JP2023055870A - 電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体 - Google Patents

電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】適度な接着強度でキャリアテープと接着可能で、かつ、キャリアテープとカバーテープとがヒートシールされていない部分において引っ付くことが低減されたカバーテープ、すなわち、キャリアテープへの「接着性」と、キャリアテープへの「耐付着性」のバランスが良好なカバーテープを提供する。【解決手段】本発明の電子部品包装用カバーテープは、基材層1と、中間層2と、シーラント層3と、をこの順に有する電子部品包装用カバーテープであって、前記シーラント層3は(A)接着性樹脂を含み、前記(A)接着性樹脂のガラス転移温度は60℃より大きく120℃以下であり、前記シーラント層の60℃におけるタック力は0N/cm2以上5.0N/cm2以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体に関する。
従来、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子レジスタ等の電子部品は、電子機器の製造現場において、当該電子部品を収納することが可能なポケットが連続的に形成されたキャリアテープと、上記キャリアテープにシールするカバーテープとからなる包装体に収容して熱シール処理を施した後、紙製或いはプラスチック製のリールに巻かれた状態で、電子回路基板等に表面実装を行う作業領域まで搬送されている。そして、かかる電子部品は、上述した作業領域内で上記包装体のカバーテープを剥離した後、キャリアテープに形成された上記ポケットから取り出され、電子回路基板等に表面実装されることとなる。
特にカバーテープの接着性と剥離性については、さまざまな検討が行われてきた。例えば、特許文献1では、キャリアテープとカバーテープとの間における剥離抵抗力の最大値と最小値との剥離抵抗力比αに着目し、剥離性を適切にすることが開示されている。
特開2017-171393号公報
カバーテープがキャリアテープから剥離される工程において、キャリアテープからカバーテープを剥離するために必要な強度である剥離強度が高すぎると、カバーテープが剥離される際にキャリアテープが振動し、電子部品が格納ポケットから飛び出してしまう現象が生じる。一方、キャリアテープとカバーテープとの接着強度が低いと、パッケージの輸送中に、カバーテープがはがれ、パッキングされた電子部品が落下する場合がある。そのため、カバーテープには、キャリアテープに対して十分な接着強度を有していると同時に、実装工程においてキャリアテープから首尾よく剥離される剥離性が要求される。
また、キャリアテープとカバーテープからなる包装体が表面実装を行う作業領域まで搬送される過程においては、高温、高湿度環境となることがある。また、リールに巻かれているため、キャリアテープとカバーテープには一定の圧がかかった状態となり、キャリアテープとカバーテープが、ヒートシールされていない部分においてまで接着したような状態となり、実装工程においてキャリアテープとカバーテープがスムーズに剥離しない、という問題があった。そのためカバーテープには、キャリアテープに対して、ヒートシールされていない部分について、高温高湿度環境で、一定の圧がかかった場合においても、接着しないという性質が要求される。
本発明は、適度な接着強度でキャリアテープと接着可能で、かつ、キャリアテープとカバーテープとがヒートシールされていない部分において引っ付くことが低減されたカバーテープ、すなわち、キャリアテープへの「接着性」と、キャリアテープへの「耐付着性」のバランスが良好なカバーテープを提供することを目的の1つとする。
本発明者はさらに検討したところ、カバーテープのシーラント層に、特定の範囲のガラス転移温度を有する樹脂を用いることで、上記課題を解決し得ることを知見し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
基材層と、
中間層と、
シーラント層と、
をこの順に有する電子部品包装用カバーテープであって、
前記シーラント層は(A)接着性樹脂を含み、
前記(A)接着性樹脂は、以下<ガラス転移温度の測定方法>に従って測定されるガラス転移温度が、60℃より大きく、120℃以下であり、
前記シーラント層の、以下<タック力の測定方法>にて測定されるタック力が、0N/cm以上5.0N/cm以下である、電子部品包装用カバーテープ。
<ガラス転移温度の測定方法>
前記(A)接着性樹脂のガラス転移温度(℃)を、示差走査熱量計(DSC)を使用し、昇温条件10℃/minにて0℃~200℃まで温度上昇させ、窒素雰囲気下条件にて測定する。
<タック力の測定方法>
接触面積20mmのステンレス鋼材を、接触速さ30mm/分で当該電子部品包装用カバーテープの前記シーラント層に押し付け、測定温度60℃、接触荷重25Nで20秒間保持した後に600mm/分の速度で引き剥がす際の単位面積あたりの荷重の測定値を、60℃におけるタック力(N/cm)とする。
また本発明によれば、
電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、
上記の電子部品包装用カバーテープと、を有し、
前記電子部品を封止するように前記シーラント層側が前記キャリアテープに接着された電子部品包装体が提供される。
本発明によれば、接着性と耐付着性のバランスが良好な電子部品包装用カバーテープを提供できる。
本実施形態の電子部品包装用カバーテープの一例を、模式的に表した図である。 電子部品包装用カバーテープをキャリアテープに接着(ヒートシール)した状態の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
本明細書における「アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。
<電子部品包装用カバーテープ>
図1は、本実施形態の電子部品包装用カバーテープの一例を、模式的に表したものである。
本実施形態の電子部品包装用カバーテープは、基材層1と、中間層2と、シーラント層3とを、この順番で備える電子部品包装用カバーテープである。
電子部品包装用カバーテープ10は、通常、シーラント層3がキャリアテープと接着される。換言すると、通常、図1における上面側がキャリアテープと接着される。
また、各層は複数の層から構成されていてもよい。
