JP2023054905A - 残留応力が付与された金属部材の製造方法 - Google Patents

残留応力が付与された金属部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】残留応力が解放されにくい金属部材の製造方法を提供する。【解決手段】一態様に係る金属部材の製造方法は、金属部材の結晶粒を微細化させる第1の処理を行う工程と、第1の処理の後に、金属部材の残留応力を緩和させる第2の処理を行う工程と、第2の処理の後に、金属部材に残留応力を付与する第3の処理を行う工程と、を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、残留応力が付与された金属部材の製造方法に関する。
金属部材の疲労強度等を向上させるために、金属部材に対して残留応力を付与する技術が知られている。例えば、特許文献1には、自動車に搭載される懸架ばねにレーザピーニング等を行って当該懸架ばねの内部に圧縮残留応力を付与した後に、当該懸架ばねにショットピーニングを行って当該懸架ばねの表層部分に圧縮残留応力を付与することが記載されている。このように、表層面からある程度の深さにかけて懸架ばねに圧縮残留応力を導入することにより、懸架ばねの表面に腐食が発生した場合であっても懸架ばねの疲労強度を維持することが可能となる。
特開2015-121262号公報
上記のように、金属部材に対してピーニング処理をすることで金属部材には残留応力が付与される。金属部材に付与された残留応力は、時間の経過に伴って解放され、徐々に緩和される。特にアルミニウム合金では、時間の経過に伴ってβ相化合物が析出され、このβ相化合物が析出される際にアルミニウム合金の内部のひずみを緩和する。そのため、アルミニウム合金の残留応力は経時的に解放されやすい。このように金属部材の残留応力が経時的に解放されると、金属部材の疲労強度が低下する原因となる。
そこで、本開示は、残留応力が解放されにくい金属部材の製造方法を提供することを目的とする。
一態様では、残留応力が付与された金属部材の製造方法が提供される。この製造方法は、金属部材の結晶粒を微細化させる第1の処理を行う工程と、第1の処理の後に、金属部材の残留応力を緩和させる第2の処理を行う工程と、第2の処理の後に、金属部材に残留応力を付与する第3の処理を行う工程と、を含む。
上記態様に係る方法では、第1の処理によって金属部材の結晶粒を微細化する。ここで、金属部材に対するX線残留応力測定における信頼性は金属部材の結晶数に依存するため、金属部材の結晶粒を微細化して結晶数を増加させることにより、金属部材に対するX線残留応力測定における信頼性を高めることが可能となる。そして、第1の処理の後に、第2の処理及び第3の処理を行うことにより、金属部材に残留応力を効果的に付与すると共に、残留応力の解放を相対的に抑制することができる。
一実施形態では、金属部材が、Mg、Cu又はMnを含有するアルミニウム合金によって構成されていてもよい。Mg、Cu、又はMnを含有するアルミニウム合金は、β相化合物を析出しやすい。このβ相化合物が析出される際に、金属部材内のひずみが緩和され、金属部材に導入された残留応力が解放される。これに対し、上記実施形態では、第1の処理の後に、第2の処理及び第3の処理を行うことにより、金属部材に残留応力を効果的に付与することができる。一方、金属部材に含有されるMg、Cu又はMnの量は一定であるので、残留応力の解放を相対的に抑制することができる。
一実施形態では、第1の処理が、ショットピーニング処理であってもよい。金属部材にショットピーニング処理を行うことにより、金属部材の結晶粒を効果的に微細化することができる。
一実施形態では、第3の処理が、レーザピーニング処理であってもよい。金属部材にレーザピーニング処理を行うことにより、金属部材の結晶構造を大きく変化させずに金属部材に残留応力を効果的に付与することができる。
一実施形態では、第3の処理を行う工程が、金属部材の表面に犠牲層を形成する工程と、犠牲層にレーザ光を照射する工程とを含んでいてもよい。犠牲層にレーザ光を照射することにより、金属部材表面の損傷を抑制しつつ、金属部材に高い均一性で残留応力を付与することができる。
