JP2023049701A - 一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物及びこれを用いた毛髪ウエーブ形成処理方法 - Google Patents

一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物及びこれを用いた毛髪ウエーブ形成処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】毛髪の状態に関わらず、酸化剤を用いなくても毛髪変形形状の永続的な維持が可能であり、洗浄耐久性を有し、更には、リセット性能を有する毛髪ウエーブ形成処理用組成物を提供する。【解決手段】毛髪の永続的なウエーブを形成することができるリセット可能な毛髪ウエーブ形成処理用組成物であり、チオール還元剤及び非チオール還元剤から選択される少なくとも1種であり含有割合が1~15質量%の還元剤と、0.1~10質量%のカチオン性ポリマー、0.1~10質量%の加水分解コラーゲン、及びその誘導体から選択される少なくとも1種の親水性ポリマーと、10質量%以下のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と、水と、を含有する、一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物、これを用いた毛髪ウエーブ形成処理方法、及び毛髪ウエーブ形成処理剤セットに関する。詳しくは、酸化剤を用いなくても、毛髪にウエーブ形状あるいはストレート形状の付与を施すために用いる永続的な毛髪ウエーブ(パーマネント・ウエーブ)形成処理用組成物及びそれを用いる永続的な毛髪ウエーブ形成処理方法に関する。より詳しくは、還元剤とともにカチオン性ポリマー、コラーゲンを含有する処理剤を用いることにより、ブリーチ処理などに起因する損傷の有無にかかわらず、酸化剤を使用しなくても毛髪に永続的な形状変形を付与し、かつ、毛髪形状変形のリセットが繰り返し可能な毛髪ウエーブ形成処理用組成物及びこれを用いた毛髪ウエーブ形成処理方法に関する。なお、本発明の毛髪ウエーブ形成処理用組成物は、髭、眉毛、まつ毛などの人毛にも適用できる。
毛髪が水に濡れてもウエーブ形状が永続的に保持されるヘアセット剤として、パーマネント・ウエーブ用剤(以下、「パーマ剤」と呼ぶ)と、洗い流すヘアセット料(以下、「カーリング料」と呼ぶ)と、がある(例えば、非特許文献1、2参照)。
パーマ剤の目的は、より具体的には、毛髪にウエーブをもたせ、保つこと、および、くせ毛、縮毛またはウエーブ毛髪を伸ばし、保つことである。そして、パーマ剤は、多くは二浴式であり、目的に沿った形状となるように毛髪に応力を付与した状態で、チオール系還元剤によってジスルフィド結合をメルカプト基へと切断し、ついで、酸化剤を用いてジスルフィド結合を再生して応力変形したケラチン繊維の高次構造を安定化させる。このようにして、パーマネントウエーブの付与あるいは縮毛矯正といった所望に応じた毛髪の形状を永続的に保つことを原理とする。
二浴式のパーマ剤では、例えば、チオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン、システアミン、チオ乳酸およびその塩類などのチオール基を有するメルカプタン系化合物が第一剤として用いられる。
そして、ジスルフィド再結合をもたらす第二剤における酸化剤としては、臭素酸塩、過ホウ素酸塩、過酸化水素などが用いられる。
一方、サルファイト系のカーリング料においては、主として亜硫酸塩が還元剤として用いられる。
ジスルフィド結合をメルカプト基へと切断する際には、亜硫酸塩によって還元的に切断されてブンテ塩が生成する。このジスルフィド開裂は、平衡反応のため、水洗浄とともにジスルフィド結合がゆっくりと再生される(例えば、非特許文献3参照)。そして、臭素酸塩からなる酸化剤を第二剤とする。
このように、ウエーブ形状が永続的に保持される従来のヘアセット処理法は、酸化剤を第一剤とし、還元剤を第二剤とする二浴式が基本である。以下、こうした処理方法を「従来法」と呼ぶことがある。
特開2013-147476号公報 特開2017-014182号公報 特開昭61-7211号公報 特開2001-247436号公報 特開2003-201220号公報 特開昭58-049308号公報 特開昭57-021311号公報 特開2005-162698号公報 特開平5-78226号公報 特開2000-229819号公報 特開2013-56836号公報 特開2003-81785号公報 特表2019-504034号公報 特開平7-242522号公報 特開平8-231355号公報 特開2001-31537号公報 特開2005-53925号公報
日本パーマネントウエーブ液工業組合編著、「サイエンス オブ ウエーブ改訂版」、新美容出版株式会社(2002年4月10日)。 日本パーマネントウエーブ液工業組合技術委員会著、「パーマの科学」、新美容出版株式会社(2015年、10月10日)。 クラーレンス R.ロビンス著、山口真主訳、「毛髪の科学 第4版」、フレグランスジャーナル社(2006年7月10日)
上記の従来法によるパーマ剤やカーリング料を用いて毛髪の変形形状を永続的に保持する際には、酸化剤の強い化学反応性によって毛髪を構成するたんぱく質のアミノ酸残基などが不可逆的な損傷を受けるだけでなく、毛髪の組織や微細構造などに化学的損傷がもたらされる。すなわち、第一剤での還元反応によって生成するメルカプト基は、第二剤による酸化反応で定量的にジスルフィド結合に再生されるのではなく、メルカプト基の一部はチオール系還元剤に由来するメルカプト基と結合して混合ジスルフィド化合物を生成する一方で、酸化されたシステイン酸残基に不可逆的に変化する。
その結果、毛髪に多大な損傷が起こるとされ、毛髪の強度や弾性が低下して断毛が発生し、毛髪表面の光沢低下などが引き起こされる。
また、メラニン色素を過酸化水素水などの酸化剤で分解するカラーリングやブリーチ処理でも同様に、毛髪中のジスルフィド結合が不可逆的に開裂するために、数回に渡ってブリーチ処理を施した毛髪では、たんぱく質などの有効成分が損失されるとともにジスルフィド結合の含有量が減少するため、従来法に基づく毛髪の形状変形処理は困難もしくは不可能となる。
したがって、パーマネントウエーブ形成におけるこれらの問題点を制御するためには、以下に記す課題を解決することが求められる。
第一に、毛髪の酸化的損傷を低減するために、過酸化水素や臭素酸塩などの酸化剤を可能な限り用いないことである。第二に、従来法と同程度の永続的な毛髪のウエーブ形成能を保持することである。第三に、形成された毛髪形状は洗髪に対して十分な耐久性を有することである。第四に、形成された毛髪形状を元の状態に戻す、あるいは、新たな形状を付与することが可能なこと、即ちリセット性を有することである。
ここで、酸化剤を用いない毛髪のウエーブ形成処理剤に関しては、二浴式あるいは一浴式からなるものにおいて様々な提案がなされてきた。
酸化剤を用いない二浴式の処理方法としては、例えば、還元剤からなる第一剤によって毛髪を処理してジスルフィド結合を切断し、ついで、ポリフェノールを含有する第二剤によって架橋構造を再形成する二浴式の毛髪形状処理法が提案されている(特許文献1参照)。他の二浴式毛髪処理剤として、タンニン酸を含有する第一剤と加水分解ケラチンあるいはその誘導体を含有する第二剤に基づく毛髪処理方法が提案されている(特許文献2参照)。
ただし、この特許文献2では、タンニン酸処理によって加水分解ケラチンが毛髪内部へ浸透することを抑制することにあり、パーマ剤による処理の前あるいは後での毛髪処理剤に適しているとされ、毛髪形状処理剤そのものに関するものではない。いずれにしても、これらの処理方法によって得られる毛髪形状ならびに洗浄耐久性に関しては、従来法との比較がなされていない。
次に、一浴式の毛髪ウエーブ形成処理剤に関しても、さまざまな方法が提案されている。還元剤ならびに酸化剤を用いない一浴式処理剤として、以下のような提案がある。
その一つは、塩基性または酸性アミノ酸のポリペプチドやケラチン、アルブミン、カゼイン、大豆たんぱく質などの加水分解物水溶液を用いる方法である(特許文献3参照)。ただし、この方法では、40~160℃での加温処理を要するとされる。また、平均分子量が5000以上であるケラチン加水分解物を用いて40℃で処理するウエーブ形成方法が提案されている(特許文献4参照)。このウエーブ形成方法は、ブリーチ処理あるいはパーマネントウエーブ処理を施した損傷毛髪に有効であるとされる(特許文献5参照)。さらには、加水分解ケラチンあるいはその誘導体とポリフェノールからなる処理剤を用いる方法が提案されており、毛髪のカール処理が可能であるとされている(特許文献6参照)。
しかしながら、これらの方法によって処理された毛髪については、従来法との比較がなされておらず、洗浄耐久性の程度、及び、ウエーブ形成におけるリセット性についても開示されていない。このため、その実用性を判断することができない。
次に、他の一浴式のウエーブ形成方法では、酸化剤を用いなくても還元反応のみの使用が組み込まれている。
その一つは、還元剤としてのチオグリコール酸と酸性アミノ酸あるいは中性アミノ酸からなる処理剤であり、酸化剤からなる第二剤による処理を行わなくても空気酸化によって永続的なウエーブ形成が可能であるとされている(特許文献7、8参照)。また、還元剤とともにジチオジグリコール酸およびアミノ変性シリコーンを配合してなる組成物によって毛髪を処理する方法も提案されており、カール形成が可能なスタイリング剤への応用が可能とされている(特許文献9参照)。ただし、この組成物は、実際には、パーマネントウエーブ用の第一剤であり、酸化剤からなる第二剤による処理を要するとされる。
今一つの方法は、亜硫酸塩に尿素およびアルコールを配合した処理剤を用いるものであり、毛髪のカール、あるいは、くせ毛矯正に最適であるとされている(特許文献10参照)。また、亜硫酸塩あるいはチオール系還元剤にタンニンを配合した一浴式の処理剤によって、短時間で毛髪等の形状変形や感触の改善効果が得られることが知られている(特許文献11参照)。
さらには、一浴式の処理剤として、チオール系還元剤、ジスルフィド化合物および加水分解たんぱく質からなる3成分を必須とする組成物も提案されており、たんぱく質としては、ケラチン分解質および/またはシルクたんぱく質分解物が特に好ましいとされている(特許文献12参照)。ただし、この場合、あらかじめブリーチ処理を施した毛髪を用いた評価であること、および、一浴式での毛髪強度の低下を抑制するために酸化剤を組み合わせる二浴式が提案されていること、が開示されている。
特許文献13では、毛髪形状を変形させるために、還元剤、少なくとも2種の脂肪物質および非イオン性界面活性剤を含有し、第4級アンモニウム化合物としてのカチオン性ポリマーを配合するエマルション形態の一浴式組成物が提案されている。ただし、ここでのカチオン性ポリマーは、任意に配合される成分とされており、必須成分ではない。
ここで、以上に例示した二浴式および一浴式の処理剤に関するいずれの提案においても、付与された毛髪形状の洗浄耐久性及びウエーブ形成におけるリセット性については明示されていない。
したがって、還元ならびに酸化反応によるジスルフィド結合の切断および再結合に基づく従来法以外に、毛髪の変形形状を長期にわたって維持し、かつ、その形状をリセットすることが可能な処理剤及びその方法は知られていない。要するに、酸化剤を用いないとしても従来法に比肩しうる毛髪の形状変形を可能とするパーマネントウエーブ処理剤(ウエーブ形成処理剤)は未だ完成されていない。
具体的には、以下の条件等を満たすウエーブ形成処理剤の開発が求められていた。即ち、第一に、日常生活におけるさまざまな状況において、毛髪は水膨潤および乾燥という可逆的な状態に曝される。つまり、毛髪は、シャンプーなどによる洗髪と乾燥が繰り返し行われる。そのため、洗髪に対する高度な耐久性が要求される。第二に、毛髪のウエーブ処理は、被施術者の要望に基づき定期的に任意に繰り返し行われることが多いので、毛髪における形状記憶を発現することなく、新たな形状に完全にリセットされ(リセット性を有し)、かつ、一方で付与した形状は所望の期間、永続的に保持されることが要求される。第三に、施術者ならびに被施術者への負担軽減を実現するために、処理時間を短縮することが要求される。
本発明は、以上の必要条件を満たすべく、酸化剤を用いなくても永続的な毛髪ウエーブ形成やカーリング、あるいは、くせ毛矯正のための永続的な毛髪形状保持が可能な一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物、これを用いた毛髪ウエーブ形成処理方法、及び、毛髪ウエーブ形成処理剤セットを提供することを目的とする。
なお、本明細書において「永続的」とは、新たな形状に意図的にリセットすることは可能であるものの、シャンプーなどで洗浄しても取れることがない程度に毛髪ウエーブの状態が維持されることをいう。
上記した一浴式処理方法の中には、還元剤処理を施した毛髪の変形形状を永続的に保持するために、大気中の酸素による自然酸化によってジスルフィド結合の形成を意図していることが推量される(例えば、特許文献7、8参照)。それに対して、本発明者らは、チオール系あるいは非チオール系還元剤をカチオン性ポリマーおよび/またはコラーゲンの親水性ポリマーと組み合わせ、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を所定割合以下とすることにより、酸化剤を用いなくても、一浴式でもパーマネントウエーブ処理が可能となることをはじめて明らかにした。
本発明者らは、酸化剤によってジスルフィド結合を再形成する反応に代えて、還元処理された毛髪たんぱく質の高次構造を非共有結合によって固定化することを意図して種々検討を積み重ねた。
その過程において、ある種の水溶性ポリマー(親水性ポリマー)が毛髪のたんぱく質と多重的かつ多層的な非共有結合を形成しうることに着眼し、応力をかけた状態における毛髪の変形形状が、酸化剤の不存在下でも効率よく固定化されることを見出した。
さらに、非共有結合形成は、毛髪の強度や弾性の改善をもたらすとともに、従来法に比肩する永続的な毛髪のウエーブ形成を可能とし、しかも、洗髪耐久性をも具現化できることも明らかにした。
こうした結果は、特定の水溶性ポリマーが多重的な非共有結合を介してケラチンたんぱく質表面層へ吸着し、エントロピー的に安定、かつ、動的な界面構造が形成されるためと考えられる。
その結果、毛髪のケラチンたんぱく質の変形緩和が抑制されると考えられる。しかも、本発明に基づく処理法によって付与された毛髪の形状は、任意の形状にリセットできることも明らかとなった。
また、本発明の処理剤は、基本的に一浴式であり、これにより、毛髪の形状変形に要する処理時間の大幅な短縮が可能となる。すなわち、本発明においては、従来法における酸化剤に基づく毛髪の化学的損傷が回避されるだけでなく、変形した形状が永続的に維持されるとともに、洗髪による毛髪形状の劣化が起こることもなく、かつ、リセット性が確保された一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物、これを用いた毛髪ウエーブ形成処理方法、及び、毛髪ウエーブ形成処理剤セットが提供される。
