JP2023049437A - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】クランク室を有する内燃機関において、スカベンジポンプに取り込まれるオイルとリードバルブから排出されるオイルとが互いに影響を受けることを抑止する。【解決手段】クランクケース20の下部に取り付けられるスカベンジポンプ51L,51Rと、クランクケース20の下方にオイル貯留空間41を形成するオイルパン40と、を備え、スカベンジポンプ51L,51Rのポンプハウジング52L,52Rは、クランクケース20内に開口する吸入ポート71と、吸入ポート71の前下壁71aに備えられる連通部92と、を備え、連通部92のオイル貯留空間41側の第一開口92aには、エンジンオイルの流通を規制するリードバルブ90が配置され、連通部92のクランクケース20内側の第二開口92bは、スカベンジポンプ51L,51Rのポンプロータ57よりも高い位置に配置される。【選択図】図10

Description

本発明は、内燃機関に関する。
従来の内燃機関において、例えば特許文献1には、クランク室に連なるオイル通路とオイル貯留室との間にリードバルブを配置し、リードバルブはクランク軸よりも下方に配置し、スカベンジポンプはクランク軸と重なる高さに配置し、スカベンジポンプの吸入口はリードバルブの吸入室開口と同じ高さに配置することが記載されている。
特開2011-106344号公報
ところで、上記従来の構成において、スカベンジポンプの吸込み口に集められたエンジンオイルは、スカベンジポンプに取り込まれるオイルとリードバルブから排出されるオイルとで互いに影響を受けてしまうため、エンジンオイルの流れについて改善の余地がある。
そこで本発明は、クランク室を有する内燃機関において、スカベンジポンプに取り込まれるオイルとリードバルブから排出されるオイルとが互いに影響を受けることを抑止することを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、クランクケース(20)と、前記クランクケース(20)から流下したエンジンオイルを吸い込むスカベンジポンプ(51L,51R)と、前記クランクケース(20)の下方にオイル貯留空間(41)を形成するオイルパン(40)と、を備え、前記スカベンジポンプ(51L,51R)のポンプハウジング(52L,52R)は、前記クランクケース(20)内に開口するオイル吸込み口(72aL,72aR)の下方に連なる吸入ポート(71L,71R)と、前記吸入ポート(71L,71R)の壁部(71a)に備えられ、前記クランクケース(20)内と前記オイル貯留空間(41)とを連通させる連通部(92)と、を備え、前記連通部(92)の前記オイル貯留空間(41)側の第一開口(92a)には、前記クランクケース(20)内側から前記オイル貯留空間(41)側へのエンジンオイルの流通は許容し、逆方向のエンジンオイルの流通は規制するリードバルブ(90L,90R)が配置され、前記連通部(92)の前記クランクケース(20)内側の第二開口(92b)は、前記スカベンジポンプ(51L,51R)のポンプロータ(57)よりも高い位置に配置されることを特徴とする。
この構成によれば、スカベンジポンプの吸入ポート内にエンジンオイルが流入した際、以下の効果を奏する。すなわち、スカベンジポンプのポンプロータに取り込まれるエンジンオイルと、連通部からリードバルブを介してオイル貯留空間に排出されるエンジンオイルとが、互いに引き寄せ合うことを抑えることができる。このため、スカベンジポンプによるオイル吐出量を増大させ、クランクケース内に発生するオイル抵抗を小さくすることができる。
請求項2に記載した発明は、前記リードバルブ(90L,90R)は、片持ちの弾性片(93)を備え、前記ポンプハウジング(52L,52R)における前記ポンプロータ(57)を収容するロータ収容部(70)は、前記オイル貯留空間(41)側に突出し、前記弾性片(93)は、前記第一開口(92a)の外周側における前記ロータ収容部(70)と反対側に一端部を固定し、前記ロータ収容部(70)側の他端部を自由端として開閉することを特徴とする。
この構成によれば、リードバルブが開いて第一開口からエンジンオイルが排出されると、このエンジンオイルは、オイル貯留空間側に突出するロータ収容部にぶつかるので、エンジンオイルから空気が分離しやすくなる。このため、スカベンジポンプによるオイル吐出量を増大させ、クランクケース内に発生するオイル抵抗を小さくすることができる。
請求項3に記載した発明は、前記第二開口(92b)は、前記第一開口(92a)よりも上方に配置され、前記連通部(92)の第一開口(92a)側は、前記第二開口(92b)側よりも広いオイル貯留部(92c)とされることを特徴とする。
この構成によれば、連通路のリードバルブ側にオイル貯留部が設けられることで、スカベンジポンプのポンプロータに取り込まれるエンジンオイルと、連通部からリードバルブを介してオイル貯留空間に排出されるエンジンオイルとが、互いに引き寄せ合うことを抑えることができる。このため、スカベンジポンプによるオイル吐出量を増大させ、クランクケース内に発生するオイル抵抗を小さくすることができる。
本発明によれば、クランク室を有する内燃機関において、スカベンジポンプに取り込まれるオイルとリードバルブから排出されるオイルとが互いに影響を受けることを抑止することができる。
本発明の実施形態における自動二輪車の左側面図である。 上記自動二輪車のエンジンの右側面図であり、内部構成の概略を示す。 上記エンジンの前面図である。 図2の要部拡大図である。 上記エンジンのポンプユニットの右側面図である。 上記ポンプユニットの前面図である。 上記ポンプユニットの分解斜視図である。 上記ポンプユニットの上面図である。 図6のIX-IX断面図である。 図6のX-X断面図である。 上記ポンプユニットおよびオイルパンを取り外した状態のクランクケースの下面図である。 図11のXII-XII断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、が示されている。実施形態の明細書および図面において、左右一対の構成の符号から「L」、「R」を無くして総称することがある。
