JP2023050702A - 逆水性ガスシフト触媒、逆水性ガスシフト触媒前駆体、電解反応システム、炭化水素類製造システム、及び二酸化炭素の変換方法 - Google Patents

逆水性ガスシフト触媒、逆水性ガスシフト触媒前駆体、電解反応システム、炭化水素類製造システム、及び二酸化炭素の変換方法 Download PDF

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裕司 津田
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Abstract

【課題】高温で使用可能な逆水性ガスシフト触媒を得るとともに、その製造に好適な触媒前駆体を得る。【解決手段】 セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物と、平均結晶粒子径が20nm以上であるニッケルとを含む逆水性ガスシフト触媒とする。【選択図】図15

Description

本発明は、逆水性ガスシフト触媒及びその製造に使用する逆水性ガスシフト触媒前駆体に関するとともに、当該触媒、触媒前駆体を用いる電解反応システム、炭化水素類製造システム、及び、当該触媒、触媒前駆体を使用して行う二酸化炭素の変換方法に関する。
炭化水素の製造に際しては、一酸化炭素及び水素を原料ガスとして、これらガスからメタンガスを得る技術が知られている。
特許文献1には、上記原料ガスの一方である一酸化炭素製造システムが開示されている。
特許文献1に開示のシステムは、電気分解処理を行う電解装置(本発明の電解反応部に相当)を備え、この装置のカソードに二酸化炭素と水とを供給し、電気分解により水素、一酸化炭素を生成する。この反応では、未反応の水、二酸化炭素が残存する。そこで、電解装置から送出される水素、一酸化炭素、未反応の水、二酸化炭素を逆シフト反応器(本発明の逆水性ガスシフト反応部に相当)に送り、二酸化炭素と水素とを反応させて一酸化炭素と水とを生成する。
電解装置は700~900℃程度で作動し、逆シフト反応器は600~950℃程度で作動し、触媒としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)などを用いることができるとされている(当該明細書の段落〔0029〕)。
特開2019-35102号公報
ここで使用される触媒は逆シフト触媒とも呼ばれ、下記する水性ガスシフト反応(一酸化炭素と水から二酸化炭素及び水素を生成する反応)の逆反応(二酸化炭素と水素から一酸化炭素及び水を生成する反応)、即ち、逆水性ガスシフト反応を行う触媒となる。
CO+HO→CO+H ΔH=-41 kJ/mol
前者の水性ガスシフト反応は、水素製造プロセス等に広く用いられる反応であって、一酸化炭素を水と反応させて二酸化炭素と水素に変換する反応であるが、反応が発熱反応であるため、低温で行うほど二酸化炭素生成側に平衡が移動する。よって、従来、低温活性の高い触媒の開発が為されてきた。一般的には、300~450℃程度で使用する鉄-クロム系触媒や200℃程度で使用する銅-亜鉛系触媒が知られている。
一方、水性ガスシフト反応の逆反応(逆水性ガスシフト反応)を必要とする用途はあまり無かったため、逆水性ガスシフト反応に適した触媒の開発は、これまであまり行われてこなかった。
逆水性ガスシフト反応は、二酸化炭素を水素と反応させて一酸化炭素と水に変換する反応となるが、この反応は吸熱反応であって、一酸化炭素生成側に平衡を移動させるためには、水性ガスシフト反応と異なり高温が必要なことから、できる限り高温で使用できる触媒が求められる。しかしながら、このような観点から逆水性ガスシフト反応に適した高性能な触媒の開発はあまり行われてこなかった。
本発明の目的は、高温で使用可能な逆水性ガスシフト触媒を得るとともに、その製造に好適な触媒前駆体を得ることにある。さらに、これら触媒、触媒前駆体を使用して二酸化炭素を変換する変換方法を提供することにある。
本発明の第1特徴構成は逆水性ガスシフト触媒に関し、これがセリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物と、平均結晶粒子径が20nm以上であるニッケルとを少なくとも含む点にある。ここで、ニッケルは金属状態のニッケル(Ni)として存在することを意味する。
本特徴構成によれば、比較的高温域で、先に説明した平衡反応を一酸化炭素生成側(逆水性ガスシフト反応側)に進めることができる。
この点、発明者らは、後に表2で示すように、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物とニッケルとを含む触媒は、アルミナとニッケルとを含む触媒に比較して、二酸化炭素の転化率が高く、平衡に近い状態で逆水性ガスシフト反応が発生することを確認した。
さらに、触媒を得るために必要となる焼成温度を通常の焼成温度450℃から、さらに高い温度まで上昇し、その二酸化炭素の転化率及び結晶粒子径の関係を調べたが、表4に示すように、焼成温度を上昇させても、ニッケル・セリア触媒等の転化率は大きく変わることはなかった。
一般に、焼成温度を上昇すると、当該触媒における触媒活性成分(本発明の場合はニッケル)の結晶粒子径が増大して触媒能が低下する傾向を示すが、本発明が対象とする逆水性ガスシフト触媒にあっては、触媒能が低下することはなかった。この要因を、発明者らは、逆水性ガスシフト反応において、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物とニッケルとの相互作用が働いているものと想定している。
後にも説明するように、表5には、ニッケル・セリア触媒、ニッケル・ジルコニア触媒とニッケル・アルミナ触媒との比較結果を示しているが、結晶粒子径は、ニッケル・セリア触媒やニッケル・ジルコニア触媒が大きく、ニッケル・アルミナ触媒が小さい。従って、逆水性ガスシフト反応を好適に進めるには、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物と、平均結晶粒子径が20nm以上であるニッケルとを少なくとも含むことが好ましく、その平均結晶粒子径が25nm以上であるとより好ましく、40nm以上であると更に好ましい。
この様に、当該触媒がセリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物を含むことで、高温域での耐性を確保できる。
また後述するように、電解反応部の下流側(電解反応部で生成されるガスが移流する側)に逆水性ガスシフト反応部を設ける構成を採用する場合、逆水性ガスシフト触媒にセリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物を含むことで、電解反応部を構成する材料と熱膨張係数が近いものとできるため、ほぼ、同一の高温域で良好に両部位での反応を発生させることができる。
触媒全体に対するセリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物の割合は55重量%以上とできる。ここで、重量%は質量%と同義である。以下同じ。
セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物の割合を高くすることで、触媒の強度を高めることができるので、この割合が55重量%以上であると好ましく、60重量%以上であるとより好ましく、65重量%以上であると更に好ましい。なお、この割合の上限は、例えば、99.5重量%とでき、これ以上となるとニッケルを充分に確保できなくなり、逆水性ガスシフト触媒としての効果を得にくくなる場合がある。
前記セリア系金属酸化物としては、ガドリニウム、サマリウム、イットリウムのうちの少なくともいずれか一つをドープしたセリアとすることができる。
ドープ処理を施すことで、触媒としての活性を向上させることができる。
前記ジルコニア系金属酸化物としては、イットリア、スカンジアのうちの少なくともいずれか一つで安定化したジルコニアとすることができる。
安定化ジルコニアを用いることで、触媒としての活性を向上させることができる。
ニッケルの量は0.5重量%以上とできる。
この構成では、逆水性ガスシフト反応を良好に進行させることができるので、ニッケルの量が0.5重量%以上であると好ましく、1重量%以上であるとより好ましく、5重量%以上であると更に好ましい。また、ニッケルの量を増やし過ぎても、高分散に触媒活性成分を担持させることが困難となり、触媒活性の大幅な向上が得にくくなる上、触媒コストも高くなるので、ニッケルの量が35重量%以下であると好ましく、30重量%以下であるとより好ましく、25重量%以下であると更に好ましい。
逆水性ガスシフト触媒の製造は焼成を伴う処理となるが、使用に際して、目的とする逆水性ガスシフト反応を起こすために、反応温度域を比較的高温域とする必要がある。結果、この温度域で焼成して得た触媒であると、触媒を安定的に使用することができる。即ち、450℃以上とすることが好ましいが、600℃以上、800℃以上とすると高温域での安定性を高めることができるのでさらに好ましい。例えば、比較的高温域(例えば、600℃~800℃)で用いる固体酸化物形電解セルを電解反応部として組み合わせる場合でも、触媒を安定的に使用することができる。また、焼成温度を高くし過ぎると焼成工程にかかるコストが高くなり過ぎるため、その上限は1200℃程度である。
