JP2023057748A - フレキシブル積層体の製造方法 - Google Patents

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【課題】円偏光板と、水系接着剤層と、有機ELパネルとを備えるフレキシブル積層体の製造方法であって、有機ELパネルの水蒸気による劣化を生じさせずに水系接着剤により貼合することができるフレキシブル積層体の製造方法を提供すること。【解決手段】円偏光板上に、水系接着剤の塗膜を形成する第1工程と、前記水系接着剤の塗膜を乾燥させて、水系接着剤層を形成する第2工程と、前記水系接着剤層の表面に表面活性化処理を施した後、前記円偏光板と有機ELパネルとを前記水系接着剤層を介して貼合する第3工程とをこの順に備える、フレキシブル積層体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブル積層体の製造方法に関する。
特許文献1には、液晶セルと偏光フィルムとが水系接着剤組成物を用いて貼合された光学積層体が開示されている。
特開2011-156862号公報
円偏光板と有機ELパネルとを備えるフレキシブル積層体は、屈曲性を十分に発揮するために薄型化が求められている。しかしながら、円偏光板と有機ELパネルとを備えるフレキシブル積層体において、円偏光板と有機ELパネルとは厚みが比較的大きい粘着剤層を介して貼合される場合が多い。上記の粘着剤層に代えて水系接着剤を用いたフレキシブル積層体は厚みが低減される一方、有機ELパネルは水分に対する耐性が低く、水系接着剤を乾燥させるときに発生する水蒸気により劣化する場合がある。
本発明の目的は、円偏光板と、水系接着剤層と、有機ELパネルとを備えるフレキシブル積層体の製造方法であって、有機ELパネルの水蒸気による劣化を生じさせずに水系接着剤により貼合することができるフレキシブル積層体の製造方法を提供することである。
本発明は、以下のフレキシブル積層体の製造方法を提供する。
[1] フレキシブル積層体の製造方法であって、
円偏光板上に、水系接着剤の塗膜を形成する第1工程と、
前記水系接着剤の塗膜を乾燥させて、水系接着剤層を形成する第2工程と、
前記水系接着剤層の表面に表面活性化処理を施した後、前記円偏光板と有機ELパネルとを前記水系接着剤層を介して貼合する第3工程と、
をこの順に備える、フレキシブル積層体の製造方法。
[2] 前記水系接着剤層の厚みは1μm以上3μm以下である、[1]に記載のフレキシブル積層体の製造方法。
[3] 前記第2工程は、
前記水系接着剤の塗膜上に離型フィルムを積層する工程と、
前記水系接着剤層の塗膜を乾燥させた後、前記離型フィルムを剥離する工程と、
をさらに備える、[1]または[2]に記載のフレキシブル積層体の製造方法。
[4] 前記第3工程後に、前記フレキシブル積層体を加熱する工程をさらに備える、[2]~[3]のいずれかに記載のフレキシブル積層体の製造方法。
本発明によれば、円偏光板と、水系接着剤層と、有機ELパネルとを備えるフレキシブル積層体の製造方法であって、有機ELパネルの水蒸気による劣化を生じさせずに水系接着剤により貼合することができるフレキシブル積層体の製造方法を提供することができる。
本発明のフレキシブル積層体の層構成の一例を示す概略断面図である。 本発明のフレキシブル積層体の製造方法の一例を示す概略断面図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の全ての図面においては、各構成要素を理解し易くするために縮尺を適宜調整して示しており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
<フレキシブル積層体の製造方法>
本発明のフレキシブル積層体の製造方法は、円偏光板上に、水系接着剤の塗膜を形成する第1工程と、水系接着剤の塗膜を乾燥させて、水系接着剤層を形成する第2工程と、水系接着剤層の表面に表面活性化処理を施した後、円偏光板と有機ELパネルとを水系接着剤層を介して貼合する第3工程とをこの順に備える。
(フレキシブル積層体)
図1に示すフレキシブル積層体10は、円偏光板11と、水系接着剤層12と、有機ELパネル13とを備える。円偏光板11は、直線偏光板14と位相差フィルム15とを備える。円偏光板11と水系接着剤層12とは互いに接して貼合されていてよく、好ましくは円偏光板11の位相差フィルム15と水系接着剤層12とは互いに接して貼合されている。水系接着剤層12と有機ELパネル13とは互いに接して貼合されていてよい。図示されていないが、フレキシブル積層体10は、図1に示した層以外の層、例えば貼合層、前面板およびタッチパネル等を備えていてよい。
フレキシブルとは、クラックを生じさせることなく屈曲させることが可能であることを意味する。フレキシブル積層体10は、円偏光板11側および有機ELパネル13側の少なくともいずれか一方を内側にして屈曲することが可能である。屈曲には、曲げ部分に曲面が形成される折り曲げの形態が含まれる。折り曲げの形態において、折り曲げた内面の屈曲半径は特に限定されない。また、屈曲には、内面の屈折角が0°より大きく180°未満である屈折の形態、および内面の屈曲半径がゼロに近似、または内面の屈折角が0°である折り畳みの形態が含まれる。
フレキシブル積層体10の厚みは、例えば20μm以上2000μm以下であってよく、薄型化の観点から好ましくは50μm以上1000μm以下である。
フレキシブル積層体10は、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置等の画像表示装置に用いることができる。フレキシブル積層体10は、屈曲することが可能であるためフレキシブルディスプレイに好適である。
(第1工程)
フレキシブル積層体の製造方法について図2を参照しながら説明する。第1工程において、直線偏光板24と位相差フィルム25とを備える円偏光板21の位相差フィルム25上に水系接着剤の塗膜26を形成する[図2(a)]。水系接着剤の塗膜26は、円偏光板21の位相差フィルム25側に形成されることができ、好ましくは後述の位相差フィルム25の硬化層上に直接形成されることが好ましい。水系接着剤を位相差フィルム25上に塗布する方法は、従来公知の方法により行うことができる。
(円偏光板)
円偏光板21は通常、直線偏光板24と位相差フィルム25とが後述の貼合層を介して貼合されている。円偏光板21は、後述の貼合層、前面板およびタッチパネルを備えていてよい。
(直線偏光板)
直線偏光板24は通常、保護フィルムと偏光子とを備えることができる。保護フィルムと偏光子とは後述の貼合層を介して貼合されてよく、好ましくは水系接着剤層を介して貼合される。直線偏光板24は、偏光子の片側に保護フィルムを備えていてもよいし、偏光子の両側に保護フィルムを備えていてもよい。
(保護フィルム)
保護フィルムは、偏光子等を保護する機能を有することができる。保護フィルムは、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂;アクリロニトリル・スチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリイミド系樹脂等からなるフィルムであることができる。
