JP2023055648A - 光配向方式の液晶配向膜を形成するための光配向用液晶配向剤、液晶配向膜、およびこれを用いた液晶素子 - Google Patents

光配向方式の液晶配向膜を形成するための光配向用液晶配向剤、液晶配向膜、およびこれを用いた液晶素子 Download PDF

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剛史 尾崎
Takeshi Ozaki
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Abstract

【課題】長時間強い光に晒されても、高い電圧保持率が維持されて表示品位が低下しない液晶表示素子を形成できる液晶配向膜を提供すること、そのような液晶配向膜を形成できる液晶配向剤を提供すること。【解決手段】テトラカルボン酸誘導体とジアミン類を反応させてなるポリマーである、ポリマー(K)およびポリマー(L)を含む光配向用液晶配向剤であって、前記ポリマー(K)の原料組成物は、光反応性構造を有する化合物を含み、かつ、式(1)で表される化合物を含まず;そして、前記ポリマー(L)の原料組成物は、式(1)で表される化合物の少なくとも1つを含み、かつ、光反応性構造を有する化合物を含まない。TIFF2023055648000169.tif2382【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜およびこれを用いた液晶素子に関する。詳しくは、光配向方式の液晶配向膜(以降、光配向膜と略記することがある)を形成するための光配向用液晶配向剤(以降、液晶配向剤と略記することがある)、この液晶配向剤を用いて形成される光配向方式の液晶配向膜、そして、この液晶配向膜を有する液晶表示素子に関する。
素子内の液晶層の配向状態を制御または変調することで、素子内に入射した電磁波に屈折、散乱、反射等の光学現象を起こさせることができる液晶素子が知られている。具体的には、下記液晶表示素子の他に、液晶アンテナ、調光窓、光学補償材、可変移相器が知られている。
液晶表示素子として、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、垂直配向型のVA(Multi-domain Vertical Alignment)モード等、様々な駆動方式のものが知られている。これらの液晶表示素子は、テレビ、携帯電話等、各種電子機器の画像表示装置に応用されており、さらなる表示品位の向上を目指して開発が進められている。具体的には、液晶表示素子の性能の向上は、駆動方式、素子構造の改良のみならず、素子に使用される構成部材によっても達成される。そして、液晶表示素子に使用される構成部材のなかでも、特に液晶配向膜は表示品位に係わる重要な材料の1つであり、液晶表示素子の高品位化の要求に応えるべく、この液晶配向膜についても盛んに研究が進められている。
ここで、液晶配向膜は、液晶表示素子の液晶層の両側に設けられた一対の基板上に、該液晶層に接して設けられ、液晶層を構成する液晶分子を、基板に対して一定の規則性を持って配向させる機能を有する。液晶配向性の高い液晶配向膜を用いることにより、コントラストが高く、残像特性が改善された液晶表示素子を実現することができる(例えば、特許文献1および2参照)。
こうした液晶配向膜の形成には、現在、ポリアミック酸、可溶性のポリイミドまたはポリアミック酸エステルを有機溶剤に溶解させた溶液(ワニス)が主に用いられている。これらのワニスにより液晶配向膜を形成するには、ワニスを基板に塗布した後、加熱等により塗膜を固化してポリイミド系液晶配向膜を形成し、必要に応じて前述の表示モードに適する配向処理を施す。配向処理方法としては、布などで配向膜の表面を擦ってポリマー分子の方向を整えるラビング法と、配向膜に直線偏光の紫外線を照射することにより、ポリマー分子に光異性化や二量化等の光化学変化を起こさせて膜に異方性を付与する光配向法が知られており、このうち光配向法は、ラビング法に比べて配向の均一性が高く、また、非接触の配向処理法であるため膜に傷が付かないことや、発塵や静電気等の液晶表示素子の表示不良を発生させる原因を低減できる等の利点がある。
こうした光配向法を用いた液晶配向膜として、例えば、特許文献1~6には、原料としてジアミノアゾベンゼン等を用い、光異性化の技術を応用することで、アンカリングエネルギーが大きく、液晶配向性が良好な光配向膜を得たことが記載されている。
特開2010-197999号公報 国際公開第2013/157463号 特開2005-275364号公報 特開2007-248637号公報 特開2009-069493号公報 国際公開第2015/016118号
近年、高品位な液晶表示素子の要求はますます高まっており、高い電圧保持率(VHR)を長期に渡り維持できる信頼性などが求められている。高い電圧保持率を維持することは、表示品位の低下を抑制するために重要である。一方で、屋外での使用を考慮して、光源となるバックライトの輝度を以前のものよりも高くすることも求められている。そのような高輝度バックライトに晒される状況においては、光に対するVHR信頼性を高めることが重要であり、ラビング配向膜にくらべて一般的に電気特性が劣る光配向膜においては、特に重要な課題となっている。
そこで本発明者は、長時間強い光に晒されても、高い電圧保持率が維持されて表示品位が低下しない液晶表示素子を形成できる液晶配向膜を提供すること、そのような液晶配向膜を形成できる液晶配向剤を提供することを目的として鋭意検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者は、式(1)で表される化合物を用いることで、高い電圧保持率を維持する配向膜が得られること、そして、この配向膜を用いることで、表示品位に優れた液晶表示素子を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は以下の構成を含む。
[1] テトラカルボン酸誘導体とジアミン類を反応させてなるポリマーである、ポリマー(K)およびポリマー(L)を含む光配向用液晶配向剤であって、
前記ポリマー(K)の原料組成物は、光反応性構造を有する化合物を含み、かつ、式(1)で表される化合物を含まず;そして、
前記ポリマー(L)の原料組成物は、式(1)で表される化合物の少なくとも1つを含み、かつ、光反応性構造を有する化合物を含まない、光配向用液晶配向剤。
Figure 2023055648000001

式(1)中、Aは独立して、-CHまたは-OCHであり、a1は独立して、0~2の整数であり、
Xは、式(A)、式(B)、または式(C)で表される2価の基であり、

Figure 2023055648000002

式(A)において、*は結合手であり、式(1)における2つの-NH-との結合位置を表し、Aは独立して、-CHまたは-OCHであり、a2は独立して、0~2の整数であり、nは、1~10の整数であり、

Figure 2023055648000003

式(B)において、*は結合手であり、式(1)における2つの-NH-との結合位置を表し、Aは独立して、-CHまたは-OCHであり、a3は独立して、0~2の整数であり、

Figure 2023055648000004
式(C)において、*は結合手であり、式(1)における2つの-NH-との結合位置を表し、mは、0~3の整数であり、
式(1)、式(A)および式(B)において環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合可能な炭素のいずれかと結合できることを示すが、式(1)において、Xが式(A)または式(B)で表される2価の基であるときは、ベンゼン環上の-NHの結合位置は独立して、-NH-と連結する炭素を基準にしてメタ位またはパラ位である。
[2] 前記式(1)で表される化合物が、式(1A-1)~式(1A-6)で表される化合物の少なくとも1つである、[1]に記載の光配向用液晶配向剤。

Figure 2023055648000005

[3] 前記式(1)で表される化合物が、式(1B-1)~式(1B-3)で表される化合物の少なくとも1つである、[1]に記載の光配向用液晶配向剤。

Figure 2023055648000006

[4] 前記式(1)で表される化合物が、式(1C-1)および式(1C-2)で表される化合物の少なくとも1つである、[1]に記載の光配向用液晶配向剤。

Figure 2023055648000007


[5] 前記光反応性構造による光反応が、光異性化、光フリース転位、光分解、および光二量化のうち少なくとも1つである、[1]~[4]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。
[6] 前記ポリマー(K)の原料組成物に含まれる光反応性構造を有する化合物が、式(2)で表される化合物の少なくとも1つである、[1]~[5]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。

Figure 2023055648000008

式(2)において、Xは炭素数1~12のアルキレン基であり、前記アルキレン基において隣り合わない1つ以上の-CH-は-O-または-NH-で置き換えられていてもよく、
およびRはそれぞれ独立して、水素原子、-CH、-OCH、-CF、-F、-COOCH、または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基であり、
はそれぞれ独立して、水素原子、-CH、-OCH、-CF、-F、または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基であり、jは、0または1であり、a~cはそれぞれ独立に、0~2の整数であり、

Figure 2023055648000009

式(P1-1)および式(P1-2)において、R6a、R7a、およびR8aは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し、*は結合手であり、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表し、
式(2)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合可能な炭素のいずれかと結合できることを示す。
[7] 前記式(2)で表される化合物が、式(2-1)~式(2-3)で表される化合物の少なくとも1つである、[6]に記載の光配向用液晶配向剤。

Figure 2023055648000010

式(2-1)において、R1aおよびR1cは、それぞれ独立して、水素原子または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基を表し、
式(2-2)において、R2aおよびR2bは、それぞれ独立して、水素原子または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基を表し、R2cは、それぞれ独立して水素原子、-CH、-OCH、-CF、または-Fであり、Xは、炭素数1~12のアルキレン基であり、前記アルキレン基において隣り合わない1つ以上の-CH-は-O-または-NH-で置き換えられていてもよく、kは、0~2の整数であり、
式(2-3)において、R3aは、水素原子または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または-Fであり、RおよびRが同時に水素原子となることはなく、R3cは、それぞれ独立して水素原子、-CH、-OCH、-CF、または-Fであり、Xは、炭素数1~12のアルキレン基であり、前記アルキレン基において、隣り合わない1つ以上の-CH-は-O-または-NH-で置き換えられていてもよく、mは、0~2の整数であり、

Figure 2023055648000011

式(P1-1)および式(P1-2)において、R6a、R7a、およびR8aは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し、*は結合手であり、式(2-1)、式(2-2)、または式(2-3)におけるベンゼン環への結合位置を表し、
式(2-1)、式(2-2)、および式(2-3)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合可能な炭素のいずれかと結合できることを示す。
[8] 前記ポリマー(K)の原料組成物に含まれる光反応性構造を有する化合物が、式(3)で表される化合物の少なくとも1つである、[1]~[5]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。

Figure 2023055648000012


式(3)において、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基を表し、RとRは、一体となってメチレン基を形成してもよく、Xはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基を表し、nは独立して、0~4の整数を表す。
[9] さらに、添加剤を含む、[1]~[8]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤。

[10] 前記添加剤が、オキサゾリン化合物およびエポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、[9]に記載の光配向用液晶配向剤。
[11] [1]~[10]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤から形成される液晶配向膜。
[12] [11]に記載の液晶配向膜を有する液晶素子。
[13] [1]~[10]のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤を基板に塗布する工程と、その塗膜に偏光紫外線を照射する工程とを含む、液晶配向膜の製造方法。
本発明の液晶配向剤を使用することにより、高い電圧保持率が維持される液晶配向膜を得ることができる。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。本発明における「液晶配向剤」は、その膜を基板上に形成したとき、偏光紫外線を照射することで異方性を付与することができる液晶配向剤であり、本明細書中では単に「液晶配向剤」ということもあれば、「光配向用液晶配向剤」ということもある。また、本発明において「テトラカルボン酸誘導体」とは、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルまたはテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物を指す。また本発明においては、ジアミンおよびジヒドラジドを「ジアミン類」と称することもある。
<本発明の光配向用液晶配向剤>
本発明の光配向用液晶配向剤は下記のポリマー(K)の少なくとも1つと下記のポリマー(L)の少なくとも1つを含む。ポリマー(K)は、合成するのに用いられる原料モノマーに、光反応性構造を有する化合物の少なくとも1つを含み、かつ、式(1)で表される化合物を含まないポリマーである。また、ポリマー(L)は、合成するのに用いられる原料モノマーに、式(1)で表される化合物の少なくとも1つを含み、かつ、光反応性構造を有する化合物を含まないポリマーである。ポリマー(K)およびポリマー(L)それぞれを、本発明のポリマーということがある。
<式(1)で表される化合物>
本発明の液晶配向剤に含まれるポリマー(L)に使用される、式(1)で表される化合物について説明する。

Figure 2023055648000013

式(1)中、Aは独立して、-CHまたは-OCHであり、a1は独立して、0~2の整数であり、Xは、式(A)、式(B)、または式(C)で表される2価の基である。

Figure 2023055648000014

式(A)において、*は結合手であり、式(1)における2つの-NH-との結合位置を表し、Aは独立して、-CHまたは-OCHであり、a2は独立して、0~2の整数であり、nは、1~10の整数である。

Figure 2023055648000015

式(B)において、*は結合手であり、式(1)における2つの-NH-との結合位置を表し、Aは独立して、-CHまたは-OCHであり、a3は独立して、0~2の整数である。

Figure 2023055648000016
式(C)において、*は結合手であり、式(1)における2つの-NH-との結合位置を表し、mは、0~3の整数である。
式(1)、式(A)、および式(B)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合可能な炭素のいずれかと結合できることを示すが、式(1)において、Xが式(A)または式(B)で表される2価の基であるときは、ベンゼン環上の-NHの結合位置は独立して、-NH-と連結する炭素を基準にしてメタ位またはパラ位である。
式(1)で表される化合物はジフェニルアミン構造を有する化合物である。本発明のポリマー(L)に用いるジアミン類は、式(1)で表される化合物の少なくとも1つを含む。
式(1)で表される化合物をポリマー(L)の原料に用いることにより、長時間強い光に晒されても高い電圧保持率を維持した液晶表示素子を形成できる。理由は必ずしも明らかではないが、下記のように考えられる。
ジフェニルアミン構造はラジカルを捕捉する機能を有すると考えることができる。液晶表示素子を長時間光に晒すと、ポリマーの劣化等によりラジカルが発生し、これが電圧保持率の低下に繋がる一因となっていることが考えられる。式(1)のジフェニルアミン構造は、発生したラジカルを捕捉することができ、これにより高い電圧保持率の維持が可能となる。
ポリマー(L)における式(1)で表される化合物の含有量は、モノマー中のジアミン全量に対して10モル%~100モル%であることが好ましく、20モル%~100モル%であることがより好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例を以下に挙げる。

