JP2023048391A - 変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物の製造方法および変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物 - Google Patents

変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物の製造方法および変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ろ過性が良好であるとともに、研磨対象物の表面欠陥を低減できる研磨用組成物の製造方法を提供する。【解決手段】変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体と、水と、を含有する変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物の製造方法であって、前記変性ポリビニルアルコール組成物を、30℃以上60℃未満の溶液温度で保持する保温工程を含み、前記保温工程は、パラメータAが2.0以上となるように行われる、研磨用組成物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物の製造方法および変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物に関する。
変性ポリビニルアルコールは、水酸基以外の置換基(官能基)を有するポリビニルアルコールであり、置換基に基づいて様々な特性を付与することができる。変性ポリビニルアルコールは、親水性の合成樹脂であるため、水に分散させて、繊維原料、糊剤、塗料、接着剤、乳化剤等として、流動性のある溶液(水溶液)の状態で使用されることが多い。
例えば、特許文献1では、変性ポリビニルアルコールを含むシリコンウェーハ用研磨液組成物が、シリコンウェーハの表面粗さ(ヘイズ)の低減と表面欠陥(LPD)の低減とを両立できることが開示されている。
特開2015-84379号公報
しかしながら、変性ポリビニルアルコールを含む溶液は、ろ過性が悪いという問題があった。例えば、異物を含む研磨用組成物で研磨対象物を研磨すると、研磨対象物に対して過度な圧力が局所的に付与され、研磨対象物にキズがつくということが懸念される。そのため、研磨用組成物を製造する際には、溶液の形態のものに対してはろ過を行うことが多い。よって、研磨用組成物に溶液の形態で添加される成分は、ろ過性が重要である。ろ過性が悪い場合、ろ過に時間がかかったり、歩留まりが低下したりなど、生産性が著しく低下する。また、特許文献1の技術では、表面欠陥(LPD)の低減という点ではいまだ十分ではなかった。
そこで、本発明は、ろ過性が良好であるとともに、研磨対象物の表面欠陥を低減できる研磨用組成物の製造方法を提供することを目的とする。
上記の新たな課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を積み重ねた。その結果、変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体と、水と、を含有する変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物の製造方法であって、前記変性ポリビニルアルコール組成物を、30℃以上60℃未満の溶液温度で保持する保温工程を含み、前記保温工程が、下記式で表されるパラメータA:
Figure 2023048391000001
が2.0以上となるように行われる、研磨用組成物の製造方法により、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、ろ過性が良好であるとともに、研磨対象物の表面欠陥を低減できる研磨用組成物の製造方法が提供される。
本発明は、変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体と、水と、を含有する変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物の製造方法であって、前記変性ポリビニルアルコール組成物を、30℃以上60℃未満の溶液温度で保持する保温工程を含み、前記保温工程は、下記式で表されるパラメータA:
Figure 2023048391000002
が2.0以上となるよう行われる、研磨用組成物の製造方法である。このような保温工程を経て得られた研磨用組成物はろ過性に優れ、また、研磨対象物の表面欠陥を低減することができる。また、一実施形態によれば、かような製造方法により得られる変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物は、優れた保存安定性を有する。
このような効果が得られるメカニズムは、以下の通りであると考えられる。ただし、下記メカニズムはあくまで推測であり、これによって本発明の範囲が限定されることがない。
変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体(以下、単に「変性PVA」とも称する)は、水に分散させると、膨潤し、変性PVA分子内および/または分子間で水素結合を形成し、その結果、水中でいくつかの変性PVAが会合した会合体(「粒子」とも称する)を形成しているものと考えられる。このとき、変性PVAの膨潤の程度により、種々のサイズの会合体が形成されており、粗大な会合体も存在しているものと考えられる。本発明の製造方法では、上記のパラメータAが2.0以上となるように行われる保温工程により、変性PVAと水とを含む変性ポリビニルアルコール組成物(以下、単に「変性PVA組成物」とも称する)中に存在する粗大な会合体において、分子間に形成された水素結合を切断し、会合体を小さくすることができるのではないかと推測される。
なお、本明細書中、保温工程とは、変性PVA組成物を一定の温度に保たれた空間に静置すること;変性PVA組成物を一定の温度に保たれた空間で撹拌状態とすること;温度調節可能な容器内に変性PVA組成物を添加し、静置または撹拌すること;のいずれによって実施されてもよい。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」および「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、本明細書において、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で行う。
[研磨用組成物の製造方法]
本発明は、変性PVA(変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体)と、水と、を含有する変性PVA組成物を含む研磨用組成物の製造方法であって、当該変性PVA組成物を30℃以上60℃未満の溶液温度で保持する保温工程を含み、前記保温工程は、下記式で表されるパラメータA:
Figure 2023048391000003
が2.0以上となるよう行われる。すなわち、本発明の研磨用組成物の製造方法は、変性PVA組成物を調製する調製工程を含む。また、本発明の研磨用組成物の製造方法としては、所定の保温工程を経て得られた変性PVA組成物を用いて研磨用組成物を調製する工程を含むともいえる。
・変性PVA
ここで、本発明の製造方法で用いられる変性PVAについて説明する。
本明細書において変性PVAとは、変性ポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールの誘導体を意味する。変性ポリビニルアルコールとは、繰返し単位としてビニルアルコール単位(以下「VA単位」とも称する)に加えてVA単位以外の繰返し単位(以下「非VA単位」とも称する)を含むポリマーを指す。変性ポリビニルアルコールの誘導体とは、変性ポリビニルアルコールを分子内に有する化合物である。以下では、本発明で用いられる変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体に対して、変性されていないポリビニルアルコールを、非変性PVAと称する。
非変性PVAは、繰返し単位として、化学式:-CH-CH(OH)-により表される構造部分、すなわち、VA単位を含む。非変性PVAは、ポリ酢酸ビニルを加水分解(けん化)することにより生成する。非変性PVAは、酢酸ビニルが重合した構造の繰返し単位(-CH-CH(OCOCH)-)およびVA単位以外の繰返し単位を実質的に含まないPVAをいう。
本発明において、変性PVAは、非VA単位として、化学式:-CH-CH(X)-または化学式:-CH(X)-CH(X)-により表される構造部分(以下「変性VA単位」とも称する)を有してもよい。ここで、Xは、水酸基(-OH)以外の基であればよい。Xは、例えば、アルキルエーテル基(-O-R;Rは炭素数1~10のアルキル基)、アルキルカルボニルエーテル基(-O-C(=O)-R;Rは炭素数1~10のアルキル基)、スルホン酸基(-S(=O)-OH)、カルボン酸基(-C(=O)-OH)、カルボン酸エステル基(-C(=O)OR;Rは炭素数1~10のアルキル基)、ポリアルキレンオキシエーテル基(-O-(RO)-H;Rは炭素数2~5のアルキレン基、nはアルキレンオキシドの付加モル数)、アミノエーテル基(-O-NR;Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~5のアルキル基または炭素数6~20のアリール基)、アルキルカルボニルアルキレン基(-R-O-R;Rは炭素数1~10のアルキル基、Rは炭素数1~10のアルキレン基)、アルキルカルボニルアルキレン基(-R-C(=O)-R;Rは炭素数1~10のアルキル基、Rは炭素数1~10のアルキレン基)、アミノ基(-NR;Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~5のアルキル基または炭素数6~20のアリール基)であるのが好ましい。
これらのうち、Xは、アルキルエーテル基であるのが好ましく、メチルエーテル基(-O-CH)、エチルエーテル基、プロピルエーテル基、ブチルエーテル基等がより好ましい。このような変性PVAを用いると、基板が好適に保護されるため、本発明の効果がより一層発揮される。ここで、アルキル基とは、直鎖、分岐または脂環式のいずれであってもよく、直鎖アルキル基であるのが好ましい。
変性PVAに含まれ得る非VA単位としては、例えば後述するN-ビニル型のモノマーやN-(メタ)アクリロイル型のモノマーに由来する繰返し単位、エチレンに由来する繰返し単位、アルキルビニルエーテルに由来する繰返し単位、炭素原子数3以上のモノカルボン酸のビニルエステルに由来する繰返し単位、等が挙げられるが、これらに限定されない。上記N-ビニル型のモノマーの一好適例として、N-ビニルピロリドンが挙げられる。上記N-(メタ)アクリロイル型のモノマーの一好適例として、N-(メタ)アクリロルモルホリンが挙げられる。上記アルキルビニルエーテルは、例えばプロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル等の、炭素原子数1以上10以下のアルキル基を有するビニルエーテルであり得る。上記炭素原子数3以上のモノカルボン酸のビニルエステルは、例えばプロパン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ペンタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル等の、炭素原子数3以上7以下のモノカルボン酸のビニルエステルであり得る。
変性PVAは、VA単位の一部がアルデヒドでアセタール化された変性PVAであってもよい。上記アルデヒドとしては、例えばアルキルアルデヒドを好ましく用いることができ、炭素原子数1以上7以下のアルキル基を有するアルキルアルデヒドが好ましく、なかでもアセトアルデヒド、n-プロピルアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、n-ペンチルアルデヒドが好ましい。このような変性PVAを用いると、基板が好適に保護されるため、本発明の効果がより一層発揮される。
変性PVAとして、第四級アンモニウム構造等のカチオン性基が導入されたカチオン変性ポリビニルアルコールを使用してもよい。上記カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、N-(メタ)アクリロイルアミノアルキル-N,N,N-トリアルキルアンモニウム塩等のカチオン性基を有するモノマーに由来するカチオン性基が導入されたものが挙げられる。変性PVAとして、非VA単位が化学式:-CH-CH(CR(OR)-CR(OR)-R)-により表される構造部分を有するものであってもよい。ここでR~Rはそれぞれ独立して水素原子または有機基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子またはR10-CO-(式中、R10はアルキル基を示す。)を示す。このような変性PVAとしては、側鎖に1,2-ジオール構造を有する変性PVAが挙げられる。
変性PVAは、VA単位と、オキシアルキレン基、カルボキシ基、(ジ)カルボン酸基、(ジ)カルボン酸エステル、フェニル基、ナフチル基、スルホ基、アミノ基、ヒドロキシ基、アミド基、イミド基、ニトリル基、エーテル基、エステル基、およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1つの構造を有する非VA単位とを含む変性PVAであってもよい。
変性PVAは、非VA単位とVA単位とを含むランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、またはグラフト共重合体であってもよい。変性PVAは、非VA単位を1種のみ含んでもよく、非VA単位を2種以上含んでもよい。