鎖状ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン樹脂(エチレンの単独重合体であるポリエチレン樹脂や、エチレンを主体とする共重合体)、ポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体であるポリプロピレン樹脂や、プロピレンを主体とする共重合体)のような鎖状オレフィンの単独重合体の他、2種以上の鎖状オレフィンからなる共重合体を挙げることができる。
環状ポリオレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1-240517号公報、特開平3-14882号公報、特開平3-122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。環状ポリオレフィン系樹脂の具体例を挙げれば、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレンのような鎖状オレフィンとの共重合体(代表的にはランダム共重合体)、およびこれらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、並びにそれらの水素化物である。中でも、環状オレフィンとしてノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのようなノルボルネン系モノマーを用いたノルボルネン系樹脂が好ましく用いられる。
ポリエステル系樹脂は、下記セルロースエステル系樹脂を除く、エステル結合を有する樹脂であり、多価カルボン酸またはその誘導体と多価アルコールとの重縮合体からなるものが一般的である。多価カルボン酸またはその誘導体としては2価のジカルボン酸またはその誘導体を用いることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ジメチルテレフタレート、ナフタレンジカルボン酸ジメチルが挙げられる。多価アルコールとしては2価のジオールを用いることができ、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。ポリエステル系樹脂の代表例として、テレフタル酸とエチレングリコールの重縮合体であるポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を主な構成モノマーとする樹脂である。(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、例えば、ポリメタクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸エステル;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体;メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体;メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体;(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂等);メタクリル酸メチルと脂環族炭化水素基を有する化合物との共重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)を含む。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルのようなポリ(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステルを主成分とする重合体が用いられ、より好ましくは、メタクリル酸メチルを主成分(50質量%以上100質量%以下、好ましくは70質量%以上100質量%以下)とするメタクリル酸メチル系樹脂が用いられる。
セルロースエステル系樹脂は、セルロースと脂肪酸とのエステルである。セルロースエステル系樹脂の具体例は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリプロピオネート、セルロースジプロピオネートを含む。また、これらの共重合物や、水酸基の一部が他の置換基で修飾されたものも挙げられる。これらの中でも、セルローストリアセテート(トリアセチルセルロース)が特に好ましい。
ポリカーボネート系樹脂は、カルボナート基を介してモノマー単位が結合された重合体からなるエンジニアリングプラスチックである。
保護フィルムの厚みは通常、1μm以上100μm以下であるが、強度や取扱性等の観点から5μm以上60μm以下であることが好ましく、5μm以上40μm以下であることがより好ましく、10μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。
保護フィルムは、偏光板の耐光性向上を目的に紫外線吸収能を有していてもよい。その場合、フィルム自身が紫外線吸収能を有していてもよく、紫外線吸収層を別に有していてもよく、両者の組合せであってもよい。
保護フィルムとしては、視野角補償などの目的で位相差機能を備えていてもよく、その場合、フィルム自身が位相差機能を有していてもよく、位相差層を別に有していてもよく、両者の組み合わせであってもよい。
直線偏光板24が偏光子の両側に保護フィルムを有する場合、保護フィルムは同種の熱可塑性樹脂で構成されていてもよいし、異種の熱可塑性樹脂で構成されていてもよい。また、厚みが同じであってもよいし、異なっていてもよい。さらに、同じ位相差特性を有していてもよいし、異なる位相差特性を有していてもよい。
保護フィルムは、その外面(偏光子とは反対側の面)に、ハードコート層、防眩層、光拡散層、反射防止層、低屈折率層、帯電防止層、防汚層のような表面処理層(コーティング層)を備えるものであってもよい。なお、保護フィルムの厚みは、表面処理層の厚みを含んだものである。
(偏光子)
偏光子としては二色性色素を吸着させた延伸フィルムまたは延伸層、二色性色素を塗布し硬化させてなる偏光子層等が挙げられる。偏光子が後述の基材フィルムおよび配向膜を含む場合、それらを含めて偏光子という。
二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性有機染料が用いられる。二色性有機染料としては、例えばアゾ系色素等が挙げられる。アゾ系色素には、例えばC.I.DIRECT RED 39等のジスアゾ化合物からなる二色性直接染料、トリスアゾ、テトラキスアゾ等の化合物からなる二色性直接染料が包含される。
(二色性色素を吸着させた延伸フィルムまたは延伸層)
二色性色素を吸着させた延伸フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。
二色性色素を吸着させた延伸フィルムの厚みは、例えば2μm以上40μm以下であってよく、5μm以上であってもよく、20μm以下、さらには15μm以下、なおさらには10μm以下であってもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85モル%以上100モル%以下程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールも使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1000以上10000以下であり、好ましくは1500以上5000以下である。