ここで、ニッケルを使用する場合は、逆水性ガスシフト触媒として使用できる白金と比較して単位重量当たりのコストを1/1000以下に低減でき、コストの低減、或いは同一コストを掛ける場合、触媒使用量を格段に増加させることができ好ましい。
さらに、ニッケルに加えて銅を含むこともできる。
こうすることで、逆水性ガスシフト触媒としての活性を高めることができる。
前記銅の含有量は前記ニッケルの含有量と同一以下とすることもできる。
これまでも説明してきたように、本発明に係る逆水性ガスシフト触媒の主要な触媒活性はニッケルにあるため、これら成分が発揮する効果を妨げることなく、銅担持の効果を得ることができる。
以上、これまで説明してきた様に、本発明に係る逆水性ガスシフト触媒を用いて逆水性ガスシフト反応を行わせて二酸化炭化を変換することができる(第2特徴構成)。
このような逆水性ガスシフト触媒を得るための、本発明に係る逆水性ガスシフト触媒前駆体の特徴構成(第3特徴構成)は、これがセリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物と、平均結晶粒子径が20nm以上である酸化ニッケル(NiO)とを少なくとも含む点にある。
本発明の目的物(逆水性ガスシフト触媒)を得るにあたり、その前駆体における、酸化ニッケルの平均結晶粒子径を適切に選択(具体的には、20nm以上が好ましく、25nm以上がより好ましく、40nm以上が更に好ましい。)することで、例えば、平均結晶粒子径が20nm以上となっているニッケル(Ni)を含む目的物を得ることができる。
逆水性ガスシフト触媒前駆体を得る場合、ニッケルを含有する溶液に、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物を添加し、ニッケルを含浸担持する含浸担持工程を少なくとも実行し、焼成することで、逆水性ガスシフト触媒前駆体を製造することができる。
ここでの焼成温度も、450℃以上とすることが好ましい。
上記した、使用条件との関係でこの温度域とできる。
本発明の第4特徴構成は、二酸化炭素の変換方法に関し、
前記逆水性ガスシフト触媒前駆体を用いて逆水性ガスシフト反応を行う点にある。
逆水性ガスシフト反応は、先にも述べたように、二酸化炭素(CO)を水素(H)と反応させて一酸化炭素(CO)と水分(HO)に変換する反応であり、反応ガスには水素(H)が含まれるために、酸化ニッケルを含む状態の逆水性ガスシフト触媒前駆体において、ニッケルを酸化状態から金属ニッケルとして、良好に逆水性ガスシフト反応に供することができ、結果的に二酸化炭素を変換することができる。
一方、本発明の第5特徴構成も、二酸化炭素の変換方法に関し、
還元前処理を施した後、逆水性ガスシフト反応を行う点にある。
この構成では、独自の還元前処理により、酸化ニッケルを含む逆水性ガスシフト触媒前駆体をニッケルを含む逆水性ガスシフト触媒として、逆水性ガスシフト反応を行わせることとなるため、逆水性ガスシフト反応を行う当初から、良好な逆水性ガスシフト触媒活性を発揮することができる。
本発明の第6特徴構成は、電解反応システムに関し、
これまで説明してきた逆水性ガスシフト触媒もしくは逆水性ガスシフト触媒前駆体を少なくとも含む逆水性ガスシフト反応部と、電解反応部とを少なくとも有する電解反応システムである点にある。
本特徴構成によれば、電解反応部で少なくとも水を電気分解するとともに、生成される水素を利用して二酸化炭素を本発明に係る逆水性ガスシフト触媒もしくは逆水性ガスシフト触媒前駆体により、例えば、炭化水素類合成で使用する原料(少なくとも水素及び一酸化炭素)を得ることができる。
この構成では、逆水性ガスシフト反応部に、高温側で充分な活性が得られる本発明に係る逆水性ガスシフト触媒もしくは逆水性ガスシフト触媒前駆体を採用することで、効率的に、例えば炭化水素類合成に必要な水素及び一酸化炭素を生成して、炭化水素類を製造できる。また、電解反応部の熱を有効に吸熱反応である逆水性ガスシフト反応に利用することができる。
従って、本発明の第7特徴構成に示すように、電解反応部及び逆水性ガスシフト反応部に加えて、炭化水素合類成反応部を備えておくと、生成される水素及び一酸化炭素を利用して炭化水素類を合成する、効率の良い炭化水素類製造システムを構築できる。
炭化水素類製造システムの構成を示す図 電解反応部の構成を示す模式図 電解反応部と逆水性ガスシフト反応部とを一体化したシステムの構成を示す図 電解反応部及び逆水性ガスシフト反応部を備えた電解セルユニットの模式図 電極層側ガス供給路を逆水性ガスシフト反応部とした比較実験に使用した電解セルユニットの断面図 電解反応部と逆水性ガスシフト反応部との間に熱交換器を備えるシステムの構成図 COを逆水性ガスシフト反応部に導く炭化化水素製造システムの別構成を示す図 水素分離部を備えた炭化水素類製造システムの別構成を示す図 炭化水素類合成反応部の前に水分離部を備えた炭化水素類製造システムの更なる別構成を示す図 電解反応部に水のみを導入する炭化水素類製造システムの更なる別構成を示す図 触媒の調製状態を示す説明図 触媒の塗布・焼成状態及び還元前処理を示す説明図 電解反応部、逆水性ガスシフト反応部及び炭化水素類合成反応部を備えた電解セルユニットの模式図 逆水性ガスシフト触媒前駆体のXRDパターンを示す図 逆水性ガスシフト触媒のXRDパターンを示す図
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、今般発明者らが提案する炭化水素類製造システム100の1形態の構成を示している。
同図に示すように、この炭化水素類製造システム100は、電解反応部10、第1触媒反応部20、第2触媒反応部30、重質炭化水素分離部35(CnHm分離部と図示)、水分離部40(HO分離部と図示)及び二酸化炭素分離部50(CO分離部と図示)を順に備えて構成されている。
前記電解反応部10は流入するガスの少なくとも一部を電気分解する部位であり、前記第1触媒反応部20は流入するガスの少なくとも一部を逆水性ガスシフト反応する逆水性ガスシフト反応部であり、前記第2触媒反応部30は流入するガスの少なくとも一部を炭化水素類に合成する炭化水素類合成反応部として働くように構成されている。ここで、合成される炭化水素類は、主にはCH(炭素数が1の炭化水素)であるが、その他炭素数が2~4の低級飽和炭化水素類等を含む。さらに後に示すように、前記第2触媒反応部30に用いる触媒を適宜選定することにより、上記低級飽和炭化水素より炭素数が大きい重質炭化水素、飽和状態にない炭化水素或いは含酸素炭化水素等も合成することができる。
重質炭化水素分離部35、水分離部40及び二酸化炭素分離部50は、内部を流れるガスから所定の成分(記載順に、CnHm、HO及びCO)の少なくとも一部を除去する部位である。水分離部40及び二酸化炭素分離部50により除去・回収される成分は、図1に示すように、水戻し路41及び二酸化炭素戻し路51を介して、システムの所定の部位に戻されて再利用される。両戻し路41、51に対応して、それぞれを経て戻されるHO及びCOで示している。
結果、この炭化水素類製造システム100は、実質的にCOをシステム外に放出することの無いカーボンクローズドシステムとして成立する。
同図において、各部の前に各部に流入するガスを示し、後に当該部から放出されるガスを示した。
前記電解反応部10では、出発原料としての、HO及びCOとが流入され、内部で電気分解されて、HOはHとOとに分解されるとともに、一部のCOがCOとOとに分解され放出される。
反応は、以下の様に記載される。
2HO→2H+O (式1)
2CO→2CO+O (式2)
これらの式1,2は図1の電解反応部10を示す箱内にも示した。
前記第1触媒反応部20(逆水性ガスシフト反応部)では、HとCOが流入され、内部で逆水性ガスシフト反応が起こり、COがCOに、HはHOになり放出される。
反応は、以下の平衡反応として記載されるが、逆水性ガスシフト反応は、以下の式3で記載される反応が右側に進む反応(COとHが反応してCOとHOが生成する方向に進む反応)となる。
CO+H⇔CO+HO (式3)
この式3は図1の第1触媒反応部20(逆水性ガスシフト反応部)を示す箱内にも示した。箱内には、反応に使用する逆水性ガスシフト触媒cat1も模式的に示した。
前記第2触媒反応部30(炭化水素類合成反応部)では、HとCOが流入され、触媒反応により炭化水素が合成される。例えば、COとHからCHが合成される反応は以下の平衡反応として記載されるが、COとHからCHが合成される反応は、以下の式4で記載される反応が右側に進む反応(COとHが反応してCHとHOが生成する方向に進む反応)となる。
CO+3H⇔CH+HO (式4)
この式4は図1の第2触媒反応部30(炭化水素類合成反応部)を示す箱内にも示した。この箱内には、反応に使用する炭化水素類合成触媒cat2も模式的に示した。
さらに、この部位では(式3)の平衡反応も発生する。
