、強めの値に設定されるが、メインコンベア51の捕集ベルト151上のフィラメント集合体Fabを介在させつつ吸引することから、その捕集ベルト151の移動を制限しないように低めに抑えられている。
吸引チャンバ154b-2は、吸引チャンバ154bに続けて、吸引圧力Pb-2として、例えば、目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合に風速Pa=3.2に設定され。ここで、この吸引圧力(風速)Pb-2としては、吸引圧力Pbと同様に、フィラメント集合体Fb、Fabの目付け量(秤量)にかかわらず、シート状に吸引保持されている形状を維持する程度でよく、そのままメインコンベア51とサブコンベア53の捕集ベルト151、153の間に挟み込まれることから、極低めの値に抑えられるとともに、確実に吸引保持して捕集ベルト151、153の間に進入させるように目付け量の少ないフィラメント集合体Fの方が強く吸引するように設定されている。なお、このサブコンベア53下のメインコンベア51の捕集ベルト151上には、捕集ベルト153で捕集保持するシート状フィラメント集合体Fcがシート状フィラメント集合体Fabに重ねた状態で挟み込まれつつ吸引保持されて下流へと移送される。
吸引チャンバ154cは、吸引圧力Pcとして、例えば、目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合にPa=7.4に設定される。この吸引圧力(風速)Pcとしては、吸引圧力Pa、Pbと同様に、フィラメント集合体Fcをサブコンベア53の捕集ベルト153上で捕集形成することから、その目付け量にかかわらず、強めの値に設定されるが、メインコンベア51の捕集ベルト151上のフィラメント集合体Fabcを介在させつつ吸引することから、その捕集ベルト151の移動を制限しないように低めに抑えられている。
吸引チャンバ154c-2は、吸引チャンバ154cに続けて、吸引圧力Pb-2として、例えば、目付けが10~30g/mの不織布Cを製造する場合にPa=3.2~3.8に設定される。この吸引圧力(風速)Pc-2としては、サブコンベア53下から搬出されるフィラメント集合体Fabcをメインコンベア51の捕集ベルト151で確実に
吸引保持してエンボス加工装置60に受け渡すように、その目付け量に応じて吸引圧力Paよりも低めに設定されている。
また、不織布製造装置Mにおいて、捕集ベルト151、152、153のライン速度(搬送速度)は、40m/min以上である。また、噴出装置10A、10B、10Cの繊維吐出量は、0.5/hole/min以下である。また、フィラメント集合体Fa、Fc(繊維層C1)は、紡糸速度が20~150m/sで作成され、フィラメント集合体Fb(繊維層C2)は、紡糸速度が10~100m/sで作成される。また、この条件で作成された不織布Cにおいて、特に繊維層C2における繊維径は15μm以下である。
ところで、繊維層C2において、繊維がMD方向にほぼ真っすぐに配向するように調整する必要がある。この調整は、例えば、不織布製造装置Mの捕集ベルト152の上面152a上にスパンボンド繊維をライン速度で引っ張る調整ローラ162を設置することで、MD方向に繊維を真っすぐに配向させることができる。なお、調整ローラ162は、繊維を冷却する冷却機能を備えていてもよい。
また、ローラ162を設置しない場合であっても、噴出装置10Bにおける紡糸速度と捕集ベルト152のライン速度とを一致させることによっても、MD方向に繊維を真っすぐに配向させることができる。噴出装置10Bにおける紡糸速度は、噴出装置10Bの噴射圧によって調整可能である。
また、噴出装置10A、10Cにおける紡糸速度は、捕集ベルト151、153のライン速度よりも速く設定されている。これによって、捕集ベルト151、153には、ループ状(らせん状)に繊維を堆積させることができるため、繊維層C1を作成することができる。なお、繊維層C1は、幅縮(幅230mm、2kgの荷重を30秒間かけられた後の原反幅の減少率)が15%以内に抑えられており、嵩高さ(密度の逆数)は20以上である。