二色性色素を吸着させた延伸層は、通常、上記ポリビニルアルコール系樹脂を含む塗布液を基材フィルム上に塗布する工程、得られた積層フィルムを一軸延伸する工程、一軸延伸された積層フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させて偏光子層とする工程、二色性色素が吸着されたフィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造することができる。
必要に応じて、基材フィルムを二色性色素を吸着させた延伸層から剥離除去してもよい。基材フィルムの材料および厚みは、後述する熱可塑性樹脂フィルムの材料および厚みと同様であってよい。
(二色性色素を塗布し硬化させてなる偏光子層)
二色性色素を塗布し硬化させてなる偏光子層としては、液晶性を有する重合性の二色性色素を含む組成物または重合性液晶化合物と二色性色素とを含む組成物を基材フィルムに塗布し硬化させて得られる層等の重合性液晶化合物の硬化物を含む偏光子層が挙げられる。基材フィルムは一方の面に配向膜が設けられていてもよい。配向膜の厚みは、例えば5nm以上1μm以下であってよい。
偏光子は、基材フィルムと共に直線偏光板24に組込まれてもよいし、基材フィルムを二色性色素を塗布し硬化させてなる偏光子層から剥離除去して直線偏光板24に組込まれてもよい。基材フィルムの材料および厚みは、上述の保護フィルムの材料および厚みと同様であってよい。基材フィルムは、少なくとも一方の面に保護層としてハードコート層(HC層)が形成されていてもよい。
二色性色素を塗布し硬化させてなる偏光子層の厚みは、通常10μm以下であり、好ましくは8μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。
偏光子が二色性色素を塗布し硬化させてなる偏光子層は、基材フィルム上に配向膜を介して形成することが可能である。偏光子が二色性色素を塗布し硬化させてなる偏光子層は、二色性色素および重合性液晶化合物を含む偏光子形成用組成物を塗布し、硬化させることで形成することができる。偏光子形成用組成物は、二色性色素および重合性液晶化合物に加え、好ましくは重合開始剤、レベリング剤、溶剤をさらに含み、光増感剤、重合禁止剤、レベリング剤等をさらに含み得る。
偏光子形成用組成物の塗布、乾燥および重合性液晶化合物の重合は、従来公知の塗布方法、乾燥方法および重合方法により行うことができる。例えば偏光子形成用組成物の塗布方法としては、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、およびダイコーティング法等を採用することができる。
重合性液晶化合物の重合方法は、重合性液晶化合物の重合性基の種類に応じて選択すればよい。重合性基が光重合性基であれば光重合法により重合することができる。重合基が熱重合性基であれば熱重合法により重合することができる。本発明においては、光重合法が好ましい。光重合法は、必ずしも基材フィルムを高温に加熱する必要がないため、耐熱性の低い基材フィルムを使用することができる。光重合法は、重合性液晶化合物を含む偏光子形成用組成物からなる膜に可視光、または紫外光を照射することにより行う。取り扱いやすい点で、紫外光が好ましい。
(位相差フィルム)
位相差フィルム25は、重合性液晶化合物の硬化層(以下、簡略化して硬化層ともいう)を含むことができる。硬化層は、位相差特性を有する層であり、重合性液晶化合物が配向状態で重合硬化し、位相差特性を発現する硬化層である。位相差フィルム25は、重合性液晶化合物の硬化層を1層のみ備えていてもよいし、重合性液晶化合物の硬化層を2層以上備えていてもよい。
位相差フィルム25は、例えば1/2波長位相差層、1/4波長位相差層およびポジティブCプレートからなる群から選択される少なくとも1つを含んでよく、好ましくは1/4波長位相差層および1/2波長位相差層からなる群から選択される少なくとも1つを含む。位相差フィルム25は、例えば1/2波長位相差層、1/4波長位相差層、ポジティブCプレート、またはこれらが積層された位相差層積層体であることができる。2以上の位相差層が積層される場合、位相差層同士は後述の貼合層によって貼合されていてよい。1/4波長位相差層は、逆波長分散性を有することが好ましい。
逆波長分散性とは、短波長での液晶配向面内位相差値の方が長波長での液晶配向面内位相差値よりも小さくなる光学特性であり、好ましくは、光学フィルムが下記式(i)および式(ii)を満たすことである。なお、Re(λ)は波長λnmの光に対する面内位相差値を表す。
Re(450)/Re(550)≦1 (i)
1≦Re(630)/Re(550) (ii)
1/2波長位相差層は、Re(λ)がRe(λ)=λ/2を満足する層であり、可視光域の何れかの波長において達成されていればよく、なかでも波長550nmで達成されることが好ましい。1/2波長位相差層は、Re(550)が、200nm≦Re(550)≦330nmを満足することが好ましく、220nm≦Re(550)≦300nmを満足することがより好ましい。1/4波長位相差層は、Re(λ)がRe(λ)=λ/4を満足する層であり、可視光域の何れかの波長において達成されていればよく、なかでも波長550nmで達成されることが好ましい。1/4波長位相差層は、Re(550)が、100nm≦Re(550)≦160nmを満足することが好ましく、110nm≦Re(550)≦150nmを満足することがより好ましい。
フィルム面内の遅相軸方向(面内での屈折率が最大となる方向)の屈折率をnx、面内の遅相軸と面内で直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとしたとき、ポジティブCプレートは下記式の関係を満たすものである。
nz>nx≒ny
なお、上記「≒」は、両者が完全に同一である場合だけでなく、両者が実質的に同一である場合も包含する。
位相差フィルム25が位相差層積層体である場合、位相差フィルム25は、第1の位相差層および第2の位相差層を含むことができる。位相差層積層体を構成する位相差層のうちの一方が1/4波長位相差層であり、他方が1/2波長位相差層であることができる。位相差層積層体を構成する位相差層のうちの一方が逆波長分散性の1/4波長位相差層であり、他方がポジティブCプレートであることができる。例えば、第1の位相差層および第2の位相差層は、それぞれ逆波長分散性の1/4波長位相差層、ポジティブCプレートである。
重合性液晶化合物としては、棒状の重合性液晶化合物および円盤状の重合性液晶化合物が挙げられ、これらのうちの一方を用いてもよく、これらの両方を含む混合物を用いてもよい。棒状の重合性液晶化合物が基材層に対して水平配向または垂直配向した場合は、該重合性液晶化合物の光軸は、該重合性液晶化合物の長軸方向と一致する。円盤状の重合性液晶化合物が配向した場合は、該重合性液晶化合物の光軸は、該重合性液晶化合物の円盤面に対して直交する方向に存在する。棒状の重合性液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報(請求項1等)に記載のものを好適に用いることができる。円盤状の重合性液晶化合物としては、特開2007-108732号公報(段落[0020]~[0067]等)、特開2010-244038号公報(段落[0013]~[0108]等)に記載のものを好適に用いることができる。
