JP2023050228A - 管体内面除染装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射性物質が付着等した管体内面の除染を効率よく行い、除染物を確実に回収する。【解決手段】両端がホルダ17A、17Bによって保持された管体1内に集光光学系16を介して導かれたレーザー光Lを、コーンミラー22を介して、管体内面に照射させる、管体1内に挿入されるレーザー光照射ユニット11と、レーザー光照射ユニット11を、管体1内の軸方向に直動させる直動機構31と、管体1内に圧縮空気を供給する圧縮空気送気手段25とを備える。レーザー光照射ユニット11を、管体1内で直動させてコーンミラー22の円錐頂点位置で円周リング状に反射したレーザー光を、管体内面に照射して管体内面の放射性物質を削剥し、管体1内に形成された空気流で、削剥された除染物を管体1から排出させる。【選択図】図1
Description
本発明は管体内面除染装置に係り、特に管体内面が放射性物質で汚染された小口径の配管等の管体内面から放射性物質を除去するための管体内面除染装置に関する。
原子力発電所の廃止措置に伴う廃炉、発電所施設の解体作業において、放射性物質が管体内面に付着し、あるいは管体内面の表面金属が放射能を帯びたような放射性廃棄物としての小口径配管類が大量に発生する。これらの小口径配管類の管体内面をクリアランスレベルまで除染して放射性廃棄物量を減量する技術が種々開発、提案されている。
その一例として、鋭角形状の投射材(ブラスト材)を管体内面に投射して小口径配管の管体内面の除染を行うようにした乾式除染装置が提案されている(非特許文献1)。この乾式除染装置は、大量の微小な鋭角形状をした鋼片投射材を管体内面に投射することで、従来の鋼球を用いたブラスト装置に比べて短時間での管体内面の除染を行えるとしている。
また、電解液を管体内面に噴射して小口径配管の内面の除染を行うようにした電解除染装置も提案されている(非特許文献2)。この電解除染装置は、電解液を管体内面に噴射しながら管内を移動可能な電極を用いて管体内面を電解研磨することで、管体内面を効率よく除染することが可能である。
非特許文献1に開示された乾式除染装置は、管体内面に投射された投射材の押し込みによって放射性廃棄物が残存して除染効率が落ちるというおそれがある。また、使用され回収された投射材を二次廃棄物として取り扱う必要があるという問題がある。電解除染装置においても、二次廃棄物として回収された電解液の処理工程、処理設備、管洗浄及び乾燥等の付加工程、付加設備が必要となるという問題がある。
上述した各装置では、投射材、電解液等の二次廃棄物を取り扱う工程、設備が必要となる。これに対して、これらのような二次廃棄物を発生させず、また除去物質をガス化させることで後処理工程を容易に行えるようにした除染技術としてレーザーによる除染方法がある(特許文献1)。
この除染方法では、除染を行う材料にレーザー光を照射して材料表面の放射性酸化物層を除去する工程が示されている。その実施例では、除染対象の配管材内にレーザー光の光路を構成するガイドパイプが挿入され、このガイドパイプ内に設置されたビームスプリッタと反射ミラーとによってレーザー光は直角に偏角され配管材の内面に照射される。このとき配管材は回転機構を備えた移動台車上に載置され、回転機構を駆動することで配管材を軸心周りに回転させることができる。
土田大輔、他1名、"小口径配管廃棄物の内面除染方法の開発(その3)"、[online]、2018年8月20日発刊、日本原子力学会、[2019年9月10日検索]、インターネット<URL:https://confit.atlas.jp/guide/event/aesj2018f/subject/1F17/advanced>
丸山聡、他5名、"配管用電界除染装置の開発"、[online]、2018年8月20日発刊、日本原子力学会、[2019年9月10日検索]、インターネット<URL:https://confit.atlas.jp/guide/event/aesj2018f/subject/1F18/advanced>
