JP2023051116A - 成膜装置 - Google Patents

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Hisashi Nishigaki
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Abstract

Figure 2023051116000001
【課題】成膜室内の圧力変動を抑えることができる成膜装置を提供する。
【解決手段】実施形態の成膜装置は、スパッタガスが導入されるチャンバと、チャンバ内に設けられ、スパッタリングにより成膜材料を堆積させて成膜するスパッタ源と、スパッタ源を含む成膜室を区切る区切部を有するとともに、スパッタ源により成膜室内において電子部品100に成膜する成膜処理部と、チャンバ内で成膜される電子部品100が搭載される搬送プレート140と、チャンバ内に設けられ、搬送プレート140を、トレイ34を介して搬送する搬送装置と、搬送プレート140とトレイ34との間の空間をその外部から遮蔽する遮蔽部34bと、を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、成膜装置に関する。
携帯電話に代表される無線通信機器には、半導体装置などの電子部品が多数搭載されている。半導体装置は、通信特性への影響を防止するために、外部への電磁波の漏えい等、内外に対する電磁波の影響を抑制することが求められる。このため、電磁波に対するシールド機能を有する半導体装置が用いられている。
一般的に、半導体装置は、実装基板に対する中継用の基板としてのインターポーザ基板の上に半導体チップを搭載し、この半導体チップを樹脂で封止することにより形成されている。この封止樹脂の上面および側面に導電性の電磁波シールド膜を設けることにより、シールド機能が付与された半導体装置が開発されている(特許文献1参照)。
このような電磁波シールド膜は、複数種類の金属材料の積層膜とすることができる。例えば、SUS膜を形成した上にCu膜を形成し、さらにその上にSUS膜を形成する積層構造の電磁波シールド膜が知られている。
電磁波シールド膜において、充分なシールド効果を得るためには、電気抵抗率を低くすることが必要となる。このため、電磁波シールド膜は、ある程度の厚みが要求される。半導体装置においては、一般的には、1μm~10μm程度の膜厚があれば良好なシールド特性が得られるものとされている。上記のSUS、Cu、SUSの積層構造の電磁波シールド膜では、1μm~5μm程度の膜厚があれば、良好なシールド効果が得られることが知られている。
電磁波シールド膜の形成方法としては、スパッタリング法が注目されている。スパッタリング法による成膜装置としては、プラズマを用いて成膜を行うプラズマ処理装置が提案されている。プラズマ処理装置は、ターゲットを配置した真空容器に不活性ガス(以下、スパッタガスと呼ぶ)を導入し、電圧を印加する。プラズマ化したスパッタガスのイオンを、成膜材料のターゲットに衝突させ、ターゲットから叩き出された材料をワークに堆積させて成膜を行う。
一般的なプラズマ処理装置は、数10秒から数分の処理時間で形成が可能な10~数100nmの厚みの膜の形成に用いられている。しかし、上記のように、電磁波シールド膜としては、ミクロンレベルの厚みの膜を形成する必要がある。スパッタリング法は、成膜材料の粒子を成膜対象物上に堆積させて膜を形成する技術であるから、形成する膜が厚くなる程、膜の形成に要する時間は長くなる。
従って、電磁波シールド膜を形成するためには、一般的なスパッタリング法よりも長い、数10分から1時間程度の処理時間を要することとなる。例えば、SUS、Cu、SUSの積層構造の電磁波シールド膜では、5μmの膜厚を得るために、1時間強の処理時間を要する場合がある。
国際公開第2013/035819号公報
プラズマを用いるスパッタリング法では、成膜処理の時間中、電子部品がプラズマの熱に晒され続けることになる。この結果、5μmの厚みの膜を得るまでに、電子部品が200℃前後まで加熱される場合がある。
一方、電子部品の耐熱温度は、数秒~数10秒程度の一時的な加熱であれば200℃程度であるが、加熱が数分を超える場合、一般的には150℃程度である。このため、一般的なプラズマによるスパッタリング法を用いて、ミクロンレベルの電磁波シールド膜を形成することは困難であった。
これに対処するため、減圧可能なチャンバ内に、シールド部材で区切られた成膜室と回転テーブル等の搬送装置を設け、搬送装置上にトレイを介して搭載された電子部品を循環搬送させながら、成膜室の下方を通過させることにより、スパッタリングによる成膜を行う成膜装置が用いられている。このような成膜装置では、減圧されたチャンバ内においてスパッタガスが導入された成膜室を通過する毎に、プラズマ化したスパッタガスのイオンによってターゲットから叩き出された成膜材料を、電子部品に堆積させることにより成膜が行われる。電子部品は、成膜室以外の領域を通過する際には加熱されずに放熱が行われるため、長時間連続して加熱されることが防止される。
また、このような循環搬送型の成膜装置においては、成膜対象である電子部品を搬送プレートに搭載し、この搬送プレートをトレイに搭載して搬送させながら成膜することにより、成膜中の電子部品の熱を搬送プレートに放出させて、電子部品の温度上昇を抑制している。さらに、チャンバ内における他部材からの伝熱の影響をできるだけ排除するために、搬送プレートとトレイとの間に間隙が生じるように支持している。これにより、搬送装置に直接接触するトレイと搬送プレートとの断熱を図り、搬送装置に蓄積された熱がトレイを介して搬送プレートに伝わらないようにされている。
ここで、プラズマを用いるスパッタリング法においては、スパッタガス中のプラズマ放電を維持するために、成膜室内の圧力を一定に保つ必要がある。このため、成膜室を区切るシールド部材の下方とこれに対向する回転テーブルとの間には、電子部品の通過を許容する最小限の間隔を空け、スパッタガスの漏洩等による圧力変動を抑えている。
しかし、上記のように、電子部品を搬送する搬送プレートとトレイとの間に間隙が生じている場合、スパッタガスが導入されている成膜室内よりも、減圧されているチャンバ内において成膜室以外の領域の圧力と同等の圧力となっている間隙の方が相対的に低圧になる。そのため、電子部品が成膜室を通過する際、搬送プレートとトレイとの間の隙間に成膜室内のスパッタガスが流入して、成膜室内の圧力が低下する。電子部品が成膜室以外の減圧された領域を通過する際には、隙間に流入したスパッタガスが放出され、隙間は減圧される。そして、電子部品が再度成膜室を通過する際には、搬送プレートとトレイとの間の減圧された隙間にスパッタガスが流入するため、成膜室内の圧力が低下する。これが繰り返されると、成膜室内の圧力が頻繁に変動することになり、プラズマ放電が不安定となる。すると、電子部品に形成される膜の膜質や膜の密着性が悪化する。
本発明の実施形態は、成膜室内の圧力変動を抑えることができる成膜装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態の成膜装置は、スパッタガスが導入されるチャンバと、前記チャンバ内に設けられ、スパッタリングにより成膜材料を堆積させて成膜するスパッタ源と、前記スパッタ源を含む成膜室を区切る区切部を有するとともに、前記スパッタ源により前記成膜室内において電子部品に成膜する成膜処理部と、前記成膜室内で成膜される前記電子部品が搭載される搬送プレートと、前記チャンバ内に設けられ、前記搬送プレートを、トレイを介して搬送する搬送装置と、前記搬送プレートと前記トレイとの間の空間をその外部から遮蔽する遮蔽部と、を有する。
本発明の実施形態によれば、成膜室内の圧力変動を抑えることができる成膜装置を提供することができる。
実施形態の電子部品を示す模式断面図である。 実施形態の電子部品、保持シート、フレーム及び搬送プレートを示す斜視図である。 実施形態の成膜装置を示す簡略平面図である。 実施形態の成膜工程を示す説明図である。 トレイへの搬送プレートの搭載を示す斜視図である。 トレイへの搬送プレートの搭載及び保持部への搬送プレートの搭載を示す断面図である。 成膜部を示す透視斜視図である。 成膜部を示す透視平面図である。 図8のA-A模式縦断面図である。 遮蔽部を有していない成膜装置の場合のガスの流れを示す説明図である。 遮蔽部をОリングとした変形例を示す断面図である。 遮蔽部をフレームとした変形例を示す断面図である。 遮蔽部を保持シートとした変形例を示す断面図(A)、遮蔽部を粘着シートとした変形例を示す断面図(B)である。 フレームに通気孔を形成した変形例を示す断面図(A)、遮蔽部に通気孔を形成した変形例を示す断面図(B)である。