<自動二輪車>
図1に示すように、実施形態の自動二輪車(鞍乗り型車両)1は、前輪2および後輪3と、前輪2を支持するフロントフォーク4と、後輪3を支持するスイングアーム5と、フロントフォーク4およびスイングアーム5を支持する車体フレーム6と、車体フレーム6に支持されるエンジン7(内燃機関、原動機)と、を備えている。
図2を併せて参照し、実施形態のエンジン7は、クランクシャフト11の回転中心軸線C1を車幅方向(左右方向)に沿わせたV型4気筒エンジンである。エンジン7は、クランクケース20と、前傾シリンダ31および後傾シリンダ32と、を備えている。
クランクケース20は、クランクシャフト11を回転可能に支持している。図中矢印Fはクランクシャフト11の回転方向を示す。クランクケース20は、前部にクランクシャフト11を収容し、後部に変速機16を収容している。
クランクケース20は、クランクシャフト11のクランクピン12およびクランクウェブ13(クランクアーム)を収容するクランク室形成部21と、変速機16を収容するミッションケース部26と、を備えている。
クランクケース20の下部には、オイルパン40が下方から取り付けられている。クランク室形成部21の下部には、後に詳述するポンプユニット50が下方から取り付けられている。
前傾シリンダ31および後傾シリンダ32は、クランクケース20の前部上方に設けられている。前傾シリンダ31は、斜め上前方に向けて起立し、後傾シリンダ32は、斜め上後方に向けて起立している。前傾シリンダ31および後傾シリンダ32の各筒内には、それぞれピストン14が挿入されている。
各ピストン14は、それぞれコンロッド15(コネクティングロッド)を介してクランクシャフト11のクランクピン12に連結される。ピストン14の往復動は、コンロッド15を介してクランクシャフト11の回転動に変換される。クランクシャフト11の回転駆動力は、不図示のクラッチを介して変速機16に伝達され、適宜変速がなされた後に、例えばチェーン式の動力伝達機構を介して後輪3に伝達される。
<密閉クランク室>
図2に示すように、クランク室形成部21は、互いに独立した一対の密閉クランク室23を形成している。一対の密閉クランク室23は、車幅方向に並んでいる。各密閉クランク室23は、前傾シリンダ31および後傾シリンダ32における左右何れかの筒内とそれぞれ連通している。各密閉クランク室23は、クランクケース20内の隔壁(後述する湾曲壁22等)によってミッションケース部26内およびオイルパン40内とそれぞれ仕切られている。このような密閉クランク室23を形成し、後述するスカベンジポンプ51L,51Rによってクランクケース20の内圧を強制的に負圧にすることで、ピストン運動により引き起こされるポンピングロスが低減される。また、クランク室内の余分なエンジンオイルが排出されることで、クランクシャフト11によるオイル攪拌を低減してフリクションロスが抑えられる。各密閉クランク室23には、クランクシャフト11が有する一対のクランクピン12の各々、各クランクピン12を支持する一対クランクウェブ13、および各クランクピン12に連結された一対のコンロッド15がそれぞれ配置されている。
図3を併せて参照し、V型4気筒エンジンにおいて、左右何れかのクランクピン12には、前傾シリンダ31および後傾シリンダ32における左右何れかのシリンダに対応する一対のコンロッド15が連結されている。
クランク室形成部21の下部には、図2の側面視(クランクシャフト11の軸方向から見たクランク軸方向視)で下方に凸の湾曲状をなす湾曲壁22が備えられている。
図4、図7、図11を参照し、湾曲壁22の下部には、各密閉クランク室23をそれぞれ下方に開放する一対の開口23aが形成されている。湾曲壁22における各開口23aをそれぞれ囲む周縁部20bには、ポンプユニット50における一対のスカベンジポンプ(scavengeing pump)51L,51Rの各吸込み口72aL,72aRの周縁部72bL,72bRがそれぞれ下方から当接して結合されている。
図4を参照し、ミッションケース部26は、変速機16を収容するミッション室28を形成している。ミッションケース部26の下部には、側面視(クランク軸方向視)で下方に凸の湾曲状をなす後部湾曲壁27が備えられている。後部湾曲壁27には、ミッション室28を下方(オイルパン40内)に開口する後部開口28aが形成されている。ミッション室28内に供給されたエンジンオイル(以下、単にオイルということがある。)は、後部開口28aからオイルパン40内に流下して戻される。
図2、図3を参照し、オイルパン40は、クランクケース20の下方に取り付けられている。オイルパン40は、クランクケース20における略水平な下端面20cから下方に突出するように設けられている。オイルパン40は、上方に開口する容器状に形成されている。オイルパン40の上端開口40aの周縁部40bは、クランクケース20の下端面20cに形成された下端開口20aの周縁部20bに下方から当接して結合されている。
クランクケース20の下端面20cは平面であり、下端開口20aおよび周縁部20b、ならびに上端開口40aおよび周縁部40bは、それぞれ下端面20cに沿って設けられている。下端開口20aの周縁部20bおよび上端開口40aの周縁部40bは、互いに同一形状をなし、下端面20cに沿うオイルシールを介して互いに密接した状態で結合されている。下端開口20aの周縁部20bと上端開口40aの周縁部40bとは、それぞれの全周に渡って互いに油密に当接して結合されている。
図2、図4を参照し、オイルパン40内には、エンジンオイルを貯留するオイル貯留空間41が形成されている。オイル貯留空間41は、クランクケース20の下部空間24(各湾曲壁22,27よりも下方の空間)に連通している。クランクケース20の下部空間24には、ポンプユニット50が配置されている。
<ポンプユニット>
図4~図10に示すように、ポンプユニット50は、クランク室形成部21下部の湾曲壁22の下面側に取り付けられている。ポンプユニット50は、複数のトロコイド歯形の内接歯車ポンプであるオイルポンプを車幅方向(クランク軸方向)に沿って並べている。ポンプユニット50は、左側から右側の順に、左スカベンジポンプ51L、フィードポンプ51Cおよび右スカベンジポンプ51Rを備えている。