Figure 2023055648000017


Figure 2023055648000018


Figure 2023055648000019
これらの化合物の中でも、式(1A-1)~式(1A-4)、式(1B-1)、式(1B-2)、式(1C-2)で表される化合物が好ましい。
<光反応性構造を有する化合物>
本発明の液晶配向剤に含まれるポリマー(K)の原料として使用される、光反応性構造を有する化合物について説明する。本明細書において光反応性構造とは、光反応性構造に対応する固有の波長帯を含む光を照射することで光反応を起こす構造を指す。光反応の例として、光異性化、光フリース転位、光分解、および光二量化が挙げられる。光反応性構造を有する化合物を原料として用いることで、光反応性構造をポリマーに組み込むことができる。また、本明細書内で光反応性構造を有する化合物として挙げられているものは、液晶配向剤から配向膜を形成する過程において、当該光反応性構造に対応する固有の波長帯を含む光を照射しない場合は、光反応性構造を有さない化合物として原料に使用することもできる。
本発明の光配向用液晶配向剤は、液晶配向膜を形成させる過程で光配向用液晶配向剤の塗膜に所定の波長の偏光を照射すると、その偏光方向と概ね平行にあるポリマー主鎖の光反応性構造が光反応を起こして、ポリマー鎖のうちで特定の方向(照射した光の偏光方向に対して概ね直角方向)を向いた成分が支配的となり、塗膜に異方性が付与される。この、ポリマー鎖のうちで特定の方向を向いた成分が支配的になった状態を、ポリマー鎖が配向したと表現する。この塗膜を焼成して形成した光配向膜を液晶表示素子に用いると、配向した膜の表面と液晶分子の相互作用の結果、液晶分子が一定方向(照射した光の偏光方向に対して概ね直角方向)に長軸を揃えて配向する。
<光異性化反応を起こす構造>
本発明における光異性化反応を起こす構造の例として、アゾベンゼン骨格を有する構造が挙げられる。本明細書においてアゾベンゼン骨格を有する構造とは、下記式(D)で表される構造を意味する。

Figure 2023055648000020

式(D)において、*は結合手であり、結合手のベンゼン環に対する結合位置はそれぞれ独立して、その環における結合可能な炭素のいずれかであり、ベンゼン環の置換可能な水素原子は置換基で置き換えられていてもよい。置換基の具体的な例は、下記式(2)の対応する基(R、R)を参照することができる。
本発明の光配向用液晶配向剤に含まれるポリマー(K)に使用される光異性化反応を起こす構造を有する化合物は、具体的には式(2)で表される化合物である。

Figure 2023055648000021

式(2)において、Xは、炭素数1~12のアルキレン基であり、前記アルキレン基において、隣り合わない1つ以上の-CH-は-O-または-NH-で置き換えられていてもよく、
およびRはそれぞれ独立して、水素原子、-CH、-OCH、-CF、-F、-COOCH、または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基であり、Rはそれぞれ独立して水素原子、-CH、-OCH、-CF、-F、または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基であり、jは、0または1であり、a~cはそれぞれ独立に、0~2の整数であり、

Figure 2023055648000022

式(P1-1)および式(P1-2)において、R6a、R7a、およびR8aは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し、R6a、R7a、およびR8aは、互いに同一であっても異なっていてもよく、*は結合手であり、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表し、
式(2)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合可能な炭素のいずれかと結合できることを示す。
式(P1-1)および式(P1-2)において、R6a、R7a、およびR8aにおけるアルキル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アルキル基の好ましい炭素数は1~10であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~4であり、さらにより好ましくは1~3である。アルキル基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1-メチルペンチル基、1-エチルブチル基等を例示することができる。
6a、R7a、およびR8aにおけるアルカノイル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アルカノイル基の好ましい炭素数は1~10であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~2であり、さらにより好ましくは1である。アルカノイル基の具体例として、メタノイル基、エタノイル基、プロパノイル基、イソプロパノイル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、sec-ブタノイル基、tert-ブタノイル基、ペンタノイル基、イソペンタノイル基、ネオペンタノイル基、tert-ペンタノイル基、1-メチルブタノイル基、1-エチルプロパノイル基、ヘキサノイル基、イソヘキサノイル基、1-メチルペンタノイル基、1-エチルブタノイル基等を例示することができる。
6a、R7a、およびR8aにおけるアルコキシカルボニル基は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであってもよい。アルコキシカルボニル基の好ましい炭素数は1~10であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~3であり、さらにより好ましくは2である。アルコキシカルボニル基の具体例として、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、1-メチルブチルオキシカルボニル基、1-エチルプロピルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、1-メチルペンチルオキシカルボニル基、1-エチルブチルオキシカルボニル基等を例示することができる。
6a、R7a、およびR8aにおけるアリールカルボニル基のアリール基は、単環であっても縮合環であってもよい。アリール基の好ましい炭素数は6~22であり、より好ましくは6~14であり、さらに好ましくは6~10である。アリール基の具体例として、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等を例示することができる。アリールカルボニル基の具体例として、フェニルカルボニル基、1-ナフチルカルボニル基等を例示することができる。
6a、R7a、およびR8aにおけるアルキル基、アルカノイル基およびアリールカルボニル基は、それぞれ置換基で置換されていてもよい。置換基として、水酸基、アミノ基、ハロゲノ基等を挙げることができる。
これらのうちで、最終的に製造される液晶配向膜の性能を良好にできる点から、R6a、R7aおよびR8aは、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、水素原子、メタノイル基、フェニル基であることが好ましい。
式(2)で表される化合物は、具体的には、下記の式(2-1)~式(2-3)で表される化合物である。

Figure 2023055648000023

式(2-1)において、R1aおよびR1cは、それぞれ独立して、水素原子、式(P1-1)または式(P1-2)で表される1価の基を表し、
式(2-2)において、R2aおよびR2bは、それぞれ独立して、水素原子、式(P1-1)または式(P1-2)で表される1価の基を表し、R2cは、それぞれ独立して水素原子、-CH、-OCH、-CF、または-Fであり、Xは、炭素数1~12のアルキレン基であり、前記アルキレン基において、隣り合わない1つ以上の-CH-は、-O-または-NH-で置き換えられていてもよく、kは、0~2の整数であり、
式(2-3)において、R3aは、水素原子、式(P1-1)または式(P1-2)で表される1価の基を表し、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子または-Fであり、RおよびRが同時に水素原子となることはなく、R3cは、それぞれ独立して、水素原子、-CH、-OCH、-CF、または-Fであり、Xは、炭素数1~12のアルキレン基であり、前記アルキレン基において、隣り合わない1つ以上の-CH-は、-O-または-NH-で置き換えられていてもよく、mは、0~2の整数であり、

Figure 2023055648000024

式(P1-1)および式(P1-2)において、R6a、R7a、およびR8aは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し、R6a、R7a、およびR8aは互いに同一であっても異なっていてもよく、*は結合手であり、式(2-1)、式(2-2)、および式(2-3)におけるベンゼン環への結合位置を表し、
式(2-1)、式(2-2)、および式(2-3)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合可能な炭素のいずれかと結合できることを示す。
式(2-1)~式(2-3)の式(P1-1)および式(P1-2)において、R6a、R7a、およびR8aにおけるアルキル基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、およびこれらの基に置換しうる置換基についての説明と好ましい範囲、具体例に関しては、式(2)の式(P1-1)および式(P1-2)におけるR6a、R7a、およびR8aにおける記載を参照することができる。
式(2-1)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。

Figure 2023055648000025

式(2-1-2)において、R6aは、炭素数1~4のアルキル基である。
式(2-2)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。

Figure 2023055648000026

式(2-2-1)~式(2-2-6)において、R6aは、炭素数1~4のアルキル基であり、lは、1~10の整数であり、mは、1~11の整数である。
式(2-3)で表される化合物の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。

Figure 2023055648000027

式(2-3-1)および式(2-3-2)において、lは、1~10の整数である。
形成された液晶配向膜の透明性を重視する場合には式(2-1-2)、式(2-1-3)、式(2-2-3)、式(2-2-4)、式(2-2-5)、および式(2-2-6)からなる群から選択される化合物のいずれか1つ以上を用いることが好ましく、式(2-1-2)または式(2-1-3)がより好ましく、式(2-1-2)においてR6aがエチル基の化合物が特に好ましい。
配向処理時において、少ないエネルギー量においても良好な残像特性を有する素子を形成可能な液晶配向膜(つまり感度の高い液晶配向剤)を得ることを重視する場合には、式(2-1-2)、式(2-1-3)、式(2-2-3)、式(2-2-4)、式(2-2-5)、式(2-2-6)、式(2-3-1)、および式(2-3-2)からなる群から選択される化合物のいずれか1つ以上を用いることが好ましく、式(2-1-2)、式(2-3-1)、または式(2-3-2)がより好ましく、式(2-1-2)においてR6aがエチル基の化合物または式(2-3-1)においてl=2~6で表される化合物がさらに好ましい。
液晶表示素子のVHR信頼性をより高めるには、式(2-1-2)、式(2-1-3)、式(2-2-1)、式(2-2-2)、式(2-2-3)、式(2-2-4)、式(2-2-5)、および式(2-2-6)からなる群から選択される化合物のいずれか1つ以上を用いることが好ましく、式(2-1-2)、式(2-1-3)または式(2-2-1)においてl=2~6で表される化合物がより好ましく、式(2-1-2)においてR6aがエチル基の化合物または式(2-2-1)においてl=2~6で表される化合物がさらに好ましい。
コントラストが高い液晶表示素子を得ることを重視する場合には、式(2-1-1)、式(2-2-1)、および式(2-2-2)からなる群から選択される化合物のいずれか1つ以上を用いることがより好ましく、式(2-1-1)または式(2-2-1)においてl=2~6で表される化合物がより好ましい。その場合、ポリマー(K)における式(2-1-1)、式(2-2-1)、および式(2-2-2)からなる群から選択される化合物の合計の含有量は、モノマー中のジアミン全量に対して40モル%~95モル%であることが好ましく、70モル%~90モル%であることがさらに好ましい。
<光フリース転位反応を起こす構造を有する化合物>
本発明における光フリース転位反応を起こす構造の例として、フェニルエステル骨格を有する構造が挙げられる。本明細書におけるフェニルエステル骨格を有する構造とは、下記式(E)で表される構造を意味する。

Figure 2023055648000028

式(E)において、*は結合手であり、結合手のベンゼン環に対する結合位置はそれぞれ独立してその環における結合可能な炭素のいずれかであり、ベンゼン環の置換可能な水素原子は置換基で置き換えられていてもよい。本発明の液晶配向剤に含まれるポリマー(K)に使用される、光フリース転位を起こす構造を有する化合物の好ましい例としては、下記式(3)が挙げられる。その他に、光フリース転位反応を起こす構造を有する化合物としては、式(AN-4-32)~式(AN-4-36)、式(DI-5-32)、式(DI-5-33)、式(DI-5-35)、および式(DI-6-8)~式(DI-6-10)で表される化合物が挙げられる。

Figure 2023055648000029


Figure 2023055648000030


Figure 2023055648000031

Figure 2023055648000032

式(3)において、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基を表す。RとRは、一体となってメチレン基を形成してもよい。Xはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基または炭素数1~6のアルコキシ基を表し、nは独立して、0~4の整数を表す。式(DI-5-35)におけるmは、0~12の整数を表す。
これらの中でも、コントラストの高い液晶表示素子を製造する観点から、式(3)で表される化合物を使用することが好ましく、式(3)においてそれぞれのベンゼン環上のアミノ基が、エステル基に対してパラ位に位置する化合物を使用することがより好ましい。また、ポリマー(K)における式(3)で表される化合物の合計の含有量は、モノマー中のジアミン全量に対して40モル%~100モル%であることが好ましく、70モル%~100モル%であることがより好ましい。
式(3)で表される化合物の具体例としては下記式(3-1)~式(3-6)で表される化合物が挙げられる。

Figure 2023055648000033
これらの中でも、式(3-4)で表される化合物が特性の面からより好ましい。
<光分解反応を起こす構造>
本発明における光分解反応を起こす構造の例として、シクロブタンテトラカルボン酸骨格を有する構造が挙げられる。本明細書においてシクロブタンテトラカルボン酸骨格を有する構造とは、下記式(F)で表される構造を意味する。

Figure 2023055648000034

式(F)において、*1、*1′、*2、および*2′は結合手であり、*1と*1′の組および*2と*2′の組のどちらか一方または両方は同一のOと結合していてもよい。すなわち、酸無水物-CO-O-CO-を形成していてもよい。Rb1、Rb2、Rb3、およびRb4はそれぞれ独立して、1価の有機基である。
本発明の液晶配向剤に含まれるポリマー(K)に使用される、光分解反応を起こす構造を有する化合物の好ましい例としては下記式(PA-1)~式(PA-6)で表される化合物が挙げられる。

Figure 2023055648000035

式(PA-3)~式(PA-6)において、R11は独立して、炭素数1~5のアルキル基である。
<光二量化反応を起こす構造>
本発明における光二量化反応を起こす構造の例として、ケイ皮酸骨格を有する構造が挙げられる。本明細書においてケイ皮酸骨格を有する構造とは、下記式(G)で表される構造を意味する。
Figure 2023055648000036

