JP2023055572A - 遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法および非鉄金属の製錬方法 - Google Patents

遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法および非鉄金属の製錬方法 Download PDF

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Abstract

【課題】H2SO4等の遊離酸を含みpH値が0以下である水溶液から、Feを効率よく抽出する方法を提供する。【解決手段】遊離酸を含む水溶液から、Feイオンを抽出する方法であって、前記水溶液のpH値を0以下とし、陽イオン放出型の抽出剤を用いた溶媒抽出法により、前記水溶液からFeイオンを抽出する、遊離酸を含む水溶液からのFeイオンの抽出方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、HSO等の遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法およびそれを用いた非鉄金属の製錬方法に関する。
例えば、非鉄製錬の工程における電解工程にて発生する電解液、電解尾液、スラッジから有用金属を回収しようとする場合、当該電解液や電解尾液が、HSO等の遊離酸を含み、且つ、Feイオンを含有している場合がある。
これらの溶液から有用金属を回収することを目的として、いくつかの提案が為されている。
特許文献1には、ニッケル含有廃液スラッジに酸を添加して固形分を溶解した後、炭酸カルシウムを添加し、当該スラッジ溶解液に含有される鉄分(Fe3+、Fe2+)のうちFe2+をFe3+に酸化したうえで、pH調整および濾過することにより鉄含有石膏を除去してニッケル原液とする方法が記載されている。
特許文献2には、不純物として亜鉛および鉄を含有する酸性のニッケル水溶液、たとえば、ニッケル原料溶解液に酸化剤および中和剤を添加してpHを上昇させ、鉄とともに亜鉛を殿物として除去して、高純度のニッケル水溶液を回収する方法が記載されている。
特許文献3には、ジビニルベンゼン系共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、塩化ビニル樹脂のいずれかを樹脂母体とし、かつアミノアルキレン燐酸基またはその塩、イミノアルキレン燐酸基またはその塩、アルキレン燐酸基またはその塩、燐酸基またはその塩あるいはアミドオキシム基のうち少なくとも1種を官能基とするキレート樹脂に銅電解液を接触させ、不純金属イオンを上記キレート樹脂に吸着せしめて除去する銅電解液中の不純金属イオンの除去方法が記載されている。
特許文献4には、銅電解精練工程で得られる錫を含む電解液を、ホスホン酸とスルホン酸とを官能基に持つキレート樹脂に接触させ、電解液中の金属イオンをキレート樹脂に吸着させる工程と、キレート樹脂を水で洗浄する工程と、キレート樹脂に溶離液を通し、キレート樹脂から金属イオンを溶離させる工程とを含む浄液方法が記載されている。
特許第4216657号公報 特許第3722254号公報 特公平5-5901号公報 特許第5539823号公報
しかしながら、本発明者らが上述した先行技術文献を検討した結果、以下の様な課題があることに想到した。
特許文献1、2に記載の提案では、HSO等の遊離酸を含むNiSO液、CuSO液、または、CoSO液からFeイオンを抽出する為に中和処理を行おうとした際、HSO濃度が高い場合は、薬剤使用量や石膏などの副産物発生量が増大し、経済的に実施することは困難である。
特許文献3、4に記載の提案は、HSO濃度が200g/Lと高い強酸溶液に適用されているものであるが、特にFeイオンを効率よく抽出する方法ではない。
本発明は上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、Fe(鉄)イオンとHSO(硫酸)等の遊離酸とを含む強酸溶液から、当該Feイオンを効率よく抽出する方法を提供することである。
より詳しくは、強酸溶液中に含まれるFeイオンを、簡便且つ効率よく抽出する方法が望まれているところ、水相と有機相との相分離を利用して金属元素を抽出・分配する溶媒抽出法を用いて、強酸溶液中から当該Feイオンを有機相に抽出する処理方法を提供することである。
尚、本発明において「Feイオン」とは、Fe2+とFe3+とを含む意味である。
上述の課題を解決する為、本発明者らは鋭意研究した結果、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤を用い、FeイオンとHSO等の遊離酸とを含む強酸溶液から、溶媒抽出法により当該Feイオンを抽出する構成に想到した。
従来から、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤を用い、水相の溶液のpH値を0.2~8程度の範囲で制御することにより、有機相へ抽出する金属種を選択できることは知られていた。しかし、本発明者らは、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤を用い、強酸水溶液の遊離HSO濃度に着目することで、これら従来の範囲とは異なる高濃度の遊離HSO濃度を有しFeイオンを含む強酸溶液(例えば、pH値が0以下の範囲にある強酸溶液)である水相から、Feイオンを効率よく有機相へ抽出することが出来ることを知見し、本発明を完成した。
