JP2023051387A - 水酸化リチウムの製造方法 - Google Patents

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雅俊 高野
Masatoshi Takano
聡 浅野
Satoshi Asano
伸一 平郡
Shinichi Hiragori
修 池田
Osamu Ikeda
伸也 松本
Shinya Matsumoto
陽平 工藤
Yohei Kudo
明弘 村上
Akihiro Murakami
祐輔 仙波
Yusuke Semba
恭平 前田
Kyohei Maeda
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01DCOMPOUNDS OF ALKALI METALS, i.e. LITHIUM, SODIUM, POTASSIUM, RUBIDIUM, CAESIUM, OR FRANCIUM
    • C01D15/00Lithium compounds
    • C01D15/02Oxides; Hydroxides

Abstract

【課題】得られる水酸化リチウムの純度を高めることが可能である水酸化リチウムの製造方法を提供する。【解決手段】水酸化リチウムの製造方法は、リチウム吸着工程、リチウム溶離工程、不純物除去工程、転換工程を包含する。そして、不純物除去工程は、(3A)炭酸化工程:第2リチウム含有溶液に炭酸源を添加し、粗炭酸リチウムを得る工程、(3B)炭酸水素化工程:粗炭酸リチウムを含むスラリーに、二酸化炭素を吹込み、炭酸水素リチウム溶液を得る工程、(3C)脱炭酸工程:炭酸水素リチウム溶液を加熱し、精製炭酸リチウムを得る工程、(3D)酸溶液溶解工程:精製炭酸リチウムを酸溶液に溶解させ、第3リチウム含有溶液を得る工程を包含する。この態様であることにより、リチウム以外の金属を確実に除去することができるので、得られる水酸化リチウムの純度を上げることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、水酸化リチウムの製造方法に関する。さらに詳しくは、高純度の水酸化リチウムを得ることができる水酸化リチウムの製造方法に関する。
近年、車載バッテリー用の正極材料として、ニッケル系正極材料であるNCAの需要が拡大している。そして、ニッケル系正極材量が車載バッテリーに使用される場合、その構成元素であるリチウムは、水酸化リチウムとして供給されることが経済的に好ましい。この水酸化リチウムは、炭酸リチウムから消石灰を添加されるなどして製造されていた。非特許文献1では、この炭酸リチウムを得る方法が開示されている。しかし、この炭酸リチウムから水酸化リチウムを得る製造方法は、コストが大きくなるという問題があった。
これに対し、特許文献1では、炭酸リチウムを経ることなく、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム含有溶液を得ることが可能である水酸化リチウムの製造方法が開示されている。この方法により、非特許文献1の方法と比較して低コストで高純度な水酸化リチウムを得ることが可能となる。
特開2020-193130号公報
湯 衛平、" かん水からのリチウム回収システム"、[online] 、平成22年6月11日、公益財団法人かがわ産業支援財団[平成30年11月22日] 、インターネット( www.kagawa-isf.jp/rist/seika-happyou/21tang.pdf)
特許文献1においては、転換工程の前に不純物除去工程が設けられており、この不純物除去工程において、第2リチウム含有溶液から金属イオンの一部が除去され、最終的な製品である水酸化リチウムの純度が高められている。特許文献1では、この不純物除去工程は、例えば、中和工程とイオン交換工程と、を包含する場合、または酸化工程と中和工程とイオン交換工程と、を包含する場合の開示がある。
しかるに、車載バッテリー用の正極材料に対しては、さらに水酸化リチウムの純度を上げることが求められる場合がある。この場合、特許文献1の製造方法によって製造された水酸化リチウムでは、金属イオンの一部が残留することで、最終的に得られる水酸化リチウムの純度を、あらかじめ定められた純度まで高めることができないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑み、得られる水酸化リチウムの純度を高めることが可能である水酸化リチウムの製造方法を提供することを目的とする。
第1発明の水酸化リチウムの製造方法は、次の工程(1)~(4):(1)リチウム吸着工程:第1リチウム含有溶液とリチウム選択吸着剤とを接触させて、前記リチウム選択吸着剤にリチウムを吸着させる工程、(2)リチウム溶離工程:リチウムが吸着された前記リチウム選択吸着剤からリチウムを溶離し、第2リチウム含有溶液を得る工程、(3)不純物除去工程:前記第2リチウム含有溶液から金属イオンの一部を除去し、第3リチウム含有溶液を得る工程、(4)転換工程:前記第3リチウム含有溶液に含まれるリチウム塩を水酸化リチウムに転換し、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム含有溶液を得る工程、を包含し、前記不純物除去工程が、次の工程(3A)~(3D):(3A)炭酸化工程:前記第2リチウム含有溶液に炭酸源を添加し、粗炭酸リチウムを得る工程、(3B)炭酸水素化工程:前記粗炭酸リチウムを含むスラリーに、二酸化炭素を吹込み、炭酸水素リチウム溶液を得る工程、(3C)脱炭酸工程:前記炭酸水素リチウム溶液を加熱し、精製炭酸リチウムを得る工程、(3D)酸溶液溶解工程:前記精製炭酸リチウムを酸溶液に溶解させ、第3リチウム含有溶液を得る工程、を包含することを特徴とする。