本発明の実施の形態(以下、本実施形態と呼ぶ)について、図面を参照して具体的に説明する。
[電子部品]
図1(A)に示すように、本実施形態の成膜対象となる電子部品100は、半導体チップ、ダイオード、トランジスタ、コンデンサ又はSAWフィルタ等の素子を、合成樹脂等の絶縁性のパッケージで封止した表面実装部品である。半導体チップは、複数の電子素子を集積化したICやLSI等の集積回路である。この電子部品100は、略直方体形状を有し、一面が電極露出面111aとなっている。電極露出面111aは、電極112が露出し、実装基板と対面して実装基板と接続される面である。
電磁波シールド膜113は電磁波を遮蔽する材料により形成される。図1(A)では、電磁波シールド膜113のみを断面で示している。電磁波シールド膜113は、電子部品100の天面111b及び側面111c、即ち電極露出面111a以外の外面に成膜される。天面111bは電極露出面111aとは反対の面である。側面111cは天面111bと電極露出面111aとを繋ぎ、天面111b及び電極露出面111aとは異なる角度で延びる外周面である。
電磁波遮蔽のシールド効果を得るためには、電磁波シールド膜113は少なくとも天面111bに形成されていればよい。側面111cには図外のグランドピンが存在している。側面111cに対する電磁波シールド膜113の形成は、電磁波シールド膜113の接地のためでもある。
なお、電子部品100は、電磁波シールド膜113が形成された状態では、電磁波シールド膜113を含めて電子部品100と称することがある。また、天面111bと側面111cも電磁波シールド膜113が形成されていても形成されていなくても単に天面111b、側面111cと称する。つまり、電子部品100の天面111bに形成された電磁波シールド膜113の表面も天面111bと称し、側面111cに形成された電磁波シールド膜113の表面も側面111cと称する。
[保持シート]
図1(B)は、成膜処理を受けた後の電子部品100の状態を示す側面図である。図1(B)では、電子部品100以外を断面で示している。また、図2は、成膜処理を受けるために、電子部品100を搭載するための部材を示す斜視図である。図1(B)及び図2(A)に示すように、電子部品100は、一方の面に粘着性を有する粘着面を有する保持シート120によって保持される。より具体的には、あらかじめ電子部品100の電極露出面111aが保持シート120に密着され、電極112が保持シート120に埋設される。
保持シート120は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PI(ポリイミド)などの耐熱性のある合成樹脂である。保持シート120の電極露出面111aが密着する部品搭載面121と、これと反対側の支持面122には、粘着シート123が貼着されている。粘着シート123としては、例えば、シリコーン系、アクリル系の樹脂、その他、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂など、粘着性のある種々の材料を使用できる。なお、支持面122自体に粘着性を持たせてもよい。
本実施形態の保持シート120は、矩形である。保持シート120の部品搭載面121は、図2(A)に示すように、保持シート120の端から内側へ所定距離まで及ぶ外枠領域121aと、外枠領域121aの内側の中枠領域121bに区分される。電子部品100は中枠領域121bに貼り付けられる。中枠領域121bのうち、電子部品100が貼り付けられる領域が貼付領域121cである。本実施形態では、図中一点鎖線で囲まれた領域が、貼付領域121cである。
[フレーム]
保持シート120の粘着シート123には、フレーム130が密着される。つまり、図2(A)、(B)に示すように、保持シート120の外枠領域121aに、矩形の枠状のフレーム130が貼り付けられる。フレーム130は、アルミニウム、SUS等の金属、セラミクス、樹脂、又はその他の熱伝導性の高い材質で形成される。本実施形態のフレーム130は、板状であり、中央に矩形の貫通穴131が形成されている。フレーム130の外形は、保持シート120の外形と一致する。貫通穴131の内縁は、中枠領域121bの外縁に一致する。フレーム130の貫通穴131からは、中枠領域121bが露出する。
[成膜装置]
本実施形態の成膜装置Sは、電子部品100に対して成膜を行う装置である。図3の平面図に示すように、成膜装置Sは、プレート装着部200、成膜部300、プレート離脱部400、冷却部500、搬送部600を備えている。図2(B)、(C)、図3[1]、図4[1]に示すように、電子部品100及びフレーム130が密着した保持シート120の粘着シート123に、搬送プレート140が密着される。この搬送プレート140の密着は、図3に示すプレート装着部200において行われる。これをプレート装着工程とする。
さらに、図3[2]、図4[2]に示すように、保持シート120が密着した搬送プレート140は、トレイ34に載置される。これをプレート載置工程とする。このトレイ34は、図3[3]、図4[3]に示すように、成膜部300に搬入され、電子部品100が成膜される。これを成膜工程とする。この成膜の過程で、電子部品100が加熱される。搬送プレート140は、電子部品100の熱を逃がし、過剰な蓄熱を抑制する放熱路として機能する。
成膜後は、トレイ34は成膜部300から搬出されて、図3[4]、図4[4]に示すように、搬送プレート140がトレイ34から取り出される。これをプレート取出工程とする。そして、図3[5]、図4[5]に示すように、プレート離脱部400において保持シート120が離脱される。これをプレート離脱工程とする。さらに、図3[6]、図4[6]に示すように、搬送プレート140は、冷却部500において冷却される。これをプレート冷却工程とする。その後、図3[1]、図4[1]に示すように、プレート装着部200において、再び保持シート120の粘着シート123が密着される。このように、搬送プレート140には、粘着シート123を介して保持シート120が密着される。
以上のように、搬送プレート140は、プレート装着工程、プレート載置工程、成膜工程、プレート取出工程、プレート離脱工程、プレート冷却工程を経て、繰り返し利用される。
(搬送プレート)
搬送プレート140は、アルミニウム、SUS等の熱伝導性及び導電性を有する金属で形成される板状体である。図2(B)に示すように、搬送プレート140の表面のうち、保持シート120が搭載される面を搭載面141とし、これと反対側の面を成膜部300での支持対象となる支持面142とする。保持シート120の支持面122には、上記のように粘着シート123が貼り付けられ、搬送プレート140の搭載面141に密着する。これにより、電子部品100が搬送プレート140に搭載され、電子部品100から搬送プレート140への伝熱面積を確保する。なお、「電子部品100が搬送プレート140に搭載される」とは、電子部品100が搬送プレート140に伝熱可能となるように、直接又は間接に搬送プレート140に接することをいう。電子部品100が重力を利用して搬送プレート140上に載せられる場合には限定されず、搬送プレート140の方向にかかわらず、電子部品100が直接又は間接に接していればよい。また、電子部品100からの放熱のために、保持シート120の支持面122において、少なくとも貼付領域121cに対応する領域の全体に亘って、搬送プレート140が密着していることが好ましい。
搬送プレート140の表面のうち搭載面141以外の面、つまり支持面142及び側面は、凹凸を有するか又は多孔質となっている。凹凸は、例えば、粗面化処理を施すことにより形成できる。多孔質は、例えば、搬送プレート140がアルミニウムの場合に、アルマイト処理を施すことにより形成できる。また、搬送プレート140の支持面142には、規制部143が設けられている(図6等参照)。本実施形態の規制部143は、深さが同じ4つの円形の窪み穴である。
(トレイ)
トレイ34は、図3、図4に示すように、搬送プレート140を搭載して成膜部300に搬入、搬出される部材である。図5(A)、図6(A)に示すように、トレイ34は矩形の平板であり、導電性を有する材質、例えば金属により形成されている。本実施形態では、トレイ34の材質は、アルミニウム又はSUS等の熱伝導性及び導電性を有する金属である。トレイ34は、対向面34a、遮蔽部34b、支持部35を有する。対向面34aは、矩形の平板であるトレイ34の一方の平面であり、搬送プレート140に対向する。対向面34aの周縁には、遮蔽部34bが設けられている。