特許文献1に開示された発明の実施例によれば、配管材の内面の除染作業は、上述したレーザー発生装置で発生させたレーザー光がガイドパイプを通じて配管材内に導光され、集光レンズ(照射光学装置)を介して配管材の内面の一点に合焦するように照射される。配管材の内面全体の除染を行うためには、配管材を移動台車上に載置された状態で配管材の軸方向に所定量移動させるとともに、台車上の回転機構によって配管材の軸心周りに所定量回転させることで、照射位置を移動させていく必要がある。
このとき、ガイドパイプはレーザー光の照射位置にあわせて配管材の開放端から挿入され保持され、照射位置直近には除去物回収装置の吸込口等が配置されるようになっている。この吸込口から配管材内面から取り除いた除去物を吸引して除去物回収装置に回収するようになっている。
特許文献1に開示された発明では、除染対象の配管材のレーザー光の照射位置は、移動台車の移動に伴って調整されるため、移動台車の移動量の制御に所定の精度が必要で、駆動系も制御の精度に対応した動作が求められる。また、除去物回収装置も移動台車の移動に伴って移動させる必要があるため、装置全体の構成が大がかりになるという問題もある。さらに、ガス化した除去物を除去物回収装置の吸引機能で回収するが、発生ガスを完全に吸引することができないので、発生ガスを確実に作業環境下に留めるための付加設備も必要である。
出願人は、上述した従来の技術が有する問題点を解消した管体内面除染装置を提案している(特願2020-161019)(以下、提案装置と記す)。図5は、この提案装置100の一部と、この装置による除染対象となる管体1の除染時の動作を模式的に示している。除染対象となる管体1の例としては、上述したような、解体された原子力発電所設備において大量に発生する、放射性物質で汚染された小口径配管を想定しており、管体内面(表面)に付着した放射性物質等をレーザー光Lの照射により削剥する。
提案装置100では、管体1の内面に照射させる手段として、軸方向移動可能なレーザー光照射プローブ120(以下、プローブ120と記す。)内に、図示しないレーザー光照射ユニットから導光されたレーザー光Lの照射方向を偏角する反射ミラー122と、反射ミラー122に回転動作を付与するミラー回転機構135とが搭載されている。
レーザー光Lは、図示しない公知のレーザー発振器から発振された光ファイバー118を導光路としてプローブ120内に導かれるが、図5に示したように、プローブ120内には、所定の鏡面が形成されたガラス製や金属製の反射ミラー122と、反射ミラー122を軸心線X周りに回転駆動するミラー回転機構135が収容されている。反射ミラー122は、図5,図6に示したように、プローブ120の軸心線Xから距離eだけ偏心し、軸心線Xに平行をなして設けられたミラー支持軸121の先端に、その鏡面が軸心線Xと約45°をなして取り付けられている。このため、プローブ120の軸線方向に平行に導かれたレーザー光Lは反射ミラー122によってほぼ90°に反射、偏角され、管体1の内面に向けて照射される。
この反射ミラー122は、図6に拡大して示したように、ミラー支持軸121に支持されているため、ミラー回転機構135を、図示しない内蔵モータ等で軸心線X周りに回転させることにより、レーザー光Lの照射軌跡Ltをほぼ円周状にすることで、除染対象の管体1(図5)の内面を周状に照射させることができる。さらに管体1の長手方向にミラー回転機構135を直動させることで管体1の内面の長手方向全体の除染作業を行うことができる。
ところで、提案装置100において、レーザ光Lを管体内面の全面にわたり照射して除染を行うには、ミラー回転機構135とプローブ120の直動機構(図示せず)とを備え、反射ミラー122の回転によるレーザー光Lの円周状の照射部位を管体の長手方向に隙間なく移動させる運転制御を行う必要がある。このため、プローブ120の構成が複雑になる上、制御部132等による各駆動機構間の相互動作制御を行いながらプローブ120の操作を行う必要がある。廃炉、発電所施設の解体作業で発生する配管本数は膨大であるため、除染作業に多大な時間を要することになる。
そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、配管等の管体内面の除染を効率よく行え、除染物を確実に回収できるようにした管体内面除染装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の管体内面除染装置は、レーザー発振器から集光光学系を介して内部に導かれたレーザー光を偏角する偏角手段を有し、その両端が保持手段によって保持された除染対象の管体の内面に照射させるために前記管体内に挿入される筒状体からなるレーザー光照射手段と、該レーザー光照射手段を、前記管体内の軸方向に直動させる直動駆動機構と、前記管体内に圧縮空気を供給する圧縮空気送気手段とを備え、前記駆動手段の運転動作によって前記レーザー光照射手段を前記管体内を直動させるとともに前記偏角手段によって偏角されたレーザー光を、前記管体内面に照射させて前記管体内面の放射性物質を削剥し、前記圧縮空気送気手段によって前記管体内に形成された空気流で、削剥された前記放射性物質を除染物として前記管体内から排出させることを特徴とする。
前記空気流の排出側に設けられた除染物回収手段に、前記空気流中の除染物が捕集されることが好ましい。
前記レーザー光照射手段は、前記筒状体内部をその軸心線方向に沿って導光された前記レーザー光を、前記偏角手段で前記軸心線に略直角をなして偏角させることが好ましい。
前記偏角手段は、前記レーザー光照射手段の先端位置に固定保持されたコーンミラーであり、前記筒状体内部をその軸心線方向に沿って導光された前記レーザー光を、該コーンミラーの円錐頂点位置で円周リング状に偏角させることが好ましい。
前記保持手段は、前記管体の軸心線と、前記レーザー光照射手段の軸心線とが略一致するように前記管体の両端を、気密性を確保して保持させることが好ましい。
以下、本発明の管体内面除染装置の一実施形態の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、図5に示したのと同様の、除染対象となる所定長さに切断された管体1がセットされた、本発明の管体内面除染装置10の全体構成を示した装置構成図である。本図において、形態、動作が発明の特徴となる部位以外の公知の構成からなる設備、手段については、ブロック図で示している。本発明の除染対象となる管体1の例として、図5の場合と同様に、解体された原子力発電所設備において大量に発生する、放射性物質で汚染された小口径配管(φ10~100mm)を想定している。なお、本発明の管体内面除染装置10によって除染対象の管体内面(表面)から取り除かれる物質としては、管体表面に付着した放射性物質や、放射能を帯びた管体1の表面金属がレーザー光Lの照射により削剥されガス化し、さらに粒状に再固結した放射性廃棄物粒子があるが、本発明の装置による除染作業によって回収される種々の粒子化した放射性廃棄物を総称して「除染物」と記す。
管体内面除染装置10は、除染対象となる管体1の一端を保持するレーザー光照射ユニット11と、管体1の他端を保持する除染物回収ユニット12と、レーザー光照射プローブ20(以下、プローブ20と記す。)を軸(管体長手方向)方向に移動させる直動駆動系30とから構成される。
レーザー光照射ユニット11は、レーザー発振器15と、レーザー発振器15からのレーザー光Lを管体内面に照射するレーザー光照射プローブ20(後述する。)と、レーザー光Lをレーザー光照射プローブ20に導く光路上に設けられた集光光学系16とから構成されている。
[レーザー光照射ユニットの各部の構成]
レーザー発振器15は、本実施形態では出力300W程度の連続波(CW)レーザー光Lを発振可能な公知の発振器からなる。レーザー光Lは、レーザー発振器15から光路上の集光光学系16を介してプローブ20の後端に導かれる。レーザー光Lは、集光光学系16内のレンズ群(図示せず)により平行光にコリメートされて細いビーム状に集光され、後端プローブ20内に配線された光ファイバー18を導光路としてプローブ20内に導かれる。