第2発明の水酸化リチウムの製造方法は、第1発明において、前記リチウム溶離工程の後であって、前記不純物除去工程における前記炭酸化工程の前に中和工程が設けられ、前記炭酸化工程で用いられる第2リチウム含有溶液は、前記中和工程において中和剤を添加さえた中和後液であることを特徴とする。
第3発明の水酸化リチウムの製造方法は、第1発明において、前記リチウム溶離工程の後であって、前記不純物除去工程における前記炭酸化工程の前に酸化工程および中和工程が設けられ、前記炭酸化工程で用いられる第2リチウム含有溶液は、前記酸化工程において酸化剤を添加された酸化後液に、前記中和工程において前記酸化後液に中和剤が添加された中和後液であることを特徴とする。
第4発明の水酸化リチウムの製造方法は、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記酸溶液溶解工程の後であって、前記転換工程の前にイオン交換工程が設けられ、前記転換工程で用いられる前記第3リチウム含有溶液は、前記イオン交換工程において、前記酸溶液溶解工程において得られたリチウム塩溶液と、イオン交換樹脂と、を接触させて得られたことを特徴とする。
第5発明の水酸化リチウムの製造方法は、第1発明または第4発明のいずれかにおいて、前記転換工程の後に、前記水酸化リチウム含有溶液に溶解している前記水酸化リチウムを固形化する晶析工程が設けられていることを特徴とする。
第6発明の水酸化リチウムの製造方法は、第1発明から第5発明のいずれかにおいて、前記第2リチウム含有溶液の一部または全部が、前記リチウム溶離工程で繰り返し用いられていることを特徴とする。
第1発明によれば、製造上の4工程のうちの不純物除去工程において、炭酸化工程から酸溶液溶解工程までの4つの工程を実行することにより、リチウム以外の金属を確実に除去することができるので、得られる水酸化リチウムの純度を上げることができる。
第2発明によれば、炭酸化工程の前に中和工程が設けられていることにより、第2リチウム含有溶液に含まれているマグネシウムとマンガンを除去することができ、炭酸化工程以降における、不純物除去の負荷を低減できる。
第3発明によれば、炭酸化工程の前に、酸化工程と中和工程とが設けられていることにより、第2リチウム含有溶液に含まれているマンガンが中和工程の前に除去され、中和工程でのマンガンの除去の負荷を低減でき、中和工程でのマグネシウムの除去の精度が上がり、さらに得られる水酸化リチウムの純度を上げることができる。
第4発明によれば、転換工程の前にイオン交換工程が設けられていることにより、イオン交換工程の上流側の工程で除去できない金属を除去することができ、さらに得られる水酸化リチウムの純度を上げることができる。
第5発明によれば、転換工程の後に水酸化リチウムを固形化する晶析工程が設けられていることにより、溶解度の違いを利用して、水酸化リチウムを今純度に固形化することができる。
第6発明によれば、第2リチウム含有溶液の一部または全部が、リチウム溶離工程で繰り返し用いられていることにより、第2リチウム含有溶液に含まれるリチウムの濃度を上げることができるので、リチウム溶離工程より後工程へ送る第2リチウム含有溶液の量を減らすことができる。よって、その後工程の設備容量を小さくすることができ、設備に係るコストを抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法の不純物除去工程のフロー図である。 本発明の第1実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法のフロー図である。 本発明の第2実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法の不純物除去工程のフロー図である。 本発明の第3実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法の不純物除去工程のフロー図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための水酸化リチウムの製造方法を例示するものであって、本発明は水酸化リチウムの製造方法を以下のものに特定しない。
本発明に係る水酸化リチウムの製造方法は、以下の(1)~(4)の工程を包含する。
(1)リチウム吸着工程:第1リチウム含有溶液とリチウム選択吸着剤とを接触させて、前記リチウム選択吸着剤にリチウムを吸着させる工程。
(2)リチウム溶離工程:リチウムが吸着された前記リチウム選択吸着剤からリチウムを溶離し、第2リチウム含有溶液を得る工程。
(3)不純物除去工程:前記第2リチウム含有溶液から金属イオンの一部を除去し、第3リチウム含有溶液を得る工程。
(4)転換工程:前記第3リチウム含有溶液に含まれるリチウム塩を水酸化リチウムに転換し、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム含有溶液を得る工程。