また、前記第2触媒反応部30に用いる触媒の種類によっては、FT(Fischer-Tropsch)合成反応等を進行させることが可能であるため、COとHからエタンやプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等や、パラフィン、オレフィン系炭化水素等、様々な炭化水素類を合成することができる。
後述するように、発明者らは、前記第2触媒反応部30に配置する炭化水素類合成触媒cat2として、その触媒活性成分としてルテニウムを用いる触媒の例を示しているが、その触媒活性成分として鉄やコバルト等を含む触媒では重質炭化水素も合成され、この種の重質炭化水素は温度低下に従って凝縮して搬送用ガスから分離できる。そこで、前述の重質炭化水素分離部35では、このようにして分離される炭化水素成分を分離する。
前記水分離部40において生成したHOは分離され、水戻し路41(水リサイクルライン)を介して電解反応部10の上流側に戻される。
前記二酸化炭素分離部50において生成したCOは分離され、二酸化炭素戻し路51(二酸化炭素リサイクルライン)を介して電解反応部10の上流側に戻される。
結果、この炭化水素類製造システム100では、最終的には炭化水素が合成され、外部に供給することができる。
以上が、上記の炭化水素類製造システム100の概要であるが、以下、各部の構成及びその役割に関して説明する。
〔電解反応部〕
先にも示した様に、この電解反応部10は、上記式1、式2に従って供給される電力を消費して流入するHO及びCOを分解する。
図2に、この電解反応部10の断面構成を模式的に示した。
同図は、複数積層されて電解スタック(図示省略)を形成する電解セルユニットUを示したものであり、この電解セルユニットUは電解セル1を備え、電解セル1は、電解質層1aの一方の面に電極層2を、他方の面に対極電極層3を備えて構成される。電極層2は電解セル1におけるカソードとなり、対極電極層3がアノードとなる。因みに、この電解セルユニットUは、金属支持体4により支持されている。なお、ここでは、電解セル1として固体酸化物形電解セルを用いた場合を例示している。
前記電解質層1aは、その厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成できる。その構成材料としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジア安定化ジルコニア)やGDC(ガドリニウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)、LSGM(ストロンチウム・マグネシウム添加ランタンガレート)等を用いることができる。特にジルコニア系のセラミックスが好適に用いられる。
この電解質層1aは、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃を越える高温域での焼成を用いずに、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層1aが得られる。そのため、金属支持体4の損傷を抑制し、また、金属支持体4と電極層2との元素相互拡散を抑制することができ、性能・耐久性に優れた電解セルユニットUを実現できる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、スプレーコーティング法を用いると、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層1aが低温域で容易に得られやすいので更に好ましい。
また、電解質層1aはガスリークを遮蔽し、かつ、高いイオン伝導性を発現するために、緻密に構成される。電解質層1aの緻密度は90%以上が好ましく、95%以上であるとより好ましく、98%以上であると更に好ましい。電解質層1aは、均一な層である場合は、その緻密度が95%以上であると好ましく、98%以上であるとより好ましい。また、電解質層1aが、複数の層状に構成されているような場合は、そのうちの少なくとも一部が、緻密度が98%以上である層(緻密電解質層)を含んでいると好ましく、99%以上である層(緻密電解質層)を含んでいるとより好ましい。このような緻密電解質層が電解質層1aの一部に含まれていると、電解質層1aが複数の層状に構成されている場合であっても、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層1aを形成しやすくできるからである。
電極層2は、金属支持体4の表側の面であって孔4aが設けられた領域より大きな領域に、薄層の状態で設けることができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。孔(貫通孔)4aが設けられた領域の全体が、電極層2に覆われている。つまり、孔4aは金属支持体4における電極層2が形成された領域の内側に形成されている。換言すれば、全ての孔4aが電極層2に面して設けられている。
この電極層2の構成材料は、例えばNiO-GDC、Ni-GDC、NiO-YSZ、Ni-YSZ、CuO-CeO、Cu-CeOなどの複合材を用いることができる。これらの例では、GDC、YSZ、CeOを複合材の骨材と呼ぶことができる。なお、電極層2は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法やパルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能なプロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに、良好な電極層2が得られる。そのため、金属支持体4を傷めることなく、また、金属支持体4と電極層2との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子を実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
対極電極層3は、電解質層1aの電極層2とは反対側の面に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な対極電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。対極電極層3の材料としては、例えば、LSCF、LSM等の複合酸化物、セリア系酸化物およびこれらの混合物を用いることができる。特に対極電極層3が、La、Sr、Sm、Mn、CoおよびFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。
これら電解質層1a、電極層2及び対極電極層3は、後述するように薄膜として形成されており、発明者は、これを薄層状に形成と呼んでいる。
先にも示したように、電解セルユニットUは金属支持体型としており、電極層2の支持体として金属支持体4を備え、この金属支持体4を挟んだ電極層2とは反対側にU字型の電極層側ガス供給路5aを形成する供給路形成部材5を設けている。さらに、この金属支持体4に表裏面を貫通する状態で多数の孔4aを設けている。電極層側ガス供給路5aを介して供給されるガス(HO及びCO)は電気分解の対象となり、多数の孔4aを介して電極層2に供給される。さらに、生成されるガス(H,CO)は、この孔4aから流出される。
一方、対極電極層3側に関しても、対極電極層側ガス供給路6aを形成するための供給路形成部材6を設けている。この供給路形成部材6は、図示するように、対極電極層3側に多くの溝を設け、この対極電極層側ガス供給路6aに搬送用のガスg2(例えば空気等)を供給するように構成されている。
そして、金属支持体4は、電極層2、電解質層1a、対極電極層3を支持して電解セル1及び、電解セルユニットU全体の強度を保つ支持体としての役割を担う。この例では、金属支持体として板状の金属支持体4を用いるが、他の形状、例えば箱状、円筒状などの形状も可能である。
なお、金属支持体4は、支持体として電解セルユニットUを形成するのに充分な強度を有すれば良く、例えば、0.1mm~2mm程度、好ましくは0.1mm~1mm程度、より好ましくは0.1mm~0.5mm程度の厚みのものを用いることができる。本実施形態では、支持体を金属としているが、例えばセラミックスとすることも可能である。
金属支持体4は、例えば、金属板の表側の面と裏側の面とを貫通して設けられる複数の孔4aを有する。例えば、孔4aは、機械的、化学的あるいは光学的穿孔加工などにより、金属支持体4に設けることができる。孔4aは、金属支持体4の裏側の面から表側の面へ気体を透過させる機能を有する。この孔4aは、ガスの移流方向(図2における紙面表裏方向)に傾けて設けてもよい。
金属支持体4の基材の材料としてフェライト系ステンレス材(Fe-Cr系合金の一例)を用いることで、電極層2や電解質層1aの材料として用いられるYSZ(イットリア安定化ジルコニア)やGDC(ガドリニウム・ドープ・セリア、CGOとも呼ぶ)等と熱膨張係数を近づけることができる。従って、低温と高温の温度サイクルが繰り返された場合も電解セルユニットUがダメージを受けにくい。よって、長期耐久性に優れた電解セルユニットUを実現できるので好ましい。
前記電解セルユニットUの供給路形成部材5、6には金属支持体4と同様の材料を採用することができ、その厚さもほぼ同一とできる。