従来法における第一剤としての還元剤組成物中に、カチオン性ポリマーを配合することは知られているが、ここでの第一剤へのカチオン性ポリマーの配合の目的は、第二剤処理によって完結される永続的なウエーブやカールの形成処理後の毛髪に力学的特性や美容特性を付与するためである。つまり、酸化剤からなる第二剤による処理が前提とされている。
例えば、特許文献8では、従来法における還元剤配合の第一剤にトリメチルグリシン、多価アルコール、カチオン性ポリマーを配合することが提案されている。第二剤による処理を行うことによって、髪の折れ曲がりや断毛といった望ましくない毛髪の変形を生ずることなく永続的なウエーブ処理ができるとされる。
特許文献14では、チオグリコール酸塩とジチオジグリコール酸による損傷を防止するために、常法における第一剤にシリコーンや保湿剤などの毛髪保護剤とともに水溶性カチオンポリマーを配合し、ついで、酸化剤からなる第二剤で毛髪処理を行う方法が提案されている。
特許文献15では、還元剤からなる第一剤に塩基性アミノ酸およびアミノ基または第4級アンモニウム基を主鎖に含有するカチオン性ポリマーを配合し、この組成物で処理した毛髪を過酸化水素からなる第二剤でウエーブ処理を行うと、毛髪の機械的劣化を抑制できることが開示されている。
特許文献16、17では、従来法における還元剤組成物あるいは酸化剤組成物にカチオン性ポリマーを配合し、これらを用いてアニオン性ポリマーで前処理した毛髪に永続的なウエーブを施す方法が提案されている。これにより、美容特性および持続性を伴う変形が得られ、さらに毛髪がスタイリングし易くなるとされる。
以上のように、従来法での第一剤である二浴式還元剤組成物中にカチオン性ポリマーが配合される場合があるが、これらにおいては、第二剤としての酸化剤組成物による二浴式処理によってはじめて永続的なウエーブが獲得される。言い換えると、還元および酸化反応に基づく従来法による永続的な毛髪形状変形処理においては、カチオン性ポリマーは不可欠な成分ではない。
本発明者らは、毛髪たんぱく質に、非共有結合によって結合可能な物質をさまざまな観点から検討する過程で、非常に意外なことに、ケラチンたんぱく質のジスルフィド結合を切断する還元剤を、カチオン性ポリマーおよび/またはコラーゲンと適切に組み合わせることにより、酸化剤を用いないとしても、従来法に比肩する永続的な毛髪ウエーブ形成が実現できることを見出した。
その結果として、還元剤と、カチオン性ポリマーおよび/または加水分解たんぱく質であるコラーゲンとを必須成分とする組成物によれば、従来法に比肩しうる永続的なウエーブ形成が実現できること、さらには、洗髪に対して優れた耐久性を有し、しかも、任意の形状にリセットが可能であることを明らかにした。
これらの結果は、通常毛を用いての評価に基づくものであるが、通常毛(「健常毛」という場合もある)をブリーチ処理した損傷毛(「ブリーチ毛」という場合もある)に対しても、健常毛の場合と同様に、永続的な毛髪のウエーブ形状の保持、十分な洗浄耐久性およびリセット性が実現できることを確認し、本発明を達成するに至った。
本発明の課題は、毛髪の状態(通常毛、ブリーチ毛など)に関わらず、酸化剤を用いなくても、毛髪変形形状の永続的な維持が可能であり、洗浄耐久性を有し、更には、リセット性能を有する一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物、これを用いた毛髪ウエーブ形成処理方法、及び、毛髪ウエーブ形成処理剤セットを提供することにある。
本発明によれば、以下に示す、一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物、これを用いた毛髪ウエーブ形成処理方法、及び、毛髪ウエーブ形成処理剤セットが提供される。
[1] 毛髪の永続的なウエーブを形成することができるリセット可能な毛髪ウエーブ形成処理用組成物であり、
チオール還元剤及び非チオール還元剤から選択される少なくとも1種であり含有割合が1~15質量%の還元剤と、
0.1~10質量%のカチオン性ポリマー、0.1~10質量%の加水分解コラーゲン、及びその誘導体から選択される少なくとも1種の親水性ポリマーと、
10質量%以下のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と、
水と、
を含有する、一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
[2] アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の配合割合が、0.1~10質量%である、前記[1]に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
[3] 前記還元剤における前記チオール還元剤が、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸グリセリル、システイン、システアミン、ホモシステイン、N-アセチルシステイン、チオグリセリン、チオジグリコール、2-メルカプトエタノール、または、ジチオトレイトールであり、
前記還元剤における前記非チオール還元剤が、アルカリ金属亜硫酸塩、アルカリ土類金属亜硫酸塩、アルカリ金属ピロ亜硫酸塩、または、アルカリ土類金属ピロ亜硫酸塩である、前記[1]または[2]に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
[4] 前記カチオン性ポリマーが、以下の(a)~(g)から選択される少なくとも1種である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
(a)アリルアミン、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、または、メトサルフェート
(b)一般式(1)で表わされるカチオン性(メタ)アクリレート
Figure 2023049701000001
(但し、一般式(1)中、Xは、酸素原子またはNH基を示し、nは2または3の整数を示し、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Rは、メチル基またはエチル基を示し、Rはカルボキシレートメチル基を示し、Yは、塩素原子またはメトサルフェートを示す)
(c)一般式(2)または一般式(3)で表わされる第4級アンモニウム基を含有する含窒素複素環からなるN-ビニルモノマーから選ばれた少なくとも一種のカチオン性モノマーのホモポリマーであるか、或いは、親水性モノマーとのコポリマー
Figure 2023049701000002
(但し、一般式(2)中、Yは、塩素原子またはCHOSOを示す)
Figure 2023049701000003
(但し、一般式(3)中、Yは、塩素原子またはCHOSOを示す)
(d)カチオン性ポリアミノ酸
(e)カチオン性多糖類
(f)アミノ変性シリコーン
(g)ポリエチレンイミン
[5] 前記アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び、塩化マグネシウムから選択される少なくとも1種である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
[6] 更に、加水分解たんぱく質であるケラチン、卵隔膜たんぱく質、卵白たんぱく質、コンキオリン、シルク、エラスチン、大豆たんぱく質、小麦たんぱく質、及びこれらの誘導体から選択される少なくとも一種を含有する、前記[1]~[5]のいずれかに記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
[7] ジチオジグリコール酸を含有しないか、或いは、前記チオール系還元剤に対する質量比の値(ジチオジグリコール酸/チオール系還元剤)が0超で1.25未満のジチオジグリコール酸を含有する、前記[1]~[6]のいずれかに記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
[8] 前記[1]~[7]のいずれかに記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物である処理剤(A)と、
アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)と、を備える、毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
[9] 前記[1]~[7]のいずれかに記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物である処理剤(A)と、
アニオン性ポリマーの存在下あるいは不存在下でポリフェノールを含有する水性組成物である処理剤(C)と、を備える、毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
[10] 前記アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、アクリル酸と親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、イタコン酸と親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、イタコン酸メチルエステルと親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、イタコン酸エチルエステルと親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、メチルビニルエーテルとマレイン酸との共重合体、メチルビニルエーテルとマレイン酸モノエステルとの共重合体、メチルビニルエーテルとフマル酸との共重合体、ポリスチレンスルホン酸、(メタクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)コポリマーから選択される少なくとも一種の塩である、前記[8]または[9]に記載の毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
[11] 前記[1]~[7]のいずれかに記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物である処理剤(A)と、
アニオン性ポリマーの存在下あるいは不存在下で酸化剤を含有する水性組成物である処理剤(D)と、を備える、毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
[12] 前記酸化剤が、過酸化水素、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過ホウ素酸ナトリウム、過ホウ素酸カリウムである、前記[11]に記載の毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
[13] 前記処理剤(D)が、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び、塩化マグネシウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有する、前記[11]または[12]に記載の毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
[14] 一浴式の毛髪ウエーブ形成処理方法であって、
前記[1]~[7]のいずれかに記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物によって毛髪を処理する処理工程(a)と、
前記処理工程(a)で処理された前記毛髪を洗浄する洗浄工程(b)と、を備える、毛髪ウエーブ形成処理方法。
[15] アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)によって毛髪を処理する前処理工程(イ)と、
前記前処理工程(イ)で処理された前記毛髪を洗浄する前処理洗浄工程(ロ)と、
を有する前処理工程を、前記処理工程(a)の前に行う、前記[14]に記載の毛髪ウエーブ形成処理方法。
[16] 前記洗浄工程(b)で洗浄された前記毛髪を、アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)によって処理する後処理工程(X1)と、
前記後処理工程(X1)で処理された前記毛髪を洗浄する後処理洗浄工程(Y1)と、
を有する後処理工程を、前記洗浄工程(b)の後に行う、前記[14]に記載の毛髪ウエーブ形成処理方法。
[17] 前記洗浄工程(b)で洗浄された前記毛髪を、ポリフェノールを含有する水性組成物である処理剤(C)によって処理する後処理工程(X2)と、
前記後処理工程(X2)で処理された前記毛髪を洗浄する後処理洗浄工程(Y2)と、
を有する後処理工程を、前記洗浄工程(b)の後に行う、前記[14]に記載の毛髪ウエーブ形成処理方法。
[18] 前記洗浄工程(b)で洗浄された前記毛髪を、酸化剤を含有する水性組成物である処理剤(D)によって処理する後処理工程(X3)と、
前記後処理工程(X3)で処理された前記毛髪を洗浄する後処理洗浄工程(Y3)と、
を有する後処理工程を、前記洗浄工程(b)の後に行う、前記[14]に記載の毛髪ウエーブ形成処理方法。
本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物、本発明の毛髪ウエーブ形成処理剤セット、及び、本発明の毛髪ウエーブ形成処理方法は、以下の効果を奏するものである。
第一に、本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物によって付与される毛髪ウエーブ形状は、洗髪に対して十分な耐久性を有するので、長期にわたり毛髪に付与された変形形状が維持できる。
第二に、酸化剤を用いなくても毛髪変形形状の永続的な維持が可能となるので、毛髪の化学的な損傷が低減される。
第三に、任意の毛髪形状にリセットを行うことができるので、被施術者の要望に沿った毛髪形状の変更を随時行うことができる。
第四に、本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物は、基本的に一浴式であり、二浴式である従来法より施術時間の大幅な短縮が可能となるので、被施術者ならびに施術者における負担を軽減できる。
第五に、毛髪の状態にかかわらず、即ち、損傷毛にも、そして健常毛にも永続的な変形形状を付与することができる。