重合性液晶化合物を重合することによって形成される硬化層が面内位相差を発現するためには、重合性液晶化合物を適した方向に配向させればよい。重合性液晶化合物が棒状の場合は、該重合性液晶化合物の光軸を後述の基材フィルム平面に対して水平に配向させることで面内位相差が発現し、この場合、光軸方向と遅相軸方向とは一致する。重合性液晶化合物が円盤状の場合は、該重合性液晶化合物の光軸を後述の基材フィルム平面に対して水平に配向させることで面内位相差が発現し、この場合、光軸と遅相軸とは直交する。重合性液晶化合物の配向状態は、配向膜と重合性液晶化合物との組み合わせによって調整することができる。
重合性液晶化合物は、少なくとも1つの重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。重合性液晶化合物2種類以上を併用する場合、少なくとも1種類が分子内に2以上の重合性基を有することが好ましい。重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基、スチリル基、アリル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。重合性液晶化合物が有する液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック液晶でもよく、サーモトロピック液晶を秩序度で分類すると、ネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。
位相差フィルム25は配向膜を含んでいてもよい。配向膜は、重合性液晶化合物を所望の方向に配向させる配向規制力を有する。配向膜は、重合性液晶化合物の分子軸を基材層に対して垂直配向した垂直配向膜であってもよく、重合性液晶化合物の分子軸を基材層に対して水平配向した水平配向膜であってもよく、重合性液晶化合物の分子軸を基材層に対して傾斜配向させる傾斜配向膜であってもよい。位相差フィルム25が2以上の配向膜を含む場合、配向膜は互いに同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
配向膜としては、重合性液晶化合物を含む液晶層形成用組成物の塗工等により溶解しない溶媒耐性を有し、溶媒の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理に対する耐熱性を有するものが好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーで形成された配向性ポリマー層、光配向ポリマーで形成された光配向性ポリマー層、層表面に凹凸パターンや複数のグルブ(溝)を有するグルブ配向膜を挙げることができる。
位相差フィルム25が備える硬化層の厚みは、0.1μm以上であってもよく、0.5μm以上であってもよく、1μm以上であってもよく、2μm以上であってもよく、また、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。
硬化層は、後述の基材フィルム上に、重合性液晶化合物を含む液晶層形成用組成物を塗布、乾燥し、重合性液晶化合物を重合させることによって形成することができる。液晶層形成用組成物は、基材フィルム上に形成された配向膜上に塗布してもよい。基材フィルムは上述の保護フィルムの材料および厚みと同様であってよい。
位相差フィルム25またはそれに含まれる配向膜のうち、水系接着剤の塗膜26と接する面は、密着性を確保する観点から、親水性であることが好ましい。親水性を表す指標としては、例えば対水接触角が挙げられる。このときの対水接触角としては、後述の表面活性化処理を施した後の値を指標として用いる。密着性を良好にする観点から対水接触角は、好ましくは70°以下であり、より好ましくは60°以下である。対水接触角は、位相差フィルムの表面に対し、フレキシブル積層体を製造するときと同じ条件でコロナ処理を行った後、コロナ処理を行った表面が上面となるように、接触角計(協和界面科学株式会社製、画像処理式接触角計「FACE CA-X型」)に水平にセットし、測定位置に1μLの純水を滴下し、θ/2法により測定することができる。
(水系接着剤)
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、またはそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、アルデヒド化合物(グリオキザール等)、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、多価金属塩等の架橋剤を含むことができる。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液中のポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、水100質量部に対し例えば1質量部以上50質量部以下であってよく、好ましく1.5質量部以上10質量部以下、より好ましくは2.5質量部以上5質量部以下である。
水系接着剤として、主たる単量体が分子内に少なくとも一つのオレフィン性二重結合と少なくとも一つのカルボキシル基を有する化合物である重合体を主成分とする水系接着剤を用いることもできる。本明細書では以下、分子内に少なくとも一つのオレフィン性二重結合と少なくとも一つのカルボキシル基を有する化合物を「不飽和カルボン酸化合物」と呼ぶことがあり、また、当該不飽和カルボン酸化合物を主な単量体とする重合体を「カルボキシル基含有樹脂」と呼ぶことがある。
(カルボキシル基含有樹脂)
カルボキシル基含有樹脂は、上述のとおり、分子内に少なくとも一つのオレフィン性二重結合と少なくとも一つのカルボキシル基を有する化合物(すなわち、不飽和カルボン酸化合物)を主な単量体とし、それから得られる重合体である。カルボキシル基含有樹脂を得るための重合は、ラジカル重合によって行うことができる。不飽和カルボン酸化合物中に含まれるカルボキシル基は、リチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩に代表されるアルカリ金属塩やアンモニウム塩の如き塩の形になっていてもよいし、分子内に複数のカルボキシル基を有する化合物であれば酸無水物の形になっていてもよい。もちろん、カルボン酸塩の形になっている場合は、遊離カルボキシル基との並存状態であってもよい。
不飽和カルボン酸化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸およびその塩のほか、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、およびω-カルボキシ-ポリカプロラクトン変性(メタ)アクリレートの如きカルボキシル基含有(メタ)アクリル系化合物、並びにその塩、また、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、および無水イタコン酸の如き不飽和多価カルボン酸並びにその酸無水物などが挙げられる。なお本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味し、その他、「(メタ)アクリロイルオキシ」、「(メタ)アクリレート」などというときの「(メタ)」も同様の趣旨である。
これらの不飽和カルボン酸化合物は、それぞれの単独重合体の形で、水系接着剤を構成するカルボキシル基含有樹脂として用いることができるほか、異なる複数の化合物を共重合させた形で、水系接着剤を構成するカルボキシル基含有樹脂として用いてもよい。
