JP2023058019A - 画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジ - Google Patents

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Abstract

【課題】電荷注入性と電荷保持性の両立による起動時カブリの解消と転写性向上の両立を達成できる画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジを提供すること。【解決手段】電子写真感光体と、トナーを収容しているトナー収容部を有し、該電子写真感光体表面に該トナーを供給する現像手段と、を有する画像形成装置であって、該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、該表面保護層は、導電性粒子を含有し、該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式で使用される画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジに関する。
近年、複写機やプリンター等の画像形成装置は、使用目的及び使用環境の多様化が進むと共に、更なる高速化、高画質化、高安定化が求められている。高速化に関しては印字時間短縮に加えて、画像形成装置の初期起動時間の短縮も強く求められている。しかし、起動時間の短縮を進めると、トナーに帯電付与する時間は短くなる方向になり、以下で述べるカブリの発生が課題となる。
まず、カブリの発生プロセスを説明する。トナーはトナーがトナー担持体上に搬送された後、トナーが帯電付与部材と摺擦されることで摩擦帯電し、その後トナー担持体上から静電気力で静電潜像担持体(以下、電子写真感光体、または感光体)上の静電潜像に飛翔することで画像を形成する。起動初期の場合、トナーが十分に摩擦帯電されていないため、低帯電量のトナーや電荷の絶対値が反転したトナーが多数存在してしまい、帯電分布がブロードになりやすい。これらのトナーが非画像部に飛翔してしまい、カブリが発生する。
上述した起動時間の短縮を進めた場合、低帯電量のトナーや電荷の絶対値が反転したトナーの生成などのトナーの帯電異常が発生しやすくなり、非画像部にトナーが飛翔し非印字部が着色される画像欠陥(以下、カブリと呼び、特に起動時初期に発生するものを起動時カブリと呼ぶ)が発生しやすくなる。この影響は、トナーが絶対水分量が高い環境下に長時間放置された後に画像形成装置を起動する場合、トナーの表面に水分が吸着することでトナーの帯電量が低下しやすくなるため、特に顕著に発生する。
このようなカブリ改善を目的として、注入帯電プロセスによる帯電立ち上がりの改善の検討が行われている。注入帯電プロセスとは、トナーと帯電部材との電位差によって電荷を注入することでトナーを帯電させるプロセスである。注入帯電プロセスを用いれば、トナー中やトナー間に導電パスが存在すれば、帯電部材と接触している部分だけではなく、トナー全体を均一に帯電させることができる。また、注入帯電によれば、電位差を変えることで任意に帯電量を制御できるため、システムが要求する帯電量を満たすことが容易になる。さらに、注入帯電は湿度の影響を受けにくいため、環境による帯電量の変化を抑制することが可能である。
しかしながら、注入帯電プロセスには、電荷の注入と保持を両立することが難しいという課題があった。これは、トナー中やトナー間に導電パスが存在することにより、注入した電荷がトナー担持体や感光体などにリークしやすくなるためである。トナーの電荷保持性が低く、電荷がトナー担持体や感光体などにリークした場合、トナーが感光体から紙へ静電転写されるのに十分な帯電量を有することができず、転写性が悪化する。
このように、注入帯電プロセスにおいて、電荷注入性と電荷保持性はトレードオフの関係となっていた。
特許文献1では、導電性トナーの帯電方式として、表面が絶縁化された分極帯電部材とトナー担持体との間に電荷分極電界を作用させ、かつ、この電荷分極電界作用域にて導電性トナーを挟んで電荷分極するという分極帯電方式を採用した現像装置が開示されている。このような構成をとる場合、導電性トナー層間で電荷分極が起こり、正規極性に分極された導電性トナーのみをトナー担持体側に転移させ、正規極性と逆極性に分極された導電性トナーを分極帯電部材側に残存させることができる。そのため、逆極性トナーの発生を抑えながら導電性トナーを確実に注入帯電することができてカブリを抑制できる。また、導電性トナーの抵抗が電荷分極電界と、静電潜像の背景部電位と現像バイアス電位とで形成される電界との間で高抵抗から低抵抗へスイッチング(抵抗変化)することで、転写時における導電性トナーの電荷保持性を良好に保つことができる。そのため、導電性トナーを使用する際の不具合である、静電転写性を改善することができる。
特許文献2には、注入帯電プロセスにおいてトナーを軽度に加圧することで、トナーの導電率を一時的に上昇させてトナー規制部材からトナーの電荷注入性を高めることで、注入帯電が可能となる一方で注入帯電プロセスの後に除圧することで、トナーの導電率を低下させてトナーの電荷保持性を高めることで、トナーからの電荷リークを抑制できるトナーが開示されている。
特許文献3には、電子写真感光体の表面保護層(以下、保護層ともいう)がニオブ元素を0.008質量%以上2.5質量%以下含有するアナターゼ型酸化チタンを含有することにより、感光体表面に機械的強度が向上した保護層が形成されて、クリーニング性能が向上し、かつ、高温高湿環境下で帯電を繰り返しても表面抵抗の低下や残留電位上昇を起こさず画像流れ等の画像欠陥を発生しない電子写真感光体が開示されている。
特開2006-267693号公報 特開2021-21791号公報 特開2009-229495号公報
上記特許文献1に記載のトナーは、電圧に依存して抵抗変化可能なトナーを分極帯電させることによりカブリ抑制と転写性を両立している。しかしながら、分極帯電部材のみを用いた注入帯電では近年要求されるプリンティングプロセスの高速化に対しては、十分な注入帯電量を得ることができず、カブリの課題は残されていた。特に高温高湿下の長期放置後における起動時カブリに対しては大きな課題が残されている。また、注入帯電量を更に高めるために導電性コアの露出を高め、絶縁性被覆層を薄くした場合、電界の変化によるトナーの体積抵抗率の制御だけではリーク抑制のために十分な電荷保持性を得ることができないという課題があった。
上記特許文献2に記載のトナーは、圧力に依存して抵抗変化可能なトナーを分極帯電させることによりカブリ抑制と転写性を両立している。しかしながら、トナー規制部材のみを用いた注入帯電では近年要求されるプリンティングプロセスの高速化に対しては、十分な注入帯電量を得ることができず、高温高湿下の長期放置後における起動時カブリの課題は残されていた。
特許文献3に記載の電子写真感光体は、電子写真感光体の保護層にニオブ元素を含有するアナターゼ型酸化チタンを含有させることで、保護層のクリーニング性を向上させるとともに、高温高湿環境下における繰り返し使用における画像欠陥の発生を抑制している。しかしながら、アナターゼ型酸化チタンのニオブ元素の含有量が0.008質量%以上2.5質量%以下と少量であるため、感光体と帯電部材との接触電位を十分近づけることができず、感光体及びトナーへの注入帯電性や帯電均一性良化の効果を得ることができなかった。そのため、カブリの課題は残されていた。また、カブリの課題を解決するためにニオブ元素の含有量や酸化チタンの量を増やすと、リーク抑制のための十分な電荷保持性を得ることができないという課題があった。
そこで本発明の課題は、注入帯電プロセスにおける電荷注入性と電荷保持性を高度に両立することで、精密な帯電制御を可能とし、起動時カブリの解消と転写性向上の両立を達成できる画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジを提供することにある。
本発明は、電子写真感光体と、
トナーを収容しているトナー収容部を有し、該電子写真感光体表面に該トナーを供給する現像手段と、を有する画像形成装置であって、
該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、
該表面保護層は、導電性粒子を含有し、該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、
該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることを特徴とする画像形成装置に関する。
また、本発明は、電子写真感光体を帯電させる帯電工程と、
帯電された該電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光工程と、
該電子写真感光体上の静電潜像をトナーを用いて現像し、トナー像を形成する現像工程と、
該トナー像を転写材に転写する転写工程と、を有する画像形成方法であって、
該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、
該表面保護層は、導電性粒子を含有し、該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、
該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることを特徴とする画像形成方法に関する。
また、本発明は、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、
該プロセスカートリッジは、電子写真感光体と、
トナーを収容しているトナー収容部を有し、該電子写真感光体表面に該トナーを供給する現像手段と、
を有し、
該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、
該表面保護層は、導電性粒子を含有し、該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、
該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
本発明によれば、電荷注入性と電荷保持性の両立による起動時カブリの解消と転写性向上の両立を達成できる画像形成装置、画像形成方法およびプロセスカートリッジを提供することができる。
本発明に好適な画像形成装置の概略図である。 本発明に好適なプロセスカートリッジの概略図である。 本発明の電子写真感光体の構成の一例を示す概略図である。 表面保護層の体積抵抗率の測定に用いられる櫛型電極の説明図である。 本件実施例に用いたニオブ含有酸化チタンの一例のSTEM画像図である。 本件実施例に用いたニオブ含有酸化チタンの一例の模式図である。
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
トナー帯電プロセスでは起動時初期に帯電部材やキャリア(以下、帯電部材と総称する)とトナーとの摺擦が十分でなく、低帯電量のトナーや電荷の絶対値が反転したトナーが多く存在してしまい、トナーの電荷の分布がブロードになってしまうことがある。特に、高温高湿環境下で長期間放置された後に、この影響が顕著である。低帯電量のトナーや電荷の絶対値が反転したトナーの生成を抑制するためには、帯電部材からトナーへ電荷を注入することで任意の帯電量に制御することが有効である。このとき、特許文献1や特許文献2で実施されているような単一部材からの注入帯電プロセスでは起動時カブリを解消するのに十分な電荷注入をするのは難しく、仮に1か所からの電荷注入により高帯電を達成しようとした場合、部分的に過剰な電荷が注入されてしまい、帯電の不均一性に起因したカブリが発生してしまう場合がある。そのため、帯電均一性を維持しつつ電荷注入性を高めるには複数個所からの電荷注入が必要である。
また、上記のような注入帯電方式において電荷保持性を維持し、転写性を維持するためにはトナーや電荷供給部材の導電性を最適に設計することや、過剰な導電パスの形成を抑制する必要がある。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、電荷注入性の向上によるカブリ抑制と転写性向上の両立を達成するためには、以下の構成の画像形成装置であれば、上記の要求を満たすことを見出した。
すなわち、電子写真感光体と、トナーを収容しているトナー収容部を有し、該電子写真感光体表面に該トナーを供給する現像手段と、を有する画像形成装置であって、該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、該表面保護層は、導電性粒子を含有し、該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることで、上記の要求を満たす。
本発明者らは、効果発現のメカニズムについて、次のように考察している。
本発明者らは、従来の方法に加えて、現像ニップ内で感光体からトナーへ電荷を注入することができれば、本発明の課題を解決できると考えた。そのためには、感光体表面とトナーの導電性を制御する必要がある。感光体からの注入帯電を行うためには、まずは、感光体への電荷注入性を高めること、次にトナーと各部材間およびトナー間で良好な導電パスを形成する必要がある。本発明の感光体の表面保護層には導電性粒子を含有しており、電荷注入性を高めるのに十分な導電性粒子の含有量と表面保護層の導電性を有している。そのため、導電性粒子を介して帯電部材から感光体への電荷の注入を行うことができる。その結果、帯電部材と感光体の二か所からトナーへの電荷注入が達成できていると考えている。
さらに、本発明のトナー粒子表面には、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子である多価酸金属塩粒子が存在する。第4族の金属元素は価数が+4の状態が最も安定である。そのため多価酸と架橋構造を作ることで、電荷の移動が促進され、トナー規制部材および感光体からトナーに移動した電荷をトナー内部へ速やかに移動することができ、電荷注入を効率よく行うことができていると思われる。
上述したように感光体およびトナーの導電性を高めることで注入特性を発現することができるが、一方でトナーからトナー担持体や感光体への電荷のリークが発生しやすくなる。本発明では、感光体の表面保護層に含まれる導電性粒子量を適切な量で含有させることで、表面保護層の体積抵抗率を制御し、トナーから感光体への電荷のリークを抑制し、トナーの電荷保持性を高める方法を見出した。
さらに、本発明のトナー粒子表面には多価酸金属塩が粒子状で存在する。多価酸金属塩が粒子状で存在する場合、多価酸金属塩が膜状や凝集塊状のようなバルクで存在する場合と比べて導電性のドメインが離散的に存在することになる。その結果、導電パスが過度に形成されることがなく、電荷保持性を維持することができていると考えている。また、第4族金属元素を含有する塩は、第1族及び第2族の金属元素のみを含有する塩に比べて吸水性が低いため、特に電荷保持性が高い。
以上のメカニズムをまとめると、感光体の保護層に導電性粒子、トナー粒子の表面に多価酸金属塩粒子が各々存在することで、トナー規制部材および感光体の二か所からトナーへの電荷注入を達成していると考えられる。さらに、表面保護層の導電性制御や多価酸金属塩の存在状態制御によって電荷保持性の維持を達成できていると思われる。このようにして、起動時カブリ抑制の向上と転写性向上の両方の効果を得られているものと考えている。
すなわち本発明は、電荷注入性の高い感光体と、電荷注入性の高いトナーを初めて組み合わせることで、高温高湿環境下での長時間放置後の起動時カブリを抑制する効果を得られるとともに、転写性向上との両立を達成している。
以下に、本発明の画像形成装置を詳細に説明する。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体と、感光層と、表面保護層とを有する。図3は、本発明の電子写真感光体の好ましい構成を示す概略断面図であり、25は導電性支持体、26は下引き層、27は電荷発生層、28は電荷輸送層(27と28を合わせて感光層)、29は表面保護層であり、それぞれ以下に詳細に説明する。
<表面保護層>
表面保護層(以下、保護層ともいう)には、本発明に係る導電性粒子が含有される。前記保護層における導電性粒子の含有割合は5.0体積%以上70.0体積%以下である必要がある。該導電性粒子の含有割合が5.0体積%以上であれば、保護層全体の体積抵抗率が高くても、導電性粒子を介した導電パスが形成されやすいため、帯電部材から感光体、および感光体からトナーへの注入帯電性が向上し、カブリ抑制が良化する。70.0体積%以下であれば、過度に導電パスが形成されることによるトナーから感光体への電荷のリークを抑制することができ、感光体上のトナーの電荷保持性が向上し、転写性が向上する。導電性粒子の含有割合は40.0体積%以下であることが導電パス形成による注入帯電性向上の点からより好ましい。
本発明の感光体は、保護層の体積抵抗率が、23℃50RH%の雰囲気下において1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下である必要がある。体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上となる場合、トナーと接触している感光体表面近傍に存在する電荷が感光体全体に拡散しにくくなるため、トナーから感光体への電荷のリークを抑制することができる。そのため、感光体上のトナーの電荷保持性が向上し、転写性が向上する。体積抵抗率が1.0×1014Ω・cm以下であれば、帯電部材から感光体、および感光体からトナーへの注入帯電性が向上し、カブリ抑制が良化する。体積抵抗率は1.0×1011Ω・cm以下であることがトナーから感光体への電荷のリークを抑制し、転写性を向上できる点でより好ましい。
保護層は、重合性官能基を有する化合物の重合物及び樹脂を含有してもよい。重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素-炭素二重結合基、アルコキシシリル基、シラノール基などが挙げられる。重合性官能基を有する化合物として、電荷輸送能を有するモノマーを用いてもよい。重合性官能基を有した化合物は、連鎖重合性官能基と同時に電荷輸送性構造を有していてもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、上記の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を感光層上に形成し、乾燥及び/または硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.2μm以上5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上3μm以下であることがより好ましい。
