JP2023057739A - シート供給装置、画像形成装置、方法およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】重送における用紙の重なり状態に応じたエアー吹き付けを可能にする。【解決手段】トレイから搬送路にシートを供給するシート供給装置であって、トレイに載置されたシート束のシートの端に向けてエアーを吹き付け可能に設けられるファンと、搬送されるシートが重送していることを検出する重送検出部と、重送におけるシートの重なり状態を判断する重なり判断部と、を備える。シート供給装置のファン制御部は、重送が検出されたとき、重なり判断部によって判断された重なり状態に応じてファンを制御する。【選択図】図6
Description
本開示は、シート供給装置、画像形成装置、方法およびプログラムに関し、特に、エアー吹き付け方式を用いたシート供給装置、画像形成装置、方法およびプログラムに関する。
複写機、プリンター等の画像形成装置は、画像形成部に用紙を給紙する構成の1つとして、エアー給紙方式が知られている。エアー給紙方式では、積載された用紙に空気などのエアーを吹き付けて、用紙を浮上させて搬送ベルト上に載置し、搬送ベルトが駆動されることで画像形成部へ用紙が供給される。
エアー給紙方式では、ユーザーは、上記の積載された用紙を予め十分に捌いておくことが望まれるが、用紙の捌きが十分でないと、用紙が重なって浮上する。この場合、用紙が重なって搬送される重送が発生し、その結果、ジャム(Jam)が発生する。このような重送の発生を防止する技術として、例えば特開2007-308207号公報(特許文献1)は、「装置は、重送を検知した場合、調整モードを行ってシートの捌きが可能なエアー圧が得られるようにエアー吹き付け手段を調整する」技術を開示する([要約]参照)。
特許文献1では、上記のエアー吹き付け手段の調整は、ファンの回転速度の調整による風量の変更にすぎないので、例えば用紙が密着している重送では用紙を十分に捌けずに、重送を防止できない可能性がある。したがって、重送時に用紙を捌く場合、用紙の重なり状態に応じたエアー吹き付けの仕組みが望まれる。
本開示は、上記のような背景を鑑みてなされたものである。ある局面に従うと、重送における用紙の重なり状態に応じてエアー吹き付けを可能にする技術が開示される。
この開示に係る、トレイから搬送路にシートを供給するシート供給装置は、トレイに載置されたシート束のシートの端に向けてエアーを吹き付け可能に設けられるファンと、ファンを制御するファン制御部と、搬送されるシートが重送していることを検出する重送検出部と、重送におけるシートの重なり状態を判断する重なり判断部と、を備え、ファン制御部は、重送が検出されたとき、重なり判断部によって判断された重なり状態に応じてファンを制御する。
上述の開示において、重なり判断部は、重なるシートの先端のずれ量に基づき、重なり状態を判断する。
上述の開示において、重なり判断部は、先端のずれ量と閾値を比較し、重なり状態は比較の結果を示す。
上述の開示において、ファン制御部は、重なり状態が、先端のずれ量は閾値以下であることを示すとき、稼働するようファンを制御する。
上述の開示において、ファン制御部は、重なり状態が、先端のずれ量は閾値より大きいことを示すとき、停止するようファンを制御する。
上述の開示において、ファン制御部は、重なり状態が、先端のずれ量は閾値以下であることを示すとき、稼働と停止からなる捌き動作を繰り返すようファンを制御する。
上述の開示において、ファン制御部は、先端のずれ量に従って捌き動作の繰り返し回数を決定する。
上述の開示において、ファンは、シート束からシートを浮上させる方向にエアーを吹き付けるファンと、シート束のシートを捌く方向にエアーを吹き付けるファンと、を含む。
上述の開示において、ファン制御部は、先端のずれ量に基づきエアーの吹き付け量が変化するようファンを制御する。
上述の開示において、ファン制御部は、ファンを捌き動作を繰り返すよう制御し、その後、重送が検出されたとき、予め定められた報知を出力する。
上述の開示において、ファン制御部は、重送検出部によって重送が検出された場合、搬送路に供給するべき残りシート枚数が予め定められた枚数以下であるときは、捌き動作のためのファンの制御を実施しない。
上述の開示において、ファン制御部は、搬送路へのシート供給を停止し、捌き動作のためのファンの制御を実施する。
上述の開示において、ファン制御部は、ファンの制御において、シートのサイズに基づいて、捌き動作を繰り返す回数およびファンが吹き付けるエアー量の少なくとも一方を調整する。
上述の開示において、ファン制御部は、搬送路へのシート供給を開始するとき、トレイに載置されたシート束のシートの端に向けてエアーを吹き付けるようファンを制御する。
本開示に係る画像形成装置は、上記に記載のシート供給装置と、当該シート供給装置から搬送路に供給されるシートに画像を形成する画像形成部と、を備える。
本開示に係る制御方法は、トレイから搬送路にシートを供給する装置を制御する方法であって、装置は、トレイに載置されたシート束のシートの端に向けてエアーを吹き付け可能に設けられるファンを有し、方法は、搬送されるシートが重送していることを検出するステップと、重送におけるシートの重なり状態を判断するステップと、重送が検出されたとき、判断するステップにおいて判断された重なり状態に応じてファンを制御するステップと、を備える。
本開示に係るプログラムは、制御方法をコンピュータに実行させるプログラムである。制御方法は、トレイから搬送路にシートを供給する装置を制御する方法であり、装置は、トレイに載置されたシート束のシートの端に向けてエアーを吹き付け可能に設けられるファンを有する。制御方法は、搬送されるシートが重送していることを検出するステップと、重送におけるシートの重なり状態を判断するステップと、重送が検出されたとき、判断するステップにおいて判断された重なり状態に応じてファンを制御するステップと、を備える。
本開示によれば、重送における用紙の重なり状態に応じたエアー吹き付けが可能になる。
本開示の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本開示に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。個数または量などに言及する場合には、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は、必ずしもその個数または量などに限定されない。
給紙装置は、画像形成装置に備えられる構成として説明するが、シート供給装置が備えられる対象機器は、画像形成装置に限定されない。
[用語の説明]
以下、本開示で用いる主な用語を説明する。
以下、本開示で用いる主な用語を説明する。
「シート」は、画像形成装置によって画像が形成され得る媒体全般を指している。例えば、用紙、樹脂製のフィルム状のシートなどを含むが、ここでは、代表して「用紙」を例示する。したがって、後述する用紙束はシート束の一例である。
「ジョブ」は、用紙に画像を形成するために画像形成装置が実行する処理の単位を示す。ジョブは、例えばプリントジョブ、コピージョブなどを含む。以下の実施の形態では主にプリントジョブを実行するケースを説明するが、給紙を伴うジョブであればよくプリントジョブに限定されない。