変性PVAのけん化度の上限は、特に限定するものではないが、100モル%以下、98モル%以下、95モル%以下、90モル%以下、85モル%以下とすることができる。また、変性PVAのけん化度の下限は、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは75モル%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは85モル%以上である。変性PVAのけん化度は、残存酢酸基をアルカリによる滴定にて測定する方法の他、近赤外分光法(IR)や核磁気共鳴法(NMR)によっても求めることができる。変性PVAのけん化度が上記範囲であることにより、本発明の効果がより一層発揮される。本明細書中、けん化度は、JIS-K6726(1994年)に準じて測定して得られる値である。
一実施形態において、変性PVAは、非VA単位として、下記の一般式(1)により表される構造部分を有する。この場合、けん化度は85~88モル%であり、アセタール度は25~40モル%である。
Figure 2023048391000004
(式(1)中、Rは水素原子、アルキル基、アルキレン基、または、オキシアルキレン基であり、該アルキル基は直鎖または分枝アルキル基であり、該アルキル基、該アルキレン基は官能基によって置換されていてもよい。)
一実施形態において、変性PVAは、非VA単位として、化学式:-CH-CH(-OR)-(Rはブチル基)により表される構造部分を有する。この場合、けん化度は97~99モル%であり、ブチルエーテル基は5~15モル%である。
変性PVAを構成する全繰返し単位のモル数に占める非VA単位のモル数の割合は、例えば5%以上であってよく、10%以上でもよく、20%以上でもよく、30%以上でもよい。特に限定するものではないが、いくつかの態様において、非VA単位のモル数の割合は、50%以上であってよく、65%以上でもよく、75%以上でもよく、80%以上でもよく、90%以上(例えば95%以上、または98%以上)でもよい。また、変性PVAを構成する全繰返し単位のモル数に占める非VA単位のモル数の割合は、例えば99%以下であってよく、98%以下でもよく、95%以下でもよく、90%以下でもよく、80%以下でもよい。
変性PVAにおける非VA単位の含有量(質量基準の含有量)は、例えば5質量%以上であってよく、10質量%以上でもよく、20質量%以上でもよく、30質量%以上でもよい。特に限定するものではないが、いくつかの態様において、変性VA単位の含有量は、50質量%以上(例えば50質量%超)であってよく、70質量%以上でもよく、80質量%以上(例えば90質量%以上、または95質量%以上、または98質量%以上)でもよい。また、変性PVAにおける非VA単位の含有量(質量基準の含有量)は、例えば99質量%以下であってよく、98質量%以下でもよく、95質量%以下でもよく、90質量%以下でもよく、80%質量%以下でもよい。
変性PVAは、非VA単位の含有量の異なる複数のポリマー鎖を同一分子内に含んでいてもよい。ここでポリマー鎖とは、一分子のポリマーの一部を構成する部分(セグメント)を指す。例えば、変性PVAは、非VA単位の含有量が50質量%より高いポリマー鎖Aと、非VA単位の含有量が50質量%より低い(すなわち、VA単位の含有量が50質量%より多い)ポリマー鎖Bとを、同一分子内に含んでいてもよい。
ポリマー鎖Aは、繰返し単位として非VA単位のみを含んでいてもよく、非VA単位に加えてVA単位を含んでいてもよい。ポリマー鎖Aにおける非VA単位の含有量は、60質量%以上でもよく、70質量%以上でもよく、80質量%以上でもよく、90質量%以上でもよい。いくつかの態様において、ポリマー鎖Aにおける非VA単位の含有量は、95質量%以上でもよく、98質量%以上でもよい。ポリマー鎖Aを構成する繰返し単位の実質的に100質量%が非VA単位であってもよい。
ポリマー鎖Bは、繰返し単位として、VA単位のみを含んでいてもよく、VA単位に加えて非VA単位を含んでいてもよい。ポリマー鎖BにおけるVA単位の含有量は、60質量%以上でもよく、70質量%以上でもよく、80質量%以上でもよく、90質量%以上でもよい。いくつかの態様において、ポリマー鎖BにおけるVA単位の含有量は、95質量%以上でもよく、98質量%以上でもよい。ポリマー鎖Bを構成する繰返し単位の実質的に100質量%がVA単位であってもよい。
ポリマー鎖Aとポリマー鎖Bとを同一分子中に含む変性PVAの例として、これらのポリマー鎖を含むブロック共重合体やグラフト共重合体が挙げられる。上記グラフト共重合体は、ポリマー鎖A(主鎖)にポリマー鎖B(側鎖)がグラフトした構造のグラフト共重合体であってもよく、ポリマー鎖B(主鎖)にポリマー鎖A(側鎖)がグラフトした構造のグラフト共重合体であってもよい。一態様において、ポリマー鎖Aにポリマー鎖Bがグラフトした構造の変性PVAを用いることができる。
ポリマー鎖Aの例としては、N-ビニル型のモノマーに由来する繰返し単位を主繰返し単位とするポリマー鎖、N-(メタ)アクリロイル型のモノマーに由来する繰返し単位を主繰返し単位とするポリマー鎖、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸ビニルに由来する繰返し単位を主繰返し単位とするポリマー鎖、スチレン、ナフタレンビニル等の芳香族ビニルモノマーに由来する繰返し単位を主繰返し単位とするポリマー鎖、オキシアルキレン単位を主繰返し単位とするポリマー鎖等が挙げられる。なお、本明細書において主繰返し単位とは、特記しない場合、50質量%を超えて含まれる繰返し単位をいう。
ポリマー鎖Aの一好適例として、N-ビニル型のモノマーを主繰返し単位とするポリマー鎖、すなわちN-ビニル系ポリマー鎖が挙げられる。N-ビニル系ポリマー鎖におけるN-ビニル型モノマーに由来する繰返し単位の含有量は、典型的には50質量%超であり、70質量%以上であってもよく、85質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。ポリマー鎖Aの実質的に全部がN-ビニル型モノマーに由来する繰返し単位であってもよい。
この明細書において、N-ビニル型のモノマーの例には、窒素を含有する複素環(例えばラクタム環)を有するモノマーおよびN-ビニル鎖状アミドが含まれる。N-ビニルラクタム型モノマーの具体例としては、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルモルホリノン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン等が挙げられる。N-ビニル鎖状アミドの具体例としては、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルプロピオン酸アミド、N-ビニル酪酸アミド等が挙げられる。ポリマー鎖Aは、例えば、その繰返し単位の50質量%超(例えば70質量%以上、または85質量%以上、または95質量%以上)がN-ビニルピロリドン単位であるN-ビニル系ポリマー鎖であり得る。ポリマー鎖Bを構成する繰返し単位の実質的に全部がN-ビニルピロリドン単位であってもよい。
ポリマー鎖Aの他の例として、N-(メタ)アクリロイル型のモノマーに由来する繰返し単位を主繰返し単位とするポリマー鎖、すなわち、N-(メタ)アクリロイル系ポリマー鎖が挙げられる。N-(メタ)アクリロイル系ポリマー鎖におけるN-(メタ)アクリロイル型モノマーに由来する繰返し単位の含有量は、典型的には50質量%超であり、70質量%以上であってもよく、85質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。ポリマー鎖Aの実質的に全部がN-(メタ)アクリロイル型モノマーに由来する繰返し単位であってもよい。
この明細書において、N-(メタ)アクリロイル型モノマーの例には、N-(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドおよびN-(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドが含まれる。N-(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドの例としては、(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。N-(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドの例としては、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン等が挙げられる。
ポリマー鎖Aの他の例として、オキシアルキレン単位を主な繰返し単位として含むポリマー鎖、すなわちオキシアルキレン系ポリマー鎖が挙げられる。オキシアルキレン系ポリマー鎖におけるオキシアルキレン単位の含有量は、典型的には50質量%超であり、70質量%以上であってもよく、85質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。ポリマー鎖Aに含まれる繰返し単位の実質的に全部がオキシアルキレン単位であってもよい。
オキシアルキレン単位の例としては、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシブチレン単位等が挙げられる。このようなオキシアルキレン単位は、それぞれ、対応するアルキレンオキシドに由来する繰返し単位であり得る。オキシアルキレン系ポリマー鎖に含まれるオキシアルキレン単位は、一種類であってもよく、二種類以上であってもよい。例えば、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とを組合せで含むオキシアルキレン系ポリマー鎖であってもよい。二種類以上のオキシアルキレン単位を含むオキシアルキレン系ポリマー鎖において、それらのオキシアルキレン単位は、対応するアルキレンオキシドのランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、交互共重合体やグラフト共重合体であってもよい。
ポリマー鎖Aの他の例として、アルキルビニルエーテル単位、ポリビニルアルコールとアルデヒドとをアセタール化して得られた構成単位等を主繰返し単位として含むポリマー鎖が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1以上10以下のアルキル基を有するビニルエーテル単位(アルキルビニルエーテル単位)、炭素原子数1以上7以下のモノカルボン酸に由来するビニルエステル単位(モノカルボン酸ビニルエステル単位)、および、ポリビニルアルコールと炭素原子数1以上7以下のアルキル基を有するアルデヒドとをアセタール化して得られた構成単位からなる群から選択されると好ましい。
炭素原子数1以上10以下のアルキル基を有するビニルエーテル単位の例としては、プロピルビニルエーテル単位、ブチルビニルエーテル単位、2-エチルヘキシルビニルエーテル単位等が挙げられる。炭素原子数1以上7以下のモノカルボン酸に由来するビニルエステル単位の例としては、プロパン酸ビニル単位、ブタン酸ビニル単位、ペンタン酸ビニル単位、ヘキサン酸ビニル単位等が挙げられる。
変性PVAの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。変性PVAのMwは、通常は2×10以上であり、5×10以上であってもよく、1×10以上であってもよい。変性PVAのMwの増加につれて、研磨速度が高まる傾向にある。
変性PVAの重量平均分子量(Mw)は、通常、100×10以下が適当であり、30×10以下が好ましく、20×10以下(例えば15×10以下)であってもよい。研磨レートと基板の表面保護とを両立させる観点から変性PVAのMwは10×10以下であってもよく、8×10以下であってもよい。
なお、本明細書において重量平均分子量(Mw)とは、水系のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に基づく値(水系、ポリエチレンオキサイド換算)である。GPC測定装置としては、東ソー株式会社製の機種名「HLC-8320GPC」を用いることができる。測定条件は、例えば以下のとおりである。
[GPC測定条件]
サンプル濃度:0.1質量%
カラム:TSKgel GMPWXL
検出器:示差屈折計
溶離液:100mM 硝酸ナトリウム水溶液
流速:1mL/分
測定温度:40℃
サンプル注入量:200μL。
変性PVAの重合度は、好ましくは50以上、より好ましくは100以上である。変性PVAの重合度は、例えば120以上、150以上、200以上とすることができる。また、変性PVAの重合度は、例えば4000以下とすることができる。変性PVAの重合度が上記範囲であれば、本発明の効果が十分に発揮される。
本発明で用いられる変性PVAとしては、例えば、(株)クラレ製「エルバノール」、三菱ケミカル(株)製「ゴーセネックス」などがある。
・研磨用組成物の製造方法
本発明の研磨用組成物の製造方法は、下記(1b)の所定の保温工程を経て得られた変性PVA組成物を用いて調製されること以外は特に制限されないが、例えば、下記(1b)の所定の保温工程以外に、以下の(1a)、(2)および(3)の工程のうち1以上の工程を含むことが好ましい。なお、(1)の工程を経て得られる変性PVA組成物は、そのまま研磨用組成物として用いられてもよい。
「研磨用組成物の製造方法」
(1)変性PVA組成物を調製する調製工程
(1a)変性PVAの溶解工程
(1b)変性PVA組成物の保温工程
(2)変性PVA組成物に他の成分を添加して研磨用組成物を調製する調製工程
(3)研磨用組成物をろ過するろ過工程
以下では、上記(1)~(3)の工程について順に説明する。