<導電性粒子>
保護層が含有する導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。本発明の電子写真感光体における前記導電性粒子は、帯電部材からの電荷の注入性の観点から酸化チタン粒子であることが好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物にニオブやリン、アルミニウムなどの原子やその酸化物をドーピングすることが好ましい。その中でも、ニオブ原子を含有する酸化チタン粒子であることが好ましい。ニオブ原子を含有することで、帯電部材との接触電位が近くなる傾向があり、注入帯電性や帯電均一性が良化する。
ニオブ原子を含有した酸化チタン粒子は、アナターゼ型又はルチル型の酸化チタン粒子であることが好ましく、アナターゼ型の酸化チタン粒子であることが更に好ましい。アナターゼ型の酸化チタンを用いることで、保護層内の電荷移動が円滑になるため、注入帯電性が良好になる。
導電性粒子として、特に好ましいのは、ニオブを含有し、且つニオブが粒子表面近傍に偏在した構成である酸化チタン粒子である。ニオブが表面近傍に偏在することで、電荷を効率的に授受できるためである。さらに、保護層の抵抗を維持しつつ電荷注入性を上げられるため、転写性の低下を抑制できる。
より具体的には、粒子の中心における、“ニオブ原子濃度/チタン原子濃度”で算出される濃度比率に対して、粒子の表面から粒子の最大径の5%内部における、“ニオブ原子濃度/チタン原子濃度”で算出される濃度比率が、2.0倍以上となる酸化チタン粒子である。尚、ニオブ原子濃度、チタン原子濃度は、EDS分析装置(エネルギー分散型X線分析装置)を接続した走査透過型電子顕微鏡(STEM)により得られる。
ここで、本発明の実施例で用いた酸化チタン粒子の一例のSTEM像を図5に示す。また図5のSTEM像を模式的に図6に示す。図6中の31は酸化チタン粒子の中心部、32は酸化チタン粒子の表面近傍、33は酸化チタン粒子の中心部を分析するX線、34は酸化チタン粒子の表面から一次粒子径の5%内部を分析するX線を表す。
本発明で使用しているニオブを含有した酸化チタン粒子は、芯材となる酸化チタン粒子に、ニオブを含有した酸化チタンを被覆した後に焼成することで作製することができる。そのため、被覆されたニオブを含有した酸化チタンは、芯材の酸化チタンの結晶に沿って、所謂エピタキシャル成長によりニオブドープ酸化チタンとして結晶成長をすると考えられる。このようにして作製したニオブを含有した酸化チタンは、図5に示すように粒子中心部の密度と比べ、表面近傍での密度が低く、コアシェル様の形態となっていることが伺える。また、STEMによるEDS分析では、X線は粒子全体を透過するため、図6に示すように、粒子中心部でのEDS分析に対して、粒子の表面から粒子径の5%内部におけるEDS分析は、表面近傍の影響が大きくなる。つまり、上述するようなSTEMによるEDS分析において、粒子の中心でのニオブ/チタン原子濃度比率に対して、粒子の表面から粒子の最大径の5%内部におけるニオブ/チタン原子濃度比率が、2.0倍以上であるとは、ニオブ元素が表面近傍に偏在している状態と考えられる。このような状態とすることで、上述のように電荷を効率的に授受できるようになる。結果として、トナーへの電荷注入性を高めることができる。また、表面保護層の体積抵抗率の低下を抑制することができる。これにより、本発明の効果に加えて、初期から耐久末期まで、高温高湿環境でのカブリ抑制が良化する。
STEMによるEDS分析としては、透過型電子顕微鏡により観察し、EDSにより、ニオブ/チタン比を測定する。また、電子写真感光体をミクロトームやArミリング、FIBなどの手段で薄片化することで、電子写真感光体から直接測定することもできる。
本発明のニオブ原子含有酸化チタン粒子は、2.6質量%以上10.0質量%以下のニオブ原子を含有することが好ましい。ニオブ原子の含有量が2.6質量%以上である場合、帯電部材との接触電位が近くなり、注入帯電性や帯電均一性が良化する。ニオブ原子の含有量が10.0質量%以下である場合、保護膜の抵抗率が上がりすぎないため、保護層の注入帯電性が良好となる。
ニオブ原子含有酸化チタン粒子は、球体状、多面体状、楕円体状、薄片状、針状等、種々の形状のものを用いることができる。これらの中でも、黒ポチなどの画像欠陥が少ないという観点から、球体状、多面体状、楕円体状のものが好ましい。本発明において、ニオブ原子を含有した酸化チタン粒子は、球体状又は球体状に近い多面体状であることが更に好ましい。
本発明の電子写真感光体における前記導電性粒子は、個数平均粒径で5nm以上300nm以下であることが好ましい。前記導電性粒子の個数平均粒子径が40nm以上であれば導電性粒子の比表面積が大きくなりすぎないため、保護層表面における導電性粒子の近傍に対して水分吸着が少なく、保護層表面の抵抗の低下が抑制できるため転写性が向上する。300nm以下であれば、保護層内における粒子の分散が良好であるとともに結着樹脂との界面の面積が広く、界面における抵抗が低下するため電荷の移動によって注入帯電性が良好となる。転写性向上の点から個数平均粒径で40nm以上300nm以下であることがより好ましい。さらに、注入性と転写性の更なる向上の点から個数平均粒径で100nm以上250nm以下であることがさらに好ましい。
<導電性支持体>
本発明において、支持体は導電性を有する導電性支持体である。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられる。中でも、円筒状支持体であることが好ましい。また、支持体の表面に、陽極酸化などの電気化学的な処理、ブラスト処理、切削処理などを施してもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレス、これらの合金などが挙げられる。中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製支持体であることが好ましい。
また、樹脂やガラスには、導電性材料を混合または被覆するなどの処理によって、導電性を付与する。
<導電層>
本発明の電子写真感光体において、支持体の上に、導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。導電層は、導電性粒子と、樹脂と、を含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にニオブやリン、アルミニウムなど元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。
また、導電性粒子は、酸化チタン粒子、硫酸バリウム粒子、酸化亜鉛粒子の表面近傍にニオブ原子を偏在させたものが好ましい。特に酸化チタン粒子の表面もしくは表面近傍にニオブ原子を偏在させたものが好ましい。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その個数平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などをさらに含有してもよい。
導電層は、上記の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
導電層の平均膜厚は、1μm以上40μm以下であることが好ましく、3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
<下引き層>
本発明において、導電性支持体または導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物基、炭素-炭素二重結合基などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などを更に含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上述の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。
下引き層に含まれる金属酸化物粒子は、シランカップリング剤などの表面処理剤を用いて表面処理して用いてもよい。金属酸化物粒子を表面処理する方法は、一般的な方法が用いられる。たとえば、乾式法や湿式法が挙げられる。
乾式法は、金属酸化物粒子をヘンシェルミキサーのような高速撹拌可能なミキサーの中で撹拌しながら、表面処理剤を含有するアルコール水溶液、有機溶媒溶液、または水溶液を添加し、均一に分散させた後に乾燥を行うものである。
また、湿式法は、金属酸化物粒子と表面処理剤とを溶剤中で撹拌、またはガラスビーズなどを用いてサンドミルなどで分散するものであり、分散後、ろ過、または減圧留去により溶剤除去が行われる。溶剤の除去後は、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。
下引き層には、さらに添加剤を含有させてもよく、例えば、アルミニウムなどの金属粉体、カーボンブラックなどの導電性物質、電荷輸送物質、金属キレート化合物、有機金属化合物などの公知の材料を含有させることができる。
電荷輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電荷輸送物質として、重合性官能基を有する電荷輸送物質を用い、上記の重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
下引き層は、上記の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を支持体または導電層上に形成し、乾燥及び/または硬化させることで形成することができる。
下引き層用塗布液に用いられる溶剤としては、アルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などの有機溶剤が挙げられる。本発明においては、アルコール系、ケトン系溶剤を用いることが好ましい。
下引き層用塗布液を調製するための分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
<感光層>
電子写真感光体の感光層は、主に、(1)積層型感光層と、(2)単層型感光層とに分類される。(1)積層型感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と、を有する感光層である。(2)単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質を共に含有する感光層である。
(1)積層型感光層
積層型感光層は、電荷発生層と、電荷輸送層と、を有する。
(1-1)電荷発生層
電荷発生層は、電荷発生物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましい。フタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層は、上記の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.4μm以下であることがより好ましい。
(1-2)電荷輸送層
電荷輸送層は、電荷輸送物質と、樹脂と、を含有することが好ましい。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、4:10~20:10が好ましく、5:10~12:10がより好ましい。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層は、上記の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を電荷発生層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
電荷輸送層の平均膜厚は、3μm以上50μm以下であることが好ましく、5μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
(2)単層型感光層
単層型感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂及び溶剤を含有する感光層用塗布液を調製し、この塗膜を下引き層上に形成し、乾燥させることで形成することができる。電荷発生物質、電荷輸送物質、樹脂としては、上記「(1)積層型感光層」における材料の例示と同様である。
[トナー]
<トナー粒子の表面の状態>
本発明のトナーは、トナー粒子の表面に、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子である。
多価酸金属塩粒子が存在することで、トナー規制部材および感光体からトナーへの導電パスが形成し、二か所からの注入帯電が可能となる。
特に、多価酸金属塩粒子が多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることにより、第4族金属元素と多価酸が架橋構造を作り、電荷の移動が促進される。それにより、トナー規制部材および感光体からトナーに移動した電荷をトナー内部へ速やかに移動することができ、電荷注入を効率よく行うことができる。
また、多価酸金属塩が粒子状で存在することで、多価酸金属塩が膜状や凝集塊状のようなバルクで存在する場合と比べて導電性のドメインが離散的に存在することになる。その結果、導電パスが過度に形成されることがなく、電荷保持性を維持することができて、転写効率向上に見られるような転写性が向上する。
さらに、第4族金属元素を含有する塩は、第1族及び第2族の金属元素のみを含有する塩に比べて吸水性が低いため、特に電荷保持性が高い。
本発明に用いられる金属元素の具体例としては、チタン(第4族、電気陰性度:1.54)、ジルコニウム(第4族、電気陰性度:1.33)、ハフニウム(第4族、電気陰性度:1.30)などが挙げられる。
本発明に用いられる多価酸は、2価以上の酸であれば特段の制限はない。
2価以上の酸と、上記金属元素によって構成される塩は、金属元素を含む化合物と多価酸との間で架橋構造を作り、その架橋構造により電子の移動を促進し、二か所からの注入帯電を達成できる。
本発明に用いられる多価酸の具体例としては、リン酸(3価)、炭酸(2価)、硫酸(2価)などの無機酸;ジカルボン酸(2価)、トリカルボン酸(3価)などの有機酸があげられる。有機酸の具体例としては、以下の、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのジカルボン酸。クエン酸、アコニット酸、無水トリメリット酸などのトリカルボン酸などが挙げられる。中でもリン酸、炭酸、硫酸が好ましく、リン酸がさらに好ましい。
上記金属および上記多価酸を組み合わせた多価酸金属塩の具体例としては、リン酸チタン化合物、リン酸ジルコニウム化合物、リン酸アルミニウム化合物、リン酸銅化合物等のリン酸金属塩、硫酸チタン化合物、硫酸ジルコニウム化合物、硫酸アルミニウム化合物等の硫酸金属塩、炭酸チタン化合物、炭酸ジルコニウム化合物、炭酸アルミニウム化合物等の炭酸金属塩、シュウ酸チタン化合物等のシュウ酸金属塩等が挙げられる。中でもリン酸イオンが金属間を架橋することで強度が高いことからリン酸金属塩が好ましく、リン酸チタン化合物であることがさらに好ましい。
上記多価酸金属塩を得るための方法には特段の制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。中でも、水系媒体中で、金属源となる金属化合物と多価酸イオンを反応させて多価酸金属塩を得る方法が好ましい。
上記方法によって多価酸金属塩を得る場合の金属源としては、多価酸イオンとの反応によって多価酸金属塩を与える金属化合物であれば、特段の制限なく従来公知の金属化合物を用いることができる。
中でも、反応を制御しやすく、多価酸イオンと定量的に反応することから、金属キレートが好ましい。また、水系媒体への溶解性の観点からチタンラクテートやジルコニウムラクテート等の乳酸キレートがさらに好ましい。
本発明に用いられる金属源の具体例としては、チタンラクテート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタントリエタノールアミネート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩、アルミニウムラクテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、銅ラクテート等の金属キレート、チタンテトライソプロポキシド、チタンエトキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、アルミニウムトリスイソプロポキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
上記方法によって多価酸金属塩を得る場合の多価酸イオンとしては、上述した多価酸のイオンを用いることができる。水系媒体に加える場合の形態としては、多価酸そのものを加えてもよく、水溶性の多価酸金属塩を水系媒体に加えて、水系媒体中で解離させてもよい。
特に、本発明のように多価酸金属塩粒子が第4族金属元素を含む場合、金属元素と多価酸との極性差が生じやすく、多価酸金属塩粒子内での分極が大きくなるため、良好な導電パスが形成しやすい。多価酸との極性差が生じやすいとともに、吸湿を抑えられる点で、ポーリングの電気陰性度が、1.30以上1.60以下であることが好ましい。第4族金属のポーリングの電気陰性度は、チタン(第4族、電気陰性度:1.54)、ジルコニウム(第4族、電気陰性度:1.33)、ハフニウム(第4族、電気陰性度:1.30)と上記範囲内であり、吸湿を抑制して高い電荷保持性を保つことができる。
なお、ポーリングの電気陰性度は、「日本化学会編(2004)『化学便覧 基礎編』改訂5版、丸善出版」に記載の値を用いた。
本発明の多価酸金属塩粒子は、周波数10kHzで測定した導電率が1.0×10-5S/m以上1.0×10-2S/m以下であることが好ましい。
周波数10kHzで測定した導電率が1.0×10-5S/m以上であることで、トナー規制部材および感光体からトナーへ電荷注入されやすくなり、注入帯電性が向上し、カブリ抑制が良化する。また、周波数10kHzで測定した導電率が1.0×10-2S/m以下であることで、過度に導電性が上がることによるトナー担持体や感光体への電荷のリークが抑制できるため、電荷保持性向上に伴い、転写性が向上する。