図8を参照し、左スカベンジポンプ51L、フィードポンプ51Cおよび右スカベンジポンプ51Rは、それぞれハウジング(ポンプハウジング)52L,52C,52Rの内部にロータ53L,53C,53Rを備えている。
図10を参照し、各ロータ53L,53C,53Rは、対応するハウジング52L,52C,52R内の円筒空間で回転可能かつ平行移動不能に設けられた環状のアウターロータ54と、アウターロータ54の内側に配置されてアウターロータ54に対して偏心した軸線回りに回転可能に設けられたインナーロータ55と、を備えている。アウターロータ54は、内歯を有し、インナーロータ55は、内歯よりも数の外歯を有している。アウターロータ54およびインナーロータ55は、内歯と外歯との間に油室56を形成する。
クランクシャフト11の回転に連動して駆動軸66が回転すると、アウターロータ54およびインナーロータ55が油室56の容積を変化させながら回転し、油室56内の流体を下流側に圧送する。
ポンプユニット50は、左スカベンジポンプ51L、フィードポンプ51Cおよび右スカベンジポンプ51Rが共用する単一のポンプボディ60および単一の駆動軸66を備えている。
図7~図9を参照し、ポンプボディ60は、左右外側にそれぞれ配置される左右分割体61,63と、左右分割体61,63間に配置される第一中間分割体62および第二中間分割体64と、を備えている。複数の分割体61~64は、左側から順に左分割体61、第一中間分割体62、第二中間分割体64および右分割体63の順に並んでいる。複数の分割体61~64は、車幅方向に沿う複数のボルトB1によって互いに締結されて一体化されている。ポンプボディ60が車幅方向で複数の分割体61~64に分割されることで、各ポンプ51L,51C,51Rのポンプロータ57(アウターロータ54およびインナーロータ55)を組み付け可能である。実施形態で用いる「中間」とは、対象の両端間の中央のみならず、対象の両端間の内側の範囲を含むことを意味する。
駆動軸66は、車幅方向に沿う軸線(ポンプ回転中心軸線)C2回りを回転可能に設けられている。駆動軸66は、左右端部がポンプボディ60の左右外側に突出している。例えば駆動軸66の右端部には、クランクシャフト11の回転が伝達される入力ギヤ36が一体回転可能に取り付けられている。例えば駆動軸66の左端部には、例えばウォータポンプ(不図示)等の他の補機類に回転を伝達する出力ギヤ37が一体回転可能に取り付けられている。駆動軸66は、左スカベンジポンプ51L、フィードポンプ51Cおよび右スカベンジポンプ51Rの各インナーロータ55を同軸に支持している。
<スカベンジポンプ>
図4~図10に示すように、左スカベンジポンプ51Lおよび右スカベンジポンプ51Rの各ハウジング52L,52Rは、それぞれのポンプロータ57(アウターロータ54およびインナーロータ55)を収容するロータ収容部70L,70Rと、ロータ収容部70L,70Rに連続するとともに互いに独立した吸入ポート71L,71Rおよび吐出ポート(不図示)と、を備えている。
各ロータ収容部70L,70Rは、各ポンプロータ57の外形状に倣った円柱状の収容空間を形成している。各ロータ収容部70L,70Rは、各オイル吸込み口72aL,72aRの下方に延びる各吸入ポート71L,71Rよりも下方に突出するように設けられている。図中符号23cは湾曲壁22の下部における一対の開口23aが形成される平面(以下、ポンプ取付面という。)を示す。
各吸入ポート71L,71Rは、対応するロータ収容部70L,70Rの前上部から前上方へ末広がりに延びるように形成されている。各吸入ポート71L,71Rの上端面には、それぞれオイル吸込み口72aL,72aRが開口している。各吸込み口72aL,72aRは、クランクケース20の湾曲壁22に形成された一対の開口23a(図11参照)にそれぞれ接続される。各吸入ポート71L,71Rは、各オイル吸込み口72aL,72aRからポンプロータ57の油室56まで延びるオイル流路をそれぞれ形成している。各吸入ポート71L,71Rのオイル流路は、各オイル吸込み口72aL,72aRおよび開口23aを通じて、対応する密閉クランク室23にそれぞれ連通する。
左スカベンジポンプ51Lおよび右スカベンジポンプ51Rの各吐出ポートは、対応するロータ収容部70L,70Rの車幅方向外側にそれぞれオイル吐出口を有している(何れも不図示)。
図4、図7、図11を参照し、各開口23aおよびその周縁部23b、ならびに各吸込み口72aおよびその周縁部72bは、それぞれ前下がりに傾斜した平面(ポンプ取付面23c)に沿って設けられている。左スカベンジポンプ51Lおよび右スカベンジポンプ51Rの各吸込み口72aの周縁部72bは、クランクケース20の各開口23aの周縁部23bに下方から当接して結合されている。
各吸込み口72aの周縁部72bおよび各開口23aの周縁部23bは、対応するもの同士で互いに同一形状をなし、ポンプ取付面23cに沿うオイルシールを介して互いに密接した状態で結合されている。各吸込み口72aの周縁部72bと各開口23aの周縁部23bとは、それぞれの全周に渡って互いに油密に当接して結合されている。
各吸込み口72aL,72aRは、平面視で概略矩形状をなし、前後辺を車幅方向に沿わせて配置されている。各吸込み口72aL,72aRの前部は、後部に対して車幅方向に広い前側幅広部とされている。
図7~図9を参照し、各吸込み口72aL,72aR内には、それぞれガイド部材80L,80Rが配置されている。各ガイド部材80L,80Rは、ポンプ取付面23cと重なる高さからポンプ取付面23cよりも下方(吸入ポート71内)に至るガイド部81と、ガイド部81の前側から上方に突出する突出部84と、を備えている。突出部84は、クランクシャフト11に連れ回るエンジンオイルをかき落とすためのオイルセパレーター86L,86Rを支持している。ガイド部材80L,80Rおよびオイルセパレーター86L,86Rについては後に詳述する。
<フィードポンプ>