即ち、上述の課題を解決する為の第1の発明は、
陽イオン放出型の抽出剤を用いた溶媒抽出法により、遊離のHSOを98g/L以上含む強酸溶液からFeイオンを抽出する、遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法である。
第2の発明は、
前記溶液が、150g/L以上の遊離のHSOを含む、第1の発明に記載の遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法である。
第3の発明は、
前記溶液が、150g/L以上552g/L以下の遊離のHSOを含む、第1または第2の発明に記載の遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法である。
第4の発明は、
第1から第3の発明のいずれかに記載の遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法により得られたFeイオンを含む有機相と、前記遊離酸より弱い酸とを混合して溶媒抽出法を行い、前記Feイオンを水相へ逆抽出する、遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法である。
第5の発明は、
工程にて生成する、遊離のHSOを98g/L以上含む強酸溶液から、Feイオンを抽出する方法として、第1から第4の発明のいずれかに記載の遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法を用いる、非鉄金属の製錬方法である。
第6の発明は、
前記溶液は、Cu電解尾液からCuSOを晶析させた後の溶液であり、
前記抽出剤は、Niを含有する原料からNiを浸出させた溶液から、陽イオン放出型の抽出剤によりNiを溶媒抽出した後の有機相に含有されたもの、又は、Cuを含有する原料からCuを浸出させた溶液から、陽イオン放出型の抽出剤によりCuを溶媒抽出した後の有機相に含有されたものである、第5の発明に記載の非鉄金属の製錬方法である。
本発明によれば、遊離のHSOを98g/L以上含む強酸溶液から、効率よくFeイオンを抽出することが出来る
非鉄金属精錬工程に本発明を適用した場合における工程フローの一例である。 非鉄金属精錬工程に本発明を適用した場合における異なる工程フローの一例である。
本発明者らは、遊離のHSOを98g/L以上含む強酸溶液(例えば、pH値が0以下である強酸溶液)から、Feイオンを効率よく抽出する方法について研究を行った。そして、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤を用い、Feイオンと遊離のHSOとを含む強酸溶液である水相から、溶媒抽出法を行って、有機相へFeイオンを抽出する構成に想到した。
従来から、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤は、水相の溶液のpH値を0.2~8程度の範囲で制御することにより、有機相へ抽出する金属種を選択できることは知られていた。しかし、本発明者らは、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤を含む有機相を用いることで、従来の範囲とは異なるFeイオンと遊離のHSOを98g/L以上含む強酸溶液(例えば、pH値が0以下である強酸溶液)である水相から、Feイオンを効率よく有機相へ抽出することが出来ることを知見し、本発明を完成したものである。
以下、本発明について、1.被処理対象溶液、2.抽出剤、3.混合方法、4.溶媒抽出の効果、5.有機相中のFeの逆抽出、6.非鉄金属製錬工程等への本発明の適用例、の順に説明する。
1.被処理対象溶液
本発明の被処理対象となる溶液は、遊離の硫酸イオン(SO 2-)を96g/L以上、好ましくは147g/L以上含むものである。これは、遊離のHSOに換算すると98g/L以上、好ましくは150g/L以上含むものである。一方、遊離の硫酸イオン(SO 2-)は541g/L以下であることが好ましく、これは、遊離のHSOに換算すると552g/L以下含むものである。そして、pH値は0以下(好ましくは-0.10以下、さらに好ましくは-0.20以下、最も好ましくは-0.30以下)であり、Co(コバルト)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)等の有価金属を含有すると共に、Feイオンを含有する強酸溶液である。尚、本発明において被処理対象溶液のpH値の下限に特に限定は無いが、例えば、-0.8以上であることが好ましい。
また、後述するように、被処理対象溶液中において遊離のHSOの濃度が98g/Lのとき、当該溶液のpH値は0.00である。
当該被処理対象となる強酸溶液には、例えば、非鉄金属の製錬工程で用いられる銅電解精製、電解採取工程の溶液(本発明において「Cu電解液」と記載する場合がある。)、Cu電解工程由来の溶液から硫酸銅を回収するための溶液、回収した後の溶液(本発明において「Cu晶析后液」と記載する場合がある。)、硫酸ニッケルを回収するための晶析に使われる溶液、もしくは晶析後の溶液(本発明において「Ni晶析后液」と記載する場合がある。)、が挙げられる。
2.抽出剤