遮蔽部34bは、対向面34aを囲うように接着された矩形状の枠である。遮蔽部34bは、トレイ34上に搬送プレート140が載置された場合に、搬送プレート140とトレイ34との間の空間をその外部から遮蔽する。これにより、遮蔽部34bは、搬送プレート140と対向面34aとの隙間へのガスの流入及び排出を遮蔽する。遮蔽部34bは、電子部品100が貼り付けられている貼付領域121cに対応する領域を囲う位置に設けられている。より具体的には外枠領域121aに重なるように設けられている。このように配置することにより、搬送プレート140と対向面34aとの隙間へのガスの流入及び排出を遮蔽する領域をより大きくすることができる。但し、遮蔽部34bによる遮蔽は、完全な密閉に至らなくてもよく、後述する成膜室Mをトレイ34が通過する短時間におけるスパッタガスG1の出入りが抑制できればよい。遮蔽部34bは、搬送プレート140とトレイ34との間の断熱効果を得るために、セラミクス等の断熱性を有する材質で形成されていることが好ましい。但し、遮蔽部34bは搬送プレート140の全体に接するわけではなく、上記のように外枠領域121aに重なるように設けるようにすると遮蔽部34bから電子部品100への伝熱の影響は比較的少ないと考えられ、必ずしも断熱性は要求されない。例えば、SUS等の金属としてもよい。
支持部35は、図5(A)、(B)、図6(A)、(B)に示すように、トレイ34に設けられ、遮蔽部34bとともに、搬送プレート140をトレイ34との間に間隙が生じるように支持する。搬送プレート140の支持面142とトレイ34の対向面34aとの間隔は、成膜工程において成膜材料が回り込まず、断熱効果が得られる距離、例えば、2~5mm程度とすることが好ましいが、この値には限定されない。
支持部35は、対向面34aから突出した突出部材35aを有する。本実施形態の突出部材35aは、4本の円錐形状のピンである。4本のピンは、搬送プレート140の規制部143に対応し、その先端が規制部143に挿入される位置に設けられている。この規制部143に、突出部材35aが嵌ることにより、支持部35に支持された搬送プレート140の移動が規制される。なお、支持部35は、トレイ34と同じ材質により形成されている。支持部35とトレイ34とは、一体的に形成されていても、別々に形成された部材を組み合わせて構成されてもよい。但し、支持部35及びトレイ34は、導電性を有し、互いに電気的に接続されている。
なお、「搬送プレート140が支持部35に支持される」とは、搬送プレート140と支持部35との間の伝熱が抑制されるように、直接又は間接に搬送プレート140と支持部35とが接することをいう。搬送プレート140が重力を利用して支持部35上に載せられる場合には限定されず、支持部35の方向にかかわらず、搬送プレート140が直接又は間接に接していればよい。なお、本実施形態では、搬送プレート140は導電性を有し、支持部35を介して搬送プレート140とトレイ34との電気的な接続が確保される。
[プレート装着部]
プレート装着部200は、図示はしないが、搬送プレート140に保持シート120を押し付けることで、保持シート120を搬送プレート140に密着させる押付装置を有している。このプレート装着部200には、あらかじめ電子部品100が圧着され、フレーム130が貼り付けられた保持シート120と、搬送プレート140とが投入される。冷却部500にて冷却済の搬送プレート140が投入されて、再利用される場合も含む。
[成膜部]
成膜部300は、個々の電子部品100の外表面に、スパッタリングにより電磁波シールド膜113を形成する。成膜部300は、図7に示すように、回転テーブル31が回転すると、保持部33に保持されたトレイ34上の電子部品100が、円周の軌跡で移動して、スパッタ源4に対向する位置を通過するときに、ターゲット41からスパッタされた粒子を付着させて成膜する。
成膜部300は、図7及び図8に示すように、チャンバ20、搬送装置30、成膜処理部40A、40B、表面処理部50、ロードロック部60を有する。
(チャンバ)
チャンバ20は、反応ガスGが導入される容器である。反応ガスGは、スパッタ用のスパッタガスG1、各種処理用のプロセスガスG2を含む(図9参照)。以下の説明では、スパッタガスG1、プロセスガスG2を区別しない場合には、反応ガスGと呼ぶ場合がある。スパッタガスG1は、電力の印加により生じるプラズマにより、発生するイオン等をターゲット41(41A、41B)に衝突させて、電子部品100の表面にスパッタリングによる成膜を実施するためのガスである。例えば、アルゴンガス等の不活性ガスを、スパッタガスG1として用いることができる。
プロセスガスG2は、エッチングやアッシングによる表面処理を行うためのガスである。以下、このような表面処理を、逆スパッタと呼ぶ場合がある。プロセスガスG2は、処理の目的によって適宜変更可能である。例えば、エッチングを行う場合は、エッチングガスとしてアルゴンガス等の不活性ガスを用いることができる。本実施形態においては、アルゴンガスによって、電子部品100の表面の洗浄と、粗面化処理を行う。例えば、表面を洗浄およびナノオーダーで粗面化処理を行うことにより、膜の密着力を高めることができる。
チャンバ20の内部の空間は真空室21を形成している。この真空室21は、気密性があり、減圧により真空とすることができる空間である。例えば、図8及び図10に示すように、真空室21は、チャンバ20の内部の天井20a、内底面20b及び内周面20cによって形成される円柱形状の密閉空間である。
チャンバ20は、図9に示すように、排気口22、導入口24を有する。排気口22は、真空室21と外部との間で気体の流通を確保して、排気Eを行うための開口である。この排気口22は、例えば、チャンバ20の底部に形成されている。排気口22には、排気部23が接続されている。排気部23は、配管及び図示しないポンプ、バルブ等を有する。この排気部23による排気処理により、真空室21内は減圧される。
導入口24は、真空室21のターゲット41の近傍に、スパッタガスG1を導入するための開口である。この導入口24には、ガス供給部25が接続されている。ガス供給部25は、各スパッタ源4に対して1つずつ設けられている。また、ガス供給部25は、配管の他、図示しない反応ガスGのガス供給源、ポンプ、バルブ等を有する。このガス供給部25によって、導入口24から真空室21内にスパッタガスG1が導入される。なお、チャンバ20の上部には、後述するように、処理ユニット5が挿入される開口21aが設けられている。
(搬送部)
搬送装置30は、チャンバ20内に設けられ、電子部品100を円周の軌跡で循環搬送する装置である。循環搬送は、電子部品100を搭載したトレイ34を円周の軌跡で周回移動させることをいう。搬送装置30によってトレイ34が移動する軌跡を、搬送経路Lと呼ぶ。搬送装置30は、回転テーブル31、モータ32、保持部33を有する。また、保持部33には、支持部35を介して搬送プレート140を搭載したトレイ34が保持される。
回転テーブル31は、円形の板である。モータ32は、回転テーブル31に駆動力を与え、円の中心を軸として回転させる駆動源である。保持部33は、搬送装置30により搬送されるトレイ34を保持する構成部である。回転テーブル31の天面には、複数の保持部33が円周等配位置に配設されている。例えば、各保持部33がトレイ34を保持する領域は、回転テーブル31の周方向の円の接線に平行な向きで形成され、かつ、周方向において等間隔に設けられている。より具体的には、保持部33は、トレイ34を保持する溝、穴、突起、治具、ホルダ等である。メカチャック、粘着チャックによって構成することができる。
このように、保持部33に保持されるトレイ34によって、電子部品100が回転テーブル31上に位置決めされる。なお、本実施形態では、保持部33は6つ設けられているため、回転テーブル31上には60°間隔で6つのトレイ34が保持される。但し、保持部33は、一つであっても、複数であってもよい。
(成膜処理部)
成膜処理部40A、40Bは、搬送装置30により搬送される電子部品100に成膜を行う処理部である。以下、複数の成膜処理部40A、40Bを区別しない場合には、成膜処理部40として説明する。成膜処理部40は、図9に示すように、スパッタ源4、区切部44、電源部6を有する。
<スパッタ源>