式(G)において、*は結合手であり、結合手のベンゼン環に対する結合位置はそれぞれ独立して、その環における結合可能な炭素のいずれかであり、ベンゼン環の置換可能な水素原子は置換基で置き換えられていてもよい。
本発明の液晶配向剤に含まれるポリマー(K)に使用される、光二量化反応を起こす構造を有する化合物の好ましい例としては、下記式(PDI-9)~式(PDI-13)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023055648000037
式(PDI-12)において、R12は、炭素数1~10のアルキル基またはアルコキシ基であり、アルキル基またはアルコキシ基の少なくとも1つの水素原子はフッ素原子に置き換えられていてもよい。
<ポリマーの種類>
本発明のポリマー(K)およびポリマー(L)は、テトラカルボン酸誘導体とジアミン類を反応させてなるポリマーであり、ポリアミック酸またはポリアミック酸誘導体である。以下に、ポリアミック酸およびポリアミック酸誘導体について詳細を説明する。
ポリアミック酸は、式(DI)で表されるジアミン類と式(AN)で表されるテトラカルボン酸二無水物との重合反応により合成されるポリマーであり、式(PAA)で表される構成単位を有する。ポリアミック酸を含む液晶配向剤は、液晶配向膜を形成させる工程で加熱焼成すると、ポリアミック酸がイミド化され、式(PI)で表される構成単位を有するポリイミド液晶配向膜を形成することができる。

Figure 2023055648000038

Figure 2023055648000039
式(AN)、式(PAA)、および式(PI)において、Xは、4価の有機基である。式(DI)、式(PAA)、および式(PI)において、Xは、2価の有機基である。Xにおける4価の有機基の好ましい範囲と具体例については、下記のテトラカルボン酸誘導体の欄に記載したテトラカルボン酸二無水物の対応する構造を参照することができる。Xにおける2価の有機基の好ましい範囲と具体例については、式(1)、式(2)、式(3)、または下記のその他のジアミン類の欄に記載したジアミンまたはジヒドラジドの対応する構造についての記載を参照することができる。
ポリアミック酸誘導体は、ポリアミック酸の一部分を他の原子または原子団に置き換えて特性を改変した化合物であり、特に液晶配向剤に用いる溶剤への溶解性を高くしたものであることが好ましい。このようなポリアミック酸誘導体としては、具体的には1)ポリアミック酸のすべてのアミノ基とカルボキシル基とが脱水閉環反応したポリイミド、2)部分的に脱水閉環反応した部分ポリイミド、3)ポリアミック酸のカルボキシル基がエステルに変換されたポリアミック酸エステル、4)テトラカルボン酸二無水物化合物に含まれる酸二無水物の一部を有機ジカルボン酸に置き換えて反応させて得られたポリアミック酸-ポリアミドコポリマー、さらに5)該ポリアミック酸-ポリアミドコポリマーの一部または全部を脱水閉環反応させたポリアミドイミドが挙げられる。これらの誘導体のうち、例えばポリイミドとしては、上記式(PI)で表される構成単位を有するものを挙げることができ、ポリアミック酸エステルとしては、下記式(PAE)で表される構成単位を有するものを挙げることができる。

Figure 2023055648000040

式(PAE)において、Xは4価の有機基であり、Xは2価の有機基であり、Yは独立して、アルキル基である。X、Xの好ましい範囲と具体例については、式(PAA)におけるX、Xについての記載を参照することができる。Yにおいては、炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、またはターシャリーブチル基がより好ましい。
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン類との重合反応による反応生成物として得ることができる。テトラカルボン酸二無水物の説明と好ましい範囲、具体例については、下記のテトラカルボン酸誘導体の欄の記載を参照することができる。ジアミン類の説明と好ましい範囲、具体例については、下記のジアミン類の欄の記載を参照することができる。
ポリアミック酸の合成に用いる、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン類は、それぞれ1種類であっても2種類以上であってもよい。
前述の本発明のポリアミック酸を、ポリアミック酸誘導体であるポリイミドとする場合には、得られたポリアミック酸溶液を、脱水剤である無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物、および脱水閉環触媒であるトリエチルアミン、ピリジン、コリジンなどの三級アミンとともに、温度20~150℃でイミド化反応させることにより、ポリイミドを得ることができる。または、得られたポリアミック酸溶液から多量の貧溶媒(メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒やグリコール系溶媒)を用いてポリアミック酸を析出させ、析出させたポリアミック酸を、トルエン、キシレン等の溶媒中で、上記の脱水剤および脱水閉環触媒とともに、温度20~150℃でイミド化反応させることにより、ポリイミドを得ることもできる。
前記イミド化反応において、脱水剤と脱水閉環触媒の割合は、0.1~10(モル比)であることが好ましい。脱水剤と脱水閉環触媒の合計使用量は、当該ポリアミック酸の合成に使用したテトラカルボン酸二無水物のモル量の合計に対して1.5~10倍モルであることが好ましい。このイミド化反応に用いる脱水剤、触媒量、反応温度および反応時間を調整することによって、イミド化の程度を制御することができ、これによりポリアミック酸の一部のみがイミド化した部分ポリイミドを得ることができる。得られたポリイミドは、反応に用いた溶剤と分離し、他の溶剤に再溶解させて液晶配向剤として使用することもできるし、または溶剤と分離することなく液晶配向剤として使用することもできる。
ポリアミック酸エステルは、ポリアミック酸と水酸基含有化合物、ハロゲン化物、エポキシ基含有化合物等とを反応させることにより合成する方法や、テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸ジエステルまたはテトラカルボン酸ジエステルジクロライドと、ジアミン類とを反応させることにより合成する方法により得ることができる。テトラカルボン酸二無水物から誘導されるテトラカルボン酸ジエステルは、例えばテトラカルボン酸二無水物を2当量のアルコールと反応させ開環させて得ることができ、テトラカルボン酸ジエステルジクロライドは、テトラカルボン酸ジエステルを2当量の塩素化剤(例えば塩化チオニルなど)と反応させることで得ることができる。なお、ポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。
本発明のポリアミック酸またはその誘導体は、ポリイミドの膜の形成に用いられる公知のポリアミック酸またはその誘導体と同様に製造することができる。テトラカルボン酸二無水物類の総仕込み量は、ジアミン類の合計1モルに対して、0.9~1.1モルとすることが好ましい。
本発明の液晶配向剤はこれらのポリアミック酸およびポリアミック酸誘導体のうちの1種類のみを含んでいてもよいし、2種類を含んでいてもよい。例えば、ポリマー(K)とポリマー(L)の組み合わせとして、ポリアミック酸同士でもよいし、ポリアミック酸とポリアミック酸エステルでもよい。
本発明のポリマー(K)の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、5,000~500,000であることが好ましく、5,000~50,000であることがより好ましい。ポリマー(L)の分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、5,000~500,000であることが好ましく、10,000~500,000であることがより好ましい。ポリアミック酸またはその誘導体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による測定から求めることができる。
本発明のポリアミック酸またはその誘導体は、多量の貧溶剤で沈殿させて得られる固形分をIR(赤外分光法)、NMR(核磁気共鳴分析)で分析することによりその存在を確認することができる。またKOHやNaOH等の強アルカリの水溶液による前記ポリアミック酸またはその誘導体の分解物の有機溶剤による抽出物をGC(ガスクロマトグラフィ)、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)またはGC-MS(ガスクロマトグラフィ質量分析法)で分析することにより、使用されているモノマーを確認することができる。
<テトラカルボン酸誘導体>
本発明のポリマーの原料に用いるテトラカルボン酸誘導体としては、公知のテトラカルボン酸誘導体から制限されることなく選択することができる。
以下にその他のテトラカルボン酸二無水物の例を挙げる。これらのテトラカルボン酸二無水物をテトラカルボン酸ジエステルやテトラカルボン酸ジエステルジクロライドに誘導して、ポリマーの原料に用いてもよい。
このようなテトラカルボン酸二無水物は、芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合した芳香族系(複素芳香環系を含む)、および芳香環に直接ジカルボン酸無水物が結合していない脂肪族系(複素環系を含む)の何れの群に属するものであってもよい。
このようなテトラカルボン酸二無水物の例として、以下の式(AN-1)~式(AN-9)、式(AN-11)、式(AN-12)、式(AN-15)、式(AN-10-1)、式(AN-10-2)、および式(AN-16-1)~式(AN-16-19)で表される化合物が挙げられる。
[式(AN-1)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000041

式(AN-1)において、G11は単結合、炭素数1~12のアルキレン基、1,4-フェニレン基、または1,4-シクロヘキシレン基である。X11は独立して単結合または-CH-である。G12は独立して下記の3価の基のいずれかである。

Figure 2023055648000042

12が>CH-であるとき、>CH-の水素原子はメチル基で置換されていてもよい。G12が>N-であるとき、G11は単結合および-CH-であることはなく、X11は単結合であることはない。
11は独立して水素原子またはメチル基である。
式(AN-1)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-1-1)~式(AN-1-15)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000043

式(AN-1-2)および(AN-1-14)において、mは、1~12の整数である。
[式(AN-2)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000044

式(AN-2)において、R61は独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基、またはフェニル基である。
式(AN-2)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-2-1)~式(AN-2-3)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000045
[式(AN-3)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000046

式(AN-3)において、環A11はシクロヘキサン環またはベンゼン環である。
式(AN-3)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-3-1)、式(AN-3-2)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000047
[式(AN-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000048

式(AN-4)において、G13は単結合、-(CH-、-O-、-S-、-C(CH-、-SO-、-CO-、-C(CF-、または下記式(G13-1)で表される2価の基であり、mは、1~12の整数である。環A11は、それぞれ独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。G13は、環A11の任意の位置に結合してよい。

Figure 2023055648000049

式(G13-1)において、G13aおよびG13bはそれぞれ独立して、単結合、-O-、-CONH-、または-NHCO-で表される2価の基である。フェニレン基は、1,4-フェニレン基または1,3-フェニレン基であることが好ましい。
式(AN-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-4-1)~式(AN-4-31)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000050

Figure 2023055648000051

式(AN-4-17)において、mは、1~12の整数である。

Figure 2023055648000052

Figure 2023055648000053

[式(AN-5)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000054

式(AN-5)において、R11は独立して、水素原子またはメチル基である。2つのR11のうち、ベンゼン環におけるR11は、ベンゼン環の置換可能な位置のいずれかに結合する。
式(AN-5)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-5-1)~式(AN-5-3)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000055
[式(AN-6)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000056

式(AN-6)において、X11は独立して、単結合または-CH-である。X12は、-CH-、-CHCH-、または-CH=CH-である。nは、1または2である。nが2であるとき、2つのX12は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(AN-6)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-6-1)~式(AN-6-12)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000057
[式(AN-7)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000058

式(AN-7)において、X11は、単結合または-CH-である。
式(AN-7)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-7-1)、式(AN-7-2)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000059
[式(AN-8)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000060

式(AN-8)において、X11は単結合または-CH-である。R12は、水素原子、メチル基、エチル基、またはフェニル基である。環A12は、シクロヘキサン環またはシクロヘキセン環である。
式(AN-8)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-8-1)、式(AN-8-2)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000061
[式(AN-9)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000062

式(AN-9)において、rは、それぞれ独立して、0または1である。
式(AN-9)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-9-1)~式(AN-9-3)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000063
[式(AN-10-1)および式(AN-10-2)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000064
[式(AN-11)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000065

式(AN-11)において、環A11は独立して、シクロヘキサン環またはベンゼン環である。
式(AN-11)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-11-1)~式(AN-11-3)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000066
[式(AN-12)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000067

式(AN-12)において、環A11はそれぞれ独立してシクロヘキサン環またはベンゼン環である。
式(AN-12)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-12-1)~式(AN-12-3)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000068
[式(AN-15)で表されるテトラカルボン酸二無水物]

Figure 2023055648000069

式(AN-15)において、wは、1~10の整数である。
式(AN-15)で表されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、下記の式(AN-15-1)~式(AN-15-3)で表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000070
[式(AN-16-1)~式(AN-16-19)で表されるテトラカルボン酸二無水物]
上記以外のテトラカルボン酸二無水物として、下記の式(AN-16-1)~式(AN-16-19)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023055648000071
上記テトラカルボン酸二無水物において、後述する液晶配向膜の各特性を向上させる好適な材料について述べる。液晶配向性をさらに向上させることを重視する場合には、式(AN-1-2)、式(AN-4-17)、式(AN-4-21)、または式(AN-4-29)で表される化合物がより好ましく、式(AN-1-2)においては、m=4~8が好ましく、式(AN-4-17)においては、m=4~8が好ましい。
液晶表示素子の透過率を向上させることを重視する場合には、式(AN-1-1)、式(AN-1-2)、式(AN-2-1)、式(AN-3-1)、式(AN-4-17)、式(AN-4-30)、式(AN-5-1)、式(AN-7-2)、式(AN-10-1)、式(AN-16-3)、または式(AN-16-4)で表される化合物が好ましく、中でも式(AN-1-2)においては、m=4または8が好ましく、式(AN-4-17)においては、m=4~8が好ましく、m=8がより好ましい。
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、式(AN-1-1)、式(AN-1-2)、式(AN-3-1)、式(AN-4-5)、式(AN-4-17)、式(AN-4-30)、式(AN-7-2)、式(AN-10-1)、式(AN-16-3)、式(AN-16-4)、式(AN-16-17)、または式(AN-2-1)で表される化合物が好ましく、式(AN-1-2)においては、m=4または8が好ましく、式(AN-4-17)においては、m=4、または8が好ましく、m=8がより好ましい。
液晶配向膜の体積抵抗値を低下させることにより、液晶配向膜中の残留電荷(残留DC)の緩和速度を向上させることが、焼き付きを防ぐ方法の1つとして有効である。この目的を重視する場合には、式(AN-1-13)、式(AN-3-2)、式(AN-4-21)、式(AN-4-29)、または式(AN-11-3)で表される化合物が好ましい。
<その他のジアミン類>
本発明のポリマーの原料に用いる、式(1)、式(2)、または式(3)で表される化合物以外のジアミン類としては、公知のジアミン類から制限されることなく選択することができる。
ジアミンはその構造によって2種類に分けることができる。即ち、2つのアミノ基を結ぶ骨格を主鎖として見たときに、主鎖から分岐する基、即ち側鎖基を有するジアミンと側鎖基を持たないジアミンである。以下の説明では、このような側鎖基を有するジアミンを側鎖型ジアミンと称することがある。そして、このような側鎖基を持たないジアミンを非側鎖型ジアミンと称することがある。この側鎖基はプレチルト角を大きくする効果を有する基である。
非側鎖型ジアミンと側鎖型ジアミンを適切に使い分けることにより、それぞれに必要なプレチルト角に対応することができる。
側鎖型ジアミンは、本発明の特性を損なわない程度に併用するのが好ましい。また側鎖型ジアミンおよび非側鎖型ジアミンについて、液晶に対する垂直配向性、VHR、および残像特性等の特性を向上させる目的で取捨選択して使用することが好ましい。
既知の側鎖を有さないジアミンを以下の式(DI-1)~(DI-16)に示す。