またシーラント層3は(A)接着性樹脂を含み、(A)接着性樹脂は、所定の方法にて測定されるガラス転移温度が、60℃より大きく、120℃以下である。
さらにシーラント層3の、所定の方法にて測定されるタック力が、0N/cm以上5.0N/cm以下である。
これにより、本実施形態の電子部品包装用カバーテープにおいて、カバーテープとキャリアテープとの接着性と耐付着性のバランスを良好とすることができる。
電子部品包装用カバーテープ10が、接着性と耐付着性のバランスに優れるメカニズムの詳細は明らかではないが、ガラス転移温度が60℃より大きい(A)接着性樹脂を用いることで、カバーテープとキャリアテープを貼り合わせて包装体とし、常温環境または搬送される環境においても、樹脂がガラス状態であるため、接着性を抑制しつつ、耐付着性を良好とすることができる。また、ガラス転移温度が120℃以下の(A)接着性樹脂を用いることで、ヒートシール温度付近で、樹脂が軟化するため、カバーテープとキャリアテープの良好な接着性を付与することができる、と考えられる。
なお、上限は、好ましくは118℃以下であり、より好ましくは116℃以下であり、さらに好ましくは114℃以下である。
<その他の層>
電子部品包装用カバーテープ10は、各層の間に接着層(図示せず)を設けてもよい。この接着層によれば、各層の間の接着性を向上させることができる。
接着層を形成する材料としては、ウレタン系のドライラミネート用接着樹脂あるいはアンカーコート用接着樹脂が挙げられ、一般に、ポリエステルポリオールやポリエーテルポリオールなどのポリエステル組成物とイソシアネート化合物とを組み合わせたものが挙げられる。
また、接着層以外の層を設けていてもよく、例えばフィルム全体の強度を向上させるための層、水蒸気バリア層等を設けていてもよい。
<基材層>
基材層1は、電子部品包装用カバーテープ10の加工時、キャリアテープへのヒートシール時、使用時などに加わる外力に耐えうる機械的強度およびヒートシール時の熱に耐えうる耐熱性があれば、種々の材料を加工したフィルムを用いることができる。
基材層1を構成する材料の具体例としては、エステル系樹脂、アミド系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリレート系樹脂、メタアクリレート系樹脂、イミド系樹脂、カーボネート系樹脂、ABS樹脂などが挙げられる。この中でも、基材層1を構成する材料としては、エステル系樹脂およびオレフィン系樹脂が好ましく、機械的強度を向上させることができるポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンが特に好ましい。また、基材層1を構成する材料としてアミド系樹脂を選択する場合、機械的強度、柔軟性を向上させることができるナイロンを用いることが好ましい。
基材層1を形成するために使用するフィルムの形態としては、延伸フィルムであってもよいし、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであってもよいが、電子部品包装用カバーテープの機械的強度を向上させる観点から、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムであることが好ましい。
基材層1は、上述した材料を含む単層フィルムにより形成してもよいし、上述した材料を各層に含む多層フィルムを用いて形成してもよい。
基材層1は、キャリアテープの剥離に伴い発生する帯電量を低減させる観点から、帯電防止剤を含んでもよいし、基材層1における中間層2が設けられた面とは反対側の面に、基材層のうちの一層として帯電防止層を設けても良い。かかる帯電防止剤を含む基材層1または帯電防止層の表面は、キャリアテープと電子部品包装用カバーテープ10とからなる包装体に電子部品を収容して搬送する際に、複数の包装体を積み重ねて搬送する場合において、上に積み重ねられた包装体のキャリアテープの底面と接触する可能性を有している。
基材層1の厚さは、例えば、6μm以上、好ましくは7μm以上、さらに好ましくは8μm以上であることが好ましい。また、基材層1の厚さは、例えば、35μm以下、好ましくは33μm以下、さらに好ましくは30μm以下であることが好ましい。基材層1の厚さが上記上限値以下であれば、電子部品包装用カバーテープの剛性が高くなりすぎず、シール後のキャリアテープに対して捻り応力がかかったとしても、電子部品包装用カバーテープ10がキャリアテープの変形に追従し、剥離してしまう可能性を低減することができる。また、基材層1の厚さが上記下限値以上であれば、電子部品包装用カバーテープ10の機械的強度が好適なものとなり、キャリアテープから電子部品包装用カバーテープ10を高速で剥離する場合であっても、電子部品包装用カバーテープ10が破断してしまう可能性を低減することができる。
なお、基材層1は第一基材層と第二基材層の二層構造、あるいはさらなる層を有する三層以上の構造になっていてもよい。この場合、材質は例えば基材層1で使用のものを使用することができる。また、厚みは第一基材層、第二基材層等の合計の厚みが「基材層1の厚さ」になることが好ましい。
<中間層>
中間層2は、本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープ10にクッション性を付与する目的で設ける層である。これにより、シール時の電子部品包装用カバーテープ10とキャリアテープの密着性を向上させることができる。
中間層2は、電子部品包装用カバーテープ10にクッション性を付与できれば、材料は特に限定されないが、例えば、ポリアクリル酸誘導体、ポリアクリル酸エステル誘導体、ポリ酢酸ビニル誘導体、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、環状オレフィン樹脂のなかから選ばれる1種または2種以上およびこれらの共重合体が挙げられる。これらの中でも、オレフィン系樹脂が好ましく、より好ましくはエチレン系樹脂を好適に用いることができる。
中間層2の厚さは、シール時の電子部品包装用カバーテープ10とキャリアテープとの密着性を向上させる観点から、典型的には10μm以上50μm以下、好ましくは15μm以上45μm以下である。
<シーラント層>
シーラント層3は、(A)接着性樹脂を含み、中間層2の基材層1に接する面とは反対側の面側に設けられる層であり、電子部品包装用カバーテープ10をキャリアテープにシール(例えば、ヒートシール)した際に、キャリアテープと接触する層である。
シーラント層3はヒートシール性を有し、キャリアテープに対して接着させられるものであり、使用時に容易に剥がすことのできる易剥離性を示すものである。