一実施形態では、第2の処理が、125℃以上170℃以下の温度で金属部材を6時間以上に亘って加熱する調質処理であってもよい。125℃以上170℃以下の温度で6時間以上に亘って金属部材を加熱することにより、金属部材の再結晶化を抑制しつつ、金属部材の残留応力を緩和することができる。
本開示によれば、残留応力が解放されにくい金属部材を製造することができる。
一実施形態に係る金属部材の製造方法を示すフローチャートである。 レーザピーニング処理の流れを示すフローチャートである。 金属部材の残留応力の経時的変化を示すグラフである。
以下では、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。以下の説明において、同一の要素又は同一の機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
一実施形態では、残留応力が付与された金属部材が製造される。製造される金属部材としては、自動車部品、鉄道部品又は航空機部品等、高い疲労強度及び耐摩耗性が要求される金属部品が挙げられる。限定されるものではないが、金属部材は、鋼等の鉄を主成分とする合金、又は、アルミニウム合金が例示される。例えば、金属部材は、β相化合物を析出するアルミニウム合金によって構成される。β相化合物を析出するアルミニウム合金としては、Mg、Cu及びMnから選ばれる少なくとも一種類以上の元素を含有するアルミニウム合金が例示される。
この種のアルミニウム合金では、等温状態での時効工程において、過飽和固溶体、針状ゾーン、及び、棒状析出物をこの順に経て、板状安定相析出物(β相)が析出される。析出されるβ相の総体積は、過飽和固溶体の総体積から減少する。総体積の減少による発生エネルギーをEとし、β相の析出、すなわち、新たな相の生成のためのエネルギーGとすると、G>Eとなる。本来は熱エネルギーHを加えることによってG=E+Hとする。Hの代替として材料内部に有するひずみエネルギーΔGを使うことにより、常温状態でもβ相が析出される。Mg、Cu及びMnの含有量(合計含有量)は、少なくとも0.2%以上であれば、β相化合物が生成される。
金属部材には、ピーニング処理によって残留応力が付与されることがある。金属部材に残留応力が付与することにより、金属部材の疲労強度が向上する。しかしながら、金属部材に付与された残留応力は、時間の経過に伴って徐々に解放される。特に、金属部材が、Mg、Cu及びMnといった元素を含有するアルミニウム合金によって構成されている場合には、これらの元素とアルミニウムとの反応によって、金属部材に導入されたひずみ上にβ相化合物が形成される。その際、金属部材のひずみが緩和され、残留応力が解放される。以下では、残留応力が解放されにくい金属部材の製造方法について説明する。
図1は、一実施形態に係る金属部材の製造方法を示すフローチャートである。図1に示されるように、一実施形態に係る金属部材の製造方法では、被処理体である金属部材が準備される(工程ST1)。
工程ST1において準備される金属部材は、例えば、Mg、Cu又はMnを含むアルミニウム合金部材である。より具体的には、金属部材は、展伸用アルミニウム合金又は鋳造用アルミニウム合金であってもよい。アルミニウム合金部材は、予め焼なまし等の調質処理が行われたバルク体であってもよい。なお、金属部材は、経時的に残留応力が解放される材料であれば、鋼等、アルミニウム合金以外の金属材料によって構成されていてもよい。
次に、準備された金属部材の結晶粒を微細化させる第1の処理が行われる(工程ST2)。限定されるものではないが、第1の処理としては、例えばショットピーニング、ECAP(Equal-Channel Angular Pressing)、HPT(High-Pressure Torsion)、冷間鍛造が用いられる。これらの手法によれば、金属部材を塑性変形させて結晶構造を変化させることにより、金属部材の結晶粒を微細化することができる。例えば、ショットピーニング処理は、ショット媒体を投射して金属部材に衝突させることで金属部材の表面に圧縮残留応力を付与する手法である。ショット媒体の衝突によって、金属部材の表面が塑性変形するときに金属部材の表層部分の結晶粒が微細化される。