図5~図8に示すように、フィードポンプ51Cのハウジング52Cは、ポンプロータ57(アウターロータ54およびインナーロータ55)を収容するロータ収容部(付番無)と、ロータ収容部の下方に延びてストレーナ77に接続される吸入管75と、吸入管75と平行に下方に延びた後に前方に屈曲し、エンジン7の各部に至るオイルラインに接続される吐出管76と、を備えている。フィードポンプ51Cのロータ収容部は、左右方向で左右スカベンジポンプ51L,51Rのロータ収容部70L,70Rの間に挟まれ、側面視でロータ収容部70L,70Rと重なるように設けられている。
ストレーナ77は、吸入管75の下方に延び、オイルパン40内に貯留されたエンジンオイルに浸漬されている。フィードポンプ51Cは、ストレーナ77を介してオイルパン40内のエンジンオイルを吸入し、このエンジンオイルを吐出管76からオイルラインに圧送する。図6中符号78は吐出ポートの側部に接続されるリリーフバルブを示す。
<リードバルブ>
図5、図6、図10に示すように、ポンプユニット50は、左右一対のリードバルブ90L,90Rを備えている。左右リードバルブ90L,90Rは、それぞれ左右の密閉クランク室23の何れかに対応して設けられている。左リードバルブ90Lは、左スカベンジポンプ51Lの吸入ポート71Lに設けられ、右リードバルブ90Rは、右スカベンジポンプ51Rの吸入ポート71Rに設けられている。左右リードバルブ90L,90Rは、各吸入ポート71L,71Rからポンプユニット50外のオイル貯留空間41へ向かう方向のエンジンオイルの流れを許容し、その逆方向の流れは規制する。
図10を参照し、左右リードバルブ90L,90Rは、各吸入ポート71L,71Rの各々のポート内外を連通する連通部92に設けられている。左右リードバルブ90L,90Rは、対応する密閉クランク室23の内圧に応じて連通部92を開閉する弁体93と、開弁時の弁体93の移動を規制するストッパ94と、を備えている。
連通部92は、各吸入ポート71L,71Rの前下壁71aを法線方向(前下がりに傾斜した後方向)で貫通している。連通部92は、各吸入ポート71L,71R内(密閉クランク室23内)とオイルパン40内のオイル貯留空間41とを連通させる。連通部92は、吸入ポート71外(オイル貯留空間41内)に開口する第一開口92aと、吸入ポート71内(密閉クランク室23内)に開口する第二開口92bと、を備えている。
弁体93は、弾性変形可能な平板状の弾性片であり、連通部92の第一開口92aを閉塞するように配置されている。弁体93は、第一開口92aの平面状の周縁部に沿って配置されている。弁体93は、第一開口92aの全体を前下壁71aの外側(オイル貯留空間41側)から閉塞している。弁体93は、矩形板状をなし、上下辺を車幅方向に沿わせるように配置されている。
弁体93は、上辺部(一側縁部)が前下壁71aに一対のボルトB5によって締結固定されている。弁体93の下辺部(他側縁部)は、ポンプボディ60から離隔可能な自由端とされている。弁体93は、密閉クランク室23の内圧の上昇によって、下辺側を前下壁71aから離隔させるように弾性変形可能である。これにより、連通部92を開いて密閉クランク室23とオイル貯留空間41とを連通可能である。
各リードバルブ90L,90Rが開く向き(バルブ開口の向き)は、前下壁71aに沿う斜め後下方である。各リードバルブ90L,90Rが開く向きには、左右スカベンジポンプ51L,51Rの各ハウジング52L,52Rにおける下方(オイル貯留空間41側)に突出するロータ収容部70L,70Rが配置されている。各リードバルブ90L,90Rが開弁して密閉クランク室23側からオイル貯留空間41内にエンジンオイルが吐出されると、このエンジンオイルがロータ収容部70L,70Rに突き当たる。これにより、エンジンオイル内に含まれる空気の分離(気液分離)が図られる。
ストッパ94は、弁体93の法線方向視で弁体93と略同形同大の外形状を有している。ストッパ94は、オイル貯留空間41側から弁体93に重なるように配置されている。ストッパ94および弁体93は、互いの外形状が概ね一致するように配置されている。ストッパ94は、弁体93に対して間隔をあけて配置されている。ストッパ94は、上辺部が弁体93の上辺部とともに一対のボルトB5によって前下壁71aに締結固定されている。ストッパ94は、例えば軽量化のために、内周側に開口94aを有する枠状に形成されている。
図10を参照し、側面視でポンプ取付面23cと直交する上下方向において、各吸入ポート71L,71Rの連通部92における密閉クランク室23側の第二開口92bは、各スカベンジポンプ51L,51Rのポンプロータ57の上端57aよりも上方(高位置)に位置している。連通部92の第二開口92bが各スカベンジポンプ51L,51Rのポンプロータ57よりも下方(低位置)にあると、各スカベンジポンプ51L,51Rのオイル吸込み性能に影響を与える虞がある。
すなわち、各スカベンジポンプ51L,51Rの吸入ポート71L,71R内にエンジンオイルが流入することと、密閉クランク室23の内圧上昇によって各リードバルブ90L,90Rが開弁することとが同時に生じると、以下の事象が考えられる。すなわち、各吸入ポート71L,71R内において、各スカベンジポンプ51L,51Rのポンプロータ57に吸入されるエンジンオイルの流れと、連通部92から各リードバルブ90L,90Rを介して吸入ポート71外に排出されるエンジンオイルの流れとが、互いに引き合うことが考えられる。
実施形態では、連通部92の密閉クランク室23側の第二開口92bを、各スカベンジポンプ51L,51Rのポンプロータ57の上端57aよりも上方(高位置)に配置することで、各スカベンジポンプ51L,51Rのオイル吸込み性能への影響を抑えている。すなわち、各スカベンジポンプ51L,51Rのポンプロータ57に吸入されるエンジンオイルの流れと、連通部92から各リードバルブ90L,90Rを介して吸入ポート71外に排出されるエンジンオイルの流れとが、互いに引き合うことを抑止している。また、連通部92の第一開口92a側には、第二開口92b側が上方に位置することで、第二開口92b側よりも下方に延びるオイル貯留部92cが形成されている。この構成によっても、各スカベンジポンプ51L,51Rのオイル吸込み性能への影響が抑えられる。
<締結構造>