なお、シーラント層3は中間層2と接する面とは反対側に接着樹脂層、帯電防止層の順に積層したものでもよい。
シーラント層3の上記(A)接着性樹脂の材料の具体例としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂およびエステル系樹脂のなかから選ばれる1種または2種以上およびこれらの共重合体などが挙げられる。この中でも、帯電防止剤を良好に溶解または分散させる観点から、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂およびエステル系樹脂のいずれかを少なくとも1種以上含むことが好ましい。
スチレン系樹脂の具体例としては、例えばポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合体(SB)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、水素添加スチレンブロック共重合体、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS;High Impact Polystyrene)、汎用ポリスチレン樹脂(GPPS;General Purpose Polystyrene)等が含まれ、これらを2種以上組合せて用いてもよい。
この中でも、透明性が高く、また、耐付着性と剥離強度とをバランスよく向上させるという観点から、スチレン・ブタジエン共重合体(SB)を用いることが好ましい
アクリル系樹脂の具体例としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のモノマーから構成される樹脂である。アクリル系樹脂の構成モノマーとしては、これらの例示のうち1種または2種以上のモノマーを含む。また、アクリル系樹脂の構成モノマーとしては、これらの例示以外のモノマーをさらに含んでもよい。また、これらのモノマーの誘導体であってもよい。
エステル系樹脂はアルコール成分とカルボン酸成分からなる。アルコール成分の具体例としては、たとえば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオールなどの鎖又は分岐の脂肪族ジオール、水素添加ビスフェノールA〔2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン〕、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキシド(平均付加モル数2以上12以下)付加物などの脂環式ジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールが挙げられる。これらのアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
カルボン酸成分としては、たとえば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸などの鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、トリメリット酸又はその無水物などの3価以上の多価カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸芳香族ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
シーラント層3の上記接着性樹脂の、示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温条件10℃/minにて0℃~200℃まで温度上昇させ、窒素雰囲気下条件にて測定したガラス転移温度(℃)は、60℃より大きく、120℃以下であり、好ましくは118℃以下であり、より好ましくは116℃以下であり、さらに好ましくは114℃以下である。ガラス転移温度を上記範囲内とすることで、電子部品包装用カバーテープの60℃タック力を適正な範囲とすることができ、さらにカバーテープとキャリアテープを貼り合わせて包装体とし、リールで巻いて保管した場合に、ヒートシールで接着した部分以外の箇所において、カバーテープとキャリアテープの接着を抑制できる。
さらに、上述したシーラント層3の上記接着性樹脂のガラス転移温度(℃)が、60℃より大きいことで、電子部品包装用カバーテープとキャリアテープからなる包装体を60℃前後の高温あるいは高湿度環境に一定期間保管した場合においても、電子部品包装用カバーテープのキャリアテープに対する剥離強度の、初期値(ヒートシール直後)と比較した場合の経時変化率を所定範囲内に収められる。これは、60℃前後の高温環境等に保管した場合であっても、シーラント層3の上記接着性樹脂のガラス転移温度(℃)が60℃より大きいため、接着性樹脂がガラス状態を維持することができるためと考えられる。
このような性質を有することで、キャリアテープとカバーテープからなる包装体が表面実装を行う作業領域まで搬送される途中や、搬送後においてもキャリアテープに対する接着性と剥離性のバランスを良好なものとすることができ、搬送中にカバーテープが剥がれ、包装体に収容された電子部品が落下することや、実装工程において、カバーテープがキャリアテープから首尾よく剥離されない、といった不具合の発生を抑えることができる。
シーラント層3は、シーラント層3の表面抵抗値を低下させて剥離に伴う静電気の発生を抑制し、シール性を保持する観点から、さらに(B)帯電防止剤を含むことができる。シーラント層3においては、好ましくは、(A)接着性樹脂中に、(B)帯電防止剤が溶解または分散している。すなわち、好ましくは、(A)接着性樹脂と(B)帯電防止剤との相溶性が良好であり、マトリックス樹脂としての(A)接着性樹脂中に、(B)帯電防止剤がシーラント層3全体に亘り均一に分散されている。溶解または分散の態様としては、(A)接着性樹脂中に(B)帯電防止剤が溶剤を介して溶解している場合と、(A)接着性樹脂中に(B)帯電防止剤が水分散している態様が挙げられ、(A)接着性樹脂と(B)帯電防止剤の性質により異なる。
(B)帯電防止剤の具体例としては、アンチモンドープ錫、導電性高分子(例えばポリチオフェンやポリチオフェン誘導体)、リンドープ錫、フッ素ドープ錫、カーボンナノチューブ等が挙げられる。(A)接着性樹脂との良好な相溶性などから、(B)帯電防止剤は、アンチモンドープ酸化錫、リンドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫および導電性高分子からなる群のうち1種以上を含むことが好ましい。