第六に、カチオン性ポリマーおよび/またはコラーゲンを選択することにより、ウエーブ形状を付与した毛髪に目的に適う美容特性を必然的に付与することが可能となる。なお、「美容特性」とは、例えば、毛髪に光沢を付与すること、毛髪を保湿し、毛髪の広がりを抑えること、毛髪の損傷を補修すること、毛髪の手触りを改善すること、毛髪に付したヘアカラーの褪色を抑えること、などの各種の性質をいう。
健常毛を用いてリセット性を評価した結果を示す説明図である。 損傷毛を用いてリセット性を評価した結果を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
(1)一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物:
本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物(以下、単に「毛髪ウエーブ形成処理用組成物」と記す場合がある)は、毛髪の永続的なウエーブを形成することができるリセット可能な毛髪ウエーブ形成処理用組成物であり、チオール還元剤及び非チオール還元剤から選択される少なくとも1種であり含有割合が1~15質量%の還元剤と、0.1~10質量%のカチオン性ポリマー、0.1~10質量%の加水分解コラーゲン、及びその誘導体から選択される少なくとも1種の親水性ポリマーと、10質量%以下のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と、水と、を含有するものである。なお、リセット可能とは、後述するリセット性能を有することを意味する。
このような毛髪ウエーブ形成処理用組成物は、毛髪の状態(通常毛、ブリーチ毛など)に関わらず、酸化剤を用いなくても、毛髪変形形状の永続的な維持が可能であり、洗浄耐久性を有し、更には、リセット性能を有するものである。
より具体的には、第一に、本発明の毛髪ウエーブ形成処理用組成物によって付与される毛髪ウエーブ形状は、洗髪に対して十分な耐久性を有するので、長期にわたり毛髪に付与された変形形状が維持できる。第二に、酸化剤を用いなくても、毛髪変形形状の永続的な維持が可能となるので、毛髪の化学的な損傷が低減される。第三に、任意の毛髪形状にリセットを行うことができるので、被施術者の要望に沿った毛髪形状の変更を随時行うことができる。第四に、本発明の毛髪処理用組成物は、一浴式のものであり、二浴式である従来法より施術時間の大幅な短縮が可能となるので、被施術者ならびに施術者における負担を軽減できる。第五に、健常毛だけでなく損傷毛にも永続的な変形形状を付与することができる。第六に、カチオン性ポリマーおよび/またはコラーゲンを選択することにより、ウエーブ形状を付与した毛髪に目的に適う美容特性を必然的に付与することが可能となる。
(1-1)還元剤:
還元剤は、チオール還元剤及び非チオール還元剤から選択される少なくとも1種である。このような還元剤と所定の親水性ポリマーを配合することによって、上述したように、毛髪の状態(通常毛、ブリーチ毛など)に関わらず、酸化剤を用いなくても毛髪変形形状の永続的な維持が可能であり、洗浄耐久性を有し、更には、リセット性能を有する毛髪ウエーブ形成処理用組成物が得られることになる。
チオール系還元剤としては、例えば、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸グリセリル、システイン、システアミン、ホモシステイン、N-アセチルシステイン、グルタチオン、チオグリセリン、チオジグリコール、2-メルカプトエタノール、ジチオトレイトールなどを挙げることができる。
チオール系還元剤の配合量は、組成物全量中の1~15質量%であり、1質量%未満であると、十分な効果が得られずに処理時間が長くなり、15質量%を越えて配合すると、臭気が著しくなる。また、ジチオジグリコール酸、ジチオジグリコール酸ジアンモニウムなどを反応調整剤として用いることができる。
非チオール系還元剤としては、例えば、アルカリ金属亜硫酸塩、アルカリ土類金属亜硫酸塩、アルカリ金属ピロ亜硫酸塩、アルカリ土類金属ピロ亜硫酸塩等を挙げることができる。
より具体的には、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸モノエタノールアミンおよび亜硫酸水素モノエタノールアミン等の無機アルカリ、アンモニアおよび有機アミンとの塩などが挙げられる。
亜硫酸塩、ピロ亜硫酸塩等の非チオール系還元剤の配合量は、組成物全量中の1~15質量%である。1質量%未満であると、得られる効果が弱く、15質量%を越えて配合すると、他の配合成分の溶解性を阻害する。
本発明の組成物は、そのpHについて特に制限はないが、5.5~11とすることができ、好ましくは6~10である。
pHを調整するためのアルカリ化剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール-1、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、アルギニンなどの有機塩基を用いることができる。
アルカリ化剤としては、これらの無機および有機塩基から選択される2種以上の混合物として用いることができる。また、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素アンモニウム、クエン酸又はその塩などもpH調整剤として用いられる。
(1-2)親水性ポリマー:
親水性ポリマーは、0.1~10質量%のカチオン性ポリマー、0.1~10質量%の加水分解コラーゲン、及びこの加水分解コラーゲンの誘導体から選択される少なくとも1種である。このような親水性ポリマーと上記還元剤を配合することによって、上述したように、毛髪の状態(通常毛、ブリーチ毛など)に関わらず、酸化剤を用いなくても毛髪変形形状の永続的な維持が可能であり、洗浄耐久性を有し、更には、リセット性能を有する毛髪ウエーブ形成処理用組成物が得られることになる。
(1-2a)カチオン性ポリマー及びその誘導体:
カチオン性ポリマーは、例えば、脂肪族の第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、アミジン基、グアニジン基、第4級含窒素ヘテロ環残基を有するカチオン性モノマー単位から構成される親水性ポリマーなどである。
なお、第1級アミノ基、第2級アミノ基および第3級アミノ基は塩基性残基であるが、本発明の組成物における弱塩基性から弱酸性の水溶液中では、部分的にプロトン化されてカチオン基として振舞う。このため、カチオン性ポリマーとして機能する。
本発明の組成物には、ラジカル重合反応によって得られるカチオン性ポリマーを用いることがよい。
このためのカチオン性ラジカルモノマーとしては、例えば、(a)アリルアミン、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、メトサルフェート、エトサルフェート、(b)一般式(1)で表わされるカチオン性(メタ)アクリレート、(c)一般式(2)または一般式(3)で表わされる第4級アンモニウム基を含有する含窒素複素環からなるN-ビニルモノマーから選ばれた少なくとも一種のカチオン性モノマーのホモポリマーであるか、或いは、親水性モノマーとのコポリマー、(d)カチオン性ポリアミノ酸、(e)カチオン性多糖類、(f)アミノ変性シリコーン、(g)ポリエチレンイミンなどを挙げることができる。
Figure 2023049701000004
(但し、一般式(1)中、Xは、酸素原子またはNH基を示し、nは2または3の整数を示し、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Rは、メチル基またはエチル基を示し、Rはカルボキシレートメチル基を示し、Yは、塩素原子またはメトサルフェートを示す)
Figure 2023049701000005
(但し、一般式(2)中、Yは、塩素原子またはCHOSOを示す)
Figure 2023049701000006
(但し、一般式(3)中、Yは、塩素原子またはCHOSOを示す)
一般式(1)で表わされるカチオン性(メタ)アクリレートとしては、具体的には、2-トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレート、3-トリメチルアンモニオプロピル(メタ)アクリレート、2-トリエチルアンモニオエチル(メタ)アクリレート、3-トリエチルアンモニオプロピル(メタ)アクリレート、2-カルボキシレートメチルジメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレート、3-カルボキシレートメチルジメチルアンモニオプロピル(メタ)アクリレート、2-トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミド、3-トリメチルアンモニオプロピル(メタ)アクリルアミド、2-カルボキシレートメチルジメチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミド、3-カルボキシレートメチルジメチルアンモニオプロピル(メタ)アクリルアミドなどのクロライド、メトサルフェートあるいはフォスフェート塩、2-メタクロイルオキシエチルホスホリルコリンなどを挙げることができる。
一般式(2)または一般式(3)で表わされる第4級アンモニウム基を含有する含窒素複素環からなるN-ビニルモノマーとしては、例えば、1-ビニルイミダゾール、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、および、それらの窒素原子が炭素数1~3のアルキル基で第4級化されたビニルモノマーを例示することができる。
これらのカチオン性モノマーとの共重合に適した親水性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、EO変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどを例示されるが、この限りではない。
さらに、これらのモノマーから得られるポリマーの水溶性を損なわない程度に、他のラジカル重合性モノマーを共重合させることができる。
そのためのモノマーとして、酢酸ビニル、炭素数が1~4のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数が1~4のアルコキシエチル(メタ)アクリレート、炭素数が1~4のアルコキシプロピル(メタ)アクリレート、などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの共重合性モノマーを単独あるいは複数種選択してラジカル重合に供して共重合体とする。
ラジカル重合に基づくカチオン性ポリマーは、常用のラジカル重合開始剤を用いることによって得られるが、その分子量分布は制御できず一般的に広い。原子移動ラジカル重合反応、可逆的付加-開裂連鎖移動重合反応あるいはニトロキシドを介した重合反応によって、ポリマーの分子量ならびに分子量分布が制御されるので、これらの方法によって得られるカチオン性ポリマーは本発明の組成物に好適に用いることができる。
ラジカル重合反応以外に、開環重合反応、重縮合反応、重付加反応などによって得られるカチオン性ポリマーも本発明の組成物に用いられることができる。
例えば、アミノ変性シリコーン、ポリエチレンイミン、ポリアルキレンアンモニウム、カチオン化ウレタンなどが代表的な例である。
また、リシンあるいはアルギニンのような塩基性アミノ酸から得られるカチオン性ポリアミノ酸をも好適に用いることができる。
さらには、カチオン変性した多糖類誘導体も好適に用いることができる。これらは、セルロース、でん粉、グアーガム、キチン、キトサンなどの多糖類をカチオン変性剤によって処理することにより得られる。
例えば、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドによる多糖類の水酸基への付加反応、メタクロイルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニルウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドなどのカチオン性モノマーによる多糖類へのグラフト反応によって得られる。
これらの具体的な例としては、特開平8-231355号公報(特許文献15)、特開2001-31537号公報(特許文献16)、特開2005-53925号公報(特許文献17)、特開2005-290003号公報、特表2013-538842号公報、及び、特表2019-504034号公報に記載されているカチオン性ポリマーを挙げることができる。
カチオン性ポリマーの多くは、毛髪のコンデイショナーやトリートメントとして用いられるが、本発明の方法によって永続的なウエーブやカールが形成されるだけでなく、本発明の組成物におけるカチオン性ポリマーの選択によって、毛髪の美容特性の向上をも図ることが可能となる。
毛髪の美容特性の向上をも図ることが可能なものとしては、例えば、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-52、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリクオタニウム-57、ポリクオタニウム-59、ポリクオタニウム-61、ポリクオタニウム-62、ポリクオタニウム-63、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-65、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-68、ポリクオタニウム-69、ポリクオタニウム-71、ポリクオタニウム-72、ポリクオタニウム-73、ポリクオタニウム-75、ポリクオタニウム-77、ポリクオタニウム-80、ポリクオタニウム-84、ポリクオタニウム-85、ポリクオタニウム-86、ポリクオタニウム-87、ポリクオタニウム-90、ポリクオタニウム-91、ポリクオタニウム-92,ポリクオタニウム-93,ポリクオタニウム-94、ポリクオタニウム-99、ポリクオタニウム-104、ポリクオタニウム-105、ポリクオタニウム-107、ポリクオタニウム-111、ポリクオタニウム-112、ポリクオタニウム-113などが挙げられる。
なお、本発明の組成物においては、カチオン性ポリマー以外に、カチオン性ポリマーの誘導体を用いることができる。
本発明の組成物におけるカチオン性ポリマーの重量平均分子量は、特に制限はないが、例えば、5×10~5×10程度とすることができ、好ましくは2×10~3×10である。この範囲の下限値未満の分子量では、ウエーブ形状は従来法より劣るおそれがある。なお、以上に例示したカチオン性ポリマーは、単一としてだけでなく、2種以上の混合物として用いることができる。
ここでの混合物は、異種のカチオン性ポリマーの組み合わせだけでなく、分子量が異なる同一のカチオン性ポリマーの組み合わせをも意味する。