ところで、樹脂は、紐状の高分子が絡まって構成されており、固化した状態で分子が規則的に並んだ結晶部分を持つ結晶性樹脂と、結晶部分を持たない非晶性樹脂とに分かれる。本実施形態において噴出装置10B(第1繊維噴付装置)から吐出され、繊維層C2を形成するポリ乳酸系の樹脂と、噴出装置10A,10C(第2繊維噴付装置)から吐出されて繊維層C1,C3を形成するポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテフタレート(PET)は、いずれも結晶性樹脂である。
ポリ乳酸系の樹脂は結晶性樹脂ではあるものの、造核材を添加しない場合には、その結晶化速度は遅く、最適温度(110℃付近)に加温してなお結晶化までに数時間を要する。ポリ乳酸系の樹脂に造核材を添加すると実用的な結晶化速度を得ることができるが、造核材を添付すると噴出時に張力を与えることが難しくなるため繊維径が太くせざるを得ず、肌面に当接する衛生用品として用いると使用者に違和感を与える虞がある。このため、本実施形態では造核材を添加せずに繊維径を細くし、非晶状態で搬送面に積層する。具体的には、C2層を構成する樹脂は繊維噴付装置からイジェクト圧(繊維吐出圧)0.11Mpa以上で吐出され、引き延ばされて糸直径15μm以下となり、他層と積層される。しかし、非晶状態のポリ乳酸系の樹脂から構成された繊維は、融着工程におけるエンボスロールの熱と圧力に耐えられずに一部が剥離してエンボスロールに付着してしまう虞がある。
本実施形態においては、エンボスロール61,62の円筒外周面61a,62aの表面温度は、少なくとも120℃、好ましくは145℃以上になっている。発明者により、ポリ乳酸系の樹脂から構成された繊維は、エンボスロール61,62の温度が120℃以上
であれば概ねエンボスロール61,62に貼り付かず、145℃以上であればエンボスロール61,62に残らないことが見出されている。ポリ乳酸系の樹脂のガラス転移温度近傍(60℃~90℃)においては、ポリ乳酸系の樹脂は軟化するものの、繊維同士が十分に融着するには至らないため、エンボスロール61,62に貼り付いてしまう。しかし上記のように十分に加熱すると繊維同士の融着のほうが強固になり、エンボスロール61,62には付着しなくなると考えられる。
一方、噴出装置10A,10C(第2繊維噴付装置)から噴出する熱可塑性樹脂の結晶化速度は非常に早く、冷風装置30を通過する数秒間で結晶化する。このため、メインコンベア51上で集積する際に繊維層C1と繊維層C3は既に結晶化している。結晶化した熱可塑性樹脂は、融解するまでに一定の時間がかかる。このため、融着工程においてエンボスロール61,62により熱と圧力を加える際、繊維層C1と繊維層C3を構成する繊維同士が接合する程度には軟化するものの、剥離してエンボスロール61,62に付着することはない。更に、本実施形態では、エンボスロール61,62への巻き付きが発生しやすいポリ乳酸系の樹脂で形成された繊維層C2を、繊維層C1と繊維層C3とで挟み込む構成を有しているため、ポリ乳酸系の樹脂で形成された繊維は不織布Cの表面に露出せず、エンボスロール61,62への繊維層の巻き付きは起こらない。
ここで、繊維層C2を構成するポリ乳酸の相溶性パラメータ(SP値)は、19.8であり、繊維層C1,3を構成するポリエチレンについては16.4、ポリプロピレンについては14、ポリエチレンテフタレートについては21.8である。繊維層C1,3にいずれの素材を用いる場合でも、ポリ乳酸とは0.5以上の差があり、相溶性なしと評価することができる。このため、融着工程を経ても、繊維層C2と繊維層C1,C3は一応接着するものの相溶はしない。よって、不織布Cを製造した後、更に剥離工程を設けて、各繊維層を分離することができる。分離した繊維層は、そのそれぞれを今までにない薄い不織布として利用することができる。特に繊維層C2については、生分解性を有しつつもその薄さのため肌面に追従しやすく、衛生用品に用いても使用者に違和感を与えない不織布D2として利用することができる。このように、新たに剥離工程を設けることにより、既存の製造設備に大きな変更を加えることなく、新しい特性を持った不織布を得ることができる。その具体例は図5、図6に示すが、各層を剥離して薄い不織布を得る工程は、図3におけるステップS104の工程(剥離工程)である。