図4、図7、図10に示すように、ポンプボディ60には、ポンプユニット50をクランクケース20の内壁(各湾曲壁22,27)に固定するための複数の締結部68F,68Rが設けられている。締結部68F,68Rは、ポンプボディ60の前部に設けられる前側締結部68Fと、ポンプボディ60の後部に設けられる後側締結部68Rと、を備えている。各締結部68F,68Rは、それぞれ円筒状をなし、軸方向をポンプ取付面23c(シール面)と直交させて配置されている。各締結部68F,68Rの上下端面は、ポンプ取付面23cと平行に形成されている。各締結部68F,68Rには、クランクケース20に締結するためのボルトB2,B3が挿通され、これらボルトB2,B3が各湾曲壁22,27に有する雌ネジ部にそれぞれ螺着されて締め込まれる。側面図中符号68cは前側締結部68Fの取付面、符号68dは後側締結部68Rの取付面をそれぞれ示す。各取付面68c,68dは、各締結部68F,68Rの上端面に沿う平面であり、互いに平行である。前側締結部68Fの取付面68cは、ポンプ取付面23cと一致している。
前側締結部68Fは、左右スカベンジポンプ51L,51Rの各々において、各吸込み口72aL,72aRの前辺側(一側縁側)の左右角部近傍に設けられている。各前側締結部68Fには、ポンプ取付面23cと直交する上下方向(以下、ポンプ上下方向という。)に沿って下方からボルトB2が挿通される。このボルトB2が湾曲壁22の雌ネジ部に螺着し締め込まれることで、ポンプボディ60の前部がクランクケース20に締結固定される。
各吸込み口72aの前辺側であって各前側締結部68Fよりも各吸込み口72aの左右方向内側には、オイルセパレーター86、ガイド部材80およびポンプボディ60を一体に締結するための部材締結部69が設けられている。各部材締結部69は、各前側締結部68Fと軸方向が平行な円筒状をなし、上下端面がポンプ取付面23cと平行に形成されている。各部材締結部69には、ポンプ上下方向に沿って下方からボルトB4が挿通される。このボルトB4がオイルセパレーター86のボス88に螺着し締め込まれることで、オイルセパレーター86、ガイド部材80およびポンプボディ60が一体に締結固定される。部材締結部69の上面(ボス取付面)は、ポンプ取付面23cと一致している。
後側締結部68Rは、左右スカベンジポンプ51L,51Rの各々において、各吸込み口72aL,72aRよりも後方かつ下方に変位した位置に設けられている。各後側締結部68Rは、各前側締結部68Fに対して後方かつ下方に平行移動した位置に配置されている。各後側締結部68Rには、ポンプ上下方向に沿って下方からボルトB3が挿通される。このボルトB3が後部湾曲壁27の雌ネジ部に螺着され締め込まれることで、ポンプボディ60の後部がクランクケース20に締結固定される。
図4、図7、図10を参照し、実施形態のエンジン7は、クランクシャフト11(特に回転半径の大きいクランクウェブ13)に連れ回るエンジンオイルをかき落とすためのオイルセパレーター86を備えている。オイルセパレーター86は、ガイド部材80を介してポンプユニット50に支持されている。オイルセパレーター86がクランクケース20に支持される場合、オイルセパレーター86を支持、固定するための支持形状が、クランクケース20内で湾曲壁22の開口23a近傍に存在することとなる。
この場合、ポンプユニット50は、前記支持形状を避けるために後方寄りに配置されることが考えられる。すると、クランクケース20後部の変速機16を避けるために、ポンプ取付面23cを大きく傾斜させる等の対応が生じてしまう。すると、密閉クランク室23から流下するエンジンオイルを受け止める吸込み口72aの平面視の有効面積が実質的に狭まる虞がある。また、変速機16を後方に避けた位置に後側締結部68Rを設ける場合、ポンプユニット50が後方に大型化してしまう虞がある。
実施形態では、オイルセパレーター86をポンプユニット50に支持する構成とすることで、クランクケース20内にオイルセパレーター86を支持するための支持形状を不要とし、ポンプユニット50を前方寄りに配置可能としている。これにより、ポンプ取付面23cを大きく傾斜させる等の対応が不要となり、吸込み口72aの平面視の有効面積を拡大しやすくなる。
ポンプユニット50は、吸込み口72aに対して上方に突出するガイド部材80の上端面に、オイルセパレーター86(後述するセパレーター本体87)を支持している。ガイド部材80は、オイルセパレーター86およびポンプボディ60に対して比重の小さい樹脂等で形成することで、ポンプユニット50の重量増加を抑えている。オイルセパレーター86は、平面視で吸込み口72aと重なるように延びることで、各吸込み口72aの実際の開口面積(ひいてはスカベンジ性能)を調節可能である。
オイルセパレーター86の形状自由度は高く、また、オイルセパレーター86をポンプユニット50に締結することで、オイルセパレーター86の交換が容易である。ポンプユニット50は、下方からボルトB2,B3を挿通してクランクケース20に締結することで、密閉クランク室23側にボルト頭部が存在することを無くしている。後側締結部68Rは、ポンプ取付面23cに対して下方に平行移動して変速機16を避けることで、ポンプユニット50の後方への大型化を抑制している。
<ガイド部材>
図7~図9に示すように、各ガイド部材80L,80Rは、吸込み口72a内に配置されるガイド部81と、吸込み口72aよりも上方に突出する突出部84と、を備えている。
ガイド部81は、吸込み口72aの前側幅広部の内側に沿って配置される前ガイド部82と、吸込み口72aの左右側部の内側に沿って配置される左右ガイド部83L,83Rと、を備えている。ガイド部81は、前ガイド部82および左右ガイド部83L,83Rを一体に有し、平面視コ字状に形成されている。
前ガイド部82は、吸込み口72aの実質的な前端位置を規定する。前ガイド部82は、下側ほど後側(吸込み口72a内側)に位置するように傾斜した前傾斜面82aを形成している。前ガイド部82における前傾斜面82aよりも前方の部位は、実質的に吸込み口72aの外側に位置するハング部を構成している。この前ガイド部82の上方に突出部84が形成されている。
図10を参照し、前ガイド部82の下端部は、吸入ポート71の前下壁71aにおける吸入ポート71内に張り出す流路形成部71bに接近している。前ガイド部82の下端部と流路形成部71bとの間には、幅狭通路71cが形成されている。幅狭通路71cの前方には、ポート内オイル貯留部71dが形成されている。ポート内オイル貯留部71dには、連通部92の第二開口92bが開口している。