そして、不純物除去工程は、以下の(3A)~(3D)の工程を包含する。
(3A)炭酸化工程:前記第2リチウム含有溶液に炭酸源を添加し、粗炭酸リチウムを得る工程。
(3B)炭酸水素化工程:前記粗炭酸リチウムを含むスラリーに、二酸化炭素を吹込み、炭酸水素リチウム溶液を得る工程。
(3C)脱炭酸工程:前記炭酸水素リチウム溶液を加熱し、精製炭酸リチウムを得る工程。
(3D)酸溶液溶解工程:前記精製炭酸リチウムを酸溶液に溶解させ、第3リチウム含有溶液を得る工程。
本発明では、不純物除去工程において、炭酸化工程から酸溶液溶解工程までの4つの工程を実行することにより、リチウム以外の金属を確実に除去することができるので、得られる水酸化リチウムの純度を上げることができる。
また、水酸化リチウムの製造方法においては、前記リチウム溶離工程の後であって、前記不純物除去工程における前記炭酸化工程の前に中和工程が設けられ、前記炭酸化工程で用いられる第2リチウム含有溶液は、前記中和工程において中和剤を添加さえた中和後液であることが好ましい。これにより、第2リチウム含有溶液に含まれているマグネシウムとマンガンを除去することができ、炭酸化工程以降における、不純物除去の負荷を低減できる。
また、水酸化リチウムの製造方法においては、前記リチウム溶離工程の後であって、前記不純物除去工程における前記炭酸化工程の前に酸化工程および中和工程が設けられ、前記炭酸化工程で用いられる第2リチウム含有溶液は、前記酸化工程において酸化剤を添加された酸化後液に、前記中和工程において前記酸化後液に中和剤が添加された中和後液であることが好ましい。これにより、第2リチウム含有溶液に含まれているマンガンが中和工程の前に除去され、中和工程でのマンガンの除去の負荷を低減でき、中和工程でのマグネシウムの除去の精度が上がり、さらに得られる水酸化リチウムの純度を上げることができる。
また、水酸化リチウムの製造方法においては、前記酸溶液溶解工程の後であって、前記転換工程の前にイオン交換工程が設けられ、前記転換工程で用いられる前記第3リチウム含有溶液は、前記イオン交換工程において、前記酸溶液溶解工程において得られたリチウム塩溶液と、イオン交換樹脂と、を接触させて得られたものであることが好ましい。イオン交換工程の上流側の工程で除去できない金属を除去することができ、さらに得られる水酸化リチウムの純度を上げることができる。
また、転換工程の後に、水酸化リチウム含有溶液に溶解している水酸化リチウムを固形化する晶析工程が設けられていることが好ましい。これにより、溶解度の違いを利用して、水酸化リチウムを今純度に固形化することができる。
また、第2リチウム含有溶液の一部または全部が、リチウム溶離工程で繰り返し用いられていることが好ましい。これにより、リチウム溶離工程より後工程へ送る第2リチウム含有溶液の量を減らすことができる。よって、その後工程の設備容量を小さくすることができ、設備に係るコストを抑制することができる。
(第1実施形態)
<リチウム吸着工程>
図2には、本発明の第1実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法を示す。図2に示すように、リチウム吸着工程は、リチウム選択吸着剤と、塩湖かん水などリチウム濃度が比較的低い第1リチウム含有溶液と、を接触させ、この第1リチウム含有溶液からリチウムをリチウム選択吸着剤に、選択的に吸着させる工程である。リチウム吸着工程での反応式を数1に示す。ここではリチウム選択吸着剤としてH1.6Mn1.6が用いられた反応式が示されているが、特にこれに限定されるものではない。例えばスピネル構造を持つマンガン酸リチウムから得られたリチウム選択吸着剤を用いることも可能である。また、これらのリチウム選択吸着剤は、マンガン酸リチウムと酸とを接触させ、このマンガン酸リチウム中のリチウムを脱離したマンガン酸化物が好ましい。
[数1]
1.6Mn1.6+1.6LiCl→Li1.6Mn1.6+1.6HCl
これらを接触させる方法は特に限定されない。例えば接触させる方式としては、カラム方式、バッチ混合方式が該当する。カラム方式において、リチウム選択吸着剤が微粉末として使用された場合、通液抵抗が高く、連続した通液が困難になることが多い。このためリチウム選択吸着剤(リチウム選択吸着剤となる前の前駆体である場合を含む)と、アルミナバインダーなどのバインダーと、を混錬し、これを焼結して作成されたペレットが用いられることが好ましい。
リチウム吸着工程での、第1リチウム含有溶液のpHは、3以上10以下が好ましい。リチウム吸着工程での反応は、リチウムを吸着して酸を生成する反応であるため、水溶液のpHが低いと反応速度が遅くなったり、反応自体が生じなかったりする場合がある。このため、第1リチウム含有溶液とリチウム選択吸着剤とを接触させる前に、第1リチウム含有溶液のpHを高くすることが望ましい。ただし、第1リチウム含有溶液にマグネシウムが含まれている場合pHが高くなりすぎると水酸化マグネシウムが沈殿し、この水酸化マグネシウムがリチウム選択吸着剤表面を覆うことで、リチウムの吸着反応が物理的に阻害される。特に接触させる方法としてカラム方式が採用された場合、水酸化マグネシウムによりカラム内に閉塞が発生することが多くなる。これらから、第1リチウム含有溶液のpHは10以下が好ましい。