スパッタ源4は、電子部品100にスパッタリングにより成膜材料を堆積させて成膜する成膜材料の供給源である。スパッタ源4は、ターゲット41、バッキングプレート42、電極43を有する。ターゲット41は、電子部品100に堆積されて膜となる成膜材料によって形成され、搬送経路Lに離隔して対向する位置に設けられている。本実施形態のターゲット41は、図8に示すように、2つのターゲット41A、41Bが搬送方向に直交する方向、つまり回転テーブル31の回転の半径方向に並んでいる。以下、ターゲット41A、41Bを区別しない場合には、ターゲット41とする。ターゲット41の底面側は、搬送装置30により移動する電子部品100に、離隔して対向する。なお、回転テーブル31の径方向におけるトレイ34の大きさよりも、2つのターゲット41A、41Bによって、成膜材料を付着させることができる実行領域である処理領域の方が大きい。
成膜材料は、後述するように、例えば、Cu、Ni、Fe、SUSなどを使用する。但し、スパッタリングにより成膜される材料であれば、種々の材料を適用可能である。また、ターゲット41は、例えば、円柱形状である。但し、長円柱形状、角柱形状等、他の形状であってもよい。
バッキングプレート42は、ターゲット41を保持する部材である。電極43は、チャンバ20の外部からターゲット41に電力を印加するための導電性の部材である。なお、スパッタ源4には、必要に応じてマグネット、冷却機構などが適宜具備されている。
<区切部>
区切部44は、スパッタ源4により電子部品100が成膜される成膜室M1、M2、表面処理を行う処理室Nを仕切る部材である。以下、成膜室M1、M2を区別しない場合には、成膜室Mとして説明する。成膜室M、処理室Nは、密閉された空間ではなく、搬送装置30側が開放された空間である。区切部44は、図8に示すように、搬送経路Lの円周の中心、つまり搬送装置30の回転テーブル31の回転中心から、放射状に配設された方形の壁板44a、44bを有する。壁板44a、44bは、例えば、真空室21の天井20aに、ターゲット41を挟む位置に設けられている。区切部44の下端は、電子部品100が通過する隙間を空けて、回転テーブル31に対向している。この区切部44があることによって、反応ガスG及び成膜材料が真空室21に拡散することを抑制できる。
成膜室M1、M2、処理室Nは、区切部44で区切られた空間である。成膜室M1、M2は、スパッタ源4のターゲット41を含む。より具体的には、図8に示すように、成膜室M1、M2、処理室Nは、平面方向から見て、区切部44の壁板44a、44bと、チャンバ20の内周面20cによって扇形に囲まれた空間である。成膜室M1、M2、処理室Nの水平方向の範囲は、一対の壁板44a、44bによって区切られた領域となる。なお、成膜室Mにおけるターゲット41に対向する位置を通過する電子部品100に、成膜材料が膜として堆積する。この成膜室Mは、成膜の大半が行われる領域であるが、成膜室Mから外れる領域であっても、成膜室Mからの成膜材料の漏れはあるため、全く膜の堆積がないわけではない。つまり、成膜が行われる処理領域は、成膜室Mよりもやや広い領域となる。
<電源部>
電源部6は、ターゲット41に電力を印加する構成部である。この電源部6によってターゲット41に電力を印加することにより、スパッタガスG1をプラズマ化させ、成膜材料を、電子部品100に堆積させることができる。本実施形態においては、電源部6は、例えば、高電圧を印加するDC電源である。なお、高周波スパッタを行う装置の場合には、RF電源とすることもできる。回転テーブル31は、接地されたチャンバ20と同電位であり、ターゲット41側に高電圧を印加することにより、電位差を発生させている。これにより、可動の回転テーブル31をマイナス電位とするために電源部6と接続する困難さを回避している。
複数の成膜処理部40は、成膜材料を選択的に堆積させることにより、複数の成膜材料の層から成る膜を形成する。特に、本実施形態では、異なる種類の成膜材料に対応するスパッタ源4を含み、成膜材料を選択的に堆積させることにより、複数種類の成膜材料の層から成る膜を形成する。異なる種類の成膜材料に対応するスパッタ源4を含むとは、全ての成膜処理部40の成膜材料が異なる場合も、複数の成膜処理部40が共通の成膜材料であるが、他がこれと異なる場合も含む。成膜材料を1種ずつ選択的に堆積させるとは、いずれか1種の成膜材料の成膜処理部40が成膜を行う間、他の成膜材料の成膜処理部40は成膜を行わないことをいう。また、成膜中の成膜処理部40または成膜室Mとは、成膜処理部40のターゲット41に電力が印加され、電子部品100に成膜が行える状態にある成膜処理部40または成膜室Mのことをいう。
本実施形態では、搬送経路Lの搬送方向に、表面処理部50を挟んで、2つの成膜処理部40A、40Bが配設されている。2つの成膜処理部40A、40Bに、成膜室M1、M2が対応している。これらの成膜処理部40A、40Bのうち、成膜処理部40Aは、成膜材料がSUSである。つまり、成膜処理部40Aのスパッタ源4は、SUSから成るターゲット41A、41Bを備えている。他の成膜処理部40Bは、成膜材料がCuである。つまり、成膜処理部40Bのスパッタ源4は、Cuから成るターゲット41A、41Bを備えている。本実施形態では、いずれか一つの成膜処理部40が成膜処理を行っている間は、他の成膜処理部40は、成膜処理を行わない。
(表面処理部)
表面処理部50は、搬送装置30により搬送される電子部品100に表面処理、つまり、スパッタ源4を有しないプラズマ処理である逆スパッタを行う処理部である。この表面処理部50は、区切部44により仕切られた、処理室Nに設けられている。表面処理部50は、処理ユニット5を有する。この処理ユニット5の構成例を図8及び図9を参照して説明する。
処理ユニット5は、チャンバ20の上部から内部にかけて設けられた筒形電極51を備えている。筒形電極51は、角筒状であり、一端に開口部51aを有し、他端は閉塞されている。筒形電極51は、開口部51aを有する一端が回転テーブル31に向かうように、チャンバ20の天面に設けられた開口21aに絶縁部材52を介して取り付けられている。筒形電極51の側壁はチャンバ20の内部に延在している。
筒形電極51の、開口部51aと反対端には、外方へ張り出すフランジ51bが設けられている。絶縁部材52が、フランジ51bとチャンバ20の開口21aの周縁との間に固定されることで、チャンバ20の内部を気密に保っている。絶縁部材52は絶縁性があればよく、特定の材料に限定されないが、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の材料から構成することができる。
筒形電極51の開口部51aは、回転テーブル31の搬送経路Lと向かい合う位置に配置される。回転テーブル31は、搬送装置30として、電子部品100を搭載したトレイ34を搬送して開口部51aに対向する位置を通過させる。なお、回転テーブル31の径方向におけるトレイ34の大きさよりも、筒形電極51の開口部51aの方が大きい。
図8に示すように、筒形電極51は平面方向から見ると回転テーブル31の半径方向における中心側から外側に向けて拡径する扇形になっている。ここでいう扇形とは、扇子の扇面の部分の形を意味する。筒形電極51の開口部51aも、同様に扇形である。回転テーブル31上のトレイ34が開口部51aに対向する位置を通過する速度は、回転テーブル31の半径方向において中心側に向かうほど遅くなり、外側へ向かうほど速くなる。そのため、開口部51aが単なる長方形又は正方形であると、半径方向における中心側と外側とで電子部品100が開口部51aに対向する位置を通過する時間に差が生じる。開口部51aを半径方向における中心側から外側に向けて拡径させることで、開口部51aを通過する時間を一定とすることができ、後述するプラズマ処理を均等にできる。ただし、通過する時間の差が製品上問題にならない程度であれば、長方形又は正方形でもよい。
上述したように、筒形電極51はチャンバ20の開口21aを貫通し、一部がチャンバ20の外部に露出している。この筒形電極51におけるチャンバ20の外部に露出した部分は、図9に示すように、ハウジング53に覆われている。ハウジング53によってチャンバ20の内部の空間が気密に保たれる。筒形電極51のチャンバ20の内部に位置する部分、すなわち側壁の周囲は、シールド54によって覆われている。
シールド54は、筒形電極51と同軸の扇形の角筒であり、筒形電極51よりも大きい。シールド54はチャンバ20に接続されている。具体的には、シールド54はチャンバ20の開口21aの縁から立設し、チャンバ20の内部に向かって延びた端部は、筒形電極51の開口部51aと同じ高さに位置する。シールド54は、チャンバ20と同様にカソードとして作用するので、電気抵抗の少ない導電性の金属部材で構成すると良い。シールド54はチャンバ20と一体的に成型しても良く、あるいはチャンバ20に固定金具等を用いて取り付けても良い。