金属支持体4、両供給路形成部材5、6は導電性を有するが、気密に構成されることにより、各供給路5a,6aを分離するセパレータとして働くこととなる。
以上の構成を有する電解セルユニットUは、電気分解動作にあっては電解質層1aを挟んで設けられる一対の電極層2,3間に直流電力を供給する。本実施形態では、図示するように電極層2側をマイナスに、対極電極層3側をプラスとする場合を示している。なお、電解セルユニットUの構成によっては、電極層2側をプラスに、対極電極層3側をマイナスにする場合もある。
そして、電極層2に、電気分解対象のガスであるHO及びCOを供給するとともに、対極電極層側に搬送用ガスg2を供給することで、電解セル1内で式1、式2に示した反応を起こさせ、分解されたガスを取り出すことができる。ここで、HOの供給に関しては、水と水蒸気の何れか一方であってもよいし、それらの両方であってもよい。従って、本発明にあっては、電解セルユニットUと、この電解セルユニットUに水および/または水蒸気と二酸化炭素を供給する電解原料供給部と、電力を供給する電力供給部とを少なくとも備えて電解セル装置が構築される。
電解反応において供給するガス(HO、CO)及び放出されるガス(HO、H、CO、O、CO)を、図2では、電解セルユニットUの上下に記載しているが、これは理解を容易とするためであり、実際は、上述の電極層側ガス供給路5a及び対極電極層側ガス供給路6aは、図2の紙面表裏方向に延びて形成されており、例えば、図2において電解セルユニットUの上側に記載の供給側のガス(HO、CO)を紙面表側から、電解セル1の下側に記載の放出側のガス(HO、H、CO、O、CO)を紙面裏側から、回収動作することができる(後述する図4参照のこと)。なお、電解反応において生成するOの排出をスムーズにするために、例えば空気などの搬送用ガスg2を電解セルユニットUに流すこともできる。
電解反応部10にHOとCOを供給して電気分解する場合、HOの方がCOよりも電解電圧が低く、電気分解されやすいため、仮に、同量のHOとCOを電解反応部10に供給して電解反応を行う場合、電解反応部10の出口ではCO濃度よりもH濃度の方が高くなり易く、未反応のCOが残り易い。
〔第1触媒反応部(逆水性ガスシフト反応部)〕
先にも示した様に、第1触媒反応部20(逆水性ガスシフト反応部)は、逆水性ガスシフト反応を起こさせて、供給されるHを使用してCOをCOに変換し、HをHOとする。即ち、HOとCOを供給して電気分解する電解反応部10において、分解されることなく残存しているCOをCOに変換する。
ここでの反応は、式3で示した通りであるが、この反応は吸熱反応であり、反応温度条件に応じた平衡反応である。結果、できるだけ高温側(例えば、600℃~800℃)で式3で示す反応を起こさせることができる触媒であると好ましい。
本明細書での触媒の説明に際して、触媒として活性を有する成分を「触媒活性成分」と、当該触媒活性成分を担持する担持体を「担体」と記載することがある。
発明者らは後述するように様々な触媒活性成分及び担体の組み合わせを検討したが、特定の組み合わせが好適であることを見出した。
この種の触媒の製造は、触媒活性成分(金属成分)を含有する溶液に担体(金属酸化物)を浸漬し、取り出して乾燥・加熱処理する含浸担持工程を実行することで、担体表面に触媒活性成分が分布する担体担持型の触媒(含浸担持物)を容易に得ることができる。この加熱処理は焼成処理となる。触媒の調製及び使用に関しては、図11、図12を参照して説明する。
ここで説明する調製方法は、様々な触媒活性成分、担体の組み合わせにおいて、出発原料を異にするだけで同様である。図11には、本発明に係る逆水性ガスシフト触媒cat1、炭化水素類合成触媒cat2の例を共に示した。同図において、逆水性ガスシフト触媒cat1の触媒活性成分をca1と、その担体をcb1と表記している。一方、炭化水素類合成触媒cat2に関しては、その触媒活性成分をca2と、その担体をcb2としている。
図11に示すように、触媒調製では、触媒活性成分ca1、ca2となる金属成分(金属触媒である)を含有する化合物の水溶液を得て、当該水溶液に担体cb1,cb2を投入して、撹拌、含浸する含侵担持工程(a)を実行した後、蒸発乾固、乾燥、その後、粉砕成形する乾燥・粉砕・成形工程(b)等を実行し、得られた成形体を、空気中で焼成する焼成工程(c)を実行することで、目的物(cat1、cat2)を得ることができる。従って、この形態の触媒は含浸担持触媒とも呼ばれる。
この場合、図12に、逆水性ガスシフト触媒cat1の例で示すように、触媒を使用する部位に塗布して、焼成を行うこともできる。図12(a)には、孔4aが穿孔された金属支持体4に、逆水性ガスシフト触媒cat1を塗布して塗布層20aを形成し、焼成する塗布・焼成工程を示している。図12(b)には、この逆水性ガスシフト触媒cat1を使用する前に、Hを流して還元前処理する還元前処理工程を示している。
なお、空気中で焼成処理を行うと、担持した触媒活性成分ca1、ca2は、その一部もしくは全部が酸化された状態となっている。触媒を使用する前に、所謂、還元前処理を行って、酸化状態にある触媒活性成分を還元して、その活性を充分高めることもできる。図12(b)には、触媒の表面に還元性ガス(代表的にはH)を流通させて還元前処理を行っている状態を示した。
そこで発明者らは、このような還元前処理を施す前の触媒活性成分の酸化物を含む触媒を「触媒前駆体」と呼び、還元前処理後の触媒を「触媒」と呼ぶ。
(使用する触媒)
第1触媒反応部20に使用する触媒である逆水性ガスシフト触媒cat1として、発明者らは以下の要件を満たす触媒を選択している。
セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物を主成分とする担体cb1に、ニッケルを触媒活性成分ca1として少なくとも担持して構成される触媒。ここで、触媒cat1の強度を高めることができるので、触媒全体に対する担体cb1の割合は55重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であるとより好ましく、65重量%以上であると更に好ましい。また、この割合の上限は、例えば、99.5重量%とできるが、これ以上となると触媒活性成分ca1を充分に担持できなくなり、逆水性ガスシフト触媒としての効果を得にくくなる場合があるからである。
さらに、セリア系金属酸化物としては、ガドリニウム、サマリウム、イットリウムのうちの少なくともいずれか一つをドープしたセリアとすることもできる。
また、ジルコニア系金属酸化物としては、イットリア、スカンジアのうちの少なくともいずれか一つで安定化したジルコニアとすることもできる。
なお、逆水性ガスシフト反応を良好に進行させることができるので、触媒活性成分ca1の担持量が0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であるとより好ましく、5重量%以上であると更に好ましい。また、触媒活性成分ca1の担持量を増やし過ぎても、高分散に触媒活性成分ca1を担持させることが困難となり、触媒活性の大幅な向上が得にくくなる上、触媒コストも高くなるので、前記触媒活性成分ca1の担持量が35重量%以下であると好ましく、30重量%以下であるとより好ましく、25重量%以下であると更に好ましい。
さらに、ニッケルを触媒活性成分ca1に加えて、更なる触媒活性成分ca1として、銅を担持することも好ましい。この構成にあっては、銅の担持量は、主な媒活性成分ca1としてのニッケル及び鉄の何れか一方又は両方を触媒活性成分ca1の担持量と同一以下とする。
以下に、第1触媒反応部20に使用する逆水性ガスシフト触媒cat1として、触媒活性成分ca1及び担体cb1を様々に変更した場合の実施例、比較例の試験結果に関して説明する。
触媒活性成分ca1としては、Ni、Feを検討しPt(白金)と比較した。
担体cb1は、ZrO(ジルコニア)、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、GDC(ガドリニウム・ドープ・セリア)、CeO(セリア)、Al(アルミナ)を検討した。
まず、試験例1及び試験例2を紹介するが、両試験の差異は、逆水性ガスシフト触媒cat1の焼成において、試験例1はその焼成温度を450℃とし、試験例2はその焼成温度を600℃~1000℃と高温側に設定している点にある。
(試験例1)
第1触媒反応部20に使用する触媒として、担体を様々に変更した場合の実施例(1~12)、比較例(1~7)の試験結果に関して説明する。
触媒活性成分としては、Ni、Feを検討しPt(白金)と比較した。
担体は、ZrO(ジルコニア)、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、GDC(ガドリニウム・ドープ・セリア)、CeO(セリア)を実施例として、Al(アルミナ)を比較例とした。
(触媒調製)
