JP2023056159A - 絶縁樹脂材料、絶縁樹脂材料を用いてなる配線基板および絶縁樹脂材料の製造方法 - Google Patents

絶縁樹脂材料、絶縁樹脂材料を用いてなる配線基板および絶縁樹脂材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた低比誘電率と低熱線膨張率とを両立した絶縁樹脂材料およびそれを用いた配線基板を提供する。【解決手段】平均繊維径が100nm以下のパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバーとポリテトラフルオロエチレン粒子とを含み、アラミドナノファイバーの含有率が該ポリテトラフルオロエチレン粒子100重量部に対して1重量部~15重量部である絶縁樹脂材料であり、JISC6481:1996に規定される比誘電率試験において、比誘電率が2.5以下であり、かつ、線膨張係数が65ppm以下である絶縁樹脂材料。【選択図】図1

Description

本発明は、アラミドナノファイバーを含有する絶縁樹脂材料、絶縁樹脂材料を用いてなる配線基板および絶縁樹脂材料の製造方法に関する。
電子技術の発達により、高周波帯域を使用するコンピュータや移動通信機器等の電子機器が増加しつつある。このような電子機器に用いられる高周波用配線基板や多層配線基板には、一般的に低比誘電率の材料が求められ、低比誘電率の樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の非極性の高分子樹脂材料があげられ、特にポリテトラフルオロエチレンは低比誘電率、低誘電正接、耐熱性において優れた材料であることが知られている。
しかしながら、上記樹脂材料はその熱線膨張率が高く、基板上に形成される金属配線材料の熱線膨張率と大きく異なるため、熱線膨張率差による配線の剥離、切断等といった課題がある。
上記樹脂材料の低熱線膨張率化を図るため、無機粉末の充填やガラスクロス等の熱線膨張率の低い無機物を利用する手法がある。一方で、一般に無機物は比誘電率が高いことから、得られる材料の比誘電率が高くなるという課題がある。
そこで、特許文献1、2では、3~25m/gのBET比表面積を有する芳香族ポリアミドパルプ(パラアラミドパルプ)とフッ素樹脂を混合・定着させることで、高い機械特性と低熱線膨張係数を得る技術が提案されている。
これらは吸水率が高いものの線膨張が低い高弾性率材料と、線膨張が高いが低吸水で低誘電率のPTFEを均質に複合化した点で好ましい。しかしながら、10~20μmのパラアラミド繊維を叩解処理により製造されるパラアラミドパルプは、中心部に数~10μm程度の繊維を有する分岐構造である。そのパラアラミドパルプのフィブリルに定着できるポリテトラフルオロエチレンは、概ねBET比表面積15m/gに対し1g~1.5g程度であり、パラアラミドパルプそのものの吸水率、比誘電率の影響を受けてしまう。なお、上記の処理によって得られたパラアラミドパルプはその製造で原料由来の金属と中和により発生する塩が未叩解部に残留し、この洗浄除去にも注意が必要とされる。
特許文献3には、フィブリルの径が1μm以下のフィブリルから構成される芳香族ポリアミド溶液を用いることで、キャストしフィブリルを析出させたシートを作成した後に樹脂含浸して得られる多孔シートが提案されている。
しかしながら、重合溶液からフィブリルで構成されるシート作成は、精細な条件制御が必要であり、また、重合溶液に含まれる塩脱離を十分に行わないと基板にした時のさびの問題が懸念される。
また、フィブリルで構成された微細構造のシートに熱可塑または熱硬化樹脂を含浸するためには低粘度であることが好ましく、そのためには溶媒等に希釈した樹脂を用いる場合はその希釈溶媒揮発、または洗浄脱離工程が必須となるため好ましくない。
また、パラアラミドフィブリルの素材特性により比誘電率、吸水率が高くなってしまうことも次世代通信用基板としては好ましくない。
特許文献4には、ポリテトラフルオロエチレンからなるフィブリルを含有するBET比表面積が10~250m/g絶縁樹脂材料であって、上記フィブリルが多方向に配向し、気孔率が50%以上の微細網目構造体である絶縁樹脂材料が提案されている。
しかしながら、ポリテトラフルオロエチレンのフィブリルを作成するにはポリフルオロエチレン粒子せん断をかけながら延伸する必要があり、安定的にフィブリル形状を得るためには厳密な制御が必要とされる。さらに積層構造のため接着が困難であり屈曲や摩擦による層間剥離の可能性がある。
特開平11-112117号公報 特開2007-123737号公報 特開平09-324060号公報 特開2017-171898号公報