ショットピーニング処理としては、圧縮空気によってショット媒体を噴射するエアー式のショットピーニング処理と、高速回転するインペラの遠心力によってショット媒体を投射するインペラ式のショットピーニング処理が知られている。ショット媒体としては、例えば、ジルコニア製、ガラス製又は鋼製の投射材が利用される。投射材の直径は、例えば20μm以上、2000μm以下とすることができる。ショット媒体の硬さは、例えば250HV以上700HV以下とすることができる。
第1の処理として、エアー式のショットピーニングを採用する場合には、圧縮空気の噴射圧は、例えば0.05MPa以上、1MPa以下にすることができる。第1の処理として、インペラ式のショットピーニングを採用する場合には、インペラの回転速度は、例えば20m/s以上、150m/s以下にすることができる。ショットピーニングのカバレージは、例えば80%以上、500%以下にすることができる。ショットピーニングの条件は、金属部材の材質に応じて適宜設定される。
上記のように、第1の処理によって金属部材の表面が塑性変形することにより、金属部材の結晶粒は微細化される。微細化された結晶粒の粒径は、例えば、5nm以上50nm以下であり、5nm以上20nm以下であってもよい。微細化された結晶粒は、例えば、金属部材の表面から50μm以内の深さ範囲に存在する。金属部材の結晶粒は微細化されることにより、金属部材の結晶数が増加する。金属部材に導入可能なひずみの量は結晶数に依存するため、第1の処理によって金属部材の結晶粒を微細化することにより金属部材に導入可能な残留応力が増加する。
一実施形態では、第1の処理を行った後、後述する第2の処理の前に、X線残留応力測定によって金属部材に付与された圧縮残留応力を測定してもよい。例えば、連続的なデバイ環が発生していることを確認することで、X線残留応力測定の測定範囲内に一定数以上の結晶粒が存在していることを確認する。
第1の処理の後に、結晶粒が微細化された金属部材の残留応力を緩和させる第2の処理が行われる(工程ST3)。第2の処理は、第1の処理で結晶粒を微細化した状態を保ったまま、金属部材の残留応力を緩和させてもよい。第2の処理は、例えば金属部材を125℃以上170℃以下の温度で1時間以上保持し、その後常温になるまで冷却する調質処理である。β相化合物の生成は、125℃以上の温度域でアルミニウム合金を熱することにより促進される。また、アルミニウム合金の再結晶温度は180度以上である。したがって、金属部材を125℃以上170℃以下の温度で加熱することにより、金属部材の再結晶化を抑制しつつ、金属部材の残留応力を緩和することができる。
第2の処理において、金属部材を125℃以上170℃の温度で保持する時間(熱処理時間)は、少なくとも1時間以上、好ましくは6時間以上である。1時間以上に亘って金属部材を熱処理することにより、金属部材の結晶粒径を大きく変化させることなく、金属部材の残留応力を緩和することができる。さらに、第2の処理によってβ相化合物の生成を促進することにより、第2の処理後にβ相化合物の生成が抑制されるので、金属部材の残留応力が経時的に解放されることが抑制される。
なお、第2の処理の熱処理時間は、72時間以下としてもよく、48時間以下としてもよく、24時間以下としてもよい。熱処理時間を72時間以下にすることにより、金属部材の再結晶化をより確実に抑制すると共に、高い生産性で金属部材を製造することができる。また、第2の処理において、金属部材の残留応力を一旦緩和することにより、後述する第3の処理において金属部材への残留応力の導入が促進される。
一実施形態では、上述した第2の処理は、乾燥炉又はマッフル炉といった定温保持が可能な装置を用いて行われる。第2の処理は、例えば金属部材の回折X線ピークの半価幅が、調質処理の前後で0.1deg以上、好ましくは0.2deg以上変化するまで行われる。また、第2の処理は、調質処理後の24時間以内での金属部材の残留応力と、調質処理後の24時間以降での金属部材の残留応力とのの変化量(絶対値)が、50MPa以下になるように行われる。これにより、調質処理後に金属部材の残留応力が経時的に解放されることが抑制される。