本発明の組成物中でのカチオン性ポリマーの濃度は、その重量平均分子量に依存し適宜設定可能であるが、0.1~10質量%とすることができ、好ましくは0.1~9質量%である。この濃度の下限値未満では毛髪形状変形のための処理に長時間を要し、この濃度超では粘度が高いために適切ではない。
(1-2b)加水分解コラーゲン及びその誘導体:
まず、上記したように、ケラチン、アルブミン、カゼイン、大豆たんぱく質などの加水分解物の水溶液を用いる加温処理によって、従来法よりは劣るものの毛髪へのウエーブ処理が可能となる(例えば、特許文献3(特開昭61-7211号公報)参照)。そこで、本発明者らは、還元剤を用いない状態で、ケラチン、カゼイン、シルクを用いて、特許文献3に記載の方法について検討した結果、形成されるウエーブは、従来法における第一剤のみで処理した状態と同程度に過ぎず、二浴式の従来法には、遥かに及ばないことが確認された。
一方、特開2003-81785号公報(特許文献12)によれば、加水分解たんぱく質、チオグリコール酸およびジチオジグリコール酸からなる三成分系組成物からなる処理剤によって、一浴式のパーマネントウエーブ形成が可能と記載されている。そして、この加水分解たんぱく質としては、ケラトース(ケラチン分解物)および/またはシルクたんぱく質分解物が特に好ましいと記載されている。
ここで留意すべきことは、この三成分系処理法がブリーチ処理を施した損傷毛を用いて評価されている事実である。損傷毛に加水分解ケラチンが吸着されやすいことは広く知られており、例えば、損傷を受けた毛髪を修復する毛髪処理剤として、加水分解ケラチンを用いることが提案されている(特開昭57-85308号公報、特開平11-139941号公報参照)。さらには、特開2001-247436号公報(特許文献4)、および特開2003-201220号公報においては、加水分解ケラチンによって特異的に損傷毛にパーマ処理を施すことが可能であることが示されており、加水分解ケラチンが損傷毛に対して特異的に吸着しやすいことを強く示唆するものである。
一方、この特開2003-81785号公報(特許文献12)には、当該三成分系処理剤による健常毛に対する処理効果は明記されていない。
そこで、チオグリコール酸、ジチオジグリコール酸および加水分解ケラチンを含有する水溶液を用いて、健常毛に対するウエーブ処理の評価を行った。その結果、ジチオジグリコール酸の有無にかかわらず、ウエーブ形状は、従来法における還元剤から成る第一剤のみで処理した状態と同程度に過ぎないことが判明した。また、加水分解ケラチンに代えて加水分解シルクを用いた場合も同程度の結果であった。
つまり、特開2003-81785号公報(特許文献12)における三成分系処理剤は、健常毛に対しては毛髪の形状変形効果を発揮できないことが明らかである。
この特異的な結果は、加水分解ケラチンの毛髪への吸着能は、化学的な損傷の有無によって異なり、健常毛への吸着能が損傷毛より低いためとして理解される。一方、健常毛及びブリーチ処理した損傷毛のそれぞれについて、加水分解ケラチンに代えて加水分解コラーゲンを用いて、チオグリコール酸の共存下でウエーブ処理を行ったところ、ジチオジグリコール酸の有無にかかわらず、優れたウエーブ形成能を発現することが見出された。
すなわち、コラーゲンを用いる場合には、ジチオジグリコール酸は必須成分ではなく、更には、還元剤と加水分解コラーゲンとを含む二成分系処理剤は、健常毛及び損傷毛のいずれに対しても優れたウエーブ形成能(パーマネント処理効果)を有することが判明した。
こうした毛髪のウエーブ形成処理におけるケラチンまたはシルクとコラーゲンとの対照的な相違は、以下のようにして理解できる。
一般的に、加水分解たんぱく質はイオン性アミノ酸残基の静電相互作用によって毛髪ケラチンに吸着すると考えられている。したがって、毛髪ケラチンへの吸着性は、加水分解たんぱく質を構成する塩基性および酸性アミノ酸残基の含有量に影響される。損傷毛においては、毛髪ケラチンのシステイン酸化によって生成するシステイン酸残基が、加水分解たんぱく質のアミノ酸残基と静電相互作用するために、加水分解ケラチンは損傷毛へ強く吸着することが知られている。したがって、ウエーブ形成処理の評価は未処理毛髪(健常毛)と損傷毛とを区別して行う必要がある。一方、コラーゲンがケラチンあるいはシルクと異なる分子構造上の特徴は、ヒドロキシプロリン残基ならびにヒドロキシリジン残基を含有することである。この特異的なアミノ酸組成が毛髪ケラチンへの吸着を促進するためと推量される。このように、毛髪の損傷の有無にかかわらず、コラーゲンは、ケラチンやシルクよりも効果的に毛髪へ吸着する結果、コラーゲンを含む本発明の組成物は、優れたウエーブ形成能を有する。
なお、本発明の組成物においては、加水分解コラーゲンの他に、この誘導体をも用いることができる。
本発明の組成物における加水分解コラーゲンには、カチオン化した加水分解コラーゲンが含まれるものとする。
加水分解たんぱく質の重量平均分子量は、200~5×10とすることができ、好ましくは、3×10~3×10である。なお、これらの加水分解コラーゲンは、分子量が異なる2種類以上の混合物として好適に用いることができる。
加水分解コラーゲンあるいはその誘導体の濃度は、重量平均分子量とともにカチオン性ポリマーの共存の有無によって適宜設定可能であるが、0.1~10質量%とすることができ、好ましくは、0.1~9質量%である。
なお、以上に例示したカチオン性ポリマーならびにコラーゲンは、それぞれを単一としてだけでなく、両者の混合物として好適に用いることができる。
各種ポリマーの毛髪内部への拡散浸透の程度は、分子量に大きく依存し、低あるいは中程度の分子量からなるオリゴマーあるいはポリマーは毛髪内部へ浸透しうるが、高分子量ポリマーは毛髪の表面領域での吸着にとどまると考えられる。
したがって、本発明の組成物は、異種のカチオン性ポリマーならびに加水分解コラーゲンそれぞれでの分子量が異なる組み合わせだけでなく、両者の組み合わせた混合系をも意味する。
(1-4)アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩:
本発明の組成物では、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の濃度は、10質量%以下である。即ち、本発明の組成物は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含まないか、或いは、0質量%で10質量%以下のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含むものである。このようにすると、より良好に髪変形形状の永続的な維持が可能であり、洗浄耐久性がより向上する。即ち、本発明の毛髪ウエーブ形成処理用組成物は、毛髪中に存在するSS結合の一部を還元剤によって切断して、毛髪の形状を変形し易くした状態で所望の形状とし、毛髪の表面領域を被覆した親水性ポリマーによって、変形後の毛髪の形状を維持することができる。このとき、所定割合のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が存在することで、親水性ポリマーによる形状維持効果を向上させることができる。
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含む場合、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の配合割合は、0.1~10質量%とすることができる。なお、10質量%超とすると、配合割合に対して得られる添加効果が十分でなくなる。
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、より具体的には、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び、塩化マグネシウムから選択される少なくとも1種とすることができる。
(1-5)他の加水分解たんぱく質:
本発明の組成物には、加水分解コラーゲン以外のたんぱく質(他の加水分解たんぱく質)として、例えば、加水分解たんぱく質である、ケラチン、卵隔膜たんぱく質、卵白たんぱく質、コンキオリン、シルク、エラスチン、大豆たんぱく質、小麦たんぱく質、これらの誘導体などを挙げることができる。なお、これらは1種単独でまたは2種以上を適宜選択して用いることができる。
さらには、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解シルク、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルク、4-ヒドロキシプロピルポリシロキサン加水分解コムギたんぱく質、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメたんぱく質、カチオン化加水分解ダイズたんぱく質、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ダイズたんぱく質などに代表されるたんぱく質誘導体なども用いることができる。
これらの他の加水分解たんぱく質は、毛髪の形状変形処理の補助的な役割とともに、保湿能、毛髪の損傷部位の補填、毛髪強度などの向上に寄与する。
(1-6)ジチオジグリコール酸/チオール系還元剤:
本発明の組成物は、ジチオジグリコール酸を含有しないか、或いは、チオール系還元剤に対する質量比の値(ジチオジグリコール酸/チオール系還元剤)が0超で1.25未満のジチオジグリコール酸を含有することができ、チオール系還元剤に対する質量比の値としては、0.1~1.20とすることができ、更に0.3~1.20とすることができる。このようにすると、より良好に髪変形形状の永続的な維持が可能であり、洗浄耐久性がより向上する。チオール系還元剤に対する質量比の値が上記上限値以上であると、洗浄耐久性等の効果が十分に発揮されないおそれがある。なお、上記範囲を満たさないとしても、対象となる毛髪が損傷毛(ブリーチ毛)である場合には、洗浄耐久性等の効果が得られる場合もあるが、通常毛(健常毛)に対しては、洗浄耐久性等の効果が十分に得られないおそれがある。つまり、通常毛と損傷毛のいずれにも上記効果が発揮されるようにするには、上記範囲を満たすことがよい。
(1-7)その他の添加剤:
本発明の毛髪ウエーブ形成処理用組成物は、上記したジスルフィド結合の還元剤、カチオン性ポリマー、加水分解コラーゲンならびに水、さらには、他の加水分解たんぱく質以外に、シリカ微粒子などのその他の添加剤を含有することができる。
シリカ微粒子は、毛髪のハリやコシを向上させることができる。
シリカ微粒子としては、例えば、AEROSIL-R104、AEROSIL-R106、AEROSIL-R202、AEROSIL-RY200、AEROSIL-RY200S、AEROSIL-RX200、AEROSIL-NX200、AEROSIL-RX300、AEROSIL-R805、AEROSIL-R812、AEROSIL-R812S、AEROSIL-R816、AEROSIL-R972、AEROSIL-R974、AEROSIL-R976、AEROSIL-R976S、AEROSIL-R7200、AEROSIL-R8200、AEROSIL-R9200、AEROSIL-R711、AEROSIL-R972Pharma(以上、日本アエロジル)、VM-2270Aerogel Fine Particles(ダウ・コーニング)、HDKH2000、HDKH15、HDKH18、HDKH20、HDKH30(以上、旭化成ワッカーシリコーン)などを挙げることができる。
その他の添加剤としては、さらには、例えば、アルコール類、保湿剤、コンディショニング剤、皮膜形成剤、浸透促進剤、pH緩衝剤、増粘剤、油脂類、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤などを含むことでも良い(非特許文献1、2参照)。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオールなどを挙げることができる。
保湿剤、湿潤剤としては、例えば、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、フルクトース、パンテノール、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、オキシプロリン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リシン、アルギニン、N-アセチル-L-ヒドロキシプロリン、γ-アミノ酪酸などのアミノ酸類、ピロリドンカルボン酸、尿素、ヒドロシエチルウレア、ジメチル尿素、加水分解ヒアルロン酸、ヒアルロン酸Na、加水分解ヒアルロン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、加水分解コムギデンプン、クレアチン、パンテニルエチル、ナイアシンアミド、植物抽出液、アロエ抽出液などを挙げることができる。
コンディショニング剤としては、例えば、グリシン、アラニン、トレオニン、ヒスチジン、リシンHCl、アルギニン、塩酸L-メチルチロシン、アスパラギン酸Na、グルタミン酸、メチルチロシンHCl、ココイルアルギニンエチルPCA、セラミドEOP、セラミドNG、セラミドNP、セラミドEOH、セラミドAG、セラミドAP、セラミドEOS、ビスセテアリルアモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、シクロメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジメチコン、イソアルキル(C10-40)アミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェート、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、アルキル(C12-14)オキシヒドロキシプロピルアルギニンHCl、ジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリド、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(べヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ベヘントリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムクロリド、ステアリルジヒドロキシプロピルジモニウムオリゴ糖、γ-ドコサラクトンなどを挙げることができる。
皮膜形成剤としては、例えば、(プロピルトリモニウムクロリドアクリルアミド/ジメチルアクリルアミド)コポリマー、(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー、ヘキシルジカルバミン酸コレステリルプルラン、チューベロース多糖体、トラガント、アミノプロピルジメチコン、シリコーンクオタニウム、(ジビニルジメチコン/ジメチコン)コポリマー、(ビスイソブチルPEG/アモジメチコン)コポリマー、アモジメチコン、ポリシリコーン、ビスセテアリルアモジメチコンなどを挙げることができるが、この限りではない。