図5は、不織布を剥離する工程の一例を示す図である。上述の通り、製造ラインは40m/min以上で稼働しており、この状態で不織布Cの各繊維層を分離して薄い不織布にしようとすると、分離した繊維層が破断する虞がある。そこで、不織布Cを一旦ワインダ70で巻き取ってロール紙80の状態にし、別工程で分離する。上述の製造装置Mにより製造されて巻き取られ、ロール紙80の状態となった不織布Cは、別の場所でゆっくりと引き出される。繊維層C1と繊維層C3は、剥離ロール81U,81Lを通過する際に繊維層C2から分離し、それぞれ別の不織布D1,D2,D3として加工され使用される。このように、ライン速度の異なる剥離工程を別途設ければ、新しい特性を持った不織布を、各繊維層を破断させることなく得ることができる。
図6は、不織布を剥離する更に別の工程の一例を示す図である。図示しないが、不織布製造装置Mの噴出装置10A,10C(第2繊維噴付装置)は、10A,10Cそれぞれについて複数台設けられていてよい。また、噴出装置10A,10Cには、紡糸口金23が複数設けられており(複数の繊維吐出口)、フィラメントfを複数箇所から放出してもよい。一方、噴出装置10B(第1繊維噴付装置)は、図4に示す通り一台であり、紡糸口金23も単独である。
不織布製造装置Mを上述の構成とすると、繊維層C1と繊維層C3を、同種の樹脂繊維
からなる多層構造とすることができる。不織布Cは補強され、40m/min以上という高速で分離しても破断しなくなるため、剥離工程をライン中に配置することができる。図5は、エンボス加工装置60とワインダ70との間に剥離工程を設ける例である。エンボスロール61と62の間を通過して熱圧着した不織布Cを構成する繊維層C1と繊維層C3は、ライン上に設けられた剥離ロール63U,63Lにより繊維層C2から分離し、それぞれ不織布D1,D2,D3として別のワインダにより成形されて巻き取られる。このように構成しても、生分解性不織布である不織布D2は一層構造に保たれ、その厚みは、別途剥離工程を設ける場合と同様である。このため、新しい特性を持った不織布を、インラインでより効率的に製造することができる。
分離された繊維層C1,C3は、溶解して材料として製造工程で再利用してよい。また、生分解性を有していないものの、通常より薄い不織布D1,D3として、生分解性が要求されない用途に用いられてもよい。
第1実施形態では、エンボスロール61,62への巻き付きが発生しやすいポリ乳酸系の樹脂で形成された繊維層C2を、繊維層C1と繊維層C3とで挟み込む構成を有している。このため、ポリ乳酸系の樹脂で形成された繊維は不織布Cの表面に露出せず、エンボスロール61,62への繊維層の巻き付きは起こらない。また、繊維層C1,C3は、融着工程を経ても繊維層C2とは相溶しない。
このため、第1実施形態では、融着工程後に繊維層C1,C3を分離することで、ポリ乳酸系の樹脂で形成された繊維層C2を、不織布D2として得ることができる。
以上説明した製造方法によって、第1実施形態に係る不織布D2が製造される。不織布D2は、生分解性を有しており、更に既存の製法によって製造される不織布よりも薄いため、使用者の肌に当接する衛生用品の素材として好適である。
<第2実施形態>
以下に、第2実施形態について説明をする。第2実施形態では、各図中の同等の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。利用性が高い不織布を提供する方法の一つとして、厚みを薄くすることが考えられる。薄い不織布は追従性が高く、例えば衛生材料として好適である。しかし、製造工程において、集積した繊維層をコンベアから引き出して加熱と加圧を行う際には熱と張力が加えられる。製造工程において薄い不織布を製造しようとすると、当該熱と張力により製造中に破断する虞がある。第2実施形態は、薄く、かつ製造工程において破断しない不織布を製造する方法を提供することを目的としたものである。
図7は、不織布Cを図1に示すAA線に沿って切断した場合のCD方向の断面図である。不織布Cは、MD方向が長手方向となるシートであり、複数層で構成されている。