多価酸金属塩粒子の導電率は、多価酸金属塩粒子の微粒子の粉末を平行平板電極で挟み、トルクドライバーを用いて一定の荷重をかけた状態として、電極間の距離と抵抗値を計測することで算出できる。詳細な測定方法は後述する。
なお、多価酸金属塩粒子の周波数10kHzで測定した導電率は、多価酸金属塩粒子の表面を高導電率の多価酸金属塩でコートする方法や、シランカップリング剤を用いて多価酸金属塩粒子の表面を高抵抗化する方法で制御可能である。
本発明のトナー粒子は、トナー母粒子と、該トナー母粒子の表面に形成された凸部を有し、該凸部の表面には、該多価酸金属塩粒子が存在していることが好ましい。
多価酸金属塩粒子が凸部の表面に存在することで、凸が無い場合と比べて多価酸金属塩粒子が存在できる面積が広くなるため、多価酸金属塩粒子がより離散的な位置に存在することになる。さらに凹部付近に存在する多価酸金属塩粒子はトナー担持体や感光体への接触期機会が減少するため、電荷のリークを抑制することができ、転写効率向上に見られるような転写性が向上する。
本発明ではトナー規制部材と感光体の二か所からトナーに対して異なる角度で電荷を注入していることでトナー内での帯電均一性を高めているが、凸部がある場合、注入された電荷が凸部を介してトナー全体に広がりやすくなるため、帯電の均一性がさらに高くなる。そのため、トナー内での分極が少なくなり、トナー同士での静電凝集が抑えられる。その結果、トナーの流動性が向上し、トナー供給力が向上するため、ベタ追従性が良化する。なお、ベタ追従性とは印字率が非常に高い画像(以下、ベタ画像)の連続印刷時の、2枚目以降の濃度安定性のことである。この効果は後述するような、凸部が有機ケイ素重合体で形成されている場合に、凸部の体積抵抗率が最適となり顕著に発現する。
本発明のトナー粒子は、トナー粒子表面の該凸部が、有機ケイ素重合体で形成されていることが好ましい。凸部が、有機ケイ素重合体で形成されることで、多価酸金属塩粒子と凸部との固着性を上げることができ、長期の耐久を通して多価酸金属塩粒子がトナー粒子表面からトナー規制部材へ移行して帯電特性が変化することを防ぐことができる。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体としては、特段の制限なく、従来公知の有機系重合体を用いることができる。中でも、式(1)で表される部分構造を有する有機ケイ素重合体を用いることが好ましい。
R-SiO3/2 式(1)
(式(1)中、Rはアルキル基、アルケニル基、アシル基、アリール基またはメタクリロキシアルキル基を示す。)
上記式(1)は、有機ケイ素重合体が有機基と、ケイ素重合体部を有することを表している。このことにより、上記式(1)で表される部分構造を含む有機ケイ素重合体は、有機基がトナー母粒子との親和性を有することでトナー母粒子と強く固着し、ケイ素重合体部が多価酸金属塩との親和性を有することで多価酸金属塩と強く固着する。このように、有機ケイ素重合体を通して、より強固に多価酸金属塩をトナー母粒子に固着させることができる。
また、多価酸金属塩粒子の金属元素が第4族金属元素の場合、金属元素の価数が2以上であり、有機ケイ素化合物と架橋構造を形成することができるため、トナー粒子表面で有機ケイ化合物の重合体との架橋構造を形成できる。この架橋構造によって多価酸金属塩粒子のトナー規制部材への移行が抑制されるとともに、トナー表面での電荷の移動が促進され、注入帯電性が向上する。その結果カブリ抑制が良化する。
上記効果の発現と、有機ケイ素化合物の高被覆化による導電性低下の抑制を両立する観点で、好ましい有機ケイ素化合物の含有量としては、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して、0.3質量部以上20.0質量部以下である。
上記有機ケイ素重合体を得るための有機ケイ素化合物としては、特段の制限なく従来公知の有機ケイ素化合物を用いることができる。中でも、下記式(2)で表される有機ケイ素化合物からなる群より選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物であることが好ましい。
R-Si-(Ra)3 式(2)
(式(2)中、Raは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又はアルコキシ基を示し、Rは、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基又はメタクリロキシアルキル基を示す。)
式(2)で表されるシラン化合物としては、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシランの三官能のメチルシラン化合物;エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシランなどの三官能のシラン化合物;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの三官能のフェニルシラン化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどの三官能のビニルシラン化合物;アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルジエトキシメトキシシラン、アリルエトキシジメトキシシランなどの三官能のアリルシラン化合物;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジエトキシメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルエトキシジメトキシシランなどの三官能のγ-メタクリロキシプロピルシラン化合物;などの三官能のシラン化合物などが挙げられる。
本発明の多価酸金属塩粒子は、多価酸チタン塩粒子であることが好ましい。金属元素がチタンである場合、ポーリングの電気陰性度が大きいため、ジルコニウムやハフニウムなどの他の第4族金属元素を用いた場合と比べて多価酸との極性差が生じやすい。そのため多価酸金属塩粒子内での分極が大きくなり、良好な導電パスを形成しやすくなる。その結果、注入帯電性が向上し、カブリが良化する。
以下に、上述した材料以外に本発明のトナーに含まれる材料について詳細に述べる。
<結着樹脂>
本発明のトナーは、結着樹脂を含有する。
上記結着樹脂としては、特段の制限なく従来公知の樹脂を用いることができる。具体的には、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。ビニル系樹脂の製造に用いることのできる重合性単量体としては、スチレン、α-メチルスチレンなどのスチレン系単量体;アクリル酸メチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸;マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸;マレイン酸無水物などの不飽和ジカルボン酸無水物;アクリロニトリルなどのニトリル系ビニル単量体;塩化ビニルなどの含ハロゲン系ビニル単量体;ニトロスチレンなどのニトロ系ビニル単量体;などが挙げられる。
中でも、結着樹脂として、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
<着色剤>
本発明のトナーは着色剤を含有してもよい。上記着色剤としては、特段の制限なく従来公知のブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各色及び他の色の顔料及び染料、磁性体などを用いることができる。
ブラック着色剤としては、カーボンブラックなどのブラック顔料が挙げられる。
イエロー着色剤としては、モノアゾ化合物;ジスアゾ化合物;縮合アゾ化合物;イソインドリノン化合物;ベンズイミダゾロン化合物;アントラキノン化合物;アゾ金属錯体;メチン化合物;アリルアミド化合物などのイエロー顔料及びイエロー染料が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、111、128、155、174、180、185、C.I.ソルベントイエロー162などが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、モノアゾ化合物;縮合アゾ化合物;ジケトピロロピロール化合物;アントラキノン化合物;キナクリドン化合物;塩基染料レーキ化合物;ナフトール化合物:ベンズイミダゾロン化合物;チオインジゴ化合物;ペリレン化合物などのマゼンタ顔料及びマゼンタ染料などが挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19などが挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物;塩基染料レーキ化合物などのシアン顔料及びシアン染料などが挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66などが挙げられる。
着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
また、トナーは、磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。
磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどに代表される酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルなどに代表される金属又はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムなどの金属との合金及びその混合物などが挙げられる。
<ワックス>
本発明のトナーはワックスを含有してもよい。上記ワックスとしては特段の制限なく従来公知のワックスを用いることができる。具体的には、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルなどの1価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;セバシン酸ジベヘニルなどの2価カルボン酸とモノアルコールのエステル類;エチレングリコールジステアレート、ヘキサンジオールジベヘネートなどの2価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;グリセリントリベヘネートなどの3価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートなどの4価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートなどの6価アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;ポリグリセリンベヘネートなどの多官能アルコールとモノカルボン酸とのエステル類;カルナバワックス、ライスワックスなどの天然エステルワックス類;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなどの石油系炭化水素ワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィン系炭化水素ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸;酸アミドワックスなどが挙げられる。
ワックスの含有量は、離型性の観点から、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して、1.0質量部以上30.0質量部以下であることが好ましく、5.0質量部以上20.0質量部以下であることがより好ましい。
<荷電制御剤>
本発明のトナーは多価酸金属塩粒子によるグラディエント力発現や帯電制御を阻害しない範囲で荷電制御剤を含有してもよい。上記荷電制御剤としては、特段の制限なく公知の荷電制御剤を用いることができる。
具体的には、負帯電制御剤として以下の、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などの芳香族カルボン酸の金属化合物又は該芳香族カルボン酸の金属化合物を有する重合体又は共重合体;スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体;アゾ染料若しくはアゾ顔料の金属塩又は金属錯体;ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンなどが挙げられる。
一方、正帯電制御剤として以下の、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物などが挙げられる。なお、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体としては、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸などのスルホン酸基含有ビニル系モノマーの単重合体又は結着樹脂の項に示したビニル系単量体と上記スルホン酸基含有ビニル系モノマーの共重合体などを用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して、0.01質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
<外部添加剤>
トナー粒子が、有機ケイ素重合体を表面に有する場合、外部添加剤がない場合においても、優れた流動性などの特性を示す。しかし、更なる改善を目的として、外部添加剤を含有してもよい。
上記外部添加剤としては特段の制限なく従来公知の外部添加剤を用いることができる。
具体的には以下の;湿式製法シリカ、乾式製法シリカなどの原体シリカ微粒子又はそれら原体シリカ微粒子にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどの処理剤により表面処理を施したシリカ微粒子;フッ化ビニリデン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子などの樹脂微粒子などが挙げられる。
外部添加剤の含有量は、トナー粒子100.0質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
続いて、以下に本発明のトナーを得る方法について詳細に述べる。
<トナー母粒子の製造方法>
トナー母粒子(多価酸金属塩粒子を付着させる前のトナー粒子を「トナー母粒子」ともいう)の製造方法は、特に限定されることはなく、懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化凝集法、粉砕法などを用いることができる。
一例として、懸濁重合法でトナー母粒子を得る方法を以下に述べる。
まず、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、及び必要に応じて各種添加物を混合し、分散機を用いて、該材料を溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する。
各種添加物として、着色剤、ワックス、荷電制御剤、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。
分散機としては、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、又は超音波分散機等が挙げられる。
次いで、重合性単量体組成物を、難水溶性の無機微粒子を含有する水系媒体中に投入し、高速撹拌機又は超音波分散機などの高速分散機を用いて、重合性単量体組成物の液滴を調製する(造粒工程)。
その後、前記液滴中の重合性単量体を重合してトナー母粒子を得る(重合工程)。
重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に混合してもよく、水系媒体中に液滴を形成させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。
また、液滴の造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。
重合性単量体を重合して結着樹脂を得たあと、必要に応じて脱溶剤処理を行い、トナー母粒子の分散液を得るとよい。
乳化凝集法や懸濁重合法などによって結着樹脂を得る場合、重合性単量体としては、特段の制限なく従来公知の単量体を用いることができる。具体的には、結着樹脂の項に挙げたビニル系単量体が挙げられる。
重合開始剤としては、特段の制限なく公知の重合開始剤を用いることができる。具体的には以下のものが挙げられる。
過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化-tert-ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1-フェニル-2-メチルプロピル-1-ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸-tert-ヒドロペルオキシド、過ギ酸-tert-ブチル、過酢酸-tert-ブチル、過安息香酸-tert-ブチル、過フェニル酢酸-tert-ブチル、過メトキシ酢酸-tert-ブチル、過N-(3-トルイル)パルミチン酸-tert-ブチルベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレ-ト、t-ブチルパーオキシイソブチレ-ト、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどに代表される過酸化物系重合開始剤;2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどに代表されるアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;などが挙げられる。
<多価酸金属塩粒子を付着させる方法>
トナー母粒子に多価酸金属塩粒子を付着させる方法を以下に例示する。トナー粒子が分散した水系媒体中で、金属源となる金属化合物と多価酸イオンを反応させて多価酸金属塩粒子を得る方法や、乾式あるいは湿式でトナー粒子上に多価酸金属塩粒子を機械的な外力によって付着させる方法が挙げられる。
(1)トナー母粒子が分散した水系媒体中で、金属源となる金属化合物と多価酸イオンを反応させて多価酸金属塩粒子を得る方法。