逆水性ガスシフト触媒cat1の調製に際しては、目的とする触媒の組成に従って、水溶性のニッケル化合物(硝酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム、酢酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、クエン酸ニッケル等)、水溶性の鉄化合物(硝酸鉄、塩化鉄、硫酸鉄、硫酸鉄アンモニウム、酢酸鉄、シュウ酸鉄、クエン酸鉄等)の何れか一方又は両方を定量し溶かした水溶液を得る。また、更なる触媒活性成分ca1として銅を担持する際には水溶性の銅化合物(硝酸銅、塩化銅、硫酸銅、硫酸銅アンモニウム、酢酸銅、シュウ酸銅、クエン酸銅等)を同様に定量し、溶かした水溶液を得る。当該水溶液に所定量の担体粉(セリア、ジルコニア、GDC、YSZ、Al)を投入し、撹拌、含浸した後、蒸発乾固、乾燥、その後、粉砕、成形した後、空気中で焼成する。この含侵が本発明にいう「含浸担持工程」であり、その結果物が「含浸担持物」である。
なお、下記の実施例、比較例の触媒は、硝酸ニッケル六水和物、硝酸鉄九水和物、硝酸銅三水和物をそれぞれ用いて調製した。また、下記の比較例でPtを用いた触媒はテトラアンミン白金水酸化物を用いて調製した。
上記の触媒調製に於ける、蒸発乾固や乾燥、焼成の温度は、一般的に用いられる温度域で実施できるが、試験例1では、下記の実施例及び比較例の触媒は、それぞれ、80℃、80℃、450℃として調製した。
表1に調製した実施例(1~12)、比較例(1~7)のそれぞれの逆水性ガスシフト触媒cat1を示す。
なお、横軸は、担体cb1の種別、触媒有功成分としての金属担持量(重量%;表ではwt.%と表記)、CO吸着量(ml/g)、BET表面積(m/g)としている。
なお、CO吸着量については、触媒を350℃で水素雰囲気下1時間の還元前処理を施した後に、CO吸着量を測定した。
Figure 2023050702000002
(触媒活性試験)
触媒活性試験は、50%H-50%COの混合ガス(HとCOが1:1(体積比)で含まれる混合ガス)を反応ガスとして用い、GHSV(Gas Hourly Space Velocity)を10000/hの条件で、反応温度を600℃~800℃まで50℃刻みで変えながら行った。
なお、触媒活性試験を行う前に、水素ガスを触媒層に通流しながら600℃で触媒の還元前処理を行った。
試験結果として、CO転化率(%)と共に、反応部出口のCO濃度(%)、CH濃度(%)を表2に記載した。
なお、CO転化率(%)は触媒層出口のガス分析結果を基に以下の式に従って算出した。
〔CH濃度〕+〔CO濃度〕/(〔CH濃度〕+〔CO濃度〕+〔CO濃度〕)
先にも示したように、第1触媒反応部20(逆水性ガスシフト反応部)で使用する逆水性ガスシフト触媒cat1としは、高温側(例えば、600~800℃付近)においてCO転化率(%)が高いことが望ましい。
Figure 2023050702000003
(試験例2)
以下、試験例2の実施例(13~20)、比較例(8,9)の試験結果に関して説明する。この例でも、
触媒活性成分としては、Ni、Feを検討し、Cuの添加についても検討した。
担体は、CeO(セリア)、ZrO(ジルコニア)を実施例とし、Al(アルミナ)を比較例としている。
(触媒調製)
試験例2で用いる逆水性ガスシフト触媒cat1としては、表1に記載した実施例4のNi/CeOについて、焼成温度を600℃、800℃、1000℃に変更した以外は試験例1と同様の方法で調製し、実施例13、実施例16、実施例19とした。また、表1に記載した実施例6のNi-Cu/CeOについて、焼成温度を600℃、800℃に変更した以外は試験例1と同様の方法で調製し、実施例14、実施例17とした。また、表1に記載した実施例7のFe/ZrOについて、焼成温度を600℃、800℃、1000℃に変更した以外は試験例1と同様の方法で調製し、実施例15、実施例18、実施例20とした。また、表1に記載した比較例2のFe/Alについて、焼成温度を600℃、800℃に変更した以外は試験例1と同様の方法で調製し、比較例8、比較例9とした。
表3に、実施例(13~20)、比較例(8,9)のそれぞれの触媒を示す。
Figure 2023050702000004
(触媒活性試験)
触媒活性試験は、HとCOが1:1(体積比)で含まれる混合ガスを反応ガスとして用い、GHSVを10000/hの条件で、反応温度を600℃~800℃まで50℃刻みで変えながら行った。
なお、触媒活性試験を行う前に、水素ガスを触媒層に通流しながら600℃で触媒の還元前処理を行った。
試験結果として、CO転化率(%)と共に、反応部出口のCO濃度(%)、CH濃度(%)を表4に記載した。
Figure 2023050702000005
なお、参考までに、本実験条件でのCO転化率の平衡値(計算値)を表4に示した。
鉄・ジルコニア触媒と鉄・アルミナ触媒
鉄・ジルコニア触媒について、焼成温度を450℃、600℃、800℃、1000℃とした場合の試験結果をそれぞれ実施例7、実施例15、実施例18、実施例20に示している。一方、鉄・アルミナ触媒については、焼成温度を450℃、600℃、800℃とした場合の試験結果をそれぞれ、比較例2、比較例8、比較例9に示している。これらの結果から分かるように、金属担持量は若干異なるが、鉄・ジルコニア触媒は鉄・アルミナ触媒よりも逆水性ガスシフト反応を行う上で、その活性に優れている。また、鉄・ジルコニア触媒は、焼成温度が450℃のもののみならず、600℃、800℃、1000℃と焼成温度を高くしたものでも非常に高い触媒活性を有しており、いずれの焼成温度にした場合でも、CO転化率が平衡値の近傍に達している。
ニッケル・セリア触媒
焼成温度を450℃、600℃、800℃、1000℃とした場合の試験結果をそれぞれ実施例4、実施例13、実施例16、実施例19に示している。これらの結果から分かる様に、ニッケル・セリア触媒は、焼成温度が450℃のもののみならず、600℃、800℃、1000℃と焼成温度を高くしたものでも非常に高い触媒活性を有しており、いずれの焼成温度にした場合でも、CO転化率が平衡値の近傍に達している。
ニッケル・アルミナ触媒
焼成温度を450℃とした場合の試験結果を比較例1に示している。この結果では、ニッケル・アルミナ触媒では、先に述べたニッケル・セリア触媒と比べるとCO転化率は低い結果となった。
ニッケル・銅・セリア触媒
焼成温度を450℃、600℃、800℃とした場合の試験結果をそれぞれ実施例6、実施例14、実施例17に示している。これらの結果から、ニッケル・銅・セリア触媒では、焼成温度が600℃や800℃のように高くなると若干CO転化率が低下する傾向が見られるが、先に述べた焼成温度条件が同様の鉄・アルミナ触媒より優れている。また、焼成温度が450℃のニッケル・銅・セリア触媒では、CO転化率が平衡値の近傍に達している。
〔触媒におけるニッケルの形態及び平均結晶粒子径〕
これまで説明してきたニッケル・セリア触媒及びニッケル・ジルコニア触媒について、さらに検討を進めた。
本発明では含侵担持処理を経てその焼成処理を行うことで、逆水性ガスシフト触媒前駆体を得、さらに、その使用に際しては、逆水性ガスシフト触媒を還元処理して使用に供する。
そこで、ニッケル若しくはその化合物の形態(具体的にはニッケル含有物の組成及び平均結晶粒子径)の確認を、還元処理前、還元処理後、所定使用時間経過後の各時点で行った。ここで、還元処理前のものが、本発明の「逆水性ガスシフト触媒前駆体」に相当し、還元処理後のものが、本発明の「逆水性ガスシフト触媒」に相当する。
図14は、還元処理前のニッケル・セリア触媒のXRDパターンを示したものである。図15は、還元処理を施した触媒に関して初期活性試験を行った後のニッケル・セリア触媒のXRDパターンを示したものである。
図14には、酸化ニッケル(NiO)の回折角2θの位置を白丸で示し、セリア(CeO)の回折角2θの位置を下向き黒三角で示した。
結果、還元処理前のニッケル・セリア触媒は、ニッケルをその酸化状態(酸化ニッケル(NiO)として)で含有している。
図15には、ニッケル(Ni)の回折角2θの位置を黒丸で示し、セリア(CeO)の回折角2θの位置を下向き黒三角で示した。
結果、還元処理を施した触媒に関して初期活性試験を行った後のニッケル・セリア触媒は、ニッケルをその金属状態(非酸化状態)(金属ニッケル(Ni)として)で含有している。
さて、上記の両XRDパターン及びニッケル・アルミナ触媒のXRDパターンに基づいて、これら逆水性ガスシフト触媒の平均結晶粒子径を算出した。算出手法は、XRD測定により得られたピークデータからScherrerの式に基づいて平均結晶粒子径を求めた。測定に際しては、X線回折装置としてRIGAKU社製 SmartLabを用い、ニッケル(Ni)については、2θ=45度近傍のピークデータを使用し、酸化ニッケル(NiO)については、2θ=43度近傍のピークデータを使用して算出した。
表5に、このようにして得られた逆水性ガスシフト触媒cat1の平均結晶粒子径〔nm〕を示した。この表では、還元処理前の平均結晶粒子径を「前駆体結晶粒子径(NiO)」とし、還元処理を施した触媒に関して初期活性試験を行った後の平均結晶粒子径を「触媒結晶粒子径(Ni)」とし、90時間の逆水性ガスシフト反応に供した後の平均結晶粒子径を「90時間使用後結晶粒子径(Ni)」として、それぞれ表記している。
同表には、実施例1のニッケル・ジルコニア触媒と、比較例1のニッケル・アルミナ触媒についても記載した。
Figure 2023050702000006
