JP2023056884A - 多層クレンジング化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、自然由来の界面活性剤であるグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせることで、優れた洗浄能力と高い安全性を有し、消費者を惹きつける外観を有した多層クレンジング化粧料を提供することを課題とする。【解決手段】上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記(a)~(d)を必須成分として含む多層クレンジング組成物を得た。(a)HLB値で区分けし、(a1)、(a2)、(a3)とした。(a1)HLBが3以上6未満であり、かつグリセリン重合度が1~10であるグリセリン脂肪酸エステル(a2)HLBが6以上12未満であるポリグリセリン脂肪酸エステル(a3)HLBが12以上18以下であるポリグリセリン脂肪酸エステル(b)1種または2種以上のポリオール(c)水(d)油【選択図】なし

Description

本発明は、多層クレンジング化粧料に関する。
近年、世界のパーソナルケア市場ではクリーンビューティが流行しており、植物性の成分を含むナチュラルコンセプトな化粧料や洗浄剤が好まれるようになっている。一般的に、「クリーン」とは製品やサービスがヒトや環境の健康を考えるべきであるということを意味しており、近年のSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の流れにも適応している。それは、化粧料を構成する成分をできるだけ環境に優しい成分や自然由来の成分とすることなどを示す。
化粧料には、様々な界面活性剤が使用されているが、石油由来の原料が避けられる傾向があり、ポリエチレングリコール(PEG)を親水部分とするPEG系界面活性剤は、特に消費者から避けられる傾向にある。消費者の間でも、PEG系界面活性剤を使用しない「PEGフリー」といったフレーズも広がりつつある。
メイクアップ化粧料を落とすためのクレンジング化粧料は、オイルタイプ、クリームタイプ、ジェルタイプ、ローションタイプなど様々な剤型があり、それぞれ消費者の嗜好に応じて選択し使用されている。油性成分を含むオイルタイプ、クリームタイプは、メイクとのなじみが良く、ウォータープルーフ性の高いマスカラやアイメイク、口紅などに対しても高いクレンジング性能を有することから、一定の需要がある。しかしながら、その外観は単調であり、消費者を惹きつける要素が少ない。この課題に対して、外観に特徴を付与した多層分離型のバイコンティニュアスマイクロエマルション型クレンジング化粧料が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1におけるクレンジング化粧料は、主にPEG系界面活性剤を配合したクレンジング化粧料であり、上記ナチュラルコンセプト化粧品市場において期待されているグリセリン脂肪酸エステルなどの自然由来の界面活性剤を用いた製剤に関する記載は一切ない。
また、グリセリン系界面活性剤は、PEG系界面活性剤と比較して、親水部分における出発原料としてグリセリンを用いていることから安全性が高いといわれている。実際に、グリセリン脂肪酸エステルは、食品添加物として使用され、安全性が高い化粧品原料として広く知られている。したがって、目や唇などの粘膜付近に使用されるクレンジング製剤において、安全性が高く自然由来であるグリセリン脂肪酸エステルのみで構成された製剤の開発は、非常に有用であり、需要の高まりが期待される。
国際公開第2021/075549号
本発明の目的は、自然由来の界面活性剤であるグリセリン脂肪酸エステルを組み合わせることで、優れた洗浄能力と高い安全性を有し、消費者を惹きつける外観を有した多層クレンジング化粧料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、下記(a)~(d)を必須成分として含む多層クレンジング組成物を得た。
(a)HLB値で区分けし、(a1)、(a2)、(a3)とした。
(a1)HLBが3以上6未満であり、かつグリセリン重合度が1~10であるグリセリン脂肪酸エステル
(a2)HLBが6以上12未満であるポリグリセリン脂肪酸エステル
(a3)HLBが12以上18以下であるポリグリセリン脂肪酸エステル
(b)1種または2種以上のポリオール
(c)水
(d)油
本発明によれば、HLB値で区分けした3種の特定のグリセリン脂肪酸エステルを選択し、これらを組み合わせることで、皮膚の皮脂やメイクアップ化粧料、高いウォータープルーフ性を有する化粧料等をきれいに落とすことのできる優れた多層クレンジング化粧料であり、さらに自然由来の成分のみで構成した多層クレンジング化粧料を提供することができる。