レーザー発振器15は、本実施形態では出力300W程度の連続波(CW)レーザー光Lを発振可能な公知の発振器からなる。レーザー光Lは、レーザー発振器15から光路上の集光光学系16を介してプローブ20の後端に導かれる。レーザー光Lは、集光光学系16内のレンズ群(図示せず)により平行光にコリメートされて細いビーム状に集光され、後端プローブ20内に配線された光ファイバー18を導光路としてプローブ20内に導かれる。
プローブ20は、図1,図2各図に示したように、除染対象となる管体1の内径より十分小さな外径のステンレススチール製の細長円筒からなる。図2(a)は、一実施形態としての細長円筒形状のプローブ20の基本構成の一部を示している。図2(b)は、図2(a)に示したプローブ20内で光ファイバー18を介して導光されたレーザー光Lがコーンミラー22で反射した状態を示している。
プローブ20は、図2(a)に示したように、レーザー光Lの光路の偏角手段としてのコーンミラー22を収容する前端プローブ20Aと、プローブ20全体を支持して直動させるためのサポート管としての後端プローブ20Bとからなる。レーザー光Lの光路の偏角手段としては、円錐の頂角が90°に形成された円錐形形状からなるコーンミラー22が収容されている。コーンミラー22は、図2に示したように、円錐の頂点がプローブ20の軸心線Xと一致するように、台座ブロック25によってプローブ20の先端側内面に固定保持されている。本実施形態のコーンミラー22はアルミニウム成形加工品であるが、使用材料としては、銅、ステンレス鋼などの各種金属材料や超高耐熱性樹脂を使用することも可能である。成形された円錐表面には金属膜コーティングによる鏡面仕上げが施されている。なお、コーンミラーは、円錐鏡、円錐ミラー等、種々の呼称を有し、本実施形態では頂角が90°をなす直円錐形を想定しているが、部品の組み付け時の精度や作業の容易性を確保するために、直円錐形の底面に、台座ブロック25のような円柱等の保持部が一体形成された部品としても好ましい。
前端プローブ20A部分にはステンレススチールに代えて全周にわたりプローブ20と同一外径からなる円筒形状の透明ガラス部材が嵌め込まれており、このガラス部分が、後述するようにコーンミラー22の頂点位置で反射したレーザー光Lが管体1の表面に向かう射出窓23として機能する。
この構成からなるレーザー光Lの照射手段としてのプローブ20による管体1の内面の照射について、図1、図2(b)、図3を参照して説明する。レーザー発振器15で発生し、集光光学系16を介してプローブ20内に導かれたレーザー光Lは、光ファイバー18を導光路としてプローブ20の軸心線X上を進行し、前端プローブ20A内で光ファイバー18の端面からコーンミラー22の頂点に向けて照射される。この状態において、レーザー光Lは、円錐形状からなるコーンミラー22の頂点を中心としたごく近傍の鏡面表面で反射する。この反射現象は、図3に示したように、コーンミラー22の頂点位置を円の中心とするように、レーザー光Lの入射方向とほぼ直角に偏角されて放射状をなして平面状に全方向(軸心線Xに対して直交する平面内の360°方向)に向かって反射する。よって、この反射後のレーザー光Lrは、プローブ20の射出窓23を通過した後、プローブ20の外周に位置する管体1の内面に向けて円周リング状をなして照射される。
[除染物回収ユニットの構成]
除染物回収ユニット12は、図1、図3に示したように、円周リング状をなすレーザー光Lの照射により管体内面の付着物や管体内面の表層から削り剥がされた(以下、レーザー光Lの照射により、管体内面の付着物を剥ぐように除去したり、管体表面を所定の厚さで削り剥す行為を削剥と記す。)除染物dを管体1内から排出するための圧縮空気を管体の後端側のホルダ17Bに設けられたエアノズル26から管体1内に圧縮空気を供給する圧縮空気送気手段25と、管体1内に送気された圧縮空気によって管体1内から排出された除染物dを捕集して回収、除去する公知の除染物回収手段27から構成されている。