Figure 2023055648000072

上記の式(DI-1)において、G20は、-CH-または式(DI-1-a)で表される基である。G20が-CH-であるとき、m個の-CH-の少なくとも1つは、-NH-または-O-に置き換えられてもよく、m個の-CH-の少なくとも1つの水素原子は、水酸基またはメチル基で置換されてもよい。mは、1~12の整数である。式(DI-1)におけるmが2以上であるとき、複数のG20は、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、G20が式(DI-1-a)であるとき、mは1である。

Figure 2023055648000073

式(DI-1-a)において、vはそれぞれ独立して、1~6の整数である。
式(DI-3)、式(DI-6)、および式(DI-7)において、G21は、単結合、-NH-、-NCH-、-O-、-S-、-S-S-、-SO-、-CO-、-COO-、-CONCH-、-CONH-、-C(CH-、-C(CF-、-(CH-、-O-(CH-O-、-N(CH)-(CH-N(CH)-、-(O-C-O-、-O-CH-C(CF-CH-O-、-O-CO-(CH-CO-O-、-CO-O-(CH-O-CO-、-(CH-NH-(CH-、-CO-(CH-NH-(CH-、-(NH-(CH-NH-、-CO-C-(NH-C-CO-、または-S-(CH-S-であり、mは独立して、1~12の整数であり、kは、1~5の整数であり、nは、1または2である。
式(DI-4)において、sは独立して0~2の整数である。
式(DI-5)において、G33は、単結合、-NH-、-NCH-、-O-、-S-、-S-S-、-SO-、-CO-、-COO-、-CONCH-、-CONH-、-C(CH-、-C(CF-、-(CH-、-O-(CH-O-、-N(CH)-(CH-N(CH)-、-(O-C-O-、-O-CH-C(CF-CH-O-、-O-CO-(CH-CO-O-、-CO-O-(CH-O-CO-、-(CH-NH-(CH-、-CO-(CH-NH-(CH-、-(NH-(CH-NH-、-CO-C-(NH-C-CO-、-S-(CH-S-、-N(Boc)-(CH-N(Boc)-、-NH-(CH-N(Boc)-、-N(Boc)-(CH-、-(CH-N(Boc)-CONH-(CH-、-(CH-N(Boc)-(CH-、または下記式(DI-5-a)もしくは下記式(DI-5-b)で表される基であり、mは、独立して1~12の整数であり、kは1~5の整数であり、eは2~10の整数であり、nは1または2である。Bocはt-ブトキシカルボニル基である。
式(DI-6)および式(DI-7)において、G22は独立して、単結合、-O-、-S-、-CO-、-C(CH-、-C(CF-、または炭素数1~10のアルキレン基である。
式(DI-2)~式(DI-7)中のシクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素原子は、-F、-Cl、炭素数1~3のアルキレン基、-OCH、-OH、-CF、-COH、-CONH、-NHC、フェニル基、またはベンジル基で置換されてもよく、加えて式(DI-4)においては、シクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素原子は、下記式(DI-4-a)~(DI-4-i)のいずれかで表される基の群から選ばれる1つで置換されていてもよく、式(DI-5)においては、G33が単結合の時には、シクロヘキサン環およびベンゼン環の少なくとも1つの水素原子は、NHBocまたはN(Boc)で置換されてもよい。
環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。そして、シクロヘキサン環またはベンゼン環への-NHの結合位置は、G21、G22またはG33の結合位置を除く任意の位置である。

Figure 2023055648000074

Figure 2023055648000075

式(DI-4-a)および式(DI-4-b)において、R20は独立して水素原子または-CHである。式(DI-4-f)および式(DI-4-g)において、mはそれぞれ独立して、0~12の整数であり、Bocは、t-ブトキシカルボニル基である。

Figure 2023055648000076

式(DI-5-a)において、qはそれぞれ独立して、0~6の整数である。R44は、水素原子、-OH、炭素数1~6のアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基である。

Figure 2023055648000077

式(DI-11)において、rは、0または1である。式(DI-8)~式(DI-11)において、環に結合する-NHの結合位置は、任意の位置である。

Figure 2023055648000078

式(DI-12)において、R21およびR22は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基またはフェニル基であり、G23は独立して、炭素数1~6のアルキレン基、フェニレン基、またはアルキル基で置換されたフェニレン基であり、wは、1~10の整数である。
式(DI-13)において、R23は独立して、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、または-Clであり、pは独立して、0~3の整数であり、qは、0~4の整数である。
式(DI-14)において、環Bは、単環の複素環式芳香族基であり、R24は、水素原子、-F、-Cl、炭素数1~6のアルキル基、アルコキシ基、炭素数2~6のアルケニル基、またはアルキニル基であり、qは独立して0~4の整数である。qが2以上であるとき、複数のR24は互いに同一であっても異なっていてもよい。
式(DI-15)において、環Cは、複素環式芳香族基または複素環式脂肪族基である。
式(DI-16)において、G24は、単結合、炭素数2~6のアルキレン基、または1,4-フェニレン基であり、rは、0または1である。そして、環を構成する炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。式(DI-13)~式(DI-16)において、環に結合する-NHの結合位置は、任意の位置である。
式(DI-1)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-1-1)~式(DI-1-9)に示す。

Figure 2023055648000079

式(DI-1-7)および式(DI-1-8)において、kはそれぞれ独立して、1~3の整数である。式(DI-1-9)において、vはそれぞれ独立して、1~6の整数である。
式(DI-2)~式(DI-3)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-2-1)、式(DI-2-2)、式(DI-3-1)~式(DI-3-3)に示す。

Figure 2023055648000080
式(DI-4)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-4-1)~式(DI-4-27)に示す。

Figure 2023055648000081

Figure 2023055648000082

Figure 2023055648000083

Figure 2023055648000084

Figure 2023055648000085

Figure 2023055648000086

式(DI-4-20)および(DI-4-21)において、mはそれぞれ独立して1~12の整数である。

Figure 2023055648000087
式(DI-5)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-5-1)~式(DI-5-50)に示す。

Figure 2023055648000088

式(DI-5-1)において、mは1~12の整数である。

Figure 2023055648000089

式(DI-5-12)および式(DI-5-13)において、mは、1~12の整数である。

Figure 2023055648000090

式(DI-5-16)において、vは、1~6の整数である。

Figure 2023055648000091

式(DI-5-30)において、kは、1~5の整数である。

Figure 2023055648000092

式(DI-5-35)~式(DI-5-37)、および式(DI-5-39)において、mはそれぞれ独立して、1~12の整数であり、式(DI-5-38)および式(DI-5-39)において、kはそれぞれ独立して、1~5の整数であり、式(DI-5-40)において、nは1または2である。

Figure 2023055648000093

式(DI-5-42)~式(DI-5-44)において、eは、2~10の整数であり、式(DI-5-45)において、R43はそれぞれ独立して、水素原子、-NHBoc、または-N(Boc)である。式(DI-5-42)~式(DI-5-44)において、Bocはt-ブトキシカルボニル基である。

Figure 2023055648000094

Figure 2023055648000095

Figure 2023055648000096
式(DI-6)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-6-1)~式(DI-6-7)に示す。

Figure 2023055648000097
式(DI-7)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-7-1)~式(DI-7-11)に示す。

Figure 2023055648000098

式(DI-7-3)および式(DI-7-4)において、mは、1~12の整数であり、nは独立して、1または2である。

Figure 2023055648000099

Figure 2023055648000100
式(DI-8)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-8-1)~式(DI-8-4)に示す。

Figure 2023055648000101
式(DI-9)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-9-1)~式(DI-9-3)に示す。

Figure 2023055648000102
式(DI-10)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-10-1)、式(DI-10-2)に示す。

Figure 2023055648000103
式(DI-11)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-11-1)~式(DI-11-3)に示す。

Figure 2023055648000104
式(DI-12)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-12-1)に示す。

Figure 2023055648000105
式(DI-13)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-13-1)~式(DI-13-13)に示す。

Figure 2023055648000106

Figure 2023055648000107

Figure 2023055648000108
式(DI-14)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-14-1)~式(DI-14-9)に示す。

Figure 2023055648000109
式(DI-15)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-15-1)~式(DI-5-12)に示す。

Figure 2023055648000110

Figure 2023055648000111
式(DI-16)で表されるジアミンの例を以下の式(DI-16-1)に示す。

Figure 2023055648000112
次に、本発明のポリマーの原料に用いるジヒドラジドについて説明する。既知の側鎖を有さないジヒドラジドとしては、以下の式(DIH-1)~(DIH-3)のいずれかで表される化合物を挙げることができる。

Figure 2023055648000113

式(DIH-1)において、G25は、単結合、炭素数1~20のアルキレン基、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-C(CH-、または-C(CF-である。
式(DIH-2)において、環Dは、シクロヘキサン環、ベンゼン環、またはナフタレン環であり、この基の少なくとも1つの水素原子は、メチル基、エチル基、またはフェニル基で置換されてもよい。
式(DIH-3)において、環Eはそれぞれ独立して、シクロヘキサン環、またはベンゼン環であり、この基の少なくとも1つの水素原子は、メチル基、エチル基、またはフェニル基で置換されてもよい。複数の環Eは、互いに同一であっても異なっていてもよい。Yは、単結合、炭素数1~20のアルキレン基、-CO-、-O-、-S-、-SO-、-C(CH-、または-C(CF-である。
式(DIH-2)および式(DIH-3)において、環に結合する-CONHNHの結合位置は、任意の位置である。
式(DIH-1)~(DIH-3)のいずれかで表される化合物の例を以下の式(DIH-1-1)、式(DIH-1-2)、式(DIH-2-1)~式(DIH-2-3)、式(DIH-3-1)~式(DIH-3-6)に示す。

Figure 2023055648000114

式(DIH-1-2)において、mは1~12の整数である。

Figure 2023055648000115

Figure 2023055648000116

プレチルト角を大きくする目的に適したジアミンについて説明する。本発明のポリマーの原料に用いる、式(1)、式(2)、または式(3)で表される化合物は、横電界型液晶表示素子に用いる液晶配向剤に好適に用いることができるが、下記のようなジアミンと併用して、プレチルト角を大きくすることも可能である。プレチルト角を大きくする目的に適した側鎖基をもったジアミンとしては、式(DI-31)~式(DI-35)、および式(DI-36-1)~式(DI-36-8)のいずれかで表されるジアミンが挙げられる。

Figure 2023055648000117
式(DI-31)において、G26は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-CO-、-CONH-、-CHO-、-OCH-、-CFO-、-OCF-、または-(CHma-であり、maは1~12の整数である。G26の好ましい例は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-CHO-、または炭素数1~3のアルキレン基であり、特に好ましい例は、単結合、-O-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-CH-、または-CHCH-である。R25は、炭素数3~30のアルキル基、フェニル基、ステロイド骨格を有する基、または下記の式(DI-31-a)で表される基である。このアルキル基において、少なくとも1つの水素原子は-Fで置換されてもよく、そして少なくとも1つの-CH-は、-O-、-CH=CH-、または-C≡C-で置換されていてもよい。このフェニル基の水素原子は、-F、-CH、-OCH、-OCHF、-OCHF2、-OCF3、炭素数3~30のアルキル基、または炭素数3~30のアルコキシ基で置換されていてもよい。ベンゼン環に結合する-NHの結合位置は、その環において、任意の位置であることを示すが、その結合位置はメタ位またはパラ位であることが好ましい。即ち、基「R25-G26-」の結合位置を1位としたとき、2つの結合位置は、3位と5位、または2位と5位であることが好ましい。

Figure 2023055648000118

式(DI-31-a)において、G27、G28、およびG29は結合基であり、これらは、それぞれ独立して、単結合または炭素数1~12のアルキレン基であり、このアルキレン基の1以上の-CH-は、-O-、-COO-、-OCO-、-CONH-、または-CH=CH-で置換されていてもよい。環B21、環B22、環B23、および環B24は、それぞれ独立して、1,4-フェニレン基、1,4-シクロへキシレン基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-1,5-ジイル基、ナフタレン-2,7-ジイル基、またはアントラセン-9,10-ジイル基であり、環B21、環B22、環B23および環B24において、少なくとも1つの水素原子は、-Fまたは-CHで置換されてもよく、s、t、およびuは、それぞれ独立して、0~2の整数であって、これらの合計は1~5であり、s、t、またはuが2であるとき、それぞれの括弧内の2つの結合基は同じであっても異なってもよく、そして、2つの環は同じであっても異なっていてもよい。R26は、水素原子、-F、-OH、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のフッ素置換アルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、-CN、-OCHF、-OCHF、または-OCFであり、この炭素数1~30のアルキル基の少なくとも1つの-CH-は、下記式(DI-31-b)で表される2価の基で置換されていてもよい。

Figure 2023055648000119

式(DI-31-b)において、R27およびR28は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル基であり、vは、1~6の整数である。R26の好ましい例は、炭素数1~30のアルキル基または炭素数1~30のアルコキシ基である。