一実施形態では、第2の処理を行った後、後述する第3の処理の前に、X線残留応力測定によって金属部材に付与された圧縮残留応力を測定してもよい。例えば、連続的なデバイ環が発生していることを確認することで、X線残留応力測定の測定範囲内に一定数以上の結晶粒が存在していることを確認する。
第2の処理の後に、金属部材に残留応力を付与する第3の処理が行われる(工程ST4)。第3の処理は、第1の処理とは異なる加工処理である。限定されるものではないが、第3の処理としては、例えばレーザピーニング、キャビテーションピーニング、ウォータージェットピーニング、低塑性バニシング(LPB:Low plasticity burnishing)が用いられる。これらの第3の処理は、第1の処理とは異なり、金属部材の結晶構造を大きく変化させることなく金属部材に残留応力を付与することが可能である。例えば、ショットピーニング処理は、金属部材の結晶粒自体を変形されるが、レーザピーニング処理は、金属部材の結晶粒自体を変化させず結晶の格子間距離を変化させる。すなわち、ショットピーニング処理及びレーザピーニング処理は、何れも金属部材に残留応力を付与する処理であるが、両者の残留応力の発生メカニズムは異なる。
図2は、第3の処理としてレーザピーニングを採用した場合の処理の流れを示すフローチャートである。図2に示すように、金属部材にレーザピーニングを行う場合には、まず金属部材の表面を保護するために、第1の処理が行われた金属部材の表面に犠牲層が形成される(工程ST11)。犠牲層としては、例えば黒色のフィルムテープが利用される。次に、レーザピーニング装置を用いて犠牲層にレーザ光が照射される(工程ST12)。このとき、金属部材に照射されるレーザ光としては、レーザアブレーションを発生させるようなパワー密度を有するパルスレーザが用いられる。
金属部材の表面に貼付された犠牲層にレーザ光が照射されることにより、犠牲層がプラズマ化して衝撃波が誘起される。この衝撃波が金属部材を伝播することで、金属部材に残留応力が付与される。このとき、第2の処理によって金属部材から残留応力が解放されているので、第3の処理によって残留応力が金属部材に効果的に導入される。なお、レーザピーニングを行う場合には、金属部材を水中に配置した状態、又は、金属部材の表面に水の膜を形成した状態で金属部材にレーザ光を照射してもよい。
なお、一実施形態では、金属部材の表面に犠牲層を形成せず、第1の処理が行われた金属部材の表面に直接レーザ光を照射してもよい。金属部材の表面に直接レーザ光を照射した場合であっても、金属部材に圧縮残留応力を付与することが可能である。
以上説明したように、一実施形態に係る金属部材の製造方法では、第1の処理、第2の処理及び第3の処理を順に行うことにより、圧縮残留応力が付与された金属部材を製造することができる。このように製造された金属部材は、圧縮残留応力が解放されにくい性質を有する。
以上、種々の実施形態に係る金属部材の製造方法について説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。
例えば、上記実施形態では、金属部品がアルミニウム合金によって構成される例についてしたが、金属部品は、アルミニウム合金以外の金属材料によって構成されていてもよい。アルミニウム合金は、β相化合物の生成によって圧縮残留応力の解放が進みやすい性質を有するが、鋼等のアルミニウム合金以外の金属材料においても圧縮残留応力は経時的に解放される。これらの材料であっても、上述した第1の処理、第2の処理及び第3の処理を順に行うことにより、残留応力が解放されにくい金属部材を製造することができる。
次に上述した金属部材の製造方法の効果について、実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、実施例1では、JIS(日本工業規格:Japanese Industrial Standards)A7075で規定される展伸用アルミニウム合金製のサンプル部品を準備した。次に、このサンプル部品に第1の処理としてショットピーニング処理を行った。ショットピーニング処理の投射材としては、スチール製のショット媒体(粒径:0.10mm)を使用した。ショットピーニング処理の処理条件は、以下の通りとした。
(ショットピーニング処理条件)