除染物回収ユニット12は、図1、図3に示したように、円周リング状をなすレーザー光Lの照射により管体内面の付着物や管体内面の表層から削り剥がされた(以下、レーザー光Lの照射により、管体内面の付着物を剥ぐように除去したり、管体表面を所定の厚さで削り剥す行為を削剥と記す。)除染物dを管体1内から排出するための圧縮空気を管体の後端側のホルダ17Bに設けられたエアノズル26から管体1内に圧縮空気を供給する圧縮空気送気手段25と、管体1内に送気された圧縮空気によって管体1内から排出された除染物dを捕集して回収、除去する公知の除染物回収手段27から構成されている。
圧縮空気送気手段25は、圧源として公知の圧縮空気ボンベとレギュレーター(図示せず)とを有し、プローブ20による管体内面の除染作業中、管体1に所定圧、風量の圧縮空気を供給し、内部に空気流fを形成する。
排出路29上に設けられた除染物回収手段27は、内部にHEPAフィルタ、活性炭フィルタ等の排気フィルタ28を備え、内蔵されたブロア(図示せず)の運転により管体内面から削剥された除染物dを含む圧縮空気を吸気し、内部の排気フィルタ28で濾過して除染物dを捕集し、清浄空気を装置外に排気する。
管体1の保持手段として、管体1の両端部を保持するホルダ17A,17Bは、架台18上に支持された、管体1を保持する側の直径が大きな円錐台形の硬質ゴム製筒体からなる。これらホルダ17A,17Bで管体1の両端を適切な把持力を軸方向に加えて挟持することで、管体1の軸心線とホルダ17A,17Bの軸心線とを略一致させつつ管体1の先端(除染物回収側)、後端(レーザー光照射側)を、気密性を確保した状態で保持することができる。除染対象の配管径が決まっている場合には、ホルダ17A,17Bの形状は管体に、気密性を確保して外接可能な円筒形状等としてもよい。また、管体を保持する部位にパッキン等の気密性を保持する部材を付加した鋼管等を使用してもよい。
[駆動系の構成]
駆動系30は、図1に示したように、プローブ20を、管体1内を長手方向に進行させる直動機構31からなる。直動機構31は、プローブ20が、除染対象の管体1内をその軸心線Xに沿って直線運動するよう、たとえば図1に示したように、制御部32からの動作指令を受けてリニアガイド33に沿って移動させる機能を有する。直動機構31としては、リニアガイド33に沿って伸縮可能なシリンダロッド、ベルトドライブ機構、ラックピニオン機構を用いることができる。
駆動系30は、図1に示したように、プローブ20を、管体1内を長手方向に進行させる直動機構31からなる。直動機構31は、プローブ20が、除染対象の管体1内をその軸心線Xに沿って直線運動するよう、たとえば図1に示したように、制御部32からの動作指令を受けてリニアガイド33に沿って移動させる機能を有する。直動機構31としては、リニアガイド33に沿って伸縮可能なシリンダロッド、ベルトドライブ機構、ラックピニオン機構を用いることができる。
直動機構31によるプローブ20の直動動作と、コーンミラー22を介して管体内面に照射される円周リング状をなすレーザー光Lの照射動作とのリンクについて、簡単に説明する。レーザー光Lは、図3に示したように、コーンミラー22の頂点近傍の鏡面に照射されて360°方向に反射し、反射光はプローブ20の射出窓23を通過して管体1の内周面に円周リング状に照射される。このとき、管体内面でのレーザ光Lの照射強度により、管体表面の付着物質等の削剥能力が異なる。このため、照射段階の直動機構31の停止時間はその削剥能力に応じて設定される。そして管体表面の付着物や所定厚さの管体表層が円周リング状に削剥されると、直動機構31は、プローブ20を、管体内面の削剥された範囲に連なる未処理範囲にわずかなステップで移動させ、その未処理範囲でのレーザー光Lの照射による削剥作業が継続して実行される。プローブ20が移動するステップ量は、レーザー光Lの管体表面での照射幅に応じて設定すればよい。
[管体内面の除染作業]