「用紙の端」は、用紙の辺に対応する部分を示す。用紙の端は、画像形成装置によって用紙が搬送される方向に対して先端、後端、左端および右端を含む。
「用紙の幅」は、用紙の端と交差する方向に延びる用紙の長さをいう。
「重送」は、2枚以上の用紙が重なって搬送される現象をいう。
「重送」は、2枚以上の用紙が重なって搬送される現象をいう。
本実施の形態に係る給紙装置が適用される画像形成装置100のハードウェア構成について説明する。図1は、画像形成装置100の外観を示す図である。
画像形成装置100は、画像読み取り部105と、画像形成部110と、操作パネル115と、給紙部120と、排紙トレイ125とを備える。
本実施形態において、画像形成装置100は、例えば、スキャナー機能、コピー機能、ファクシミリ機能、ネットワーク機能、およびボックス機能その他の機能を備えるMFP(Multifunction Peripheral)として実現される。
画像読み取り部105は、原稿画像が形成された用紙を光学的に読み取ることにより読み取り画像を取得する。画像形成部110は、画像読み取り部105によって取得された読み取り画像に基づいて、用紙の上に画像を形成する。
操作パネル115は、ユーザーから画像形成装置100に対する操作入力を受け付ける。さらに、操作パネル115は、設定画面などの画面を表示する。操作パネル115のより詳細なハードウェア構成については、図2を参照して説明する。
給紙部120は、複数のトレーを有し、各トレーには、他のトレーに収容される用紙とは、サイズ、坪量などが異なる種類の用紙を収容する。ジョブによって指定された種類の用紙は、給紙部120に関連して設けられた給紙装置(図1には示されない)により、トレーから1枚ずつ取り出され、画像形成部110へ搬送される。トレーは、手動により開閉可能に、および手動により用紙の束がセット(収納)可能に構成される。各トレーは、当該トレーが開閉されたことを検知する開閉センサー50と、用紙の束がセットされたことを検知するセットセンサー55と、用紙サイズを検出するセンサー45を有する。排紙トレイ125は、画像形成部110によって画像が形成されて排紙される用紙を受ける。
図2は、画像形成装置100の画像形成部110に関する構成を示す図である。画像形成部110は、中間転写ベルト11、駆動ローラー18、従動ローラー13、イメージングユニット14Y,14M,14C,14K、二次転写ローラー13Aおよび定着器17を含む。
中間転写ベルト11は、無端のベルト状に構成されており、駆動ローラー18および従動ローラー13によって図中の矢印Aの方向(左回り方向)に回転駆動される。
イメージングユニット14Y,14M,14C,14Kは、中間転写ベルト11の下側の表面に沿って中間転写ベルト11の回転方向に順次配置されており、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のトナー画像を生成する。
イメージングユニット14Y,14M,14C,14Kの各々は、感光体ドラム1(像担持体)、帯電器2、露光部3、現像器4、一次転写ローラー5、およびクリーナー6を含む。各イメージングユニットは、ジョブに基づき原稿画像の情報に従って静電潜像を形成し、形成された静電潜像をトナーを用いて現像する。これにより、イメージングユニット14C,14M,14Y,14Kの4つの感光体ドラム1には、4色のトナー画像が形成される。イメージングユニットの処理は、公知であるから詳細説明は繰り返さない。
イメージングユニット14C,14M,14Y,14Kの4つの感光体ドラム1に形成された4色のトナー画像は、中間転写ベルト11の表面に順次転写されて重ね合わされ、フルカラーのトナー画像となる。
中間転写ベルト11の回転方向において、二次転写ローラー13Aおよび中間転写ベルト11間のニップに用紙Pが挿入されている期間に、中間転写ベルト11の表面のトナー画像が用紙Pに転写される。定着器17は、トナー画像を用紙Pに定着させる。
画像形成部110に用紙Pを供給する給紙部120は複数(図1では3つ)の給紙用のトレイ21A~21Cを有する。給紙部120は、画像形成装置100の外部から用紙Pを給紙するトレイ21Dを含んでもよい。画像形成装置100は、トレイ21A~21Dに収容された用紙Pを画像形成部110に搬送するための搬送機構を有する。搬送機構は、トレイ21A~21Dに関連して設けられる給紙ローラー23A~23Dと、搬送路30A~30Eと、搬送ローラー31A,32と、タイミングローラー33、排紙ローラー34、および排紙トレイ125を含む。
トレイ21A~21Dの各々には、用紙Pの束が収容される。トレイ21A~21Dには、同じ種類の用紙Pが収容されていても構わない。トレイ21A~21Dの給紙ローラー23A~23Dの下流側には、それぞれ搬送路30A~30Dの入口が設けられている。
搬送路30A~30Dの出口は、ともに搬送路30Eの入口に接続され、搬送路30Eの出口は排紙ローラー34の上流側に設けられている。搬送ローラー31A,32、タイミングローラー33、二次転写ローラー13A、および定着器17は、搬送路30Eの入口および出口間に順次配置されている。
トレイ21A~21Dに収容された複数種類の用紙Pのうちのいずれかの種類の用紙Pがユーザーによって、またはジョブによって選択されると、選択された種類の用紙Pに対応する給紙ローラー(たとえば23A)が回転駆動され、その用紙Pが搬送路(この場合は搬送路30A)および搬送路30Eを介して搬送ローラー31Aに供給される。
搬送ローラー31A,32は、給紙ローラー(この場合は23A)から供給された用紙Pをタイミングローラー33まで搬送する。タイミングローラー33は、中間転写ベルト11の表面に転写されたフルカラーのトナー画像に同期して動作し、搬送ローラー31A,32によって搬送された用紙Pを二次転写ローラー13Aおよび中間転写ベルト11間のニップに供給する。二次転写ローラー13Aおよび中間転写ベルト11間のニップを通過した用紙Pは、定着器17を通過し、排紙ローラー34によって排紙トレイ125上に排出される。
搬送ローラー31A,32間の搬送路30Eには、重送を検知するための重送センサー40が設けられている。重送センサー40を用いた重送検知の仕組みは後述する。
図3は、図1の画像形成装置100が有する給紙装置を説明する図である。図4は、図3の矢印B-Bに沿った断面を表す断面図である。画像形成装置100は、トレイ21A~21Dのそれぞれについて給紙装置を有する。給紙装置の構成は、各トレイについて同じであるから、トレイ21A~21Dに共通する説明ではトレイ21と総称する。
図3を参照して、シート供給装置の一例である給紙装置10は、トレイ21の載置トレイ111の上に積載された複数の用紙Pからなる用紙束に空気(エアー)を吹き付けるファンを有し、ファンを制御することで、用紙束の最上にある用紙Pを用紙束から浮上させて分離し、分離した1枚の用紙Pを搬送方向Xに搬送する。給紙装置10は、載置トレイ111に関連して設けられた部材12と、用紙束に側方から送風するよう設けられたサイドファン13L,13Rと、用紙束の先端に送風するよう設けられた先端ファン14と、用紙Pを吸着しながら搬送する吸着搬送部15と、用紙Pの搬送部16(図4のみに図示)とを備えている。また、各トレイに関連して、図4に示す用紙位置センサーPS1~PS4を備えている。搬送部16は、図2に示す搬送路30A、30B、30C、30Dおよび30Eを構成する。