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、従来では得ることが困難な、優れた低比誘電率と低熱線膨張率とを両立した絶縁樹脂材料およびそれを用いた配線基板を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、ポリテトラフルオロエチレン粒子と、特定の繊維径を有するパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバーを特定量使用することにより低比誘電率と低熱線膨張率とを両立した絶縁樹脂材料が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、下記構成(1)~(6)が提供される。
(1)平均繊維径が100nm以下のパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバーとポリテトラフルオロエチレン粒子とを含み、アラミドナノファイバーの含有率が該ポリテトラフルオロエチレン粒子100重量部に対して1重量部~15重量部である絶縁樹脂材料であり、JISC6481:1996に規定される比誘電率試験において、比誘電率が2.5以下であり、かつ、線膨張係数が65ppm以下である絶縁樹脂材料。
(2)パラ型全芳香族ポリアミドが、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミドである構成(1)に記載の絶縁樹脂材料。
(3)アラミドナノファイバーの繊維径が3~50nmである構成(1)または(2)に記載の絶縁樹脂材料。
(4)粒子径が1μm未満であるポリテトラフルオロエチレン粒子を、アラミドナノファイバー1重量部に対して1~60重量部含む構成(1)~(3)のいずれか1つに記載の絶縁樹脂材料。
(5)構成(1)~(4)のいずれか1つに記載された絶縁樹脂材料を用いてなる配線基板。
(6)パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはパラ型全芳香族ポリアミドパルプを、非プロトン性極性溶媒下に強塩基性物質を添加し、ナノファイバー化して得られる平均繊維径が100nm以下のアラミドナノファイバーと、ポリテトラフルオロエチレン粒子とを混合、定着、成形して得られる構成(1)~(4)のいずれか1つに記載の絶縁樹脂材料の製造方法。
本発明によれば、ポリテトラフルオロエチレン粒子と、特定の繊維径を有するパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバーを特定量使用することにより低比誘電率と低熱線膨張率とを両立した絶縁樹脂材料およびそれを用いた配線基板を得ることができる。
本発明のアラミドナノファイバーの構造観察画像を示した一例である。 本発明のアラミドナノファイバーの1重量%水分散溶液の外観である。 本発明のアラミドナノファイバーとポリテトラフルオロエチレン粒子を複合化したスラリーの外観である。 図3のスラリーを軽く脱水した外観図である。 図3のスラリーを脱水しプレス成型シート乾燥後の外観である。 図3のスラリーを脱水しプレス成型シート乾燥後の表面のSEM写真である。 図3のスラリーを脱水しプレス成型シート乾燥後の断面のSEM写真である。 図5の成型シートを400℃1時間(空気中)で焼結処理後の外観である。 図5の成型シートを400℃1時間(空気中)で焼結処理後の表面のSEM写真である。 図5の成型シートを400℃1時間(空気中)で焼結処理後の断面のSEM写真である。 ポリテトラフルオロエチレン微粒子(10μm)にアラミドナノファイバーを添加した外観である(左からポリテトラフルオロエチレン微粒子に対してアラミドナノファイバーを10.0重量%、4.0重量%、2.0重量%および1.0重量%それぞれ添加したものである)。 本発明の絶縁樹脂材料を半円状に成形した外観である。 平均繊維径算出用に、図1を拡大した構造観察画像を示した一例である。 平均繊維径の算出方法に関する説明図である。
以下、本発明の詳細について説明する。
<絶縁樹脂材料>
本発明の絶縁樹脂材料は、平均繊維径が100nm以下のパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバーとポリテトラフルオロエチレン粒子とを含み、アラミドナノファイバーの含有率が該ポリテトラフルオロエチレン粒子100重量部に対して1重量部~15重量部である。このようにすることで優れた低比誘電率と低熱線膨張率とを両立した絶縁樹脂材料を得ることができる。
また、本発明の絶縁樹脂材料は、アラミドナノファイバーの含有率がポリテトラフルオロエチレン粒子100重量部に対して1重量部~15重量部であり、好ましくは1.5重量部~12重量部、さらに好ましくは2~10重量部である。このような範囲であれば、優れた低比誘電率と低熱線膨張率とを両立した絶縁樹脂材料を得ることができる。アラミドナノファイバーの含有割合が15重量部を超える場合、吸水率が高くなるため好ましくなく、1重量部未満の場合、線膨張係数が高くなり好ましくない。
また、本発明の絶縁樹脂材料は、本発明の目的に反しない範囲で、必要に応じて他の繊維をさらに含んでいてもよい。他の繊維は、目的に応じて適切に選択され得る。例えば、強度や靭性の強化を目的とする場合にはパラ型全芳香族ポリアミドパルプや、リファイナー処理をされたパラ型全芳香族ポリアミドパルプを含んでも良い。パラ型全芳香族ポリアミドパルプを含む場合は平均粒子径が1μm以上(好ましくは10μm以上)のポリテトラフルオロエチレン粒子を含んでいても良い。