浸透促進剤、乳化剤ならびに可溶化剤としては、さまざまなノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤ならびに両性界面活性剤を用いることができる。
油剤としては、例えば、馬油、シア脂、ラノリン、スクワラン、アボガド油、サフラワー油、ホホバ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、植物性スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、脂肪酸エステル、合成スクワラン、イソパラフィン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シクロペンタシロキサン、高級アルコール、エステル油剤、セタノール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベへニルアルコール、オクチルドデカアルコールなどを用いることができる。
増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロースなどを挙げることができる。さらには、防腐剤としてのフェノキシエタノール、パラベン、ソルビン酸およびその塩、デヒドロ酢酸およびその塩、サリチル酸およびその塩を用いることができる。
さらには、安定剤してのトコフェノール、アスコルビン酸など、キレート剤としてペンテト酸およびその塩、エチドロン酸およびその塩、エデト酸およびその塩など、紫外線吸収剤としての、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体など、消臭剤としての銅クロロフィル、没食子酸、アビエチン酸、シクロデキストリンなどや香料、pH調整剤などを用いることができる。
(1-8)使用状態:
本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物の使用状態としては、特に制限はなく適宜決定することができ、例えば、ローション、ジェル、クリーム等とすることができる。これらは、従来公知の方法を採用して調製することができる。なお、本発明の毛髪ウエーブ形成処理用組成物は、一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物であるが、二浴式の毛髪処理にも使用することができる。
(2)毛髪ウエーブ形成処理剤セット:
上述の本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物は、これを処理剤(A)として、更に別の処理剤(処理剤(B)、処理剤(C)、処理剤(D)など)と組み合わせて、毛髪ウエーブ形成処理剤セットとすることができる。このような毛髪ウエーブ形成処理剤セットは、処理剤(A)として上述の本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物を採用し、更に、別の処理剤を使用するため、上述した第一から第六の効果が更に良好に得られる。
(2-1)第1の毛髪ウエーブ形成処理剤セット:
第一の発明の毛髪ウエーブ形成処理剤セットは、上述の本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物である処理剤(A)と、アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)と、を備えるものである。
処理剤(B)は、アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である。この処理剤(B)は、本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物である処理剤(A)によって毛髪を処理する前または後に使用すること(前処理剤または後処理剤として使用すること)ができる。このように、処理剤(A)と処理剤(B)とは、これらの使用順序は特に制限はなく適宜決定することができる。
アニオン性ポリマーを含有する水性組成物(処理剤(B))によって、例えば毛髪の前処理を行うことにより、アニオン性ポリマーが毛髪のケラチンたんぱく質に吸着されてアニオン性部位が増加する。その結果、カチオン性ポリマーおよび/またはコラーゲンとの塩結合が増強される。また、アニオン性ポリマーを含有する水性組成物(処理剤(B))によって、毛髪の後処理を行っても、カチオン性ポリマーおよび/またはコラーゲンとの塩結合が増強される。
(2-1a)アニオン性ポリマー:
アニオン性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基および/またはスルホン酸残基を側鎖に有するポリマーの塩を用いることができる。
アニオン性ポリマーとしては、具体的には、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、アクリル酸と親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、イタコン酸と親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、イタコン酸メチルエステルと親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、イタコン酸エチルエステルと親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、メチルビニルエーテルとマレイン酸との共重合体、メチルビニルエーテルとマレイン酸モノエステルとの共重合体、メチルビニルエーテルとフマル酸との共重合体、ポリスチレンスルホン酸、(メタクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)コポリマーから選択される少なくとも一種の塩などを挙げることができる。
なお、処理剤(B)には、更に、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなどから選ばれた少なくとも1種の無機電解質を配合することができる。
(2-2)第2の毛髪ウエーブ形成処理剤セット:
第二の発明の毛髪ウエーブ形成処理剤セットは、上述の本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物である処理剤(A)と、アニオン性ポリマーの存在下あるいは不存在下でポリフェノールを含有する水性組成物である処理剤(C)と、を備えるものである。
処理剤(C)は、アニオン性ポリマーの存在下あるいは不存在下でポリフェノールを含有する水性組成物である。つまり、処理剤(C)は、ポリフェノールを含有する水性組成物であり、この場合、処理剤(C)には、アニオン性ポリマーを含有してもよいし、含有しなくてもよい。アニオン性ポリマーとしては、上述したものを適宜例示することができる。
(2-2a)ポリフェノール:
ポリフェノールとしては、縮合型タンニンであるケブラチョタンニン、ワットルタンニン、緑茶タンニン、マングローブタンニン、ガンビアタンニン、柿渋タンニンなど、および、加水分解タンニンである五倍子タンニン、没食子タンニン、チェストナットタンニン、ミロバランタンニンなどを挙げることができる。なお、一種単独でも二種以上を配合してもよい。
さらに、これらから誘導されるタンニン酸、没食子酸エピガロカテキン、没食子酸ガロカテキン、没食子酸エピカテキン、没食子酸カテキン、エピガロカテキン、ガロカテキン、エピカテキン、カテキン、没食子酸、没食子酸とグルコースの反応生成物、例えば、没食子酸グルコシド、ジグルコシル没食子酸、没食子酸エピガロカテキングルコシドなど、あるいは、これらの混合物、さらには、緑茶抽出物を好適に用いることができる。
これらのポリフェノールは、毛髪のケラチンたんぱく質に水素結合に基づく架橋構造を形成し、応力変形したたんぱく質の高次構造を安定化すると考えられる。このためのポリフェノールの配合量は、その種類や分子量などによって変動するが、0.01質量%~5質量%程度とすることができ、0.05質量%~3質量%の範囲が好ましい。これ以下の配合量では、パーマネントウエーブ処理効果は顕在化しない一方で、これ以上の配合量では、毛髪のごわつきが顕著となって使用に堪えない。
なお、このように、処理剤(A)と処理剤(C)とは、これらの使用順序は特に制限はなく適宜決定することができる。
(2-3)第3の毛髪ウエーブ形成処理剤セット:
第二の発明の毛髪ウエーブ形成処理剤セットは、上述の本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物である処理剤(A)と、アニオン性ポリマーの存在下あるいは不存在下で酸化剤を含有する水性組成物である処理剤(D)と、を備えるものである。
処理剤(D)は、アニオン性ポリマーの存在下あるいは不存在下で酸化剤を含有する水性組成物である。つまり、処理剤(D)は、酸化剤を含有する水性組成物であり、この場合、処理剤(D)には、アニオン性ポリマーを含有してもよいし、含有しなくてもよい。アニオン性ポリマーとしては、上述したものを適宜例示することができる。
処理剤(D)に含まれる酸化剤としては、例えば、過酸化水素、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過ホウ素酸ナトリウム、過ホウ素酸カリウムなどを挙げることができる。
処理剤(D)には、更に、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び、塩化マグネシウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有することができる。このようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を更に含有することで、上述した第一から第六の効果が更に良好に得られる。
なお、このように、処理剤(A)と処理剤(D)とは、これらの使用順序は特に制限はなく適宜決定することができる。
(3)毛髪ウエーブ形成処理方法:
本発明の毛髪ウエーブ形成処理方法は、一浴式の毛髪ウエーブ形成処理方法であって、上述した本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物によって毛髪を処理する処理工程(a)と、この処理工程(a)で処理された毛髪を洗浄する洗浄工程(b)と、を備える方法である。
本発明の毛髪ウエーブ形成処理方法によれば、上述した第一から第六の効果が良好に得られる。即ち、毛髪の状態(通常毛、ブリーチ毛など)に関わらず、酸化剤を用いなくても毛髪変形形状の永続的な維持が可能であり、洗浄耐久性を有し、更には、リセット性能を有する毛髪ウエーブを形成することができる。
なお、本発明の毛髪ウエーブ形成処理方法では、発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物を用いて毛髪を処理することによって、毛髪の形状を変形することができ、より具体的には、ストレート毛にウエーブを付与したり、くせ毛、縮毛またはウエーブ毛髪をストレート毛にしたりする(縮毛矯正)ことができる。
(3-1)処理工程(a):
処理工程(a)は、上述した本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物によって毛髪を処理する工程である。処理する対象である毛髪は、特に制限はなく、通常毛であってもよいし、損傷毛(ブリーチ毛)であってもよい。
毛髪の処理は、従来公知の方法を適宜採用することができる。例えば、まず、毛髪を、ロッド、カーラー、ハンディータイプのセット器具等に巻き付ける。その後、本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物を毛髪に塗布などする。その後、コールド式あるいは加温式に対応し、室温または加温状態(例えば60℃以下)で、5~30分放置する。その後、洗浄を行う。必要に応じて毛髪を乾燥させても良い(乾燥工程)。乾燥工程では、室温でしばらく放置するか、ドライヤーを用いる温風によって乾燥を行う。
また、本発明の毛髪ウエーブ形成処理用組成物を塗布した毛髪のストレート化を目的とし、熱アイロンを用いる短時間での加熱処理を行うことができる。加熱による毛髪の損傷を考慮すると、加熱温度は100~200℃とすることができ、好ましくは140~180℃の範囲である。
なお、一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物は、ロッド、カーラー、ハンディータイプのセット器具等に毛髪を巻き付ける前に、毛髪に塗布等してもよい。なお、必要に応じて、塗布等した後に毛髪を洗浄し、その後、ロッド等に毛髪を巻き付けてもよく、同時に加温、加熱処理をおこなってもよい。
(3-2)洗浄工程(b):
洗浄工程(b)は、処理工程(a)で処理された毛髪を洗浄する工程である。毛髪の洗浄方法は、特に制限はなく、従来公知の方法を適宜採用することができる。つまり、例えば、水やお湯を用いて毛髪を洗うことができる。
(3-3)前処理工程:
本発明の毛髪ウエーブ形成処理方法では、上述の処理工程(a)の前に、前処理工程を行うことができる。
前処理工程は、アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)によって毛髪を処理する前処理工程(イ)と、この前処理工程(イ)で処理された毛髪を洗浄する前処理洗浄工程(ロ)と、を有する工程である。
(3-3a)前処理工程(イ):
前処理工程(イ)は、アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)によって毛髪を処理する工程である。この処理剤(B)は、上述した第1の毛髪ウエーブ形成処理剤セットで説明した処理剤(B)と同様のものを採用することができる。
処理剤(B)によって毛髪を処理する方法としては、特に制限はなく、スプレーなどを用いて毛髪に噴霧する方法などを採用することができる。
なお、上述した第1の毛髪ウエーブ形成処理剤セットは、処理剤(B)が既に用意されているものであり、このセットを用いると、改めて処理剤(B)を用意する手間を省略することができ、前処理工程(イ)を簡単に行うことができる。
(3-3b)前処理洗浄工程(ロ):
前処理洗浄工程(ロ)は、前処理工程(イ)で処理された毛髪を洗浄する工程である。毛髪の洗浄方法は、特に制限はなく、従来公知の方法を適宜採用することができる。つまり、例えば、水やお湯を用いて毛髪を洗うことができる。
(3-4)後処理工程:
本発明の毛髪ウエーブ形成処理方法では、上述の洗浄工程(b)の後に、後処理工程を行うことができる。この後処理工程では、処理剤(B)、処理剤(C)、または処理剤(D)を適宜選択して使用することができる。以下に、後処理工程(第一の後処理工程~第三の後処理工程)について具体的に説明する。
(3-4-1)第一の後処理工程:
第一の後処理工程は、洗浄工程(b)で洗浄された毛髪を、アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)によって処理する後処理工程(X1)と、後処理工程(X1)で処理された毛髪を洗浄する後処理洗浄工程(Y1)と、を有する工程である。
(3-4-1a)後処理工程(X1):
後処理工程(X1)は、上述の洗浄工程(b)で洗浄された毛髪を、アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)によって処理する工程である。この処理剤(B)は、上述した第1の毛髪ウエーブ形成処理剤セットで説明した処理剤(B)と同様のものを採用することができる。
処理剤(B)によって毛髪を処理する方法としては、特に制限はなく、スプレーなどを用いて毛髪に噴霧する方法などを採用することができる。
なお、上述した第1の毛髪ウエーブ形成処理剤セットは、処理剤(B)が既に用意されているものであり、このセットを用いると、改めて処理剤(B)を用意する手間を省略することができ、後処理工程(X1)を簡単に行うことができる。
(3-4-1b)後処理洗浄工程(Y1):
後処理洗浄工程(Y1)は、後処理工程(X1)で処理された毛髪を洗浄する工程である。毛髪の洗浄方法は、特に制限はなく、従来公知の方法を適宜採用することができる。つまり、例えば、水やお湯を用いて毛髪を洗うことができる。
(3-4-2)第二の後処理工程:
第二の後処理工程は、洗浄工程(b)で洗浄された毛髪を、ポリフェノールを含有する水性組成物である処理剤(C)によって処理する後処理工程(X2)と、後処理工程(X2)で処理された毛髪を洗浄する後処理洗浄工程(Y2)と、を有する工程である。
(3-4-2a)後処理工程(X2):
後処理工程(X2)は、上述の洗浄工程(b)で洗浄された毛髪を、ポリフェノールを含有する水性組成物である処理剤(C)によって処理する工程である。この処理剤(C)は、上述した第2の毛髪ウエーブ形成処理剤セットで説明した処理剤(C)と同様のものを採用することができる。
処理剤(C)によって毛髪を処理する方法としては、特に制限はなく、スプレーなどを用いて毛髪に噴霧する方法などを採用することができる。
なお、上述した第2の毛髪ウエーブ形成処理剤セットは、処理剤(C)が既に用意されているものであり、このセットを用いると、改めて処理剤(C)を用意する手間を省略することができ、後処理工程(X2)を簡単に行うことができる。
(3-4-2b)後処理洗浄工程(Y2):
後処理洗浄工程(Y2)は、後処理工程(X2)で処理された毛髪を洗浄する工程である。毛髪の洗浄方法は、特に制限はなく、従来公知の方法を適宜採用することができる。つまり、例えば、水やお湯を用いて毛髪を洗うことができる。
(3-4-3)第三の後処理工程:
第三の後処理工程は、洗浄工程(b)で洗浄された毛髪を、酸化剤を含有する水性組成物である処理剤(D)によって処理する後処理工程(X3)と、後処理工程(X3)で処理された毛髪を洗浄する後処理洗浄工程(Y3)と、を有する工程である。
(3-4-3a)後処理工程(X3):
後処理工程(X3)は、上述の洗浄工程(b)で洗浄された毛髪を、酸化剤を含有する水性組成物である処理剤(D)によって処理する工程である。この処理剤(D)は、上述した第3の毛髪ウエーブ形成処理剤セットで説明した処理剤(D)と同様のものを採用することができる。
処理剤(D)によって毛髪を処理する方法としては、特に制限はなく、スプレーなどを用いて毛髪に噴霧する方法などを採用することができる。
なお、上述した第3の毛髪ウエーブ形成処理剤セットは、処理剤(D)が既に用意されているものであり、このセットを用いると、改めて処理剤(D)を用意する手間を省略することができ、後処理工程(X3)を簡単に行うことができる。
(3-4-3b)後処理洗浄工程(Y3):
後処理洗浄工程(Y3)は、後処理工程(X3)で処理された毛髪を洗浄する工程である。毛髪の洗浄方法は、特に制限はなく、従来公知の方法を適宜採用することができる。つまり、例えば、水やお湯を用いて毛髪を洗うことができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例で用いた化合物名およびその略称ならびに製造元を以下に示す。
[ポリマー]
(1)ポリクオタニウム-6、略称;PQ-6、東邦化学工業株式会社製
(2)ポリクオタニウム-10、略称;PQ-10、アクゾノーベル株式会社製
(3)ポリ-ε-リシン、略称;PLS、一丸ファルコス株式会社製
(4)加水分解シルク、略称SLK、株式会社成和化成製
(5)加水分解コラーゲン、略称CLG、株式会社成和化成製
(6)加水分解ケラチン、略称;KRT、株式会社成和化成製
(7)ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コラーゲン、略称;CLG+、株式会社成和化成製
(8)ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、略称;KRT+、株式会社成和化成製
(9)加水分解コンキオリン、略称;CCL、株式会社成和化成製
(10)加水分解コムギタンパク、略称;WHT、株式会社成和化成製
(11)加水分解ダイズタンパク、略称;SBN、株式会社成和化成製
(12)水溶性コラーゲン、略称;Ws-CLG、片倉コープアグリ株式会社製
(13)ポリ-γ-グルタミン酸ナトリウム、略称;PGA、一丸ファルコス株式会社製
(14)ポリアクリル酸ナトリウム、略称;PAc、住友精化株式会社製
(15)ポリスチレンスルホン酸Na、略称;PSS、アクゾノーベル株式会社製
[還元剤]
(16)チオグリコール酸アンモニウム、略称;TGA、佐々木化学株式会社製
(17)ジチオジグリコール酸ジアンモニウム、略称;DTGA、佐々木化学株式会社製
(18)システアミン、略称;CTA、佐々木化学株式会社製
(19)システイン、略称;CYI、日本プロテイン株式会社製
(20)亜硫酸ナトリウム、略称;NaBS、神州化学株式会社製(非チオール還元剤)
(21)ピロ亜硫酸ナトリウム、略称;NaMS、神州化学株式会社製(非チオール還元剤)
[その他の成分]
(22)塩化ナトリウム、略称;NaCl、富士フイルム和光純薬株式会社製
(23)硫酸ナトリウム、略称;NaSO、林純薬工業株式会社製
(24)塩化マグネシウム、略称;MgCl、林純薬工業株式会社製
(25)モノエタノールアミン、略称;MEA、佐々木化学株式会社製
(26)ラウリル硫酸ナトリウム、略称;SLS、花王株式会社製
(27)尿素、健栄製薬株式会社製
(28)タンニン酸、略称;TNA、林純薬工業株式会社製
(29)エピガロカテキン、略称;EGCG、太陽化学株式会社製
表1~表12に示すように各成分を配合して所定の組成物を調製した。そして、調製した各組成物について、適宜以下に示す所定の評価を行った。評価としては、「ウエーブ形成の評価」、「洗浄耐久性の評価」、「ウエーブのリセット性評価」を適宜行った。なお、各評価において、「山数」とは、波形に形成された毛髪には、山と谷が交互に現れることから、当該毛髪における山の頂点と谷の底の数の総数を言うものとした。
[ウエーブ形成の評価]
長さ30cmの健常毛髪の束を直径15mmのロッドに7回巻きつけ、これを処理液中に浸漬して室温で20分間放置した。ついで、ロッドに巻きつけた状態で流水によって1分間洗浄してから、毛髪をロッドから外して流水で1分間洗浄した。処理した毛髪を吊り下げた状態で24時間風乾した後に、方眼紙の上に水平に置いて出現した山数(個)を測定した。なお、ウエーブ形成については、原則的には、上記の方法で評価を行ったが、以下の実施例及び比較例でウエーブ形成の方法を記載する場合にはその方法が正しいものとする。
評価基準は、山数が6個(6山)以上であるときは、ウエーブ形成の評価が「優」となり、5個(5山)の場合であるときは、ウエーブ形成の評価が「良」となり、山数が4個(4山)であるときは、ウエーブ形成の評価が「可」となり、山数が4個(4山)未満であるか、或いは、山数に関わらず山の形状が著しく不鮮明な場合は「不可」となる。
[洗浄耐久性の評価]
市販シャンプー20%水溶液を超音波振動槽に入れて液温50℃に設定し、ウエーブ形成を施した人毛束を浸漬した。その後、40KHzで30分間の超音波処理を行い、この処理後に1分間流水で洗浄してから自然乾燥を1時間行って山数を求めた。
この操作を10分ずつ3回繰り返し、人毛束のウエーブ形状の変化を観察するとともに、形成した山の数を求めた。このように測定された超音波処理前および30分間処理後の山数の変化の有無から、洗浄耐久性を評価した。
評価基準は、ウエーブ変化率(%)の値を採用した。即ち、ウエーブ変化率(%)が15%未満であるときは、洗浄耐久性の評価が「優」であり、15%以上20%未満であるときは、洗浄耐久性の評価が「良」であり、20%以上35%未満であるときは、洗浄耐久性の評価が「可」であり、35%以上であるか、或いは、数値(%)に関わらず山の形状が著しく不鮮明であるときは、洗浄耐久性の評価が「不可」となる。なお、ウエーブ変化率(%)は、式:1-((洗浄前後で山数の小さい方の数字/洗浄前後で山数の大きい方の数字))×100によって算出した値である。例えば、洗浄前の山数が4(4山)、洗浄後の山数が5(5山)の場合、1-((4山/5山))×100=20%のように算出した。また、洗浄前の山数が5(5山)、洗浄後の山数が4(4山)の場合、1-((4山/5山))×100=20%のように算出した。
(比較例1~3)
まず、本発明の処理剤によるウエーブ形成能を評価する「基準」を設けるために、市販されている2液型パーマ処理剤を用いて毛髪のウエーブ形成処理を行った。その結果を表1に示す。
ここで、比較例1では、市販パーマ処理剤による二浴式処理によるウエーブ形成を行い、本願発明組成物のウエーブ形成能が、この市販のパーマ処理剤と同等あるいはそれ以上であることを示すことを目的とする例である。そして、比較例2により、酸化剤が不可欠であることを再確認した。次に、市販処理剤の第一剤、第二剤は、いずれも還元剤あるいは酸化剤以外に様々な成分が配合されている。一方、本発明での実施例では、必須成分のみを配合しているので、それに対応すべく、比較例3では、第一剤としてTGAのみ、第二剤として臭素酸Naのみを用いている。
表1は、市販パーマネントウエーブ剤により通常毛を処理した時のウエーブ形成の結果である。
比較例1では、人毛を直径15mmのロッドに7回巻きつけ、これをチオグリコール酸アンモニウム(TGA)からなる第1剤で処理を行い(表1中、「処理-1」)、20分間放置後流水で1分間洗浄した。ついで、臭素酸ナトリウムを主剤とする第2剤による処理を行って10分間放置した(表1中、「処理-2」)。
その後、流水で洗浄後人毛をロッドから外して流水による洗浄を1分間行い、24時間風乾した後に山の数を求めた。比較例1では、超音波洗浄前の山数は6であり、洗浄後は5であった。
比較例2は、第1剤のみによる処理(表1中、「処理-1」)の結果である。比較例2では、超音波洗浄前後での山数は4および3であるが、超音波洗浄後のウエーブ形状は、劣化しており、このことから、市販パーマ剤の第一剤である還元剤のみでの処理では、ウエーブ形成ができず、毛髪のウエーブ形成には酸化処理が不可欠であることが確認された。
比較例3は、TGA(7.0質量%)のみからなる還元第一剤、及び臭素酸Na(5.0質量%)のみからなる酸化第二剤を用いて、通常毛を処理した結果を示す。第一剤及び第二剤の必須成分のみから構成されているので、本発明における処理剤の優劣を判断するための基本例となる。なお、処理-1はセスキ炭酸ナトリウムでpHを8に調整し、処理-2はクエン酸とセスキ炭酸ナトリウムでpHを6に調整した。
Figure 2023049701000007
(実施例1~19、比較例4~6)
次に、還元剤と、カチオン性ポリマーおよび/またはコラーゲン等のポリマーとを含む組成物を用いて通常毛にウエーブを形成した。結果を表2に示す。
具体的には、7.0質量%のTGA水溶液のpHをセスキ炭酸ナトリウムによって8.0に調製し、これにPQ-6の濃度を変えた処理液を調製した。その後、通常毛を直径15mmのロッドに巻きつけ、これを実施例1~6に示す処理液によってウエーブ処理を行い、超音波処理前後での山数を求めた。PQ-6が0.5質量%以上の濃度では、洗浄耐久性に優れたウエーブが形成されている。
実施例7~14は、1.0質量%のPQ-6を含む処理剤に塩化ナトリウム等のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を添加した結果であり、いずれの場合もウエーブの山数が増加している。また、実施例15~17にはPQ-6に代えてPQ-10を使用した場合を示すが、塩化ナトリウムあるいはコラーゲンの配合によって山数が増えていることが認められる。
そして、PQ-6に代えてポリ-ε-リシン(PLS(カチオン性ポリマー))を用いた結果を実施例18、19に示す。いずれもウエーブ形成能を示している。また、PLSの場合には、加水分解コラーゲンの配合により洗浄耐久性の向上がもたらされている。
一方で、比較例4~6で示すように、TGAと電解質のみで通常毛を処理しても、ウエーブ形成能は乏しく、しかも洗浄後の形状が著しく不鮮明であったことから、洗浄耐久性は認められない。これは、カチオン性ポリマーやコラーゲンを配合した場合とは対照的な結果である。
Figure 2023049701000008
TGAおよびカチオン性ポリマーのみを含有する水性組成物によって毛髪を一浴処理したところ、永続的、かつ、リセット可能なウエーブ形成が実現できることが判明した。このセレンディピティ(serendipity)を契機とし、実施例1~19では、代表的なカチオン性ポリマーであるPQ-6を用いて濃度効果を検証するとともに、PQ-10や第一級アミノ基を側鎖に有するPLSを用いた処理を行った。
その結果、表2に示すように、いずれの場合でも全く同様な結果が得られた。この新規なウエーブ形成のメカニズムは明らかではないが、SS結合が還元切断された毛髪ケラチンたんぱく質のアニオン部位にカチオン性ポリマーが吸着し、ケラチンたんぱく質の変形状態を安定に保持するためと想定される。さらに、NaClなどの無機電解質によるウエーブ形成の増強効果をも見出し、これらによるウエーブ形成能は一浴式であるにもかかわらず、市販の二浴式パーマ処理剤の性能を上回っている。さらに、カチオン性ポリマーにCLGを配合することによっても、優れた一浴式ウエーブ形成が可能であることを見出した。
(実施例20~24、比較例7~12)
次に、TGAとCLG(またはカチオン化CLG(CLG+))のみを含む処理剤によるウエーブ形成能と、CLG以外の加水分解たんぱく質によるウエーブ形成能を検証した。