載置トレイ111は、図示しない昇降機構によって、図中の白抜き矢印に示すように昇降可能となっている。載置トレイ111は、上部に積載された用紙束の高さがサイドファン13L,13R、および先端ファン14からの空気の吹き付けによる用紙Pの浮上および用紙Pの分離に最適な高さを維持し得る構成を有する。
部材12は、載置トレイ111上における用紙Pの載置位置を規制する部材であって、部材12A、12B、12L,12Rを有する。部材12Aは、載置トレイ111上に積載された用紙Pの先端側に配置され、用紙Pの先端位置を規制している。ここで用紙Pの搬送方向Xとは、吸着搬送部15が用紙Pを搬送する方向である。部材12Aは、先端ファン14を収容する箱状の筐体である。この場合、部材12Aは、載置トレイ111側に向く部分と、載置トレイ111側において上方に向く部分とに設けられ、これらの部分は連通していてもよい。
部材12Bは、載置トレイ111上に積載された用紙Pの後端側に配置される。部材12Bは、用紙Pの搬送方向Xに移動自在に構成された板状の部材であって、載置トレイ111上に積載された用紙Pを、後端側から軽く押圧することによって用紙Pの後端位置を規制している。
部材12L,12Rは、載置トレイ111上に積載された用紙Pの左端側および右端側に配置されて、用紙Pを両側から軽く押圧することによって、用紙Pの幅方向Yにおける位置を規制する。部材12L,12Rはサイドファン13L,13Rを収容する筐体として構成されている。部材12L,12Rは、載置トレイ111側に向く上方部分に開口122を有する。
サイドファン13L,13Rは、吹出口132が形成された送風管131を有する。吹出口132は、部材12L,12Rの開口122に一致して設けられている。これにより、サイドファン13L,13Rは、用紙Pの搬送方向Xに直交する幅方向Yの両側から用紙束の上部に空気を吹き付け、用紙束の上部の用紙Pを浮上させる浮上ファンとして機能する。
サイドファン13L,13Rの吹出口132からの空気の吹き出し方向は、先端ファン14からの空気の吹き出し方向とのバランスを考慮し、必要に応じた角度で搬送方向Xに向けられていている。また各サイドファン13L,13Rの吹出口132からの空気の吹き出しの高さ方向も、先端ファン14からの空気の吹き出し方向とのバランスを考慮し、必要に応じた角度で垂直な方向に向けられていている。本実施の形態では、サイドファン13L,13Rを用紙Pの両側に設ける構成を採っているが、片側だけにサイドファンを設ける構成としてもよい。
先端ファン14は、先端ファン14は部材12Aの内部に収容されている。先端ファン14は、吹出口142(図4のみに図示)が形成された送風管141を有する。吹出口142は部材12Aに形成された開口121に一致して設けられている。
先端ファン14は、用紙束から浮上した複数の用紙Pを捌いて分離させるための捌きファン、および用紙束の上部の用紙Pを浮上させる浮上ファンとの間で機能を切替えて用いられる機能切替ファンである。先端ファン14は、先端シャッター143と、先端シャッター143を駆動する切替駆動部144を有する。切替駆動部144は、制御部200からの指令に基づき、先端シャッター143を駆動することにより、先端ファン14について、捌きファンと浮上ファンとの機能の切り替えおよびオン/オフを制御するとともに、風量調整のためにファンの回転数(回転速度)を制御する。
吸着搬送部15は、用紙Pの先端の上方に配置されている。吸着搬送部15は、駆動ローラー151と、2つの従動ローラー152A,152Bと、無端状のベルト153と、吸引ファン154を有する。
駆動ローラー151は、用紙Pの幅方向Yに軸を向けた状態で、用紙Pの搬送方向Xの上流側に配置されている。従動ローラー152A,152Bは、用紙Pの積層方向に並べて配置されている。これらの従動ローラー152A,152Bは、駆動ローラー151に対して軸を平行に保った状態で、駆動ローラー151に対して用紙Pの搬送方向Xの下流側に所定の距離だけ離間して配置されている。
ベルト153は、駆動ローラー151と、従動ローラー152A,152Bとにわたって巻回されている。ベルト153は、多数の小径の貫通孔(図7~図9に図示)を有する。
吸引ファン154は、駆動ローラー151と、従動ローラー152A,152Bとの間で、これらに巻回されたベルト153の内周部に配置されている。吸引ファン154が回転すると、ベルト153の内周部の空間は負圧となって、ベルト153に穿設された貫通孔を介して当該内周部方向への空気の流れが生じる。これに伴い、用紙束から浮上した用紙Pは吸引されて、ベルト153の表面に吸着する。すなわち、吸着搬送部15は、吸引ファン154によってベルト153に用紙Pを吸着させつつ、駆動ローラー151の駆動によるベルト153の回動によって用紙Pを搬送方向Xに搬送する。吸着搬送部15は、制御部200からの指示に基づいて、駆動ローラー151による用紙Pの搬送のオン/オフ、および吸引ファン154による用紙Pの吸着のオン/オフが自在である。
図4を参照して、搬送部16は、吸着搬送部15における用紙Pの搬送方向Xの下流側に配置されている。搬送部16は、下方ガイド部材161、上方ガイド部材162、下方搬送ローラー163、および上方搬送ローラー164を備える。下方ガイド部材161および上方ガイド部材162は、吸着搬送部15から搬送された用紙Pの経路を、上下方向から間隔を設けて挟むように配置されている。下方ガイド部材161は、下方搬送ローラー163を回動自在に支持し、上方ガイド部材162は、上方搬送ローラー164を回動自在に支持する。
上記のように支持された下方搬送ローラー163および上方搬送ローラー164は、用紙Pを挟持するニップ部を形成し、ニップ部でニップされた用紙Pを搬送方向Xに搬送する。
図5は、画像形成装置100の制御部200に関連したハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図4において、画像形成装置100は、図1に示した画像読み取り部105と、画像形成部110と、操作パネル115に加えて、制御部200と、通信I/F(Interface)215と、データリーダー/ライター222と、搬送モータI/F(Interface)70と、ファンI/F(Interface)60と、センサーI/F(Interface)80と、これら接続するバス230とを備える。図5の各部は、バス230を介してデータを遣り取りする。
制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM(Read Only Memory)202と、タイマー203と、RAM(Random Access Memory)205と、HDD(Hard Disk Drive)210を備える。制御部200は、画像形成装置100全体を制御するコンピューターに相当する。