図7に示されるように、不織布Cは、繊維層C1,C2が積層された2層構造を有している。繊維層C1は、ポリ乳酸系の樹脂を原料とした繊維で形成されている。繊維層C1は、本開示における第2層に該当する。ポリ乳酸は、生分解性不織布の原材料として用いられている。繊維層C2は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテフタレート(PET)のいずれかの樹脂を原料として形成されている。繊維層C2は、本開示における第1層に該当する。なお、不織布Cは3層以上の構造でもよく、例えばポリ乳酸からなる繊維層をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテフタレートのいずれかで構成される繊維層で挟み込む構造としてもよい。
ポリ乳酸(PLA)はグルコースの発酵によって作られる乳酸を原料とする生分解性樹
脂である。ポリ乳酸は、微生物などにより最終的に二酸化炭素と水にまで分解されるため、環境負荷を低減できる。繊維層C1を構成する繊維の繊維径は15μm以下である。
不織布Cは、各繊維層がエンボスによって互いに圧搾接合されている。エンボスの面積率は、5~25%である。また、各繊維層の目付量は、10~30g/mである。このような不織布Cは、吸収性物品やマスクの材料に適している。
次に、図8に基づいて、本実施形態に係る不織布Cの製造方法および製造装置について説明する。図8は、本実施形態に係る不織布Cを製造する不織布製造装置Mを示す図である。図8において、不織布製造装置Mは、複数の繊維噴付装置である2組の噴出装置(繊維噴付装置)10を備えており、それぞれの噴出装置10(10A、10B)は、紡糸装置20、冷風装置30およびインジェクタ40を備えて構築されている。不織布製造装置Mは、噴出装置10A、10Bを備えることによって2層の不織布Cを製造することができる。噴出装置10Bは、繊維層C2を形成するための「第1繊維噴付装置」の一例であり、噴出装置10Aは、繊維層C1を形成するための「第2繊維噴付装置」の一例である。不織布Cの層を増やす場合には、噴出装置の数を増やしてよい。
図8に示す第2実施形態に係る不織布製造装置Mでは、噴出装置10は、噴出装置10A,10Bの2組となっており、第1実施形態とは異なり、噴出装置10Cと、これに付随するサブコンベアや吸引ボックスは存在しない。第2実施形態に係る不織布製造装置Mにおいても、不織布製造方法は、図3に示すものと同様である。
第2実施形態でも、噴出装置10A、10B毎に原料樹脂の種別を変え、別素材からなる材料R1、R2のシート状フィラメントを重ねて2層以上の多層にする。上述の通り、原料樹脂R1としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテフタレートのうちのいずれかの樹脂を採用でき、原料樹脂R2としては、ポリ乳酸系の樹脂が採用できる。また、原料樹脂R1,R2には、例えば、公知の耐熱安定剤および耐候安定剤などの各種の安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等の添加物を適宜含有させるようにしてもよい。
第2実施形態に示す不織布製造装置Mにおいても、第1実施形態と同様に、捕集ベルト151、152のライン速度(搬送速度)は、40m/min以上である。また、噴出装置10A、10Bの繊維吐出量は、0.5/hole/min以下である。この条件で作成された不織布Cにおいて、繊維層C1における繊維径は15μm以下である。
ところで、樹脂は、紐状の高分子が絡まって構成されており、固化した状態で分子が規則的に並んだ結晶部分を持つ結晶性樹脂と、結晶部分を持たない非晶性樹脂とに分かれる。本実施形態において噴出装置10B(第1繊維噴付装置)から吐出され、繊維層C1を形成するポリ乳酸系の樹脂と、噴出装置10A(第2繊維噴付装置)から吐出されて繊維層C2を形成するポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテフタレート(PET)は、いずれも結晶性樹脂である。