図7~図9を参照し、左右ガイド部83L,83Rは、互いに非対称に形成され、吸込み口72aとポンプロータ57との左右方向位置の相違に対応している。
すなわち、各スカベンジポンプ51L,51Rの吸込み口72aL,72aRは、対応するポンプロータ57に対して、左右方向位置をずらして配置されている。各吸込み口72aL,72aRは、対応するポンプロータ57よりも左右方向内側に位置するように配置されている。
左スカベンジポンプ51Lの吸込み口72aLは、対応するポンプユニット50よりも右側にずれて配置されている。右スカベンジポンプ51Rの吸込み口72aRは、対応するポンプユニット50よりも左側にずれて配置されている。各吸込み口72aL,72aRは、クランクシャフト11のクランクピン12に応じた位置に配置されている。左右スカベンジポンプ51L,51Rのポンプロータ57は、ポンプユニット50として適した位置に配置されている。各吸入ポート71L,71Rは、対応する吸込み口72aL,72aRからポンプロータ57に向けて、オイル流路を左右方向で変化させるように形成されている。
左スカベンジポンプ51Lのガイド部材80Lは、比較的左右幅が広い大型の右ガイド部83Rと、比較的左右幅が狭い小型の左ガイド部83Lと、を備えている。右ガイド部83Rは、下側ほど左側(吸込み口72a内側)に位置するように傾斜した右傾斜面83Raを形成している。左ガイド部83Lは、下側ほど右側(吸込み口72a内側)に位置するように傾斜した左傾斜面83Laを形成している。
右スカベンジポンプ51Rのガイド部材80Rは、比較的左右幅が広い大型の左ガイド部83Lと、比較的左右幅が狭くかつ前後長さが短い小型の右ガイド部83Rと、を備えている。左ガイド部83Lは、下側ほど右側(吸込み口72a内側)に位置するように傾斜した左傾斜面83Laを形成している。右ガイド部83Rは、下側ほど左側(吸込み口72a内側)に位置するように傾斜した右傾斜面83Raを形成している。
各ガイド部81は、オイル流路を下方に向かうほど前後方向および左右方向の何れにおいても幅狭とするように形成されている。
突出部84は、ガイド部81の前側(前ガイド部82)から上方に突出するように設けられている。突出部84は、略直方体状をなし、平坦状の上面をクランクシャフト11に接近させている。突出部84の上面には、オイルセパレーター86のセパレーター本体87が支持されている。突出部84の前側には、オイルセパレーター86の左右一対のボス88に対応する左右一対の切り欠き部84aが形成されている。左右切り欠き部84aは、円筒状のボス88の外周面を整合させる円筒状の内周面を有し、この内周面の前部を前方に向けて開放させている。
<オイルセパレーター>
図4~図8に示すように、各オイルセパレーター86L,86Rは、平面視略矩形の板状をなして突出部84の上面部に支持されるセパレーター本体87と、セパレーター本体87の下面に固定される左右一対のボス88と、を一体に備えている。
セパレーター本体87は、突出部84の上面部に重なり固定される固定部87aと、固定部87aの後方に連なり平面視でオイル吸込み口72aと重なる位置に張り出す後端縁部87b(重なり部)と、を備えている。固定部87aの左右両側の下面には、それぞれボス88の上面が固定されている。後端縁部87bは、クランクシャフト11の軸方向に沿って延び、先端側をクランクシャフト11に近付けるように配置されている。
オイルセパレーター86は、クランクシャフト11の軸方向から見て、クランクシャフト11の下方において、後端縁部87bをクランクシャフト11の逆転方向に向けるように配置されている。クランクシャフト11(クランクウェブ13)の外周に付着して連れ回るエンジンオイルは、オイルセパレーター86の後端縁部87bに突き当たるようにして剥離され、下方に向けてかき落とされる。かき落とされたエンジンオイルは、オイルセパレーター86直下のオイル吸込み口72aに流下して受け止められる。
クランクウェブ13の外周に多量のエンジンオイルが付着したままだと、クランクウェブ13とクランクケース内壁との間隔が狭まる部位において、エンジンオイルの流動抵抗によるフリクションが発生する。これに対し、クランクウェブ13外周のエンジンオイルを適宜かき落とすことで、クランクケース20内に発生するオイル抵抗が低減される。
後端縁部87bは、クランクシャフト11の軸方向から見て、クランクシャフト11側に向けて上方へ屈曲する屈曲部を備えている。屈曲部は、軸方向に隙間を空けて並ぶ複数の単位屈曲部89a,89b,89cを備えている。以下、セパレーター本体87における屈曲部を除く部位を平板部87cとする。平板部87cに対する各単位屈曲部89a,89b,89cの屈曲角度は、屈曲のない平板状の場合の角度を0度としたとき、鋭角の範囲にある。各単位屈曲部89a,89b,89cは、先端側をクランクシャフト11の逆転方向に向ける角度に形成されている。各単位屈曲部89a,89b,89cは、クランクウェブ13の外周部に接近し、クランクシャフト11およびコンロッド15に連れ回るエンジンオイルをかき落とす。
クランクシャフト11に連れ回る空気を含んだエンジンオイルは、オイルセパレーター86の屈曲部に当たることで、エンジンオイルから空気が分離されて気液分離の効果を得る。すなわち、隣接する単位屈曲部89a,89b,89c間の隙間を、空気を含んだエンジンオイルが通過することで、エンジンオイルから空気が除去され、オイルセパレーター86に溜まったエンジンオイルがオイル吸込み口72aに案内される。
オイルセパレーター86の屈曲部は、複数の単位屈曲部89a,89b,89cとして、以下の屈曲部を備えている。すなわち、オイルセパレーター86の屈曲部は、セパレーター本体87の左右方向中央部を含んで比較的幅広に設けられる第一折曲部と、セパレーター本体87の左右最外側に位置して比較的幅狭に設けられる左右一対の第二屈曲部89bと、第一屈曲部89aと左右第二屈曲部89bとの間に設けられ第二屈曲部89bと同様に幅狭に設けられる左右一対の第三屈曲部89cと、を備えている。