また、カラムに通液した後、pHが3以下である場合、カラムの下部がリチウムを効率よく吸着できない可能性がある。なお循環方式では、カラム通液後の流出液に中和剤を添加して、上記のpH範囲に調整した後、カラムに戻すことが好ましい。カラム方式を用いる場合、通液速度は要求される処理量に応じて変えればよい。中和後に沈殿物が発生する場合は、適宜フィルタープレスまたはチェックフィルタのようなろ過装置を用いることで、カラム通液を円滑に行うことができる。吸着操作後、次工程のリチウム溶離工程を行うために、必要に応じてリチウム吸着後のリチウム選択吸着剤の水洗を行う。カラム通液であれば、第1リチウム含有溶液の通液後、比較的純度の高い蒸留水などをカラムに通液して、内部に残存する第1リチウム含有溶液を押出洗浄する。バッチ混合であれば、固液分離後、リチウム吸着後のリチウム選択吸着剤に水をかけることで、付着する第1リチウム含有溶液が除去される。
<リチウム溶離工程>
図2に示すように、リチウム溶離工程では、リチウムを吸着したリチウム選択吸着剤と、塩酸などの鉱酸と、を接触させ、第2リチウム含有溶液を得る。リチウム吸着後のリチウム選択吸着剤は、例えば、マンガン酸リチウムの形態になっており、このリチウム吸着後のリチウム選択吸着剤と、塩酸などの鉱酸と、が接触することで、リチウムが溶離される。接触させる方法はカラム方式が一般的であるが、バッチ混合方式でもよく、接触の方法は問わない。リチウム溶離時の反応式を数2に示す。
[数2]
Li1.6Mn1.6+1.6HCl→H1.6Mn1.6+1.6LiCl
ここでは、マンガン酸リチウムとしてLi1.6Mn1.6を示しているが、特にこれに限定されるものではない。例えばスピネル構造を持つマンガン酸リチウムから得られたリチウム選択吸着剤を用いることも可能である。鉱酸の濃度はリチウムを溶離するのに十分な量があれば良いが、濃度が高すぎるとマンガン酸リチウムが溶解して損耗する。また、濃度が低すぎるとリチウムが溶離しない。鉱酸は、塩酸、硫酸または硝酸を用いることができる。これらのいずれの酸を用いる場合でも、酸濃度は、0.3mol/L以上2.0mol/L以下が好ましい。カラム方式を用いる場合、通液速度は要求される処理量に応じて変えればよい。
本工程で得られる溶離液、すなわち第2リチウム含有溶液には、リチウム吸着工程で若干随伴するナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムが含まれる。また、リチウム選択吸着剤から溶出されるマンガンも含まれる。加えて、アルミナバインダーを用いた造粒体がリチウム選択吸着剤として使用されている場合、第2リチウム含有溶液には、アルミニウムが含有する。これらの不純物のうち、ナトリウムとカリウム以外の多価金属は、後段の転換工程で膜の寿命を短くするなど、不具合を生じさせるため、不純物除去工程において除去する。なお、溶離操作により、リチウム吸着後のリチウム選択吸着剤は、リチウム選択吸着剤に戻り、再度リチウムを吸着できる状態となっている。このため、リチウム吸着工程において再度使用することが可能である。再使用する場合リチウム選択吸着剤は水洗されることが好ましい。
また、第2リチウム含有溶液は、この第2リチウム含有溶液に酸を補加し、フリー酸を0.3mol/L以上、2.0mol/L以下の範囲にすることで、リチウム溶離工程で用いられている鉱酸に代えて使用することができる。このようにリチウム溶離工程で得られた第2リチウム含有溶液を、再度繰り返してリチウム溶離工程で用いることで、第2リチウム含有溶液中のリチウム濃度を増加させることができ、後段に位置する不純物除去工程で用いられる第2リチウム含有溶液の液量を減少させることができる。これにより、不純物除去工程以降の工程における設備容量を小さくすることができ、設備コストおよび薬液などのランニングコストを抑制することができる。
<不純物除去工程>
図2に示すように、不純物除去工程では、第2リチウム含有溶液から金属イオンの一部を除去して第3リチウム含有溶液を得る。また図1には、本実施形態に係る不純物除去工程の構成を示すフロー図を示す。本実施形態では、不純物除去工程は、酸化工程と、中和工程と、炭酸化工程と、炭酸水素化工程と、脱炭酸工程と、酸溶液溶解工程と、イオン交換工程と、を包含する。なお、不純物除去工程は、ここで示す構成に限定されない。
<不純物除去工程中の酸化工程>
図1に示すように、酸化工程は、リチウム溶離工程で得られた第2リチウム含有溶液に、空気、酸素、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を添加し、第2リチウム含有溶液中のマンガンを酸化し、不溶性の二酸化マンガンにすることで液中に溶解しているマンガンを沈殿除去する工程である。マンガンは、後述する中和工程でも除去可能であるが、酸化工程が設けられることにより、マンガンが中和工程前に除去されるので、中和工程でのマンガンが除去される負荷を低減できる。また、酸化工程で沈殿除去されたマンガンは再利用することも可能である。酸化工程で用いられる酸化剤の種類は、空気、酸素、次亜塩素酸ナトリウムなどを採用することができる。第2リチウム含有溶液の酸化還元電位は電位pH図で二酸化マンガンの領域になっている、pHと電位に設定する。なお、酸化工程に関しては、後述する第2実施形態および第3実施形態にあるように、省略することも可能である。