ポリ乳酸は結晶性樹脂ではあるものの、その結晶化速度は遅く、造核材を添加しない場合には、最適温度(110℃付近)に加温してなお結晶化までに数時間を要する。ポリ乳酸に造核材を添加すると実用的な結晶化速度を得ることができるが、造核材を添付すると噴出時に張力を与えることが難しくなるため繊維径が太くせざるを得ず、肌面に当接する衛生用品として用いると使用者に違和感を与える虞がある。このため、本実施形態では造核材を添加せずに繊維径を細くし、非晶状態で搬送面に積層する。具体的には、繊維層C1を構成する樹脂は繊維噴付装置からイジェクト圧(繊維吐出圧)0.11Mpa以上で吐出され、引き延ばされて糸直径15μm以下で積層される。上述の通り、製造装置Mは
40m/min以上の高速で不織布Cを搬送するが、非晶状態では、ポリ乳酸系の繊維は引張耐性が低い。このため、上述の製造装置Mでポリ乳酸系樹脂を薄い不織布にしようとすると、製造中にかかる張力により工程中で破断する虞がある。
一方、噴出装置10A(第2繊維噴付装置)から吐出される熱可塑性樹脂は、冷風装置30を通過する数秒間で結晶化する。このため、コンベア上に集積する際には既に結晶化が起っており、引張耐性を有している。このため、第1繊維噴付装置から吐出された繊維層C1と第2繊維噴付装置から吐出された繊維層C2とを積層して引き出すことにより、繊維層C1は繊維層C2により補強され、ライン中で破断しにくくなる。
なお、本実施形態においては、エンボスロール61,62の円筒外周面61a,62aの表面温度は、少なくとも120℃、好ましくは145℃以上になっている。発明者により、ポリ乳酸系の樹脂から構成された繊維は、エンボスロール61,62の温度が120℃以上であれば概ねエンボスロール61,62に貼り付かず、145℃以上であればエンボスロール61,62に残らないことが見出されている。ポリ乳酸系の樹脂のガラス転移温度近傍(60℃~90℃)においては、ポリ乳酸系の樹脂は軟化するものの、繊維同士が十分に融着するには至らないため、エンボスロール61,62に貼り付いてしまう。しかし上記のように十分に加熱すると繊維同士の融着のほうが強固になり、エンボスロール61,62には付着しなくなると考えられる。
ここで、繊維層C1を構成するポリ乳酸の相溶性パラメータ(SP値)は、19.8であり、繊維層C2を構成するポリエチレンについては16.4、ポリプロピレンについては14、ポリエチレンテフタレートについては21.8である。繊維層C2にいずれの素材を用いる場合でも、ポリ乳酸とは0.5以上の差があり、相溶性なしと評価することができる。このため、エンボスロール61,62を通過しても、繊維層C1と繊維層C2は一応接着するものの相溶はしない。よって、不織布Cを製造した後、更に各繊維層を分離することができる。分離した不織布は、それぞれを今までにない薄い不織布として利用することができる。特に、ポリ乳酸系の樹脂で構成された繊維層C1については、生分解性を有しつつも肌触りが良く、衛生用品に用いても使用者に違和感を与えない不織布D1として利用することができる。新たに剥離工程を設けることにより、既存の製造設備に大きな変更を加えることなく、新しい特性を持った不織布を得ることができる。
図9は、不織布を剥離する工程の一例を示す図である。上述の通り、製造ラインは40m/min以上で稼働しており、この状態で不織布Cを分離して薄い不織布にしようとすると、分離した不織布が破断する虞がある。そこで、不織布Cを一端ワインダ70で巻き取ってロール紙80の状態にし、別工程で分離する。上述の製造装置Mにより製造されて巻き取られ、ロール紙80の状態となった不織布Cは、別の場所でゆっくりと引き出される。繊維層C2は、剥離ロール81を通過する際に繊維層C1から分離する。繊維層C1は、生分解性を有する薄い不織布D1として使用できる。剥離した繊維層C2も、別途収集される。このように、剥離工程を別途設ければ、新しい特性を持った不織布を、各繊維層を破断させることなく得ることができる。
図10は、不織布を剥離する更に別の工程の一例を示す図である。図示しないが、不織布製造装置Mの噴出装置10A(第2繊維噴付装置)は、複数台設けられていてよい。また、噴出装置10Aには、紡糸口金23が複数設けられており(複数の繊維吐出口)、フィラメントfを複数箇所から放出してもよい。一方、噴出装置10B(第1繊維噴付装置)は、図8に示す通り一台であり、紡糸口金23も単独である。
不織布製造装置Mを上述の構成とすると、繊維層C2を、同種の樹脂繊維からなる多層構造とすることができる。不織布Cは補強され、40m/min以上という高速で分離し