各屈曲部89a,89b,89cは、クランクシャフト11の軸方向から見て、平板部87cに沿う前後方向(以下、セパレーター前後方向という。)の屈曲位置が互いに異なる。セパレーター前後方向において、左右最外側の第二屈曲部89bの屈曲位置が最も前側(基端側)に位置し、次に第一屈曲部89aの屈曲位置があり、第一および第二屈曲部89a,89bの間の第三屈曲部89cの屈曲位置が最も後側(先端側)に位置している。
各屈曲部89a,89b,89cは、クランクシャフト11の軸方向から見て、屈曲位置から先端までの長さが互いに異なる。具体的に、第一屈曲部89aの長さが最も長く(最も先端がクランクウェブ13に近く)、次に第二屈曲部89bが長く、第三屈曲部89cは最も短い。
各屈曲部89a,89b,89cは、クランクシャフト11の軸方向から見て、平板部87cに対する屈曲角度が互いに異なる。具体的に、第一折曲部89aの屈曲角度が最も大きく、次に第二屈曲部89bの屈曲角度が大きく、第三屈曲部89cの屈曲角度は最も小さい。
実施形態のV4エンジンの場合、クランクシャフト11は一対のクランクピン12を有し、各クランクピン12はそれぞれ一対のクランクウェブ13(以下、クランクウェブ対という。)に支持されている。左側のオイルセパレーター86Lは、左側のクランクウェブ対に対応して設けられ、右側のオイルセパレーター86Rは、右側のクランクウェブ対に対応して設けられている。左スカベンジポンプ51Lは、主に前後シリンダ31,32の左側のシリンダからクランクケース20内に戻るエンジンオイルを回収し、右スカベンジポンプ51Rは、主に前後シリンダ31,32の右側のシリンダからクランクケース20内に戻るエンジンオイルを回収する。
図5、図6を参照し、各オイルセパレーター86の左右両側には、一対のボス88が一体に備えられている。各ボス88は、セパレーター本体87の板厚方向に軸方向を揃えて配置されている。各ボス88は、セパレーター本体87の下面に上面を当接させ、例えば適宜の溶着等の手段によってセパレーター本体87に接合されている。各ボス88には、軸心に沿う雌ネジ穴88aが形成され、この雌ネジ穴88aが下面に開口している。
図7を参照し、各ボス88は、各ガイド部材80の突出部84前側に形成された切り欠き部84aにそれぞれ上方から挿入されて係合している。この状態で、ポンプボディ60の部材締結部69に下方からボルトB4を挿通し、このボルトB4を各ボス88の雌ネジ穴88aに螺着し締め込むことで、オイルセパレーター86、ガイド部材80およびポンプボディ60が一体に締結される。このとき、オイルセパレーター86とポンプボディ60との間にガイド部材80の突出部84を含む部位が挟持される。これにより、ガイド部材80がポンプボディ60に固定され、オイルセパレーター86、ガイド部材80およびポンプボディ60が一体化される。
セパレーター本体87および各ボス88は、例えばアルミニウム合金等の金属材料によってそれぞれ一体形成されている。一方、オイルセパレーター86に比べて比較的体積の大きいガイド部材80は、例えば繊維強化プラスチック等の樹脂材料によって一体形成されている。ガイド部材80は、オイルセパレーター86の金属材料よりも比重の軽い合成樹脂製で形成することで、重量増加を抑えている。ガイド部材80は、オイルセパレーター86とポンプボディ60との間に挟持して固定することで、別途の締結部等の固定構造を不要とし、構成を簡素化するとともに、この点でも重量増加を抑えている。
前述したように、オイルセパレーター86は、平面視での吸込み口72aとのラップ代を変更することで、吸込み口72aの実際の開口面積(スカベンジ性能)を調節可能である。オイルセパレーター86は、屈曲部の形状等を変更することで、オイルかき落とし量を調節可能である。前記ラップ代や屈曲部の形状等の変更は、オイルセパレーター86の交換によってなされる。
実施形態では、オイルセパレーター86をポンプユニット50に支持することで、ポンプユニット50の着脱によって容易にオイルセパレーター86の交換を実施可能である。すなわち、クランクケース20を分解しなくても、オイルパン40を取り外してクランクケース20の下端開口20aを開放することで、ポンプユニット50をクランクケース20に固定するボルトB2,B3にアクセス可能であり、ボルトB2,B3を外してポンプユニット50を取り外すことで、オイルセパレーター86の交換が可能である。
図11はクランクケース20の下端開口20aを下方から見た下面図である。
図11、図12に示すように、ポンプユニット50を取り外すと、湾曲壁22の一対の開口23aが下端開口20a側に露出する。各開口23aは、左右スカベンジポンプ51L,51Rの各吸込み口72aL,72aRの拡大に応じて、平面視で拡大して設けられている。このため、密閉クランク室23のコンロッド15におけるクランクピン12を保持する大端部の締結ボルトB6に対し、下端開口20aおよび各開口23aを通じて工具Tがアクセス可能となる。これにより、クランクケース20を分解することなく、コンロッドメタルの交換を実施することが可能である。
以上説明したように、上記実施形態におけるエンジン7は、密閉クランク室23を形成するクランク室形成部21と、クランク室形成部21の下部に取り付けられ、密閉クランク室23から流下したエンジンオイルを吸い込むスカベンジポンプ51L,51Rと、クランク室形成部21の下方にオイル貯留空間41を形成するオイルパン40と、を備え、スカベンジポンプ51L,51Rのポンプハウジング52L,52Rは、密閉クランク室23に開口するオイル吸込み口72aL,72aRの下方に連なる吸入ポート71L,71Rと、吸入ポート71L,71Rの前下壁71aに備えられ、密閉クランク室23とオイル貯留空間41とを連通させる連通部92と、を備え、連通部92のオイル貯留空間41側の第一開口92aには、密閉クランク室23側からオイル貯留空間41側へのエンジンオイルの流通は許容し、逆方向のエンジンオイルの流通は規制するリードバルブ90L,90Rが配置され、連通部92の密閉クランク室23側の第二開口92bは、スカベンジポンプ51L,51Rのポンプロータ57よりも高い位置に配置されている。