なお、本発明の絶縁樹脂材料は、目的に応じて任意の適切な形状を有し得る。例えば、一般的なシート状であってもよく、図12に示すようなドーム形状であってもよく、その他の形状であってもよい。
本発明の絶縁樹脂材料は、JISC6481:1996に規定の測定方法で測定した比誘電率が、常体およびD-48/50において、2.5以下であり、好ましくは2.3以下である。下限は特に制限されず1.0以上が好ましい。
また、本発明の絶縁樹脂材料は、JISC6481:1996に規定の測定方法で測定した誘電正接が、常体およびD-48/50において、0.0050以下であることが好ましく、0.0030以下がより好ましい。下限は特に制限されず0.0001以上が好ましい。
さらに、本発明の絶縁樹脂材料は、線膨張係数が65ppm以下であり、60ppm以下が好ましく、55ppm以下がより好ましく、50ppm以下がさらに好ましい。下限は特に制限されず1ppm以上が好ましい。
本発明の絶縁樹脂材料は配線基板の材料として好適に使用することができる。
<ポリテトラフルオロエチレン粒子>
本発明のポリテトラフルオロエチレン粒子の粒子径は、1μm未満であることが好ましく、0.5μm未満であることがより好ましく、0.3μm未満であることがさらに好ましい。粒子径が上記数値以下であるとアラミドナノファイバーへの表面定着の時間が短く、且つ定着量も十分であり好ましい。粒子径の下限は0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、さらに好ましくは0.1μmである。粒子径が微細すぎると表面定着に時間がかかる恐れや定着量が減少しすぎる可能性がある。
なお、ポリテトラフルオロエチレン粒子の製造方法は特に限定されないが、テトラフルオロエチレンを乳化重合により作成した直径0.25μm程度の粒子を、分散剤を併用して濃縮した水分散液と懸濁重合により作成した直径数~10μm程度の粒子を分離・乾燥して得られた粉末であることが好ましい。
なお、ポリテトラフルオロエチレン粒子のアラミドナノファイバーへの定着はアミド結合とフッ素の電気的な吸着によるものであり、粒子径によらず定着が可能であるが、3次元に均一に分散した定着を得るという観点から、ポリテトラフルオロエチレン粒子は前述した乳化重合によって得られたものであることが好ましい。
本発明において、粒子径が1μm未満であるポリテトラフルオロエチレン粒子を、アラミドナノファイバー1重量部に対して1~60重量部含むことが好ましく、5~50重量部含むことがより好ましい。
<アラミドナノファイバー>
本発明の絶縁樹脂材料に使用されるアラミドナノファイバーは、平均繊維径が100nm以下であり、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは25nm以下である。平均直径の下限は1nm以上であることが好ましく、3nm以上であることがより好ましい。また、アラミドナノファイバーは500nm以上の直径のものを有さないことが好ましい。平均繊維径が100nmを超えると、微細な編み目構造が掲載されにくく、かつ、アラミドナノファイバーの表面にアミド結合とフッ素の電気的な吸着によって定着できるポリテトラフルオロエチレン粒子が相対的に少なくなる。結果として、平均繊維径が100nmを超えるアラミドナノファイバーを用いた場合、絶縁樹脂材料中のアラミドナノファイバーの比率が高くなり、樹脂の物性が、アラミドナノファイバーの吸水率、比誘電率に引きずられてしまうため好ましくない。
アラミドナノファイバーは、繊維長/繊維径で表されるアスペクト比が好ましくは10以上1、000以下であり、より好ましくは10以上500以下であり、さらに好ましくは10以上100以下である。アスペクト比が10未満であると、繊維の交絡構造が発現しにくく、微細な編み目構造を形成しにくくなる。それゆえに期待される特性発現が困難になる場合がある。
また、本発明で使用されるアラミドナノファイバーは、パラ型全芳香族ポリアミドである。パラ型全芳香族ポリアミドとしては、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド、ポリ-p-ベンズアミド、ポリ-p-アミドヒドラジド、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド-3,4-ジフェニルエーテルテレフタルアミドなどが好ましく、配向結晶性(紡糸溶液中で液晶構造のドメインを形成)を有するポリ-p-フェニレンテレフタルアミド繊維であることが好ましい。
なお、パラ型全芳香族ポリアミドを用いた繊維としては、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド繊維(市販品では、帝人株式会社製「トワロン(登録商標)」、東レ・デュポン株式会社製「ケブラー(登録商標)」など)や、コパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(市販品では、帝人株式会社製「テクノーラ(登録商標)」など)が挙げられる。