CPU200は、画像形成装置100を制御するための制御プログラムを実行する。一例として、CPU200は、情報の表示および画像の形成処理などのプログラムを実行する。ROM202は、CPU200において実行されるOS(Operating System)などのプログラムを格納する。RAM205は、CPU200によって実行されるアプリケーションプログラムとデータとを格納する。ある局面において、SRAM(Static Random Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)がRAM205として使用されてもよい。
HDD210は、画像形成装置100において使用される様々なプログラムとデータとを格納する。他の局面において、HDD210に代えて、SSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置が使用されてもよい。
通信I/F215は、他の機器とデータを送受信する。画像形成装置100は、複数の通信I/F215を備えてもよい。ある局面において、通信I/F215は、LAN(Local Area Network)ポートまたはWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)の送受信装置などのいずれかまたは全てを含んでもよい。
データリーダー/ライター222は、外付けHDDなどの外部の記憶媒体223が脱着自在に装着される場合に、CPU201からの命令に基づいて、装着された記憶媒体223に画像を含むデータまたはプログラムを書き込み、または、記憶媒体223からデータまたはプログラムを読み出す。記憶媒体223は、コンピューターまたはその他装置が、記録されたプログラムまたはデータ等の情報を読み取ることができるように、当該情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的または化学的作用によって格納する。
操作パネル115は、ある局面において、入力部220と、表示部225とを備える。操作パネル115は、複数のタッチセンサーなどの入力部220と液晶ディスプレイなどの表示部225とを組み合わせたタッチスクリーンによって構成できる。操作パネル115は、さらに入力部220として複数の物理キーを含んでもよい。
センサーI/F80は、重送センサー40からの検知信号41と、開閉センサー50からの検知信号51と、セットセンサー55からの検知信号551と、センサー45からの検知信号451を受信し、受信信号をデジタルデータに変換し、変換後のデータを制御部200に出力する。ここでは、説明を簡単にするために、センサーI/F80はデジタルデータを表す検知信号41、51、551および451を制御部200に出力する。
搬送モータI/F70は、用紙Pの搬送に関連して設けられたモータに、モータを制御する指令を送信する送信回路を含む。ファンI/F60は、給紙装置10に設けられたファンを制御する指令を送信する送信回路を含む。ファンI/F60は、先端ファン14、吸引ファン154およびサイドファン13L,13Rのそれぞれに指令を送信する先端ファンI/F(Interface)61、吸引ファンI/F(Interface)62およびサイドファンI/F(Interface)63を有する。各ファンのモータは、指令に従って駆動される。例えば指令は風量を調整する、すなわちモータの回転数(回転方向を含んでも良い)を決定するPWM(Pulse Width Modulation)指令を含む。先端ファン14の指令には、切替駆動部144を制御する指令を含む。
図6は、本実施の形態に係る制御の構成要素を模式的に示す図である。制御部200が備えるこれら構成要素は、CPU201がROM202,HDD210等に格納されるプログラムを読み出してRAM205に展開しながら実行することにより実現される。他の局面では、図6の要素の一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(field-programmable gate array)などの専用集積回路を用いて実現してもよい。
図6を参照して、制御部200は、ファン制御部300と、重なり判断部351を有する重送検出部350と、リカバリ検出部360と、画像形成装置100の状態に関する報知を出力する報知部370と、用紙サイズ検出部380とを有する。
リカバリ検出部360は、画像形成装置100に対するユーザーのリカバリ操作を検出する。リカバリ操作は、重送が検出された場合に、重送を解消するための操作を示す。より具体的には、重送が検出されたとき制御部200は、報知部370を、表示部225に重送が発生した旨の報知を出力するよう制御するとともに、搬送路への用紙Pの給紙および画像形成処理を停止し、その後、操作パネル115から受け付けたユーザー操作に基づく開始指示を待つ。報知部370からの報知に基づき、ユーザーは重送を解消するために画像形成装置100に対してリカバリ操作を行う。本実施の形態のリカバリ操作は、例えば、トレイ21を開けて、重送紙を引き抜くユーザー操作、または、トレイ21に収容されている用紙束を取り出して手動で捌き、捌いた用紙束をトレイ21に再セットするユーザー操作、またはこれらユーザー操作の組合せを含む。なお、リカバリ操作は、これらに限定されない。リカバリ検出部360は、開閉センサー50およびセットセンサー55からの検知信号51,551を監視し、検知信号51,551に基づきリカバリ操作,再セットのユーザー操作を検出し、検出結果を出力する。
用紙サイズ検出部380は、重送センサー40の検知信号41に基づきトレイ21から給紙される用紙Pのサイズを検出する。重なり判断部351は、重なる用紙Pの先端部のずれ量である先端ずれ量を算出するずれ量算出部352を有する。重送検出部350は、重送センサー40からの検知信号41に基づき、重送が発生していることを検出する。
ファン制御部300は、トレイ21の用紙束を捌くようファンを制御する捌き部310と、捌きが実施されるときファンからの風量を変更するようファンをPWM方式に従って制御するための指令を生成する風量変更部320とを有する。捌き部310は、トレイ21から搬送路へ用紙Pを給紙する毎に、トレイ21の用紙束を捌くようファンを制御する第1プレ捌き部311と、重送が検出される毎に、トレイ21の用紙束を捌くようファンを制御する第2プレ捌き部312を有する。ファン制御部300は、このようにファンを制御するための指令61a、62aおよび63aを、それぞれ、先端ファン14、サイドファン13Lおよびサイドファン13Rに、ファンI/F60を介して出力する。第1プレ捌き部311の第2プレ捌き部312のファンの制御手順については、図7~図11で後述する。
図12は、本実施の形態に係る重送センサー40とその周辺部を模式的に示す図である。図12を参照して、各トレイ21(図12ではトレイ21A、トレイ21Bおよびトレイ21Cを示す)の搬送部16が合流する位置において、搬送方向に順に、用紙Pの幅方向Yにおける位置ずれを補正するレジストローラー44と、重送センサー40が設けられる。レジストローラー44は、搬送される用紙Pについて、回転を一旦停止して位置ずれを補正し、その後再起動する。このような位置ずれ補正の動作を搬送される用紙Pについて繰り返す。
重送センサー40は、レジストローラー44の起動毎に、用紙Pが搬送路を複数枚通過したことを検出可能に構成される。