本発明においては抽出剤として、Hイオン等を放出する陽イオン放出型の抽出剤を好ましく用いることが出来る。従来より、これら陽イオン放出型の抽出剤を用いた溶媒抽出操作において、溶液のpH値を制御することにより抽出される金属種を選択できることが知られていた。
イオン等を放出する陽イオン放出型の抽出剤としては、リン酸系である、ジ(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸、ビス(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィン酸(市販品として「CYTEC社製 CYANEX272」がある。本発明において「CYANEX272」と記載する場合がある。)、ジ-2-エチルヘキシルリン酸(市販品として「Solvey社製 D2EHPA」がある。本発明において「D2EHPA」と記載する場合がある。)、カルボン酸系である、C19COOH(市販品として「シェル化学社製 VA-10」がある。本発明において「VA-10」と記載する場合がある。)、等を好ましく挙げることが出来る。
尚、本発明に係る陽イオン放出型の抽出剤はHイオン等を放出するが、金属(イオン)を封鎖する機構を備える所謂キレート剤でなくともよい。例えば、キレート樹脂剤でなくともよい。
また、上述した抽出剤を含有させる有機相の溶媒としては、ケロシンを好ましく用いることが出来る。有機相中における抽出剤の含有量は、0.1質量%以上80質量%以下とすることが好ましい。
3.混合方法
溶媒抽出における水相と有機相との混合には、スターラーや撹拌機による攪拌操作、往復振とう機による振とう操作、分液ロートを用いた手動による振とう操作等、通常の溶媒抽出方法にて用いられる混合方法を使用することが出来る。
4.溶媒抽出の効果
上述した溶媒抽出により、水相に含有されるFeイオンを有機相に抽出することが出来る。
水相に、Feイオンを始め、Coイオン、Cuイオン、Niイオン等が含まれている場合であっても、抽出剤の選択、pH値の制御によって、Feイオンを選択的に抽出することが出来る。
陽イオン放出型の抽出剤として、例えばCYANEX272を用いる場合、溶媒抽出初期における水相のpH値は-0.8以上0.00以下であることが好ましい。
詳細は実施例1にて説明するが、試薬を用いて遊離酸としてHSOを含み、さらに、Fe2+およびFe3+を含む被処理対象溶液試料を調製した。当該被処理対象溶液試料を水相とし、陽イオン放出型の抽出剤でとして、例えばCYANEX272を含む有機相と混合して、Fe2+およびFe3+を抽出したところ、当該被処理対象溶液試料に含有されるFe2+の50質量%程度、Fe3+の60質量%程度が有機相に抽出されることが判明した。その際、S(硫黄)も有機相に抽出され、水相のpH値が上昇することも判明した。
また、詳細は実施例にて説明するが、Cu製錬工程から採取したCu電解液またはNi晶析后液を被処理対象溶液試料とした。当該被処理対象溶液試料を水相とし、各種の陽イオン放出型の抽出剤を含む有機相と混合して、有機相へFeイオンを抽出したところ、Feイオンが選択的に10~70質量%程度抽出されることが判明した。一方、被処理対象液試料に含有されていたCo、Cu、Ni等は、最大でも10%が有機相へ抽出されるに留まり、本発明において、Feイオンが選択的に有機相へ抽出されることが判明した。
5.有機相中のFeの逆抽出
本発明者らは、以上説明した本発明に係る溶媒抽出を実施して生成したFeを含む有機相と、上記遊離酸よりも弱い酸(例えば、HCl水溶液、希釈されたHSO水溶液やHNO水溶液等の酸水溶液)とを混合することにより、Feを有機相から水相へ逆抽出する構成に想到した。
当該構成は、有機相からFeを逆抽出することで、有機相の再生や再使用に寄与する観点から好ましい。酸水溶液としては、希釈されたHSO水溶液、HCl水溶液、希釈されたHNO水溶液が使用出来る。酸水溶液の濃度としては、HSO水溶液であればHSO濃度200g/L未満、HCl水溶液であれば360g/L未満が好ましい。
6.非鉄金属製錬工程等への本発明の適用例
上述した、本発明に係る遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法は、Feイオン、有価金属および遊離酸を含む強酸溶液からFeイオンを抽出する手段として、非鉄金属の製錬方法へ好適に用いることが出来る。
さらに、本発明者らは、本発明に係る遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法において、Feイオンを抽出する為の有機相として、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤と、Co、Cu、Ni等の有価金属とを含有する有機相を用いる構成に想到した。
即ち、当該構成によれば、例えば上述したCu製錬工程から採取した、強酸溶液であるCu電解液またはNi晶析后液を被処理対象溶液とする。一方、有価金属を含む各種の原料やスクラップを処理して得た、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤および有価金属を含有する有機相を準備する。そして、強酸溶液である被処理対象溶液を水相とし、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤および有価金属を含有する有機相と混合して溶媒抽出を行うことで、被処理対象溶液中のFeイオンは有機相に抽出される一方、有機相中のCo、Cu、Ni等の有価金属は被処理対象溶液中へ逆抽出される。