導電性高分子であるポリチオフェンまたはポリチオフェンの誘導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリ(3,4)-エチレンジオキシチオフェン、ポリ(3-チオフェン-β-エタンスルホン酸)などが挙げられる。この中でも、さらに良好な帯電防止性とシール性を保持する観点から、ポリ3,4-エチレンジオキシチオフェン又はその誘導体であることが好ましい。
シーラント層3は、その他添加剤として、帯電防止剤の分散性を良好とするための分散剤、シリカゾル、レベリング剤、導電助剤等を含んでもよい。
シーラント層3の厚さは、シール作業と剥離作業とを好適に行う観点から、典型的には0.02μm以上20μm以下が好ましく、0.03μm以上15μm以下がより好ましい。
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープの厚さは、フィルム強度担保とハンドリング性のバランスの観点から、40μm以上65μm以下であることが好ましく、45μm以上60μm以下であることがより好ましい。
以下、本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープの特性について説明する。
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープにおいて、シーラント層3のタック力については、接触面積20mmのステンレス鋼材を、接触速さ30mm/分でカバーテープのシーラント層3に押し付け、測定温度60℃、接触荷重25Nで20秒間保持した後に600mm/分の速度で引き剥がす際の単位面積あたりの荷重の測定値を60℃におけるタック力とする。
このとき、シーラント層3の、60℃におけるタック力は、耐付着性の観点から、5.0N/cm以下であり、好ましくは4.5N/cm以下であり、さらに好ましくは4.0N/cm以下である。すなわち、60℃というヒートシール温度よりも低い温度において、シーラント層3のタック力が十分小さくなるようにカバーテープを設計することで、良好な耐付着性を得ることができる。
60℃におけるタック力の下限値に制限はないが、たとえば0N/cm以上、具体的には0.01N/cm以上である。
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープは、キャリアテープへの「耐付着性」が良好である。すなわち、本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープと、キャリアテープとは、ヒートシールされていない部分において引っ付くことが抑制されている。
この「耐付着性」については、以下のような<耐付着性試験>により定量化することができる。別の言い方として、以下<耐付着性試験>で測定される接着痕の長さを設計指標としてカバーテープを設計することで、より性能良好なカバーテープを製造することができる。
<耐付着性試験>
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープにおいて、当該電子部品包装用カバーテープを幅10.0mmの寸法にして、当該カバーテープのシーラント層側と、幅8.0mmの寸法の、凹凸面の平均表面粗さ(Ra)が0.25μmであるポリスチレン製フィルムの凹凸面側とを貼り合わせ、サンプルとする。当該サンプルのカバーテープの上面に幅0.5mm、長さ32.0mm、重さ46.0gのシールコテを置いて、60℃90%RHの条件下で24時間静置する。静置後、ポリスチレン製フィルムと当該電子部品包装用カバーテープの接着の有無を、ポリスチレン製フィルムについた接着痕において評価する。具体的には、ポリスチレン製フィルムについた接着痕において、ポリスチレン製フィルムの長さ方向における寸法を、ポリスチレン製フィルムについた接着痕の長さとして測定する。ポリスチレン製フィルムについた接着痕の長さは好ましくは15mm以下であり、より好ましくは13mm以下であり、さらに好ましくは11mm以下である。ポリスチレン製フィルムについた接着痕の長さの下限値に制限はないが、たとえば0mm以上である。
上記の接着痕の長さが15mm以下となるように電子部品包装用カバーテープを設計することで、電子部品包装用カバーテープとキャリアテープを貼り合わせて包装体とし、リールで巻いて保管した場合に、ヒートシールで接着した部分以外の箇所において、カバーテープとキャリアテープの接着を一層抑制できる。すなわち、耐付着性を一層向上させることができる。
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープは、キャリアテープへの接着性(キャリアテープとのヒートシール性)が良好である。これについては、例えば以下のような<ヒートシール試験>により定量化することができる。換言すると、以下<ヒートシール試験>により得られる剥離強度を設計指標としてカバーテープを設計することでキャリアテープへの接着性がより良好なカバーテープを製造することができる。
<ヒートシール試験>
電子部品包装用カバーテープを幅5.5mmの寸法にして、この電子部品包装用カバーテープのシーラント層側と、幅8mmの寸法の、凹凸面の平均表面粗さ(Ra)が0.25μmであるポリスチレン製フィルムの上記凹凸面側とを貼り合わせ、片刃が幅0.4mm、長さ28mmの寸法の二本刃アイロンを用いて、シール温度180℃、荷重5kgf、シール時間60ミリ秒間、キャリアテープ送りピッチ4mmの条件でヒートシールし、サンプルとする。
このサンプルを用いて、剥離速度300mm/min、測定温度25℃、剥離角度170°の条件において剥離試験を行う。この試験における剥離強度の下限値は、好ましくは0.2N以上であり、より好ましくは0.22N以上であり、さらに好ましくは0.23N以上である。また、剥離強度の上限値は、好ましくは0.9N以下であり、より好ましくは0.8N以下であり、さらに好ましくは0.7N以下である。この剥離強度を上記範囲内とすることで、キャリアテープに対する接着性と剥離性のバランスを一層良好なものとすることができる。
<ヒートシール試験後、60℃環境に保管した場合の剥離強度>