<アラミドナノファイバーの製造>
本発明におけるアラミドナノファイバーの製造は、パラ型芳香族ポリアミド繊維を原料とし、当該繊維を親和性の高い溶媒中にて浸漬・膨潤し、さらに強塩基物質を添加することで水素結合部を切断し、その結果生成される。本発明で好ましく用いることのできるパラ型全芳香族ポリアミドは、1種または2種以上の2価の芳香族基がアミド結合により連結されたポリマーであって、芳香族基には2個以上の芳香環が存在してもよく、その芳香環は直接結合していても、酸素や硫黄を介して結合していてもよい。また、2価の芳香族基の水素原子は、ハロゲン化物、低級アルキル基、フェニル基で置換されていてもよい。また、アラミドナノファイバー生成時に使用する溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、具体的には、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンなどが挙げられる。アラミドナノファイバー生成時に使用する強塩基物質としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
本発明におけるアラミドナノファイバーの製造は、具体的にパラ型全芳香族ポリアミド(例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド)繊維またはパルプをアルカリ性に調整したジメチルスルホキシド中に浸漬することで製造することができる。
パラ型全芳香族ポリアミド(例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド)は紡糸溶液中で液晶構造のドメインを形成し、キャピラリーより吐出した後、紡糸溶媒を水洗することにより得られる。得られた繊維を前記手法により繊維を構成する液晶ドメイン間の弱い結合をアルカリ条件により切断した後、得られた繊維を相溶性の高い溶媒中に遊離させることで、高弾性かつ高強度の切断された繊維を得ることができる。次いで、得られた切断された繊維を分散溶媒である貧溶媒(水、アルコール、アセトンなど)に投入することでアラミドナノファイバーを単離することが可能である。
なお、直径10~20μmのパラ型全芳香族ポリアミド(例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド)繊維を数mmにカットし、水中で相互にせん断付与するリファイナー処理を行うことで得られるパラ型全芳香族ポリアミド(例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド)パルプを得ることができる。このようなリファイナー処理では、液晶界面のせん断破壊により繊維表面より微細化した繊維は完全に分離せず分岐した状態となり、該該微細化繊維の直径は100~1000nmとなり、原料繊維の中心部の直径は数μmとなる。リファイナー処理されたパルプを上記の処理により、アラミドナノファイバー化させることもできる。
アラミド素材のその他微細化手法としては、上述したような化学処理ではなく、機械的なせん断力を付与する手法も考えられるが、当該手法ではナノオーダーの繊維径を有するフィブリル構造が部分的に得られるにとどまる。従って、フィブリル化していないマイクロオーダーの構造体も含むことになるため、ナノオーダーでの均質な交絡構造が得られずに期待されるような物性が発現しない。本発明においては、部分的なナノ化ではなく、均質にナノ化した繊維による交絡構造の形成が好ましい。
<絶縁樹脂材料の製造方法>
本発明の絶縁樹脂材料の製造方法としては、パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはパラ型全芳香族ポリアミドパルプを、非プロトン性極性溶媒下に強塩基性物質を添加し、ナノファイバー化して得られる平均繊維径が100nm以下のアラミドナノファイバーと、ポリテトラフルオロエチレン粒子とを混合、定着、成形する方法が好ましい。
<成形品>
本発明の絶縁樹脂材料を用いて、シートなどの成形品や、かかる成形品を焼成した焼成成形品を得ることができる。
これら成形品のJISC6481:1996に規定の測定方法で測定した比誘電率は、常体およびD-48/50において、2.5以下であることが好ましく、2.3以下であることがより好ましい。下限は特に制限されず1.0以上が好ましい。
また、成形品のJISC6481:1996に規定の測定方法で測定した誘電正接は、常体およびD-48/50において、0.0050以下であることが好ましく、0.0030以下がより好ましい。下限は特に制限されず0.0001以上が好ましい。
さらに、成形品の線膨張係数は、65ppm以下が好ましく、60ppm以下がより好ましい。また、焼成成形品の線膨張係数は、50ppm以下が好ましく、45ppm以下がより好ましい。下限は特に制限されず1ppm以上が好ましい。