<不純物除去工程中の中和工程>
図1に示すように、中和工程では、酸化後液にアルカリが添加されることにより、中和後液が得られるとともに、不純物を含んだ中和澱物が得られる。中和工程では、添加されたアルカリにより、pHが上昇し、主にマグネシウムが水酸化物となり、中和澱物として沈殿する。また、同時にマンガンも水酸化物として除去される。マグネシウムとマンガンを沈殿除去するには、アルカリ性であれば良いが、pHが高すぎる場合、中和剤コストが増加し、好ましくない。このため中和工程後の中和後液のpHは8.5以上12以下とすることが好ましい。なお、中和工程に関しては、後述する第3実施形態にあるように省略することも可能である。
< 不純物除去工程中の炭酸化工程>
図1に示すように、炭酸化工程では、中和後液に炭酸ナトリウムなどの炭酸源を添加することで中和後液中のリチウムを粗炭酸リチウムとして沈殿させる。これを固液分離し、沈殿した粗炭酸リチウムと、上澄み液とに分けることで、上澄み液の中に含まれるナトリウムまたはカリウムといったアルカリ金属、およびホウ素などの陰イオン成分が除去される。
なお本実施形態では、炭酸源として炭酸ナトリウムが使用されたが、これに限定されない。例えば、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩を用いることが可能である。
また、本実施形態では、中和後液を80℃に保持して炭酸化工程が実施されたが、これに限定されない。常温で実施することも可能である。中和後液の温度が上がると、沈殿させる炭酸リチウムの溶解度が下がるため、沸騰しない範囲で液温を高くすることが好ましい。例えば70℃以上90℃以下の範囲で実施することが好ましい。
炭酸源は、中和後液に含まれるリチウムの量に対応して適切に量を定めるのが好ましい。また、その上限は、炭酸源の溶解度に応じて定められるのが好ましい。
<不純物除去工程の炭酸水素化工程>
図1に示すように、炭酸水素化工程では回収した粗炭酸リチウムを、水に添加しスラリーとした状態で二酸化炭素を吹き込む。数3に示すように、粗炭酸リチウムは、二酸化炭素および水と反応することで、溶解度の高い炭酸水素リチウムに転換され、炭酸水素リチウム溶液が得られる。すなわち炭酸水素リチウムは、液体に溶け込み炭酸水素リチウム溶液となり、他の難溶性の不純物が固体となる。例えばこの不純物とは、炭酸カルシウムである。このように固液分離することで、不純物である炭酸カルシウムなどを除去することができる。
[数3]
LiCO+CO+HO → 2LiHCO
本実施形態に係る炭酸水素化工程では、温度を20℃以上40℃以下とすることが好ましい。また、吹き込む二酸化炭素は、未反応かつ溶解できない二酸化炭素が気泡になって出始める直前の量が好ましい。
<不純物除去工程の脱炭酸工程>
図1および数4に示すように、脱炭酸工程では炭酸水素リチウム溶液を加熱することで、炭酸水素リチウムを溶解度の低い精製炭酸リチウムに転換し、再沈澱させて精製炭酸リチウムを得る。中和工程で得られた中和後液は、ナトリウムを高濃度に含むため、炭酸化工程で得られる粗炭酸リチウムには、ナトリウムが多く含まれている。そこでこのナトリウム濃度を低減するために、粗炭酸リチウム中の炭酸リチウムを、炭酸水素化工程で溶解度の高い炭酸水素リチウムとして溶解し、その後、脱炭酸工程で精製炭酸リチウムという形で再度炭酸リチウムにして、精製炭酸リチウムを沈殿させる。沈殿した精製炭酸リチウムでは、ナトリウムがほぼ除去され、精製炭酸リチウムの純度を高くすることができる。沈殿物である精製炭酸リチウムと、上澄み液とは固液分離され、固形物である精製炭酸リチウムが得られる。
[数4]
2LiHCO → LiCO+CO+H
本実施形態に係る脱炭酸工程は、80℃で実施されたが、これに限定されない。例えば、60℃以上90℃以下で実施されることが好ましい。加熱方法は特に限定されず、反応容器の規模に応じた方法を採用するのが好ましい。例えば、テフロン(登録商標)ヒータ、蒸気加熱を採用することができる。また、本実施形態に係る脱炭酸工程の固液分離では、フィルタープレスが用いられるのが好ましい。
<不純物除去工程の酸溶液溶解工程>
図1に示すように、酸溶液溶解工程では脱炭酸工程で得られる精製炭酸リチウムを酸溶液で溶解し、リチウム塩溶液を得る。炭酸リチウムを、この後の転換工程に用いようとした場合、炭酸リチウムの溶解度が低いため、薄液でしか転換ができず、効率が悪くなる(処理量に対して設備の大きさが大きくなる)こと、転換時に炭酸ガスが出る可能性があり、膜を損傷させる可能性があることという2点の問題がある。これらの問題を解決するため、精製炭酸リチウムを酸溶液で溶解してリチウム塩溶液にする。酸溶液溶解後はpHが低下しているため、イオン交換工程で不純物除去に適したpHに調整することが好ましい。なお、酸溶液溶解工程で用いられる酸は、塩酸、硫酸、硝酸などが該当する。本実施形態では、塩酸が用いられ、酸溶液溶解工程ではリチウム塩溶液として塩化リチウム溶液が得られる。化学反応式を数5に示す。
[数5]
LiCO+2HCl → 2LiCl+HO+CO
なお、酸溶液溶解工程で用いられる酸溶液の量は、後述するイオン交換工程でpHを高くする必要があることから、必要最低限の量とすることが好ましい。例えば、pHが8.5となるように調整することが好ましい。