電子部品用カバーテープとキャリアテープからなる包装体を高温保管した場合の剥離強度ついて説明する。上述の<ヒートシール試験>で得られたサンプルを、60℃で30日間保管した後、上述の<ヒートシール試験>と同様の方法で170℃剥離強度を測定した場合の、剥離強度の下限値は、好ましくは0.10N以上であり、より好ましくは0.11N以上であり、さらに好ましくは0.12N以上である。また、剥離強度の上限値は、好ましくは1.35N以下であり、より好ましくは1.20N以下であり、さらに好ましくは1.05N以下である。
この剥離強度を上記範囲内とすることで、キャリアテープとカバーテープを貼り合わせた包装体を、搬送、保管等した場合も、キャリアテープに対する接着性と剥離性のバランスを一層良好なものとすることができる。
<ヒートシール試験後、60℃90%RH環境に保管した場合の剥離強度>
電子部品用カバーテープとキャリアテープからなる包装体を高温高湿保管した場合の剥離強度ついて説明する。上述の<ヒートシール試験>で得られたサンプルを、60℃90%RHで30日間保管した後、上述の<ヒートシール試験>と同様の方法で170℃剥離強度を測定した場合の剥離強度の下限値は、好ましくは0.10N以上であり、より好ましくは0.11N以上であり、さらに好ましくは0.12N以上である。また、剥離強度の上限値は、好ましくは1.35N以下であり、より好ましくは1.20N以下であり、さらに好ましくは1.05N以下である。
この剥離強度を上記範囲内とすることで、キャリアテープとカバーテープを貼り合わせた包装体を、搬送、保管等した場合も、キャリアテープに対する接着性と剥離性のバランスを一層良好なものとすることができる。
<ヒートシール試験後、60℃環境に保管した後の剥離強度の変化率>
電子部品用カバーテープとキャリアテープからなる包装体を高温保管した場合の経時変化を定量化したものについて説明する。上述の<ヒートシール試験>で測定される170℃剥離強度(すなわちヒートシール直後の剥離強度)をPとし、上述の<ヒートシール試験後、60℃環境に保管した後の剥離強度>で測定される170℃剥離強度をP1とする。ヒートシール直後の剥離強度初期値に対する60℃保管後の剥離強度の変化率を絶対値とした値(|((P1-P)/P)×100|)(%)の上限値は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは35%以下である。また、剥離強度の変化率を絶対値とした値の下限値に特に制限はないが、たとえば0%以上である。
この変化率を上記範囲内とすることで、キャリアテープとカバーテープを貼り合わせた包装体を、搬送、保管等した場合も、キャリアテープに対する接着性と剥離性のバランスを一層良好なものとすることができる。
<ヒートシール試験後、60℃90%RH環境に保管した後の剥離強度の変化率>
電子部品用カバーテープとキャリアテープからなる包装体を高温高湿保管した場合の経時変化を定量化したものについて説明する。上述の<ヒートシール試験>で測定される170℃剥離強度(すなわちヒートシール直後の剥離強度)をPとし、上述の<ヒートシール試験後、60℃90%RH環境に保管した後の剥離強度>で測定される170℃剥離強度をP2とする。ヒートシール直後の剥離強度初期値に対する60℃保管後の剥離強度の変化率を絶対値とした値(|((P2-P)/P)×100|)(%)の上限値は、好ましくは50%以下であり、より好ましくは40%以下であり、さらに好ましくは35%以下である。また、剥離強度の変化率を絶対値とした値の下限値に特に制限はないが、たとえば0%以上である。
この変化率を上記範囲内とすることで、キャリアテープとカバーテープを貼り合わせた包装体を、搬送、保管等した場合も、キャリアテープに対する接着性と剥離性のバランスを一層良好なものとすることができる。
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープの、25℃50%RHで測定した上記基材層の表面における表面抵抗値は、好ましくは1.0×10Ω以上であり、より好ましくは1.0×10Ω以上であり、さらに好ましくは1.0×10Ω以上であり、好ましくは1.0×1013Ω以下であり、より好ましくは1.0×1012Ω以下であり、さらに好ましくは1.0×1011Ω以下である。電子部品包装用カバーテープの上記基材層の表面抵抗値を上記範囲内とすることで、種々の要因により発生した静電気を効率よく外部に放出させることができる。
なお、上記基材層における表面とは、上記電子部品包装用カバーテープにおける基材層の露出面側を指す(つまり、上記基材層における上記中間層に接する面ではない面を指す)。
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープの、25℃、50%RHで測定した上記シーラント層の表面における表面抵抗値は、好ましくは1.0×10Ω以上であり、より好ましくは1.0×10Ω以上であり、さらに好ましくは1.0×10Ω以上であり、好ましくは1.0×1012Ω以下であり、より好ましくは1.0×1011Ω以下であり、さらに好ましくは1.0×1010Ω以下である。電子部品包装用カバーテープの25℃、50%RHで測定した上記シーラント層の表面における表面抵抗値を上記範囲内とすることで、キャリアテープの剥離に伴う帯電防止性により一層優れた電子部品包装用カバーテープとすることができる。
なお、上記シーラント層における表面とは、上記電子部品包装用カバーテープにおけるシーラント層の露出面側を指す(つまり、上記シーラント層における上記中間層に接する面ではない面を指す)。
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープの、JIS K 7361-1(1997)に準拠した、光源D65で測定した際の全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは80%以上、好ましくは95%以下、より好ましくは94%以下、さらに好ましくは93%以下である。こうすることで、電子部品包装用カバーテープ10とキャリアテープとからなる包装体100において、上記キャリアテープのポケット内に電子部品が正しく収容されているか否かを検査することができる程度の透明性を付与することができる。即ち、電子部品包装用カバーテープの全光線透過率を上記下限値以上とすることにより、電子部品包装用カバーテープ10とキャリアテープとからなる包装体100の内部に収容した電子部品を、当該包装体100の外部から視認して確認することが可能となる。