この結果、被処理対象溶液中からのFeイオン抽出と、被処理対象溶液への有価金属の逆抽出とが同時に行われるものである。
さらに、Feを含む有機相と、上記遊離酸よりも弱い酸水溶液とを混合することにより、Feを有機相から水相へ逆抽出する構成を加えることも好ましい。
そして、得られたFeイオンが抽出され、且つ、Co、Cu、Ni等の有価金属を逆抽出した被処理対象溶液を元のCu製錬工程へ戻す。一方、Co、Cu、Ni等の有価金属が逆抽出され、Feイオンを抽出した有機相は、元のCo、Cu、Ni等を含む各種の原料やスクラップの処理工程へ繰り返すことにより、格段に効率的な処理が実施出来るものである。
上述した効率的な処理フローの例を、図1、2を参照しながら説明する。
非鉄金属精錬工程に本発明を適用した場合における工程フローの一例である図1において、(A)のフローは、従来の技術に係るCu鉱石、Cuを含有するスクラップ等の2次原料へ、Cu製錬工程の乾式処理(11)として、例えば、自熔炉-転炉-精製炉法が挙げられる。そして精製炉から得られた粗銅は、Cu電解(12)においてCuアノードとなり、CuカソードやCuSOが製造される。
CuSOを採取する方法として、Cu電解液(Cu電解尾液)へ、をさらに脱Cu電解と呼ばれる電解浄液をした後に、濃縮し冷却することで溶解度の差を利用してCuSOを晶析するCuSO晶析(13)、が挙げられる。さらに、NiSOを晶析する粗NiSO晶析(14)が行われ、尾液はCu電解(12)へ繰り返される。
電解浄液をした後であっても、溶液中のFeイオンの多くは浄液では除去することができずCuSOやNiSOの品質悪化などの影響が考えられる。そこで、CuSOやNiSOの品質向上の為、電解浄液後の溶液の一部または全部からFeイオンを除去することが求められる。
一方、図1において、(B)のフローは、Ni等を含有する原料からNiを採取するものである。まず、Ni等を含有する原料へ酸溶液を用いて浸出(21)し、Ni等を含む浸出液を得て、これを中和(22)し、鉄の沈殿物をつくり固液分離する。当該中和された浸出液を対象に浄液工程として、溶媒抽出(23)(Ni以外の溶媒抽出)を行う。
溶媒抽出(23)において、中和された浸出液を水相とし、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤として、例えばD2EHPAを含む有機溶剤を有機相として混合し、溶媒抽出を実施する。するとNiは水相に残り、Ni以外の重金属は有機相へ抽出される。
次に、溶媒抽出(24)において、Niが残った水相を水相とし、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤を加えた有機溶剤を有機相として混合し、溶媒抽出を行って、Niを有機相に抽出する。
次に、溶媒抽出(25)において、(A)のフローで生成した強酸溶液であるNi晶析后液を水相とし、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤を含みNiを抽出した有機相と混合して溶媒抽出を実施する。すると、Niは水相へ逆抽出されNi逆抽出后液となり、Feイオンは有機相へ抽出される。溶媒抽出(25)が完了したら、Niが逆抽出されたNi逆晶析后液を(A)のフローへ戻す。
Feイオンが抽出された有機相と、弱い酸の水溶液である水相とを混合して逆抽出(26)を実施し、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤を含む再生された有機溶剤は、溶媒抽出(24)の有機相へ繰り返し、Feを含有する逆抽出后液は、Ni等を含有する原料への浸出(21)工程ヘ繰り返す。
当該構成を実施することで、Ni晶析后液中からのFeイオン抽出と、Niという有価金属の逆抽出とが同時に行われるものであり、生産性の向上に大きく寄与するものである。
次に、非鉄金属精錬工程に本発明を適用した場合における異なる工程フローの一例である図2により、上記図1を用いて説明したフローの変形例について説明する。
図2においても、(A)のフローは図1にて説明した、(A)のフローと同様である。
一方、図2において、(C)のフローは、Cu等を含有する原料からCuを採取するものである。まず、Cu等を含有する原料へ、酸溶液を用いて浸出(31)し、Cu等を含む浸出液を得て、これを中和(32)し、鉄の沈殿物をつくり固液分離する。
次に、溶媒抽出(33)において、中和された浸出液を水相とし、陽イオン放出型の抽出剤を加えた有機溶剤を有機相として混合し、溶媒抽出を行って、Cuを有機相に抽出する。
次に、溶媒抽出(34)において、(A)のフローで生成した強酸溶液であるCu晶析后液を水相とし、陽イオン放出型の抽出剤を含みCuを抽出した有機相と混合して溶媒抽出を実施する。すると、Cuは水相へ逆抽出されCu逆抽出后液となり、Feイオンは有機相へ抽出される。溶媒抽出(34)が完了したら、Cuが逆抽出されたCu逆抽出后液を(A)のフローへ戻す。
Feイオンが抽出された有機相と、弱い酸の水溶液である水相とを混合して逆抽出(35)を実施し、Hなどの陽イオン放出型の抽出剤を含む再生された有機溶剤は、溶媒抽出(33)の有機相へ繰り返し、Feを含有する逆抽出后液は、Cu等を含有する原料への浸出(31)工程ヘ繰り返す。