例えば、トナー母粒子の分散液に、金属元素を含む化合物と多価酸を添加し、混合することで、金属元素を含む化合物と多価酸を反応させ、反応物を析出させると同時に、分散液を撹拌しておくことで、トナー母粒子に付着させる。
(2)乾式あるいは湿式で多価酸金属塩粒子を、機械的な外力によってトナー母粒子表面に付着させる方法。
例えば、FMミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)など、粉体や水系媒体にせん断力を与える高速撹拌機を用い、多価酸金属塩粒子を解砕させる力を加えながら、該多価酸金属塩粒子をトナー母粒子に付着させる。
中でも、トナー母粒子が分散した水系媒体中で、金属源となる金属化合物と多価酸イオンを反応させて多価酸金属塩粒子を得る方法が好ましい。上記方法を用いることで多価酸金属塩粒子をトナー粒子表面に均一に分散させることが可能となる。トナー粒子表面に均一に導電パスが形成されることにより均一かつ効率的にトナー規制部材や感光体よりトナーに電荷を注入することができ、カブリ抑制が良化する。
また、上記方法によれば、水系媒体中で発生した多価酸金属塩粒子の成長が完了する前に、トナー母粒子に付着するため、あらかじめ作製した多価酸金属塩粒子を機械的な外力によって付着させた場合と比べ、トナー母粒子上に多価酸金属塩粒子が強く固着される。それにより長期にわたる使用時にも多価酸金属塩粒子の母体からの離脱が起こらず、本発明の効果である起動時カブリ抑制の良化と転写性の向上を長期の使用にわたり発揮することが可能な、耐久性に優れたトナーを得ることができる。
また、上記金属化合物と多価酸イオンとの反応時に、同時に有機ケイ素化合物を水系媒体に導入し、水系媒体中で有機ケイ素化合物を反応させて有機ケイ素重合体を得ることがより好ましい。上記方法を用いることで、水系媒体中で発生した多価酸金属塩粒子が成長する前に、有機ケイ素重合体によってトナー粒子表面により強固に固定されるため、さらに多価酸金属塩粒子の分散性を高めることが可能である。また、多価酸金属塩粒子がトナー粒子上に有機ケイ素重合体によってしっかりと固着されるため、上述した耐久性向上の効果がより顕著に得られる。
上記方法に用いられる金属化合物、多価酸および有機ケイ素化合物については、上述した金属化合物、多価酸および有機ケイ素化合物をそれぞれ用いることができる。
本発明のトナー粒子は、トナー母粒子と、該トナー母粒子の表面に形成された凸部を有し、該凸部の表面には、該多価酸金属塩粒子が存在していることが好ましい。さらに凸部が、有機ケイ素重合体で形成されることが好ましい。有機ケイ素化合物で形成された凸部上に多価酸金属塩粒子を付着させる場合、後述する<有機ケイ素化合物を付着させる方法>などの方法によってトナー母粒子上に有機ケイ素化合物からなる凸部を形成した後、水中で多価酸金属塩粒子を生成させるなどして、凸部の表面に多価酸金属塩粒子を付着させることができる。また、シリカなどの粒子を湿式または乾式でトナー母粒子に外添してトナー母粒子表面に凸を形成した後、水中で多価酸金属塩粒子を表面に付着させる方法によっても凸部の表面に多価酸金属塩粒子が存在する構造を得ることができる。なお、乾式外添を行う場合は、必要に応じて界面活性剤や無機分散剤を用いるなどして外添後のトナーを水中に再分散させた後多価酸金属塩粒子を生成させるとよい。
<有機ケイ素化合物を付着させる方法>
トナー母粒子に有機ケイ素化合物を付着させる方法を以下に例示する。
本発明の有機ケイ素化合物を付着させる方法は特段の制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。例えば、トナー母粒子が分散した水系媒体中で上記有機ケイ素化合物の項に示した化合物を縮合し、上記トナー母粒子上に有機ケイ素化合物を付着させる方法や、乾式あるいは湿式でトナー母粒子上に有機ケイ素化合物を機械的な外力によって付着させる方法が挙げられる。
中でも、トナー母粒子と有機ケイ素化合物を強固に付着させることや、トナー母粒子上に均一に付着させることが可能であることから、トナー母粒子が分散した水系媒体中で上記有機ケイ素化合物の項に示した化合物を縮合し、上記トナー母粒子上に有機ケイ素化合物を付着させる方法が好ましい。
以下に、上記方法について説明する。
上記方法によってトナー母粒子上に有機ケイ素化合物を付着させる場合、トナー母粒子を水系媒体に分散し、トナー母粒子分散液を得る工程(工程1)、および有機ケイ素化合物(あるいはその加水分解物)を上記トナー母粒子分散液に混合し、有機ケイ素化合物を上記トナー母粒子分散液中で縮合反応させることで上記トナー母粒子上に有機ケイ素化合物を付着させる工程(工程2)を含むことが好ましい。
上記工程1において、トナー母粒子分散液を得る方法としては、水系媒体中で製造したトナー母粒子の分散液をそのまま用いる方法、および、乾燥したトナー母粒子を水系媒体に投入し、機械的に分散させる方法等が挙げられる。乾燥したトナー母粒子を水系媒体に分散させる場合、分散助剤を用いてもよい。
上記分散助剤としては、公知の分散安定剤や界面活性剤などを用いることができる。具体的には、分散安定剤として以下の、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等の無機分散安定剤、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等の有機分散安定剤が挙げられる。また、界面活性剤として以下のアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。中でも、無機分散安定剤を含むことが好ましく、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム等のリン酸塩を含む分散安定剤を含むことがより好ましい。
上記工程2において、有機ケイ素化合物はそのままトナー母粒子分散液に加えてもよく、加水分解後にトナー母粒子分散液に加えてもよい。中でも、上記縮合反応が制御しやすく、トナー母粒子分散液中に残留する有機ケイ素化合物量を減らせることから、加水分解後に加えることが好ましい。上記加水分解は公知の酸および塩基を用いてpHを調整した水系媒体中で行うことが好ましい。有機ケイ素化合物の加水分解にはpH依存性があることが知られており、上記加水分解を行う場合のpHは、有機ケイ素化合物の種類によって適宜変更することが好ましい。例えば、有機ケイ素化合物としてメチルトリエトキシシランを用いる場合、上記水系媒体のpHが2.0以上6.0以下であることが好ましい。
pHを調整するための酸としては、具体的には以下の、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、次亜臭素酸、亜臭素酸、臭素酸、過臭素酸、次亜ヨウ素酸、亜ヨウ素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸等の有機酸が挙げられる。
pHを調整するための塩基としては、具体的には以下の、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物及びそれらの水溶液、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属の炭酸塩及びそれらの水溶液、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウムなどのアルカリ金属の硫酸塩及びそれらの水溶液、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウムなどのアルカリ金属のリン酸塩及びそれらの水溶液、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物及びそれらの水溶液、アンモニア、トリエチルアミン等のアミン類等が挙げられる。
上記工程2における上記縮合反応はトナー母粒子分散液のpHを調整することで制御することが好ましい。有機ケイ素化合物の縮合反応はpH依存性があることが知られており、上記縮合反応を行う場合のpHは、有機ケイ素化合物の種類によって適宜変更することが好ましい。例えば、有機ケイ素化合物としてメチルトリエトキシシランを用いる場合、上記水系媒体のpHが6.0以上12.0以下であることが好ましい。pHを調整するための酸および塩基としては、上記加水分解の項で例示した酸および塩基を用いることができる。
上記工程2における上記縮合反応は、10℃以上100℃以下程度であることが好ましい。
[プロセスカートリッジ、画像形成装置]
続いて、以下に本発明のトナーを用いることができる画像形成装置について詳細に述べる。
本発明のトナーは特段の制限なく従来公知の画像形成装置に用いることができる。
例えば、一成分接触現像方式や、一成分ジャンピング現像方式の画像形成装置が挙げられる。その中でも、トナーを担持させたトナー担持体を電子写真感光体に接触させることで現像を行う接触現像手段であることが好ましい。現像前のトナーと電子写真感光体が接触することで、電子写真感光体からトナーへの良好な電荷注入パスが生まれ、トナーへの電荷注入性が向上する。
以下では、一成分接触現像方式の画像形成装置を例に本発明のトナーを用いることができる画像形成装置について述べるが、下記構成に限定されるものではない。
先ず、画像形成装置の全体構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の概略断面図である。画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザープリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、画像形成装置本体100Aに接続された画像読み取り装置、或いは、画像形成装置本体100Aに通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器から、画像形成装置本体100Aに入力される。
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。
尚、第1~第4の画像形成部SY、SM、SC、SKの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
画像形成装置100は、複数の像担持体として、鉛直方向と交差する方向に並設された4個のドラム型の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1を有する。感光体ドラム1は、図示矢印A方向(時計方向)に図示しない駆動手段(駆動源)により回転駆動される。感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の表面を均―に帯電する帯電手段としての帯電ローラ2、画像情報に基づきレーザーを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段としてのスキャナユニット(露光装置)3が配置されている。なお、図2においては、ローラ型帯電部材によるローラ帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。
また、感光体ドラム1の周囲には、静電像をトナー像として現像する現像手段としての現像ユニット(現像装置)4、転写後の感光体ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング手段としてのクリーニング部材6が配置されている。更に、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材12に転写するための中間転写体としての中間転写ベルト5が配置されている。
なお、現像ユニット4は、現像剤として本発明のトナーを用いる。また、現像ユニット4は、トナー担持体としての現像ローラ(後述)を感光体ドラム1に対して接触させて反転現像を行うものである。即ち、現像ユニット4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム1上の露光により(露光工程)電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで静電像を現像する(現像工程)。
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光体ドラム1に当接し、図示矢印B方向(反時計方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材として、駆動ローラ51、二次転写対向ローラ52、従動ローラ53に掛け渡されている。
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、一次転写手段としての、4個の一次転写ローラ8が並設されている。一次転写ローラ8は、中間転写ベルト5を感光体ドラム1に向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1とが当接する一次転写部N1を形成する。そして、一次転写ローラ8に、図示しない一次転写バイアス印加手段としての一次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(一次転写工程)される。
また、中間転写ベルト5の外周面側において二次転写対向ローラ52に対向する位置には、二次転写手段としての二次転写ローラ9が配置されている。二次転写ローラ9は、中間転写ベルト5を介して二次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と二次転写ローラ9とが当接する二次転写部N2を形成する。そして、二次転写ローラ9に、図示しない二次転写バイアス印加手段としての二次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材12に転写(二次転写工程)される。
更に説明すれば、画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザー光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像情報に従った静電像が形成される。次いで、感光体ドラム1上に形成された静電像は、現像ユニット4によってトナー像として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(一次転写工程)される。
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、第1~第4の画像形成部SY、SM、SC、SKにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が次に重ね合わせて一次転写される。
その後、中間転写ベルト5の移動と同期が取られて記録材12が二次転写部N2へと搬送される。中間転写ベルト5上の4色トナー像は、記録材12を介して中間転写ベルト5に当接している二次転写ローラ9の作用によって、一括して記録材12上に二次転写される。
トナー像が転写された記録材12は、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材12に熱及び圧力を加えられることで、記録材12にトナー像が定着される。
また、一次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した一次転写残トナーは、クリーニング部材6によって除去、回収される。また、二次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した二次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって清掃される。
尚、画像形成装置100は、所望の一つの画像形成部のみを用いて、または、幾つか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
[プロセスカートリッジの構成]
次に、画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ7の全体構成について説明する。なお、収容しているトナーの種類(色)を除いて、各色用のプロセスカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
図2は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿って見たプロセスカートリッジ7の概略断面(主断面)図である。図2のプロセスカートリッジ7の姿勢は、画像形成装置本体に装着された状態での姿勢であり、以下でプロセスカートリッジの各部材の位置関係や方向等について記載する場合はこの姿勢における位置関係や方向等を示している。
プロセスカートリッジ7は、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17等を備えた現像ユニット4とを一体化して構成される。
感光体ユニット13は、感光体ユニット13内の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、感光体ドラム1が図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。感光体ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)としての駆動モータの駆動力が感光体ユニット13に伝達されることで、画像形成動作に応じて図示矢印A方向(時計方向)に回転駆動される。
また、感光体ユニット13には、感光体ドラム1の周面上に接触するように、クリーニング部材6、帯電ローラ2が配置されている。なお、図2においては、ローラー型帯電部材によるローラー帯電方式を示しているが、コロナ帯電方式、近接帯電方式、注入帯電方式などの帯電方式を採用してもよい。クリーニング部材6によって感光体ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14内に落下、収容される。
帯電手段である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光体ドラム1に加圧接触することで従動回転する。