Figure 2023055648000120

式(DI-32)および式(DI-33)において、G30は独立して、単結合、-CO-、または-CH-であり、R29は独立して、水素原子または-CHであり、R30は、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、または炭素数2~20のアルケニル基である。式(DI-33)におけるベンゼン環の少なくとも1つの水素原子は、炭素数1~20のアルキル基またはフェニル基で置換されてもよい。そして、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合位置が任意であることを示す。式(DI-32)における2つの基「-フェニレン-G30-O-」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方はステロイド核の6位に結合していることが好ましい。式(DI-33)における2つの基「-フェニレン-G30-O-」のベンゼン環への結合位置は、ステロイド核の結合位置に対して、それぞれメタ位またはパラ位であることが好ましい。式(DI-32)および式(DI-33)において、ベンゼン環に結合する-NHは、その環における結合位置が任意であることを示す。

Figure 2023055648000121

式(DI-34)および式(DI-35)において、G31は独立して-O-または炭素数1~6のアルキレン基であり、G32は単結合または炭素数1~3のアルキレン基である。R31は水素原子または炭素数1~20のアルキル基であり、このアルキル基の少なくとも1つの-CH-は、-O-、-CH=CH-または-C≡C-で置き換えられてもよい。R32は炭素数6~22のアルキル基であり、R33は水素原子または炭素数1~22のアルキル基である。環B25は1,4-フェニレン基または1,4-シクロヘキシレン基であり、rは0または1である。そしてベンゼン環に結合する-NHはその環における結合位置が任意であることを示すが、独立してG31の結合位置に対してメタ位またはパラ位であることが好ましい。
式(DI-31)で表される化合物の例を以下の式(DI-31-1)~式(DI-31-55)に示す。

Figure 2023055648000122
式(DI-31-1)~式(DI-31-11)において、R34は、炭素数1~30のアルキル基または炭素数1~30のアルコキシ基であり、好ましくは、炭素数5~25のアルキル基または炭素数5~25のアルコキシ基である。R35は、炭素数1~30のアルキル基または炭素数1~30のアルコキシ基であり、好ましくは、炭素数3~25のアルキル基または炭素数3~25のアルコキシ基である。

Figure 2023055648000123
式(DI-31-12)~(DI-31-17)において、R36は、炭素数4~30のアルキル基であり、好ましくは炭素数6~25のアルキル基である。R37は、炭素数6~30のアルキル基であり、好ましくは炭素数8~25のアルキル基である。

Figure 2023055648000124

Figure 2023055648000125

Figure 2023055648000126

Figure 2023055648000127

Figure 2023055648000128
式(DI-31-18)~式(DI-31-43)において、R38は、炭素数1~20のアルキル基または炭素数1~20のアルコキシ基であり、好ましくは炭素数3~20のアルキル基または炭素数3~20のアルコキシ基である。R39は、水素原子、-F、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~30のアルコキシ基、-CN、-OCHF、-OCHF、または-OCFであり、好ましくは炭素数3~25のアルキル基または炭素数3~25のアルコキシ基である。そしてG33は、炭素数1~20のアルキレン基である。

Figure 2023055648000129

Figure 2023055648000130

Figure 2023055648000131

Figure 2023055648000132
式(DI-32)で表される化合物の例を以下の式(DI-32-1)~式(DI-32-4)に示す。

Figure 2023055648000133
式(DI-33)で表される化合物の例を以下の式(DI-33-1)~式(DI-33-8)に示す。

Figure 2023055648000134

Figure 2023055648000135
式(DI-34)で表される化合物の例を以下の式(DI-34-1)~式(DI-34-12)に示す。

Figure 2023055648000136

Figure 2023055648000137

Figure 2023055648000138

Figure 2023055648000139

式(DI-34-1)~式(DI-34-12)において、R40は、水素原子または炭素数1~20のアルキル基、好ましくは水素原子または炭素数1~10のアルキル基であり、そしてR41は、水素原子または炭素数1~12のアルキル基である。
式(DI-35)で表される化合物の例を以下の式(DI-35-1)~式(DI-35-3)に示す。

Figure 2023055648000140

式(DI-35-1)~式(DI-35-3)において、R37は、炭素数6~22のアルキル基であり、R41は、水素原子または炭素数1~12のアルキル基である。
式(DI-36-1)~式(DI-36-8)で表される化合物を以下に示す。

Figure 2023055648000141

式(DI-36-1)~式(DI-36-8)において、R42はそれぞれ独立して、炭素数3~30のアルキル基である。
上記ジアミン類において、後述する液晶配向膜の各特性を向上させる好適な材料について述べる。液晶配向性を向上させることを重視する場合には、式(DI-1-3)、式(DI-5-1)、式(DI-5-5)、式(DI-5-9)、式(DI-5-12)、式(DI-5-13)、式(DI-5-29)、式(DI-6-7)、式(DI-7-3)、または式(DI-11-2)で表される化合物を用いるのが好ましい。式(DI-5-1)においては、m=2~8が好ましく、m=4~8がより好ましい。式(DI-5-12)においては、m=2~6が好ましく、m=5がより好ましい。式(DI-5-13)においては、m=1または2が好ましく、m=1がより好ましい。
透過率を向上させることを重視する場合には、式(DI-1-3)、式(DI-2-1)、式(DI-5-1)、式(DI-5-5)、式(DI-5-24)、または式(DI-7-3)で表されるジアミンを用いるのが好ましく、式(DI-2-1)で表される化合物がより好ましい。式(DI-5-1)においては、m=2~8が好ましく、m=8がより好ましい。式(DI-7-3)においては、m=2または3、n=1または2が好ましく、m=3、n=1がより好ましい。
液晶表示素子のVHRを向上させることを重視する場合には、式(DI-2-1)、式(DI-4-1)、式(DI-4-2)、式(DI-4-10)、式(DI-4-15)、式(DI-4-22)、式(DI-5-1)、式(DI-5-28)、式(DI-5-30)、または式(DI-13-1)で表される化合物を用いるのが好ましく、式(DI-2-1)、式(DI-5-1)、または式(DI-13-1)で表されるジアミンがより好ましい。式(DI-5-1)においては、m=1が好ましい。式(DI-5-30)においては、k=2が好ましい。
液晶配向膜の体積抵抗値を低下させることにより、液晶配向膜中の残留電荷(残留DC)の緩和速度を向上させることが、焼き付きを防ぐ方法の1つとして有効である。この目的を重視する場合には、式(DI-4-1)、式(DI-4-2)、式(DI-4-10)、式(DI-4-15)、式(DI-5-1)、式(DI-5-12)、式(DI-5-13)、式(DI-5-28)、式(DI-4-20)、式(DI-4-21)、式(DI-7-12)、または式(DI-16-1)で表される化合物を用いるのが好ましく、式(DI-4-1)、式(DI-5-1)、または式(DI-5-13)で表される化合物がより好ましい。式(DI-5-1)において、m=2~8が好ましく、m=4~8がより好ましい。式(DI-5-12)においては、m=2~6が好ましく、m=5がより好ましい。式(DI-5-13)においては、m=1または2が好ましく、m=1がより好ましい。式(DI-7-12)においては、m=3または4が好ましく、m=4がより好ましい。
本発明のポリマーの原料として使用する原料組成物において、ジアミン類の一部がモノアミンおよびモノヒドラジドからなる群から選択された少なくとも1つに置き換えられていてもよい。置き換える割合は、ジアミン類に対するモノアミンおよびモノヒドラジドからなる群から選択された少なくとも1つの比率が40モル%以下の範囲であることが好ましい。このような置き換えは、ポリアミック酸を生成する際の重合反応のターミネーションを起こすことができ、それ以上の重合反応の進行を抑えることができる。このため、このような置き換えによって、得られるポリマー(ポリアミック酸またはその誘導体)の分子量を容易に制御することができ、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。モノアミンまたはモノヒドラジドで置き換えられてもよいジアミン類は、本発明の効果が損なわれなければ、1種でも2種以上でもよい。前記モノアミンとしては、例えばアニリン、4-ヒドロキシアニリン、シクロヘキシルアミン、n-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、n-ノニルアミン、n-デシルアミン、n-ウンデシルアミン、n-ドデシルアミン、n-トリデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ペンタデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、n-ヘプタデシルアミン、n-オクタデシルアミン、n-エイコシルアミン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、および3-アミノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
本発明のポリマーがポリアミック酸またはその誘導体である場合、その原料組成物は、モノマーとしてモノイソシアネート化合物をさらに含んでいてもよい。モノイソシアネート化合物をモノマーに含むことによって、得られるポリアミック酸またはその誘導体の末端が修飾され、分子量が調節される。この末端修飾型のポリアミック酸またはその誘導体を用いることにより、例えば本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性を改善することができる。モノマー中のモノイソシアネート化合物の含有量は、モノマー中のジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の総量に対して1~10モル%であることが、前記の観点から好ましい。前記モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、およびナフチルイソシアネートが挙げられる。
本発明の液晶配向剤は、本発明のポリマー(K)、ポリマー(L)以外に本発明以外のポリマーが混合されていてもよい。なお、本明細書において、前記のポリマーを2種以上混合する液晶配向剤をブレンド型液晶配向剤と称することがある。ブレンド型液晶配向剤は、特にVHR信頼性やその他の電気的特性を重視する場合に用いられる。
ブレンド型液晶配向剤に用いる本発明以外のポリマーとしては、ポリアミック酸およびポリアミック酸誘導体のいずれか1つ以上が好ましい。本発明以外のポリマーとしては、ポリアミック酸およびポリアミック酸誘導体に関しては、原料組成物として式(1)で表される化合物と光反応構造を有する化合物を含まないこと以外は、上記の本発明のポリマーの説明を参照することができる。
2成分のポリマーを用いる場合、例えば、一方には液晶配向能に優れた性能を有するポリマーを選択し、他方には液晶表示素子の電気的特性を改善するのに優れた性能を有するポリマーを選択する態様があり、液晶配向性と電気特性のバランスの良好な配向剤を得るために好適である。
本発明の液晶配向剤は、ポリマー(K)およびポリマー(L)の、少なくとも2つのポリマーを含む、ブレンド型液晶配向剤である。ポリマー(K)は光反応性構造を有し、液晶配向能に優れた性能を有するポリマーである。ポリマー(L)は式(1)で表される化合物由来のジフェニルアミン構造を有し、液晶表示素子の電気的特性を改善するのに優れた性能を有するポリマーである。ポリマー(K)およびポリマー(L)のブレンド型液晶配向剤とすることで、液晶配向性と電気特性のバランスの良好な配向剤が得られる。
ポリマー(K)およびポリマー(L)の合計量に対するポリマー(K)の割合は、5重量%~60重量%が好ましく、20重量%~50重量%がさらに好ましい。
2成分のポリマーからなる液晶配向剤では、表面エネルギーの小さなポリマーが上層に、表面エネルギーの大きなポリマーが下層に偏析する(相分離)現象が知られている。それぞれのポリマーの構造や分子量を適宜変更し、その表面エネルギーを調整することにより、一方のポリマーを薄膜の上層に偏析させ、他方のポリマーを薄膜の下層に偏析させることができる。すなわち、ポリマーの表面エネルギーの調整により、これらのポリマーを溶剤に溶解した液晶配向剤を、後述するように、基板に塗布し、予備乾燥を行って薄膜を形成する過程で、液晶配向能に優れたポリマーを薄膜の上層に、液晶表示素子の電気的特性改善能に優れたポリマーを薄膜の下層に偏析させ、液晶配向性と電気特性のバランスが良好な所望の液晶配向膜を得ることができる。このようにして形成された液晶配向膜の表面エネルギーが、上層に偏析させることを意図したポリマーから形成された膜の表面エネルギーと同じ、または同等であることを確認することで、所望の液晶配向膜が得られたことを確認できる。
層分離を発現させる方法として、上層に偏析させたいポリマーの分子量を小さくすることも挙げられる。
ポリマー同士の混合からなる液晶配向剤では、上層に偏析させたいポリマーをポリイミドとすることで層分離を発現させることもできる。
本発明において、式(1)で表される化合物は、薄膜の下層に偏析するポリマーの原料として用いることが好ましい。
本発明において、光反応性構造を有する化合物は、前記薄膜の上層に偏析するポリマーの原料として用いることが好ましい。
前記薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体および前記薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、上記に例示した公知のテトラカルボン酸二無水物から制限されることなく選択することができる。
薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、式(AN-1-1)、式(AN-1-2)、式(AN-2-1)、式(AN-3-1)、式(AN-4-5)、式(AN-4-17)、または式(AN-4-21)で表される化合物が好ましく、式(AN-4-17)または式(AN-4-21)がより好ましい。式(AN-4-17)においては、m=4~8が好ましい。
薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、式(AN-1-1)、式(AN-1-13)、式(AN-2-1)、式(AN-3-2)、または式(AN-4-21)で表される化合物が好ましく、式(AN-1-1)、式(AN-2-1)、または式(AN-3-2)がより好ましい。
薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、テトラカルボン酸二無水物の全量中芳香族テトラカルボン酸二無水物を10モル%以上含むことが好ましく、30モル%以上含むことがより好ましい。
薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体および前記薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられる式(1)、式(2)または式(3)で表される化合物以外のジアミン類としては、上記に例示した公知のジアミン類から制限されることなく選択することができる。
薄膜の上層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるジアミン類としては、式(DI-4-1)、式(DI-4-13)、式(DI-4-15)、式(DI-5-1)、式(DI-7-3)、または式(DI-13-1)で表される化合物を用いるのが好ましい。中でも、式(DI-4-13)、式(DI-4-15)、式(DI-5-1)、または式(DI-13-1)で表される化合物を用いるのがより好ましい。式(DI-5-1)において、m=4~8が好ましい。式(DI-7-3)においては、m=3、n=1が好ましい。
薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるジアミン類としては、式(DI-4-1)、式(DI-4-2)、式(DI-4-10)、式(DI-4-18)、式(DI-4-19)、式(DI-5-1)、式(DI-5-9)、式(DI-5-28)、式(DI-5-30)、式(DI-13-1)、または式(DIH-1-2)で表される化合物が好ましい。式(DI-5-1)において、m=1または2である化合物が好ましく、式(DI-5-30)において、k=2である化合物が好ましい。中でも、式(DI-4-1)、式(DI-4-18)、式(DI-4-19)、式(DI-5-9)、式(DI-13-1)、または式(DIH-1-2)で表される化合物がより好ましい。
薄膜の下層に偏析するポリアミック酸またはその誘導体を合成するために用いられるジアミン類は、芳香族ジアミンおよび芳香族ジヒドラジドからなる群から選択された少なくとも1つを、全ジアミン類に対して、30モル%以上含むものである事が好ましく、50モル%以上含むものであることがより好ましい。
本発明の液晶配向剤は、本発明のポリマー(K)、ポリマー(L)以外に本発明以外のポリマーが混合されていてもよい。本発明以外のポリマーとしては、ポリアミック酸、ポリアミック酸誘導体、アクリルポリマー、シロキサンポリマーなどが挙げられるが、ポリアミック酸およびポリアミック酸誘導体のいずれか1つ以上が好ましい。本発明以外のポリマーとしては、ポリアミック酸およびポリアミック酸誘導体に関しては、原料組成物として式(1)で表される化合物または光反応構造を有する化合物を含まないこと以外は、上記の本発明のポリマーの説明を参照することができる。
また、本発明の液晶配向剤は、液晶配向剤の塗布性や前記ポリアミック酸またはその誘導体の濃度の調整の観点から、溶剤をさらに含有していてもよい。前記溶剤は、高分子成分を溶解する能力を持った溶剤であれば格別制限なく適用可能である。前記溶剤は、ポリアミック酸、可溶性ポリイミド等の高分子成分の製造工程や用途面で通常使用されている溶剤を広く含み、使用目的に応じて、適宜選択できる。前記溶剤は1種でも2種以上の混合溶剤であってもよい。
溶剤としては、前記ポリアミック酸またはその誘導体の親溶剤や、塗布性改善を目的とした他の溶剤が挙げられる。
ポリアミック酸またはその誘導体に対し、親溶剤である非プロトン性極性有機溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N-メチルカプロラクタム、N-メチルプロピオンアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルイソブチルアミド、γ-ブチロラクトン、およびγ-バレロラクトン等が挙げられる。これらの中で、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ-ブチロラクトン、またはγ-バレロラクトンが好ましい。
塗布性改善等を目的とした他の溶剤の例としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。また、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1-ブトキシ-2-プロパノール等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ブチルセロソルブアセテート、フェニルアセテート、およびこれらアセテート類等のエステル化合物が挙げられる。さらにマロン酸ジエチル等のマロン酸ジアルキル、乳酸アルキル、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、4-メチル-2-ペンタノール、ジイソブチルカルビノール、テトラリン、およびイソホロンが挙げられる。
これらの中で、ジイソブチルケトン、4-メチル-2-ペンタノール、ジイソブチルカルビノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、1-ブトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、またはブチルセロソルブアセテートが好ましい。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度は特に限定されるものではなく、下記の種々の塗布法に合わせ最適な値を選べばよい。通常、塗布時のムラやピンホール等を抑えるため、ワニス重量に対し、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは1~10重量%である。
本発明の液晶配向剤の粘度は、塗布する方法、ポリアミック酸またはその誘導体の濃度、使用するポリアミック酸またはその誘導体の種類、溶剤の種類と割合によって好ましい範囲が異なる。例えば、印刷機による塗布の場合は5~100mPa・s(より好ましくは10~80mPa・s)である。5mPa・s以上であれば十分な膜厚が得られやすくなり、100mPa・s以下であれば印刷ムラを抑えやすくなる。スピンコートによる塗布の場合は5~200mPa・s(より好ましくは10~100mPa・s)が適している。インクジェット塗布装置を用いて塗布する場合は5~50mPa・s(より好ましくは5~20mPa・s)が適している。液晶配向剤の粘度は回転粘度測定法により測定され、例えば回転粘度計(東機産業(株)製TVE-20L形粘度計)を用いて測定(測定温度:25℃)される。
本発明の液晶配向剤は各種添加剤をさらに含有していてもよい。各種添加剤は、配向膜の各種特性を向上させるために、それぞれの目的に応じて選択して使用することができる。以下に例を示す。
<アルケニル置換ナジイミド化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる目的から、アルケニル置換ナジイミド化合物をさらに含有していてもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物は1種で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アルケニル置換ナジイミド化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して1~50重量%であることが好ましく、1~30重量%であることがより好ましく、1~20重量%であることがさらに好ましい。アルケニル置換ナジイミド化合物は、本発明で用いられるポリアミック酸またはその誘導体を溶解する溶剤に溶解させることができる化合物であることが好ましい。好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物には、特開2008-096979号公報、特開2009-109987号公報、特開2013-242526号公報に開示されているアルケニル置換ナジイミド化合物が挙げられる。特に好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物としては、ビス{4-(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、N,N’-m-キシリレン-ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド)、またはN,N’-ヘキサメチレン-ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド)が挙げられる。
<ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子の電気特性を長期に安定させる目的から、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物をさらに含有していてもよい。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。なお、ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物にはアルケニル置換ナジイミド化合物は含まれない。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物には、好ましいものとして、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-ジヒドロキシエチレン-ビスアクリルアミド、エチレンビスアクリレート、4,4’-メチレンビス(N,N-ジヒドロキシエチレンアクリレートアニリン)、シアヌル酸トリアリル、他に、特開2009-109987号公報、特開2013-242526号公報、国際公開第2014/119682号、国際公開第2015/152014号に開示されているラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物が挙げられる。ラジカル重合性不飽和二重結合を有する化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して1~50重量%であることが好ましく、1~30重量%であることがより好ましい。
<オキサジン化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、オキサジン化合物をさらに含有していてもよい。オキサジン化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。オキサジン化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して、0.1~50重量%であることが好ましく、1~40重量%であることがより好ましく、1~20重量%であることがさらに好ましい。
オキサジン化合物は、ポリアミック酸またはその誘導体を溶解させる溶剤に可溶であり、加えて、開環重合性を有するオキサジン化合物が好ましい。好ましいオキサジン化合物には、式(OX-3-1)、式(OX-3-9)、または式(OX-3-10)で表されるオキサジン化合物、他に、特開2007-286597号公報、特開2013-242526号公報に開示されているオキサジン化合物が挙げられる。