不飽和カルボン酸化合物に対し、それと共重合可能な他の単量体を適宜共重合させて、接着剤を構成するカルボキシル基含有樹脂とすることも可能である。このような他の単量体として、例えば、官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体、カルボキシル基以外の極性官能基を有する(メタ)アクリル系単量体、(メタ)アクリル系以外でスルホン酸基を有する単量体、(メタ)アクリル系以外のビニル系単量体、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体などが挙げられる。
官能基を有しない(メタ)アクリル系単量体の例を挙げると、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどがある。
カルボキシル基以外の極性官能基を有する(メタ)アクリル系単量体におけるカルボキシル基以外の極性官能基としては、水酸基、複素環基、複素環とは異なるアミノ基、スルホン酸基、シアノ基、アミド基などを挙げることができる。水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体の例を挙げると、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-または3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどがある。複素環基を有する(メタ)アクリル系単量体の例を挙げると、アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどがある。複素環とは異なるアミノ基を有する(メタ)アクリル系単量体の例を挙げると、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどがある。スルホン酸基を有する(メタ)アクリル系単量体の例を挙げると、2-(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸などがある。シアノ基を有する(メタ)アクリル系単量体の例を挙げると、(メタ)アクリロニトリルなどがある。また、アミド基を有する(メタ)アクリル系単量体の例を挙げると、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリルアミドなどがある。
(メタ)アクリル系以外でスルホン酸基を有する単量体の例を挙げると、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などがある。なお、前記のスルホン酸基を有する(メタ)アクリル系単量体を含めて、単量体中のスルホン酸基は、リチウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩に代表されるアルカリ金属塩やアンモニウム塩の如き塩の形になっていてもよい。
(メタ)アクリル系以外のビニル系単量体の例を挙げると、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、およびラウリン酸ビニルの如き脂肪酸ビニルエステル;塩化ビニルおよび臭化ビニルの如きハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンの如きハロゲン化ビニリデン;2-、3-または4-ビニルピリジン、およびN-ビニルカルバゾールの如き含窒素芳香族ビニル;ブタジエン、イソプレン、およびクロロプレンの如き共役ジエン単量体;N-ビニル-2-ピロリドン、およびN-ビニルカプロラクタムの如き、ビニル結合を有する環状のアミドまたはエーテルなどがある。
分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体の例の例を挙げると、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの如き、分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの如き、分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体などがある。
水系接着剤に含まれるカルボキシル基含有樹脂は、適度の重合度を有していることが好ましく、例えば、5質量%濃度の水溶液としたときに、粘度が3~300mPa・secの範囲内にあることが好ましく、さらには5~100mPa・secの範囲内にあることがより好ましい。
水系性接着剤組成物は、上述したカルボキシル基含有樹脂を2種以上含むものであってよい。
上記カルボキシル基含有樹脂は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法など、公知の各種方法によって製造することができる。このカルボキシル基含有樹脂の製造においては、通常、重合開始剤が用いられる。重合開始剤は、カルボキシル基含有樹脂の製造に用いられる全ての単量体の合計100質量部に対して、0.001~5質量部程度使用される。
重合開始剤としては、例えば熱重合開始剤等が挙げられる。熱重合開始剤としては、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)塩酸塩、および2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)塩酸塩の如きアゾ系化合物;ラウリルパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ブチルパーオキシピバレート、および(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドの如き有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素の如き無機過酸化物などがある。また、過酸化物と還元剤を併用したレドックス系開始剤なども、重合開始剤となりうる。
カルボキシル基含有樹脂の製造には、上に示した方法の中でも溶液重合法が好ましく用いられる。好適な溶液重合法の具体例を挙げると、所望の単量体および水、場合によってはさらにアルコール溶媒を混合し、窒素雰囲気下で熱重合開始剤を添加して、40~100℃程度、好ましくは60~90℃程度にて3~10時間程度攪拌する方法がある。また、反応を制御するために、単量体および/または熱重合開始剤を重合中に連続的若しくは間歇的に添加したり、水若しくはアルコール溶媒に溶解した状態で添加したりしてもよい。ここで、アルコール溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどが使用できる。
水系接着剤におけるカルボキシル基含有樹脂の濃度は、水100質量部に対して、カルボキシル基含有樹脂が1~20質量部の範囲内となるようにするのが好ましく、なかでも1~15質量部、さらには1~10質量部、とりわけ3~10質量部の範囲内となるようにするのがより好ましい。水100質量部に対して、カルボキシル基含有樹脂の濃度が1質量部未満である場合には、接着性が低下しやすくなる傾向にあり、またその濃度が大きすぎると、光学特性が低下しやすくなる傾向にある。この水系接着剤に用いられる水は、純水、超純水、水道水など、適宜のものでありうるが、形成される水系接着剤層の均一性および透明性を保持する観点からは、純水または超純水が好ましい。必要に応じて、メタノールやエタノールの如きアルコールを接着剤水溶液に加えることもできる。