ても各層が破断しなくなるため、剥離工程をライン中に配置することができる。図10は、エンボス加工装置60とワインダ70との間に剥離工程を設ける例である。エンボスロール61と62の間を通過して熱圧着した不織布Cを構成する繊維層C2は、ライン上に設けられた剥離ロール63により繊維層C1から分離する。繊維層C1は、生分解性を有する薄い不織布D1として、ワインダによって形成されて巻き取られる。剥離した繊維層C2も、別途収集される。このように構成しても、生分解性不織布である不織布D1は一層構造に保たれ、その厚みは、別途剥離工程を設ける場合と同様である。このため、新しい特性を持った不織布を、インラインでより効率的に製造可能である。
繊維層C2は、生分解性を有しないものの薄い不織布D2として、不織布D1とは別の用途に利用することができる。生分解性を有する不織布D1のみを得たい場合には、繊維層C2については再溶解し、製造工程で再利用してもよい。
以上説明した製造方法によって、第2実施形態に係る不織布D1が製造される。不織布D1は、薄く、製造工程において破断しない不織布である。更に、不織布D1は、生分解性を有しており、更に既存の製法で製造する不織布より薄いため肌触りがよい。このため、不織布D1を、使用者の肌に当接する衛生用品の部材として用いることができる。
<第3実施形態>
以下に、第3実施形態について説明をする。第3実施形態では、各図中の同等の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。第1実施形態では、一例としてはポリ乳酸等の素材からなる結晶化の遅い樹脂を、ポリオフィレン系の化粧化の早い樹脂で挟み込んだ3層として結晶化の遅い樹脂の熱ローラへの貼り付きを防止した。これに対して、第3実施形態では、ポリ乳酸等の素材から形成され、結晶化の遅い樹脂層が表面に露出した2層でありながらも熱ローラへの貼り付きを発生させずに熱ローラを通過可能な不織布を製造する方法を提供することを目的とする。なお、第3実施形態で製造される不織布Cは、図7に示す第2実施形態に係る不織布Cとほぼ同様の構成を有している。
図11は、第3実施形態に係る不織布Cを製造する不織布製造装置Mを示す図である。第3実施形態でも、不織布製造装置Mの熱ローラまでの構成は、第2実施形態と同様であり、また、不織布製造方法は、図3に示すものと同様である。噴出装置10A(第2繊維噴付装置)はポリオフィレン系の樹脂を噴付し、噴出装置10B(第1繊維噴付装置)は、ポリ乳酸系の樹脂を噴付する。このため、図3に示すシート搬送工程(ステップS102の工程)では、積層されたフィラメント集合体Fabの上側には結晶化の遅いポリ乳酸(PLA)繊維からなる繊維層C1が、下側にポリオフィレン系の繊維(一例としてはポリプロピレン(PP)繊維)からなる繊維層C2が積層されている状態となる。
第3実施形態に係るエンボス加工装置60Aは、円筒状の外周面61a、64a同士を圧接させて相対回転する。このエンボス加工装置60Aは、下側である繊維層C2側にエンボスロール61を備えており、エンボスロール61の円筒外周面61aは、加熱されている。一方、エンボスロール61と、フィラメント集合体Fabを挟んで相対する繊維層C1側にはアンビルロール64を備えている。アンビルロール64の円筒外周面64aも、加熱されている。エンボス加工装置60Aは、上側のアンビルロール64の円筒外周面64aに、下側のエンボスロール61の円筒外周面61aに、規則的あるいは不規則に配列された不図示のエンボス突起を任意の圧接力で押し付ける。
これにより、エンボス加工装置60Aは、エンボスロール61、アンビルロール64間に挟み込むフィラメント集合体Fabを相対回転方向に送り出すとともに、そのエンボス突起の形成位置に対応する複数のエンボス加工箇所でフィラメントf同士を交絡させ、圧搾接合させるエンボス加工を施して、そのシート状の形態を維持する不織布Cに加工する
。エンボスロール61の円筒外周面61aと、アンビルロール64の円筒外周面64aは、加熱されている。円筒外周面61a、64aが加熱されていることにより、不織布Cを構成する各繊維の一部が融合するため、丈夫な不織布を製造することができる。フィラメント集合体Fabをエンボス加工装置60Aで不織布Cに加工する工程は、図3に示すステップS103の工程(融着工程)である。