当該構成を実施することで、Cu晶析后液中からのFeイオン抽出と、Cuという有価金属の逆抽出とが同時に行われるものであり、非鉄金属の製錬方法において生産性の向上に大きく寄与するものである。
以下、実施例を参照しながら本発明について具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
実施例1においては、試薬を用いて遊離酸としてHSOを含み、さらに、Fe2+またはFe3+を含む試料を複数調製した。次に、当該試料と、H放出型の抽出剤であるCYANEX272を含む有機相とを混合して、Fe2+またはFe3+を有機相へ溶媒抽出した。そして当該溶媒抽出における、Fe2+またはFe3+の抽出率、抽出初期および抽出終点におけるpH値を測定した。
以下、試料ごとに説明する。
〈試料(1-1)〉
SOを水で希釈し、HSO濃度150g/Lの水溶液とした後、当該水溶液へFeSO4・7HO試薬(富士フイルム和光純薬製)を加え、Fe濃度4.29g/Lとし、Fe2+を含む試料(1-1)を得た。試料(1-1)のFe2+濃度を表1に記載した。次に、H放出型の抽出剤であるCYANEX272を、ケロシン(エクソンモービル製、エクソール)で希釈して40容量%とし有機溶剤を得た。
試料(1-1)を水相とし前記有機溶剤を有機相として、100:100で混合し、温調調節機を備えるスターラーを用いて、水相と有機相とが混ざり合い白濁する程度まで撹拌して溶媒抽出を実施した。このとき、攪拌開始時から、5分間の時点迄、攪拌開始時における水相と有機相との混合液のpH値を維持すべく、当該混合液へ濃HSOを添加した。そして、攪拌開始時から、15分間の時点で攪拌を終了し、水相と有機相とを分離させ溶媒抽出の終点とした。
攪拌開始時における水相のHSO濃度、Fe2+濃度、pH値を表1に記載した。
そして、攪拌開始時および終点における、水相に含まれるFe2+とSとの量をICPで測定し、水相における濃度(g/L)に換算した。そして、当該水相におけるFe2+とSとの濃度より、下記(式1)を用いてFe2+とSとの抽出率を算出した。当該Fe2+とSとの抽出率の値を表1に記載した。
また、終点における水相のpH値を測定し、当該pH値から下記(式2)を用いてHSO濃度を算出した。当該pH値と、HSO濃度とを表1に記載した。

抽出率=[{初期の水相中における濃度(g/L)-終点の水相中における濃度(g/L)}/初期の水相中における濃度(g/L)]×100・・・・・・(式1)

pH値=-LOG([HSO](mol/L))・・・・・・(式2)
(但し、HSO濃度が10g/L以上、即ちpH値が1未満のとき、HSOは2段乖離しないとしている。)
〈試料(1-2)〉
初期の水相におけるHSO濃度を389g/Lとした以外は、試料(1-1)と同様の操作を行って試料(1-2)を得た。
試料(1-1)に替えて試料(1-2)を用いた以外は、試料(1-1)の場合と同様の操作を行った。
攪拌開始時における水相のHSO濃度、Fe2+濃度、pH値を表1に記載した。
そして、終点におけるFe2+とSとの抽出率の値、水相のpH値とHSO濃度とを表1に記載した。
〈試料(1-3)〉
初期の水相におけるHSO濃度を715g/Lとした以外は、試料(1-1)と同様の操作を行って試料(1-3)を得た。
試料(1-1)に替えて試料(1-3)を用いた以外は、試料(1-1)の場合と同様の操作を行った。
攪拌開始時における水相のHSO濃度、Fe2+濃度、pH値を表1に記載した。
そして、終点におけるFe2+とSとの抽出率の値、水相のpH値とHSO濃度とを表1に記載した。
〈試料(1-4)〉
初期の水相におけるHSO濃度を993g/Lとした以外は、試料(1-1)と同様の操作を行って試料(1-4)を得た。
試料(1-1)に替えて試料(1-4)を用いた以外は、試料(1-1)の場合と同様の操作を行った。
攪拌開始時における水相のHSO濃度、Fe2+濃度、pH値を表1に記載した。
そして、終点におけるFe2+とSとの抽出率の値、水相のpH値とHSO濃度とを表1に記載した。
〈試料(1-5)〉
初期の水相におけるHSO濃度を1222g/Lとした以外は、試料(1-1)と同様の操作を行って試料(1-5)を得た。
試料(1-1)に替えて試料(1-5)を用いた以外は、試料(1-1)の場合と同様の操作を行った。
攪拌開始時における水相のHSO濃度、Fe2+濃度、pH値を表1に記載した。
そして、終点におけるFe2+とSとの抽出率の値、水相のpH値とHSO濃度とを表1に記載した。
〈試料(1-6)〉
SOを水で希釈し、HSO濃度150g/Lの水溶液とした後、当該水溶液へFe(SO・nHO試薬((富士フイルム和光純薬社製)を加え、Fe濃度を4.34g/Lとし、Fe3+を含む試料(1-6)を得た。試料(1-6)のFe3+濃度を表2に記載した。
試料(1-1)に替えて試料(1-6)を用いた以外は、試料(1-1)の場合と同様の操作を行った。
攪拌開始時における水相のHSO濃度、Fe3+濃度、pH値を表2に記載した。
そして、終点におけるFe3+とSとの抽出率の値、水相のpH値とHSO濃度とを表2に記載した。
〈試料(1-7)〉
初期の水相におけるHSO濃度を389g/Lとした以外は、試料(1-6)と同様の操作を行って試料(1-7)を得た。
試料(1-6)に替えて試料(1-7)を用いた以外は、試料(1-6)の場合と同様の操作を行った。
攪拌開始時における水相のHSO濃度、Fe3+濃度、pH値を表2に記載した。