より具体的には、重送センサー40は、図2に示す超音波発信回路40aと、超音波受信回路40bを有する。超音波発信回路40aから用紙Pに向けて発信された超音波のうち用紙Pを透過した超音波の成分のみが超音波受信回路40bによって受信される。重送センサー40は、超音波受信回路40bの受信信号を検知信号41として出力する。重送検出部350は、重送センサー40からの検知信号41を受信すると、検知信号41の減衰の程度を閾値と比較し、比較結果に基づき重送を検出する。より具体的には、重送がなく、1枚の用紙Pが搬送される場合は、用紙Pによる超音波の減衰の程度は低いが、2枚以上の用紙Pが重なって搬送される重送が起こった場合には、用紙Pによる超音波の減衰の程度は高いので、検知信号41が示す超音波の受信レベルが低下すると、重送が検出される。
図13は、本実施の形態に係る重送の状態を判断する仕組みを模式的に示す図である。重なり判断部351は、重送が検出されたとき、用紙P1と用紙P2の重なり状態を判断する。制御部200は、タイマー203を用いてレジストローラー44が起動する毎に、計時を開始する。図13の時刻R1はレジストローラー44が起動してから重送センサー40によって重送が検出された時を示し、矢印T1と矢印T2はレジストローラー44の起動時刻STから重送が検出されるまで時刻R1までの所要時間の長さを示し、これらの時間および時刻はタイマー203の出力に基づき算出される。
図13の上側では、起動後のレジストローラー44から搬送された2枚の用紙P1とP2の先端が揃った状態(以下では、ぴったり重送という)で重送センサー40により重送が検知されている。対照的に図13の下側では、起動後のレジストローラー44から搬送された2枚の用紙P1とP2は先端がずれた状態(以下では、連れ送り重送という)で重送センサー40により重送が検知されている。下側の連れ送り重送の場合、重送が検出されるまでの所要時間T2は、上側のぴったり重送の場合の所要時間T1よりも長くなる。重なり判断部351は、このようなレジストローラー44の起動から重送が検出されるまでの経過時間の長さを検出し、検出した所要時間の長さを閾値THと比較し、比較結果に基づき、重送時の用紙Pの重なり状態を判断(検出)する。例えば、閾値THは、実験などによって算出される時間であって、検出された重送がぴったり重送である場合の上記の所要時間を示す。
ずれ量算出部352は、検出された重送は連れ送り重送と判断された場合、(T2-T1)に従って時間差を算出し、算出した時間差を用紙P1と用紙P2の先端ずれ量Gとして出力する。
図7~図9は、第1プレ捌き部311のファンの制御手順を説明する図である。図中、太い矢印は、矢印の向きはファンよって生じるエアーの流れる方向(送風方向)を示し、矢印の太さは送風量を示す。図7~図9を参照して、第1プレ捌き部311は、ジョブを実行開始するとき浮上ステップを実施する。浮上ステップでは、第1プレ捌き部311は、ユーザー操作またはジョブによって指定されたトレイ21内の用紙束から用紙Pを浮上させるように、当該トレイ21のサイドファン13L,13Rを制御し、浮上ファンとして動作するように先端ファン14を制御し、吸引ファン154を制御する(図7)。これにより、トレイ21内で用紙束から用紙が浮上し、積層された用紙束の吸引ファン154側の1枚目の用紙Pがベルト153に吸着する。吸着搬送部15は、ベルト153への用紙Pの吸着を検出する図示しないセンサーを有する。
上記のセンサーによって、用紙Pがベルト153に吸着されことが検出されると、第1プレ捌き部311は捌きステップを実施する。捌きステップでは、2枚目の用紙Pを1枚目の用紙Pから分離するために、第1プレ捌き部311はサイドファン13L,13Rを停止するよう制御するとともに、先端ファン14を捌きファンとして動作するよう、送風方向を変えるように制御する(図8)。先端ファン14は、1枚目の用紙Pと2枚目の用紙Pの間にエアーが送風されるように送風方向を切替える。
捌きステップを所定時間実施すると、第1プレ捌き部311は、給紙ステップを実施する。給紙ステップでは、第1プレ捌き部311は、ベルト153に吸着した用紙Pを搬送方向Xに搬送するために、ベルト153を回動するようモーターを制御する。これによって、用紙束の1枚目の用紙Pを、搬送部16に送出する(図9)。
第1プレ捌き部311は、ジョブの実行が終了するまで、用紙Pの1枚ごとに、上記に述べた浮上ステップと、捌きステップと、給紙ステップとを繰り返し実行する。
図10と図11は、第2プレ捌き部312のファンの制御手順を説明する図である。第2プレ捌き部312は、第1プレ捌き部311のように搬送部16に送出する用紙Pの1枚毎にファン制御を実施するケースとは異なり、重送が検出されたとき搬送路への用紙Pの供給を停止しながら、すなわちベルト153の回動を停止しながら、ファンを制御する。このとき、第2プレ捌き部312は、その後トレイ21から搬送部に給紙するのに先立って、用紙Pどうしの密着状態を解消するように用紙束を捌く捌き動作を実施するようにファンを制御する。これにより、重送検出時に、用紙ジャム(紙詰まり)の発生を低減することが可能となる。
より具体的には、第2プレ捌き部312は図10示す浮上ステップと、その後に、図11に示す捌きステップを実施する。この浮上ステップと捌きステップは、図7および図8に示したファンの制御と同様であるから説明は繰り返さない。
第1プレ捌き部311によるファンの制御では、浮上ステップおよび捌きステップの実施時間は連続プリントの生産性に依存するが、第2プレ捌き部312によるファンの制御は、浮上ステップと捌きステップを実施する十分な時間を確保できる。より具体的には、第2プレ捌き部312によるファンの制御は、重送が検出されてユーザーによるリカバリ操作が検出された後であって連続プリントの開始前(再開前)に実施されるから、連続プリントの生産性に制限されることなく浮上ステップと捌きステップの実施時間を確保できる。
図14は、第1プレ捌き部311によるファン制御のタイミングチャートである。図15は、第2プレ捌き部312によるファン制御のタイミングチャートである。第1プレ捌き部311および第2プレ捌き部312はファン制御のための指令61a、指令62aおよび指令63aを出力する。先端ファン14、吸引ファン154およびサイドファン(サイドファン13L,13R)は、それぞれ、指令61a、指令62aおよび指令63aに従って送風方向および風量の一方または両方を変更するように制御される。
図14を参照して、第1プレ捌き部311は、サイドファン13L,13Rを稼働させる期間(図14のレベルHの期間)と停止させる期間(図14のレベルLの期間)からなる制御周期を繰り返し実施するよう、サイドファン13L,13Rを制御する。また、第1プレ捌き部311は、先端ファン14を浮上ファンとして稼働させる期間と捌きファンとして稼働させる期間からなる周期を繰り返し実施するよう、先端ファン14を制御する。図14に示すように、第1プレ捌き部311は、サイドファン13L,13Rの制御周期66に先端ファン14の制御周期を同期させるように、各ファンを制御する。