本発明の研磨用組成物の製造方法は、一実施形態において、保温工程の後、変性PVA組成物に、砥粒と、pH調整剤と、を添加し、研磨用組成物を調製する調製工程と、調製工程により得られた研磨用組成物をろ過するろ過工程と、をさらに含む。すなわち、上記(2)および(3)の工程を含むのが好ましい。
(1)変性PVA組成物を調製する調製工程
変性PVA組成物を調製する調製工程としては、所定の保温工程を含んでいればよいが、保温工程の他に変性PVAの溶解工程を含んでいてもよい。なお、所定の保温工程とは、変性PVA組成物を、下記式で表されるパラメータA:
Figure 2023048391000005
が2.0以上となるように、30℃以上60℃未満の溶液温度で保持することである。
(1a)変性PVAの溶解工程
変性PVAの溶解工程は、変性PVAと水とを混合して、変性PVA組成物を得る工程である。
本発明において、変性PVAは、公知の方法で合成しても市販品を入手してもよい。市販品としては、固体状態(例えば、粉末)の変性PVAであってもよいし、溶媒(水)に溶解された溶液状態の変性PVA(変性PVA組成物)であってもよい。市販品の変性PVAが固体状態の場合、溶解工程としては、変性PVAと、水とを混合して、変性PVAを水に溶解させて、変性PVA組成物を得る。市販品の変性PVAが溶液状態の場合、溶解工程を実施しなくてもよく、そのまま、変性PVA組成物として用いてもよい。または、市販品の変性PVAが溶液状態の場合、溶液状態の変性PVAと水とを混合して(変性PVAを水に溶解させて)、市販の溶液状態の変性PVAが希釈されたものを変性PVA組成物として用いてもよい。
溶解工程において用いられる水は、変性PVA組成物において、変性PVAの溶媒となる。水は、不純物が可能な限り含有されていないものであることが好ましい。当該水としては、イオン交換樹脂による不純物イオンの除去、フィルタによる不純物の除去、蒸留による異物の除去等を行った水であることが好ましい。このような水として、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水等が挙げられる。研磨用組成物に含有される他の成分の働きが阻害されることを極力回避するため、例えば遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下であることが好ましい。
変性PVAと水とを混合する(変性PVAを水に溶解させる)際の水の温度は、15℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。また、変性PVAと水とを混合する(変性PVAを水に溶解させる)際の水の温度は、例えば60℃未満とすることができる。水の温度が上記範囲内であると、変性PVAの溶解速度を早くすることができる。
変性PVA組成物中の変性PVAの含有量は、後述する保温工程における変性PVAの含有量と同じである。変性PVA組成物中の変性PVAの含有量が上記範囲内であると、変性PVA組成物を効率的に調製できることから好ましい。
変性PVA組成物中の水の含有量は、後述する保温工程における水の含有量と同じである。変性PVA組成物中の水の含有量が上記範囲内であると、変性PVA組成物を効率的に調製できることから好ましい。
変性PVA組成物は、他の添加剤を含んでいてもよいが、次の工程である保温工程において添加剤の安定性への影響を考えると、保温工程前および保温工程時の変性PVA組成物は、変性PVAと、水と、から構成されることが好ましい。ただし、pH調整のため、変性PVA組成物はpH調整剤を含んでいてもよい。保温工程前および保温工程時の変性PVA組成物のpHは、2~11であるのが好ましく、3~10がより好ましく、3~9がさらに好ましい。
変性PVAを水に溶解させる際には、撹拌を行うことが好ましい。例えば、溶解工程では、撹拌機が装着された撹拌容器中で行うことが好ましい。
溶解工程は、変性PVAが均一に溶解した状態となることを目安にして終了し、次の保温工程に進むのが好ましい。
(1b)変性PVA組成物の保温工程
本発明の研磨用組成物において、変性PVA組成物の製造方法は、変性PVA組成物の保温工程を含む。本発明において、保温工程とは、溶解工程を経て30℃未満となった変性PVA組成物を、30℃以上60℃未満の溶液温度で保持する工程である。保温工程における変性PVA組成物の溶液温度は、好ましくは32℃以上であり、より好ましくは33℃以上であり、さらに好ましくは34℃以上である。保温工程における変性PVA組成物の溶液温度は、好ましくは55℃以下であり、より好ましくは50℃以下であり、さらに好ましくは45℃以下である。変性PVAの構造変化を避ける観点から、保温工程における変性PVA組成物の溶液温度は、変性PVAの曇点以下であることが好ましい。
また、変性PVA組成物の溶液温度が、保温工程と定められる温度範囲外となった時点で、保温工程が終了したと判断する。保温工程の開始前および保温工程の終了後の変性PVA組成物は、特に制限されないが、15℃以上~30℃未満で静置するのが好ましい。
本発明において、保温工程は、下記パラメータAが2以上となるように実施される。
Figure 2023048391000006
上記パラメータAが2未満となるように保温工程が実施された場合、変性PVA分子間で形成されている水素結合が切断されず、よって、保温工程後も粒子径の大きな変性PVA粒子が残存した状態となり、変性PVA組成物のろ過性が改善されない。保温工程におけるパラメータAの下限値は、2.1以上であるのが好ましく、2.1を超えるのがより好ましい。保温工程におけるパラメータAの上限値は、特に制限されないが、5000以下であるのが好ましく、4000以下であるのがより好ましく、3000以下であるのがさらに好ましく、2500以下であるのが特に好ましい。変性PVA組成物の溶液温度が高い状態でパラメータAが5000を超えて実施された場合、変性PVA組成物中の変性PVAが熱により分解してしまうおそれがある。
保温工程が実施される時間は、上記パラメータAが2以上となるように適宜設定されるが、0.25時間以上であるのが好ましく、0.5時間以上であるのがより好ましい。上記時間は例えば、1時間以上としてもよく、1.5時間以上としてもよく、3時間以上としてもよく、5時間以上としてもよい。保温工程が実施される時間は、上記パラメータAが2以上となるように適宜設定されるが、300時間以下であるのが好ましく、250時間以下であるのがより好ましい。上記時間は例えば、200時間以下であってもよく、150時間以下であってもよく、100時間以下であってもよく、50時間、24時間以下であってもよい。一実施形態によれば、保温工程は、0.5時間以上200時間以下で行われる。
保温工程が実施される際の変性PVA組成物における変性PVAの濃度(含有量)は、上記パラメータAが2以上となるように適宜設定される。例えば、変性PVA組成物における変性PVAの濃度(含有量)は、組成物全質量に対して、0.1質量%以上であるのが好ましく、1質量%以上であるのがより好ましく、2質量%以上であるのがさらに好ましい。また、変性PVA組成物における変性PVAの濃度(含有量)は、組成物全質量に対して、40質量%以下であるのが好ましく、35質量%以下であるのがより好ましく、30質量%以下であるのがさらに好ましい。一実施形態によれば、変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体は、変性ポリビニルアルコール組成物全質量に対して、0.1質量%以上40質量%以下で含有される。
保温工程は、どのような形態で実施されてもよいが、例えば、変性PVA組成物を容器に入れ、当該容器を30℃以上60℃未満で維持されている倉庫等で静置してもよい。または、温度調節可能なジャケット付き容器に変性PVA組成物を入れ、容器内の変性PVA組成物を撹拌しながら、溶液温度を保温工程の温度に調整してもよい。
パラメータAが2以上となるように実施された保温工程を経て得られた変性PVA組成物を含む本発明に係る研磨用組成物は、ろ過性が良好であり、研磨対象物の表面欠陥の低減が可能となる。
本発明者らは、上記知見に加えて、変性PVA組成物において、形成される変性PVA粒子の慣性半径(Rg)が、保温工程前後で変動することを見出した。保温工程前では、変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径(Rg)は、例えば、アルキル変性PVAの場合、65nmであった。一方、保温工程後では、変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径(Rg)は、65nm未満であった。すなわち、保温工程後の変性PVA粒子の慣性半径(Rg)は、保温工程前の変性PVA粒子の慣性半径(Rg)より減少する。これは、保温工程により、変性PVA粒子(会合体)において、分子間に形成された水素結合を切断し、変性PVA粒子(会合体)が小さくなったことを裏付けているのではないかと考える。
変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径(Rg)は、変性PVAの種類、分子量、濃度等により変化するため一概にはいえないが、例えば、保温工程後の変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径(Rg)は、65nm未満であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、55nmであることがさらに好ましく、50nm以下であることが特に好ましく、45nm以下であることが最も好ましい。変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径(Rg)の下限は、特に制限されないが、例えば、2nm以上であるのが好ましく、5nm以上であるのがより好ましく、7nm以上であるのがさらに好ましく、8nm以上であるのが特に好ましく、10nm以上であるのが最も好ましい。すなわち、保温工程を経た変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径(Rg)は、2nm以上65nm未満であるのが好ましく、5nm以上60nm以下であるのがより好ましく、7nm以上55nm以下であるのがさらに好ましく、7nm以上50nm以下であるのが特に好ましく、8nm以上40nm以下であるのが最も好ましい。
保温工程前の変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径(Rg)は、変性PVAの種類、分子量、濃度等により変化するため一概にはいえないが、保温工程後の変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径(Rg)よりも大きくなる。よって、変性PVA組成物が、保温工程が実施されたか否かは、RgのRgからの変化率(Rg/Rg)により判断することもできる。保温工程後の変性PVA組成物において、上記変化率は、例えば、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましい。上記変化率は、例えば88%以下であってもよく、85%以下であってもよく、80%以下であってもよく、70%以下であってもよく、60%以下であってもよく、50%以下であってもよい。一実施形態によれば、変性PVA組成物において、保温工程前の変性PVAの慣性半径(Rg)に対する、保温工程後の変性PVAの慣性半径(Rg)の変化率(Rg/Rg)が、95%以下である。
保温工程を経た変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径は、経時変化が少ない。例えば、変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径が、保温工程直後18nmであった場合、25℃129日保管した後の変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径と同等であることが確認されている。保温工程を経た変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径は、経時変化が少ない。例えば、保温工程直後の変性PVA組成物の慣性半径(Rg)に対する、25℃129日の保管後の慣性半径(Rg1’)の変化率(Rg1’/Rg)は、100~120%である。
変性PVA組成物における変性PVA粒子の慣性半径は、例えば、大塚電子社製の型式DLS-8000を用いた静的光散乱法により測定することができる。
変性PVA組成物の電気伝導度は、変性PVAの種類、分子量、濃度等により変化するため一概にはいえないが、保温工程前の変性PVA組成物の電気伝導度(Ec)と保温工程後の変性PVA組成物の電気伝導度(Ec)とに大きな変化がないことが好ましい。EcはEcより大きくなる傾向があるが、大きくなりすぎると変性PVAの構造に変化が起こっていると考えられるからである。EcのEcからの変化率(Ec/Ec)は105%以下が好ましく、104%以下がより好ましく、103%以下がさらに好ましい。上記変化率は、例えば、102%以下であってもよく、101%以下であってもよい。変性PVA組成物の電気伝導度は、例えば、堀場製作所製の型式DS-72を用いて測定することができる。
上述のように、保温工程が行われる際の変性PVA組成物は、公知の添加剤が含まれていてもよいが、添加剤が保温工程により経時変化するのを避けるため、添加剤は保温工程の後に添加するのが好ましい。
本発明の一態様として、変性PVA組成物の保温工程の後であって、変性PVA組成物と他の成分を混合する混合工程の前に、変性PVA組成物をろ過するろ過工程を設けてもよい。保温工程後の変性PVA組成物をろ過することにより、変性PVA組成物を含む研磨用組成物のろ過性がさらに向上し、研磨対象物の表面欠陥の低減が可能となる。
(2)変性PVA組成物と他の成分を混合する混合工程