本発明の管体内面除染装置10を用いた配管等の管体内面の除染作業を行う手順について、図4各図を参照して説明する。
図4(a)は、除染対象の管体1の両端がホルダ17A,17Bに保持された状態を示している。プローブ20はその先端がホルダ17Bに位置し、ホルダ17Bの細径端と気密性を確保した状態で摺動可能に密着している。同図には管体内面の削剥に先立ち、圧縮空気送気手段25のエアノズル26から圧縮空気が管体1内に送気され、管体1内に空気流fが形成されている状態が示されている。この状態で直動機構31(図1)を動作させてプローブ20を管体1内に進行させ、プローブ20の射出窓23が管体1の端部を通過したらレーザー光Lを管体内面に照射開始する(図4(b))。レーザー光Lの管体内面への照射は、上述したように、あらかじめ制御されたレーザ光Lのコーンミラー22への照射、プローブ20の直動機構31の連係動作によって行われる。レーザー光Lが円周リング状に照射された管体1の表面は、レーザー光のエネルギーによって放射性物質が付着した薄層が削剥されると同時にガス化し、気中にて微小粒子として再固結する。管体1内には十分な風量の空気流fが形成されているため、微小粒子としての除染物dは空気流fによって管体1内を先端側に送られ、排気管29を介して除染物回収手段27の排気フィルタ28に捕集され、清浄空気は装置外に排気される(図4(c))。管体内面の除染作業は、プローブ20を管体1の先端部まで進行させることで管体全長にわたり行われる。コーンミラー22によるレーザー光Lの照射は、その照射箇所が管体1の先端部に到達した段階で終了する(図4(d))。レーザー光Lの照射開始、終了のタイミングはプローブ20に公知の位置センサを備えてもよいし、装置にセットする除染対象の管体1の全長をあらかじめ認識させ、それをプローブ20の移動量として設定してもよい。
本発明の管体内面除染装置10を用いた配管等の管体内面の除染作業を行う手順について、図4各図を参照して説明する。
図4(a)は、除染対象の管体1の両端がホルダ17A,17Bに保持された状態を示している。プローブ20はその先端がホルダ17Bに位置し、ホルダ17Bの細径端と気密性を確保した状態で摺動可能に密着している。同図には管体内面の削剥に先立ち、圧縮空気送気手段25のエアノズル26から圧縮空気が管体1内に送気され、管体1内に空気流fが形成されている状態が示されている。この状態で直動機構31(図1)を動作させてプローブ20を管体1内に進行させ、プローブ20の射出窓23が管体1の端部を通過したらレーザー光Lを管体内面に照射開始する(図4(b))。レーザー光Lの管体内面への照射は、上述したように、あらかじめ制御されたレーザ光Lのコーンミラー22への照射、プローブ20の直動機構31の連係動作によって行われる。レーザー光Lが円周リング状に照射された管体1の表面は、レーザー光のエネルギーによって放射性物質が付着した薄層が削剥されると同時にガス化し、気中にて微小粒子として再固結する。管体1内には十分な風量の空気流fが形成されているため、微小粒子としての除染物dは空気流fによって管体1内を先端側に送られ、排気管29を介して除染物回収手段27の排気フィルタ28に捕集され、清浄空気は装置外に排気される(図4(c))。管体内面の除染作業は、プローブ20を管体1の先端部まで進行させることで管体全長にわたり行われる。コーンミラー22によるレーザー光Lの照射は、その照射箇所が管体1の先端部に到達した段階で終了する(図4(d))。レーザー光Lの照射開始、終了のタイミングはプローブ20に公知の位置センサを備えてもよいし、装置にセットする除染対象の管体1の全長をあらかじめ認識させ、それをプローブ20の移動量として設定してもよい。
以上に説明した各図では、水平に設置された管体1の内面の除染を行う態様が描かれているが、管体1を立てるようにして鉛直方向に設置し、プローブ20が管体1内を降下しながら、管体内面の除染を行うような装置としてもよい。この場合には、除染物dは自重で落下するとともに、下向きの空気流fによって強制的に効率的に排出させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