ここで、帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光ドラム1に対して所定の直流電圧が印加されており、これにより感光ドラム1の表面には、一様な暗部電位(Vd)が形成される。前述のスキャナユニット3からのレーザー光によって画像データに対応して発光されるレーザー光のスポットパターンは、感光ドラム1を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は所定の明部電位(Vl)、未露光部位は所定の暗部電位(Vd)の静電潜像が、感光ドラム1上に形成される。
一方、現像ユニット4は、トナー80を担持するためのトナー担持体としての現像ローラ17と、現像ローラ17にトナーを供給する供給部材としてのトナー供給ローラ20が配置された現像室、を有している。更に、現像ユニット4は、トナー収容室18を備えている。
また、トナー供給ローラ20は、現像ローラ17との間に当接部Nを形成し、回転している。
トナー収容室18内には、撹拌搬送部材22が設けられている。撹拌搬送部材22は、トナー収容室18内に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給ローラ20の上部に向けて図中矢印G方向にトナーを搬送するためのものでもある。
トナー規制部材およびトナー帯電部材としての現像ブレード21は現像ローラ17の下方に配置され、現像ローラに対してカウンターで当接しており、トナー供給ローラ20によって供給されたトナーのコート量規制及び電荷付与を行っている。また、本発明のトナー80に対しては、現像ブレード21と現像ローラ17の間に電位差を設定することで、現像ローラ上に担持されたトナーに対して電荷を注入し、トナーの帯電量を精密に制御することができる。なお、注入帯電のためには現像ブレード21と現像ローラ17の接触面積を低減し、トナーへの摩擦を減じる構成が有効である。
現像ローラ17と感光体ドラム1とは、対向部において各々の表面が同方向に移動するようにそれぞれ回転する。
なお、図2においてトナー供給ローラ20と現像ローラ17とは、各々の表面が当接部Nの上端から下端に移動する方向に回転しているが、本発明においてはトナー供給ローラ20の回転方向はどちらでもよい。
続いて、以下に本発明に係る感光体およびトナーの各物性の測定方法について詳細に述べる。各測定方法の説明において、トナー、トナー粒子、又はトナー母粒子を「トナーなど」ともいう。
<導電性粒子の一次粒子径の算出>
まず、メスシリンダー中のメチルエチルケトン(MEK)に電子写真感光体全体を付けて超音波を照射し、樹脂層を剥がし、その後、電子写真感光体の基体を取り出した。次に、MEKに溶解しない不溶分(感光層および導電性粒子を含有する保護層)を濾過し、真空乾燥機で乾固した。さらに、得られた固体をテトラヒドロフラン(THF)/メチラールの体積比1:1の混合溶媒に懸濁し、不溶分を濾過後、濾物を回収して真空乾燥機で乾固した。この操作により、導電性粒子と保護層の樹脂とを得た。さらに濾物を電気炉で500℃に加熱して、固体が導電性粒子のみとなるようにして、導電性粒子を回収した。導電性粒子は測定に必要量確保するため、複数本の電子写真感光体に同様の処理を施した。
回収した導電性粒子の一部をイソプロパノール(IPA)に分散させ、その分散液を支持膜付グリッドメッシュ(日本電子株式会社製、Cu150J)に滴下し、走査透過型電子顕微鏡(JEOL社、JEM2800)のSTEMモードにて導電性粒子の観察を行った。観察は導電性粒子の粒子径を算出しやすいように、50万倍から120万倍の拡大倍率で行い、導電性粒子100個のSTEM画像を撮影した。この時、加速電圧200kV、プローブサイズは1nm、画像サイズは1024×1024pixelに設定した。得られたSTEM画像を用いて、画像処理ソフト「Image-Pro Plus (Media Cybernetics社製)」にて、一次粒子径の測定を行った。まず、ツールバーの直線ツール(Straight Line)を用い、STEM画像下部に表示されているスケールバーを選択しておく。その状態でAnalyzeメニューのSet Scaleを選択すると、新規ウインドウが開き、Distance in Pixels欄に選択されている直線のピクセル距離が入力される。ウインドウのKnown Distance欄にスケールバーの値(例えば100)を入力し、Unit of Mesurement欄にスケールバーの単位(例えばnm)を入力し、OKをクリックするとスケール設定が完了する。次に、直線ツールを用いて、導電性粒子の最大径となるように直線を描き、粒子径を算出した。同様の操作を、導電性粒子100個について行い、得られた値(最大径)の個数平均値を導電性粒子の一次粒子径とした。
<ニオブ原子/チタン原子濃度比率の算出>
感光体から5mm四方のサンプル片を1つ切り出し、超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度0.6mm/sで200nm厚に切削し、薄片サンプルを作製した。この薄片サンプルを、EDS分析装置(エネルギー分散型X線分析装置)を接続した走査透過型電子顕微鏡(JEOL社、JEM2800)のSTEMモードにて、50万倍から120万倍の拡大倍率で観察を行った。
観察される導電性粒子の断面のうち、上記で算出した一次粒子径のおおよそ0.9倍以上1.1倍以下の最大径を有する導電性粒子の断面を目視で選択した。続いて、選択した導電性粒子の断面の構成元素を、EDS分析装置を用いてスペクトルを収集し、EDSマッピング像を作製した。スペクトルの収集および解析は、NSS(Thermo Fischer Scientific社)を用いて行った。収集条件は、加速電圧200kV、デッドタイムが15以上30以下となるようにプローブサイズを1.0nmまたは1.5nmを適宜選択し、マッピングの分解能を256×256、Frame数を300とした。EDSマッピング像は、導電性粒子の断面100個について取得した。
このようにして得られたEDSマッピング像を解析することで、粒子中心部、及び粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部におけるニオブ原子濃度(原子%)とチタン原子濃度(原子%)の比率を算出する。具体的には、まずNSSの「ライン抽出」ボタンを押下し、粒子の最大径となるように直線を描き、一方の表面から粒子内部を通り、他方の表面に至るまでの直線上における原子濃度(原子%)の情報を得る。このとき得られた粒子の最大径が、上記で算出した一次粒子径の0.9倍未満または1.1倍を超える範囲であれば、これ以後の解析の対象外とした(一次粒子径の0.9倍以上1.1倍未満の範囲に最大径をもつ粒子についてのみ、下記に示す解析を行った。)。次に、両側の粒子表面において、粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部におけるニオブ原子濃度(原子%)を読み取る。同様にして、“粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部におけるチタン原子濃度(原子%)”を得る。次いで、これらの値を用いて、下式より、両側の粒子表面における“粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部におけるニオブ原子とチタン原子との濃度比率”をそれぞれ得る。
粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部におけるニオブ原子とチタン原子との濃度比率=
(粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部におけるニオブ原子濃度(原子%))/(粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部におけるチタン原子濃度(原子%))
得られた二つの濃度比率のうち、値が小さい方を、本発明における“粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部におけるニオブ原子とチタン原子との濃度比率”として採用する。
また、上記直線上であり、最大径の中点となる位置におけるニオブ原子濃度(原子%)とチタン原子濃度(原子%)を読み取る。これらの値を用いて、下式より、“粒子中心部におけるニオブ原子とチタン原子との濃度比率”を得る。
粒子中心部におけるニオブ原子とチタン原子との濃度比率=
(粒子中心部におけるニオブ原子濃度(原子%))/(粒子中心部におけるチタン原子濃度(原子%))
尚、“粒子中心部における、ニオブ原子濃度/チタン原子濃度で算出される濃度比率に対する、粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部における、ニオブ原子濃度/チタン原子濃度で算出される濃度比率”は、下式で算出される。
(粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部におけるニオブ原子とチタン原子との濃度比率)/(粒子中心部におけるニオブ原子とチタン原子との濃度比率)
<導電性粒子の含有量の算出>
次に、感光体から5mm四方のサンプル片を4つ切り出し、FIB-SEMのSlice&Viewで保護層の2μm×2μm×2μmの3次元化を行った。FIB-SEMのSlice&Viewのコントラストの違いから、保護層の全体積に占める、導電性粒子の含有量を算出した。Slice&Viewの条件は以下のようにした。
分析用試料加工:FIB法
加工及び観察装置:SII/Zeiss製NVision40
スライス間隔:10nm
観察条件:
加速電圧:1.0kV
試料傾斜:54°
WD:5mm
検出器:BSE検出器
アパーチャー:60μm、high current
ABC:ON
画像解像度:1.25nm/pixel
解析領域は縦2μm×横2μmで行い、断面ごとの情報を積算し、縦2μm×横2μm×厚み2μm(8μm3)当たりの体積Vを求める。また、測定環境は、温度:23℃、圧力:1×10-4Paである。なお、加工及び観察装置としては、FEI製のStrata400S(試料傾斜:52°)を用いることもできる。また、断面ごとの情報は、特定した本発明の導電性粒子の面積を画像解析して得た。画像解析は、画像処理ソフト:Media Cybernetics製、Image-Pro Plusを用いて行った。
得られた情報を基に、4つのサンプル片のそれぞれにおいて、2μm×2μm×2μmの体積(単位体積:8μm3)中の本発明の導電性粒子の体積Vを求め、導電性粒子の含有量[体積%](=Vμm3/8μm3×100)を算出した。4つのサンプル片における導電性粒子の含有量の値の平均値を、保護層の全体積に対する保護層中の本発明の導電性粒子の含有量[体積%]とした。
このとき、4つのサンプル片すべてについて、保護層と下層の境界まで加工を行うことで、保護層の膜厚t(cm)を測定し、下記の<感光体の保護層の体積抵抗率の測定方法>において体積抵抗率ρsの算出に保護層の膜厚の値を用いた。
<保護層の体積抵抗率の測定方法>
本発明の保護層の体積抵抗率の測定には、pA(ピコアンペアー)メーターを使用した。
先ず、PETフィルム上に電極間距離(D)180μm、長さ(L)59mmの図4のような櫛型金電極を蒸着により作製し、その上に、厚さ(T1)2μmの保護層を設けた。次に、温度23℃/湿度50%RHの環境下にて、櫛型電極間に100Vの直流電圧(V)を印加したときの直流電圧(I)を測定し、下記式(3)によって体積抵抗率ρv(Ω・cm)を得た。
体積抵抗率ρv(Ω・cm)=V(V)×T1(cm)×L(cm)/{I(A)×D(cm)}(3)
保護層の導電性粒子や結着樹脂などの組成について同定が困難な場合は、電子写真感光体の表面の表面抵抗率を測定して体積抵抗率に換算する。保護層単体ではなく、感光体表面に塗工された状態での保護層の体積抵抗率を測定する場合は、保護層の表面抵抗率を測定し、そこから体積抵抗率に変換するのが望ましい。
本発明では、電子写真感光体の保護層表面に図4のような電極間距離(D)180μm、長さ(L)59mmの櫛型電極を金蒸着により作製する。次に、温度23℃/湿度50%RHの環境下にて、櫛型電極の間に1000Vの直流電圧(V)を印加したときの直流電圧(I)を測定し、直流電圧(V)/直流電圧(I)から、保護層の表面抵抗率ρsを算出した。
さらに、前述した<電子写真感光体の保護層断面の分析>において測定した保護層の膜厚t(cm)を用いて、下記式(4)によって体積抵抗率ρv(Ω・cm)を算出した。以下の実施例で示す結果は、この測定方法を用いた。
ρv=ρs×t (4)
(ρv:体積抵抗率、ρs:表面抵抗率、t:保護層の厚さ)
この測定では、微小な電流量を測定するため、抵抗測定装置としては、微小電流の測定が可能な機器を用いて行うことが好ましい。抵抗測定装置の例として、ヒューレットパッカード製のピコアンメーター4140Bなどが挙げられる。使用する櫛型電極や印加する電圧は、電荷注入層の材料や抵抗値に応じて、それぞれ適切なSN比が得られるように選定することが望ましい。
<導電性粒子に含有されるニオブ原子の定量>
導電性粒子に含有されるニオブ原子の定量は、以下のように行う。
上記の<導電性粒子の一次粒子径の算出>で感光体から回収した導電性粒子を下記プレス成型によりペレット化してサンプルを作成する。作成されたサンプルを用い、蛍光X線分析装置(XRF)で測定を行い、FP法で、導電性粒子全体のニオブ原子含有量の定量を行う。
具体的には、5酸化ニオブとしての定量を行い含有するニオブ原子含有量に換算する。
(i)使用装置の例
蛍光X線分析装置3080(理学電気(株))
(ii)サンプル調製
サンプルの調製は、試料プレス成型機MAEKAWA Testing Machine(MFG Co,LTD製)を使用する。アルミリング(型番:3481E1)に導電性粒子0.5gを入れて5.0トンの荷重に設定し1minプレスし、ペレット化させる。
(iii)測定条件
測定径:10φ
測定電位、電圧 50kV、50~70mA
2θ角度 25.12°
結晶板 LiF
測定時間 60秒
<導電性粒子の粉末X線回折測定>
本発明の電子写真感光体に使用される導電性粒子にアナターゼ型酸化チタンもしくは、ルチル型酸化チタンが含有されるかを判断する方法を以下に示す。
CuKαのX線による粉末X線回折から得られるチャートから、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)の無機材料データベース(AtomWork)で同定を行う。本発明の電子写真感光体の保護層に含まれる導電性粒子については、前述した(導電性粒子に含有されるNb原子の定量)の処理を一例に準ずる。
使用測定機:理学電気(株)製、X線回折装置RINT-TTRII
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:4.0°/min
サンプリング間隔:0.02°
スタート角度(2θ):5.0°
ストップ角度(2θ):40.0°
アタッチメント:標準試料ホルダー
フィルター:不使用
インシデントモノクロ:使用
カウンターモノクロメーター:不使用
発散スリット:開放
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
平板モノクロメーター:使用
カウンター:シンチレーションカウンター。
<トナーなどの表面の観察方法>
トナーなどの表面は、以下のように観察する。
走査型電子顕微鏡(SEM、装置名:JSM-7800F 日本電子株式会社製)を用いて、5万倍の拡大倍率でトナーなどの表面を観察する。そして、EDX(エネルギー分散型X線分光法)を利用して、該トナーなどの表面の元素のマッピングを行う。得られたSEMの元素マッピング画像から、トナーなどの表面の、有機ケイ素化合物、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子の存在を確認する。
具体的には、金属元素のマッピング像と、多価酸に含まれている元素、例えば、多価酸としてリン酸を用いたときは、リンのマッピング像とを比較し、その2つが一致していることより、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子を含有していることが確認できる。
<トナーなどの断面の観察方法>
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、トナー粒子の断面を以下の方法により観察する。まず、常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、40℃の雰囲気下で2日間硬化させる。得られた硬化物からダイヤモンド刃を備えたミクロトームを用い、厚さ100nmの薄片状のサンプルを切り出す。このサンプルをTEM(商品名:電子顕微鏡Tecnai TF20XT、FEI社製)で10万倍の倍率に拡大し、トナー粒子の断面を観察する。この際、トナー粒子の断面としては、後述するトナー粒子の個数平均粒径(D1)の測定法に従い、同トナーを測定した際の個数平均粒径(D1)の0.9倍~1.1倍の長軸径を有するものを選択する。
続いて、得られたトナー粒子の断面の構成元素を、エネルギー分散型X線分光法(EDX)を利用して解析し、EDXマッピング像を作成する。
前記EDXマッピング像において、トナー粒子の断面の輪郭に、前記多価酸金属塩粒子と前記有機ケイ素重合体の構成元素に由来するシグナルを確認する。これによりトナーなどの表面の凸部形成の有無、凸部表面の多価酸金属塩粒子の存在を確認する。さらに、凸部の組成、すなわち、凸部が有機ケイ素重合体で形成されているかを確認する。
<多価酸金属塩粒子(粉体)の導電率の測定方法>
多価酸金属塩粒子の電気特性は、平行平板電極による二重リング法を用いたインピーダンス測定によって、粉体バルクの静電容量及び導電率を測定することで評価する。
装置は、4端子サンプルホルダーSH2-Z(東陽テクニカ社製)とトルクレンチアダプタSH-TRQ-AD(オプション)から構成される粉体測定用治具、及び、材料試験システムModuLab XM MTS(ソーラトロン社製)を使用する。また、商用電源ノイズを抑制するためのノイズカットトランスNCT-I3 1.4kVA(電研精機研究所社製)及び電磁波ノイズを抑制するためのシールドボックスを使用する。
粉体測定用治具は、4端子サンプルホルダーとオプションであるトルクレンチアダプタSH-TRQ-ADを用い、平行平板電極として、上部電極(Φ25mmベタ電極)SH-H25AU、液体/粉体用の下部電極(中心電極Φ10mm;ガード電極Φ26mm)SH-2610AUを使用し、最大500Vp-p、DC~1MHzの電気信号に対し、0.1Ω~1TΩの抵抗が測定可能な構成とする。また、粉体サンプルの圧力調整を行うために、4端子サンプルホルダーに備えられた、上・下部電極間の膜厚測定に用いるマイクロメータにトルクレンチアダプタSH-TRQ-AD(東陽テクニカ社製)を取り付けてある。加圧管理に用いるトルクドライバーとしては、トルクドライバーRTD15CN、及び6.35mm角形ビットを用い、粉体測定の締め付けトルクを6.5cN・mに管理可能な構成とする。
