JP2023054893A - 曲げ加工装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2に示す成形方法では、1回目の成形で曲げ部の内側に向けて凸になるように成形された部分が2回目の成形時に金型の肩部に載るようになる。このため、2回目の成形を行うときにワークの姿勢が安定し難いという問題がある。また、曲げ部の内側に向けて凸になる部分が2回目の成形で逆方向に凸になるように成形されるために、ワークの材料に制約を受けるという問題があった。すなわち、高張力鋼や超高張力鋼などからなるワークを使用すると、曲げ部で割れてしまうおそれがある。
したがって、高張力鋼や超高張力鋼からなるワークを割れることなくかつ単純な構造の金型を使用してスプリングバック量が大幅に減少するように曲げることが可能な曲げ加工装置を提供することができる。
図1中に符号1で示すものは、本発明に係る曲げ加工装置2の一部を構成する第1の金型である。曲げ加工装置2は、第1の金型1と、図2に示す第2の金型3とを用いて鋼板からなるワーク4をいわゆる断面ハット形に成形するものである。ワーク4の材料となる鋼板は、高張力鋼や超高張力鋼からなる平板である。このワーク4の厚みは、5mm以下で、好ましくは0.6mm~2.0mmである。図1および図2は、構成を理解し易いように、ワーク4を実際より厚く描いてある。
図2に示す第2の金型3は、第1の金型1によって成形されたワーク4に最終形状Wとなるように曲げ加工を施す。
パンチ6の肩部6aおよびダイ7の肩部7aは、図3に示すように、第1の湾曲面11,12と第2の湾曲面13,14とを有している。これらの第1および第2の湾曲面11~14は、ワーク4に曲げ代を残しながら曲げるための成形面である。第1の湾曲面11,12は、前記保持部の外側でワーク4の最終形状Wの曲げ部Waより外側に離れた位置で曲げ部Waと同方向に曲がるように湾曲している。
凹部23は、パンチ6の第3の湾曲面15とダイ7の第3の湾曲面16とによって成形された部分である。この実施の形態による凹部23は、最終形状Wの曲げ部Waとは反対方向に向けて断面円弧状に形成されている。
端部4bは、パンチ6の縦壁部6bとダイ7の縦壁部7bとによって成形された部分である。
また、第2の凸部22(第2の湾曲面13,14)の曲率半径R3は、最終形状Wの曲げ部5の曲率半径R2以下である。すなわち第2の凸部22の曲率半径R3≦最終形状Wの曲げ部Waの曲率半径R2である。
第1の金型用パンチ6およびダイ7の縦壁部6b,7bは、ワーク4の端部4bを図1中に二点鎖線で示す最終形状Wとなる位置より外側に成形するように形成されている。
先ず、第1の金型1に平板状の鋼板からなるワーク4を装填する(ステップS1)。このときは、第1の金型用パンチ6の上にワーク4を載置し、このワーク4に上方からパッド8を押し付ける。このようにワーク4がパンチ6上に保持部4aが保持されている状態で、ダイ7を下降させてパンチ6とダイ7とによってワーク4を挟み、第1の成形ステップ(ステップS2)を実施する。
ここで、ワーク4に曲げ加工を施したときにワーク4内に生じる応力について説明する。平板からなるワーク4を単純に曲げると、金型が下死点に達したときに図7(A)に示すようにワーク4の厚み方向の中央を境界として外側に引張応力が生じ、内側に圧縮応力が生じる。図7(A)においては、引張応力が生じる部分に左右方向に延びる線からなるハッチングを施し、圧縮応力が生じる部分に左下がりの線と右下がりの線とからなるハッチングを施してある。そして、このワーク4が金型から取り出されて金型による拘束が解かれたときに、これらの応力でワーク4が弾性回復することによって、図7(A)中に矢印で示す方向にモーメントが生じ、角度変化(スプリングバック)が生じる。