図12は、第3実施形態に係る不織布にエンボス加工を行い、剥離する工程の一例を示す図である。上述の通り、エンボスロール61はフィラメント集合体Fabにエンボス加工を行い、各繊維を融着して不織布Cを形成するのに好適な温度に加熱されている。一方、アンビルロール64は、第2実施形態と同様に、少なくとも120℃、好ましくは145℃以上に加熱されている。アンビルロール64の表面が120℃以上であれば、ポリ乳酸系の樹脂はロールに貼り付かず、145℃以上であればロールに残らない。更に、本実施形態では、ポリ乳酸系の樹脂層である繊維層C1が当接するアンビルロール64の円筒外周面64aには突起が付されておらず平滑であるため、繊維層C1は、第2実施形態よりもロールに巻き付きにくい。このため、第3実施形態では、フィラメント集合体Fabに好適な温度でエンボス加工を行って融着し、不織布Cを形成することができると共に、アンビルロール64にはポリ乳酸系の樹脂層である繊維層C1が貼り付きにくいエンボス加工装置60Aを提供できる。
第2実施形態で説明した通り、ポリ乳酸の相溶性パラメータとポリオフィレン系樹脂の相溶性パラメータ(SP値)は0.5以上の差があり、両素材に相溶性はない。このため、第3実施形態においてエンボス加工装置60Aを通過し、不織布Cとなった繊維層C1と繊維層C2は、一応接着するものの相溶はしていない。よって、不織布Cを製造した後、更に繊維層C1と繊維層C2を分離することができる。
剥離工程(図3に示すステップS104)は第2実施形態と同様である。すなわち、エンボス加工装置60Aによって形成された不織布Cのうち繊維層C2は、ライン上に設けられた剥離ロール63により繊維層C1から分離する。繊維層C2を分離された繊維層C1は、生分解性を有する薄い不織布D1として、ワインダによって形成されて巻き取られる。剥離した繊維層C2も、別途収集される。このように構成しても、生分解性不織布である薄い不織布D1を得ることができる。不織布D1は、生分解性を有しながらも非常に薄いため、吸収性物品やマスク等の、着用者の肌に当接する不織布として使用することができる。
繊維層C2は、生分解性を有しないものの薄い不織布D2として、不織布D1とは別の用途に利用することができる。生分解性を有する不織布D1のみを得たい場合には、繊維層C2については再溶解し、製造工程で再利用してもよい。
実施形態3では、融着工程と剥離工程が連続している、すなわち不織布Cをインラインで分離する形態を示したが、他の実施形態と同様、不織布Cを一旦ワインダ70で巻き取ってロール紙80の状態にし、別工程で分離することもできる。剥離工程を別途設ければ、既存の製造設備に変更を加える必要はない。また、不織布製造装置Mのライン速度に依存せずに繊維層C1、C2を剥離させることができるため、剥離により得られる各不織布D1,D2が破断しない最適な速度で剥離工程を実行することができる。
以上、各実施形態について説明したが、本発明の内容は上記各実施形態に限られるものではない。第1実施形態では、繊維層C1,C3と生分解性を有する繊維層C2を形成する樹脂について説明したが、樹脂の種類はこれに限られない。例えば、相溶性パラメータ(SP値)が繊維層C2と十分に(0.5以上)異なっていれば、繊維層C1,C3の素材として任意の樹脂を使用することができる。また、第2実施形態、第3実施形態におい
ても、相溶性パラメータ(SP値)が実体層である繊維層C1と十分に異なっている場合には、各繊維層として任意の樹脂を使用することができる。また、第2実施形態においても、不織布Cは2層に限られない。噴出装置とサブコンベアや吸引ボックスを増設することにより、3層以上となるように形成し、剥離工程において3枚以上の薄い不織布を得ることも可能である。
また、第1実施形態では、エンボス加工装置60において、エンボスロール61,62を用いたが、本開示の実現のためには必ずしもエンボスロールを使用する必要はない。本実施形態で製造する不織布はC2であって、エンボスロール61,62と当接する繊維層C1,C3を、製品として用いないことも考え得るからである。繊維層C1,C3を製品として用いない場合には、エンボスロール61,62は、単に外周面61a,62aを加熱する熱ローラであってもよい。