<不純物除去工程のイオン交換工程>
図1に示すように、イオン交換工程では、リチウム塩溶液とイオン交換樹脂とを接触させることで、不純物の一部が取り除かれた第3リチウム含有溶液が得られる。イオン交換工程では、イオン交換工程の上流側の工程で除去できない金属、例えば中和工程で除去できなかったカルシウム、中和工程のpH に応じて残留するアルミニウム、および中和工程で除去しきれなかった極微量に残留するマンガン、マグネシウムが除去される。
用いるイオン交換樹脂はキレート樹脂が好ましい。例えばイミノニ酢酸型の樹脂を用いることができる。具体的には、Amberlite IRC748を用いることが可能である。イオン交換工程における中和後液のpHは、イオン交換樹脂により好ましい値が決定される。ただし、酸溶液溶解工程で得られたリチウム塩溶液に対して、そのままイオン交換工程を行うのが好ましい。イオン交換樹脂と、中和後液との接触方法は、カラム方式が好ましい。ただし、バッチ混合方式が採用される場合もある。なお、イオン交換工程に関しては、後述する第3実施形態にあるように省略することも可能である。
<転換工程>
図2に示すように、転換工程では、第3リチウム含有溶液に含まれるリチウム塩を水酸化リチウムに転換し、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム含有溶液を得る。本実施形態では、リチウム塩は塩化リチウムである。第3リチウム含有溶液内には、不純物除去工程の酸溶液溶解工程で用いた酸によって、リチウム塩が溶解している。本工程では、例えばバイポーラ膜を用いた電気透析でこれらの水溶液を、水酸化リチウムを含有する水酸化リチウム含有溶液と、塩酸とに転換する。すなわち、電気透析を行うことにより、第3リチウム含有溶液中の塩化リチウムが分解され、塩化リチウムのリチウムイオンが、カオン膜を通過して、水酸化物イオンと結びつき、水酸化リチウムとなり、塩化物イオンが、アニオン膜を通過して塩酸となる。回収した塩酸は溶離工程にリサイクルすることが可能である。これにより鉱酸の使用量を減らすことができる。
なお、転換工程には、バイポーラ膜を用いた電気透析以外に、例えばイオン交換膜を用いた電気透析が該当する。イオン交換膜として陽イオン交換膜が用いられた場合、陰極室に水酸化リチウムが生成される。
(第2実施形態)
図3には、本発明の第2実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法の不純物除去工程のフロー図を示す。本実施形態の、第1実施形態との相違点は、不純物除去工程に酸化工程が含まれていない点である。他の点は、第1実施形態と同じである。以下に第2実施形態の中和工程について説明する。
<不純物除去工程中の中和工程>
図3に示すように、中和工程では、第2リチウム含有溶液にアルカリが添加されることにより、中和後液が得られるとともに、不純物を含んだ中和澱物が得られる。中和工程では、添加されたアルカリにより、pHが上昇し、主にマグネシウムが水酸化物となり、中和澱物として沈殿する。また、同時にマンガンも水酸化物として除去される。中和後液の好ましいpHは第1実施形態と同じである。
(第3実施形態)
図4には、本発明の第3実施形態に係る水酸化リチウムの製造方法の不純物除去工程のフロー図を示す。本実施形態の、第1実施形態との相違点は、不純物除去工程に酸化工程、中和工程、イオン交換工程が含まれていない点である。他の点は、第1実施形態と同じである。
(その他)
<晶析工程>
上記いずれの実施形態においても、転換工程の後に、水酸化リチウム含有溶液に溶解している水酸化リチウムを固形化する晶析工程が設けられる場合がある。
転換工程で得られた水酸化リチウム含有溶液を蒸発乾固すると水酸化リチウムが得られる。しかし、この水酸化リチウム含有溶液には、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属が存在しており、そのまま蒸発乾固すると、そこから得られる固形物は、水酸化リチウム以外の水酸化物を多く含むこととなる。このため、転換工程のあとに、水酸化リチウム含有溶液に溶解している水酸化リチウムを固形化する晶析工程が設けられることが好ましい。
晶析工程では、水酸化リチウム含有溶液に溶解している水酸化リチウムを固形化することで、固体水酸化リチウムが得られる。この固体水酸化リチウムと合わせて、晶析母液が得られる。転換工程では、リチウムが水酸化リチウムになるとともに、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属も水酸化物となる。よってこれらも転換工程で得られる水酸化リチウム含有溶液に含まれる。さらに、アニオンである塩素イオンも膜を通して、水酸化リチウム含有溶液に含まれる。晶析工程では各水酸化物の溶解度の違いを利用し、水酸化リチウムの固形化を行うとともに、含有する不純物を分離する。
晶析工程では水酸化リチウム含有溶液が加熱濃縮される。この際液中に含有する金属イオン濃度が上昇し、最初に比較的溶解度の低い水酸化リチウムが析出固化する。この析出した水酸化リチウムは、固体水酸化リチウムとして回収される。この際、比較的溶解度の高い水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムは、析出させずに水溶液中に残存させる。これにより回収された水酸化リチウムの純度が上がる。