水系接着剤はシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤は、ケイ素原子に、アルコキシ基の如き加水分解性の基が結合するとともに、ビニル基、アミノ基、エポキシ基、ハロアルキル基、(メタ)アクリロイル基またはメルカプト基の如き反応性官能基を有する有機基が結合した化合物でありうる。ビニル基を有するシランカップリング剤の具体例には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シランなどが包含される。アミノ基を有するシランカップリング剤の具体例には、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシランなどが包含される。エポキシ基を有するシランカップリング剤の具体例には、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-グリシドキシプロピルエトキシジメチルシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが包含される。ハロアルキル基を有するシランカップリング剤の具体例には、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシランなどが包含される。(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤の具体例には、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどが包含される。また、メルカプト基を有するシランカップリング剤の具体例には、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが包含される。2種以上のシランカップリング剤を組み合わせて使用してもよい。これらのなかでも、水への溶解性や接着剤としての使用可能時間(ポットライフ)を考慮すると、エポキシ基を有するシランカップリング剤が好ましく、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランは、好ましいシランカップリング剤の一つである。
シランカップリング剤は、シリコーンオリゴマータイプのものであってもよい。シリコーンオリゴマーを(モノマー)-(モノマー)コポリマーの形式で示すと、例えば、次のようなものを挙げることができる。
3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、および3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマーの如き、メルカプトプロピル基含有のコポリマー;
メルカプトメチルトリメトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、メルカプトメチルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、メルカプトメチルトリエトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、およびメルカプトメチルトリエトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマーの如き、メルカプトメチル基含有のコポリマー;
3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、および3-メタクリロキシイルオプロピルメチルジエトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマーの如き、メタクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、3-アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、3-アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、3-アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、および3-アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマーの如き、アクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
ビニルトリメトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、ビニルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、ビニルトリエトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、ビニルトリエトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、ビニルメチルジメトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、ビニルメチルジメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、ビニルメチルジエトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、およびビニルメチルジエトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマーの如き、ビニル基含有のコポリマー;
3-アミノプロピルトリメトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、3-アミノプロピルトリメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、3-アミノプロピルトリエトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、3-アミノプロピルトリエトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマー、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン-テトラメトキシシランコポリマー、および3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン-テトラエトキシシランコポリマーの如き、アミノ基含有のコポリマーなど。