本発明の成分(a1)HLBが3以上6未満であり、グリセリン重合度が1~10であるグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されるものではないが、重合度1のモノグリセリンに対してエステル化度1、重合度2のジグリセリンに対してエステル化度1~3、重合度6のポリグリセリンに対してエステル化度3、および、重合度10のポリグリセリンに対してエステル化度5であることが好ましい。
本発明の成分(a1)HLBが3以上6未満であり、グリセリン重合度が1~10であるグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、炭素数6~18の直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基から選択される1種以上であればよく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リシノレイン酸などが挙げられる。
本発明の成分(a1)HLBが3以上6未満であり、グリセリン重合度が1~10であるグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されるものではないが、より具体的には、モノウンデシレン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル-2、モノオレイン酸ポリグリセリル-2、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ステアリン酸ポリグリセリル-4、オレイン酸ポリグリセリル-4、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-6、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10、等があり、これらのうちトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10が好ましい。
本発明の成分(a2)HLBが6以上12未満であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されるものではないが、グリセリン重合度2~10であることが好ましい。さらに、特に限定されるものではないが、重合度2~6のポリグリセリンに対してエステル化度1、および、重合度10のポリグリセリンに対してエステル化度2~4であることが好ましい。
本発明の成分(a2)のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、炭素数6~18の直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基から選択される1種以上であればよく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。
本発明の成分(a2)HLBが6以上12未満であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されるものではないが、より具体的には、モノオレイン酸ポリグリセリル-2、モノラウリン酸ポリグリセリル-3、モノステアリン酸ポリグリセリル-4、モノオレイン酸ポリグリセリル-4、モノミリスチン酸ポリグリセリル-6、モノステアリン酸ポリグリセリル-6、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリステアリン酸ポリグリセリル-10、トリオレイン酸ポリグリセリル-10等があり、これらのうち、モノオレイン酸ポリグリセリル-4、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、トリオレイン酸ポリグリセリル-10、ポリリシノレイン酸ポリグリセリル-10がより好ましい、
本発明の成分(a3)HLBが12以上18以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されるものではないが、重合度3~10のポリグリセリンに対してエステル化度1であることが好ましい。
本発明の成分(a3)のポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、炭素数6~18の直鎖もしくは分岐の飽和もしくは不飽和脂肪酸残基から選択される1種以上であればよく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リシノレイン酸などが挙げられる。