上述の表2から分かるように、カチオン性ポリマーにCLGを配合するとウエーブ形成が向上する。そこで、TGAとCLGのみを含む処理剤によるウエーブ形成能を検証した結果、驚くべきことに、一浴式であるにもかかわらず、市販の処理剤並みのウエーブ形成能を有することが判明した。更に、これに塩化ナトリウムなどの電解質を配合すると、市販の処理剤の性能を凌駕することも分かった。同様な結果がカチオン化CLG(CLG+)でも得られる。
一方、他の加水分解たんぱく質として、ケラチン、シルク、コンキオリン、小麦たんぱく質ならびに大豆たんぱく質のそれぞれにTGAを配合した水性組成物で毛髪を処理したところ、まったく意外なことに、ウエーブ形成は全く認められなかった。
つまり、永続的なウエーブ形成能を有する加水分解たんぱく質はCLGのみであった。一方、水溶性コラーゲン(ws-CLG)ではウエーブ形成能は認められなかった。なぜ加水分解コラーゲンのみがウエーブ形成に活性を示すかは明らかではないが、コラーゲン特有のアミノ酸組成に起因するのであると考えられる。
実施例20~23は、TGAとCLGあるいはCLG+とを含む処理剤よるウエーブ形成を示す。これらの結果から、それぞれに塩化ナトリウムを配合することにより、ウエーブ形成能がさらに向上することが分かる。
実施例24は、TGAとCLGにKRTを追加配合した処理剤のウエーブ形成の結果であり、この処理剤には更に塩化ナトリウムを配合する。その結果は、洗浄耐久性に有意な効果が認められる。
比較例7~12では、還元剤であるTGAに、CLG以外の加水分解たんぱく質として、ケラチン、シルク、コンキオリン、小麦たんぱく質、大豆たんぱく質それぞれを配合した水性組成物によって毛髪のウエーブ形成を試みた。しかし、いずれにおいても安定なウエーブはまったく認められなかった。本願発明において特筆すべきことは、永続的なウエーブ形成は加水分解コラーゲンのみに認められることである。
比較例12に示すように、コラーゲンに属するものであっても、水溶性コラーゲン(ws-CLG)はウエーブ形成能が全く認められなかった。加水分解コラーゲンとの劇的な相違が何に起因するかは明らかではない。水溶性コラーゲンの分子量は超高分子体であり、このことから加水分解コラーゲンとは明らかに異なる性質を有するものと考えられる。
Figure 2023049701000009
(実施例25~29)
次に、TGA(チオグリコール酸アンモニウム)とこれ以外の還元剤を用いて、通常毛にウエーブを形成した結果を表4に示す。
なお、実施例25~29では、表1におけるTGAの場合との比較を重視し、各還元剤の濃度を7質量%に統一している。また、実施例28と29におけるNaBSならびにNaMSを用いた例では、50℃の加温条件下での処理を行っている。実施例26のように還元剤としてCTAを用いた場合は、突出して山数が多いが、他の還元剤ではTGAと同程度の結果が得られている。
Figure 2023049701000010
実施例25~29の結果から、カチオン性ポリマーと還元剤を配合した処理剤は、酸化剤の配合が無い一浴式であるにもかかわらず、従来法と同程度のウエーブ形成能を有し、しかも、洗浄耐久性にも優れていることが明らかである。
(実施例30~37、比較例13~20)
本発明の処理剤が一浴式にもかかわらず、酸化剤を第二剤とする従来の二浴式処理剤に比肩するウエーブ形成能を有することを明示するために、本発明によるウエーブ形成処理を行った後に酸化剤処理を施すことにより、ウエーブ形成能が向上するか否かを検証した。結果を表5にまとめる。酸化処理によってウエーブ形成能にさらなる向上が認められなければ、一浴式として成立することを意味する。
Figure 2023049701000011
実施例30、32は、TGA存在下でのPQ-10またはCLGによって健常毛を一浴式で処理した例であり、実施例31、33は、更に酸化剤処理を施した例である。実施例30と31、実施例32と33をそれぞれ比較すると、酸化処理によってウエーブ形成能は変わらないことが分かり、これにより、一浴式で永続的ウエーブ形成が完結することが明らかである。
次に、比較例13、15では、CLGに代えて、他の加水分解たんぱく質であるKRTあるいはSLKを用いてTGAの共存下で健常毛を処理している。これらは、表3に示す結果と同様に、ウエーブ形成はまったく認められない。そして、比較例14、16は、それぞれの毛髪を更に酸化処理した結果であるが、永続的なウエーブ形成はまったく認められない。むしろ、KRTあるいはSLKによる処理では、酸化剤を用いるウエーブ処理が阻害されていた。これは、例えばウエーブ形状の欄の洗浄前と洗浄後を比べると、評価が「不可」に下がっていることからも分かる。
実施例34、36は、TGA存在下でのPQ-10またはCLGによって、損傷毛を処理した結果であり、健常毛より顕著なウエーブ形成が得られる。酸化反応によって生成する損傷毛でのアニオン部位に、PQ-10またはCLGの吸着が増強されるためと理解される。また、実施例35、37に見るように、更に酸化剤によって処理を行うと、山数(個)が増えることから、ウエーブ形成がより強くなることが分かる。
比較例17~20は、損傷毛を対象とする結果であり、特開2003-81785号公報に記載の実験を追試したものである。比較例17の結果から、KRTを用いると、損傷毛に対して酸化剤なしでも優れたウエーブ形成能を示す。酸化反応によって生成する損傷毛におけるアニオン部位に、KRTが強く吸着するためと理解される。SLKを用いても損傷毛に対してはある程度のウエーブ形成効果がある。また、KRTあるいはSLKで処理した損傷毛を酸化剤で処理しても、ウエーブ形成に大きな変化はない。なお、KRTで処理した損傷毛を更に酸化処理すると、洗浄耐久性はむしろ低下している。
以上の結果から、TGA存在下でCLGは健常毛および損傷毛に対して優れたウエーブ形成能を有する一方で、TGA存在下で健常毛をKRTあるいはSLKで処理を施してもウエーブ形成能は十分に認められず、損傷毛に対してのみ効果を示すことが分かる。
(実施例38,39、比較例21~23)
次に、カチオン化処理された加水分解たんぱく質(具体的には、カチオン化コラーゲン、カチオン化ケラチン)のウェーブ形成能の違いについて検討した。
実施例38に示すように、健常毛に対してカチオン化コラーゲン(CLG+)もウエーブ形成能を有し、更に、実施例39に示すように、NaClを配合することによってウエーブ形状がより向上する。
次に、カチオン化ケラチン(KRT+)では、健常毛に対してウエーブ形成能および洗浄耐久性はまったく認められない(比較例21、22)。なお、NaCl配合によって洗浄前のウエーブ形成は認められるものの(比較例22)、洗浄耐久性はなく、実質的なウエーブ形成能はない。
なお、比較例23に示すように、損傷毛に対しては、KRT+は優れたウエーブ形成能を示す。このことから、TGAとKRT+を含む組成物は、健常毛と損傷毛のうち損傷毛に対してのみ効果を有することが明らかである。
Figure 2023049701000012
(実施例40~43、比較例24~27)
次に、DTGAを配合することによる影響を明らかにするため、KRTあるいはCLGを用いたときのDTGAの配合結果を比較検討した。
実施例40、41の比較から分かるように、TGAとCLGを含む処理剤に8質量%のDTGAを配合して健常毛を処理すると、山数及びウエーブ形状ともに評価が低下し、DTGAの配合は負の効果を示すことが確認できる。
比較例24、25に示すように、TGAとKRTを含む処理剤では、通常毛に対してのウエーブ形成能は十分に得られず、しかも、DTGAを配合することでウエーブ形成はまったく認められないことが分かる。
実施例42、43からすると、TGAとCLGを含む処理剤は、損傷毛に対しても、DTGAの添加による影響が見られず優れたウエーブ形成能を有する。
比較例26、27に示すように、TGAとKRTを含む処理剤は、損傷毛に対してはTGAとCLGを含む処理剤よりも劣るもののウエーブ形成能が確認でき、DTGAを配合することで、ウエーブ形成能が向上する。
以上の結果から、通常毛と損傷毛とでは、ウエーブ処理によって得られる効果が異なり、例えば従来のTGAとKRTを含む処理剤などは、損傷毛を対象とした場合には、ウエーブ形状の評価等が良好であっても、通常毛では十分な評価が得られないことが分かる。
Figure 2023049701000013
(実施例44~56)
次に、表3、表6および表7における比較例から明らかなように、TGAとKRTを含む処理剤あるいはTGAとSLKを含む処理剤は、通常毛に対してウエーブ形成能を有さず、損傷毛に対してのみに効果があることが分かる。ここで、TGA、CLG、及びDTGAを含む処理剤におけるDTGA濃度と、通常毛ならびに損傷毛におけるウエーブ形成と、の相関を調べた。なお、表8中、MEA、SLS、及び尿素の濃度は一定である。
実施例44~49では、通常毛を対象としており、DTGA濃度が3質量%を越えると通常毛でのウエーブ変化率が増加、すなわち、ウェーブの洗浄耐久性の低下を示しはじめる。
実施例50~56では、損傷毛を対象としており、損傷毛では、NaClを配合しない場合でも、DTGA濃度が5質量%まではウエーブ形成は良好であり(実施例50~52)、DTGA濃度が10質量%では山数が明らかに減少する(実施例53)。また、NaClを配合した処理剤でも損傷毛に対して良好な効果が認められるが(実施例54)、この処理剤にDTGAを配合すると、その濃度が5質量%でウエーブ形成効率が低下し(実施例55)、DTGA濃度が10質量%では、もはやウエーブが形成されることはない(実施例56)。また、ジチオジグリコール酸/チオール系還元剤の値が、1.25未満である実施例44~47では、ウエーブ形状等の評価が良好であり、ジチオジグリコール酸/チオール系還元剤の値が、1.25以上である実施例48、49では、ウエーブ形状等の評価が十分でない。
Figure 2023049701000014
(実施例57~60)
次に、親水性ポリマーを加水分解コラーゲンに代えて「PQ-6」として評価を行った。結果を表9に示す。ジチオジグリコール酸/チオール系還元剤の値は、PQ-6(カチオン性ポリマー)においても0超で1.25未満であることがより良いことが分かる。
Figure 2023049701000015
(実施例61~69)
次に、アニオン性ポリマーまたはポリフェノールを含む水性組成物によって、前処理または後処理を行うウエーブ形成処理について検討を行った。
実施例61、62では、アニオン性ポリマーによって前処理を行い、ついで、還元剤とカチオン性ポリマーを含む処理剤によって処理を行い、評価をした。良好なウエーブ形成が可能であることが分かる。
実施例63~65では、還元剤とカチオン性ポリマーを含む処理剤による処理の後、アニオン性ポリマー(PGA)によって後処理を行い、評価をした。良好なウエーブ形成が可能であることが分かる。
実施例66、67では、アニオン性ポリマーにポリフェノールを配合した組成物によって前処理を行い、ついで、TGAとカチオン性ポリマーを含む処理剤で毛髪の処理を行い、評価をした。その結果、ウエーブ形成が更に向上した。
実施例68、69では、TGAとカチオン性ポリマーとを含む処理剤で処理を行い、ついで、アニオン性ポリマーにポリフェノールを配合した組成物によって毛髪の後処理を行い、評価をした。その結果、ウエーブ形成が更に向上した。
Figure 2023049701000016
(実施例70~79)
次に、後処理剤としての酸化剤(臭素酸ナトリウム)の使用について検討した。
具体的には、還元剤によってSS架橋が切断されると毛髪にしなやかさが得られる一方で、引張強度が低下することが知られている。ウエーブ形成された毛髪の強度を高めるうえで、酸化剤によるSS架橋は効果的であり、目的に応じて酸化剤処理を行うことが重要となる。本発明では、一浴式処理のみならず、酸化剤を含有する処理剤を用いる後処理が可能なので、多様な毛髪ウエーブ形成が選択できる。
実施例70は、TGAとPQ-10を含む処理剤を用いて処理した後、酸化剤を含む後処理剤を使用した結果である。実施例71では、更にNaClを配合した処理剤を用いて処理を行った後、PSSを配合した酸化処理剤を使用した。その結果、ウエーブ形成能が向上している。
実施例72~74を比較すると、NaClを更に配合した後処理剤(酸化処理剤)を使用することによってウエーブ形成能が向上している(実施例73)。そして、PSSを更に配合することでも、ウエーブ形成能が向上する(実施例74)。
実施例75~79では、TGAと、CLGまたはCLG+とを含む処理剤を用い、その後、後処理剤としてNaClまたはPSSを配合した酸化処理剤等で処理した結果を示す。NaClを更に配合することによりウエーブ形成能が向上し、また、後処理剤としてアニオン性ポリマーを配合することによっても、ウエーブ形成能が向上している。
Figure 2023049701000017
(実施例80~88)
次に、後処理剤として使用する酸化剤を、臭素酸ナトリウムに代えて過酸化水素とした場合について検討した。
実施例80~82を比較すると、PQ-10(カチオン性ポリマー)を採用した場合、後処理剤としてPSSを配合すると、ウエーブ形成が向上する。これは、ポリマーコンプレックス形成に起因すると考えられる。そして、実施例82に示すように、NaClを更に配合することによって、よりウエーブ形成が向上する。
実施例83~86では、PQ-10に代えてPQ-6を使用した場合においても、NaClを配合すること(実施例85、86)によって、PSSの使用にかかわらずウエーブ形成能はよい。そして、処理-1、処理-2の両方においてNaClを配合すると、ウエーブ形成はさらに向上する(実施例85、86)。
実施例87、88を比較すると、CLG+を使用すると、後処理剤にPSSを配合することによって一層のウエーブ形成能が向上する。
Figure 2023049701000018
以上の実施例1~88で示したように、カチオン性ポリマーおよび/またはコラーゲンに還元剤を配合した本発明の組成物は、優れたウエーブ形成能を有し、かつ、洗浄耐久性にも優れていることが分かる。
[リセット性]
さらに、毛髪ウエーブ形成処理用組成物に求められるべき特性は、従来の二浴式パーマ処理剤と同様に、任意の毛髪形状にリセットが可能なこと(即ち、リセット性能を有すること)である。例えば、従来の二浴式パーマネントウエーブ処理剤を用いて形成される毛髪形状が、本発明の組成物によって任意の時点で任意の形状にリセットできる(ウエーブなどの既存の形状の有無にかかわらず、新しい毛髪形状を付与することができる)ことが望まれる。また、本発明の組成物によって形成される毛髪形状が、従来法の二浴式パーマ処理剤によってリセットされることも求められる。
市販のパーマネントウエーブ処理剤ならびに本発明の毛髪ウエーブ形成処理用組成物を用いて、通常毛に対するリセット性について調べた。その結果を図1にまとめて示す。
ここでは、直径15mmのロッドを用いて第1の処理剤によるウエーブ形成を行い、次に、直径55mmのロッドを用いて第2の処理剤による処理を行った。この試験では、ロッドの直径が異なるものを用いるために、原則的に、前者(第1の処理剤によるウエーブ形成の場合)に比べて後者(第2の処理剤によるウエーブ形成の場合)で山数が減少する。