これらのシランカップリング剤は、多くの場合液体であるので、水系接着剤に混合することができる。例えば上述の水系接着剤におけるシランカップリング剤の配合量は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対し、通常0.01~200質量部程度の範囲である。カルボキシル基含有樹脂100質量部に対するシランカップリング剤の配合量は、好ましくは150質量部以下、さらには100質量部以下、とりわけ50質量部以下であり、また好ましくは0.03質量部以上である。カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、シランカップリング剤を0.01質量部以上、特に0.03質量部以上配合することにより、密着性を向上させる効果が発現される。カルボキシル基含有樹脂やシランカップリング剤の種類などにもよるが、例えば、熱衝撃試験を行った場合でも高い密着性を維持する効果は、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対するシランカップリング剤の配合量を30質量部程度、または50質量部程度とすることで、一層高められることがある。ただ、シランカップリング剤の配合量があまり多くなると、水系接着剤層からシランカップリング剤がブリードアウトする可能性が出てくるので、ブリードアウトしない程度の配合量とするのが好ましい。
水系接着剤には、架橋剤をさらに含有させることができる。架橋剤は、シランカップリング剤を含まない水系接着剤に配合することもできるし、シランカップリング剤とともに水系接着剤に配合することもできる。一般には、シランカップリング剤に加えて、架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤は、カルボキシル基含有樹脂に対して反応性を有する官能基を分子内に少なくとも2個有する化合物であることができる。架橋剤を構成する官能基には、イソシアナト基(-NCO)、エポキシ基(橋かけの-O-)、水酸基(-OH)、ヒドラジド基(-CONHNH)、オキサゾリン基(環状の-CNO)などが包含される。また、マグネシウム、カルシウム、鉄、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、チタン、ジルコニウムの如き二価、三価または四価金属の塩も、架橋剤となりうる。
イソシアナト基を有する架橋剤(イソシアネート化合物)の具体例としては、トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートのアダクト体、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、これらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物などがある。エポキシ基を有する架橋剤(エポキシ化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンのジ-またはトリ-グリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、ポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸との反応物であるポリアミドポリアミンにエピクロロヒドリンを反応させて得られる水溶性のポリアミドエポキシ樹脂などがある。水酸基を有する架橋剤の具体例としては、メチロールメラミンなどがある。
架橋剤は、水系接着剤中において水に溶解していることが好ましい。ただ、以下に述べるとおり、水溶液中での架橋剤量はわずかでよいので、水に対して例えば、少なくとも0.1質量%程度の溶解度を有するものであれば、架橋剤として使用できる。もちろん、一般に水溶性と呼ばれる程度の水に対する溶解度を有する化合物のほうが、架橋剤としては好適である。
架橋剤の配合量は、例えば上記水系接着剤においてカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、通常0.1~60質量部程度、好ましくは1~50質量部である。この範囲で架橋剤を配合することにより、良好な接着性が得られる。架橋剤の配合量が多くなりすぎると、架橋剤の反応が短時間で進行し、接着剤組成物が早期にゲル化する傾向にあり、その結果、接着剤としての使用可能時間(ポットライフ)が極端に短くなって、工業的な使用が困難になる。
水系接着剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば可塑剤、帯電防止剤、微粒子など、従来公知の適宜の添加剤を配合することもできる。
(貼合層)
貼合層は、粘着剤層であってもよいし、接着剤層であってもよい。貼合層は、例えば偏光子および保護フィルムを貼合したり、位相差層積層体を構成する第1の位相差層および第2の位相差層を貼合したり、円偏光板に前面板やタッチパネルを貼合したりする機能を有することができる。
粘着剤層は、(メタ)アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂のような樹脂を主成分とする粘着剤組成物で構成することができる。中でも、透明性、耐候性、耐熱性等に優れる(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする粘着剤組成物が好適である。粘着剤組成物は、活性エネルギー線硬化型、熱硬化型であってもよい。粘着剤層の厚みは、通常3μm以上30μm以下であり、好ましくは3μm以上25μm以下である。
粘着剤組成物に用いられる(メタ)アクリル系樹脂(ベースポリマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種または2種以上をモノマーとする重合体または共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤組成物は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
粘着剤層の厚みは、1μm以上200μm以下が好ましく、2μm以上100μm以下がより好ましく、2μm以上80μm以下がさらに好ましく、3μm以上50μm以下が特に好ましい。
接着剤層を構成する接着剤は、任意の適切な接着剤を用いることができる。接着剤は、水系接着剤、活性エネルギー線硬化型接着剤などを用いることができる。
接着剤の塗布時の厚みは、任意の適切な値に設定され得る。例えば、硬化後または加熱(乾燥)後に、所望の厚みを有する接着剤層が得られるように設定する。接着剤層の厚みは、好ましくは0.01μm以上7μm以下であり、より好ましくは0.01μm以上5μm以下であり、さらに好ましくは0.01μm以上2μm以下であり、最も好ましくは0.01μm以上1μm以下である。
水系接着剤としては、上述の水系接着剤における例示が適用される。
上記活性エネルギー線硬化型接着剤とは、紫外線、可視光、電子線、X線のような活性エネルギー線の照射によって硬化する硬化性化合物を含有する接着剤であり、好ましくは紫外線硬化性接着剤である。
上記硬化性化合物は、カチオン重合性の硬化性化合物やラジカル重合性の硬化性化合物であることができる。カチオン重合性の硬化性化合物としては、例えば、エポキシ系化合物(分子内に1個または2個以上のエポキシ基を有する化合物)や、オキセタン系化合物(分子内に1個または2個以上のオキセタン環を有する化合物)、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。ラジカル重合性の硬化性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル系化合物(分子内に1個または2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)や、ラジカル重合性の二重結合を有するその他のビニル系化合物、またはこれらの組み合わせを挙げることができる。カチオン重合性の硬化性化合物とラジカル重合性の硬化性化合物とを併用してもよい。活性エネルギー線硬化型接着剤は通常、上記硬化性化合物の硬化反応を開始させるためのカチオン重合開始剤およびラジカル重合開始剤の少なくとも一方をさらに含む。