シールド54は筒形電極51内でプラズマを安定して発生させるために設けられている。シールド54の各側壁は、筒形電極51の各側壁と所定の隙間を介して略平行に延びるように設けられる。隙間が大きくなりすぎると静電容量が小さくなったり、筒形電極51内で発生したプラズマが隙間に入り込んだりしてしまうため、隙間はできるだけ小さいことが望ましい。ただし、隙間が小さくなり過ぎても、筒形電極51とシールド54との間の静電容量が大きくなってしまうため好ましくない。隙間の大きさは、プラズマの発生に必要とされる静電容量に応じて適宜設定すると良い。なお、図9は、シールド54及び筒形電極51の半径方向に延びる2つの側壁面しか図示していないが、シールド54及び筒形電極51の周方向に延びる2つの側壁面の間も、半径方向の側壁面と同じ大きさの隙間が設けられている。
また、筒形電極51にはプロセスガス導入部55が接続されている。プロセスガス導入部55は、配管の他、図示しないプロセスガスG2のガス供給源、ポンプ、バルブ等を有する。このプロセスガス導入部55によって、筒形電極51内にプロセスガスG2が導入される。プロセスガスG2は、上記のように、処理の目的によって適宜変更可能である。
筒形電極51には、高周波電圧を印加するためのRF電源56が接続されている。RF電源56の出力側には整合回路であるマッチングボックス57が直列に接続されている。RF電源56はチャンバ20にも接続されている。RF電源56から電圧を印加すると、筒形電極51がアノードとして作用し、チャンバ20、シールド54、回転テーブル31、トレイ34及び搬送プレート140がカソードとして作用する。つまり、逆スパッタのための電極として機能する。このため、上記のように、回転テーブル31、トレイ34及び搬送プレート140は導電性を有し、電気的に接続されるように接触している。
マッチングボックス57は、入力側及び出力側のインピーダンスを整合させることで、プラズマの放電を安定化させる。なお、チャンバ20や回転テーブル31は接地されている。チャンバ20に接続されるシールド54も接地される。RF電源56及びプロセスガス導入部55はともに、ハウジング53に設けられた貫通孔を介して筒形電極51に接続する。
プロセスガス導入部55から筒形電極51内にプロセスガスG2であるアルゴンガスを導入し、RF電源56から筒形電極51に高周波電圧を印加すると、アルゴンガスがプラズマ化され、電子、イオン及びラジカル等が発生する。
(ロードロック部)
ロードロック部60は、真空室21の真空を維持した状態で、図示しない搬送手段によって、搬送プレート140を介して未処理の電子部品100を搭載したトレイ34を、真空室21に搬入し、搬送プレート140を介して処理済みの電子部品100を搭載したトレイ34を真空室21の外部へ搬出する装置である。このロードロック部60は、周知の構造のものを適用することができるため、説明を省略する。
[プレート離脱部]
プレート離脱部400は、電子部品100に成膜された後、トレイ34から取り出された搬送プレート140が投入される。プレート離脱部400は、図示はしないが、搬送プレート140に設けられた穴又は溝から、プッシャを挿入して保持シート120を付勢することにより、保持シート120の一部を搬送プレート140から剥離して、把持部材によって持ち上げるようにして保持シート120を搬送プレート140から離脱させる。
[冷却部]
冷却部500は、成膜部300による電子部品100に対する成膜により、加熱された搬送プレート140を冷却する。冷却部500は、図4に示すように、収容部510内において、液体を噴霧して、内部を減圧することにより、噴霧された液体の気化熱により搬送プレート140を冷却する。
[搬送部]
搬送部600は、図3に示すように、プレート装着部200、成膜部300、プレート離脱部400、冷却部500の間で、必要な部材を搬送する。本実施形態の搬送部600は、回転アーム610、620、ロボットアーム630を有する。回転アーム610は、搬送プレート140を搭載したトレイ34を、ロードロック部60を介して、チャンバ20から出し入れする。回転アーム620は、保持シート120が装着された搬送プレート140を、トレイ34に対して出し入れする。ロボットアーム630は、搬送プレート140を、プレート装着部200、回転アーム620、プレート離脱部400、冷却部500との間で搬送する。
[制御装置]
制御装置700は、成膜装置Sの各部を制御する装置である。この制御装置700は、例えば、専用の電子回路若しくは所定のプログラムで動作するコンピュータ等によって構成できる。つまり、制御装置700は、プレート装着部200、成膜部300、プレート離脱部400、冷却部500、搬送部600の制御に関して、その制御内容がプログラムされており、PLC(Programmable Logic Controller)やCPU(Central Processing Unit)などの処理装置により実行される。
具体的に制御される内容としては、回転アーム620による搬送プレート140の搬送、回転アーム610によるトレイ34の成膜部300への搬入搬出、プレート装着部200による搬送プレート140への保持シート120の装着、プレート離脱部400による搬送プレート140からの保持シート120の離脱、ロボットアーム630による冷却部500への搬送プレート140の搬入搬出、液体の噴霧、排気、真空破壊などの動作及びそのタイミングを含む。
また、制御装置700は、成膜装置Sの初期排気圧力、スパッタ源4の選択、ターゲット41及び筒形電極51への印加電力、スパッタガスG1及びプロセスガスG2の流量、種類、導入時間及び排気時間、成膜時間、モータ32の回転速度などを制御する。
[動作]
以上のような本実施形態の動作を、上記の図1~図9に加えて、図10を参照して以下に説明する。まず、図2(A)、(B)に示すように、電子部品100は、あらかじめ保持シート120における貼付領域121c上に、間隔を空けてマトリクス状に並べて貼着され、保持シート120の外枠領域121aには、フレーム130が密着されている。
(プレート装着工程:図3[1]、図4[1])
このような保持シート120と、搬送プレート140が、プレート装着部200に投入される。そして、プレート装着部200において、搬送プレート140に保持シート120の粘着シート123に、搬送プレート140の搭載面141が密着される。
(プレート載置工程:図3[2]、図4[2])
保持シート120が密着された搬送プレート140は、図5(A)、(B)、図6(A)、(B)に示すように、回転アーム620によりトレイ34の対向面34aに搭載される。このとき、遮蔽部34bに搬送プレート140の外周近傍が載るとともに、突出部材35aの先端が規制部143に嵌り、遮蔽部34b及び支持部35によって搬送プレート140が支持される。
(成膜工程:図3[3]、図4[3])
複数のトレイ34は、回転アーム610により、ロードロック部60から、チャンバ20内に順次搬入される。回転テーブル31は、空の保持部33を、順次、ロードロック部60からの搬入箇所に移動させる。保持部33は、搬送手段により搬入されたトレイ34を、それぞれ個別に保持する。このようにして、図7及び図8に示すように、成膜対象となる電子部品100を、保持シート120及び搬送プレート140を介して搭載したトレイ34が、回転テーブル31上に全て載置される。なお、図7~図9では、トレイ34に搭載された電子部品100、保持シート120及び搬送プレート140は図示を省略している。
以上のように成膜装置Sに導入された電子部品100に対する成膜処理を説明する。なお、以下の動作は、表面処理部50によって電子部品100の表面を、洗浄および粗面化した後、成膜処理部40A、40Bによって、電子部品100の表面に、電磁波シールド膜113を形成する例である。電磁波シールド膜113は、SUSの層、Cuの層を、交互に積層することにより形成される。電子部品100に直接形成されるSUSの層は、モールド樹脂と、Cuとの密着度を高める下地となる。中間のCuの層は、電磁波を遮蔽する機能を有する層である。最上層のSUSの層は、Cuの錆等を防ぐ保護層である。
まず、真空室21は、排気部23によって常に排気され減圧されている。真空室21が所定の圧力に到達すると、回転テーブル31が回転して、所定の回転速度に達する。電子部品100は、処理ユニット5において、筒形電極51の開口部51aに対向する位置を通過する。処理ユニット5では、プロセスガス導入部55から筒形電極51にプロセスガスG2であるアルゴンガスを導入し、RF電源56から筒形電極51に高周波電圧を印加する。高周波電圧の印加によってアルゴンガスがプラズマ化され、イオン等を含む活性種が発生する。