本発明の成分(a3)HLBが12以上18以下であるポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に限定されるものではないが、より具体的には、モノカプリル酸ポリグリセリル-3、モノラウリン酸ポリグリセリル-6、モノミリスチン酸ポリグリセリル-6、モノラウリン酸ポリグリセリル-10、モノミリスチン酸ポリグリセリル-10、モノステアリン酸ポリグリセリル-10、モノイソステアリン酸ポリグリセリル-10、モノオレイン酸ポリグリセリル-10等があり、これらのうち、モノラウリン酸ポリグリセリル-6、モノラウリン酸ポリグリセリル-10、モノミリスチン酸ポリグリセリル-10が好ましい。
本発明の成分(b)ポリオールとしては、特に限定されるものではないが、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、カプリリルグリコール、等が挙げられ、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の成分(c)水としては、特に限定されるものではないが、精製水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。
本発明の成分(d)油としては、特に限定されるものではないが、植物油、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸エステル、多塩基脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、高級アルコール、炭化水素油、シリコーン油等が挙げられる。具体的には、ホホバ油、オリーブ油、ヒマワリ種子油、アンズ核油、マカデミア種子油、ヤシ油、トリエチルヘキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ラウリン酸メチルヘプチル、キミルアルコール、ベヘニルアルコール、スクワラン、流動パラフィン、イソドデカン、水添ファルネセン、C13-15アルカン、ジメチコン等が挙げられる。
本発明の多層クレンジング化粧料において、各成分の配合比率は、(a)~(c)が、(a1)+(a2)+(a3)に対する(b)+(c)の質量比率{(a1)+(a2)+(a3)}/{(b)+(c)}=0.1~5.0であることが分散性の点で好ましい。より好ましくは0.2~3.0であり、さらに好ましくは0.8~2.5である。
本発明の多層クレンジング化粧料において、成分(a1)~(a3)を必須成分とすることで、優れたクレンジング性能(洗浄能力)と多層分離型の外観を示すものであり、成分(a)の組成物中のそれぞれの配合量が、(a1)5~15質量%、(a2)1~5質量%、(a3)10~25質量%であることが好ましい。
本発明の多層クレンジング化粧料において、成分(d)油の組成物中の配合量は、外観と使用性の観点から10~70質量%であることが好ましい。
本発明の多層クレンジング化粧料中には、本発明の効果を損なわない範囲において、通常の化粧料に用いられる増粘剤、保湿成分、美白成分、抗老化剤、肌荒れ防止剤などの水溶性及び/又は油溶性の有効成分、pH調整剤、香料、防腐剤、着色剤等を配合することができる。例えば、増粘剤としては、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル、グアーガム、カルボマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー等が挙げられ、水溶性及び/又は油溶性の有効成分として、植物エキス、ビタミンC誘導体及びその塩、レチノール誘導体、トコフェロール誘導体、サリチル酸誘導体等が挙げられる。
本発明の多層クレンジング化粧料とは、2層以上に分離した外観を持ち、使用時は、容器を振とうすると透明~半透明の液体となる。これを静置することで、再び2層以上に分離した外観へと戻る特徴を持つ。
本発明の多層クレンジング化粧料の使用用途としては、容器に充填した本発明を振とう後、適量手に取った後、使用部位に塗り広げて、皮膚の皮脂やメイクアップ化粧料等を洗浄することができる。もしくは、布やコットン、紙等に含浸させて用いることでも皮膚の皮脂やメイクアップ化粧料を洗浄することができる。
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の例において、配合量の記載は特に断りのない限り質量%を意味する。
実施例1
1.試料の調製
表1に示される発明品および比較品をそれぞれ調製し、各評価を実施した、
A相を加温溶解し、撹拌混合後にB相を加え、均一になるまで混合し、本発明品および比較品とした。
成分(a1)として、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Decaglyn 5-ISV)、(a2)ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Decaglyn 2-ISV)、(a3)モノラウリン酸ポリグリセリル-10(製品名:NIKKOL Decaglyn 1-L)を用いた。
成分(b)として、1,3-ブチレングリコールおよびグリセリンを用いた。