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープの、JIS K 7136(2000)に準拠した、光源D65で測定される外部ヘイズは、好ましくは5%以上、より好ましくは6%以上、最も好ましくは7%以上であり、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、最も好ましくは40%以下である。電子部品包装用カバーテープの外部ヘイズを上記上限値以下とすることにより、電子部品包装用カバーテープ10とキャリアテープとからなる包装体において、上記キャリアテープのポケット内に電子部品が正しく収容されているか否かを検査することができる程度の透明性を付与することができる。
本実施形態では、たとえば電子部品包装用カバーテープを構成する基材層1、中間層2、シーラント層3に含まれる各成分の種類、性質や配合量、電子部品包装用カバーテープの作製方法等の条件を適切に選択することにより、上記電子部品包装用カバーテープの60℃におけるタック力を制御することが可能となる。
また本実施形態では、シーラント層3に特定の範囲のガラス転移温度を有する(A)接着性樹脂を用いることに加え、さらに他の条件を工夫することにより、上記ポリスチレン製フィルムとカバーテープの不要な接着を抑制し、基材層1の表面抵抗値、シーラント層3の表面抵抗値、全光線透過率、および外部ヘイズのうち1つまたは2つ以上を制御することが可能となる。これにより、電子部品包装用カバーテープにおいて、カバーテープとキャリアテープを貼り合わせて包装体とした場合の輸送中に、ヒートシールで接着した部分以外の箇所において、カバーテープとキャリアテープの接着の発生を抑制でき、剥離時の静電気を抑制し、さらに外部から電子部品を視認することができる程度の透明性を付与することができる。
<電子部品包装用カバーテープの製造方法>
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープの製造方法の一例について説明する。
まず、基材層1の表面に中間層2を形成する。中間層2の形成は、例えば、押出ラミネート法やドライラミネート法により形成できる。次に、中間層2の上に、所定の材料を用いてシーラント層塗布液を作成し、コーティング法により塗布し乾燥させる、または押出ラミネート法により積層することによって、シーラント層3を形成する。
シーラント層塗布液の作成方法としては、(A)接着性樹脂の水分散体と、(B)帯電防止剤の水分散体とを混合する方法と、(A)接着性樹脂と(B)帯電防止剤とを溶剤により混合する方法が挙げられる。(A)接着性樹脂および(B)帯電防止剤の種類に応じていずれかの方法が選択される。
また上述した接着層を形成する場合には、従来公知の塗布方法によって、対象となる層の面に接着層の材料を塗布すればよい。
本実施形態に係る電子部品包装用カバーテープは、キャリアテープに貼りつけ包装体として用いることができる。即ち、電子部品を収納する複数の収納部を有するキャリアテープと、上記収納部に収納された電子部品と、上記収納部を覆うように配置された、上記電子部品包装用カバーテープと、を備える包装体とすることが好ましい。
このような包装体であれば、静電気の発生を抑制することができ、収納部に収納された電子部品をより確実に静電気から保護することができる。
<電子部品包装体>
上記で説明した本実施形態の電子部品包装用カバーテープと、電子部品が凹部に収容されたキャリアテープとから、電子部品包装体を得ることができる。これについて図2を参照しつつ説明する。
図2において、電子部品包装用カバーテープ10は、電子部品の形状に合わせて凹状のポケット21が連続的に設けられた帯状のキャリアテープ20の蓋材として用いられている。
具体的には、電子部品包装用カバーテープ10は、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面に接着(通常、ヒートシール)される。なお、以降、電子部品包装用カバーテープ10と、キャリアテープ20とを接着して得られた構造体のことを、電子部品包装体100と称する。
電子部品包装体100は、例えば、以下の手順で作製することができる。
まず、キャリアテープ20のポケット21内に電子部品を収容する。
次いで、キャリアテープ20のポケット21の開口部全面を覆うように、キャリアテープ20の表面に電子部品包装用カバーテープ10をヒートシール法により接着する。この際、電子部品包装用カバーテープ10におけるシーラント層3がキャリアテープ20と接するようにする(つまり、図2における電子部品包装用カバーテープ10の「裏面」がシーラント層3となるようにしてヒートシールを行う)。
ヒートシールの具体的なやり方や条件は、電子部品包装用カバーテープ10がキャリアテープ20に十分強く接着する限り特に限定されない。典型的には、公知のヒートシール機を用い、温度100~240℃、荷重0.1~10kgf、時間0.0001~1秒の範囲内で行うことができる。
以上により、電子部品が密封収容された構造体(電子部品包装体100)が得られる。
この構造体(電子部品包装体100)は、例えば、リールに巻かれ、その後、電子部品を電子回路基板等に実装する作業領域まで搬送される。リールの素材は、金属製、紙製、プラスチック製などであることができる。
電子部品包装体100が作業領域まで搬送された後、電子部品包装用カバーテープ10をキャリアテープ20から剥離し、収容された電子部品を取り出す。
なお、電子部品包装体100内に収容される電子部品は、特に限定されない。半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、コンデンサ、圧電素子、光学素子、LED関連部材、コネクタ、電極など、電気・電子機器の製造に用いられる部品全般を挙げることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に述べたが、これらは本発明の例示である。また、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態を、実施例及び比較例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表1および表2に示されるシーラント層の各構成材料は、以下のものである。
(接着性樹脂)
・樹脂1:スチレン系樹脂(旭化成社製 「L8900」)
・樹脂2:エステル系樹脂(ユニチカ社製「エリーテル KA-3556」)
・樹脂3:アクリル系樹脂(三菱ケミカル社製 「MB-2660」)
・樹脂4:アクリル系樹脂(星光PMC社製 「US-1071」)
・樹脂5:アクリル系樹脂(楠本化成社製 「B―811」)
・樹脂6:スチレン系樹脂(旭化成社製 「L1432」)