プラズマはアノードである筒形電極51の開口部51aから、カソードである搬送プレート140、トレイ34及び回転テーブル31へ流れる。プラズマ中のイオン等が開口部51aの下を通過する電子部品100の表面に衝突することで、表面が洗浄および粗面化される。なお、遮蔽部34bによって、トレイ34の対向面34aと搬送プレート140との間にプロセスガスG2が侵入することが防止される。これにより、表面処理部50の処理室N内の圧力変動が抑制される。そして、表面処理部50による表面処理時間が経過したら、表面処理部50を停止する。つまり、プロセスガス導入部55からのプロセスガスG2の供給、RF電源56による電圧の印加を停止する。
次に、成膜処理部40Aのガス供給部25は、スパッタガスG1を、ターゲット41の周囲に供給する。この状態下で、保持部33に保持された電子部品100は、搬送経路L上を円を描く軌跡で移動して、スパッタ源4に対向する位置を通過する。
次に、成膜処理部40Aのみ、電源部6がターゲット41に電力を印加する。これにより、スパッタガスG1がプラズマ化する。スパッタ源4において、プラズマにより発生したイオンは、ターゲット41に衝突して成膜材料の粒子を飛ばす。このため、成膜処理部40Aの成膜室M1を通過する電子部品100の表面には、その通過毎に成膜材料の粒子が堆積されて、膜が生成される。ここでは、SUSの層が形成される。このとき、プラズマにより加熱される電子部品100の熱は、保持シート120を介して搬送プレート140に放出される。また、遮蔽部34bによって、トレイ34の対向面34aと搬送プレート140との間にスパッタガスG1が侵入することが防止される。これにより、成膜処理部40Aの成膜室M1内の圧力変動が抑制される。
また、電子部品100は成膜処理部40Bの成膜室M2を通過するが、成膜処理部40Bはターゲット41に電力が印加されていないので、成膜処理は行われず、電子部品100は加熱されない。また、成膜室M1、M2以外の領域においても、電子部品100は加熱されない。このように、加熱されない領域において、電子部品100及び搬送プレート140は熱を放出する。上記のように、遮蔽部34bによって、トレイ34の対向面34aと搬送プレート140との間にスパッタガスG1が侵入することが防止されているので、加熱されない領域、すなわち成膜室M1、M2以外の領域において、スパッタガスG1を放出することはない。
成膜処理部40Aによる成膜時間が経過したら、成膜処理部40Aを停止する。つまり、電源部6によるターゲット41への電力の印加を停止する。そして、成膜処理部40Bの電源部6が、ターゲット41に電力を印加する。これにより、スパッタガスG1がプラズマ化する。スパッタ源4において、プラズマにより発生したイオンは、ターゲット41に衝突して成膜材料の粒子を飛ばす。このため、成膜処理部40Bの成膜室M2を通過する電子部品100の表面には、その通過毎に成膜材料の粒子が堆積されて、膜が生成される。ここでは、Cuの層が形成される。この層は、電磁波シールド膜113の層の一部となる。このとき、プラズマにより加熱される電子部品100の熱は、保持シート120を介して搬送プレート140に放出される。この場合にも、遮蔽部34bによって、トレイ34の対向面34aと搬送プレート140との間にスパッタガスG1が侵入することが防止される。これにより、成膜処理部40Bの成膜室M2内の圧力変動が抑制される。
また、電子部品100は成膜処理部40Aの成膜室M1を通過するが、成膜処理部40Aはターゲット41に電力が印加されていないので、成膜処理を行われず、電子部品100は加熱されない。また、成膜室M1、M2以外の領域においても、電子部品100は加熱されない。このように、加熱されない領域において、電子部品100、搬送プレート140は熱を放出する。上記のように、遮蔽部34bによって、トレイ34の対向面34aと搬送プレート140との間にスパッタガスG1が侵入することが防止されているので、加熱されない領域、すなわち成膜室M1、M2以外の領域において、スパッタガスG1を放出することはない。
成膜処理部40Bによる成膜時間が経過したら、成膜処理部40Bを停止する。つまり、電源部6によるターゲット41への電力の印加を停止する。そして、成膜処理部40Aの電源部6が、ターゲット41に電力を印加する。これにより、スパッタガスG1がプラズマ化する。スパッタ源4において、プラズマにより発生したイオンは、ターゲット41に衝突して成膜材料の粒子を飛ばす。このため、成膜処理部40Aの成膜室M1を通過する電子部品100の表面には、その通過毎に成膜材料の粒子が堆積されて、膜が生成される。ここでは、SUSの層が形成される。このとき、プラズマにより加熱される電子部品100の熱は、保持シート120を介して搬送プレート140に放出される。この場合にも、遮蔽部34bによって、トレイ34の対向面34aと搬送プレート140との間にスパッタガスG1が侵入することが防止される。これにより、成膜処理部40Aの成膜室M1内の圧力変動が抑制される。
また、電子部品100は成膜処理部40Bの成膜室M2を通過するが、成膜処理部40Bはターゲット41に電力が印加されていないので、成膜処理が行われず、電子部品100は加熱されない。また、成膜室M1、M2以外の領域においても、電子部品100は加熱されない。このように、加熱されない領域において、電子部品100、搬送プレート140は熱を放出する。上記のように、遮蔽部34bによって、トレイ34の対向面34aと搬送プレート140との間にスパッタガスG1が侵入することが防止されているので、加熱されない領域、すなわち成膜室M1、M2以外の領域において、スパッタガスG1を放出することはない。
成膜処理部40Aによる成膜時間が経過したら、成膜処理部40Aを停止する。つまり、電源部6によるターゲット41への電力の印加を停止する。このように、成膜処理部40A、40Bによる成膜を繰り返すことにより、SUSの膜、Cuの膜、SUSの膜が積層された膜を形成する。なお、さらに、同様の成膜を繰り返すことにより、3層より多い膜を形成することもできる。これにより、図1(A)、図1(B)に示すように、電子部品100の天面111b及び側面111cに、電磁波シールド膜113が形成される。
以上のような成膜処理の間、回転テーブル31は回転を継続し、電子部品100を搭載したトレイ34を循環搬送し続ける。そして、成膜処理が完了した後、電子部品100を搭載したトレイ34は、回転テーブル31の回転により、順次、ロードロック部60に位置決めされ、回転アーム610によって外部へ搬出される。
(プレート取出工程:図3[4]、図4[4])
成膜部300から搬出されたトレイ34から、回転アーム620によって搬送プレート140が取り出される。そして、ロボットアーム630によって、搬送プレート140がプレート離脱部400に投入される。
(プレート離脱工程:図3[5]、図4[5])
プレート離脱部400において、搬送プレート140から保持シート120が離脱される。さらに、図示しない部品離脱装置において、例えば、電子部品100を負圧で吸着しながら保持シート120を引き剥がすことにより、保持シート120から電子部品100を離脱させる。
(プレート冷却工程:図3[6]、図4[6])
搬送プレート140は、ロボットアーム630によって冷却部500に搬入される。つまり、搬送プレート140が収容部510内に挿入され、密閉した状態で、液体が噴霧され、排気することにより、収容部510内を真空状態にまで減圧する。このとき、噴霧された液体が気化するため、気化熱により搬送プレート140が冷却される。その後、真空破壊を行い収容部510を開放した後、ロボットアーム630によって搬送プレート140を収容部510内から搬出して、プレート装着部200に投入する。
[作用効果]
(1)本実施形態の成膜装置Sは、スパッタガスG1が導入されるチャンバ20と、チャンバ20内に設けられ、スパッタリングにより成膜材料を堆積させて成膜するスパッタ源4と、スパッタ源4を含む成膜室Mを区切る区切部44を有するとともに、スパッタ源4により成膜室M内において電子部品100に成膜する成膜処理部40と、成膜室M内で成膜される電子部品100が搭載される搬送プレート140と、チャンバ20内に設けられ、搬送プレート140を、トレイ34を介して搬送する搬送装置30と、搬送プレート140とトレイ34との間の空間をその外部から遮蔽する遮蔽部34bと、を有する。