そして、終点におけるFe3+とSとの抽出率の値、水相のpH値とHSO濃度とを表2に記載した。
〈試料(1-8)〉
初期の水相におけるHSO濃度を715g/Lとした以外は、試料(1-6)と同様の操作を行って試料(1-8)を得た。
試料(1-6)に替えて試料(1-8)を用いた以外は、試料(1-6)の場合と同様の操作を行った。
攪拌開始時における水相のHSO濃度、Fe3+濃度、pH値を表2に記載した。
そして、終点におけるFe3+とSとの抽出率の値、水相のpH値とHSO濃度とを表2に記載した。
〈試料(1-9)〉
初期の水相におけるHSO濃度を993g/Lとした以外は、試料(1-6)と同様の操作を行って試料(1-9)を得た。
試料(1-6)に替えて試料(1-9)を用いた以外は、試料(1-6)の場合と同様の操作を行った。
攪拌開始時における水相のHSO濃度、Fe3+濃度、pH値を表2に記載した。
そして、終点におけるFe3+とSとの抽出率の値、水相のpH値とHSO濃度とを表2に記載した。
〈試料(1-10)〉
初期の水相におけるHSO濃度を1222g/Lとした以外は、試料(1-6)と同様の操作を行って試料(1-10)を得た。
試料(1-6)に替えて試料(1-10)を用いた以外は、試料(1-6)の場合と同様の操作を行った。
攪拌開始時における水相のHSO濃度、Fe3+濃度、pH値を表2に記載した。
そして、終点におけるFe3+とSとの抽出率の値、水相のpH値とHSO濃度とを表2に記載した。
〈まとめ〉
表1、2の結果より、Fe2+およびFe3+の溶媒抽出における挙動が判明した。
(1)Fe2+、Fe3+とも、水相のHSO濃度に応じて水相から有機相へ抽出されていることが判明した。
(2)終点におけるHSO濃度が200g/L以上であれば、硫黄の抽出率が上がる。さらに、HSO濃度が400g/L以上であれば、Fe2+、Fe3+の抽出率が上がることが判明した。
(3)上述した(1)(2)より、水相中のHSO濃度を調整することで、有機相へのFe2+、Fe3+の抽出が制御可能であることが判明した。ここで、例えば環境技術における水処理工程や非鉄製錬工程においては、各種の金属イオンが混在した溶液が生成する。当該各種の金属イオンが混在した溶液から所望の金属を溶媒抽出などにより抽出した際、同伴するFe2+、Fe3+を溶液から抽出可能であることが判明した。
Figure 2023055572000002
Figure 2023055572000003
[実施例2]
実施例2においては、銅製錬工程にて発生する、HSOと各種非鉄金属を含む溶液から晶析法にてNiを除去した後に得られたNi晶析后液を用いた、このNi晶析後液には、Co、Cu、微量のNi、Feの各イオンが含まれている。これを試料とし、当該試料より、各種のH放出型の抽出剤を含む有機相を用いてFeイオンを溶媒抽出した。当該溶媒抽出におけるFeイオンの抽出率、併せて、Co、Cu、Niの抽出率、pH値を測定した。
〈試料(2-1)〉
上述したCu製錬工程から採取したNi晶出后液を試料(2-1)とした。
次に、H放出型の抽出剤であるD2EHPAを、ケロシン(同上)で希釈して40容量%として有機溶剤を得た。
試料(2-1)を水相とし、前記有機溶剤を有機相として、100:100(容量比)で混合し、温調調節機を備えるスターラーを用いて20℃にて水相と有機相とが混ざり合い白濁する程度まで撹拌し、溶媒抽出を実施した。攪拌開始時から、5分時迄、攪拌開始時における水相と有機相とを混合した。そして、15分の時点で攪拌を終了し、水相と有機相とを分離させ溶媒抽出の終点とした。
攪拌開始時の水相におけるHSO濃度、pH値、有機相におけるH放出型の抽出剤名、有機相/水相の混合比率(容量比)、液温を表3に記載した。
そして、終点における水相に含まれるFeイオンとCo、Cu、Niの各イオンとの量をICPで測定し、水相における濃度(g/L)に換算した。そして、当該水相における濃度より、上述した(式1)を用いてFeとCo、Cu、Niとの抽出率を算出した。当該Fe、Co、Cu、Niの抽出率の値を表4に記載した。
また、終点における水相のpH値を測定し、当該pH値から上述した(式2)を用いてHSO濃度を算出した。当該pH値と、HSO濃度とを表4に記載した。
〈試料(2-2)〉
試料(2-1)に替えて、Cu製錬工程から採取したNi晶出后液を試料(2-2)とした。一方、H放出型の抽出剤として、D2EHPAに替えてVA-10を、ケロシン(同上)で希釈して40容量%とし有機溶剤を得た。
試料(2-2)を水相とし、VA-10を含む有機溶剤を有機相として、試料(2-1)の場合と同様にして溶媒抽出を実施した。
攪拌開始時の水相におけるHSO濃度、pH値、有機相におけるH放出型の抽出剤名、有機相/水相の混合比率(容量比)、液温を表3に記載した。
そして、終点における水相に含まれるFeイオンとCo、Cu、Niの各イオンとの量をICPで測定し、水相における濃度(g/L)に換算した。そして、当該水相における濃度より、上述した(式1)を用いてFeとCo、Cu、Niとの抽出率を算出した。当該Fe、Co、Cu、Niの抽出率の値を表4に記載した。
また、終点における水相のpH値を測定し、当該pH値から上述した(式2)を用いてHSO濃度を算出した。当該pH値と、HSO濃度とを表4に記載した。
〈試料(2-3)〉