・樹脂7:アクリル系樹脂(ダイセル・オルネクス社製 「VSC6828w」)
・樹脂8:エステル系樹脂(ユニチカ社製「エリーテル KA-0134」)
・樹脂9:アクリル系樹脂(星光PMC社製、X-310」)
・樹脂10:アクリル系樹脂(星光PMC社製、TE-1048」)
(帯電防止剤)
・帯電防止剤1:アンチモンドープ酸化スズ(三菱マテリアル社製 「T-1」)
・帯電防止剤2:ポリチオフェン誘導体(PEDOT:PSS)(Heraeus社製 「Clevios P1000」)
・帯電防止剤3:ポリチオフェン誘導体 (信越ポリマー社製セプルジーダSAS-16)
<実施例1>
厚さ12μmの帯電防止ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製「E7455」)に、アンカーコート剤をグラビアコーティングでウエット4μm塗布し、100℃で乾燥させた。その後、低密度ポリエチレン(住友化学社製「スミカセンL705」37μ厚)を押し出しラミネートし、冷却ロール(表面温度20℃)にて冷却した。このようにして、基材層および中間層からなる積層フィルムを作製した。
得られた積層フィルムの中間層側の面上に、表1に示す配合の成分をグラビアコーティング法により、膜厚0.5μmとなるように製膜した。このようにしてシーラント層を設けた。
カバーテープ全体の厚みを、表1および表2に示す。
<実施例2~6および比較例1~5>
表1および表2に記載の配合に従って、実施例1と同様の方法にて電子部品包装用カバーテープを作成した。
<ガラス転移温度>
実施例、比較例で使用した上記接着性樹脂について、示差走査熱量計(DSC)(日立ハイテクサイエンス社製、「DSC7000X」)を用いて、昇温条件10℃/minにて0℃~200℃まで温度上昇させ、窒素雰囲気下条件にて、ガラス転移温度(℃)を測定した。
<60℃でのタック力>
接触面積20mmのステンレス鋼材(SUS304)を、接触速さ30mm/分でカバーテープのシーラント層に押し付け、測定温度60℃、接触荷重25Nで20秒間保持した後に600mm/分の速度で引き剥がす際の単位面積あたりの荷重を、RHESCA社製のタッキング試験機TAC0-1000を用いて測定し、60℃におけるタック力(N/cm)とした。なお、上記ステンレス鋼材は、タッキング試験機に付属のものである。
<耐付着性試験>(接着痕の長さの測定)
上記で得られた電子部品包装用のカバーテープを幅10.0mmの寸法にして、当該カバーテープのシーラント層側と、幅8.0mmの寸法の、凹凸面の平均表面粗さ(Ra)が0.25μmであるポリスチレン製フィルム(住友ベークライト社製「CEL-E980A」)の凹凸面側とを貼り合わせ、サンプルとした。カバーテープの上面に幅0.5mm、長さ32.0mm、重さ46.0gのシールコテを置いて、60℃90%RHの条件下で24時間置いた。その後、ポリスチレン製フィルムについた接着痕(光沢がみられる)における、ポリスチレン製フィルムの長さ方向の寸法を、ポリスチレン製フィルムについた接着痕の長さとして測定した。ちなみに、「接着痕の長さ」とは、接着痕が断続的に(途切れ途切れに)観察される場合には、それぞれの接着痕の合計長さを意味する。
この接着痕が短いほど、カバーテープにおけるキャリアテープとヒートシールされていない部分がキャリアテープに接着してしまうこと(意図しない接着)が抑えられていると言える。
<ヒートシール試験:ポリスチレン製フィルムに対する170°剥離強度>
上記で得られた各電子部品包装用カバーテープを幅5.5mmの寸法にして、当該電子部品包装用カバーテープのシーラント層側と、幅8mmの寸法の、凹凸面の平均表面粗さ(Ra)が0.25μmであるポリスチレン製フィルム(住友ベークライト社製 「CEL-E980A」)の上記凹凸面側とを貼り合わせた。貼り合わせたものを、片刃が幅0.4mm、長さ28mmの寸法の二本刃アイロンを用いて、シール温度180℃、荷重5kgf、シール時間60ミリ秒間、キャリアテープ送りピッチ4mm、2列・7度打ちの条件でヒートシール機(東京ウエルズ社製 「TWA-6621」)を用いてヒートシールし、サンプルとした。得られたサンプルを用いて、電子部品包装用カバーテープの上記ポリスチレン製フィルムに対するヒートシール直後の剥離強度(N)を測定した。なお、剥離強度の測定は、剥離試験機(EPI社製 「PTS-5000」)を用いて、剥離速度300mm/min、剥離角度170°、測定温度25℃の条件で行った。結果を表1および表2に示す。
なお、ポリスチレン製フィルムの表面粗さ(Ra)は、上記で使用したポリスチレン製フィルムにおける上記電子部品包装用カバーテープと貼り合わせる部分について、上記電子部品包装用カバーテープと貼り合わせる前に、JIS B 0601(2001)に準拠して、表面粗さ測定器(Mitutoyo社製 「SJ-210」)を用いて測定した。
<ヒートシール後サンプルを60℃保管および60℃90%RH保管する試験:ポリスチレン製フィルムに対する170°剥離強度>
前述の、<ヒートシール試験:ポリスチレン製フィルムに対する170°剥離強度>で得られたサンプルを、60℃(0%RH~20%RH)環境または60℃90%RH環境に30日間置き、それぞれ60℃保管サンプル、60℃90%RH保管サンプルとした。60℃保管サンプルおよび60℃90%RH保管サンプルを用いて、前述の<ヒートシール試験:ポリスチレン製フィルムに対する170°剥離強度>に記載の条件と同様に、170°剥離強度(N)を測定し、それぞれ、P1(N)、P2(N)とした。また、前述の電子部品包装用カバーテープのポリスチレン製フィルムに対するヒートシール直後の剥離強度(N)をP(N)とした。P、P1、P2の値から、以下の式(1)および(2)により、60℃保管後の170°剥離強度の変化率(絶対値)および60℃90%RH保管後の170°剥離強度の変化率(絶対値)を算出した。
60℃30日保管後における初期剥離強度からの変化率(絶対値)(%):|((P1-P)/P)×100|・・・(1)
60℃90%RH30日保管後における初期剥離強度からの変化率(絶対値)(%):|((P2-P)/P)×100|・・・(2)
|((P1-P)/P)×100|および|((P2-P)/P)×100|の値を表1および2に示す。
<基材層の表面抵抗値>
上記で得られた電子部品包装用カバーテープの基材層表面における表面抵抗値(Ω)を、SIMCO社製の表面抵抗測定器(SIMCO社製 「ST-3」)を用いて、25℃50%RH環境下にて測定した。結果を表1に示す。
なお、表1および表2に記載の、たとえば実施例1の「5.E+10」は、「5×1010」を表す。