具体的な処理方法としては、以下の通りである。まず、長さ30cmに揃えた人毛束(通常毛からなる人毛束)を直径15mmのロッドに7回巻きつけ、第1の処理剤による処理および流水での洗浄を行った後に流水で1分間洗浄し、ついで、人毛束をロッドから外して流水で1分間洗浄した。これを24時間風乾させた後に、人毛束に出現した山の数を求めた。
つぎに、この人毛束を直径55mmのロッドに巻きつけ、第2の処理剤による処理を行い、流水による洗浄を行った後に、人毛束に出現した山の数を求めた。
リセット性能が良好に発揮される場合、下記参考例1等のように、第2の処理剤による処理後では山数が3程度になる。
このリセット操作で用いる処理剤は、市販パーマネントウエーブ処理剤(市販パーマ剤)の他に、実施例4で用いたPQ-6とTGAを配合した処理剤、実施例20で用いたCLGとTGAを配合した処理剤、ならびに、実施例17で用いたPQ-10、CLGおよびTGAからなる処理剤である。なお、以下において、実施例4,20,17の処理剤のそれぞれを〔PQ-6/TGA〕、〔CLG/TGA〕および〔PQ-10/CLG/TGA〕と略す。
参考例1は、市販パーマ剤を第1の処理剤とし、更に、市販パーマ剤を第2の処理剤とした結果であり、山数は6から3に減じている。実施例89は、〔PQ-6/TGA〕を第1の処理剤とし、〔PQ-6/TGA〕を第2の処理剤とした結果であり、実施例90は、〔CLG/TGA〕を第1の処理剤とし、〔CLG/TGA〕を第2の処理剤とした結果である。いずれも山数は、5から3に変化している。実施例91は、〔PQ-10/CLG/TGA〕を第1の処理剤とし、市販パーマ剤を第2の処理剤とした結果であり、山数が6から3に変化している。
したがって、これらの実施例4,20,17の処理剤は、いずれも通常毛に関してリセット性を有していることが分かる。
一方、比較例28は、市販パーマ剤を第1の処理剤とし、比較例7で用いた〔KRT/TGA〕を第2の処理剤とした結果である。また、比較例29は、市販パーマを第1の処理剤とし、比較例27で用いた〔KRT/TGA/DTGA〕を第2の処理剤とした結果である。すなわち、比較としての加水分解ケラチンと、TGAとからなる処理剤を用いた結果である。両者ともに、第1の処理剤で生じた山数6は、第2の処理剤による処理後では山数が5にとどまっており、ケラチン(本発明における親水性ポリマーに該当しないもの)を使用した場合にはリセット性は不完全である。
次に、ブリーチ処理を施した損傷毛(ブリーチ毛)を用いてリセット性を評価した。その結果を図2にまとめて示す。
実施例92は、〔PQ-6/TGA〕を第1の処理剤とし、〔PQ-6/TGA〕を第2の処理剤とした結果である。また、実施例93は、CLGおよびTGAからなる処理剤である〔CLG/TGA〕を第1の処理剤とし、同様の〔CLG/TGA〕を第2の処理剤とした結果である。それぞれの処理剤を用いると、25mmロッドに巻き付けたブリーチ毛に形成された山数は、健常毛の場合より一つ増える傾向も確認されたが、55mmロッドを用いて同じ処理剤による処理を行うと、山数は3に減少(変化)しており、これは、参考例1で示すような従来の市販のパーマ剤と同様に変化している。このことから、実施例92、93についても、リセット性を有することが確認される。
一方、比較例30は、〔KRT/TGA〕を第1の処理剤とし、〔KRT/TGA〕を第2の処理剤とした結果である。また、比較例31は、〔KRT/TGA/DTGA〕を第1の処理剤とし、〔KRT/TGA/DTGA〕を第2の処理剤とした結果である。第2の処理剤による処理後において、山数は3に減少(変化)していた。興味あることに、これらのケラチン系処理剤は、比較例28、29で示すように、通常毛に対しては、リセット性が不完全であるものの、損傷毛に対してはリセット性を有することが認められる。
このように、ケラチン系処理剤は、対象となる毛髪がブリーチ毛である場合には、良好にリセット性等の効果を発揮するが、通常毛に対しては十分な結果を示すものではないことが分かった。
以上のことから、本発明の毛髪ウエーブ形成処理剤は、通常毛および損傷毛のいずれに対しても、一浴式で市販のパーマ処理剤と同程度のパーマネントウエーブ形成能ならびに洗浄耐久性を有し、しかも、リセットが任意に可能である(即ち、リセット性を有する)。
本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物は、毛髪を代表とする人毛の形状を永続的に変形するための施術に用いる処理剤として用いることができる。本発明の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物は、毛髪損傷の有無にかかわらず一浴式で毛髪に永続的なウエーブ形成、あるいは、ストレート化を可能とするので、従来の酸化還元反応を組み合わせる二浴式より処理時間を大幅に短縮することが可能となる。こうした特徴により、本発明を用いれば、毛髪にパーマネントウエーブ処理あるいはストレート化を効果的に付与することができる。

Claims (18)

  1. 毛髪の永続的なウエーブを形成することができるリセット可能な毛髪ウエーブ形成処理用組成物であり、
    チオール還元剤及び非チオール還元剤から選択される少なくとも1種であり含有割合が1~15質量%の還元剤と、
    0.1~10質量%のカチオン性ポリマー、0.1~10質量%の加水分解コラーゲン、及びその誘導体から選択される少なくとも1種の親水性ポリマーと、
    10質量%以下のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と、
    水と、
    を含有する、一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
  2. アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の配合割合が、0.1~10質量%である、請求項1に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
  3. 前記還元剤における前記チオール還元剤が、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオリンゴ酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸グリセリル、システイン、システアミン、ホモシステイン、N-アセチルシステイン、チオグリセリン、チオジグリコール、2-メルカプトエタノール、または、ジチオトレイトールであり、
    前記還元剤における前記非チオール還元剤が、アルカリ金属亜硫酸塩、アルカリ土類金属亜硫酸塩、アルカリ金属ピロ亜硫酸塩、または、アルカリ土類金属ピロ亜硫酸塩である、請求項1または2に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
  4. 前記カチオン性ポリマーが、以下の(a)~(g)から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
    (a)アリルアミン、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、または、メトサルフェート
    (b)一般式(1)で表わされるカチオン性(メタ)アクリレート
    Figure 2023049701000019
    (但し、一般式(1)中、Xは、酸素原子またはNH基を示し、nは2または3の整数を示し、Rは、水素原子またはメチル基を示し、Rは、メチル基またはエチル基を示し、Rはカルボキシレートメチル基を示し、Yは、塩素原子またはメトサルフェートを示す)
    (c)一般式(2)または一般式(3)で表わされる第4級アンモニウム基を含有する含窒素複素環からなるN-ビニルモノマーから選ばれた少なくとも一種のカチオン性モノマーのホモポリマーであるか、或いは、親水性モノマーとのコポリマー
    Figure 2023049701000020
    (但し、一般式(2)中、Yは、塩素原子またはCHOSOを示す)
    Figure 2023049701000021
    (但し、一般式(3)中、Yは、塩素原子またはCHOSOを示す)
    (d)カチオン性ポリアミノ酸
    (e)カチオン性多糖類
    (f)アミノ変性シリコーン
    (g)ポリエチレンイミン
  5. 前記アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び、塩化マグネシウムから選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか一項に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
  6. 更に、加水分解たんぱく質であるケラチン、卵隔膜たんぱく質、卵白たんぱく質、コンキオリン、シルク、エラスチン、大豆たんぱく質、小麦たんぱく質、及びこれらの誘導体から選択される少なくとも一種を含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
  7. ジチオジグリコール酸を含有しないか、或いは、前記チオール系還元剤に対する質量比の値(ジチオジグリコール酸/チオール系還元剤)が0超で1.25未満のジチオジグリコール酸を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物である処理剤(A)と、
    アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)と、を備える、毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
  9. 請求項1~7のいずれか一項に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物である処理剤(A)と、
    アニオン性ポリマーの存在下あるいは不存在下でポリフェノールを含有する水性組成物である処理剤(C)と、を備える、毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
  10. 前記アニオン性ポリマーが、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリアクリル酸、ポリイタコン酸、アクリル酸と親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、イタコン酸と親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、イタコン酸メチルエステルと親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、イタコン酸エチルエステルと親水性(メタ)アクリレートモノマーとの共重合体、メチルビニルエーテルとマレイン酸との共重合体、メチルビニルエーテルとマレイン酸モノエステルとの共重合体、メチルビニルエーテルとフマル酸との共重合体、ポリスチレンスルホン酸、(メタクリル酸/アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)コポリマーから選択される少なくとも一種の塩である、請求項8または9に記載の毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
  11. 請求項1~7のいずれか一項に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物である処理剤(A)と、
    アニオン性ポリマーの存在下あるいは不存在下で酸化剤を含有する水性組成物である処理剤(D)と、を備える、毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
  12. 前記酸化剤が、過酸化水素、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過ホウ素酸ナトリウム、過ホウ素酸カリウムである、請求項11に記載の毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
  13. 前記処理剤(D)が、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、及び、塩化マグネシウムから選択される少なくとも1種のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有する、請求項11または12に記載の毛髪ウエーブ形成処理剤セット。
  14. 一浴式の毛髪ウエーブ形成処理方法であって、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の一浴式の毛髪ウエーブ形成処理用組成物によって毛髪を処理する処理工程(a)と、
    前記処理工程(a)で処理された前記毛髪を洗浄する洗浄工程(b)と、を備える、毛髪ウエーブ形成処理方法。
  15. アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)によって毛髪を処理する前処理工程(イ)と、
    前記前処理工程(イ)で処理された前記毛髪を洗浄する前処理洗浄工程(ロ)と、
    を有する前処理工程を、前記処理工程(a)の前に行う、請求項14に記載の毛髪ウエーブ形成処理方法。
  16. 前記洗浄工程(b)で洗浄された前記毛髪を、アニオン性ポリマーを含有する水性組成物である処理剤(B)によって処理する後処理工程(X1)と、
    前記後処理工程(X1)で処理された前記毛髪を洗浄する後処理洗浄工程(Y1)と、
    を有する後処理工程を、前記洗浄工程(b)の後に行う、請求項14に記載の毛髪ウエーブ形成処理方法。
  17. 前記洗浄工程(b)で洗浄された前記毛髪を、ポリフェノールを含有する水性組成物である処理剤(C)によって処理する後処理工程(X2)と、
    前記後処理工程(X2)で処理された前記毛髪を洗浄する後処理洗浄工程(Y2)と、
    を有する後処理工程を、前記洗浄工程(b)の後に行う、請求項14に記載の毛髪ウエーブ形成処理方法。
  18. 前記洗浄工程(b)で洗浄された前記毛髪を、酸化剤を含有する水性組成物である処理剤(D)によって処理する後処理工程(X3)と、
    前記後処理工程(X3)で処理された前記毛髪を洗浄する後処理洗浄工程(Y3)と、
    を有する後処理工程を、前記洗浄工程(b)の後に行う、請求項14に記載の毛髪ウエーブ形成処理方法。
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