本発明の研磨用組成物の製造方法は、好ましくは、変性PVA組成物と他の成分を混合する混合工程をさらに含む。すなわち、変性PVA組成物と他の成分が混合されて、研磨用組成物が調製されることが好ましい。ここで、研磨用組成物は、変性PVA組成物の他に、必要に応じて、砥粒、界面活性剤、変性PVA以外の水溶性高分子、前記変性PVAとは異なる変性PVA、増粘剤、pH調整剤、金属防食剤、酸化剤、防腐剤、防カビ剤、錯化剤(キレート剤)等の公知の添加剤をさらに含んでいてもよい。なお、前記変性PVAとは異なる変性PVAは、本明細書に開示する保温工程が実施されたものであっても、実施されたものでなくともよい。これらの添加剤は、変性PVAの溶解工程および変性PVA組成物の保温工程において添加・混合されていてもよいが、上述のように、保温工程を経た変性PVA組成物と混合するのが好ましい。ここで、添加剤は、例えば、粉体をそのまま変性PVA組成物に添加してもよく、添加剤を含む溶液と変性PVA組成物を混合してもよい。
研磨用組成物は、pH調整剤を含有するのが好ましい。この場合、研磨用組成物は、変性PVA組成物と、pH調整剤と、を含む。研磨用組成物は、砥粒を含んでも良く、砥粒を含まなくても良い。研磨用組成物が砥粒を含む場合、砥粒は、粉体をそのまま変性PVA組成物に添加してもよく、砥粒を含む溶液を変性PVA組成物に添加してもよい。よって、一実施形態において、研磨用組成物の製造方法は、保温工程の後、変性PVA組成物に、pH調整剤を添加する混合工程を含む。また、別の一実施形態において、研磨用組成物の製造方法は、保温工程の後、変性PVA組成物に、砥粒と、pH調整剤と、を添加する混合工程を含む。
一実施形態においては、研磨用組成物は、さらに水以外の溶媒を含んでいてもよい。混合工程において添加される溶媒は、変性PVA組成物に含まれる水以外にさらに添加されるものである。混合工程において溶媒を添加した場合、研磨用組成物には、分散媒として、変性PVA組成物由来の水と、溶媒と、が含まれることになる。
混合工程後に得られた研磨用組成物の濃縮液中の変性PVAの含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%であることがさらに好ましい。また、混合工程後に得られた研磨用組成物中の変性PVAの含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。変性PVAの含有量が上記範囲内であると、研磨用組成物の粘度が過度に高くならず、高いろ過速度が得られることから好ましい。
変性PVA組成物と添加剤との混合方法は特に限定されない。例えば、翼式攪拌機、超音波分散機、ホモミキサー等の周知の混合装置を用いて、研磨用組成物を構成する各成分(例えば、変性PVA組成物と、砥粒と、pH調整剤と、溶媒と)を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。
以下では、研磨用組成物に含まれうる砥粒、界面活性剤、変性PVA以外の水溶性高分子、pH調整剤、キレート剤、金属防食剤、酸化剤、防腐剤、防カビ剤、および溶媒について好ましい実施形態を説明する。
(砥粒)
砥粒は、研磨対象物の表面を機械的に研磨する働きをする。砥粒の材質や性状は特に制限されず、研磨用組成物の使用目的や使用態様等に応じて適宜選択することができる。砥粒の例としては、無機粒子、有機粒子、および有機無機複合粒子が挙げられる。無機粒子の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子(ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびメタクリル酸を包括的に指す意味である)、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。このような砥粒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、砥粒は、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
上記砥粒としては、無機粒子が好ましく、なかでも金属または半金属の酸化物からなる粒子が好ましく、シリカ粒子が特に好ましい。後述するシリコンウェーハ等のようにシリコンからなる表面を有する基板の研磨(例えば仕上げ研磨)に用いられ得る研磨用組成物では、砥粒としてシリカ粒子を採用することが特に有意義である。ここに開示される技術は、例えば、上記砥粒が実質的にシリカ粒子からなる態様で好ましく実施され得る。ここで「実質的に」とは、砥粒を構成する粒子の95質量%以上(好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上であり、100質量%であってもよい)がシリカ粒子であることをいう。
シリカ粒子の具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、沈降シリカ等が挙げられる。シリカ粒子は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。研磨後において表面品位に優れた研磨面が得られやすいことから、コロイダルシリカの使用が特に好ましい。コロイダルシリカとしては、例えば、イオン交換法により水ガラス(珪酸Na)を原料として作製されたコロイダルシリカや、アルコキシド法コロイダルシリカ(アルコキシシランの加水分解縮合反応により製造されたコロイダルシリカ)を好ましく採用することができる。コロイダルシリカは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、砥粒は表面修飾されていてもよい。具体的には、シリカ粒子は、カチオン性基を有してもよい。すなわち、シリカ粒子は、カチオン変性シリカ粒子であってもよく、カチオン変性コロイダルシリカであってもよい。カチオン性基を有するコロイダルシリカ(カチオン変性コロイダルシリカ)として、アミノ基が表面に固定化されたコロイダルシリカが好ましく挙げられる。このようなカチオン性基を有するコロイダルシリカの製造方法としては、特開2005-162533号公報に記載されているような、アミノエチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルジメチルエトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤をシリカ粒子の表面に固定化する方法が挙げられる。これにより、アミノ基が表面に固定化されたコロイダルシリカ(アミノ基修飾コロイダルシリカ)を得ることができる。
シリカ粒子は、アニオン性基を有してもよい。すなわち、シリカ粒子は、アニオン変性シリカ粒子であってもよく、アニオン変性コロイダルシリカであってもよい。アニオン性基を有するコロイダルシリカ(アニオン変性コロイダルシリカ)として、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、アルミン酸基等のアニオン性基が表面に固定化されたコロイダルシリカが好ましく挙げられる。このようなアニオン性基を有するコロイダルシリカの製造方法としては、特に制限されず、例えば、末端にアニオン性基を有するシランカップリング剤とコロイダルシリカとを反応させる方法が挙げられる。
具体例として、スルホン酸基をコロイダルシリカに固定化するのであれば、例えば、“Sulfonic acid-functionalized silica through of thiol groups”,Chem.Commun.246-247(2003)に記載の方法で行うことができる。具体的には、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基を有するシランカップリング剤をコロイダルシリカにカップリングさせた後に過酸化水素でチオール基を酸化することにより、スルホン酸基が表面に固定化されたコロイダルシリカ(スルホン酸修飾コロイダルシリカ)を得ることができる。
カルボン酸基をコロイダルシリカに固定化するのであれば、例えば、“Novel Silane Coupling Agents Containing a Photolabile 2-Nitrobenzyl Ester for Introduction of a Carboxy Group on the Surface of
Silica Gel”,Chemistry Letters,3,228-229(2000)に記載の方法で行うことができる。具体的には、光反応性2-ニトロベンジルエステルを含むシランカップリング剤をコロイダルシリカにカップリングさせた後に光照射することにより、カルボン酸基が表面に固定化されたコロイダルシリカ(カルボン酸修飾コロイダルシリカ)を得ることができる。
砥粒構成材料(例えば、シリカ粒子を構成するシリカ)の真比重は、1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.6以上、さらに好ましくは1.7以上である。シリカの真比重の上限は特に限定されないが、典型的には2.3以下、例えば2.2以下である。砥粒(例えばシリカ粒子)の真比重としては、置換液としてエタノールを用いた液体置換法による測定値を採用し得る。
砥粒(典型的にはシリカ粒子)のBET径は特に限定されないが、研磨効率等の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。より高い研磨効果(例えば、ヘイズの低減、欠陥の除去等の効果)を得る観点から、上記BET径は、15nm以上が好ましく、20nm以上(例えば20nm超)がより好ましい。また、スクラッチ防止等の観点から、砥粒のBET径は、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは40nm以下である。ここに開示される技術は、高品位の表面(例えば、LPD数が少ない表面)が得られやすいことから、研磨後に高品位の表面が求められる研磨に適用されることが好ましい。かかる研磨用組成物に用いる砥粒としては、BET径が35nm以下(典型的には35nm未満、より好ましくは32nm以下、例えば30nm未満)の砥粒が好ましい。
なお、本明細書においてBET径とは、BET法により測定される比表面積(BET値)から、BET径(nm)=6000/(真密度(g/cm)×BET値(m/g))の式により算出される粒子径をいう。例えばシリカ粒子の場合、BET径(nm)=2727/BET値(m/g)によりBET径を算出することができる。比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置、商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。
砥粒の平均二次粒子径は、特に限定されないが、研磨効率等の観点から、10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらにより好ましく、25nm以上であることが特に好ましい。より高い研磨効果、例えば、ヘイズの低減、欠陥の除去等の効果を得る観点から、上記平均二次粒子径は、30nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。また、砥粒の平均二次粒子径は、砥粒が基板表面に与える局所的なストレスを抑制する観点から、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることがさらに好ましく、125nm以下であることがさらにより好ましい。ここに開示される技術は、より高品位の表面が得られやすいこと等から、平均二次粒子径が100nm以下、例えば80nm未満、さらには65nm以下(典型的には50nm以下)の砥粒を用いる態様でも好ましく、実施されうる砥粒の平均二次粒子径の減少によって、研磨用組成物の安定性が向上する。なお、砥粒の平均二次粒子径は、例えば、日機装株式会社製の型式「UPA-UT151」を用いた動的光散乱法により測定することができる。
砥粒の形状(外形)は、球形であってもよく、非球形であってもよい。非球形をなす粒子の具体例としては、ピーナッツ形状(すなわち、落花生の殻の形状)、繭型形状、金平糖形状、ラグビーボール形状等が挙げられる。例えば、粒子の多くがピーナッツ形状または繭型形状をした砥粒を好ましく採用し得る。
特に限定するものではないが、砥粒の長径/短径比の平均値(平均アスペクト比)は、原理的に1.0以上であり、好ましくは1.05以上、さらに好ましくは1.1以上である。平均アスペクト比の増大によって、より高い研磨能率が実現され得る。また、砥粒の平均アスペクト比は、スクラッチ低減等の観点から、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。
砥粒の形状(外形)や平均アスペクト比は、例えば、電子顕微鏡観察により把握することができる。平均アスペクト比を把握する具体的な手順としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、独立した粒子の形状を認識できる所定個数(例えば200個)の砥粒粒子について、各々の粒子画像に外接する最小の長方形を描く。そして、各粒子画像に対して描かれた長方形について、その長辺の長さ(長径の値)を短辺の長さ(短径の値)で除した値を長径/短径比(アスペクト比)として算出する。上記所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、平均アスペクト比を求めることができる。
研磨用組成物の希釈液における砥粒の含有量は特に制限されないが、典型的には0.01質量%以上であり、0.05質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.10質量%以上、例えば0.15質量%以上である。砥粒の含有量の増大によって、より高い研磨速度が実現され得る。研磨用組成物中の砥粒の分散安定性の観点から、通常、上記含有量は、10質量%以下が適当であり、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下、例えば1質量%以下であり、0.7質量%以下であってもよい。好ましい一態様において、上記含有量は、0.5質量%以下であってもよく、0.4質量%以下であってもよく、0.2質量%以下であってもよい。