1 管体
10 管体内面除染装置
11 レーザー光照射ユニット
12 除染物回収ユニット
15 レーザー発振器
16 集光光学系
17A,17B ホルダ
20 レーザー光照射プローブ(プローブ)
22 コーンミラー
25 圧縮空気送気手段
26 エアノズル
27 除染物回収手段
28 排気フィルタ
30 駆動系
31 直動機構
d 除染物
f 空気流
L レーザー光
X 軸心線
10 管体内面除染装置
11 レーザー光照射ユニット
12 除染物回収ユニット
15 レーザー発振器
16 集光光学系
17A,17B ホルダ
20 レーザー光照射プローブ(プローブ)
22 コーンミラー
25 圧縮空気送気手段
26 エアノズル
27 除染物回収手段
28 排気フィルタ
30 駆動系
31 直動機構
d 除染物
f 空気流
L レーザー光
X 軸心線
Claims (5)
- レーザー発振器から集光光学系を介して内部に導かれたレーザー光を偏角する偏角手段を有し、その両端が保持手段によって保持された除染対象の管体の内面に照射させるために前記管体内に挿入される筒状体からなるレーザー光照射手段と、
該レーザー光照射手段を、前記管体内の軸方向に直動させる直動駆動機構と、
前記管体内に圧縮空気を供給する圧縮空気送気手段と、
を備え、
前記駆動手段の運転動作によって前記レーザー光照射手段を前記管体内を直動させるとともに前記偏角手段によって偏角されたレーザー光を、前記管体内面に照射させて前記管体内面の放射性物質を削剥し、前記圧縮空気送気手段によって前記管体内に形成された空気流で、削剥された前記放射性物質を除染物として前記管体内から排出させることを特徴とする管体内面除染装置。 - 前記空気流の排出側に設けられた除染物回収手段に、前記空気流中の除染物が捕集される請求項1に記載の管体内面除染装置。
- 前記レーザー光照射手段は、前記筒状体内部をその軸心線方向に沿って導光された前記レーザー光を、前記偏角手段で前記軸心線に略直角をなして偏角させる請求項1に記載の管体内面除染装置。
- 前記偏角手段は、前記レーザー光照射手段の先端位置に固定保持されたコーンミラーであり、前記筒状体内部をその軸心線方向に沿って導光された前記レーザー光を、該コーンミラーの円錐頂点位置で円周リング状に偏角させる請求項1に記載の管体内面除染装置。
- 前記保持手段は、前記管体の軸心線と、前記レーザー光照射手段の軸心線とが略一致するように前記管体の両端を、気密性を確保して保持可能な請求項1に記載の管体内面除染装置。
Priority Applications (1)
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JP2021160239A JP2023050228A (ja) | 2021-09-30 | 2021-09-30 | 管体内面除染装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR102634985B1 (ko) * | 2023-09-05 | 2024-02-06 | 신동훈 | 사용후 비계용 아연도 강관의 레이저 표면제염 장치 및 방법 |
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2021
- 2021-09-30 JP JP2021160239A patent/JP2023050228A/ja active Pending
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KR102634985B1 (ko) * | 2023-09-05 | 2024-02-06 | 신동훈 | 사용후 비계용 아연도 강관의 레이저 표면제염 장치 및 방법 |
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