以上の結果より、逆水性ガスシフト触媒cat1として、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物と、平均結晶粒子径が20nm以上であるニッケルとを含む触媒を選択することが好ましく、その平均結晶粒子径が25nm以上であるとより好ましく、40nm以上であると更に好ましい。そして、この種の触媒を利用して、逆水性ガスシフト反応を行うことができる。
さらに、その前駆体(逆水性ガスシフト触媒前駆体)としては、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物と、平均結晶粒子径が20nm以上である酸化ニッケルとを含む触媒を選択することが好ましく、その平均結晶粒子径が25nm以上であるとより好ましく、40nm以上であると更に好ましい。この前駆体を用いても逆水性ガスシフト反応を行うことができる。
これまでも説明してきたように、逆水性ガスシフト反応は、水素と二酸化炭素との供給を受けて、水と一酸化炭素を生成する反応であるが、この供給ガスに水素が含まれることから、その還元能により、本発明に係る、酸化ニッケル(NiO)を含む逆水性ガスシフト触媒前駆体を、そのまま使用して、直接、逆水性ガスシフト反応を起こさせても、酸化ニッケル(NiO)は還元され、ニッケル(Ni)となる。従って、結果的に、本発明において目的としている逆水性ガスシフト触媒cat1を自動的に得ることができる。
また、表5に示すように、このような還元処理を施した場合にも、酸化ニッケル、ニッケル間で結晶粒子径の大きな変化は起こらないと推定される。
この場合も、逆水性ガスシフト触媒前駆体を用いて逆水性ガスシフト反応を行うこととなっている。
逆水性ガスシフト触媒としての有用性
以上に示したように、ニッケル・セリア系触媒、ニッケル・ジルコニア系触媒では、焼成温度を450℃~1000℃のように種々変更しても、非常に高い逆水性ガスシフト触媒活性を示すため、例えば600℃~800℃付近の高温域で使用する固体酸化物形の電解セルと組み合わせて使用する場合でも、高い性能と耐久性を確保し易くなり有用である。
以上の結果から、先にも示したように、この第1触媒反応部20に使用する逆水性ガスシフト触媒cat1として、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物を主成分とする担体cb1に、ニッケルを触媒活性成分ca1として少なくとも担持して構成される触媒を使用することができる。ここで、ニッケルの平均結晶粒子径は、例えば20nm以上であると好ましく、その平均結晶粒子径が25nm以上であるとより好ましく、40nm以上であると更に好ましい。
さらに、担体cb1としてのセリア系金属酸化物としては、ガドリニウム、サマリウム、イットリウムのうちの少なくともいずれか一つをドープしたセリアとすることもできる。
また、担体cb1としてのジルコニア系金属酸化物は、イットリア、スカンジアのうちの少なくともいずれか一つで安定化したジルコニアとすることもできる。
さらに、ニッケルを触媒活性成分ca1に加えて、更なる触媒活性成分ca1として銅を担持することも好ましい。
そして、第1触媒反応部20(逆水性ガスシフト反応部)に、上記逆水性ガスシフト触媒cat1を使用することにより、600~1000℃付近において、高活性ではあるが非常に高価であるPt触媒と同等以上のCO転化率(%)で逆水性ガスシフト反応を行うことができる。
なお、試験は、10000/hという非常に高いGHSV条件で行った試験であるので、GHSVを10000/hよりも小さくした条件、すなわち、処理するガス量に対して使用する触媒量を増やすことで、より高いCO転化率(%)で逆水性ガスシフト反応を行うことも可能となる。
〔電解反応部と逆水性ガスシフト反応部の組み合わせ〕
これまでの説明では、図1に示すシステム構成に従って、ガスの移流方向に沿って電解反応部10と逆水性ガスシフト反応部20とを記載順に個別に設ける構成に沿って説明した。
電解反応部10の反応は反応条件によっては発熱反応となり、逆水性ガスシフト反応部20の反応は吸熱反応である。そこで、これら二つの反応部10,20を一体化することでシステムの熱効率を高めることができる。このように、これら二つの反応部10、20を組み合わせて、一体化する場合の構成を示したのが図3であり、一体とされていることを両部位を囲って示している。また、同箱内にこのように一体化された場合の反応を示した。基本的には、先に示した式1,式2,式3が行われることとなる。なお、電解反応部10と逆水性ガスシフト反応部20を組み合わせて、一体化する場合、それらを断熱性部材で共に囲うと、電解反応部10と逆水性ガスシフト反応部20との間の熱の授受を効率良く行えるので好ましい。また、電解反応部10で発生する熱を逆水性ガスシフト反応部20に伝熱させるために伝熱性部材を用いて電解反応部10と逆水性ガスシフト反応部20とを接続させても良い。
〔電解反応部と逆水性ガスシフト反応部とを共に備えた電解セルユニット〕
上記概念に基づいて、電解反応部10となっている電解セルユニットUに、逆水性ガスシフト反応部20を設けることが好ましい。これは、電解セル1として600~800℃付近において作動する固体酸化物形電解セルを用いた場合、600~800℃付近において高い活性が得られる本願の逆水性ガスシフト触媒cat1では、電解反応部10と逆水性ガスシフト反応部20とを同程度の温度域で使用できるからである。
この場合も、電解反応部10を通過したガスが逆水性ガスシフト反応部20に導かれて逆水性ガスシフト反応を発生できればよい。
このような逆水性ガスシフト反応部20を併設した電解セルユニットUを図4に示した。図4は、図2において断面で示した電解セルユニットUを、そのガスの移流方向を含めて描いた図である。
同図に示すように、電解セルユニットUの断面は基本的に同一である。
即ち、この電解セルユニットUも、電解質層1aを挟んで電極層2と対極電極層3が形成された電解セル1、その支持体としての機能を有するとともに、セパレータとして働く金属支持体4、供給路形成部材5、6を備えて構成されており、電極層側ガス供給路5a及び対極電極層側ガス供給路6aが形成される構成とされている。さらに詳細に説明すると、図からも判明するように、金属支持体4をガスの移流方向でみると、電解セル1に対応する部位には孔4aを設けているが、電極層2より下流側には孔を設けてはいない。従って、金属支持体4は、上記の電極層2に供給されるとともにこの電極層2から放出されるガスと、対極電極層3ガスに供給されるとともにこの対極電極層3から放出されるガスとを、有効に分離するセパレータとなる。
ただし、この例では、前記電極層側ガス供給路5aの内面(供給路形成部材5の供給路側内面、金属支持体4の電極層2を形成した面とは反対側の面及び複数の孔4aの表面)に、先に説明した逆水性ガスシフト触媒cat1が塗布されている。この塗布層20aを太実線で示した。さらに、電極層側ガス供給路5aは、電解反応部10を超えて先に延ばされており、この延長側にも、前記塗布層20aを設けている。
結果、電解セルユニットUの電極層側ガス供給路5aは、電極層2で発生する少なくともHを排出する排出路とされており、電解反応部10と逆水性ガスシフト反応部20とを一体に電解セルユニットUに備えた構成となる。
この構成では、金属支持体4が電極層2で発生するHと対極電極層3で発生するOを分離するセパレータとして働く構成とされ、このセパレータのHの排出路側の少なくとも一部が逆水性ガスシフト反応部20とされている。
このようにして構成される電解セルユニットUを、図2、図4の左右方向に積層することで、多数の電解セルユニットUが積層され、それらが電気的に接続された所謂電解セルモジュール(図示省略)を形成することができる。当然、生成される有用なガスは複数層に渡って得ることができる。
発明者らは、上記電解反応部10と逆水性ガスシフト反応部20とを組み合わせる(電解反応部10の電極層側ガス供給路5aを逆水性ガスシフト反応部20とする)概念の下、電極層側ガス供給路5aに、粒状の逆水性ガスシフト触媒cat1を収納して実験を行った。
図5に、この実験に供した電解セルユニットUの断面を示した。
以下図5を参照しながら、具体的に説明する。同図には電解セルユニットUの断面図を示している。
ここでは、電解セル1として、金属支持型の固体酸化物形電解セルを用いた。金属支持体4として、厚さ0.3mmのフェライト系ステンレスの金属板に対して、レーザー加工により貫通孔(孔4aとなる)を複数設けて、金属基板を作製した。この金属基板の上に、電極層2と中間層2aを順に積層し、金属基板の中間層2aの上に、中間層2aを覆うように電解質層1aを積層した。更に、電解質層1aの上に、反応防止層7と対極電極層3を順に積層し、電解セル1を作製した。なお、電極層2を形成する材料としてはNiO粉末とGDC粉末の混合物を用い、中間層2aを形成する材料としてはGDC粉末を用い、電解質層1aを形成する材料としては8YSZ(8mol%イットリア安定化ジルコニア)粉末を用い、反応防止層7を形成する材料としてはGDC粉末を用い、対極電極層3を形成する材料としてはGDC粉末とLSCF粉末の混合物を用いた。また、電極層2、中間層2a、電解質層1a、反応防止層7、対極電極層3の厚さが、それぞれ約25μm程度、約10μm程度、約5μm程度、約5μm程度、約20μm程度であった。なお、電極層2と電解質層1aの間に中間層2aを設けたり、電解質層1aと対極電極層3の間に反応防止層7を設けたりすることで、電解セル1の性能や耐久性を向上することができる。また、中間層2aや反応防止層7は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法やパルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能なプロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに、良好な中間層2aや反応防止層7が得られる。そのため、金属支持体4を傷めることなく、性能や耐久性に優れた電解セル1を実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