例えば60℃ における、水酸化リチウムの溶解度は13.2g/100g-水であり、水酸化ナトリウムの174g/100g-水、水酸化カリウムの154g/100g-水と比較すると、水酸化リチウムの溶解度が極めて低いことがわかる。塩素イオンは加熱濃縮操作を行っている際も2g/Lであることから、アルカリ金属の塩化物として水酸化リチウム中に析出することはない。
この工程は、工業的には晶析缶を用いた連続晶析で行うことが可能である。また、バッチ晶析で行うこともできる。晶析工程で発生する晶析母液は濃いアルカリ水溶液である。なおこの晶析母液には、溶解度分の水酸化リチウムが含まれるため、リチウム吸着工程に繰り返すことで、リチウムの回収率が上がる。加えて中和剤のコストが下がる。
以下に、本発明に係る水酸化リチウムの製造方法の具体的な実施例について説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
<リチウム吸着工程>
リチウム選択吸着剤としてH1.6Mn1.6が用いられた。このリチウム選択吸着剤500mL(嵩密度1.0g/mL)を容量約650mLの円筒状カラムに充填し、表1に示す濃度の第1リチウム含有溶液を通液し、第1リチウム含有溶液とリチウム選択吸着剤とを接触させた。温度は常温とし、通液速度はSV15、通液量はBV30とした。第1リチウム含有溶液のpHは約8であった。なお、BVは、Bed Volumeの略であり、カラム内のリチウム選択吸着剤の体積の何倍かを表す単位である。本実施例では、リチウム選択吸着剤の容量が500mLであるので、BV30は、15Lとなる。合わせて、SVはSpace Velocityの略であり、単位時間(1時間)あたりの通液量BVを表している。本実施例では、SV15は、7.5L/ hとなる。
Figure 2023051387000002
<リチウム溶離工程>
リチウム溶離工程ではまず、リチウム吸着工程において、リチウムが吸着されたリチウム選択吸着剤を水洗した。そして、0.5mol/Lの塩酸水溶液を通液し、リチウムを溶離して第2リチウム含有溶液を得た。水洗後、リチウム選択吸着剤に対してさらに溶離を繰り返した。この繰り返し時には、繰り返し前に得られた溶離液、すなわち繰り返し前に得られた第2リチウム含有溶液に塩酸を補加し、フリー酸濃度が0.5mol/Lになるよう調整したものを用いた。これを10回繰り返したときの第2リチウム含有溶液の組成を表2に示す。表から明らかなように、本実施例で使用したリチウム選択吸着剤により、選択的にリチウムを回収できることがわかった。
Figure 2023051387000003
<不純物除去工程中の酸化工程>
酸化工程では、第2リチウム含有溶液に、液のpHが5、酸化還元電位が銀塩化銀電極で730mVになるよう、中和剤としてモル濃度8mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液、酸化剤として有効濃度12%の次亜塩素酸ナトリウムを添加することで、酸化後液を得た。本工程は全て室温(20℃)で行われた。この酸化後液中の含有金属の組成を表3に示す。酸化後液において、マンガンの含有量が少なくなっているのがわかる。
Figure 2023051387000004
<不純物除去工程中の中和工程>
中和工程では、酸化後液に中和剤としてモル濃度8mol/Lの水酸化ナトリウムを添加し、pH11に調整することで中和後液を得た。本工程はすべて常温で行われた。この中和後液中の含有金属の組成を表4に示す。中和後液において、マグネシウムおよびマンガンの含有量が少なくなっているのがわかる。
Figure 2023051387000005
<不純物除去工程中の炭酸化工程>
炭酸化工程では、中和後液に、炭酸源である炭酸ナトリウムを、重量濃度200g/Lになるよう添加し、固液分離をすることで、粗炭酸リチウムを得た。本工程は温度80℃で行われた。この粗炭酸リチウムにおける不純物濃度を表5に示す。不純物として、カリウム、ナトリウム、およびホウ素の濃度が低いことがわかる。
Figure 2023051387000006
<不純物除去工程中の炭酸水素化工程>
炭酸水素化工程では、炭酸化工程で得られた粗炭酸リチウムを水に添加し、粗炭酸リチウムを含むスラリーを得た。そしてこのスラリーに二酸化炭素を吹込み、炭酸水素リチウム溶液を得た。流量は未反応かつ溶解できない二酸化炭素の気泡が僅かに出る程度に調整した。本工程は室温(20℃)で行われた。
<不純物除去工程中の脱炭酸工程>
脱炭酸工程では、炭酸水素化工程で得られた炭酸水素リチウム溶液を80℃まで加熱し、精製炭酸リチウムを得た。この精製炭酸リチウムにおける不純物濃度を表6に示す。表5と比較して、すべての不純物が低減され、特にナトリウムが低減されているのがわかる。
Figure 2023051387000007
<不純物除去工程中の酸溶液溶解工程>
酸溶液溶解工程では、脱炭酸工程で得られた精製炭酸リチウムを塩酸に溶解させ、塩化リチウム水溶液にした。溶解する際は、溶解液のpHが8.5になるよう、塩酸と精製炭酸リチウムの添加量を調整した。本工程は室温(20℃)で行われた。この操作により、リチウム濃度が24g/Lである塩化リチウム溶液を得た。この塩化リチウム溶液の含有金属の組成を表7に示す。表4の中和後液と比較して、塩化リチウム溶液においては、リチウムが濃縮されているのに対して、カリウム、ナトリウム、ホウ素の含有量が飛躍的に低減されているのがわかる。