図15を参照して、第2プレ捌き部312は、用紙束の用紙Pに対する捌き動作を実施する。より具体的には、第2プレ捌き部312は、サイドファン13L,13Rを稼働させる期間(図15のレベルHの期間)と停止させる期間(図15のレベルLの期間)からなる制御周期を繰り返し実施するよう、サイドファン13L,13Rを制御する。また、第2プレ捌き部312は、先端ファン14を浮上ファンとして稼働させる期間と捌きファンとして稼働させる期間からなる周期を繰り返し実施するよう、先端ファン14を制御する。図15に示すように、第2プレ捌き部312は、サイドファン13L,13Rの制御周期67に先端ファン14の制御周期を同期させるように、各ファンを制御する。第2プレ捌き部312の制御周期67は、第1プレ捌き部311の制御周期66よりも長くなるように設定される。
第1プレ捌き部311および第2プレ捌き部312は、用紙Pの浮上と捌き動作が繰り返されるようサイドファン13L,13Rおよび先端ファン14を制御することで、用紙束が手捌きと同等に捌かれることが可能となる。図14と図15では、制御周期66におけるサイドファン13L,13Rの稼働期間と停止期間の長さは、それぞれ、先端ファン14を浮上ファンとして動作する期間と捌きファンとして動作する期間の長さに略一致させているが、両期間の長さは一致しなくてもよい。また、図14と図15では、サイドファン13L,13Rの制御周期66(制御周期67)の長さを、対応する先端ファン14の制御周期の長さに一致させているが、両制御周期の長さは一致してなくともよい。
また、図15では、第2プレ捌き部312は、制御周期において、先端ファン14を浮上ファンとして動作させる期間の長さは、捌きファンとして動作させる期間の長さに一致させているが、この両者の動作期間の長さは異なってもよい。
また、第1プレ捌き部311は、連続プリント実施中にファンを制御することから、図14に示すように、用紙Pの浮上が完了したとき、すなわち吸着センサの出力に基づき用紙Pのベルト153への吸着が検出されたとき、先端ファン14の機能を浮上ファンから捌きファンに切り替える。図14では、用紙Pの吸着が検出されたタイミングTが示される。対照的に、第2プレ捌き部312は、重送が検出されてリカバリ操作が検出された時に、すなわち連続プリント実施の前に(または、連続プリント実施の後に)ファン制御を実施することから、用紙Pの浮上の程度に関係なく、用紙束を捌くための時間を十分に設けることができる。図15に示すように、第2プレ捌き部312は、制御周期において先端ファン14を、用紙束を十分に捌くための浮上ファンとして一定時間動作させることができる。
図16は、本実施の形態に係るファン制御の方法を説明する図である。図16を参照して、第2プレ捌き部312が、重なり判断部351の判断結果に基づき、ファンを制御する手順を説明する。図16では、閾値THに基づき判断される連れ送り重送とぴったり重送のぞれぞれのケースについて、ずれ量算出部352から出力される先端ずれ量Gと、当該ケースにおいて第1プレ捌き部311および第2プレ捌き部312のいずれのファン制御が実行されるかを示す。
図16を参照して、重送が検出された場合、重なり判断部351によって、ぴったり重送と判断されたとき、ファン制御部300は、第1プレ捌き部311および第2プレ捌き部312のうち第2プレ捌き部312の方を起動する。これにより、ぴったり重送が検出されたときは、用紙束を捌くための時間を十分に設けるようファンを制御する第2プレ捌き部312によって、トレイ21の用紙束を十分に捌くことが可能となる。その結果、その後のジョブ実行(連続プリント実施)時に、重送が発生することを回避できる。
対照的に、重なり判断部351によって、連れ送り重送と判断されたとき、ファン制御部300は、第2プレ捌き部312は起動せずに、第1プレ捌き部311の方を起動する。
このように、重送発生時の先端ずれ量Gが小さいとき、すなわちトレイ21の用紙束における用紙P間の密着度が強いときは、用紙束を捌くための時間を十分に設けるようファンを制御する第2プレ捌き部312を起動する。この場合に、用紙束の捌き効果を高めるように、第2プレ捌き部312は、サイドファン13L,13Rおよび先端ファン14の少なくとも一方について、単位時間あたりにファンを稼働させる回数を多くする、言い換えると短い制御周期67を多くの回数繰り返すように制御してもよい。または、稼働時にサイドファン13L,13Rおよび先端ファン14の少なくとも一方のファンの風量を多くする、すなわちファンの回転数を多くするように制御してもよい。
対照的に、重送発生時の先端ずれ量Gが大きいとき、すなわちトレイ21の用紙束における用紙P間の密着度が弱いケースでは、第2プレ捌き部312によるファンの単位時間当たりの稼働回数を先端ずれ量Gが小さい場合に比べて少なくする。これにより、重送検出によって停止したプリント動作を再開するまでの所要時間を短くできて、その結果、ユーザーの利便性を維持することができる。また、このケースでは、第2プレ捌き部312によるファンの回転数(風量)を先端ずれ量Gが小さい場合に比べて少なくする。これにより、強めの風圧によって用紙Pどうしの密着の程度が大きくなることを回避できる。したがって、プリント動作を再開した場合、連れ送り重送が発生する可能性を低減できる。
図17は、本実施の形態に係るファン制御手順の応用例を示す図である。図17の(A)、(B)および(C)は、プリントジョブの実行時に給紙される用紙Pとして、画像が形成される用紙(1)~(5)を示す。図17の(A)は、トレイ21から用紙(1)~(5)が1枚ずつ搬送部16へ給紙されて、重送が発生しないケースを示す。図17の(A)では、給紙毎に第1プレ捌き部311によるプレ捌きのためのファン制御が実施されている。図17の(B)では、トレイ21から搬送部16へ3枚目の用紙(3)を給紙したとき重送が検出される。したがって、3枚目の用紙(3)のプリント再開前に第2プレ捌き部312によって第2プレ捌きのためのファン制御が実施されて、その後、プリント再開に際して第1プレ捌き部311による第1プレ捌きのためのファン制御が実施され、用紙(3)に対する画像形成(プリント)が再開される。
図17の(C)では、第2プレ捌きのためのファン制御を実施し、その後に、再度重送が検出される。より具体的には、トレイ21から搬送部16へ3枚目の用紙(3)を給紙したとき重送が発生し、第2プレ捌き部312によって第2プレ捌きのためのファン制御を実施し、その後、用紙(3)のプリントを再開し、再び重送が検出される。
この場合、再度、第2プレ捌きのためのファン制御を実施したとしても、用紙束を十分に捌けず重送が再発する可能性が残る。ファン制御部300は、報知部370を、ステップDS1において、操作パネル115に用紙の再セットを促す旨を表示するよう制御する。これにより、ユーザーは、トレイ21における用紙束のセット状態を確認するよう促されて、ユーザーは、リカバリ操作を実施する。リカバリ操作を検出すると、制御部200は、プリントを再開するために、まず、第1プレ捌き部311を起動し、第1プレ捌きのためのファン制御を実施させる。これにより、図17の(C)では、リカバリ操作後(報知後)の用紙(3)以降のプリントは正常に実施される。
なお、本実施の形態では、連続プリント中に重送が検出されると第2プレ捌き部312によって第2プレ捌きのファン制御が実施されたが、残りのプリント枚数が所定値以下であれば、第2プレ捌きのファン制御を省略し(実施しない)、プリント動作を継続するようにしてもよい。例えば、図17の(B)では、重送検出後の残りのプリント枚数である3枚は所定値以下のとき、第2プレ捌きによるファン制御は実施せずに画像形成装置100はプリント動作を継続する。これにより、連続プリントに係る生産性を維持できる。