接着性を高めるために、接着剤層および接着剤層に貼合する層の少なくともいずれか一方の貼合面に表面活性化処理を施してもよい。表面活性化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、放電処理(グロー放電処理等)、オゾン処理、UVオゾン処理、電離活性線処理(紫外線処理、電子線処理等)のような乾式処理等を挙げることができる。これらの表面活性化処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上を組み合わせてもよい。中でもコロナ処理が好ましい。コロナ処理は、例えば1kJ/m以上50kJ/m以下の出力で行うことができる。コロナ処理を行う時間は、例えば1秒間以上1分以下であってよい。
(前面板)
円偏光板21は、直線偏光板側に前面板を有することができる。前面板は、好ましくはフレキシブル積層体の視認側の最外面を構成するように配置される。前面板としては、適宜の機械強度および厚みを有する前面板が用いられる。このような前面板としては、例えばポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂のような透明樹脂板、あるいはガラス板等が挙げられる。前面板の視認側には反射防止層などの機能層が積層されていても構わない。また、前面板が透明樹脂板の場合は、物理強度を上げるためにハードコート層や、透湿度を下げるために低透湿層が積層されていても構わない。
(タッチパネル)
円偏光板21は、タッチパネルを有することができる。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、超音波方式等の各種タッチパネルや、タッチセンサー機能を備えるガラス板や透明樹脂板等が用いられる。透明部材として静電容量方式のタッチパネルが用いられる場合、タッチパネルよりもさらに視認側に、ガラスや透明樹脂板からなる前面板が設けられることが好ましい。
(第2工程)
第2工程において、水系接着剤の塗膜26を乾燥させて水系接着剤層22を形成する[図2(b)]。水系接着剤の塗膜26の乾燥温度としては、例えば20℃以上90℃以下であってよい。水系接着剤の塗膜26の乾燥時間は、例えば1分以上60分以下であってよい。円偏光板と有機ELパネルとを貼合する前に水系接着剤の塗膜26を乾燥させておくことにより、有機ELパネルへの水蒸気による劣化が抑制され易くなる傾向にある。
水系接着剤層12の厚みは、例えば1μm以上3μm以下であってよく、好ましくは1.5μm以上2.5μm以下である。
第2工程は、水系接着剤の塗膜26上に離型フィルム27を積層する工程[図2(b1)]と、離型フィルム27を、水系接着剤の塗膜26を乾燥させて水系接着剤層22を形成した後に剥離する工程[図2(b2)]とをさらに備えることができる。水系接着剤の塗膜26を乾燥させる方法としては、例えば従来公知の方法により行うことができる。
剥離フィルム27は、プラスチックフィルムと剥離層とから構成されることが好ましいプラスチックフィルムとしては、例えばトリアセチルセルロース系樹脂(TAC)フィルム等が挙げられる。また、剥離層は、例えば剥離層形成用組成物から形成することができる。剥離層形成用組成物を構成する主な成分(樹脂)としては、特に限定されるものではないが、シリコーン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、および長鎖アルキル樹脂等が挙げられる。
(第3工程)
第3工程において、水系接着剤層22の表面に表面活性化処理を施した後、円偏光板21と有機ELパネル23とを水系接着剤層22を介して貼合してフレキシブル積層体20を得る[図2(c)]。表面活性化処理を施すことにより、フレキシブル積層体20の水系接着剤層22と有機ELパネル23との間の密着性を向上させ易くすることができる。表面活性化処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、放電処理(グロー放電処理等)、オゾン処理、UVオゾン処理、電離活性線処理(紫外線処理、電子線処理等)のような乾式処理等を挙げることができる。これらの表面活性化処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上を組み合わせてもよい。中でもコロナ処理が好ましい。コロナ処理は、例えば1kJ/m以上50kJ/m以下の出力で行うことができる。コロナ処理を行う時間は、例えば1秒間以上1分以下であってよい。密着性を向上させ易くする観点から、有機ELパネル23に悪影響を及ぼさない場合には、有機ELパネル23の水系接着剤層22に対する貼合面にも表面活性化処理を施してもよい。有機ELパネル23に施す表面活性化処理は、好ましくはプラズマ処理である。
有機ELパネル23としては、従来より有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置に用いられる公知の有機ELパネルであることができる。
有機ELパネル23は、水系接着剤層22と貼合される面が熱可塑性樹脂フィルムやガラス等で構成されていてもよい。有機ELパネル23は、水系接着剤層22と貼合される面に電極パターンや金属蒸着膜等が設けられていてもよい。
図示されていないが、本発明の積層体の製造方法は、フレキシブル積層体20の水系接着剤層22と有機ELパネル23との間の密着性を向上させ易くするため、第3工程後に、フレキシブル積層体20を加熱する養生工程をさらに備えることできる。養生工程において、フレキシブル積層体20を加熱する温度は、例えば20℃以上90℃以下であってよく、好ましくは40℃以上90℃以下、さらに好ましくは60℃以上90℃以下であり、特に好ましくは75℃以上85℃以下である。養生工程において、フレキシブル積層体20を加熱する時間は、例えば1分以上2時間以下であることができる。
10,20 フレキシブル積層体、11,21 円偏光板、12,22 水系接着剤層、13,23 有機ELパネル、14,24 直線偏光板、15,25 位相差フィルム、26 水系接着剤の塗膜、27 離型フィルム。

Claims (4)

  1. フレキシブル積層体の製造方法であって、
    円偏光板上に、水系接着剤の塗膜を形成する第1工程と、
    前記水系接着剤の塗膜を乾燥させて、水系接着剤層を形成する第2工程と、
    前記水系接着剤層の表面に表面活性化処理を施した後、前記円偏光板と有機ELパネルとを前記水系接着剤層を介して貼合する第3工程と、
    をこの順に備える、フレキシブル積層体の製造方法。
  2. 前記水系接着剤層の厚みは1μm以上3μm以下である、請求項1に記載のフレキシブル積層体の製造方法。
  3. 前記第2工程は、
    前記水系接着剤の塗膜上に離型フィルムを積層する工程と、
    前記水系接着剤層の塗膜を乾燥させた後、前記離型フィルムを剥離する工程と、
    をさらに備える、請求項1または2に記載のフレキシブル積層体の製造方法。
  4. 前記第3工程後に、前記フレキシブル積層体を加熱する工程をさらに備える、請求項2~3のいずれか一項に記載のフレキシブル積層体の製造方法。
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