Figure 2023051387000008
<不純物除去工程中のイオン交換工程>
イオン交換工程では、酸溶液溶解工程で得られた塩化リチウム溶液と、イミノジ酢酸型のキレート樹脂(Amberlite IRC748)を充填したカラムにSV5で通液し、樹脂と液を接触させ、第3リチウム含有溶液を得た。本工程は室温(20℃)で行われた。この第3リチウム含有溶液の含有金属の組成を表7に示す。マグネシウム、カルシウムの含有量が飛躍的に低減されているのがわかる。
Figure 2023051387000009
<転換工程>
転換工程では、第3リチウム含有溶液を、バイポーラ膜を用いた電気透析(アストム社製:アシライザーEX3B)で転換した。すなわち、第3リチウム含有溶液に含まれる、リチウム塩である塩化リチウムを水酸化リチウムに転換し、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム含有溶液を得た。本工程は室温(20℃)で行われた。この水酸化リチウム含有溶液の含有金属の組成を表9に示す。表8で示された含有量と同じく、不純物が飛躍的に低減されているのがわかる。
Figure 2023051387000010
<晶析工程>
本実施例では、水酸化リチウムを固形化する晶析工程が行われた。本晶析工程では水酸化リチウム含有液を常圧下、90~100℃に加熱することで2~3倍程度に濃縮し、析出した水酸化リチウムを回収した。なお、この晶析工程は、行われない場合もある。この晶析工程で得られた水酸化リチウムにおける不純物濃度を表10に示す。いずれの不純物も飛躍的に低減されているのがわかる。
Figure 2023051387000011

Claims (6)

  1. 次の工程(1)~(4):
    (1)リチウム吸着工程:第1リチウム含有溶液とリチウム選択吸着剤とを接触させて、前記リチウム選択吸着剤にリチウムを吸着させる工程、
    (2)リチウム溶離工程:リチウムが吸着された前記リチウム選択吸着剤からリチウムを溶離し、第2リチウム含有溶液を得る工程、
    (3)不純物除去工程:前記第2リチウム含有溶液から金属イオンの一部を除去し、第3リチウム含有溶液を得る工程、
    (4)転換工程:前記第3リチウム含有溶液に含まれるリチウム塩を水酸化リチウムに転換し、水酸化リチウムが溶解している水酸化リチウム含有溶液を得る工程、
    を包含し、
    前記不純物除去工程が、次の工程(3A)~(3D):
    (3A)炭酸化工程:前記第2リチウム含有溶液に炭酸源を添加し、粗炭酸リチウムを得る工程、
    (3B)炭酸水素化工程:前記粗炭酸リチウムを含むスラリーに、二酸化炭素を吹込み、炭酸水素リチウム溶液を得る工程、
    (3C)脱炭酸工程:前記炭酸水素リチウム溶液を加熱し、精製炭酸リチウムを得る工程、
    (3D)酸溶液溶解工程:前記精製炭酸リチウムを酸溶液に溶解させ、第3リチウム含有溶液を得る工程、
    を包含する、
    ことを特徴とする水酸化リチウムの製造方法。
  2. 前記リチウム溶離工程の後であって、前記不純物除去工程における前記炭酸化工程の前に中和工程が設けられ、
    前記炭酸化工程で用いられる第2リチウム含有溶液は、
    前記中和工程において中和剤を添加さえた中和後液である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の水酸化リチウムの製造方法。
  3. 前記リチウム溶離工程の後であって、前記不純物除去工程における前記炭酸化工程の前に酸化工程および中和工程が設けられ、
    前記炭酸化工程で用いられる第2リチウム含有溶液は、
    前記酸化工程において酸化剤を添加された酸化後液に、
    前記中和工程において前記酸化後液に中和剤が添加された中和後液である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の水酸化リチウムの製造方法。
  4. 前記酸溶液溶解工程の後であって、前記転換工程の前にイオン交換工程が設けられ、
    前記転換工程で用いられる前記第3リチウム含有溶液は、
    前記イオン交換工程において、
    前記酸溶液溶解工程において得られたリチウム塩溶液と、イオン交換樹脂と、を接触させて得られた、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水酸化リチウムの製造方法。
  5. 前記転換工程の後に、前記水酸化リチウム含有溶液に溶解している前記水酸化リチウムを固形化する晶析工程が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水酸化リチウムの製造方法。
  6. 前記第2リチウム含有溶液の一部または全部が、前記リチウム溶離工程で繰り返し用いられている、
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の水酸化リチウムの製造方法。
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