また、成形品の水接触角は、50度以上が好ましく、60度以上がより好ましく、70度以上がさらに好ましい。
<成形品の製造>
本発明の絶縁樹脂材料から成形品を製造する方法について、成形シートおよび焼成シートを製造する方法の好適な一例について説明する。
成形シートおよび焼成シートの製造方法は、例えば、
(1)アラミドナノファイバーの水分散溶液と、ポリテトラフルオロエチレン粒子の水分散溶液(ディスパージョン)とを混合・撹拌し、ポリテトラフルオロエチレン粒子が、アラミドナノファイバーに定着し溶媒より分離させ、PTFE-ANF含侵複合材を得る工程と、
(2)上記含侵複合材料成形し、成形シートを得る工程と、
(3)上記成形シートを焼成し、焼成シートを得る工程とを備えている。
成形シートを成形する際、例えば、プレス機、押出成形機、カレンダーロール等が挙げられるが、中でもカレンダーロールによる成形が生産性の点から好ましい。
また、焼成シートを焼成する際、公知の方法から適宜選択された方法にしたがって、実施することができるが、メタル-メタルであることが好ましい。なお、ポリテトラフルオロエチレンの焼成温度範囲内の温度(例えば、300~500℃)で焼結することが好ましい。
上記した方法によって、図5に示す成形シート、図8に示す焼成シートを得ることができる。焼成シートは図9、10に示すように、ポリテトラフルオロエチレン粒子(PTFE粒子)はアラミドナノファイバー(ANF)に沿って融着・一体化した繊維状集合体に形態変化し、ANFがPTFEで被覆された状態となる。よって、ANFの表面露出面積が減少し、パラアラミドの物性に起因する吸水性と比誘電率の影響が抑制され、アラミドナノファイバーによる多方向に配向した微細編み目構造を維持しつつ、低誘電率と低線膨張を両立することができる。
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例および比較例に制限されるものではない。なお、実施例中の各特性値は下記の方法で測定した。
<比誘電率、誘電正接の測定>
JISC6481:1996に準拠して測定を行った。
測定装置:LCRメータ(ヒューレットパッカード社製、HP-4284A)
測定条件:A常態(22℃、60%RHで90時間保持)
D-48/50(50℃の水に48時間浸せき)
周波数:1MHz
<線膨張係数の測定>
熱機械的分析装置(SIIナノテクノロジー社製、商品名:TMA/SS6100)を用いて、10℃/分にて0℃から400℃に昇温させた後、40℃/分にて10℃まで冷却し、さらに10℃/分にて10℃から200℃に昇温させて測定した。測定荷重は29.4mNとし、測定雰囲気を空気雰囲気とした。
<水接触角の測定>
接触角計(協和界面化学社製、品番:DMO-501)を用い、作製したシートサンプル表面に水滴を滴下した際の液滴―シート表面間からなる角度のうち、液の内部側にある角度を水接触角として計測した。
<平均繊維径>
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、品盤:JSM-6330F)を用い、サンプルの構造を観察した。50,000倍の倍率設定で観察した画像から、横1,800nm~2,000nm、縦1,200nm~1,500nmの画像領域を選択し、当該画像領域をさらに縦に4分割、横に4分割して得られる計16箇所のグリッド領域A1-D4を定義し、各グリッド領域内に存在するサンプルを1点選択し、選択したサンプルの繊維径を画像上で計測した平均値を平均繊維径として採用した(図14)。
[実施例1]
<アラミドナノファイバーの作成>
・アラミドパルプ:10g(帝人アラミド社製のトワロン(登録商標)1000を6mmのカットした繊維10gを沸騰水1000gで30分煮沸洗浄し、冷却後水洗、乾燥し得た)。
・東京化成工業株式会社 ジメチルスルホキシド(DMSO)>99% 80g、
・東京応化工業株式会社 水酸化カリウム(KOH) 10g
上記をプラネタリーミキサーに投入し70℃で2時間撹拌処理を行った。撹拌後、アラミドパルプは形状がなくなり、赤色半透明の高粘度溶液を得た。
得られたナノファイバーを含む赤色半透明の溶液を3倍量のDMSOで希釈し、20リットルの水中に撹拌しながら徐々に投入し、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミドのナノファイバーを析出させた。この時、溶液は黄赤色のスラリーであり、ここに硫酸をKOH中和に必要量投入し、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミドナノファイバーをろ過により採取した。
続いて、蒸留水またはイオン交換水を用い3~5回洗浄と延伸脱水を行い溶媒と塩を除去した。得られたポリ-p-フェニレンテレフタルアミドナノファイバー含有の水固形物を、固形分濃度1%となるように蒸留水を添加し、増幸産業株式会社製石臼式粉砕混錬機(スーパーマスコロイダー)を用いて、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミドナノファイバー分散水溶液を得た。得られたポリ-p-フェニレンテレフタルアミドナノファイバー分散液をイソプロピルアルコールで希釈しプレパラートに滴下、乾燥し、平均繊維径が20nmであることを確認した。