成分(c)として、精製水を用いた。
成分(d)として、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(製品名:NIKKOL トリエスター F-810)、ラウリン酸メチルヘプチル(製品名:NIKKOL GS-MHL)、スクワラン(製品名:NIKKOL シュガースクワラン)、マカデミア種子油(製品名:NIKKOL マカデミアンナッツ油)を用いた。
また、成分(a)の比較として比較品5には、セテス-15(製品名:NIKKOL BC-15)を用いた。
2.分散性評価
上記1.で調製した試料を用い、容器を振とうし、上層の下層への分散状態を評価した。
容易に均一分散し、かつ、完全に透明な外観を示したものを◎、容易に均一分散し、かつ、半透明になったものを○、実使用に見合わない撹拌力が必要もしくは白濁し2相となったものを×とし、表1に示した。
3.分離状態評価
上記1.で調製した試料を用い、分離状態とその透明性を評価した。分離状態の評価は、浸とう翌日の溶液外観を目視で観察し、完全に2層に分離したものを○、不均一に分離もしくは分離しないものについては×とした。透明性ついては完全に透明なものを○、完全透明でないものについては×とし、表1に示した。
4.結果
表1より、(a)~(d)が、(a1)+(a2)+(a3)に対する(b)+(c)の質量比率{(a1)+(a2)+(a3)}/{(b)+(c)}=0.1~5.0であり、(d)油の組成物中の配合量が10~70質量%、および、成分(a)の組成物中のそれぞれの配合量が、(a1)5~15質量%、(a2)1~5質量%、(a3)10~25質量%の範囲において、分散性、分離状態および分離層の透明性の全てにおいて優れた結果を示した。
表2より、(a1)HLBが3以上6未満であり、かつグリセリン重合度が1~10であるグリセリン脂肪酸エステルを、HLB3未満のグリセリン脂肪酸エステルに置換すると不均一に分離した。さらに、(a)~(d)成分をそれぞれ削除もしくは置換すると、分散性や分離状態の不良がみられ、(a)~(d)成分の配合が必須であった。
Figure 2023056884000001
Figure 2023056884000002
実施例2
表1発明品4を用いて、開発品とPEG系界面活性剤を使用した市販品の比較を実施した。
1.自然由来指数の算出
国際標準化機構が定める「ISO 16128に基づく化粧品の自然及びオーガニックに係る指数表示」に基づいて、自然由来指数(水を含む)を算出した。近年の自然・オーガニック化粧料市場の世界的成長を背景に定められた国際基準のひとつであり、化粧料の自然指数・オーガニック指数等をそれぞれ定義し、化粧料中の自然およびオーガニック成分の比率の計算方法を示すものである。化粧料中の自然由来指数を算出するためには、配合される原料においても、その由来や処理方法によって自然由来指数を算出する。ISO 16128で定義された自然由来原料とは、「植物・動物などから得られた「自然由来部分」と石油などから得られた「非自然由来部分」が化学反応して出来た原料で、分子構造の 50%以上が自然由来部分で出来ているもの」とされており、非自然由来部分が分子構造の50%以上となる原料は、自然由来指数0となる。配合した界面活性剤の自然由来指数の計算結果を、表3に示した。
2.クレンジング性能評価
開発品およびPEG系界面活性剤を使用したバイコンティニュアスマイクロエマルション市販化粧料(PEG系市販品)を用い、そのクレンジング性能を比較評価した。クレンジング性能は、市販されているウォータープルーフマスカラ、リキッドファンデーションおよび口紅を用いて評価した。
スライドガラスに、表面に凹凸のあるテープ(製品名:トランスポア サージカルテープ、3M社製)を貼り付け、2.0cm四方に0.02gのメイクアップ化粧料を均一に塗布し、1時間乾燥させた。その後、開発品またはPEG系市販化粧品を0.05g滴下し、指で20回馴染ませた後、コットンで10回タップして、試料に浮き出たメイクアップ化粧料をコットンへ吸着させた。得られたコットンを画像補正用カラーチャートと共に写真撮影した。画像補正用カラーチャートとは、写真の色調とサイズを補正する際に用いるものであり、これを被写体と共に撮影することで、色調及びサイズを一定の基準で補正することができるものである。これによって、色差の誤差が生じにくくなる。色調およびサイズをカラーチャートにて補正した画像を用いて、それぞれの明度L(白~黒)、彩度a(緑~赤)、彩度b(青~黄)を算出することができる。さらに、得られたLより、比較品との色差(ΔE)を算出することが可能である。ΔEは、数値が大きくなるほど、初期状態と比較して色調の差が大きく、よりメイクアップ化粧料がコットンに吸着しているといえる。色差(ΔE)の測定結果を表3に示した。
3.使用感評価