・噴射圧力:0.2MPa
・ショット媒体の噴射量:9.0kg/min
・カバレージ:300%
・アークハイト:0.118mA
次に、実験例1では、第2の処理として、ショットピーニング処理を行ったサンプル部品を150度で6時間に亘って加熱し、その後常温まで冷却した。これにより、結晶粒を再結晶化させることなくサンプル部品の圧縮残留応力を解放した。
その後、圧縮残留応力が解放されたサンプル部品に第3の処理としてレーザピーニング処理を行い、サンプル部品に圧縮残留応力を付与した。レーザピーニング処理の処理条件は以下の通りとした。
(レーザピーニング処理条件)
・レーザ光のスポット径:0.4mm
・パワー密度:12GW/cm
・パルスエネルギー:100mJ
・照射密度:56Pulses/mm
これに対し、比較例1では、実験例1と同じサンプル部品にショットピーニング処理のみを行った。比較例1のショットピーニング処理条件は、実施例1のショットピーニング処理条件と同じ条件とした。比較例2では、実験例1と同じサンプル部品にレーザピーニング処理のみを行った。比較例2のレーザピーニング処理条件は、実施例1のレーザピーニング処理条件と同じ条件とした。そして、実験例1、比較例1及び比較例2で得られたサンプル部品の残留応力を測定した。残留応力の測定には、パルステック工業株式会社製のX線残留応力測定装置μ-X360sを使用した。
図3は、実験例1、比較例1及び比較例2で得られたサンプル部品の残留応力の経時的変化を示すグラフである。図3の縦軸はサンプル部品の残留応力を示し、横軸は時間(日数)を示している。図3では、引張残留応力を正の値として表し、圧縮残留応力を負の値として表している。
図3に示すように、比較例1のサンプル部品は、ショットピーニング処理の直後に-250Mpaの残留応力を示したが、ショットピーニング処理から10日後までにその残留応力は-210Mpaまで変化した。すなわち、比較例1のサンプル部品の圧縮残留応力は、時間の経過に伴って解放された。また、比較例1のサンプル部品の圧縮残留応力は、ショットピーニング処理から10日後以降も解放され、120日後には-190Mpaまで変化した。
比較例2のサンプル部品の残留応力は、レーザピーニング処理の直後に-210Mpaを示したが、レーザピーニング処理から10日後までにその残留応力は-190Mpaまで変化した。すなわち、比較例2のサンプル部品の圧縮残留応力も、時間の経過に伴って解放されることが確認された。
これに対し、実施例1のサンプル部品の残留応力は、120日に亘って-200MPa付近で一定に維持されることが確認された。この結果から、実施例1で製造されたサンプル部品では、圧縮残留応力が解放されにくいことが確認された。

Claims (6)

  1. 残留応力が付与された金属部材の製造方法であって、
    前記金属部材の結晶粒を微細化させる第1の処理を行う工程と、
    前記第1の処理の後に、前記金属部材の残留応力を緩和させる第2の処理を行う工程と、
    前記第2の処理の後に、前記金属部材に残留応力を付与する第3の処理を行う工程と、
    を含む、製造方法。
  2. 前記金属部材が、Mg、Cu又はMnを含有するアルミニウム合金によって構成される、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第1の処理が、ショットピーニング処理である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記第3の処理が、レーザピーニング処理である、請求項1~3の何れか一項に記載の製造方法。
  5. 前記第3の処理を行う工程が、
    前記金属部材の表面に犠牲層を形成する工程と、
    前記犠牲層にレーザ光を照射する工程と、
    を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の製造方法。
  6. 前記第2の処理が、125℃以上170℃以下の温度で前記金属部材を6時間以上に亘って加熱する調質処理である、請求項1~5の何れか一項に記載の製造方法。


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