Figure 2023055648000142
<オキサゾリン化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、オキサゾリン化合物をさらに含有していてもよい。オキサゾリン化合物はオキサゾリン構造を有する化合物である。オキサゾリン化合物は、1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。オキサゾリン化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1~50重量%であることが好ましく、1~40重量%であることがより好ましく、1~20重量%であることがさらに好ましい。好ましいオキサゾリン化合物には、特開2010-054872号公報、特開2013-242526号公報に開示されているオキサゾリン化合物が挙げられる。より好ましくは、1,3-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンが挙げられる。
<エポキシ化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的、膜の硬度を向上させる目的、またはシール剤との密着性を向上させる目的から、エポキシ化合物をさらに含有していてもよい。エポキシ化合物は1種の化合物であってもよいし、2種以上の化合物であってもよい。エポキシ化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1~50重量%であることが好ましく、1~20重量%であることがより好ましく、1~10重量%であることがさらに好ましい。
エポキシ化合物としては、分子内にエポキシ環を1つまたは2つ以上有する種々の化合物を用いることができる。
膜の硬度を向上させる目的、またはシール剤との密着性を向上させる目的のためには、分子内にエポキシ環を2つ以上有する化合物が好ましく、3つまたは4つ有する化合物がより好ましい。
エポキシ化合物としては、特開2009-175715号公報、特開2013-242526号公報、特開2016-170409号公報、国際公開第2017/217413号に開示されているエポキシ化合物が挙げられる。好ましいエポキシ化合物としては、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(3,3‘,4,4’-ジエポキシ)ビシクロヘキシル、1,4-ブタンジオールグリシジルエーテル、イソシアヌル酸トリス(2,3-エポキシプロピル)、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、またはN,N,N’,N‘-テトラグリシジル-m-キシレンジアミンが挙げられる。より好ましくは、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、または2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。上記の他、エポキシ環を有するオリゴマーや重合体を添加することもできる。エポキシ環を有するオリゴマーや重合体は特開2013-242526号公報に開示されているオリゴマーや重合体を使用することができる。
<シラン化合物>
例えば、本発明の液晶配向剤は、基板およびシール剤との密着性を向上させる目的から、シラン化合物をさらに含有していてもよい。シラン化合物の含有量は、上記の目的から、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.1~30重量%であることが好ましく、0.5~20重量%であることがより好ましく、0.5~10重量%であることがさらに好ましい。
シラン化合物としては、特開2013-242526号公報、特開2015-212807号公報、特開2018-173545号公報、国際公開第2018/181566号に開示されているシランカップリング剤を使用することができる。好ましいシランカップリング剤として、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、または3-ウレイドプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
上記記載の添加剤の他、配向膜の強度を上げる目的、または液晶表示素子における電気特性を長期に安定させる目的から、シクロカーボネート基を持つ化合物、ヒドロキシアルキルアミド部位や水酸基を持つ化合物を添加することもできる。具体的化合物としては、特開2016-118753号公報、国際公開第2017/110976号に開示されている化合物が挙げられる。好ましい化合物としては、以下の式(HD-1)~式(HD-4)が挙げられる。これらの化合物は、ポリアミック酸またはその誘導体に対して0.5~50重量%であることが好ましく、1~30重量%であることがより好ましく、1~10重量%であることがさらに好ましい。