以上で開示した実施形態やその応用例は、それぞれ組み合わせることができる。
C・・不織布
C1,C2,C3・・繊維層
D1,D2,D3・・不織布
M・・不織布作製装置
10、10A、10B、10C・・噴出装置
20・・紡糸装置
30・・冷風装置
40・・インジェクタ
50・・捕集コンベア
51・・メインコンベア
52、53・・サブコンベア
54・・吸引ボックス
60・・エンボス加工装置
61、62・・エンボスロール
64・・アンビルロール
70・・ワインダ
80・・ロール紙
81U,81L,63,63U,63L・・剥離ロール
141、142・・案内板
151、152、153・・捕集ベルト
154a、154b、154c・・吸引チャンバ
162・・調整ローラ
f・・フィラメント
fr・・回転径
F、Fa、Fab、Fabc、Fb、Fc・・フィラメント集合体
Lc・・交差間隔
Ld・・開放間隔
Lr・・退避間隔
P、Pa、Pb、Pc、Pe、Pm、Ps・・吸引圧力(風速)

Claims (11)

  1. 複数の繊維噴付装置から繊維を噴出する繊維噴付工程と、
    前記複数の繊維噴付装置から噴き付けられる繊維の束を搬送面で捕集してシート状の繊維層にしつつ移送方向に搬送するシート搬送工程と、
    前記シート状の繊維層に、熱ローラにより熱と圧力を加えて融着させる融着工程と、
    を、備える、
    不織布の製造方法であって、
    前記複数の繊維噴付装置は、少なくとも、
    前記搬送面において厚み方向に第1層を形成する第1繊維噴付装置と、
    前記第1繊維噴付装置とは別素材からなる繊維を噴出して、前記搬送面において厚み方向に第2層を形成する第2繊維噴付装置と、
    を、有する、
    不織布の製造方法。
  2. 前記第1繊維噴付装置は、結晶化が遅い結晶性の樹脂繊維を噴出し、前記搬送面において厚み方向に第1層である中層を形成し、
    前記第2繊維噴付装置は複数設けられ、結晶化が早い結晶性の樹脂繊維を噴出し、前記搬送面において厚み方向に第2層である上層と下層とを形成し、
    前記融着工程において、前記熱ローラは前記上層および前記下層と当接する、
    請求項1に記載の不織布の製造方法。
  3. 前記第2層を構成する繊維層と、前記第1層を構成する繊維層は、相溶性が低い、
    請求項1または2に記載の不織布の製造方法。
  4. 前記融着工程を経た後、前記第1層と前記第2層とを剥離する剥離工程を備える、
    請求項1または2に記載の不織布の製造方法。
  5. 前記剥離工程の後、前記第1層と前記第2層とをそれぞれ別の不織布として得る、
    請求項4に記載の不織布の製造方法。
  6. 複数設けられた前記第2繊維噴付装置は、複数の繊維吐出口を備え、
    前記第2層を構成する繊維層は、厚み方向に2層以上の層から構成されている、
    請求項2に記載の不織布の製造方法。
  7. 前記第1層を構成する繊維層は、一層である、
    請求項1または2に記載の不織布の製造方法。
  8. 前記第1層は、ポリ乳酸系の繊維により形成され、
    前記第2層は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテフタレートのうちのいずれかからなる繊維により形成される、
    請求項1または2に記載の不織布の製造方法。
  9. 前記熱ローラの表面温度は、120℃以上である、
    請求項1または2に記載の不織布の製造方法。
  10. 前記シート搬送工程の搬送速度は、40m/min以上であり、
    前記第1繊維噴付装置および前記第2繊維噴付装置の繊維吐出量は、0.5/hole/min以下である、
    請求項1または2に記載の不織布の製造方法。
  11. 前記第1繊維噴付装置の繊維吐出圧は、0.11Mpa以上であり、
    前記シート搬送工程において搬送される、前記第1層を構成する繊維の糸直径は、15μm以下である、
    請求項10に記載の不織布の製造方法。
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