このため、成膜処理部40において、遮蔽部34bによって、トレイ34の対向面34aと搬送プレート140との間にスパッタガスG1が侵入することによる圧力変動が、繰り返し発生することが防止される。これにより、プラズマ放電が安定し、膜質の改善と密着性の向上が可能となる。
ここで、図10の白塗りの矢印に示すように、遮蔽部34bが無い成膜部300の場合には、電子部品100が成膜室Mを通過する際、搬送プレート140とトレイ34との間の隙間に成膜室M内のスパッタガスG1が流入して、成膜室M内の圧力が低下する。電子部品100が成膜室M以外の減圧された領域を通過する際には、隙間に流入したスパッタガスG1が放出され、隙間は減圧される。これが繰り返されると、成膜室M内の圧力が頻繁に変動することになり、プラズマ放電が不安定となり、膜質や膜の密着性が悪化する。本実施形態では、このような圧力変動を抑えて、プラズマ放電の安定化を図ることができる。
(2)遮蔽部34bは、トレイ34に設けられ、搬送プレート140を、トレイ34との間に間隙が生じるように支持する。このため、成膜中の電子部品100の熱を搬送プレート140に放出させて電子部品100の温度上昇を抑制することができるとともに、間隙によって搬送プレート140とトレイ34との断熱を図ることができ、搬送装置30からの熱が、トレイ34及び搬送プレート140を介して、電子部品100に伝わり難くなり、電子部品100の温度上昇が抑制される。なお、遮蔽部34bが搬送プレート140を支持するため、支持部35は必ずしも設けなくてもよい。
(3)遮蔽部34bは、トレイ34に設けられた断熱部材である。このため、搬送部600からの熱が、遮蔽部34bを介して搬送プレート140及び電子部品100に伝わり難くなり、電子部品100の温度上昇がより一層抑制される。
(4)トレイ34に設けられ、搬送プレート140を、トレイ34との間に間隙が生じるように支持する支持部35を有する。このため、トレイ34から搬送プレート140への伝熱を抑えつつ、安定した支持が可能となる。遮蔽部34bによる支持と合わせることにより、安定性を向上させることができる。
[変形例]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例も含む。
(1)図11に示すように、遮蔽部34bを、トレイ34に設けられたOリングとしてもよい。これにより、トレイ34と搬送プレート140との間の空間の密閉性を高めることができる。なお、図11では、Oリングは二重となっているが、複数でなくてもよい。
(2)図12(A)に示すように、遮蔽部を、フレーム130の外形が拡大した部分によって構成してもよい。つまり、回転テーブル31の保持部33と保持シート120との隙間を上から塞ぐように、フレーム130の外周を搬送プレート140の外周よりも外方に拡張して形成する。これにより、成膜材料が搬送プレート140の側壁に達して付着して堆積することが防止される。搬送プレート140に膜が付着すると、堆積した膜が剥がれて他所を汚染するため、部品の交換、再生処理が必要となる可能性がある。本実施形態では、搬送プレート140への側壁へ成膜材料が達する経路を塞ぐことになるため、部品の交換、再生処理等が不要となる。なお、この場合、フレーム130によって、搬送プレート140とトレイ34との間の空間へのスパッタガスG1の出入りを防止できるので、図12(B)に示すように、搬送プレート140を支持する遮蔽部34bは省略してもよい。
(3)図13(A)に示すように、遮蔽部を、保持シート120の外形が拡大した部分によって構成してもよい。つまり、回転テーブル31の保持部33と保持シート120との隙間を上から塞ぐように、保持シート120の外周を搬送プレート140の外周よりも外方に拡張して形成する。これにより、成膜材料が搬送プレート140の側壁に達して付着して堆積することが防止される。なお、この場合、保持シート120は、保持部33に貼り付ける必要はなく、隙間を覆うように載置されていればよい。
(4)図13(B)に示すように、遮蔽部を、粘着シート123の外形が拡張した部分によって構成してもよい。つまり、回転テーブル31の保持部33と保持シート120との隙間を上から塞ぐように、粘着シート123の外周を搬送プレート140の外周よりも外方に拡張して形成する。これにより、成膜材料が搬送プレート140の側壁に達して付着して堆積することが防止される。なお、図13(B)では、粘着シート123とともに保持シート120を拡張しているが、粘着シート123のみを拡張してもよく、必ずしも保持シート120を拡張しなくてもよい。但し、粘着シート123は繰り返し使用するため、成膜されないように、粘着シート123の拡張部分も保持シート120で覆うことが好ましい。
(5)図14(A)、(B)に示すように、搬送プレート140よりも下方に、搬送プレート140とトレイ34との間の空間とその外部とを連通する開口部34cを設けてもよい。ここで、成膜処理後、真空下から外部雰囲気(大気圧下)に、電子部品100が載置されたトレイ34を搬出する場合、周囲の空間(空間α)と搬送プレート140の下方の空間(空間β)との圧力差で、トレイ34に搬送プレート140がくっついてしまう虞がある。または、外部雰囲気から真空のチャンバ20内に投入する場合、周囲の空間(空間α)と、搬送プレート140の下方の空間(空間β)との圧力差で、保持された電子部品100が持ち上げられて位置ずれが生じる虞がある。本実施形態では、開口部34cを設けることで、空間αと空間βの圧力を同じにすることができ、上記のような不都合を防止できる。
図14(A)は、開口部34cをトレイ34に設けた例である。この場合でも、回転テーブル31、保持部33、遮蔽部34bによって、成膜室Mを通過する搬送プレート140と対向面34aの間の隙間は遮蔽されているため、開口部34cがあっても、開口部34cからのスパッタガスG1の出入りを考慮する必要はない。なお、開口部34cの数は、圧力差が生じなければよいため、単数でも複数でもよい。
図14(B)は、開口部34cを遮蔽部34bに設けた例である。この場合、回転テーブル31、保持部33、遮蔽部34bによって、成膜室Mを通過する搬送プレート140と対向面34aの間の隙間の一部は遮蔽されているが、開口部34cからのスパッタガスG1の出入りを考慮する必要がある。このため、図14(B)に示すように、スパッタガスG1が通過し難くするように、開口部34cを、屈曲した経路であるラビリンス構造とするとよい。
(6)支持部35の突出部材35aの形状は、上記の態様には限定されない。円柱状、角錐状、角柱状であってもよい。支持部35の数は、1つであってもよいが、支持の安定のためには、複数であることが好ましい。例えば、3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
(7)成膜処理部40におけるターゲット41の数は、2つには限定されない。ターゲット41を1つとしても、3つ以上としてもよい。また、成膜室Mも2つ以下としても、4つ以上としてもよい。また、図15に示すように、例えば、成膜処理部40A~40Cを有するが、搬送プレート140、トレイ34を電極の一部として用いる表面処理部50を有しない成膜部300であってもよい。この場合、搬送プレート140とトレイ34との導電性を確保するために、支持部35に導電性を持たせる必要はない。つまり、搬送プレート140、トレイ34、支持部35の材質は、導電性を有していなくてもよい。例えば、搬送プレート140、トレイ34、支持部35の少なくとも1つを、熱伝導性の良いセラミクスや合成樹脂、または、それらの複合材としてもよい。
(8)搬送プレート140、トレイ34の形状も、矩形には限定されない。円形、楕円形等、種々の形状とすることができる。保持シート120に粘着面を形成して搬送プレート140に貼り付けることにより、粘着シート123を省略してもよい。搬送プレート140に対する電子部品100の搭載の態様は、上記の態様には限定されない。フレーム130を省略して、保持シート120のみによって、搬送プレート140に電子部品100が搭載されるようにしてもよい。さらに、電子部品100が直接搬送プレート140に保持されるようにしてもよい。トレイ34に搭載される搬送プレート140の数、搬送プレート140に搭載される電子部品100の数も1つであっても、複数であってもよい。