Figure 2023055648000143
また、帯電防止の向上を必要とするときは帯電防止剤、低温でイミド化を進行させる場合はイミド化触媒を使用することもできる。イミド化触媒としては、特開2013-242526号公報に開示されているイミド化触媒が挙げられる。
<液晶配向膜>
次に、本発明の液晶配向膜について説明する。本発明の液晶配向膜は、本発明の液晶配向剤を使用して形成されたものである。本発明の液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成させる過程で加熱焼成すると、イミド化反応を起こしてポリイミド系液晶配向膜を形成させることができる。本発明の液晶配向剤は、光配向用の液晶配向剤に適しており、液晶配向膜を形成させる過程における配向処理には光配向法を適用することができる。
以下において、本発明の光配向用液晶配向剤による液晶配向膜の形成方法について説明する。
本発明の液晶配向膜は、光配向用液晶配向剤から液晶配向膜を作製する通常の方法によって得ることができる。本発明の液晶配向膜は、例えば、本発明の光配向用液晶配向剤の塗膜を形成する工程と、塗膜を加熱乾燥して液晶配向剤の膜を形成する工程と、液晶配向剤の膜に光を照射して異方性を付与する工程と、異方性を付与した液晶配向剤の膜を加熱焼成する工程を経ることによって得ることができる。
塗膜は、通常の液晶配向膜の作製と同様に、液晶表示素子における基板に本発明の液晶配向剤を塗布することによって形成することができる。基板には、ITO(IndiumTinOxide)、IZO(In-ZnO)、IGZO(In-Ga-ZnO)電極等の電極やカラーフィルタ等が設けられていてもよいガラス製、窒化ケイ素製、アクリル製、ポリカーボネイト製、ポリイミド製等の基板が挙げられる。
液晶配向剤を基板に塗布する方法としてはスピンナー法、印刷法、ディッピング法、滴下法、インクジェット法等が一般に知られている。これらの方法は本発明においても同様に適用可能である。
加熱乾燥工程は、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。加熱乾燥工程は溶剤の蒸発が可能な範囲内の温度で実施することが好ましく、加熱焼成工程における温度に対して比較的低い温度で実施することがより好ましい。具体的には加熱乾燥温度は30℃~150℃の範囲であること、さらには50℃~120℃の範囲であることが好ましい。
加熱焼成工程は、ポリアミック酸またはその誘導体がイミド化反応を呈するのに必要な条件で行うことができる。塗膜の焼成は、オーブンまたは赤外炉の中で加熱処理する方法、ホットプレート上で加熱処理する方法等が一般に知られている。これらの方法も本発明において同様に適用可能である。一般に90~300℃程度の温度で1分間~3時間行うことが好ましく、120~280℃がより好ましく、150~250℃がさらに好ましい。
膜の異方性や、液晶表示素子を作製した際の残像特性を向上させることを重視する場合には、加熱工程の昇温を緩やかに行うことが好ましく、例えば、段階的に温度を上げながら、異なる温度で複数回加熱焼成する、または、低温から高温へと温度を変化させて加熱することができる。また、両方の加熱方法を組み合わせて行ってもよい。
異なる温度で複数回加熱焼成する場合、異なる温度に設定された複数の加熱装置を用いてもよいし、1台の加熱装置を用いて、異なる温度に順次変化させながら行ってもよい。
異なる温度で複数回加熱焼成する場合は、初めの焼成温度は90~180℃で行うのが好ましく、最後の温度は185℃~300℃で行うのが好ましい。例えば、110℃で加熱焼成した後220℃で加熱焼成、110℃で加熱焼成した後230℃で加熱焼成、130℃で加熱焼成した後220℃で加熱焼成、150℃で加熱焼成した後200℃で加熱焼成、150℃で加熱焼成した後220℃で加熱焼成、150℃で加熱焼成した後230℃で加熱焼成、または170℃で加熱焼成した後200℃で加熱焼成することが好ましい。さらに段階を増やして緩やかに昇温させながら加熱焼成することも好ましい。加熱温度を変えて2段階以上で加熱焼成を行う場合、各加熱工程での加熱時間は5分~30分であることが好ましい。
低温度から高温へと温度を変化させて焼成を行なう場合、初期温度は90~180℃が好ましい。最終温度は185~300℃が好ましく、190~230℃がより好ましい。加熱時間は5分~60分が好ましく、20分~60分がより好ましい。昇温スピードは、例えば0.5℃/分~40℃/分とすることができる。昇温中の昇温スピードは一定でなくともよい。
本発明の液晶配向膜の形成方法において、液晶を水平および/または垂直方向に対して一方向に配向させるために、薄膜へ異方性を付与する手段として、公知の光配向法を好適に用いることができる。
光配向法による本発明の液晶配向膜の形成方法について、詳細に説明する。光配向法を用いた本発明の液晶配向膜は、塗膜を加熱乾燥した後の薄膜に、光を照射することにより、薄膜に異方性を付与し、その膜を加熱焼成することにより形成することができる。または、塗膜を加熱乾燥し、加熱焼成した後に、薄膜に光を照射することにより形成する事ができる。
さらに、液晶配向膜の液晶配向能を上げるために、塗膜を加熱しながら光を照射することもできる。光の照射は、塗膜を加熱乾燥する工程、または加熱焼成する工程で行ってもよく、加熱乾燥工程と加熱焼成工程の間に行ってもよい。塗膜を加熱乾燥する工程、または加熱焼成する工程で光を照射する場合の加熱温度は、上記の加熱乾燥工程、または加熱焼成工程の記載を参考にできる。加熱乾燥工程と加熱焼成工程の間に光を照射する場合の加熱温度は、30℃~150℃の範囲であることが好ましく、50℃~110℃の範囲であることがさらに好ましい。
光配向法における光照射工程に用いる光としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線または可視光を用いることができる。これらの光は、前記薄膜に液晶配向能を付与することができる光であれば特に限定されないが、液晶に対して強い配向規制力を発現させたい場合、偏光が好ましく、直線偏光がさらに好ましい。
前記光照射工程における偏光の照射量は0.05~10J/cmであることが好ましく、0.1~5J/cmがより好ましい。また偏光の波長は光反応性構造を有する化合物によって適宜変更することが好ましい。式(2)で表される化合物を使用する場合、偏光の波長は200~400nmであることが好ましく、300~400nmであることがより好ましい。式(3)で表される化合物を使用する場合、偏光の波長は150~350nmであることが好ましく、200~300nmであることがより好ましい。偏光の膜表面に対する照射角度は特に限定されないが、液晶に対する強い配向規制力を発現させたい場合、膜表面に対してなるべく垂直であることが配向処理時間短縮の観点から好ましい。また、本発明の液晶配向膜は、直線偏光を照射することにより、直線偏光の偏光方向に対して直角方向に液晶を配向させることができる。
光を照射する工程に使用する光源には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、Deep UVランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、エキシマランプ、KrFエキシマレーザー、蛍光ランプ、LEDランプ、ナトリウムランプ、マイクロウェーブ励起無電極ランプ、などを制限なく用いることができる。
本発明の液晶配向膜は、前述した工程以外の他の工程をさらに含む方法によって好適に得られる。
本発明の液晶配向膜は焼成または光照射後の膜を洗浄液で洗浄する工程は必須としないが、他の工程の都合で洗浄工程を設けることができる。洗浄液による洗浄方法としては、ブラッシング、ジェットスプレー、蒸気洗浄または超音波洗浄等が挙げられる。これらの方法は単独で行ってもよいし、併用してもよい。洗浄液としては、純水、または、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類を用いることができるが、これらに限定されるものではない。もちろん、これらの洗浄液は、十分に精製された不純物の少ないものが用いられる。このような洗浄方法は、本発明の液晶配向膜の形成における前記洗浄工程にも適用することができる。
本発明の液晶配向膜の液晶配向能を高めるために、加熱焼成工程の前後、または、偏光または無偏光の光照射の前後に、熱や光によるアニール処理を用いることができる。該アニール処理において、アニール温度が30~180℃、好ましくは50~150℃であり、時間は1分~2時間が好ましい。また、アニール処理に使用するアニール光には、UVランプ、蛍光ランプ、LEDランプなどが挙げられる。光の照射量は0.3~10J/cmであることが好ましい。
本発明の液晶配向膜の膜厚は、特に限定されないが、10~300nmであることが好ましく、30~150nmであることがより好ましい。本発明の液晶配向膜の膜厚は、段差計やエリプソメータ等の公知の膜厚測定装置によって測定することができる。
本発明の液晶配向膜は特に大きな配向の異方性を持つことを特徴とする。このような異方性の大きさは特開2005-275364号公報等に記載の偏光IRを用いた方法で評価する事ができる。またエリプソメトリーを用いた方法によっても評価することができる。詳しくは、分光エリプソメータによって液晶配向膜のリタデーション値を測定することができる。膜のリタデーション値はポリマー主鎖の配向度に比例して大きくなる。
本発明の液晶配向膜は、液晶表示素子における液晶組成物の配向制御に好適に用いることができる。液晶表示素子の液晶組成物の配向用途以外に、液晶アンテナ、調光窓、光学補償材、可変移相器等、その他すべての液晶素子における液晶材料の配向制御に用いることができる。また本発明の液晶配向膜は大きな異方性を有するので、単独で光学補償材用途に使用することができる。
<液晶表示素子>
次に、本発明の液晶表示素子について説明する。本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向膜を有する点に特徴があり、その高い電圧保持率から、高い表示品位を実現することができる。
本発明の液晶表示素子について詳細に説明する。本発明は、対向配置されている一対の基板と、前記一対の基板それぞれの対向している面の一方または両方に形成されている電極と、前記一対の基板それぞれの対向している面に形成された液晶配向膜と、前記一対の基板間に形成された液晶層と、前記対向基板を挟むように設置されている一対の偏光フィルムとバックライトと駆動装置とを有する液晶表示素子において、前記液晶配向膜が本発明の液晶配向膜により構成されている。
電極は、基板の一面に形成される電極であれば特に限定されない。このような電極には、例えばITOや金属の蒸着膜等が挙げられる。また電極は、基板の一方の面の全面に形成されていてもよいし、例えばパターン化されている所望の形状に形成されていてもよい。電極の前記所望の形状には、例えば櫛型またはジグザグ構造等が挙げられる。電極は、一対の基板のうちの一方の基板に形成されていてもよいし、両方の基板に形成されていてもよい。電極の形成の形態は液晶表示素子の種類に応じて異なり、例えばIPS型液晶表示素子(横電界型液晶表示素子)の場合は前記一対の基板の一方に電極が配置され、その他の液晶表示素子の場合は前記一対の基板の双方に電極が配置される。前記基板または電極の上に前記液晶配向膜が形成される。
ホモジニアス配向の液晶表示素子(例えばIPS、FFSなど)の場合は、構成として、少なくとも、バックライト側からバックライト、第一の偏光フィルム、第一の基板、第一の液晶配向膜、液晶層、第二の基板、第二の偏光フィルムを有し、前記偏光フィルムの偏光軸は、第一の偏光フィルムの偏光軸(偏光吸収の方向)と第二の偏光フィルムの偏光軸は交差(好ましくは直交)するように設置される。この時、第一の偏光フィルムの偏光軸と液晶配向方向が平行になるように、または直交するように設置することができる。第一の偏光フィルムの偏光軸と液晶配向方向が平行になるように設置した液晶表示素子をO-モード、直交するように設置した液晶表示素子をE-モードと言う。本発明の液晶配向膜は、O-モード、E-モードどちらにも適用でき、目的によって選択することができる。
多くの光異性化型材料には2色性を有する化合物が用いられている。そのため、液晶配向剤に対して異方性を付加させるために照射する偏光の偏光軸を、バックライト側に配置した偏光フィルムからの偏光の偏光軸と平行に揃える(本発明の液晶配向剤を使用した場合には、O-モードの配置とする)と、液晶配向膜の光吸収波長域の透過率が上昇する。その為、液晶表示素子の透過率を更に改善することができる。
前記液晶層は、液晶配向膜が形成された面が対向している前記一対の基板によって液晶組成物が挟持される形で形成される。液晶層の形成では、微粒子や樹脂シート等の、前記一対の基板の間に介在して適当な間隔を形成するスペーサーを必要に応じて用いることができる。
液晶層の形成方法としては、真空注入法とODF(One Drop Fill)法が知られている。
真空注入法では、液晶配向膜面が対向するように、空隙(セルギャップ)を設けて、かつ液晶の注入口を残して、シール剤を印刷し、基板を張り合わせる。基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に、真空差圧を利用して液晶を注入充填した後、注入口を封止し、液晶表示素子を製造する。
ODF法では、一対の基板のうちの一方の液晶配向膜面の外周にシール剤を印刷し、シール剤の内側の領域に液晶を滴下した後、液晶配向膜面が対向するように他方の基板を張り合わせる。そして、液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化し、液晶表示素子を製造する。
基板の張り合わせに用いられるシール剤には、UV硬化型以外に熱硬化型も知られている。シール剤の印刷は、例えばスクリーン印刷法により行なうことができる。
液晶組成物には、特に制限はなく、誘電率異方性が正または負の各種の液晶組成物を用いることができる。誘電率異方性が正の好ましい液晶組成物には、特許第3086228号公報、特許第2635435号公報、特表平5-501735号公報、特開平8-157826号公報、特開平8-231960号公報、特開平9-241644号公報(EP885272A1)、特開平9-302346号公報(EP806466A2)、特開平8-199168号公報(EP722998A1)、特開平9-235552号公報、特開平9-255956号公報、特開平9-241643号公報(EP885271A1)、特開平10-204016号公報(EP844229A1)、特開平10-204436号公報、特開平10-231482号公報、特開2000-087040号公報、特開2001-48822号公報等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
前記負の誘電率異方性を有する液晶組成物の好ましい例として、特開昭57-114532号公報、特開平2-4725号公報、特開平4-224885号公報、特開平8-40953号公報、特開平8-104869号公報、特開平10-168076号公報、特開平10-168453号公報、特開平10-236989号公報、特開平10-236990号公報、特開平10-236992号公報、特開平10-236993号公報、特開平10-236994号公報、特開平10-237000号公報、特開平10-237004号公報、特開平10-237024号公報、特開平10-237035号公報、特開平10-237075号公報、特開平10-237076号公報、特開平10-237448号公報(EP967261A1)、特開平10-287874号公報、特開平10-287875号公報、特開平10-291945号公報、特開平11-029581号公報、特開平11-080049号公報、特開2000-256307号公報、特開2001-019965号公報、特開2001-072626号公報、特開2001-192657号公報、特開2010-037428号公報、国際公開第2011/024666号、国際公開第2010/072370号、特表2010-537010号公報、特開2012-077201号公報、特開2009-084362号公報等に開示されている液晶組成物が挙げられる。
誘電率異方性が正または負の液晶組成物に1種以上の光学活性化合物を添加して使用することも何ら差し支えない。
本発明の液晶表示素子に用いる液晶組成物は、例えば配向性を向上させる観点から、添加物をさらに添加してもよい。このような添加物は、光重合性モノマー、光学活性な化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合開始剤、重合禁止剤などである。好ましい光重合性モノマー、光学活性な化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、消泡剤、重合開始剤、重合禁止剤には、国際公開第2015/146330号等に開示されている化合物が挙げられる。
PSA(polymer sustained alignment)モードの液晶表示素子に適合させるために重合可能な化合物を液晶組成物に混合することができる。重合可能な化合物の好ましい例はアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、ビニルケトンなどの重合可能な基を有する化合物である。好ましい化合物には、国際公開第2015/146330号等に開示されている化合物が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明する。なお、実施例において用いる評価法および化合物は次の通りである。
<重量平均分子量(Mw)>
ポリアミック酸の重量平均分子量は、2695セパレーションモジュール・2414示差屈折計(Waters社製)を用いてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。得られたポリアミック酸をリン酸-DMF混合溶液(リン酸/DMF=0.6/100:重量比)で、ポリアミック酸濃度が約2重量%になるように希釈した。カラムはHSPgel RT MB-M(Waters社製)を使用し、前記混合溶液を展開剤として、カラム温度50℃、流速0.40mL/minの条件で測定を行った。標準ポリスチレンは東ソー(株)製TSK標準ポリスチレンを用いた。
<テトラカルボン酸二無水物>

Figure 2023055648000144
<ジアミン>

Figure 2023055648000145

Figure 2023055648000146

Figure 2023055648000147

Figure 2023055648000148

Figure 2023055648000149
式(3-4-1)で表される化合物は、式(3-4)においてシクロプロパン環上の2つのエステルがトランス配置である化合物である。

Figure 2023055648000150
<溶剤>
NMP: N-メチル-2-ピロリドン
BC: ブチルセロソルブ(エチレングリコールモノブチルエーテル)
<式(1A-1)で表される化合物の合成>
式(1A-1)で表される化合物は下記のように得た。
4,4’-メチレンジアニリン(5.30g、26.7mmol)の2-プロパノール(100ml)溶液に1-ブロモー4-ニトロベンゼン(10.80g,53.5mmol)、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(0.64g,1.34mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0.24g,0.27mmol)、および炭酸カリウム(7.39g,53.5mmol)を加えた。この溶液を、加熱還流下で90分撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、水を加えた後、酢酸エチルで抽出した(100ml×3回)。得られた有機層を飽和食塩水(100ml)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。得られた粗体を、酢酸エチルを溶離液として用い、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、ジニトロ化合物を得た(収量11.5g,収率98%)。

Figure 2023055648000151
オートクレーブに、ジニトロ化合物(11.5g,26.1mmol)のTHF(300ml)溶液を入れた。この溶液にPd/C(Pd:5重量%,0.58g)を加えた。オートクレーブを窒素置換した後に、水素置換を行ない、室温で14日間撹拌した。反応終了後、固体を濾別した後、減圧下濃縮した。得られた粗体を、混合溶剤(280ml,トルエン/ヘプタン=6/1(体積比))による再結晶で精製することで、式(1A-1)の化合物(収量6.39g,収率64%)を得た。
H-NMR(400MHz,DMSO-d6);δ7.33(s,2H),δ6.93(d,J=6.8Hz,4H),δ6.79(d,J=6.8Hz,4H),δ6.71(d,J=7.2Hz,4H),δ6.52(d,J=6.8Hz,4H),δ4.72(s,4H),δ3.63(s,2H).