(界面活性剤)
研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性のいずれのものも使用可能である。ここに開示される研磨用組成物は、界面活性剤を実質的に含まない態様で実施することができる。
アニオン性界面活性剤は、例えば、硫酸系、スルホン酸系、リン酸系、ホスホン酸系、及びカルボン酸系に分類される。アニオン性界面活性剤の具体例としては、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、アルキルリン酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸、アルキルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、又はそれらの塩、タウリン系界面活性剤、ザルコシネート系界面活性剤、イセチオネート系界面活性剤、N-アシル酸性アミノ酸系界面活性剤、高級脂肪酸塩、アシル化ポリペプチド等が挙げられる。アルキルスルホン酸又はその塩の具体例としては、ドデシルスルホン酸及びドデシルスルホン酸塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、アルキルアミン塩、アミンオキサイド、第四級アンモニウム塩、及び三級アミドアミン型界面活性剤に分類される。カチオン性界面活性剤の具体例としては、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例には、アルキルベタイン系、アルキルアミンオキシド系等が含まれる。両性界面活性剤の具体例としては、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の具体例には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン重合体;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン誘導体(例えば、ポリオキシアルキレン付加物);複数種のオキシアルキレンの共重合体(例えば、ジブロック型共重合体、トリブロック型共重合体、ランダム型共重合体、交互共重合体);ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルアルカノールアミド等が含まれる。これらの界面活性剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで用いられ得るポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるアルキル基の炭素原子数は、特に限定されない。例えば、上記アルキル基の炭素原子数は、5以上であることが好ましく、より好ましくは6以上、さらに好ましくは7以上であり、特に好ましくは8以上であり、具体的には9以上である。例えば、上記アルキル基の炭素原子数は、12以下であることが好ましく、より好ましくは11以下、ある。上記アルキル基の炭素原子数は、例えば10である。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルにおけるエチレンオキサイド付加モル数は、特に限定されないが、4以上であることが好ましく、より好ましくは5以上であり、15以下であることが好ましく、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは8以下であり、特に好ましくは7以下である。表面欠陥低減の観点から、ここに開示される研磨用組成物に使用される界面活性剤としては、エチレンオキサイド付加モル数が4~10(例えば6)であるポリオキシエチレンオクチルエーテルが好ましく用いられ得る。
ポリオキシアルキレン構造を含有するノニオン性界面活性剤の具体例としては、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とのブロック共重合体(ジブロック型共重合体、PEO(ポリエチレンオキサイド)-PPO(ポリプロピレンオキサイド)-PEO型トリブロック体、PPO-PEO-PPO型のトリブロック共重合体等)、EOとPOとのランダム共重合体、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンプロピルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンペンチルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン-2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジオレイン酸エステル、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルチミン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
界面活性剤の重量平均分子量(Mw)は2000未満が好ましく、より好ましくは1500以下であり、さらに好ましくは700以下であり、特に好ましくは500以下である。また、界面活性剤がポリオキシアルキレン誘導体である場合、そのMwは100以上が好ましく、より好ましくは200以上であり、さらに好ましくは300以上である。かかる範囲のMwを有する界面活性剤を含む研磨用組成物によると、表面欠陥が好適に低減される。界面活性剤の重量平均分子量としては、化学式から算出される分子量を採用することができる。
研磨用組成物の希釈液における界面活性剤の濃度は特に制限されず、例えば0.00001質量%以上とすることができ、好ましくは0.00005質量%以上である。また、研磨用組成物および/または界面活性剤における界面活性剤の濃度は、通常、0.2質量%以下とすることが好ましく、0.1質量%以下とすることがより好ましく、0.05質量%以下であってもよい。好ましい一態様において、研磨用組成物および/または界面活性剤における界面活性剤の濃度は0.00001質量%以上0.05質量%以下であってもよく、0.00005質量%以上0.01質量%以下であってもよい。また、他の好ましい一態様において、研磨用組成物および/または界面活性剤における界面活性剤の濃度は0.0001質量%以上0.005質量%以下であってもよい。
研磨用組成物における界面活性剤の含有量に対する変性PVAの含有量のモル比は、5以下であることが好ましく、より好ましくは2以下である。また、かかる態様における界面活性剤の含有量に対する変性PVAの含有量のモル比は、通常、0.01以上であり、0.02以上であることが好ましく、より好ましくは0.03以上であり、さらに好ましくは0.04以上である。かかる配合比で変性PVAと界面活性剤とを含有させると、基板表面が適切に保護されて、表面欠陥を低減しやすい。
(変性PVA以外の水溶性高分子)
変性PVA以外の水溶性高分子としては、分子中に、水酸基、カルボキシ基、アシルオキシ基、スルホ基、アミド構造、イミド構造、第四級アンモニウム構造、複素環構造、ビニル構造等を含む化合物が挙げられる。変性PVA以外の水溶性高分子としては、非変性PVA(変性されていないポリビニルアルコール)であってもよい。非変性PVAとしては、非変性であることを除けば、変性PVAと同様の形態が好ましく適用される。また、変性PVA以外の水溶性高分子としては、天然高分子化合物、半合成高分子化合物、合成高分子化合物のいずれを用いてもよい。天然高分子化合物としては、特に制限されないが、好ましくは、多糖類等が挙げられる。また、半合成高分子化合物としては、特に制限されないが、好ましくは、セルロース誘導体、でんぷん誘導体等が挙げられる。そして、合成高分子化合物としては、特に制限されないが、好ましくは、オキシアルキレン単位を有する高分子、窒素原子を含有する高分子等が挙げられる。窒素原子を含有する高分子の一態様としては、N-ビニル型ポリマー、N-(メタ)アクリロイル型ポリマー等が用いられ得る。これらの化合物の具体例を後述する。
多糖類としては、特に制限されないが、例えば、カラギーナン、キサンタンガム、グリコーゲン、アルギン酸、ペクチン、ペクチン酸、デンプン、でんぷん誘導体、アミロース、アミロペクチン、寒天、カードラン、プルラン、グアーガム、コンニャクマンナン、タマリンドガムなどが挙げられる。
セルロース誘導体としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(以下、単に「HEC」とも称する)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体およびプルラン等が挙げられる。セルロース誘導体の種類は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、セルロース誘導体とは、主たる繰返し単位としてβ-グルコース単位を含み、セルロースの持つ水酸基の一部が他の置換基に置換されたものをいう。
でんぷん誘導体としては、特に制限されないが、例えば、カチオンでんぷん、リン酸でんぷん、カルボキシメチルでんぷん塩などが挙げられる。ここで、でんぷん誘導体とは、主繰返し単位としてα-グルコース単位を含む高分子である。
オキシアルキレン単位を有する高分子としては、特に制限されないが、ポリエチレンオキサイド(PEO)や、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)とのブロック共重合体、EOとPOまたはBOとのランダム共重合体等が例示される。そのなかでも、EOとPOのブロック共重合体またはEOとPOのランダム共重合体が好ましい。EOとPOとのブロック共重合体は、PEOブロックとポリプロピレンオキサイド(PPO)ブロックとを含むジブロック体、トリブロック体等であり得る。上記トリブロック体の例には、PEO-PPO-PEO型トリブロック体およびPPO-PEO-PPO型トリブロック体が含まれる。なかでも、PEO-PPO-PEO型トリブロック体がより好ましい。
EOとPOとのブロック共重合体またはランダム共重合体において、該共重合体を構成するEOとPOとのモル比[EO/PO]は、水への溶解性や洗浄性等の観点から、1より大きいことが好ましく、2以上であることがより好ましく、3以上であることがさらに好ましい。さらに好ましい一態様において、上記モル比[EO/PO]は、例えば5以上である。
N-ビニル型ポリマーの例には、窒素を含有する複素環(例えばラクタム環)を有するモノマーに由来する繰返し単位を含むポリマーが含まれる。このようなポリマーの例には、N-ビニルラクタム型モノマーの単独重合体および共重合体(例えば、N-ビニルラクタム型モノマーの共重合割合が50質量%を超える共重合体)、N-ビニル鎖状アミドの単独重合体および共重合体(例えば、N-ビニル鎖状アミドの共重合割合が50質量%を超える共重合体)等が含まれる。
N-ビニルラクタム型モノマー(すなわち、一分子内にラクタム構造とN-ビニル基とを有する化合物)の具体例としては、N-ビニルピロリドン(VP)、N-ビニルピペリドン、N-ビニルモルホリノン、N-ビニルカプロラクタム(VC)、N-ビニル-1,3-オキサジン-2-オン、N-ビニル-3,5-モルホリンジオン等が挙げられる。N-ビニルラクタム型のモノマー単位を含むポリマーの具体例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、VPとVCとのランダム共重合体、VPおよびVCの一方または両方と他のビニルモノマー(例えば、アクリル系モノマー、ビニルエステル系モノマー等)とのランダム共重合体、VPおよびVCの一方または両方を含むポリマー鎖を含むブロック共重合体、交互共重合体やグラフト共重合体等が挙げられる。
N-ビニル鎖状アミドの具体例としては、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルプロピオン酸アミド、N-ビニル酪酸アミド等が挙げられる。
N-(メタ)アクリロイル型ポリマーの例には、N-(メタ)アクリロイル型モノマーの単独重合体および共重合体(典型的には、N-(メタ)アクリロイル型モノマーの共重合割合が50質量%を超える共重合体)が含まれる。N-(メタ)アクリロイル型モノマーの例には、N-(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドおよびN-(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドが含まれる。
N-(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドの例としては、(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。N-(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドをモノマー単位として含むポリマーの例として、N-イソプロピルアクリルアミドの単独重合体およびN-イソプロピルアクリルアミドの共重合体(例えば、N-イソプロピルアクリルアミドの共重合割合が50質量%を超える共重合体)が挙げられる。