試料(2-1)に替えて、Cu製錬工程から採取したNi晶出后液を試料(2-3)とした。一方、H放出型の抽出剤として、D2EHPAに替えてVA-10とD2EHPAとTBPとの混合物を、ケロシン(同上)で希釈して40容量%とし有機溶剤を得た。但し、VA-10:D2EHPA:TBP=50:100:50(容量比)の混合比とした。
試料(2-3)を水相とし、VA-10とD2EHPAとTBPとを含む有機溶剤を有機相とし、有機相/水相=200:100(容量比)で混合した以外は、試料(2-1)の場合と同様にして溶媒抽出を実施した。
攪拌開始時の水相におけるHSO濃度、pH値、有機相におけるH放出型の抽出剤名、有機相/水相の混合比率(容量比)、液温を表3に記載した。
そして、終点における水相に含まれるFeイオンとCo、Cu、Niの各イオンとの量をICPで測定し、水相における濃度(g/L)に換算した。そして、当該水相における濃度より、上述した(式1)を用いてFeとCo、Cu、Niとの抽出率を算出した。当該Fe、Co、Cu、Niの抽出率の値を表4に記載した。
また、終点における水相のpH値を測定し、当該pH値から上述した(式2)を用いてHSO濃度を算出した。当該pH値と、HSO濃度とを表4に記載した。
〈試料(2-4)〉
試料(2-1)に替えて、Cu製錬工程から採取したNi晶出后液を試料(2-4)とした。一方、H放出型の抽出剤として、CYANEX272を、ケロシン(同上)で希釈して40容量%とし有機溶剤を得た。
試料(2-4)を水相とし、CYANEX272を含む有機溶剤を有機相とし、有機相/水相=100:250(容量比)で混合した以外は、試料(2-1)の場合と同様にして溶媒抽出を実施した。
攪拌開始時の水相におけるHSO濃度、pH値、有機相におけるH放出型の抽出剤名、有機相/水相の混合比率(容量比)、液温を表3に記載した。
そして、終点における水相に含まれるFeイオンとCo、Cu、Niの各イオンとの量をICPで測定し、水相における濃度(g/L)に換算した。そして、当該水相における濃度より、上述した(式1)を用いてFeとCo、Cu、Niとの抽出率を算出した。当該Fe、Co、Cu、Niの抽出率の値を表4に記載した。
また、終点における水相のpH値は測定しなかった。
〈試料(2-5)〉
試料(2-1)に替えて、Cu製錬工程から採取したNi晶出后液を試料(2-5)とした。一方、H放出型の抽出剤として、D2EHPAに替えてCYANEX272を、ケロシン(同上)で希釈して40容量%とし有機溶剤を得た。
試料(2-5)を水相とし、CYANEX272を含む有機溶剤を有機相とし、有機相/水相=200:100(容量比)で混合した以外は、試料(2-1)の場合と同様にして溶媒抽出を実施した。
攪拌開始時の水相におけるHSO濃度、pH値、有機相におけるH放出型の抽出剤名、有機相/水相の混合比率(容量比)、液温を表3に記載した。
そして、終点における水相に含まれるFeイオンとCo、Cu、Niの各イオンとの量をICPで測定し、水相における濃度(g/L)に換算した。そして、当該水相における濃度より、上述した(式1)を用いてFeとCo、Cu、Niとの抽出率を算出した。当該Fe、Co、Cu、Niの抽出率の値を表4に記載した。
また、終点における水相のpH値を測定し、当該pH値から上述した(式2)を用いてHSO濃度を算出した。当該pH値と、HSO濃度とを表4に記載した。
〈まとめ〉
表3、4の結果より、有機相中の陽イオン放出型の抽出剤を、他種のものに代替した場合であってもFeイオンの抽出はされること、水相中のHSO濃度調整することで、有機相への鉄の抽出を制御できることが判明した。さらに、試料2-3の結果から明らかなように、複数の陽イオン放出型の抽出剤を混合して用いることも可能であることが解った。
Figure 2023055572000004
Figure 2023055572000005
[実施例3]
実施例3においては、Cu製錬工程から採取した強酸溶液であるNi晶析后液を準備し試料(3-1)とした。当該試料の代表的な組成の範囲を表5に示す。
一方、Ni原料を酸浸出し、得られた浸出液を中和した。そして中和された浸出液からNi以外の金属を溶媒抽出した後、VA-10を40容量%含む有機相へ当該Niを抽出した。当該有機相を試料(3-2)とし、その組成を表6に示す。尚、表6に示すように、試料(3-2)には、Co、Cuが若干量残留していた。
試料(3-1)を水相、試料(3-2)を有機相とし、有機相/水相=500:30(容量比)で混合し、液温を20℃としてスターラーを用いて混合し溶媒抽出を実施した。
その結果、試料(3-1)に含有されていたFeイオンは有機相へ抽出され、試料(3-2)に含有されていたNi、Co、Cuは水相へ逆抽出された。当該溶媒抽出におけるFeの抽出率、Co、Cu、Niの逆抽出率、および、抽出初期および終点における水相のpH値を測定した。測定結果を表7に示す。
〈まとめ〉
表7の結果より、強酸溶液である水層から有機相へFeイオンを抽出することと、抽出剤として陽イオン放出型の抽出剤を含み、さらにCo、Cu、Niを含む有機相から、水層へCo、Cu、Niを逆抽出することとを、同時に実施出来ることが解った。
Figure 2023055572000006
Figure 2023055572000007
Figure 2023055572000008
[実施例4]
実施例4においては、実施例2の〈試料(2-5)〉欄にて説明したCYANEX272を含み、Fe、Co、Cu、Niの各イオンを抽出した有機相(「有機相試料(2-5)」と記載する。)を、遊離酸を含む水相と混合した。そして、有機相試料(2-5)に含有されたFeを、水相へ逆抽出した。