電気的AC特性の測定は、材料試験システムModuLab XM MTS(ソーラトロン社製)を用いて、インピーダンス測定を実施する。ModuLab XM MTSは、制御モジュール XM MAT 1MHz、フェムト電流モジュール XM MFA、周波数応答分析モジュール XM MRA 1MHzから構成され、制御ソフトウェアは、同社製 XM-studio MTS Ver.3.4を使用する。
多価酸金属塩粒子など導電性の高い粉体材料の場合は、測定器の測定可能な電流レンジ域となるように、ACレベルを7mVrms以上70mVrms以下の範囲内から設定する。また、測定のみを行うNormal Modeとし、DCバイアス0V、掃引周波数1MHz~100Hz(12points/decade)、測定積分時間を1秒とする。
以上の測定条件により、電気的AC特性であるインピーダンス特性の測定を実施する。
上記条件での測定を行うことで、使用した粉体測定治具である、Φ10mmの測定電極S、加圧トルクに応じた膜厚dに於ける粉体サンプルのインピーダンス特性が得られる。
得られた粉体サンプルのインピーダンス特性から、静電容量C、コンダクタンス(導電性)Gを得る。得られた静電容量C、コンダクタンス(導電性)G、及び、粉体測定治具の幾何学的形状(平行平板の電極サイズSとサンプル膜厚)から、電気物性である導電率を求める。
初めて4端子サンプルホルダーSH2-Zを使用する場合、粉体測定治具に使用する4端子サンプルホルダーSH2-Zには個体差があることから、最適な測定条件を見出すための、以下の二つの検証を実施しておく必要がある。一つ目の検証は、4端子サンプルホルダーの膜厚依存特性である。空気の厚さ(上部-下部電極間距離)依存性を測定し、静電容量の理論値と測定値の誤差を確認し、測定誤差が最小となる最適範囲又は最適値となる膜厚を把握する。二つ目の検証は、メカニカル誤差の測定である。粉体サンプルの測定は、体積密度を一定に保つために、トルク管理をした負荷を加える。これに対して、空気の測定では無負荷状態である。このとき、機械的な加工精度などの寸法の影響により、膜厚誤差を生じる。したがって、締め付けトルク管理値(本治具では、6.5cN・m)の負荷状態と無負荷状態のオフセット値を確認し、信頼性の高いデータを得るための、加圧時に於ける粉体測定治具の適正膜厚範囲を把握する。
具体的なサンプルの作製及び測定手順は、次の通りである。
(1)下部電極の中心電極部に、粉体サンプルを盛り、高さ5mmの台形状となるように成形する。
(2)粉体サンプルを盛りつけた下部電極を4端子サンプルホルダーSH2-Zに取り付け、上部電極を下降させる。
(3)このとき、上部電極を、不用意に回転しない様に、一定に保ちながら、粉体サンプルの上端部まで下降させる。
(4)上部電極を左右に回転させながら、粉体サンプルが平滑となるように平滑処理を行う。
(5)マイクロメータを用いて、所定の膜厚となるように調整しながら、かつ、上部電極の回転方向を一律の一定方向に保つ。
(6)締め付けトルクを6.5cN・mに管理したトルクドライバーを用いて、加圧する。
(7)マイクロメータを用いて、粉体サンプルの膜厚を測定する。
(8)上記条件で、インピーダンス測定を実施する。
(9)測定終了後、上部電極を上昇させ、下部電極を取り外す。このとき、4端子サンプルホルダーの下部電極用コンタクト端子に粉体サンプルが入らない様、十分に注意しながら下部電極を取り外し、マスキングテープで保護する。
(10)上・下部電極を洗浄する。
(11)マスキングテープを除去し、下部電極を取り付ける。
なお、測定は25℃で実施する。
具体的なデータ処理手順は、次の通りである。
(12)工程(8)で測定したインピーダンス特性から、複素アドミッタンスYm=Gm+jωCmを得る。(Ymは、測定したアドミッタンス。Gmは測定したコンダクタンス、Cmは測定した静電容量である。また、ωは角周波数、jは複素数の虚数を示す。)
(13)導電率κは、コンダクタンスGmおよび粉体測定治具の幾何学形状(測定電極面積S、測定膜厚d)より求めることができる。
κ=Gm×d/S
以下、電気物性である導電率の定量化手法について記載する。
(導電率の定量化手法)
静電容量性と導電性を併せ持つ粉体サンプルは、RC並列回路モデルとして認識することができ、低周波数域に於ける導電率κが一定値を示す。本発明では周波数10kHzにおける導電率を測定した。
トナー粒子状に水系で直接多価酸金属塩粒子を形成した場合など、トナー表面上の多価酸金属塩粒子の導電率を単独で測定することが困難な場合は、トナー母粒子が存在しない条件下で多価酸金属塩粒子分散液を作製し、脱水することで得られた多価酸金属塩粒子について導電率を測定した。多価酸金属塩粒子分散液の脱水方法は下記のとおりである。まず、多価酸金属塩粒子分散液から遠心分離で固形分を取り出す。その後、イオン交換水に再度分散、遠心分離で固形分を取り出すという工程を3回繰り返し、ナトリウムなどのイオンを除去する。再度、イオン交換水に分散させ、スプレードライで乾燥し、多価酸金属塩を得る。
<重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーなどの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。
測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。
測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が1.0%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1,600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに電解水溶液200.0mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに電解水溶液30.0mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス(株)製)を準備する。超音波分散器の水槽内に3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを2.0mL添加する。
(4)上記(2)のビーカーを上記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)上記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナーなど10mgを少量ずつ上記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した上記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーなどを分散した上記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50,000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
〔本発明の実施形態に含まれる構成〕
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。(構成1)電子写真感光体と、
トナーを収容しているトナー収容部を有し、該電子写真感光体表面に該トナーを供給する現像手段と、
を有する画像形成装置であって、
該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、
該表面保護層は、導電性粒子を含有し、
該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、
該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、
該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることを特徴とする画像形成装置。
(構成2)前記多価酸金属塩粒子は、周波数10kHzで測定した導電率が1.0×10-5S/m以上1.0×10-2S/m以下である構成1に記載の画像形成装置。
(構成3)前記トナー粒子は、トナー母粒子と、該トナー母粒子の表面に形成された凸部を有し、
該凸部の表面には、前記多価酸金属塩粒子が存在している構成1または2に記載の画像形成装置。
(構成4)前記トナー粒子表面の前記凸部が、有機ケイ素重合体で形成されている構成3に記載の画像形成装置。
(構成5)前記多価酸金属塩粒子が、多価酸チタン塩粒子である構成1~4のいずれかに記載の画像形成装置。
(構成6)前記導電性粒子が酸化チタン粒子である構成1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
(構成7)前記酸化チタン粒子がニオブ原子を含有するニオブ原子含有酸化チタン粒子である構成6に記載の画像形成装置。
(構成8)前記ニオブ原子含有酸化チタン粒子は、粒子中心部における、ニオブ原子濃度/チタン原子濃度で算出される濃度比率に対して、粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部における、ニオブ原子濃度/チタン原子濃度で算出される濃度比率が、2.0倍以上である、構成7に記載の画像形成装置。
(構成9)前記ニオブ原子含有酸化チタン粒子が、2.6質量%以上10.0質量%以下のニオブ原子を含有する構成7または8に記載の画像形成装置。
(構成10)前記導電性粒子の含有量が、前記表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上40.0体積%以下であり、
前記表面保護層の体積抵抗率が1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下である構成1~9のいずれかに記載の画像形成装置。
(構成11)前記現像手段は、前記トナーを担持させたトナー担持体を前記電子写真感光体に接触させることにより現像を行う接触現像手段である構成1~10のいずれかに記載の画像形成装置。
(構成12)電子写真感光体を帯電させる帯電工程と、
帯電された該電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光工程と、
該電子写真感光体上の静電潜像をトナーを用いて現像し、トナー像を形成する現像工程と、
該トナー像を転写材に転写する転写工程と、
を有する画像形成方法であって、
該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、
該表面保護層は、導電性粒子を含有し、該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、
該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、
該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることを特徴とする画像形成方法。
(構成13)電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、
該プロセスカートリッジは、電子写真感光体と、
トナーを収容しているトナー収容部を有し、該電子写真感光体表面に該トナーを供給する現像手段と、を有し、
該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、
該表面保護層は、導電性粒子を含有し、該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、
該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、
該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。
以下に電子写真感光体について記載する。実施例中および比較例中の「部」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<酸化チタン製造例>
本発明に係る導電性粒子であるアナターゼ形酸化チタン粒子は公知の硫酸法で製造することができる。即ち、硫酸チタン、硫酸チタニルを含む溶液を加熱して加水分解させ含水二酸化チタンスラリーを作製し、該二酸化チタンスラリーを脱水焼成して得られる。
(アナターゼ型酸化チタン粒子1~7の製造例)
本発明のアナターゼ型酸化チタンは、アナターゼ化度は90~100%が好ましい。上記方法により、アナターゼ化度がほぼ100%のアナターゼ型酸化チタンを作製することができる。また、この範囲のニオブ原子を含有するアナターゼ型酸化チタンを含有する本発明に係る表面保護層は、整流性が良好且つ安定して達成され、本発明の前記した効果が良好に達成される。
ここで、アナターゼ化度とは、酸化チタンの粉末X線回析において、アナターゼの最強干渉線(面指数101)の強度IAとルチルの最強干渉線(面指数110)の強度IRを測定し、以下の式で求められる値である。
アナターゼ化度(%)=100/(1+1.265×IR/IA)
アナターゼ化度を90~100%の範囲に作製するには、酸化チタンの作製において、チタン化合物として硫酸チタン、硫酸チタニルを含む溶液を加熱して加水分解させるとアナターゼ化度がほぼ100%のアナターゼ型酸化チタンが得られる。また、四塩化チタン水溶液を、アルカリを用いて中和すればアナターゼ化度が高いアナターゼ型酸化チタンが得られる。
本発明では、硫酸チタニルの溶液濃度を制御することにより、アナターゼ型酸化チタン粒子1~7を作製することが可能になった。
Figure 2023058019000001
<導電性粒子の製造例>
(導電性粒子1の製造例)
100gの個数平均粒径150nmの球形状のアナターゼ型酸化チタン粒子1を水に分散させて、1Lの水懸濁液として60℃に加温した。五塩化ニオブ(NbCl5)を11.4モル/L塩酸100mLに溶解させたニオブ溶液と、チタンとして33.7gを含む硫酸チタン溶液600mLとを混合したチタンニオブ酸液を調製した。前記チタンニオブ酸液を調整する際には、表2に示す導電性粒子全体の質量に対するニオブ原子の質量比になるように、五塩化ニオブの量を制御した。このチタンニオブ酸液と10.7モル/L水酸化ナトリウム水溶液とを懸濁液のpHが2~3となるように3時間かけて同時に滴下(並行添加)した。滴下終了後、懸濁液をろ過、洗浄し、110℃で8時間乾燥した。この乾燥物を大気雰囲気中、800℃にて1時間の加熱処理(焼成処理)を行い、ニオブ原子が表面近傍に偏在した、ニオブ原子含有酸化チタン粒子1を得た。
次に、
・ニオブ原子含有酸化チタン粒子1 100.0部
・表面処理剤1(下記式(S-1))(商品名:KBM-3033、信越化学工業(株)製) 3.0部
Figure 2023058019000002
・トルエン 200.0部
これらを混合し、撹拌装置で4時間撹拌した後、ろ過、洗浄後、更に130℃で3時間加熱処理を行って、導電性粒子1が得られた。導電性粒子の表面の物性や粒子径を表2に示す。
(導電性粒子2、4~12の製造例)
導電性粒子1の製造例において、用いる芯材の個数平均粒径、被覆時の条件、用いる芯材の結晶構造、および被覆時の条件を適宜変更した。それ以外は導電性粒子1の製造例と同様にして導電性粒子2、4~12の粉末を得た。なお、表2中の含有量は、ニオブ原子含有酸化チタン粒子におけるニオブ原子の含有量であり、蛍光X線による元素分析法(XRF)により測定して得た値である。
(導電性粒子3の製造例)
個数平均粒径6nm、ニオブ原子含有量0.50質量%の、略球形状のアナターゼ型酸化チタン8に対して導電性粒子1の製造例と同様の方法で表面処理剤1による表面処理を行い、導電性粒子3として用いた。導電性粒子3の物性を表2に示す。
(導電性粒子13の製造例)
導電性粒子1の製造例において、用いる芯材を個数平均粒径150nm、ニオブ原子含有量が0.20質量%の、略球形状のアナターゼ型酸化チタン9を用いること、導電性粒子1の製造例における、被覆時の条件を変更した。それ以外は導電性粒子1の製造例と同様に行った。これにより、粒子内部にもニオブ原子が存在する、ニオブ原子含有酸化チタン粒子として、導電性粒子13を得た。導電性粒子13の物性を表2に示す。
(導電性粒子14の製造例)
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得た含水二酸化チタンスラリーに、硫酸ニオブ(水溶性のニオブ化合物)を添加した。添加量は、スラリー中のチタン量(二酸化チタン換算)に対し、ニオブイオンとして0.2質量%の割合で硫酸ニオブを添加した。
硫酸チタニル水溶液に硫酸ニオブをニオブイオンとして0.2質量%の割合で加えたものを加水分解し、含水二酸化チタンスラリーを得た。次に、ニオブイオン等を含む含水二酸化チタンスラリーを脱水して、焼成温度は1000℃で焼成した。これにより、個数平均粒径130nm、ニオブ原子を0.2質量%含有したアナターゼ型酸化チタン粒子(被覆前ニオブ原子含有酸化チタン粒子)10を得た。
100gの個数平均粒径130nm、ニオブ原子0.2質量%の球形状のアナターゼ型酸化チタン粒子10を水に分散させて、1Lの水懸濁液として60℃に加温した。チタンとして33.7gを含む硫酸チタン溶液600mLを混合したチタン酸液と10.7モル/L水酸化ナトリウム溶液とを懸濁液のpHが2~3となるように3時間かけて同時に滴下(並行添加)した。滴下終了後、懸濁液をろ過、洗浄し、110℃で8時間乾燥した。この乾燥物を大気雰囲気中、800℃にて1時間の加熱処理を行った。さらに、この乾燥物を導電性粒子1の製造例と同様の方法で表面処理をすることで、粒子内部にのみニオブ原子が存在する導電性粒子14を得た。導電性粒子14の物性を表2に示す。
(導電性粒子15の製造例)
以下の材料を用意した。
・酸化スズ粒子(商品名:S-2000、三菱マテリアル(株)製) 100.0部
・表面処理剤2(下記式(S-2))(商品名:デシルトリメトキシシラン、東京化成工業(株)製) 20.0部
・トルエン 200.0部
これらを混合し、撹拌装置で4時間撹拌した後、ろ過、洗浄後、更に130℃で3時間加熱処理を行って、表面処理をすることで導電性粒子15を得た。導電性粒子15の物性を表2に示す。
Figure 2023058019000003