この構成によれば、スカベンジポンプ51L,51Rの吸入ポート71L,71R内にエンジンオイルが流入した際、以下の効果を奏する。すなわち、スカベンジポンプ51L,51Rのポンプロータ57に取り込まれるエンジンオイルと、連通部92からリードバルブ90L,90Rを介してオイル貯留空間41に排出されるエンジンオイルとが、互いに引き寄せ合うことを抑えることができる。このため、スカベンジポンプ51L,51Rによるオイル吐出量を向上させ、クランクケース20内に発生するオイル抵抗を小さくすることができる。
上記エンジン7において、リードバルブ90L,90Rは、片持ちの弾性片(弁体93)を備え、ポンプハウジング52L,52Rにおけるポンプロータ57を収容するロータ収容部70は、オイル貯留空間41側に突出し、弁体93は、第一開口92aの外周側におけるロータ収容部70と反対側に一端部を固定し、ロータ収容部70側の他端部を自由端として開閉する。
この構成によれば、リードバルブ90L,90Rが開いて第一開口92aからエンジンオイルが排出されると、このエンジンオイルは、オイル貯留空間41側に突出するロータ収容部70にぶつかるので、エンジンオイルから空気が分離しやすくなる。このため、スカベンジポンプ51L,51Rによるオイル吐出量を向上させ、クランクケース20内に発生するオイル抵抗を小さくすることができる。
上記エンジン7において、第二開口92bは、第一開口92aよりも上方に配置され、連通部92の第一開口92a側は、第二開口92b側よりも広いオイル貯留部92cとされている。
この構成によれば、連通部92のリードバルブ90L,90R側にオイル貯留部92cが設けられることで、スカベンジポンプ51L,51Rのポンプロータ57に取り込まれるエンジンオイルと、連通部92からリードバルブ90L,90Rを介してオイル貯留空間41に排出されるエンジンオイルとが、互いに引き寄せ合うことを抑えることができる。このため、スカベンジポンプ51L,51Rによるオイル吐出量を向上させ、クランクケース20内に発生するオイル抵抗を小さくすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、上記実施形態では、V型4気筒エンジンに本発明を適用しているが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。すなわち本発明は、密閉クランク室を有する各種内燃機関に適用してもよい。また、変速機が別体の内燃機関に適用してもよい。
本実施形態の内燃機関は、自動二輪車以外の鞍乗り型車両に適用してもよい。前記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪(四輪バギー等)の車両も含まれる。
原動機に電気モータを含む車両に適用してもよい。また、鞍乗り型車両以外の車両(乗用車、バス、トラック等)に適用してもよい。
さらに、本実施形態の内燃機関は車両に適用されるものであるが、本発明は車両への適用に限らず、航空機や船舶等の種々輸送機器、ならびに建設機械や産業機械等、様々な乗物や移動体に適用してもよい。さらに、本発明は、乗物以外でも内燃機関を備える機器であれば、例えば手押しの芝刈り機や清掃機等に広く適用可能である。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
7 エンジン(内燃機関)
11 クランクシャフト
20 クランクケース
21 クランク室形成部
22 湾曲壁(内壁)
23 密閉クランク室
23a 開口
40 オイルパン
41 オイル貯留空間
51L,51R スカベンジポンプ
52L,52R ポンプハウジング
57 ポンプロータ
70L,70R ロータ収容部
71a 前下壁(壁部)
71L,71R 吸入ポート
72a 口
72aL,72aR オイル吸込み口
90L,90R リードバルブ
92 連通部
92a 第一開口
92b 第二開口
92c オイル貯留部
93 弁体(弾性片)

Claims (3)

  1. クランクケース(20)と、
    前記クランクケース(20)から流下したエンジンオイルを吸い込むスカベンジポンプ(51L,51R)と、
    前記クランクケース(20)の下方にオイル貯留空間(41)を形成するオイルパン(40)と、を備え、
    前記スカベンジポンプ(51L,51R)のポンプハウジング(52L,52R)は、
    前記クランクケース(20)内に開口するオイル吸込み口(72aL,72aR)の下方に連なる吸入ポート(71L,71R)と、
    前記吸入ポート(71L,71R)の壁部(71a)に備えられ、前記クランクケース(20)内と前記オイル貯留空間(41)とを連通させる連通部(92)と、を備え、
    前記連通部(92)の前記オイル貯留空間(41)側の第一開口(92a)には、前記クランクケース(20)内側から前記オイル貯留空間(41)側へのエンジンオイルの流通は許容し、逆方向のエンジンオイルの流通は規制するリードバルブ(90L,90R)が配置され、
    前記連通部(92)の前記クランクケース(20)内側の第二開口(92b)は、前記スカベンジポンプ(51L,51R)のポンプロータ(57)よりも高い位置に配置されることを特徴とする内燃機関。
  2. 前記リードバルブ(90L,90R)は、片持ちの弾性片(93)を備え、
    前記ポンプハウジング(52L,52R)における前記ポンプロータ(57)を収容するロータ収容部(70)は、前記オイル貯留空間(41)側に突出し、
    前記弾性片(93)は、前記第一開口(92a)の外周側における前記ロータ収容部(70)と反対側に一端部を固定し、前記ロータ収容部(70)側の他端部を自由端として開閉することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記第二開口(92b)は、前記第一開口(92a)よりも上方に配置され、
    前記連通部(92)の第一開口(92a)側は、前記第二開口(92b)側よりも広いオイル貯留部(92c)とされることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関。
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