N-(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドの例としては、N-アクリロイルモルホリン、N-アクリロイルチオモルホリン、N-アクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジン、N-メタクリロイルモルホリン、N-メタクリロイルピペリジン、N-メタクリロイルピロリジン等が挙げられる。N-(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドをモノマー単位として含むポリマーの例として、アクリロイルモルホリン系ポリマー(PACMO)が挙げられる。アクリロイルモルホリン系ポリマーの典型例として、N-アクリロイルモルホリン(ACMO)の単独重合体およびACMOの共重合体(例えば、ACMOの共重合割合が50質量%を超える共重合体)が挙げられる。アクリロイルモルホリン系ポリマーにおいて、全繰返し単位のモル数に占めるACMO単位のモル数の割合は、通常は50%以上であり、80%以上(例えば90%以上、典型的には95%以上)であることが適当である。水溶性高分子の全繰返し単位が実質的にACMO単位から構成されていてもよい。
窒素原子を有する高分子としては、他にもイミン誘導体ポリヒドロキシルエチルアクリルアミド(PHEAA)、ポリN-ビニルイミダゾール(PVI)、ポリN-ビニルカルバゾール、ポリN-ビニルピペリジン等が挙げられる。窒素原子を有する高分子の種類は、単独重合体であっても共重合体であってもよく、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記変性PVA以外の水溶性高分子は、分子中に、カチオン性基、アニオン性基およびノニオン性基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する水溶性高分子であり得る。凝集物の低減や洗浄性向上等の観点から、上記水溶性高分子としてノニオン性のポリマーを好ましく採用し得る。
また、他の水溶性高分子の具体例としては、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミド、ポリカルボン酸エステル、ポリホスホン酸、ポリスチレンスルホン酸等のポリスルホン酸、エチレンオキサイド重合体、ビニルポリマー、カチオン性ポリマー等の水溶性重合体、及びそれらの共重合体、その塩、誘導体等が挙げられる。ポリカルボン酸、ポリカルボン酸アミド、ポリカルボン酸エステル又はポリカルボン酸塩の具体例としては、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p-スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩、ポリグリオキシル酸等が挙げられる。カチオン性ポリマーの具体例としては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、ジシアンジアミド-ジエチレントリアミン縮合物が挙げられる。これらの水溶性高分子は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
水溶性高分子の重量平均分子量(Mw)は、典型的には4×10以上であり、5×10以上であってもよく、1×10以上であってもよく、5×10以上であってもよく、10×10以上であってもよく、20×10以上であってもよい。また、分散剤のMwは100×10以下であってもよく、50×10以下であってもよく、45×10以下であってもよく、40×10以下であってもよい。
研磨用組成物における水溶性高分子(変性PVAを除く)の濃度は特に制限されず、例えば0.0001質量%以上とすることができ、好ましくは0.0003質量%以上である。また、研磨用組成物における水溶性高分子(変性PVAを除く)の濃度は、通常、0.2質量%以下とすることが好ましく、0.1質量%以下とすることがより好ましく、0.05質量%以下であってもよい。好ましい一態様において、研磨用組成物における水溶性高分子の濃度は0.0001質量%以上0.002質量%以下であってもよく、0.0002質量%以上0.001質量%以下であってもよい。また、他の好ましい一態様において、研磨用組成物における水溶性高分子(変性PVAを除く)の濃度は0.005質量%以上0.03質量%以下であってもよい。
研磨用組成物において、水溶性高分子(変性PVAを除く)の含有量に対する変性PVAの含有量のモル比は、15以下であることが好ましく、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは5以下(例えば4以下)である。また、かかる態様における水溶性高分子(変性PVAを除く)の含有量に対する変性PVAの含有量のモル比は、通常、0.01以上であり、0.02以上であることが好ましく、より好ましくは0.03以上である。かかる配合比で変性PVAと水溶性高分子(変性PVAを除く)とを含有させると、基板表面が適切に保護されて、表面欠陥を低減しやすい。
(pH調整剤)
研磨用組成物は、pH調整剤をさらに含んでもよい。pH調整剤は、主としてここに開示される研磨用組成物のpHを調整する目的で添加される。pH調整剤は、pH調整機能を有する化合物であれば特に制限されず、公知の化合物を用いることができる。例えば、アルカリおよび酸等が挙げられる。
本明細書においてアルカリとは、水に溶解して水溶液のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。アルカリとしては、窒素を含む有機または無機のアルカリ、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、各種の炭酸塩や炭酸水素塩等を用いることができる。窒素を含むアルカリの例としては、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物、アンモニア、アミン(好ましくは水溶性アミン)等が挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。炭酸塩または炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルピペラジン、グアニジン、イミダゾールやトリアゾール等のアゾール類等が挙げられる。第四級ホスホニウム化合物の具体例としては、水酸化テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム等の水酸化第四級ホスホニウムが挙げられる。
第四級アンモニウム化合物としては、テトラアルキルアンモニウム塩、ヒドロキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩(典型的には強塩基)を好ましく用いることができる。かかる第四級アンモニウム塩におけるアニオン成分は、例えば、OH、F、Cl、Br、I、ClO4-、BH4-等であり得る。なかでも好ましい例として、アニオンがOHである第四級アンモニウム塩、すなわち水酸化第四級アンモニウムが挙げられる。水酸化第四級アンモニウムの具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウムおよび水酸化テトラヘキシルアンモニウム等の水酸化テトラアルキルアンモニウム;水酸化2-ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム(コリンともいう。)等の水酸化ヒドロキシアルキルトリアルキルアンモニウム;等が挙げられる。
これらのアルカリのうち、例えば、アルカリ金属水酸化物、水酸化第四級アンモニウムおよびアンモニアから選択される少なくとも一種のアルカリを好ましく使用し得る。なかでも水酸化テトラアルキルアンモニウム(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム)およびアンモニアがより好ましく、アンモニアが特に好ましい。
本明細書において酸とは、水に溶解して水溶液のpHを下げる機能を有する化合物を指す。酸としては、無機酸または有機酸のいずれを用いてもよい。無機酸としては、特に制限されないが、例えば、硫酸、硝酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸およびリン酸等が挙げられる。有機酸としては、特に制限されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸および乳酸などのカルボン酸、ならびにメタンスルホン酸、エタンスルホン酸およびイセチオン酸等が挙げられる。これらの中でも、マレイン酸または硝酸であることがより好ましく、マレイン酸であることがさらに好ましい。
pH調整剤の含有量は、特に制限されず、本発明の一形態に係る研磨用組成物のpHが所望の範囲内となるように、適宜選択すればよい。
ここで、本発明において、研磨用組成物のpHは、特に限定されない。pHは1.0以上であることが好ましく、2.0以上であることがより好ましく、典型的には8.0以上であり、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは9.3以上、例えば9.5以上である。一方、研磨用組成物のpHは、12.0以下であることが適当であり、11.0以下であることが好ましく、10.8以下であることがより好ましく、10.5以下であることがさらに好ましい。
(キレート剤)
研磨用組成物は、キレート剤をさらに含んでもよい。キレート剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記キレート剤の例としては、アミノカルボン酸系キレート剤および有機ホスホン酸系キレート剤が挙げられる。キレート剤の好適例としては、例えばエチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)およびジエチレントリアミン五酢酸が挙げられる。上記防腐剤および防カビ剤の例としては、イソチアゾリン系化合物、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。
(金属防食剤)
研磨用組成物は、金属防食剤をさらに含んでもよい。金属防食剤の具体例としては、例えば、ピロール化合物、ピラゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、ピリジン化合物、ピラジン化合物、ピリダジン化合物、ピリンジン化合物、インドリジン化合物、インドール化合物、イソインドール化合物、インダゾール化合物、プリン化合物、キノリジン化合物、キノリン化合物、イソキノリン化合物、ナフチリジン化合物、フタラジン化合物、キノキサリン化合物、キナゾリン化合物、シンノリン化合物、ブテリジン化合物、チアゾール化合物、イソチアゾール化合物、オキサゾール化合物、イソオキサゾール化合物、フラザン化合物等の含窒素複素環化合物が挙げられる。これらの金属防食剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(酸化剤)
ここに開示される研磨用組成物は、酸化剤をさらに含んでもよい。酸化剤の具体例としては、過酸化物、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、過マンガン酸塩、バナジン酸塩、次亜塩素酸塩、酸化鉄、オゾン等が挙げられる。過酸化物の具体例としては、過酸化水素、過酢酸、過炭酸塩、過酸化尿素及び過塩素酸、過塩素酸塩、並びに過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらの酸化剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
研磨用組成物を、シリコン単結晶からなる表面を有する基板へ用いる場合、上記酸化剤を実質的に含まないことが好ましい。酸化剤が含まれていると、シリコン基板の表面が酸化されて酸化膜が生じ、これにより基板表面への作用性が低下してしまうことがあるためである。ここで、酸化剤を実質的に含有しないとは、少なくとも意図的には酸化剤を配合しないことをいい、原料や製法等に由来して微量の酸化剤が不可避的に含まれることは許容され得る。上記微量とは、酸化剤のモル濃度が0.05モル/L以下(好ましくは0.01モル/L以下、より好ましくは0.005モル/L以下)であることをいう。好ましい一態様に係る研磨用組成物は、上記酸化剤を含有しない。
(防腐剤、防カビ剤)
研磨用組成物は、防腐剤、防カビ剤をさらに含んでもよい。防腐剤及び防カビ剤の具体例としては、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール等が挙げられる。これら防腐剤及び防カビ剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(溶媒)
溶媒は、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン等のケトン類等や、これらの混合物などが例示できる。これらのうち、溶媒としては水が好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態によると、溶媒は水を含む。本発明のより好ましい形態によると、溶媒は実質的に水からなる。なお、上記の「実質的に」とは、本発明の目的効果が達成され得る限りにおいて、水以外の溶媒が含まれ得ることを意図し、より具体的には、好ましくは90質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上10質量%以下の水以外の溶媒とからなり、より好ましくは99質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上1質量%以下の水以外の溶媒とからなり、さらに好ましくは99.5質量%以上100質量%以下の水と0質量%以上0.5質量%以下の水以外の溶媒とからなる。最も好ましくは、溶媒は水である。
研磨用組成物に用いる場合、研磨用組成物に含まれる成分の作用を阻害しないようにするという観点から、溶媒としては、不純物をできる限り含有しない水が好ましく、具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後、フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水がより好ましい。