Figure 2023058019000004
表2中のNbはニオブ原子を意味する。また、A/BのAは、「粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部におけるニオブ原子とチタン原子との濃度比率」であり、Bは、「粒子中心部におけるニオブ原子とチタン原子との濃度比率」である。
<電子写真感光体の製造例>
(電子写真感光体1の製造例)
直径24mm、長さ257.5mmのアルミニウムシリンダー(JIS-A3003、アルミニウム合金)を支持体(導電性支持体)とした。
次に、以下の材料を用意した。
・金属酸化物粒子としての酸素欠損型酸化スズ(SnO2)で被覆されている酸化チタン(TiO2)粒子(個数平均粒径230nm)214部
・結着材料としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ-325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分:60質量%)132部
・溶剤としての1-メトキシ-2-プロパノール98部
これらを、直径0.8mmのガラスビーズ450部を用いたサンドミルに入れ、回転数:2000rpm、分散処理時間:4.5時間、冷却水の設定温度:18℃の条件で分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュ(目開き:150μm)でガラスビーズを取り除いた。
得られた分散液に、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(株)製、平均粒径2μm)を添加した。シリコーン樹脂粒子の添加量は、ガラスビーズを取り除いた後の分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して10質量%となるようにした。また、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料の合計質量に対して0.01質量%になるように、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング(株)製)を分散液に添加した。
次に、分散液中の金属酸化物粒子と結着材料と表面粗し付与材の合計質量(すなわち、固形分の質量)が分散液の質量に対して67質量%となるように、メタノールと1-メトキシ-2-プロパノールの混合溶媒(質量比1:1)を分散液に添加した。その後、撹拌することによって、導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを1時間140℃で加熱することによって、膜厚が30μmの導電層を形成した。
次に、以下の材料を用意した。
・下記式(E-1)で示される電子輸送物質3.11部
・ブロックイソシアネート(商品名:デュラネートSBB-70P、旭化成ケミカルズ(株)製)6.49部
・スチレン-アクリル樹脂(商品名:UC-3920、東亞合成製)0.4部
・シリカスラリー(製品名:IPA-ST-UP、日産化学工業製、固形分濃度:15質量%、粘度:9mPa・s)1.8部
これらを、1-ブタノール48部とアセトン24部の混合溶媒に溶解して下引き層用塗布液を調製した。この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを30分間170℃で加熱することによって、膜厚が0.7μmの下引き層を形成した。
Figure 2023058019000005
次に、CuKα特性X線回折より得られるチャートにおいて、7.5°および28.4°の位置にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10部とポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX-1、積水化学工業社製)5部を用意した。
これらをシクロヘキサノン200部に添加し、直径0.9mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で6時間分散した。これにシクロヘキサノン150部と酢酸エチル350部をさらに加えて希釈して電荷発生層用塗布液を得た。
得られた塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、95℃で10分間乾燥することにより、膜厚が0.20μmの電荷発生層を形成した。
なお、X線回折の測定は、次の条件で行ったものである。
[粉末X線回折測定]
使用測定機:理学電気(株)製、X線回折装置RINT-TTRII
X線管球:Cu
管電圧:50KV
管電流:300mA
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:4.0°/min
サンプリング間隔:0.02°
スタート角度(2θ):5.0°
ストップ角度(2θ):40.0°
アタッチメント:標準試料ホルダー
フィルター:不使用
インシデントモノクロ:使用
カウンターモノクロメーター:不使用
発散スリット:開放
発散縦制限スリット:10.00mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
平板モノクロメーター:使用
カウンター:シンチレーションカウンター
次に、以下の材料を用意した。
・下記式(C-1)で示される電荷輸送物質(正孔輸送性物質)6部
・下記式(C-2)で示される電荷輸送物質(正孔輸送性物質)3部
・下記式(C-3)で示される電荷輸送物質(正孔輸送性物質)1部
・ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)10部
・下記式(C-4)と下記式(C-5)の共重合ユニットを有するポリカーボネート樹脂(x/y=0.95/0.05:粘度平均分子量=20000)0.02部
これらを、オルトキシレン25部/安息香酸メチル25部/ジメトキシメタン25部の混合溶媒に溶解させることによって電荷輸送層用塗布液を調製した。この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を30分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が12μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2023058019000006
次に、以下の材料を用意した。
・結着樹脂として下記構造式(O-1)で示される化合物 100.0部
・導電性粒子1として上記の表面処理したニオブ原子含有酸化チタン粒子 66.7部
これらを、1-プロパノール100部/シクロヘキサン100部の混合溶媒に混合し、撹拌装置で6時間撹拌した。このようにして、表面保護層用塗布液を調製した。
この表面保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を6分間50℃で乾燥させた。その後、窒素雰囲気下にて、加速電圧70kV、ビーム電流5.0mAの条件で支持体(被照射体)を300rpmの速度で回転させながら、1.6秒間電子線を塗膜に照射した。表面保護層位置の線量は15kGyであった。
その後、窒素雰囲気下にて、塗膜の温度を117℃に昇温させた。電子線照射から、その後の加熱処理までの酸素濃度は10ppmであった。
次に、大気中において塗膜の温度が25℃になるまで自然冷却した後、塗膜の温度が120℃になる条件で1時間加熱処理を行い、膜厚2μmの表面保護層を形成した。このようにして、電子写真感光体1を製造した。
Figure 2023058019000007
(電子写真感光体2、3、5、6、8~13、15~19の製造例)
導電性粒子の種類および導電性粒子の保護層中の含有量(体積%)が表3になるように変更した以外は、電子写真感光体1の製造例と同様にして電子写真感光体2、3、5、6、8~13、15~19を製造した。
(電子写真感光体4の製造例)
電子写真感光体1において、保護層の形成に用いた結着樹脂の種類および量を、下記式(O-3)および(O-4)で示される構造単位を5/5の割合で有する、重量平均分子量(Mw)が100,000であるポリエステル樹脂1部に変更した。また、保護層の形成に用いた混合溶媒の種類および量をクロロベンゼン12部/ジメトキシメタン8部に変更して保護層用塗布液を調製し、この保護層用塗布液を電荷輸送層上に浸漬塗布して塗膜を形成した。その後、塗膜を30分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が2μmの保護層を形成した。それ以外は、電子写真感光体1と同様にして電子写真感光体4を製造した。
Figure 2023058019000008
(比較電子写真感光体1の製造例)
保護層用塗布液を以下のように調製した。
まず、以下の材料を用意した。・ラジカル重合性モノマー(製品名:TMPTA、東京化成(株)製)10部
・下記式(H-1)で示される化合物5部
・下記式(H-2)で示される化合物0.15部
・下記式(H-3)で示される化合物0.15部
・フッ素樹脂粒子(製品名:MPE-056、三井・デュポンフロロケミカル(株)製)1.5部
・光重合開始剤(製品名:イルガキュア184、BASFジャパン(株)製)0.75部
Figure 2023058019000009
これらをテトラヒドロフラン100部に混合し、撹拌装置で6時間撹拌し、これにより保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を窒素気流中でスプレー塗工法により電荷輸送層上に塗布して塗膜を形成し、10分間窒素気流中に放置して、指触乾燥した。その後、酸素濃度が2%以下となるようにブース内を窒素ガスで置換した紫外線光照射ブースにて、紫外線照射を以下の条件で行った。
メタルハライドランプ:160W/cm
照射距離:120mm
照射強度:700mW/cm2
照射時間:60秒
さらに、130℃で20分間乾燥することで、膜厚が5μmの保護層を形成した。それ以外は、電子写真感光体1と同様にして比較電子写真感光体1を製造した。
(電子写真感光体7の製造例)
以下の材料を用意した。
・ニオブ原子含有酸化チタン(体積平均粒径6nm、ニオブ含有量0.5質量%)10部
・下記式(H-7)で示される化合物10部
・重合開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシル(フェニル)メタノン)1部
これらを、n-プロピルアルコール40部に混合してサンドミルで2時間分散して保護層用塗布液を調製した。
この保護層用塗布液を、電子写真感光体1と同様にして用意した電荷輸送層の上に浸漬塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜を6分間50℃で乾燥させた。その後、酸素濃度が2%以下となるようにブース内を窒素ガスで置換した紫外線光照射ブースにて、紫外線照射を以下の条件で行った。
メタルハライドランプ:160W/cm
照射距離:120mm
照射強度:700mW/cm2
照射時間:60秒
それ以外は電子写真感光体1と同様にして電子写真感光体7を製造した。
Figure 2023058019000010
(電子写真感光体14の製造例)
比較電子写真感光体1の製造における保護層用塗布液の調製において、導電性粒子15を5.92部加えた。それ以外は、比較電子写真感光体1と同様にして電子写真感光体14を得た。
(比較電子写真感光体2~5の製造例)
電子写真感光体1において、保護層の形成に用いた導電性粒子の種類および保護層中の含有量(体積%)を表3に示すように変更した。それ以外は、電子写真感光体1と同様にして比較電子写真感光体2~5を製造した。
Figure 2023058019000011
以下にトナーについて記載する。
《トナー母粒子分散液の製造例》
<トナー母粒子分散液1の製造例>
(水系媒体の調製)
イオン交換水390.0部を入れた反応容器に、リン酸ナトリウム(12水和物)(ラサ工業株式会社製)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を反応容器に一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。
さらに、反応容器内の水系媒体に1.0モル/Lの塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体1を調製した。
(重合性単量体組成物の調製)
・スチレン 60.0部
・C.I.ピグメントレッド122 6.0部
・C.I.ピグメントレッド150 3.3部
上記材料をアトライタ(日本コークス工業株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料が分散された着色剤分散液を調製した。
次いで、該着色剤分散液に下記材料を加えた。
・スチレン 10.0部
・アクリル酸n-ブチル 30.0部
・ポリエステル樹脂 5.0部
(テレフタル酸と、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物との縮重合物)
・フィッシャートロプシュワックス(融点70℃) 7.0部
上記材料を65℃に保温し、T.K.ホモミクサーを用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃、撹拌装置の回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体1中に上記重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま撹拌装置にて12000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根を備えた撹拌機に変更し、150rpmで撹拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、さらに85℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行った。イオン交換水を加えて分散液中のトナー母粒子濃度が20.0%になるように調整し、トナー母粒子1が分散したトナー母粒子分散液1を得た。
トナー母粒子1の個数平均粒径(D1)は6.1μm、重量平均粒径(D4)は6.5μmであった。
《有機ケイ素化合物液の製造例》
<有機ケイ素化合物液1の製造例>
・イオン交換水 70.0部
・メチルトリエトキシシラン 30.0部
上記材料を200mLのビーカーに秤量し、10%塩酸でpHを3.5に調整した。その後、ウォーターバスで30℃に温度を調節しながら、1.0時間撹拌し、有機ケイ素化合物液1を作製した。
《トナーの製造例》
<トナー1の製造例>
反応容器内にトナー母粒子分散液1を500.0部秤量し、プロペラ撹拌羽根を用いて撹拌した。
次に、1.0モル/Lの塩酸を加えて混合溶液のpHを5.5に調整した直後に有機ケイ素化合物液1を8.0部添加した。その後、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整した。
次に、混合液の温度を55℃にした後に、混合溶液に下記材料を一気に投入した。
・チタンラクテート44%水溶液 2.44部
(TC-310:マツモトファインケミカル社製、チタンラクテートとして1.07部相当)
その後、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。その後、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は55℃のまま撹拌しながら2時間保持した。
温度を25℃に下げたのち、1.0モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、トナー粒子1を得た。これをトナー1とした。
分析の結果、トナー1は、トナー母粒子の表面に有機ケイ素重合体で形成される凸を有しており、凸部の表面に多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子が存在していることを確認した。
<トナー2の製造例>
トナー1の製造例において、チタンラクテート水溶液をジルコニウムラクテートアンモニウム塩水溶液(ZC-300 マツモトファインケミカル(株)製)に変えて、ジルコニウムラクテートアンモニウム塩水溶液をジルコニウムラクテートアンモニウム塩として2.67部になるように投入した以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー2を得た。分析の結果、トナー2は有機ケイ素重合体からなる凸の表面に多価酸とジルコニウムとの塩の粒子を有していた。
<トナー3の製造例>
反応容器内に下記材料を秤量し、プロペラ撹拌羽根を用いて撹拌した。
・トナー母粒子分散液1 500.0部
・シリカ微粒子(水ガラス法で製造:個数平均粒径80nm) 8部
その後、温度を70℃に昇温し、3.0時間保持した。
次に、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整した。その後、混合液の温度を55℃にした後に、混合溶液に下記材料を一気に投入した。
・チタンラクテート44%水溶液 2.44部
(TC-310:マツモトファインケミカル社製、チタンラクテートとして1.07部相当)
その後、プロペラ撹拌羽根を用いて混合しながら、1時間保持した。その後、1.0モル/LのNaOH水溶液を用いてpHを9.5に調整し、温度は55℃のまま撹拌しながら2時間保持した。
温度を25℃に下げたのち、1.0モル/Lの塩酸でpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、トナー粒子3を得た。これをトナー3とした。
分析の結果、トナー3は、トナー母粒子の表面に埋め込まれたシリカで形成される凸を有しており、凸部の表面に多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子が存在していることを確認した。
<トナー4の製造例>
トナー1の製造例において、有機ケイ素化合物液1の投入を行わなかった。それ以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー粒子4を得た。これをトナー4とした。
<トナー5の製造例>