Figure 2023055648000152
<式(1B-2)で表される化合物の合成>
式(1B-2)で表される化合物は、出発原料である4,4’-メチレンジアニリンをm-トリジンに変えて、式(1A-1)で表される化合物の合成方法に準じて合成した。
<式(1C-2)で表される化合物の合成>
式(1C-2)で表される化合物は、出発原料である4,4’-メチレンジアニリンを4,4’-ジアミノジフェニルアミンに変えて、式(1A-1)で表される化合物の合成方法に準じて合成した。
ワニスの調製
本実施例で使用したワニスは、下記の手順で調製した。ここで、調製例1~7で調製したワニスL1~L7は、式(1)の化合物を原料に用いて反応させて得られたポリアミック酸(ポリマー(L)に該当)の溶液である。調製例8~9で調製したワニスR1~R2は、式(1)で表される化合物および光反応性の化学構造を有する化合物を原料に用いずに反応させて得られたポリアミック酸の溶液であり、ポリマー(L)に対する比較用のポリマー溶液である。調製例10~11で調製したワニスK1~K2は、少なくとも1種類の光反応性の化学構造を有する化合物を原料に用いて反応させて得られたポリアミック酸(ポリマー(K)に該当)の溶液である。
[調製例1] ワニスL1の調製
攪拌翼、窒素導入管を装着した100mL3つ口フラスコに、式(1A-1)で表される化合物3.384g、式(AN-4-5)で表される化合物2.616gを入れ、NMPを34.0g加え撹拌した。窒素雰囲気下とし、12時間室温で攪拌させた後、NMP30.0gおよびBC30.0gを加え、溶質のポリマーの重量平均分子量が所望する重量平均分子量になるまで、その溶液を60℃で加熱攪拌して、ポリマーの重量平均分子量がおよそ77,800であり、固形分濃度が6重量%であるワニスL1を得た。
[調製例2~11] ワニスL2~L7、ワニスR1~R2、ワニスK1~K2の調製
ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物として用いる化合物を、表1に示すように変更したこと以外は、調製例1と同様にして固形分濃度が6重量%のワニスL2~L7および比較のためのワニスR1~R2を調製した。ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物として用いる化合物を、表2に示すように変更したこと以外は、調製例1と同様にしてワニスK1~K2を調製した。生成したポリマーの重量平均分子量を表1および表2に示す。なお、表1および表2において、ジアミンとして2以上の化合物が掲載されている調製例では、その全ての化合物を合わせてジアミンとして使用したことを意味し、テトラカルボン酸二無水物として2以上の化合物が掲載されている調製例では、その全ての化合物を合わせてテトラカルボン酸二無水物として使用したことを意味する。角括弧内の数値は、配合比(モル%)を表し、空欄はその欄に対応する化合物を使用していないことを意味する。
<表1>
Figure 2023055648000153
<表2>
Figure 2023055648000154
[実施例1]
ワニスL1を24.0g、ワニスK1を16.0gおよび溶剤20.0g(NMP/BC=7/3(重量比))を混合し、固形分濃度4重量%の配向剤1を調製した。
IPS電極付きガラス基板およびカラムスペーサー付きガラス基板に配向剤1をスピンナー法により塗布した。塗布後、基板を60℃で80秒間加熱し、溶剤を蒸発させた後、ウシオ電機(株)製マルチライトML-501C/Bを用い、基板に対して鉛直方向から、偏光波長域300nm~450nmの偏光板および、カットオン波長280nmの短波長カットフィルターを介して紫外線の直線偏光を照射した。この時の露光エネルギーは、ウシオ電機(株)製紫外線積算光量計UIT-150(受光器:UVD-S365)を用いて光量を測定し、波長365nmで2.0±0.1J/cmになるよう、露光時間を調整した。その後、230℃にて30分間焼成処理を行い、膜厚およそ100nmの液晶配向膜を形成した。
次いで、液晶配向膜が形成された基板2枚を、液晶配向膜が形成されている面を対向させ、かつ、対向する液晶配向膜の間に液晶組成物を注入するための空隙が形成されるように貼り合わせた。このとき、基板の向きは、光配向処理の際に各液晶配向膜に照射した直線偏光の偏光方向が互いに平行になるような向きにした。この貼り合わせた基板間の空隙に、下記組成のネガ型液晶組成物Aを注入し、セル厚7μmの液晶セル(液晶表示素子)を作製した。
<ネガ型液晶組成物A>
Figure 2023055648000155

(物性値)
相転移温度NI:75.7℃、誘電率異方性Δε:-4.1、屈折率異方性Δn:0.101、粘度η:14.5mPa・s.
<電圧保持率(VHR)信頼性の評価>
液晶表示素子の電圧保持率(VHR)は、「水嶋他、第14回液晶討論会予稿集p78(1988)」に記載の方法に従い、60℃で、波高±5Vの矩形波をセルに印加して測定した。このときのVHRをVHR(before)とした。電圧保持率は、印加した電圧がフレーム周期後どの程度保持されているかを示す指標であり、この値が100%であれば、全ての電荷が保持されていることを意味する。上記セルをLEDバックライトに300時間暴露し、再度VHRを測定した。このときのVHRをVHR(after)とした。
VHR信頼性は、下記の式を用いて算出したVHR低下率にて評価した。VHR低下率が小さい程、VHR信頼性が高く、光に対する安定性が高いと言える。VHR低下率が5%以下で、VHR信頼性が良好と言える。
VHR低下率(%)
=[ |VHR(after)-VHR(before)| /VHR(before) ]×100

評価結果は、実施例2~7および比較例1~2の評価結果と併せて表3に記載した。
[実施例2~5]
ワニスL1の代わりに表3に示すワニスを用いること以外は、配向剤1と同様にして配向剤2~5を調製した。配向剤2~5について、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、電圧保持率の測定と信頼性の評価を行った。
[比較例1]
ワニスL1の代わりにワニスR1を用いること以外は、配向剤1と同様にして、比較配向剤1を調製した。比較配向剤1について、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、電圧保持率の測定と信頼性の評価を行った。
[実施例6]
ワニスL6を16.0g、ワニスK2を24.0gおよび溶剤20.0g(NMP/BC=7/3(重量比))を混合し、固形分濃度4%の配向剤6を調製した。配向剤6について、基板に対して鉛直方向から、偏光波長域230nm~310nmの偏光板を介して紫外線の直線偏光を照射したことと、露光エネルギーについてはウシオ電機(株)製紫外線積算光量計UIT-150(受光器:UVD-S254)を用いて光量を測定し、波長254nmで0.5±0.1J/cmになるよう、直線偏光の露光時間を調整したこと以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、電圧保持率の測定と信頼性の評価を行った。
[実施例7、比較例2]
ワニスL6の代わりに表3に示すワニスを用いること以外は、配向剤6と同様にして配向剤7、比較配向剤2を調製した。配向剤7、比較配向剤2について、実施例6と同様にして液晶セルを作製し、電圧保持率の測定と信頼性の評価を行った。
<表3>
Figure 2023055648000156
表3に示したように、実施例1~3におけるVHR低下率は1%、ポリマーLにおいて式(1)で表される化合物の配合比が全ジアミン中30モル%である実施例4~7においても、VHR低下率は3%以下であり、良好であった。式(1)で表される化合物を用いることで、高い電圧保持率を維持する液晶配向膜を製造できることが分かった。
本発明の光配向用液晶配向剤を使用すれば、強い光に晒された場合でも高い電圧保持率を維持する液晶配向膜を製造することができる。本発明の光配向用液晶配向剤は、横電界型液晶表示素子に好適に適用することができる。

Claims (13)

  1. テトラカルボン酸誘導体とジアミン類を反応させてなるポリマーである、ポリマー(K)およびポリマー(L)を含む光配向用液晶配向剤であって、
    前記ポリマー(K)の原料組成物は、光反応性構造を有する化合物を含み、かつ、式(1)で表される化合物を含まず;そして、
    前記ポリマー(L)の原料組成物は、式(1)で表される化合物の少なくとも1つを含み、かつ、光反応性構造を有する化合物を含まない、光配向用液晶配向剤。
    Figure 2023055648000157

    式(1)中、Aは独立して、-CHまたは-OCHであり、a1は独立して、0~2の整数であり、
    Xは、式(A)、式(B)、または式(C)で表される2価の基であり、

    Figure 2023055648000158

    式(A)において、*は結合手であり、式(1)における2つの-NH-との結合位置を表し、Aは独立して、-CHまたは-OCHであり、a2は独立して、0~2の整数であり、nは、1~10の整数であり、

    Figure 2023055648000159

    式(B)において、*は結合手であり、式(1)における2つの-NH-との結合位置を表し、Aは独立して、-CHまたは-OCHであり、a3は独立して、0~2の整数であり、

    Figure 2023055648000160

    式(C)において、*は結合手であり、式(1)における2つの-NH-との結合位置を表し、mは、0~3の整数であり、
    式(1)、式(A)および式(B)において環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合可能な炭素のいずれかと結合できることを示すが、式(1)において、Xが式(A)または式(B)で表される2価の基であるときは、ベンゼン環上の-NHの結合位置は独立して、-NH-と連結する炭素を基準にしてメタ位またはパラ位である。
  2. 前記式(1)で表される化合物が、式(1A-1)~式(1A-6)で表される化合物の少なくとも1つである、請求項1に記載の光配向用液晶配向剤。

    Figure 2023055648000161
  3. 前記式(1)で表される化合物が、式(1B-1)~式(1B-3)で表される化合物の少なくとも1つである、請求項1に記載の光配向用液晶配向剤。

    Figure 2023055648000162
  4. 前記式(1)で表される化合物が、式(1C-1)および式(1C-2)で表される化合物の少なくとも1つである、請求項1に記載の光配向用液晶配向剤。

    Figure 2023055648000163

  5. 前記光反応性構造による光反応が、光異性化、光フリース転位、光分解、および光二量化のうち少なくとも1つである、請求項1に記載の光配向用液晶配向剤。
  6. 前記ポリマー(K)の原料組成物に含まれる光反応性構造を有する化合物が、式(2)で表される化合物の少なくとも1つである、請求項1に記載の光配向用液晶配向剤。

    Figure 2023055648000164

    式(2)において、Xは炭素数1~12のアルキレン基であり、前記アルキレン基において隣り合わない1つ以上の-CH-は-O-または-NH-で置き換えられていてもよく、
    およびRはそれぞれ独立して、水素原子、-CH、-OCH、-CF、-F、-COOCH、または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基であり、
    はそれぞれ独立して、水素原子、-CH、-OCH、-CF、-F、または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基であり、jは、0または1であり、a~cはそれぞれ独立に、0~2の整数であり、

    Figure 2023055648000165

    式(P1-1)および式(P1-2)において、R6a、R7a、およびR8aは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し、*は結合手であり、式(2)におけるベンゼン環への結合位置を表し、
    式(2)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合可能な炭素のいずれかと結合できることを示す。
  7. 前記式(2)で表される化合物が、式(2-1)~式(2-3)で表される化合物の少なくとも1つである、請求項6に記載の光配向用液晶配向剤。

    Figure 2023055648000166

    式(2-1)において、R1aおよびR1cは、それぞれ独立して、水素原子または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基を表し、
    式(2-2)において、R2aおよびR2bは、それぞれ独立して、水素原子または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基を表し、R2cは、それぞれ独立して、水素原子、-CH、-OCH、-CF、または-Fであり、Xは炭素数1~12のアルキレン基であり、前記アルキレン基において隣り合わない1つ以上の-CH-は-O-または-NH-で置き換えられていてもよく、kは0~2の整数であり、
    式(2-3)において、R3aは、水素原子または式(P1-1)もしくは式(P1-2)で表される1価の基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または-Fであり、RおよびRが同時に水素原子となることはなく、R3cは、それぞれ独立して、水素原子、-CH、-OCH、-CF、または-Fであり、Xは、炭素数1~12のアルキレン基であり、前記アルキレン基において、隣り合わない1つ以上の-CH-は-O-または-NH-で置き換えられていてもよく、mは、0~2の整数であり、

    Figure 2023055648000167

    式(P1-1)および式(P1-2)において、R6a、R7a、およびR8aは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルカノイル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表し、*は結合手であり、式(2-1)、式(2-2)、または式(2-3)におけるベンゼン環への結合位置を表し、
    式(2-1)、式(2-2)、および式(2-3)において、環を構成するいずれかの炭素原子に結合位置が固定されていない基は、その環における結合可能な炭素のいずれかと結合できることを示す。
  8. 前記ポリマー(K)の原料組成物に含まれる光反応性構造を有する化合物が、式(3)で表される化合物の少なくとも1つである、請求項1に記載の光配向用液晶配向剤。

    Figure 2023055648000168


    式(3)において、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基または炭素数1~6のアルコキシ基を表し、RとRは、一体となってメチレン基を形成してもよく、Xはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のハロアルキル基、または炭素数1~6のアルコキシ基を表し、nは独立して、0~4の整数を表す。
  9. さらに、添加剤を含む、請求項1に記載の光配向用液晶配向剤。
  10. 前記添加剤が、オキサゾリン化合物およびエポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項9に記載の光配向用液晶配向剤。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤から形成される液晶配向膜。
  12. 請求項11に記載の液晶配向膜を有する液晶素子。
  13. 請求項1~10のいずれか1項に記載の光配向用液晶配向剤を基板に塗布する工程と、その塗膜に偏光紫外線を照射する工程とを含む、液晶配向膜の製造方法。
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