溶媒の含有量は、研磨用組成物の濃縮液の全質量に対して、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上となるように含有される。また、溶媒の含有量の上限としては、研磨用組成物の濃縮液の全質量に対して、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは98.0質量%以下となるように含有される。すなわち、研磨用組成物の濃縮液において、溶媒の含有量は、研磨用組成物の全質量に対して、好ましくは40~99.9質量%、より好ましくは50~99.5質量%、さらに好ましくは55~98.0質量%である。ここで、溶媒には変性PVA組成物に含まれる水も含まれる。
(3)研磨用組成物をろ過するろ過工程
本発明の研磨用組成物の製造方法は、好ましくは、研磨用組成物をろ過するろ過工程を含む。ろ過工程は、上記混合工程を経た研磨用組成物をろ過する工程である。本工程により、研磨用組成物中の凝集物を除去することができる。
ろ過工程で用いられる研磨用組成物の濃縮液中の変性PVAの含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%であることがさらに好ましい。また、研磨用組成物中の変性PVAの含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。変性PVAの含有量が上記範囲内であると、研磨用組成物の粘度が過度に高くならず、高いろ過速度が得られることから好ましい。
研磨用組成物のろ過に使用されるろ材としては、特に制限されないが、ポリプロピレン、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルスルホン、ナイロン、ナイロン66、セルロース、セルロース混合エステル、セルロースアセテート、ニトロセルロース、再生セルロース、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、ガラス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミド、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスルホン、ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエチレン、アクリル共重合体、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリヒドロキシブチレート、ポリブタジエン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、金属等が挙げられる。
フィルタ構造としては、特に制限されないが、デプス構造、プリーツ構造、メンブレン構造等が挙げられる。
フィルタの孔径としては、特に制限されないが、0.03μm以上であることが好ましく、0.04μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましく、0.1μm以上であることがよりさらに好ましく、0.2μm以上であることが特に好ましい。フィルタの孔径が0.03μm以上であると、高いろ過速度が得られることから好ましい。また、フィルタの孔径としては、100μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。フィルタの孔径は20μm以下であってもよく、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、1μm以下であってもよい。フィルタの孔径が100μm以下であると、ろ過の精度が向上することから好ましい。
ろ過方法としては、常圧で行う自然ろ過、吸引ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過のいずれであってもよい。
ろ過工程は、2度以上行ってもよい。この際、フィルタの孔径等の条件を適宜変更することが好ましい。例えば、1度目の溶解ろ過では、大きい孔径のフィルタを用いて粗大粒子を除去し、2度目の溶解ろ過では、小さい孔径のフィルタを用いて微小粒子を除去する方法等が挙げられる。溶解ろ過を2度以上行うことで、より効率的に不純物を除去することが可能となる。
[変性PVA組成物]
本発明に係る保温工程を経て製造された変性PVA組成物は、凝集物の発生が抑制されており、ろ過性に優れている。これにより、本発明に係る保温工程を経て製造された変性PVA組成物は、研磨用組成物の用途に好適である。
[研磨用組成物]
本発明によれば、本発明に係る保温工程を経て製造された変性PVA組成物を含む、研磨用組成物が提供される。すなわち、本発明の一実施形態によれば、変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体と、水と、を含有する変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物であって、前記変性ポリビニルアルコール組成物は、30℃以上60℃未満の溶液温度で保持する保温工程を含む製造方法により製造されたものであり、前記保温工程は、下記式で表されるパラメータA:
Figure 2023048391000007
が2.0以上となるように行われる、研磨用組成物が提供される。本発明に係る保温工程を経て製造された変性PVA組成物は、研磨用組成物として好適に用いられるため、研磨用組成物用変性PVA組成物でありうる。
(研磨液)
研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で基板に供給されて、その基板の研磨に用いられる。また、研磨液は、例えば、研磨用組成物を希釈(典型的には、水により希釈)して調製されたものであり得る。あるいは、該研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、基板に供給されて該基板の研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリー)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液(すなわち、研磨液の原液)との双方が包含される。研磨用組成物を含む研磨液の他の例として、該組成物のpHを調整してなる研磨液が挙げられる。
(濃縮液)
ここに開示される研磨用組成物は、基板に供給される前には濃縮された形態であってもよい。すなわち、研磨用組成物は、研磨液の濃縮液の形態であり、研磨液の原液としても把握され得る。このように濃縮された形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮液の濃縮倍率は特に限定されず、例えば、体積換算で2倍~100倍程度とすることができ、通常は5倍~50倍程度(例えば10倍~40倍程度)が適当である。
このような濃縮液は、所望のタイミングで希釈して研磨液(ワーキングスラリー)を調製し、該研磨液を基板に供給する態様で使用することができる。上記希釈は、例えば、上記濃縮液に水を加えて混合することにより行うことができる。
上記濃縮液における砥粒の含有量は、例えば50質量%以下とすることができる。上記濃縮液の取扱い性(例えば、砥粒の分散安定性や濾過性)等の観点から、通常、上記濃縮液における砥粒の含有量は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下、さらにより好ましくは20質量%以下(例えば10質量%以下)である。また、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から、砥粒の含有量は、例えば0.5質量%以上とすることができ、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、例えば3質量%以上である。好ましい一態様において、砥粒の含有量は、4質量%以上としてもよく、5質量%以上としてもよい。
ここで、研磨液は、一剤型であってもよく、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、研磨用組成物の構成成分のうち少なくとも砥粒を含むパートAと、残りの成分の少なくとも一部を含むパートBとを混合し、これらを必要に応じて適切なタイミングで混合および希釈することにより研磨液が調製されるように構成されていてもよい。
[基板]
本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、種々の材質および形状を有する基板の研磨および/またはリンスに適用されうる。基板の材質は、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン、ハフニウム、コバルト、ステンレス鋼等の金属もしくは半金属、またはこれらの合金;石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラス状カーボン等のガラス状物質;アルミナ、シリカ、サファイア、窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料;炭化ケイ素、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム等の化合物半導体基板材料;ポリイミド樹脂等の樹脂材料;等であり得る。これらのうち複数の材質により構成された基板であってもよい。また、金属、酸素原子およびケイ素原子を有する基板、ケイ素-ケイ素結合を有する基板、窒素原子およびケイ素原子を有する基板などであってもよい。酸素原子およびケイ素原子を有する基板としては、例えば、酸化ケイ素(SiO)、オルトケイ酸テトラエチルを前駆体として使用して生成されるTEOSタイプ酸化ケイ素面(以下、単にTEOSとも称する)等が挙げられる。ケイ素-ケイ素結合を有する基板としては、例えば、ポリシリコン、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、n型ドープ単結晶シリコン、p型ドープ単結晶シリコン、SiGe等のSi系合金等が挙げられる。窒素原子およびケイ素原子を有する基板としては、窒化ケイ素膜、SiCN(炭窒化ケイ素)等のケイ素-窒素結合を有する基板などが挙げられる。
本発明の一実施形態に係る研磨用組成物は、シリコンからなる表面の研磨、典型的にはシリコンウェーハの研磨に特に好ましく使用されうる。ここでいうシリコンウェーハの典型例はシリコン単結晶ウェーハであり、例えば、シリコン単結晶インゴットをスライスして得られたシリコン単結晶ウェーハである。
基板には、ここに開示される研磨用組成物による研磨工程の前に、ラッピングやエッチング等の、研磨工程より上流の工程において基板に適用され得る一般的な処理が施されていてもよい。
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、上流の工程によって表面粗さ0.1nm~100nmの表面状態に調整された基板(例えばシリコンウェーハ)の研磨において好ましく用いられ得る。基板の表面粗さRaは、例えば、Schmitt Measurement System Inc.社製のレーザースキャン式表面粗さ計「TMS-3000WRC」を用いて測定することができる。仕上げ研磨またはその直前の研磨での使用が効果的であり、仕上げ研磨における使用が特に好ましい。ここで、仕上げ研磨とは、基板の製造プロセスにおける最後の研磨工程(すなわち、その工程の後にはさらなる研磨を行わない工程)を指す。
[研磨方法]
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、基板の研磨に使用することができる。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて基板(例えばシリコンウェーハ)を研磨する方法の好適な一態様につき説明する。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に濃度調整(例えば希釈)、pH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。
次いで、その研磨液を基板に供給し、常法により研磨する。例えば、シリコンウェーハの仕上げ研磨を行う場合、典型的には、ラッピング工程を経たシリコンウェーハを一般的な研磨装置にセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記シリコンウェーハの研磨対象面に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、シリコンウェーハの研磨対象面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動(例えば回転移動)させる。かかる研磨工程を経て基板の研磨が完了する。
(研磨パッド)
上記研磨工程に使用される研磨パッドは、特に限定されない。例えば、発泡ポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ等の研磨パッドを用いることができる。各研磨パッドは、砥粒を含んでもよく、砥粒を含まなくてもよい。通常は、砥粒を含まない研磨パッドが好ましく用いられる。
[洗浄]
本発明の一実施形態に係る研磨用組成物を用いて研磨された基板は、典型的には洗浄される。洗浄は、適当な洗浄液を用いて行うことができる。使用する洗浄液は特に限定されず、例えば、半導体等の分野において一般的なSC-1洗浄液、SC-2洗浄液等を用いることができる。SC-1洗浄液としては、水酸化アンモニウム(NHOH)と過酸化水素(H)と水(HO)との混合液が挙げられる。SC-2洗浄液としては、HClとHとHOとの混合液が挙げられる。洗浄液の温度は、例えば室温以上、約90℃程度までの範囲とすることができる。室温は、典型的には約15℃~25℃である。洗浄効果を向上させる観点から、40℃~85℃程度の洗浄液を好ましく使用しうる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」を表す。