上記のようにして得られた電解セルユニットUについて、その電極層側ガス供給路5a(電解反応部10で電気分解されたガスの排出路ともなっている)に、粒状に形成した逆水性ガスシフト触媒cat1を収納する場合の性能向上に関して検討した
逆水性ガスシフト触媒cat1を収納しなかった場合の結果
電解セルユニットUにHOとCOを含むガスを供給しながら電解反応を行い、電解セルユニットUの出口ガスのHとCOの比をガスクロマトグラフを用いて測定した。結果を以下の表6に示した。この実験結果を比較例A1,A2と記載した。
Figure 2023050702000007
逆水性ガスシフト触媒cat1を収納した場合の結果
逆水性ガスシフト触媒cat1として、実施例2と同様の8YSZ担体にNiを約10%担持して得た粒状の触媒を収納して、電解セルユニットUにHOとCOを含むガスを供給しながら電解反応を行い、電解セルユニットUの出口ガスのHとCOの比をガスクロマトグラフを用いて測定した。その結果を表7に示した。この実験結果を実施例A1と記載した。
Figure 2023050702000008
以上の比較実験により、電解セル1が金属支持体4の上に薄層状に形成され、逆水性ガスシフト反応によりCOと前記Hを用いてCOを生成する逆水性ガスシフト反応部20を、電解されたガスの排出路となる電極層側ガス供給路5aに設けた電解セルユニットUでは、電気分解により生成するHに対するCOの組成比率を高めることができた。
逆水性ガスシフト触媒cat1を電極層側ガス供給路5a(電解済みのガスの排出路となっている)に収納しない電解セルユニットUと、収納する電解セルユニットUとの比較では、出口では水素/一酸化炭素([H/CO])比が約10以上から約5となり、電解反応部10の反応と逆水性ガスシフト反応部20の反応を組み合わせることで種々の炭化水素類合成に有利となるCOの量を確保できるので好ましい。加えて、COのメタン化反応よりもCOのメタン化反応を採用する方が炭化水素類製造システム100としての熱効率を高めることができることから、電解反応部10の反応と逆水性ガスシフト反応部20の反応を組み合わせることでCOの量を確保できるので好ましい。これは、1モルのCOをメタン化する場合は2モルのHOが生成するのに対して、1モルのCOをメタン化する場合は1モルのHOの生成で済むことから、COのメタン化反応を採用する炭化水素類製造システム100の方が、システム全体として1モルのHO分の潜熱や顕熱のロス分を抑制できるからである。
なお、電解反応部10に導入するHOとCOの比率や電解反応部10の反応条件(電解電圧や反応温度等)、逆水性ガスシフト反応部20の反応条件(使用触媒量やGHSV、反応温度等)などを適宜調整することで、逆水性ガスシフト反応部20の出口での水素/一酸化炭素([H/CO])比を、後段の第2触媒反応部30(炭化水素類合成反応部)に適した値(例えば、COのメタン化反応の当量比であるH/CO=3など)に調整することができる。
〔電解反応部と逆水性ガスシフト反応部との間に熱交換器を設置〕
これまでの説明では、電解反応部10と第一触媒反応部(逆水性ガスシフト反応部)20とを、一体化する例に関して主に説明したが、両部位10,20を別部位としておき、両部位10,20間に熱交換器11を設けて、両部位間で熱融通が可能な構成を採用してもよい。この構成を図1に対応して図6に示した。中抜きの二重線は両部位間での熱移動を示している。この構成では、各部位10,20の温度を適切に制御できる。
発明者らは、これまで説明してきた電解反応部10と逆水性ガスシフト反応部20とからなるシステムを「電解反応システム」と呼んでいる。
〔第2触媒反応部(炭化水素類合成反応部)〕
この第2触媒反応部30(炭化水素類合成反応部)では、少なくともHとCOが流入され、触媒反応により炭化水素類(メタンやカーボン数が2以上の様々な炭化水素)等を生成する。
(炭化水素類合成触媒の例)
この第2触媒反応部30に使用する触媒(炭化水素類合成触媒cat2)の活性試験として、発明者らは以下に示す評価試験1、評価試験2及び評価試験3を行った。
なお、炭化水素類合成触媒cat2の例として、担体や触媒活性成分を様々に変更して触媒を調製した。触媒活性成分ca2としては、Ru、RuにMo、V、Fe,Coなどを添加したもの、Niについて検討した。担体cb2としては、ZrO、Al,SiO,MgO、TiOを検討した。
(触媒調製)
炭化水素類合成触媒cat2の調製も、図11,12で説明した採用する手法とした。
即ち、目的とする触媒の組成に従って、水溶性のルテニウム化合物(硝酸ルテニウム、塩化ルテニウム、硫酸ルテニウム、硫酸ルテニウムアンモニウム、酢酸ルテニウム、シュウ酸ルテニウム、クエン酸ルテニウム等)を定量し溶かした水溶液を得る。また、更なる触媒活性成分としてモリブデン、バナジウム、鉄、コバルトを担持する際には水溶性のこれら金属化合物を同様に定量し、溶かした水溶液を得る。当該水溶液を用いて、所定量の担体粒(ZrO、Al、SiO、MgO、TiO)に触媒活性成分を例えば含浸担持し、乾燥処理や焼成処理、還元処理等の必要な処理工程を施して炭化水素類合成触媒cat2を得ることができる。
なお、下記の実施例の触媒は、塩化ルテニウム水溶液、モリブデン酸アンモニウム水溶液、シュウ酸バナジル水溶液、硝酸鉄水溶液、硝酸コバルト水溶液をそれぞれ用い、ルテニウムとルテニウム以外の触媒活性成分を両方担持する場合は、逐次担持法(ルテニウム以外の触媒活性成分を担体にまず担持し、その後にルテニウムを担持する2段階の担持法)を用いて調製した。
(評価試験1)
評価試験1では、COを12.4%、COを24.8%、Hを37.2%、HOを12.4%を含み、残部をNとした混合ガスを反応ガスに用い、GHSVを4000/h(WETベース)とし、275℃~360℃の間の反応温度で炭化水素類合成触媒cat2の活性試験を行った。なお、この場合の反応ガスは、電解反応部10で水と二酸化炭素の共電解反応を二酸化炭素の電解反応率が低い条件で行われ、その後段に設置された逆水性ガスシフト反応部20において二酸化炭素の逆水性ガスシフト反応が行われた後のCO、CO、H、HOの混合ガスを炭化水素類合成反応部30に導入して炭化水素類合成反応を実施するモデルを想定したものの一例である。
試験結果の整理に際して、以下の二つの指標を採用した。
1.CO除去想定炭化水素転換率=〔出口ガス中の炭化水素のカーボン数〕/〔出口ガス中のカーボン数-出口COのカーボン数〕
この指標は、触媒反応で得られた炭化水素類合成反応部30の出口ガスからCOを除いた場合の炭化水素への変換率を示す指標となり、この指標が高いことが好ましい。
2.C1-C4発熱量(MJ/Nm)=Σ(Nn×HN) / Σ Nn
Nn [mol]:触媒反応部ガス中のCn炭化水素のモル数(n=1~4)
HN [MJ / m(N)]:触媒反応部ガス中のCn炭化水素の発熱量
〔H1 = 39.8、H2 = 69.7、H3 = 99.1、H4 = 128.5〕
この指標は、触媒反応で得られた炭化水素類合成反応部30の出口ガス中に含まれるC1~C4成分の量を示す指標となり、この値が39.8を超える場合、メタン以外にもエタンやプロパン、ブタンなどの炭化水素類が生成していることが確認できる。
評価試験1について、以下に示す表8、表9には、本発明に於ける炭化水素類合成触媒cat2の実施例B1~B3を示している。
Figure 2023050702000009
Figure 2023050702000010
表8,表9に示されるように、CO、CO、H、HOの混合ガスから、炭化水素類合成触媒cat2として、アルミナ担体にルテニウムを担持した触媒や、ルテニウムに加えてモリブデンまたはバナジウムを担持した触媒を用いて、炭化水素類が合成できることが確認できた。
以上の結果から、上記の炭化水素類製造システム100により、C1-C4発熱量が39MJ/Nm以上の高カロリーガスを生成し得ることが確認できた。
(評価試験2)
評価試験2では、COを0.45%、COを18.0%、Hを71.55%、HOを10.0%を含む混合ガスを反応ガスに用い、GHSVを5000/h(DRYベース)とし、約230℃~約330℃の間の反応温度で炭化水素類合成触媒cat2の活性試験を行った。なお、この場合の反応ガスは、電解反応部10で水と二酸化炭素の共電解反応を二酸化炭素の電解反応率が低い条件で行われた場合に得られる混合ガスを炭化水素類合成反応部30に導入して炭化水素類合成反応を実施するモデルを想定したものの一例である。