〈試料(4-1)〉
有機相試料(2-5)を有機相とした。
一方、試料(4-1)として遊離酸を含まない水を準備し、水相とした。
有機相と水相とを、有機相/水相=5:5(容量比)で混合し、液温40℃で振とうした。振とう機としては、TAITEC社製DOUBLE SHAKER NR-30を用い、往復振とう(200rpm)を10分間実施した。
終点における水相のpH値を表8に示す。また、終点における水相に含まれるFeイオンの量をICPで測定し、水相における濃度(g/L)に換算した。そして、当該水相における濃度より、上述した(式1)を用いてFeの逆抽出率を算出した。当該Feの逆抽出率の値を表8に記載した。
〈試料(4-2)〉
試料(4-2)としてHSO濃度が100g/Lの水溶液を準備し、水相とした。
試料(4-1)に替えて試料(4-2)を用い、有機相と水相とを、有機相/水相=10:10(容量比)で混合した以外は、〈試料(4-1)〉の場合と同様に操作して、Feを水相に逆抽出した。
終点における水相のpH値、および、Feの逆抽出率の値を表8に示す。
〈試料(4-3)〉
試料(4-3)としてHSO濃度が200g/Lの水溶液を準備し、水相とした。
試料(4-1)に替えて試料(4-3)を用い、有機相と水相とを、有機相/水相=5:5(容量比)で混合した以外は、〈試料(4-1)〉の場合と同様に操作して、Feを水相に逆抽出した。
終点における水相のpH値、および、Feの逆抽出率の値を表8に示す。
〈試料(4-4)〉
試料(4-4)としてHSO濃度が200g/Lの水溶液を準備し、水相とした。
試料(4-1)に替えて試料(4-3)を用い、有機相と水相とを、有機相/水相=5:5(容量比)で混合し、液温を20℃とした以外は、〈試料(4-1)〉の場合と同様に操作して、Feを水相に逆抽出した。
終点における水相のpH値、および、Feの逆抽出率の値を表8に示す。
〈試料(4-5)〉
試料(4-5)としてHCl濃度が90g/Lの水溶液を準備し、水相とした。
試料(4-1)に替えて試料(4-5)を用い、有機相と水相とを、有機相/水相=10:40(容量比)で混合した以外は、〈試料(4-1)〉の場合と同様に操作して、Feを水相に逆抽出した。
終点における水相のpH値、および、Feの逆抽出率の値を表9に示す。
〈試料(4-6)〉
試料(4-6)としてHCl濃度が180g/Lの水溶液を準備し、水相とした。
試料(4-1)に替えて試料(4-6)を用い、有機相と水相とを、有機相/水相=10:20(容量比)で混合した以外は、〈試料(4-1)〉の場合と同様に操作して、Feを水相に逆抽出した。
終点における水相のpH値、および、Feの逆抽出率の値を表9に示す。
〈試料(4-7)〉
試料(4-7)としてHCl濃度が360g/Lの水溶液を準備し、水相とした。
試料(4-1)に替えて試料(4-7)を用い、有機相と水相とを、有機相/水相=10:10(容量比)で混合した以外は、〈試料(4-1)〉の場合と同様に操作して、Feを水相に逆抽出した。
終点における水相のpH値、および、Feの逆抽出率の値を表9に示す。
〈まとめ〉
有機相からのFeの逆抽出は、HSOやHClを含有する水相との混合による溶媒抽出により実施できることが解った。有機相からのFeの逆抽出率は、水相中のHSOやHClの濃度により制御出来、適宜な濃度を選択することにより80%以上の逆抽出率をあげることが出来た。
Figure 2023055572000009
Figure 2023055572000010

Claims (6)

  1. 陽イオン放出型の抽出剤を用いた溶媒抽出法により、遊離のHSOを98g/L以上含む強酸溶液からFeイオンを抽出する、遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法。
  2. 前記溶液が、150g/L以上の遊離のHSOを含む、請求項1に記載の遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法。
  3. 前記溶液が、150g/L以上552g/L以下の遊離のHSOを含む、請求項1または2に記載の遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法により得られたFeイオンを含む有機相と、前記遊離酸より弱い酸とを混合して溶媒抽出法を行い、前記Feイオンを水相へ逆抽出する、遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法。
  5. 工程にて生成する、遊離のHSOを98g/L以上含む強酸溶液から、Feイオンを抽出する方法として、請求項1から4のいずれかに記載の遊離酸を含む強酸溶液からのFeイオンの抽出方法を用いる、非鉄金属の製錬方法。
  6. 前記溶液は、Cu電解尾液からCuSOを晶析させた後の溶液であり、
    前記抽出剤は、Niを含有する原料からNiを浸出させた溶液から、陽イオン放出型の抽出剤によりNiを溶媒抽出した後の有機相に含有されたもの、又は、Cuを含有する原料からCuを浸出させた溶液から、陽イオン放出型の抽出剤によりCuを溶媒抽出した後の有機相に含有されたものである、請求項5に記載の非鉄金属の製錬方法。
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