開発品4およびPEG系市販品を用い、その使用感を比較評価した。評価項目としては、使用時の伸び、洗い流しやすさ、目刺激、クレンジング力および洗い流し後の保湿感とし、被験者5名による官能評価を実施した。評価方法としては、1~5の5段階にて評価し、PEG系市販品を基準とした際の、開発品4の使用感を相対評価し、5名の平均値を表3に示した。
<評価基準:使用時の伸び>
1:市販品より伸びない
2:市販品よりやや伸びない
3:市販品と同等の伸び
4:市販品よりやや伸びる
5:市販品より伸びる
<評価基準:洗い流しやすさ>
1:市販品より洗い流しにくい
2:市販品よりやや洗い流しにくい
3:市販品と同等の洗い流しやすさ
4:市販品よりやや洗い流しやすい
5:市販品より洗い流しやすい
<評価基準:目刺激>
1:市販品より刺激がある
2:市販品よりやや刺激がある
3:市販品と同等の刺激
4:市販品よりやや刺激がない
5:市販品より刺激がない
<評価基準:クレンジング力>
1:市販品よりクレンジング力が低い
2:市販品よりややクレンジング力が低い
3:市販品と同等のクレンジング力
4:市販品よりややクレンジング力が高い
5:市販品よりクレンジング力が高い
<評価基準:使用後の保湿感>
1:市販品より保湿感がない
2:市販品よりやや保湿感がない
3:市販品との保湿感
4:市販品よりやや保湿感がある
5:市販品より保湿感がある
4.保湿効果評価
開発品4およびPEG系市販品を用い、その保湿効果を皮膚表面水分量測定により比較評価した。方法としては、被験者を恒温恒湿室にて約15分間安静させ、順化した後、試料を2.0cm四方に0.1g塗布し、試料塗布部位の上を指で10回こすった。流水にて試料を洗い流したのち、皮膚表面の水分をこすらずに軽く拭き取った。皮膚表面水分量測定装置SKICON200(I.B.S.Co.Ltd.)にて、被験者5名における塗布部位の初期値、拭き取り直後、拭き取り後5分、15分について、各5回測定し、安定した3回の測定値における平均値をもって、その部位の皮膚表面水分量とした。各時間における皮膚水分量の平均値について、初期の平均値に対する上昇率(減少率)を算出し、表3に示した。
5.結果
表3に示す通り、自然由来指数の算出結果については、使用したポリグリセリン脂肪酸エステル系界面活性剤の自然由来指数は、全て1.0であり、クレンジング化粧料全体の自然由来指数を高めることが可能であった。
クレンジング性能評価については、ウォータープルーフマスカラおよびリキッドファンデーションに対するクレンジング性能はPEG系市販品よりも優れた結果を示した。また、口紅に対するクレンジング性能はPEG系市販品と同等の結果を示した。
使用感の評価については、PEG系市販品の性能を基準値3.00とした時、各項目においてクレンジング化粧料として優れた性能を示すものは、3.00よりも高い値を示す。開発品4は5項目において3.00~3.33という、PEG系市販品と同等もしくは優れた性能を示した。特に、開発品4は、安全性の高いポリグリセリン脂肪酸エステルを用いているため、クレンジグ化粧料使用時の目刺激について、3.33と高い数値を示し、より高い安定性が確認された。
保湿効果の評価については、試料塗布前の初期状態における皮膚表面水分量を1としたとき、洗浄後5分および15分時点どちらにおいても、発明品4はPEG系市販品より優れた結果を示した。特に、拭き取り後15分経過時においても、開発品4使用時には初期状態よりも高い皮膚表面水分量値を示し、PEG系市販品よりも優れた保湿効果を示した。
Figure 2023056884000003
本発明によれば、自然由来の界面活性剤であるポリグリセリン脂肪酸エステルについてHLBを区分けして組み合わせることで、優れた洗浄能力と高い安全性を有し、消費者を惹きつける外観を有した多層クレンジング化粧料を提供することができる。

Claims (4)

  1. 下記(a)~(d)を必須成分として含む多層クレンジング組成物。
    (a1)HLBが3以上6未満であり、かつグリセリン重合度が1~10であるグリセリン脂肪酸エステル
    (a2)HLBが6以上12未満であるポリグリセリン脂肪酸エステル
    (a3)HLBが12以上18以下であるポリグリセリン脂肪酸エステル
    (b)1種または2種以上のポリオール
    (c)水
    (d)油
  2. 前記成分(a)~(c)が、(a1)+(a2)+(a3)に対する(b)+(c)の質量比率{(a1)+(a2)+(a3)}/{(b)+(c)}=0.1~5.0である請求項1に記載の多層クレンジング組成物。
  3. 成分(a)の組成物中のそれぞれの配合量が、(a1)5~15質量%、(a2)1~5質量%、(a3)10~25質量%である請求項1又は2に記載の多層クレンジング組成物。
  4. 成分(d)油の組成物中の配合量が10~70質量%である請求項1から3のいずれか一項に記載の多層クレンジング組成物。
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