第2の成形時にワーク4の曲げ部5の外側に生じる内部応力について解析を行ったところ、図8に示すような結果が得られた。図8においては内部応力を明暗で表している。図8において相対的に明るい領域A,Bは引張応力が発生している領域を示し、相対的に暗い領域C,Dは、圧縮応力が発生している領域を示している。
領域Bは、凹部23が伸ばされることによって引張応力が生じる(スプリングバック成分のモーメントが作用する)領域である。
領域Cは、第1の凸部21が潰されることによって圧縮応力が生じる(スプリングゴー成分のモーメントが作用する)領域である。
領域Dは、第2の凸部22が潰されることによって圧縮応力が生じる(スプリングゴー成分のモーメントが作用する)領域である。すなわち、ワーク4の曲げ部5の外側部分には、2箇所に圧縮応力が残留するようになる。
領域Aで示した引張応力は、その一部が領域Cの圧縮応力で打ち消される。
このため、第1および第2の凸部21,22が成形されることにより生じる圧縮応力は、ワーク4が曲げられることにより生じる引張応力を打ち消すようになる。すなわち、第1の成形ステップで成形された曲げ部分を第2の成形ステップで曲げ戻すことにより、スプリングゴー成分が生じ、スプリングバック成分を相殺させる。
このようにスプリングバック成分が相殺されることにより、スプリングバックが低減される。
したがって、この実施の形態によれば、高張力鋼や超高張力鋼からなるワーク4を割れることなくかつ単純な構造の金型を使用してスプリングバック量が大幅に減少するように曲げることが可能な曲げ加工装置を提供することができる。
したがって、スプリングバック量を更に少なく抑えることができるようになる。
なお、前記第1の凸部21、第2の凸部22、凹部23に限ることなく、第3、第4の凸部…、それらの間の凹部を増加させてもよい。また、前記ワークの端部とは、頂部(保持部)、曲げ部、側壁部とつば部とからなるハット断面のワークであれば、側壁部とつば部を指す。また、一方の辺、曲げ部、他方の辺からなるL字断面のワークであれば、ワークの端部はパンチとパッドで挟まれる一方の辺に対して他方の辺を指す。
Claims (1)
- 鋼板からなるワークを最終形状に対して曲げ代が残るように折り曲げる第1の金型と、
前記第1の金型によって成形された前記ワークに最終形状となるように曲げ加工を施す第2の金型とを備え、
前記第1の金型は、前記ワークを挟んで成形するパンチとダイとを有し、
前記パンチおよび前記ダイは、前記ワークの曲げ部を成形する肩部と、曲げ加工により変位する前記ワークの端部を挟む縦壁部とをそれぞれ有し、
前記パンチの肩部および前記ダイの肩部は、
前記ワークの最終形状の曲げ部より外側に離れた位置で前記曲げ部と同方向に曲がるように湾曲する第1の湾曲面と、
前記第1の湾曲面と前記縦壁部との間に設けられて前記第1の湾曲面に連なるとともに前記第1の湾曲面と同方向に曲がるように湾曲する第2の湾曲面とを有し、該第1の湾曲面と該第2の湾曲面との境界が第3の湾曲面により形成されており、
前記パンチおよび前記ダイの前記縦壁部は、前記ワークの端部を前記最終形状となる位置より外側に成形するように構成されており、
前記第2の金型は、前記第1の金型によって成形された前記ワークを挟んで前記最終形状に成形する第2の金型用パンチと第2の金型用ダイとを有しているとともに、このワークを前記第2の金型用パンチと協働して挟んで保持する第2の金型用パッドを有し、
前記第2の金型用パンチの肩部は、前記第1の金型によって成形された前記ワークにおける、前記第1の湾曲面と前記第2の湾曲面との境界部分である前記第3の湾曲面によって成形された凹部より内側に対峙して曲げ代を形成することを特徴とする曲げ加工装置。
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