[変性PVA組成物の調製]
(変性PVA組成物A1)
50mLの容器に、室温(25℃)のアセタール変性ポリビニルアルコール(重量平均分子量13,000、アセタール化度30mol%(けん化度85-88mol%)、曇点:52℃)水溶液を投入した(固形分濃度20.5質量%)。これを、変性PVA組成物A1アセタール変性PVA組成物(濃度20質量%))とした。
(変性PVA組成物A2)
50mLの容器に、室温(25℃)の水85.4部を添加した後、アセタール変性ポリビニルアルコール(重量平均分子量13,000、アセタール化度30mol%(けん化度85-88mol%)、曇点:52℃)14.6部を添加した(固形分濃度20.5質量%)。そして容器を手で振って変性PVAを溶解させ、変性PVA組成物A2アセタール変性PVA組成物(濃度3質量%))を得た。
(変性PVA組成物A3)
上記変性PVA組成物A2において、アセタール変性ポリビニルアルコールの濃度が0.1質量%となるように水の量を99.5部、アセタール変性ポリビニルアルコールの量を0.5部に変更した以外は、変性PVA組成物A2の調製と同様にして、変性PVA組成物A3(アセタール変性PVA組成物(濃度0.1質量%))を得た。
(変性PVA組成物A4)
50mLの容器に、室温(25℃)のアルキル変性ポリビニルアルコール(重量平均分子量6,000、ブチルエーテル変性度10mol%(けん化度98mol%)、曇点:48℃)水溶液を投入した(固形分濃度20.4質量%)。これを、変性PVA組成物A4(アルキル変性PVA組成物(濃度20.4質量%))を得た。
[変性PVA組成物の保温工程]
(実施例1~10および比較例1~11:変性PVA組成物B1~B21)
上記で得られた変性PVA組成物A1~A4 20mLを50mLの容器に入れて、その容器を表1に示す温度に維持された庫内に静置した。容器内の変性PVA組成物A1~A4の溶液温度が庫内の温度と同じとなったことを確認した後、表1に示す時間、変性PVA組成物A1~A4を静置することにより保温工程を実施した。保温工程を所定の時間行った後、変性PVA組成物を庫内から取り出し、室温(25℃)になるまで静置し、実施例1~10および比較例1~11の変性PVA組成物B1~B21を得た。
[変性PVA組成物のろ過実験]
各加熱条件で保温工程を経た実施例1~10および比較例1~11の変性PVA組成物B1~B21に対してろ過実験を行った。変性PVA組成物B1~B21をそれぞれ水で希釈し、変性PVA濃度が2質量%のろ過実験用のサンプルB1~B21を調製した。ろ過実験用のサンプルB1~B21 50mLを用いて、室温(25℃)にて、吸引圧0.005MPaで、フィルタ(フィルタの材質:ポリエーテルスルホン、サンプルB1~B17:フィルタ孔径0.1μm、サンプルB18~B21:フィルタ孔径0.2μm)を通過させ、フィルタ通過にかかった時間を測定した。比較例1の変性PVA組成物B10のろ過にかかった時間を基準(100%)とした時の相対評価で、他の実施例1~9および比較例2~8の変性PVA組成物B1~B9、B11~B17の結果を示す。また、比較例9の変性PVA組成物B19のろ過にかかった時間を基準(100%)とした時の相対評価で、実施例10および比較例10,11変性PVA組成物B18,20,21の結果を示す。数値が小さいほど、ろ過性が良好であることを示している。結果は表1に示す。
[変性PVA組成物の安定性]
各加熱条件で保温工程を経た実施例1~10および比較例1~11の変性PVA組成物B1~B21に対して、容器の底に沈殿物があるかどうかを目視で観察した。結果は表1に示す。
[変性PVA組成物を含む研磨用組成物の調製]
実施例6の変性PVA組成物B6と、比較例1の変性PVA組成物B10とを用いて、研磨用組成物C1、C2を調製した。研磨用組成物は以下の手順で調製した。
まず、砥粒、変性PVA組成物、塩基性化合物、界面活性剤および脱イオン水を混合して、本例に係る研磨用組成物の濃縮液を調製した。変性PVA組成物として、変性PVA組成物B6またはB9を、砥粒としてコロイダルシリカ(平均一次粒子径:25nm)を、塩基性化合物としてアンモニアを、界面活性剤としてポリオキアルキレンアルキルエーテルを使用した。得られた研磨用組成物の濃縮液を脱イオン水(DIW)で体積比20倍に希釈することにより、砥粒の濃度を0.18%、変性PVAの濃度を0.009%、塩基性化合物の濃度を0.005%、界面活性剤の濃度を0.0002%とする、本例に係る研磨用組成物を得た。研磨用組成物C1およびC2のpHは9.8-10.3(液温:25℃)だった。
[シリコンウェーハの研磨]
「2次研磨工程」
研磨対象物として半導体基板であるシリコンウェーハについて、2次研磨用組成物を使用し、下記の条件にて研磨を行った。;
・2次研磨用組成物の組成:全体を100部として、シリカ砥粒(平均一次粒子径:35nm)0.9部、水酸化カリウム0.06部、
・シリコンウェーハ(ラッピングおよびエッチングを終えた直径300mmの市販シリコン単結晶ウェーハ、伝導型:P型、結晶方位:<100>、COP(Crystal Originated Particle:結晶欠陥)フリー)。
-2次研磨条件-
研磨装置:株式会社岡本工作機械製作所製 枚葉研磨機、型式「PNX 332B」
研磨パッド:ニッタ・デュポン社製 製品名「SUBA400」
研磨荷重:20kPa
研磨定盤回転数:20rpm
キャリア回転数:20rpm
研磨用組成物の供給:掛け流し
研磨用組成物供給量:1L/分
研磨用組成物Xの温度:20℃
定盤冷却水の温度:20℃
研磨時間:120秒。
「仕上げ研磨工程」
上記2次研磨工程にてシリコンウェーハ表面を研磨した後、当該シリコンウェーハを研磨定盤(プラテン)上から取り外した。続いて、同じ研磨装置内で、研磨済シリコンウェーハを別の研磨定盤(プラテン)上に取り付け、下記の条件にて、上記で調製した研磨用組成物C1およびC2を用いて、研磨済シリコンウェーハ表面に対して仕上げ研磨処理を行った。
-仕上げ研磨条件-
研磨装置:株式会社岡本工作機械製作所製 枚葉研磨機、型式「PNX 332B」
研磨パッド:フジボウ愛媛社製 製品名「POLYPAS27NX」
研磨荷重:20kPa
研磨定盤回転数:52rpm
キャリア回転数:50rpm
研磨用組成物の供給:掛け流し
研磨用組成物供給量:1.5L/分
研磨用組成物C1およびC2の温度:20℃
定盤冷却水の温度:20℃
研磨時間:240秒。
「洗浄工程」
70℃に保持したNHOH(29質量%水溶液):H(31質量%水溶液):脱イオン水=2:5.3:48(体積比)の洗浄液を入れた第1の洗浄槽(超音波発信機付)と、25℃の超純水を入れた第2の洗浄槽とを用意した。上記仕上げ研磨後のシリコンウェーハを第1の洗浄槽に6分浸漬し、その後、第2の洗浄槽に15分した後、再び第1の洗浄槽に6分、第2の洗浄槽に16分浸漬してから乾燥させ、表面欠陥評価用のサンプルを得た。
「表面欠陥評価」
上記洗浄工程後のシリコンウェーハを表面欠陥評価用のサンプルとして、下記評価方法にしたがって評価を行った。結果は表1に示す。
-評価方法-
検査装置:ケーエルエー・テンコール社製,商品名「SURFSCAN SP5」
測定モード:DCモード
評価方法および評価基準:試験片の片面の外周端部から幅5mmの部分(外周端部を0mmとしたときに、幅0mmから幅5mmまでの部分)を除外した残りの部分について、17nm超の欠陥数を測定した。研磨用組成物C2を用いた場合に生じる欠陥数を基準(100)として、研磨用組成物C1を用いた場合の欠陥数を評価した。欠陥数が少ないほど、表面の傷、荒れ、残渣数が少なく、表面の乱れが小さいことを意味する。
Figure 2023048391000008
表1に示すように、30℃以上60℃未満の温度で、かつパラメータAが2以上となるように保温工程を行った変性PVA組成物B1~B9およびB18(実施例1~10)は、ろ過性が顕著に改善していることがわかった。パラメータAが2未満となるように保温工程を行った変性PVA組成物B11~B12(比較例1~3)は、ろ過性が改善されないことがわかった。また、60℃以上で保温工程を行った変性PVA組成物B13~B17、B20およびB21(比較例4~8、10および11)は、保温工程後に沈殿物が生じており、安定性に劣ることがわかった。
30℃以上60℃未満の温度で、かつパラメータAが2以上となるように保温工程を行った変性PVA組成物B6を含む研磨用組成物を用いて研磨した場合、研磨対象物に対して表面欠陥を抑制することもわかった。
[変性PVAの慣性半径とその経時変化]
上記で得られた変性PVA組成物A1、A4について、表2の条件で保温工程を実施し、得られた変性PVA組成物における変性PVAの慣性半径を測定した。慣性半径の測定は、保温工程前と、保温工程の直後と、保温工程の後に一定期間経過後と、に行った。各慣性半径は、保温工程前の変性PVAの慣性半径(Rg)、保温工程直後の変性PVAの慣性半径(Rg)、保温工程の後に一定期間経過後の変性PVAの慣性半径(Rg1’)とする。測定手順としては、変性PVAの濃度が1mg/mLになるように水溶液を調製し、調製した各サンプルを光散乱光度計「DLS-8000」(大塚電子社製)を用い、測定角度30~150度の範囲で10度毎に測定を行い、1濃法プロット解析により慣性半径(nm)の算出を行った。得られた結果を、表2に示した。表2には、保温工程直後および一定期間経過後の変性PVAの慣性半径(Rg、Rg1’)について保温工程前の変性PVAの慣性半径(Rg)を100%とする相対値(変化率Rg/Rg0、Rg1’/Rg)と、保温工程の後に一定期間経過後の変性PVAの慣性半径(Rg1’)について保温工程直後の変性PVAの慣性半径(Rg)を100%とする相対値(変化率Rg1’/Rg)も併せて示した。保温工程を実施することにより変性PVAの慣性半径が減少し、一定期間経過後も減少したままであることがわかる。
Figure 2023048391000009
[変性PVA組成物の電気伝導度]
上記で得られた変性PVA組成物B2、B3、B6、B10、B14~16について、電気伝導度を測定した。なお、変性PVA組成物B10(比較例1)は、保温工程を実施していない変性PVA組成物である。電気伝導度の測定は、液温25℃の条件で、堀場製作所製の導電率計、型式「DS-12」を使用して行った。得られた結果(各電気伝導度(EC1))を、保温工程を実施していない変性PVA組成物B10(比較例1)についての電気伝導度(EC0)を100%とする相対値(EC1/EC0)に換算して表3に示した。電気伝導度の相対値(EC1/EC0)が105%を超えると、変性PVAの構造に変化が起こっているといえる。
Figure 2023048391000010
以上のように、変性PVA組成物に対して所定の保温工程(30℃以上60℃未満の温度で、かつパラメータAが2以上となる保温工程)を行うことにより、ろ過性が顕著に改善され、表面欠陥(例えばLPD:Light Point Defects等)を低減することができる研磨用組成物が得られることが示された。これにより、本発明の研磨用組成物の製造方法は、基板の表面品位を大きく向上し得ることがわかる。

Claims (7)

  1. 変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体と、水と、を含有する変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物の製造方法であって、
    前記変性ポリビニルアルコール組成物を、30℃以上60℃未満の溶液温度で保持する保温工程を含み、
    前記保温工程は、下記式で表されるパラメータA:
    Figure 2023048391000011

    が2.0以上となるように行われる、研磨用組成物の製造方法。
  2. 前記変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体が、前記変性ポリビニルアルコール組成物全質量に対して、0.1質量%以上40質量%以下で含有される、請求項1に記載の研磨用組成物の製造方法。
  3. 前記変性ポリビニルアルコール組成物において、前記保温工程前の前記変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体の慣性半径(Rg)に対する、前記保温工程後の前記変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体の慣性半径(Rg)の変化率(Rg/Rg)が、95%以下である、請求項1または2に記載の研磨用組成物の製造方法。
  4. 前記保温工程の後、前記変性ポリビニルアルコール組成物と、pH調整剤を混合する混合工程と、
    前記混合工程により得られた研磨用組成物をろ過するろ過工程と、
    をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨用組成物の製造方法。
  5. 前記保温工程が、0.5時間以上200時間以下で行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨用組成物の製造方法。
  6. 変性ポリビニルアルコールまたはその誘導体と、水と、を含有する変性ポリビニルアルコール組成物を含む研磨用組成物であって、
    前記変性ポリビニルアルコール組成物は、30℃以上60℃未満の溶液温度で保持する保温工程を含む製造方法により製造されたものであり、
    前記保温工程は、下記式で表されるパラメータA:
    Figure 2023048391000012

    が2.0以上となるように行われる、研磨用組成物。
  7. 請求項6に記載の研磨用組成物の濃縮液。
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