図18は、本実施の形態に係る用紙サイズに基づくファン制御の一例を説明するための図である。用紙サイズ検出部380は、トレイ21から搬送部16に送出される用紙Pのサイズを検出する。より具体的には、トレイ21に設けられたセンサー45は、例えばトレイ21が有する用紙束の位置を規制する規制板の部材12の移動に連動して移動する機構とプッシュ式センサーとによって構成されて、用紙サイズ検出部380はセンサー45の出力に基づきトレイ21に収容されている用紙サイズを検出する。
第2プレ捌き部312は、用紙サイズ検出部380によって検出された用紙サイズに基づき、ファンを制御する。図18の下段の用紙PSは、下段の用紙PLよりも長さLNだけ短い。トレイ21に長い用紙PLの用紙束がセットされている場合、短い用紙PSの場合に比べて、用紙サイズが大きいので、ファン制御による捌きに要する時間は長くなる。本実施の形態では、第2プレ捌き部312は、重送が検出された場合、用紙サイズ検出部380によってサイズが大きい用紙PLが検出されたときは、図16で示したファン制御の手順と同様に、第2プレ捌きの制御周期67の繰り返し回数を多くする、または、ファン風量を多くするようファンを制御する。これにより、第2プレ捌き部312のファン制御によって、用紙Pのサイズにかかわらず用紙束の捌き性能を維持することができる。なお、図18では、用紙サイズとして用紙Pの搬送方向に平行な幅を用いたが、搬送方向と交差(直交)する方向に延びる幅を用いてもよく、これら組合わせを用いてもよい。
図19と図20は、本実施の形態に係るファン制御の処理のフローチャートである。この処理では、制御変数として、RAM205に格納されるフラグFを用いる。フラグFは、ジョブ実行中に第2プレ捌き部312によって第2プレ捌きのファン制御が実施されると“ON”に設定される。ここで制御されるファンは、ジョブによって指定されたトレイ21またはジョブによって指定されたサイズの用紙がセットされたトレイ21が有するファンである。
まず、ジョブが開始されるとき、CPU201はフラグFに“OFF”を設定する。CPU01は、第1プレ捌き部311として、トレイ21が有するファンを制御し(ステップS1)、CPU201は、吸着搬送部15を、トレイ21から浮上した用紙Pを給紙する、すなわち搬送部16に送出するよう制御する(ステップS3)。
CPU201は、重送検出部350として、重送が検出されたか否かを判断する(ステップS5)。重送は検出されないと判断されると(ステップS5でNO)、CPU201は、ジョブに基づき次の用紙Pに画像形成する必要があるか否か、すなわちジョブの実行を終了するか否かを判断する(ステップS7)。次の用紙Pに画像を形成する必要がある、すなわちジョブの実行を継続すると判断されると(ステップS7でYES)、ステップS1に戻る。一方、次の用紙Pに画像を形成する必要はない、すなわちジョブの実行を終了すると判断されると(ステップS7でNO)、処理を終了する。
重送は検出されたと判断されると(ステップS5でYES)、CPU201は、ずれ量算出部352として先端ずれ量Gを算出し(ステップS11)、重送の用紙Pを除去する処理(ステップS13)を実施する。この処理は、自動で実施されてもよく、または手動で実施されてもよい。手動の処理では、CPU201は、報知部370として重送が発生した旨の報知を出力する。
CPU102は、リカバリ検出部360として、ユーザーのリカバリ操作を検出すると、フラグFは“ON”であるか否かを判断する(ステップS15)。CPU102は、フラグFが“ON”を示すと判断すると(ステップS15でYES)、報知部370として、再セットを促す旨の報知を表示する(ステップS17)。CPU201は、開閉センサー50およびセットセンサー55からの検知信号51,551に基づき、ユーザーの再セット操作を検出し(ステップS19)、ステップS1に戻る。
CPU102は、フラグFが“OFF”を示すと判断すると(ステップS15でNO)、CPU201は重なり判断部351として、先端ずれ量Gと閾値THが、(先端ずれ量G≦TH)の条件を満たすか否かを判断する(ステップS21)。CPU201は、当該条件は満たされないと判断すると(ステップS21でNO)、すなわち検出された重送は連れ送り重送と判断すると、第2プレ捌きを実施せずに、ステップS1に戻る。
一方、CPU201は、上記の条件は満たされると判断すると(ステップS21でYES)、すなわち検出された重送はぴったり重送と判断すると、CPU201は、第2プレ捌き部312として、第2プレ捌きのためにファンを制御する(ステップS23)。第2プレ捌きを実施するとき、CPU201は、フラグFに“ON”を設定する。その後、ステップS1に戻る。
図20を参照して、ステップS23の第2プレ捌き処理の詳細を説明する。CPU201は、第2プレ捌き部312として、制御周期67の繰り返し回数を、先端ずれ量Gに基づき決定する(ステップS25)。CPU201は、図15に示すように第2プレ捌きを実施する。より具体的には、CPU201は、第2プレ捌き部312として、ステップS21で決定された回数分の各制御周期67において、先端ファン14の浮上ファンと捌きファンの間で切り替える(ステップS27)。これにより、トレイ21の用紙束に対する先端ファン14の風向きは、周期的に切り替えられる。また、CPU201は、第2プレ捌き部312として、ステップS21で決定された回数分の各制御周期67において、サイドファン13L,13RのON/OFF(稼働/停止)を切り替える(ステップS29)。
上記に述べた第2プレ捌き部312によるファンの制御方法は適宜組みあわせて実施することができる。実施の形態によれば、重送が検出されたとき、重なり状態(ステップS21の判断の結果)に応じて、すなわち先端ずれ量Gに基づきファンを制御することができる。また、重送が検出されると、第2プレ捌き部312を用いて、トレイ21の用紙束に対し、用紙Pを浮上させる浮上ステップと捌くための捌きステップとが繰り返し実施されるから、その後に再開されるプリント動作において重送の発生を防止できる。
<プログラムと記憶媒体>
本実施形態において、プログラムは、ROM202またはHDD210に代えて、記憶媒体223に格納されてもよい。記憶媒体223は、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリー、メモリーカード、FD(Flexible Disk)、磁気テープ、トレイテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の、不揮発性の記憶媒体により実現されてもよい。また、画像形成装置100は、例えば通信回線(図示しない)および通信I/F215を介したダウンロードによって、プログラムを取得してもよい。
本実施形態において、プログラムは、ROM202またはHDD210に代えて、記憶媒体223に格納されてもよい。記憶媒体223は、CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリー、メモリーカード、FD(Flexible Disk)、磁気テープ、トレイテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の、不揮発性の記憶媒体により実現されてもよい。また、画像形成装置100は、例えば通信回線(図示しない)および通信I/F215を介したダウンロードによって、プログラムを取得してもよい。