試験結果の整理に際して、以下の二つの指標を採用した。
1 炭化水素転換率=〔出口ガス中の炭化水素のカーボン数〕/〔出口ガス中のカーボン数〕
この指標は、流入される全炭素の内、COに変換されることなく炭化水素に変換された炭素数の割合を示す指標となり、この指標が高いことが好ましい。
2 CO除去想定炭化水素転換率=〔出口ガス中の炭化水素のカーボン数〕/〔出口ガス中のカーボン数-出口COのカーボン数〕
この指標は、触媒反応で得られた炭化水素類合成反応部の出口ガスからCOを除いた場合の炭化水素への変換率を示す指標となり、この指標も高いことが好ましい。
評価試験2について、使用した触媒(実施例B4~実施例B16)を表10に、試験結果を表11にそれぞれ示す。
Figure 2023050702000011
Figure 2023050702000012
(評価試験3)
評価試験3では、HとCOが3:1(体積比)で含まれる混合ガス(H/CO=3)を反応ガスに用い、GHSVを2000/hとし、235℃~約330℃の間の反応温度で炭化水素類合成触媒cat2の活性試験を行った。この活性試験では、チタニア担体にルテニウムに加えて鉄もしくはコバルトを担持した触媒(実施例B17,B18)を用いた。なお、この場合の反応ガスは、電解反応部10で水の電気分解を行って得た水素に一酸化炭素を添加した混合ガスや、水と二酸化炭素の共電解反応を行って得たガスから必要に応じて水分を分離したり二酸化炭素を分離したりして得た水素と一酸化炭素の混合ガスを炭化水素類合成反応部30に導入して炭化水素類合成反応を実施するモデルを想定したものの一例である。
評価試験3の結果を表12に示す。
Figure 2023050702000013
表12に示されるように、HとCOを含む混合ガスから、炭化水素類合成触媒cat2として、チタニア担体にルテニウムと鉄またはコバルトを担持した触媒を用いて、炭化水素類が合成できることが確認できた。
上記の炭化水素類製造システム100により、C1-C4発熱量が39MJ/Nm以上の高カロリーガスを生成し得ることが確認できた。
以上の結果から、先にも示した様に、この第2触媒反応部30(炭化水素類合成反応部)に金属酸化物担体cb2に触媒活性成分ca2として少なくともルテニウムが担持された触媒を使用できる。さらに触媒活性成分ca2として、モリブデン、バナジウム、鉄、コバルトのうち少なくとも一つを担持することが好ましい。
なお、炭化水素類合成触媒cat2として、金属酸化物担体cb2に少なくともルテニウムが担持された触媒とし、ルテニウムの担持量は0.1重量%以上5重量%以下とすることが好ましいことや、前記金属酸化物担体cb2に、ルテニウムに加えて、さらに触媒活性成分ca2として、モリブデン、バナジウム、鉄、コバルトのうち少なくとも一つを担持することが好ましいことがわかった。
ここで、前記モリブデン、バナジウム、鉄、コバルトのうち少なくとも一つの担持量は0.2重量%以上、6重量%以下とできる。
また、このような炭化水素類合成触媒cat2の内、活性の高い触媒の一酸化炭素吸着量は0.4ml/g以上となっていた。
〔重質炭化水素分離部〕
この重質炭化水素分離部35に至るガスは冷却されることにより、炭化水素類合成反応部30から放出されるガスに含有される重質炭化水素が凝縮し、重質炭化水素を外部に取出すことができる。例えば、上記の実施例B17に示した2wt.%Ru/2wt.%Fe/TiO触媒を用いた炭化水素類合成反応部30において、HとCOが3:1(体積比)で含まれる混合ガス(H/CO=3)を導入して、275℃で反応を行ったところ、重質炭化水素分離部35において平均鎖長炭素数26の直鎖高級脂肪族炭化水素を取り出すことができ、325℃で反応を行ったところ、重質炭化水素分離部35において平均鎖長炭素数18の直鎖高級脂肪族炭化水素を取り出すことができた。
〔水分離部〕
この水分離部40には凝縮器を配しており、流入されるHOを含有するガスを所定の温度・圧力に調整して、凝縮させ水を外部に取出す。
〔二酸化炭素分離部〕
例えば、この部位50にはPSAを配しており、流入されるCOを含有するガスから所定の温度・圧力下で吸着剤に吸着してCOを分離するとともに、分離されたCOを吸着剤から脱離させることで、COを良好に分離する。分離されたCOは二酸化炭素戻し路51を介して、電解反応部10の前に戻して再利用することができる。
なお、PSA等を用いて、二酸化炭素分離部と水分離部を同一の分離部とすることもできる。
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、二酸化炭素分離部50において分離されたCOを電解反応部10の前に戻したが、本発明に係る炭化水素類製造システム100では、COのCOへの変換は主に逆水性ガスシフト反応部20で行うため、COの戻り先を逆水性ガスシフト反応部20の前としても良い。この構成を図7に示した。
(2)上記の実施形態では、炭化水素類合成反応部30から得られるガス中のHに関しては、特に述べなかったが、水素分離膜等を使用してHを分離する水素分離部(図上H分離部と記載)60を設けて、Hを分離して別途使用しても良い。この構成を図8に示した。この例では、水素分離部60において分離したHの戻り先を逆水性ガスシフト反応部20の前として、逆水性ガスシフト反応に利用しても良い。
(3)上記の実施形態では、水分離部40を炭化水素類合成反応部30の下手側に設けたが、図9に示すように、逆水性ガスシフト反応部20と炭化水素類合成反応部30との間に水分離部40を設けても良い。この水分離部40の主な機能は、炭化水素類合成反応を行い易くするためのものとなる。
(4)上記の実施形態では、電解反応部10にHOとCOの両方を供給して電気分解反応に供する例を示したが、図10に示すように、電解反応部10にHOのみを供給して電気分解反応に供するシステムとしても良い。この場合、炭化水素類合成で消費する炭素は逆水性ガスシフト反応部20に二酸化炭素として投入する。
(5)上記の実施形態では、電解反応部10に電解セル1として固体酸化物形電解セルを用いる例を示したが、電解セル1として、アルカリ形電解セルや高分子膜形電解セルなどを用いても良い。
(6)上記の実施形態では、電解反応部10と第1触媒反応部20とを一体化した構成を示したが、これら反応部10.20に加えて、第2触媒反応部30を一体化して構成することも可能である。この場合の構成例を図13に示した。因みに、この図において、30aは、炭化水素類合成触媒cat2の塗布層を示している。
この構成の場合も、これら各反応部10,20、30は金属支持体4、供給路形成部材5上に構成することができ、この金属支持体aは、生成される炭化水素と酸素とを分離するセパレータとして働くこととなっている。
(7)上記の実施形態では、炭化水素類合成反応部30にてメタンなどの炭化水素を合成する例を示したが、炭化水素類合成反応部30に用いる炭化水素類合成触媒の選定の仕方によっては炭化水素類合成反応部30に導入される水素と一酸化炭素等から化学原料を合成することもできる。
1 電解セル
1a 電解質層
2 電極層
3 対極電極層
4 金属支持体(支持体・セパレータ)
4a 孔(貫通孔)
5 供給路形成部材(セパレータ)
6 供給路形成部材(セパレータ)
10 電解反応部
20 第1触媒反応部(逆水性ガスシフト反応部)
20a 塗布層
30 第2触媒反応部(炭化水素類合成反応部)
40 水分離部
50 二酸化炭素分離部
60 水素分離部
U 電解セルユニット
cat1 逆水性ガスシフト触媒
ca1 触媒活性成分(金属成分)
cb1 担体(金属酸化物)
cat2 炭化水素類合成触媒
ca2 触媒活性成分(金属成分)
cb2 担体(金属酸化物)

Claims (7)

  1. セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物と、平均結晶粒子径が20nm以上であるニッケルとを含む逆水性ガスシフト触媒。
  2. 請求項1記載の逆水性ガスシフト触媒を用いて逆水性ガスシフト反応を行う二酸化炭化の変換方法。
  3. セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物と、平均結晶粒子径が20nm以上である酸化ニッケルとを含む逆水性ガスシフト触媒前駆体。
  4. 請求項3記載の逆水性ガスシフト触媒前駆体を用いて逆水性ガスシフト反応を行う二酸化炭化の変換方法。
  5. 還元前処理を施した後に、前記逆水性ガスシフト反応を行う請求項4記載の二酸化炭素の変換方法。
  6. 請求項1記載の逆水性ガスシフト触媒もしくは請求項3に記載の逆水性ガスシフト触媒前駆体を少なくとも含む逆水性ガスシフト反応部と、電解反応部とを少なくとも有する電解反応システム。
  7. 請求項1記載の逆水性ガスシフト触媒もしくは請求項3に記載の逆水性ガスシフト触媒前駆体を少なくとも含む逆水性ガスシフト反応部と、電解反応部と炭化水素類合成反応部とを少なくとも有する、水と二酸化炭素から炭化水素を製造する炭化水素類製造システム。

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