<成形シートの作成>
ポリテトラフルオロエチレン粒子ディスパーション(直径0.25μm AGC製AD911)に混合が容易な、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミドナノファイバー水分散溶液(濃度1wt%)をPTFE:ANFを100:10(重量部)の比率で混合・撹拌すると、図3に示す通り、PTFEとANFが定着し溶媒より分離する。この固形分を取り出した後、水で数回洗浄した後、ポリプロピレン不織布シートで挟み軽く水を絞り、PTFE-ANFの含水複合材を得た。
得られたPTFE-ANF含水複合材を濾紙で挟んで抄紙用などに使用されるプレス脱水機(熊谷理機工業社製)でさらにプレス脱水し、次いでメタル-メタルカレンダーを用い、線圧100kg/cm、温度100℃、速度1m/分でシート化を行い図5に示すような成形シートを作製し評価した。結果を表1に示す。
得られた成形シートは、PTFEディスパーションに含まれる界面活性剤が、ほぼ洗浄除去されているが、アラミドナノファイバーの親水性と微量の界面活性剤残差の影響があるため接触角は約70°であった。図6、7に示すように、表面および断面のSEM観察ではPTFE粒子がANFによって定着・捕集され凝集していることが確認された。
[実施例2]
<成形シートの作成>
PTFE:ANFを100:2(重量部)の比率とした以外は実施例1同様の手順で成形シートを作製し評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
<焼結シートの作成>
実施例1で得られた成形シートを空気雰囲気化で400℃、1時間処理を行い図8に示す焼結シートを作製し評価した。結果を表1に示す。
熱処理によって図9に示すようにPTFE粒子はANFに沿って融着・一体化した繊維状集合体に形態変化をした。
その結果、表面へのANFは減少(PTFEディスパーションに含まれる界面活性剤の失活)により撥水性が向上し、水の接触角は約110°となった。このことから、ANFへの水の影響は極めて限定的であることが確認された。
[実施例4]
<焼結シートの作成>
実施例3と同様にして実施例2の成形シートを空気雰囲気化で400℃、1時間処理し焼結シートを作製し評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
<成形シートの作成>
ポリテトラフルオロエチレン粒子ディスパーション(直径0.25μm AGC製AD911)単独のキャスト膜を作製し評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
<成形シートの作成>
比較例1で得られたシートを空気雰囲気化で400℃、1時間処理し焼結シートを作製し評価した。結果を表1に示す。
Figure 2023056159000002
本発明の絶縁樹脂材料は配線基板の材料として好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 平均繊維径が100nm以下のパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバーとポリテトラフルオロエチレン粒子とを含み、アラミドナノファイバーの含有率が該ポリテトラフルオロエチレン粒子100重量部に対して1重量部~15重量部である絶縁樹脂材料であり、JISC6481:1996に規定される比誘電率試験において、比誘電率が2.5以下であり、かつ、線膨張係数が65ppm以下である絶縁樹脂材料。
  2. パラ型全芳香族ポリアミドが、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミドである請求項1に記載の絶縁樹脂材料。
  3. アラミドナノファイバーの繊維径が3~50nmである請求項1または2に記載の絶縁樹脂材料。
  4. 粒子径が1μm未満であるポリテトラフルオロエチレン粒子を、アラミドナノファイバー1重量部に対して1~60重量部含む請求項1~3のいずれか1項に記載の絶縁樹脂材料。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載された絶縁樹脂材料を用いてなる配線基板。
  6. パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはパラ型全芳香族ポリアミドパルプを、非プロトン性極性溶媒下に強塩基性物質を添加し、ナノファイバー化して得られる平均繊維径が100nm以下のアラミドナノファイバーと、ポリテトラフルオロエチレン粒子とを混合、定着、成形して得られる請求項1~4のいずれか1項に記載の絶縁樹脂材料の製造方法。
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