また、当該プログラムは、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、各実施形態に従う処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、各実施形態に従うプログラムの趣旨を逸脱するものではない。さらに、少なくとも1つのサーバーが当該プログラムの処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で画像形成装置100が構成されてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
14 先端ファン、13L,13R サイドファン、100 画像形成装置、105 画像読み取り部、110 画像形成部、154 吸引ファン、200 制御部、202 ROM、205 RAM、300 ファン制御部、311 第1プレ捌き部、312 第2プレ捌き部、320 風量変更部、350 重送検出部、351 重なり判断部 352 ずれ量算出部、360 リカバリ検出部、370 報知部、380 用紙サイズ検出部。
Claims (17)
- トレイから搬送路にシートを供給するシート供給装置であって、
前記トレイに載置されたシート束のシートの端に向けてエアーを吹き付け可能に設けられるファンと、
前記ファンを制御するファン制御部と、
搬送されるシートが重送していることを検出する重送検出部と、
前記重送におけるシートの重なり状態を判断する重なり判断部と、を備え、
前記ファン制御部は、
前記重送が検出されたとき、前記重なり判断部によって判断された重なり状態に応じて前記ファンを制御する、シート供給装置。 - 前記重なり判断部は、重なるシートの先端のずれ量に基づき、前記重なり状態を判断する、請求項1に記載のシート供給装置。
- 前記重なり判断部は、前記先端のずれ量と閾値を比較し、
前記重なり状態は前記比較の結果を示す、請求項2に記載のシート供給装置。 - 前記ファン制御部は、前記重なり状態が、前記先端のずれ量は前記閾値以下であることを示すとき、稼働するよう前記ファンを制御する、請求項3に記載のシート供給装置。
- 前記ファン制御部は、前記重なり状態が、前記先端のずれ量は前記閾値より大きいことを示すとき、停止するよう前記ファンを制御する、請求項3または4に記載のシート供給装置。
- 前記ファン制御部は、前記重なり状態が、前記先端のずれ量は前記閾値以下であることを示すとき、稼働と停止からなる捌き動作を繰り返すよう前記ファンを制御する、請求項4または5に記載のシート供給装置。
- 前記ファン制御部は、前記先端のずれ量に従って前記捌き動作の繰り返し回数を決定する、請求項6に記載のシート供給装置。
- 前記ファンは、前記シート束からシートを浮上させる方向にエアーを吹き付けるファンと、前記シート束のシートを捌く方向にエアーを吹き付けるファンと、を含む、請求項6または7に記載のシート供給装置。
- 前記ファン制御部は、前記先端のずれ量に基づきエアーの吹き付け量が変化するよう前記ファンを制御する、請求項6から8のいずれか1項に記載のシート供給装置。
- 前記ファン制御部は、
前記ファンを前記捌き動作を繰り返すよう制御し、その後、前記重送が検出されたとき、予め定められた報知を出力する、請求項6から9のいずれか1項に記載のシート供給装置。 - 前記ファン制御部は、
前記重送検出部によって前記重送が検出された場合、前記搬送路に供給するべき残りシート枚数が予め定められた枚数以下であるときは、前記捌き動作のための前記ファンの制御を実施しない、請求項6から10のいずれか1項に記載のシート供給装置。 - 前記ファン制御部は、前記搬送路へのシートの供給を停止し、前記捌き動作のための前記ファンの制御を実施する、請求項6から11のいずれか1項に記載のシート供給装置。
- 前記ファン制御部は、前記ファンの制御において、
前記シートのサイズに基づいて、前記捌き動作を繰り返す回数および前記ファンが吹き付けるエアー量の少なくとも一方を調整する、請求項6から12のいずれか1項に記載のシート供給装置。 - 前記ファン制御部は、
前記搬送路へシートの供給を開始するとき、前記トレイに載置されたシート束のシートの端に向けてエアーを吹き付けるよう前記ファンを制御する、請求項1から13のいずれか1項に記載のシート供給装置。 - 請求項1から14のいずれか1項に記載のシート供給装置と、前記シート供給装置から前記搬送路に供給される前記シートに画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
- トレイから搬送路にシートを供給する装置を制御する方法であって、
前記装置は、前記トレイに載置されたシート束のシートの端に向けてエアーを吹き付け可能に設けられるファンを有し、
前記方法は、
搬送されるシートが重送していることを検出するステップと、
前記重送におけるシートの重なり状態を判断するステップと、
前記重送が検出されたとき、前記判断するステップにおいて判断された前記重なり状態に応じて前記ファンを制御するステップと、を備える、方法。 - トレイから搬送路にシートを供給する装置を制御する方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記装置は、前記トレイに載置されたシート束のシートの端に向けてエアーを吹き付け可能に設けられるファンを有し、
前記方法は、
搬送されるシートが重送していることを検出するステップと、
前記重送におけるシートの重なり状態を判断するステップと、
前記重送が検出されたとき、前記判断するステップにおいて判断された前記重なり状態に応じて前記ファンを制御するステップと、を備える、プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021167399A JP2023057739A (ja) | 2021-10-12 | 2021-10-12 | シート供給装置、画像形成装置、方法およびプログラム |
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JP2023057739A true JP2023057739A (ja) | 2023-04-24 |
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JP2021167399A Pending JP2023057739A (ja) | 2021-10-12 | 2021-10-12 | シート供給装置、画像形成装置、方法およびプログラム |
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2021
- 2021-10-12 JP JP2021167399A patent/JP2023057739A/ja active Pending
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