<シーラント層の表面抵抗値>
上記で得られた電子部品包装用カバーテープのシーラント層表面における表面抵抗値(Ω)を、SIMCO社製の表面抵抗測定器(SIMCO社製 「ST-3」)を用いて、25℃50%RH環境下にて測定した。結果を表1に示す。
なお、表1および表2に記載の、たとえば実施例1の「1.E+07」は、「1×10」を表す。
<全光線透過率>
上記で得られた電子部品包装用カバーテープの全光線透過率(%)を、JIS K 7361-1(1997)に準拠し、日本電飾工業社製のHaze Meter NDH 2000を用いて、光源D65にて測定した。結果を表1および表2に示す。
<外部ヘイズ>
上記で得られた電子部品包装用カバーテープの外部ヘイズ(%)を、JIS K 7136(2000)に準拠し、日本電飾工業社製のHaze Meter NDH 2000を用いて、光源D65にて測定した。結果を表1および表2に示す。
Figure 2023055870000002
Figure 2023055870000003
実施例1~6においては、耐付着性試験(接着痕の長さ)で評価される耐付着性が良好であり、ポリスチレン製フィルムに対する170°剥離強度で評価されるヒートシール強度が適当な電子部品包装用カバーテープが得られた。また、実施例1~6においては、60℃保管後、および60℃90%RH保管後の剥離強度の経時変化率が小さかった。
一方、比較例1~5は、(A)接着性樹脂のガラス転移温度が60℃以下であったか、または120℃超であったため、実施例に比べて劣る結果であった。また、比較例1~5においては、60℃保管後、および60℃90%RH保管後の剥離強度の経時変化率が大きかった。
1 基材層
2 中間層
3 シーラント層
10 カバーテープ
20 キャリアテープ
21 ポケット
100 電子部品包装体

Claims (10)

  1. 基材層と、
    中間層と、
    シーラント層と、
    をこの順に有する電子部品包装用カバーテープであって、
    前記シーラント層は(A)接着性樹脂を含み、
    前記(A)接着性樹脂の、以下<ガラス転移温度の測定方法>に従って測定されるガラス転移温度が、60℃より大きく、120℃以下であり、
    前記シーラント層の、以下<タック力の測定方法>にて測定されるタック力が、0N/cm以上5.0N/cm以下である、電子部品包装用カバーテープ。
    <ガラス転移温度の測定方法>
    前記(A)接着性樹脂のガラス転移温度(℃)を、示差走査熱量計(DSC)を使用し、昇温条件10℃/minにて0℃~200℃まで温度上昇させ、窒素雰囲気下条件にて測定する。
    <タック力の測定方法>
    接触面積20mmのステンレス鋼材を、接触速さ30mm/分で当該電子部品包装用カバーテープの前記シーラント層に押し付け、測定温度60℃、接触荷重25Nで20秒間保持した後に600mm/分の速度で引き剥がす際の単位面積あたりの荷重の測定値を、60℃におけるタック力(N/cm)とする。
  2. 請求項1に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
    前記シーラント層の前記(A)接着性樹脂は、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂およびエステル系樹脂のいずれかを少なくとも一つ以上を含む、電子部品包装用カバーテープ。
  3. 請求項1又は2に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
    前記シーラント層は、(B)帯電防止剤をさらに含む、電子部品包装用カバーテープ。
  4. 請求項3に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
    前記(B)帯電防止剤は、アンチモンドープ酸化錫、リンドープ酸化錫、フッ素ドープ酸化錫および導電性高分子からなる群のうち1種以上を含む、電子部品包装用カバーテープ。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
    以下<耐付着性試験>にて評価された場合にポリスチレン製フィルムについた接着痕の長さが0mm以上15mm以下である、電子部品包装用カバーテープ。
    <耐付着性試験>
    当該電子部品包装用カバーテープを幅10.0mmの寸法にして、当該カバーテープのシーラント層側と、幅8.0mmの寸法の、凹凸面の平均表面粗さ(Ra)が0.25μmであるポリスチレン製フィルムの前記凹凸面側とを貼り合わせ、サンプルとする。当該サンプルのカバーテープの上面に幅0.5mm、長さ32.0mm、重さ46.0gのシールコテを置いて60℃90%RHの条件下で24時間静置する。静置後、ポリスチレン製フィルムについた接着痕において、ポリスチレン製フィルムの長さ方向における寸法を、ポリスチレン製フィルムについた接着痕の長さとして測定する。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
    25℃、50%RHで測定した前記基材層の表面における表面抵抗値が1.0×10Ω以上1.0×1013Ω以下である、電子部品包装用カバーテープ。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
    25℃、50%RHで測定した前記シーラント層の表面における表面抵抗値が1.0×10Ω以上1.0×1012Ω以下である、電子部品包装用カバーテープ。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
    JIS K 7361-1(1997)に準拠した、光源D65で測定される全光線透過率が70%以上95%以下である、電子部品包装用カバーテープ。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープであって、
    JIS K 7136(2000)に準拠した、光源D65で測定される外部ヘイズが5%以上50%以下である、電子部品包装用カバーテープ。
  10. 電子部品が凹部に収容されたキャリアテープと、
    請求項1~9のいずれか1項に記載の電子部品包装用カバーテープと、を有し、
    前記電子部品を封止するように前記シーラント層側が前記キャリアテープに接着された電子部品包装体。
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