トナー1の製造例において、チタンラクテートを投入、混合し、1時間保持した後、pHを9.5に調整する前に有機ケイ素化合物液1を1.0部投入した。それ以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー5粒子を得た。これをトナー5とした。分析の結果、トナー5の表面には、有機ケイ素重合体からなる凸部の表面に、有機ケイ素重合体で部分的にコートされた多価酸金属塩粒子が存在していた。
<トナー6の製造例>
トナー1の製造例において、チタンラクテートを投入、混合し、1時間保持した後、pHを9.5に調整する前に有機ケイ素化合物液1を0.8部投入した。それ以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー粒子6を得た。これをトナー6とした。分析の結果、トナー6の表面には、有機ケイ素重合体からなる凸部の表面に、有機ケイ素重合体で部分的にコートされた多価酸金属塩粒子が存在していた。
<トナー7の製造例>
トナー1の製造例において、チタンラクテートを投入、混合し、1時間保持した後、pHを9.5に調整する前に銅ラクテート水溶液を銅ラクテートが0.3部になるように投入した。それ以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー粒子7を得た。これをトナー7とした。分析の結果、トナー7の表面には、有機ケイ素重合体からなる凸部の表面に、多価酸と銅との塩で部分的にコートされた多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子が存在していた。
<トナー8の製造例>
トナー1の製造例において、チタンラクテートを投入、混合し、1時間保持した後、pHを9.5に調整する前に銅ラクテート水溶液を銅ラクテートが0.5部になるように投入した。それ以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー粒子8を得た。これをトナー8とした。分析の結果、トナー8の表面には、有機ケイ素重合体からなる凸部の表面に、多価酸と銅との塩で部分的にコートされた多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子が存在していた。
<比較トナー1の製造例>
室温にてトナー母粒子分散液1に1.0モル/Lの塩酸を加えてpHを1.5に調整して1時間撹拌後、イオン交換水で洗浄しながら、ろ過し、トナー粒子9を得た。
得られたトナー粒子9、100.0部に対して、ジメチルシリコーンオイルで表面処理された疎水性シリカ微粒子1.0部(一次粒子の個数平均粒径:7nm)をFMミキサ(日本コークス工業社製)で10分間乾式混合して比較トナー1を得た。
<比較トナー2の製造例>
トナー1の製造例において、チタンラクテートの代わりに銅ラクテート水溶液を銅ラクテートが1.84部になるように投入した以外はトナー1の製造例と同様にしてトナー粒子10を得た。これを比較トナー2とした。分析の結果、比較トナー2は有機ケイ素重合体からなる凸の表面に多価酸と銅との塩の粒子を有していた。
<比較トナー3の製造例>
・トナー粒子9 100.0部
・ITO微粒子(個数平均粒径:30nm) 15.0部
上記材料をSUPERMIXER PICCOLO SMP-2(株式会社カワタ製)に投入して、3000rpmで30秒間混合を行った。その後、目開き150μmのメッシュで篩い、導電性粉体を得た。
・導電性粉体 100.0部
・スチレンアクリル樹脂粒子(個数平均粒径:1000nm) 20.0部
上記材料をSUPERMIXER PICCOLO SMP-2(株式会社カワタ製)に投入して、3000rpmで30秒間混合を行った。その後、目開き150μmのメッシュで篩い、比較トナー3を得た。なお、上記ITO微粒子は、酸化インジウムスズ(SIGMA-ALDRICH社製)を用いた。
比較トナー3の分析の結果、トナー粒子9表面ではITO微粒子が若干凝集気味の状態で存在していた。
トナー1~8及び、比較トナー1~3の構成及び物性を表4に示す。
Figure 2023058019000012
表4中(A)~(F)の符号は下記内容を表している。
(A)多価酸金属塩粒子に含まれる金属元素
(B)多価酸金属塩粒子に含まれる多価酸
(C)多価酸金属塩粒子の被覆層の種類
(D)多価酸金属塩粒子の周波数10kHzで測定した導電率
(E)トナー母粒子表面の凸部の有無
(F)凸部の種類
[実施例1~26、比較例1~9]
上記電子写真感光体1~19、比較電子写真感光体1~5および、トナー1~8、比較トナー1~3を用いて、下記に示す方法で評価を行った。評価を行った電子写真感光体とトナーの組み合わせ、および評価結果を表5に示す。
以下に、本発明の評価方法及び評価基準について説明する。
<評価機>
市販のレーザープリンター「LBP-9660Ci(キヤノン製)」を外部高圧電源と接続し、帯電ブレードと帯電ローラの間に任意の電位差を設けられるよう改造し、帯電ブレードと帯電ローラの間の電位差を-400Vに設定した。さらに、1次転写バイアスを可変とし、プロセススピードが330mm/secとなるよう改造した。加えて、実施例及び比較例の電子写真感光体を電子写真装置の市販のシアンカートリッジ(キヤノン製)に装着した。さらに像露光量、帯電ローラから電子写真感光体の支持体に流れる電流量(以降、総電流とも呼ぶ)、帯電ローラへの印加電圧の、調節及び測定ができるように改造した。
まず、帯電ローラへの印加電圧を-400Vから100V間隔で-2000Vまで段階的に上げて印加し、それぞれの印加電圧における総電流を測定した。そして、横軸に印加電圧を、縦軸に総電流をとったグラフを作成し、印加電圧-400V~-800Vにおける一次近似曲線から乖離する電流値が100μAとなる印加電圧を求め、印加電圧を設定した。以上の改造を施したLBP-9660Ci(キヤノン製)を画像形成装置として用いた。
また、上記の実施例及び比較例の電子写真感光体を装着したシアンカートリッジ内部から製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、上記トナーを260g充填した。なお、イエロー、マゼンタ、ブラックの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたイエロー、マゼンタ及びブラックカートリッジを挿入して評価を行った。
<起動時カブリの評価1>
上記プロセスカートリッジ、上記レーザープリンターの改造機、及び評価用紙(HP brocure paper 180g glossy(HP社製)レター:180g/m2)を超高温高湿環境(32.5℃/90%RH、以下、SH/H環境)に72時間静置した。
続いて、プロセススピードを110mm/sec(1/3速)に変更し、SH/H環境において、評価用紙上に0%印字比率の全白画像を出力した。
全白画像上のカブリ濃度を測定し、帯電性を以下の基準で評価した。
カブリ濃度(%)の測定は、「REFLECTMETER MODEL TC-6DS」(東京電色社製)を用い、測定した画像の白地部分の白色度と評価用紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出することにより行った。フィルターは、アンバーフィルターを用いた。
帯電性に優れるトナーでは、カブリの少ない良好な画像を得ることができる。
環境安定性に優れた、表層の吸湿性が低いトナーでは、高湿の環境においても良好な帯電性を示す。そして、カブリが少ないトナーは、長期使用時のトナー消費量を抑えることにより、トナーカートリッジの印刷可能枚数を増加させることができる。
(起動時カブリの評価1の評価基準)
A:カブリ濃度0.3%未満
B:カブリ濃度0.3%以上0.8%未満
C:カブリ濃度0.8%以上1.5%未満
D:カブリ濃度1.5%以上
<起動時カブリの評価2>
起動時カブリの評価1より起動時カブリに対して厳しい条件で起動時カブリの評価を行った。
上記プロセスカートリッジ、上記レーザープリンターの改造機、及び評価用紙(HP brocure paper 180g glossy(HP社製)レター:180g/m2)をSH/H環境に96時間静置した。
続いて、プロセススピードを110mm/sec(1/3速)に変更し、SH/H環境において、評価用紙上に0%印字比率の全白画像を出力した。
全白画像上のカブリ濃度を測定し、帯電性を以下の基準で評価した。
カブリ濃度(%)の測定は、「REFLECTMETER MODEL TC-6DS」(東京電色社製)を用い、測定した画像の白地部分の白色度と評価用紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出することにより行った。フィルターは、アンバーフィルターを用いた。
(起動時カブリの評価2の評価基準)
A:カブリ濃度0.5%未満
B:カブリ濃度0.5%以上1.0%未満
C:カブリ濃度1.0%以上2.0%未満
D:カブリ濃度2.0%以上
<転写効率の評価>
転写効率とは、感光ドラム上に現像されたトナーが何%中間転写ベルト上に転写されたかを示す転写性の指標である。転写効率の評価は、上記プロセスカートリッジ、上記レーザープリンターの改造機、LETTERサイズのBusiness4200用紙(XEROX社製、75g/m2)を用いて、全ベタ画像を記録媒体上に形成して行った。上記レーザープリンターの改造機の1次転写バイアスを、通常の電位より、電位差が100V小さくなる電位に設定し、超高温高湿環境(32.5℃/90%RH、SH/H環境)において、全ベタ画像を出力した。その後、中間転写ベルト上に転写されたトナーと転写後も感光ドラム上に残留したトナーを透明なポリエステル製の粘着テープによりはぎ取った。
はぎ取った粘着テープを紙上に貼ったもののトナー濃度から、粘着テープのみを紙上に貼ったもの濃度を差し引いた濃度差をそれぞれ算出した。転写効率は、それぞれのトナー濃度差の和を100とした場合の中間転写ベルト上のトナー濃度差の割合であり、この割合が高いほど転写効率に優れる。転写効率の評価は下記の基準で判断した。
A、B、Cランクを合格とした。
なお、トナー濃度はX-Riteカラー反射濃度計(500シリーズ)で測定した。
A:転写効率が98%以上
B:転写効率が95%以上98%未満
C:転写効率が90%以上95%未満
D:転写効率が90%未満
<耐久性の評価>
常温常圧環境(25℃/50%RH、N/N環境)において、評価用紙上に印字比率1.0%の画像を30,000枚連続で出力した。その後、超高温高湿環境(32.5℃/90%RH、SH/H環境)において、上記起動時カブリおよび転写効率の評価と同様の評価を行った。
上記起動時カブリ1および転写効率の評価基準に従って評価し、耐久性の評価とした。
<ベタ追従性>
上記プロセスカートリッジ、上記レーザープリンターの改造機を用いて、常温常湿環境下(25℃/50%RH、N/N環境)にて、LETTERサイズのBusiness4200用紙(XEROX社製、75g/m2)に全ベタ画像を5枚出力した。
得られた全ベタ画像に対して、ベタ追従性の評価を行った。
なお、画像濃度の測定は、「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて付属の取扱説明書に沿って、画像濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定することによって行い、得られた相対濃度を画像濃度の値とした。
(ベタ追従性の評価基準)
全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差で評価した。
A:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.10未満
B:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.10以上0.20未満
C:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.20以上0.30未満
D:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.30以上
Figure 2023058019000013
1 感光体ドラム、2 帯電ローラ、3 スキャナユニット、4 現像ユニット、5 中間転写ベルト、51 駆動ローラ、52 二次転写対向ローラ、53 従動ローラ、6 クリーニング部材、7 プロセスカートリッジ、8 一次転写ローラ、9 二次転写ローラ、10 定着装置、11 中間転写ベルトクリーニング装置、12 記録材、13 感光体ユニット、14 クリーニング枠体、17 現像ローラ、18 トナー収容室、20 トナー供給ローラ、21 現像ブレード、22 撹拌搬送部材、25 導電性支持体、26 下引き層、27 電荷発生層、28 電荷輸送層、29 表面保護層、80 トナー、100 画像形成装置、31 酸化チタン粒子の中心部、32 酸化チタン粒子の表面近傍、33 酸化チタン粒子の中心部を分析するX線、34 酸化チタン粒子の表面から一次粒子径の5%内部を分析するX線

Claims (13)

  1. 電子写真感光体と、
    トナーを収容しているトナー収容部を有し、該電子写真感光体表面に該トナーを供給する現像手段と、
    を有する画像形成装置であって、
    該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、
    該表面保護層は、導電性粒子を含有し、
    該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、
    該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
    該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、
    該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記多価酸金属塩粒子は、周波数10kHzで測定した導電率が1.0×10-5S/m以上1.0×10-2S/m以下である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記トナー粒子は、トナー母粒子と、該トナー母粒子の表面に形成された凸部を有し、
    該凸部の表面には、前記多価酸金属塩粒子が存在している請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記トナー粒子表面の前記凸部が、有機ケイ素重合体で形成されている請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記多価酸金属塩粒子が、多価酸チタン塩粒子である請求項1または2に記載の画像形成装置。
  6. 前記導電性粒子が酸化チタン粒子である請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 前記酸化チタン粒子がニオブ原子を含有するニオブ原子含有酸化チタン粒子である請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記ニオブ原子含有酸化チタン粒子は、粒子中心部における、ニオブ原子濃度/チタン原子濃度で算出される濃度比率に対して、粒子表面から測定粒子の最大径の5%内部における、ニオブ原子濃度/チタン原子濃度で算出される濃度比率が、2.0倍以上である、請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記ニオブ原子含有酸化チタン粒子が、2.6質量%以上10.0質量%以下のニオブ原子を含有する請求項7または8に記載の画像形成装置。
  10. 前記導電性粒子の含有量が、前記表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上40.0体積%以下であり、
    前記表面保護層の体積抵抗率が1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下である請求項1または2に記載の画像形成装置。
  11. 前記現像手段は、前記トナーを担持させたトナー担持体を前記電子写真感光体に接触させることにより現像を行う接触現像手段である請求項1または2に記載の画像形成装置。
  12. 電子写真感光体を帯電させる帯電工程と、
    帯電された該電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光工程と、
    該電子写真感光体上の静電潜像をトナーを用いて現像し、トナー像を形成する現像工程と、
    該トナー像を転写材に転写する転写工程と、
    を有する画像形成方法であって、
    該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、
    該表面保護層は、導電性粒子を含有し、該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、
    該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
    該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、
    該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることを特徴とする画像形成方法。
  13. 電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、
    該プロセスカートリッジは、電子写真感光体と、
    トナーを収容しているトナー収容部を有し、該電子写真感光体表面に該トナーを供給する現像手段と、を有し、
    該電子写真感光体は、導電性支持体、及び、該導電性支持体の上に形成された、感光層と表面保護層とをこの順で有し、
    該表面保護層は、導電性粒子を含有し、該導電性粒子の含有量が、該表面保護層の全体積に対して、5.0体積%以上70.0体積%以下であり、
    該表面保護層の体積抵抗率が1.0×109Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
    該トナー収容部に含有されている該トナーが、トナー粒子を有しており、
    該トナー粒子の表面には、多価酸金属塩粒子が存在しており、該多価酸金属塩粒子が、多価酸と第4族元素の金属との塩の粒子であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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