(9)成膜材料については、スパッタリングにより成膜可能な種々の材料を適用可能である。例えば、電磁波シールド膜113としては、Al、Ag、Ti、Nb、Pd、Pt、Zr等を用いることもできる。さらに、磁性体として、Ni、Fe、Cr、Co等を使用することができる。さらに、また、下地の密着層として、SUS、Ni、Ti、V、Ta等を用いたり、最表面の保護層として、SUS、Au等を用いることができる。
(10)電子部品100のパッケージの形態は、例えば、BGA、LGA、SОP、QFP、WLPなど、現在又は将来において利用可能なあらゆる形態が適用可能である。電子部品100が外部との電気的な接続を行う端子としても、例えば、底面に設けるBGA等の半球状のものやLGA等の平面状のもの、側面に設けるSОP、QFPの細板状のもの等が考えられるが、現在又は将来において利用可能なあらゆる端子が適用可能であり、その形成位置も問わない。また、電子部品100の内部に封止される素子は、単数であっても複数であってもよい。
(11)搬送装置30により同時搬送されるトレイ34、電子部品100の数、これを保持する保持部33の数は、少なくとも1つであればよく、上記の実施形態で例示した数には限定されない。つまり、1つの電子部品100が循環して成膜を繰り返す態様でもよく、2つ以上の電子部品100が循環して成膜を繰り返す態様でもよい。
(12)エッチングやアッシングによる洗浄や表面処理は、成膜室Mを有するチャンバ20とは別のチャンバで行ってもよい。なお、酸化処理又は後酸化処理を行う場合は、プロセスガスG2として酸素を用いることができる。窒化処理を行う場合は、プロセスガスG2として窒素を用いることができる。
(13)上記の実施形態では、回転テーブル31が水平面内で回転する例としている。但し、搬送部の回転面の向きは、特定の方向には限定されない。例えば、垂直面内で回転する回転面とすることもできる。さらに、搬送部が有する搬送手段は、回転テーブル31には限定されない。例えば、トレイを保持する保持部を有する円筒形状の部材が、軸を中心に回転する回転体としてもよい。また、循環搬送の軌跡は、円周には限定されない。無端状の搬送経路により、循環搬送される態様を広く含む。例えば、矩形や楕円であってもよいし、クランクや蛇行する経路を含んでいてもよい。搬送経路は、例えば、コンベア等により構成してもよい。
さらに、本発明は、スパッタガスG1が導入されるチャンバ20と、チャンバ20内に設けられ、スパッタ源4により電子部品100に成膜する成膜処理部40と、トレイ34に支持され、電子部品100を搭載するための搬送プレート140を有する成膜装置Sであればよい。このため、電子部品100を循環搬送せずに、静止した状態で成膜する成膜装置Sであってもよい。つまり、搬送プレート140を介して電子部品100を搭載したトレイ34を搬入して、処理領域に設置し、ターゲット41に対する相対位置を変化させずにスパッタリングを行う装置であってもよい。
(14)上記の実施形態では、成膜材料を1種ずつ選択的に堆積させて成膜するようにしている。しかし、本発明はこれに限るものではなく、成膜材料を選択的に堆積させることにより、複数の成膜材料の層から成る膜を形成できればよい。このため、2種以上の成膜材料を同時に堆積させるようにしても良い。例えば、電磁波シールド膜113を、Co、Zr、Nbの合金で形成することがある。このような場合に、複数の成膜処理部のうち、Coを成膜材料とする成膜処理部と、Zrを成膜材料とする成膜処理部とNbを成膜材料とする成膜処理部を同時に選択して成膜を行なうようにしても良い。
そしてこの場合、円周の軌跡のうち、これらの成膜中に成膜室を通過する軌跡よりも、成膜中の成膜室以外の部分を通過する軌跡の方が長くなるように、成膜に用いる成膜処理部を選択する、あるいは、成膜処理部を区切る区切部44の配置を設定すると良い。
つまり、1種、または、複数種の成膜処理部を複数個選択して成膜を行なう場合、或いは単一の成膜処理部を選択して成膜を行なう場合のいずれにおいても、円周の軌跡のうち、成膜中に成膜室Mを通過する軌跡よりも、成膜中の成膜室M以外の部分を通過する軌跡の方が長くなるように、成膜に用いる成膜処理部を選択する、あるいは、成膜処理部を区切る区切部44の配置を設定すると良い。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
4 スパッタ源
5 処理ユニット
6 電源部
20 チャンバ
20a 天井
20b 内底面
20c 内周面
21 真空室
21a 開口
22 排気口
23 排気部
24 導入口
25 ガス供給部
30 搬送装置
31 回転テーブル
32 モータ
33 保持部
34 トレイ
34a 対向面
34b 遮蔽部
34c 開口部
35 支持部
35a 突出部材
40、40A、40B 成膜処理部
41、41A、41B ターゲット
42 バッキングプレート
43 電極
44 区切部
44a、44b 壁板
50 表面処理部
51 筒形電極
51a 開口部
51b フランジ
52 絶縁部材
53 ハウジング
54 シールド
55 プロセスガス導入部
56 RF電源
57 マッチングボックス
60 ロードロック部
100 電子部品
111a 電極露出面
111b 天面
111c 側面
112 電極
113 電磁波シールド膜
120 保持シート
121 部品搭載面
121a 外枠領域
121b 中枠領域
121c 貼付領域
122 支持面
123 粘着シート
130 フレーム
131 貫通穴
140 搬送プレート
141 搭載面
142 支持面
143 規制部
200 プレート装着部
300 成膜部
400 プレート離脱部
500 冷却部
510 収容部
600 搬送部
610、620 回転アーム
630 ロボットアーム
700 制御装置

Claims (11)

  1. スパッタガスが導入されるチャンバと、
    前記チャンバ内に設けられ、スパッタリングにより成膜材料を堆積させて成膜するスパッタ源と、前記スパッタ源を含む成膜室を区切る区切部を有するとともに、前記スパッタ源により前記成膜室内において電子部品に成膜する成膜処理部と、
    前記成膜室内で成膜される前記電子部品が搭載される搬送プレートと、
    前記チャンバ内に設けられ、前記搬送プレートを、トレイを介して搬送する搬送装置と、
    前記搬送プレートと前記トレイとの間の空間をその外部から遮蔽する遮蔽部と、
    を有することを特徴とする成膜装置。
  2. 前記遮蔽部は、前記トレイに設けられ、前記搬送プレートを、前記トレイとの間に間隙が生じるように支持することを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  3. 前記遮蔽部は、前記トレイに設けられた断熱部材であることを特徴とする請求項2記載の成膜装置。
  4. 前記遮蔽部は、前記トレイに設けられたOリングであることを特徴とする請求項2記載の成膜装置。
  5. 前記電子部品は、一方の面に粘着性を有する粘着面を有する保持シートによって保持され、
    前記保持シートの電子部品が保持された領域の外枠領域に、矩形の枠状のフレームが貼り付けられ、
    前記遮蔽部は、前記フレームの外形が拡大した部分によって構成されていることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  6. 前記電子部品は、一方の面に粘着性を有する粘着面を有する保持シートによって保持され、
    前記遮蔽部は、前記保持シートの外形が拡大した部分によって構成されていることを特とする請求項1又は請求項5記載の成膜装置。
  7. 前記電子部品は、一方の面に粘着性を有する粘着面を有する保持シートによって保持され、
    前記保持シートは、粘着シートを介して前記搬送プレートに貼り付けられ、
    前記遮蔽部は、前記粘着シートの外形が拡大した部分によって構成されていることを特とする請求項1又は請求項6記載の成膜装置。
  8. 前記搬送プレートよりも下方に、前記搬送プレートと前記トレイとの間の空間とその外部とを連通する開口部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の成膜装置。
  9. 前記開口部は、前記トレイに設けられていることを特徴とする請求項8記載の成膜装置。
  10. 前記開口部は、前記遮蔽部に設けられていることを特徴とする請求項8記載の成膜装置。
  11. 前記トレイに設けられ、前記搬送プレートを、前記トレイとの間に間隙が生じるように支持する支持部を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の成膜装置。
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